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2016年2月10日 (水)

【イギリス-ロック名所めぐり】 vol.22~Jubilee Lineに乗って

昨年の2555X Silver Jubileeの大ヒット。
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味をしめたか、今年のNAMMでのMini Jubileeの発表。
とにかくMarshallにはいまだに銀色の烈風が吹き荒れている。
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…ということで、今日の「名所めぐり」はロンドン市内を北西から南東に斜めに横断するジュビリー線(Jubilee Line)に乗って出かけることにしよう!…といっても短い区間の旅ね。
ジュビリー線は1930年代から稼働していたが、エリザベス2世の戴冠25周年(Silver Jubilee)を記念して1977年に現在の名称に改められた。

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車両は当然銀色…ではゼンゼンない。
ピカデリー線等と同じガラのカマボコ・タイプだ。
こんなヤツ。
ところで、私はゼンゼン「鉄」ではないんだけど、地下鉄は好きだナァ。特に世界で一番長い歴史を持つロンドンの地下鉄は好き。
ニューヨークの地下鉄もそうなんだけど、ロンドンの地下鉄は、地上に出た時に大きな感動があるんだよね。
日本の地下鉄はどこで降りて地上に出ても、慣れているせいもあるんだろうけど、景色がどこも似たかよったかじゃない?
マンハッタン島内の地下鉄は本当に面白いよね。全部の駅で降りてみたいぐらい。
で、今日は先日紹介したベイカー・ストリート駅から北へ向かう。
ベイカー・ストリートの次の駅は「セント・ジョンズ・ウッド」。
アビィ・ロードのところね。
で、その次が「スイス・コテージ」。ロンドンの高級住宅街のひとつでかつての首相、トニー・ブレアの家もここにあるとか…。
そういえばジムはブレア首相のことを「トニー、トニー」って呼んでたっけ。
その次は「フィンチリー・ロード」。
私が財布を掏られた時に滞在していたところ。バカでかいSainsbury'sがあったな。

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そして、その次がココ。
「ウエスト・ハムステッド」。
このハムステッドという街も人気があるようだが、駅自体はノーザン線(Nothern Line)だ。

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ここは「ウエスト」。

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駅を背に前の通りを左にくだってしばらく行ったところにあるのがコレ。
「ハムステッド・ガーデン・オペラ」という団体の本拠地なのだが、ココはかつてDecca Recordのレコーディング・スタジオがあった。
そんじょそこらにあるレコーディング・スタジオならこうして名所にはならなかった。
ココは1962年の元旦にビートルズがオーディションを受け、15曲を録音したところなのだ。
ディック・ロウというプロデューサーはNGを出して「ビートルズを蹴った男」として音楽市場に不名誉な歴史を残すことになった。

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恐ろしい世の中になったもので、この時のビートルズの演奏を聴くことができる。
メッチャ演奏うまいと思うんだけどね~。
デッカはビートルズでしくじったその穴埋めをストーンズとの契約で少しは挽回した。そのストーンズはジョージ・ハリソンの紹介というのだが、どうなってんだ?
ココのパートは本当はもっと長くなる予定だった。ちょっと色々ありまして今は書くことができず大幅にカット。
近いうちにこのパートだけ<続編>をお送りしたいと思っている。

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そして、ソコの並びにあるのがこのRailway Hotel。
ココがすごい。
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このホテルにはかつて「Klooks Kleek」というライブハウスがあった。
「Klooks Kleek」というのは、モダン・ジャズ・ドラミングの開祖と言われているKenny Clarkの1956年のアルバム『Klooks Clique』から採られた。
1961~1970年と9年しか営業していなかったが、John Mayall、Graham Bond、Ten Years Afterらが出演しイギリスのロック・シーンに大きな足跡を残した。
Led ZeppelinやThe Whoもここで演奏したことがあったという。
私的に驚いちゃうのは、Ben Webster、Sonny Rollins、Roland Kirk、Zoot Sims、Max Roachなども出演したというのだ!

実際にココで録音されたライブ・アルバムも多数残っている。
John Mayallの『Live at Klooks Kleek』。

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コレはGraham Bond。
左から2番目はGinger Baker、右端はJack Bruce。
Jack Bruceも亡くなってしまった。

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Graham Bondのもう一枚、『Solid Bond』。
こっちはGnger BakerとJon Hiseman、John McLaughlinにDick Hecktall Smith、さらにJack Bruceという夢のような面子。
ちなみにGraham Bondはレインボー・シアターのあるフィンズベリー・パーク駅で地下鉄の飛び込んで粉々になった。
このアルバム、メッチャかっこいい。

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Ten Years Afterのライブ・アルバムは1973年の二枚組、『Recorded Live』がよく知られているが、それに先立つこと5年、1968年にもここで録音された『Undead』というライブ・アルバムをリリースしている。

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こんなところにこんなスゴイものが…ロンドンは本当におもしろい。

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次の駅は「Kilburn」。

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数分前まで雨が降っていたんだけど、この通り。典型的なロンドンの天気!気持ちいい~!

