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2013年6月 4日 (火)

Music Jacket Gallery~日本独自ジャケットLPコレクション<中編>

Shige Blog 2012年7月24日 初出

今日はMusic Jacket Gallery、『日本独自ジャケットLPコレクション』の<中編>。もちろん金羊社のギャラリーからお届けします。

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以前、ある専門学校で音楽や楽器に関する講義をさせてもらったんだけど、そこで「音楽配信の恐怖」に触れた。こういう機会があると必ずこの話をするようにしてるの。でも、ん~、あんまり若い人たちはピンと来てないみたいだよね。「ジャケット」がなくなってしまう!コンセプト・アルバムがなくなってしまう!なんてことはどうでもいいのね。

インヤ!いいワケない!やっぱり若い人たちは魅力を知らないだけ。ジャケットをまとうにふさわしいチャンとした音楽に囲まれていないからその楽しみや重要性がわからないだけだと思うのですよ。

それにしてもレコード会社の方々は大変だ。フィジカル・プロダクツを守らなければならない一方、営利事業として音楽配信を推進しなければならないのだからね。

でも、大丈夫!いい音楽さえ創出すれば、またよくなりますよ。まず、次々にテレビに出てくるチープなバンドをシャットアウトして歌謡曲をもう一度隆盛させましょう。もう「さくら」は禁止!

才能あるソングライティング・チームに、10年後、20年後にも歌い継がれているであろう佳曲をドンドン作ってもらい、レコーディングでは打ち込みを卒業して、腕の立つミュージシャンに本物の楽器を演奏してもらいましょう。歌は少しぐらい下手でも豪奢な衣装をまとった見目麗しい方にお願いしましょう。もうひとつ、優秀なコレオグラファーを起用して誰でも真似をしたくなる楽しい振付をクリエイトしてもらいましょう。

一方、テレビから締め出されたロックバンドだと思っている人たちは、60年代後半からパンク/ニューウェイヴ出現以前のロックをしっかり聴きこんで、一から「ロックバンド」として出直してみたらいかがでしょうか?みんなでカッコいいギターリフを編み出して、ギターソロを練習する。そして、ダークでへヴィで不健康なロックの世界を再構築してしてもらいたい。

テレビを見ていると、新しいものを作ろうとすればするほど、ヘンなものが出てきてしまうように思う。やりつくしてしまっているからしょうがない。音楽はもう先祖返りするしかないと思う。先人の偉大なる遺産に本質を見出し、自分たちの世代の感性を注入して、何かを作り出すしか道は残されていないのではないか?何とかクリエイターとかハイパー何とかはもう卒業なんじゃない?

とにかく、さんざロックで楽しませてもらっていい思いをしたおじさん(おばさんも)達みんなで若い人たちにカッコいいロックを教えてあげましょうね!ジャケットの魅力も同様なのだ!

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ということで今日はロックの原点のひとつ、ジミ・ヘンから!

1968年にイギリスで発売されたJimi Hendrix Experience初のベスト盤、『Smash Hits』。んなこたぁ皆さんご存知ですね?イギリス盤はモノラル。その1年後にアメリカではステレオで発売された。イギリスでは4位、ビルボードでは6位までチャートを駆け上がった。

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これも『Smash Hits』。そう。これが日本盤。この魚眼レンズで撮った写真はアメリカ版『Are You Experienced?』に使われていた有名な写真…ともチョット違う。なんでこんなに曲げちゃったんだろう?まさか、気が付かなかったワケじゃあるまいに…。ま、ジャケの出来としては特段悪いワケじゃないけど、差し替える理由もないと思うんだけどナァ…。でもこれはまだいい…。

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問題はコレよ。『Axis: Bold as Love』だぜ!もし、この表1からすべての文字情報を取り除いたら、初めて見る人にはこれが『Axis』だってわからないだろうナァ。
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元はコレですよ、コレ。どうしてあんなことしちゃったんだろうか?

