もうひとつテンション上がったのはGenesis。 仕事柄、私もずいぶんたくさんのイギリス人と付き合っているけど、インタビューにもあるように、「Genesisがスキ」というイギリス人に会ったのはもしかしたらスティーヴが初めてかも知れない。 「Afterglow」のチェスター・トンプソンのフィル(ザッパの「More Trouble Everyday」)の話で盛り上がっちゃったりして! 私が観た1978年の『And Then There Were Three』ツアーの東京公演のプログラムを見せるとスティーヴは大興奮。 その時に撮影したのが下の写真。 納豆以外は何でも大丈夫だそうで、家内の手料理をとても美味しそうに食べてくれた。 ホント、楽しかったナ~。
そして今、GRAND SLAM。 時空を超えてそのデビュー・アルバムがMarshall Recordsからリリースされる! タイトルは『Hit the Ground』。 収録曲は全部で10曲。 1. Gone Are The Days 2. 19 3. Hit The Ground 4. Military Man 5. Crazy 6. Dedication 7. Long Road 8. Sisters Of Mercy 9. Crime Rate 10. Grand Slam
それに先立ってアルバㇺ・オープナーの「Gone Are the Days」が9月6日に先行配信された。 「Gone are the days」…思いっきり倒置が起こっていますな。 でも、コレは文法の理屈を勉強するより決まり文句として覚えた方がよさそう。 「Gone are the days when~」と「when節」をともなって「~は遠い昔になってしまった」という昔日を振り返る時にピッタリの表現。 「Gone are the days when the prog rock was going around」ってか? コレに続けたくなるのはデューク・エリントンの超名曲「Things Ain't What They Used to Be」。 「物事は元のままにあらず」という意味から「昔はヨカッタね」という訳が当てられる。 けだし名訳!
そして、GRAND SLAM。 この「Gone Are the Days」を聴いてみる。 イヤイヤ、昔のままじゃないか! もしフィル・リノットが歌っていたらThin Lizyyと言っても何の違和感もない。 この曲が『Bad Reputation』あたりに入っていても何らおかしくない。 そりゃ本人がいたバンドなんだから当然なんだけど。 とにかく、遠い昔になってしまったアレは、元のままだった!
私は1977年の『Bad Reputation』からThin Lizzyをリアルタイムで聴いたんだけど、ものスゴく好きだったな~。 今でこそ、リノットだ、ライノットだってやってるけど、その頃、私の周りではThin Lizzyを聴いているヤツなんて1人もいなかったよ。 ピンク・レディとかキャンディーズばっかりだった。 ロックと歌謡曲が分かれていて、共にクォリティが滅法高い音楽をクリエイトしていた時代。 これこそ私の「Gone are the Days」。
前回来た時、地下のトイレのカギが壊れていて、閉じ込められちゃったのね。 トイレの中から「Somebody help me out!」と大声を出したところ、誰かが外からドアを開けてくれたの。 ドアが開いた時、開けてくれた人にお礼を言おうと思ったのに誰もいなかった。 アレは幽霊が助けてくれたのかも知れない。
そう、ロンドンって「London Town」っていう言い方をするでしょ? コレがまたステキだ。 私が自分の街を「Tokyo City」なんて呼んだところでバカ丸出しだ。 「ロンドン・タウン」…The Kinksのヒット曲「Dedicated Follower of Fashion」にも「♪'Round the boutiques in London Town」なんて出て来るわネェ。
ま、極めつけはそのものズバリのポールかな? このアルバムのタイトル曲、とてもいい曲なんだけど特にロンドンの魅力を歌っているワケではないようだ。 それにしてもこの曲のMV、呆れるほどカッコ悪いな。 ちなみに、ニューヨークのマンハッタンには「Big Apple」っていうニックネームが付いてるでしょ? ロンドンのアダ名は何ていうか知ってる? 「Big Smoke」っていうんだって。 私が滞在していることを知っていて、たまたまロンドンに用事を足しに出て来たMarshallの仲良しが後にこういうメールをくれた。 「We were in Big Smoke yeasterday!」 私も彼がロンドンに来ていたことを知っていたのでそのメールを見て、てっきりロンドンで大火事でもあったのかと思い、インターネットでニュースを見て調べちゃったよ! もちろんコレは「霧のロンドン」時代の名残り。 アレ、「霧」っていうのは暖炉の煙ですからね。 実際、ホンの少しロンドンの中心から離れた住宅街に立ち並ぶ無数の煙突を見ると、昔はさぞかしスゴイ煙だったことが容易に想像できる。 『メリー・」ポピンズ』の「Step in Time」みたいなヤツね。 それらの暖炉はもう今では全く使われていないので、私は「霧のロンドン」を見たことがない。 「霧の甲府」なら知ってるけど。 アレは路面の凍結予防に古タイヤかんなんかを燃やした煙だったんだよね? とにかく「Big Smoke」も知らない私の「ロンドン道」はまだまだ序の口ということよ!