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コレは映画館。
この街はかなりノスタルチックな雰囲気が漂っていてなかなかいいナァ。

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トボトボ歩いているとラーメン屋の赤い看板が目に入った。
チャイニーズ・レストランではなくて明らかに「ラーメン屋」なの。
ココから先はShige Blogを加筆して再掲する。


写真を撮ればよかったんだけど、雨が降ったりやんだりだったので面倒でスキップ。
その看板には「Fast Noodleナントカ」って書いてあって、おいしそうなタンメンのようなものが見える。もーガマンできん!
餃子とワンタンメンとビールを頼む。
まず餃子が出てきた。フム、優秀、優秀。ちょっと皮が厚手だか餃子飢饉の口には十分すぎるぐらい「餃子」。
酢は黒酢だ。ハフハフいいながらビールで流し込んで…と。
さあ、ワンタンメンが来るぞ~! ♪ワンタンメン!ワンタンメン!キタ~!
(間)
エッ…?
(さらに間)
何じゃコレは?
麺がヤケに角ばってるじゃねーか?打ちたての信州そばってか?
ま、ツベコベ言ってないで食べてみよう。
ドワ~!いくら「ファスト・ナントカ」だってこれはないだろう?
オマエ、これカップヌードルの麺じゃねーかよー!「コシ」どころか「カタ」も「アタマ」もありゃしねぇ!フカフカじゃねーか!
それになんだ、このスープは?
味ねーよ!なんも味がしないっつってんの!
ナニナニ、「究極の湯麺」ってか?
オイオイ、まさかお湯に麺を入れて「湯麺」ってか?そんなこと考えてたらいよいよ許さねーゾ!でも、ワンタンはエビが入ってて存外にウマいな。
今度はナンダ、オイ?上に乗ってんのはキャベツかと思ったら白菜だよ、ハクサイ!
しょうがねーなー…オイ、チョット待て!
食ってみたらコレ漬物じゃねーか!すっぺーんだよ!どこにラーメンに白菜漬け乗っけるヤツがいるよ?! とても喰えたもんじゃねェ~!
多分、人生で一番マズイラーメンだったな。一生忘れない。

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さぁて、目的はココ。
1937年に開業したGaumont State Cinema(ゴーモン・ステイト・シネマ)という映画館。The State Theatreともいう。
Gaumontというのは、今もあるフランスの大手映画制作会社だ。
エンパイア・ステート・ビルのマネっこをしたアールデコ調のこの建物は、上空を飛ぶ飛行機が目印に使っていたという。
キャパシティは4,004人。当時ヨーロッパ最大の映画館だった。
チョット考えてもみてくださいよ。4,000人が一時に同じ映画を観たんですよ、昔は。
日本的な興行をしていたとすれば、休日なんかは2時間の映画を5回まわして一日20,000人がひとつの映画館で同じ映画を観たことになる。
内部は滅法ゴージャスなつくり(写真を見ると実際スゴイ!)で、ウーリッツァー製のパイプ・オルガンが据えつけられ、係員も制服をバシっと着込み、一流の映画館然としていた。

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コンサート会場としても最適で、出演者のリストを見るといよいよスゴイ。
ジャ ズでは、Django Reinhardt (ホンマか!? 1938と1939年)、Frank Sinatra、Lee Konitz (Konitzってそんなに人気があったのね~?)、 Duke Ellington、Marilyn Monroe、Louis Armstrong、Sarah Vaughan、Thelonious Monk、Art Blakey、Lee Morgan、Dizzy Gillespie、John Coltrane、Dave Brubeck…Milesの名前が見当たらないナァ。

ロックの方もスゴイ。
Jerry Lee Lewis、Buddy Holly、Bill Haley & His Cometsといったロックの黎明期組から、The Beatles、The Rolling Stones、David Bowie、The Faces、Jethro Tull、Black Sabbath…といった当然組も。

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1974年5月、Deep Purple MKIIIの『Live in London』はここで録音された。
Kilburnだけに「Burn」を演ってますな。Jon Loadが自分のことを「Rick Emerson」と紹介するくだりは有名。

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それからコレも有名。The Whoは映画『キッズ・アー・オールライト』のためにがシークレット・ライブを敢行したのだが、その会場がココだった。1977年12月の話し。
最近書いていないが、『キッズ・アー・オールライト』の中でPeteがJimのお店に触れるシーンがある。興味のある人は是非ご覧いただきたい。字幕には出て来ないので要注意!

