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2014年6月19日 (木)

Republic (モリマチ)Session

以前Marshall Blogでレポートしたことがあるが、Republic Saxophoneというバンドがある。森園勝敏さんのバンドだ。
残念ながら、現在森さんは療養中で第一線を退いている。そこで森さんの早期回復とステージへのカムバックを待って催されたのがこのセッション。だから『モリマチ・セッション』だ。

珍しく冒頭は大二さんのごあいさつ。「(森さんの)復帰までもう少しかかりそう。でも、いつ彼が帰って来てもいいようにウォーミング・アップ的な企画」と趣旨が説明された。

10_2オープニングは「Mercy, Mercy, Mercy」。

20アルト・サックス奏者、Cannonball Adderleyの大ヒット曲。作曲は後にWayne ShorterらとWeather Reportを結成するスイス人ジャズ・ピアニスト、Joe Zawinul。
Cannonballは好きだなぁ。最適ジャズ名門盤とされる『Somethin' Else』もいいけど、普通のジャズを演っていたRiversideの諸作はもちろん、ファンキー・ジャズになったDavid Axelrodプロデュース時代の諸作もすごくいい。
縦横無尽、ジェット機のように飛び交う鋭角的なソロがタマらない。

ちなみにManfred Mannの『The Five Faces of Manfred Mann』というアルバムに収録されている「Sack O'Woe」という曲はCannonball Adderleyの作曲だ。なんでManfred Mannがこんな曲を演ったんだろうね。初めて聴いた時、結構驚いたのを覚えている。

90年代の半ば、グリニッチ・ヴィレッジのThe Bottom LineでBuddy Rich Big Bandを観た。「Mercy, Mercy, Mercy」はこのビッグ・バンドの重要んあレパートリーだった。
その時のドラムはDave Weckl。
Wecklは『Burning for Buddy』というBuddy Richへのトリビュート・オムニバスでこの曲を録音している。
スゴかった。もうオカズ(今は「フィル」っていうのかな?)のひとつひとつが鳥肌もので、それがキマるたびに客席から「ウェッコー」、「ウェッコー」と掛け声がかかるのもカッコよかった。それと同じぐらいカッコよかったのが2番テナーを吹くSteve Marcusのソロだった。

30_2もうね、この日の大二さんもマジでWecklに負けてないの。音はいいわ、フィールはいいわ、こちらの「Mercy」も鳥肌ものだった。

40今日のメンバーは…
岡井大二

50v_2ベースに大西真

60v_2キーボードは石井為人。

70v_2そして森さんの代役は関雅樹

2曲目はブルースのスタンダード、「Steppin' Out」。

80_2そしてこれまたオハコ、「Goodbye Pork Pie Hat」。
コレの原曲を聴いたことある人はいるかな?Charles Mingusの1959年の『Miugus Ah Um』に収録されている。もちろんCharles Mingusの作品。
この曲はもうすっかりJeff Beckバージョンの方が当たり前になってしまった。その次におなじみなのはJoni Mitchellバージョンかな?同じ歌入りならRoland Kirkバージョンも最高にカッコいい。
ところがテナー・サックスの巨人、Lester Youngに捧げられたこの曲、原曲はBeckのものよりグッとプリミティブなイメージだ。
「Pork Pie Hat」にはズルっと来るかもしれないが、この『Miugus Ah Um』というアルバム、「Better Git It in Your Soul」、「Boogie Stop Shuffle」、「Fables of Faubus」といったMingusスタンダードが収録されたベスト盤的な内容なのでジャズ入門編の1枚としてロック・ファンにもおススメだ。
Mingusで脱線のついでに、廣木光一というジャズギタリストの『Preparense』というアルバムもおススメ。「Fables of Faubus」をギター・トリオで演っているが、すこぶるカッコいい。

今日も為人さんのピアノ・ソロが快調!

90_2噂をすればJeff Beck…「Behind the Veil」。それにしてもこの曲が入っている『Guitar Shop』というアルバムはスゴイね。「Savoy」とか「Big Block」とか、コンテンポラリー・ベックを演る人たちのスタンダードがガッチリ収録されている。私も出てすぐに買ったっけ。だからオリジナルジャケット。1989年の発表か…もうずいぶん経ったんだね~。

この曲は関ちゃんのオハコだ。

100vMarshall Blogでも何度かレポートしているように、関ちゃんはこの曲を大二さんとよく演奏しているので完璧。途中の無音状態からド~ンと盛り上がるところなど圧巻だ。

2m_img_0007 5曲目は「Stratus」。何度も言うけど「ストラトゥス」。
原曲にあるアタマのボワ~ンとなっているところ…アレ、特にやる必要ないような気もするけど、みんなナンカやりたがるね。
これもJeff Beckで再びスポットライトを浴びた曲だが、元はBilly Cobham。ギターはTommy Bolin。
今日はテンポも速く気合の入った「Stratus」だ!

120テーマの後、まずは為人さんのエレピのソロ。上下に音階をめまぐるしく移動しながらベンド・キーをいじるスリリングなプレイ!

130_2関ちゃんがソロを引き継ぐ。今日一番強めのディストーション。お、想定外のキメがキマった!

