Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

ミュージック・ジャケット・ギャラリー Feed

2013年10月18日 (金)

【Music Jacket Gallery】サマー・ジャケット特集<後編>

私の最初のロックのLPは中学2年の時、クラスメイトの「バニラ」というあだ名の友達から600円で買ったJohn Lennonのベスト盤、『Shaved Fish』だった。あの時代、運動部に所属していたバニラがナゼ『Shaved Fish』なんかを持っていたのか、今にして思うと大きな謎だな…。

The Beatlesから始まって、それ以前からロック自体は聴いてはいたのだが、レコード・プレーヤーを持っていなかった。
やがてSONYから「スタジオ・ジルバップ」とかいうレコード・プレーヤーを鳴らすことができるラジカセが発売された。

このラジカセがあれば大仰なステレオも不要ということで、お小遣いを貯めて、ジルバップとダイレクト・ドライブのレコード・プレーヤーを買った。
「プレーヤーは少々高くてもよいものを買った方がよい」というオーディオ好きの友人のアドバイスにしたがい比較的ちゃんとしたモノを購入した。
そのプレーヤー、買ってから37年を経過した今でも使っている。回転数を切り替えるスイッチなどプラスチックの部分がもろけ、内部の金属のパーツがむき出しになったりしてはいるが、回転ムラもそう気にならず、こうした原稿を書く時にLPでしかもっていない音源を聞いたりするのに時折使用している。

ひとたびレコードを聴く装置が手に入ればもうこっちのもの(ナニかだ?)!レコードの数は増え続けた。
やがてLPはCDに姿を変えたが、今に至っても増える一方。

途中で2~3回にわたり数千枚のLPを処分販売したものの、今まで買って来た枚数は軽く「万」は超えると思う。
ま、植村さんには遠く及ばないけどね!

家内からも「よくそんなに聴きたいものがあるわね~」と感心とも呆れともつかない(呆れてるにキマッてるか…)ことを言われるが、予め欲しいモノや、聴きたいものが、私の場合そうあるワケではない。
ただ、最初にある欲望は「出会いたい」ということなんだよね。つまり中古レコード店にいって片っ端からチェックしたい。「今日はコレを探すぞ!」なんてことはまずない。
そして、そこで出会っちゃうんだな~、欲しいものに。その場で聴きたくなっちゃうんだな~。

もちろんその場の出会いを逃さないように普段から勉強をしておかなければならないんだけどね。これがまた楽しい。さすがにあまりにも何の情報もないものを買うのはコワイしね。
ってんで現在も安い中古のジャズのCDを中心にジワリジワリとガラクタコレクションの数は増え続けている。

話しはもどって…そう、「いいものに出会った」なんてよろこんでいる半面、深刻な問題はドンドン大きくなる一方なのだ。
それは「収納」という問題。
私の住まいは古く、LPやCDの体積もさるころながら、質量も大きな問題となる。とくにLP。
以前は転勤族だったため、膨大な数のLPは引越しの際の致命傷となるため、長い時間をかけて積極的にCDに買い換えて来た。
それでも居間で保管していた処分するに処分できない2,000枚を優に超すLPは相当な重量だった。
私はそのLPが放つ「中古レコード屋臭」が大好きだった。何せ家にいてディスク・ユニオンの匂いがするんだからね。快便です。

「快便」というのは、汚い話しだけど、私は中古レコード屋に行くとほとんどと言っていいほど毎回便意を催すんだな~。本屋においてもほぼ同様(不思議と古本屋では催さない)。
こういう人が私の周りでは少なからずいらっしゃるが、これは医学的に原因が解明されていて、どうも自分が最もリラックスできる場所においてこうした症状が出るらしいのだ。
好きなレコードにかこまれてリラックスできる…一番居心地のいい場所が我が家の居間だったのだ。

しかし!2011年3月11日を機に階上の所有物の軽量化を図ることになった!
そこですべてのジャズのLPを泣く泣く階下の倉庫へ納めたのだ。
こ~れがまた腰がヒン曲がりそうな大変な作業だった。
ロックのLPはMarshall Blogを書くために必要な資料としてまだ部屋に確保してある。かくして居間の「中古レコード臭」はまぼろしと消え、便秘体質になったのであった(ウソ)。

他方、CDも5,000枚ともなると、これまたバカにできない大きさと重量になる。アレ、中身はほとんど空気のクセによ~。
そこで、植村さんのご推薦を頂戴し、いわゆるソフト・ケースを買い込んできて同様に少量&軽量化を図った。つまりプラスティックのケースをすべて捨ててしまったのだ。
体積は1/3となり、重量はそれよりも軽量化したハズだ。
あのプラケース、何千枚も集めると信じられないぐらいモノスゴイ重量で、角がとんがってるもんだからゴミ袋に入れると簡単に破って外に出て来てしまう。
しかも、ウチのエリアは同種のゴミの引きとりは1回に3袋までというルールがあるらしく、いっぺんに捨てられない。処分するのにもエラク苦労したわ。
とにかく何のコレクションにおいても「収納」は大きな問題だ。

私程度のコレクションでも「収納」に苦しんでいるのだから、この『Music Jacket Gallery』の主宰者であり、日本屈指のコレクターである植村さんときたら日夜「収納」との戦いであることは間違いない。買わなきゃ何の問題も起こらないんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

植村さんのコレクションをもう一度見てみよう⇒The Amazing Uemura Collection


とりわけ収納にご苦労なさっているのはボックスものだそうだ。
レギュラーのCDは形が統一されているので積んだり詰め込んだりしやすく、コンパクトに収納しやすいが、ボックスものは形状がまちまちで、中には面妖な形のパッケージもあり、積み上げるにしても「テトリス」状態となる。
ま、収納できなければ買わなきゃいいんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

そこで今回のガラス・ケースの立体陳列は、コンパクトなサイズのボックスにCDを巧妙に収納する「コンパクトCDボックス」が特集された。
コレ、一種の撞着かもしれないね。CDボックスというのは壮麗で大仰なパッケージにすることで商品の魅力を高めるワケだから…。それをコンパクトな商品にしてしまうということは案外いい度胸なのかも知れない。
では…。

 Mjg_sm_img_0807
● GRATEFUL DEAD / WINTERLAND 1973: THE COMPLETE  RECORDINGS (RHINO 2008)
2011年の72枚組CD-BOX、2012年の14枚組DVD-BOXという凄まじい発売ラッシュが続いたGrateful Deadの1973年11月9日から11日までのウインターランドでの全公演を完全収録した9枚組CDボックス。
各3枚のCDを収納した3枚の紙ジャケを並べると大きなポスターになる特殊なパッケージ。ポストカード仕様のコンサート・ポスターのミニチュア版とピンバッチも同梱されている。
70年代までのDeadの正規盤は比較的揃っているが滅多に聴かないな~。でもDead系商品のデザインはなにかといいよね。
ある知人が熱狂的なDeadのファンの方に「72枚組を聴くこと」を「なかなかの荒行」と表現していたのを横で聞いていて吹き出してしまった!

Mjg_sm_img_0943
● VARIOUS ARTISTS / STIFF RECORDS BOX SET (DEMON 1992)
Elvis CostelloやIan Duryなど個性的なアーティストを輩出させた英スティッフ・レコードの作品を網羅した4枚組CDボックス。
レーベル、ブックレット、パッケージ に至るまで、あくまでもアナログ感覚にこだわったデザイン・ワークがスティッフというレーベル・ポリシーをうまく表現している。

Mjg_sm_img_0937

● NEW TROLLS / NEW TROLLS SINGLE BOX (ARCANGELO 2007)
イタリアン・プログレッシヴ・バンドとして今日も絶大な人気を誇るNew Trollsの再来日記念で発売された10枚組のシングル・ボックス。
1967年から72年までに発売された17作のシングル盤の中から12作を美麗なスリーヴと共に歌詞を掲載した内袋までを再現した復刻度は見事なものだ。解説もコンパクト・サイズなので中高年の方には読みにくいかもしれないが、豆本のようで何とも可愛らしいもの。
この再来日公演(かな?)を観に行った。日本から参加した大ストリングス部隊との共演が見事だった。
実はNew Trollsはゼンゼン通過していないので1曲も知らなかったのだが十分にコンサートを楽しめた。この時代のイタリアン・プログレの音楽レベルの高さは恐るべきものだ。
Mjg_sm_img_0947
● J.A.シーザー / 天井桟敷音楽作品集(DIW 2008年)
1967年に寺山修司が設立した劇団天井桟敷の音楽を担当していた孤高の音楽家、J.A.シーザーの貴重な歴史的音源を集大成した5枚組CDボックス。
5枚のCDを見事にコンパクトに収納した特殊パッケージもさることながら、貴重な台本、写真や絵などを載せた豪華ブックレットも見事なデザインワークだ。(ディスク・ユニオンのみの購入特典である未発表音源CD付き)
Mjg_sm_img_0948

● MILES DAVIS / THE COMPLETE COLUMBIA ALBUM COLLECTION (SONY BMG 2009)
ジャズ界の帝王Miles Davisのコロンビア時代の全作品を収納した53枚組CDボックス。パッケージ・デザインは、各アルバム・ジャケットをあしらったスタイリッシュ(ソニーのハウス・デザイナーの特徴)なもので、各アルバムは簡易型の紙ジャケット仕様になっている。ボックスの大きさや軽さなどを考慮した見事なエコ・パッケージといえる。
コレ、欲しいんだけど中身は単体でほとんど持ってるからな~。
これに「Plugged Nickel」とか「Jack Johnson」とか昨日紹介した「Celloar Door」とかの「Completeホニャララ」、そこにエエイ「Blackhawk」や「Carnegie」も組み入れて100枚組で再発売ってのはどう?
Mjg_sm_img_0952

● FANNY / FIRST TIME IN A LONG TIME THE REPRISE RECORDINGS (RHINO HANDMADE 2002)
1969年に結成された世界初の自作自演のガールズ・バンドと知られるFannyがリプリーズ・レーベルに残した音源を完全収録した4枚組CDボックス。
JuneとJeanというMillington姉妹を中心とする4人組は、Richard PerryやTodd Rundgrenなどのプロデュースによる傑出した作品を世に送り込み、今日また再評価されている。
完全限定盤にこだわったライノ・ハンドメイドならではの独創的なパッケージ。
Mjg_sm_img_0956

● VARIOUS ARTISTS / THE LOWEST FORM OF MUSIC L.A.F.M.S.1973?1994 (RRR RECORDS 1995)
Los Angels Free Music Societyという名で、様々な前衛音楽集団を束ねるRRRレコードの創立20周年を記念して発売された10枚組CDボックス。
こうした特殊なインディ音源はなかなか収集されにくいが、こうしたボックスは貴重な資料と共にレーベルの全貌が把握できる点が肝だ。

Mjg_sm_img_0958

● VARIOUS ARTISTS / THE CHESS STORY 1947-1975 (CHESS 1996)
第二次大戦直後にChess兄弟によって設立された米チェス・レコードの15枚組CDボックス。
チェス・レコードはブルース、R&B、ソウルといったルーツ・ミュージックを中心にアメリカの音楽シーンをリードしてきた。
貴重なブックレットの資料と共に、15枚目のCD-ROMにはチェスが発売してきた全カタログが網羅されている。そして、パッケージは多くのCDをコンパクトに収納する理想的なものとなっている。
Mjg_sm_img_0961

● NINA SIMONE / FOUR WOMEN : THE NINA SIMONE PHILIPS RECORDINGS (VERVE 2003)
2003年4月にパリの自宅で70年の生涯を閉じたNina Simoneの追悼盤。
ジャズというジャンルを超えた幅広い音楽性はその独特なヴォーカルとも相まってコアな人気が高く、全盛期である1964年から66年までの全オリジナル・アルバムを4枚のCDに集大成したもの。
サック・ケースも含めたお洒落なデザインワークで作られたコンパクトなパッケージには思わず所有欲をそそられる。
Mjg_sm_img_0964

●BEACH BOYS / U.S. SINGLE COLLECTION THE CAPITOL YEARS 1961?1965 (CAPITOL 2008)
夏の定番アーティストの筆頭格であるThe Beach Boys前期のアメリカ盤シングルをピクチャー・スリーヴに収納した16枚組CDボックス。
箱自体は硬質の段ボールで作られているが、ナゼか箱の一部には本物の木が使用されている。おそらく紙と木という素材の組み合わせによってエコロジー感を表現したのであろう。
同梱された80ページの特製ブックレットのカヴァーは砂浜を表現している。
Mjg_sm_img_0968

● KEITH RICHARDS / TALK IS CHEAP (VIRGIN 1988)
Keith Richardsの初ソロ・アルバムの初回限定生産パッケージ。
Keithのキャラクターであるツヤ消しブラックの骸骨の缶に現在ではほとんど発売しなくなった8センチCDが3枚収納されている。アルバム・クレジットなどが載った丸型のブックレットも凝った作りだ。
この小さいCD、昔はアダプターをひっ付けてたんだよね。アダプターつきで世界で最初のシングルCDとなったのはFrank Zappaの「Peaches en Regalia」?
Mjg_sm_img_0970

● VARIOUS ARTISTS / BEARSVILL BOX SET (BEARSVILL 1996)
聖地ウッドストックで1969年に設立された名門ベアズヴィル・レーベルの作品を集大成した4枚組CDボックス。
CDの収納トレイと腰巻き帯を付けた単行本仕立てのスリムなパッケージが独創的だ。シリアル・ナンバー・カードを封入した完全限定盤で、日本独自の企画・発売。
Mjg_sm_img_0972

…と、これらのコンパクトなパッケージのおかげでうまく収納できました。
でもね、収納できなければ買わなきゃいいんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

(敬称略 ※協力:本項解説文原本執筆・植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )

Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。
















































      







































2013年10月17日 (木)

【Music Jacket Gallery】サマー・ジャケット特集 <中編>

いつもは3本立の【MJG】レポート。チョット今回は取り上げるアルバムの数が少なかったので2本立てにしようかと思った。

それでも存外にボリュームが少なくなりそうだった。
わかってますよ…どうせみんな言うんでしょ?「ナンダ、今回は短いじゃん!」って。
わかりましたよ、「こっちも意地だ!」ってんで、シャカリキになって<前編>を書いているうちにアッという間に長くなってしまった。
すると今度は、2本立てにしてレコードの解説全部を<前編>に盛り込んじゃうと長すぎるので、強引にチョン切って<中編>をこうして設けてみたものの、見事にボリュームの配分がおかしくなってしまった!つまり<中編>が短すぎてしまったのだ。
そこで大変身勝手ながら植村コレクション以外のアイテムも積極的に盛り込んで調整してみた。(植村さん、ゴメンナサイ!)
でも、本題に関連していることですから許してチョーダイ。
ではさっそく…。
Mjg_sm_img_0812
このジャケット昔から好きだった。ものすごく暑苦しい感じがする。メキシコ?今こうして改めて見ると、初期のファミコンの画面みたいだ。
「Yellow Roses」と「Chloe」の2曲がいいナァ。
特にこの「Chloe」という曲はJoe Passが1970年の『Intercontinental』というアルバムで演奏していて、それがまた実にいい。

でもRy Cooderってどうもなじめない。
『Into the Purple Valley』だの『Paradise Lunch』他、有名なアルバムは持っていて、一応は聴いているんだけど…。
ま、ブルースをして熱心に聴くことのないオコチャマな私のことだからアメリカン・ルーツ・ミュージック自体が苦手なのだろう。ジャズは大好きよ。
なのでRy Cooderについて語る資格はない。「んじゃ取り上げるな!」と言われそうだけど、このジャケットは好きだから…。
でも、Ry Cooderってものすごく支持層が厚いよね。聞いた話では、ひとたび来日して全国を回ると会場の手売りだけでCDを3,000枚ぐらいさばいちゃうとか…。
きっとライブに感動して、終演後買うお客さんが多いんだろうね。
Mjg_sm_img_0881
Hipgnosisの作品ですな。
String Driven Thingは1960年代から活動するバイオリンを前面に押し出したスコットランドはグラスゴーのフォーク・ロック・バンド。
4枚目のアルバム『Please Mind Your Head』。
コレは持っていないんだけど、一作前の『The Machine That Cried』と本作を挟んだ『Keep yer 'and on it』は持っている。前者は魚、後者は歯磨き粉のイメージを使ったHipgnosisの有名なジャケット。
以前どこかで内容に関して「別段おもしろくない」と書いたような記憶がある。で、普段はまったく聴いたりはしないのだが、今回この原稿を書くに双方を聴き直してみた。
なかなかよろしいな。前言を撤回します。
やっ ぱりGraham Smithのバイオリンが効いている。この人は後にVan Der Graaf Generatorに加入にするが、イギリスの有名な指揮者、John Barbirolli(バルビローリ)の傘下にいてキチンとクラシックを学んだ人だそうだ。スキンヘッドのゴツイ巨漢で、そのルックスとの差がまたおもしろい。

メ ンバーがガラリと変わったため、『Keep yer 'and on it』はサウンドも大幅に変化してビートルズの「Things we Said Today(今日の誓い)」なんかをドッロドロに演ってたりしてて存外におもしろい。また、「Old Friends」という5/4拍子の超ポップチューンも心地よかったりする。
いずれにせよ単なる「フォーク・ロック・グループ」として切り捨てるのはもったいないことがよくわかった。

以前、Led Zeppelinの『House of the Holy』のジャケットに触れたことがあったでしょう。
読んでない人はチョットこれを読んでみて⇒緊急特集!<追補> Hipgnosis Collectionと下町のヒプノシス

それでJimmy Pageがムカっと来てボツにしたデザインがコレなんだそうだ。
ま、コレだけ見てりゃHipgnosisだし、まぁどうってことないんだけど、これが『Houses of the Holy』になっていたかと思うとゾッとするよね。
あの重厚なロックがひと回りもふた回りも軽くなっちゃうような気がする。やはりジャケットというものは重要なものなのだ。

Mjg_sm_img_0884_2
この項を書くのに久しぶりにザッと映画『ウッドストック』を観たんだけど、主宰者のマイケル・ラングがインタビューに答えるシーンで驚いてしまった。

このフェスティバルの経費を訊かれ、200万ドルと彼は答える。当時の200万ドルと言えは当時の為替レートで換算すると7億2千万円。

開催された1969年はアポロ11号が月に行き、東大の入試が中止になった年。流行語は「オー・モーレツ」、「アッと驚くタメゴロウ(ゲバゲバですな)」、「はっぱふみふみ」に「黒猫のタンゴ」だよ。「なつかしい~」と知っている自分の歳にもはや感謝するわ。

大卒の初任給が31,830円。国鉄の初乗りが30円。ラーメンが150円(ウチの方はもっと安かったと思う)、かけそばが80円の時代。

今の貨幣価値につすとザッと30億円ぐらいか…?それでこの若者が「トントンならありがたい」と軽く言ってのける。スケールのデカイ話しだ。

他のシーンではコミューンに暮らすという若いカップルがインタビューを受け、彼氏が言う。
「ナゼ20万も30万も60万も70万もの人がここに集まっていると思う?音楽を聴きに来たていると思うかい?」「いいや、音楽は重要ではないんだよ。みんな生き方を探しに来ているんだ」

その重要でない音楽を共通項に50万人もの人間が集まるなんてことはやはり尋常ではない。50万人といったら赤ちゃんからお年寄りまで、すべての宇都宮市民がウッドストックへ行っちゃったようなもんだ。
ベトナム戦争などの社会的背景があって、今と世情があまりにも異なっていたことは百も承知だが、やはりそれだけ音楽に力があったことは論を俟たない。

ウッドストックについては色々と書きたいことがあるが、キリがないのでそれはまた別の機会に譲ることにする。

さて、この『Woodstock Two』。これは映画に使われていない曲を収めた2枚組アルバム。映画に関係ないので入手する気が起こらず、かなり後年になってCDでゲットした。
私にとって「ウッドストック」は映画の『ウッドストック』なのだ。

なるほど、3枚組の『Woodstock』は「サウンドトラック」をうたっているが、少なくとも私が持っている『Woodstock 2』のCDには「Soundtrack」の表示がしてないわ。

ウッドストックが開催されたのは8月だから自然と今回のテーマ通りの「夏」になるね。

向こうは小さい子をこうして平気で素っ裸にしちゃうんだよな~。
ウンコをするところも含めて、子供が映し出さてJohn Sebastianが歌う「Younger Generation」も忘れられないシーンだった。「助けて!歌詞を忘れた!」
Mjg_sm_img_0891_2

これは3枚組LP『Woodstock』の内ジャケ。LPのサイズはご存知30cm(12インチ)。それが鏡開きになるこのジャケットの全幅は90cm以上になる。壮観ではあるまいか?音楽配信にコレができるかよ!

ウッドストックの思い出についてはShige Blogにも綴っておいた。是非ご覧頂きたい。
<Shige Blog>
我が青春のウッドストック <前編>
我が青春のウッドストック <後編>

Th_img_1256名盤が多い中期までのWeather Reportの作品の中でも名盤の誉れ高い『Black Market』。やっぱりタイトル曲のイントロを聴くとウキウキしちゃう。この録音ではJoe Zawinulのキーボードがあの有名なBbのリフを弾いているが、ライブ盤『8:30』ではPeter Erskineのドラム・フィルに導かれたJacoのフレットレス・ベースが疾駆する。コレ、初めて聞いた時。鳥肌が立ったっけナァ。
とびきり派手なそのライブバージョンも最高にカッコいいが、このスタジオ・バージョンもスキ。

このアフリカ調のテーマあるでしょ?これ完全にペンタトニックでできているんだけど、コピーしてギターで弾こうとするとなかなかに手ごわい。
ギターはペンタトニック・スケールに滅法強い楽器(ペンタトニックでできているロックフレーズといった方が正確か…)のハズなんだけど、それは視覚面で音列を取りやすいから。

Zawinulのような才人が作ったメロディともなると、アララ不思議、実に弾きにくい。
決して複雑なフレーズじゃないんだけどね。このあたりに鍵盤楽器を学んだ人とサオを握ってペンタトニック一発で勝負してきた人の違いが表れる。

Jacoはこのアルバム中、2曲に参加している。その他の曲でベースを弾いているのはAlphonso Johnson。ドラムはChester ThompsonとMichael Walden。それにパーカッションでAlex AcunaにDon Aliasという目もくらむようなスゴイ面々だ。

この頃のWeatherはヨカッタ。この後もジャズ専門誌でずいぶん長いこともてはやされていたけど、私が夢中になって聴いたのはせいぜい『Heavy Weather』までかな。

それにしてもあの頃のフュージョン・ブームってのはなんだったんだろう。時間とともにこれほど形骸化してしまった音楽ジャンルも珍しい。
やっぱりファッション感覚で展開する音楽は熱するのも早いけど、冷めるのも早いナァ。
何となくイナゴの大群が畑を全部食い荒らしてしまったあとのような…。

「フュージョン」ってのは昔は「クロスオーバー」なんて呼ばれてたよね。その前は「ジャズ・ロック」かな?
アレなんだって「クロスオーバー」って言葉が使われなくなったんだろう?いつしか、「フュージョン」という言葉に定着した。高校の時だったかな?私が「クロスオーバー」という言葉を口にすると「今、フュージョンっていうんだぜ」なんて友達に正されたことがあったな。

きっと「フュージョン」という言葉を使った方がレコード会社が儲かる仕組みだったんだろう。

私は「ジャズ・ロック」が大好きだ。でも「クロスオーバー」は苦手だった。でも「フュージョン」はいいものはよかった。…ええい、もう何でもいいわい!

でもね、思い返してみるとスゴイよ。高校ぐらいの時、高中正義ブームが吹き荒れた。あのパイオニアのCMの効果?私はサディスティック・ミカ・バンドが大好きだったので、まったく受け付けなかった。ハード・ロック一本やりだったし。

ところが、その流行りっぷりたるや、今の音楽事情を鑑みるに想像を絶するもので、高校生のバンド・コンテストがあると複数のバンドが「なんとかラグーン」ってのを演ってたものだ。
隔世の感があるでしょ?

どうだろう、この手の音楽は1980年ぐらいがピークだったのじゃないかしらん?
Mjg_sm_img_0898_2

Dollar Brandは南アフリカのジャズ・ピアニスト。『African Piano』というソロ・ピアノのアルバムが有名。5/4拍子でポツリポツリと弾くサマはまさに他のジャズのソロ・ピアノ・アルバムと一線を画す。なかなかいいものだ。
とうよう先生はこの手法の発想はカリンバと解く。なるほどね。


しかし、今まで考えたことなかったけど、「ダラー・ブランド」なんてバンドの名前みたいだね。しかもパンクっぽい。お金第一の資本主義に一石を投じる!…みたいな。
それにしても上の『Black Market』にジャケットの風合いが似てるね~。
Mjg_sm_img_0902_2

『LIVE-EVIL』。左から読んでも右から読んでも「Live-Evil」。
アコースティック・マイルスは当然だが、私はエレクトリック・マイルスも大好き。『In a Silent Way』『At Fillmore』、『Jack Johnson』なんかをよく聴いた…というか今でも聴いてる。
それと『We Want Miles』も好きだった。この辺はリアルタイムで聴いたからね。30年も前か…。

で、なぜ『We Want』が好きだったのかというと、ひとえにMike Sternがカッコよかったから。
『The Man with the Horn』の「Fat Time」のソロもコピーした。
『We Want Miles』にはMilesが81年に来日した際の音源も収録されているが、アルバム全体としてはMike Sternのソロがカットされて少なめだったのがチョイと不満だった。
ところが、ラッキーなことにこの1981年10月4日の新宿西口広場の演奏が丸々FMでオンエアされたことがあって、エアチェックしたテープでMike Sternのソロをさんざん楽しんだ。

そして後年、その音源が『Miles! Miles! Miles!』という2枚組アルバムになってリリースされた。
この日のMilesは体調がすこぶる悪く、よってこのアルバムの評価も決していいものではないようだが、んなことは関係ない。何しろノーカットでMike Sternのソロがタップリ聴けたからね。

この頃のMikeは音も素晴らしかった。ギンギンにコーラスをかけてクリーンで弾くキテレツなヴォイシングや、これまたコーラスを深くかけたクランチ気味のストラトのトーンで弾かれるウネウネのソロはもうタマらなかったね。デブっちょに長髪というルックスもカッコよかった。
この時使用していた白いストラトは不幸にも盗まれてしまったとか。盗難の対象となるほどの名器だったワケだ。

その後、Milesの元を離れて、Steps Aheadの頃なんかは、「Fat Time」の見る影もないほど悲惨な、昔の高校生が弾くリードギターのようなサウンドになってしまってガッカリした。こんなに耳のいい人がどうして無頓着にもあの音でよしとしたのだろう?

さらに、日本製のギターに変えた頃には、Blood Sweat &TearsやTiger's BakuやMilesのバンドの頃のキラメキは失せてしまっていて興味を失ってしまった。

でも、久しぶりに『Miles! Miles! Miles!』なんて聴くとやっぱりカッコいいわ。
そうそう、この来日の時、Mikeは香津美さんとプライベートでジャムったそうで、その時に演奏した「枯葉」なんかの音源がこの世に存在するらしい。聴きて~!

本題とは関係ないけど、MJGでMike Sternに触れる機会なんかないと思って書きこんでしまった。
で、話しを戻して…70年代のエレクトリック・マイルスの中でもとりわけ好きだったのはこの『Live-Evil』だった。

Mjg_sm_img_0929_2
またジャケットのイラストが素晴らしいったらありゃしない。
ドイツ出身のAbdul Mati Karwein(アブドゥル・マティ・クラーワイン)という人の作品。エグイよね~。一体どういう感覚を持っているんだか…。
内容との関連性は皆無だ。また、黒人の裸の妊婦さんが描かれていてるということだけで、「夏」というイメージは特段ないといって差し支えないでしょう。

このMati Karweinという人は数多くのジャケット・デザインを手がけている。Milesでいえば『Bitches Blew』がそうだ。似てるでしょ?

他にもEarth Wind & Fireの『Last Days and Time』、Gregg Allmanの『Laid Back』、Joe Beck(Jeff Beckじゃないよ)の『Beck』、Santanaの『Abraxas』などなど…マーブロ読者におなじみのアルバムならTempestの『Living in Fear』ってところか?(Ollie Halsallのゴーゴンの方ね)

Hermeto Pascoal y Grupoの『Só Não Toca Quem Não Quer (邦題:やらないのはやりたくないだけ⇒これメッチャいいよ)』もそう。
Hermeto Pascoalは「南半球のFrank Zappa」として愛聴している。この『Live-Evil』に収録されている「Nem Um Talvez」という曲はHermetoの作品で自身もこのアルバムに参加している。

Hermetoといえば先日、仲良しの日系ブラジルの若い女性と家内とで食事をしたんだけど、話しが音楽に及んだ時、彼女が「エルメート・パスコアール」をごく当たり前に知っていたのにはビックリ!
「え、ブラジルではみんな知ってますよ~」って。Milton Nascimentoも当たり前。でもEgberto Gismontiは知らなかった。ブラジル音楽に関しては、あんまり突っ込むと間違いなくボロが出るのでここらへんで留めたが、日本でパスコアールを知っている若い女性なんてまずいないでしょう?さすがブラジ~ル!

Mjg_sm_img_0933_2

さて、もう少し脱線しましょかね。
下はJackie McLeanのBlue Note時代後期の名盤『Demons Dance』。ひと目でMatiの作品とわかるでしょ?
このアルバムの1曲目には「Sweet Love of Mine」という曲が収録されている。哀愁を帯びたメロディが心に突き刺さる必殺の名曲だ。作曲は人気トランペッターのWoody Shaw。

一方、日本を代表するベーシスト鈴木勲さんの代表作に『Blue City』というアルバムがある。このアルバムには若き日の香津美さんが参加していて「Body and Soul」なんかで涙もののプレイを聴かせてくれるのですわ。
でも、ここでの話題は香津美さんではなくて、収録されている「45th Street」という曲。
コレ、Shawの「Sweet Love of Mine」と寸分たがわぬまったく同じ曲なのだ。超名曲だけにはじめて聴いた時はビックリした。だって、似てるどころか「同じ」なんだもん。

真相は「共作」ということらしいが、Woody Shawが勝手に自分の名前をクレジットしたとかいう説も…。数年前にテレビのナンカの番組で、そのあたりの曲の真相について取り上げていたが、「友情物語」に仕立て上げられていた。内容は忘れちゃった…。

ま、なにはともあれ、「Sweet Love of Mine」、名曲なのでロック一辺倒の人にも聴いてみて欲しい。それにしてもこの『Demon's Dance』のジャケもかなりエグイぞ!

Indexで、ようやく話しは『Live-Evil』に戻って…え、まだやってんのか?って?もうチョットね。
この2枚組のライブ・アルバムが好きだったそもそもの理由はJohn McLaughlinが参加しているから。
Milesは1970年の12月16~19日にかけてワシントンDCの「セラー・ドア」というクラブに出演した。その時の演奏を大幅に編集した音源にスタジオ録音の作品を足して出来上がったのが『Live-Evil』。

その後、発売されたのが下の『The Cellar Door Sessions 1970』という6枚組のボックスセット。これには4日間の演奏の約半分の演奏が収録されている。

ま、6枚通して聴くなんてことは精神的、肉体的に私にはまず不可能で、「今日はコレ」…とチビリチビリ聴いて楽しんでいるが、実はMcLaughlinが出演しているのは最終日一日だけだったんだって。
NYCに来ていたMcLaughlinをMilesがワシントンDCまで呼びつけて弾かせたらしい。
この頃のMcLaughlinのアンプはMarshallだったハズ。
『Live-Evil』らのCDもMarshallで弾かれていれば聴く楽しみも倍増するでしょ。でも、昨今の日本のライブハウスじゃあるまいし、そんな小さなジャズ・クラブにMarshallなんか置いてあるワケないよね。じゃ、まさかNYCからワシントンDCまで飛行機で運んだのかな?それも考えにくい。
じゃ、どうするか…「現地でレンタルした」ということにしておいて、この名盤もMarshallが演出している、ということにして愛聴し続けることにしよう。

『Cellar Door』の方は『Live-Evil』では大幅にカットされたkeith Jarrettのソロが入っていたり、絶好調のJack DeJonetteのドラムがアホほどすごかったりで、別にMacLaughlinがのべつ登場しなくても十分に楽しめる。でも、『Live-Evil』がカッコいいのはMcLaughlinのおかげというのも確かなのだ?

昔はJohn McLaughlinを「ジョン・マクローリン」なんて表記していた。現在は「ジョン・マクラフリン」に落ち着いているが、英語圏の人は「ジョン・マクラッグリン」と発音するので覚えておこう!イヤ、別に覚えなくてもいいか。

それにしてもこのボックス・セット、『Live-Evil』のジャケに比べたらあまりにも面白くないデザインだな~。

Th_img_1291ナンカこの辺になってくると「夏」特集だか「お色気」特集だかわからなくなってくるが、ま、冬はそう裸になることもないだろうから服を脱いでいるだけでも「夏」ってことにしちゃえ!

The Slitsというバンドの『Cut』という1979年のアルバム。UKチャートの30位に食い込んだとかいうけど知らんな~。そして、2004年に「The 100 Greatest British Albums」というナンカの人気投票でこのアルバムが58位になったそうな。ホンマかいな?
全イギリス制作アルバムの中で58位になるって相当スゴイよ。
ま、このジャケットが奏功しているとは思わないけどね。
Mjg_sm_img_0904_2

これは中学生の時、よく聴いた。中学生にはジャケットも十分に魅力的だったが、Roxy Musicの音楽の方がもっと刺激的で魅力的だった。
NHK FMの渋谷陽一の番組で『Viva! Roxy Music』が新譜として紹介され、「Out of the Blue」がかかった瞬間「コレだ!」と思った。
Bryan Ferryの歌やAndy Mckayのオーボエ、Eddie Jobsonのヴァイオリンに何かすごくミステリアスな雰囲気を感じたんだよね。
すぐ翌日、学校帰りに石丸電気レコード館に行った。アッという間に既発のアルバムは全部揃えたが、中でもこの『Country Life』がお気に入りだった。
何でもタイトルはイギリスの田舎暮らしの雑誌「Country Life」からとったとか…。


夏だね~。このアルバムが発表されたのは1974年。このジャケットデザインは当時、アメリカやスペインやオランダで問題になり、アメリカ盤なんかは2人の女性なしの葉っぱだけのヴァージョンで発売された。それじゃつまんないじゃんね~。
このジャケットのデザインはBryan Ferry自身。ポルトガルでこの2人のドイツ人に頼みこんでジャケットに登場してもらった。
収録されている「Bitter-End」という曲は途中ドイツ語で歌われるが、このどちらかの女性がBryanの英語詩をドイツ語に翻訳したんだって。

もうひとつ…2曲目の「Three and Nine」。これはイギリスの複雑な通貨制度を歌にしたもの。
今は100ペンスが1ポンドでドルやユーロと同じだから何の問題もない。
ちなみに「ペンス」は「ペニー」の複数形だから1/100ポンドを示す時は単数形にもどって「1ペニー」になる。向こうの人はペンスのことを「p(ピー)」って呼んでいるけどね。「サーティ・パウンド・フィフティ・ピー」とか。
さて、イギリスの通貨制度には1971年までポンドとペンスの他にシリングってのがあって、これが12進法と20進法が混在するメッチャ複雑な通貨システムだった。実際、歌の中に「Decimal Romance」なんて言葉も出て来る。
1ポンドが20シリングで1シリングが12ペンスだったという…。だから1ポンドは240ペンスになる。これはややこしい!
で、生まれて初めてMarshallの工場に行った時、どうしてもこの辺のことが知りたくて、今の社長の奥さんのEllieに質問した。
「そんな昔の話し知らないわ!」と笑いながら「ホント、あれは難しかったのよ」と言って、わざわざ1971年以前に刊行された本の裏表紙に印刷されているシリングの値段表示を見せてくれたことがあった。
ホント、イギリスはおもしろい。
Mjg_sm_img_0910_2

こちらは1973年、Roxyのサード・アルバム『Stranded』。
ジャケットの女性は当時のBryan FerryのガールフレンドでPlayboy誌の1973年の「Playmate of the Year」となったMarilyn Coleという人。
『Viva!』以前のアルバムでは、一番聴かなかったのはこれかなぁ。なんか暗くてね~。「A Song for Europe」なんて曲を聴いているとジトっと疲れてくる。
でもUKチャートNo.1を獲得したんだってさ。

Mjg_sm_img_0921_2

久しぶりに引っ張り出して来てライナーノーツを見る。
「アイランド・レーベルに関するお問い合わせ」なんていってレコード会社の担当者の名前と電話番号が出ている。
さらに「ロキシ―・ミュージック・ファン・クラブの問い合わせ」にはファンクラブの会長かなんかの個人宅の住所と電話番号が書いてある。
ノンビリしてたね~。個人情報の保護もヘッタクレもありゃしない!明らかに今より悪人が少ないイイ時代だったとしか思いようがない。
Th_img_1270これは展示にはない私物でござるが、Roxyの5枚目のアルバム『Siren』。人魚だから裸で当然なんだけど、「夏」ということで勝手に足しておいた。
このアルバムも大好きだった。特に「She Sells」。いかにもこの当時のRoxyっぽくてヨカッタ。
モデルは当時Bryan Ferryのガールフレンド、Mick Jaggarの恋人としても有名なアメリカのモデルJerry Hall。
ニューキャッスル大学(マーブロではスッカリおなじみのSteve Dawsonのお譲ちゃんのEmmaは先ごろこの大学の文学部を卒業した)で美術を学んでこだわりが強いのか、Bryanはここでもジャケット・デザインのアイデアを提供している。
Bryanはテレビのドキュメンタリーで見たWalesのAngleseyという溶岩でできた海岸をこのジャケットのロケ地に選んだ。
Sirenというのはギリシア神話のキャラクター(?)で、美しい歌声で船乗りを誘い寄せ、船をナンパさせた半人半鳥の生みの精だ。
半分鳥なんだって。このJerry Hallはどう見ても半人半魚だよね~。アレンジしたのか?

ちなみにこの船をナンパさせる話しだけど、吉村昭の小説にまったく同じ発想で、すさまじく憐れな話しがある。『破船』という作品ともうひとつ…短編だったな、タイトルは忘れた。
この『破船』というのはスゴイよ。オススメです。

Th_img_1266今は海賊盤というと正規盤と見まごうような立派な製品ばかりだけど、昔はコレが当たり前だった。
白いジャケットに色紙にコピーされた内容を記す紙っペラが一枚。当然盤のレーベルはのっぺらぼうだ。
音質もひどいものが多かったが、この75年のアメリカ・ツアーの海賊盤は音も比較的よくて何回も聴いた。『Siren』のレコ発ツアーだったのかな?選曲もすこぶるよろしい。
最後の「Re-Make/Re-Model」の演奏がすさまじい。ベースはJohn Wettonかな?


ジャケットもオフィシャルのアルバムに合わせたのだろう、エロチックなものになっている。

Th_img_1262こっちはEnoが在籍していた頃の海賊版。ベースはQuartermassのJohn Gustafsonだ。
これはただライブを隠し撮りした音源だけでなく、後に『Viva!』にライブで収録されることになる「Pajamarama」のスタジオ・バージョンなんかも収録されている。
なつかしいな~。
アジもソッケもないジャケットだけど、ナント言うか、風合いを感じさせるではあ~りませんか?

Th_img_1265そして、1979年にRoxy来日!
当然観に行った。武道館の1階席だったっけ。
4年ぶりにリリースしたスタジオ・アルバム『Manifesto』が気に喰わなかったからかもしれない。あんまりおもしろくなかったという印象。とにかくすごく音が悪かったような気がする

ちょっと調べてみると私もこの年は忙しくて、4月にトッド(サンプラ)とロキシ―(武道館)、5月にブルー・オイスター・カルト(厚生年金)とナザレス(渋谷公会堂)、それにUK(青年館)、6月にスコーピオンズ(サンプラ)とUFO(サンプラ)に行ってるわ。
ガールフレンドもいなかったので、とにかくお小遣いはすべてレコードとコンサートと化したね。

このロキシ―よりも77年に単独で来日して中野サンプラザで観たBryan Ferryの方が何倍もよかった。
何たってメンバーがすごくて、Chris SpeddingにPhil Manzanera、Paul ThompsonにJohn Wetton。Andy McKayもいたような気がするな。メンバーはほとんどRoxyだったけど、おもにBryan Ferryのソロの曲を演奏した。

この年のこのロックバカ少年(もしくはバカロック少年)の行動を顧みると…1月にエアロの初来日(武道館:前座はBow Wow)、3月にキッス(武道館:前座はBow Wow)、4月にローリング・ココナッツ・レビュー(晴海貿易センター)、6月にブライアン(サンプラ)とロイ・ブキャナン(後楽園ホール)、9月にイアン・ギラン・バンド(武道館)、11月にサンタナ(武道館:後出)に行ってる。15歳の時だ。

残念ながらDeep PurpleもLed ZeppelinもJeff Beckも見ることができなかった。エラそうなことは言えない中途半端な世代なのさ…もう5.6年早く生まれていればナァ。
でも、プロギタリストになることを夢見ていた。いい時代だった。

下はRoxy来日公演のプログラム。Ws_img_1045_2ちょっとRoxyをやったついでにサディスティック・ミカ・バンドをやっておこう。
最近は世界も狭く小さくなって、日本のバンドがホイホイ海外へ出かけて演奏するようになった。

一方、ミカ・バンドはアニメやゲームの力も借りずに40年も前に自分たちの音楽だけで本場で勝負した日本で最初のバンドだ。
ホラ、おなじみの『黒船(Black Ship)』も今は亡き加藤和彦さんとミカさんが涼しそうに空を飛んでいて季節は「夏」を感じさせるでしょ?冬じゃ寒くてこうは飛んでいられない。Bs1972年、ロンドンのケンジントンに移り住んだ加藤和彦は当時隆盛を極めていたT-RexやDavid Bowieに大きな影響を受け、日本で同様のバンドの結成に取りかかる。
加藤和彦、ミカ、つのだ★ひろ、高中正義というオリジナル・メンバーで1973年に「サイクリング・ブギ」をリリース。その後、ドラムが高橋幸宏に代わり、小原礼が参加しアルバム『サディスティック・ミカ・バンド』を発表。このアルバムはイギリスでもHarvestレーベルから発売された。

加藤さんはそのアルバムをMalcom McLaren(New York DollsやSex Pistolsの仕掛け人)に送ったところ、それがBryan Ferryの手に渡った。

そして、Chris Thomasのプロデュースのもと、『黒船』がイギリスでレコーディングされる。Thomasはその時にプロデュースしていたBad Fingerの『Wish You Were Here』にミカをナレーションで参加させた。「Know One Knows」という曲の中で、Pete Hamの歌詞を日本語に訳したものだ。この曲は日本でのみシングル・カットされた。
ナレーションは「誰も知らない、誰も知らない」と極単純なものだが、日本語などまったくわからないであろう英語圏の人たちにとってこのパートはすごく印象的なものであっただろう。
さすがChris Thomas。
久しぶりに聴いてみると、私の中では完全にAreaの「Luglio, Agosto, Settembre」の冒頭の「ハビビ…」というアラビア語と同じに聴こえた。
さて、今井裕を迎えて発表した『黒船』は日本ではヒット。イギリスでは評価は高かったもののセールスは振るわなかった。

ベースが後藤次利に代わり、再度Thomasのプロデュースの元、サード・アルバム『Hot! Menu』を発表した1975年には人気番組The 『Old Grey Whistle Test 』に出演。

この番組は1971~87年の間、イギリスBBC2で放映された音楽番組で新人アーティストの登竜門であった。
番組タイトルにある「The Old Grey」とは、ロンドンの音楽出版社がひしめくエリアで働くドアマンやメッセンジャー、ポーター達の総称だ。
音楽出版社のスタッフは新曲がヒットするかどうか彼らを使ってテストしたという。
つまり新曲を数回「The Old Grey」に聞かせる。そして、彼らがすぐにメロディを口笛で吹けるようであれば、それは耳馴染みがよく、曲がよい証拠に違いなく、「ヒットの可能性大」ということになるワケ。
すなわち「The Old Grey」たちへの口笛のテストだから「The Old Grey Whistle Test」だ。

ミカ・バンドの出演時、その番組名のバックドロップがワザワザ「The Old Glay Whistle Test」にアレンジされたという。「Grey」を「Glay」に…もちろん、これは日本人は「r」と「l」の発音の区別ができないというジョークだ。
これが国営放送の番組がやることだからね~。ホントおもしろい。でも大きなお世話だ!

ミカ・バンドは番組で「Time to Noodle(Wa-Kah! Chiko)」と「Suki Suki Suki(「塀までひとっとび」)」を演奏した。
その後、ミカ・バンドはRoxy Musicの前座として全英をツアー。サディスティック・ミカ・バンドは全英をツアーをした最初の日本人でバンドとなった。1975年のことである。ノーギャラだったらしい。

このツアー中、ロンドンの10月17&18日のWembley Arena(当時Wembley Empire Pool。私が持っている東芝EMI製のCDは「TEMBLEY EMPIRE POOL」と誤植されている)と14&15日のマンチェスターBelle Vueの演奏が下の『Mika Band Live in London』に収録されている。それが下の作品。
ジャケットの写真は加藤さんが冬の出で立ちで今回の特集にはそぐわないが…。

Wembley ArenaはMarshallの創立50周年を祝うコンサート『50 YEARS OF LOUD LIVE』が開催された場所だ。ああ、私もミカ・バンドのメンバーと同じ楽屋の廊下を歩いたのかと思うと感無量だ。

日本の文化を盛り込むことによって奇を衒うことなく、完全アウェイで自分達流に向こうの音楽をそのまま演奏して成功したミカ・バンドとかLOUDNESSのようなバンドを本当に尊敬するね。
しかも、今ではやや柔らかくなったが、イギリスの連中は「自分たちのロックがこの世で一番!」という感覚がメチャクチャ強く保守的だ。そこに40年も前に風穴を開けたのだからスゴイ。

ミカ・バンド自体が「黒船」だったのだ。

それと、イギリスでの演奏体験を通じ加藤さんはPAの重要性をイヤというほど思い知り、日本へ帰って来てPAの専門業者を立ち上げたという。今ではPAを取り扱う音響会社がたくさんあるが、この加藤さんの会社が日本で最初のPA業者だという話しを聞いたこともある。

「帰って来たヨッパライ」は私が最初に買った(買ってもらった)レコードだと記憶しているが、この大ヒット曲は加藤和彦の才能という氷山のホンノ一角でしかなかったのだ。

Lil1976年のGongのアルバム『Shamal』。Gong創設者、David Allen抜きの作品。プロデュースはNick Mason。
このあたりのGongの区分けがどうなっているのかサッパリわからんが、サウンド的にはいわゆるPierre Moerlen's Gong的。凡庸なAOR風な部分を除けばヴァイブラフォンやマリンバがタップリ入ってかなりカッコいい。『Expresso II』的とはまた違う味わいですな。

「Bambooji」という曲では「さくらさくら風の和的メロディがフィーチュアされる。「竹寺」?鎌倉の「報国寺」?
ん~、なかなかにヒドイ。中国風になったり、チャランゴが入ってフォルクローレ風になったり、一体どうなってんだ、コレ?こんなことしなきゃいいのに…。

ジャケットは「夏」というより、どちらかというとただ「暑い!」って感じ?

Mjg_sm_img_0912_2

Brand Xのことは『SFジャケット』の<中編>に記しておいたのでそちらもご参照願いたい。
これは1977年に発表された2枚目の『Moroccan Roll』。タイトルは「More Rock 'n' Roll」のダジャレ。ジャケット・デザインはひと目でわかる通りHipgnosisだ。
これは「夏」かな?「Hot-Hotter-Hottest」の3種類の季節しかないエリアのだからね、一年中「夏」でもあるし、反対に特別「夏」があるワケでもなさそうな感じだ。

内容の方は中近東サウンドとロックを融合させたつもりらしいが、そうかな~。民族音楽臭はかなりうすい。
それにしても、こうして聴いてみるとJohn GoodsallってMcLaughlinに似てると思わない?
Mjg_sm_img_0919_2

ここでSANTANAを取り上げるのは初めてかな?
これもひと目でわかるジャケットデザインは横尾忠則。
横尾さんは以前に日本でのライブ盤『Lotus』の多面ジャケットを手掛けている。
今回は偶然Miles DavisとSantanaが登場しているのでそのお話を最後に…。

1.『Lotus』が発売になるにあたって何かの機会にCarlosがMilesにそのジャケットを見せた時のこと。
「イヤ~、ディヴィスさん、コレ、今回の私の3枚組のライブ・アルバムなんですよ。ちょっとジャケットに凝りましてね、ホラこうして、こうして…22面体なんですよ。ハハハ、くだらないでしょ、こんなのきっとバカバカしいと思いますよね~、ディヴィスさんともなると…」とへりくだって見せたかどうかは知らないが、熱心にそのジャケットに見入るMilesの口の端からはヨダレが垂れていたという…「いいナァ~、コレ」って。ナベサダか?!(←これは古い!)

2.この時の話しかどうかは知らないが、Carlosが尊敬するMiles Davisにお気入りのペンダントをプレゼントした時のこと。
「あの、ディヴィスさん、もしよろしければこの私の大切にしているペンダント受け取っていただけませんか?」
あのしゃがれ声で…「いいのかいサンタナくん。コレはキミがとても大切にしているものなんだろう?」
「イエイエ、ナニをナニを、、私が心から尊敬するジャズの巨人に受け取って頂けたら本望です!」とへりくだって言ったかどうかは知らないが、そのペンダントが気に入ったのか、熱心に見入るMilesの口から出た言葉は…。
「サンタナくん、貰いっぱなしじゃなんだから、キミ、よかったら表にある僕のフェラーリ持ってっちゃってくれないか?」

ま、ホントかどうかは知らないけど、ホントの話しということにしておきたい話しだ。
某漢方薬会社の元社長さんが中古レコードを見に行って、欲しいものが何枚か出て来た。それ以上レコードをチェックするが面倒なので、レジで「あの、この店1軒ください」と言った話しとかね。コレはウソらしい。
でも、こういうスケールの大きい話しは大好きだ。

それとどうしてもまた触れておかなければならないのは「Europa事件」。これで哀愁も吹っ飛ぶぞ!
他の記事の再録になるが、ドラムの岡井大二の話し…このSantanaとTom Costerのペンになる「Europa」は邦題が「哀愁のヨーロッパ」になっとるが、「Europa(エウロパ)」というのは木星の衛星のうちのひとつで、「ヨーロッパ」とは関係ない。
そもそも「Europa」と「Europe」でつづりが違うのだ!「当時、このエウロパは地球に似た環境を持ち、もしかしたらそこに住むことができるかもしれない」ということがわかり、それをイメージして作られた曲なのであ~る。

それを当時の日本のレコード会社の担当者が「ハイハイ、ヨーロッパね。哀愁のメロディだナァ」と勝手に思い込んで「哀愁のヨーロッパ」にしちゃったのだ…という。以上大二さん。

そうだよね~。そういわれてみればそうだ。Santanaを熱心に聴いたことがないもんで、恥ずかしながらこれは気がつかなんだ。このレコード会社の人、後で恥ずかしかったろうナァ~。完全に取り返しがつかないもんね。

真相を尋ねたら「イヤ、これはあくまで邦題であって衛星とは関係ない!オレのイメージじゃい!」って開き直るだろうナァ~。でも、真相を知っても我々日本人は「この曲=ヨーロッパ」というイメージが払拭できないのではなかろうか?私も曲名を指すときにほとんど100%原題を使うが、この「哀愁のヨーロッパ」だけは「哀愁のヨーロッパ」って呼んできた。そこにこの曲の落とし穴があったワケだ。もし、原題を使っていればもっと早く気がついたと思うんよ…ま、どうでもいいか?
しかし、みなさんはこの曲を聴いてヨーロッパのどこを連想しますか?少なくともロンドンはないな~。

ちなみに木星の衛星というとイオ、ガニメデ、そしてこのエウロパあたりが有名か?66個もあるんだって!地球なんて1個だけなのに。太陽系の中でもっとも多くの衛星を持つ惑星は土星だったが、発見が相次ぎ木星が今一番多いのだそうである。

…お後がよろしいとうれしいな…。
Mjg_sm_img_0935_2
私はSantanaを聴かないが、先に記したように中学3年の時、武道館に観に行った。これがその時のプログラム。『Moonflower』の発表直後だったんだね。
あのね、さんたなだよ…。チャウチャウ、あのね、ものすごくヨカッタんですよ。本当に感動した。私の外タレコンサートの人生ベスト5に入るね。

Ws_img_1044プログラムの中からこんなの出て来たよ。
Scorpionsの2度目の来日の告知チラシ。ナニナニ「元UFOの名ギタリスト、マイケル・シェンカーが来る!」だって?

