Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【マー索くん(Marshall Blog の索引)】
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

« 【イギリス-ロック名所めぐり】 vol.22~Jubilee Lineに乗って | メイン | Marshallで音楽を聴こう!~ZOUND INDUSTORIESの魅力 »

2016年2月12日 (金)

三文役者~とうとうワタシも悪あがき!

子供の頃、駄菓子に使われている「チクロ」という人工甘味料が身体に大変悪いという情報が伝播して、母から「絶対に駄菓子を買って食べてはいいけない」とキツく注意された。
「チクロ」なんて名前、いかにも毒性が強そうだもんね。
しかし、今となっては「チクロ」なんていうものは可愛いもので、政府と大企業の思惑にいいように引き込まれ、知らない間に身体に悪いものをどれだけ摂取させられているか計り知れない世の中になってしまった。
食料品の成分表示の四角の中はカタカナの薬品名ばかり。
店頭に数日置いておいても悪くならない調理パンなんて昔だったら怖くて誰も手を出さなかっただろうし、土足で入店する店先に一日中フタをあけっぱなしにしてある「おでん」を「ウマいウマい」と喜ぶこともなかったろう。
ジタバタしても化学薬品まみれの食材から完全に逃れることができないのはわかっているが、我が家ではなるべく無農薬の野菜などを取り寄せて口にするように努めている。
私は完全に「肉派」なのでサラダや煮物のような野菜が主役の食べ物をそう喜ぶことはないが、でも食べてみれば、ちゃんと作った野菜はやっぱりおいしい。
そんな時にこれまで何度となく家内と話題になるモノスゴクどうでもよい話しのひとつに「野菜の王様は何か?」というのがある。
つまり、煮ても、焼いても、揚げても、蒸しても、茹でても、もちろん生でもおいしく食べることができる野菜は何か?ということ。
キャベツはかなり得点が高いように思う。
そして、その向こうを張るのが大根だ。
しかも、大根は消化を促す成分が多く含まれている上に殺菌作用を持ち合わせているので昔は漢方薬としても使われたそうだ。
そして、何しろ食あたりをしない。腐っているのを食べたらダメよ。
とにかく「当たらない」のが大根なのだ。
だから、演技が下手で人気が出ない役者さんのことを「大根役者」という。「当たらない」から。
同じ意味の言葉が「三文役者」なんだけど、「三文」という表現それ自体には「安価」とか「わずか」という意味が含まれている。
この写真のお店のお勘定が三文かどうかは知らないが、私なんかブレヒトのこの「三文オペラ」という言葉だけで特別な世界観を感じてしまう。
「三文役者」なんていい名前じゃん。以前にも書いたか?
先日東京新聞に「最近の若いバンドの名前がおかしい」という記事が出ていた。今醜聞で話題のバンドの名前も筆頭に挙げられていた。
記事を読み進めて驚いた。
インターネットの検索に引っかかりやすいということを念頭においてバンド名を決めるケースが少なくないっていうじゃない?
なんじゃそりゃ?

このまま放っておくとドンドン脱線して帰ってこれなくなるので強引に軌道修正。
…ということで今日は三文役者の話題。

10さっそくだけど、スゴイのが出てきた。
三文役者が1980年に新宿ロフトでレコーディングをした時のポスター。
私は高校2年生だった。もちろんお邪魔して全部見せてもらった。
「自主制作」なんて書いてある。
これも今や「死語」となった感が強いが、当時は「インディーズ」なんて言葉が全然一般的ではなかった。もしくはなかったのかな?
誰もが音源を世に出せるなんてことは夢のまた夢だった時代。
おっと!ここでまた脱線したくなったがガマン、ガマン。日ごろからマーブロを読んでいらっしゃる方なら私が何を書きそうになったかおわかりだろう。

15そして、これはそれより前、改装する前のオリジナル・ロフトの楽屋。そうレンガづくりだった。
写真は哲さん。
若けェ~。36年ぐらい前か。当時の三文役者は白塗りのメイクをしていた。
なつかしいな~。

16そして、今。
「魅せてやるぜ!!最後の悪あがき」で大暴れ中。
今日は昨年12月の「忘年会ライブ」の様子をお届けする。

20花之木哲

30vちぇりー

40v石井正夫

50vさとっちょ

60vオープニングは永遠のテーマ・ソング「三文役者」から…

70…「あやつり人形」。
90
おなじみの展開が私なんかにはメッチャしっくりくるね。
今日も哲さん、絶好調!
100
続いては「Dream Crush」。

80三文役者の中では比較的へヴィなナンバー。

110v哲さん特有の「東京スケッチ」。
詞と曲のバランスが絶妙だ。

120さとっちょはNATALバーチ。
歯切れのよい音像がたまらなく気持ちよい!

130定番のバラード、「セーラ」。
今日は一段と哲さんの声に力がみなぎっている!この後の忘年会が楽しみなのか?!