答えは簡単。「売れると思って…」上のジャケットに差し替えたに違いない…とは植村さんの弁。同氏によればこの国内盤、10ウン万円のプレミアがついている超レア盤だとか…。海外のコレクター垂涎の的でもあるそうだ。

もうこうなるとジャケットの意味合いを無視しているとしか思えないよね?いくらプレミアが付いているとはいえこっちの方がいいナァ~、ねぇシゲさん?

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あ~あ、表4もこの通り。ドッペリ日本語を刷り込んじゃってる。コレ、もともとはゲイトフォールドじゃない?まさか経費を下げるために強引にシングル・ジャケットにして、裏ジャケをこういう装丁にしたのかな?

いずれにしても、ジャケットが作品の一部であるということを無視していることは間違いないよね。

「ヒデーな~」と思う人もいるかもしれない。私もそう思うけど、ジャケットを必要としない音楽配信よりははるかに文化的でよろしいよ。まさかレコード・ジャケットが抹殺される世の中が来るとは思わなかったね。

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これも!これはProcol Harumのファースト・アルバム『Procol Harum』の国内盤。あの黒っぽいイラストのヤツね。

どうもProcol Harumは『Grand Hotel』以外馴染みにくくて、昔からほとんど聴いていないんだよね。(…といいつつ2006年のデンマークのライブ盤をかけてみる…)ん~、やっぱりいいな~Procol Harum。っていうより、Geoff Whitehornのギター!Geoffが参加していなかったらコレも買ってないな。何せオーケストラと合唱隊が加わっていて、1曲目から「Grand Hotel」でしんみりとご機嫌なんですよ。短いけれど真ん中のギターソロは実にドラマチックでGeoffのギター・スタイルはこういう曲にピッタリだ。

先日のジムの会の時、ちょうど会場に着いたのが同時で、車から降りてくるなり「シゲさ~ん」とあのなつかしい声でハグしてくれたGeoff。今年の年末は日本に来るかも…みたいなことを言っていたがProcol Harumでも来るのかな?

以前のブログでも書いたけど、もう見れなくなっちゃったからもう一回書いちゃおう!…そんなだからProcol Harumにはウトくて、メンバーの顔もよくわからん。で、Procol Harumが来日して四人囃子と新宿厚生年金大ホールでダブル・フィーチュア・ショウが催された。Geoffに日本酒の差し入れを持って行ったんだけど、どこにも見当たらない。ドアが開けっぱなしの楽屋に入って、「Geoffはいませんか~?」とそこにいた白髪の老人に話しかけた。「イヤ、いないな。どっか外へ行ったんじゃないかな?」みたいなことを言う。その人、ゲイリー・ブルッカーだったの!ああ、握手しておけばヨカッタ!ファンでもないのにこういうところはやっぱミーハーでいかないとね!

しばらくして、ガヤガヤと騒がしくなったと思ったらGeoffと数人が楽屋へ帰ってきた。やっぱり!もう外へイッパイひっかけに行ってた!日本酒を渡すと大層よろこんで…ああ、本番までに4合ビン、ペロっと空けちゃった!

で、肝心のこのファースト・アルバム、聴いたことないんですよ、そんなだから。でももちろん「A Whiter Shade of Pale(青い影)」はおなじみにならざるを得ませんな。何せ世界でもっとも電波に乗った曲とかいう話しを聞いたことがある(イギリスで一番かも知らん)。ナント、ナント、世界で1,000回以上カバーされたらしい。

こないだ、って言っても前のブログか…Pink Floydの『狂気』のことを書いたことがあった。あれも「The Great Gig in the Sky」が著作権でモメにモメた。

この「A Whiter Shade of Pale」も同じ。Gary BrookerとKeith Reidの共作ということになっていたけど、Mather Fisherがイチャモンをつけた。「オレも作曲に協力したんだ」とね。2006年に勝訴。

先の厚生年金の時にはかなりMathewがフィーチュアされて仲がいいのかと思っていたけど、こんなことがあったのね?で、Mathew Fisherは辞めちゃった。過去の印税をゲットできれば「青い影」1曲で遊んで暮らせるんじゃないかね?

