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2013年4月 5日 (金)

【イギリス-ロック名所めぐり vol.5】 ソーホー周辺 その1

前々回に紹介したPiccadilly CircusからShaftesbury Avenueに入ってちょっと行ったところを左に曲がればSohoだ。

あ、このシリーズで使っている写真には10年ぐらい前のものも含まれているし、同じ個所を複数の写真を用いて紹介している場合、それぞれの撮影時期に大きな隔たりがあったりすることを予め断っておく。「なんだよ、来てみりゃマーブロの写真と違うじゃねーかよ~」なんてことも起こり得るので要注意。昔撮ったクォリティが格段に低い写真も混ざっている。

この下の写真も結構前のもので、これまた以前に書いたように左のビルの広告は今と全然違う。

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この辺りがSoho。ニューヨークのロウワー・マンハッタンにもSohoというエリアがあるが、あれはHouston Street(ハウストン・ストリート:ヒューストンとは読まない)の南、つまり「South of Houston」、略して「Soho」という意味。だから「Noho」というのもある。当然これは「North of Houston」の意味だ。「西荻」みたいなもんやね。

一方こっちのSohoは「ソーホー!」というハンティングの掛け声から名づけられたという。16世紀にはこの辺りが狩場になっていたという記録があるようだ。他に「タリーホー!」という掛け声もあるんだそう。

劇場やパブが建ち並び、夕方になると観光客や仕事帰りのサラリーマンが通りを占拠するWest Endでももっともにぎやかな場所だ。

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その中に一角にこのお店がある。

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「Boulevard Bar & Dining Room」というレストランになっているが、入り口横の柱にグリーンのプラークが取り付けてある。

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ナニナニ、「2i's Coffee Bar(1956~1970年)があった場所 : イギリスのロックンロールとポピュラー音楽産業発祥の地」とある。ドエ~、そんな重要なお店なのかしらん?

「2i's Coffee Bar」はこの地下にあって、持ち主が2人のイラン人だったため、「2」と「i」を採り名づけられた。その後、ポール・リンカーンというオーストラリア人のプロレスラー&プロモーターの手に渡った。
そして、ライブ演奏をここで始めたのだ。まだスキッフルの時代。イギリスのロックの前身の音楽だ。

クリフ・リチャード、ハンク・マーヴィン、スクリーミング・ロード・サッチ、ポール・ガッド(後のゲイリー・グリッター。この人、日本では比較的なじみが薄いが、イギリスではグラム・ロックの元祖として大層名高い)等、他にもたくさん歴史的な人たちの名前が挙げられるが、浅学にしてちょっとわからないが、イギリス・ポピュラー音楽の始祖たちがこの店から輩出され、ブリティッシュ・ロックンロールの黎明期を支えたというワケだ。
ビッグ・ジム・サリヴァンも出ていた。ビッグ・ジムは先ごろ亡くなられたが、ジム・マーシャルのお店に来てアンプのアイデアをジムに伝えたギタリストのひとり。イギリスのトップ・スタジオ・ミュージシャンだった。さらに、ナゼかリッチー・ブラックモアの名前も挙がっていて、どうやらこの店に出ていたようだ。ロード・サッチと一緒かな?

ロード・サッチもジムと仲がよかった。ジムの家に行くと車に山と積まれたマーシャルとともにロード・サッチが写っている写真が壁に飾ってある。してみると、ジムもこの店に来たことがあるに違いないね。それから、ミッキー・モストの名前も確認できる。

すごいのは、ヤードバーズやレッド・ツェッペリンのマネージャーとして、そして「音楽業界でもっとも無慈悲で口やかましいマネージャー」として有名なピーター・グラントは音楽業界に入る前にここで用心棒をしていたという。この人もいろいろと調べてみるとおもしろい話がゴロゴロ出てくる。それはまたいつか別の機会に…。
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それにしてもピーター・グラントのような2m近い強面の男がこの店の前に立っていたら…チョット入りづらいゼ、実際。

今、「2i's Coffee Bar」があった地下はただのロビーになっている。

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さて、「2i's Coffee Bar」からほど近いFirth Street。ここにイギリスで一番有名なジャズ・クラブがある。「Ronnie Scott's」だ。

下の写真は2008年夏、Joe Bonamassaを招いてClass5の発表会をやった時のもの。左側の黒い部分がRonnie Scott's。

表に出ているのは開場を待つマーシャルのディストリビューターやイギリスの大手楽器店の人たち。

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これはロニー・スコッツの真ん前にあるビル。開場を待っている間にブルー・プラークが付いていることに気付いた。

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「1764~1765年、ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトがここに住み、演奏し、作曲した」だって。ホンマかいな?

