D_Driveの世界デビュー・アルバム
去る3月30日、地元大阪で結成10周年を記念するコンサートを開催したD_Drive。
私もMarshall並びにMarshall RECORDSのスタッフとして、祝辞を含む前説を担当させて頂いた。
詳しくは後日のMarshall Blogでのライブ・レポートをご覧頂きたい。
さて、その前説の中では、当然のことながらMarshall RECORDSからリリースされるD_Driveのデビュー・アルバムのことについて触れた…が、まだイギリスから情報解禁のお許しが出ていない時分だったので、詳しいことには一切触れることがせきなかった。
そして、いよいよ公開する時が来た!
もうモッタイぶらずにド~ンといっちゃいます。
タイトルは『MAXIMUM IMPACT』。
ジャケットはコレ!
タイトルで私が提案したのは、日本人が考えつきそうにない、いかにもイギリスっぽい雰囲気の単語を並べることだった。
何か「アイデアを出せ」っていうので、自分なりに20個ぐらいの候補を考え、またイギリスのスタッフからも色々とアイデアを出してもらったのだが、どうもピンと来なかった。
私のアイデアはまた例によって映画のタイトルやジャズやロックの名曲をもじったモノ、あるいはイギリスで実際に体験した聞き覚えのない英語表現などだった。
我ながらかなりいい線いっていたと思うのだが、ダメだって言うんだよ…チッ!
とにかく、このアルバムは日本だけでなく、イヤ、むしろ日本を含む「世界」に出て行ってもらうアルバムなので、かつては7つの海を征服した大英帝国の方のお沙汰を待つことにした。
そんな折、D_Driveのワールドワイド・マーケティングについてMarshallの社長、ジョン・エラリーと連絡をとり合っていたところ、彼から「Marshall RECORDSと連携して、とにかくMaximum Impactを与えなければならない」という発言があった。
ん?…「Maximum Impact」?
ソレ、インパクト強いんじゃない?実際にイギリスの人が口にした生きた英語なワケだし…。
と思って、ジョンの許可を得たうえでMarshall RECORDSに提案させてもらった。
ジョンって実際、我々が学校で絶対に習わない英単語の使い方を時々するんだよね。
で、私としては「The」をつけた方がカッコいいじゃん?と思って英語の勉強のためにもRECORDSの担当者に相談してみた。
すると、「'The'を付けると、文章のような感じになってしまって、すごく固いイメージになっちゃうんだ」と言うではないの。
某100円ショップに行くと「ザ・文房具」とか「ザ・靴下」とかいう案内板を見かけるけど、アレを英語圏の人が見ると固く感じるんだな?
我々ときたら英語っぽくなるので、何でも「the」をつけちゃうけど、案外そうでもない。
反対に冠詞をつけなさすぎるとどうなるか…コレもアメリカ人に尋ねたことがあるんだけど、「教養がない人」と思われるのだそうです。
おっと、思わず脱線しちまった。
結局、「お!それいいね!」という話になって『MAXIMUM IMPACT』に落ち着いたというワケ。
実際にね、彼らにとってD_Driveの音楽とルックスはインパクトがメッチャ強いんだよ。
こっちはLPレコードのジャケット。もちろん同じデザイン。
このジャケットのデザインを手がけてくれたのは…実はギタリスト。
ダニエル・シーキングスというBAD TOUCHのギタリストなのだ。
BAD TOUCHはD_Driveのレーベル・メイトだからね。
D_Driveとはかなり雰囲気が違う。
やっぱ外人の脂っこさったらないね。
このMarshall RECORDSからの第1作『SHAKE A LEG』のジャケット・デザインもダニエルの作品。
コレもBad Touchどころか、メッチャGood Touch!