この日本盤、おもしろくはないけど、ジャケットのデザインとしてはそう悪くないと思う。

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1968年、Soft Machineのデビュー・アルバム。Chas ChandlerとTom Wilsonのプロデュース。元来のジャケットは歯車を模したギミック・ジャケット。はじめからこの日本盤のデザインだったらなんら問題なかったんじゃない?体育座りしているRobert Wyatt、Mike Ratledge、Kevin Ayersの3人が可愛い。

「カンタベリー派」を代表するというか、開祖というか、とにかく「カンタベリー=ソフト・マシーン」という図式は有名でしょう。好きでね、カンタベリー・ミュージック。わざわざカンタベリーまで行ったけんね。

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サイケ期だけあって、Robert Wyattのホンワカした声とユルイ曲調がはじめダル~イ印象を与えるが、演奏は実に鋭くてカッコいい!特に声とは正反対の閃光のようなドラミングがタマらん!

Soft Machineのアルバムは『Volume 1』から始まって7枚目まで数字がタイトルになっていた。Chicagoみたいにね。正確に言うと、5枚目までが序数でなぜか6枚目と7枚目は『Six』、『Seven』と普通の数字だった。

アルバムデザインも数字だけのタイポグラフィからイラストだのアー写だのよくいえばバラエティに富んでいたし、悪く言えば一貫性が何らなかった。でも、それぞれがどこかSoft Machineっぽくて好きだな。
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Trafficもほとんど持ってるけど、どうも入りきれないグループのひとつだな…。なんでだろう?この日本制作のベスト、内容をチェックしなかったのでどのあたりが網羅されているのかわからないけど、控えめでいいジャケットだな…。

Trafficもジャケットがパッとしないバンドだったように思う。名盤の誉れ高い『Barleycorn』もネェ~。案外好きなのはあの2枚組のライブ、『On the Road』。

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これが私のOn the Road。ヒースローからバーミンガム方面に向かうM1というフリーウェイを通過中の車内から撮った写真。すぐに「お!Traffic!」と思ったね。運転手に「なんだってこんなところ撮ってんの?」と訊かれて説明したけど、Trafficを知らなかった。

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1972年のManfred Mann's Earth Bandの『Manfed Mann's Earth Band 』。お~、これは改良なったかも!なんで右下に2眼レフのカメラを配したのかわからないけど…。
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元はコレ。上の赤い日本制作の方がよくね?

このバンドもジャケットに恵まれないように思う。耳の『The Roaring Silence』と『Soloar Fire』ぐらい?先述のGeoff

Whitehornが参加している『Chance』なんて一体ヤル気があるのか、気持ちを確かめたくなる。

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驚いたのは、このアルバムというか、この時期、ドラムってChris Sladeだったのね…いかに熱心に聴いていなかったかがわかっちゃうね?私、2年前にジミー桜井さんが参加したVon Zepを撮らせてもらったことがあって…そのドラムがChris Sladeだったんですよ。それだけ。

それにしてもManfred Mannのバンドって立ち位置が独特なんだよな。なぜかやたらとカバーを演ってるし…。1964年のアメリカ編集の『The Manfred Mann Album』というアルバムにCannonball Adderlyの「Sack O'Woe」が収録されていたにはのけぞった!

だいたい先の『Roaing Silence』の「Blinded by the Light」だってBruce Springsteenだもんね?でもそのカバーっぷりがいいんだよね!はじめて聴いた時、「おお!いい曲!」と思って、後でスプリングスティーンの曲って聞いてガッカリ…で、今度はスプリングスティーンの曲を聴いたらアータ全然マンフレッド・マンの方がいいじゃないの!というよりまるっきり別の曲だし…。こんなに作り込んでカバーするなら、最初っから自分たちで曲を書けばいいじゃん?とまで思っちゃうよね。イギリスを代表する名門バンドに向かって失礼だけど、何か愛すべきバンドなのですよ。マンは。

