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2019年4月 8日 (月)

Let's Face the Music and Dance!~ 『チェリーを三つ、入れてください。』


今日の記事のタイトル「Let's Face the Music and Dance」って何のことやらご存知?
1936年のアメリカ映画『艦隊を追って(Follow the Fleet)』のためにアーヴィング・バーリンが書いた曲のタイトルで、ジャズのスタンダードにもなっている。
アーヴィング・バーリンはかの「White Christmas」を作曲した人ね。もちろん今でも世界中の人が口ずさんでいるたくさんの名曲を作り上げたアメリカの超大作曲家だ。(バーリンは以前にもココに登場しているので興味のある人は読んでみて!)
私は35年以上前、大学生の時に下のジャッキー・マクリーンの『Swing Swang Swingin'』でこの曲を覚えた。
このアルバム、すごく好きで今でも時々CD棚から引っ張り出しては聴いている。
でもこの「Let's Face the Music and Dance」の意味を知ったのはココ数年のこと。
この「face」は「顔」じゃないよ、「~に向かう」という動詞。
「音楽と踊りに面と向かおう」って一体なんのコッチャ?

10cd答えは「現実を直視しようじゃないか」とか「結果を受け入れようよ」とかいうような意味。
「face the music」という「現実に直面する」を意味する慣用表現があるのです。
実際に外人がこの表現を口にしている場面にそれこそ直面したことはないんだけど、ナンで「music」なの?って思うでしょう。
調べてみると…。
役者さんが出番の前にメッチャ緊張してしまったとするでしょ。
でも、当然のことながら舞台に上がってお客さんと向き合わなければならない。仕事だから。
舞台と客席の間にはオーケストラ・ピットがあってそこから音楽が流れ出て来る。
もう逃げられないんだから、その音楽とガッツリ向き合いなさい…というのがこの表現の由来らしい。
そこでこの表現をもじって、「音楽」だけじゃなく、「踊り」も引っ付けてしまって1曲シャレこんだのがこの「Let's Face the Music and Dance 」という曲。
クラシック音楽は別にして、昔は「音楽は踊るためのモノ」という風潮が強かったからね。
上のアルバムなんかもそうだけど、少人数で構成されるジャズのバンドのことを「コンボ・スタイル」というんだけど、元々はオーケストラのメンバーたちで結成されていた。
そのオーケストラは飽くまでもダンスの伴奏要員で、音楽を鑑賞させるためのモノではなかったんだね。
で、踊りのコーナーの間の休憩の時に腕の立つミュージシャンが数人集まってソロだけを聴かせるコンボ・ジャズを始めた。
それがいつの間にやら「ジャズ」といえば「カルテット」とか「クインテット」とかいう編成でソロを聴かせるスタイルが主流になっていったんだね。
だから音楽と踊りというモノは絶対に切っても切れない関係にあるのです。
せっかくだからこの「Let's Face the Music and Dance」のシーンを見てみましょう。
歌って踊るのはフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース。

カッコいいね~。
こんなオッサンがよ~。
声もいいナァ~。
フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース、いわゆる「ジンジャーとフレッド」は世界がうらやむこういう歌と踊りの名コンビだった。
下の写真を見てみて。
コレはチェコのプラハにあるビルディング。
このビルのニックネームを「ジンジャーとフレッド」というのだそうだ。
設計が先か、アダ名が先か知らないけれど、建物のデザインもさることながらこのアダ名をつけた人に座布団を100枚ぐらいあげたいね。
プラハは一度でいいから行ってみたい。
何でも街をひと歩きすると靴の裏が犬のウンコだらけになってしまうとか…。
街のようすがあまりにも美しいので足元に気を遣っていられないというのだ。
ロンドンも同様だけど、犬のウンコはそうそう落ちていない。Gf今日は音楽と踊りの融合の話題。
 