見た瞬間に「いい!」と思ったもん。だからダニエルが担当してくれると聞いた時はうれしかった。
世界を狙うためにMarshall RECORDSは従来のD_Driveの音源アイテムのビジュアルをガラっと変えたがっていて、ダニエルがその仕事に適役だと判断したのだろう。
BAD TOUCHはトラディショナルなブリティッシュ・ハードロックを前面に押し出したカッコいいチーム。
6月1日のMarshall LIVEではBAD TOUCHと一緒になるのがとても楽しみだ。
ダニエルもD_Driveのナマの演奏を相当楽しみにしているに違いない。
70年代ロックで育ち、50~60年代ジャズを長年愛聴している私はジャケットにはうるさいよ。
最近は時間がなくてできなくなっちゃったけど、このブログの『Music Jacket Gallery』をやっていたのもそのせい。
『MAXIMUM IMPACT』のデザインは一発で気に入った。
配色や背景のパターンが異なる候補作がいくつかあった中で、D_Driveのみんなと相談してコレに決定した。
デザインに関しては一切リクエストをしなかった。
ただ、本番のデザインに入る前に「こんな感じのイラスト」と、ダニエルの他の作品を送って来たのだが、そこに「ムカデ(centipede)」が描かれていて、Seijiさんから「ムカデだけはチョット…」というリクエストが出てそれを伝えたのみ。
イギリス人の感覚で世界にインパクトを与える意匠であればいいと思っていた。
それで出てきたのがこのデザイン。
西洋人が曲解した変な和風でもないし、イラストの雰囲気といい、配色といい、とてもいいと思う。
このジャケット・デザインを目にして、CDを取り出して、そこから流れ出る音楽を大音量で聴く…間違いなく聴き手にMaximumなImpactを与えることだろう。
CDの仕様はデジパック。
下が裏ジャケ。
このデザインもいいな~。
収録曲は;
1. Attraction 4D
2. M16
3. Cassis Orange
4. Lost Block
5. GEKIRIN -逆鱗-
6. Unkind Rain
7. Gradation
8. Mr. Rat Boots
9. The Last Revenge
10. Screw Driver
…の全10曲。
LPは収録時間の関係で「Mr. Rat Boots」はオミットされている。
どれもD_Driveのライブでは常連のおなじみの曲ばかり。
中には「アレ?Russin Rouletteは?」とか「なんだ、Runnaway Boyが入ってないじゃん!」なんていうファンもいらっしゃることだろう。
慌てない、慌てない!
コレはゴールではなくてスタートなんだから!
まだまだこの先があるってこと。
この選曲も大変だったけどオモシロかったな。
まず、Marshall RECORDSから「CDの収録曲は10曲にしましょう」という指定が来た。
イギリスに早くから音源を送っておいて、D_Driveと私とMarshall RECORDSで各自が選んだ10曲を「セ~ノ」で見せあって、3者のチョイスが合致した曲はまず採用することにした。
意見が分かれた曲は最終的にD_Driveに判断をゆだねた。
イギリス人の感性と我々の感覚にズレが出て来るかな?と思ったのだが、やっぱり洋の東西は違っても、比較的嗜好の方向性は似通っていて「ああ、ヤッパリ~?」みたいな感じでスンナリ決まった。
ただ、ココに入らなかった曲について、それらはふさわしく…といかいうことはゼンゼンなくて、次回以降にキープしておこうという「出し惜しみ精神」で断腸の思いで切り分けたということを知っておいて頂きたい。
曲順は日本サイドの希望通りにしてくれた。
私も何度も音源を聴いて提案させて頂き、この曲順に落ち着いた。
私の持論は音源でもコンサートでも、「大切なのは2曲目」だと思っていて、和風のメロディを持ち、ライブでも人気の「M16」は適任だと思う。
さて、今回CDに収録された曲はどれも既に発表されているナンバーであり、D_Driveのライブ・ステージでおなじみのモノばかりだけど、『MAXIMUM IMPACT』は既出の作品と内容がゼンゼン違う。
まず、ベース・トラックはToshiくんがプレイしたモノにすべて差し替わった。
ベース・パートが曲に与える影響って信じられないぐらい大きいからね。
楽しみでしょう?
そのToshiくんが差し替えたベース・トラックを含むミキシングを一から担当して頂いたのはニューヨーク在住のレコーディング・エンジニア、Akihiro Nishimuraさん。
Avatarスタジオでキャリアをスタートさせ、2010年にブルックリンで自分のスタジオを開設。
レコーディング/ミキシング・エンジニアとして辣腕を奮い、現在はロングアイランドにスタジオを構えている。
手がけたアーティストはライオネル・リッチー、シンディ・ローパー、ショーン・レノン他、ポール・マッカートニーやレディ・ガガとの仕事にも参画した経験をお持ちの方。
私なんかがAkiさんのクライアントを拝見して興奮しちゃうのは、ウィントン・マルサリスやジョシュア・レッドマン、ブラッド・メルドー、小曽根真等々のジャズ・ミュージシャン。
それと、ノートルダムが大変なことになっちゃったけど、グラミー賞にノミネートされたブロードウェイ・キャストによるアルバム『An American in Paris(巴里のアメリカ人)』にもその名を連ねている。
ああ、『巴里のアメリカ人』…書きだすと止まらなくなっちゃうんだけど、「Embracable You」、「S'wonderful」、「Our Love is Here to Stay」、そして「I Got Rhythm」…ガーシュインの必殺の名曲をタップリと詰め込んだこのミュージカル映画を一体何度観たことか!
お友達になりたいわ~。
Akihiro Nishimuraの詳しい情報はコチラ⇒Akihiro Nishimua Official Website
ミキシングが完了したら次はマスタリング。
Akiさんがロングアイランドでミキシングしてくれた音源が運ばれた先(実際は送信)はココ。
わかる?
そう、『MAXIMUM IMPACT』の音源はこのアビィ・ロード・スタジオでマスタリングされたのだ!
