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2014年6月18日 (水)

MUSIC JACKET GALLERY 2014

昨年は都合によりスキップしてしまったが、今年は無事取材することができた…MUSIC JACKET GALLERY 2014(ミュージック・ジャケット・ギャラリー 2014)。

10会期は5月29日~6月3日。取材時は平日の昼間にも関わらず、訪問客が途絶えることがなかった。
場所は例年通り新宿高島屋1階の特設会場だ。

20入り口にディスプレイされた巨大なVelvetsのデビュー・アルバム。

30ちゃんとバナナがはがれるようになってる!

40v_1レコード盤もしっかり再現されている。コレ、Verveは青がオリジナルなんだっけ?

50このバンド、John Cale を除いて、ゲストで参加したNicoまでオリジナル・メンバーが全員物故している。この生存率の低さはなかなかに珍しいのではなかろうか。
John Caleはイギリス人なんだね~、OBEを叙勲しているようだ。Nicoはドイツ人。ちなみに関係ないけど、J.J. Caleは先だって亡くなった。

60ちなみにこの1962年のBill Evansの『Moonbeams』。好きなEvansだが、ちょっとユッタリしすぎちゃっててこのアルバムはあんまり聴かないな…。でもジャケットRIVERSIDEにしては実にいい。このジャケットの女性はNico。

Nico それから干支がひと回りもするとこうなる。
こうして比較すると、Nicoの見た目の変わりようにも驚くが、彼女が歌う、オリジナルをズッタズッタに切り裂いた世にも重苦しい「The End」の変わりようもスゴイ!
写真の前列は左からKevin AyersとJohn Cale。Kevinも亡くなってしまった。

Juneちょっと変な方向に脱線してしまってゴメンなさい。入り口にあんなの置いとくもんだから!

今回はレイアウトが大きく変わった。

70展示の真ん中の列は「ミュージック・ジャケット大賞」のノミネート作品の実物。

902013年4月1日〜2014年3月31日の間に日本レコード協会会員社(59社)より発売された洋楽を含む国内制作の音楽CD作品がノミネートの対象となる。

100ウェブサイトだけでなく、この会場でも実際に投票できるようになっている。

80v お、Marshall Blog代表!人間椅子の『萬燈籠』もノミネートされている。皆さん是非清き一票を!
大賞の発表は8月上旬。詳しくはコチラ

110会場前方両壁には変形ジャケットのコレクションがズラリ。

120

130以前はガラスケースの中に展示されていたが、今回はアイテムが目の高さに近くなってすごく見やすくなった。

140

150かつてMarshall Blogで紹介したものも複数展示されていた。

160

170会場の奥に歩を進めるとこんな感じ。

180

190今回は紙ジャケット関連の展示が目を惹いた。
紙ジャケットの第1号はSonny Rollinsの『Saxophone Colossus』だったそうだ。なんで『サキ・コロ』だったんだろう?

200紙ジャケットCDが作られるまでの過程の展示。

210紙ジャケ超大作、Santanaの『Lotus』。横尾忠則のデザイン。Miles Davisがコレ(LPね)を手にした時、口の端からヨダレが垂れていたというヤツね。

220そして、LPと紙ジャケCDの比較展示がズラリ。

225v展示してあるLPは植村コレクションからの出展だ。

230vここは変形ジャケット特集ですな。
複製ミニチュア化の技術もスゴイけど、やっぱりこの時代のロックのクリエイティビティには目を見張るものがある。
同時に音楽もビジュアルもすべてこの時代にやりつくしてしまっていることがよくわかる。

24060~70年代の作品群。

250vどれもこれも独創性にあふれた印象的なデザイン。

260忘れてはならないのは、こうしたデザインのほとんどが自力でクリエイトされたワケではないということだ。

270vつまり、音楽あってのジャケット。この頃はいいデザインを生み出す独創性が音楽の側にあふれていたのだ。

280もちろん中には例外も少なくないが、中身のいいものはたいてい外見もよかった。逆にジャケットに惚れてそのレコードを買ってしまうということも十分に成立した。
要するにジャケットは音楽を聴く楽しみのひとつだった。目でも音楽を聴いた時代だった。(一応断っておきますが、この下の写真は10ccの『Original Soundtrack』を除いては個人的に愛着を感じるものは何ひとつありません。こう記しておかないと普段の論旨と矛盾してしまうもんですから…)

310vそれとね、思うのは写真の重みなんだよね。もちろんイラストやタイポグラフィのデザインは例外よ。
昔のジャケットに使用されている写真は魅力的なものが多いよね。BLUE NOTEやPrestigeがいい例。同じジャズの三大レーベルでもRIVERSIDEはそうでもないけど…。PACIFICやCONTEMPORARYも写真が実にいい。
ロックではやっぱりHipgnosisの使う写真が秀逸だと思う。CGなんか全くない時代だからすべて被写体は実物だ。
また、Jim MarshallやNorman Seeff、鋤田正義…スゴイ写真家が撮った写真のジャケットがゴロゴロしてたからね。
今でも有名な写真家の作品がジャケットに使われているのだろうが、どうも違うんだよな、あの頃と…。それは時代の空気感もあるだろうし、もちろん機材の違いも大きい。
しかし、そう感じさせるのはその写真が使われた作品の音楽の影響が一番大きいのではなかろうか…。