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イギリスのブルース、R&Bの名門レーベルImmediateのオムニバス盤。同レーベルから『Blues Anytime』というコンピーレーション・アルバムがあるが、それをクラプトン、ベック、ペイジの参加している曲に的を絞り、それにジェレミー・スペンサーとジョン・メイオールのちりばめたといったところか…。

ジャケットはいいよね~。このベルボトム!クラプトンのベルトも仮面ライダーみたいでカッコいい~!ところで、「ロンドン・ブーツ」という言葉は死語ですかね?お笑いコンビを指すとき以外には聴かなくなった。ここ十年ちょっと、毎年何回かロンドンへ行っていても、そういえばロンドン・ブーツを履いた人はついぞ見たことがない!

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それにしてもイギリスの人ってブルース・ロック好きだよね~。さっきの「Blues Anytime」を全曲(47曲)聴くのもかなりの苦行だ。にもかかわらず6枚組のCDボックスセット『The Immediate Singles Collection』なんてのを買い込んで来て…最後に聴いたのはいつだったかナァ~。

でも、デンマーク・ストリートあたりの楽器屋へ入るとこんなんばっかりよ。バップ・フレーズ弾いてるヤツなんて一度も見たことない!ホント、イギリス人はブルース・ロックが好きだと思う。

でも、ま、こういうのがツェッペリンになったり、ジェフ・ベック・グループになったりするワケだからこういうのも感謝して聴かなきゃな…少なくともパンクやニューウェイヴとは比べものにならないくらいカッコいい!

若者よ!ブルース・ロックを聴け!私ももっと聴く!
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またManfred Mann。こっちは1964~1965年に録音されたもののコンピレーションだ。1968年頃の発売。邦題が『ロックからブルースへ』という。スゲエな、このデザイン。今ではもうこんなの描ける人というか、こんな感覚持ってる人っていないんじゃいないの?すごくいいんですけど…。少なくともオリジナルのマンフレッズのアルバム・ジャケットより好きかな?これは田名網敬一さんかな?違うか?
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Steppenwolfの名前は知らなくても「♪いつものラーメン」で始まるあの曲なら知らない人はいないでしょう?そう「イージーライダーのテーマ」…違う!「Born to be Wild」だね。今ではFuzzy ControlのジョンジョンがコーラのCMで歌ったり、ジャムセッションで重用されたりして、映画のイメージがなくなってきた感はあるけど、我々世代は映画『イージーライダー』が流行ったこともあって、この曲は「ワイルドで行こう」より「イージーライダーのテーマ」だったように思う。

Steppenwolfはカナダとアメリカの混成バンドで1967年のデビュー。もうこの頃からワイルドだったんだゼ~。私は子供のころそれこそ日本制作のベスト盤を1枚、数寄屋橋のハンターで買った以外に1回もこのバンドに手を出していないが、ものスゴイ人気だったのね?

だってだゼ~、世界中で25百万枚のレコードを売って、8枚のゴールド・ディスク、12曲のビルボード100ヒット、そのうちの6曲がトップ40だってーんだからね。

その割に、このバンドのアルバムって言われても見事に1枚もジャケットが頭に浮かんでこない。まったくダメ。日本でオリジナル・アルバムって発売されていたのかしらん?

世の中には欧米と日本での人気の度合いが異なるバンドが山ほどあるけれど、もしかしてこのSteppenwolfが一番なんじゃない?

ちなみにこの日本制作のベスト盤のタイトルは『ハード・ロックの王者』という…冗談でしょ?!MjgIMG_0150

Peter Framptonはマーシャルを代表するギタリストとされている。我々日本人にとっては『Comes Alive』であり、「Show Me the Way」であり…。どうもジムと仲がよかったという話しも聴いたことがある。イヤ、それよりもイギリスでは、このThe HerdであったりPieの『Performance Rockin' the Fillmore』や『Rock on』であったり…。この人も欧米と日本でのとらわれ方が大きく異なるミュージシャンのひとりではなかろうか?でも、こうしてThe Herdのベスト盤が出ていたところを見ると『Comes Alive』以前の日本でも評価もまんざらでもなかった…かどうかは私は知らない。
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コレ、圧倒的に変なジャケだよね。これで表だよ。John Peelプロデュースするところのリバプール・サウンドのコンピレーション…とか思っちゃうよね「The Liverpool Scene」なんて聞くと。これはグループ名。1968年の『Amazing Adventure of』というアルバム。