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ようやく店内に入る。食事ができるようにガッチリとテーブルやボックス席が作りつけてあるが、キャパは200席ぐらいあるのかしらん?結構ゴージャスな雰囲気。

店内の壁にはバードやらガレスピーやらコルトレーンやらマイルスやらのジャズ・ジャイアンツのカッコいい写真がところ狭しと飾ってあるが、これにダマされてはいけない。てっきりこの店で撮影された写真家と思いきや、全然違うところで撮ったものもたくさん混ざっていた。でも、すべてここで撮影されたのではないか?という荘厳な雰囲気がこの店にはある。

食事にはチキン・ソテーが供されたがおいしかった。

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ところで、このクラブ、1959年の開店以来、イギリスに来たアメリカの著名なジャズ・ミュージシャンはほとんど出演しているといっても過言ではない。名前を挙げればキリがないし、他の話題で紙幅を割きたいので割愛する。

ロック関係ではThe Whoが「Tommy」のプレミア公演を1969年に開催した。

また1970年9月17日、Eric Burdon & The Warのステージに飛び入り参加して「Tobacco Road」と「Mother Earth」の2曲を演奏して、翌日ジミ・ヘンドリックスは帰らぬ人となった。

上の写真のステージ(写真右手のロゴの前がステージ)に43年前にジミが立っていたのだ。将来、単独でジミにまつわる名所を特集するつもり。

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それだけ有名なクラブとだけあって数多くのライブ・レコーディングも行われてきた。

ロック・ファンにとっては最近のジェフ・ベックがもっともなじみ深いだろう。

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珍しいところではウェス。Wes Montgomeryは極端な飛行機ギライで故郷のインディアナポリスから出たがらなかったが、一度だけ(間違っていたらごめんなさい)ヨーロッパに楽旅に出た瞬間をとらえたライブ盤のウチの一枚がこれ。

残念ながらあまりおもしろくない。疲れが出ていたのか、元気が感じられず、どうも閃きに欠けるのだ。…と思っていたが、今もう一回聴き直してみると悪くないな。でもこれよりも10日前に収録されたJohnny Griffinも参加しているパリのライブの方がはるかにカッコいい。バック・バンドが気に入らなかったのかな?でも、このロニーのライブ盤でベース弾いているのは後にMahavishunu Orchestraに参加するRick Lairdなんだぜ。

CDの最後にウェスのインタビューが収録されていて、「曲の練習はするけど、楽器の練習はしない」とかしゃべっているんだけど、これがすさまじい訛り!ギターの音やら演奏は大分耳にしてきたけど、ウェスのしゃべりはそう聴けるもんじゃない。

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ちょっとここから脱線します。

私はBlue NoteやPrestige等のコッテリとした黒人のジャズももちろん好きなんだけど、アッサリとした白人のジャズも好きでしてね。特にこのTubby Hayesなんてのはすごくいい。アッサリといってもバリバリ吹いてるけどね。この2枚もロニー・スコッツでのライブ盤。メッチャ好き。

ちなみにここでピアノを弾いているのは後にPhil Woods & European Jazz Machineに参加するGordon Beck。Allan Holdsworthとデュオ作品を残している人。イギリスを代表するジャズ・ピアニストだ。

このロニー・スコッツで名を上げたジャズ・サキソフォニストにDick Morrissey(ディック・モリッシー)がいる。イギリスのサックスというとディックつながりでDick Heckstall-Smithと混同してしまいそうになるが、こちらはAlexis Corner、Graham Bond、John Mayall、Collosseumといったドロッドロ系の人。

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ディック・モリッシーはイギリスのChicagoと言われたIFに参加していた。

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というと、ペラペラとバンドの横でオブリガード的にサックスを吹いているだけの人という感じがしないでもないがトンデモナイ。さすがロニー・スコッツで鍛えられただけのことはあって、この1961年の初リーダー・アルバムではロリンズもマッツァオのハードなブロウを聴かせてくれる。しかし、なんだって線路の上を歩いてるんだ?ベースの人がかわいそうじゃないの!