320このあたりは80年代以降か…。私にとってのロック暗黒時代。この頃から時のロックをほとんど聴かなくなったっけ。
290v
したがって失礼ながら、ジャケットも特段いいとは思わないし、愛着もまったく感じない。
ナゼなら音楽を聴いていないから…つまりはそういうことだ。
300
会場突き当りのスペース。

330ブルーレイディスク・オーディオの視聴コーナーとなっていた。

350
ソファが置いてあってユックリとその音を体験できるようになっている。John Coltraneの『A Love Supreme』なんかかけちゃうもんだからジックリ聴いてしまった。
記録できる情報がCDよりも格段に大きいため、よりナマナマしい音が再生できるようになるそうだ。
ん~、確かに音はいい。特にElvinのドラムがスゴく前に出て来て、かつJimmy
Garrisonのベースがよく聴こえる。Coltraneのサックスも水が滴るような感じだし、McCoyのピアノも恐ろしく粒立ちがよくなっている。
何のことはない、優れたオーディオ装置で聞くアナログ・レコードだ。最新の技術で原始的なテクノロジーを追及する…なんと贅沢な!それなら魅力的なジャケットをまとったアナログ・レコードのままで十分よかったのにね!

いくら音がよくなってももうソフトは買い換えられないな~。そりゃ音質が優れているに越したことはないが、私なんかに言わせれば「『音楽』を聴いている」のであって「『音』を聴いている」ワケではないのだから。さもなければ40年代に録音されたジャズなんか楽しめない。
「音」にこだわるより、もっといろんなモノを聴きたい派なのだ。もう人生のスタートよりゴールの方が全然近くなっちゃったからね。死ぬまでに1曲でも多くいい音楽を聴いて死んでいきたいと思ってます。

いい音で売り込むのも結構だし、名盤は名盤でいいんだけど、今こそもっと幅広く色々な音楽を
聴いてもらうことを考えた方が将来よっぽど商売になると思うんだけどね…いかがなものか?
ハードとソフトの関係は関係省庁の関係でもあるという話を聞いたことがあるが、レコード会社も大変だ。
とにかく、コレ、音はとてもいいですよ。

340そうそう!最近CDプレイヤーというものが無くなってきてるんだって?!
CDが出てきたのは1982年とか言ってたかな?大ゲサに言えば、たった32年の命?どうすんの、こんなにたくさん作っちゃって~!エジソン泣いてるよ。

私的なことだが、初めての自分のステレオを手に入れ、初めてレコードを買った(John Lennonの『Shaved Fish』)のが1976年、14歳の時かな?それ以前もロックを聴いていたけど、ステレオがなかったのでレコードが買えなかった。

それから大分経って1987年ぐらいに初めてCDを買った。
そういえば、その当時は「○○のアルバムはCDで持っています」なんてのが自慢話しだったよね。まったく笑わてくれるぜ。
その頃はCDが嫌いでね、世の中はもうCDになっていたけど強情を張ってセッセとLPを買い続けていた。
ところがCharlie Parkerの『Royal Roost』という未発表音源がCDだけの発売になりやがって仕方なくCDを初めて買った。
CDプレイヤーを持っていなかったので、プレイヤーを持っていた会社の若い女性(あ、当時は私も若かった!)にカセット・テープにコピーしてもらってそれを聴いていた。

その後、新譜のLPでの発売が減り出して、ほどなくしてCDプレイヤーを手に入れた。
それからはCD一辺倒になったな。何たって取り扱いがラク。
また当時は転勤族だったので、何しろ大量のLPは引っ越しの大きな悩み。そこで、あれほど可愛がっていたLPの一部、3,000枚以上を2度に分けて処分してCDに買い換えた。ああ、アレやっぱり売らなきゃよかったな~。

さて、こうして思い返して驚くのは、もうLPよりもCDとの付き合いの方がはるかに長くなっちゃったんだよね~。
そのCDがもう無くなろうとしているんだからビックリしたのを通り越して恐ろしいわ。

こうしてPCの普及により、どうにもこうにも大変な状況に陥ってしまった音楽パッケージ商品だが、ジャケットの魅力はやはり捨てがたい。
その魅力を後世に伝えるこのイベント、今の日本の音楽シーンにはなくてはならない重要な責務を負っていると感じた。
また、ここのところご無沙汰しているが、Marshall Blogでは植村コレクションのMusic Jacket Gallery常設展を通じてジャケットや音楽の魅力を私的にお届けするつもりである。

Music Jacket Gallery 2014の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

360(新宿高島屋1階特設展示場にて撮影)