へヴィめのロックにのって誌をよむように歌詞を乗せるスタイルのバンドだ。ピールの助けで大学サーキットでは少々の成功を納め、ツェッペリンの前座までやったらしいが、アメリカに渡ったら失敗をブッこいた。

「新鮮」とまでは言わないまでも、聴きようによっては十分に楽しめる。でも、歌にメロディがほとんどないのは致命的。必ず飽きてしまう。
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Chris Speddingはかなり昔から名前を知っていた。何かで読んだように記憶しているが、「日本で3大ギタリストといえば、クラプトン、ベック、ペイジだけど、本国イギリスに行くとクリス・スペディングが入る」…これが非常に印象的だった。『ギター・ジャンボリー』ってのがすごく気になったけど手に入らなかった。これを実際に聴いたのはかなり後になってからだった。

スペディングはJack Bruce、Ian Carr、Mike Gibbsとの共演を果たしたブリティッシュ・ジャズ・ロックの重要ギタリストだった。それでずいぶんと気になって、いろんなアルバムを通じて彼のプレイに耳を傾けたが、納得がいったことは一度もなかったな。

FreeのAndy Fraserとのバンド、The Sharksが聴きたかったけど当時全然手に入らなかった。今でも持ってない。

他にもJohn Cale、Bryan Ferry、Elton John、Eno等とのレコーディングをした…こうして見ると、下手をすればこの人はイギリスでもっとも広範囲な活動を展開したギタリストかもしれない。

1977年、Bryan Ferryが単独で来日した時、中野サンプラザでクリス・スペディングを見た。トレードマークのフライングVを下げていたがそれ以外には特に目立つ点はなかった。この時、Andy McKay、Paul ThompsonというRoxy勢に加えて、ベースがJohn Wettonだった。『Manifesto』で復活する前で、Roxyが休んでいただけにファンだった私にはメチャクチャうれしいコンサートだった。Roxyが復活して来日。その武道館のコンサートも観たが、あまりパッとしなかったな…。

その後、BSかなんかでRobert Gordonのバックを務めるクリスを観た。彼のフィーチュア・コーナーもあって「ギター・ジャンボリー」なんかを演奏していたが、歌があまりにも貧弱で情けなかった。また、昔はモノマネもよかったのかもしれないが、技としては東京おとぼけキャッツを通過していた私にとってはクリスの芸が「憐れ」にさえ見えた。

ところが!ゴードンのバックとなると話しは違っていた。クリスのプレイはあまりにも正確でカッチリとしており、彼が60年代よりテクニック派のミュージシャンたちに重用されていたという長年の謎がいっぺんに解けた気がしたのだった。こういうギターはなかなか弾けないもんだ。

このクリスのベスト盤『Spedding the Guitarist』、パッと見るとAlan Parsons Projectの作品を連想させる。
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Ten Years Afterを知ったのは映画『ウッドストック』。どこで観た時だったけかナァ~。中学の時だった。もう退屈で退屈で、すっかり寝てしまった。気持ちよく寝ているのを叩き起こすように耳になだれ込んできたのはAlvin Leeの『ヘリコプター』のイントロだった。いっぺんに目が覚めたね。

それで『Sssh』、『Watt』、『Recorded Live』等、何枚かTen Years Afterのアルバムを買い込んだ。もっとバリバリとギターを弾いていることを期待していた私はガッカリした。その中の1枚が『Stonehenge』だった。
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私が中古で買った『Stonehenge』はこういうジャケットだった。確か当時は廃盤になっていて貴重っぽい感じがしていたと思う。内容は確かツラかったように記憶している。

日本盤デザインでもオリジナル・デザインでもどっちでもいいか…。(注:本記事掲載後にAlvin Leeが亡くなっている)

