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2015年2月18日 (水)

【Music Jacket Gallery】 植村さんの本!

売れに売れているそうだ…この『洋楽日本盤のレコード・デザイン(グラフィック社刊)』という本。
副題は『シングルと帯にみる日本独自の世界』とある。
レコード・ジャケットに関する本はゴマンとあるが、日本で制作したレコード類のオリジナル企画に視点を合わせたところが新鮮だったのであろう。
しかも、この本、LPやドーナツ盤に愛着を感じる世代もさることながら、30~40歳台のCD世代、あるいは、それ以降の世代の人たちに大ウケしているそうだ。
2月6日に販売され、早くも重刷が決定しそうだ!

10ナゼこの本をMarshall Blogで取り上げているかというと、著者が『Music Jacket Gallery』でおなじみの植村和紀さんなのだ。
ご出版おめでとうございます!

20v_2植村さんといえば何度もMarshall Blogにご登場いただいている日本屈指のLP、CDコレクターだ。
その植村さんが著した本ということで前々から楽しみにしていたというワケ。

植村さんのCDコレクションはコチラをご覧あれ!⇒The Amazing Uemura Collection

30v_2ご出版に際し、植村さんに少しお話しをうかがってきた。
そのお話しを散りばめながら、さっそくこの本を紹介しよう。

まずは表1。
レコード帯に関する本だけあって、チャンと帯がかかっている。東芝風の帯だ。
コレ、むかし「タスキ」って呼んでいる人もいたけど私は絶対「オビ」。
帯がかかっているといっても、これはもちろん印刷。少し端から離れていて下が見えているところがいかにもソレらしい。
この帯ってパンパンに張ってあるのとユルユルのヤツがあったよね。

40こちらは表4。

50_2ちょっと写真ではわかり辛いが、帯の白いところが透けて下地が見えている。
また帯の貼りしろが折り返したところで少しズレている!…といった凝りようがうれしい。
ま、LPが主流していた頃はバーコードもなんてものはなかったけどね。消費税もなかった。少子化問題も取り沙汰されない、戦争の心配もない、将来に希望を見出すことができたいい時代だった。帯はそんな時代の象徴のひとつなのだ、

60_2この本の内容は主に以下の3つのパートに分けられている。
①激レアな洋楽国内シングル盤のジャケットのコレクション。コレはすべてが植村コレクションにあらず。
②洋楽国内盤LPの帯のコレクション。コレは100%植村コレクション。
③最後は日本で独自に制作された洋楽LPのコレクション。これもすべて植村さんのコレクションから。

まずはシングル盤のコレクション。
岩渕さんというこれまた日本有数のコレクターが保有している約3,000枚のシングル盤の中からジャケット・デザインの優れているもの、邦題がおもしろいものを300枚に絞って掲載した。大変な作業だ。

下は60年代の大変貴重なシングル盤。マァ、出てるわ出てるわ、ゼンゼン知らないヤツら。
当時は圧倒的に邦楽優位で、レコード会社社内でも洋楽チームの地位は肩身の狭い思いをしていたらしい。
今はもっとそうか?邦楽:洋楽の比率は8:2を破り、とうとう洋楽の売り上げは20%を切ったらしい。

「Please Mr. Postman」で有名なMarveletsの「海には魚が多すぎる(Too Many Fish in the Sea)」なんて知ってる?誰が買ったんだろうね?漁師か?イヤイヤ漁師はサブちゃんを聴くよ。
この当時は漁獲量も多かったんだろうね~。今ではイワシが高級魚。マグロも獲れなくなってきてこれから先、一体どうすんの?
「Johnny Angel」やら「Pineapple Princess」あたりのオールディーズの名曲はさすがに知ってる。しかもスキだ。

