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2015年8月 6日 (木)

【Music Jacket Gallery】 70'sバイブレーション YOKOHAMA

♪来たぜ横浜、レールに乗って、コリャ暑くてタマらんらん…

10

こんな私でも齢を重ねて来ると人間がこなれて来ましてナ…。
「アツイ、アツイ」と文句ばかり言っていないで、一年のうち今しかない折角のこの季節を今年はジ~ックリ味わって楽しもうじゃないか…と。

結果、アツイ、アツイ、アツイ、アツイ、アツイ、アシイ、マツイ、アツイ、アツイ、アツイ、マシイ、アツイ、アツイ、アシイ、アシイ、アツイ、アツイ、アツイ、マツイ、アツイ、アシイ、アツイ、アツイ、アツイ…ヘヘヘ、コピペして24回言ってやった。暑いから。
ハイ、ここでクイズです。
24回の内、何回ずつ「マ」と「シ」が入っていたでしょうか?…というのが問題。え、もっと「マシ」なクイズを出せって?ムリムリ、暑いんだもん。

もうネ、暑すぎなんですよ。
昔はこんなに暑くなかったよ。
イヤ、暑いにしても、もっと愛がある暑さだった。最近は「暑い」じゃなくて「熱い」もんね。
「昔」っていっても、そうだナァ、例えば1970年代。
気候は今ほど暑くなくてもロックはアツイ時代だったゼ!

20Things Ain't What They Used To Be…昔はヨカッタね…。
そんな昔を呼び戻してくれる展示会に行って来た。
場所は見りゃわかる横浜の赤レンガ倉庫。

308月1日からの開催だが、関係者として、Music Jacket Galleryでおなじみの植村さんに一日早く内覧会に招待して頂いた。

50
『70'sバイブレーション YOKOHAMA』というのがその展示会だ。
そもそもタイトルがいい。
今なら「ヴァイブレーション」って表記しちゃうもんね。70年代にはそんなことしなかった。日本人には「v」も「b」もおんなじだ。

40なんか植村さんの本とイメージがソックリだな…。

10 そう、この展示会はまさに40年前への時間旅行。
ああ、我が青春時代がココに!

601階にはポスターが飾ってあって早くも70年代の雰囲気がただよう。

80メイン会場は1号館の2階。

70
まずは「ヨコハマ・ブルース」というコーナー。70年代の横浜を振り返る。

90私の母は生まれも育ちも横浜で、幼いころからよく訪れていた。そのため横浜にはすごく親近感がある。
そして運命か、はたまた偶然か、生まれも育ちも横浜の人と結婚した。結婚式もこの会場のすぐそばだった。
里帰り出産をしたため、ウチの上の子も横浜生まれだ。
ごく短かい間だったが本牧に住んだこともあった。

まだ伊勢佐木町の商店街に車が通っていた頃の光景を覚えている…。
そう、黒澤明の『天国と地獄』で誘拐犯の山崎努が被害者の三船敏郎にタバコの火を借りるところを目にした刑事の仲代達也が、車の中で「アイツは正真正銘の畜生だ!」と激怒するシーンだ。
コレはもっと小さい時だったから60年代だと思うのだが、横浜のどこかに縁日のようなものが立って、そこに見世物小屋があった。子供ながらにすごく驚いた。
当時、街角には少なくない数の傷痍軍人が立っていた。遠い記憶だ。
だからココに飾ってあった昔の写真をとても興味深く拝見させて頂いた。

100大瀧詠一さんのメモリアル・コーナー。

110多くのスペースを費やしていたのは70年代の歳時記。

130LPジャケットや、コンサートや映画のポスターを使って70年代を俯瞰する。

1401970年というと私は小学校2年生。
当然、映画にも音楽にもまだ興味がなかったナァ。
その時代にはっぴいえんどは「ゆでめん」を出していたんだネェ。
『原子心母』もこの年か…。

1501973年、この頃はまだ映画に夢中だった。
『スティング』のポスターが飾ってあるが、この作品は1973年に制作されて、翌74年に日本に入って来た。
『Band on the Run』は『氷の世界』や『ひこうき雲』や『HOSONO HOUSE』と同じ年なんだね~。160アレ?と思ったのは『燃えよドラゴン』。コレは間違いなく『スティング』より先に日本で公開されているハズ。
ナゼなら、『スティング』は1974年、中学に入ってひとりで新宿ミラノ座に観に行ったし、『燃えよドラゴン』は先日も記した通り小学校の時に父に連れられて観たのを覚えているからだ。
ま、どうでもいいことなんだけど…。
『一触即発』は1974年、続く『ゴールデン・ピクニックス』は1976年、大二さんや森さんが21~23歳の時の作品だ。今ではまったく考えられない。昔の人は本当に偉大だ。