  Stonedhenge

これはまた珍しいパターンかもしれない。『John Mayall Plays John Mayall』という1964年のライブ・アルバムが元。日本制作盤のタイトルの方が『Live at Klooks Kleek!』と複雑になってる。

Klools KleekというのはロンドンはWest HampsteadのThe Railway Hotelにあったジャズ、R&Bのクラブ。<前編>のGraham Bond Organisationのところで紹介したアレ。隣にデッカのスタジオがあったそうだ。
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植村さん、また名前入れちゃってる。左下の「John Mayall」ってのは何か貼ったのかな?こういうのを見ると植村さんがただ「集まりゃいいわ」というだけのコレクターではなくて、1枚1枚可愛がってよく聴きこんでいるのがわかる気がする。実際、内容について質問しても即座に答えてくださる。聴いてなきゃこんなことはできないもんね!

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ってチョット待てよ…。West Hampsteadで隣にデッカのスタジオね~。と、我が写真のコレクションをひっくり返してみた。『イギリス・ロック名所めぐり』の資料フォルダだ。

これがジュビリー線のWest Hampstead駅でしょー。

Decca_hampstead

ここを背に数ブロック行って左に折れると…。元のDeccaのスタジオがある。今はバレエの学校になってる。で、その隣っていうと…確か写真を撮ったな…。

Decca_decca
オワ~!あったあった!RAILWAY HOTEL!素敵なホテルだな~、と思って撮っておいたのですよ。ここにKlooks Kleekがあったのか!これはまた『ロック名所めぐり』でやりましょうね!

Decca_railway

このTen Years Afterの1968年のライブ盤もそのKlooks Kleekで収録された。手元にあったアー写でジャケット作っときました!ってな感じ?

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このジャケットのイラストはとてもいい。いいんだけど、何だってクラプトンだけ老けてんの?一種の便乗商法ですな?

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こっちがオリジナル。こっちもなかなかにいい。これはロンドンの名門クラブMarqueeでの1964年のライブ。

Marqueeは3店目までが重要だ。1号店、2号店はどこにあったかハッキリわかっていたんだけど、3号店がどうしてもハッキリわからなかった。「このあたりには違いないんだけど…」とCharing Cross Roadをさまよってみても、どうもよくわからない。それが、こないだロンドンに行った時に見つけてしまったんですよ!うれしかったね。この話も『名所めぐり』でね!

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こういうのはもはや日本のお家芸ですな…。季節のコンピレーション?(アルバート・ハモンドは違うけど…イヤ、秋になると「落葉」といっしょに出てくるのかな?)

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The Original Caste…知らないナァ~。カナダのフォーク・ポップ・グループなんだって。わかりやすくいえば、PPMであり、サイモン&ガーファンクルであり、ジョン・デンバーであり…ようするに私には関係ないってことなのね?道理で知らないと思った!

これは1971年のライブ・アルバムで、驚いたことに同年に『Volume 2』としてもう1枚日本でのライブ盤を追加発売しちゃってる!人気あったんだねぇ~。

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1972年にリリースされたThe Shocking Blueのライブ盤。オランダだっけ?「Venus」以外の曲をまったく知りません。こんな人…多いんじゃないかな~?盛り上がったんだろうな~、あのイントロが聴こえた瞬間!
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これは圧倒的に帯がおもしろい!ちょっと書き出してみると…

⇒これは、あのピーター・ガブリエルが在籍したジェネシスの幻のデビュー・アルバム「創世記」に、4曲の未発表テイクをプラスした超ボーナス盤だ!

⇒ジャケットも日本盤のみの特製デザイン!

⇒さらに初回プレスのみ、今英米で大流行のカラー・レコード盤なのだ!(実際に自分の目で確かめよう!)

⇒それで価格は、たったの2,000円!早いもの勝ちだ!