サンプラへ行ったけどね、思いッきし来ねーんでやんの。UFOでも来なかったし、結局私は一度も本物のMichaelを観たことがないのです。

Th_img_1245<後編>につづく

ミュージック・ジャケット・ギャラリーはどなたでもご見学が可能です。

詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本項の展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

(文中一部敬称略 ※協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )





2013年9月 3日 (火)

【Music Jacket Gallery】サマー・ジャケット特集<前編>

夏生まれの人は夏を好む…。

コレ、よくいうでしょ?ホント、間違いないと思う。少なくとも11月生まれの自分は夏が苦手だ。
もう今年はマイりにマイっちゃってる。

それでもね、小学校の頃は夏が好きだったんよ。プールの王者だったから。
朝、公園にラジオ体操に行って、午前中チョコッと宿題をやって、学校のプールで大暴れする。お昼前に家に帰るとお母さんが手作りのフライドチキンを用意してくれていて、クーラーのきいた部屋でそれをいただくのが夏の最高の楽しみだった。
いつから夏がキライになったかナァ?
中高と男子校に通っていたんだけど、体育の授業の後のあの凄まじいニオイで夏がイヤになったのかも…。エアコンなんてまったく付いてなかったもんね。それにしてもあの暑い中、よくも運動なんかやってたよナァ。
今はどうなんだろう?夏は体育館で体育の授業やるのかな?さもないとみんな熱中症でブッ倒れちゃうもんね。

ゲリラ豪雨やら竜巻やら、本当にヒドイ気候になってしまった。このカテゴリーで「利便性の進化が風情を奪う」と書いたが、どうも「風情」どころの話ではなくなってしまった。何とかしないと!
Mjg_sm_img_0805

さて、今回のミュージック・ジャケット・ギャラリーは夏にちなんで「サマー・ジャケット特集」をお送りする。
サマー・ジャケットか…。これでも昔はお堅い会社でサラリーマンをやってましてな、夏でも毎日ネクタイを締めてサマー・ジャケットを携行してたもんですよ。「クール・ビズ」なんてのは全くなかった時代…。もうできないな…。

「夏」をイメージするジャケットか…個人的には、ん~、考えたことないナ。果たして約120枚も集まるのか?

Mjg_img_0812_2 ところで、今回紹介するアイテムは前回同様、昨夏に展示されたものだ。1年遅れの記事になってしまい大変恐縮だが、「夏のことは夏のうちにやってしまおう!」とほぼ一気に書き上げた。

苦手な夏のこと、アイテムを絞って簡素に仕上げようと思ったが、取りかかってみると例によって
これがまたおもしろくて筆が止まらず、結果的に2本立では窮屈なボリュームになってしまったので、3本立てで構成することにした。

しかし、30cm四方に描かれた「夏の世界」をも広げてしまう無限の芸術。やっぱりジャケットはおもしろい。
では、タオルの用意はよろしいか?ジャケットの中の夏へイザ行かん!

Mjg_img_0811_2 今回ブローアップされたジャケットはThe Beach BoysとIt's a Beautiful Day。
手法も雰囲気もまったく異なれど、どちらも「夏!」を連想させずにはいられないデザインだ。

Mjg_sm_img_0816

いいよナァ。海とサーフィン、カッコいい車に可愛い女の子、カリフォルニアの陽の光、冷えたバドワイザーにしぼりたてのオレンジ・ジュース…。

初めてカリフォルニア…というよりアメリカに行ったのは新婚旅行だった。アッという間の出来事で、おまけにパック旅行だったので西海岸の表面をツラっとなめるだけの体験だった。

それから大分経って職を変え、仕事でまたカリフォルニアを訪れた。
オフにはサンタモニカに在住する家内の友人(これがまたものすごい美人!)に周辺を案内してもらい、アパートを訪れ、夜にはご主人がハリウッドのジャズ・クラブに連れて行ってくれた。
その日、ステージに上がっていたのはトロンボーンの名手、Bill Watorusだった。
休憩時間にはBillと直接話しをすることができ、彼はたくさんの日本語の単語を知っていて驚かされた。それもそのハズ、お嬢さんが宮崎出身の方とご結婚されていて、日本にも頻繁に訪れていたのだ。

サンタモニカ・ビーチの陽光は明るく健康的すぎて、自分にはどうも似合わなかった。何となく引け目を感じてしまうのだ。でも、映画『ハリーとトント』の最後のシーン辺りを見るとカリフォルニアもイイ感じがするんだけどね。

一方…

夏でも朝晩には暖房が必要な寒冷な気候、毎日数回必ず降り注ぐ雨、産業革命にマズイ食い物、ひと吸いずつチビチビ飲む重いエールにマーマイト(正直、コレは食べれません)…ああ、いいナァ、ロンドン。やっぱりロックはブリティッシュに尽きるナァ。

でも、The Beach Boysはよい。音楽的によい。…といってもそんなこと思うようになったのはごく最近のことでしてな。
ま、始終聴いているワケでは決してないが、なんとなく「ボーっと気持ちいい曲が聴きたいナ…」なんて時に引っ張り出してくる。

でも、聴くのは『Pet Sounds』ばかりなんだけどさ。
よくBoxセットで未発表テイクだのなんとかミックスだのを突っ込んで4枚組とかで売っているのあるでしょ?Miles Davisによくある『コンプリートなんとか』ってヤツ。
アレ、せっかく買っても全部聴くことって私はほとんどないんだよね。
でも、試験の前に資料が揃っていないとやたら不安になってしまい、読みもしないクセに友達のノートを山ほどコピーさせてもらう…みたいな感覚でつい買ってしまう。

『The Pet Sounds Sessions』ってのはナゼかペロッと聴いちゃったな。すごくおもしろかった。特に私なんかはあのギターのパートをBarney Kesselが弾いているのかと思っただけで興奮しちゃったりしてね。

他にもひと通りThe Beach Boysのアルバムは揃っているけど、初期のはもうあんまり聴かないナァ。

それにしても魅力的なジャケットですナァ。素晴らしい構図だ。
Mjg_sm_img_0831
これは83年に発表されたレア音源集。当時は今みたいに未発表音源やらレアトラックだのが出回っていなかったのでファンの人たちは大層喜んだそうな。

そういえば、30年以上前、サーフィンというか、サーフィン・ファッションってのが流行ったね~。サーフィンというのは日本人にもっとも似合わない西洋の遊びという感じがするけど、ファッションは結構お世話になったな。
高校の時、学校のひとつ上の学年の人が、サーフィンをしていて倒れた瞬間にサーフボードの先が目に当たり片目を失明するという事件が起こった。
このことは多くのサーファーに注意を喚起するため、若者のファッション誌で報道されていたのを覚えている。
たまたまその先輩を知っていてので、その時のこと聴いたことがあったが、ボードが眼窩にはいり目玉が身体から出て行くのがハッキリとわかったそうだ。そして、次の瞬間、「目玉、オレの目玉!」と海水の中を手でまさぐったらしい。

すいません、ノッケから物騒な話しで…。

Mjg_sm_img_0833

ね、やっぱりThe Beach Boysはコレだよね~。見るからにゴールデンベスト!新橋の地下コンコースでよく見かけるような…。
『Sunshaine Days  Surfin' with The Beach Boys』だって。
そうは言ってもメンバーの中でサーフィンを実際にやっていたのは末弟のDennisだけだったとか…。

Mjg_sm_img_0856

こっちは車。『Summer Cruisin'  Hot Rod with The Beach Boys』だ。
ジャケット的には…ま、夏?それ以外ナニもないな~。

明るく楽しいビーチ・ボーイズ。でも、いくつかの関係書籍に目を通すと、「西のファニカン、東のキャロル」のようにThe Beatlesの向こうを張った単なる能天気なスター・グループではないことがわかる。
Willson兄弟の生い立ちやBrianの健康、『Pet Sounds』以降の大不振、CarlやDennisの死等々、知れば知るほど暗い雰囲気が漂っているように見えて来る。

にぎやかに楽しく「♪一切合財USA」や「♪ヘッミロンダ、ヘッヘッミロンダ」もいいが、こうした暗い部分を読み説きながら彼らの美しいハーモニーに耳を傾けるのもひねくれた私のThe Beach Boysの楽しみ方だ。

それと、初期においてかなり多数の作品が3コードで書かれていることも今となっては注目すべきだ。ここでいう3コードというのは、「ブルース形式」だけに限っているワケではない。単純にトニック、サブドミナント、ドミナント・コードの組み合わせにメロディを乗せ素晴らしく味わい深い曲を作るのだ。ロックは本来こういうものだと思うよね。

私的にこの手法で書かれた日本のロック曲の最高峰はサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシーン」におねがい」だ。ブルース形式ではないが、A(トニック)とD(サブドミナント)とE(ドミナント)の組み合わせだけであれほどカッコいい曲が出来上がる。シンプルだからこそカッコいいとも言える。

今、世の中に流れているロック調の曲は、こうした感覚が極端に希薄だと思う。我々世代にはいくらバンドの形態を採っていてもロックに聞こえない理由のひとつなのかもしれない。

ダイアトニック・コード(ひとつのスケールから派生するコード群)というものは必ず機能的にトニック、サブドミナント、ドミナントに分類されるので、最後にはどんな曲でも基本的には3つのコードで作られているといえるが(例外もあり)、ここで言っていることとはワケが違う。

ロックの曲が持つパワーのようなものは、こういうシンプル性(simplisity)から生まれるもので、その礎はまぎれもなくブルースだ。先に書いた「ブギやシャッフルが絶滅する」という話しとからめて、テレビから流れて来る音楽に耳を傾けながら、楽器を演る人もそうでない人も皆さんで考えてみるといいと思う。

The Beach Boysでもうひとつ…『Live in London』という1969年のライブ盤は実にハツラツとした演奏で私の愛聴盤のひとつなんだけど、60年代の後半にはアメリカでは悲惨な状態だったこのバンドがイギリスでは王様状態だったのだからおもしろい。
アメリカでは酷評された『Pet Sounds』がイギリスのチャートの2位をマークしている。確かにこのアルバムを聴くとその熱狂ぶりがわかる。
いつもはアメリカ人のこと色々と悪く言うクセに…やっぱりカリフォルニアの陽光がいいんだね?イギリス人には家の中でジッとしながら聴くプログレとハード・ロックが一番お似合いだっつーの!

Mjg_sm_img_0858
The Beach Boysをさらにもう一枚。1979年の『L.A.(Light Album)』。

レコード会社を移籍したThe Beach Boysが前会社との契約を解消するためのアルバムにストックしていた曲を使い果たしてしまったために、このアルバム用の曲が足りなくなってしまった。スタジオに入りレコーディング作業を進めたがよい結果が出ず、Bruce Johnstonをプロデューサーとして呼び戻して七転八倒の末作り上げたものの、セールスも思わしくなく評価も低かったというアルバム。

そーかなー。ま、私なんか特段深い思い入れがこのバンドにないせいか、別に「ヒドイ」とは思わないナァ。どの曲もなかなかいいと思うんだけど…。
ただ、大活躍しているDennisの声が気になりがちかな?MikeとCarlの声こそが私にとってはThe Beach Boysのイメージなのでちょっと違和感が…。例えて言うなら円楽(先代)の落語みたいな…要するに立派過ぎちゃうのね。そこへ行くとCarlの声は小朝だ。

それより気になるのはタイトル。「Light Album」というところではなく、カッコ。カッコのことは英語でParenthesis(パレンセシス)、もしくはRound Bracketsというが、私が知っている限り、西洋の人はあまり使わない。イギリス人はちょっとした注意書きを添える場合に使うこともままあるが、それでも日本人ほどではない。
特にアメリカの人との文通でカッコを使っているのをほとんど見たことがない。
それがこのアルバムのタイトルにガッツリ入っているのが個人的におもしろい。

Paul McCartneyのベスト盤なんかもそうだけど、ジャケットは収録曲のイメージをイラスト化したものが並んでいる。楽しいイラストだ。で、左下に日本髪を結った女性のイラストがあるでしょう。右にはタテにこの曲のタイトルが記してある。何て書いてあるのかというと「SUMAHAMA」。
「砂浜」じゃないの?「砂浜」。実際にこの曲には日本語で歌われているパートがある。

しかし、1979年にもなって「砂浜」で「芸者」だよ。ん?、待てよ、コレってまさか『金色夜叉』か?
(歌詞を確認…)
違った。でも「♪Sumahama In the autumn as the leaves are falling」という箇所が出て来て思わせぶりだったりして…紅葉だもん。
これはMike Loveの作曲なんだけど、我々の感覚では「砂浜」に「落葉」っていうイメージは絶対に重ならないよね?

…とココまで書いて気がついた!これは「砂浜」の誤謬ではなくて、神戸の「須磨」の浜、すなわち「須磨浜」だということね!アブねーアブねー。一気にロマンが去ってしまった…。なぜ須磨なのかはわかりません。
まだ上の子が小さい時、須磨の水族館って行ったナァ~。

歌詞の内容はちょっぴり悲しい恋の歌なんだけど、この芸者のイラストはないでしょうよ!1979年でも日本のイメージといえばコレだよ。このステレオタイプは何とかならんもんかね?恥ずかしいわ。
この歌でおすもうさんのイラストよりはまだいいか?
Mjg_sm_img_0895_2

「ジャケット名作選」的な企画では必ずと言っていいほど上位に選ばれる名ジャケット。

It's a Beautiful Dayは1967年デビューのサンフランシスコ出身のサイケロックバンド。もう名前からしてこの時代のサイケ精神を象徴している。
これは1969年のファースト・アルバム。やはりこの時代の作品らしく、一番有名な「White Bird」なんて曲はJefferson Airplaneみたいに響く。
でもこちらはヴァイオリンがガッチリ入っちゃってこっちの方が全然いいな。(Jeffersonも後年、Papa John Creachという黒人のフィドラーがカッコよかったけど…)

でもマーブロ読者の皆さんが注目すべきはこの曲ではない。このアルバムに収録されている「Bombay Calling」という曲だ。
これははDeep Purpleの「Child in Time」の原曲。ま、ハッキリ言ってまったく同じと言っていいでしょう。結果的には両方カッコいいだけどね。
どこかの国の国民的バンドと呼ばれているグループと違ってこういう改作は大歓迎だ。

さて、ジャケット。
この絵は家事に関する雑誌のためにkent Holisterという人が1900年頃に描いたもの。
コレ完全やられちゃってるよね…最近のジブリに。

本当に素敵な絵なんだけど、以前掲載したマーブロのインタビューの中で、森園勝敏さんから聞いた話では、この絵はMaxfield Parishというアメリカの画家の絵が元になっている。そして、そのMaxfield Parishの作品に出て来る女性が「Lady Violetta」という。
もちろん森さんはこの絵にインスピレーションを受けて、歴史に残る名曲「レディ・ヴィオレッタ」を作曲した。この曲は一般に「レディ・ヴァイオレッタ」と呼ばれることが多いが、正しくは「レディ・ヴィオレッタ」だ。

ついでに言うと、Boz Scaggsの1971年のアルバム『Boz Scaggs & Band』の中の「Here to Stay」という曲。コレ、キーとコード進行が森さんの「Lady Violetta」と同じなのだ。
キーはD。IIm7-I△7を繰り返して4度進行。GからGmとサブドミナント・マイナーに突入。IIIm7からIV7に入りIIm7にドミナント・モーションして頭に戻る…みたいな。まったく同じ。
「Lady Violetta」が収録されている『ゴールデン・ピクニックス』の発表は1976年なので、四人囃子の方が後追いになってしまうのだが、森さんはこの曲を全然知らなかったそうだ。
イヤ、仮に森さんが知っていたとしても、このコード進行にあの美しいメロディを乗せることがスゴイ。こっちの方がスゴイかも知れない。何しろ大名曲だからね。
私はもうギターを根詰めて弾いてはいないが、この曲だけはいつか人前で弾いてみたいナ~。森さんが相手じゃあまりにも図々しいので、相棒はお弟子さんの関ちゃんがいいな~。

え、ところで囃子とボズ、どっちの方がいいかって?訊くだけヤボヤボ!「Violetta」に決まってる!だって「Violetta」はいつだって私の好きな日本のロックの曲の上位に君臨してるんだもん!

Mjg_sm_img_0835
Judas Priestは中学の時、NHK FMの渋谷陽一の『ヤング・ジョッキー』という番組で初めて聴いた。「The Ripper」だった。ショックだったね~。『Sad Wings of Destiny(運命の翼)』が新譜として紹介されていたから1976~77年ぐらいのことか…。
こっちはThe BeatlesとかよくてTodd Rundgrenぐらいしか知らなかったので「こんなんあるのかよ?」って腰を抜かした。
その2年前のJudas Priestのデビュー・アルバムがこの『Rocka Rolla』。

やっぱ暑いときはコーラか?そういえば昔はビンのフタを「王冠」なんて呼んでたな。「王冠いくつ送れば抽選で○○プレゼント!」なんて言ってた。アレ、言わなくなったね。

JudasはMarshallの大切なアーティストだ。でも、4枚目の『Stained Class』までしか聴かなかったな~。何か、この頃には「Exciter」あたりのRob Halfordの声がコミカル聴こえちゃって…。「『夜の女王』じゃあるまいし、ナニもそこまで高い声出さなくても…」みたいな。
それでしばらくロックから離れている間にすっかりメタル・ゴッドになっちゃって!このバンドにも「継続は力なり」を感じるな~。素晴らしいことです。

Mjg_sm_img_0840
Free Beerというグループ。これはまったく知らないナァ。名前はありがたいんだけど…。カナダに同名のコメディ・ユニットがあるようだ。
ジャケットはソフトでいい感じ。
クレジットを見ると、ドラムがBernard Burdieで、サックスではBob Mintzerなんかが参加していておもしろいので取り上げてみた。
Mjg_sm_img_0842
ホルヘ・サンタナ。「サンタナ」って言うぐらいのギタリストだからカルロスの兄弟に決まってる。
この人は「麿」じゃない、「Malo」というサンフランシスコのグループで活躍した人。ちょっとゴメンナサイ、アタシャこのへんは門外漢。

ま、夏なんでしょうね、パンツ一丁で涼しそう!これにもうちょっと気合を入れると…

Mjg_sm_img_0846
HipgnosisのMontroseになる。
ん~、確かにこっちは「夏」というイメージは皆無だな。

Jump Isotopeはイギリスのジャズ・ロック・グループ。
コレ持ってたんだけど見つからなかったナ…ということで他のアルバムを久しぶりに聴いてみる。

ギターのGary Boyleという人が中心人物なんだけど、この人インド人なんだよね。インド音楽系の人、つまりラヴィ・シャンカールとかトリロク・グルトゥとかザキール・フセインとかパンカジ・ウダースとか、そういう人以外でポピュラー・ミュージックのフィールドで活動していた人と言えば、このゲイリー・ボイルと「インド人チャダ」ぐらいしか知らんもんね。ゲイリーは後年、山岸潤史さんのソロ・アルバムで客演してたりした。

Mjg_sm_img_0852

これは裏ジャケ。左上の人がGary Boyle。
とにかくギターの音が…。「何でこんなに歪ませてんの?」と思わず驚かざるを得ないぐらいコシのない音。今時、高校生でももっといい音出しまっせ。
それに意味のない上辺だけの速弾き。初めて聴いた高校の時は「お!」と思ったけどな。McLaughlin気取りなのかも知れないが、全然違う。ちょうどジャズとロックの間の中途半端なところにハマっちゃってる感じ?

さて、ここらへんでソロソロ褒めてあげないといかんな…。

ん~、しかしつまらん。問答無用で曲のクォリティが低い。時代的にいってもマハビシュヌを狙っていたんだろうな。The Mahavishunu Orchestraは今聴いても何ら文句はないが、このIsotopeときたら…古い。
でも、ナゼか何枚か持ってるんだ~。

ちなみにIsotopeにはSoft Machineのベーシスト、High Hopperも一時参加していた。

インド人ついでにチョット書くと、大分前に安かったもんで『インド古典パーカッション―超絶のリズム』とかいうCDを買った。「南北インド音楽のマエストロ達が繰り広げる興奮のリズム・バトル」っていうんだけど、特にバトルのところは興奮せなんだ。
ところが巻末にザキール・フセインによる、タブラのデモン ストレーションっていうのが収録されていて、これが滅法カッコいい。とても人様にはオススメできないが、何の情報もなく捨て身で勝ったCDにこういう演奏 を発見するとうれしくなる。


Mjg_sm_img_0855

Elephants Memoryは他の機会でもかつて取り上げたことがあったが、60年代後半に活躍したニューヨークのバンド。

見るからにヒッピーですナァ。夏でなきゃこんな恰好はできまい。象も気の毒に…。

このバンド、ジョン・シュレシンジャーの『真夜中のカウボーイ』のサウンドトラック盤に「Jungle Gym at the Zoo」と「Old Man Willow」という曲を送りこんでおりゴールド・ディスクをゲットしちゃってる。

さらに、JohnとYokoのバックを務めたことで知られている。『Some Time in New York City』というJohnの2枚組のアルバムあるでしょ、新聞のジャケットのヤツ。あれの1枚目で演奏しているのがこのバンド。演奏はフツーにうまい。ま、John Lennonのバックを務めるぐらいですから。
Mjg_sm_img_0861

ちなみにこの『Some Time in New York』のC面はロンドンはコヴェント・ガーデンのはずれ、フリー・メイソン本拠地近くののライセウム・シアター(Lyceum Theatre)でのライブ(全然ニューヨークじゃない)。収録は1969年12月15日、ユニセフのチャリティコンサートだった。

そして、D面は1971年6月6日、The Mothers(この時分はMothers名義) とのFillmore Eastでの演奏が収録されている。

一方、The Mothersはこの時の演奏を『Fillmore East -June 1971』と題するライブ・アルバムで1971年8月にリリースしている。コレ、収録してからたった2か月でレコードにしちゃってる!

以前にも書いたが。私は基本的にジャケ買いをしないが、この『Fillmore East -June 1971』はCal Schenkelの鉛筆書きのジャケット・デザインが妙におもしろくてつい買ってしまった。
今から36年前のこと。初めてのZappaのレコード。そこから私のZappa道が始まった…ま、コレは余談。

で、この写真を見ていただきたい。
後ろはさっきから何回も出て来ているJohn Lennonの『Some Time in New York City』。
それで向かって右は私が惹かれたCal Schenkelによる鉛筆書きの『Fillmore East -June 1971』。
向かって左は『Some Time in New York City』の内袋。インナースリーヴっての?そう、『Fillmore East -June 1971』のパロディになってる。

赤字で書いてあるのは、上から…
John and Yoko presents.....'live jam'
PLASTIC ONO BAND! & John and Yoko with→The MOTHERS

と来て、

Lyceum London Dec 1969と記されている。
つまり、
『Fillmore East -June 1971』のデザインを借りて、ちゃっかりLyceum Theatreのライブ盤のジャケットを作っちゃっているワケですな。

まだ話しは終わらない。Zappaにはファンなら誰でも知っている『We're Only in it for the Money(1968年)』というアルバムがある。このアルバムのジャケットは『Sgt. Peppers Lonly Hearts Club Band(1967年)』の悪趣味なパロディなのだ。
そう、ジョンはこの『Some Time in New York City』でふざけて仕返しをしたに違いない。

Mjg_img_0578
これがLyceum Theatre。
もうずいぶん長いこと『Lion King』がかかっている。
この劇場は数々の名演を生んでいるが、名盤の誉れ高いBob Marleyの『Live!』もそのうちのひとつだ。詳しくはそのうち『名所めぐり』でやります。

Mjg_img_0475_1これがそれぞれの裏ジャケ。
おもしろいのは徹底して元の表記を利用しているところで、メンバーのクレジットはもちろん、スタッフのクレジットもEngineerやRoad Manager等の担当職名はそのままに、固有名詞だけバンバン赤ペンで書き変えている。

それとJohnらしいのは、下のところ。Zappaが色々な出版刊行物に刷り込んでいた「Don't forget to register to vote」という選挙権登録のための標語の上に丸々「War is over if you want it J.L. Y.O.」と上書きしてしまった。
これは文字通りの意味なんだろうけど、「if you want」というところから、「もしよかったら、もうこれでジャケットのパクリ戦争は止めよう」と言っているように想像するのはどうだろうか?

加えて、当時の国内版配給会社であったワーナー・パイオニアのクレジットまで鉛筆書きになっているところがうれしい。ただし、「¥2,300」という定価表示は活字だ。

ジャケットはおもしろいね~!見たか音楽配信!キミにこんな芸当ができますか?ってんだ!!

Mjg_img_0581Fleetwood Macの1987年の『Tango in the Night』。大ヒット作『Rumours』の黄金メンバーによる最後のアルバム。1,200万枚も売れたんだって!
Macも統一感は皆無にしても、ブルース時代からなかなかにいいジャケットが揃ってる。
それにしても、ブルースやめてヨカッタね~、このバンドは。
Mick FleetwoodはMarshallのドラム・ブランド、NATAL(ナタール)のパーカッションを愛用していた。

Mjg_sm_img_0893_2

Pabro Cruiseは思い出があるよ。
もちろん私はPablo Cruiseなんてガラではない。
でも彼らのレコードは買ったことがある。『Reflector』とかいう81年のアルバム。今の家内にプレゼントしたのだ。「今の」って言ったって、今も昔も変わらないのだが…。32年前か?

アレは誕生日だったのかな?彼女はレコードを袋から取り出すと大喜びしながら、「アッ!」と小声を出す私に気づかず、私の見ている前で人差し指を帯に引っかけ、何のためらいもなくブチっと引きちぎってしまった。

「え、帯要らないの?」

「うん、だってジャケット全部見えないジャン?」ハマ生まれハマ育ちの彼女はピュアな横浜弁でそう答えた。

別にこっちもいつも帯欲しさにLPやCDを買ってるワケじゃないけど、やっぱり最初っから付いているものはそのままにしておきたいジャン?
もし中古レコードで帯のあるのと帯のないの、同じ値段だったらどっち買うよ?帯でしょ。

一時期、帯の付いていない中古レコードは買わないことにしていた。しかし、値段は張るし、聴きたいアイテムは買えないしですぐにギブアップしたっけ。
その点、CDはサイズが小さいせいか帯があろうとなかろうと最初っから気にならなかったナァ。
こんなところからもやっぱりLPジャケットの方が魅力的だ。

これフリチンか?(「フルチン」、「フリチン」どちらでもいいらしい)
これも「夏」としか言えないようなきもするけど、なんか寒そうだな。カメラのこっちに焚き木が用意してありそうな…。

Mjg_sm_img_0866

これは夏というかただの熱帯地方だね。つまり一年中「夏」か。
ロンドンで1969年に結成されたガーナのロック・バンド、Osibisaの1974年の6枚目(ベスト除く)のスタジオアルバム。
ジャケットはルソーのようだが違う。アンリ・ルソーの絵をまんま使ったのはThelonious Monkの『Thelonious Monk Plays the Music of Duke Ellington』。Monkはキリコの絵もジャケットに使っていることは前回書いた

象が飛んでいるOsibisaの最初の2枚のジャケット・デザインはYesやGreensladeでおなじみのRoger Deanが担当した。バンドのロゴがモロにYesっぽいのはそのせい。

ワールド・ミュージックが流行った時、サリフ・ケイタやユッスー・ンドゥールなんてのはひと通り聴いたが、正直言ってアフリカ系の音楽は得意ではなく、キング・サニー・アデだとかフェラ・クティとかどちらかというと「勉強聴き」の域を出ない。ちょっと聴くにはいいんだけどね。

で、このOsibisaってのはワールド・ミュージック・ブームのはるか昔から知っていた。1975年ぐらいのことだと思う。というのは、当時学校へ行くのに毎日朝6時ぐらいに起きて時報がわりにすぐにテレビをつけていた。
たしかNETテレビ(現テレビ朝日)だったと思うが、当時は今みたいにアナウンサーやゲストがゾロゾロ出て来るような早朝番組などなく、今でいうPVのようなものをただ流しているような簡素な音楽番組ぐらいしかやってなかった…ような気がする。

しばらくの間、その音楽番組にOsibisaのフィルムが流れていたのだ。ロックなど全然わからなかった年頃のことで「ナンダこれは?」と驚いているうちにOsibisaの名前が刷り込まれてしまったというワケ。それ以降、現在に至るまでただの一回も聴いたことがない。

Mjg_sm_img_0870

Stan Getzか…。あまり聴いている方ではないが、好きな盤は結構あるな。Jimmy Raneyがカッコいい『Stan Getz at stryvillle』の2枚とか『Stan Getz at The Shirine』とか『Sweet Rain』とか『Captain Marvel』とか…。つい2週間前も『Pure Getz』というConcord盤を買ったばかり。
ボサノバで有名なGetzだが私はまったく聴かないの。

ジャケットにGetzの顔は見れないが、かなりのハンサムで、無造作に彼の顔を撮影したカメラマンに「オレの顔をこっちから撮るな!」と怒ったとか…。フリオ・イグレシアスでもこんなような話しを聞いたことがあるが、Getzの方が先輩だろう。

『Cool Sounds』は1957年の発表のVerve盤。ジャズの名ジャケットというとBlue Noteばかりがもてはやされてしまう傾向が強いが、この時代はどこのレーベルでも素晴らしいジャケット・デザインに素晴らしいジャズを包んで世に送り出していた。

この時代のジャズのレコードのジャケットってVerveに限らず、内容とはおおよそ関係のない美人女性が登場するデザインが多かった。今はこんなこと絶対にしないよね。
それでも50年代のアメリカのパワーがアートにまで十二分に及んでいるかのようにそのどれもが魅力的だ。
Verveだったらロミー・シュナイダーを起用したOscar Petersonの『My Fair Lady』とナント言ってもBud Powellの『Blues in the Closet』だな。これは完全にジャケ買いした。
Mjg_sm_img_0871 
「Mar y Sol」というのは1972年4月、3日間にわたってプエルト・リコで開催されたウッドストック・タイプのロック・フェスティバル。
1971年から計画されたが、厄介を恐れたプエルト・リコ政府の妨害により頓挫しかけたものの、紆余曲折の末、当事者が変わって何とか開催にこぎつけた。ところが、そうした不安定な運営状態を察知したミュージシャンが出演をキャンセル。ナント開催の前日になってようやく出演者の名前が出揃ったという。

とはいうものの、出演者は今からしたら涙が出るほどゴージャスだぜ。
Emerson Lake & Palmer、Dr. John、Long John Baldry(Elton Johnの「John」はこの人の「John」だからね)、The Allman Brothers Band、The Mahavishnu Orchestra、さっそくOsibisa、Cactus、The J Giles Band、B.B. King、Herbie Mann、John Nitzinger、Jonathan Edwards…。
以上が下のライブ盤に音源が収録されている人たち。

まだいい?

その他、無名時代のBilly Joel、Alice Cooper、Dave Brubeck(なんでやねん!)、Rod Stewartなどなど。

ところがフェスティバルの方は問題だらけだった。死亡事故、殺人、数々の強姦事件が発生したのだ。プエルト・リコ政府からプロモーターに逮捕状が出たが、国外へ脱出して逮捕から逃れたという。ずいぶんゆるいな。

1969年のウッドストックの成功以来、こうした巨大屋外ロックフェスティバルがいくつも開催されたんだね。うまくいくものあったが、この「Mar y Sol」やストーンズのオルタモントのように失敗に終わった物も数多くあったようだ。

Mjg_sm_img_0875
こっちもつくづくスゴイ出演者だよね。
「Isle of Wight Festival」は元々1968年から1970年まで3年、3回にわたって開催されたロック・フェスティバルだ。

初回、1968年のヘッドライナーはJefferson Airplaneで、他の出演者はArthur Brown、The Move(いいな~)、T-Rex(Micky FinnのパーカッションもNATAL製だ)、The Pretty Things等。10,000人程度が集まる小ぢんまりしたフェスティバルだった。

それが2回目の1969年には一気に150,000人が集う巨大フェスティバルに膨れ上がる。
出演はThe Band、The Who、Free、The Moody Bluesといったメジャーどころの他に、Bonzo Dog、Blodwyn Pig、Edgar Broughton Band、Aynsley Dumbar、Fat matless(Jimi Hendrix ExperienceのNoel Reddingが参加していたバンド)、Family、デビューしたてのKing Crimson、Pentangle、Third Ear Bandなどいかにもブリティッシュな顔ぶれがそろっていた。
しかし、前年の15倍にも膨れ上がった観客のお目当てはBob Dylanだったという。
8月30日のDylanのステージの前には会場のVIP席に数々の有名人の姿があった。John LennonやRingo Starrとそれぞれの細君、Keith Richards、Bill Wyman、Charlie Watts といったThe Rolling Stones勢、Eric ClaptonやSyd Barrett、Elton Johnも…。他にもLiz TaylorとRichard Burton夫妻、Jane FondaとRoger Vadim夫妻(『バーバレラ』のコンビね)もいたそうだ。

そして1970年、5日間にわたって開催されたこのフェスはますます巨大化し、Woodstockをしのいで当時最大の動員数を記録し、ギネスブックに登録された。その数は60万人とも70万人とも言われている。
その時の模様を捉えたのが下のライブ・アルバムだ。
前年までの出演者の数々に加え。Chicago、The Doors、Miles Davis、Joan Baez、Joni Mitchell、Jethro Tull、Sly & the Family Stone、Ten Years After、Emerson Lake & Palmerなどが出演した。
しかし、こういうものはデカくなればなるほど問題も起こりやすく、そもそも10万人にも満たない人口の島に60万人もの人が押し寄せちゃったもんだからさあ大変!交通機関がスタボロになってしまった。
また、チケットは前売りされていたが、Woodstockのように結果フリーコンサートの形を呈してしまい、主催者側は全然儲からなかったそうだ。そうしてこのフェスは3年で幕を下ろした。

そしてその後、2002年に復活し現在に至っている。

開催は8月で、昼間はさぞかし心地よかったろう。
イギリスの夏はとても涼しく、ロンドン市内でも古い建物には今でもエアコンが付いていない。そりゃ昼間は暑いですよ。でも、夏は短いし、ちょっと我慢すればアットいう間に涼しくなっちゃう。
実際Marshallの工場でも窓が付いている部屋にはエアコンが全くついていないもんね。
だから、こうした夏の野外フェスティバルに適している。今でも盛んにやってるでしょ?ああいうことをしてもそんなに暑くないんですよ。
ただし、夜はキツイ。真夏でも暖房をつける時があるからね。このフェスの参加者もさぞかし辛かったと思う。
しかも、開催した日は風が滅法強く、音が風に持って行かれてしまうほどだったらしい。

Woodstockもそう。8月だというのにTen Years AfterのシーンなんかではAlvin Leeの吐く息が真っ白だ。

そこへ行くと日本の夏フェスはあまりにも過酷だと思う。アレ、なんで春か秋に開催しないんだろう?
やっぱりさ、カッコいいジャケット眺めながら、家でゴロしてステレオでいい音楽を聴くのが一番だな~。
Mjg_sm_img_0879

<中編>につづく

ミュージック・ジャケット・ギャラリーはどなたでもご見学が可能です。

詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本項の展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

(敬称略 ※協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )











2013年8月 7日 (水)

【Music Jacket Gallery】SFジャケット <後編>

今回のガラス・ケースの立体陳列は、ロック・ジャケットのアート・ディレクターとして最高峰であるHipgnosisのStorm Thorgersonが手がけたCDボックスが集結した。
やっぱり圧巻!
Mjg_st_img_5199

1968年にHipgnosisというデザイン集団を設立したThorgersonは今年     惜しまれつつこの世を去ったが、最近でもアメリカのThe Rival SonsのCDジャケット・デザインを担当するなど最後まで精力的、かつクリエイティブな活動を展開していた。
しかし、HipgnosisといえばPink Floyd。『A Source of Secrets(神秘)』から『Animals』まで、このふたつの独創的な集団はサウンド面とビジュアル面で互いにインスパイアしあい、ロックの黄金時代の一角を築いた。

HipgnosisについてはMarshall BlogでもStorm Thorgersonへの追悼の意を込め、本Music Jacket Galleryのレポートを掲載しているのでそちらもご参照されたい。

●緊急特集!Hipgnosis Collection~Progressive Rock Works

●緊急特集!Hipgnosis Collection~Hard Rock Works

掲載時、膨大な数のアクセス件数があり、改めてHipgnosisの人気の高さと、その独創性を愛でる日本人のキメ細やかな感性に感心した次第である。また、ジャケットの重要性を認識しているファンがいかに多いかの証左にもなった。

今回の展示は、2011年からスタートしたPink Floydのリマスター・シリーズのすべてのアートワークを手がけたThorgerson作品の中から、『Pink Floyd BOX』を始めとして、『The Dark Side of the Moon(狂気)』、『Wish You Were here(炎〜あなたがここにいてほしい〜)』、『The Wall』のコレクターズ・ボックスなどのパッケージがを展示された。

『「ハコ」という「ハコ」はすべてゲットする』という植村氏のゴージャスなコレクションを通じ、是非Storm Thorgersonの華麗なるアートな世界をご堪能いただきたい。



●PINK FLOYD / SHINE ON  (COLUMIA 1992)


1983年にHipgnosisを解散したStorm Thorgerson。その後、彼が初めてボックス・セットを手がけたのが、この9枚組CDボックスだ。
デビュー作『The Piper at the Gates of Dawn(夜明けの口笛吹き)』からこのボックスのみの特典CD『Early Singles』までの9枚のCDを並べると、『The Dark Side of the Moon(狂気)』のジャケットに使用されたピラミッドの模様になる仕掛けが楽しめる。
パッケージももちろんのこと、同梱されたオリジナル・ポスト・カードのデザインワークも秀逸だ。

Mjg_st_img_5441

●PINK FLOYD / PULSE (COLUMBIA 1995)


Thorgersonがアート・ディレクションを施したPink Floyd2枚組ライブCD。
このパッケージの最大の特徴はボックスの背に付けられた発光ダイオードだろう。中古CD店でコレに出っくわすといつもビックリする。
『Pulse(パルス=鼓動)』というアルバム・タイトルにちなんで、赤い光が鼓動のように点滅するというワケだ。
実はこのLED以外にも、パッケージ全体のアートワーク・センスは十二分にインパクトが強いものだ。(本多貞夫氏所有)

Mjg_st_img_5443

●PINK FLOYD / THE WALL IMMERSION BOX SET  (EMI 2012)

ロック史上に残るピンク・フロイドのロック・オペラ超大作『The Wall(ザ・ウォール)』の6CD+1DVDからなるコレクターズ・ボックス。
このボックスも『The Dark Side of the Moon(狂気)』、『Wish You Were Here(炎~あなたがここにいて欲しい~)』と同種類の特典が同梱されているが、それ以外にもオリジナル・キャラクターを手がけたGerald Scarfe(イギリスのイラストレーター:イギリスのメジャー新聞にイラストを提供したり、The Sunday Timesやthe New Yorkerのコラムニストとして有名)による手書きの歌詞入り特大ポスター、特製アートプリント、ステージ・プロデューサーのMark Fischer(The Rolling StonesやU2をも手掛けるステージ・デザイナーの超大物)によるライヴ・セット・スケッチのレプリカも見事に復刻されている。

Mjg_st_img_5445
●PINK FLOYD / I WISH YOU ARE HERE IMMERSION BOX SET  (EMI 2011)


名作が多いピンク・フロイドの作品の中でも世代を超えて人気をキープする『Wish You Were Here(炎~あなたがここにいてほしい~)』の2CD+2DVD+1BLU-RAYからなるコレクター・ボックス。
Thorgersonのアート・ディレクションによる数々の特典は『The Dark Side of the Moon(狂気)』のコレクターズ・ボックスと同種類のものが同梱されている。当時のツアー・チケットやバックステージ・パスのレプリカの復刻も見事だ。

Mjg_st_img_5448

●PINK FLOYD / THE DARK SIDE OF THE MOON IMMERSION BOX SET  (EMI 2011)

ピンク・フロイドを代表するアルバム『狂気』の3 CD+2DVD+1BLU-RAYからなるコレクターズ・ボックス。ストーム・トーガソンによる当時のデッサン、イラスト、写真などで構成されたアートブックを始め、ストームのデザインによるコレクターズ・カード、スカーフ、ビー玉、コースター、など多数の特典を同梱したボックスは、否が応でも所有欲を刺激するアート感覚に溢れたパッケージです。

Mjg_st_img_5449
ズラリと並んだオマケ類。

Mjg_st_img_5450

Mjg_st_img_5452
●PINK FLOYD / OH, BY THE WAY  (EMI 2007)

Floydのオリジナル14作品を全て紙ジャケットCDに復刻したボックス・セット。
紙ジャケ化は、2001年5月に世界で初めて日本で制作された。そして、その時のデータを基にして海外で制作されたものが、この紙ジャケ・ボックスになった。
ボックスの特典である、Thorgersonのデザインによるオリジナル・コースター、ジャケットを網羅した特大ポスターとパッケージ・デザインはさすが。

しかし!紙ジャケそのものの完成度は日本のもの(金羊社による製版・印刷)に比べるとワンランク下といわざるを得まい。ただし、オリジナル・レーベルの復刻度は実に見事ではある。
Mjg_st_img_5458
●PINK FLOYD / DISCOVERY  ( EMI 2011)

2011年秋からスタートしたリマスタリング・シリーズは音源の素晴らしさもさることながら、アートワークも全てThorgersonの手によって一新されている。
このボックスは彼らのオリジナル・アルバム全14作を収めたもので、Thorgersonによる当時のイラストや写真などを盛り込んだアートブックが同梱されており、パッケージもまさにアートそのものだ。

Mjg_st_img_5460
●PINK FLOYD / IS THERE ANYBODY OUT THERE THE WALL: LIVE 1980-1981 (EMI 2000)

Thorgerson作品の最後は、彼が手がけたピンク・フロイドの2枚組ライブCDの初回限定生産盤だ。
通常盤はマルチPケースに収められているが、このボックスはブック型の特殊仕様になっている。フロントのデザインは、『The Wall Tour』のポスターから流用されたもの。CDが収納されているポケットの裏側にもデザイン・ワークが施されているのはThorgersonのこだわりかもしれない。

Mjg_st_img_5464

●DAVID SYLVIAN / WEATHERBOX (VIRGIN 1989)

Sylvianのソロ・デビュー作から5作目までのアルバムを収めた初の5枚組CDボックス。

デザインは彼の専属デザイナーともいえるRussell MillsとDave Coppenhallの2人の手によるものだ。Sylvian独特の美意識がそのまま極上のアート・パッケージに昇華した傑作に仕上がっている。

Mjg_st_img_5466
●BRIAN ENO / ENO BOX Ⅰ&Ⅱ (VIRGIN 1994)

近年はColdplayなどのプロデューサーとしても注目を集めているBrian Enoの作品を、2点の3枚組CDボックスに集大成した。
BOXⅠではインストルメンタル作品を、BOXⅡではヴォーカル作品を収録している。シリーズもののボックスなので、2点を揃えるとヴィジュアル・イメージがより完結したものなるというワケ。デザインは上のRussel MillsとDavid Coppenhallの手によるものだ。

Mjg_st_img_5471

●RYUICH SAKAMOTO / PLAYING THE ORCHESTRA (VIRIN JAPAN 1988)

世界的な名声を誇るアーティストの1人、坂本龍一の作品を集大成したCDボックス。
全世界30,000セットの初回限定生産のこのボックスは、日本を代表するアーティストの1人、大竹伸朗によるデザインワークが施された独特なボックス・アートになっている。
振れば「サラサラ」と音がする仕掛けの箱そのものも素晴らしいですが、このボックスのみに特典として同梱された2枚のシングルも貴重な音源といえよう。
Mjg_img_5469●VARIOUS ARTISTS / BRAIN IN A BOX (RHINO 2000)

「ボッ クスを手がけては右に出るものがいない」といわれるRhinoから発売された、SF映画やドラマなどの宇宙ものや、さらにロボットものなどをテーマにした5枚組CDボックス。

一見すると金属で作られた箱に見えるが、残念ながらフタだけ本物の金属製。しかし、箱の3面にホログラフィー処理された脳の意匠は本当に立体的に浮かんで見えるのが見事だ。
200ページにも及ぶ特製ブックレットも読み応え十分。
今回の「SFジャケット特集」を締めくくるにふさわしいアイテムではなかろうか。
Mjg_st_img_5438_2
(敬称略 ※協力:本項解説文原本執筆・植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )

Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本展示は2012年6月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

2013年8月 6日 (火)

【Music Jacket Gallery】SFジャケット <中編>

<前編>の掲載からだいぶ時間が経ってしまったが、<中編>いきます。

Mjg_st_img_5228_2
個人的な見方の問題で「SFっぽいもの」もしくは、「SFっぽくないもの」、色々と意見がわかれてしまうだろうが、こうして今回集められたジャケットを俯瞰してみるに、やっぱり「SF」というのは音楽と密接に結びつきやすい、ジャケットにとっては非常に普遍性の高いネタであることがわかる。

Mjg_st_img_5231_2

何よりカラフルで見ていて楽しいよね!

Mjg_st_img_5233

そのジャケットがなくなろうとしているんだから恐ろしい…コレはこのカテゴリーのテーマだから毎回触れないワケには行かないの。

Mjg_st_img_5237

最近はほんの少しだけ、ほ~んの少しだけ電車の中で電子書籍を読んでいる人を見かけるようになったけど、日本でのアレの普及具合というのはどうなんだろう?進んでるのかしらん?
私が年いっているせいか、ハタで見ていてカッコいいものには見えないな。何か恥ずかしい。
若い人がアレを使っているのはまったく見かけないような気がするね。ま、本自体読まないことぐらいはわかっているけど、マンガをアレで見ないのだろうか?

Mjg_st_img_5239

個人的にはね、あんなもの流行って欲しくないと思っている。
読書は目で字面を楽しみ(コレは電子と同じ))、紙のニオイをたしなみ、ページをめくる音に心躍らせるものだ。そして、読後にもう一度楽しみがやってくる。それは「蔵書」だ。読んだ本を並べてもう一度外観で楽しむ。電子書籍にコレができるかってんだ!

レコード、CDも同じ。
いつも「ジャケットがなくなる!」と騒いでいるが、この本の例を見ると、案外安泰かな?と思ったりしてきた。日本人は優秀だから。

Mjg_st_img_5242

<前編>にも記した通り、この展示は2012年4~6月のものだ。諸般の事情により掲載が大幅に遅れてしまった。現在は違うテーマの展示となっているのでご注意頂きたい。

また取り上げる点数を少々減らす代わりに深く掘り下げてみた。掘り下げた内容はいつも通りのくだらないウンチクだ。
この点が<前編>と若干テイストが異なるように受け取られるかもしれないがご容赦いただきたい。何しろ今回コレ書くのに1年以上の時間がかかっちゃったもんですから…植村さん。ゴメンナサイ!

Mjg_st_img_5243
Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒金羊社ミュージック・ジャケット・ギャラリー
Mjg_st_img_5247

<前編>で「いいジャケット」と紹介したHAWKWINDの諸作。このHipgnosisが担当した『Quark, Strangeness and Charm』は7枚目のスタジオ録音盤だ。

コレ、宇宙船かなんかの操縦室のように見え、いかにもSFらしいのだが、実は丸っきり現実のもの。

Mjg_st_img_5332

このジャケットはPink Floydの『Animals』でおなじみのBattersea Power Stationのコントロール・ルームなのだ。このHawkwindの作品が1977年。『Animals』も1977年。この年はBatterseaがHipgnosisのブームだったのだろうか?

Battersea Power Stationは『名所めぐり』で詳しく解説した

それにしても素敵なジャケットだ…ジャケットだけ欲しい…。

Mjg_img_0253

Hipgnosisが続く。

これもAlan Parsons Project。1977年の『I Robot』。もちろん、出自はアシモフの『I, Robot』。有名な「ロボットは人間に危害を与えてはならない」…のヤツですな。

今回、アシモフを調べてて驚いたのは『ミクロの決死圏』ってアシモフだったのね?知らなかったな~。小さくなった人間が要人の身体の中に入って致命傷を治療しようなんてアイデアがスゴイ。ドラえもんより前にアメリカにはスモールライトがあったんだから!…と感心していたら、実は逆で、映画を小説家したのがアシモフなんだと。ガックシ。

Hipgnosisのジャケットは元々SFチックなデザインが多い。

Mjg_st_img_5338

残念ながらAlan Parsons Projectのアルバムも何枚も持ってはいるけど、まったくと言っていいほど聴かないので内容については触れることができませ~ん。

それでも食いついておかなければ…とよせばいいのに安いからってベスト盤まで買い込んだ。やっぱり聴かないもんだから、また時がめぐりて同じものを買っちまった!

最近、ダブりが頻繁に起こるようになってきた。特に危ないのがジャズのCDなんですよ。さすがに3枚同じものを買うことはないが、Hank Mobleyあたりなんかかなり危ない。

で、重宝するのがiPOD。買ってきたきたCDをとにかくジャンジャン入れてしまう。それで店でCDを探していて怪しい…と不安に思ったらiPODをその場でチェック。索引的に使うのだ。
でも、もう160GBなんてアッという間にパンパンになっちゃうから、「どう考えてももう金輪際聴かないな…」と思えるヤツは入れないでおく。すると、そういうCDに限ってどういうワケか気になり出してしまう。で、CD屋に行って、持っているかどうかが怪しくなり、例によってiPODをチェックするが、入れてないもんだから「お、持ってないや」と思い込んでまた買ってしまう。

Mjg_st_img_5336

しっかし、Alan Parsonsはジャケットで得をしてるよナァ。ホント、どれもこれもHipgnosisに助けられて(?)いるように思えますわ。

1984年の『Ammonia Avenue』。「Ammonia」とは「アンモニア」のこと。

Mjg_st_img_5406

皆さんは気がつかれただろうか?
気がついたよね?

このジャケットのデザインは、この化学工場かなんかの配管の一枚の写真を…

Img_5407_1

ほぼ左右対称に配置して…

Img_5407_2

今度は上下で同じことをする。

Mjg_st_img_5407

さらにこれを右に45°回転させるとジャケットのデザインになる。

さすがHipgnosis。たったこれだけの作業でこれほど雰囲気のあるイメージを作り出してしまうのだからスゴイ。こんな作業でギャラもさぞかしスゴかったんだろうな。

Keith EmersonのThe Niceの『Five Bridges』なんかでも同じ手法が使われている。

Mjg_st_img_5406

まだまだ続くHipgnosis。

前回も登場したElectric Light Orchestra。これはセカンド・アルバム。また電球。Lightだからね。
元のイメージは『2001年宇宙の旅』かなんかなのだろうか…。チープだけどもっとも今回のテーマに則しているかも?
Mjg_st_img_5342

Brand Xはいいよな~。VirginのA&Rマンが備忘でカレンダーに記した名無しのバンドの仮称「Brand X」がそのままバンド名になったという。
このバンド、Peter Gabrielの後を継いですっかりGenesisのボーカルになってしまったPhil Collinsがドラマーとして活躍する場を作るために結成したバンドという認識があった。
CollinsはThe Buddy Rich Big Bandとも共演した、ちゃんとした4ビートが叩ける名手だからね。 
ところが、この人、Brand Xを作ったどころかオリジナル・メンバーじゃないっていうじゃない?思い違いと言うのは恐ろしい。
でも、Percy Jonesのフレットレス・ベースとのコンビネーションは抜群だ。それこそPercyは世が世ならJacoと並び称されてしかるべき偉大なベース・イノベイターだった。それが、あれほど小さくまとまってしまったのは残念だ。
もし彼がこのイギリスのいち小バンドにとどまることなく、マンハッタンでバリバリとジャズを演奏していたらMcLaughlinみたいにもっとビッグになったのかもしれないじゃない?もし、Milesの目に留まって『Jack Johnson』をMcLaughlinとやってたらスゴかったのにな。ちょっと時代が合わないか…5年ぐらい。それにあのMichael Hendersonも十分にスゴイからいいか…。

さて、このチームもHipgnosisの作品が多い。これもしかり。これは1979年の5枚目のアルバム『Product』。
これどういう意味があるんだろう。真ん中のオッサンが作った変な薬を飲んだ男が凶暴になって自販機をブっ壊しているところ?
ウルトラセブンでこんなような話があったような…メトロン星人か?そういえば高校の時、佐々木っていうヤツ、「メトロン」っていうアダ名だったな。

こういう一編のスペースに物語を押し込むのもHipgnosisの得意技だ。何となく、Wishbone Ashの『Front Page News』みたいだと思いませんか?