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こ の他にも1974年、Ron WoodがIan McLagan、Andy Newmark、Keith Richards、Rod Stewart 、Willie Weeksらと「First Barbarians」名義で2回公演し、その模様が『Live from Kilburn』としてCDやDVDになっている。
Gaumont State Theatreはその後、2007年に閉鎖。
この歴史的な音楽の遺産を保護しようと立ち上がったが、同年、ブリクストンに本拠地を持つ「Ruach Ministries」という宗教団体が1120万ポンド(約25億円)で買収した。

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また移動。
さらに北を目指す。
「Mind the gap」はロンドンの地下鉄では必要不可欠な警告文。

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4駅ほど行くとココ「Wembley Park」に着く。

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もうこのあたりはZone4になり、かなりロンドンの中心から外れる…といっても東京でいえば市川とか本八幡ぐらいの感覚かナァ?
駅を出ると当然のように、ウェンブリー・スタジアムのアーチが目に入る。
コレ、飛行機の中からもよく見える。

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ロンドンの中心部から離れているにしても、なんか広々としてるんだよね~。
ロンドンの人口は700万人。東京とマァ大差ないのにエラクせいせいとしてる。

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日本は空前のラグビー・ブームとなっているが、ご存じの通りサッカーもラグビーもイギリスが発祥だ。
そして、ラグビーの聖地といえば「トウィッケナム・スタジアム」。一方、サッカーはここ「ウェンブリー・スタジアム」なんだと。
ナンダ、ラグビーの聖地って「ラグビー」じゃないんだ?
ウェンブリー・スタジアムはご存じの通り、たくさんのコンサート・イベントが開催されている。

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やや上から見るとこんな感じ。
左側に進むとさっきの「ウェンブリー・パーク駅」がある。
一方、この写真の手前側にももうひとつ、ベイカールー線の「ウェンブリー・セントラル」という駅があって、そちらにハイ・ストリート(繁華街)がある。
2004年にココに停まった時、外へ出るときは十分気をつけろ…とMarshallのスタッフに言われた。何でもその時、チョット前に路上で強盗事件があったのだそうだ、
あまり治安がよくないエリアだったらしい。
それでも、ひとりでヒョヒョいとよさげな中華料理屋に行って餃子とワンタンを食べたのを覚えている。

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その時の用向きは「London Guitar Show」というロンドンで最大の楽器の展示会にお邪魔したのだった。
もう10年以上前か…。

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そういえばあの時、盛んにスタジアムの工事をしていたっけ。
その後、London Guitar ShowはLondon Drum Showとくっついて今でもドックランドで毎年開催されているハズだ。
2012年の50周年コンサートの時にウェンブリーにまた滞在したので、なつかしくなってGuitar Showの会場となった場所を探したけどもうなくなっていた。

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スタジアムは夜になるとこんな感じ。

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そして、スタジアムの向かいにある写真右の三角の建物がおなじみウェンブリー・アリーナ。

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スタートは1934年。元々は水泳競技を開催するプールだったため、かつては「エンパイア・プール」と呼ばれていた。
1948年のロンドン・オリンピックでは競泳、飛び込み、水球等の競技を開催。
その後、1978年、多目的ホールに改修され、「ウェンブリー・アリーナ」とその名称を変え、こないだのオリンピックでもバドミントンと新体操の会場として使用された。

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ご存知の通り、コンサート会場としても有名で、O2アリーナ、アールズ・コート・エキシビジョン・センターに次いで、ロンドンで三番目に大きなイベント・ホールだった…が、二番目に格上げになった。
アールズ・コートが閉鎖したからだ。

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ここから先はMarshallの創業50周年を祝った『50 YEARS LOUD LIVE』で紹介した写真も含まれているが、イギリスを代表するロック・コンサートの殿堂を『名所めぐり』にも加えておきたいので辛抱願いたい。

ロビー正面のようす。
ガッチリ物販のスペースが確保されている。
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しかし、殺風景なロービーだナァ。
ま、元はプールだからね!

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コレは2階の通路。
何とかアリーナと似てるね。ザハッ、こういうのを日本が真似て作っているのか…。

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キャパは12,500。
横アリとかスーアリよりチョット細めかな?奥行きがスゴイ。

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ま、私も記念に一枚。

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ただいまリハ中。見覚えのある後頭部!

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ココは食堂。
写っているのは左がアーティスト担当のジョエル、右はエンジニアのサンチャゴ。
ふたりとも私の大の仲良し。

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この日のメニューはペンネ・アラビアータだった。
何か、向こうのトマトソースってスパイスが強すぎてなじめない。
この時、ポール・ギルバートご夫妻とご一緒させて頂いた。

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楽屋に通じる廊下。
この日、モノスゴイ疲れてしまって、楽屋に山と積まれたレッドブルを立て続けに3本飲んだ。
それを知った友人が「おいシゲ!そんなことしたら本当に死ぬぞ!」とマジで忠告してきた。
ビビった…知らなかったんだもん。
何とかまだ生きてる。でも、疲れはゼンゼン取れなかったぞ!

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夕暮れともなると噴水がライトアップされていい感じ。

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もはやなつかしいナァ。

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お客さんのうれしそうな顔は一生忘れない。
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50 YEARS OF LOUD LIVEの様子は、前日のリハーサル、当日のリハーサル、本番…とウンザリされるほど仔細にレポートを掲載しているので興味のある方はコチラをご覧あれ。
下の方の記事がスタートでござる。

【50 YEARS OF LOUD LIVE】

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つづく