Guitar☆Man #004 <後編>
Guitar☆Manの第4回目。ショウはますますヒートアップ!
セカンド・セットのギター・エンジェル。
今度は今さんに渡された。広規さんの顔!楽しそうだナァ~。
さて昨日の続きをば…。
これもGuitar☆Man定番の洋楽メドレー。1曲目がSantanaの「Europa(哀愁のヨーロッパ)」なのだが、ここで大二さんからご講話が…。大二さんの音楽への造詣の深さは並大抵ではない。造詣が深いだけでなく、数々の来日ミュージシャンとの共演履歴もあまりにスゴイ。なにしろ浅草の国際劇場のエレベーターにFrank Zappaとたった2人きりで乗り込んだことがあるというのだから尋常ではない。
さて、大二さんの話とは…このSantanaとTom Costerのペンになる「Europa」は邦題が「哀愁のヨーロッパ」になっとるが、「Europa(エウロパ)」というのは木星の衛星のうちのひとつで、「ヨーロッパ」とは関係ない。そもそも「Europa」と「Europe」でつづりが違うのだ!「当時、このエウロパは地球に似た環境を持ち、もしかしたらそこに住むことができるかもしれない」ということがわかり、それをイメージして作られた曲なのであ~る。
それを当時の日本のレコード会社の担当者が「ハイハイ、ヨーロッパね。哀愁のメロディだナァ」と勝手に思い込んで「哀愁のヨーロッパ」にしちゃったのだ…という。以上大二さん。
そうだよね~。そういわれてみればそうだ。Santanaを熱心に聴いたことがないもんで、恥ずかしながらこれは気がつかなんだ。このレコード会社の人、後で恥ずかしかったろうナァ~。完全に取り返しがつかないもんね。
真相を尋ねたら「イヤ、これはあくまで邦題であって衛星とは関係ない!オレのイメージじゃい!」って開き直るだろうナァ~。でも、真相を知っても我々日本人は「この曲=ヨーロッパ」というイメージが払拭できないのではなかろうか?私も曲名を指すときにほとんど100%原題を使うが、この「哀愁のヨーロッパ」だけは「哀愁のヨーロッパ」って呼んできた。そこにこの曲の落とし穴があったワケだ。もし、原題を使っていればもっと早く気がついたと思うんよ…ま、どうでもいいか?しかし、みなさんはこの曲を聴いてヨーロッパのどこを連想しますか?少なくともロンドンはないな~。
ちなみに木星の衛星というとイオ、ガニメデ、そしてこのエウロパあたりが有名か?66個もあるんだって!地球なんて1個だけなのに!太陽系の中でもっとも多くの衛星を持つ惑星は土星だったが、発見が相次ぎ木星が今一番多いのだそうである。
ということで弾き手は今さん。説得力あるわ~、だんだん「エウロパ」に聴こえてきた!
今回の洋楽メドレーはスゴかった。
続いて飛び出したのが「Superstition」、BB&Aバージョン。
そしてのけ反ったのが次の「Paranoid」!あまりにも強引で思わず笑った!
そうそう、大二さん、「どんな音楽も好きで楽しむけど、どうしても苦手なのが3つある。それがBlack SabbathとUriah HeepとIron Butterflyなんだよね~」 わかる~。私も同じ。Heepはキライではないけどどうも感情移入ができん。私も「In-A-Gadda-Da-Vida」が名曲だとは特段思わないしな…。でも、Black Sabbathは恥ずかしながらこの歳になってナンカよくなってきて最近聴いちゃったりしてるのよ。観念するとなかなかSabbathもいいもんですよ、大二さん!
また強引にねじ伏せたのがGrand Funk Railroadの「We're an American Band」。
広規さん曰く、「Mel Schacherというのは案外やるよ!」。そうだよね~、このバンド、Mark FarnerとよくてDon Brewer(この曲のボーカルはDon Brewer)ぐらいだもんね、目立つの。
そして、洋楽メドレーはFreeの「All RIght Now」で締めくくられる。
ここでGuitar☆Man #004は意外な展開を見せる。
西脇さんが奏でる絶望感にあふれた、切なくも不吉なコード…。
♪カンケンコンケン~、と有名な4つのギターの音で緊張感が極限に達する。ギターがふたりいるアマチュア・バンドがこの曲をやると誰がこの♪カンケンコンケン~を弾くかで取っ組み合いのケンカになるという…(本当はならないと思う)。
そして、泣きのギター!これぞストラトキャスターってか?!