ところでこのアルバム、なんだろね?スッカリPhilが歌い込んじゃって…。このアルバムに収録されている「Don't Make Waves」と「Soho」は当時シングルカットされたそうだ。それにこれらの曲は、PhilがGenesisの外で初めて録音した歌だそう。こんなのヒットせんよ。

ま、そんなんでバンドとしては新しい試み…ということだったんだろうけど、前作の『Masques』の方が全然よかった。曲の手の込みようが違う。

Brand Xは2000年代に入り、Sarah Pillowという女性シンガーのサポートを務め、『nuove musiche』や『remixies』というアルバムを制作している。
このSarah Pillowという人は一応ジャズ畑の人らしいが、音を聴くと中近東ムードが横溢した何とも言えない雰囲気。そのバックを務めるのがBrand Xである。バックとはいえ、この『Product』よりよっぽどBrand Xらしくてカッコいい。おススメです。
Mjg_st_img_5344

Yes初代のギタリスト、Peter Banksが結成したFlash。これもいかにもHipgnosisらしいデザイン。以前にも取り上げたかな、この一見すると砂丘に見えるのは人間の手。
Peterも今年の3月、鬼籍に入ってしまった。

このジャケットを見ると思い出すのがコッポラ。彼が『ワン・フロム・ザ・ハート』という映画で砂丘の表面の曲線を美しく表現したいと言って、女性を砂に埋めたとかいう話しを聞いたことがある。オイオイ、無茶すんなって!ナスターシャ・キンスキーってどうしたかね?お父さんのクラウス・キンスキーのことなんかまったく忘れていたけど、ずいぶん前にお亡くなりになられていたのか…。
Mjg_st_img_5377

1973年、Led Zeppelinの5枚目のアルバム。

イギリスの『Classic Rock』誌における音楽関係者が選ぶ「ブリティッシュ・ロック・ベスト100」の燦然と輝いたのがこれの前作の『IV』だった。その理由は、それまでにZeppelinが歩んできた道のすべてがうまく融合された作品となったからとかなんとか…。

ま、ようするに前作で頂点を極めていたワケですな。そして、「新たな一歩」感がにじみ出ているのがこの『Houses of the Holy』ということになっとるハズ。Zeppelinは殺人的に詳しい人がゴマンといるので作品についてはあんまり触れないでおいとくか…。でも、これって発表されてから40年も経ってるのね。

ナンカ自分の中では70年代ってそれほど昔のことではなく、80年代は結構最近っていう感じがするんです。60年代はさすがに昔だな。でも、1973年って40年も前なのね~、コレ、LPの時。「Houses of the Holy」って印刷された横の帯がついていたよね、確か?

コレの次作の『Physical Graffiti』に「Houses of the Holy」っていう曲が入っているでしょ?アレは当然このアルバムにタイトル曲として収まるハズだったんだけど、「どーもなー」というので収録しなかったらしい。タイトル曲をとりあえずボツにしてしまうなんて…。

さて、ジャケット。テニスのラケットの話は以前に書いた…と。

このデザインはイギリスの作家、Arthur C. Clarkの『Childhood's End(幼年期の終わり)』というSF作品にヒントを得て制作された。このクラークというおじちゃん、『2001: A Space Odyssey(2001年宇宙の旅)』の原案というか、ようするに元ネタを書いた人なのね。…ここでウチにあるキューブリック関連の本を引っ張り出してみる…(こんなことやってるから膨大が時間がかかってまうんですわ。でも気になりだしたら止まらない!)。

その原案とは『Expedition to Earth(前哨)』という短編で、なるほどあらすじを読んでみると『2001年』っぽい。で、このクラークは映画の脚本もキューブリックと共同で担当している。 ああ、2001年ももう10年以上前の話になっちゃったね。

このジャケット、写真はHipgnosisのAubrey Powell。Storm Thorgersonの相棒だ。ペルーのどこかもロケ地の候補に選ばれたが、最終的には北アイルランドの「Giant's Causeway(ジャイアンツ・コーズウェイ)」が選ばれた。このGiant's Causewayというのは火山活動によって作られた40,000もの石柱からなる奇景で、世界遺産にも選ばれている。

この撮影がやたら大変だったらしい。日の出と日の入りをとらえるために朝一番と夕暮れの2回の撮影が敢行されたが、あいにく天気が悪くまったく思うような写真が撮れなかった。

ジャケットに写っているふたりの子供はStefanとSamanthaのGates兄妹。Stefanは食べ物や料理の本を著している他、テレビタレントとしても活躍している。このジャケ写撮影時は5歳だった。
このふたりの写真はモノクロで11のパターンが撮影され、後にGint's Causewayの写真と合成された。
内ジャケの写真はGiant's Causewayの近くのDunluce Castleという中世に建てられた城で撮影された。

「ロック名所めぐり」の取材で両方とも見てみたいとは思うけど北アイルランドじゃナァ~。

このアルバムも前作同様、バンド名もタイトルも記載されない予定であったが、「それじゃ困る!」と泣きを入れるWarnerにマネージャーのPeter Grant(「ロック名所めぐり」見てね)は、「んじゃ、バンド名とタイトルと印刷したオビを巻いたらいいんじゃねーのか」と提案し、実行された。
それが冒頭に触れたオビ。このオビはジャケットの子供のツーケを覆い隠す目的もあったという。実際にアメリカの南部のいくつかの州では、何年かの間、このアルバムの発売が禁止されていたという。
1980年のCD化にはタイトルが印刷されてしまった。つまらないね。

ちなみに、いまだにまったく文字が入っていない『IV』は色々な名前で呼ばれている。日本では圧倒的に「フォー」だろう。本国イギリスではどうか…これもいろいろな呼び名があるんだろうけど、あるMarshallの友人は『Four Stickers』と呼んでいた。

Mjg_st_img_5374
中学の終わり頃からプログレッシブ・ロックに夢中になり、もう楽しくて色んなものを聴き漁った。いや、実際には経済的に「漁る」なんてことは許されず、吟味に吟味を重ねて一枚一枚LPを集めていった。
するとイタリアはプログレッシブ・ロックが盛んであることを知り、PFMを買ってみた。
King Crimsonが好きだったのでPeter Sinfieldがプロデュースしているという『Photos of Ghosts(幻の映像)』を買って聴いてみたらこれがスッポリとハマっちゃって…。
当時はイタリアのロックの情報なんてほとんどないので、「マルコーニおばさんのおいしいパン屋」とかいう意味のバンド以外はコワくて手を出せないでいた。何せ少ないおこづかいだからね。

で、プログレッシブ・ロックのLPを集める指針のひとつとして、ヴァイリンが使われているバンドを優先的に探した。

その中で出くわしたのがこのArti & Mestieri。「芸術と職人」というのがバンド名の意味だ。まるで、上野の西洋美術館の特別展みたいな名前だ。

初めて聴いた時、とにかく「ナニこれ?!」ってぐらいカッコよくてビックリした。
ここで、どこがどうカッコいいとゴタクを並べるのもヤボというもの。とにかく聴いておいた方が人生得というもの。

他に有名な作品が出なかったのがこのバンドの不幸なところだが、この一作でプログレッシブ・ロック史に名を残す十分によい仕事をしたといっても過言ではなかろう。
この後に出したライブ盤なんか、当然この『tilt』を聴いた人は飛びつきたくなるだろうが、これが甘い!音の悪さに絶句すること間違いなし。こうしたプロダクションの甘さがこのバンドをいまひとつ上のランクに押し上げられなかった原因であろう。

とにもかくにもFurio Chiricoのドラムが圧倒的だった。名前がまた「キリコ」というのも印象的だった。
世間では「キリコ」といえば「磯野」ということになるんだろうが、私は違う。「ブラックジャック」に出て来るあのすぐに安楽死させちゃうコワイ医者のイメージだ。
そして、後にはThelonious Monkの『Misterioso(このライブ盤は必聴。Johnny Griffinの壮絶なブロウを是非体験あれ!)』のジャケットでおなじみのGiorgio de Chirioco(ジョルジュ・デ・キリコ)。そんな強いイメージがあったのでその名前を忘れることはその後もなかった。

ピンボール・ゲームで台に大きなショックを与えると「Tilt」というサインが出てその回の球が無効になってしまう。この『tilt』はその「tilt」なんだろうか?
このファースト・アルバムの漏斗(ろうと・じょうご)のイメージが強く、Arti & Mestieriはこれがトレード・マークみたいになっちゃった。なんで漏斗なんだろう?
色々調べたがこれはわからなかった。

Furioに訊いてみればよかった!
そう、私はFurioの知り合いなのだ!(あるいは、知り合いだったのだ!)

Mjg_st_img_5346

というのは、数年前フランクフルトで、友人を通じてあるアメリカ人にFurioを紹介したことがあった。
もうかなり年配のハズのFurioなのだが、おっそろしく若く、そして私の太ももはあろうかというほど太い筋肉隆々の腕に驚いた。一見してかなりトレーニングを積んでいるのがわかった。

この時の話しは最終的に実ることがなかったが、Furioがこの時のお礼に、といって友人経由で後日プレゼントしてくれたのがこれ。
arti & mestieriのデビュー33年を記念したボックス・セットだ。
うれしかった!
Img_3997

そして中にはFurioのサイン入りの愛用のスティックが1組。そして、「しげへ」、「ふりお」と直筆でサインを入れてくれた手紙が一通。我が家の大事な宝である。

とっさのことだったので、お返しを用意していなかった私は、本屋へ行ってその時出ていたギター・マガジンを一部買ってその友人に渡した。
それはFrank Zappaの特集号で、ちょうど私が書いた記事を掲載してもらっていたのだ。もちろん私はFurioがZappaの大ファンと知っていた。これにも大変喜んでくれたらしい。
人生、何が起こるか本当にわからないものだ。
Img_4004

Van Der Graaf Generator…カッコいい名前だ。
Van de Graaff Generatorという静電発電機が名前の由来。日本語では「ヴァンデグラフ起動機」っていうんだって。よく丸い球から青い稲妻見たいのが出てて、それに触ると髪の毛が逆立っちゃうヤツあるじゃない?あんなイメージ。綴りが違うのはただの間違い。

1967年にマンチェスターで結成されたバンド。いったん活動を停止したが、2005年に活動を再開して現在に至っている。ちょっと前に日本に来たよね?

このバンドはボーカルのPeter Hammillの声がシックリくるかどうかで好みがわかれるんじゃないかナァ。一応プログレッシブ・ロックの仲間として取り扱われるけど、一般的なブリティッシュのプログレのバンドとは精神性が大きく異なるような気がするのは私だけだろうか?

十分人気のあるバンドではあるけれど、Peter Hammillという個性を擁していながら何となく超一流になれなかったのは、やっぱり「コレだ!」という一枚に恵まれなかったからではなかろうか?

私は案外好きで下のアルバムの前作、『Still Life』までのアルバムは揃えているが、やっぱりアルバム毎の印象がウスイような気がするナァ。
それらの諸作よりもHamillのソロ・アルバムの「♪インペリアル・ツェッペリン~」の声が先に思い浮かんでくるわい。

これは7枚目のアルバム『World Record』。文字通り「世界」と「レコード」が一緒になってる。いいシャレだと思ったんだろうね。
Mjg_st_img_5348

これはまさにSF的なジャケットですな。
GeordieとはNewcastle Upon Tyne(ニューキャッスル・アポン・タイン:ニューキャッスルの正式名称)出身のバンド。
Geordieというのはニューキャッスル出身者のアダ名。(このあたりの情報はNew Castleにほど近いSouth Shieldsに住む親友、Steve Dawsonによるもの。是非Shige Blogの『イギリス紀行2012』を見て欲しい)

今になっては、現AC/DCのBrian Johnsonが在籍したバンドとして知られている。
残念ながら音は聴いたことはないので、いつか実現する日を楽しみにしている。
Mjg_st_img_5351
The Enid(向こうの人は「イーニッド」と発音する)を聴いている人って日本で果たしてどれくらいいるんだろうか?私は案外好きで、アルバムも結構持っていたりする。
The Enidはプログレッシブ・ロックの範疇に片づけられることになっているが、それともチョット違うサウンドなんだな。
「ロックとクラシックの融合」なんてバンドが古今東西出てきては消えて行ったが、このThe Enidこそ「ロックとクラシックの融合」を果たしたバンドではなかろうか…なんて思ったりする。

…というよりクラシックそのもの?クラシックのメロディをロックの楽器で強引に演奏した…みたいな。他の「融合バンド」はロックにしちゃうんだけど、The Enidはクラシックのままなんだよね。
私は存外にクラシックが好きなので、ときどきCD棚から引っ張り出しては聴いているが、クラシックに興味のない人にとってはThe Enidの音楽は苦痛以外の何物でもないであろう。

他にも中世の音楽とロックを混ぜっこにしたというGryphonなんてのもいたけど、こうした音楽がまかり通っていた時代があったということもスゴイ。

さて、このアルバムはそのThe Enidの主宰者であるRobert John Godfreyの1974年のソロ・アルバム。
もともとはクラシックの出身でBarclay James Harvestを観てロックに転向しちゃったという人。その後、Barclay James Harvestのメンバーになれる、なれないというモメ事が発端となり印税問題で訴訟まで起こしたらしい。

ちなみにBarclay James Harvestも昔はMarshallのプレイヤーでチャータージェットにMarshall積んで国内外をツアーしていたというのだから隔世の感は否めない。そういえばちょっと前に来日してたね。
1&2枚目はすごくいいんだよね。

話しを戻して、このアルバムもギンギンに(?)クラシックしちゃってる。何となくこの声がSparksのMaelさんとこの弟さんみたいな感じに聞こえる?
メロトロン、パイプオルガンが怒涛のように攻め寄せる何しろ大仰なサウンドが魅力だ。
それと、前半、ずっと電話の音が聞こえるようなきがするんだけど…ウチのスレレオこわれてんのかな?

ジャケットも強烈だ。これはSFということではなく、この人がテーマにしている新旧約聖書に出て来るアイテム、つまりバベルの塔、エルサレムの神殿、イナゴがモチーフになっているらしい。

ちなみにHyperion(ヒュペリオン)というのはギリシア神話に出て来るUranusとGaeaの子で(誰なのよ?)、7番目の土星の衛星にもこの名がつけられている。Uranusは天王星のこと。そしてGaeaは地球のこと。TV番組のタイトルにもつかわれている「ガイア」ってヤツね。

それから『The Fall of Hyperion』という小説があるようだが、この作品とは時代が違う。
Mjg_st_img_5353

Rick Wakemanは絶大な人気を誇ったよね。Yesでの仕事は言うに及ばず、『ヘンリー』や『アーサー』や『地底探検』だの良質なソロ・アルバムを連発した。
Rickはもともとセッションプレイヤーで、「名所めぐり」でも紹介したロンドンのTrydent Studioのハウス・キーボード・プレイヤーを務めていた。
特にDavid Bowieのセッションには重用されていたようで、有名なところでは「Space Oddity」のメロトロンはWakemanが弾いている。ギャラは£9.0だったらしい。

これもすでにどこかに書いたが、初めてイギリスのMarshallの工場に行ったとき、Jim Marshallから「シゲ、いつまでここにいるんだい?」と訊かれ「明日、日本へ帰ります」と答えた。
するとJimは「あ~、それは残念だな。明後日Rick Wakemanが工場に来ることになってるんだよ」と聞かされ臍を噛む思いをした。

Rickの息子さんはAdamといってマーシャルの創立50周年記念コンサートにキーボード・プレイヤーとして全面参加した。Ozzyのバンドでも活躍している。

そうして傍から見ていてJimとRickの仲がとてもいいように思えたのは双方がイギリスの芸能関係者の慈善団体、「Water Rats」のメンバー(定員が厳格に定められていて、ちょっとやそっとではメンバーになれない。確かBrain Mayもメンバーだったような…)だからかと思っていたが、そうではない他の大きな理由を最近知った。
ナント、Rick WakemanはSaturday Boy(ようするにアルバイト)としてJimの店で働いていたことがあったのだそうだ。
ああ、イギリスはおもしろい!


これはRick Wakemanの6枚目のソロ・アルバム、『No Earthy Connection』。
デザインはAnamorphose、いわゆる「歪像」とかいう一種のだまし絵の技法で描かれている。
私はこのアルバムは買ったことがないので知らなかったが、オリジナルのLPには銀紙のようなものがオマケでついていてた。それを丸めて円筒状にしてジャケットの真ん中に置くと、そこにはア~ラ不思議、これからピアノを弾くぞ!っというRickの姿が映し出されるのだ。
この技法は特段新しいものでも何でもなくて、15世紀にはもう登場していて、円筒へ投影したのが17世紀のことらしい。

さて、Rick Wakemanが登場したところで少しYesの話しをば…。
私も『Relayer』までのYesは大好きだ。『Going for the One』を聴いてガッカリし、「トマト」だの「クジラ」だのはまったく聴く気も起らなかった。それもこれも、あの時代、音楽の方向性が変わり、それまで崇高なまでのオリジナリティを誇った立派なバンドの多くがポップ化した。YesもELPもすっかりおかしくなってしまった。
もし、あの時、こうした一流のプログレッシブ・ロックのバンドが矜持を保ち、独自の路線を貫いていたら一体どういう作品を残していただろう?ロックの世界は今とどう異なる様相を見せていただろう?そういう意味では、個人的にはパンクやニュー・ウェイブと呼ばれる類の音楽の出現を呪いたくもなるものだ。
あ、ここではこんなことを書こうと思っていたワケではなかったんだ。

その好きな『Relayer』以前のYesでも『海洋地形学(ここは邦題で行きます)』だけは苦手で、中学の時に買って聴いて以来、一回も聴いたことがなかったように思う。
この『海洋地形学』、苦手なのは私だけではないようで、かなり多くの人がこの作品を重要視していないようだ。
でもイギリスでは前作の『Close to the Edge(危機)』の方よりチャートが上なんだよね。『海洋地形学』UKチャート1位になったけど、『危機』は4位止まり。
少なくともジャケットは大変SF的だけどね…。

ところが…だ。これが実にいいのである。ちょっと思うところあって、最近CDで買い直してみた。やっぱり最初はつまらんナァ~…と放っておいたのだが、しばらくして旧LPでいうC面以降を聴いていないこと(CD2枚目)を思い出して試しに聴いてみた。「The Ancient」という曲だ。

これが破天荒にカッコいいのである。なんだ、もっと早く聴いておけばよかった!
Bill Brufordが抜けてAlan Whiteが参加した最初のアルバムだが(Alan Whiteの『Ramshuckled』はいいよ)、『危機』でアイデアを出し尽くしてしまって、どうもヤケクソになっている感じがする…というのは何かものすごくゴッタ煮的に聞こえるんだよね。

Jon Andersonが「もうやることないからみんな好きなことやっちゃって!何でもブッ込んどけばダシが出るって!」と指示したみたいな…。
ま、まさかそんなことは無かろうが、Steve Howeは「Close to the Edge」のテーマ・フレーズ弾くわ、「Mood for a Day」の宣伝みたいなパートはあるわ、Rick Wakemanはジャンジャン遠慮なしにメロトロンかますわでおもしろいことこの上ない!

で、一番驚いたのは、この「The Ancient」という曲の冒頭、テーマの提示部みたいなところ、つまりRick Wakemanがマリンバのような音で弾くブッ早いフレーズ。
これって『ヘンリー』に入っている「Anne of Cleves」とまったく同じじゃんか!こんなのいいのかね?
『海洋地形学』も『ヘンリー』も同じ1973年の発表だ。もしかして、「ねジョン、今度出すソロ・アルバムの一部を使っちゃってもいい?どうしても宣伝したいのよ~」とリック。
「いいさ~!どんどんダシを出しちゃって!」とジョン。

…と、こんなシーンがあったらおもしろいナ…なんてことを考えながら聞くアルバムが『海洋地形学』なのです。ホンマか?!
Mjg_st_img_5357
これは何かメチャクチャ不吉なイメージのジャケットですナァ~。

Dixie Dregsもほとんど聴かなかったナァ。
Steve Morseをはじめ、Dave LaRueだのRod Morgensteinだの、テクニシャンがそろっているんだけど、どうも夢中になれなかったナァ。根っからカントリーっぽいのが苦手なんだろう。
それでも何枚か持っていて(多分このアルバムも持っていると思うけど、聴いた記憶がないナァ)、高校性の時に買った「Night of the Living Dregs」には苦い思い出がある。

このアルバムのB面はライブ音源で構成されており、その2曲目に「The Bash」というブルーグラス調の高速超絶曲が収録されている。
曲の中盤と後半に出て来るSteve Morseとヴァイオリンのハモリのパートがスリリングでこの曲だけは大好きだった。

それから約30年後、ナッシュビルの偉大なフィンガー・ピッカー、Doyle Dykesと知遇を得る機会を得た。DoyleはChet Atkinsに「お金を払ってでも聴きたいギタリスト」と言わせしめたスゴ腕プレイヤーで、私は名前は知っていたが、実際のプレイには接したことはなかった。
来日の前に彼の当時の最新作『Country Fried Pickin'』が送られて来、聴いたところ、「The Wabash Canon Ball」というDixie Dregsの「The Bash」とまったく同じテーマを持つ曲が収録されていた。「おー、スゲエなDregs。Doyle Dykesにカバーされているんだ!」と感心した。だってDregsの方には作曲者としてSteve MorseやRod Morgensteinたちの名前が載せられていたからね。

そしてDoyleが来日。こっちは「彼のCDを聴きこんでいますよ!」なんて点数稼ぎのつもりで、よせばいいのにこんなことを言ってしまった。
「Steve Morseお好きなんですか?だってニュー・アルバムではDixie Dregsの曲を取り上げてますもんね!」
すると見る見るうちにDoyleの顔色が曇り、イヤな雰囲気になってしまった。あまりのショックでその時実際にどのようにDoyleが答えたか覚えていないが、後で真相を知って真っ青に、そして真っ赤になってしまった。

この曲は元々はアメリカの架空の汽車「The Wabash Canon Ball」を歌ったもので、いわゆるスタンダード・ソングだったのだ。Morseたちはそれに、先述の超絶パートを足してオリジナル曲として、つまり改作していたんだね。恥かいた~!私がどれだけカントリーに疎いかというお話し。

その後、北海道行きの飛行機の出発時間に間に合うように満員の地下鉄にDoyleを乗せようとしたら怒っちゃったなんて一幕もあった。
こんなことを書くといかにもDoyleが怒りっぽい、気性の荒い人だと思われそうだが、悪いのはこっちで、彼はとても心のやさしい敬虔なクリスチャンだった。

旅の終わりには、色々と面倒を看てもらったお礼にとSWATCHの時計をプレゼントしてくれた。私は彼に頼んで、時計バンドの内側にサインをしてもらった。今でも大切に保管している。うちの大切なメモラビリア・コレクションのひとつだ。将来「Hard Shige Cafe」を開く時に公開することにしよう。とにかく偉大なギタリストと素晴らしい時間を過ごさせてもらった。

さて、本項の主人公Steve MorseもMarshallを使わないナァ。でもね、数年前、Deep PurpleとYngwie MalmsteenがDouble headlineで来日したことがあったでしょ?
あの時、香港にいるMarshallのスタッフと一緒にYngwieのシグネチャー・モデルのプロトタイプを本人に見せに行ったんだけど、Yngwieの出番の時、ステージそでで身体でリズムをとりながら熱心に最後まで見ていた人がいたんだけど、それがSteve Morseだった。

Mjg_st_img_5360

Frank Marino観ておいてヨカッタな~。つくづくそう思いますわ。
ギタリストとしては素晴らしいけど、音楽家としては小さくまとまってしまった感がありますな。やっぱりオリジナル曲のクォリティに問題があるとしか思えないな~。
Mjg_st_img_5365

これが来日公演時のプログラム。1978年12月4日。場所は後楽園ホールだった。ここでは約半年前にRoy Buchananを観ている。父に連れられてそのズット前に同じ場所で観た出し物は、『底抜け脱線ゲーム』だった。

もうあまり語られることがなくなったが、Frank Marinoはエフェクターをアホほどつないで弾くのが有名で、開演前にはステージの前にギター・キッズが群がっていたっけ。その中に私もいたワケだけど、今だったら携帯で写真バシバシだろうね~。あの頃はただただ眺めて脳裏に焼き付けるだけね。

この日、ギターの調子が悪いとか言って1時間近く開演が押したんだよな~。でも演奏はスゴくて、もうどうしようもないぐらいの音数でブッたまげた。

当時は紙テープを投げるということがまだ比較的当たり前で、私もいくつか買って持って行った。もちろんそんなつもりは無かったのだが、手元が狂ったのか、投げた紙テープが見事にFrank Marinoの右肩に命中してしまい。ギロリとニラまれたのを覚えている。もう紙テープを投げるロック・コンサートなんてまったくなくなっちゃったね。

Mjg_img_9583_3
CANか…。確かにデザインはSFチックだね。
聴かないんだよな~、ドイツ・プログレ。Tangerine DreamとかKraftwerkとかまったく受け付けない。
Faustもジャケット欲しさで買ったもののサッパリわからんな~、どこがおもしろいのか…。

CANもスゴイ、スゴイってんで『Tago Mago』あたり聴いたけどピンと来ないんだよな~。なので特にコメントはないんだけど、ひとつだけ。

ドイツ人の友達に言わせるとScorpionsあたりは究極的に古臭いんだそうだ。もちろん聴き手の個人差はあるんだけど、わかるような気がする。
というのはウチの家内の親友がドイツ人と結婚した。名前はKlausというんだけど、世界を股に掛ける経営コンサルタントだ。彼も部類の音楽好きということで気が合うな…と思ったらトンデモナイ。
おおよそ私の好みとはほど遠く、それこそTangerine DreamだとかGuru GuruだとかNEU!だとかAsh Ra Tempelだとか…。他にもノイズ系の無機質な音楽が好きだと言っていた。

Mjg_st_img_5372

これも苦手のKlaus Schruzeの『Time Wind』。こりゃ、さっき出たキリコとダリが合体したような絵ですな。これとか『Irrlight』とかジャケットはいいんだけどな…。

ドイツはフリー・ジャズなんかも当たり前に受け入れられている。音楽に関して言うと、ドイツはベートーベンだのシューベルトだのブラームスだのワーグナーだのたくさんの楽聖を輩出していて、その伝統を何か新しいモノでブチ壊したいという風潮がいつもあるらしい。
そこで既存のロックよりも、こうしたドイツ独特のロックが発展したという話しを聞いたことがある。
だから友人のKlausの好みもそういうことになっていたようだ。

伝統のバイツェン・ビールはおいしいよ~。大好き!フランクフルトはザクゼンハウゼンのアップル・ワインも美味!肉がおいしいからね。よく合うんだ。
でもね~、スーパーで売ってるハンバーグだの、ウインナ・ソーセージなど、飛び上がっちゃうほどしょっぱい。あれは食えんナァ~。

Mjg_st_img_5398

ドイツから今度はフランスへ…といってもGONGの総裁、Davis Allenはオーストラリア人だ。
ま、とってもアタマがイっちゃってる人ですから、やってることもよ~わからん。でもそこがいい。
ってんでこれは「Radio Gnom Invisible(見えないラジオの精)」の三部作の第一作目。ちなみに「Gnome」の「g」は黙字で「ノーム」と発音する。
このシンプルなイラストが何とも可愛くてユーモラスで味わい深い。David Allenソロ名義の『Good Morning』もいい。

とにかくこのバンドはウマイんだかヘタなんだか、幼稚なんだか大人なんだか、まじめなのかふざけてるのかよくわからない。それこそGONGサウンドとしかいいようのないスタイルが魅力だ。
場面がコロコロ変わるシアトリカルな曲と目も覚めるようなシャープなジャズっぽい演奏のコントラストも素晴らしい。
ま、全部のアルバムを聴いているワケではないので、これはあくまでも私流の楽しみ方として受け取ってチョ。

1974年の『You』から参加するPierre Moerlen(これが読めない。「ピエール・ムーラン」とされているけど、どうなんだろう。今度フランス人に確かめてみるね)が参加し、主導権を握るようになってからこのバンドはスタイルを変え、パーカッショニストをフィーチュアしたフュージョン・バンドになってしまう。
これがカッコよくて『Expresso II』や『Gazeuse!』は今でも時々聴いている。この頃のAlan Holdsworthは本当にスゴかった。
ところが、Didier Lockwood、Mike Oldfield、Steve Winwood、Mick Taylorらをゲストに迎えた続く『Downwind』でガクッときて、さらに次の『Time is the Key』がつまらんかったな~。
でも、この辺でベースを弾いているHansford Roweってのはいいね~。
『Expresso II』の曲を演奏している1980年の『Poerre Moerlen's Gong Live』ってのはよく聴いた。
Pierreも2005年に亡くなっている。

フランスのロックもクセモノが多くておもしろい。私はゼンゼン詳しい方ではないが、MAGMA、ZAO、Pulsar、Atoll、ZNR、Tai Phong、Angeあたりはいいナァ。
ところで、MAGMAってChristian VandeがColtraneのフォロワーを標榜しているけど、ホントはストラヴィンスキーになりたいんじゃないの?って聴くたびに思う。

Mjg_st_img_5379

Frank Zappa『Overn-Nite Sensation』。見れば見るほどものすごいイラストだ。David McMackenという人の作品。Zappaに関してはMJGではあんあまり書かないようにしているので、書かない。キリがなくなっちゃうのよ。

ちょっとだけ書くとこの『Over-Nite Sensation』は数寄屋橋のソニービルの地下にあったハンターで「1,000円以下コーナー」の中から見つけて買った。ちょっとスリキズがついていたので800円だったのを覚えている。

アメリカで見つけたコレの4チャンネル盤の話しは以前に書いた

これと『One Size Fits All』の譜面がアメリカのメジャー音楽出版社、Hal Leonardから出た。『Hot Rats』と『Apostrophe (')』の上梓に次ぐ快挙だ。暇を見つけては「Montana」の真ん中や「Zomby Woof」あたりをさらってみようとは思っているのだが、なかなか根気が続かなくて…。もちろんすべてソラで歌えるぐらいメロディは熟知しているが、ギターで弾くとなると完全に別の話し。Steve Vaiってスゴイなァ。

最近もSteve Vaiが来日して大騒ぎになっていたけど、Zappa Plays Zappaで来た時なんかヒドかったよ。みんなあれがいいって言ってんのかな?
ギュインギュインとアームの上下ばっかりで、後半は見ているのも聴いているのも退屈で辛かった。楽屋ではとっても感じのいい人だったけど…。
上手ギターのJamie Kimeの方がよっぽどカッコ良かった。

私はずいぶん長いことZappa道を歩んできたので、Steve Vaiの名前は彼が世の中に最初に出てきた時から認識している。ZappaのバンドではStunt Guitarというクレジットで参加しており、Zappaが弾けない複雑なパートの担当ということになっていた。

Zappaのバンドに入りたくて得意の採譜力を示すために「Black Page」をコピーした譜面をZappa送ったという話しは有名だ。
その後、めでたくバンドに加入した。ブートレッグなんかを聴くと今よりゼンゼンすごいことをやっていたと思うんだけどな…。
それと、ジャック・バトラーはメチャクチャいい仕事をしたと思う。

(また)ちなみに、アメリカでは穐吉敏子とZappaのバンドにいたことがある人は、オーディションなして仕事にありつける…という。それほどムズカシイことをやっていたというワケ。ホントにそうだったのかどうかは分からないが、大好きな話し。

Mjg_st_img_5386

Kevin Ayersのソロ3作目『Whatevershebringswesing』。長い単語だ。一見するとポピンズ先生がいうところの一番長い英単語、「Supercalifragilisticexpialidocious」みたいだ。
もちろんこれは単語ではなくて「Whatever she brings we sing」で、「彼女が何を持ってこようとも僕らは歌う」ぐらいの意味になろうか。
1971年の作品で、GONGとKevinのバンド、The Whole Worldがバックを務めている。

David Bedfordの重厚なオーケストレーションにはじまり、バラエティに富んだ曲がギッシリとつまったこのアルバムはまるで映画のサウンドトラック盤を聴いているようだ。というか、このアルバムを聴きながら映画の脚本が1本書けそうな…。

それにしても気色悪いジャケットだ。でもスキ。kevinの作品はどれもジャケットの趣味がいい思う。「水」がテーマのこのアルバムには水が流れる音を使った曲が最後に入っており、LP時代にはループしてその水の音が延々と流れるようになっていた。(こういうエンドレスのLP盤を作ってはいけないルール があると聴いたことがあるけど…)

はじめてKevin Ayersを聴いたのは『June 1,1974』だった。EnoやNico、John Caleらが集まったRainbow Theatreのライブ盤だ。
35年まぐらい前のことで、これが廃盤扱いになっていてまったく手に入らなくて苦労した。輸入盤でも手に入らなくてイギリスから取り寄せてもらった。
Enoの「Baby's on Fire」はいいものの、Caleの「Heartbreak Hotel」とかNicoの「The End」とか、「なんじゃコリャ?」の連続だったか惹きこまれてしまった。

一番耳を惹いたのはB面の1曲目に収録されていたKevinの「May I?」だった。もっと正確に言うと「May I?」のギター・ソロにしびれた。弾き手はPeter Ollie Halsole。Time Box、Patto、Boxer、The Rattlesなどに在籍したレフティのギタリストだ。
最近ではTempest時代にBBCラジオに出演した時のAlan Holdsworthとの壮絶なギター・バトルを収録した音源が公式に発表され、その名を知った人もいるかもしれない。
程よいクランチ加減のSGサウンドでジャズっぽいフレーズを猛烈な速さで弾きまくるスタイルが素晴らしい。

一方のKevinはというと、いっくらなんでも歌を歌うには低すぎるだろう!という感じの声でなかなか取っつきにくかったが、何枚か買って聴いている内に味わいが出て来て好きになってしまった。
と言ってもトコトンまで追いかけたワケではないが…その中ではこのアルバムとOllieが初参加した『The Confessions of Dr. Dream and Other Stories』がスキ。

その後はKevinの片腕的に各アルバムにOllieは参加している。もっとバリバリとソロを弾いていたら夢中になっていただろうな…。

Kevin Ayersは後年、Ollieとともに来日して九段会館でコンサートを開いた…らしい。私はその頃地方に住んでいて来日したことすら知らなかった。観たかった!
Ollieは1992年、43歳の若さでドラッグ禍でこの世を去った。こう言ったらkevinやMike Pattoには失礼だが、もっと大衆受けするロック・ミュージシャンと組んでいれば、名声を残すことができたと思うナァ。本当にもったいない…というかもっと有名になってあの素晴らしいギターをふんだんに聴かせてもらいたかった!(ソロ・アルバムも出ているが、まったくおもしろくないので要注意)。

そのKevin Ayersも今年2月、68歳で亡くなってしまった。Mike Pattoもとっくにこの世を去っているし…こうしたいかにもイギリスっぽいミュージシャンがドンドン減っていることに我々は危機感を覚えるべきだ。
ヘンテコりんな声を出して軽佻浮薄なロックをやるヤツらは掃いて捨てるほどいるが(掃いて捨てた方がよい)、このいかにも大英帝国然とした重厚なブリティッシュ・ブリティッシュを継承するフォロワーがいないのだ。

Mjg_st_img_5391

Miles Davis『AGHARTA』。1975年2月1日の大阪フェスティバル・ホールの昼の公演を収録した2枚組ライブアルバム。夜の部は『Pangaea』と題して同じく2枚組で発売された。
この時のMilesは18日間の滞在中、6日の休みを散りばめ札幌から博多まで回ったという。

ジャケットは一見してすぐにそれとわかる横尾忠則の作品。これはいいも悪いもない。「Tadanori Yokoo」ということだけで十分だろう。
今から20年近く前にニューヨークの近代美術館に行った時、唯一発見した日本人アーティストの作品は横尾忠則のものだった。他にも日本人による作品はあったんだろうけどね。とにかく目立つ。

このアルバム、いいんだけどね~、ひとつだけ気になるのはPete Coseyのギターの音色なの。Milesに「ジミみたいに弾け」と無理を言われ、ギュイ~ン、ギュイ~ンと派手にハードに弾きまくるのはいいんだけど、何かアンプが壊れそうでイヤなんだよね、Marshall屋としては。何を使ってるのか知らないけど…。
でも、コンプレッサーを5~6台つないで、絞りに絞ってネジ切れる直前のスポンジのようなこの音色は間違いなくワン・アンド・オンリーだろう。
それにしてもですよ、これをJimiが弾いていたらどんなだったかね?『Jack Johnson』ではあまりにMcLaughlinがカッコいいので、こんなこと考えないけど、『Agharta』と『Pangaea』ではそんなことも想像したくなってくる。
もちろんMilesもSonny Foruneもリズム隊もいいんだけど、やっぱギターに行っちゃうな~、最近まったく弾いてないクセに!

ちなみにこの作品にも収録されている『Theme from Jack Johnson』の肝心の映画の方を観たことある人いる?これDVDになってるのかな?
私はVHSを持っていましてね。先日倉庫のガラクタビデオをBook Offへ持って行ったんだけど、この『史上最強のボクサー ジャック・ジョンソン』とポールの『Rock Show』、それにJack Wilkinsがギターを弾いているThe Manhattan Transferの初来日時のライブ・ビデオ、それに先ごろ亡くなったBob Brozmanのサインが入っているドブロの教則ビデオとあと数本はキープしておくことにした。

このビデオ、信州のレンタルビデオ屋で見つけて数百円で買ったんだけど、定価はアータ、14,800円よ!
裏の解説には「全編に流れる音楽は、あのマイルス・デイビス自作自演のオリジナル・スコア」なんて書いてある。しかもご丁寧に音楽コーディネーターとしてTeo Maceroの名前まで出てる。こんなこと書かれるといかにもMilesの音楽が効果的に使われていて『死刑台のエレベーター』や『思春期』のCharlie Parkerみたいな状態を期待してしまう。
実際、この解説に偽りはないんだけど、ドキュメンタリー・フィルムとナレーションのバックで、ズッ~と、ダラ~っと、小さい音でBGM的にあの「Right Off」や「Yesternow」が流れているだけなのだ。オイ!もったいなさすぎるだろ!

ドンドン横道にそれているが、ボクシング・ネタというと、すぐにBob Dylanの「Hurricane」を思い出すでしょ?Rubin "Hurricane"Carterという無実の殺人罪を被せられたボクサーの話し。
のちにDenzel Washingtonを主演に据え、名匠Norman Jewisonが伝記映画を制作したが、あれはとてもヨカッタ。そのハリケーンの救済ソングだ。これはリアルタイムで聴いてとても感動した思いがある。それなのに…。
…というのは、Bob Dylanで最近知った話しが『Love and Theft』の話し。詳しくはコチラをご覧頂きたい。最後の最後にそのことについて触れています。

Jj_img_0178何でDylanまで来ちゃったんだっけ?

それにしてもスゴイ演奏ですだ。。
『マイルスを聴け!』でおなじみの中山康樹先生は、この日の演奏を両方ご覧になられて、「いまにも押しつぶされるんじゃないかと恐怖すら感じた」と述懐されているが、まさにそんな感じなのだろう。

身体に穴を空けたり、ピンを刺したり、恐ろしい形相をしたりしてスゴみながらバンドをやっていらっしゃる方もたくさんおいでだが、こと音楽に関してはMilesの演奏の方が数万倍恐ろしい。
だって、ここで演奏しているのは人間ではないからだ。「音楽の鬼」どもが楽器を演奏しているのだ。
鬼どもの饗宴は中山先生のご指摘通り、『Pangaea』の方がすさまじい。興味のある方には是非両方聴いていただきたい。ただし、取って喰われないように!

Milesの項、最後にもうひとつ。
私は寝る時にイヤホンをして音楽を聴きながら寝入るのが習慣になっているんだけど、流す音楽は必ずジャズで、ピアノ・トリオだったりすることが多い。
ヘビメタのコンサートのような爆音の環境でも人間は眠くなるワケで、「ああトミー・フラナガンっていいナァ~」って思っている内に気持ち良く眠りにつくのだ。
もちろんピアノ・トリオでなくても大丈夫。Ornette Colemanあたりはチョット辛いので選ばれることはないが、『Kulu Se Mama』まであたりのJohn Coltraneでも十分気持ちよく眠りにつくことができる。

実際にはやっていないが、好きなハードロックだったらどんなにうるさくてもほぼ問題ない。

ところが、Miles Davisはダメなのだ。とろけるような『Cookin'』nの「My Funny Valentine」や『Jazz Giants』の「The Man I love」のようなバラードも、あの美しい『Sketch of Spain』もダメなのだ。
どんなにトロトロしていてもMilesのトランペットが入って来ると「ハッ」と目が覚めてしまうのだ。
こんな例えでしかMiles Davisのスゴさを記すことはできないが、きっとMilesのスゴサのひとつはこういうことなのであろう。
Mjg_img_5286

Weather Reportが2枚展示されていた。

このタイトルの英語がわからない。「I sing the body electric」。私のヘッポコ英語感覚では「Cry me a River」みたいな?

ジャズのスタンダードとしてよく歌われる「Cry me a River」はあまりにも重く切ないバラードで、以前、渡辺香津美さんがHoracio El Negro HernandezとRichard Bonaと組んだトリオのコンサートで、MarshallのHandwiredシリーズの18Wコンボ、1974Xでこの曲をア・カペラで弾いてくれた。
泣けたな~、あれは。会場は渋谷のオーチャード・ホールで何の伴奏もなしにこの切ないメロディをギターで朗々と歌い上げるサマには香津美さんに「世界一」を感じた。イヤ、実際にBe-Bopを弾かせたら、イヤ、弾いて頂いたら世界一の座は誰も奪い取ることはできないであろう。

で、「Cry me a River」というのは、「川で私のために泣いて」ぐらいの意味かと思っていたらさにあらず、「川一本分、私のために泣いて」という意味なのだそうだ(受け売り)。たしかに不定冠詞の「a」がついてるもんね。しかし、図々しいナ、いっくらなんでもそんなに泣けませんゼ!

さて、「I Sing a Body Electric」。これは19世紀のアメリカのWalt Whitmanという人の詩作が出自だそうだ。これが書かれたのは1867年のことで、まだ「電力」というものが普及していない時代だ。
「electric」と今では「電気的な」という意味しか頭に思い浮かばないが、「making people feel very excited(ロングマン現代アメリカ英語辞典)」という意味がある。

それにしても意味が取れないので、おなじみSouth ShieldsのSteve Dawsonに尋ねてみた。
答えは「わからん」。英語的にも意味が通じないらしい。
で、また答えがSteveらしく、「YesのJon Andersonもうまく言葉を操って、意味よりも『音』を重視した詩を書くクセがあったんだよ」だそうだ。
Ray Bradburyも1969年に同名の短編を発表している。

GONGじゃないけれど、Weather ReportもFleetwood Macのように結構スタイルを変え続けて活動したバンドだ。
みんなWeatherというと乾物屋みたいに「ジャコ、ジャコ」と叫ぶが、私はデビュー・アルバムから『Sweetnighter』辺りまでの初期の作品もスキ。
ナニもMirosrav Vitousが贔屓というワケではないのだが、何か新しいジャズを強引に作り出そうと苦悶しているような姿がいいのだ。
このアルバムも現在音楽っぽいアプローチがすこぶるカッコいい。

「Live under the Sky」でChick CoreaとRoy Haynesのトリオ、すなわち「『Now he Sings, Now he Sobs』の再現」というのでVitousを見たが、とにかくデカかった!

私的にはこのジャケット、ミジンコと見ている。

Mjg_st_img_5322

ちょっと横尾忠則っぽいデザインの『Mr.Gone』。目だけ見ていると研ナオコに見えて来る。
Weatherも夢中になって聴いたのはこの後の『8:30』と『Night Passage』あたりまでだったナァ。
Zawinulお得意のアフリカン・テイストもワールド・ミュージックのブームが到来して新鮮味を失ってしまったって感じ?

『Heavy Weather』の時代に日本に来てるんだよね。東京公演はめずらしく会場が日比谷の宝塚劇場だった。
まだ私が高校の時のことで、もうギターに狂ってた頃。「ケッ、ギターのいないバンドなんかおもしろくもなんともねーっての!」ってなことで観に行かなかった。ああ、猛烈に後悔している。
オレだってサ、プロ・ギタリストになりたかったギター・キッズの頃があったのさ!

その後、ジャコはWeather Reportを脱退し、天才の名を欲しいままにしながら八面六臂の活躍を続けた。Aurex Jazz Festivalのビッグ・バンドとかね。それから、自分のコンボで来日した時はギタリストを現地調達した。そのギタリストは渡辺香津美だった。
この時の演奏が後にFMで放送されシッカリとエアチェックして今でも大切に保管してある。

Mjg_st_img_5396

Edgar Winter Groupの『謎の発光物体』。なるほど見た通りのタイトルだ。しかもSF的。現在は『Unknown Radiated Object』…というのは真っ赤なウソで、ナ、ナント、このアルバムの原題が『The Edgar Winter Group and Rick Derringer』という。オイ!いい加減にしろよ!
こんなことやってるから「哀愁のヨーロッパ」みたいな事件を引き起こしてしまうのだゾ!

拙者、この人たち通過していないでござる。したがって何の思い入れもふござらん。

ただ言いたいのは、ヒット曲「Frankenstein」がMarshallの創立50周年コンサート、『50 YEARS OF LOUD LIVE』のオープニングに使われたことと、日本のJimi Hendrix、中野重夫がFM愛知でDJを務めている番組、『中野重夫のKeep on Rockin'』のテーマ曲になっていること。もう変わっちゃったかな?
数年前にゲストで呼んでいただいて1時間番組2本分、Marshallについて語らせていただいた。そして、今回またお誘いをうけておりましてな、どうにかなったらまたマーブロでレポします。

Mjg_st_img_5402

SLADEはいい。このアルバムは聴いたことないけど、SFテイストのジャケットだね。

私は近い将来、Aerosmithがそうしたように、日本も職業作曲家が復権を果たし、ロック・バンドに良質な曲を与える時代がくるのではないか…と思っている。というより期待している。他の例を引けばSweetだ。
もうロックには「反逆」やら「自由」などというテーマが似合わない時代、むしろそういうテーマを求めるのはアナクロニズムも甚だしいし、かといって「がんばって」やら「ありがとう」はロックの本業でもない。要するにもうロックにはやることがなくなってしまったと思っている。

福島の問題を考えてごらん。もしこれが本当にロックにパワーがあった時代だったら、ロック、フォークの別を問わずミュージシャンたちは東京電力を絶対に許さなかっただろう。容赦なく攻撃していたハズだ。
慰問やチャリティは素晴らしいことだけど、この事故が60~70年代にいたらミュージシャンたちはもっと別のやり方をしていたでしょうな。あの当時は音楽に力があったから。

ひと声で数万人が集まるコンサートやフェスティバルが林立しているが、これはロックに力がついたのではなくて、ロック・ビジネスが大きくなったからにすぎない。音楽としてのロックは完全に脆弱化・幼稚化してしまった。

「さくら」の枝を振りかざしても戦えないでしょう。もし清志郎が生きていたら徹底的にロックの力を使って戦っていたのではないだろうか?

これが本当の「参戦」だよ。コンサートに行くことを「参戦」とか言うようになっているようだけど、そんな物騒な言葉を簡単に使うのは止めた方がいい。
コンサートに「参戦」する前に、あまたある戦争関連の書物に目を通して歴史の勉強をしておくべきだ。ついでに言うと、「降臨」という言葉もよく見かけるが、そんな大層な言葉を使うべきではない。神仏に失礼すぎる。

そしてさらに、いいメロデイを作り出す才能も世代を重ねるごとに擦り切れてきて、もはや一介のミュージシャンの才能では突破口を見出すことが不可能になっていると感じざるを得ない。

今、民衆が一番欲しがっているのは「心に残るいいいメロデイ」だと思うんですよ。でも、今、ロックの中心にいる若者たちはそれに気が付いていない。というより気づく術を持っていない。

私がここで言っていることは、おそらく年配のオールド・ファンには理解してもらえると思う。

色々考えてみると、キチンと音楽を勉強した、本当に音楽的才能のある若い職業作曲家を起用するのが現在の音楽シーンへの一番よいカンフル剤だと思うのである。阿久悠や都倉俊一の再来だ。阿木耀子と宇崎竜童でもいい。

そうした作曲家や編曲家が活躍するようになれば、今度はそれを音にするちゃんとした楽器弾きが必要になってくるだろう。ここまでくればもう大丈夫。人々は今の何十倍も音楽を楽しむ機会が増えるであろう。ナ~ニも難しいことではない。もぎたてのトマトを清水で冷やして食べるおいしさをもう一度取り戻すだけのことだ。かえってムズカシイか?

ナゼこれをSLADEの項で書いたかというと、SLADEが活躍した時代がロックがロックのまま、もっとも人々に支持されていた時代なのではないか?と思うからである。
Mjg_st_img_5405

若い頃はVan Morrisonなんて絶対に聴かなかった。多分はじめてこの人に接したのはThe Bandの『The Last Waltz』の中の「Gloria」だったと思う。名前は以前から知っていたけど、まったく意識のうちに残らなかった。映画の中のヴァンはただ大声でがなり立てるオッサンという印象だったな。

今、ウチのCD棚にはヴァン・モリソンの作品のほとんどが揃っている。好きになったのは本当にだいぶ後になってのこと…。でもいくら聴いても口ずさめる曲って少ないような気がする。名盤の誉れ高い『Astral Weeks』にしてもそうじゃない?このアルバム、エルヴィン・ジョーンズと組んだ『Heavy Sounds』なんかで有名なジャズのベーシスト、Richard Davisが参加しているけど、エラクやる気がなかったんだってね。おもしろい。

で、ヴァンの曲はなんというか、メロディがあまりにも遠いというか、声にビックリしちゃってメロディが頭に残らないというか…。それでも、なんかいいんだよな~。そんなメロディも、あの声で、あのバックのカッコいいアレンジでやられると大変に深いものに変わってくる。

おそらく一番有名な曲は「Moon Dance」なのかな?私はこの曲は30年以上前、Jazz Galaというライブ・アルバムでドラマーのGrady Tateが歌っているのを聴いたのがはじめてだった。Grady Tateは一流のドラマーだが信じられないくらいステキなバリトン・ボイスを持っていてボーカル・アルバムも発表している。

最近ではヴァンの歌を聴いて一番思うのは「ダブリンに行ってみたい」だ。なぜかって?それはGuiness。本場のGuinessはよそで飲むGuinessとまったく味が違うそうだ。あのおいしいエールに慣れているイギリスの連中が口をそろえて「腰を抜かすくらいウマイ!」って言うんだもん!(コレ、最近他の記事でも書いたような気がするな。もしそうだとしたらゴメンナサイ!なにしろものすごく長い時間をかけてコレを書いているものですからもはや聴くが曖昧になっちゃって…)

Mjg_st_img_5420
これらのジャケット、SF的というよりも宗教的なイメージが強いナァ。
なんかこう、新興宗教のパンフレットの表紙みたいな…。

そういう目で見るとヴァンの音楽もそう聞こえてくる。この人も日本に来ない人だが、ある主義主張があってのことらしい。
知人が昨年ハマースミスでヴァンを見たと聞いてうらやましかった。

Mjg_st_img_5423
これが一番と宗教っぽい。

Mjg_st_img_5255

これはブっ飛んだナァ~。もちろん「Carry on my Wayword Son(伝承)」。間違いなくロック史に残る名曲といえよう。
高校の時かな、KANSASなんてバンドその時はゼンゼン知らなくて、どうしてコレを買ったのか、もしくは知ったのかは覚えていないけど、当時CBSソニーのレコードの装丁が豪華でそれに惹かれた部分があったような気がする。
もう他の曲はまったく記憶がない。とにかく「伝承」。あの頃は、誰もこんな曲知らなかったハズだ。

KANSASもチョット前まではよく日本に来ていたので何回か見せてもらったけど。とにかくこの曲に向けてコンサートをやっているような感じがした。もちろん「Dust in the Wind」だとか「Point of no Return」とかもあるんだけど、曲の格が違いすぎていて何だか見ていてかわいそうだった。

もうひとつこの曲でぶっ飛んだことがあった。それはFuzzy Control。以前はよくマーブロにも出てくれたが、何かのイベントでこの「伝承」をあの3人で完璧に演奏したのを見たことがあった。あれは驚いたナァ。歌といい、演奏技術といい、よそのバンドとはこれまたケタが違うことを知らされた。

ま、KANSASも十分人気がある方だったのだろうが、ひとたびプログレッシブ・ロックの枠に入れられると途端に影が薄くなってしまうのは、やはりプログレッシブ・ロックというものがイギリス人の独壇場であったからなのでしょうな?やっぱり、ああいう音楽は気候の悪いところでしか育たないということなのでしょう。そこがスキ!

とにかく!今人類に必要なのは政治、経済、文化の熱を問わず、古い世代から若い世代への「伝承」を推し進め、未来へ受け継ぐことだ。がんばれ音楽!
Mjg_st_img_5429

<前編>はコチラ⇒【Music Jacket Gallery】SFジャケット・コレクション <前編>

<後編>につづく

2013年6月 5日 (水)

Music Jacket Gallery~日本独自ジャケットLPコレクション<後編>

Shige Blog 2012年7月25日 初出

今回のガラス・ケースの立体陳列は、欧米の歴史のあるレーベルから新興のレーベルまでを網羅したレーベル・ヒストリーCDボックスだ。

レコード会社の音楽性をシンボライズしたものがレーベルといえるワケだが、各CDボックスにはそれぞれのレーベルの特徴を集大成した数多くの音源やその沿革を記した豪華なブックレットが同梱されており、重量感に溢れたパッケージと共に、目と耳とで楽しむアーカイヴとしての付加価値が最大の魅力だ。むしろ音源はもう揃っているだろうから、この手のものは入れ物やブックレットが目当てだったりもする。と言うは易し、買い難し。

「箱」の形をしているCDをすべて自家薬籠に抱え込んでいる日本一のコレクター、植村氏のみが公開できる壮大なコレクションといえよう。

今回登場するレーベルは、アメリカから…

SONY(米COLUMBIA)100周年(26枚組)

CAPITOL 60周年(6枚組)

ATLANTIC 50周年(9枚組)

WARNER BROTHERS 50周年(10枚組)

CHESS (15枚組)

SUN (9枚組)

MERCURY (7枚組)などを展示。

イギリスからは、

HARVEST(5枚組)

CHARISMA(4枚組)

FACTORY(4枚組)

2 TONE(4枚組)など。

個性的なレーベル・ヒストリーCDボックスの魅力が堪能できるという仕組みだ。それではひとつずつ展示品を見てみよう!