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脱線ついでに…。IFの初代ギタリストはTerry Smithという人で、この人も「ジャズ以外は知らない」という根っからのジャズマン。ほんならIFなんかやらなきゃいいじゃねーか…とも思いたくなるが、腕はピカいち。私は2枚しかリーダー・アルバムを持っていないが、両方おススメだ。第一級のギター・ジャズに仕上がっている。

こTerry Simithが抜けた後に加入したギタリストは、かつてマーシャルのデモンストレーターを務めていたおなじみGeoff Whitehornだ。

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少し戻って…。

Brand Xのライブ・アルバム『Live Stock』のうち、数曲がロニーで録音されている。「-ish」と「Isis Mourning」がそう。他の曲もHammermith OdeonやMarqueeといった、いかにもこのガイドに出てきそうな有名なハコで録音されている。

このライブ・アルバムのドラムはJaco Pastoriusの盟友のKenwood Denard。The Manhattan Transferが初来日した際、Jack WilkinsやAlex Blakeらとバック務めた。

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また脱線…。

Brand X好きでさ~。日本はファンも多いと思うんだけど、コレご存知?Sarah Pillowとかいう女性シンガーのアルバム2枚なんだけど、バックをBrand Xがやってるの。中東風の変わった曲が並んでいるけど、Brand X丸出しでなかなかにカッコいい。特にGoodsallがスゴイ。

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…と脱線がつづいたけど、ロンドンの音楽名所のひとつがこのRonnie Scott'sということね。

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さて、Sohoにはパブやら劇場以外にもゾロリと風俗の店が並んでいる。でも、歌舞伎町みたいに客引きが虎視眈々と客を狙っている風ではない。多分条例か何かで厳しく統制されているのだろう。入口にフェロモン丸出しのお姉さんが立っていてウィンクを連射してくるところもあるが近寄らなければ害はない。

そんなエリアを抜けてOxford Streetに向けてBerwick Streetを進む。ここはおもしろいよ。私が「おもしろい」というのは中古レコード屋がある…ということだ。モノは汚いしそう安くもないので、ほとんど買ったことはないが実にいい雰囲気なのだ。

そのBerwick Streetをジャンジャンと進み、そして振り返る。

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こんな感じ。

ま~、アタシには関係ないんだけどね。イヤ、弟さんがマーシャルか…。

この写真を正方形にトリミングしてみると…

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こうなる。

好きな人にはタマラナイ…

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Oasisの「Morning Glory?」のジャケを撮影した場所だ。
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裏ジャケのようす。

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実際はこんな感じ。

エ? 「シゲさん、いつからOasisなんて聴くようになった。ヤキが回ったの」かって?よせやい、コレのためにワザワザCDを買いに行ったのさ!でも聴いてみたらなかなかいいもんだで。そうえば「ヤキが回った」っていう言葉、最近耳にしなくなったな。

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さらにこのあたりをブラついていて発見したのがコレ。ピザ屋。イエイエ、もう海外で食べるピザはツライ。しばらく海外にいて、本当に食べるものがなくなってきて、お米が恋しくて…そんなタイミングでピザやハンバーガーを食べてごらん。涙が止まらないよ。

んなことはどうでもいいんだっけ。このピザ屋、看板にある通りナゼかジャズのライブハウスになってる。「Pizza Express Jazz Club」という。

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どれどれ、誰が出てるんのかな?と思ってスケジュールを見てビックリ仰天!ナント、元Soft MachineやDaryl Way's Wolfのギタリスト、John Etheridgeが出てるやんけ!これには驚いたわ~。いつも通り、見たかったけどスケジュール合わずのパターンで泣く泣くあきらめた。

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そして数年後。また出くわしちゃったんですよ。

ナントその時のライブがCDになってた!ドラムはJohn Marshallだったんだな~。やっぱり見たかったな~、と即買い。

私はCDを買う時は「いくらまで」と単価の上限を決めて厳しくそれを守っている。さもないと身上潰れちゃうから。どうしても欲しい盤は、既定の金額のものが現れるまで何年でも待つ。

しかし、あまりにも二度と出会わなさそうなエグイ盤はルールを破って規定より上の金額のものでもゲットする。この辺りは40年近いキャリアに頼らざるを得ない。結構当たる。で、この盤もそれに該当すると信じて規定金額以上の値段で買った。

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ね、クレジットに出てるでしょ?「ピザ屋」って。

肝心の内容は…つまらんかった!

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つづく