135_2その後ろで暴れる大二さん!NATALスゲ~!こりゃタマラン!
110

それにしても大西さんのベースの重いこと!この曲、イヤがるベーシストいるんよね。ずっと同じパターンの繰り返しだから。

150v関ちゃんのMC。

「思い出話しをするのもヘン」としながらも森さんとの出会いを語る。
関ちゃんは元々森さんの大ファン。このお店に出演した時、オリジナル・アレンジで「Lady Violetta」を演ったら客席で偶然ホンモノがそれを観ていた…という。
終演後、森さんと話しをした時、てっきり「勝手にアレンジすな!」と怒られると思ったらさにあらず。
「アソコ、どうやってんの?」と逆にアレンジについて質問されて、結局、今ではそのアレンジのバージョンで演奏している…というお話し。

160_2そこで、「Lady Violetta」。ん、今日も緩めのテンポだな…。
関ちゃんの弾くテーマ、今日は何だかフェイクが激しい。

170v_2為人さんのソロ。コンパクトにまとめたさわやかなソロだ。

180v_2代わってはじける関ちゃんのソロ!このサンバーストのストラトは実に音が甘い。この曲にピッタリのトーンだ。師匠直伝の「Sleepwalk」で曲を締めくくる。

190_2ここでNATALが紹介された。

200v大二さん曰く…「余計な倍音がなくてとてもいい。鳴りすぎて鳴りすぎて…。すごくいいっス。音が柔らかくて、それでいて迫力があるんだよね」
220_2

「Marshallのドラムがあればいいなってずっと思っていたんです。Marshallのステッカー貼っちゃう!」
日本のロック史に名を残す大二さんほどの名ドラマーにNATALを気に入って頂いて天国のJimもさぞかしよろこんでいるに違いない。

そうそう、サッカーのワールド・カップ、日本のギリシアとの第2戦は「ナタール」というところでやるんだってね。
テレビで「ナタール」、「ナタール」って連呼されて…ちょっとうれしい。

210_2
大二さんのキットはバーチ。フィニッシュはグロス・バーガンディ。要するにワイン・レッド。
関ちゃんのMarshallは愛用の2187。1987の2×12”コンボ・バージョン。

230_2足元のようす。また何やらゴチャゴチャしてきた?

240第1部の最後は森さんがよくやっていた「Hideaway」。

280_2真ん中のエイトのところは迷わず「Peter Gunn」!お、「Crossroads」も混ざって来た!
為人さんはメイオールばりのオルガンソロ!

270休憩をはさんで第2部。
シンプルなエイト・ビートで始まったのはThe Crusadersの「Put It Where You Want」。

260_2大西さんのベースソロ。
大西さんの背後にはEDEN。毎度書いてるけど、しっかし、音抜けがいい!音に大きな包容力があるのだ。

245これがEDEN WT-800とD410XST

250v_2大二さんのドラム・ソロ!

290_2ドワ~、なんていい音!さすがNATAL!と言いたいところだが、これは大二さんのテクニックによるところが大だろう。
音がデカいし早い。それでいてゼ~ンゼンうるさくない。
このお店は小ぶりなのでドラムは完全ナマ音なのだが、バランスがすごくいい。あたかもスネア、バスドラム、タムタム、それぞれが自覚を持って自分たちの仕事を確実にこなしているようだ。
見よ、この大二スマイル!大二さんはプレイ中真剣な顔をしていることが多いが、ついニンマリしてしまうのだ!たぶんNATALのせいだよ。

300vここでTerraのオーナー寺田一仁が登場。
「Ain't Nobody Business」。こっから先はシブシブだよ~。

310寺田さんの大二さんや森さんとの付き合いはかれこれ42年ものになるとのこと。寺田さんも森さんの一日も早い復帰を期待しているひとりだ。

320v寺田さんのトラディッショナルなブルース・ソロに対抗する関ちゃんのソロはディミニッシュ連発!

330Stuffを2曲。まずは「As」。元はStevie Wanderの曲。
そしておなじみ「Foots」。スゴイのり!

Stuffは高校生の時、チョット年上のお兄さんたちの間で大きな話題になっていたっけ。クロスオーバー。私はまだプログレッシブ・ロックに夢中のお子チャマちゃまだったので、Stuffの何がいいのかサッパリわからなかった。今でも聴かないけど…。でもこの曲は好きだった。

340続いてDupreeの曲。「How Long Will It Last」。これを聴くとHot Licksの教則ビデオを思い出すな~。メチャクチャ面倒くさそうにギターを弾くDupreeがかえって印象的だった。こうして聴くと実にいい曲だ。

350寺田さんの渋いノドでAmos Garrettの曲他を数曲プレイして2部は終了した。

360…と言いたいところだが、どこまでが本編でどこからがアンコールかわからなくなってしまった!
で、大二さんのツルの一声、「以上で本編が終わりました」と締めくくられ、アンコールと相成った。

J.J.Caleの「Cajun Moon」。
たまたまJ.J.Caleの名前が昨日今日とたて続けに出てきたが、すすんで私が聴くようなタイプの音楽ではないことはMarshall Blogの愛読者の方々は先刻承知だとは思う。その通り。「勉強聴き」の範囲を出ない。
で、それで学んだことは、桑田圭祐ってJ.J.Caleソックリだということ。歌いまわしとかかなり影響を受けていると観た。

365(結果的に)アンコールの2曲目はMuddy Watersの「Got my Mojo Workin'」。
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…と、みんなで森さんの一日も早い復帰を祈って心を込めて演奏するRepublic Saxophoneなのであった。

370v

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400
380v
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年5月11日 西荻窪Terraにて撮影)