140ギターを下げたのは「To-Night」を歌うため。
これ、いい曲だな。

150哲さんの恋女房の大竹さんのプレイも冴える。
135
「Oh Oh Yeah!」
三文クラシックでスタートした前半。そして、後半はコンテンポラリーなレパートリーで固めてきた。

160v大竹さんの渾身のソロとそれをバックアップする哲さんのギター。

170三文役者は昔からあまりコーラスが入らないバンドでね。でも、さとっちょの確かなコーラスはサウンドの幅を大きく広げるのだ。

180vそのさとっちょとタッグを組む正夫さんのベースは着実だ。

190「Home Again」…

200v「Dear Friend」…とつなげた。

210vこの辺りの曲もすごくいい。
飾り気がなくて、ストレートで、なによりも肉食の「ロック」なのだ。
400
こうして第一部が終了。

220そして、第二部もまずはコンテンポラリーなレパートリーを並べる。

230「Hold on my Way」~「My Blues」。
第二部に入ってますますパワーアップする哲さん!

240v「Stay With me」。
偶然なんだろうけど、最近ジャンルを問わず「Stay With me」という曲をアチコチで見かけるような気がするナァ。もちろん三文の「Stay With me」は三文テイストが横溢している。

250ここで今日のゲスト。

260ワタクシ、牛澤滋由貴。

270vもちろんMarshallといっしょ。
JVM210Hと1936。
三宅さんやヒロアキくんの影響だ。
写真のギターは20年近く前にグリニッチ・ヴィレッジのマット・ユマノフというお店で買ったレスポール。
試奏していたら店員に「ウマい、ウマい」とおだてられ、いい気分になって買ってしまった。そしたら、このギター、その店員の委託品でやんの。道理で猛烈にホメてくれたワケだ。
でも気に入ってる。
このギターの写真を生前のレス・ポールに見せたところ、「きれいなギターだね~」とホメてくれたのがとてもうれしかった。
私もずいぶんギターを持っていたが、何年か前、Jim Marshallのお別れ会に出席する時の旅費を工面するためにほとんど全部処分してしまった。
今ではこの思い出のレスポールとES-175Dとテレキャスターしかなくなちゃった。
でもいいの。こうしてお気に入りがあるから。

280v足元のようす。
島崎藤村じゃないが、「歪みはすべてJVMの中である」と言いたい。
CLEAN/GREEN、CLEAN/CRUNCH、OD/GREENをプリセット。それにディレイをかましたLOOPのオンオフ、それにMASTER VOLの切り替えも5&6にセットした。
JVM210Hのフットスイッチは本当は4ウェイだが、役得でJVM410Hの6ウェイを使わせてもらったぜ。
ワイルドだろ?
このボリュームペダルもずいぶん使った。
36年ぐらい前に買ったものだが、何ら問題ない。

290曲はまずは「サド書簡」。
ツインリードが聴かせどころなのだ。

300でも私はこの曲の歌詞が大スキだった。
獄中のマルキ・ド・サドが書いた手紙を澁澤龍彦が翻訳したという歌詞。
曲は大変複雑で思い出すのに死ぬほど苦労した。昔、あんなに演奏したのにナァ。ここが私の才能のないところ。

310続いて「レッド・シュガー」。
コレは私が現役の時にできた曲なので、ま、これはスラスラ。
哲さん、ますます声が出てる!

330ん~、さとっちょのドラムの切れのよさもあってギターを弾いていて気持ちがいい!NATALと演奏するというのこういうことだったのか!
道理で評判がいいワケだわい。

340v33年ぶり!
みんなと演奏するのは33年ぶりなのだ!

305

哲さん、入魂のハード・バラード「魂」。

350vここではおいしいところを弾かせてもらった。
ところがですね~、指がどうにも動かない!
よくワールドカップではお茶の子さいさいで優勝しちゃうアスリートがオリンピックに出るとカラっきしダメっていうのがあるじゃない?
アレだと思ったよ。
指とかの問題じゃなくて、身体の芯が緊張していて、脳が指にうまく指令を出さないのよ。これにはマジでマイッたわ…というかビビった!

360もうね、MCの方が全然ラク。いくらでもしゃべっちゃう。
昔は人前で話すのがイヤでイヤで仕方なかったのに。
今回もお誘いを頂戴した時、ホント断ろうと思っていたの。
何しろギターを根詰めて弾いていなかったし、練習する時間はないし、曲も思い出して覚えなければならないし…。
それなのにどうせやるからには何か自分らしいことをやりたいし…。
でも、ライブハウスでギターを弾く姿を33年ぶりに家内に見せてやりたいし…多分彼女が最後に見たのは新宿ロフトでだったように記憶している。
そこで「どうなっても知らん」ということを哲さんにはご了承頂いて、「2~3曲」だっていうし、お言葉に甘えちゃうことにした。ま、マーブロのネタぐらいにはなるだろうと思ってよ。
でも、私がステージに上がったら一体誰が写真を撮るんだ?ってことになった。
「自撮り棒を使え!」なんて大竹さんはいってたけど、まさか!
セガレに撮ってもらったの。
ハイ、家族総動員です。