71そんな洋楽の地位が低い環境下、なんだってこんなシングル盤をリリースしていたんだろう?
答えは「何もわからず右から左へ」…ということだったらしい。
そりゃそうだ。聴いたこともない音楽が次から次へと送り込まれてくるんだから、何でも出してみなけりゃわからない。
今なら「フフン…○○風だな?」なんていう聴き方もできるけど、当時は元となる「○○」がなかったんだからスゴイ。いわばすべてがオリジナルだったのだ。

そして販売に一役買ったのがジャケットのデザインだ。
ラジオで偶然耳にして気に入った曲をレコード屋に買いに行く。その曲は洒落たジャケットにくるまっていて、ああうれし…とこうなる。
そこでこれらのシングル盤のジャケット・デザインに心血を注いた人たちがいたワケだ。

例えば、下のThe Beach Boysスタンダードの1曲、「Fun, fun, fun」。この「ファン・ファン・ファン」というクルクルっとした文字。持てる才能を絞ってコレを編み出す。
当時は今みたいにコンピュータのフォントでチョコチョコ…なんてことはできなかったので、こうした文字をひとつひとつ人力でクリエイトしていったというのだ。いわゆる「手書き文字」。
音源と写真が海外から送られてきて、それらを組み合わせ、そこにオリジナルの手作り文字を入れて魅力的な商品に作り上げる…なんておもしろそうな仕事なんだろう。…と思うがコレが大変な仕事だったのだそうだ。

で、この本の巻頭には竹家鐵平さんというその仕事の第一人者の方へのインタビューが収められている。
コレがまたベラボウにおもしろい。
聴けば、竹家さんという方はとてもシャイで控えめな方。日本の洋楽レコード界にとてつもない業績を残されている。
そんなだから、会社をお辞めになった時、その足跡を記録した本を上梓しようという計画が持ち上がった。ところが竹家さんからキッパリお断りされたそうだ。
しかし、竹家さんのお仕事を後世に伝える義務感に燃えた植村さんを含むこの本の制作スタッフは、懸命に竹家さんの説得にあたり、時を経てようやくこのインタビューが実現したというものなのだ。
そう、私がいつも騒いでいるこうした「伝承作業」は、情報伝達の手段が進化した今こそ、あらゆる分野において真っ先にされなければならないことだと思う。
要するに温故知新の源の保全だ。
ま、最新のテクノロジーで古いことを学ぶなんて皮肉なことかもしれないが、「良いものは良い」のであ~る。この本もそれを教えてくれている「伝承本」のひとつだ。
72
右のページの左の上、The Whoの「A Legal Matter」なんだけど、B面が「The Kids Are Alright」になってる。
ま、「A Legal Matter」も悪くないけど、ココは「The Kids Are Alright」がA面でしょう?
ちなみにこのころのPeteはMarshallだ。太くてメチャクチャきれいなクリーン・トーンだ。
どうしてこうなったかと言うと…要するに海外から送られてくるものを「右から左に」ということらしい。…とこんなこともあったが、反対にAB面を故意にひっくり返してヒットを狙うなんてこともあった。
さらに、勝手に日本だけでシングル・カットしちゃうなんてこともしたらしい。