以前にも書いた通り、私は踊りは丸っきりダメ。
1秒でも踊りたくない。
「YMCA」のフリすらやりたくない。
好きな「Rocky Horror Show」も「Time Warp」は見るだけでいい。
でも、上のアステアのような上品な踊りを見るのはとても楽しい。
「上品」とワザワザ言葉を足したのは、チョット前まで盛んにテレビで勝ち抜き戦をやっていた黒人系のヒップホップ・ダンスみたいなモノとを区別するためだ。
ブレイク・ダンス以降のアレはもう苦手。スゴイとは思うけどね。
ミュージカルなんかを見つけている私のような古い人間は、やっぱりダンスには「優雅さ」を期待してしまうのが普通ではなかろうか?
にもかかわらず、25年ぐらい前にニューヨークに行った時に「絶対コレを観よう」とキメていたのが『Bringin' Da Noise, Bringin' Da Funk』という黒人のミュージカル。
コレもう最高には素晴らしかったですよ。
ニグロ・スピリチュアルズから始まって、デューク・エリントンのジャズの黄金時代を経て現在のヒップホップに至る黒人のエンターテインメント文化を音楽とダンスで綴った一編。
お目当ては、下のプログラムの表紙に出ているセイビオン・グローバーのタップ・ダンスだった。
「グレゴリー・ハインズの後継者」との呼び声が高かったそのパフォーマンスは評判以上で、大いに感銘を受けた。
この人、ゼンゼン名前を聞かなくなっちゃったけど、どうしているのかナァ。
それと、自慢としては、ラスヴェガスでサミー・デイヴィスJr.のタップを生で見ていますから。
あの時も感動して顔が人形みたいに(Dollface)になっちゃったよ。

Nk0r4a0248そして、音楽と踊りの融合の最高峰と言えば、ナント言っても「バレエ」でしょうな。
残念ながらホンモノのバレエは観たことがないんだけど大いに興味はある。
だってスゴイ音楽がたくさんあるからね。
例えばイゴール・ストラヴィンスキー。プロコフィエフなんかもいいナァ。
下は上野の東京文化会館で見つけたストラヴィンスキーの絵ハガキ。
たまたま『火の鳥』の格好をしているけど、ストラヴィンスキーのバレエ音楽と言えば、やっぱり『春の祭典』でしょう。

20そして、『春の祭典』といえばヴァーツラフ・ニジンスキー。
以前『ロンドンぶらり途中下車の旅 2015』という記事では「ヴァスラフ」と表記して、ニジンスキーを見出したセルゲイ・ディアギレフのロシアのバレエ団体『バレエ・リュス(Ballet Russes)』のことを少し書いた。
110特段ニンジンがスキでもない上に、こんなことをしているのはハーバート・ロス監督の『ニジンスキー』という映画が大好きだから。
ハーバート・ロスはピーター・オトゥールの『チップス先生さようなら』でデビューし、バーブラの『ファニー・レディ』や『愛と喝采の日々(The Turning Point)』、『フットルース』。マイケル・J・フォックスの『摩天楼はバラ色に(The Secret of my Success)』)』、『マグノリアの花たち(Steel Magnolias)』等を撮ったアメリカ映画の巨匠中の巨匠。
『グッバイ・ガール』なんて何回観たかわからないけど、今見てもきっと最後に号泣しちゃうだろう。ま、コレは脚本がニール・サイモンということも大きいけどね。
で、『ニジンスキー』…DVDを買おうと思っってamazonで検索してみたんだけど、国内盤が出ていない!
コレぞ日本のエンターテインメント民度の低さ!どんなにアニメが世界進出を果たそうとこうした娯楽のバックグラウンドができていないことの表れか。
51ikllhoygl_sx342_上でリンクした拙稿にも記したように、この映画の中に『春の祭典』の振り付けを担当したニジンスキーに変拍子のパート(あのエイト・ビートのカッコいいところ)を指南するシーンがあって、何度やってもそれを理解できないニジンスキーに対してストラヴィンスキーが癇癪を起すシーンがある。
ニジンスキーはダンサーとしては超人的な能力を持っていたが、コレオグラファーとしてはイマイチだったらしい。
とはいえ、指揮者として活躍したストラヴィンスキーは自分で作ったその変拍子のパートをうまく指揮することができず、4/4拍子にアレンジし直したとか…オイオイ。
『春の祭典』は1913年、パリのシャンゼリゼ劇場のこけら落とし公演としてモントゥーの指揮で初演された。
ニジンスキーはそんな時代の人だから、映像が残っていないらしい。
振り付けは譜面にするワケにもいかないので、動画が残せない限り正確に記録しておくことはできない。
コレがニジンスキー。
10mひとっ飛びだったらしいからね。