● THE CHESS STORY 1947?1975 (CHESS 1996)
戦後、チェス兄弟によって設立されたチェス・レコードの音源を集大成した15枚組CDボックス。チェス・レーベルがブルース、ソウル、R&Bを中心にアメリカの音楽シーンを牽引してきた功績には大きなものがある。詳細な資料を掲載したブックレットも貴重だが、15枚目のCD-ROMにはチェスから発売された全カタログが網羅されている。

MjgIMG_0045

● THE FAMOUS CHARISMA BOX (VIRGIN CHARISMA 1993)
1968年にトニー・ストラットン=スミスによって創立されたカリスマは、その名にたがわず極めて先進的かつ個性的なレーベルだ。この4枚組CDボックスには、こうしたレーベル・ポリシーに賛同したユニークなアーティスト群の作品が網羅されている。「不思議の国のアリス」に登場するマッド・ハッターのデザイン・キャラも人気の的だ。

MjgIMG_0050

● 50 GOLDEN YEARS 1952?2002 / A COMMEMORATIVE COLLECTION (SUN 2002)
50年代中盤のロックンロールの黎明期に多大なる功績を残したサン・レコード設立50周年を記念して発売された8枚組のCDと7インチ・シングルの9枚組ボックス。

7インチ・シングルはエルヴィス・プレスリーの最初期の貴重な音源。パッケージは昔のファイル・カードを模したもので、CDの収納方法にもかなり工夫がなされている。

MjgIMG_0052

●CAPITOL RECORDS 60TH ANNIVERSARY 1942-2002 (CAPITOL 2002)
1942年に創立されたキャピトル・レコード60周年記念の6枚組CDボックス。40年代から2000年代までを網羅したCDは各年代ごとにデジ・パックに収められ、144ページに及ぶ写真集もパッケージと同様に豪華な布製で作成されている。見るからに高そうだニャ~!

MjgIMG_0054

●REVOLUTIONS IN SOUND WARNER BROS. THE FIRST FIFTY YEARS (WARNER BROS. 2008)
1957年に創立されたワーナー・ブラザーズ・レコード50周年記念の10枚組CDボックス。レコードを模したレーベル・デザインや各種の傘下レーベルのデザインも見る目に楽しいパッケージだ。68ページのブックレットにはレーベルの沿革はもとより、詳細な資料が述されており、まさにアーカイヴ・ボックスのお手本となるものと言えよう。これも高そうだニャ~。

MjgIMG_0055

● PALATINE / THE FACTORY STORY 1979?1990 (FACTORY 1991)
70年代末期に創立されたファクトリー・レーベルは、マンチェスター・サウンドというジャンルを形成させたばかりでなく、ジョイ・ディヴィジョンという不世出のグループを輩出させた点でもその功績は大きなものがある。LPサイズのCDボックスは、ブックレットも大判のため、高齢者には読みやすさこのうえなし!ありがとう!

MjgIMG_0057

● BLUES, BOOGIE, AND BOP : THE BEST OF THE 1940’S MERCURY SESSIONS (MERCURY 1995)
40年代のマーキュリー・レコード黄金期のブルース、ブギ、ジャズなどを集大成した7枚組CDボックス。戦前の貴重なSP音源の収録はまさにアーカイヴ・ボックスならではのもだが、何よりも目をひくのが当時のラジオを模したレトロ感に溢れたパッケージ・デザインだろう。

MjgIMG_0059
● FOREVER CHANGING : THE GOLDEN AGE OF ELEKTRA RECORDS?1963 TO 1973 (ELEKTRA 1996)
1963年の創立から1973年までのエレクトラ・レコードの黄金期を集大成した5枚組CDボックス。この限定版ボックスにはポスト・カードやピンバッチなどのオマケも同梱されており、見る目の楽しさも倍加されている。CD-ROMにはエレクトラから発売された全ディスコグラフィーと、プロデューサーのインタヴューも収められており、貴重な資料となっている。

MjgIMG_0066

● SONY MUSIC 100 YEARS : SOUNDTRACK FOR A CENTURY (SONY 1999)
米コロンビア・レコード(現ソニー・ミュージック)設立100周年を記念して発売された26枚組CDボックス。クラシックからジャズまでの全てのジャンルの中から各アーティストの作品を1曲ずつ合計548曲という膨大な音源を収録している。100年という歴史の重みを感じさせる重厚で壮大なパッケージと共に詳細な資料を満載したブックレットも貴重なものだ。

MjgIMG_0068

● HARVEST FESTIVAL (HARVEST 1999)
1969年にEMIレコードの中に設立された先進的なレーベル、ハーヴェスト創立30周年の集大成である5枚組CDボックス。レーベルの沿革を詳細に述したアート感覚に溢れたブックレット型のパッケージが秀逸だ。Barclay James Harvestがフィーチュアされているのが見える。このグループ、70年代にはチャーター・ジェット機でツアーしてたのよん!オール・カラーのブックレットの巻末に載せられた全ディスコグラフィーは資料的に重要なものだ。

MjgIMG_0070

● BEARSVILLE BOX (BEARSVILLE 1996)
聖地ウッドストックで1969年に設立された名門ベアズヴィル・レーベルの作品を網羅した4枚組CDボックス。単行本型の独創的なパッケージは、CDの収納トレイや腰巻き帯にまで工夫がなされ、デザイナーのクリエイティヴィティが遺憾なく発揮されている。シリアル・ナンバー・カード封入の完全限定版で、日本のみの企画・発売だ。
MjgIMG_0072

このカード欲しいナァ~。

MjgIMG_0074

● THE COMPACT 2 TONE STORY (2 TONE 1993)
70年代後半に設立されて以来今日に至るまで「スカ」というジャンルを定着させた功績も大きい2トーン・レーベルの作品を集大成させた4枚組CDボックス。白と黒との市松模様が特徴的なレーベル・ロゴを始め、パッケージ・デザイン全体がこうした2トーン・カラーに統一されており、レーベルの特色をうまくデザイン処理している。

MjgIMG_0077

ミュージック・ジャケット・ギャラリーの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

(テキスト原文執筆:植村和紀氏)

2013年6月 4日 (火)

Music Jacket Gallery~日本独自ジャケットLPコレクション<中編>

Shige Blog 2012年7月24日 初出

今日はMusic Jacket Gallery、『日本独自ジャケットLPコレクション』の<中編>。もちろん金羊社のギャラリーからお届けします。

MjgIMG_0007

以前、ある専門学校で音楽や楽器に関する講義をさせてもらったんだけど、そこで「音楽配信の恐怖」に触れた。こういう機会があると必ずこの話をするようにしてるの。でも、ん~、あんまり若い人たちはピンと来てないみたいだよね。「ジャケット」がなくなってしまう!コンセプト・アルバムがなくなってしまう!なんてことはどうでもいいのね。

インヤ!いいワケない!やっぱり若い人たちは魅力を知らないだけ。ジャケットをまとうにふさわしいチャンとした音楽に囲まれていないからその楽しみや重要性がわからないだけだと思うのですよ。

それにしてもレコード会社の方々は大変だ。フィジカル・プロダクツを守らなければならない一方、営利事業として音楽配信を推進しなければならないのだからね。

でも、大丈夫!いい音楽さえ創出すれば、またよくなりますよ。まず、次々にテレビに出てくるチープなバンドをシャットアウトして歌謡曲をもう一度隆盛させましょう。もう「さくら」は禁止!

才能あるソングライティング・チームに、10年後、20年後にも歌い継がれているであろう佳曲をドンドン作ってもらい、レコーディングでは打ち込みを卒業して、腕の立つミュージシャンに本物の楽器を演奏してもらいましょう。歌は少しぐらい下手でも豪奢な衣装をまとった見目麗しい方にお願いしましょう。もうひとつ、優秀なコレオグラファーを起用して誰でも真似をしたくなる楽しい振付をクリエイトしてもらいましょう。

一方、テレビから締め出されたロックバンドだと思っている人たちは、60年代後半からパンク/ニューウェイヴ出現以前のロックをしっかり聴きこんで、一から「ロックバンド」として出直してみたらいかがでしょうか?みんなでカッコいいギターリフを編み出して、ギターソロを練習する。そして、ダークでへヴィで不健康なロックの世界を再構築してしてもらいたい。

テレビを見ていると、新しいものを作ろうとすればするほど、ヘンなものが出てきてしまうように思う。やりつくしてしまっているからしょうがない。音楽はもう先祖返りするしかないと思う。先人の偉大なる遺産に本質を見出し、自分たちの世代の感性を注入して、何かを作り出すしか道は残されていないのではないか?何とかクリエイターとかハイパー何とかはもう卒業なんじゃない?

とにかく、さんざロックで楽しませてもらっていい思いをしたおじさん(おばさんも)達みんなで若い人たちにカッコいいロックを教えてあげましょうね!ジャケットの魅力も同様なのだ!

MjgIMG_0016

ということで今日はロックの原点のひとつ、ジミ・ヘンから!

1968年にイギリスで発売されたJimi Hendrix Experience初のベスト盤、『Smash Hits』。んなこたぁ皆さんご存知ですね?イギリス盤はモノラル。その1年後にアメリカではステレオで発売された。イギリスでは4位、ビルボードでは6位までチャートを駆け上がった。

Ab (2)

これも『Smash Hits』。そう。これが日本盤。この魚眼レンズで撮った写真はアメリカ版『Are You Experienced?』に使われていた有名な写真…ともチョット違う。なんでこんなに曲げちゃったんだろう?まさか、気が付かなかったワケじゃあるまいに…。ま、ジャケの出来としては特段悪いワケじゃないけど、差し替える理由もないと思うんだけどナァ…。でもこれはまだいい…。

MjgIMG_0134

問題はコレよ。『Axis: Bold as Love』だぜ!もし、この表1からすべての文字情報を取り除いたら、初めて見る人にはこれが『Axis』だってわからないだろうナァ。
MjgIMG_0137
元はコレですよ、コレ。どうしてあんなことしちゃったんだろうか?

答えは簡単。「売れると思って…」上のジャケットに差し替えたに違いない…とは植村さんの弁。同氏によればこの国内盤、10ウン万円のプレミアがついている超レア盤だとか…。海外のコレクター垂涎の的でもあるそうだ。

もうこうなるとジャケットの意味合いを無視しているとしか思えないよね?いくらプレミアが付いているとはいえこっちの方がいいナァ~、ねぇシゲさん?

Ab (1)

あ~あ、表4もこの通り。ドッペリ日本語を刷り込んじゃってる。コレ、もともとはゲイトフォールドじゃない?まさか経費を下げるために強引にシングル・ジャケットにして、裏ジャケをこういう装丁にしたのかな?

いずれにしても、ジャケットが作品の一部であるということを無視していることは間違いないよね。

「ヒデーな~」と思う人もいるかもしれない。私もそう思うけど、ジャケットを必要としない音楽配信よりははるかに文化的でよろしいよ。まさかレコード・ジャケットが抹殺される世の中が来るとは思わなかったね。

MjgIMG_0138

これも!これはProcol Harumのファースト・アルバム『Procol Harum』の国内盤。あの黒っぽいイラストのヤツね。

どうもProcol Harumは『Grand Hotel』以外馴染みにくくて、昔からほとんど聴いていないんだよね。(…といいつつ2006年のデンマークのライブ盤をかけてみる…)ん~、やっぱりいいな~Procol Harum。っていうより、Geoff Whitehornのギター!Geoffが参加していなかったらコレも買ってないな。何せオーケストラと合唱隊が加わっていて、1曲目から「Grand Hotel」でしんみりとご機嫌なんですよ。短いけれど真ん中のギターソロは実にドラマチックでGeoffのギター・スタイルはこういう曲にピッタリだ。

先日のジムの会の時、ちょうど会場に着いたのが同時で、車から降りてくるなり「シゲさ~ん」とあのなつかしい声でハグしてくれたGeoff。今年の年末は日本に来るかも…みたいなことを言っていたがProcol Harumでも来るのかな?

以前のブログでも書いたけど、もう見れなくなっちゃったからもう一回書いちゃおう!…そんなだからProcol Harumにはウトくて、メンバーの顔もよくわからん。で、Procol Harumが来日して四人囃子と新宿厚生年金大ホールでダブル・フィーチュア・ショウが催された。Geoffに日本酒の差し入れを持って行ったんだけど、どこにも見当たらない。ドアが開けっぱなしの楽屋に入って、「Geoffはいませんか~?」とそこにいた白髪の老人に話しかけた。「イヤ、いないな。どっか外へ行ったんじゃないかな?」みたいなことを言う。その人、ゲイリー・ブルッカーだったの!ああ、握手しておけばヨカッタ!ファンでもないのにこういうところはやっぱミーハーでいかないとね!

しばらくして、ガヤガヤと騒がしくなったと思ったらGeoffと数人が楽屋へ帰ってきた。やっぱり!もう外へイッパイひっかけに行ってた!日本酒を渡すと大層よろこんで…ああ、本番までに4合ビン、ペロっと空けちゃった!

で、肝心のこのファースト・アルバム、聴いたことないんですよ、そんなだから。でももちろん「A Whiter Shade of Pale(青い影)」はおなじみにならざるを得ませんな。何せ世界でもっとも電波に乗った曲とかいう話しを聞いたことがある(イギリスで一番かも知らん)。ナント、ナント、世界で1,000回以上カバーされたらしい。

こないだ、って言っても前のブログか…Pink Floydの『狂気』のことを書いたことがあった。あれも「The Great Gig in the Sky」が著作権でモメにモメた。

この「A Whiter Shade of Pale」も同じ。Gary BrookerとKeith Reidの共作ということになっていたけど、Mather Fisherがイチャモンをつけた。「オレも作曲に協力したんだ」とね。2006年に勝訴。

先の厚生年金の時にはかなりMathewがフィーチュアされて仲がいいのかと思っていたけど、こんなことがあったのね?で、Mathew Fisherは辞めちゃった。過去の印税をゲットできれば「青い影」1曲で遊んで暮らせるんじゃないかね?

この日本盤、おもしろくはないけど、ジャケットのデザインとしてはそう悪くないと思う。

MjgIMG_0136

1968年、Soft Machineのデビュー・アルバム。Chas ChandlerとTom Wilsonのプロデュース。元来のジャケットは歯車を模したギミック・ジャケット。はじめからこの日本盤のデザインだったらなんら問題なかったんじゃない?体育座りしているRobert Wyatt、Mike Ratledge、Kevin Ayersの3人が可愛い。

「カンタベリー派」を代表するというか、開祖というか、とにかく「カンタベリー=ソフト・マシーン」という図式は有名でしょう。好きでね、カンタベリー・ミュージック。わざわざカンタベリーまで行ったけんね。

MjgIMG_0139

サイケ期だけあって、Robert Wyattのホンワカした声とユルイ曲調がはじめダル~イ印象を与えるが、演奏は実に鋭くてカッコいい!特に声とは正反対の閃光のようなドラミングがタマらん!

Soft Machineのアルバムは『Volume 1』から始まって7枚目まで数字がタイトルになっていた。Chicagoみたいにね。正確に言うと、5枚目までが序数でなぜか6枚目と7枚目は『Six』、『Seven』と普通の数字だった。

アルバムデザインも数字だけのタイポグラフィからイラストだのアー写だのよくいえばバラエティに富んでいたし、悪く言えば一貫性が何らなかった。でも、それぞれがどこかSoft Machineっぽくて好きだな。
MjgIMG_0140

Trafficもほとんど持ってるけど、どうも入りきれないグループのひとつだな…。なんでだろう?この日本制作のベスト、内容をチェックしなかったのでどのあたりが網羅されているのかわからないけど、控えめでいいジャケットだな…。

Trafficもジャケットがパッとしないバンドだったように思う。名盤の誉れ高い『Barleycorn』もネェ~。案外好きなのはあの2枚組のライブ、『On the Road』。

MjgIMG_0142

これが私のOn the Road。ヒースローからバーミンガム方面に向かうM1というフリーウェイを通過中の車内から撮った写真。すぐに「お!Traffic!」と思ったね。運転手に「なんだってこんなところ撮ってんの?」と訊かれて説明したけど、Trafficを知らなかった。

Traffic2
1972年のManfred Mann's Earth Bandの『Manfed Mann's Earth Band 』。お~、これは改良なったかも!なんで右下に2眼レフのカメラを配したのかわからないけど…。
MjgIMG_0143

元はコレ。上の赤い日本制作の方がよくね?

このバンドもジャケットに恵まれないように思う。耳の『The Roaring Silence』と『Soloar Fire』ぐらい?先述のGeoff

Whitehornが参加している『Chance』なんて一体ヤル気があるのか、気持ちを確かめたくなる。

Mmeb

驚いたのは、このアルバムというか、この時期、ドラムってChris Sladeだったのね…いかに熱心に聴いていなかったかがわかっちゃうね?私、2年前にジミー桜井さんが参加したVon Zepを撮らせてもらったことがあって…そのドラムがChris Sladeだったんですよ。それだけ。

それにしてもManfred Mannのバンドって立ち位置が独特なんだよな。なぜかやたらとカバーを演ってるし…。1964年のアメリカ編集の『The Manfred Mann Album』というアルバムにCannonball Adderlyの「Sack O'Woe」が収録されていたにはのけぞった!

だいたい先の『Roaing Silence』の「Blinded by the Light」だってBruce Springsteenだもんね?でもそのカバーっぷりがいいんだよね!はじめて聴いた時、「おお!いい曲!」と思って、後でスプリングスティーンの曲って聞いてガッカリ…で、今度はスプリングスティーンの曲を聴いたらアータ全然マンフレッド・マンの方がいいじゃないの!というよりまるっきり別の曲だし…。こんなに作り込んでカバーするなら、最初っから自分たちで曲を書けばいいじゃん?とまで思っちゃうよね。イギリスを代表する名門バンドに向かって失礼だけど、何か愛すべきバンドなのですよ。マンは。

MjgIMG_0144

イギリスのブルース、R&Bの名門レーベルImmediateのオムニバス盤。同レーベルから『Blues Anytime』というコンピーレーション・アルバムがあるが、それをクラプトン、ベック、ペイジの参加している曲に的を絞り、それにジェレミー・スペンサーとジョン・メイオールのちりばめたといったところか…。

ジャケットはいいよね~。このベルボトム!クラプトンのベルトも仮面ライダーみたいでカッコいい~!ところで、「ロンドン・ブーツ」という言葉は死語ですかね?お笑いコンビを指すとき以外には聴かなくなった。ここ十年ちょっと、毎年何回かロンドンへ行っていても、そういえばロンドン・ブーツを履いた人はついぞ見たことがない!

MjgIMG_0145

それにしてもイギリスの人ってブルース・ロック好きだよね~。さっきの「Blues Anytime」を全曲(47曲)聴くのもかなりの苦行だ。にもかかわらず6枚組のCDボックスセット『The Immediate Singles Collection』なんてのを買い込んで来て…最後に聴いたのはいつだったかナァ~。

でも、デンマーク・ストリートあたりの楽器屋へ入るとこんなんばっかりよ。バップ・フレーズ弾いてるヤツなんて一度も見たことない!ホント、イギリス人はブルース・ロックが好きだと思う。

でも、ま、こういうのがツェッペリンになったり、ジェフ・ベック・グループになったりするワケだからこういうのも感謝して聴かなきゃな…少なくともパンクやニューウェイヴとは比べものにならないくらいカッコいい!

若者よ!ブルース・ロックを聴け!私ももっと聴く!
MjgIMG_0146

またManfred Mann。こっちは1964~1965年に録音されたもののコンピレーションだ。1968年頃の発売。邦題が『ロックからブルースへ』という。スゲエな、このデザイン。今ではもうこんなの描ける人というか、こんな感覚持ってる人っていないんじゃいないの?すごくいいんですけど…。少なくともオリジナルのマンフレッズのアルバム・ジャケットより好きかな?これは田名網敬一さんかな?違うか?
MjgIMG_0147
Steppenwolfの名前は知らなくても「♪いつものラーメン」で始まるあの曲なら知らない人はいないでしょう?そう「イージーライダーのテーマ」…違う!「Born to be Wild」だね。今ではFuzzy ControlのジョンジョンがコーラのCMで歌ったり、ジャムセッションで重用されたりして、映画のイメージがなくなってきた感はあるけど、我々世代は映画『イージーライダー』が流行ったこともあって、この曲は「ワイルドで行こう」より「イージーライダーのテーマ」だったように思う。

Steppenwolfはカナダとアメリカの混成バンドで1967年のデビュー。もうこの頃からワイルドだったんだゼ~。私は子供のころそれこそ日本制作のベスト盤を1枚、数寄屋橋のハンターで買った以外に1回もこのバンドに手を出していないが、ものスゴイ人気だったのね?

だってだゼ~、世界中で25百万枚のレコードを売って、8枚のゴールド・ディスク、12曲のビルボード100ヒット、そのうちの6曲がトップ40だってーんだからね。

その割に、このバンドのアルバムって言われても見事に1枚もジャケットが頭に浮かんでこない。まったくダメ。日本でオリジナル・アルバムって発売されていたのかしらん?

世の中には欧米と日本での人気の度合いが異なるバンドが山ほどあるけれど、もしかしてこのSteppenwolfが一番なんじゃない?

ちなみにこの日本制作のベスト盤のタイトルは『ハード・ロックの王者』という…冗談でしょ?!MjgIMG_0150

Peter Framptonはマーシャルを代表するギタリストとされている。我々日本人にとっては『Comes Alive』であり、「Show Me the Way」であり…。どうもジムと仲がよかったという話しも聴いたことがある。イヤ、それよりもイギリスでは、このThe HerdであったりPieの『Performance Rockin' the Fillmore』や『Rock on』であったり…。この人も欧米と日本でのとらわれ方が大きく異なるミュージシャンのひとりではなかろうか?でも、こうしてThe Herdのベスト盤が出ていたところを見ると『Comes Alive』以前の日本でも評価もまんざらでもなかった…かどうかは私は知らない。
MjgIMG_0152

コレ、圧倒的に変なジャケだよね。これで表だよ。John Peelプロデュースするところのリバプール・サウンドのコンピレーション…とか思っちゃうよね「The Liverpool Scene」なんて聞くと。これはグループ名。1968年の『Amazing Adventure of』というアルバム。

へヴィめのロックにのって誌をよむように歌詞を乗せるスタイルのバンドだ。ピールの助けで大学サーキットでは少々の成功を納め、ツェッペリンの前座までやったらしいが、アメリカに渡ったら失敗をブッこいた。

「新鮮」とまでは言わないまでも、聴きようによっては十分に楽しめる。でも、歌にメロディがほとんどないのは致命的。必ず飽きてしまう。
MjgIMG_0153

Chris Speddingはかなり昔から名前を知っていた。何かで読んだように記憶しているが、「日本で3大ギタリストといえば、クラプトン、ベック、ペイジだけど、本国イギリスに行くとクリス・スペディングが入る」…これが非常に印象的だった。『ギター・ジャンボリー』ってのがすごく気になったけど手に入らなかった。これを実際に聴いたのはかなり後になってからだった。

スペディングはJack Bruce、Ian Carr、Mike Gibbsとの共演を果たしたブリティッシュ・ジャズ・ロックの重要ギタリストだった。それでずいぶんと気になって、いろんなアルバムを通じて彼のプレイに耳を傾けたが、納得がいったことは一度もなかったな。

FreeのAndy Fraserとのバンド、The Sharksが聴きたかったけど当時全然手に入らなかった。今でも持ってない。

他にもJohn Cale、Bryan Ferry、Elton John、Eno等とのレコーディングをした…こうして見ると、下手をすればこの人はイギリスでもっとも広範囲な活動を展開したギタリストかもしれない。

1977年、Bryan Ferryが単独で来日した時、中野サンプラザでクリス・スペディングを見た。トレードマークのフライングVを下げていたがそれ以外には特に目立つ点はなかった。この時、Andy McKay、Paul ThompsonというRoxy勢に加えて、ベースがJohn Wettonだった。『Manifesto』で復活する前で、Roxyが休んでいただけにファンだった私にはメチャクチャうれしいコンサートだった。Roxyが復活して来日。その武道館のコンサートも観たが、あまりパッとしなかったな…。

その後、BSかなんかでRobert Gordonのバックを務めるクリスを観た。彼のフィーチュア・コーナーもあって「ギター・ジャンボリー」なんかを演奏していたが、歌があまりにも貧弱で情けなかった。また、昔はモノマネもよかったのかもしれないが、技としては東京おとぼけキャッツを通過していた私にとってはクリスの芸が「憐れ」にさえ見えた。

ところが!ゴードンのバックとなると話しは違っていた。クリスのプレイはあまりにも正確でカッチリとしており、彼が60年代よりテクニック派のミュージシャンたちに重用されていたという長年の謎がいっぺんに解けた気がしたのだった。こういうギターはなかなか弾けないもんだ。

このクリスのベスト盤『Spedding the Guitarist』、パッと見るとAlan Parsons Projectの作品を連想させる。
MjgIMG_0154

Ten Years Afterを知ったのは映画『ウッドストック』。どこで観た時だったけかナァ~。中学の時だった。もう退屈で退屈で、すっかり寝てしまった。気持ちよく寝ているのを叩き起こすように耳になだれ込んできたのはAlvin Leeの『ヘリコプター』のイントロだった。いっぺんに目が覚めたね。

それで『Sssh』、『Watt』、『Recorded Live』等、何枚かTen Years Afterのアルバムを買い込んだ。もっとバリバリとギターを弾いていることを期待していた私はガッカリした。その中の1枚が『Stonehenge』だった。
MjgIMG_0155

私が中古で買った『Stonehenge』はこういうジャケットだった。確か当時は廃盤になっていて貴重っぽい感じがしていたと思う。内容は確かツラかったように記憶している。

日本盤デザインでもオリジナル・デザインでもどっちでもいいか…。(注:本記事掲載後にAlvin Leeが亡くなっている)

  Stonedhenge

これはまた珍しいパターンかもしれない。『John Mayall Plays John Mayall』という1964年のライブ・アルバムが元。日本制作盤のタイトルの方が『Live at Klooks Kleek!』と複雑になってる。

Klools KleekというのはロンドンはWest HampsteadのThe Railway Hotelにあったジャズ、R&Bのクラブ。<前編>のGraham Bond Organisationのところで紹介したアレ。隣にデッカのスタジオがあったそうだ。
MjgIMG_0157

植村さん、また名前入れちゃってる。左下の「John Mayall」ってのは何か貼ったのかな?こういうのを見ると植村さんがただ「集まりゃいいわ」というだけのコレクターではなくて、1枚1枚可愛がってよく聴きこんでいるのがわかる気がする。実際、内容について質問しても即座に答えてくださる。聴いてなきゃこんなことはできないもんね!

MjgIMG_0158

ってチョット待てよ…。West Hampsteadで隣にデッカのスタジオね~。と、我が写真のコレクションをひっくり返してみた。『イギリス・ロック名所めぐり』の資料フォルダだ。

これがジュビリー線のWest Hampstead駅でしょー。

Decca_hampstead

ここを背に数ブロック行って左に折れると…。元のDeccaのスタジオがある。今はバレエの学校になってる。で、その隣っていうと…確か写真を撮ったな…。

Decca_decca
オワ~!あったあった!RAILWAY HOTEL!素敵なホテルだな~、と思って撮っておいたのですよ。ここにKlooks Kleekがあったのか!これはまた『ロック名所めぐり』でやりましょうね!

Decca_railway

このTen Years Afterの1968年のライブ盤もそのKlooks Kleekで収録された。手元にあったアー写でジャケット作っときました!ってな感じ?

MjgIMG_0156

このジャケットのイラストはとてもいい。いいんだけど、何だってクラプトンだけ老けてんの?一種の便乗商法ですな?

MjgIMG_0160

こっちがオリジナル。こっちもなかなかにいい。これはロンドンの名門クラブMarqueeでの1964年のライブ。

Marqueeは3店目までが重要だ。1号店、2号店はどこにあったかハッキリわかっていたんだけど、3号店がどうしてもハッキリわからなかった。「このあたりには違いないんだけど…」とCharing Cross Roadをさまよってみても、どうもよくわからない。それが、こないだロンドンに行った時に見つけてしまったんですよ!うれしかったね。この話も『名所めぐり』でね!

5live
こういうのはもはや日本のお家芸ですな…。季節のコンピレーション?(アルバート・ハモンドは違うけど…イヤ、秋になると「落葉」といっしょに出てくるのかな?)

MjgIMG_0162

The Original Caste…知らないナァ~。カナダのフォーク・ポップ・グループなんだって。わかりやすくいえば、PPMであり、サイモン&ガーファンクルであり、ジョン・デンバーであり…ようするに私には関係ないってことなのね?道理で知らないと思った!

これは1971年のライブ・アルバムで、驚いたことに同年に『Volume 2』としてもう1枚日本でのライブ盤を追加発売しちゃってる!人気あったんだねぇ~。

MjgIMG_0163

1972年にリリースされたThe Shocking Blueのライブ盤。オランダだっけ?「Venus」以外の曲をまったく知りません。こんな人…多いんじゃないかな~?盛り上がったんだろうな~、あのイントロが聴こえた瞬間!
MjgIMG_0164

これは圧倒的に帯がおもしろい!ちょっと書き出してみると…

⇒これは、あのピーター・ガブリエルが在籍したジェネシスの幻のデビュー・アルバム「創世記」に、4曲の未発表テイクをプラスした超ボーナス盤だ!

⇒ジャケットも日本盤のみの特製デザイン!

⇒さらに初回プレスのみ、今英米で大流行のカラー・レコード盤なのだ!(実際に自分の目で確かめよう!)

⇒それで価格は、たったの2,000円!早いもの勝ちだ!

突っ込みたいところは多少あるが、この際よそう。ピーガブ人気に乗って、とにかく、ものスゴイやる気を感じますナァ。これでどのくらい売れたんだろう。

以前、どこかに書いたけど、ガガ様が「奇抜な衣装、奇抜な衣装」とよく言われているようだけど、少なくともピーター・ガブリエルが40年以上も前にもうやっちゃってると思うんだよね。

こうして先祖がえりが所々で取り入れられているんだけど、誰もそれがオリジナルではないことを指摘しないんだよね。それじゃダメだ。

MjgIMG_0166

これはごく平均的常識的な日本制作盤ですな。選曲もよろしい。

ロイ・ブキャナンは後楽園ホールで観たけどスゴかったナァ~。

MjgIMG_0168

Steely Danの日本制作ベスト盤。Danには『A Decade of Steely Dan』というかなりよくできたベスト盤があるので他は無用に思うが、これは故山口小夜子をフィーチュアしてどうしても作りたかったんだろうネェ。帯には彼女の推薦の言葉が書いてある。それにしても、Steely Danの最高傑作のジャケットを日本人が飾る…なんてスゴイことだよね。

Steely Danについてチンタラ書いているととても終わらなくなってしまうので、このベスト盤についてだけ書くことにしよう。

帯には「「ドゥイットアゲイン」から「彩AJA」までスティーリー・ダンの軌跡を収めたベスト・アルバム!!」とある。で、選曲に目をやると…

<SIDE A>

1. Do It Again

2. Dallas

3. Sail the Waterway

4. Black Friday

<SIDE B>

1. Aja

2. Kid Charlemagne

3. Rikki DOn't Lose That Number

A面2と3は未発表曲。するとたった5曲で、このバンドの軌跡を辿っていることになる。ただでさえ『Can't Buy a Thrill』から『Aja』まで6枚の傑作が存在している。1枚当たり1曲以下の選曲となるワケでしょ?これは土台ムリな話し。

制作企画の時にどんな話しが出たんだろう?もっともファンに未発表の2曲を売るためだけを目的として制作されたんだろうけど、もし制作にダン・ファンの人が関わっていたとしたらそれは拷問だ。「アレも入れたい、コレも入れたい…でも5曲しか選べない!」。会社の命令とはいえ、ツラい仕事だろうナァ。やっぱり好きなものを職業にするには大変な覚悟がいるということだ。

MjgIMG_0169

これ持っててさ、某中古レコード店に売ったら、想像をはるかに超える値段がついた。売らなきゃヨカッタ…。でも、『Something/Anything』を持っていたので処分しちゃったんだな~。

ジャケットがカッコいいって当時言われてた。それにしても、コレなんだってこんなダイジェスト版にしちゃったんだろうね。当時のトッドの人気では2枚組は負担だったってこと?イヤ、もうあのときには『Todd(未来から来たトッド)』が国内盤で出てたもんね。『Something/Anything』がツマラナイってこと?イヤイヤ、名盤の誉れ高いではないの…。契約の関係?

とにかく売らなきゃヨカッタ…いまだに臍を噛む思いの1枚。

MjgIMG_0172
Deep Purpleの1968年のデビュー・アルバム。自国イギリスよりも、アメリカで最初に注目された。アルバムのデザインは何種類か存在したが、この日本版に使われている写真はシングル「Hush」のイギリス盤に使用されたものであろう。

このアルバムに参加している、つまりDeep Purpleの初代ベーシストでありNick Simperが「ジムの生涯を祝う会」に来ていた。仲良しのスティーヴ・ドーソンが教えてくれた。「シゲ、シゲ!ニック・シンパーが来てるゾ!」、「ってディープ・パープルの?」、「そうそう!」

周囲にマーシャルの人間が何人かいて、「ホント?」なんてビックリしていたが、自分を含め、みんなどの人がニックかは識別できないようであった。

だいたい、元の顔がわかんないもんね。無理はなかろう。でも、パープルの歴史はここから始まったのだ!

MjgIMG_0176

Sex Pistolsって何枚アルバムを出してたのかしらん?ベスト盤なんて編めるのかしらん?と不思議に思うほど詳しくないんだけどね。パンクはまったくの門外漢なのです、アタシ。

それでも当時ものすごく話題になったんで友達に借りて『Never Mind the Bollocks』なんか聴いたな。「なんだよ、普通のハードロックじゃん!」と思った。演奏はウマいし…。

後で聞いたらギターはクリス・スペディングが弾いてるとかいうじゃない?…これはデマだったんだけど、プロデューサーのクリス・トーマスがインタビューでこんなことを言っていた。

「あのアルバムのギターの音は12回重ねた部分があって、12回弾く間、1度もチューニングをさせなかった」って。クリスはわずかなチューニングの狂いを利用して音を厚くしようとしていたというワケ。今でいうデチューンっての?演奏面はそうしたキチンと計算された作り込みがなされていたんだね。やってたことはパンクかもしれないけど、作ってたものはパンクではなかったってことか…。さすがクリス・トーマス。

さて、このアルバムはシングル曲に未発表曲とアルバム未収録曲で構成されている。未発表なのに「Very Best」とはコレいかに…。BESTな作品だったら発表しないワケがないと思うんですけどね…。

でもタイトルはいいね。『Never Mind the Bollocks』のアンサーになってる。

MjgIMG_0179

デビュー・アルバムから『Wishbone Four』までの代表曲を収録したベスト盤。アッシュの一番クリエイティヴだった時期だ。当時「世界一美しい音を出すロックバンド」と言われた。英語圏の人たちが聴くとその大げさな歌詞にひっくり返るらしいが、サウンドという面で、今の若い人にはこういうバンドを聴いてもらいたいものだ。

バンドの中でただガムシャラにかき鳴らすだけがギターの役割ではないことが一聴してわかるハズ。速く弾かなくても、右手を指板に乗せなくても、ギターっていろんなことができるんだナ…と感心することだろう。Ashを聴いてそれがわからなければギターは辞めた方がいい。
MjgIMG_0182

Vanilla Fudgeの4枚目のアルバム『Near the Beginning』。これも完全に原型をとどめていないなぁ。このジャケットデザインで売り上げがアップするとは到底思えないのだが…。

MjgIMG_0184

UFO、1971年のセカンドアルバム『Flying』。オリジナルのデザインはかなりドイヒー。こっちの方がマシというもの。しっかしね、このバンドがひとりのドイツ人ギタリストを招き入れたことによって世界的な人気ハードロック・バンドに変身するとはね~。この3年後に『Phenomenon』で本当にFlyingしてしまう。

MjgIMG_0188
1967年の『A Hard Road』というアルバム。『ブルースの世界』というタイトルで日本版を出していた。ほとんど原型のままだ。「Blues Dimension」と大胆に刷り込んであるけど、オリジナルのデザインにはないものだ。

この他にも、メイオールの国内制作盤っていうものがゴロゴロしていて、当時の評価の高さ、イヤ、人気の高さかな?…には驚きを感じざるを得ない。
MjgIMG_0191

Dave StewartとBarbra Gaskin…プログレの重鎮によるチームなのになんでこうなっちゃうかな?Hatfirld & the NorthやらNational Healthやらを想像してアルバムを買ったらエライことになった…。

これはA面がカバー、B面がオリジナルという構成でシングルを集めた日本編集盤。

MjgIMG_0193

1967年のMoody Bluesのセカンド・アルバム。London Festival Orchestraとの共演作でヒット曲「Nights in White Satin(サテンの夜)」が生まれた。オリジナルのデザインはあの絵の具をブチまけたような抽象画のヤツ。やっぱりオリジナルの方がいいかな?

MjgIMG_0195

日本だけで発売されたクラブ・ミックスのミニ・アルバム。なんたって史上最強のトリオ・バンドですからね、なんだって許されちゃう。

私はおととしの夏、ビリー・ギボンズとダスティ・ヒルにロンドンのロック・フェスで会って話しをしたですよ。ビリーはすごく物静かな紳士だった。ダスティはとっても気さくな感じで写真をいっしょに撮ってってもらったっけ。

MjgIMG_0196

最後は「ゴールデン」で〆ましょう!

1968年のアビイ・ロード・スタジオでの『ホワイト・アルバム』の収録風景と1965年の映画『ヘルプ!』の撮影風景に未発表音源がプラスされてるんだって。聴いてみたいような、みたくないような…。

MjgIMG_0197

ミュージック・ジャケット・ギャラリーの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

<後編>につづく

 

2013年6月 3日 (月)

Music Jacket Gallery~日本独自ジャケットLPコレクション<前編>

Shige Blog 2012年7月18日 初出

実はシゲブログをスタートさせた理由のひとつに「ミュージック・ジャケット・ギャラリーのレポート」というか解説を書き続けたいという欲望があった。

以前書いていたブログが、おかげさまでマスコミ関連等、多方面の方々にもご愛読いただいていたという僥倖もあったが、この無責任にウンチクを固めまくった拙文を楽しんでいただいている音楽ファンが予想以上に多数おいでいただいたということが何よりうれしかったからだ。

私も音楽ファンということにおいては人後に落ちないつもりである。音楽ファンとしてこのレポートを書き続けなければならない…という気持ちになったのだ。もちろんそれを至上の喜びとしていることは言うに及ばない。

MjgIMG_0001

ということで我ながらめでたくMJGレポートを再開させていただいたが、ノッケから読者のみなさんにお詫びをしなければならない。というのは、数か月のブランクの間に2回分の展示をスキップしてしまったということだ。つまり2回抜けちゃったの。

で、今回レポートするのは去る2012年1月から3月まで展示されていたものであるということをあらかじめご了承ください。
MjgIMG_0005
もちろん会場はおなじみの金羊社のギャラリーだ。

MjgIMG_0013

今回のブローアップ・ジャケットはJethro Tullの『ゴールデン・ジェスロ・タル』と…ってそんなのあったか?

…とTodd Rundgrenの『ハロー・イッツ・ミー』。これは持ってた。
MjgIMG_0084
今回は日本のみで独自にデザインや編集された作品の特殊なのだ!コレ楽しみにしてたんよ~!

MjgIMG_0016

その昔、森山周一郎が何かのインタビューで映画の吹き替えを指して「しょせんはステーキのハンバーグ化」と、いいものをワザワザ改悪していると指摘していたのを覚えている。あのジャン・ギャバンの、あのリノ・バンチュラがの、スペンサー・トレイシーの、テリー・サバラスの…あのカッコいいこと極まりない声の持ち主がそういっているのだ。全面的に賛成!
IMG_0023

それが今ではロードショウ公開でも吹き替え版の方が人気があるっていうじゃない?字幕を読むのがイヤだから邦画のほうがいいとかいう若い子も多いと聞く。ま、今のハリウッド映画は今の音楽よりも面白くないと思うので、彼らの意見を一概に否定はできそうにもないが、オリジナル至上主義の私にはとても奇異に映る。
IMG_0028

アニメの隆盛により声優の地位が確立されたせいもあるのだろう。

「最近は外人さんも日本語がうまくなったネェ~」とテレビの洋画劇場を観て感心したお年寄りがいたというのもうなずけなくもない。

でも、この吹き替えという形態は世界的に見れば字幕よりはるかにスタンダードな翻訳手段なんだよね。ま、これはこれで結構おもしろいこともあって、海外に行って日本のアニメが吹き替えで放送されていると思わず見入ってしまったりするものだ。

これが英語の吹き替えだと、まあ、それほどさっぱりわからなくもないのでオモシロ度が低減してしまうのだが、これがドイツ語あたりだとかなり笑える。バイツェン・ビールを片手にスーパーの総菜コーナーで買い込んできたしょっぱいこと極まりないシュニッツェルとハンバーグをパクつきながら、「ナニいってんだコイツ?!」とあのドイツ語独特の妙なサウンドに吹き出しそうになりつつ楽しむのだ。何せ「0(ゼロ)」が」「ヌル」だからね。「ジェームス・ボンド」は「ヌルヌルズィーヴン」だ。
IMG_0031

さて、今回紹介するMJGの特集は、日本で独自に制作された作品たちだ。繰り返すが、展示は2012年の1~3月にされていたもので、現在MJGで開催されている特集の展示アイテムではないことをご了承いただきたい。
IMG_0032

先にも書いたが、実は従前よりこの特集を楽しみにしていた。
IMG_0034

というのも、こうした編集盤、あるいはジャケット違い盤は得てして短命で市場から姿を消すことが多く、見たこともないようなものがゾロゾロと出てくることを期待していたのだ。
IMG_0035

イヤ、もっと正直言うと、すでに申し述べた通り、こっちはガッチガチのオリジナル至上主義。昔の日本のレコードいかに、どれだけ、オリジナル作品を改悪しているかに興味があったのだ。(植村さん、ゴメンなさい!)
IMG_0037

実際、実物を目にすると、あながち「改悪」ばかりではないことにガッカリしたりもするが、ナントいうかナァ…
IMG_0038

猛烈に流行に流されやすい日本人の国民性が垣間見れて大変面白かった!
IMG_0040

もちろん今回も出典は日本を代表するコレクター、植村和紀氏。
IMG_0042

ウチは引っ越しの時、父が勝手にドバっと捨ててしまったが、植村さんはほとんどの帯をキチンとかけっぱなしにしていらっしゃる。やっぱり国内盤といえば帯。帯に臆面もなく堂々と記してある惹句の数々も見どころのひとつだった。

それではいってみましょ~!
IMG_0043

これぞ日本制作盤!なんで昔はこうして来日ミュージシャンに法被を着せちゃってたんだろうね~。もっとも有名なのはビートルズの日本航空の法被か?ハハ~ン、「法被でハッピー」ってか?!

それと必ずついて回るのが「ゴールド」とか「ゴールデン」とかいうタイトル。それこそ金科玉条にひっつけられていた。「ゴールド・ディスク」の印象も強かったのかな?。今、「ゴールドなんとか」とか「ゴールデンなんとか」なんていう名前がついた商品って見なくなったよネェ。金の価値も下がったってか?

MjgIMG_0086

The Chantays(ザ・シャンテイズ)は1961年結成のサーフ・ロック・バンド。私は比較的テケテケが苦手で本当にサワリしか知らない。その貧弱な知識の中に「Pipeline」ぐらいは入ってる…ベンチャーズの曲としてね。

そしたらアータ、「Pipeline」って曲はこのシャンテイズの曲なんじゃないの!1962年の暮れにシングル盤を出して、1963年にはビルボードのヒットチャートの4位にまで昇ってる。63年にはUKヒットチャートにも!
MjgIMG_0090

画像が残ってる。

スゴイよね。このアクション!これがカッコいいっていう時代があったんだからおもしろい。ベンチャーズのリリースはいつだったんだろう?このあたりはウルサ方が多いので深入りはやめよう。

裏面は昔の国内盤の定番的デザイン。これもどうかと思うよな~。ジャズの昔の国内盤なんてみんなこうなっているけど、オリジナルのジャケット・デザインは無視ってことだもんね。もしかしてあまりにもクレームが多くなったので解説を別紙にしたのかしらん?今度、植村さんに教えてもらおう。
MjgIMG_0091

タルよ!お前もか?!…またゴールデンだよ。内容は果たしてゴールデンなのか?…というのもこのコンピレーション、タルのファースト・アルバムの『This Was(日曜日の印象)』とセカンドの『Stand Up(スタンド・アップ)』にシングル曲を混ぜっこしたもので、ちょっと「ゴールデン」出すの早すぎるんじゃない?という印象。だってまだ『Aqualung(アクアラング)』も出してないんだよ!

植村さんは大のタル・ファン、で何しろイアン・アンダーソンとホッケをつついた仲だというのだからスゴイ。1972年に初来日した時の記者会見の時に撮影した写真のカラー・ポジとかもお持ちでいらっしゃる

私も大好きでしてね。植村さんに対抗できそうなのは…ん~、!、イアン・アンダーソンの出身地、エジンバラへ行った…ってのどう?まったくかなわないな。

MjgIMG_0095

でも、ゲイトフォールド仕様だし、写真もカッコいいし、ジャケットしては悪くない。
MjgIMG_0098

解説書も別に仕立てたし…でも、糊で貼っちゃうんだよな~、コレ。
MjgIMG_0099

ウワ!リッチーもロニーも別人のようだ!って、ウソウソ!

1968年のLA出身のバンド、「レインボー」のデビュー・アルバム。アシッド・ロックだってよ。ホーンが入っていてかなり大がかりなバンドらしいが、クレジットされているメンバー11人のうち6人のラスト・ネームがMohrと同じ。Mohrというのはドイツの名前らしいが6人も同じとはコレいかに? 何でも「何妙法蓮華経」のコーラスなんかも入っているらしい。いわゆるサイケデリック・ロック。何となく洗剤みたいなデザインのジャケットだな。

この時代って宗教がかったラリパッパバンドが盛んだったでしょ。Hawkwindとか…。Quintessenceなんて「ジーザ~ズ、ブッダ~」とか長時間あっちの世界へ行ってらして、静聴するのがなかなかに辛い。この後に出てくるGraham Bondなんかもそうだけど、これは結構好き。

実際に聴いたことがないのでYouTubeで音源を探そうと「Rainbow」と入力する。ま、リッチー・ブラックモアズ・レインボーがズラリと出るわね~…と思ったらなんだこりゃ?K-POPかよ!Rainbowっていうのがいるの?ちょっと見てみるか…。(中断)こりゃKALAとまったく見分けつかんわ!

タイトル曲を聴いてみたが、全然印象と違った。他の曲がスゴイのかもしれないけど、このタイトル曲は美しいピアノに絡むフルートの美旋律。「何妙法蓮華経」のテイストは皆無だ。何かよさそうじゃないの、コレ?

それにしてもロックもずいぶんといろんなことをしてきたワケですよ。そこへいくと今のロックはあまりにも平和だよね。ハッキリいって今の「パンク」あたりより、もはやQuintessenceやGraham Bondあたりの音楽の方が全然危ないもんね。

MjgIMG_0101

こちらはカナダ出身の60年代のサイケ・バンド。これはかなりいいわ。まったく「革命」はしてないけど。なんでこんな格好しているんだか知らないけど、適度にハードでメロディアス。ジャージャーのファズにチリメンより細かいビブラート!この時代にしか聞けないギター・サウンドですな。ちょっとボーカルに難があるけど、いいバンドですよ。もしかしてアタシの「サイケ」の定義に誤りがあるのかしらん?とにかくカナダは無視できないよ!
MjgIMG_0102

The Yardbirdsはしっかり聴いた時期がまったくない。やっぱり、「3大ギタリストが所属していた」ということで認識してたにすぎない。当時、オリジナル・アルバムが不明確だったという記憶があるな。この2枚組も中学の時かな、カッコいいジャケットだな…とは思ったけど欲しいとは思わなかった。友達がジェフ・ベックとクラプトンのファンでこれを買い、家に遊びに行って聴かせてもらったが、「買わなくてよかった」と思った。今見るとこのジャケットはケーキのTopsみたいだね。『Five Live Yardbirds』だの『For Your Love』だの『Rogher the Engineer』だの『Little Games』だの有名どころは持ってるけどほとんど聴かないな~。Charlie Parkerはよく聴くけど…。

MjgIMG_0104

Cherはまったく知らない。でも、ここに取り上げたのは彼女とグレッグ・オールマンが一時結婚していたということが書きたかったから。すごくエキゾチックなルックスだと思っていたらお母さんがネイティヴ・アメリカン(チェロキー)なのね。

グラミー賞もアカデミー賞もゲットしたCher。確かに『月の輝く夜に(Starstruck)』はヨカッタな~。ノーマン・ジュイソンが撮ってるからね。
MjgIMG_0105

このジャケット・デザイン、なんか強烈に日本編集の香りがするな~!もうちょっとデザイン考えればよかったのに…。上のCherもそうだけど、こうして「ライブ・イン・ジャパン」ものが頻繁に制作されるけど、十把一絡げの作品もあれば、Deep PurpleやCheap Trickのように名盤の域まで上りつめてしまうものもある。BBAなんかとうとう世界発売されなかったんでしょ?これらはひとえに契約の内容に左右されるのだろうか?

Edgar WinterとRick Derringerのヤツなんかいいのにな…と思ってたらこれは世界発売されているのね?

MjgIMG_0107

「ビートルズのメンバーの名前を言えない若い人がいる」と聞いてももう驚かない。反対に若い人がこれを聞いたら驚くかな?

「ビートルズの前にはエルヴィス・プレスリーというロックンロールの王者がいたんだよ。『ロックンロール』って何かって?ロックとは違うのかって?まあ、いいから、いいから。 エ? エルビスはコステロだろって?エルビス・コステロって何かって? あ~話しが進まん!」

「気を取り直して、エルヴィス・プレスリーというロックンロールの王者という人がいてドーナツが好物だったんだよ。ビートルズのアイドルさ。そのプレスリーの前の時代、1940年代にはこのジャケットに移っているやや立ち耳のおじさんたちが普通の若者のアイドルだったんだよ!ものすごく歌の上手なアイドルだ。ビング・クロスビーとかフランク・シナトラとか…若い女性は彼らを見てメロメロになったんだよ。だから、このおじさんは今でいえば嵐なんだぜ!」

…って誰も聞いてね~!

MjgIMG_0108

「ロック=車」というステレオタイプももう大分影をひそめたかな?イングヴェイとフェラーリが最後の砦?最近は女の子にもてたくてギターを始めた…なんて話しもきかなくなりましたナァ。昔はギターと車が女性の気を惹くための神器だったのにね。

このジャケット!後ろはGEビルかなんかかね?月が出てる。ハハ~ン、土曜日の夜、彼女を自慢の車に乗せて街へ繰り出してロケンロールでひと踊り!ってことだな?

ロケンロールというとやっぱりこういう車がついて回るんだね。でも確かに『アメリカン・グラフィティ』を観たときは猛烈にアメリカに憧れたですよ。それとやっぱりあの珠玉のオールディーズはよかったな。今でも流れていればつい聴いてしまう。世の中あんなに名曲に満ち溢れていたのにね…これ以上はいわない!

MjgIMG_0109

♪なんでだろう、なんでだろう?どうしてこうやってジャケットを変えて国内盤を作るんですかね?タイトルもそう。「真髄」とは一体なんだ?何回もCDを聴いたし、チョコチョコと調べてみたけどわからなかった。

MjgIMG_0110

オリジナルのジャケットはコレ。ん~、特段差し替える必要もないように思うんだけど…。まさかギブソンの宣伝?