そしたらアータ! 元よりD_Driveに好意的な評価をしてくれていたイギリスのウェブ・マガジンがこんなことを書いてくれた。 もちろんD_Driveの3回の演奏をすべて観ての感想だ。 「D_Drive Conquer Britain with Superlative Debut UK Gigs(D_Drive、最上級のUKデビューでイギリスを征服)」 やった!「Conquer」だ! コンカーが来んかと思ったらキタキタキタキタキタ~! イヤ実はね、Marshall Blogのライブ・レポートのタイトルに「Concuer」を使おうと思っていたのでチト困りものなんだけど、エエイ、「メタトー」許す! 著作権の関係で記事のすべてを翻訳するワケにはいかないけど、サブ・ヘッドラインぐらいはいいだろう。 Japanese instrumental sensations D_Drive stormed into Britain last week and left a lasting impression with three absolutely superb performances that announced the band as a major force. (日本のインストゥルメンタル・センセーション、D_Driveが先週イギリスに嵐をもたらし、バンドが甚大な力を持っいることを知らしめる3回の完璧に最高なパフォーマンスの感動がまだ続いている)
イギリスは都会、地方を問わず、金曜日と土曜日の晩になると、地元のバンドがパブに出演してThe WhoやLed Zeppelin等のブリティッシュ・ロックの名曲を演奏し、お客さんがそれに合わせて大合唱する…というとても羨ましい文化があってね。それにとても憧れていた。 今回はロックフェスのひと幕なので、そういう機会とは趣を異にするが、そんなスペースで演奏するD_Driveを観るのがメッチャ楽しみなのだ! ココでYukiちゃんが叫ぶワケだよ…Are ready to rock? Are you ready to drive!って。 Marshall Liveにいらっしゃる方はお見逃しなく!
そのToshiくんが差し替えたベース・トラックを含むミキシングを一から担当して頂いたのはニューヨーク在住のレコーディング・エンジニア、Akihiro Nishimuraさん。 Avatarスタジオでキャリアをスタートさせ、2010年にブルックリンで自分のスタジオを開設。 レコーディング/ミキシング・エンジニアとして辣腕を奮い、現在はロングアイランドにスタジオを構えている。 手がけたアーティストはライオネル・リッチー、シンディ・ローパー、ショーン・レノン他、ポール・マッカートニーやレディ・ガガとの仕事にも参画した経験をお持ちの方。 私なんかがAkiさんのクライアントを拝見して興奮しちゃうのは、ウィントン・マルサリスやジョシュア・レッドマン、ブラッド・メルドー、小曽根真等々のジャズ・ミュージシャン。 それと、ノートルダムが大変なことになっちゃったけど、グラミー賞にノミネートされたブロードウェイ・キャストによるアルバム『An American in Paris(巴里のアメリカ人)』にもその名を連ねている。 ああ、『巴里のアメリカ人』…書きだすと止まらなくなっちゃうんだけど、「Embracable You」、「S'wonderful」、「Our Love is Here to Stay」、そして「I Got Rhythm」…ガーシュインの必殺の名曲をタップリと詰め込んだこのミュージカル映画を一体何度観たことか! お友達になりたいわ~。
今日の記事のタイトル「Let's Face the Music and Dance」って何のことやらご存知? 1936年のアメリカ映画『艦隊を追って(Follow the Fleet)』のためにアーヴィング・バーリンが書いた曲のタイトルで、ジャズのスタンダードにもなっている。 アーヴィング・バーリンはかの「White Christmas」を作曲した人ね。もちろん今でも世界中の人が口ずさんでいるたくさんの名曲を作り上げたアメリカの超大作曲家だ。(バーリンは以前にもココに登場しているので興味のある人は読んでみて!) 私は35年以上前、大学生の時に下のジャッキー・マクリーンの『Swing Swang Swingin'』でこの曲を覚えた。 このアルバム、すごく好きで今でも時々CD棚から引っ張り出しては聴いている。 でもこの「Let's Face the Music and Dance」の意味を知ったのはココ数年のこと。 この「face」は「顔」じゃないよ、「~に向かう」という動詞。 「音楽と踊りに面と向かおう」って一体なんのコッチャ?