ところで、竹家さんはThe Beatlesのシングル盤のジャケットのデザインのほとんどを手掛けていらっしゃたということなのだが、ビックリしたことがひとつ。
60年代中盤、東芝音工は洋楽の分野においては業界ナンバー1だった。理由はThe BeatlesとThe Venturesを抱えていたからだ。社内のLPを含めた洋楽の全売り上げの65%がThe BeatlesとThe Venturesだったらしい。
でも驚いたのはこんなことではない。
ナント、当時The VenturesというのはThe Beatlesの10倍の売り上げを誇っていたというのである!
コレだもん、テケテケ、強いハズだよ。楽器もよく売れたにキマってら!
そこへ行くと今の楽器の世界ときたら…悲劇以外の何物でもないでしょ。テクノロジーばかり進化したものの、演奏する肝心の音楽の質が低下してしまったからだ。
しかも、デジタル・テクノロジーが生み出すサウンドは60年代や70年代の音に比べてどうか?劣悪としか言いようがないでしょう。ただ便利なだけだ。
何よりもマズイのは、やはりここでも「伝承」がなされていないことだ。
流行や利便性を追求するあまり、あの素晴らしいピュアな真空管のアンプだけが生み出せる美しいサウンドやPAスピーカーではなく、ギター・アンプのスピーカーが空気を震わせるホンモノの爆音を知っているベテランまでもがそちらに流れてしまって、後輩のその素晴らしさを伝承しようとしないことだ。
それなのにギターばかりビンテージ、ビンテージといって古いモノを希求するのは、高価な無農薬のコメや野菜を集めておいて、人口調味料やインスタントのだしを使って料理するようなものではないのか?
いつも言っているように、「楽器のブーム」なんてのはあり得ない。楽器は音楽をクリエイトするための「道具」なんだから。
今まで「ノコギリ」のブームなんてあったか?それとも「フライパン」のブームなんてあったか?そんなもんはありはしない。それらは材木を切ったり、食材を調子する「道具」だからだ。
テケテケの時代、それはギターのブームではなくて、「The Venturesの音楽」のブームだったということをもっとよく考えるべきだと思うね、楽器業界は。
すなわち、誰もが夢中になる「音楽」をクリエイトすることが先決なのだ。
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そして、邦題。
コレは子供のころから「神戸牛のハンバーグ化」だと思っていたし、今でも原題主義に立っている。
何でこんなことするんじゃろね?…で、ようやくわかった。
もちろん売り上げを考えてのことなんだけど、昔はラジオの存在が大きく関わっていたという。
つまり、「いかにラジオでかけてもらえるか」…。
このことである。
『それでは次の曲、マーベレッツで「Too Many Fish in the Sea」です』というよりも、『それでは次の曲、マーベレッツで「海には魚が多すぎる」。最近はイワシが獲れないらしいよ~!』とやった方が、オンエアしてもらいやすいし、一般聴取者の耳にも入りやすいということ。
このThe Marveletsの曲がヒットしたかどうか知らんよ。
ま、Zappaの「Titties and Beer」という曲があって、「おっぱい印ビール」というキテレツな邦題が付いているが、ヒットしたなんて話しも聞いたことがない。

じゃ、当時はラジオを聴く人が多かったのか?ということになる。
実際に今よりは多かったのだろうが、それでもテレビが主役であったことには今と変わりはない。
深夜放送の影響力が莫大だったのである。

植村さんによれば、邦題は「一種のキャッチコピー」だという。
同感である。
中にはどう考えても悪ノリしているとしか考えられないヤツもあった。
まず筆頭に上がるのはJeff Beckの『ギター殺人者の凱旋』だろうネェ、月並みだけど。でも当時は実際にこのアルバムをこう呼んでいるヤツがいたもんね。
で、何やら「ジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ』というアルバムがスゴイ」と聞いて、レコード屋へ買いに行ったヤツがいた。
「すみません、ジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ』ください」とやったら出された商品が『ギター殺人者の凱旋』だったもんで、ソイツは「あ、すみません、コレ持ってます」と顔を真っ赤にして答えた。コレ、事実です。
ついでだから書くけど、この邦題は実は日本のレコード会社が考えたオリジナルではなくて、『Blow by Blow』の海外の宣伝に「The Return of the Axe Murderer」というキャッチコピーがあって、それをそのまま和訳してしまったというのが真相だ。
ギターのことを「axe(おの)」って言ったりするからね。でも、コレはギターが元じゃない。サックスだ。40年代のニューヨークのビバッパーたちはシャレや形状もあってか「サックス」のことをすでに「アックス」と呼んでいた。