Jb

それでもただライブの写真をそのまま使うのではなくて、カラーポジ風に見せているところが気合の入れどころだったか…。

原題は『Songs for a Tailor』。「tailor」とは仕立て屋さんのこと。この仕立て屋さんとはCream時代からジャックたちの衣装を作っていたジェニー・フランクリン(Genie the Tailor)のこと。この人は当時Fairport ConventionのRIchard Thompsonの恋人で、ジャックの前の恋人だったらしい。で、このジェニーが交通事故で亡くなり、このアルバムを捧げたというワケ。

Jack Bruceのソロ・デビュー作でMountainもカバーした有名な「Theme for an Imaginary Western(想像された西部劇のテーマ)」を収録している。メンバーもDick Heckstall Smith(Rolland Kirkみたいな人ね)、Jon Hiseman、John Marshall、Chris Spedding、Felix PappalardiとColloseum系列の濃い~連中が参加しており、1曲George Harrisonもプレイしている。内容は「オレってこんなこともできるんだぜ」的なテンコ盛り作品。私は好きです。

実はこのアルバムの発売は1969年で、ソロ・デビュー・アルバムということになっているが、翌年発売された『Things We Like』の方が先に制作されている。こちらはギターにJohn McLaughlin、Jon HisemanにDick Heckstall Smithというカルテット構成で吹き込んだフリージャズと紙一重のゴリゴリのアコースティック・ジャズ作品なんだな~。カッコいいんだ、ジャックのアップライト。音もいいし。やりたかったんだろうね~、こういうの。

もちろん私はこっちの方が好みなんだけど、クラプトンに負けじとスター街道を歩みたいジャックと、もしくは一山当てたい取り巻き連中が、「ま、ジャズなんていつでもできるからさ、まずは歌ものでデビューしときましょうや!」なんて話し合ってリリース順を決めたんじゃなのかね?

MjgIMG_0111

これも見るからに日本編集だよね~。『ダブル・デラックス』いいネェ~。果たしてJohn Mayallのどこにデラックスがあるのか?!…なんて言ったら怒られちゃうか?
MjgIMG_0112

私はほとんどブルースを聴かないので、マーシャルの仕事の関係がなければ『Bluesbreakers John Mayall with Eric Clapton』すら聴かなかったかもしれないんです。スミマセン、勉強不足で…。だって飽きちゃうんだも~ん。

それにしてもジョン・メイオールくんだりで、こうして2枚組を制作しちゃうんだからのどかな時代だったよね。
MjgIMG_0113

こういうのも昔よく見かけたナァ~。どうしてこういうデザインになるかね~。例えば、ジャズのレーベルでもPacificなんかは自分のとこの音源を組み合わせてカタログ的に盛大にコンピレーションを出しているけど、これがそれぞれ実に味わい深いジャケット・デザインで、ついつい買いたくなっちゃう。これらでジャケ買いする人は皆無でしょう。

だいたいBeach Boysのインストって面白いのかあ~。制作に関わったみなさん、勝手なことを申してスミマセン。でも今なら新橋の地下のコンコースで500円で買えそうな…。そんなやさしい風合いを出してくれていますね。

MjgIMG0115

UFO!Michael Schenker加入前のUFO。コレ聴きたかったんだけど、若い頃入手不可能だったんだよね~。で、ロック好きのゲームセンターのお兄さんと有線に「C'mon Everybody」をリクエストしたのを覚えている。それがリクエストを受け付けてくれたのはいいんだけど、全然かからないんだよね~、アレ。しびれを切らして帰ろうかと思った矢先にかかったのですよ。でも、全然面白くなくてガッカリした。

1971年、日本だけで発売されたUFO初のライブ・アルバム。日比谷の野音での録音。昔、野音の楽屋って木造だったんだよね。

1972年、『UFO Live in Japan and  UFO Lands in Tokyo』とタイトルもクドくなって海外でも発売された。
MjgIMG_0118

Eddie Cochranの「C'mon Everybody」や「Who Do Ya Love」のカバーを演奏したりしているんだけど、この頃にUFO目当てのお客さんで果たして野音が埋まったのかね?で、ツラツラと調べてみたらスゴイことがわかった。

そもそもUFOはThree Dog Nightの前座で来日する予定だった。この時点で今のUFOしか知らない人には「?」マーク連発でしょうね。私もそうなんだけど。でもUFOがハードロック・バンドに変身したのはシェンカー加入後の『Phenomemon』から。それまではこうして「Who Do Ya Love」みたいのを演っていたのだから合点がいかないワケではない。

この野音のコンサートは赤坂にあったディスコ「赤坂MUGEN」が主催した「MUGEN FESTIVAL」というイベントだった。出演はUFOの他にアメリカからSOUND 70、TROIELというソウル系のバンド。日本からはファーラウトという構成だった。浅学にして私はこの人たちを存じ上げません。ソウル系ということもあるのだろうが、正直、前のおふた方の名前は耳にしたことも断じてない。これで埋まったのか、野外大音楽堂が?! 埋まったんだろうね…その理由は;

Three Dog Nightの方は来日が中止になってしまった。そのチケットの払い戻しに見えたお客さんにこのフェスティヴァルのチケットを無料で配布したんだって!何とものどかな時代だよな~。

この年、1971年ってホントにすごくて、海外のビッグ・ネームが大挙して押しかけてきている。Blood Sweat & Tears、Free、Chicago、Grand Funk Railroad、Pink Floyd、Led Zepperin、Elton Johnなどなど。この時代に青洲を過ごした先輩方(1950~1955年生まれの方々かな?)が本当にうらやましい。二度とやって来ないであろう、ロックの一番の黄金期を体験できたのだから…。ロックの一番いい時ですよ。

MjgIMG_0119

「♪さ~んでい」か…。いい曲だな「すてきなサンデー」。いたっけナァ、Buster。チョコ・フレークのCMもやってた。結成が1974年、リバプールのバンドなんだね。特に日本で人気が出て、ナント武道館2回もソールド・アウトさせてるそうだ。人気あったもんナァ。ぎんざNOWとか出てた?

今でもやってるみたいですね。日本のレコード会社もこのベスト盤で相当もうけたんだろうナァ。「青春の日記帳」か…。35年前、アタシャ、プログレに夢中だったかな?

どっかにも書いたような気がするけど、昔はこういう白人系アイドルって定期的に出てきてたよね。今はジャスティン・ビーバーっての?それぐらいかしら?K-POPの方がいいんだろうね~、彼ら日本語勉強してくるもんね。それにしてもいろんなことが変わりすぎたよ。
MjgIMG_0122

グッ…これは何の必要があってこんなデザインにしちゃったんだろう?しかも邦題が『ヒッピーの主張』だって。
MjgIMG_0124

元、コレだぜ!

Ja

裏もスゴイ。ロールシャッハ・テストみたいな…。デザイン自体は決して悪いとは思わないけど、このジャケットに変える必要はないでしょう。ジェファーソン⇒ヒッピー⇒こういうイメージにしなきゃ!ということなんだろうけど…。ま、ジェファーソン好きじゃないからいいけどサ。それでもこのアルバムって『Surrealistic Pillow』と同じ1967年にリリースしてるんだね。エライ違いだな。
MjgIMG_0126

今度はMonkees。『After Bathing at Baxter's』いや『ヒッピーの主張』と同じ人のデザインですな。
MjgIMG_0127

あたりかまわないデザインでこれはこれでかなりイケてるような気もするが…。
MjgIMG_0128

一度も夢中になったことはないけれど、ロリー・ギャラガーも観ておけばよかったよナァ~。このベスト盤はジャケットもよくできてますな。うん、カッコいい。
MjgIMG_0129

Graham BondはブリティッシュR&Bの父と評されるオルガ二スト/ボーカリスト。彼はもっとも早い時期にハモンド・オルガンとレスリー・スピーカーの組み合わせをR&Bに持ち込んだ。Deep PurpleのJon Lord曰く「私がハモンドオルガンについて知っていることのほとんどはグラハム・ボンドから実際に教わったものだ」(この記事を書いたのは先週のこと。昨日ジョン・ロードのご逝去を知り驚きました。再度つつしんでご冥福をお祈り申し上げます)

Graham Bond Organisationは60年代初頭に結成されたボンドのバンドで、Ginger Baker、Jack Bruce、John McLaughlinというメンバーだった。後にMcLaughlinとDick Heckstall Smithが入れ替わった。

このライブアルバムは64年にウエスト・ハムステッドのホテルでの演奏を収録したもので後になって発売されたものだ。

グラハム・ボンドは元々はジャズがかった良質なブルー・ロックのような音楽を演奏していたが、先述したように後期は黒魔術に傾倒し、宗教がかったオカルティックな音楽にスタイルを変えた。。彼のダミ声が妙に曲にマッチしていて、なかなかに聴きごたえがある…かといっていきなり何枚もCDを買うことは控えた方がいいかもしれない。激しく好き嫌いが別れそうなところに彼の音楽が存在しているからである。私は好き。

それにしてもジンジャー・ベイカーってルックスがあんまり変わらないな…。
MjgIMG_0130

これはロンドンの地下鉄ピカデリー線、またはヴィクトリア線の「フィンズベリー・パーク駅」。ピカデリー線ではサッカーのアーセナル駅のとなり。

Mjg_IMG_1581

駅から歩いて3~4分のところに有名なレインボー・シアターがある。
Mjg_IMG_1582

1974年5月8日、グラハム・ボンドはここに身を投げてアノ世に行った。成功のチャンスがなく、経済的も苦しかったグラハムは前年より神経衰弱で入院していたらしい。

電車に飛び込む直前にそばにいた見知らぬ少年に話しかけ、その少年の名前とギターをやっていることを言い当てたらしい。グラハムは生前、自分が神秘主義者、魔術師のアレイスター・クロウリーの息子であると信じていたという。クロウリーはオジーの「ミスター・クロウリー」のモチーフ。クロウリーはまたビートルズの『サージェント・ペパーズ』のジャケットにも登場している。
Mjg_IMG_1576
このジャケットはリバーシブルになっているのだろうか?Chuck Beryの編集盤。何年に編まれたものかチェックし忘れたが、Chuck Berryのベストって今だと果たして何枚売れるんだろう?実際、これを出した時はどうだったんだろう?今の若い人たちがChuck Berryなんか聴いてくれるといいんだけどね…エ、アタシャ結構で~す!

考えてみると、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、あのマーティがプロムかなんかでギターを弾くシーンを理解できる日本の若い人ってどれくらいいるんだろう?もしくは、いたんだろう?ナニ?若い人はそんな古い映画を観ないって?アタシャ、今の家内とデートでロードショウに行きましたよ。

MjgIMG_0131

これもピンとこないデザインだな~。Wishbone Ashはオリジナル・アルバムがHipgnosisだけに残念だ。もっと残念なのは、このコンサート、私会場にいるんですよね~!だからもっとカッコいいジャケにして欲しかったナァ~。当時は高校1年だったかな?友達とWishbone Ashのコピーをやっていて、1978年11月10日、みんなで中野サンプラザに観に行って大騒ぎした。前から7列目だった。

MjgIMG_0132

これがその時のプログラム。この後、長い年月を経てAndy Powell系Wishbone AshとTedTurner系Wishbone Ashの双方を観たが、やっぱり高校生の時に観たAshの方が断然よかった。

ちなみにLaurie Wisefieldは10年近く前にロンドンのドミニオン・シアターで『We Will Rock You』を観た時、ギターを弾いていた。もうひとり交代で弾いているギタリストがPhil Hilbourne(フィル・ヒルボーン)といって、結構古いつきあいだ。去年、フィルに会った時、「最近どうしてんの?」と訊くと、驚いたことに「相変わらず『We Will Rock You』だよ」と言っていた。すかさず「ローリーは?」と訊くと「まだやってるよ!」という答えだった。飽きるだろうナァ~。

IMG_3751

ハリー・ニルソンか…「うわさの男」と「ウィズアウト・ユー」しか知らんなぁ~。「ウィズアウト・ユー」にしたってBadfingerだもんナァ。でも最近すっかりNilsonにハマってしまってほとんどのCDを買い揃えた。

ところで、「うわさの男」はあまりにも印象が深くてね。ところで、この曲、原題は「Everybody's Talkin'」というんだけど、なかなかの名訳だと思わない?

でも、これもカバーで元はFred Neilというアメリカのフォーク・ソングライターの作品。ニルソンが作ったわけではないが、ジョン・シュレシンジャーの『真夜中のカーボーイ』で使用されてドカンといっちゃった。1969年のこと。このニルソン、コンサートもツアーもロクにせずに大きな商業的成功をおさめた、この時代にあってかなり稀有なミュージシャンだった。(ちなみのこの「カーボーイ」を「カウボーイ」としなかったのは水野晴郎さんだったとか…)

当然、この曲の印象が強いと言ったのも映画を通じてのこと。

やっぱり音楽が映画にもたらす影響力って尋常ではないし、またその逆のパターンも大いにあり得る。映画のおかけで誰にでも知られるようになった曲なんて枚挙にいとまがないもんね。下手をするとその音楽が映画のために書き下ろされたと思われてしまっているケースすら少なくないのではないか?。

その最たるものは日本ではなんと言ってもマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』だろうナァ~。実際、ウィリアム・フリードキンが映画『エクソシスト』に採用したおかげで日本では有名になったワケだけど、あのイントロを聞いただけで「お、『エクソシスト』のテーマ!」と反応する人がほとんどではなかろうか?または、『チューブラー・ベルズ』を最後まで聴いたことがない人の方が『エクソシスト』を最後まで観た人に比べて、イヤ、比べられないほど少ないのではなかろうか?「有名な割には最後まで聴かれたことがない曲」のコンテストがあれば余裕で優勝じゃん?イギリスではリチャード・ブランソンがコレ一発でひと財産築いたのにね。もっと『エクソシスト』のことを書きたいんだけど、またの機会にしましょう。

そして、「うわさの男」…これは本当にうまく映画に使われていたように思う。タイトル・バックでジョン・ヴォイトがおめかしして田舎を出ていくところ…タマらんですよね。

でも、(当然とはいえ)映画の存在感の方がはるかに強くて、12、3歳で初めて観た時は大変なショックを受けた。いくつも心に残っているシーンがあるんだけど、もう何十年も観ていないので、もっとも印象的なラストのシーンをちょっと確認してみた。

最後にフロリダ行きのバスの中で、もう衰弱してトイレに立つこともできず、座席で失禁してしまうダスティン・ホフマンに向かって笑いながら「おまえ、便利だナァ~、トイレに行かなくても用が足せるんだもんナァ~」と冗談を言う。ジョン・ヴォイトがアロハ・シャツかなんかに着替えさせてやるんだっけかな?そうして、そのままバスの座席でダスティン・ホフマンが息を引き取る。ここでニルソンの出番。そしてナミダ。

以上が記憶。でも実際はちょっと違っていた。

失禁してしまうところはその通り。でも気になったのはジョン・ヴォイトのセリフ。どう聴いてもこの日本語訳のようには聞こえない。そこで調べてみると、ジョー・バック(ヴォイトの役名)はこう言っている。

Rizzo : That's funny?  I'm falling apart here!

Buck : It's just - Know what happened?  You just took a little rest stop that wasn't on the schedule!

Rizzo : 何笑ってんだよ? オレはもうボロボロなんだぞ!

Buck  : イヤな、わかってんのか? お前は予定外のトイレ休憩を取ったんだぜ!

これでふたりとも笑う。まったく面白くない。少なくとも日本語の意訳の方が気が利いていはしまいか?翻訳家ってすごい。これは田舎から出てきていまだにソフィスティケイトされないジョーにしてはマシなジョークだったということか…。だとしたら、翻訳は意思を入れすぎだと思う。

で、休憩時間にジョーがリゾの着替えを買いに行く。ここで「うわさの男」が流れるんだった。マイアミの陽光、アロハシャツ、ニルソンのやさしい歌声、…これで何とか温かいマイアミに住んでリゾも体調を取り戻してハッピーエンドの友情物語か…となるハズなのだがそうはいかない。

リゾはその後、バスの中で座ったまま息を引き取る。この時に流れる曲はニルソンではなくて、トゥーツ・シールマンスだった!そう、この映画にはもうひとつ胸を引き裂かれるようなもの悲しいメロディを奏でるシールマンスの名演があったのを忘れていた。バディ・リッチは「Midnight Cowboy Medley」なんてのをレパートリーに入れていたっけ。

この『真夜中のカーボーイ』はアカデミー賞の歴史の中で唯一X-rated(過度な暴力や性描写で子供には見せていけない映画)の指定を受けながらも「作品賞」を獲得した作品。日本ではテレビでやってたけどね…。

受賞は逃したがもうひとつX-rated指定を受けても「アカデミー作品賞」にノミネートされた作品があった。それはキューブリックの『時計じかけのオレンジ』である。

MjgIMG_0133

ところで、最近洋画に日本のどうでもいい曲を「日本版テーマ曲」とかいってひっつけてるけど、あんなことして一体何になるんだろう?CDの売り上げもしくはダウンロード件数が上がればいいってこと?見ていて本当に恥ずかしい。でも、アメリカもそんなことをされてしまう映画しか作れなくなってるんだよ。

『真夜中のカウボーイ』に勝手に日本のポピュラーソングを「テーマ・ソング」と称してくっつけることなんて、良心が咎めてできないでしょ?ビリー・ワイルダー作品には?デヴィッド・リーンは?ウィリアム・ワイラーは?キューブリックの作品にはどうだ?普通の神経の持ち主であればそんなことできないハズ。

そういえばアーネスト・ボーグナイン、亡くなったんですってね…。でも、どちらかというと生きていたことの方に驚いた。好きだったんだ、子供のころ…。

さて、もうひとつニルソン。この写真はロンドンのハイド・パーク・コーナーにほど近いアパート。かつてのオーナーはニルソンだった。私はニルソンのファンでもないので、それだけなら何もここに紹介することはない。ここは「デス・フラット」と呼ばれるアパート。ママス&パパスのママ・キャスが1974年に、キース・ムーンが1978年にここで亡くなっているのだ。同じベッドで死んだらしい。ニルソンも心臓病で1994年にアメリカの自宅で永眠した。

Da

ミュージック・ジャケット・ギャラリーの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

<中編>につづく

2013年5月24日 (金)

【Music Jacket Gallery】SFジャケット・コレクション <前編>

先日、HignosisのStorm Thogerson氏の逝去に伴い急遽掲載した『Music Jacket Gallery』。大きな反響をいただき、ご覧いただきました皆様にはこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

Mjg_st_img_5199

さて、Music Jacket Galleryは3か月に一回定期的に展示を総入れ替えし、順調に回を重ね、ますますその認知度もアップさせてきている。

Mjg_st_img_5202

その展示の入れ替えに合わせてマーブロでも解説記事を適宜掲載したいのだが、なかなか制作の時間が取れず、大幅にビハインドしてしまった!

Mjg_st_img_5213

臆面もなくヘタな弁解をさせていただけるのであれば、何しろこれを1本書くのに、資料を集めたり、音源を聴き直したり、英語の文献を読みほどいたりで膨大な時間がかかるのである。でも、やってて楽しいけどね!ま、言い換えれば時間との戦いなのよ。

また、いっぺんに昔のことを思い出すのは不可能で、いつもいつも頭の中に展示されたジャケットのことを叩き込んでおいて、「ああ、ああいうことがあった」とか「こうなったらどうだろう」なんて文章の用意をしておかないととても書けるものではない。ようするに熟成期間が必要なのだ。
Mjg_st_img_5216

それで、今回は少しずつすこしずつ長期間にわたって書き溜めた記事をとりまとめ、加筆訂正し、1本に仕立て上げたという次第。

展示の特集は「SFジャケット・コレクション」。恥ずかしながら1年以上前に展示が終わってしまっているのでMJGのガイドにも何もならないがお許しいただきたい。
Mjg_st_img_5219

ここで拙文を重ねて訴えていることは「ジャケットの重要性」や「楽しさ」であることに以前と何ら変わりない。

一部ではLPレコードの需要が反転上昇しているやに聴いているが、ジャケット、いや、CD等のフィジカル・プロダクツが絶滅に瀕している状態はまったく変わっていない。3年後には日本からCDが姿を消すと断言している関係者もいる。

ここに書き連ねているのはいつも通りの取るに足らない私的レコード解説で恐縮だが、こんな内容でも、「もし本当にジャケットがなくなったら…」ということを思い浮かべながらお目通し願いたいと思う。

Mjg_st_img_5221

さて、「SF」…海外では「サイファイ」と普通呼んでいるが、これはジャケットのモチーフとしてはもっとも扱いやすいもののひとつであろう。

人気テレビ番組『ザ・ベストテン』に出演したスター歌手が「どんな本を読むのか?」と訊かれ、胸を張って「SM小説です!」と答えていたのもはるか昔の話し。たまたま私はこの時の放送を見ていたが、生番組の恐ろしさを見たような気がした。

ジャケットの前に、ちょっと音源のことを考えてみるに、David Bowieの「Space Oddity」に代表されるようなSFをテーマにした歌もメッキリ見かけなくったのではなかろうか?

パソコンにケータイ…25年前には想像もできなかったこうしたIT機器(ITという言葉もなかった)の普及に満足し、近未来的な科学の発達を夢見るようなことがもう必要なくなったのかもしれない。

今更アシモフやブラッドベリーを読んでもピンとこないだろう。

手塚治虫が生きていたら何を空想していたのだろう?いつもここに書いているが、『火の鳥』の「未来編」のような話をもっと突き詰めて人類に警鐘を鳴らしていたのでは?

この大国のコンピュータ同士のケンカで核戦争が起こって人類が滅亡してしまう話は、ナント1967~1968年にかけて制作されている。恐るべし。

プロ棋士がコンピュータに勝てないとかボカロの話を聴くたびにこの『火の鳥』を思い出してしまう。ボカロについてはまた別の機会で触れたいと思うが、もう音楽の世界においてはテクノロジーの進化は必要ないでしょう。

これほどテクノロジーの進化がコンテンツを退化させてしまっている分野は他にないのではなかろうか?

今日はそういうこともひとまず忘れて、古き良きレコード・ジャケットでゆっくりとSFの世界を楽しんでいただきたい。

自分の思い入れのある作品や興味のあるアイテムをピックアップしウンチクを固めてあるのはいつも通りのことである。

Mjg_st_img_5224

今回ブロウアップされたのはVanilla Fudgeの『Renaissance』とThe Tubesの『Remote Control』。

Mjg_st_img_5205

ああ、Alex Harvey。大好き!シンプルでカッコいいギター・リフ。ロック以外には使い道のないような、ともすればJoe Pesciを連想させる野太い独特の声。今、一番お目にかかることのできなくなったタイプのロックの代表ではなかろうか?いわゆる70年代の音。問答無用でカッコいい。もちろんギターのZal CleminsonはMarshallだ。

ボーカルのAlex Harveyは1935年、世界で三番目に地下鉄が開通したScotland第二の都市、Glasgowの生まれ。生粋のScotishだ。かなり芸歴が古く、1954年にはスキッフルのバンドでキャリアをスタートさせている。The Sensational Alex Harvey Band(以下SAHB)の前はR&Bとかブルースを歌っていた。

1963年頃のR&Bタイプの録音を聴くと、何しろこの声だからね…トリハダが立つことは請け合いだ。考えてみるとこの人もスキッフル、ロックンロール、R&B、ブルース、ハードロックとイギリスのロック史をそのままなぞったようなキャリアを持った人だった。

このブログによく出てくる私の親友Steve DawsonとSAHBの話しをすると決まって「Alexは酒で死んだんだ。スコティッシュだからね!」と言う。

自分だってスコットランドの首都、エジンバラまで電車で一時間ぐらいのところに住んでいるクセに、Alex以外にもスコットランド出身で早逝した人の話しになると必ず「酒が原因だ。スコティッシュだから…」と言う。よっぽどスコットランド人は浴びるようにスコッチ・ウイスキーを飲み、街中はアルコール中毒患者でゴッタ返しているのでは?と少しは心配にもなったが、実際に訪れたエジンバラはロンドンのソーホー辺りのような猥雑さを微塵も感じさせない世界遺産の名に恥じない美しく静かな街だった。

Alexは1983年、ベルギーで客死している。公演を終えてイギリスへ帰るフェリーを待っている時に心臓発作に襲われ、病院に向かう救急車の中で2度目の発作が起こり絶命した。47歳だった。

もうチョット書かせてね。好きなんだもん。

1970年には有名なミュージカル『Hair』の座付きバンド(Pit Band)を派生させてRay RussellとRock Workshopを結成した。Ray Russellもネェ~。私は詳しい方ではないが、『Goodbye Svengali(「Svengali=スヴェンガリ」というのはGil Evansのアナグラム。文字の順番を変えるとGil Evansとなる。ジャズの世界で最も有名なアナグラムは、Bill Evans作曲の「Re:Person I Knew(私が知っていた人について)」だろう。これはRiversideレーベルのレコード・プロデューサーのOrrin Keepnews=オリン・キープニューズのつづり代えだ。)』というアルバムを買って聴いてみたがまったくピンとこなかったナ。

で、その後、弟のLeslie "Les" HarveyにMaggie Bell(「イギリスのジャニス」と呼ばれる女性シンガーのうちのひとり)を紹介され、1969年にStone the Crowsを結成した。このバンド、ベースはRobin TrowerのところのJames Dewer、ドラムが後にFocusに加入するCollin Allenだった。こういうところが面白い。日本同様、イギリスの音楽業界は狭いのでこうしたキャリアの交流が盛んに発生する。翌年、弟のLesは演奏中に感電死してしまった。1972年頃にはギターにWingsのJimmy McCullochが在籍していたが、確かこのJimmyも感電死したように記憶していたが、ヘロインの過剰摂取による心臓発作で他界したらしい。

その後、1972年にAlexが結成したバンドがSAHBだった。

日本では知名度低いよね?スゲェいいバンドなんだけどな…。SHARAさんが好きだというのを聴いてうれしかった。

このバンドの作品のジャケットはアメリカン・コミック的なポップなイラスト調のものが多く、内容との乖離が大きい印象がある。とりわけ、この1975年発表の『Tomorrow Belongs to Me』はその傾向が強い。何で「明日はオレのもの」と、恐竜とユンボが戦ってるイラストが関係あるんだろう?「Action Strusse」とか「Snake Bite」とか、内容はいいよ~。

Mjg_st_img_5262

Thomas Dolbyというのは全く知らないんだけど、ジャケットが面白いのでちょっと取り上げてみた。ナンカの映画のパロディなんだろうけど、なんだろう?勉強不足でわからない。「宇宙人現る!」みたいなヤツだね。40年代や50年代にはこうしたSF映画とか怪獣映画ってのは星の数ほど作られていた。

Frank Zappaが『Roxy & Elsewhere』のMCで「I love monster movies...」と切り出して当時のB級怪獣映画のチープっぽさを解説している。その後に演奏されるのが『Cheepnis』。コレを初めて聴いた時はあまりのカッコよさに腰を抜かしたわ。

最近は怪獣映画もすっかりみかけなくなった。なんでもかんでもCGアニメでさ…。映画は音楽より救いようがないからね。音楽ととても環境が似ていると思うのは、もう映画界はいい脚本が書けなくなってしまっていること。いいメロデイが作れない音楽界と同じだ。

これも「ニューシネマ」とかいって、金をかけずに、うわべだけのカッコよさを求めて作った薄っぺらな映画をもてはやした結果だろう。ロックとまるっきり同じだと思わない?

Mjg_st_img_5265

Vanilla Fudgeも本コレクションのオーナー、植村さんのフェバリット。1968年発表の3枚目のアルバム、『Renaissance』。いいデザインだよね~。ロック・カルチャーの頂点はやっぱりこの頃だね。この後、ハード・ロックとプログレッシブ・ロックが隆盛を極めて、パンク/ニュー・ウェイブが出てきた瞬間、ロックは2巡目に入った…満身創痍で。

80年代以降のロックは、ごまかしながら出がらしのお茶を「おいしい、おいしい」と無理やり飲んでいるように見える。ジャズとまったく同じ歴史をたどっている。

生まれた時から出がらしのお茶しか飲んだことがなければ、誰だってそれが「お茶」だと思ってしまう。ところが、お茶を作る会社は玉露の香りを知っている。でも、教えない。製造に手がかかるワリには大して儲からないから。ま、それも譲ろう。音楽だってビジネスだから。一番マズイのはお茶を作る農家とそれを買い取るお茶のメーカーに玉露の香りを知らない人が増えてきているということだと思う。

イケね、またやっちまった。でも今日のはヨカッタでしょ?

で、Fudge。私は夢中になったことはないし、スミマセン、ファースト・アルバムですら休み休み聴く部類に入っちゃってます。でも、この『Renaissance』の直前の『The Beat Goes on』がメッチャ気になっていて、植村さんのお住まいにお邪魔した時に聴かせていただいた。キテレツ盤の域を出ないシロモノという感想だったが、へへへ、結局中古で見つけて買っちゃった。そんなもんなんですよ。内容がよくても悪くても気になるものは、聴く本人にとってはある種名盤なのだ!植村さん、ありがとうございます。

ご存知の通り、「You Keep Me Hanging On 」やら「She's not There」やら数々のビートルズ・ソングで構成されていたファーストや前作に比べ、数曲のカバーはあるにしてもこの3枚目の『Renaissance』はメンバーのオリジナルを中心に制作された。が、好事魔多し。オリジナル・プレスでは派手なプリントミスが生じてしまう。

「The Spell That Comes After」というEssra Mohawk(Frank Zappaが面倒をみたSandy Hurvitzと同一人物)の作曲者のクレジットがZappaのアート・ワークを担当していたCal Schenkelになってしまっていたという。もしかして、このジャケット、Cal Schenkel?

最終曲の「Seasons of the Witch」はDonovanのカバーだが、後半に同じくEssra Mohawkの「I'll Never Learn」が挿入されているという。

「…という」…というのは実は私はコレ聴いたことがないのね。でも、こういう裏話、特にZappaがらみの話と来れば是非聴いてみたくなる。ロックだって知れば知るほど面白くなるのだ。

Essra Mohawkについても詳しく知ってるワケでは全くないが、Sandy Hurvitzで発表した『Sandy's Album is Here at Last』は持ってる。Sandy Hurvitzと命名したのはZappa。Zappaの名作のタイトルにもある「Uncle Meat」というのはZappaが彼女に付けたアダ名。そんなヘンテコリンなアダ名をうら若き女性が好むハズもなく、そこからZappaとの関係が悪くなったとかいう話もある。ま、実際には音楽的な対立があったのだろう。Zappaの顔写真がこの作品のジャケットに写真もハメ込まれているにもかかわらず、プロデュース中途で拒否。そのためIan Underwoodがその尻拭いしてプロデュースしたという。そんな背景があってバンドを自由に調達できなかったのか、アレンジがピアノの弾き語りという曲も散見され、結果的には裏Laura Nyroみたいでなかなかによろしい。

Mjg_st_img_5267

Jefferson系統ってどうにも昔から苦手だった。Airplaneの有名盤を何枚か持ってはいるけど、資料的な意味合いだけで、今でも進んで聴くことはまずないな。なんか歌声も演奏も曲も、見事にソリが合わないんだよな~。なんでなんだろう。

ま、元よりまばゆい陽光と雲ひとつないカリフォルニアの澄み切った空よりも、雨ばかりのどんより曇ったロンドンの空の方がシックリくる私のことだから無理もないか…。

でも高校の時、「オ!カッコいい!」と思って買ったのがこの『Dragon Fly』だった。何がカッコよかったかというとギターのCraig Chaquico。でも結局ロクに聴かないうちに売っちゃったな。

ジャケットはいい。トンボだよね。このStarshipになってからのジャケットは『Red Octopus』もいいし、『Spitfire』はとてもいい。どれももう家にないな~。

サンフランシスコから金門橋を渡ってNovatoというところに行く途中、左の遠くの山の中腹にある家をさして現地の友人が「アレ、Grace Slickの家だよ」と言っていたっけ。この時も友人がGraceの過去の逮捕歴について話していたが、あらためて調べてみると随分と警察のご厄介になってる人なのね。

Mjg_st_img_5269

こっちが『Spitfire』。SFっぽいかはどうかは別にして文句なしにカッコいい!

Mjg_st_img_5424

すいません、そんなこと言っててもどうしてもダメなイギリスものもある。Hawkwindダメなんだよね~。スペース・ロックかなんか知らんが、退屈なんですよ~。でもラリラリ状態でストリッパーが狂喜乱舞するステージを体験するときっと最高なんでしょうな…というよりそういう風に楽しむのがこのバンドのホントの楽しみ方なんだろね。

ところが音源だけ聴いていた日には大したテクニックもないのにダラダラと無用の演奏が続くという部分がなかなかにシンドイ…。

でもこのバンド、70年代の諸作のジャケット・デザインは大変によろしいな。すぐ下の4枚目のスタジオ録音盤『Hall of the Mountain Grill』も同様。宇宙のどこかの星に乗り捨てられた宇宙船を描いたのはこのバンドの美術を手掛けるBarney Bubblesの作品。

ちなみにこのタイトル『Hall of the Mountain Grill』というのはグリーグの『Peer Gynt(ペール・ギュント)』の中の「In the Hall of the Moutain King(山の魔王の宮殿にて)」とマーケットで有名なロンドンはポートベローにあったバンドの行きつけの喫茶店「The Mountain Grill」を合体させたものだそうだ。

まだベースはまだIan Kilmister、すなわちLemmyが担当している。本アルバムの次の作品『Warrior of the Edge of Time』からのシングル曲「King of Speed」のB面に収録されていた曲が「Motorhead」だった。Lemmyはそのアルバムを最後にHawkwindを脱退した(クビになった?)。

Mjg_st_img_5271

ん~、いいナァ。1971年の『X in Search of Space』。内容は知らないけど…。初期のHawkwindは色々な(それこそ)アーティストがからんでいた。このデザインもRobert Calvertという詩人のイメージを膨らませてBarney Bubblesが制作した。

Mjg_st_img_5415

LiverpoolとBrixton(双方『ロック名所めぐり』で紹介する)で録られた有名な1973年のライブ・アルバム『Space Ritural』。これも『X in Search of Space』のコンビが音とビジュアルの融合を目指してデザインされたという。私的には音よりもビジュアルの方がカッコいいと思うのだ。

Mjg_st_img_5417

Greatful Deadもキツイなァ。70年代の正規のアルバムはほとんど持っているけど滅多に聴かないのぅ。いつかデッドのコンサートがいかに長いかっての書いたことあったけど、一度スッポリとハマってしまった人にはタマらんバンドのひとつには違いない。

ところで、デッド諸作のジャケット・デザインは総じてよろしいな。イラストものが多いのが特徴だ。有名な『Greatful Dead(Skull and Roses)』や『Steal Your Face(これはLPが出た時ジャケ買いした)』、『Aoxomoxoa(これを見るといつも水木しげるのマンガに出てくるバックベアードを思い出す)』、『American Beauty』等々すごくいい。本作や『Terrapin Station』、『Blues for Allah』や『Europe '72』だってゼンゼン悪くない。

一方、本人たちがご登場のジャケットは『Workingman's Dead』を除くと『Go to Heaven』や『In the Dark』のように残念なものが散見されますな~。

これが『Blues for Allah』。ヴァイオリンを弾くしゃれこうべが今回のテーマであるSFっぽくはある。このアルバムのタイトル曲はデッドのファンであったサウジアラビアのファイサル王(1906~1975年)に捧げられたとか。妙な曲だゼ~。今回久しぶりに聴き直してみたけどナカナカいいな…。

Mjg_st_img_5295

この『From the Mars Hotel』は1974年に発表されたDeadの7枚目スタジオ盤。ジャケットの建物はサンフランシスコに実際にあった安宿を写実したもの。だからSFではない。でも舞台を火星にしちゃったからSFだ。

「GREATFUL DEAD FROM THE MARS HOTEL」の下の緑色の文字のようなものは、アルバムを逆さにして鏡に映すと読める。「UGLY RUMORS(醜いウワサ)」 だ。イギリスの元総理大臣、Tony Blairが学生の時に組んでいたバンドの名前は「UGLY RUMOURS」といったそうだ。イギリス綴りなので「O」と「R」の間に「U」が入る。

そういえば生前のJim Marshallが会食の席かなんかで「Tonyがどうの…」って話していたことを耳にしたことがある。 「総理大臣をトニー呼ばわりか…さすがジム」なんてその時は思ったもんだ。日本のどこかの社長さんが首相をつかまえて「晋三、晋三」と呼んでいたら笑うで、しかし。

それにしてもデッドがアメリカを代表するバンドってのは納得するよなァ。同時にMarshallからもっとも遠いアメリカのバンドって感じ。

Mjg_st_img_5275

中学生のころ、Deep PurpleもLed Zeppelinもひと通り聴いたし、なんかカッコいいロックはないかいな?と思っていたところへ、ロック好きの兄を持つ友人がUriah Heepを教えてくれた。「エ、なに?ゆーらいあひーぷ」って感じだった。

このバンド名はCharles Dickesの『Davis Copperfield』に登場する「ユーライア・ヒープ」という不誠実で卑屈なキャラクターに由来している。イギリスではこれがのちに「イエスマン」という同義語として浸透した。

Ken Hensleyのオルガンを中心としたサウンドがちょっと他のハード・ロック・バンドと違って新鮮だった。それにDavis Byronの声。でも、曲がちょっとポップというか、単調というか…それほど夢中にはならなかったな。

イヤ、それよりも夢中にならなかった理由はオルガンが主役だったからかもしれない。Mick Boxがもっとギンギンに弾いたギター・オリエンテッドのバンドだったらもっとのめり込んでたかもしれないな…。

でもね、Mick BoxってとてもMarshallに忠誠ないいギタリストなんよ。

David Byronも気の毒な人だよな。この後、Rough Diamondを結成した。ちょっと気になったので久しぶりにレコード棚から引っ張り出してきた。タイポグラフィがエンボス加工されている。このパラフィン紙みたいな帯が泣かせるぜ。ナニナニ、「ブリティッシュ・ハードの神髄ここにあり!!(中略)嵐を呼ぶデビュー・アルバム!」…裕次郎か?

聴いてみる…まったく覚えてないな。少なくともこれで嵐は呼べんな。なんかブリティッシュともアメリカンともつかない中途半端な感じだ。だいたい、相棒のギタリストがClem Clempsonじゃ弱いよ。

1977年。この頃は既成のハード・ロックが飽きられてきて、ポップ性を吸収した音作りに奔走していたんだろうね。日本でも有名なギタリストが「歌謡界へ殴り込みだ!」なんて宣言していたのもこの頃ではなかろうか?

そこへパンクとからニュー・ウェイブってのが「アタシャ新しものでござんす」と切り込んできて、旧態依然としていたハード・ロックをがいとも簡単に駆逐してしまった。後はロックの低年齢化が進んで現在に至る。

イカンイカン、また脱線しちまった。で、このアルバム全然売れなかったらしい。それでさっさとDavid Byronはこのバンドを引き上げ、しばらくして自分のバンドを立ち上げたが大した話題にもならず1985年に死んでしまった。そうか…もうByronが死んで30年近くになるのか…。

Mjg_rd

ところでヒープもいい加減ジャケットが玉石混交だよね~。

この『The Magician's Birthday』とか『Deamons and Wizards』とかはいいですよ。Roger Deanだからね。

Mjg_st_img_5277

でもコレはないでしょう?1976年の『High and Mighty』。これはルガーP-08か…。一体何の根拠でこんなジャケットなんだろう?ピストル=MightyでHighだから空を飛ばしちゃったのかな?

『The High and the Mighty』という映画があった。John Wayne主演で、邦題は『紅の翼』という1954年の古い作品だ。観たことはないけど、航空パニック映画の先駆けみたいな話。この主題歌をNed WashingtonとDimitri Tiomkinが書いていて、実にいい曲なのね。もちろんタイトルは「The High and the Mighty」。よくJaco Pastriousがア・カペラのベース・ソロの時に弾いていたのがこの曲。昔、「あなたのジャズ・スタンダード・ベスト10」みたいなアンケートで香津美さんがこの曲を選んでいたが、ジャズの人たちが演奏しているのを聴いたことがないな。ロマンチックで美し曲。

ま、これはこのヒープのアルバムには関係ないだろう。

このアルバム、ベースがJohn Wettonなんだよね。何かのインタビューでこの作品へのWettonの参加を指して「彼はお金のためだけにグループに加入した」的なことが書かれていた。Davis Byronもアルコールでヘロヘロになっていた時期の作品。

だからジャケットもこんな…ってか?なんでドイツのピストルにしたんだろう?色々試したけど、翼が付けたとことがルガーが一番シックリいったのかもしれない。

Mjg_st_img_5309

Hipgnosisと並んでRoger Deanもビジュアル的に70年代のロックを支持、発展し、レコード・ジャケット文化の隆盛を担った人だ。

ジャケットがなくなれば彼の偉業も水泡に帰してしまう。いやいや、クリックひとつでこうして見ることができるじゃないか、って?確かにその意匠は確認することができる。しかし、実物、つまりフィジカル・プロダクツではければ何の意味もないのだ。見て、手にして、匂いを嗅いで…それができてはじめてジャケットと呼べるんよ!

Bernie Marsdenも在籍したBabe Ruth。日本のバンドだったら「長嶋」だ。Babe RuthはAlan ShacklockというギタリストとJennie Haanという女性シンガーが中心となったHatfirld出身のバンドでこれは1972年のデビュー・アルバム『First Base』。

Jennieの声がちょっとキツくて滅多に聴くことはないが、なぜかFrank Zappaの代表曲のうちのひとつ「King Kong」を演ってるんだよね。これは悪くない、インストだから。

アメリカン・フットボールはタマ~にテレビで放映されているのを見かけるが、イギリスでは野球はサッパリだ。クリケットはシーズンぬなれば盛んに放映しているけど。なんでこんなバンド名にしちゃったんだろうね?ってんでイギリスでのセールスは惨憺たるものであったが、北米ではよく売れたらしい。

ジャケットのイラストはRoger Deanっぽくないような気がする。ロゴのせいかな?宇宙の野球?

Mjg_st_img_5299

Dave GreensladeはColusseumやIfでキーボードを担当していた人。これは自分バンド、Greensladeの73年のデビューアルバム。このバンドはギターレスなんだよね。

「キーボードでハードロックをやるとこうなるぜ」的な演奏。ELPとはまったく違った味わいで大層カッコよろしいな。メロトロンも全開だ!ただ、ボーカルがあまりにも貧弱すぎて台無しだコリャ。インストの部分は完璧!

さすが、Roger Dean。ジャケットは素晴らしい。この次の『Bedside Manners Are Extra』もRoger Deanが手掛けた。

Mjg_st_img_5301

これはBabe Ruthに雰囲気が似てるな。Gravy Trainの最終アルバム『Staircase to the Day』。「Gravy Train」というとこのバンドよりもLou DonaldsonのBlue Note盤の方が頭に浮かんでしまう。

「Gravy」というのはあのソースのグレイヴィ。ちょっとかけると料理がおいしくなることから「働かなくてももらえるボーナス」とか「チップ」を意味した。「Gravy Train」は1920年代頃から使われ出したアメリカのスラング。当時は線路の工場で硬貨を鋳造していたのか、その鋳造の仕事の方が普通に工場で働くより仕事が楽でも同じ給料がもらえたことから「おいしい仕事」を意味するようになった。ようするに「すごく分のいい仕事という意味」。

Pink Floydの『Wish You Were Here』の「Have a Cigar」の中にこういう一説が出てくる。

And did we tell you the name of the game, boy, we call it riding the gravy train. (なぁ、この遊びの名前を教えたっけ?我々はこれを「ぼろ儲け」って呼んでるんだ)

このGravy Trainのアルバムは持っていないけど、最高傑作とされている2枚目の『A Ballad of a Peaceful Man』が手元にあるので聴いてみよう。

フルートが結構フィーチュアされた渋めのロックとでも言おうか、Tullとはまた全く違った味わいだ。生きているうちにもう一回聴くかどうかは大きな疑問。

Roger DeanというとHipgnosisのPink FloydみたいにYesばかりが有名だが、このようにかなりバラエティに富んだバンドのジャケットを手掛けている。Budgie(バッジー:イギリス北部ではこれを完全に「ブッジー」と発音する。最初何を指しているのかさっぱりわからなかった)、Gentle Giant、Gracious!、Nucleus、Keith Tippett、Patto、Third Ear Band等々、ブリティッシュ・ロック史に残した足跡はかなり大きい。

Mjg_st_img_5320

ELOの来日公演に行ったのは何回も書いた。調べてみると1978年のことだったらしい。まったく曲も知らずに「レーザー光線がすごい!」というだけで武道館へ行った。

ま、これも何回も書いてきたが、何も覚えてないんですわ~。とにかくアンコールで「Roll Over Beethoven」をやったってことだけ。

後年、ELOも比較的よく聴くようになったけど、ポップの鬼と化したELOよりもまだRoy Woodがいたファーストの方が好き。

なんで円盤なのかというと、前々作『A New World Record』で作ったロゴを用いて、当時はやっていた『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』っぽいデザインにしようとしたらしい。母船に入っていく宇宙船のドテっ腹に入っている「JTLA 823 L2」というのは、このレコードの元々のカタログ・ナンバーなんだって。

Mjg_st_img_5280

これが1971年のファースト・アルバム『No Answer』。ジャケット・デザインはHipgnosisだ。このジャケットに使われているランプはIngo Maurerというドイツ出身の工業デザイナーの手によるもの。

ジャケットの内側は不吉なイメージの古いモノクロ写真が並んでいる。内容、ジャケットともに不思議な作品だ。だから好き。

Mjg_st_img_5410

フリッツ・ラング監督、1927年公開のドイツ映画『メトロポリス』の引用。

先に挙げたJefferson Starshipのトンボと同じキャラクターだ。

このアルバム、LP時代にはLP+EPという形態で発売された。そのEPというのが珍しくて買った記憶がある。ベーシストが中国系の人でチャーリー・トゥマハイといった。それがすごく印象に残っている。

Bill Nelsonという人はなかなかにギターのうまい人だ。ジャン・コクトーに心酔していたとか…。フレーズの組み立て方が巧みで聴きごたえがあるんだけど、残念ながら歪みがきつくて音が細く、チープに聴こえるのが玉にキズか…。もっとクランチっぽいサウンドで弾きこなしていればもっとギターの存在感が増したと思う。ま、そうなると彼のナイーヴな声が殺されてしまうかな?

「モダン・ポップ」とか言われているようだが、結構好き。ナンダカンダで全部そろってるな。なんか力の入っていないロックのようなものを聴きたい時にはもってこいだ。

Mjg_st_img_5283

これが付属のEP盤。今なら簡単にCD一枚に収録できるのにね。

Img_3995
Be Bop Deluxeも『Drastic Plastic』ではヒプノシスがジャケットを担当していた。いいか悪いかは別にして『Axe Vicim』、『Sunburst Finish』等、結構インパクトの強いジャケットを採用したバンドだと思う。

この『Modern Music』は4枚目のスタジオ盤。このジャケットのどこがSFだと思う?

そう、Bill Nelsonの時計。腕時計でロボットを動かしたのは「マグマ大使」だっけ?「鉄人28号」だっけ?下の写真ではわかりにくいけど、Billの時計がテレビみたいになっていて、かれらのファースト・アルバム『Axe Victim』の骸骨が映し出されている。

このアルバムが発表されたのは1976年のこと。この頃は携帯電話なんて夢のまた夢だったんだろうナァ。今じゃ小学生でもこのジャケットの時計より優秀なケータイ持ってるってーの。

歌詞なんかチェックしたことただの一度もないけれど、このバンド、元より歌詞がSFっぽいんだそうだ。

Mjg_st_img_5288

Vangelis。スゴイ名前だ。この人も1981年のイギリス映画『Chariots of Fire(炎のランナー)』ですっかり有名になった。ギリシアの人。

「はい、それではギリシアのロック・グループ」の名前を言ってください。

と訊かれたらAphrodite's Childだけだな。あとはロックではないけど、Melina Mercouriの「Never on Sunday(日曜はダメよ)」。そういう人がたくさんいるとは思うけど…。

まず名前が読めん。ギリシアの人の名前はポーランド人ほどではないにしても複雑なのが多くてね。ギリシア語でつづられたら文字のひとつもわからん。

英語の表現のひとつに「私にはちんぷんかんぷんでしてね…」みたいのを「It's Greek to me(ハハ、私にはそりゃギリシア語だわ)」と言うぐらいだからね。Geroge Chakiris(ジョージ・チャキリス)、John Cassavetes(ジョン・カサヴェテス)、Olympia Dukakis(オリンピア・デュカキス)…みんな映画俳優だけど、総じて角ばった感じの音の名前で、最後に「~ス」がついてる。

ヴァンゲリスの本名はΕυάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου …読めるか~!

読み方はエヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ。

私はVangelisはまったく聴かないが、ロックも長年聴いてくると英語圏のものにもちょっと飽き出して、東ヨーロッパ方面等の「辺境」と呼ばれる地域の物にも興味が出てくる。私の場合、2000年代は言うに及ばず、80年代、90年代と(私にとっては)時代的に若いロックをまったく吸収してこなかったのでなおさらだ。

それでもね、やっぱり何を聴いても英米のバンドの名盤と呼ばれるものには残念ながら遠く及ばないと私は感ずる。一回聴いて「オ、カッコいいじゃん!」とは思わせるんだけど、繰り返し聴くには耐えられないんだな。ただしイタリアは別。

その点、Aphrodite's Childの『666』なんかはかなり強力だ。それもこのΕυάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου の才能によるものなのだろう。

このジャケットのデザインもVangelis自身によるものだそうだ。

…と今知った驚きの事実が!イッパイやって、ナゼか急にKurt Weilが聴きたくなってCD棚をチェックしていたら!Vangelis聴かないとか言っておきながらこのアルバムを棚で発見!持ってやがんの。要するに聴いてないってことやねん。

Mjg_st_img_5290

Toddは好きだったナァ~。

ビートルズにも大分飽きてきて「ナニかいいロックはないもんか…(コレばっかり!)」とある日渋谷陽一氏のラジオ番組から流れてきたのがこのアルバムA面2曲目の「Magic Dragon Theatre(←原題もイギリスつづり)」だった。映画が好きで映画音楽からロックを聴き始めた私はシアトリカルなこの曲に…「コレだ!」といたく感動してすぐにこのアルバム『Ra』を買った。「Communion with the Sun」とか「Hiroshima」とか「Singring and the Glass Guitar」とかいい曲が目白押しで大好きだった。

ToddもUtopiaも含めてジャケットは感心せんな~。Hipgnosisがやった『Back to Bars』は内容がイマイチだったしな…。『A Waizard / A True Star 』がスゴイか…。なんかこういうところに英米のミュージシャンの感覚の違いが表れているような気もする。

してみると、ブリティッシュ・ロックの作品のジャケットが軒並み素晴らしいのはHipgnosisとRoger Dean、それにMarcus Keefのおかげということになろうか…。でもアメリカ勢、ジャズはいいのが揃ってるよ。

Mjg_st_img_5292

このLPには下のようなオマケがついていた。切リ抜いて組み立てるとUtopiaのメンバーのピラミッドになる。

Mjg_img_9559

これは1976年のTodd初来日を記念して配布されたステッカー。ES-175Dのダブルネックを弾いてるTodd。

昔はこういうことをしていたんですね~。来日記念盤として『I Saw the Light / Hello It's Me』のスペシャル・カップリング・シングルがリリースされたらしい。シングルって…。1976年というと『Faithful』をリリースした年。どうしてもタイミングが合わなかったんだろうね、来日記念盤。このシングル曲は1972~73年の曲ですからね。強引に出したんだね。でも名曲よ。

Img_9550

私が行ったのは1979年の2回目の来日の時。これがプログラム。 『Ra』と『Oops! Wrong Planet』からの選曲が中心のプログラムで本当に素晴らしいコンサートだった。今でもベスト3に数えられるぐらい。

Mjg_img_9555

ちょっとその公演プログラムをのぞいてみると…UFO、Scorpions、Roxy Music、Nazareth来日の告知が出ている。コレ全部観に行った。S席がまだ3,000円だったんだね。

ココには「元UFOのマイケル・シェンカーがスコーピオンズに加入!」って書いてあるんだけど、結局来なかった。UFOでも観れず、私はつくづくシェンカーに縁のない男なのよ。

Mjg_img_9557

そのUFO。これはヒプノシス。なんで邦題が『宇宙征服』なの?原題は『Obsession』。「Obsession」とは何かに取りつかれることを意味する。「I'm obsessed with photography(写真に首ったけなのよ)」みたいに。それが宇宙征服。♪なんでだろ~、なんでだろ~?

ハハ~ン、さてはこの人たちパチンコ中毒なんだな?もうパチンコやりたくてやりたく…体中の穴という穴からパチンコ玉が飛び出してるってことか…。飛行機乗るとき大変だぞ~、金属探知機に引っかかっちゃって!

これは7枚目のUFOのアルバム。UFOも結局、Michael Schenkerが現れての『Phenomenon』からコレと、この後のライブまでだったな~。無理やり結びつけるワケじゃないけどシェンカーとHipgnosisが現れて、ともに去って行って何も残らなかった…なんて言ったらファンには失礼か…。

なんでPaul Chapmanだっただろうね。ま、サンプラで観たけどサ…。もっとよさそうなのが他にいたろうにナァ。

ブリティッシュ・ロックにおいて、いかにギター・ヒーローが肝心かということを暗示している。というか完全にブリティッシュ・ロックの繁栄はギターの繁栄であり、間違いなくMarshallなくしては成立しない音楽だったのだ。

そして、EVHがアメリカに登場し、イギリスからギター・ヒーローの新世代が現れず、パンクやニューウェイヴといったギター演奏の技術を必要としない音楽が跋扈し出した途端ブリティッシュ・ロックがまったくつまらなくなった。

このアルバムに収録されているヒット曲「Only You Can Rock Me」はちょいとした思い出があって…といっても最近の話し。2010年にロンドンでUFOを観た時、当然この曲が演奏された。ギターはVinnie Mooreだった。イントロを弾くと、2~3小節目で音が出なくなってしまった。コリャやばいってんでスタッフ総出でアンプやらケーブルやらのチェック。何たってイントロ命の曲でしょ?