突っ込みたいところは多少あるが、この際よそう。ピーガブ人気に乗って、とにかく、ものスゴイやる気を感じますナァ。これでどのくらい売れたんだろう。

以前、どこかに書いたけど、ガガ様が「奇抜な衣装、奇抜な衣装」とよく言われているようだけど、少なくともピーター・ガブリエルが40年以上も前にもうやっちゃってると思うんだよね。

こうして先祖がえりが所々で取り入れられているんだけど、誰もそれがオリジナルではないことを指摘しないんだよね。それじゃダメだ。

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これはごく平均的常識的な日本制作盤ですな。選曲もよろしい。

ロイ・ブキャナンは後楽園ホールで観たけどスゴかったナァ~。

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Steely Danの日本制作ベスト盤。Danには『A Decade of Steely Dan』というかなりよくできたベスト盤があるので他は無用に思うが、これは故山口小夜子をフィーチュアしてどうしても作りたかったんだろうネェ。帯には彼女の推薦の言葉が書いてある。それにしても、Steely Danの最高傑作のジャケットを日本人が飾る…なんてスゴイことだよね。

Steely Danについてチンタラ書いているととても終わらなくなってしまうので、このベスト盤についてだけ書くことにしよう。

帯には「「ドゥイットアゲイン」から「彩AJA」までスティーリー・ダンの軌跡を収めたベスト・アルバム!!」とある。で、選曲に目をやると…

<SIDE A>

1. Do It Again

2. Dallas

3. Sail the Waterway

4. Black Friday

<SIDE B>

1. Aja

2. Kid Charlemagne

3. Rikki DOn't Lose That Number

A面2と3は未発表曲。するとたった5曲で、このバンドの軌跡を辿っていることになる。ただでさえ『Can't Buy a Thrill』から『Aja』まで6枚の傑作が存在している。1枚当たり1曲以下の選曲となるワケでしょ?これは土台ムリな話し。

制作企画の時にどんな話しが出たんだろう?もっともファンに未発表の2曲を売るためだけを目的として制作されたんだろうけど、もし制作にダン・ファンの人が関わっていたとしたらそれは拷問だ。「アレも入れたい、コレも入れたい…でも5曲しか選べない!」。会社の命令とはいえ、ツラい仕事だろうナァ。やっぱり好きなものを職業にするには大変な覚悟がいるということだ。

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これ持っててさ、某中古レコード店に売ったら、想像をはるかに超える値段がついた。売らなきゃヨカッタ…。でも、『Something/Anything』を持っていたので処分しちゃったんだな~。

ジャケットがカッコいいって当時言われてた。それにしても、コレなんだってこんなダイジェスト版にしちゃったんだろうね。当時のトッドの人気では2枚組は負担だったってこと?イヤ、もうあのときには『Todd(未来から来たトッド)』が国内盤で出てたもんね。『Something/Anything』がツマラナイってこと?イヤイヤ、名盤の誉れ高いではないの…。契約の関係?

とにかく売らなきゃヨカッタ…いまだに臍を噛む思いの1枚。

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Deep Purpleの1968年のデビュー・アルバム。自国イギリスよりも、アメリカで最初に注目された。アルバムのデザインは何種類か存在したが、この日本版に使われている写真はシングル「Hush」のイギリス盤に使用されたものであろう。

このアルバムに参加している、つまりDeep Purpleの初代ベーシストでありNick Simperが「ジムの生涯を祝う会」に来ていた。仲良しのスティーヴ・ドーソンが教えてくれた。「シゲ、シゲ!ニック・シンパーが来てるゾ!」、「ってディープ・パープルの?」、「そうそう!」

周囲にマーシャルの人間が何人かいて、「ホント?」なんてビックリしていたが、自分を含め、みんなどの人がニックかは識別できないようであった。

だいたい、元の顔がわかんないもんね。無理はなかろう。でも、パープルの歴史はここから始まったのだ!