で、このアルバム収録の人気曲、に邦題「哀しみの恋人たち」っていうのがあるでしょ?これは「'Cause We've Ended as Lovers」という現在完了の見本みたいな文章が原題。「もう私たち恋人じゃないから…」ぐらいの意味合いになろうか。
これは明らかに邦題のいいレアなケースの代表だろう。
「イヤ~、あの人の『こうずうぃーぶえんでっどあずらばーず』は完コピだね!」というより、「スゲー、あの人『哀しみの恋人たち』は完璧じゃん!」の方がシックリくる。
Kansasの「Carry on my Wayward Son」なんかも「伝承」としてうまくやった。

他方、「Walk This Way」を「お説教」に、「Sweet Emotuon」を「やりたい気持ち」にしたのは失策だった。
しかし、この「Sweet Emotion」って曲の邦題どうする?なんて場面があったのかな?
会議の席で「はい、多数決。「やりたい気持ち」の人、手を挙げて!」なんてキメてたりして。オイ、一体何の会議だ?!
こうした邦題は、どうも公序良俗に反しない限り、やりたい放題で担当者が好き勝手に決めることが多かったらしい。

それともうひとつ「コレはよくない」と思うのは、原題を流用する時に、冠詞や名詞の単複の区別を無視することだ。
こういうことが日本人の英語感覚をドンドン鈍らせるのだ。やはり「神戸牛のハンバーグ化」なのだ。

そうして四苦八苦して何とか洋楽を普及させようとした先達がいたにも関わらず、不思議というか、皮肉というか、浜崎あゆみに代表されるようにJ-POPの連中の曲のほとんどの曲名が英語表記になっちゃったね。
どういうことなんだ?まさか日本人の英語力がアップしたってか?ないない!ゼンゼンないよ。だって歌詞は丸っきり日本語だもん…。
ただ英語の方がカッコいいから…ということ以外考えられない。
でもね、コレって日本だけの現象ではなくて、同じアルファベットを使っている国でもそう。旧聞ではあるが、ドイツ人の友達も「ドイツ語じゃモノが売れない」って同じことを話していた。

そういえば、こんなこともあった。以前、教則ビデオの対訳のチェックの仕事をしていた時の話し。対訳の文中に「胡椒軍曹の寂しい心楽団」というのが出て来て絶句した。
私がチェックする前は本当にコレが印刷されて商品の一部として流通していたんだぜ。『ゴム魂』よりはマシか?
植村さんのご指摘。The Beatlesの曲って、『Revolver』以降のアルバムは邦題が付いていないって気が付いた?「With a Little Help From my Friends」は時折カバーなどでは「心の友」と呼ばれているようだが、植村さんのおっしゃる通り。
コレはThe Beatlesの人気も高まる一方の中、邦題を付けるのが苦しくなっちゃったかららしい。そりゃそうだよ、The Beatlesの曲名を勝手に変えるなんてさすがに良心がとがめる。
もし、あのまま続けていたら『Revolver』も「寝てるだけ」とか「黄色い潜水艦」、「彼女は言った、言った」なんてことになってたワケよ。、「いい日、日だまり」やら「ここ、そこ、どこもかしこも」…ポールがっくり。
もし私が担当者だったら1曲目は「税務署職員」として副題をこうつける「~住民税高くてスミマセン。それなのに無駄づかいしてゴメンね」。切手を買うんじゃない!
それとついでに…『サージェント~』って「ロック史の頂点に輝く名盤」みたいな扱いをされているけど、ロックの象徴ともいえるエイト・ビートの曲が案外少ないんだぜ。

74さらに脱線。
さっきの「ギター殺人者の凱旋」ではないが、この邦題もスゴかった。Meatloafのバラード「Two Out of Three Ain't Bad」で「66%の誘惑」。
原題の「two out of three」というのは「3つのうちの2つ」ということ。歌詞を読んでも何が「3」で何が「2」かはピンと来ないが、大分後になって邦題にピンときた。3つのうちの2つをパーセンテージで表せば余りは出るが、「66%」だ。
このタイトルに惹かれてシングルを買っちまったのは高校の時だ。
邦題おそるべし。
あ、さっきから例に挙げている邦題をつけたレコード会社、偶然全部同じだ!