気を取り直してもう一回…するとまた同じところで音が出なくなってしまう。はじめはニコニコしていたPhil Moggの顔に陰りが見え出し、明らかにこめかみの血管がピクピクしている!で、さらにトライ…またほぼ同じところで音が出なくなってしまった!

ま、さすがにこの後、何とか無事にその箇所を通過して演奏を終えた。アンプはMarshallではなかった。でもね、イヤもんですよ。ああいう場面に出くわすと他社の商品でも生きている心地がしない。アンプが原因かどうかはわからないけど、音が出なくなって一番疑われやすいのはアンプでしょ?何しろ音を出してる現物なんだから。だからいいアンプを使いましょうね~!

Mjg_st_img_5297

NHKの『Young Music Show』で観た印象がよくなかったせいか、Super Trampは聴かなかったナァ。でもこの『Crime of the Century』と次作の『Crisis? What Crisis?』はジャケットがいいなと思ってた。

あった、あった。レコード棚から『Crisis? What Crisis?』を引っ張り出してきたから聴いてみよう。

コレ、一応プログレの範疇にいるバンドなんだよね?それを気にしなければすごくいいな。これが数年後『Breakfast in America』で押しも押されぬ超人気バンドになろうとはね~。ま、その萌芽がここにあったのかもしれませんな。下とは違うアルバムでスミマセン。

Mjg_st_img_5306

Focusが大好きな人っていまだに多いでしょう?私もそのひとり。といっても1978年の『Focus con Proby』までか。この『Focus con Proby』にしても大好きなベルギー人ギタリスト、Philip Cathrineが入ってなかったら聴いてないかもしれないけどね。『Hamburger Concerto』もどうな…。要するに『Focus 3』までってことかもしれない。

この『Mother Focus』は5枚目のスタジオ録音盤。LP2枚とCD1枚持ってやんの、オレ。国内盤のライナーを読んでみた。「ジャケットが今までになく派手である」…と。フムフム。「これまでのような長尺の大作がなく、短い曲がならんでいる」…とやっておいて、「アメリカ市場を狙っている」…と。なつかしいナァ。「アメリカ市場を狙ってる」…か~。

今はワザワザこんなこと言わないもんね~。しかし、なんでアメリカ市場は短く聴きやすい曲でなければならなかったんだろう。「売れたい一心」で名曲「Anonymus」の精神を捨てていたとしたらFocusにもちょっとガッカリするナァ。

でも、好きやねん、Focus。

だから数年前にフランクフルトでJan Akkermanに会ったときはうれしかった。向こうの人は「ジャナッカマン」みたいに発音する。滅多にミュージシャンと写真を撮らない私でもさすがにいっしょに記念撮影をさせてもらった。彼は私が来ているMarshallのユニフォームを見て「君はMarshallの関係者かい?僕も昔はMarshallを使っていたんだよ」と言っていた。

Jan Akkermanのソロ・アルバムも片っ端から買ったな~。あんまり弾かないんだよね、モッタイぶっちゃって。1978年の『Live』と1997年のCD2枚組の同じくライブ『10,000 Clowns on a Rainy Day』はバリバリ弾いてておススメ。

このアルバム、ジャケットのデザインはRob Petersとかいう人。なんかこのタッチのイラストってどっか他でも見てるよねェ?

Mjg_st_img_5313

さすが、「SF特集」にふさわしくまたまた出ました空飛ぶ円盤!Bostonは円盤好きだね~。なんで円盤なんでしょうか?これ円盤がひとつのコミュニティになってるとかいうことなのかな?

自慢じゃないけど、Bostonってまったく聴いてないんだよね。そりゃ「More than a Feelig」ぐらいは知ってるけどサ。中学3年ぐらいの時にこの曲がヒットして、あの時はてっきり「♪マザー・フィーリン」って歌っているのかと思った。

スゴイ人気で、デビューした時は秋葉原の石丸電気のレコード館(3号館)の2階のロック売り場がBoston一色になっていたのを覚えている。

デビュー・アルバム。クラゲ。ああ、そうか。これ地球が爆発してBoston号で宇宙に脱出したとこなのか!

Mjg_st_img_5409

セカンド・アルバム『Don't Look Back』で安息の地に到着した…と。「振り返っちゃいけない!」…と。

あんなに人気を誇ったバンドなのにこの2枚目を出したとこまでだったんだね。1978年。今は結構80年代のバンドやヒットした曲を「なつかしい」とか「いい時代だった」とかいう傾向があるけど、やっぱり80年代はロックの暗黒時代の始まりなんだと思うよ。暴論だけど、80年代以降のロックをすべて切り落としたとしても、ロックの歴史はなにひとつ困ることがないのではなかろうか。Marshall的には困っちゃうけどね…。

Bostonのこの後の諸作を観てみると徹頭徹尾空を飛んでるんだね~。ある意味Chicagoのジャケットみたいだ。

Mjg_st_img_5318

Captain BeyondはDeep Purpleの初代シンガー、Rod EvansとJohnny WinterのところのBoby Caldwell、Iron ButterflyのLarry Reinhardtらで結成された。アメリカのバンド。

これも久しぶりに引っ張り出してきて聴いてみた。セカンド・アルバム、『Sufficiently Breathless』。邦題は『衝撃の極地』。1973年の発表だ。ま、パーカッションが効いた普通のアメリカン・ロックやね。

ジャケットは好き。この通りを歩いているケッタイなヤツらが楽しい。デザインはJoe Petagno。この人はMotorheadのLemmyと出会うまでHipgnosisと一緒に仕事をしており、Pink Floyd、Led Zeppelin、Nazareth等の作品の制作に加わっていた。Motorheadのシンボル、War-Pigはこの人のデザインだ。

Mjg_st_img_5326

これは聴いたことない。でもドラムがMike Shrieveでね、いつかは聴いてみたいと思ってる。ギターはのちにGlen Hughesとタッグを組むPat Thrallだ。その前にはPat Traversのライブ盤なんかでも活躍していた。あの中のディレイ・トリックのソロにはビックリしたもんだ。「え~、コレ全部弾いてるの~?」って。

ジャケットはまさにSF。

Mjg_st_img_5328

これもHipgnosis。元は写真素材らしい。しかし、こんなデザインのアイデアどっから出てくるんだろうね~。Black SabbathのHipgnosisはこれと次の『Never Say Die!』だけかな?Keefによるファーストや『Paranoid』、あたりはいいけど、このバンドもどう見てもジャケット・デザインに神経を使っているようには見えないナァ~。後年の『Mob Rules』なんて自分のバンドのカラーを見失っっちゃってる感じすらする。内容は案外好きだけど。

…とマァ、アタシャBlack Sabbathについてガタガタ言えるほど熱心であったことは一度もござらん。子供の頃からどうも受け付けなくて…。でも最近、なかなかいいなと思うようになってきたけどね。そんなアタシでもBirminghamへ行きゃ、結構「Iron Man」のリフを口ずさんじゃったりするんよ。

コレ持ってるの忘れて、先日つい2枚目を買っちまった!
Mjg_st_img_5330

くどいようだけど、このジャケット見て毎回毎回思い出すのはJoan Baez。

Mjg_st_img_5426

ゼンゼン違うんだけど、コレとダブっちゃんだよね。ま、Joan Baezが歌うSabbathこそ聴いてみたいような気もするけど。

Baez

Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

過去のMusic Jacket Gallery関連のレポートはコチラ⇒Marshall Blog - ミュージック・ジャケット・ギャラリー

つづく

(協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏)

2013年4月24日 (水)

緊急特集!<追補> Hipgnosis Collectionと下町のヒプノシス

昨日おとといと2回にわたり、HipgnosisのStorm Thorgersonの追悼特集を組ませていただいた。長大な拙文を辛抱して読破いただいた皆様には心から御礼を申し上げます。

こうして振り返ってみると、Led ZeppelinやUFO、Rainbow、Status Quo、Bad Company等々MarshallもHipgnosis同様、名盤誕生の一翼を担わせてもらっていたことに誇りを感じる。プログレ編はMarshallの出番がほとんどなかったけどね…。

今回の記事への反響も大きかった。さらにSNSを見渡してみると、「アータ、普段こんなの聴かないでしょうに!ホントにHipgnosis知ってんの?!」と思いたくなる人までがStorm Thorgersonの逝去を悼み書き込みを残していた。

私が認識ているよりはるかに広く深くHipgnosisの業績が浸透していたようだ。つまり、それだけジャケットの存在感は大きく、支持者の層も広く厚いということが言えるのかもしれない。

そして、これは何よりも貴重なStorm Thorgersonの遺産なのだ。

もうHipgnosisは終わりにしようと思ったが、新しい情報が舞い込んできたので今日は2日間の特集の追補をさせていただく。

さて、イギリスにもMarshall Blogに毎日目を通しているスタッフがいて、しょっちゅうここに登場するSteve Dawsonもそのひとりだ。

残念ながら日本語を解さないので、写真やテキストにちりばめられた英単語を見ているにとどまるが、案外内容を正確に理解していることに驚いたりする。

時折、翻訳ソフトを使ってもいるのであろう。でも、この翻訳ソフトもすさまじい仕事をする時があるから要注意だ。以前、アイルランドの友人になにかをしてあげた。するとすぐに彼女からお礼のメールが来た。しかも気を使ってくれて、それは翻訳ソフトを介した日本語によるものだった。それにはこう書いてあった。

「わたしはあなたにありがとうではありません」

もちろんそんなことを言おうとしているワケがないのはすぐにわかる。さっそく彼女に知らせたが、PCの向こうで顔が赤くなっているのがわかるぐらい謝っていた。こわいですね。

さて、そのSteveから面白い話が届いた。もちろん昨日今日のマーブロを見てのこと。話はStorm ThorgersonとJimmy Pageのやり取りに関することだ。

やはりイギリスでも70年代のHipgnisisの人気は相当高かったらしい。

本編にも書いた通り、Led Zeppelinは5枚目のアルバムで初めてHipgnosisにジャケット・デザインを発注した。そして、StormがデザインのアイデアをJimmy Pageに提示した。それはLed Zeppelinのイメージが組み込まれたテニス・コートの絵柄だったという。

Jimmy Pageはそのデザインが意図することが分からずStormに尋ねた。

「テニス・コートとLed Zeppelinって何か関係があるのかい?」

するとStormが静かに答えた。

「あるじゃないか。ラケット(racket)だよ!」

Jimmy Pageはこの発言に大層気分を害し、部屋を出て行ってしまったという。その後、他のHipgnosisのスタッフに仕事を頼んで出来上がったのがコレ。

Holy

この事件で『Led Zeppelin V』、つまり後の『Houses of the Holy』の発売が3か月遅れたという。

ナゼJimmy Pageがそれほど怒ったのか…。

実は「racket」というのはイギリスの都市部のスラングで、「雑音」という意味があるのだそうだ。それとテニス・コートを組み合わせた一種の楽屋落ちだったのだ。

やるナァ~、Storm。天下のLed Zeppelinの初の仕事でこんなことしちゃうんだもんだナァ~。ま、StormもまさかそんなにJimmy Pageが怒るとは思わなかったんだろうね。「ウ~ケ~る~」と言われると思ったんじゃない?

でも、『Houses of the Holy』がうまくいって、この後『Physical Graffiti』は飛ばして→『Presence』→『The Song Remains the Same』→『In Through the Out Door』→『CODA』と最後までHipgnosisで行っちゃった!

さて、もうひとつ。

このMarshall Blogのバナーを制作していただいた梅村デザイン研究所(梅デ研)主宰の梅村昇史氏のことだ。

梅村さんには他にもShige Blogのバナーも制作していただいており、全幅の信頼を置くビジュアル面での私の仕事のパートナーだ。梅村さんも先にご登場いただいた著名なコレクター、植村和紀さんのご紹介だった。要するにZappaにしてZappa道の師匠でもある。

Img_0886_2

氏はZappa以外の音楽にも当然造詣が深く、おしゃべりの機会があると、Zappaについては言うに及ばず、The Beach BoysからOrnet ColemanやArchie Sheppまでありとあらゆる音楽の話ができて滅法楽しく勉強になる。もちろんEdgar VareseやXenakisのような現代音楽もよく聴き込んでいらっしゃる。

ヒックリ帰っちゃったのは、仕事の打ち合わせで拙宅においでいただいた時、パーカー派アルト・サックスの巨人、Phil Woodsの1967年の珍盤『Greek Cooking(Impulse!:Phil Woodsがウードやブズーキを演奏するギリシャのミュージシャンと演奏した地中海丸出しのキテレツなジャズ。これが超絶技巧とスリリングな曲展開でかなり楽しめる)』をかけた時、「あ、これフィル・ウッズですよね?」と言い当てた時だ。これには驚いた。

つい先日もアルゼンチンの作曲家、Alberto Evaristo Ginastera(いわゆるヒナステラ)を教えてもらった。

ところで、梅村氏は「下町のひとりヒプノシス」を標榜されていて、先日の【号外】でも紹介した『WALK AWAY RENE』もシッカリと熟読されていた。

Hp_img_0290

そのせいか、初めて梅デ研の作品を目にした時からすっかりそのタッチに惹きこまれてしまった。

したがってShige Blogを始めたり、Marshall Blogを再開するに当たっては、絶対に梅デ研作品をバナーに据えることを決めていた。

そして、2人で組んで最近仕上げたのがおなじみのMarshallプレイヤー、田川ヒロアキの『Ave Maria』である。私が撮った写真を実にうまく使ってくれた。

Cd_3

また、他にも数々のCDジャケットやボックスセット、音楽書籍等の商品のデザインを手掛けている。

いずれMarshall Blogでユックリと「下町のひとりヒプノシス」の作品を紹介したいと思っているが、今日はお気入りを3点ほど氏に選んでもらったので予告編的に作品を紹介しておく。

まずは1975年、Allan Holdsworth在籍時のSoft Machine、「ラジオブレーメン」用に収録されたライブの日本国内盤。Holdsworth在籍時のMachineは大層人気が高いからね。

オリジナルのHipgnosisを無理に模倣したかのようなジャケットより、梅村さんのこの手書きの細密画の方が格段に素晴らしい。よく見ると絵の中の建物についている看板にひとつひとつ内容に関する名称が書き込まれている。こうした楽屋オチ的なコリ方も梅デ研作品の楽しみ方だ。

Udk_01

Ornette Colemanのベース、Jamaaladeen Tacuma(ジャマラディーン・タクーマ)のアルバム・ジャケット。マーブロのバナーもそうだが、宇宙的なコラージュ手法も梅デ研の得意ワザのひとつ。

これ、素材を適当に並べたって絶対にこういう空気感は出ないよ。このあたりはHipgnosisというよりCal Schenkelの影響が大きいのであろう。

Udk_02

これは人気DJ、植原良太のCDジャケット。こうした愛らしいイラストも魅力のひとつ。このあたりはGary Panterか?それと忘れてならないのはこの色彩感覚。これだけ極彩色に仕上げるととかくうるさくなりがちだが、梅村作品はいつでも上品で高級感があふれている。これも大きなポイント。

他にもSaul Bass(大好き!)を想起させる作品や50年代のジャズ風、一転してコンテンポラリーなテイスト等々、その魅力を語れば枚挙にいとまがないのである。

梅村デザイン研究所の詳しい情報は、このブログのサイドバーにある「【梅村デザイン研究所】ハルタンタハルタンチ」をクリック!

Ryota

さて、その「下町のひとりヒプノシス」、数年前に何とStorm Thorgersonに遭遇したことがあるというのである。「ヒプノシス展」を観に行った梅村氏、帰りのエレベーターでStormとスタッフとたった3人で乗り込んでしまったそうだ。

Thorgerson氏がニコニコしていてくれていれば挨拶のひとつもできたろうが、その時かなりご立腹で怖かったそうだ。

Frank Zappaとエレベーターでふたりっきりになった岡井大二さんの話しみたいだ。Zappaは別段怒っていたワケではないが、そこにいるだけでものすごい芸術家のオーラが出ていてものすごくコワかったという。

この感覚はよくわかる。私もニューヨークのBirdlandで穐吉敏子さんを見かけた時コワくて近寄れなかった。もちろん優しい方なのだろうが、ヘラヘラとした自分の軽さが恥ずかしい気もした。

先に書いた通り、Stormは天下のLed Zeppelinにもそうした所業で自分の信念を貫くような人だ。きっと展示の仕方か何かが気に喰わなかったのであろう。

改めて真の芸術家の逝去を惜しみ、ご冥福を祈る次第である。

2013年4月23日 (火)

【Music Jacket Gallery】緊急特集!Hipgnosis Collection~Hard Rock Works

Hipgnosisの主宰者、Storm Thorgersonの逝去にともなう緊急特集。

大田区は鵜の木にある大手印刷会社、金羊社内にあるMusic Jacket Galleryで2011年に開催されていた『ヒプノシス展』を題材に、昨日はプログレッシブ・ロック系のバンドの作品を紹介した。

Hp_img_0771

もちろんHipgnosisの偉業はプログレッシブ・ロックの作品に限らず、ハードロック系バンドのLPジャケットにも素晴らしい成果を残している。Led Zeppelin、UFO、Wishbone Ash、Bad Company、Black Sabbath等々の超ビッグネームへの作品が目白押しなのだ。
そう、こっちの方面でもブリティッシュ・ロックの隆盛にはHipgnosisの視覚面での多大な貢献があったのだ。
今日はハード・ロック方面でのHipgnosisの偉業を考察していく。私的でゴメンね。

Hp_img_0729

さて、Hipgnosis作品を見渡すと作風というか頻出するテーマのようなものがあることに気づく。
人それぞれ見方が異なるのだろうが、私の場合は、まず「水」。

水を使ったデザインが異様に多い。それほどイギリスが乾いているようには思わないが、スタッフのノドがいつも乾いていたのな?イヤ、雨の多いお国柄、水に親しみを感じているのかしらん?何せイギリスの雨は降りゃ必ず本降りにならないと気が済まないからね。ホント、イヤだよ、あの雨は。

それから「身体の一部の拡大」。これもすごく多い。目玉だの股間だの胸だの。
さらに「パターンもの」。『The Dark Side of the Moon』みたいなヤツね。
それに「ドラマもの」…というか映画のワンシーンを切り取ったようなヤーツ。
後は「完全イラストもの」。文字通りイラストだけで済ませちゃうタイプ。
何といっても「写真合成もの」。これが一番お得意か。
ま、こうして挙げていくとキリがなくなってカテゴライズの意味もなくなっちゃうので止めとくけど、どの作品も大抵これらのウチのどれかに所属しているんじゃないのかな?

決定的に言えるのは、レタリング、タイポグラフィっていうのかな?要するにBlue Noteが得意としているような字だけでデザインを構成しちゃう手法と、バンドのメンバーの写真がドンと出てきてハイ終わりというパターンがすごく少ないのね。

ポートレイトものですぐに頭に思い浮かぶのは、『Rory Gallgher』、『Aynsley Dunbar's Retaliation』、『Desolation Boulevard / Sweet』、『Olivia Newton-John』…ぐらいかな。あと、本人が出てくるには出てくるけど「水」処理が施してあったり、「ドラマ化」してあったりで、ただ写真をボコッと置いてタイトル入れて…というのはかなり少ない。
このことはThorgerson自身の主義でもあったらしい。

それと楽器。ポートレイトを使わないのと同時に楽器のイメージもまったくといっていいくらい出番がなかった。なんかあったかな…(長考)…ポールがギター抱えているヤツとWishbone AshのFlying Vがスッ飛んでるヤツぐらい?

Marshallを使って何かカッコいいジャケットがあればよかったのに…。多分、楽器を登場させると中身のイメージが固定化されてしまうと考えていたんじゃないのかな?

Hp_img_0707

それでは、どうやってHipgnosisはこれらの作業を進めて行ったのであろうか?あるインタビューでThorgersonはこう説明している。

当該のアーティストの作品を聴いて、歌詞を読んで、スタッフ同士で意見を交換し合う。Hipgnosisとしてのアイデアが整ったらスケッチを起こす。それをバンド側に見せて説明し、バンドとも意見を交換し合って最終的なアイデアを決定していたらしい。

でも、Hipgnosisの作品のほとんどは写真素材。後はその決定したアイデアに基づいてパソコンでチョチョチョと加工して終わり…なんてことはこの時代は当然できなかった。それらの写真をすべて実際に撮影しなければならなかったのだ。

これは大変ですよ。時間も金もかかる。だからこそいいものができたんですね。まさに映画と同じ。実際、この話しを聴いてすぐにヒッチコックと黒澤明を連想した。(いつもコレだ)
脚本至上主義…2人ともいい脚本がなければ絶対に良い作品は生まれないという考えで、ヒッチコックは長編を原作に選ばなかった。ダレちゃうから。また、彼は異常にキャメラ(?)の技術に詳しく、本職のキャメラさんにしばしイヤがられたらしい。

一方、黒澤作品の頂点『七人の侍』なんかは、後年世界がうらやんだ橋本忍、小国英雄、そして黒澤明という3人の名脚本家チームが箱根の旅館に何カ月か缶詰になり、アイデア出し合って練り上げたという。3人が同時に同じシーンを考え、浮かんだアイデアを他の2人に提示する。他の2人もアイデアを提示し、意見を交換して一番よいアイデアを選んでいく。
ようやく脚本が完成してみんなヘトヘトになってしまった時、黒澤明はこう言ったという。「オイオイ、君らはいいけど僕はこれからこの脚本を実際に撮影しなければならないんだゼ!」って。黒澤明もキャメラの技術に明るかったという。

彼のトレードマークであるパンフォーカスを実現するために現場はいつも過酷な状況だったという。パンフォーカスは画面全部にピントを合わせる手法で、たくさんの照明を使って思いっきり明るくしてレンズを絞り込まないと奥までピントが送れない。そのため現場はいつも灼熱地獄だったという。あの有名な『天国と地獄』の権藤邸のセットの中なんか40℃を軽く超えていたらしい。

これってまったくHipgnosisの話しと同じでしょ?脚本やミーティングがいかに大切かということだ。

さて、ここでま音楽配信の話し…。「またかよ!」と思われるでしょう?別に音楽配信に恨みはないの。危険信号を送っているだけなんですー!

Hp_img_0709_2

それは、自分から能動的に聴きたいと思う曲を1曲毎に入手できる「音楽配信」というシステムが一見合理性に富んでいると錯覚してしまうのがまずマズイ。
自分の好きな曲しか聴かない。狭まるねェ~、聴く音楽の幅が…。でもこれだと作る側はラクでいいよね~。聴きやすい、受け入れられやすい曲だけ作っていればいいワケでしょ?
でも、それでいいのかしら?コレってナンノことはない、原始回帰だとは思わない?LPが発明される前のEP、つまりシングル盤文化へ逆戻りしているだけではないだろうか?テクノロジーは進歩したかもしれないけど、肝心の音楽と音楽のあり方が縮退しているのではないか?
これはシングル盤が悪いとかつまらないということでは全くない。でも、シングル盤は歌謡曲もしくはその類の普遍性が限りなく高い大衆音楽のためだけの物だと思うんですよ。
「木綿のハンカチーフ(最近知って感動したんだけど、あの美しいギター、芳野藤丸さんが弾いているんですってね!藤丸さん、超名曲を超名演で彩りを添えていただいてうれしい限りです)」とか「勝手にしやがれ」とか「また逢う日までとか」、そういう人類が滅びるまで歌い継がれていく曲をひとつずつ提供するのがシングル盤の役目だと思っているの。または歌詞がメロディに乗ってスラスラ自然に出てくるような曲ね。今、巷間でヤケに日焼けした人たちがタテにグルグル回りながら歌っている曲なんかとは、土台天と地の差ほどのクォリティの違いがある。

もちろんハズレもあるでしょう。でもそのハズレも面白かったりするのがあの時代のシングル盤の特長なんですよ。いいものがあるから、どうしてもハズレちゃうものもある。そこでレコード会社の人たちもひと山狙って少しでもいいものを世に問おうとする。だから必然的にちゃんとした商品、つまり音楽が出てくる。
Img_0701

楽器サイドのテクノロジーも進化して、自分が作った曲を誰でも自宅でいい音で録音できるようになった。いわゆる「打ち込み」の一般化だ。ちょっと前まではドラムの音なんかペロンペロンだったのに今ではヘタをすると人間の叩くホンモノより音がよかったりするもんね。何回やり直させても文句言わないしね。

そうして作ったモノをインターネットに乗せて不特定多数の人に聴いてもらう。
ちょっと聴くとアマチュア・ミュージシャンにとっては夢のようなシステムだが、この簡便さが恐ろしい。言い換えるとこれはほとんどプロとアマの差がなくなるという事でしょ。

「コピーができないからオリジナルを演ってる」なんて話しをたまに聞くが、どうなんだろう?これはあまり音楽を聴いていないということではないだろうか?ミュージシャンはまず絶対にリスナーであるべきだと思う。やっぱりスゴイミュージシャンは例外なく音楽に詳しいですよ。膨大な時間を費やして深く広く聴いていらっしゃる。そうして積み重ねたインプットの中から自分の音楽を編み出していることは論を俟たない。
すなわち、チョチョイと宅録で作った音楽をバラ撒いて、またそれを何も知らない若者が聴いて「これが音楽か」と錯覚してしまう。悪循環である。

そうそう!こないだ車を運転しながら珍しくFMを聞いていたら若いミュージシャンが出て来て、インタビューの中で驚くべきことを言っていた。本当に名前は知らない。チェックしとけばよかったな。こんなことを言っていた…

「『ナントカ(名前は聴き落とした)』というライブハウスにはとてもお世話になったので、有名になってからも出演して恩返しをしたい」的な発言。これは全然いいよ。Miles DavisとBlue NoteのAlfred Lionみたいな美しい友情ストーリーだ。マズイのはこの先だ…

「このライブハウスはまだ僕らがロクに演奏をできない頃から出演させてくれて、いい訓練になったんですよ」って…アータ、演奏できないのにライブハウスに出てんの~?これホントにラジオで聞いたんだからッ!ビックラこいたよ、おじチャンは!

我々の時代にはこんなことあり得なかった。渋谷の屋根裏や新宿ロフトに出ることがもはや成功の証だったからね。そんなバンドがナンカの拍子にうまい具合に世の中に出たところで攻勢に残るいい仕事なんかしないって。所詮は時代が生んだアダ花なのではなかろうか?

ついでにもうひとつ。有名なライブハウスの社長さんから聞いた話し。

若いバンドさんのリハのシーン。ギターのチューニングがあまりにもヒドイのでミキサーさんが気をきかして「ギターさん、チューニングどうぞ!」と振ってあげた。

するとのそのギターの子は「あ、だいじょぶッス!ギター買ったときにチューニングしてもらいましたから!」…オイオイ、ピアノじゃねーんだよ。にわかには信じられなかったが本当の話しらしい。

じゃなんでそんなバンドを出すんだよ…というご指摘もあるかもしれないが、音源審査かなんかでオーディションをパスしちゃったのかもしれない。事実デモ音源とライブ演奏が似ても似つかないバンドなんてザラにいるらしいから…。

Img_0702

続けます。

さらにマズイのは1曲ずつ自発的に聴いてしまうシステムは音楽の発見がどうしても少なくなってしまうこと。アルバムの場合お目当てでない曲も含まれていて、嫌でもその曲を耳にしなければならない。曲を容易にスキップすることができないLPの場合は特にそうだ。すると、その中に思いもかけない自分だけの名曲を発見したりするものだ。そうしたいい音楽との運命の出会いを奪い去ってしまうのが配信のシステムではなかろうか…。恐ろしい。

話しはシングル盤にもどって…ノルかソルかの商業的成功を狙ってセッセと量産されたシングル盤文化の一方では着々とロック・レコードが「芸術」に昇華していった。

その権化fがいわゆる「コンセプト・アルバム」というヤーツ。シングル盤では表現できない物語や何かのテーマを組曲的に複数の曲でまとめ上げる芸術だ。要するに『Sgt. Peppers~』みたいなヤツね。

調べてみるとその歴史は古く、1930年代のLee Wiley(ジャズ歌手ね)の作品が元祖らしい。
ロックの世界ではThe Venturesの1961年の『Coloful Ventures』が最初のコンセプト・アルバムとされているんだそうだ。 その他、The Beach Boysの『Pet Sounds(1966年)』やBrian Wilsonの『Smile(2000年に発表)』、同じく66年のFrank Zappa『Freak Out!』、The Kinksの『Face to Face』、そして一年後の『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』。
『Rubber Soul』を超えるアルバムを目指して『Pet Sounds』を制作するBrian Wilsonに「今スンゲェのに取り組んでいるんだ」とPaulが漏らして出てきたのが『Sgt. Peppers~』というのは有名な話し。
みんな66年近辺。名盤がひしめき合ってる!

『Pet Sounds』もコンセプト・アルバムなのか…。ま、確かに聴きだしたら全曲聴かないと気が済まない感じがするというか、いつもメロディを口ずさみながら、自然に全部聴いてしまうな。でもこれはあまりにも全曲素晴らしいからであって、別にコンセプトなんかなくっても全然構わないんだけどね。

Img_0704

一般的歴史的に美術は音楽より常に10年先を歩んでいると云われてきたようだが、音楽の強みはテクノロジーが大きな味方になっていること。つまり、キャンバスの大きさには限りがあるけれど、宿命的に「時間」を共有することができる音楽はその点で美術より圧倒的に優位性があるんですよ。
そのメリットを利用したひとつの完成型芸術がコンセプト・アルバムだと思うワケ。
いいですか?配信によって、言い換えると「1曲しか聴かない聴き方」が当たり前になると先の名盤もせっかくのそれらの芸術もすべて吹き飛ぶ可能性があるんですよ。恐ろしいとは思いませんか?

Img_0705

私はiPodの発明にはノーベル賞を授与すべきだと思っている。そして、私の160GBのiPodには20,000を優に超える曲が収納されていて、入りきらないので時々在庫整理をして曲を入れ替えている。さすがに2台持ち歩くのはイヤだからね。でも、1曲たりとも配信された曲は入ってはいない。

iPodはそうした配信システムの利便性と収益性を狙って開発されたことは百も承知だが、使い方によってはそのシステムを通じて音楽文化を脅かす凶器になるのではないか?これはあまりにもダイナマイトの発明と状況が似ている。

とにかく、フィジカル・プロダクツを死守し、「ジャケットをなくす」 などという愚行を犯さないこと願うしかない。

とはいえ、今はまだこうしてジャケットを楽しむことができる。Hipgnosisの素晴らしいデザインを今回もじっくりと眺めることにしよう。

いつもテキストは直下の写真の解説をしているが、今日はルールを変えて、展示棚の写真を入れてセクションごとに区切ることにした。テキストの中にある「上段の」とか「左から3番目」とかあるのはすでに上に出ている写真を指している。そして個々のジャケットの解説は写真より上に記してある。ややこしくてスミマセン!

では、Storm Thorgerson追悼、Music Jacket Gallery緊急Hipgnosis特集~ハード・ロック編、まいります。

今日もすべて植村和紀氏のコレクションだ。

Img_0711

UFOもHipgnosisのジャケット・デザインがもたらすヴィジュアル効果を最大限に利用して作品全体のクォリティをアップをすることに成功したグループのひとつだろう。上段全部と中段左から2つめまで。
Hipgnosisの作品を取り入れるようになったのはスタジオ3作目の『Phenomenon(現象)』からだが、丁度このアルバムからMichael Schenkerが参加して人気にも火がつき出したため余計Hipgnosisデザインの採用がUFOの成功に奏功した感触をうけるのではないか?

『Phenomenon』は実際に撮影された空飛ぶ円盤の写真にそれを撮影するカメラを手にする予定調和的な女性の写真他を合成し、思いっきりフィルムに着色を施したHipgnosisお得意の手法で作られているが、この不気味な雰囲気とメルヘンチックに着色された色調、それとそれらを配置する絶妙な構図がたまらない。
先に書いたようにHipgnosisがデザインを制作する際は、アーティストと意見を交換しアイデアを決めるワケだが、この『Phenomenon』などは一体どういうアイデアの交換があったのだろうか?
Phil Moggが「どうすんだよ、ジャケットよぅ、ヒプグノシスさんヨォ~」とドスの効いた声でせまるとStorm Thorgersonが「イエ、ヒプノシスです。「g」は発音しないんです。さて、こんなのどうでしょうか?こちらの円盤の写真を使ってですネ、すでにカメラを手にした女性がその円盤を撮影する準備をしている…という図式でございます」
すると、Philが「バッキャロー、何で円盤が飛んでくるのが事前にわかってんだよ~?」。すかさずストーム「イエイエ、この円盤こそがUFO…つまりあなた方です。要するに人々はもう円盤が飛んでくることがわかっている。すなわちUFOというバンドが成功を収めて大空を飛びまわるということを確信しているという暗示なんです」
「フフフ、やるじゃねーかヒプさんよ~。ヨッシャ、気に入った。それで行こう!」
するとMichaelが「ぼくはRudolf(Scorpions)の弟だから、これが本当の『空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ』だね!」
「うるせェ、あっち行って「出る単」でもやってろ!」とPhil。
…などという会話は絶対になかったであろうが、この『Phenomenon』をはじめUFOのHipgnosis作品はどうやってこんな意匠にしたのだろうというものばかりだった。

Phenomenon

スタジオ4作目の『Force It』も素敵だ。絡みあう男女。このふたり、よく見ると男と女が入れ替わっている風に見える。極端に色彩を強調した水道栓。こんがらがったホース。またしても完璧な構図。裏面の4人のライブ写真(こんな写真を私はお手本にしています)。もうこれだけで中身のよさは保証されたようなものだ。

その通り!この中身ときたら!1曲目「Let It Roll」のフィードバックだけで鳥肌だらけになってしまう。ああ、この曲を生まれて初めて聴いた時の衝撃ったらなかった!まったくロック・ギターのカッコよさがすべて詰まったかの曲だよね。間奏のこの演歌はナンダ?後半のボーjカルは天童よしみが出てくるのか?老若男女を問わずコレに感銘を受けないロック・リスナーが日本にいるとは思えない。

「Let It Roll」以外も名曲ぞろいだ。ああ~、まだ「Let It Roll」を聴いたことがない人が本当にうらやましい!

今の若い方々は実は幸せなんだよね。だって、こういう究極的にカッコいいロックを知らなくてこれから楽しむことができるんだゼ!イヤミに聴こえるかもしれないけど事実なのですよ。古い臭いなんてことは全くない。「いいものをいい」と思う感性もしくはDNAは誰もが平等に持ち合わせているんですよ。ならば聴かなきゃソンソン!!

Force

UFOの曲の魅力は何といってもカッコいいリフだよね。これにガッチリと乗り切るPhilの歌。こういうロックが今まったく聴かれなくなっちゃたことは本当に寂しい。カッコいいリフを作るのは本当に難しいからね。UFOこそ若いミュージシャンに聴いてもらって、かれらの若い感性でロックの魅力を取り戻してもらいたい教科書的なバンドだ。

それからこの記事を書くにあたって痛感したのは録音のこと。この時代の録音は今のよくいえばゴージャスな音に比べればスッカスカに聴こえるかもしれない。でもそのドンシャリドンシャリした長時間聴くに堪えない、いかにも化学調味料テンコ盛りの音よりもこの頃の録音、素材の味、つまり奏者の技量や楽器本来の音質を活かした録音を見直す時がとうとう来たのではないだろうか?

あるベテランのギタリストがおっしゃっていたが「最近若いギタリストと話しをしていて驚いたことがあったんや。(オ、関西弁だ!) その子、「Led Zeppelinのサウンド、もしくは録音がスッカスカや」言いよんねん。おかしいと思いまへんか~?」
私の返答は「そりゃおかしいわ~!ジョン・ボーナムのドラミングがスッカスカと言ってるように聴こえますねん(ホンマは標準語なんやねんけどな…)」 ま、これ以上は止めときましょう。
録音は確かに大事ですねん、ホンマ。

もちろん音楽と録音と楽器の音はそれぞれ相互干渉しあうことはわかっているが、今巷間で見かける2音半下げとかで激歪みで演奏しているロックをこの時代の手法で録音したどうなるのだろうか?少し興味があるな。
UFOで言いたいことはまだまだある。(でもあと3つにしとくね!)だって高校の時コピーバンドやってたんだもん。思い入れも大きいのサ!
そんな大好きだったUFO、1979年に来日して中野サンプラザの前から2列目の席をゲット。最高によろこんだのもつかの間、Michael Schenkerが来日せずPaul Chapmanが代役。ガックシ…でもUFOのもうひとつの看板Phil Moggはいるワケだし、全曲知ってるし、コンサート自体はとても楽しんだのだった。

2010年にもロンドンでUFOを観た。その時もギターはSchenkerではなくVinnie Mooreだった。
ところで、UFO最大の魅力、Michaelは当然のごとくマーシャルの愛用者。JCM800の50W、2チャンネルモデル2205を長年愛用している。シェンカー・サウンドのヒミツのひとつはこの50Wに隠されているのだろう。

今回この記事を書くにあたってUFOの作品を片っ端から聴き返してみると、夥しい数の日本人ギタリストがMichaelの影響を受けていることがよくわかる。フレーズといい、音質といい、アーティキュレーションといい何とフォロワーの多いことよ。大変よろこばしいことだ。
どうだろう、日本ギター界に影響を与えたギタリストトップ3といえば
1.Ritchie Blackmore
2.Michael Schenker
3.Randy Rhoads
と見ているがどうだろう?英、独(ほぼ英)、英に影響を受けた米…間違いなくすべてブリティッシュロックに薫陶を受けたスタイリストたちと考えていいだろう。やっぱりイギリスからギターヒーローが出てくれないとロックはダメなのですよ!

そこへいくと今のイギリスのギター界は真っ暗だ!これがホントの「Lights out in London」!

Lights

中段右端はMontroseのラスト・アルバム『Jump on It』。Sammy Hagarはもういない。この時代、アメリカのバンドでHipgnosis作品の採用は比較的珍しい。Montroseも内容の割にはジャケットが粗悪なバンドのひとつだった。『Montrose』、『Paper Money』、『Warner Brothers~』どれもダサい…。でも4作目にして何故かHipgnosisが担当。これもお得意の「身体の一部切り取り」手法だ。そしてタイトルが『Jump on It』!ク~!

ブリティッシュ・ロックのいいところを吸収したアメリカン・ロック然としたサウンドはなかなかにカッコよかった。しかし、ある日、Ronnie Montroseはマーシャルを使っていないとの情報をSHARAさんか得て少し興ざめした。マーシャルでやれよ、そういう曲は!でも、好き。

Montrose

下段左から2番目のゲイトフォールドはArgentの『In Deep』。KISSで有名になった「God Gave Rock 'n' Roll to You」はこの『In Deep』に収録されている。

Argentも大好きなバンド。2010年、ロンドンで観ることができて本当に幸せだった。
そういえば、MR.BIGはArgentの代表曲のひとつ「Hold Your Head Up」を演っていて、果たしてこの曲は誰の趣味なのか?と思いPaulに直接訊いてみた。すると、Paulは「僕だよ」と言ってこの曲の有名なリフを弾いてくれた。その時、ますますPaulが好きになった。

Deep

Hipgnosisはこの他のArgent作品としてセカンドアルバム『Ring of Hands』を手掛けている。双方これもお得意の「水」ものだ。

Argent

下段右端はおなじみMichael Schemker Groupですな。実は私、まったく通ってないのです。私のMichaelはUFOなのです。
この写真は合成ですな?これだけ明暗の差が大きいと明るい部分が白く飛んでしまうか、暗い部分が真っ黒につぶれてしまうので厄介なんだよね。スミマセン、コメントこれだけ…。

Msg

次のセクションへ移る。
Img_0713

上段左から4枚はAynsley Dunbar's Retaliation。イギリス発で世界でというかアメリカでもその名を轟かせたドラマーで、思い浮かべる名前は何といってもSimon PhilipsとこのAynsley Dunbarだろう。

コイントスで負けてJimi Hedrix Experienceのドラマーの座がMitch Mitchelに行ったのは有名な話。

John Mayall、Jeff Beck、David Bowie、Lou Reed、Journey、Jefferson、 Starship、Whitesnake、UFO等、と想像を絶するような豪華なキャリアを誇る人だが、私がこの名前を知ったのはFrank Zappaの『Filmore East, June 1971』。「Little House I Used to Live in」という曲で、ボーカルのMark Volmanがドラムのピックアップで「Aynsley Dunbar!!!」と絶叫しているのを聴いてだった。

ちなみにそのAynsleyが参加したアルバムは私が初めて買ったZappaの作品なのだが、中学生だった私は大枚はたいて買ったことを正直後悔した。ワケわからんし、セリフばっかりだし…ナンダ?一体「ま~、シャッシャッ・シャ~ク」って?…でも聴きこむにつれて段々おもしろくなって…あれが長い長いZappa道の第一歩となろうとはあの時想像もしなかったな。その後、このアルバムはCDやら紙ジャケとなり、ナンダカンダで5枚ほど手元にあろうか。その中にはUSオリジナル盤も含まれている。

私は決して各国盤を集めたりはしないし、オリジナル盤至上主義でもまったくない。そんな財力も根気もなく、とにかくいろんなものを生きてるうち聴きたいと願ってる派なのだ。でも、このZappaのアルバムのUSオリジナル盤を持っているのには理由があって、今から20年以上前に京都の河原町付近の路地を歩いていて見つけたのが、どう軽く見積もっても戦前よりはるか昔に建てられたと見受けられる民家。いいですか、想像してくださいよ~。
もちろん街の中心とはいえ京都にあっては古い家はまったく珍しくも何ともないが、驚いたのはその古い古い民家が中古レコード屋だったのだ。当然入ル。

ここで入らなきゃ「音楽バカ」の名がすたる。ガラスの引き戸をガラガラと開けると、予想通りというか期待通りヨッボヨボのお婆さんが出てきた。あの頃はLPからCDへの移行が猛烈なスピードで進んでいたが、CDなんて1枚も見当たらない。
ここから先は、この古い闘技場でお婆さんとの一騎打ちとなる。『ドラゴンへの道』よろしくコロッセオでチャック・ノリスと対峙するブルース・リーの気分だ。残念ながらノラ・ミャオはいない。

「コリャ、いよいよ何か買わないととても帰れないゾ」と覚悟を決めて小さなエサ箱を探る。もうどんなものが入っていたかは覚えていないがロクなもんはなかったハズ。そして出て来たのが『Filmore East』!これこそ、「はきだめに鶴」、「地獄に仏」!ジーっと私を見つめるお婆さんを横目で見ながらレーベルを確認するとBIZARREのブルー。¥1,500。「これ買って帰らしてもらおう…」と決心をして袋に入れてもらった。ナ、ナ、ナントその入れ物はのりで貼り合わせて作った新聞紙の袋だった!完全に手づくり。餅米かなんか煮て作ったノリで張り合わせたんだね。最後まで期待を裏切らなかったナァ~、あのお店。袋、取っておけばヨカッタ!(このZappaの作品のデザインはCal Schenkel)

Filmore_3
さて、Aynsleyはその壮絶なドラミングで70年代前半のZappa作品で大いに活躍した。このRetaliationは残念ながら聴いたことがない。というのもこの後の『Blue Whale』というアルバムがZappaの名曲「Willie the Pimp」を演奏しているのにもかかわらず存外に退屈だったため、Retaliationには手を伸ばさなかった。
ジャケットもまだ68~70年の作品とあって、まだあまりHipgnosisさが出ていない感があるね。

Aynsley

「上陸許可が下りた、血気盛んでワイルドな水兵達のダークで秘密めいたパーティ」という凄まじいキャッチがくっついていたのが中段左から2番目のSailor。何かこんなキャッチを読むと体中の毛が逆立つような爆音のデス・メタルの軍団がやって来たのかと想像してしまうが、Sailorの音楽はメタルとは無縁のエキゾチックなポップ・ミュージック。

Roxy Musicが好きだった私はこのバンドにナゼか毒のないBryan Ferry臭を感じ、セカンド・アルバムの『Trouble』をよく聴いた。大分時間が経ってから発表されたライブ『Live in Berlin』もよかった。ここにあるサード・アルバム『The Third Step』は残念ながら聴いたことがないが、このジャケット・デザインがかなり素敵だ。今度見つけたら買ってみよう。胸を張ってジャケ買いしよう。

Sailor

日本では知られていないが海外では超人気というアーティストがよくいるものだ。Status Quoはその筆頭かも。イギリスでは泣く子も黙るような国民的バンド。白いマーシャルのフルスタックの壁を背に1967年から今でも全英中を沸かせて歩いている。現に昨年もO2アリーナ(!)でのコンサートの告知ポスターを見て腰を抜かした。

1976年にグラスゴーで録音されたライブ・アルバム。持っていたんだけどかなり昔に手放してしまったので内容は記憶にないナァ…。ありきたりだけど『Pile Driver』はいまだに聴いている。ま、とにかくブギですよ。ザッカザッカザッカザッカって。日本では永遠に人気でないだろうナァ。

Quo

下段右端はRory Gallagher。マーシャル使いではない。それを気にするほど入れ上げたこともないんだ。何故か彼の歌が苦手で…。それでも代表作は持ってるな…やっぱり好きなのかな?この1971年のソロのファースト・アルバムのジャケットがHipgnosisの作だとは知らなかった。イイねェ~、このやや下目にレイアウトされたハーフシャドウの写真!Hipgnosisにしてはシンプルの極致といえよう。Roryらしい飾り気のないシンプルな内容でこれは好き。1977年の来日公演、行けばよかったナ。その頃は「ロリー・ギャラグハー」なんて表記されてたりしたっけ。

Rory2

まだまだ続く名盤の数々!
Img_0714

ハイ、次はMarshallバンド。スミマセン、Bad Companyもひと通りサラっとしか聴いていません!Mick Ralphsがあまりギター・ヒーローって感じではなかったからかな?でもこのバンドはずっとHipgnosisなんだよね。だからジャケットはとてもいい。
10年ぐらい前にロスのギターセンターに行った時にMick Ralphsが所有していた58年だか59年のレスポールが売り物として壁にかかっていた。確か値段は7万ドルぐらいだった。店員に冗談で「ミックは生活に困って売りに出したのか?」と訊いたところ真顔で「そうだよ」と答えた。海外のミュージシャンはひと山当てた時に楽器を買って将来困った時に備えるという話しを聞いたことがあったが、ホントなんだなと思った。

Paul Rogersとマーシャルの関係は深く、2002年に開催されたマーシャルの創立40周年記念パーティの際にはPaulから祝辞が寄せられていた。本人が出席して欲しかったが、あの時はIron Maidenのメンバーと当時Bad CompanyのメンバーだったDave "Bucket" Colwellなんかが出席していたっけ。

さて、このBucketには驚いたことがあった(すぐ驚いちゃうんです、私)。Marshallの工場があるMilton Keynesには大きなショッピング・モールがあって、その中にイギリスでは老舗の楽器チェーン店が入っている。Marshallに行くと時々その楽器屋をのぞくのだが、ある時お店の中を見ていたら「May I help you?」と店員が声をかけてきた。「No thank you.  I'm just looking」とトラベル英語の本の最初のページに出てきそうな定型文を口にしてその店員の顔を見てビックリ!

時のBad Companyのギタリスト、Dave "Bucket" Colwellだったのだ!お互いの次のセリフは当然「What brings you here?!(ナンデここにいんのよ?!)」。この文章はよく英会話の本で見かけるけど、まずは使うことのない文章だよね?でもとうとう使ったのだ!しかもBad Companyのギタリストを相手に!
音楽活動をしていない時にはちょくちょくアルバイトをしていたのだそうだ。この数年後、Bad Companyは再結成してBucketも全米ツアーに参加していた。
ジャケットに関して言えば、バンド名だけを配したファースト・アルバムが一番カッコいいね。

Bad
中段左端はHumble Pieの『Thunderbox』。真ん中が鍵穴の形にくり抜いてあって、お風呂に入ろうとして服を脱いでいるカワイコちゃんがのぞけるようになっている。この写真が完全にデヴィッド・ハミルトン風でHipgnosisではかなり意外な印象を受ける。また、その構図が秀逸!

Humble Pieは1973年に来日しており、東京では新宿厚生年金と渋谷公会堂で演奏した。前座がコスモス・ファクトリーだった。行きたかったナ。Clem Clempsonは数年前に来日したColosseumで観た。Steve Marriottの声を生で聴いてみたかった。山本恭司さんはロンドンのパブでMarriottが歌っているの観たとおっしゃってた、実にうらやましい!