165コンサートのポスター群がスゴイ。
『箱根アフロディーテ』や『ワンステップフェスティバル』等のイベント系のポスターでその内容をうかがい知るのが最高に楽しい。
そして、このZappa!
1976年、内田裕也さんの招聘によりZappaの生涯に一度だけ実現した来日公演。東京は浅草の国際劇場が会場に選ばれ、記者会見は吉原で行われた。青年館は追加公演で、このポスターに出ていない。
一昨日記した銀次さんが見たというリハーサルはこの時のもの。
『JAPANESE GIRL』はビックリした。仲の良い友達が出てすぐに買って聴かせてくれた。「なんて妙な声と音楽だろう」と思った。
『Hotel California』もよく覚えているな。友達から買ってすぐに売った。当時はハードロックに夢中で何とも物足りなかったのだ。それからというのも一度もウチのレコード棚に収まったことはない。
そうか、『Rumors』もこの年か…。今でもしょっちゅう聴いてる。
私的な意見だが、洋楽はこの辺りがピークだったと思う。プログレッシブ・ロックやハード・ロックが飽きられてきて、パンク/ニューウェイブに注目が集まり出したところでロックは進化を終了した。後は順列組合せと電子化、あるいはコンピュータ化で現在に至っている。
「ロックのピーク」、「ロックの黄金時代」は70年代に所属しているのだ。
もちろん60年代後半からここに至るまでのMarshallの途方もなく大きな役割は、今更説明する必要もあるまい。

170こうして1980年までのアイテムが順序立ててキチンと展示されている。

171展示場にはショウケースも設置されていてコンサートの半券などが展示されている。

180コレぞ我が青春。半分ぐらい持ってた…けど、引っ越しの混乱で父が捨ててしまった。
植村さんには遠く及ばないにせよ、映画から音楽にスイッチしてからというもの、お小遣いの類は100%レコードとホントコンサートに費やした。洋服なんかまったく興味がなかった。自分の小遣いでは靴下一足、パンツ一枚も買ったことがない。
それができたのは、70年代があったからに他ならない。それだけ夢中になれるロックがあったのだ。

190皆さんもひとつひとつに思い出があるんだろうナァ…。

195コレも見ごたえ十分だった!

205桑本正士、野上眞宏、迫水正一、井出情児、そして鋤田正義、各氏の写真展示だ。

210どれもこれも「日本のロック」の色香を存分に漂わせている。

230これが30年以上前に撮られた写真か?と疑いたくもなるような生々しさ。

240コンサートの写真も随分変わった。
最近のステージ写真といえば、お客さんを写した写真ばかり…。
または、観客と一緒に収まったミュージシャンの写真ばかりを見かける。その手の写真はこの時代ではマレにしか見ることができない。
恐らく観客を撮っているヒマなどなかったのだろう。ミュージシャンのパワーとクリエイティビティが今と格段に違うのだ。
私の写真を「古い」と言った人がいたが、全然構わないどころかうれしい。
私はこの時代のミュージシャンを撮りまくっていた人たちの写真を目指しているのだ。いつでも鋤田さんのように撮りたい。コレは私流に言わせてもらえば、アーティストへの限りないリスペクトなのだ。
今流行っている撮り方のステージ写真が、このような30年後の鑑賞に堪えられるかどうか…。今の音楽や映画と同じだ。

250ステージ写真だけでなく、アーティスト写真やオフステージの写真も多数展示されている。
いつか書こうと思っていたんだけど、Marshall Blogで使っている写真は転用防止に極端にデータを軽くしてある。だからクォリティがメチャクチャ低いのね。色もタッチもかなり劣化しちゃう。
「ああ、皆さんに軽くする前の元の写真をお見せしたい!」…と常々思っているんよ。
誰かこういう展示会を企画してくれないかな…。タイトルは『写真による、ある音楽バカの奮闘記』だ。

260ココはYMO関連のコーナー。
ちょうど松武秀樹さんがいらしていて仲良しの植村さんにご紹介して頂いた。うれしかった!

265実際にYMOが使用していた楽器や衣装が展示されている。

270好きな人にはタマらんでしょ~?

280やっぱり偉業を成し遂げた人が使う道具というのは威風堂々としてるね。

2901979年にTubesが来日した。
4つほど年上の友人が話していた。「チューブスってのはスゴイらしいよ。今度来日するじゃん?行こうかな…。前座がイエロー・マジック・オーケストラだっていうし…」コレがナゼか印象に残っている。
まだ大ブレイクする前、時折名前が聞かれるようになった頃で、そのすぐ後にYMOが世界的な人気を博そうだなんて、あの時のハードロック仲間の誰が想像したことだろう。

300
で、時代は大幅に下って、数年前Paul Gilbertがニューアルバムのプロモーションで単独来日した時、楽屋で「コレ知ってる?」なんてTubesの曲を弾きながら私に尋ねて来た。Paulと一緒になるとMarshallの話しよりロックの話しになってしまうのだ。
残念ながらTubesを通っていない私は「知らない」と答え、「じゃPaul、コレ知ってる?Tubesが日本に来た時、イエロー・マジック・オーケストラが前座をやったんだよ」と彼に伝えた。
すると彼は「エ?!シゲさん、それ観たの?」とすかさず問い返してきた。
実際にコンサートに行かなかった私は正直に「行かなかった」と答えるとPaulは少し笑って…「失敗したね」と言った。
後悔が倍増した。
320
上下の写真はYMOグッズ。テンコ盛り!