2_66_2しかし、スゴイ時代だよね。プログレだってホラ…。
Pink FloydやYesには驚かないけど、Amon DuulだのThird Year BandだのBrian Augerだの、East of Edenだの…マジで売れると思ってたのかね?

75続いて「帯」。
もちろん帯は値段の提示をしたり、レコードの中身を簡単に説明して消費者の購買意欲をそそるためのものだが、書籍の補充カード(短冊)と同じ役割を果たしていた時代もあった。

帯は好きだナァ~。
破って捨てちゃう人の方が多かったんだってね~。
私は絶対にそんなことしなかった。丁寧にハズして袋にまとめて保管しておいた。
ずいぶんな量になったんだけど、引っ越しの混乱に紛れて父が全部捨てちまいやがった!
他に中学生の時から大事に集めていたコンサートのチケットの半券とかも捨てられてしまったんよ。
今、あればおもしろかったのにナァ。あの頃はまさかMarshall Blogなんてやるなんて夢にも思わなかったから。

帯が存在するということは日本国内盤があったということ。
コレを見ると、驚くほどコマメに国内盤をリリースしていたかがわかる。

76初めて見るものもあれば、おなじみのものもあってページをめくっていて実に楽しい。

77こんなMichael Gibbsのアルバムまで国内盤があったんだもんね。
植村さんによると昔は輸入盤の方が値段が高くて、輸入盤をムキ出しにして持って歩くのがひとつのステイタスだったのだそうだ。
だから帯はゼンゼン重要視されていなかった。昔の帯が希少になっているのはそういう事情が遠因のひとつになっている。
そういえば学生の時、Pablo Cruiseのファンだった家内にニュー・アルバムをプレゼントしたことがあった。
こっちは1枚でも多く自分のLPが欲しいのに、死ぬ気でそれを我慢してプレゼントしたワケだ。学生の2,500円は大金だ。今でも大金だ。
彼女はよろこびながら袋からレコードを取り出すと、真っ先に人差し指を帯に引っかけてバリっと破ってしまったのだ。
もちろん私が悲鳴を上げたことは言うまでもない。「だってジャケットが全部見えないジャン!」と彼女は横浜弁で答えたとさ…めでたくない、めでたくない。

78コレはヒドイ。Roy Woodの名盤『Boulders』が『ミュージシャンはマジシャン』だって!んなワケねーだろ!
このCaptain Beyondもスゴイ。『Sufficiently Breathless』が『衝撃の極地』だもんね。
いいナァ、こんな仕事したかったナァ。
アイルランドのFruuppはなかなかいいよ。

79こんな変形帯のアイデアも当然出てくる。
右ページの一番左はシリーズ企画で、The Mothers of InventionやJethro Tullも含めて全部で9作だけ制作された激レアアイテムだそうだ。

79_2Frank Zappa特集。
何しろ植村さんはZappa好きが高じて、転職をしてまで契約をしにLAのZappaの家まで行った人だ。
当然ヌカリはない。
私はコレラの邦題は好きじゃないけどね。
90

こうした手書き文字の帯もたくさん存在した。どれもほとんどタッチが同じだもんね。
ああ、帯おもしろいナァ~。
ああ、オレの帯~!