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Sex Pistolsって何枚アルバムを出してたのかしらん?ベスト盤なんて編めるのかしらん?と不思議に思うほど詳しくないんだけどね。パンクはまったくの門外漢なのです、アタシ。

それでも当時ものすごく話題になったんで友達に借りて『Never Mind the Bollocks』なんか聴いたな。「なんだよ、普通のハードロックじゃん!」と思った。演奏はウマいし…。

後で聞いたらギターはクリス・スペディングが弾いてるとかいうじゃない?…これはデマだったんだけど、プロデューサーのクリス・トーマスがインタビューでこんなことを言っていた。

「あのアルバムのギターの音は12回重ねた部分があって、12回弾く間、1度もチューニングをさせなかった」って。クリスはわずかなチューニングの狂いを利用して音を厚くしようとしていたというワケ。今でいうデチューンっての?演奏面はそうしたキチンと計算された作り込みがなされていたんだね。やってたことはパンクかもしれないけど、作ってたものはパンクではなかったってことか…。さすがクリス・トーマス。

さて、このアルバムはシングル曲に未発表曲とアルバム未収録曲で構成されている。未発表なのに「Very Best」とはコレいかに…。BESTな作品だったら発表しないワケがないと思うんですけどね…。

でもタイトルはいいね。『Never Mind the Bollocks』のアンサーになってる。

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デビュー・アルバムから『Wishbone Four』までの代表曲を収録したベスト盤。アッシュの一番クリエイティヴだった時期だ。当時「世界一美しい音を出すロックバンド」と言われた。英語圏の人たちが聴くとその大げさな歌詞にひっくり返るらしいが、サウンドという面で、今の若い人にはこういうバンドを聴いてもらいたいものだ。

バンドの中でただガムシャラにかき鳴らすだけがギターの役割ではないことが一聴してわかるハズ。速く弾かなくても、右手を指板に乗せなくても、ギターっていろんなことができるんだナ…と感心することだろう。Ashを聴いてそれがわからなければギターは辞めた方がいい。
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Vanilla Fudgeの4枚目のアルバム『Near the Beginning』。これも完全に原型をとどめていないなぁ。このジャケットデザインで売り上げがアップするとは到底思えないのだが…。

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UFO、1971年のセカンドアルバム『Flying』。オリジナルのデザインはかなりドイヒー。こっちの方がマシというもの。しっかしね、このバンドがひとりのドイツ人ギタリストを招き入れたことによって世界的な人気ハードロック・バンドに変身するとはね~。この3年後に『Phenomenon』で本当にFlyingしてしまう。

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1967年の『A Hard Road』というアルバム。『ブルースの世界』というタイトルで日本版を出していた。ほとんど原型のままだ。「Blues Dimension」と大胆に刷り込んであるけど、オリジナルのデザインにはないものだ。

この他にも、メイオールの国内制作盤っていうものがゴロゴロしていて、当時の評価の高さ、イヤ、人気の高さかな?…には驚きを感じざるを得ない。
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Dave StewartとBarbra Gaskin…プログレの重鎮によるチームなのになんでこうなっちゃうかな?Hatfirld & the NorthやらNational Healthやらを想像してアルバムを買ったらエライことになった…。

これはA面がカバー、B面がオリジナルという構成でシングルを集めた日本編集盤。

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1967年のMoody Bluesのセカンド・アルバム。London Festival Orchestraとの共演作でヒット曲「Nights in White Satin(サテンの夜)」が生まれた。オリジナルのデザインはあの絵の具をブチまけたような抽象画のヤツ。やっぱりオリジナルの方がいいかな?

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日本だけで発売されたクラブ・ミックスのミニ・アルバム。なんたって史上最強のトリオ・バンドですからね、なんだって許されちゃう。

私はおととしの夏、ビリー・ギボンズとダスティ・ヒルにロンドンのロック・フェスで会って話しをしたですよ。ビリーはすごく物静かな紳士だった。ダスティはとっても気さくな感じで写真をいっしょに撮ってってもらったっけ。

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最後は「ゴールデン」で〆ましょう!

1968年のアビイ・ロード・スタジオでの『ホワイト・アルバム』の収録風景と1965年の映画『ヘルプ!』の撮影風景に未発表音源がプラスされてるんだって。聴いてみたいような、みたくないような…。

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ミュージック・ジャケット・ギャラリーの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

<後編>につづく