370とにかく、まず立って弾くことができない。
そこから始めましたよ。
で、次は曲。一体何をやればいいのやら…でも2~3曲なら何とかなるな…と2回しかない練習の初回に臨んだ。
みんなとっても親切にしてくれてとても楽しかった。
哲さんが「お前、アレ知ってるだろ?」、「この曲やってたよな?」と次々に候補曲を挙げ、結局7曲も演奏することになった。
今度はアレンジ。
何しろ練習はあと一回しかないので、二日後の次回までに自分のパートを考えていかなきゃ!
…と大竹さんが弾かないであろうパターンを大急ぎで考えた。
スタジオにMarshallを持ち込んで個人練習もした。
ま、結局、緊張してしまってやろうとしていたことの半分もできなかったんだけどね。
やっぱりね、これだけ久しぶりに、しかも練習する時間もなしに演るのは、勘のようなものが鈍っていて大変苦労しますな。
音を出すのが怖い瞬間があるワケ。「魂」なんかすごくいいアレンジを思いついたんだけど、身体で覚えていないのでうまくいかん!
それでも図々しく弾かせてもらったよ。

390「コルト'64」
ああ、コレを弾かせてもらうのはうれしいな。
この曲には付点四分のメジャーペンタでできたカッコいいキメがある。コレにハモリをつけようとしたんだけど、存外に難しかった。
息子にメロディを何百回も弾かせて音を確認した。完全に沖縄ペンタになったがすごく気に入っている裏メロ。

410もうこの辺になってくると、テコでも指が動かないので、「顔弾き」に変更。
実際には大したフレーズは弾いていない。
それにしてもですよ、こんな写真を見るにつけ、Marshall Blogに出て来るような人達はみんなカッコよろしいな~。
とてもああいう風にはならんわ。
あ、でもJVMは最高です。

420v正夫さんのベースをまた左耳から聴く機会があるなんてついぞ想像したことがなかったよ。
ホントうれしいわ。

430v「どしゃぶり」。
この曲のレコーディングの時にも遊びに行ったな~。夜中に録音して、大竹さんのアパートに朝までやすませてもらって、その足で学校へ行った。
思い出の一曲。
私も若かったんだね~。今はそんな体力ゼンゼンなし!
S41a4635
何かお父さんに付き添われているようで安心だわ~。

455

そして、最後…「回転木馬」。

480

哲さん&大竹さんの定型アクション。
昔、「お嬢さん」という曲があって、ギター・ソロの間中、大竹さんは首を絞められ続けたのであった。
…と何とか6曲を演奏し終えたのであった。

460

そして、アンコール。
コレは弾く予定ではなかったのだが、「いいから、お前弾いちゃえよ!」との哲さんのご指示で参加。

Img_0303 哲さんも入ってトリプル・ギター!

500
もう一曲は「三文役者 PartIII」。「Love Game」というタイトルでもおなじみだ。
「コレを演りたくてお前を呼んだ」という哲さん。
そう、私が現役の時にできたレパートリー。

440

ツインリードが聴きどころの一曲なのだ。

450コレがまた苦労した。
大サビのコード進行がE→B→Aと移動するんだけど、コレどうも頭の中でメロディと結びつかない。しかもキーはDbで「回転木馬」と混同しやすい。でも、こういうWishbone Ash的なドツイン・リードの曲を演奏するバンドも最近は見かけなくなったせいか偉く新鮮な感じがしたナァ。

470さらにアンコール。
今度は客席にいらした勝呂さんを迎えた。

510元頭脳警察の勝呂和夫。

520v正夫さんとともに『悪たれ小僧』のレコーディング・メンバーだ。

Cd

PANTAさんとはその昔、新宿ロフトのステージでご一緒させて頂いたことがあるので、『悪たれ小僧』の四人のうち三人と一緒に演奏させて頂いたことになる。
ということで、ご機嫌だった私は、普段は絶対にしない「ピースサイン」をついやっちまった!

530曲は「ヤケ酒ロックンロール」というシンプルなブルース。

540一応ソロも回して頂いて…。
イヤ~、盛り上がったな~。

550メンバーはおそろいのバンドTシャツでの登場だ。

560v

570v

580そして、感動のエンディング。
むしろ「悪あがき」というより「悪ふざけ」か?すみませんでした!だってメチャクチャ楽しかったんだも~ん!
結局全部で9曲も弾かせてもらっちまった!

590上にも書いた通り、思ったようには全然弾けなかったけど、自分がやりたかったことの可能性のことの片鱗ぐらいはつかんだかな?
何をやりたいのかはヒミツ。
もし、またこういう機会があればうまくやりのけたいと思っている。要するに自分のスタイルでギターを弾くということ。
終演後、メンバーのみんなが「今年一番の演奏だった!」なんておっしゃっていたが、私なんか33年の間で一番ヨカッタ!って他に一回もないじゃないのって?
やっぱりこうして自分たちだけの音楽を、自分たちで考えて作りだす作業というのは素晴らしく、そして何よりも楽しいね。
色々とアレンジを考えていてすごくそれを感じるいい機会となった。
ありがとう、三文役者!

600vさて、三文役者のオリジナルTシャツ絶賛発売中!ステージでは着なかったけど私も着ております!

610三文役者の詳しい情報はコチラ⇒三文役者Official Site

6201965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 2015年12月11日 荻窪ルースター・ノースサイドにて撮影)