80_23番目のテーマは日本で独自に制作されたアルバム。
これもかなり好き勝手やってて楽しい。

79_4コレはMarshall Blogで過去に詳しくやっているので下をご覧いただきたい。

【Music Jacket Gallery】
日本独自ジャケットLPコレクション<前編>
日本独自ジャケットLPコレクション<中編>

79_5各ページの下欄に認められた植村さんの含蓄に富んだ解説がまたいい具合で、簡潔ながら実に読みごたえがある。
各グループやアーティストひとつにつき1枚ずつ掲載するという基本ルールを課したらしいが、どうしてもヒイキのバンドは複数枚が選ばれた。
膨大なコレクションの中から掲載アイテムを厳選し、狭い紙幅で解説を加えるのはさぞかし苦しい作業であったと思う。
将来の夢はレコードの博物館を作ることだという植村さん。今回のこの本を目にした人の多くがその夢が早くかなって欲しいと思ったに違いない。

繰り返すが、上記の内容には植村さんからうかがったお話しをふんだんに盛り込ませて頂いた。

『洋楽日本盤のレコード・デザイン』の詳しい情報はコチラ⇒グラフィック社刊公式ウェブサイト

235v
ここから第二部。
せっかくの機会なので私のコレクションもチョロリと並べて本稿末尾を汚させてもらうことにした。
先述の通り、帯のコレクションはとっくの昔に逸失してしまっているので、残っているものの中から本に出ていないと思われる、目についた手近なものをランダムに引っ張り出してきた。
植村さんの本とダブっているものがあったら失礼をお許し頂きたい。

●左のJose Felicianoは古い。「1968年のグラミー賞」がどうのと言っているぐらいだから45年ぐらい前のモノだ。レトロ感がハンパじゃない。もちろん中古でゲットしたもの。
●Pacoは観といてヨカッタ!しかも長野県の岡谷で観たのよ。
●Focusの未発表音源集の原題は『Ship Memories』。『美の魔術』とは一体ナニゴトか?
2曲目の「Can't Believe My Eyes」という曲のJan Akkermanがカッコいい!5曲目の「Gilder」は「Mother Focus」と同じじゃんかよ。でもこっちの方が素敵!
●Genesisの『静寂の嵐』の原題は『Wind & Wuthering』。「wuthering」というのは「風が激しく吹く」というイギリスの方言で、普通の辞書に出ていないように記憶している。
ブロンテの『嵐が丘』の原題は『Wuthering Heights』という。Kate Bushの名曲も同様。ヒースクリフとキャシーね。いずれにしても「静寂」とは関係ない。
●PMFのアルバムはナゼか2枚持っていて、その両方に帯が付いてた。CDもあって、それにイタリア語版のLPもあるので、何やらにぎやか…。Areaの方が好きなんだけどな。

110_2ここも何てことはないんだけど…
●Hermeto Pascoalのこのアルバムはジャケット(外も中も)も好きで大切にしてる。
●真ん中のHal WilnerのWeilのトリビュート・アルバムは大阪の阪急箕面駅の横のスーパーの上のレコード屋で500円で買った。ZappaのところのFowler兄弟なんかが参加している大好きな一枚。一時聴き狂った。
Hal Wilnerの2作はCDが見つからなくて苦労した。Weilの方は意外安くゲットしたが、Monkの方はいまだに見つからない。なんで廃盤になってんの?
●WingsはHipgnosisのカッコいいジャケットとまったく関係ない帯のデザインがかえっていい。この頃のPaulは曲もパフォーマンスも最高にカッコよかった。
●なつかしいRough DiamondはUriah HeepのDavis Byronがいたバンド。「笑うダイアモンド」と思っていたヤツがいたけど違うってば!コレ、帯がパラフィン紙でできてるんだよ。

120さて、上のThelonious Monkのトリビュート盤にはスゴイことが起こっている。
本体と帯に表示されている値段が違うのだ。
定価を変える時、金色の値段のシールを貼って急場をしのぐことは珍しくはない。ナ~ニ、どうせ100円とか200円の違いだろって?
とんでもない!
コレが、本体が2,800円で帯に表示されている定価が3,800円。ナント1,000円も値差があるのだ!
このアルバムは2枚組なので、3,800円が正しいのだろう。
チョットしたチェック漏れなんだろうけど、担当の人、相当怒られたんじゃなかろうか?