曲はPink Floydの「Shine on You Crazy Diamond」。もちろん「Crazy Diamond」とは数年前に亡くなったSyd Barrettのことだ。
まさかこんな曲が出るとは!大二さんのリクエストかな?それにしてもスゴイ人たちだ!
後半には西脇さんのクロマチック・ハーモニカが大フィーチュアされる。
これはあんまりカッコいいんでないの~!?
人差し指より親指でピコピコした方がカッコよく見える…と西脇さん。最高の見せ場だ!
ところで、この「Shine on You Crazy Doamond」が収録されている『Wish You Were Here』。タイトル曲の「Wish You Were Here」ってあるでしょ?Floyd得意のフォーキーな曲。イギリスの連中がアコギを手にすると必ずコレを弾くんだよね。で、知ってた?この曲ってフランスの有名なジャズ・ヴァイオリニスト、Stephane Grappelliが参加してるって?もうほとんど聞こえないんだけど、5:21のところで、そういわれてみれば程度の感じ。Dave Gimoreが「カントリーみたいな感じで…」と演奏依頼をし、このDjango Reinhardtの相棒の天才ヴァイオリニスト(数々のジャズ作ももちろん素晴らしいが、Yehudi Menuhinと組んだ『Tea for Two』が愛らしい名盤だ!)はそれなりに弾きこなしたらしい。しかし、録音の状態が悪くものすごく小さな音で録られてしまった。「これじゃ聴こえん!」ということでFloydはジャケットにGrappelliの名前を入れなかったという話だ。この時、Roger WatersがGrappelliに渡したギャラは£300だったという。安い。
そして、次もスゴかった!
今さんがアコギに持ち替えて演奏されたのは「I'm not in Love」。
西脇さんが苦心の末に作り上げたコーラスが会場に充満する!
ここで広規さんはピアノにスイッチ。Eric Stewartのパートだ。
オリジナルはバスドラムの音だけだが、大二さんはブラシでサウンドを補強。
もう10ccが好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでしてね。できれば私が歌いたかった?
でもなかなか実物を観るチャンスがなくて、結局観たのは2010年のアストロ・ホールでの来日公演。Graham GouldmanとRIck FennとPaul Bergessが昔のメンバーだった。そういえば、その時会場で出くわしたイギリス大使館の知り合いにちょうど来日していた紹介されたBPI(British Phonographic Institute)の時のおエライさんを紹介してもらった。
「ショウはどうだい?」と訊かれ、「10ccは子供のころから大好きでしたが、なかなかショウを観る機会がなくて、今回がはじめてです。最高なんですが、オリジナル・メンバーがGrahamだけというのがちょっと…」と答えてしまった。あんなこといわなきゃよかったナァ~。
普段は軽佻浮薄な今風のイギリスの音楽を売り込むことを生業としている人が10ccのショウに来ているなんてチョットうれしくもあった。彼もこういうロックの方がいいにキマてる。
10ccのようなバンドは絶対にアメリカからは出てこないだろう。そういうところがまた大好きなのだ。
Graham Gouldmanの名ベース・ソロを完璧に再現する広規さん!サスガ!
そしてすぐさまピアノへ!難波さんも認める天才マルチ・プレイヤーの面目躍如たるシーンだった!
誰?ステージでシャンペンなんか冷やしてんのはッ?!
「マリー・アントワネットのような彼女が素敵なキャビネットにキープしているMoet & Chandon」…「素敵なキャビネット」って1960のことだったのね?!んなワケないか…「Killer Queen」なんかもいいんじゃない? Marshallじゃないけど…。でもJimがなくなった時、Brian Mayは弔辞を寄せてくれていました。
しっかし、今回のGuitar☆Manは選曲といい、演奏といい、雰囲気といい、まったくもって素晴らしい。
今日もジャニスを1曲。
ツワ~、完璧なカッティング!
オリジナルのFull Tilt Boogieよりカッコいいい!
