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2014年10月23日 (木)

【SHEENA & THE ROKKETS 35周年記念特別企画】 ROKKET RIDE TOUR @ 野音 <前編>

 
「日本のロック界」も大きく変わった。
変わっていないのはベテランのロックンローラーの皆さんのパワフルぶりだ。
このまま「日本のロック」の保存・伝承にご尽力頂きたいと願っている。

そこへ登場したのがSHEENA & THE ROKKETSの6年3か月ぶりのオリジナル・アルバム『ROKKET RIDE』。
35年のキャリアが誇る円熟のロックンロール。
何も足すことも、そして何も引くことも必要としないロックンロール本来の姿がここにある。
Sb_rokket_ride
そのニュー・アルバムを引っ提げてのツアー、その名も『ROKKET RIDE TOUR』。東京公演の舞台は日比谷野外大音楽堂。

10

開場前には長蛇の列!

20各方面から贈られたたくさんの花束。

30楽屋の廊下にもビッシリ!

35物販もにぎやかだ!

36これはコンサート・プログラム。
ジャケット写真がそのまま表紙に転用されてるが、撮影は鋤田正義さん。
Marc BolanやDavid Bowieの有名なポートレイトをはじめ、数えきれないほどの名盤のジャケットの写真を手掛けている巨人。
サディスティック・ミカ・バンドの『黒船』、PANTAさんの『マラッカ』やYMOの『Solid State Survivor』、Adrian Belewの『Lone Rhino』他、枚挙にいとまがない。
『真空パック』他、SHEENA & THE ROKKETSもコラボレーションが多い。
私も大好きでちょっと前に『THE SHOOT MUST GO ON(K&Bパブリッシャーズ刊)』という著書を読んだがとても面白かった。
Jim Marshall、Cecil Beaton、そして鋤田さんが私の三大写真家ヒーロー。

37ちょっと脱線するが、田川ヒロアキの『Ave Maria』のジャケットの写真は、鋤田さんがお撮りにったMarc Bolanの有名なポートレイトをイメージして見よう見まねで撮影した。
ハイハイ、全然違いますね。わかってますよ。でもイメージするのは勝手ですから…。
自分ではとても気に入っている一枚。
脱線おわり。

Sb_am2 さぁて、ココでいよいよ鮎川さんのMarshallのおでましする。

ヘッドは両方とも1987。50Wヘッド、4インプット、ノン・マスターボリュームが1987の定義。
鮎川さんも生粋の50ワッターだ。
向かって左のメインで使用している方は1975年製。右のサブは1974年製だ。

40メインの1987。魚のトレード・マークがかわいい。
ノブはオリジナルのまま。

50セッティングはPRESENCE、BASS、MIDDLE、TREBLE、ぜ~んぶフル!
ビンテージ系のMarshallのセッティング法として、すべて「0」にしておいて、足したいところを上げていく方法と、反対にすべてフルにしておいて、不要な部分を下げていくという方法が知られているが、鮎川さんの場合はどっちでこの状態にたどり着いたのだろう?
何も考えずに「とにかくフル!終わり!」かな?

リンクはなし。左上にインプットしているのでボリュームは「4」ぐらいということになる。
昔、「Marshallは50W」と喧伝された理由の根拠がココにある。年代によって歪みの深さに差異はあるが、鮎川さんの1987はボリュームが「4」で「チョット強めのクランチ」という感じ。
この歪み加減を1959でやろうとしら恐らくボリュームは「6~7」にしなければなからないだろう。
するとどうなるか?
そう、音が大きすぎてしまってそう簡単にステージでの音量バランスが取れなくなる。
だから、比較的小音量で歪みが得られる50Wに人気が集中したのだ。
でもコレも「ギター&アンプ直結」もしくはそれに近い使い方をしていた時代の話でね。今みたいにゴロゴロといくつもエフェクターをつなぐご時世には関係のない話し。
その代り、「直結」の音はすさまじいよ。100Uのラックを持って来ても到底かなうまい。

60こちらはJCM800 2204の2x12"コンボ、4104。

70どうしても欲しくてイギリスからワザワザ取り寄せてゲットしたそうだ。今回出番ほとんどないようであったが、並べてくれているだけでもうれしい!

80裏はこんな感じ。
ヘッドとキャビネットの結線を交差させている。

90足元のようす。
何もない。つまりギターとMarshallの間にはケーブル以外になにも存在しない。完全なる「直」だ。このシンプルすぎるセットアップから飛び出す鮎川さんのギター・サウンドをひたすら楽しむのもシナロケのコンサートの楽しみのひとつだ。

100vいよいよ開演時間となった。
日本のロックの王者の35歳を祝う祭りだ!Kongratulations on the 35th Anniversary!