130_2帯じゃなくて「フィルム+ステッカー」という仕様もあった。はがしたくてもガマン、ガマン。

140植村さんの本はロック作品ばかりなのでジャズLPの帯を少々…「少々」というのは、ジャズのLPは東日本大震災以降、ゴッソリ階下の倉庫にしまい込んでしまったのですぐに引っ張り出せるものがないのよ。
それにジャズのLPはカッコいいジャケット・デザインは多くても、おしなべて帯のデザインは単調でつまらないものが多い。
左の2枚は日本のジャズ・レーベルThree Blind Miceの水野修孝という人のビッグ・バンド作品。香津美さんが客演してバリバリ弾きまくっている。
右は八城一夫というピアニストの作品。

150『Put in Tune/八城一夫フィーチュアリング渡辺香津美』という1975年録音のドラムレスのピアノ・トリオ作。
帯にはこうある…『ベテラン八城一夫と気鋭のギタリスト渡辺香津美との出逢い』。
30年以上前に神保町のTONYで2,000円で買って以来の大大大愛聴盤。
ジャケットはトホホだが、内容はあまりにも素晴らしい。多分CD化されていないと思う…どうかCD化しないで!独り占めしておきたいのだ!

160_2帯はボックスものにもこうして平然と付いてきた。

170日本のロックを少々。
ウシャコダもおとぼけCATSも大好きだった。昔はいいバンドが山ほどいたんよ!

180●YMOは透明の盤が欲しくて買った。コレ、香津美さんのギター・ソロがそのまま収録されていたら芸術的価値が何倍にもなったし、みんな聴いたら驚いたろうにナァ。もっともそれがマズいので香津美さんはグループを離れたとかいうウワサも聞いたことがあるが…ウワサだよ。
後のノーカットのライブ音源『Faker Holic』で聴けるようになった香津美さんのソロはヤッパリスゴかった。
●驚いたことに『ゴールデン・ピクニックス』を録音した時の森さんや大二さんって、まだ22歳だったんだよね。今のうちのセガレたちより若かった。昔の人はスゴかった。22歳で「Lady Violetta」だからね。
このアルバムの「パリ野郎」とか「ネッシー」とか「ヴィオレッタ」を聴いていて思うのは、今の若い人のバンドって、つくづく器楽のメロディ、すなわち楽器で奏でるメロディがないよね。機材のことは詳しいかもしれないけど、楽器本来の魅力を発揮する場面が圧倒的に少ないと思うね。
●ハード・ロックを聴いている男の子ならみんなきっと好きだったBAD SCENE。アルバムが出ると聞いて浮足立った。そして、聴いてみんな撃沈した。ガックシ…。
あのカッコいいBAD SCENEはいずこへ?
これぞ「神戸牛のハンバーグ化」の極致。イヤ、「ピーマンの肉詰め」か?
「風に向かってぶっ飛ばせ」も「Rising Dream」もズタズタ…。さんまは目黒に限るのに!
「Bird of Fire」も「ペルシャの女」も「Dancing Wizard」も「フィーズ」も収録されていなかった。
今、あの頃の曲をそのまま吹き込んで若い連中に聴かせたらビックリするんじゃないかな?
「日本のロックはこんなにカッコよかったんだ!」って。
帯を見ると『誰が、ROCKを口あたりのいい音にしてしまったのか』って謳ってる。少なくともBAD
SCENE自身のせいではなかろう。
ギターの杉山さんと話した時、「今使っているストラトは都内のほとんどの楽器屋さんで試して一番音がヨカッタのを選んだ。Marshallは50Wが欲しかった」とおっしゃっていたのを覚えている。1987をお使いだったのだ。
●もしかしたら私の大したことないコレクションの中で一番聴いたアルバムはパンタ&HALの『マラッカ』かもしれない。