答えは「現実を直視しようじゃないか」とか「結果を受け入れようよ」とかいうような意味。 「face the music」という「現実に直面する」を意味する慣用表現があるのです。 実際に外人がこの表現を口にしている場面にそれこそ直面したことはないんだけど、ナンで「music」なの?って思うでしょう。 調べてみると…。 役者さんが出番の前にメッチャ緊張してしまったとするでしょ。 でも、当然のことながら舞台に上がってお客さんと向き合わなければならない。仕事だから。 舞台と客席の間にはオーケストラ・ピットがあってそこから音楽が流れ出て来る。 もう逃げられないんだから、その音楽とガッツリ向き合いなさい…というのがこの表現の由来らしい。 そこでこの表現をもじって、「音楽」だけじゃなく、「踊り」も引っ付けてしまって1曲シャレこんだのがこの「Let's Face the Music and Dance 」という曲。 クラシック音楽は別にして、昔は「音楽は踊るためのモノ」という風潮が強かったからね。 上のアルバムなんかもそうだけど、少人数で構成されるジャズのバンドのことを「コンボ・スタイル」というんだけど、元々はオーケストラのメンバーたちで結成されていた。 そのオーケストラは飽くまでもダンスの伴奏要員で、音楽を鑑賞させるためのモノではなかったんだね。 で、踊りのコーナーの間の休憩の時に腕の立つミュージシャンが数人集まってソロだけを聴かせるコンボ・ジャズを始めた。 それがいつの間にやら「ジャズ」といえば「カルテット」とか「クインテット」とかいう編成でソロを聴かせるスタイルが主流になっていったんだね。 だから音楽と踊りというモノは絶対に切っても切れない関係にあるのです。 せっかくだからこの「Let's Face the Music and Dance」のシーンを見てみましょう。 歌って踊るのはフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース。
バレエはルイ14世の加護の元、フランスで発達したからね、だから用語も全部フランス語。 そして、音楽家たちもこぞってパリでバレエ音楽を作った。 さっきの『春の祭典』も同様で、英語では『The Rite of Spring』と呼んでいるけど、原題は『Le sacre du printemps』という。 「sacre」は英語の「sacred(神聖な)」。「primtemps」は「プランタン」だから「デパート」という意味だね…ウソウソ、「春」ですな。 D_Driveも今度バレエ用の曲をひとつ作ってYukiちゃんに舞ってもらったらどうだろうか? それをフランスに行った時にお披露目する。 もちろんその時のバンド名は「D_Conduire(デ・コンデュリア)だ。
そして、『チェリーを三つ、入れてください。』の音楽を担当するのが我らがD_Drive!
「Unkind Rain」か、はたまた「GEKIRINー逆鱗ー」か、Yukiちゃんがお姉さんをテーマに作った「Shape of Your Life」は欠かせまい…しかし一体D_Driveの音楽とコラボする舞踏とはどういうモノなのか!…観たい! だって、どういう振り付けがあの独特なメロディや複雑なキメに施されるのか興味津々だよ。 ニジンスキーに見せたいじゃん? かつてパット・メセニーが「今、バレエの音楽に取り組んでいるんだ」とうれしそうに何かのインタビューで答えていたが、やっぱりこういう創作活動は音楽家冥利に尽きるよね。 そんな舞台をMarshall、NATAL、EDENがお手伝いするのもうれしいね。 しかし、ニューヨーク在住で世界を股にかける舞踏家とイギリスのレーベルから世界デビューしたギタリスト…何て才能豊かな姉妹だろう!