310ワールド・ツアーの写真も飾ってある。香津美さん、若い!
イーストヴィレッジのBottomlineで機材を積み下ろしている写真なんかもあって面白いことこの上なし!

33070年代だけでなく、60年代グッズの展示も用意されている。

340しかし、この時代のロックはスゴいよなぁ。

350他にもこの時代のロックに関するさまざまなグッズが飾ってある。

360ひとつひとつジックリ見ると実におもしろい。

370ミュー・ミュージック・マガジン(現ミュージック・マガジン)の表紙。

380コレは70年代のライブハウスの様子。そうだよナァ、新宿ロフト…こうなってた!忘れちゃうもんだね。もっと写真を撮っておけばよかった。
以前記事に書いたが、先日ロフト跡に行ってみたがどこにあったかハッキリとはわからなかった!

390そして、会場内には青山にあったレコード店、「パイドパイパーハウス」が復活して出店している。
コレもファンにはうれしいところだろう。

400「あ、買えるんだ~!」とうれしそうにCDを選んでいるお客さんが何人もいた。エコバッグ等のオリジナル・グッズも販売してるよ。

410こちらは一階の展示。

425植村コレクションだ。
70年代とくりゃ当然音楽の主役はLPだからね。

430先日の新宿の『ミュージック・ジャケット・ギャラリー』でも展示されたデカ帯!

450
今回は植村さんの著書に合わせて帯つきのLPが集められた。

460私は時折Marshall Blogに書いている通り、80年代に入ってからは時代のロックを自主的にはまったく聴かなくなってしまった。
言い換えればパンク/ニューウェイブ・ムーブメントの後のロック。
または大衆受けを狙った聴きやすいロック。
『ベストヒットUSA』に登場するロックといえばわかりやすいか?
70年代のロックで育った自分にとってはこれらのロックに何の刺激も受けなかったし、おもしろく感じなかった。80年代は私にとっては暗黒時代だった。
今でもいくつかの例外を除いては自分から新しいロックを聴くことはなくて、仕事上聴いて勉強しておかなければならないモノだけを聴いている。
それでもいつも何か面白いものはないか?と探してはいるけどね。
それは決して「新しいモノ」でなくてもいい。70年代のロックに対抗できそうなものであれば何でもいい。
私はこれまでひとりで約1,600を超える記事を新旧のMarshall Blogで書いてきた。
その中で生意気にも「私的ワガママロック論」を近所のガンコジジイのボヤキよろしく日常的に展開しているのだが、そのネタの礎になっているのは1965~1978年ぐらいまでのロックなのね。
もちろんその後に出て来た音楽に全く触れないということはない。特にギター史においては80年代の技術的進化を無視することは不可能だ。
でも基本的には1976~1982年ぐらい、年齢でいえば14~20歳ぐらいの間に夢中になって蓄えたロックの知識だけで勝負している。
ペロリペロリと自分の身体の薄皮を向くように知識や経験を開陳しているのだ。
いつも読んで頂いている方々にはその私の偏狭さをよくご理解頂いていることだと思う。
でも、私はそれでいいと思ってるのね。
ナゼならロックは、70年代半ばまで隆盛を極め、すべてやり尽くしてしまった音楽だと認識することに一切の疑義を感じ得ないからだ。すなわち、70年代のロックを聴いていないのはロックを聴かず、ロックを楽しんだことにはならないのだ。

いとしの「70年代」…ずいぶんと遠くに行ってしまった。

490コレで70年代への時間旅行はおしまい。

500さ、また現実の世界へ戻ろう…。

510『70'sバイブレーション YOKOHAMA』の会期は2015年8月1日から9月13日まで。
ココに紹介した展示物以外にコンサート等たくさんの催し物が用意されている。
同世代の方、あるいはそれ以上の方々、またロックの黄金時代に興味のある若い人…横浜へ行って時間旅行を楽しんできてください。

詳しい情報はコチラ⇒70'sバイブレーション YOKOHAMA公式ウェブサイト

520それにしても暑い…。早く帰ってシャワー浴びよう!

530Marshall BlogのMusic Jacket Galleryはコチラ

(一部敬称略 2015年7月30日 横浜赤レンガ倉庫1号館にて撮影)