110ステージ下手から軽やかにステージに入って来た鮎川さん。

120vまずは観客に向かってあいさつ。

13021年ぶりの野音でのワンマン・コンサートだ!

140冒頭の何曲かはシーナさんが入らないトリオの演奏。

150鮎川誠

160v奈良俊博

170川嶋一秀

180vオープニングは「Madness City」。いきなり『ROKKET RIDE』からの曲を持ってきた!

190v超荒削りなギター・リフ。
ドワ~、なんじゃこの音!わかっちゃいるけど!
そう!これこそがMarshallのサウンド。これこそが何の混じりけのないピュアなロック・ギターのサウンドだよ!
とにかく音色が素晴らしい。

270v
続いて「夢のパラダイス」。時代はグッとさかのぼって1984年の『NEW HIPPIES』から。
ここからは80年代の曲が続いた。

200
1984年の『ROKKET SIZE』から3曲。

205v「I'M FLASH "Consolation Prize"(ホラ吹きイナズマ)」。
「consolation」というのは慰めることを意味する。つまり「Consolation Prize」で「残念賞」という意味。「何もかもウソっぱち、パッと光って消えちまう」…か。菊さんの歌詞はいつでもクール極まりない。

210「Vintage Violence」、「Dynamite」と続いた。

260

リズム隊のふたりはサンハウス時代からの盟友だ。ロックを知り尽くしたベテランのリズム隊。

230それだけに完璧なアンサンブルをクリエイトする。

240v1980年の『CHANNNEL GOOD』から「Dead Guitar」。
そして…

250vこのイントロ!Cliff Richardの「Move It」。そう「ビールス・カプセル」だッ!

273「♪オレの壊れた蛇口から噴き出る不純な飲料水」…これは一緒に歌ったわ~。
大好き!
でもこの曲を大好きなのは私だけではない。
220v
サカリのついたメス猫の「♪脳天を叩き割れ!」のお客さんの大合唱は超圧巻だった!
みんなにも聞かせたかったな~。

2808 曲目、「Batman Theme」に乗っていよいよシーナさんがステージに登場した!

290スゴイ存在感!
雰囲気がガラリと変わった。

300vしかし、ビックリしたのはこの曲。「バットマン」のテーマね。
セカンド・アルバムの『真空パック』に収録されたSHEENA & THE ROKKETS古くからのレパートリー。
「♪デデデデデデデデ、デデデデデデデデ、バッマ~ン」は誰もが知るところだろう。もちろん私も知ってる。
今回知って驚いたのは、この曲、作曲はNeal Heftiなんだってね~。
私なんかには、この人は作曲家や編曲家としてCount Basie Orchestraで活躍したイメージが強い。
Woody HermanのFirst Herdではトランペットを吹いていた。
ニール・サイモン脚本、ジーン・サックス監督、ウォルター・マッソーとジャック・レモンの傑作コメディ『おかしな二人(The Odd Couple)』の音楽もNeal Heftiだった。ちなみに「マッソー」はそのまま日本語式に発音しても外人には通じないぞ。

310ここからがスゴかった。
シーナさんが登場しての1曲目は『ROKKET RIDE』のタイトル曲「ROKKET RIDE」。
ナントここから先、オープニングで演奏した「Madness City」を除いて、ニューアルバムの曲順通りに全曲演奏してしまったのだ!

315v約40年。私もロック・コンサート歴の長さに関してはそう簡単に人後に落ちるつもりはないが、こんなのは初めてかもしれない。
ニュー・アルバムの曲をほとんど演るなんてのはいくらでもあるけど、たいてい1~2曲はスキップされるもんね。全曲演奏したのは他にVAN HALENの初来日ぐらいしか思い浮かばない。
しかも、順番もアルバムの収録順というのがスゴすぎる。こんなの他に絶対ないよ!

320オープニングの選曲やこの中盤の『ROKKET RIDE』をフィーチュアしたセットリスト、いかにこの新しいアルバムに惚れ込んでいるのかがわかろうというものだ。
350

ということで「ROKKET RIDE」に続いて「Ride the Lightning」。

340v35年間変わらないこの佇まい。「日本のロック」のひとつのシンボルだ。

330v
SHEENA & THE ROKKETSの詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAl WEB SITE a.k.a.ROKKET WEB

380v<後編>につづく

(一部敬称略 2014年9月13日 日比谷野外大音楽堂にて撮影)