190_2パンタ&HALのスタジオ録音盤2枚、『マラッカ』と『1980X』。参加しているメンバーは異なるが、兄弟のような出で立ちだ。
双方、写真は鋤田正義さん。

200_2『1980X』は両面表1という仕様で、帯もそれに対応したデザインになっていた。
上の写真に見えるサインは、私が高校の時、このアルバム発表直後ぐらいに頂戴した。歌詞でPANTAさんと共同創作をしていた三文役者のボーカル、花之木哲さんの口利きでPANTA&HALのリハーサルにお邪魔した時のことだ。
私は高校の時、三文役者の(今でいう)ローディみたいなことをさせてもらっていたのだ。
場所は渋谷の明治通り沿いの場外馬券売り場の前あたりにあったVEGAスタジオ。
今にして思うと、いくら紹介があったにせよ、よくあんなどこの馬の骨かも知れない高校生をスタジオに入れてリハーサルを見せてくれたものだと思う。
きっとこのアルバムのレコ発コンサートのリハーサルか何かだったのだろう。
LPを差し出してサインをお願いするとPANTAさんは「毎度あり!」とおどけながら気さくに「どの曲がヨカッタ?」と私にお訊きになった。
私も気の利いたひとことでも言えればよかったのだが、緊張してしまって、前から知っていて聴きなじみのあったアルバムのオープナーである「トトトト、トゥ・シューズです」と月並みな返答をしてしまった。
するとPANTAさんは「あ、そう。『ナイフ』なんてすごくいいと思うんだけどな…」とおっしゃったことをよく覚えている。
あまりにもカッコいい浜田さんのドラムで始まる「ナイフ」もよかったし、「Audi 80」だって、シングル・カットされた「ルイーズ」だって「Kick the City」だってよかったのに!もちろん「トゥ・シューズ」もいい曲なんだけど…PANTAさん、きっと「つまらない子だ」と思ったに違いない。
休憩の時には、「HALのテーマ」のコード進行を平井光一さんに教わった。
メモ用紙がなかったのでLPを入れて行った石丸電気の紙袋のフタの部分の裏にズラズラと平井さんが口にするコード名をそのまま書いていった。13thだの9thだのMaj7だの…その時は丸っきりチンプンカンプンだった。
「それで後でわかる?」
平井さんは心配してくださったが、何しろ譜面の読み方なんてまったくわからない時分のことだ。小節の縦線なんてことは頭にまったくない。どうにもならなかったけど、その袋は長い間大切に保管していた。
とにかく大好きなバンドのそばにいられただけで猛烈にうれしかった。
それが今ではPANTAさんにもよくして頂いて…ああ、なんて幸せな人生なんだろう!

210_2本に合わせてシングルの話しもひとつ…。
これがそのシングルの「ルイーズ」。
1978年にイギリスで誕生した世界初の試験管ベイビー、ルイーズ・ブラウンの名前をタイトルに冠した曲。何てカッコいい曲と歌詞なんだろう!やっぱりこんなの聴いちゃうと今のロックってい一体どういうつもりなんだ?と思っちゃうよね。
そしてB面の「ステファンの6つ子」。B面といってもコレは両A面なんだな。
名曲中の名曲「ステファン」…今でも時々口ずさむ時がある。
ジャケットも銀ピカでイカしてる!ちょっとCal Shenkelみたいなタッチ?そう、「頭脳警察」という名前からもわかるようにPANTAさんは大のZappaファンなのだ。
このシングル盤は私の宝物のうちのひとつ。

220_2…ということで悪ノリして勝手に「第二部」なんてくっ付けちゃったけど、シングル盤や帯の魅力がいくらかでも伝わって、植村さんの本に興味を持って頂ければ幸いである。
しかし…この本に掲載されている作品の多くでMarshallが使われているだろうし、もしMarshallがなかったらページ数もグッと減っていたかもしれないジャン…なんてことを考えたのは日本で私ひとりだろうナァ。でも、それは事実なのだ。
おススメです。

240_2P.S. 植村さん、貴著へのクレジットありがとうございました。

(本項内における当該書籍の転用・掲載は著者の許可を得ています)