Vnそして、amazonでDVDを探していたら『シャネル&ストラヴィンスキー』なんて映画を見つけてすぐに買って観てみた。
シャネルは「ココ・シャネル」のことね。
彼女はストラヴィンスキーの才能に恋をして家族丸ごと経済的な援助を施し、ディアギレフにも多額の寄付をして財政難に苦しんでいたバレエ・リュスの運営を援助した。
映画としては、シャネルとストラヴィンスキーの単なる不倫スト―リーということになるんだけど、冒頭のシーンがスゴイ。
そこを観ただけでもDVDを買った甲斐があった。
そのシャンゼリゼ劇場の『春の祭典』の初演の様子を実に巧みに描いているのだ。
あまりに斬新な音楽と舞踏ゆえ、観客が不支持派と支持派に真っ二つに分かれ、「止めろ!」、「続けろ!」で本番中に取っ組み合いのケンカをしたというのは有名な話。
ココでニジンスキーがしたとされる振り付けが見れるんだけど、それがホンモノに近いとすれば確かにかなり刺激的だわ。
少なくともバレエには見えない。
違う言い方をすると、当時は人が聴いたことや見たことのない芸術がまだまだ沢山あったということよ。
ストラヴィンスキーもその振り付けが気にくわなかったらしい。
バレエは原作を元にして作曲家が音楽を作り、それに振り付けを施すからね。ヘンな振り付けをされたらそりゃ作曲家は癪にさわるワケよ。
『春の祭典』はオーケストラの編成も変わっていて、バレエとしてあまり上演されることがないらしいが、ニジンスキー振り付けはもう使われていないと聞いた。
Cs脱線するけど、画家の藤田嗣治は1913年にパリに渡り、この『春の祭典』を観た…とかいう文章をどこかで読んだ記憶があるんだけどホントかな?
渡欧したのと初演が1913年で同じなんだよね。
藤田は黒田清輝にキラわれていたんだってね。才能を妬まれたんだよ。
ビックリしたのは、半年ほど前に行った『藤田嗣治展』で知ったんだけど、この人、ルーマニアの作曲家/ヴァイオリニストのジョルジュ・エネスコとも関係があったっていうんだよね。
エネスコはユーディ・メニューインの師匠。
ラヴェルと親交が深く、ラヴェルは出来上がったばかりのヴァイオリン・ソナタの譜面をエネスコに渡し、初見で弾いてもらった。
最後まで弾き終わると、エネスコは譜面を閉じて「モーリス、もう1回やってみよう」と前回より正確に、そして格段に素晴らしい演奏をして見せたという。
それを傍らで見ていた若き日のメニューインは興奮を抑えきれなかったという。
メニューイン自身がドキュメンタリーで語っていたので事実だろう。
芸術には「爆発」も必要だが、肝心なのは「記憶力」と「体力」と「無神経さ」だと思う。こういうのをすべてひっくるめて『才能』と呼ぶ…私にはナニひとつ備わっていないじゃないか!