早希子さん絶唱の「Half Moon」!
広規さん、猛烈に楽しそう!そう、何しろ今回はノリが違う!
…と、ここでガラリと雰囲気が変わって「Stairway to Heaven」。今さんの完璧なアコースティック・ギター。
JPJのパートを忠実になぞる西脇さん。
歌うはSyuartOさん。
Led Zeppelinは広規さんも得意とするところだ。
やはり大人気のこの曲…
名人たちの熱演にみんなジ~ックリと聴き入っていた。
ソロは土方さん。広軌さんがこの有名なJimmy Pageのソロを完璧に弾いてるのを見たことあるもある!
「I'm not in Love」とこの曲でアコースティックを弾いた今さん。そういわれてみれば…なのだが、アコギの出番はこれがGuitar☆Man史上初だったのだ!今さんとはアコギの仕事でご一緒させていただいたことがあったが、ブルーグラスがお好きで、よく超絶フレーズを弾いていらした。
思い出した!その頃、雑誌の取材があって、色んなアコギを今さんに弾いていただいたのだが、ギターを換えるたびに今さんがローGを弾かれるのだ。ジャラーンって。もちろんチューニングの状態をチェックされているのだが、尋ねてみた…「どうして必ずローGを弾かれるんですか?」…と。 「ローGが一番チューニングの狂いをチェックしやすいんですよ」 その時の対談相手の著名ギタリストも「そうそう!」と完全に同意されていた。これ企業秘密?
でも考えてみると、オープンコードで全部の弦をいっぺんに、かつ自然にならせるのはEとGだけなんだよね。CもいけるがGの方が全然鳴りがいい。さすが!ま、たまにはGuitar Man(自分のこと)らしいことを書いてみました。
そして最後はGuitar☆Manのテーマ曲ともいうべき「Smoke on the Water」。
もうノリは最高潮ですね。やっぱりこのリフはロックのすべてを包含しているのかもしれない。イギリス人も大好きね。
Guitar☆Manショウではすっかりおなじみの浦田"AMAZING"健志も飛び入り!
そしてアンコール。広規さんも前に出てきたゾ~!
ファースト・セットではVan Halenの「Panama」が…。
Van Halenもメチャクチャはまりますナァ。ようするにナニを演っても完璧なのよ、このお方たちは!
いつにも増して楽しそうな広規さんを見てこっちもハッピーになるね!
「ギターはこう弾くものです」ということを思い知らされずにはいられない2人のプレイ。ハイ、できません。
今さんはご持参のワイアレスを駆使して会場を練り歩く!
セカンド・セットではDoobiesの「Listen to the Music」。
もうコレもんですよ!土方さんも楽しそう!
セカンド・セットではアンコールの拍手がまったく鳴りやまず、広規さんの「やっちゃう~?」の一声で「Panama」を演奏。盛り上がりはさらにワン・ステージ上に突入した!
観るたびに大きな満足感を与えてくれるGuitar☆Manだが、今回のショウはとりわけ素晴らしかった。自分好みのタイプの音楽やグループの曲が取り上げられたこともあったし、達人たちの名人芸にドップリと浸かることができた。
邦楽メドレーと極一部を除いてはすべて70年代の曲だ。すなわちロックの黄金時代だ。いつも訴えていることだが、こうした活動を通じて、人類が作ったこの偉大なエンタテインメントの財産を次世代に伝承していかなければならないとつくづく思った。
6月のGuitar☆Manは…
6日 : Guitar☆Man Live #005 - King of Pops
7日 : Guitar☆Man Live #006 - Smoke on the Water
ともに会場は東京キネマ倶楽部。あの荘厳な会場で味わうGuitar☆Man…たまりまへんナァ~。
詳しくはコチラ⇒Guitar☆Man公式ウェブサイト
<Guitar☆Man過去のレポートはコチラ>
2013年2月10日 #001 @汐留Blue Mood <前編>
2013年2月10日 #001 @汐留Blue Mood <後編>
2013年3月7日 #002 @目黒Blues Alley Japan
2013年4月10日 #003 @六本木Sweet Basil 139
(一部敬称略 2013年5月9日 渋谷JZ Bratにて撮影)