この人、焼死したんだよね。Steve MarriottはPeter Framptonとのニューアルバムを録音しにアメリカに行った帰り、飛行機の中でしこたま酒を飲み奥さんと喧嘩をしてしまった。イギリスに着いてそのまま自分たちの家に帰ればいいものを、共通の友達の家へ寄った。そこでもスティーヴはまた酒を飲み、明け方また奥さんと言い合いになった。奥さんはその後寝ついた。いわゆるフテ寝だ。が、スティーブはタクシーを呼んで奥さんを置いてひとりで自分の家に帰ってしまった。これがマズかった!
そしてその朝、6:30頃バイクに乗って通りかかった人がスティーヴの家の屋根から炎が上がっているのを発見し、あわてて消防団を呼んだ。それは消防車を4台も必要とするような大火災となった。スティーヴはその中にいた。それがこのModsの象徴、天才シンガーの最後だった。

Humble

Scorpionsは『Virgin Killer』やら『Tokyo Tapes』やら『Taken by Force』やらエロ系、宗教系、ジャケットのトラブルが続いたのは気の毒だった。意匠自体はまったくイケているのに西欧的倫理観でヤラれてしまった。おまけに『Fly to the Rainbow』のイラストはカッコ悪いし…。前半はでジャケットで損をしていたバンドのひとつだった。
今聴いても実によろしいですな。わかりやすくて聴きやすい。それでいてテクニカル。これはUli Jon Rothがいた頃の話し。私にとってのScorpionsはUli時代を指すのだが、もちろんUli脱退後のScorpionsも大成功を収め世界的なバンドとしてロック界に君臨し続けている。Paul Gilbertもサウンド・チェックの時には必ず「Black Out」を弾くと言っていた。
でも、ドイツ人の友達に言わせると「古すぎる!」らしい。ま、フリージャズを平気で受け入れ、ジャーマン・プログレを生みだす進取の気性に富むドイツ人のことだからそんなことを言うのだろう。
というワケでUli脱退後のScorpionsは下段右から2枚目の『Love Drive』までしか聴かなかった。せっかくHipgnosisの作品(これもScorpionsの成功の証だと思う)なのに何というか、あまり趣味の良さが感じられなくて好みではなかった。きっとUliが参加していないので気に入らなかったんだろう。
そういえば1979年に2度目の来日を果たした時、中野サンプラザに観に行ってベースのFrancis Buchholz(ホルスト・ブッフホルツ)のピックを拾ったがどっか行っちゃったナ。普通の三角のピックだった。

Drive

次のセクション。
Img_0716

下段左端はNazareth。好きだった~。もちろん1979年に来日した時は渋谷公会堂へ観に行った。大好きだっただけにメチャクチャよかった。曲もいいし、ボーカルのDan McCaffertyのボーカルも断トツに素晴らしい。でも、このバンドに対する日本での認識度は驚くほど二分されているようだ。現に島ノンちゃんも「『Love Hurts(Nazareth最大のもしくはほとんど唯一のヒット曲)』以外は1曲も知らん」と言っていたぐらいだから…あの歩くハードロック事典の島紀史がですゾ!
でもわかるような気がするんだよね。日本でのNazarethをこうしてB級止まりにしているのはギターのManny Charltonのせいのような気がする。バンドの中心メンバーではあるのだが、あまりにもギター・ヒーロー然としておらず、そこが日本のロック・キッズを惹きつけなかったのではないかと私は睨んでいる。12枚目のアルバム『No Mean City』に元The Sensational Alex Harvey Bandの"Crazy" Zal Cleminsonを迎え入れたのはその証左ではなかろうか?Zalをスターにしてもうひと山当てようとしていたのでは?ところがThe Sensational Alex Harvey Bandも日本ではマイナーの部類であり、どうも効果が薄かったような気がする。私はThe Sensational Alex Harvey Bandが猛烈に好きですけどね。
余談だけど、数年前にIron Maidenの初代ボーカルPaul Di'Annoが来日した際、The Sensational Alex Harvey Bandの代表曲「Faith Healer」を演奏していた。スゴ腕日本人ミュージシャンがバックを務めたのだが、彼らにこの曲について尋ねるとみんなPaulのオリジナルと思っていたようだ。
さて、Nazareth。もちろんいかにもブリティッシュ・ハード・ロックらしいオリジナル曲がカッコいいのだが、時折取り入れるカバー曲のセンスがまたいいんだな。
例えばRy CooderもカバーしたWoody Guthrieの「Vigilante Man(自警団員)」とかThe Yardbirdsの「Shapes of Things」とかClaptonが取り入れて有名になったJJ Caleの「Cocaine(これはあの時の渋谷公会堂でも演った。最後の「コケーン」というところをお客さんに歌わせたことで覚えてる!)」とか、ZZ TOPの「Tush」とか…。でも極めつけは4枚目の『Loud 'n' Proud』に収録されているJoni Mitchelの「This Flight Tonight(『Blue』収録)」だろう。Joniのあの曲がこんなカッコいいハードロックになるなんて誰も考えないよ、普通。しかもたった4小節だけロックンロール風にアレンジしているところなんて鳥肌ものだ。
もうひとつ彼らが日本でパッとしなかったというかB級たらしめていた要因はジャケットではないか?内容の割にはあまりにもジャケットが安易だったと思うよ。電力会社の広告のような『Razamanaz』、鳥類図鑑のような『Loud 'n' Proud』、中華料理屋の看板のような『Rampant』、特段カッコいいとは思えないイラスト(きっと有名な人が描いてるんだろうねェ)の『Hair of the Dog(これって「向かい酒」っていう意味)』、『Except No Mercy』、『No Mean City』等など。恐ろしく一貫性がない。
意外にもHipgnosisにお願いしてデザインしてもらったていたのが下段左端の『Close Enough for Rock 'n' Roll』。人気ミュージシャンが乗った車に群がる追っかけファンという設定なんだろうが、残念ながらこれもイマイチだった。
Nazarethは現在も活動している。聴いたことがない人には70年代のアルバムを何か是非聴いてもらってロック・ボーカルの魅力を再認識してもらいたいものだ。
ちなみに昔の写真を見るとManny Charltonは1959を使用しているようだ。

Nazareth

上段左から2番目は『Caravan to Midnight』。Robin Trowerだ。

Robinはソロ・デビュー後最初の数枚は何と言うか無機質なオブジェみたいなFunky Paulという人のデザインのジャケットが続いていた。別段あれがいいと思ったことはないけれど、あのシリーズのあのデザインははすごくRobin Trowerのイメージになっちゃっているからジャケットは恐ろしい…。

Sigh

そしてこのソロ7作目がHipgnosisとなった。タイポグラフィと言っていいのかレタリングだけのデザインがスッキリしてカッコいいね。

ところで、昔の盤のクレジットを見ると「Robin Trower is : Reg Isidore (Drums)  James Dewar (Bass and Vocal)  Robin Trower (Guitar)」ってなっているけど、もしかして「Robin Trower」ってバンド名として扱っていた時期があったのかしらん?Alice Cooperみたいに。このJames Dewarの声が男性的ですこぶるイイんだよね。曲の良さも相まって本当にいいバンドだった。でも1977年の来日公演は見逃した。サンプラ3デイズだったんだゼ。ステッカーも配られていたのに…。
SHARAさんもRobin Trowerのファンでサ、いつかEarthshakerのライブで音出しのチェックの時、チラリと「Little Bit of Sympathy」を私のために弾いてくれた。
RobinもJimi HendrixのフォロワーだけあってガチガチのMarshallプレイヤーだ。そして、私はそれを誇りに思うね。この人、すべての弦のチューニングを全音下げているんだって?知ってた?昔から1959の人だけど、VintageModernも使っていた。

Robin

そう、Rainbowも後半はHipgnosisだったんだね。『Difficult to Care』。ちなみにこのアルバムの1曲目の「I Surrender」はさっき出てきたArgentのRuss Ballardの作品。「Since You Been Gone」もそうだ。

1976年、生まれて初めて行った外タレのコンサートがBlackmore's Rainbowだった。もう何回かマーブロでこの辺りのことは書いているんで今回は割愛。でもLukeさんも行ってたんだって。中段左からの3枚が該当するんだけど、デザインはチョット…。この頃(1981~1982年)になるとHipgnosisのクリエイティビティにも翳りが見えて来ているような…実際この後、1983年にHipgnosisは解散してしまうのだからこの見方はあながち見当違いでもあるまい。

Care

大御所もHipgnosis。

Img_0703

記憶違いだったのが上段左端のPaulの『Wings Over Ameria』。何がって、このライブ・アルバム、3枚組なのに普通のゲイトフォールド(ダブル・ジャケット)なんだよね。『Yessongs』とまではいかないまでも、もうちょっと豪華な装丁を望むのが人情ってもんでしょう、高いんだからレコードは…。Georgeだって『All Things Must Pass』の3枚が(2枚でもよかったような…)豪華な箱に入れられていたのに、天下のPaulのライブ・アルバムがただのゲイトフォールドだなんて…。

America

そこで。「しょうがないか…」と独りごちたのは、Todd Rundgrenの『Todd』。Todd全盛期のクレイジーぶりがいかんなく発揮された佳曲満載の名盤。しかし、『Todd』は2枚組にもかかわらず何とシングル・ジャケットだった。LP2枚を仕切る白い紙が入ってるだけ。理由はこのアルバムが制作された1973年当時、世界的な紙不足だったから。もし、見開きだったらToddはそこにどんなデザインを施したであろう。

ちなみにToddのセカンド・アルバム『Runt. The Ballad of Todd Rundgren』の内ジャケってRon Maelがデザインしているんだよね。Ron MaelはSparksのお兄ちゃんの方。そういえば初期のSparksのジャケットこそHipgnosisらしいような気もするがいかがなものだろう?で、勘違いというのはこのPaulの3枚組もその紙不足の時期に発表されたのでゲイトフォールドに倹約されたのかと思っていたが、このライブは1976年。全然時期が違っていた。
Todd
さて『Wings Over America』。さびしいゲイトフォールドながら飛行機のドテっ腹を大胆にあしらったデザインはなかなかにカッコいい。ただ、内ジャケが観光地のみやげもの屋で売っていそうなペナントのようなややチープめのイラストがいただけない。10ccの『How Dare You』みたいに内ジャケも凝ることができなかったのだろうか?それともどうしてもあのイラストを使わないといけない事情があったのかな?

そのかわりといっては何だが、ダスト・ジャケットがイカしてる。黒字に白い細い模様。これが6面。これは飛行機のハッチが開いて徐々に外の光がもれて来るところ。「いよいよWingsが到着したよ~!今夜はRock Showだよ~。ライトは赤に緑にストロベリー・ワインだよ~」というところか?クールなアイデアだ。

Us

アーティストの写真を使わないHipgnosisだが、さすがにクライアントがSir Paul McCartney(Queenのミュージカル『We Will Rock You』の中で誰かが「ポール・マッカートニー」の名を出すとすかさず「サー・ポール・マッカートニーって呼ばなきゃいけないんだよ!」というシーンがあって印象的だった)ともなると事情が異なるのか、『Wings at the Speed of Sound』を除いては『Band on the Run』以降、主人公がジャケットに登場している。

『London Town』までのジャケットはどれもステキ。この『London Town』の写真は合成だね。3人とTower Bridgeは別々に撮られたものでしょう。

London

上段左端『Band on the Run』はコメディアン、ボクシングの世界チャンピオン、コラムニスト、俳優等の有名人が写っているが、ジェームス・コバーンとクリストファー・リーしかわからんな。考えてみるとこれは『Sgt. Peppers』のPaul流焼き直しなのかね?このアルバムのクレジットをよく見てみると、Hipgnosisの名は出て来ず、Storm ThorgersonがSpecial Thanxとしてクレジットされている。
そのとなりの『London Town』にもHipgnosisのクレジットはなく、カバー・デザインと写真にはPaul, Linda and Dennyの名前があり、Aubrey Powellの名がCover Coordinationとしてクレジットされている。なぜHipgnosisの名前がこうも出ていないのだろう?

こうなりゃもっと調べてみよう!とウチの貧相なレコード棚からゾロゾロPaulのLPを引っ張り出して来た。
中段右から2番目の『Press to Play』。George Hurrellというハリウッドの写真家が実際に1930~40年代に使用されていた箱型カメラで撮影したという写真。うまく撮るよネェ~。ここにもHipgnosisの写真はない。

その左隣が冒頭で指摘したギターが写っているジャケット。

上段右端の『Tug of War』。写真はLindaでまたCover CoordinationとしてHipgnosisの名前が出ている。よかった。
『Wings at the Speed of Sound』、探したんだけど見当たらなかった。持ってたハズなんだけどな…。

そして、『Venus and Mars』。これは見紛うことなきドHipgnosis。いいね~。これにはポスターもついていて、下のようなインナージャケットにLPが包まれていた。いいね~。

ちなみにこのアルバムの「Rock Show」という曲には「behind the stacks you glimse an axe」という一節が出てくるが、この「the stacks」というのは間違いなくMarshallのことだろう。「an axe」というのはギターのこと。ここではベースかな?「axe(斧)」という意味だが、広く楽器のことを指すスラングのようで、Charlie Parkerの伝記『バードは生きている(Bird Lives)』の中でParkerがそばにいた人に「ちょっとオレのアックスを取ってくれないか?」というシーンが出てくる。

Paulの歌は、Marshallの壁の隙間からお気に入りのミュージシャンの愛器が見え隠れして否が応でもショウの前の興奮が高まる…という意味だ。

本当にコンサート開始直前とテンションというのはいいものだ。客電が落ちた瞬間の割れんばかりの歓声。私はいつもこの歓声を聴いてから耳栓をすることにしている。耳栓をするのは、写真を撮っているとどうしてもPAスピーカーに前に立たなければならないことも多いため耳の防護をするためだ。

また、プレスピットの入っていると1960のヌケのいい音が耳を直撃するからね。いくら自社の製品でも身体を悪くしちゃ意味がない。酒の会社で働いているからといって朝から晩まで飲んでたら内蔵をコワしちゃうのと同じ。

Vm

そして、これはしおりかな?ステッカーもおまけに入っていた。この黄色と赤の玉が金星と火星を表しているんだろうけど、そもそも何で金星と火星なんだろう?…と今さら不思議に思って調べてみたんだけど、違ってたらゴメンね。ボッティチェルリっていう15世紀のイタリアの画家がいるでしょう?あの有名な『ヴィーナスの誕生』を描いた人。会ったことないけど。この人の作品に『Venus and Mars』っていうのがあるんだって。そしてそれは「美と勇気」を表しているんだそうな。あるいは「女性と男性」という意味にもなるそう。Paulが込めた隠喩がこれなのかな?エ、ゼンゼン関係ない?ま、一応マーブロ豆知識ということで…。
Vm2

アツアツのポールとリンダの右となりはElton Johnのスタジオ録音9作目の『Captin Fantastic and the Brown Dirt Cowboy 』。1975年、Regi初の全米ナンバーワン獲得アルバムで7週間その座をキープした。(『Goodbye Yellow Brick Road(1973)』がとっくに1位になっていたのかと思ってた)
RegiというのはElton John、イヤSir Elton Johnの本名Reginald Kenneth Dwightのあだ名。ちょっと年配のイギリスの音楽ファンはエルトン・ジョンを「レジ」と呼んだりするようだ。というのもMarshallのおエライさんと会食をしている時、「どのミュージシャンが好きか」という話しになって、出るわ出るわ「あたし、ロッド!」とか「オレはなんと言ってもツェッペリンだね」とか…普通のオジサン、オバサンたちですよ。こういう瞬間に「ああ、イギリスだナァ~」とウットリしてしまう。するとそのうちのひとりが「あたしはレジ!」とお気に入りのミュージシャンの名前を言った人がいた。私はたまたま「レジ・ドワイト」が誰かを知っていたので間髪入れずレジの曲名を羅列して喜ばれた。言い換えるとイギリスでは特にマニアの人でなくてもElton Johnの本名を知っているということ。
ナゼ彼がElton Johnという芸名にしたかということには興味がなさそうだった。さすがのイギリス人もElton DeanやLong John Baldryともなると聞いたことがない名前のようだった。

シンガーソングライターのせいか、Elton John作品のジャケットは本人が登場しているものが多いといえよう。で、『Captain Fantastic』はEltonを思いっきりコミカルにデフォルメしたイラストで見応えがあるが、Art DirectionとしてDavid Larkhamという人とEltonの恋女房、Bernie Taupinの名がクレジットされている。そしてこのカラフルな素晴らしいイラストはAlan Aldridgeというイラストレーターの作品。この人は有名なPenguin Booksの表紙を多く手がけ、The BeatlesやApple Recordのグラフィック・デザインにも関わっていた。アレレ、どこにもHipgnosisの名前がクレジットされていないゾ…。と植村さんに確認すると、クレジットはされていないもののDirectionで協力したらしいという話しだ。さすが、植村さん!

 
ところで、今さらながら何の解説も必要ないと思うが、ヤケクソに多くの名曲を送り出したElton John。『Blue Moves』あたりまでは凄まじいまでの才能の発散だと思う。この人、どうやって曲を作っていたかというと、相棒のBernie Taupinが詩を書いて、夜中Eltonが寝ている間にピアノのところにおいて置く。翌朝、Eltonがどれどれとその詩を見ながらピアノを弾いてメロディを口ずさむ。フフフンと。すると、もうあれらの名曲ができちゃったらしいのだ。そのかわりチョコチョコっとやってうまくいかない詩は何の未練もなく片っ端からボツにしたらしい。
このことからわかるように、全曲ではないにしろElton Johnの曲は詩にメロディが乗って出来上がっているワケ。だから、Elton Johnの曲は歌いにくい…と私は思う。つまりメロディの大筋はもちろん変わらないが、歌詞に合わせて1番と2番の譜割りが著しく異なったり、ヘンなところで切れたりするためだ。あれはかなり英語ができる人か曲を知っている人じゃないと絶対にスラスラ歌えないと思うね。
その正反対がThe Beatles。歌詞が恐ろしくリズミックにメロディに乗ってる。だからメロディを知ってさえすれば、初めて歌詞カードをみただけでほぼ正確に歌えちゃう。多分、英語圏の人たちにはこのあたりがものすごく気持ちいいのではないかと私は思っていて、そのあたりもThe Beatlesのスゴさだと思う。偉そうなことはいえないが、英語を勉強すればするほどこれがわかってきた。やっぱりその国の歌はその国の言葉で歌うとが一番なんだね。こういうこともあって最近の洋楽離れが顕著なのかな?でもロックはどこまでいっても欧米の文化だからね。このことも忘れてはなるまい。

あ、このイラストにも楽器が出てるね。でもHipgnosisメインじゃないから…。

Captain

このセクションは何と言ってもWishbone Ashか…。
Img_0717

上段は左から2番目から右端、中段は左から2番目を除いて、さらに下段では左から2番目までがWishbone Ash。徹底してHipgnosisのデザインを利用したグループだ。Wishbone Ashは「世界一美しい音を出すロック・バンド」と言われたが、Hipgnosisもショッキングなデザインを提供していないのはその評判を聞いてのことかな?
Wishbone Ash好きでしてね。高校の時よくコピーして演奏してた。それだけにマーブロでも何回か取り上げてきた。Marshall使わないのにね!

Black SbbathとHipgnosisの組み合わせは意外だよね。Sabbathといえば『Sabbath Bloody Sabbath』とかキーフの『Black Sabbath』のようなおっかないイメージが強いもんね。

下段右から2番目の『Thechnical Ecstacy』も奇抜なデザインだと思う。エスカレーターですれ違うロボットが光線出し合って戦っている図なんて誰が考え付くというのだろう?このロボットはイラストレーターがデザインしたものだが、実際にこのロボットを描いたのはイラストレーターではなかったらしい。写真っぽい雰囲気を出したかったということだ。エスカレーターはイラストっぽいけど写真素材なのだそうだ。
イラストと写真の中間のようなタッチもHipgnosisの得意とするところだろう。

Tech

下段右端もBlack Sabbathの『Never Say Die!』だ。ナンカわからないんだけど、このジャケを見るとJoan Baezを思い出しちゃうんだよね。
私はBlack Sabbathはあまり得意とするところではないが、2010年にロンドンで観たHeaven & HellのTony Iommiは強烈だった。

Never

さかのぼって上段左はDef Leppardの『High 'n' Dry』。聴いたことありません、スミマセン。1981年の作品。っていうとHipgnosisの最後期に近い。でもすごくHipgnosis臭を感じますナ。何というか新旧のHipgnosisのエッセンスを強引に組み合わせたような…。

Def

ここも色んなのがあるな~。

Img_0718

上段左から2番目はPeter Framptonのソロ3作目の『Somethin's Happening』。久しく聴いていないけど、コレ結構いいんだよね。ジャケットはお得意の「水」ものだ。「水もしたたるいい男」ってとこか?PeterもMarshallのカタログに載る位Marshallの人だ。ジムと仲がよかったらしい。

このアルバム発表の2年後、Peterは2枚組のライブ・アルバムをリリースする。それがアメリカだけでも600万セットを売り、結果、世界でも最も売れたライブ・アルバムとなった。言わずと知れた『Frampton Comes Arrive』だ。Peterはこのことを少しでも予想していたのだろうか?Hipgnosisも「しまった!」と思ったに違いないだろう。『Comes Arrive』のジャケットはHipgnosisの作ではない。

このジャケットには表1に使われた写真の前後の写真が掲載されていて、思い切りシャッター速度を速くして連写で撮ったことがわかる。ものすごくうまく撮ったよね。ま、やり直しは何回かあったのかもしれないけど、その都度服を着替えて、髪を乾かして…結構面倒だったんじゃないかな?

Frampton
中段真ん中の馬のデザインは一時Bernie Marsdenが在籍していたことで知られるBabe Ruthの2作目の『Amar Caballero』。まずバンドの名前がチョット…。日本だったら「長嶋茂雄」か「王貞治」というバンド名になるか。でも、逆光で撮って黒ツブレにした馬を絶妙なレイアウトであしらった。すてきなデザインだと思う。

Babe2_3

さて、このバンド、何とも言えない味わいがあって、悪く言えばすべてが中途半端というか何をやっても盛り上がらないし、何も残らない感じ。3作目まで活動の中心となったAlan ShacklockというギタリストとボーカルのJennie Haanの2枚看板というスタイル。
何故かファーストアルバム(それでも1972年、Abbey Road Studioで録音してる)ではZappaの「King Kong」をまんまカバーしていたりするインストも盛んなバンドなのだが、何せ盛り上がらない。このギターの人、ジャズを勉強していることは明らかなんだろうけど、薄味でアドリブで聴かせ通すほどの力量はない。変にスパニッシュ・フレイバー(一般的にはこれがこのバンドの持ち味とされている)を取り入れたりしちゃってこの辺りもテイストを中途半端にしてしまっていると思う。
それに加えてボーカルのJennie嬢がまた凄まじい。ジャニス・フォロワーのつもりなのかな?度胸をキメて張り上げる金切り声がいかにも聴いてて辛い…。さらに、ストリングス、ホーンと贅沢に色んな楽器を放り込んでいるのだが、アレンジがまったくまとまっておらず聴いていて目が回ってしまう。どうだろうか?これだけ書くと聴いてみたくなるでしょう?不思議なバンドであることは間違いない。1973年当時、イギリスの若者はコレを聴いてどう感じたんだろう?

こちらはファースト・アルバム。これはHipgnosisではなくてYesやGreenslade、Uriah Heep等の名作のジャケット・デザインでおなじみのOrger Deanの作品だ。

Babe1
AC/DCもHipgnosisがあったんだね~、知らなかった!下段左端の『Dirty Deed Done Dirt Cheap』。「いともたやすく行われるエゲツない行為」…『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるスタンドの名前。略してD4C…ってナンノコッチャ!(下の子に教わりました)

『Dirty Deed Done Dirt Cheap』の本当の意味は「人のイヤがる仕事ほど報酬が少ない」という意味。
Ac

そしてLed Zeppelin。
Img_0720

出ました御大、Led Zeppelin。どれもがあまりにも有名なデザイン。上段全部と中段左端。考えてみるとこのバンドもメンバーがジャケット表1に登場しないバンドだった。『II』と『III』の小窓ぐらい?でも『III』はクルクル回る中の盤を留める鋲がとなりのレコード・ジャケットを傷つけやしないかと心配させられたゾ。そういう意味ではストーンズのアレも迷惑だ。でもいいよね今の人たちはこんな心配しなくて…だってジャケットないんだもん。
さて、ツェッペリン。『Presence』はStorm Thorgerson自身のベスト5に数えられるそうだ。確かにこの黒いヤーツ、若いころ「一体なんだ?」ってみんなで語り合ったっけ。これとまったく同じ位置にあったのがキューブリックの『2001年宇宙の旅』のモノリスとかいうヤーツ。何だろね、こういうの?んあことはお構いなしに「For Your Life」が好きだった。

Presence

『Houses of the Holly』は徹底的に写真に色を被せて絵のイメージにしたかったらしい。これもお得意のパターン。で、正反対は『Coda』。珍しくタイポグラフィのみ。
Holy

Pretty Thingsも本国イギリスではトップ・バンドのひとつに数えられるが、日本ではまったくダメでしょう。『S.F.Sorrow』なんて名盤扱いの作品も残しているが、人の口に上ったのを聞いたことがない。

『Silk Torpedo』…「絹の魚雷」か。シャレてるな~。これを見るといつもジョン・ヒューストンの『アフリカの女王』を思い出す。大戦で著しい戦果を挙げた軍艦の名前か何かと思ってちょと調べてみたがわからなかった。

Silk

『Savage Eye』。身体パーツ・アップの極地的なデザイン。Hipgnosisの真骨頂だ。双方最高に素敵なデザインだ。でもね、内容はあまりおもしろくないの…。どうもPretty THingsって受け付けないんだよな~。

Eye

下段左から2番目はClimax Chicago Blues Bandの『Tightlly Knit』。「Chicago」とか言ってるけどこのバンドはスタッフォード出身のイギリスのバンド。
Climax Chicagoとか名前を変えたりもしたが、1968年デビューで何と今でも活動している。1970年にはClimax Blues Bandと改名。ナントならばアメリカのChicago Transit Authorityというバンドからプレッシャーを受けたからとか…。で、Chicago Transit Authorityとは後のChicago。
このジャケットのデザインは、スキンヘッドのオッサンがソックス、つまりニットを口に入れている図で意味が「窮屈なニット」なんだけど、要するにニットがキツイくなるのが普通だけど、これはその反対をやっているところなんでしょう。ニットを口に入れてニット側が窮屈…という。これは完全に推測。何かもっと違う隠喩みたいなものがあるのかも知れませんな。でもこれもHipgnosisの中ではかなり有名な意匠でしょう。
ところでこのバンド、いいんだゼェ~。もちろんドロドロのブルースも演ってるけど、かなりバラエティに富んだレパートリーを持っていておもしろい。

Pete Haycockというギターが実に素晴らしい。この音はテレキャスターかな?ツルンツルンのクリーンで教科書的なブルースを弾いたかと思うとワケのわかんないハードなインスト曲を演ったりと実に芸達者。ジャケットは『Tightlly Knit』の方が全然いいけど、この2年後の1973年に発表した『FM Live』は聴き応え満点でっせ!

Chicago

いよいよ最後のセクション!

Img_0721

上段左端のSweetの『Desolation Boulevard』はヘタをするともっともHipgnosisらしくない作品かも。上述の通り、珍しいポートレイト型デザインだ。これどうしちゃったんだろうね。展示されているのはオリジナルのUKバージョン。USバージョンもデザインに大差はないが、上部のタイトルとバンド名のデザインが異なっていた。収録曲も違う。1974年、Sweeのt3枚目のアルバム。
前作『Sweet Funny Adams』がイギリスでゴールド・ディスクを獲得して勢いづいてた時なので「オレたちを全面にドンと出しちゃって!」なんてジャケット・デザインに対するリクエストがあったのかも知れないね。その甲斐あってか、「The Ballroom Blits」「A.C.D.C.」「Fox on the Run」等の代表曲を収録したこのアルバムはアメリカとカナダでゴールド・ディスクを獲得した。
この後、『Give Us a Wink』、『Off the Record』、『Level Headed』となかなかイカしたジャケットをまとった作品を発表したが、それらはHipgnosisの仕事ではない。特に後者2枚はオーディオ機器をテーマにしたアイデアが秀逸で、『Off the Record』は針がレコード盤の上を走るところなんだけど、下からトーンアームを見上げるデザインになっていて何ともカッコいい。『Level Headed(米盤)』はカセット・テープ・レコーダーのヘッドとピンチローラーを横から見て思いっきり拡大したイラストだ。しかし、今の若い人たちはそれらを見てもそれが何であるか判別できないのではなかろうか?

以前、大好きなThe Moveがイギリスではロック・バンドではなく、ポップ・バンド扱いされていたことをSteve Dawsonから聞かされて驚いた。そこで、もしや?と思い、Sweetが本国でどういう扱いをされていたかまたSteveに尋ねてみた。するとまたしても驚くべきメッセージが届けられた。ちょっと彼のメッセージをそのまま引用してみよう…

「あ~、Sweetね!実は俺が1985年にBrian Connollyの方のSweetのオーディションを受けたことがあるって信じられるかい?(この頃SweetはギターのAndy ScottのSweetとBrian ConnollyのSweetに分裂して再結成された。今のWishbone Ashみたいなもんですな。Brianの方はオリジナルメンバーが自分ひとりだった)Brianはアルコール依存症で退院したばかりで歌うことはおろかしゃべることもままならなかったんだ!髪はブロンドだったけどね。結局、仕事はもらえなかったけどそう気にはならなかったナ。」
「それから何年かして、私がThe Animalsにいたとき両方のSweetとプレイしたよ。特にドイツでね。AndyはThe Animalsの大ファンでとても私たちは仲良しになった。その頃、Brianの容態はとても悪くなっていて、小刻みに震える手を止めることもできなくなっていた。とっても悲しかった。一方、Andyの方は順調で70年代のオリジナルのSweetと変わらなかった。AndyはずっとMarshallを使っているよ!」

「Sweetは美しいハーモニーを得意としたホンモノのヘヴィ・ロック・バンドだった(POPバンドではないということ)。でも彼らのヒット曲の多くはNicky ChinnとMike Chapmanというソング・ライティング・チームの作品だったんだ(Suzi Quatroにも曲を提供しているイギリスの有名なソング・ライティング・チーム。「Can the Can」は有名)。でも、かれらの『Sweet Fanny Adams』は最高のアルバムだったよ。私はSweetやSladeが大好きだったけど、Led ZeppelinやDeep Purpleほどじゃなかった。」

本場イギリスではこういう話しがゴロゴロしている。

1986年にロンドンのMarqueeで録音された『Live at the Marquee』では何故かELPアレンジのAaron Coplandの『Fanfare for the Common Man』をほぼ完コピで演奏していることに加え、ショウ本編最後の「Fox on the Run」のエンディングが「21st Century Schizoid Man」だったりして楽しい。

これはまったくのヤマ勘だが、もうそろそろ日本の音楽シーンも変わるのではなかろうか?これだけたくさんの人たちが現在のロック・シーンに幻滅を感じていれば夜明けも近いかも知れない。

もしその時、日本の音楽シーンが先祖返りをしようとするのであれば、ブームとしてのへヴィメタル時代の再来を期待することはもう難しく、SweetやSladeのようなポップ色の濃いハード・ロックに収束していくのではないだろうか?カッコいいリフ、覚えやすく口ずさみたくなる良質のメロディ、達者な演奏、そしてギター・ソロ、ロックがかつて持っていた危険な香りあるいは「毒」のようなもの…何といっても曲のクォリティが圧倒的に高い。そういうロックだ。

たとえメンバーが曲を作っていなくても内容さえよければよいではないか?優秀なソングライティング・チームの作品で成功したバンドはいくらでもある。Aerosmithもそれで復活した。もうプロに任すべきだ。
SweetやSladeが活躍した70年代前半、日本ではロックはまだマイノリティだったはずだ。ロック(っぽいもの)がこれだけ跋扈している現在の環境下において、とにかくこれらの音楽を再度掘り起こし、見直し、味わうことこそ急務なのですよ!いつも言ってることだけど…。

Sweet

上段真ん中、Be Bop Deluxeは『Futurama』もHipgnosisだった。クレジットにはCover Art and Design George Hardie、Photography Malcon Taylor Jr.となっているがこのイラストやタイポグラフィはまさしくHipgnosis。

Bbd

Vinegar Joeの『ROck N Roll Gypsies』。これもHipgnosisだったのか。どちらかというとKeefの写真みたいだ。これも聴きたいんだけどなかなか出っくわさないなァ。昔MarshallのデモンストレーターをしていたGeoff WhitehornがよくElkie Brooksのバックをやっていた。

まだ結構楽しみが残っているな。

Vj

下段左から2番目はDire Straightsのセカンドアルバム『Communique』。初めてこのバンドが出てきた時、あのストラトキャスターの音にシビれたネェ~。でも歌が苦手で夢中になったことはなかったナ。

Dire

これでおしまい。でもDire Straightsで終わるのイヤだな…(ファンの皆さん、ごめんなさい)

Hipgnosis作品でおそらく最も有名と思われるデザインを掲げて終わりにしよう。

レコード会社は『Obscured by Clouds(雲の影)』や『Atom Heart Mother(原子心母)』の斬新な意匠に辟易しており、はじめこの稀代の名盤いタイポグラフィを用いたトラディショナルなデザインを希望していたらしい。そんなことはおかまいなしにこの度亡くなったStorm Thorgersonと相棒のAubley PowellはRick Wrightからのリクエスト、「知的でこザッパリして、それでいて高級感あふれる」デザインを探し求めた。そして、ストームがオウブリーとのブレインストーミングの中で見たプリズムのことを思い出した。

当初、デザインのアイデアは7通りあったが、フロイドのメンバーは見事全員ストームが提案したプリズムのアイデアに同意。それはフロイドのステージの特徴であったライティング、作品の歌詞、そしてリック・ライトのリクエストを満足していたからであった。Roger Watersのアイデアでプリズムを通過したスペクトラムが見開きのジャケットを貫くようにし、ストームはレコード店のディスプレイを考慮して、ジャケットがいくつも連結するようにデザインした。

やっぱりカッコいいデザインだよね。Hipgnosisが作ったジャケットはどれもTシャツに持って来いだと思う。本当にどれでもTシャツになっていてもおかしくないが、あまり見たことがない。でも、この『狂気』だけは別だ。

私は熱心なフロイド・ファンではない。ちょっとフォーキーすぎるのね。またはテクニカルでないというか…。この歳になっても抒情派より技巧派でKing Crimsonの方がずっと性に合っている。でも『The Wall』までのアルバムはほとんど持っているし、やっぱり『Meddle』、『Attom Hear Mother』、『The Dark Side of the Moon』、『Wish You Were Here』なんてのは問答無用で素晴らしいと思う。Hipgnosisの処女作『A Saucefu of Secretsl』や『More』も好きっだったりする。いつ聴いても馴染み深く、そして新鮮なのだ。

そして、これらの名盤がHipgnosisの手によるものでなかったとしたら…かなりレコード棚のPink Floydの枚数は少なかったかもしれない…。

Pf

色々と見て来たけど、ん~、改めてHipgnosisのすごさとジャケットの楽しさを認識したな。

でもさ、ここでちょっと反対のことを考えてみようか?本当に音楽のフィジカル・プロダクツがこの世からなくなってしまったらどうなるんだろう?

レコード棚やCD棚からすべて中身がなくなった光景を考えてみよう。当然、あの大好きな中古レコードのカビの匂いもおさらばだ。レコード・プレイヤーはもとよりステレオもない。イヤホンで聴けばいいじゃん!パラゴンは場所取るぞ~。もう中古レコード店のバーゲンの情報を気にしなくていいし、11時前にディスク・ユニオンに並ばなくてもいいんだゼ!

ついでに本も全部捨てちゃおう!電子書籍があるじゃないか!いいぞ~、本に場所を占拠されなくて。もう紙で手を切ったりしないし、本が陽に焼ける心配もない。パソコン、パソコン!何なら晩飯もパソコンに作ってもらおうじゃないか!そうじもパソコンにやってもらおう。

アレ?部屋の中、パソコンだけになっちゃった!これが便利か?面白いか?楽しいか?私はまっぴらゴメンです。(でも、マーブロってパソコンがないとできないのよね~!)

つまり、言いたいことは何かというと、良いものは誰が何と言おうと後世に伝承しよう!とうこと。ここで昨日の記事の冒頭を読み返していただきたい。Hipgnosisの芸術を消滅させてはならない。

名作・名盤の数々をありがとう、Storm Thorgerson!安らかにお眠りください。

Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒金羊社オフィシャル・ウェブサイト

(一部敬称略 取材協力:植村和紀氏、金羊社奥平周一氏)

2013年4月22日 (月)

【Music Jacket Gallery】緊急特集!Hipgnosis Collection~Progressive Rock Works

2013年4月18日、Hipgnosis(ヒプノシス)の中心人物であるストーム・ソーガソン(Storm Thorgerson)が永眠した。

ヒプノシスはピンク・フロイドの『神秘(Sauceful of Secrets)』を皮切りに膨大な数のレコード・ジャケットのデザインを手がけ、ビジュアル面で数々のロックのレコードの名作の誕生に携わった。つまり、LPレコードのジャケットをなくてはならないアートの域にまで高めたデザイナー集団だ。

いつもマーブロで大騒ぎしているように、音楽配信が普及し、LPはおろかCDもフィジカルプロダクトとしての地位を脅かされるようになってしまった昨今、ストーム・ソーガソンの逝去は音楽界にあまりにも大きな打撃を与えることになる。

こうなるとジャケット擁護派たちは以前にも増してレコード(この際CDでもいい)ジャケットの必要性と意味と楽しみ方を喧伝する必要があるのではないか?

そこでマーシャル・ブログは緊急特集として、2011年の初頭に開催されたMusic Jacket Galleryでの『ヒプノシス展』を素材にストーム・ソーガソンへの追悼と感謝の意味を込めて(私的に)その偉大な業績を振り返ってみたい。

1

古くからのMarshall Blogの読者のみなさんにはもうすっかりおなじみのことと思うが、Music Jacket Galleryは大田区の鵜の木にある大手印刷会社、金羊社の4階に設置されたレコード・ジャケット並びに特殊CDジャケットやボックス・セット専門の博物館で3か月毎に展示品が入れ替わる。

展示のアイテムは先日ご登場いただいた植村和紀氏の個人コレクションである。3か月毎に展示のテーマが決められ、植村氏の6万点にも及ぶコレクションの中から該当するアイテムが選ばれギャラリーに陳列されるのだ。

2

今回はヒプノシスの作品を2回にわたって紹介するが、まずはあらためてジャケットの重要性について考えよう。

文明や科学の進歩につれ、「利便性を追求するがゆえに何か大切な物を失う」という話しをよく聞く。

その「何か」の代表は「風情」と「環境」だろう。風情と利便性を天秤にかけて圧倒的に利便性に傾く「何か」も当然多く、だからこそたくさんの発明品が重宝され、地球規模の経済活動の基盤になっているわけだ。

その場合、利便性チームは「利便性」そのものの他に「時間」という大きな特典を同時に獲得しているケースが多いことに気付く。時間の節約も利便性のひとつか…。

例を挙げれば航空機。極端な例だが長距離の移動が飛躍的に便利になった分、強いて言えば「船旅」という風情を失った。そういえば飛行機がキライなデビッド・ボウイが初めて来日した時は船でやって来たのではなかったか?
ま、このケースは風情よりも利便性の方がはるかに優位であることは明らかなので文句は言うまい。いわゆる昭和の三種の神器(洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ)あたりも同様だ。

しかし、少々の不便さには目をつぶってでも、どうしても残しておいた方がよいものもこの世の中にはたくさんある。
…と聞いた風なことをしかつめらしく言うのはここまでとして、ここにそのアイテムを提唱しよう。

それはLPやCDのジャケットである。

25

LPからCDへ完全に移行して久しい。私はほとんどジャケ買いをしないが、LPジャケットの魅力は誰に説かれるまでもなく何物にも替えがたいと思っている。
ま、正直一旦CDの利便性を享受してしまうとジャケットのサイズぐらいは目をつぶってもいいかな?ぐらいに思っているのが私のスタンス。実際、とんでもなくアクロバチックな意匠をブチ込んだLPも顔負けのCDジャケットも多数存在しているし…。

音質うんぬんということでは、完璧にLPが勝る。これはもう間違いない…と確信できる体験をしてしまったのだ。これはまた別に機会に…。

その音楽パッケージ、今、これらは恐ろしい事実に直面しているのだ。それは、音楽配信によってLP、CDの別なくジャケットもろとも盤そのものが近い将来なくなってしまう可能性があるということなのだ。

数年前にDVDプロダクションのアメリカ人と話していて彼らが「Physical Products(物質的に存在する商品)」という言葉を使っていることに気がついた。耳にした時は何ともイヤな気分になったもんだ。実際にアメリカではCDショップはもう大都市にしかない。ロンドンはSohoの裏路地あたりにゴチョゴチョ残っているけど大手のショップはすっかりなくなってしまった。

Hp_img_1130

どこが便利なのかサッパリわからないし、有害性の方ばかり目に付いてしまうので音楽配信の利便性など考察する気にはならないのが正直なところ。百歩譲って家にいながらにして聴きたい音楽をゲットできるという点が少しは便利なのかもしれないが、ジャケットを必要としないというのはどうしても解せない。ジャケットの魅力を捨て去っちゃっていいのであろうか?

洗濯機と洗濯板ほど利便性に差があればよいが、配信とCD(LP)を比べてもCDチームが苦杯をなめる必要は全くないように思うのだ。洗濯と手でこなすのは実に重労働だ。おしんもさぞかしツラかったろう。

Img_1132

経済的な理由で中古CDしか買わない私なんぞはもはやアイテムそのものよりも、時間をかけて目標のモノを探す作業の方にロマンと愉しみを感じてしまうのね。それも「このアイテムはいくらいくらまで!」と自分を律する。例え探しているアイテムに出くわしても自分の設定した値段より高ければ男らしくその場は流す。少しだけ高い場合は…結構自分に甘くしちゃう!少しだけ高いのを嫌って流してしまうとこれが後々何年も引きずる大きな禍根となって臍を噛む思いをするからね。

それではどうやって欲しいアイテムを見つけるか…。これはもうライナーノーツを熟読するかディスク・ガイド系の本に頼るしかない。もうそこら辺の一般的な音楽雑誌をヒックリ返しても自分が興味を持てそうなアイテムは出てっこないからね。でも最近はライナーノーツ読まなくなったナァ。何か調べるのもインターネットの方が便利だもんナァ。

そうやって自分の好みに合いそうな作品を見つけて中古レコード屋さんに行って探す。これの繰り返し。

その昔、何年も何年も探して手に入らなかったアイテムをとうとう見つけた。Tony Williamsの『Emergency』だ。その頃、まったくこのアイテムは流通しておらず、レコードにはプレミアがついて高価で取引されていたハズだ。

そしてある日、数寄屋橋の中古レコード店でまだエサ箱(レコード陳列棚)に入る前の状態のものを発見した。値段は1,400円(消費税がまだない頃)だった。願ったり叶ったりでレジカウンターの中にあったそれを頼んで売ってもらった。これは本当にうれしかった!

35年位こんなことを繰り返している。だから、音楽配信なんてこと存在自体信じられないのね。やっぱり音楽は回転が必要なんですよ、回転。レコードもCDもカセットもオープンリールもMDもLカセットもソノシートもみんなどっかが回ってたでしょ?エジソンが蓄音機を発明して以来、音楽は100年以上グルグル回り続けているのだ。それがナンデェ、PCは!回らないじゃネーカ!ナニ?ハードディスクが中で回ってるって?「回ってる感」がまったくないッ!

「何だってマーシャル・ブログがこんなこと提唱しなきゃいけないんだよ?!」とイブカシむ読者も多いことだろうが、とにかく音楽を、黄金時代のロックをもっともっと若い人に知って、そして楽しんでもらいたい一心なのだ!

Img_1134

元来、レコード・ジャケット(スリーヴ)というものは、中に入っているレコード盤を保護するのが一番の目的だ。太古のレコード・ジャケットは演奏者の顔写真やグループ名や曲名を載せただけというデザインが多かった。特にソウルやR&B系のレコードのジャケットは徹頭徹尾コレだよね。

その点、ジャズはBlue NoteやPresitgeに救われている。でもそのBlue NoteにしたってFrancis Wolfが撮った人物写真にReid Milesが色を乗せてちょっとレイアウトを捻っただけタイプ(『Blue Train / John Coltrane』、『Newk's Time / Sonny Rollins(何故かBNのRollinsはほとんどがこのパターンだ)』など)が大半で、タイポグラフィもの(『Somethin' Else / Cannonball Adderley』、『Us Three / Horace Parlan』など)、あるいは線や模様を並べただけのシンプルなパターンもの(『Patterns in Jazz Gil Melle』、『Jutta Hipp with Zoot Sims』など)ばかりだ。中には無名時代のウォーホルのイラスト(『Blue Lights / Kenny Burrell』、『The Congregation / Johnny Griffin』など)なんていうのもあるが、ワザワザ莫大なコストをかけて制作していたワケでは決してない。それなのにあれほどカッコいい意匠を捻り出せたのはセンス良さと時代の空気のなせるワザか…。

Img_1135

ようするに昔は「わざわざレコードの入れ物なんぞに金をかけることはない」という思想だったに違いない。それがジャケットが内容を象徴したり代弁したりする中身同様の「作品の一部」として重要視され出したのは60年代、The Beatlesが出て来たころからだという。『With The Beatles』のハーフ・シャドウとかね。またしてもFab Four! このイギリスの4人組はポピュラーミュージックを聴覚的にだけでなく視覚的にも変えてしまったのだ。

それとHipgnosisの偉大な業績だ。

そうした恐ろしい早さで商業的にも芸術的にも多様化し成長するロックに合わせてジャケット・デザインもその社会的地位を飛躍的に上げ、百花繚乱、玉石混交、多くのファンの目を、間接的に耳を楽しませることになった。

またLPに限っては、12インチという大きさが泣かせる。あれより大きくても小さくてもいけない。名器1960に見られるようにギターアンプの代表的なスピーカーのサイズも12インチ。「12インチ」という大きさは何か男たちの心を(女性コレクターの方、スミマセン)揺さぶる何かを持っているのだろうか?それは考えすぎか。もちろんLPのサイズはプレイヤー先にありきの基準だろう。いつの時代もソフトよりハードの方が権力を持っているからね。

Img_1136

さらに、生来清潔好きな日本人はケースとかカバーとかが大好きだと私は睨んでいる。バイオリンやアコギの「ケース」の「カバー」なんてものがあるくらいだからね

それなのに、人類はこの素晴らしいジャケットの世界を切り捨てようとしているのだ。ジャケットはひとつの表現手段、大げさに言うとひとつの芸術だ。音楽配信というただのテクノロジーが12インチ四方、CDは5インチ四方の宇宙を絶滅させようとしているのだ。

「ナニを大げさな…」と思うでしょう。でも、明らかにLP、CDを問わずジャケット自体が地球上でレアなアイテムになることは間違いない。するとどうなるか…。

①ジャケットに惹かれて音楽パッケージを買うことがなくなる。「ジャケ買い」という言葉がこの世から消える。もっともその前にお店がなくなるか…。
②ジャケットを眺めて「ああ~いいナァ」と感動することがなくなる。「アレ、ジャケットもいいんだよね~」なんでセリフがこの世からなくなる。つまり音楽を聴く楽しみが縮小する。

③ジャケットがなくなると何かのアルバムを指す時に大変不便。「あのライブいいよね~!」「え?どんなジャケットだったっけ?」という会話が消滅する。

もっともアルバム自体がなくなろうとしているのだからこれはおかしいか?『七人の侍』の中に左卜全の名セリフがある。「首が飛ぶってのにヒゲの心配してどうするだよ~」…コレである。

④ジャケット・デザイナーやその他デザインに携わる方々が失職し、ヘタをすると才能の喪失につながる。
⑤印刷屋さんが困る⇒製品を運ぶ運送屋さんも困る。関連の業者さんの商況が悪くって国の税収も下がる⇒景気の回復が遅くなる。

…と、まぁ⑤はオーバーにしても、④は痛い。現にジャケットがなかったらこれからここに紹介するHipgnosisという才能も花開かなかったわけで、それだけ我々の楽しみも減るということなのですよ。

若い人たちの意見だとiPodで好きな曲だけダウンロードしてさえいればCDのようなPhysical Productsは必要ないということのようだけど、本当に自分の好きな音楽だったら形にして傍らにおいて置きたいという欲望がわいてくるハズなんだけどな~。ま、このあたりはしょっちゅうマーブロで大騒ぎしているから今日は触れない。

とにかく、有名なお仏壇屋さんのキャッチコピーにあるように「心は形を求め、形は心をすすめる」…なのだ!

Img_1138

イントロおわり。

さて、HipgnosisはStorm Thorgerson(ストーム・ソーガソン)とAubrey Powell(オーブリー・パウエル)によるイギリスのデザイン・チームで、後にPeter Christopherson(ピーター・クリストファーソン)を加えて3人体制となった。1968年から83年まで存続し、Pink Floyd、Genesis、LedZeppelin、10cc、UFO、Bad Company等々のレコード・ジャケットを制作し、ブリティッシュ・ロックの確立をビジュアル面で援助した。

Hipgnosisというのは「g」を取るとHipnosisとなり「催眠状態」という正式な英単語となるが、それとは関係なく、彼らは「Hip」という言葉を入れて「新しい霊的なもの」のような意味の造語をチーム名としたらしい。

そしてMJGの『ヒプノシス展』…展示だなをひとつひとつ見ていこう。
ここはAlan Parson's Project中心のコーナー。

Img_1204

私は「ジャケ買い」を滅多にしないが、下段の右から2番目のAl Stewartの『Year of the Cat』はその例外。

まだ他にもジャケ買いをしたこともあったかも知れないが、ハッキリと覚えているのはBud Powellの『Blues in the Closet(Verb)』というアルバム。ジャズ・ピアノの大巨人の名作の数々の中にあっては、まったく人の口に上らない作品だし、取り立てて騒ぐような内容ではない。でも、あのキツく青く染められた美人ジャケットと小文字で統一されたタイトルとアーティスト名…ステキ!…自分にとってはもうこれだけで名盤なのだ!

さて、この『Year of the Cat』、表も裏もネコづくしである。化粧台に香水やらチョコレートやらタバコやらお金やらが散乱していて、それらすべてにネコのモチーフが用いられている。そして、鏡の中には化粧を終えたネコ装束の美女が…。一見、女怪盗のようにも見えるのだが。それと手前に少しだけ見えるネコの尻尾を見ると、ネコ好きの女性が飼っているネコの尻尾かと思えるが、これはその鏡の中の女性の尻尾なのだ。私は別にネコ好きではない。このHiphnosisの凝りようが好きなのだ。
タイトル曲の歌詞を見てみると、「ボガート(もちろんハンプリー・ボガートのこと)の映画の中の朝に」とか「あなたはまるでピーター・ローレのように人ごみの中をさまよう」なんて出てくる。ボギーとピーター・ローレといえば『カサブランカ』だ。すると、鏡の中の女猫怪盗はイングリッド・バーグマンのイメージなのか?な~んて思ったりもする。
ちなみにこのアルバムのプロデューサーはAlan Parsonsだ。

Cat

あ、いつも通り基本的にテキストは下の写真を解説してますから。

2段目左のEdgar Broughton Band の『Inside Out』はモノクロの写真が抜群にカッコいい。Edgar Broughton Bandは1968年に結成されたイギリスのバンド。ものスゴイ個性のあるバンドでは決してないが、ブルース・ロックからハードなロックまで存外に振幅の広いレパートリーをボーカルのEdgar Broughtonが青果市場の競りのような声で聴かせるという感触か?私は好き。

Hp_edgar

そのとなりのビルの狭間でラドンみたいなヤツが飛びまわっているのがQuatermass。ロンドン出身のプログレ・キーボード・トリオだ。大好きだったRoxy Musicに参加していたJohn Gustafsonが在籍していたということで高校生の時に欲しかったアルバムの筆頭だった。残念ながら廃盤になってしまい入手できなかった。友人のO君はギリギリで秋葉原の石丸電気の3号館で購入。意地を張ってO君から借りなかったおかげでいまだに聴いたことがない。

Quarter

そして、Alan Parsons。今となってはアーティストとして大看板を掲げているが元々は制作サイドの人で、1967年アシスタント・エンジニアとしてアビー・ロード・スタジオに雇われ、The Beatles の『Abby Road』の制作に携わった。Paul McCartneyの『Wild Life』や『Red Rose Speedway』も手掛けたが、何といっても極めつけはPink Floydの『The Dark Side of the Moon』だろう。

Parsonsはレコーディング・エンジニアを自認しているが、プロデューサーとしての功績も大きく、何でもさっきの『Year of the Cat』のタイトル曲にサックス・ソロを加えてジャズっぽいバラードに仕上げたところなんぞは、「レコーディング」に対するParsonsの貢献度が、スタンリー・キューブリックの映画へのそれと比肩するというんだからスゴイ。実際に聴いてみても今では全くピンと来ないが…。
キューブリックの話しはまた今度。何しろ私、『シャイニング』のあのOverlook Hotelのモデルになったコロラドのホテルに実際に泊まりましたから…ハイ。この話しもまたいつかできるといいナァ。
『Wish You Were Here(炎)』以降、Pink Floydの活動が停滞したことからThe Alan Parsons Projectを立ち上げ、今では押しも押されぬ大スターとなっている。

The Alan Parsons ProjectもHipgnosis作品を身にまとって自己の音世界を拡大したひとりだろう。どれもこれも最高にイマジネイティヴな独特の世界をクリエイトした。

その代表作が『Tales of Mystery And Imagination・Edgar Allan Poe(怪奇と幻想の物語 エドガー・アラン・ポーの世界)』。

Hp_alan

MJGではスペースの関係で少数のゲイトフォールド(見開き)仕様のアイテムを除いて基本的に表1のみが展示されているが、見開き仕様の場合、ヒプノシス作品は当然内側も凝った作りになっていることを知っておくべきだ。
下は同作の内ジャケ。蛇足ながら私所有のLPで補足させてもらった。

表2にはポーの年譜が掲げられ、その次のページからは歌詞が掲載されていて、その狭間をパラフィン紙で区切ってある。オリジナル盤もこうなっているのかどうかは知らないが、とにかく豪華!LPだからこそできるうれしい装丁だ。

8

中の写真やイラストがまた素晴らしい。ロジェ・バディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニらの監督競作でポー作品をベースにした『世にも怪奇な物語』というオムニバス映画があったが(1969年)、このジャケットに挿入されている数枚のセピア調の写真だけでHipgnosisはあの映画と同じくらいポーの世界を表現しているのではないか?

9

B5大の豪華なブックレット(解説と訳詞)も付いていた。

10
こちらは後年手に入れた絵ハガキ。

11

今回、この記事を書くにあたり久しぶりにこのLPを引っ張り出して来たらこんなチラシ(そういえば最近めっきり「チラシ」って言わなくなった。みんな自然に「フライヤー」って言うよね?もう「チラシ」は寿司屋世界だけのものなのか?映画のチラシは私の青春だった。集めてばっかりなのよ。この話もいつかまた…。)が出て来た。

名門レーベルChrysalisのアーティストの宣伝だ。名前は「クリサリス・レコード・ニュース」。同レーベルがアメリカに進出したのを記念してキング・レコードさんが発行している。スゴイ。今時こんなのって全くないじゃん?当時は誠にたくさんのロック・リスナーがこんなレーベル意識を持っていたのだろうね。

どれどれ、誰が紹介されているのかな?まず、残念ながら発行年は不明だが、「クリサリスの3大アーティスト(文面では律儀に「アーティスツ」と複数形の表記になっている)がロスに勢ぞろい」とあって、ロビン・トロワー、ロリー・ギャラガー、ジェスロ・タルがロサンゼルス・コロシアムでコンサートを開くのだそうだ。ク~、行きて~!