マスタリングを担当してくれたのはクリスチャン・ライト。
クリスチャンは英米の数多くのヒット・アルバムの制作に携わっていて、これまでフランツ・フェルディナンド、ブラー、レディオヘッド、コールドプレイ、ブライアン・フェリー、マッシブ・アタック、そしてエド・シーランの作品を手がけている。
リマスター・ワークとしてクリームやエルヴィス、エラ・フィッツジェラルドの音源も担当した。
また、映画のサウンドトラックの仕事でも活躍しており、『ハリー・ポッター』シリーズの2作、またアカデミー賞を獲得した2013年の『Gravity(邦題:ゼロ・グラヴィティ)』のサウンドトラック等もクリスチャンの仕事だ。
しかし、このマスタリングの作業ってのはスゴイね。
どんな音楽も、演奏も、ミキシングもこの最後の工程にかかっている。
もちろん『MAXIMUM IMPACT』のマスタリングに関しても素晴らしい仕事をやってのけてくれた。
私は居合わせなかったが、D_Driveのメンバーがクリスチャンのマスタリング音源を初めて聴いた時、大騒ぎになったらしいよ。
クリスチャン・ライトの詳しい情報はコチラ⇒Abbey Road Studios Official Website
一方、クリスチャンはD_Driveの音源を聴いてどう思ったのだろうか?
6月にイギリスに行った時に会える機会があったらゼヒとも訊いてみたい!
そして、帰りは当然4人でコレをやるでしょ?
歩く順番はSeiji→Yuki→Chiiko→Toshiか?
ちなみに、あのジャケットを撮影した時、先頭を歩いていたジョンの視界の様子はこんな感じだった。
『MAXIMUM IMPACT』は5月31 日配信発売予定。
現在下記にて予約受付中!
また、コレに先立って1曲目に収録されている「Attraction 4D」が5月3日よりシングル配信スタートとなる。
フィジカル・プロダクツの販売については追ってアナウンスします。
もうひとつ…D_Driveライブ会場限定で日本限定の国内バージョンを発売しますのでお楽しみに!
次…D_Driveが6月1日にMarshall ARENAで開催する「Marshall LIVE」に出演することは何度も紹介している通り。
『MAXIMUM IMPACT』の「5月31日発売」というのは、実はこのイベントをニラんでのこと。
ヨーロッパ初お目見えのMarshall LIVEの会場でお客さんに「Maximum Impact」を与えて、CDやレコードをガンガン売っちゃおう!という算段だ。
さて、今度はイギリスの話…まずは6月1日にMarshall LIVEでガツンと演るでしょ?
その翌日の6月2日はロンドンの中心からチョイと北に移動したカムデン・タウンのロック・フェスティバルに出演する。
前日のMarshall LIVEの終演が夜中の12時だっていうのよ…みんな身体大丈夫かな~。
ま、「ひとりで地球を7周半分運転した男」、Seijiさんはビクともしないだろう。
動けなくなったらオンブしてもらおうっと!
ちなみにこのフェスの名称はシャレになってるのね。
閘門(川のエレベーター)のことを英語で「lock」というんだけど、カムデンには有名なCamden Lockというのがあって、それに引っ掛けているのだ。
カムデンは原宿の竹下通りとアメ横を足しで2で割って50を掛けたぐらいの感じの街で、ライブハウスもたくさんある。
『CAMDEN ROCKS』は会期の2日間、20ヶ所の会場には総計400のバンドが出演するロンドンで最大のロック・フェスティバルなのだ。
D_Driveももう公式ウェブサイトで紹介されているよ。
出演場所と時間はひと月前に決定するということなので、もうすぐだ。
D_Driveの他にも2、3の日本のバンドも出演するようだ。
CAMDEN ROCKS FESTIVALの詳しい情報はコチラ⇒Official Website一日空けて、6月4日。
米も味噌も醤油もないこの数日間…この頃には身体が一体どうなっているんだろう?パンじゃ無理だぜ!
4日はまたカムデン。
「Dr. Martens」という人気の靴のブランドがあるでしょ?
このカムデンにあるお店はDr. Martensのフラッグ・ショップになっていて、中がライブハウスになっている。
ん~、いい店だ。
MarshallだけでなくNATALまで置いてある!
手前のツアーケースみたいのはイス。
このステージでも一発カマして頂きます。
どうも店内はロックのメモラビリアが展示してあるようで、コレも楽しみ。
そして、イギリスから帰って来たらすぐに東京での「10周年記念コンサート」。
この時に『MAMIMUM IMPACT』の国内盤が初売りできるように今作業をしております。
それが終わって、夏も過ぎて10月に入れば、今度はすぐに上海の『Music China』。
MarshallのブースでD_Driveがデモンストレーションをするのです。
ココでの反応も楽しみなんだよね~。まずは皆さん、『MAXIMUM IMPACT』をよろしくお願いします。(←今ココ)
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site
(一部敬称略)