150 舞台は変わってパリから神戸へ。

Nk0r4a0248兵庫県ゆかりのアーティストをフィーチャーした『チェリーを三つ、入れてください。』という、音楽、舞踊、そしてマルチ・メディアが融合する異色の舞台作品が来年の1月に上演されることになった。
だからココまで音楽と舞踏の話を書いて来た。
ココからが本題だ。
 
主宰はニューヨーク在住の舞踊家、振付家、Yukari。

40vYukariさんは、ニューヨークとパレスチナを拠点に国際的に活動するコンテンポラリー・ダンスカンパニー、「Yaa Samar! Dance Theatre」の主要メンバー。
海外ツアーに参加する傍ら、アメリカを中心にミュージカルやオペラ、そしてミュージック・ビデオなどにパフォーマーとして出演し、また振付も提供している。
さらに、マルチメディア・アート・グループ「ARis」にも振付兼パフォーマーとして参加している。

60で、この世界を股にかけて活動しているYukariさん、D_DriveのYukiちゃんの実のお姉さんなのだ。

30vYukiちゃんも元々はバレリーナだからね。
ね、バッチリとポワント(つま先立ち)をキメ込んでる。
絶対こんなことできないわ。
そもそも、4番とか5番とか、基本的な立ち方だけで足がツっちゃうこと間違いない。
 
バレエはルイ14世の加護の元、フランスで発達したからね、だから用語も全部フランス語。
そして、音楽家たちもこぞってパリでバレエ音楽を作った。
さっきの『春の祭典』も同様で、英語では『The Rite of Spring』と呼んでいるけど、原題は『Le sacre du printemps』という。
「sacre」は英語の「sacred(神聖な)」。「primtemps」は「プランタン」だから「デパート」という意味だね…ウソウソ、「春」ですな。
D_Driveも今度バレエ用の曲をひとつ作ってYukiちゃんに舞ってもらったらどうだろうか?
それをフランスに行った時にお披露目する。
もちろんその時のバンド名は「D_Conduire(デ・コンデュリア)だ。

70vそして、『チェリーを三つ、入れてください。』の音楽を担当するのが我らがD_Drive!

50s「Unkind Rain」か、はたまた「GEKIRINー逆鱗ー」か、Yukiちゃんがお姉さんをテーマに作った「Shape of Your Life」は欠かせまい…しかし一体D_Driveの音楽とコラボする舞踏とはどういうモノなのか!…観たい!
だって、どういう振り付けがあの独特なメロディや複雑なキメに施されるのか興味津々だよ。
ニジンスキーに見せたいじゃん?
かつてパット・メセニーが「今、バレエの音楽に取り組んでいるんだ」とうれしそうに何かのインタビューで答えていたが、やっぱりこういう創作活動は音楽家冥利に尽きるよね。
そんな舞台をMarshall、NATAL、EDENがお手伝いするのもうれしいね。Nk0r4a0037 しかし、ニューヨーク在住で世界を股にかける舞踏家とイギリスのレーベルから世界デビューしたギタリスト…何て才能豊かな姉妹だろう!

80vその2人が手を組んで制作されるのが『チェリーを三つ、入れてください。』。
個人が繋がることによって描きだされていく人間模様を、様々なジャンルのダンス・パフォーマーがソロや群舞の多様な演技を通して表現するという内容だ。
そして、その表現の中心のひとつがD_Driveの生演奏。
加えてパフォーマーはワークショップとオーディションによって選出される兵庫県にゆかりのあ人々なのだ。

90v公演日程は2020年1月11日(土)の昼夜2回と1月12日(日)の昼公演の計3回。
会場は「神戸アートビレッジセンターKAVCホール」。
チケットは2019年秋より発売される予定だそうだ。
そして、本公演の開催に伴い、Yukariさんによるダンスワークショップと出演者オーデションが開催される。
我こそは!という兵庫に関わりを持つダンス自慢は応募すべし!
 
詳しい情報はコチラ⇒ENTERART公式ウェブサイト

100v久しぶりに神戸行っちゃおうかな~。行けば2011年に山下達郎さんのコンサートにお邪魔して以来だ!

 

200 
(一部敬称略 ※写真協力:Yuki)