いいですか?ここから先がスゴイ!この時の動員が、見込みも見込んだり、ナント10万人!10万人ですよ、10万人!言っちゃ悪いけど、今の日本だったらチッタが何とか埋まるぐらいかな?もっともロリー・ギャラガーを観ることはもう永久にできないけど…。
その他の「クリサリス・レーベルの強力アーティスト」として名前が挙がっているのは;
テン・イヤーズ・アフター、プロコル・ハルム、UFO、レオ・セイヤー、ジェントル・ジャイアント、スティーライ・スパン…。なるほど強力だ!他にフィリップ・グッドバンド・テイトだのササフラスだのカールハインツ・シュトックハウゼンだの…スミマセン、勉強不足で知りませんわ。
いずれにせよ、こうしたバンド名や人名がレコード買った人たちの家のお茶の間に広がっていたんですよ。何しろ今と違って新しいロックがジャンジャン出てきてその刺激を謳歌し狂っていた時代ですからね。隔世の感は否めないでしょう。

10

かわって10ccのコーナー。もう好きで好きで…でも本物を観たのは2010年が初めてだった。

Img_1192

10ccもセカンド・アルバムの『Sheet Music』からHipgnosisが手がけるようになった。

Hp_sheet

10ccへの作品の中ではやっぱり『How Dare You !(=あーた、よくもそんなことができわね?!)』が一番かな?これの内ジャケットがまたイカしてて、パーティで一部屋に集まった紳士淑女が全員電話をしているという図。何年も前の『こち亀』に誰もが携帯電話を持ち始めて、電車に乗っている人全員が携帯で電話をして大混乱!というアイデアがあったが、あれを見た時、即座にこの『How Dare You !』の内ジャケを思い出してしまった。
大好きな大好きな10cc、この『How Dare You!』はとりわけ素晴らしい。だって、捨て曲が全くないどころか全曲が輝いている。「I'm Monday Fly Me」、「Rock'n'Roll Lullaby」、「Art for Arts Sake」特に最後の「Don't Hang Up」がたまらなく美しい。後年この曲のPVをYou Tubeで見つけて仰天した。今回もここに貼り付けようかと思って検索したがなくなっていた。

Hp_how

Steve Dawsonと10ccの話しをした時、イギリス人は10ccのことを「スタジオ・ミュージシャンの集まり」ととらえていることを知った。

上段真ん中の『Deceptive Bends(愛ゆえに)』は10ccが分裂してからの作品。ちなみに10ccのバンド名の由来が「男性の~」と言われていいるが、これは誤った情報らしい。

Hp_deceptive

Hipgnosisはジャケットの裏表だけでなく、インナースリーブにも素敵なデザインを施してくれる。

12

Godley & Cremeチームが好きな私は、このアルバムまでが好き。このアルバムからは『The Things Do We for Love(愛ゆえに)』というどこのカラオケにでも入っているようなヒット曲も出たが、一番10ccらしいのはなんといっても2分弱の『I Bought a Flat Guitar Tutor』だろう。この曲、歌詞の内容や語尾にしたがってコードがついていくというモノスゴイ内容。diminishやaugumentなんて単語は当 たり前。
例えば"I bought a flat(アパートを買ったよ)"のなんてのは不定冠詞の「a」はAを弾いておいて"flat"でAbに移動する。「see」は「C」だし、語尾が 「-phe」になっているとコードが「E」になるという仕組み。これで丸々1曲仕上げている。それがまた4ビートに乗って至極音楽的だからスゴイ。愛すべ き小品だ。

まぁ、本当に色んなバンドの作品を手掛けているね。

Img_1208

そうT Rexの『Electric Warrier』もHipgnosisの作品なんだよね。特にHipgnosisらしくないような気がするが…。

Hp_rex

ToddのライブもUKの『Danger Money』もいかにもHipgnosisらしいタッチで好き。なんか内容的にこのライブ盤のトッドはどうもしっくりこない。 『Another Live』の方が全然スキ。

Hp_bars

UKは初来日の時、日本青年館に観に行った。当時は「第2のELP」なんて呼ばれていた。ジョン・ウェットンもエディ・ジョブソンもスゴかったけど、何しろ初めて見るテリー・ボジオに驚いたな~。

タイトルが先なのかデザインが先なのかはわからないが、Danger Money…アブク銭、うまいこと考えたな…。

Hp_danger

YESはRoger Deanって相場が決まっていたのに復帰第1作となった『Going for the One』はHipgnosisが担当した。これはリアルタイムで聴いたが、『Fragile(こわれもの)』や『Close to the Edge(危機)』のサウンドを期待していただけに、そのポップなサウンドに大いに肩透かしを食らった記憶がある。ただ、これは三面のゲイトフォールド・ジャケットでちょっとうれしかった。コレ、今デザインをまじまじと見るとメッチャいいな。

Hp_one
Alan Bown諸作も実にHipgnosis丸出しでカッコいいが音は聴いたことがないな…。それこそジャケ買いしてもいいかも…。

Img_1194

ここのセクションはいいな~。Brand XにGenesisだもん。おまけにELOも入ってる!

Img_1201

上段真ん中のBrand Xの『Unorthodox Behavior(異常行為)』にはブッ飛んだっけナァ。

Hp_bx

John Goddsallなんてギタリスト、全く聞いたこともなくて。Percy Jonesのベースも驚いた。何よりもこのジャケットのデザイン!ブラインド越にこっちを見てる。ちょっとチャールトン・ヘストンに似てる。これだけで「異常行為」のすべてを表現しちゃってる。
上段一番左はそのBrand Xのセカンドアルバム『Moroccan Roll』だが、写真に幾何学的な図形を重ねるHipgnosisお得意のパターン。YESみたいだね。

Hp_morrocan

そのとなりの『Live Stock』もいかにもHipgnosisっぽい作品だ。でも、音はジャケットのイメージと大幅に異なる凄まじいジャズ・ロック。ここではPhil Collinsの他にドラマーとしてKenwood Dennardが参加している。この人はJaco Pastoriousバンド(Aurex Jazz Festivalのビッグバンドではなくコンボ)で来日した人。その時のギターを担当したのは渡辺香津美だった。

また、この人はManhattan Transfer初来日時のドラマーで、その時のメンバーはベースがAlex Blake、ギターはナ、ナントJack Wilkinsだった。実は私はある人の紹介でニューヨークのJackのアパートに遊びに行ったことがあって、ファンだった私は至福の時を過ごしたのだった。今でも彼のギターを抱えて撮ったツーショットの写真を大事にしている。

それと、このマントラ初来日のコンサートは後日ビデオ化された。それを後から知った時は時遅し…もう入手困難だった。ところが探しに探した結果、見つけた見つけた、長野市の小さな本屋の中古ビデオのコーナーで1,000円ぐらいでゲットしたのだった。ああ幸せ!

Hp_livestock
下段の左2枚はElectric Light Orchestraのファーストとセカンド。まだRoy Woodがいたころのファースト・アルバムはプログレ風味丸出しで大好き。後年の彼らの音楽とはまったく異質なものだが、ELOの最大の特徴であるストリングスを巧みに取り入れているところが素晴らしい。でも、ジャケットは双方Hipgnosisっぽくないというのが私の印象。

Hp_elo
ELOは武道館へ見に行った。曲はアンコールでやった「Roll Over Beethoven」しか覚えていないが、レーザー光線を場内のところどころに設置したプリズムに当てて鮮やかなライト・ショウに演出したのが印象的だっ た。当時はまだレーザーなんて珍しかったからね。多分、それに見とれて演奏はロクに聴いていなかったんでしょう。
その「Roll Over Beethoven」が収録されているのはこのセカンド。
これ電球が宇宙を飛んでる。後々もELOのロゴが入った長岡秀星のイラストのデッカイ円盤がジャケットに登場したけど、ナンデ宇宙趣味なんだろうね?

Hp_elo2

中段右から2番目はGenesisの名盤『A Trick Of The Tail』。「看板のPeter Gabrielが抜けちゃったテンヤワンヤの名バンドのボーカルを伏兵Phil Collinsが救う」の巻だが、特徴的なイラストが多いHipgnosisだがこのイラストはちょっと異質に思う。このアルバム、歌詞がジャケットに刻まれているのだが、滅法読みにくいフォントなのが泣きどころ。

Hp_trick
その右となりはいかにもHipgnosisらしい美しく幻想的な写真を配したGenesisの『…And Then There Were Three…(そして3人が残った)』。そして、残った3人が来日して観に行った。確か中間試験の最中だった。試験の結果は散々だったけど、今にして思えば本当に行っておいてヨカッタと思っている。

そういえば、これもSteveとの話。プログレの話をしていてジェネシスに触れたら小声で「ジェネシスは全然聴かないナァ」と言っていた。ナンカもっともイギリスらしいバンドはイギリス人に聴かれていないのか…とちょっと驚いた。ま、スティーヴは基本的にはブルース・ロックの人だからね。

Hp_gene3
Genesis最高傑作と言われる中段左から2番目の『The Lamb Lies Down on Broadway(眩惑のブロードウエイ)』。

Hp_broad

Hipgnosisのデザインは徹頭徹尾モノクロ。下のようにインナースリーブも完全にモノクロだった。

16

「Japan Progressive Rock Fes 2010 in Tokyo」に出演したSteve Hackettはこのアルバムから「Fly on a Windowshield」を演奏していたっけ。
それにつけてもアルバムタイトル曲のMike Rutherfordのベースラインのカッコいいこと!
そして、このプログレッシブ・ロック屈指の名盤と知られているアルバムにはその正反対に位置する音楽ともいえるR&BのThe DriftersやTemptationsの名曲からの引用がいくつか含まれているというのが実にシャレているではないか。


さてさて、Hipgnosisとのコラボで最も大きな効果を挙げたのは間違いなくPink Floydでしょう。

17

Hipgnosis最初の仕事も『A Saucerful Of Secrets(神秘)』だったという。

Hp_simpi

また、Storm Thorgersonのお気に入り自己ベスト5には『Atom Heart Mother(原子心母)』と…

Hp_atom

『Wish You Were Here(炎~あなたがここにいてほしい)』の2作を繰り入れている。

Hp_wish_2

個人的には『Animals』のジャケットが好きで、実際にロケ地となったロンドンのBattersea Power Station(バタシー発電所)まで見に入って来た。Hipgnosisはヘリウムガスを入れた作り物の豚を実際に発電所の上空に飛ばし撮影した。

Animals
『The Dark Side Of The Moon(狂気)』、『Meddle(おせっかい)』、『The Wall』、『Animals』等々、パターンもの、コラージュもの、イラストもの、得意の写真加工ものとありとあらゆるテクニックを駆使ししてPink Floydの音世界を作り上げようと努力したように感じる。

Floydの場合、後に出てくるドラムNick Masonをはじめ、Dave Gilmour、Rick WrightらのソロアルバムもHipgnosisが手がけている。メンバーたちもよっぽどHipgnosisの作風が気に入っていたに違いない。
下段右端の2作は松任谷由実の作品だ。日本人ミュージシャン向けのHipgnosiss作品はこの2作だけなのかな…?

『Wish You Were Here』は下のような濃紺のビニール袋に包んで発売された。ここに張ってあるロボットの握手のイラストがまた秀逸。剥がさないでよかった~。

Hp_wish

ここは色々と詰め込まれているな…それだけHipgnosisの作品の幅が広いことに驚かされる。

Img_1196

上段右から2つめはBe Bop Deluxeの『Drastic Plastic』。コレ何のデザインなんだろうか?いまだによくわからない。左上にはブラインドのようなものがあって、キッチンの片隅を斜めに切り取ったようなイメージか?ニートなデザインが素敵。でも内容は『Axe Victim』、『Sunburst Finish』、『Live! In The Air Age』の方がよかった。私はジャン・コクトーのことは門外漢だが、ことのほかBill Nelsonが好きだった。ソフトな歌声とちょっと歪みすぎているけどソフィスティケイトされたギターがお気に入りだった。Marshallじゃないな、あの音は。Bill Nelsonの80年代のソロ・アルバムを数枚聴いたが、テクノに毒された無味乾燥な音楽となっていてかなりガックリした。ところで、Be Bop Deluxeなんて名前もカッコよくない?

Hp_bbd
その右隣りはCaravanの『Cunning Stunts』。カンタベリー派のバンドらしく長尺の曲を飽きずに聴かせる力量がすごい。B面の18分にも及ぶ「The Dabsong Conshirtoe」が圧巻。徐々に徐々に関係ないメロディが入り込んで来て最後には全く別の曲になってしまうアイデア秀逸。しかし、このバンドはカンタベリー派を代表するプログレ・バンドであるにも関わらずHipgnosisとの縁が浅かった。それでも『In The Land of Grey And Pink』や『Waterloo Lily』などは内容を指し示すかのような素敵なジャケット・デザインだった。この『Cunning Stunts』の次作の『Blind Dog at St.Dunstants(聖ダンスタン通りの盲犬)』もHipgnosisの作品ではないが、実際にカンタベリーにある聖ダンスタン通りのイラストを使用している。数年前そこを訪れてきたので後日『イギリス-ロック名所めぐり』の「カンタベリー編」で紹介する予定だ。

カンタベリー派といえば、Soft MachineにHipgnosis作品が皆無なのが意外だ。すごくいい仕事をしたろうに…。

Hp_cunning

中段の真ん中は前出Edgar Broughton Bandの同名アルバム。精肉所の倉庫で多数の牛がブラ下がっている中に人体がひとつ。内容も結構イケるが、ジャケットのインパクトには遠く及ばない。

Eb

下段左から2番目。考えてみるとEmerson Lake & Palmerも大方向転換をした『Love Beach』を発表するまでジャケットに自分達のポートレイトを使わないバンドだった。ファースト・アルバムしかり、『Tarkus』しかり、『Pictures at an Exhibition(展覧会の絵)』しかり…みんなイラスト。そしてこの『Trilogy』だけがHipnosis作だ。次作の『Brain Sald Surgery(恐怖の頭脳改革)』では映画「エイリアン」のデザインで有名なスイスのイラストレーター、H.R.Giger(ギーガー)とコラボし、後年も何枚かギーガーの手によるCDを発表した。
昔も好きだったけどELPって今聴いてもメチャクチャいいよね。いいですか?70年代には彼らは「ミュージック・ライフ」誌の読者人気投票で1位だった時代があったんだゼ!プログレ・キーボード・トリオが日本で一番人気者だった時代があったのだ。2010年にロンドンでELPを観たのは最高の幸せだった。

Hp_trilo

下段右から3つは元Yesのギタリスト、先日亡くなったPeter Banksのバンド。お得意の身体拡大パターンで非常によい仕上がりだ。

Hp_flash

Hp_flash2

Hp_flash3

上段のAl Stewartは前出。Pink Floydメンバーのソロ作が2段目に来て…

Img_1205
3段目はPeter Gabriel。左から2番目の『III』はThorgersonお気に入りベスト5の中の一作。

Hp_gabriel3

でも、私はその左のファーストが大好きでよく聴いた。ジャケットもこの車の色合いと水滴が非常に美しくて気に入っていた。このアルバム、全曲いいんだよね~。

初めて聴いた時、「Wating for the Big One」のRobert Fripのギター・ソロには随分驚いたっけ。ずっと後年、トム・クルーズの映画(だったかな?)でこのアルバムの2曲目「Solsbury Hill」が使われていた。そういえば、PeterのBootlegのライブアルバムを西新宿で入手した。このアルバムの発表直後ぐらいのレコーディングでレパートリーは全曲同アルバムからだった。それを大分後になって中古レコード屋に売ったところ、買った値の何倍もの値段がついて驚いたことがあった。売っちゃ買い、売っちゃ買いしてたもんですからタマにはこういうことも起こります。

Hp_pg1

上段の左端のGodley&Cremeの『Freeze Frame』もとてもHipgnosisらしい絵柄。得意の写真とイラストの合成だ。このアルバムには「An Englishman in New York」というかの有名なジョーディー(ニューキャッスル出身者のアダ名)のヒット曲と同じようなタイトルの曲が入っているがこっちの曲の方が私的にはゼンゼンよろしい。

Img_1198

今回の記事を書くにあたって「もしや」と思い、彼らのファーストアルバム(LP3枚組)の『Consequences(ギズモ・ファンタジア)』をレコード棚から引っ張り出して来てチェックしたが、あれはHipgnosisではなかった。あれこそHipgnosisっぽいと思ったのだが…。

これは豪華ボックス収納のLP3枚組で大変高価だった。中3か高1の時に発売されてすぐにお小遣いをはたいて買ったが、友人みんなから「こんなの買ってバカじゃないの?」と言われたのを覚えてるナァ。でもスンゲェいい曲は入ってるんだぜ。

Hp_g_c_con
下段の一番左端、Pink Floydのドラマー、Nick Masonのソロ・アルバム『Nick Mason's Fictitious Sports(空想感覚)』はお気に入り。にもかかわらず、恥ずかしながらHipgnosisの作品だとは知らなかった。Carla Bleyが作曲を手がけていて独特な音感覚が快感だ。Carla BleyはStuffとの『Dinner Music』や自身のライブ・アルバム『Live!』という名作を世に問うている女流ピアニスト&オルガニスト。

NHKの「みんなのうた」に数多くの佳曲を提供している名作曲家にしてジャズ・ピアニストの渋谷毅氏は『Live '91 / Takeshi Shibuya Orchestra』にCarlaのアレンジによるトラディショナル曲『Soon I Will Be Done With The Troubles Of The World』の壮絶な演奏を残している。必聴。これはバラードだが、もし音楽に人の心を動かす「力」のようなものがあるとするならば、こういう演奏を指すことはまず間違いない。もし、このライブ盤の録音現場に居合わせていたら私は間違いなく号泣していたと思う。このアルバムのベースの川端民生さんもドラムの古澤良二郎さんももう鬼籍に入ってしまった。ドルフィーのように名演奏家は名演奏とともに消え去ってしまう。

Hp_mason

上段の真ん中はMoody BluesのギターJustin Haywardのソロアルバム『Songwriter』。これもHipgnosisだったんだ?Hipgnosisにしてはヤケに野暮ったい感覚。50年代のマイナーなジャズ・ギタリスト(イメージはDempsey Wrightの『The Wright Approach』)のアルバム・ジャケットのようだ。ところで、上野のHard Rock CafeにはJustin Haywardのストラトが飾ってありますよ。

Hp_justin
下段右から2番目もStorm Thorgersonが自己ベスト5の一角に数えるThe Niceの『Elegy』。実際に砂漠に赤いビニールのサッカーボールを持ち込んで撮影したらしい。CGなんて無かったからね。

Hp_elegy

その右どなりもThe Niceで『Five Bridges』という作品。魚眼レンズで撮った橋を組み合わせて複雑な幾何学模様を作り出していて、見開くとさらに立派な絵面となる。これもジャケット欲しさに買ったわ。結構ジャケ買いしてるじゃんねー。

Hp_bridge

上段は一番右を除いてRenaissance(ルネッサンス)の諸作。

Img_1206

この他『Scherazade And Other Stories』という作品もHipgnosisだ。どれもジャケットはいいのだが、アタシャちょっと苦手…。「Progressive Rock Fes」でSteve Hackettとともに来日した。正直、四人囃子の人たちと楽屋でおしゃべりをしていてほとんど見なかった…失敬。

ちなみにボーカルのアニー・ハズラムの旦那さんはロイ・ウッドだ(だった?)。

Hp_schera

上段右端と中段(右端は除く)はString Driven Thingというバンド。これらも実に魅力的なジャケットだが、音は大したことない。

Hp_string

Hp_string2
またまた出て来たPink Floyd人脈の作品は下段左端のSyd Barrettの『The Mad Cap Laughs』。でも、これタマ~に聴くとなかなかにいいんだよね。

写真がカッコいいな。よくSydのことを「狂気、狂気」って言うけどこれを聴いた限りではピンと来ないな。そういえばSydも亡くなっちゃいましたね。

最近、The Whoに関する本を読んでいたら、元ミュージック・ライフの編集長、水上はる子さんはロンドンでシドに会ったことがあるそうだ。スゲエな…。

Hp_syd

Steve Harley & Cockney Rebelの『Face To Face』。映画の1シーンを切り取ったようなドラマっぽいデザインもHipgnosis得意のパターンだが、これはその代表といってもいいだろう。昔、Cockney RebelのLPが手に入らなくてネェ。バイオリニストがバンドにいることに惹かれてすごく聴きたかったがまったく中古でも出なかった。実際に彼らの音楽を耳にしたのはかなり時間が経ってからだった。感想はヒ・ミ・ツ…。先日BBCのライブを買って聴いてみたが、結構よかった。

Img_1213

Sad Cafeの『Misplaced ideals』。

Hp_sadcafe

これも同じ作品。つまりこの本体の絵柄があまりに醜悪なので、上にある黒いカバーをつけて発売した。有名なジャケットだが残念ながらこれも音を聴いたことがない。今見ると特段醜悪には見えないが…。

Img_1210
やっぱりいいな…Hipgnosis。

Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒金羊社オフィシャル・ウェブサイト

つづく


(一部敬称略 取材協力:植村和紀氏、金羊社奥平周一氏)

2013年4月 9日 (火)

The Amazing Uemura Collection~Music Jacket Galleryの源

※今日のマーブロは気の弱い方、集合体恐怖症の方はご遠慮ください。

   :

   :

   :

   :

   :

続けていいですか?…では。

マーシャル・ブログの人気カテゴリーに『Music Jacket Gallery』があった。この新マーブロでも同範疇の記事を一度アップしたが、本来メインとしていた内容は大田区にある老舗印刷会社、金羊社の4階に常設されてるレコード・ジャケット展の展示物を解説したものであった。

本来の目的は、絶滅の危機に瀕しているレコードやCDのジャケットの魅力を見直そう…というもので、ごく私的なディスク・ガイドといった趣にもかかわらず幸運にも数多くの音楽愛好家のご支持を頂戴し、某四大新聞社のうちのひとつの解説員の方までご愛読されていると聞き、浮足立ったものであった。

展示が変わる度に膨大な量の記事を制作したが、残念ながらある事情により今は見ることができなくなってしまった。

この記事を制作する作業は、自分でもお気入りの仕事のひとつではあったが、大変な労苦を伴うものであった。

LPを解説する際、まずは記憶に頼って文章を組み立ててみるのだが、30年以上前の出来事が多いゆえに、存外に思い違いが大きかったりして、少しでも正確を期すために調査にかなりの時間を要してしまうのだ。

また、事実内容を確認しているうちに興味深い新事実に突き当り、それを深く調べているとアッという間に時間が過ぎてしまい、他のことができなくなってしまったりするのである。しかも、これらの作業にあたる際にはどうしても大量の英文を読み解く必要があり、余計に時間がかかるのだ。

Shige Blogでは一度だけレポートを掲載することができたが、上のような理由により、この昨年10月から始めたマーシャル・ブログではどうしても時間が作れず、このカテゴリーに手を出せなかった。しかし、そこは「お気に入りの仕事」のこと、いつかは再開してやろうと、3ケ月に1度もよう替えするMusic Jacket Galleryの展示の取材だけは敢行し続け、素材を確保していた。

そして、いよいよ再開する決心をしたのだ。正確に言えばShige Blogから引っ越しして来ようというのだ。

04_3

これにはいくつか理由があった。

まずひとつは、「あのコーナー楽しみにしていたのに、もう終わっちゃったんですか?」と何人かのマーブロ読者に尋ねられたこと。これはうれしかった!俄然ヤル気が出るってもんだ!

さらに、20年のキャリアを持つ音楽専門誌がここ数日の間に2誌も休刊となったこと。私はこの2誌を店頭ですら広げたことがないが、これにより音楽産業の加速度的な衰退を感じたこと。

そして、最近ある本を読んで思うところがあったこと。

その本は「どうしてこんなに日本の音楽がダメになっちゃったのよ~」的な問題を多角的に分析している(つもりの)もので、正直ダメになっているとされる音楽が私にとってどうでもいい類のものであるのと、根本的な論旨が自分と相容れない至極商業的(音楽愛好家が分析した内容とは思えないということ)なものであったため、結果的にその内容に与できるものではなかった。「それなら読まなきゃいーじゃねーか」ということも言えるが、一か所だけ頷くことができる箇所を「あとがき」の中に見つけた。これほど「あとがき」が重要な本も珍しい。

それは…音楽や映画でも何でも感動できるものを下の世代に引き継げ…というのだ。もしかして、この本の著者はマーブロを読んでいるんじゃないの?と思うぐらい私が何年も言い続けていることを正確に活字にしていたのだ。(この人も相当前から言いたかったんだとは思うけどね)

「Smoke on the Water」のリフは人間なら誰でもカッコいいと思うってば。若い人がこうした本当にカッコいいロックを聴かないのは決してキライなワケではなくて、知らないだけなんだって。「ナントカ部活やめるってよ」より『七人の侍』の方が比べ物にならないぐらいおもしろいのは当たり前のこと。大人が自分たちだけ楽しんで、下の世代にはいいものを隠してしまっているとしか思えない。人間、ビートルズ聴かないで死んで行っていいのか?って!

バカシゲのいつものヤツがまた始まった…と思われることでしょうが、また一念発起してLPやレコード・ジャケットの魅力を借り、私なりに音楽の魅力を伝承する作業を勝手に引き継ぐことにした。誰かがこの伝承作業をしなくては…。

で、今日はそのイントロとしてMusic Jacket Galleryに展示物を提供している日本屈指のコレクター、植村和紀さんのことを書くことにした。

金羊社のギャラリーに展示されるアイテムはすべて植村さんの私物だ。

05_2

写真向かって左が植村和紀さん。右は金羊社の奥平周一さん。奥平さんは優れた技術を持つカメラマンでもある。

植村さんは以前マーブロでも紹介したレコード協会が協賛する『Music Jacket Gallery』の中心人物でもある。

07v

さすがに日本屈指のコレクター、雑誌に取り上げられることも珍しくない。

この記事の写真に見えるLP棚は植村さんが「蔵」と呼んでいるLP専用の倉庫に設置されているもの。ここへ行ったことのある人は「蔵友(くらとも)」と呼ばれる。何度もお誘いを頂戴しているのだが、東京から離れているため時間を割くことなかなかできず、残念ながら私はまだ蔵友にはなっていない。

Uc_img_92170

こちらはレコード・コレクターズ誌(株式会社ミュージック・マガジン刊)の人気コーナー「レコード・コレクター紳士録」。1999年5月号(XTC特集)にもご登場されている。

30_2

今日、ここにご紹介するのは、都内の「蔵」。CDを中心に保管している第二の蔵だ。だから私は「二蔵友」、「ニクトモ」なのだ。

10v_2

都内のマンションの一室の6畳間。

壁一面に広がっている物体はすべて「CD」である。

40v_2

全部CD!

50v_3

CDはお気に入りのミュージシャンを除き、ほぼレコード会社別に収納されている。

55_2

植村さんのスゴイところは、すべてのCDを聴いていて(当たり前か?)、何がどこにあるかを完全に把握していることだ。しかも、だいたいの盤の内容が頭に入っていて、「これどんな感じですか?」的な質問をすると、当意即妙に答えを聞かせてくれるのだ。

60_2

あのね~、この壁一面の棚のCD、前後2列になってんのよ。

70_2

ね?後列の下段もちゃんとホンモノのCDが詰まってる。もうこの時点でほとんどギャグです。

私も大概好きですけどねー、なんかねー、ここまで来るともはや羨ましくない。だって、何でもあるんだもん。もう面白くないじゃん!でもやっぱ羨ましいか…。

それでもまだまだ買い続けるのが植村さんのコレクター道。ジャンルはほとんどがロック&ポップスだ。

これ、もしここにジャズが本格的に加わったらそれは大惨事に発展するだろう。

80_2

ところで、植村さんが収納に使っているケース。これは「ビューパック」というすぐれもの。植村さんにすすめられて私も導入した。

何しろCDのケースの中身はほとんどが空気だ。サイズがコンパクトな分、LPよりおとなしいフリをしているが、実はガタイの比率からいえばLPより何倍も無駄にスペースを使っているのだ。

CDとスリーヴを取り出して下の写真のようにビューパックに収めこむ。下はわかりやすく2枚のビューパックを使っているところ。

90_3

それをメキっと半分に折ってやれば出来上がり。うまい具合にスパイン(背表紙)の分がズレて正面から中身を確認できるようになっている。

100_3

下はウチのCD棚の一部。もう気持ちいいぐらいスペースが縮む。何せ体積が一気に1/3以下になっちゃうからね~。ウチのコレクションは植村さんに及びもつかない(見栄はって…1/10ぐらいかな?)けど、要らなくなったプラ・ケースの量たるや膨大なもので、ゴミ屋さんが1回では持って行ってくれなかった。

そして、その重量!想像を絶しますよ。1ケ1ケはもちろん大したことないのは当たり前なんだけど、それが3,000枚も4,000枚もになると凄まじい重さになる。当然、木造の家にはかなり負担なのだ。

かさばるプラ・ケースを並べてその量を鑑賞して悦に浸るのも悪くないが、空気を鑑賞しているようなもんだからね。将来コレクションを手放すつもりがないのであれば、このケースは大変実用的だ。

ま、それだけの量のビューパックをいっぺんに用意するとなるとそれはそれでかなりの出費になるが、私の場合、スペースを確保しなければならない事情があっただけにその効果は抜群だった。

それとね、キズだらけのプラ・ケースからこのビニール・ケースにCDを入れ替えると、まるで新品のようにピッカピカに生まれ変わるんよ。これが大変にうれしゅうございます。

ビューパックの詳しい情報はコチラ⇒アーカイパック公式ウェブサイト

110_3

この量がすべてプラ・ケースに入っていたらどうなっていたか…おもしろいね~。ひと部屋どころかマンション全部必要かもね。

110v_2

CD棚の上にはパンパンにボックス・セットが積み上げられている。

160v_2

ま、私もいくつか持っているけど、ちょ、ちょっとコレは…。

170_2

ボックス・セットのコレクションは壮観だ。

180v_2

一体、何枚ぐらい同じ内容のCDがダブってるんだろう?

200v_2

植村さんのボックス・セットへの執着はすさまじく、「ボックス」という名がついていればすべてゲットしているという。

190_2

もう、これには山崎さんもビックリすることだろう!

210_2

これは紙ジャケ。

…と、下段を見ると「5 in 1」の廉価盤のボックス・セットのコーナーが…。こんなん買う必要ないのでは?と他人事ながら心配になってきた。

125v_2

押入れに歩を進める。

開き戸を開けると…ドワッ!ボックス・セット!しかし、きれいに入ってるな~。

270v_2

下段もCD。コレ、押入れの全面だけではなくて、奥まで詰まってますからね。

280v_3

となりの引き戸の押入れの中は…CD!

295v_2

それとデジパックのような、ビューパックに収納できないタイプのアイテムが山と積まれている。そう、実はこのデジパックってクセモノでしてね、分解するわけにもいかないし、絶対的に厚みがあるし、見た目はいいけど収納の敵なのよ。

300v_2

カゴの中はどれもパンパンにつまっている。

290v_2

カゴの中がどうなっているかというと、こうなってる。もうこれだけで軽く100枚近くは入っている。

310_2

まだビューパックに収めきれていないものもある。

315_2

…と気になるのは枚数だよね。もう正確に数えるのは「数えるのが大好き同好会」に入っている学生のアルバイトでも雇わない限り無理。そこで、ザっと植村さんにお見積りいただいた。

答えはこうだ。

●ビューパックに入れ替え済みのものが27,000枚

●まだビューパックに入れ替えていない状態のものが5,000枚

●デジパックや変形ケースなど入れ替え不可能なものが1,000枚

●紙ジャケットものが5,000枚

⇒その他のゴチョゴチョを加えると軽く40,000枚は超すという。

これに、前半で触れた「蔵」にLPが20,000枚。

しめて60,000枚!ほぼ私のコレクションの10倍の量になるが、なんかもっとあるような気がするな~!もっとも増殖中であることは言うだけヤボってもんだ。

引き戸の押入れの反対側も同じ。中には何が入っているのかな~…なんてもう思わない。CDだよ、CD!CDが入ってんだよ!

320v_2

植村さんのお気に入りは、まずはフランク・ザッパ。

何せ好きすぎてフランク・ザッパのCDを配給していた会社に転職しちゃったんだから。その甲斐あって1992年10月にLAのザッパの家に行っちゃった!

いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな、いいな~!写真を見せてもらいましたけどね~。もうこれは羨ましいとしか言いようがない。

その前は、1977年6月~1992年5月までオリコン、つまり、オリジナル・コンフィデンスにお勤めしていらした。まだ、LPレコード全盛期の頃のお話をうかがうと大変おもしろい。

120_2

そして、ジェスロ・タル。植村さんはイアン・アンダーソンとホッケをつついた仲だというからスゴイ。もうすぐ来日して『ジェラルド(Thick as a Brick)』を演るというから今頃楽しみで夜も眠れないのでは?

下は『Stand Up』のタペストリー。

130_2

「bouree」関連のシングル盤。

140_2

どこでこんなもん手に入れて来たんだか…タル初来日時(1972年)の時の記者会見のようすのカラー・ポジ。

それと、ホセ・フェリシアーノやスピリットがお好きとのことだ。

150_2

オーディオ・セットは予想に反して徹底的に質素だ。

ご友人にJBLのパラゴンを持っている方がいらして、そこへ連れて行っていただいたことがあった。これはまた別途レポートね。もうそれはそれは感動の連続だったから!

240v_2

プレイヤーの台の下をのぞいてみると…ゲゲッ、またボックス・セット!どうなっとんじゃ~!

230_2

CDの他にも「CD屋さんグッズ」も!

250_2

電車の前にくっついてる「とき」とか「雷鳥」とかいう看板を集める鉄道マニアと同じ感覚なのかな?

260_2

オット!天袋をチェックするのを忘れていた!

ガラガラ…お、一句できた!

天袋 引いてビックリ ボックス・セット

330_2

部屋の上部の空間は横たえられたボックス・セットが占拠している。

340_2

さて、場所を変えてリビングに移動する。

リビングの押入れを開けると…ボックス・セット!

350v_2

ちょっとボックス・セットで気になるアイテムを紹介しておく。もちろん、ここで紹介するのは大海の一滴にも満たないもので、詳細は金羊社のギャラリーの展示で紹介していくことになる。

ジェフ・ベックのボックス・セット。

360_2

オリジナル国内盤の帯つきの紙ジャケCDが収納されているが、「Jeff Beck」がスクリプト・ロゴ風になっていて、箱自体が1959のコンボ風になっているところがうれしい。1959のコンボは2159というモデル・ナンバーで実際には1962のようなトップ・マウント仕様だった。

370v_2

こちらはスティーヴ・ヴァイのボックス・セット。
380_2

宝石箱のような意匠でピックまでついている!ちなみにイギリス人はピックのことを「プレクトラム」と呼ぶのをご存知か?

390v_2

こちらはフランスのジャズ・ロック・グループ、マグマのセット。

400_2

豪華!

410_2

リーダーでドラマーのクリスチャン・バンデがフィーチュアされている。

420_2

エアロスミスの紙ジャケ・セット。珍しいのかどうかは知らないが、作りがしっかりしているナァ…と思って。

421_2

リビングの押入れのもうひとつと戸を開けると…ボックス・セット!

425v_2

ここで目を惹くのはアルファベットを付した黄色いファイル群。

440_2

これはDVDのファイル。DVDのケースこそ空気を保管しておくようなもので邪魔なことこの上ない。植村さんはCD同様、ケースからDVD本体とスリーブを取り出し、このファイルにアーティストのアルファベット順にファイルしているのだ。DVDのスリーヴはビューパックに入らないからね。

私が持っているDVDは古い映画がほとんどだが、すぐにこの方法をマネた。空きケースの量といったら、これまたすさまじい体積と重量だった。ま、この方式も一冊のファイルにDVDを入れすぎると団子みたいになってしまい、今度はファイル自体の収納に問題が出てくる。結局、何でもそうだが、コレクションというのは「スペースとの戦い」でもあるのだ。

450_2

これは紙ジャケやボックス・セットの特典でついてくるミニ帯のコレクション。

460_2

ここまでいくともはや切手ですね。「帯趣味週間」。

470_2

こちらはホンモノの「ブッチャー・カバー」とブートレッグ。氏のお気に入りで、ブートレッグの方が音がいいそうだ。

480_2

「ちょっと待って…」とキッチンに消えた植村さんが手にして戻ってきた。何を持って来られたのかというと…ボブ・ディランのLPジャケットをまとったチョコレート!

500_2

押入れの中だけでなく冷蔵庫の中にまでコレクションが及んでいるとは!

510_2

気が付いたときにはすでにもう夕方!結局、丸一日お邪魔して色々と拝見させていただいた。実に楽しかった!

植村さんは、ご自身のコレクションを用いてレコードやCDの図書館を作るのを夢としていらっしゃるが、その夢の実現にも着実に接近している。少しそのあたりを尋ねてみると…

「昨年の秋に知り合った私設ビートルズ資料館の方と既に3回ほどお会いし、文化財として保存・伝承のため少しずつNPO法人化の話を進めています。
ひとりの力では絶対無理なので、何人かのコレクターのライブラリーを持ち寄り、都内の廃校になった学校を使ってレコード・ライブラリーを作ろうという計画です。セキュリティ、管理、運営などのかかる経費を都や国に働きかけて予算化してもらおうと考えております。時間のかかることですが、段階的に進めていこうと考えています」

…とのこと。メチャクチャ楽しみ!キチンと現状と将来を見据えて事業計画を進めているところはさすがである。来館者が絶えないさぞかし人気のスポットとなることであろう。そして、例の「伝承作業」の大きな拠点となるに違いない。この図書館ができたら何らかの形でMarshall Amplificationもお手伝いしたいナァ。

だって、収蔵される音楽作品の中にはマーシャルが使用されて制作されたものが当然無数にあろうし、音楽と楽器は車の両輪でもあるからね。

530v_2

最後に植村さんにマーシャルについて訊いてみた。

「ドラマーなので、特別ギター・アンプに対しての思い入れや知識もありませんが、シングル・ボックスでデザインされた(1959と1960AXを模したボックスにジミのヘンドリックスのシングル盤を収納したもの)ほど、「マーシャル=ジミヘン」という強い印象はあります。例のAC/DCのボックス(ホンモノのアンプがボックスに内蔵されている)もマーシャルでしたよね?マーシャルはジャケットというより、ライノのヘヴィ・メタルというコンピのボックス(ゴールド・トップ、ブラウン・ボディのホンモノのボリューム・ノブを使った4枚組ボックス・セット)など、ボックスのパッケージの印象が強いですね」

マーシャルは「音の出る箱」ですからね。ボックス・セットの意匠にこれ以上の素材はないのです。

これからも植村コレクションの発展を期待してやまない。そして、同時に本レポートをご愛顧願っています。

金羊社Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒Music Jacket Gallery常設展

<現在閲覧できる常設展レポート>

Shige Blog : 日本独自ジャケットLPコレクション <前編>

Shige Blog : 日本独自ジャケットLPコレクション <中編>

Shige Blog : 日本独自ジャケットLPコレクション <後編>

540v_2

「Music Jacket Gallery~SFジャケット展(仮)」につづく

2013年1月 8日 (火)

【Music Jacket Gallery】ミュージック・ジャケット・ギャラリー2012

2012年のレコード大賞はAKBだったようですな。服部克久氏の発言が一部では取り沙汰されたそうな…。話題になっていたのでYouTubeでそのシーンを確認してみた。別に「発言」ではなくて、ごく普通の挨拶に見えるけどな…。

それよりも、この件とは関係なしに、そもそもレコード自体なくなってしまった昨今、この名称を冠することもさぞ苦しかろう。名称は「CD大賞」でも何でも一向に構わないと思うが、業界の方々と話していても「とにかくCDが売れない」の連発で、こういった音楽パッケージ商品のコンペティションの存続すら意味を失おうとしているように見える。また、「レコード」という言葉は、我々レコード育ち世代がこの世を去るより前になくなってしまいそうだ。

私もお仕事で音楽関係の色々な方々と接する機会があるが、みんな口をそろえて「最近の音楽はどうも…」と否定的なことをおっしゃるが、一向に変化の兆しが見えて来ませんね。もっと「CDを買いたい!」と思わせるような素敵な音楽が出てこない限りCDの売り上げも好転しないでしょう。音楽配信に負けないようなCDの出現を期待するしかない…としつこく思うんですよ。アナクロニズムと思わば思え。

「マーシャルにCDの売り上げの何の関係があろうか?」と訝しむ方も多かろうが、前から言っている通り、「楽器は音楽の僕」であり、音楽が盛んにならないと楽器の出番がなくなってしまうと信じているからである。みなさんが好きなゲームだっていいソフトがなければどんなに最新の装置があっても意味がないでしょ?それと同じ。あの手この手でCDの、物質的音源の魅力を若い人たちに伝播させないと!

その魅力のひとつがCDの入れ物、「ジャケット」である。その「CDを買いたい!」と購買者に思わせる大きな可能性をジャケットは持っていたりするんだけどね。もはや「ジャケ買い」という言葉も完全に死語となった。

昨年、田川ヒロアキ氏のニュー・アルバム『アヴェ・マリア』のジャケット制作に関わった。ジャケット写真の撮影を担当させていただいたのだ。

これがですね、ジャケットってのは眺めるのと作るのとでは大違い!一枚一枚心を込めてシャッターを切りましたよ!美しい音を奏でる素晴らしいマーシャル・プレイヤーのひとりでもあるし、「いい作品になれ!」、「ヒットしろ!」って願いを込めてね。

おかげさまで、素晴らしい内容と梅デ研の秀逸なデザインのおかげで我ながら納得のいく仕上がりとなった…とひとり悦に浸っている。

Tagawa

 

これだもん、ピンク・フロイドあたりがヒプノシスにデザインを依頼するのも、ヒプノシスが次から次へといい作品をピンク・フロイドに提供したのもわかるってもんだ。お互いにいいものを作ろうっていう気概があったのだ。

それほどジャケットは大切なのだ。

今日はコレ。ゴメンナサイ、写真に写っている人たちが半袖を着てる。古いネタで恐縮であります。

Mjg_mjg2012u_062

以前のブログでも紹介した『ミュージック・ジャケット・ギャラリー』のお話し。東京は2012年7月 19~24日まで新宿の高島屋で、大阪は7月27~8月1日までHEP HALLで開催されたレコード、CDのジャケット展だ。

Mjg_mjg2012u_002

展示はいくつかのテーマの他、MJG(ミュージック・ジャケット・ギャラリー)でおなじみの日本屈指のコレクター、植村和紀氏のコレクションが陳列された。

Mjg_mjg2012u_005

ウワさをすればヒプノシスの名作ジャケットたち。そういえば、おととしは展示予定のコレクションの運搬中にトラブルが発生し、急遽一日だけヒプノシスのジャケットを並べて危機を回避したのだった。

いずれにしてもヒプノシス作品はいつ見ても素晴らしい。そのデザインだけでなく、どの作品も音楽の内容がいいからだ。

Mjg_mjg2012u_040

さまざまな立体ジャケットの展示…

Mjg_mjg2012u_006

上段左の1959を模したRHINOの4枚組コンピレーション・ボックスも再登場。

Mjg_mjg2012u_022

ピンク・フロイドのボックス・セット他。

Mjg_mjg2012u_023

ピンク・フロイドの諸作はこうして並べるといよいよ素晴らしいね。視覚と聴覚、音楽とジャケットのコンビネーションの頂点に到達した。

Mjg_mjg2012u_049

今回もジャケット・デザインの人気を競う「ミュージック・ジャケット大賞」の投票が実施された。

Mjg_mjg2012u_029

大賞の候補、CD50作品と豪華パッケージ15作が展示され、その場で投票が行われたのだ。

Mjg_mjg2012u_043

すでに結果は発表されているのでコチラをご参照されたい。

Mjg_mjg2012u_064

この他にもCDの魅力を伝える展示が色々と施された。2012年はCDが登場して30周年だったんだね。

Mjg_mjg2012u_046_2

そういえば、はじめCDプレイヤーを持ってなくて、会社の同僚にカセットテープにダビングしてもらって聴いていた。初めて買ったCDはチャーリー・パーカーの『Bird at the Roost』という2組の未発表音源の2枚組ライブ・アルバムだった。LPが出なかったから仕方なくCDを買った。その次は確かルー・ソロフの『Yesterdays』だった。マイク・スターンが好きだったからね、あの頃は。

あれから30年も経ったのか…。

Mjg_mjg2012u_093

CDの製造過程を説明した展示。

Mjg_mjg2012u_010

高音質CDの聴き比べコーナー。

Mjg_mjg2012u_014

CDに替わるメディアたちの展示も。

Mjg_mjg2012u_016

これらはPLAYBUTTONっていうんだってサ。失敬ながら雰囲気出ないナァ。媒体としてメモリースティックも取りざたされていたこともあったが、どうもダメだったみたいだね。やっぱ回らないとダメなんだよ、音楽メディアは。

Mjg_mjg2012u_047

「ブリティッシュ・ロック&ポップスの50年」という展示も設置された。ブリティッシュ・ロックねェ…。本当に好きだからあえていうけど、何とかならんものだろうか…。BPI(British Phonographoc Industry)のおエライさんはいつも「UKのアーティストがアメリカのヒットチャートをにぎわしている」っていうけど、サッパリうれしくないっつーの。

個人的に言わせてもらえば、イギリスからギター・ヒーローが出てくるまでプログレッシブ・ロックを除いてブリティッシュ・ロックは謹慎処分としたい。ギター・ヒーローは君たちが作ったものじゃないか!なのにどうしてこんなことになっちゃったんだ?!

と力んだところで、若者の間では「ブリティッシュ・ロック」という言葉すらもう使われてないんだってよ!「UKロック」ってんだって。マーシャルの友人にこの話をしたら「そんな言葉は存在しない!我々の国の音楽は『ブリティッシュ・ロック』だ」とハッキリ言ってたぞ!

「どうしてブリティッシュ・ロックが栄えたか」という説明が展示されていた。「地域性の違いによってバラエティに富んだ音楽が生まれた」的に分析されていたように記憶しているが、その通りだと思う。イギリスの人たちは「オラが村」のロック・スターを本当に誇りに思ってるからね。

Mjg_mjg2012u_017

CDが初めて発売されたのは1982年の10月1日のことだったそうだ。

Mjg_mjg2012u_097

こんなごっついプレイヤーだったんだね。初CD作品はビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』だった。

Mjg_mjg2012u_063

この一作をとっても30年の間にこんなにたくさんのバリエーションが生まれたんだね~。

Mjg_mjg2012u_008

さて!さてさて!面白いものをアタシは発見してしまいましたよ~。MJGとは直接関係はないが、音楽を聴くものとして実に興味深い文献にブチ当たった。ちょっと長くなるけど興味のある人はお付き合いくだされ。

冒頭に記した通り、私は巷間の音楽がツマラン的なことをしつこく書いている。だってホントにツマんないんだもん。

その遠因として録音の状態があまりにもドイヒーではなかろうか?ということも示唆してきた。極度な「ドンシャリ」。イヤホンで聴くことを前提として高音と低音をアッピールしているのかもしれないが、ギターなんか歪みすぎということもあって何を弾いているのかさっぱりわからん。コレじゃ子供たちだってギターのコピーなんかできっこない。だから譜面に頼る。譜面ったってTAB譜だよ。結果、「耳コピ」なんておかしな言葉まで生まれてしまう始末。鼻でコピーができるか?ってんだ。

さて、このドンシャリ問題、実は歴史的に今が初めてではないらしいのだ。

以下は石井宏さんという音楽評論家の『帝王から音楽マフィアまで(新潮社)』という1993年に上梓された辛口のクラシック音楽論評集から。書かれた時期の正確な記載がないが、1989~1992年の間に執筆されたようだ。テーマは「CDは腐る」という内容の評論。

この文章がもっとも初期の1989年に書かれたと仮定しても、1982年のCDの発売から7年も経っていることになり、いささかタイムラグが大きすぎる感は否めないが、私が興味を持ったのは主テーマの「CDが腐る」という箇所ではまったくないので問題なし。何千枚も持っていて今更CDが腐るといわれても困るばかりなのだからそんなことはパスしちゃう。

この方がおっしゃるには、「録音の百年史(当時)は進歩の歴史であって、進歩のたびに軽便化をともない、ある種の抵抗をともなってきた」という。

その通り、それと技術が進歩して再生メディアが多様化すると、レコード会社はハードの形態に追われる格好となり、どうしてもたくさん売れるソフトの制作に専念し、音楽作品のバリエーションが少なくなってしまう。これは私の意見。このことは一種の経済政策で、ソフトの進化よりもハードの進歩を政府が推奨しているから…という話しを聞いたこともある。

まだまだCD化されていない作品は山ほどある。が、それでも30年の間にCDはかなりLPのバリエーションをカバーしてきたと個人的には感心しているつもり。

で、「この技術の進歩、蓄音機から電気蓄音機(電蓄)に移行した時、愛好家たちから『騒がしいだけで音がヒドイ!』と酷評された」そうだ。電気の力を借りて大幅にアップした音量に愛好家たちは辟易したのだ。

その後、我々世代にはおなじみのLPレコードが出現する。「LP盤は従来のSP盤に比べて割れにくく、収録時間も長い上にノイズも少なく、格段の進歩を遂げ急速に普及した。しかし、やはり愛好家たちは音質面で抵抗したのだった。

『LPの音はドンシャリだ!』…と。

当時のソフト会社もハード会社もLPの機能を活用してこのドンシャリを強調しようと狂奔した。そして、このドンシャリに抵抗した人たちは『音楽はどこへ行ってしまったのだ…』と嘆いた」という。

また、「(装置の)軽便化はまた内容の軽便化だった」とやっておいて、「SPレコード時代には、そこに詰まっているものは確かに『芸術』であった」とも述べていらっしゃる。音の悪いノイズだらけのSP盤からいい音楽やモノスゴイ演奏を聴き取ろうと真剣に音楽と対峙したというのだ。きっとBGMなんて概念すらなかったに違いない。

何のことはない、まったく同じことを今でも繰り返しているのである。おもしろいナァ~。

こうしてソフトの形態に関しては、技術の進歩にともない数々の変遷を繰り返してきた。ところが、サイズの変更はあれど、ソフトの容器であるジャケットはいつの時代もソフト自身のそばにあった。これが今なくなるかもしれないという事態に陥っている。

あなたはジャケット要りますか?それとも要りませんか?(即答)私は要ります!

Mjg_mjg2012u_028

…これでおしまいにしようかと思ったが、仲良くしていただいている著名な音楽評論家のお友達からこんな情報をいただいた。音楽配信の利用に関する、あるアンケートの結果が波紋呼んでいるそうだ。

それは、「音楽ダウンロードの利用経験(私は皆無。アンチだから)、頻度がともに減少傾向にあって、1か月あたりの音楽にかける金額についても0円という回答が68.6%を占めた」という。それで、「違法ダウンロードに対する刑事罰強化で売り上げが上がると思うのか?」と反駁の意見が寄せられているよう。

音楽離れが進んでいるのは、「音楽」がゲーム他、音源メディア以外の手段で提供されていることもあるだろうが、基本は冒頭に書いたことに尽きると思う。いい音楽がないから音楽から離れちゃうんじゃないのかしらん?

レッド・ツェッペリンやディープ・パープルが盛んなりし頃にこの配信システムがあったら、私だって利用していたかもしれない。そして、それで気に入ったらちゃんとレコードやCDを買ってましたよ。なぜならそれに値する音楽だと思うからね。

昔は何しろレコードの内容に関する情報は文字しかなくて、雑誌のレビューなんかを読んで、試聴なんかまったくせず「イチかバチか」清水の舞台から飛び降りるような気持ちで大枚はたいてLPを買うワケだ。当然レビューは「売らんかな」でいいことしか書いてないので、中には「大ハズレ!」なんてこともしょっちゅうだった。

でも、そこから新しい知識を得ることも多かったし、高い金を払ってせっかく買ったので、好きになるまで根性で繰り返し聴くなんてことも当たり前にしていた。音楽も新鮮に聞こえた。先の石井先生じゃないけれど、演る方も、作る方も、売る方も、聴く方もみんな今よりも音楽をもっと愛していたように感じますな。

やっぱり気にいったものや好きなものは形として持っておきたいのが人情だと思うんですよ。そういう音楽じゃないから誰もCD買わないのではないか?と信じてる。

このアンケートには、「日本の音楽業界はこのまま死んでいくのかな」と将来を憂う、ごく常識的なご意見も散見されているようだが、死んでも不思議はないんじゃないかしら?だって聴きたい音楽がなければ誰も音楽なんて聴かないでしょ?

よくサ、「無人島に持っていく1枚」とか「我が青春の1枚」みたいな、お気に入りのレコードやCDについて語る企画ってあるじゃない?アレ、近い将来なくなるよね。もしくは「無人島に持っていく1ダウンロード」とかいうのかね?イヤ、待てよ、そもそも電波が通ってダウンロードできるデジタル機器があれば無人島も怖くないのか…。やっぱりこの手のアンケートは絶滅するね。

また書くけど(今日はもうソロソロ終りね)、まずは「楽曲」と「アーティスト」という言葉の使い方を見直してもらいたい。単なるレトリックの問題と軽んずることなかれ。我々は言霊の国の住人だ。英語の2.5倍もの語彙で日常生活を送る国民だ。世界でもズバ抜けて言葉に対する感受性が高い民族のハズだ。

だから現在流布している巷間の音楽が「アーティスト」が奏でる「ガッキョク」なんかではないことは、音楽を売る方も買う方もみんなウスウスわかっているハズだ。これらが素直に「うた」と「歌手」と呼ばれる正常な状態に自ら戻らないことには、日本の音楽業界は死にゆくことを拒否できなくなるのではなかろうか?

「歌手」が届ける「うた」があった時代は、流布する曲も今より格段にクォリティが高く、演奏者にも高度な演奏能力もあった。でも、誰も「ガッキョク」だの「アーティスト」なんていう大げさな言葉なんか使わず、音楽を心から楽しんでいたように記憶している。

「輝く!日本配信大賞」…誕生の日も近いのだろうか。ナンカ通信機器のメーカーの新商品コンテストみたいだな…。

(写真提供:株式会社 金羊社 奥平周一様 この場をお借りしてご協力に深く感謝申し上げます)