Guitar☆Man #003
回を重ねるごとに人気と話題が集まるGuitar☆Man。4月上旬に開催された3回目の会場は六本木のスイートベイジル 139。会場の雰囲気がショウの内容をよりゴージャスなものにした。
おなじみのチャリティ・ギターの展示。
会場は満席。みんな大好きなあの頃のロックを今か今かと首を長くして待っている。
今回のギター・エンジェルは佐々木心音ちゃん。
鈴木茂さんにギターが手渡され、「Guitar☆Man #003」が始まった。
オープニングはDeep Purpleの「Burn」。
「Foxy Lady」でメンバーが紹介される。
今回のメンバーは座長の伊藤広規。
もちろんベース・アンプはMarshallだ。VBA400とVBC810のコンビ。TシャツまでMarshallだ!
ギターは鈴木茂。
そして横内健亭。
キーボードは重実徹。
ドラムは小田原豊。
ボーカルは左からアラキマキヒコ、坪倉唯子、浦田健志。
J-POPメドレーは「黄砂に吹かれて」~「神様お願い」~「木枯らしに抱かれて」~「BAN BAN BAN」。
続いては洋楽メドレー。「Brown Sugar」~「White Room」~「Helter Skelter」~「Detroit Rock City」が演奏された。
ナント言ってもここは浦田さんの「Helter Skelter」。素晴らしいシャウトで日本人離れしたノドを聴かせてくれた。
司会はおなじみNACK5の山本昇。
茂さんのチョイスでMoby Grapeの「Omaha」。Moby Grapeは1960年代後半に活躍したアメリカのバンドだ。
ここでもうひとり加わったギタリストは北海道出身の外園一馬。VintageModern2266Cでブルージーにプレイ。
横内さんとのイキもピッタリだ!
The Venturesの「Memphis」。
これまでは同じ内容を2回上演してきたが、今回は休憩をはさんでの2部構成となった。
第一部を締めくくったのはLed Zeppelinの「Good Times Bad Times」。
昔、あるベテラン・ギタリストがリハーサルでこの曲のリフを弾いて、「本当にカッコいいリフだな~!」とつぶやいたのを聴いてから一段とこの曲が好きになった。
ここは広規さんのスーパー・プレイ。本家JPJにも負けない素晴らしいベース・プレイ!
私が今一番聴きたいのは広規さんが弾くエントウィッスルだ、「Real Me」とか「Baba O'Riley」なんか弾かれた日には腰が抜けるかも?!
休憩をはさんで第2部がスタート。
スタートはまたメドレーだ。
Deep Purpleの「Hush」…
Nirvanaの「Smells Like Teen Spirit」…
そしてJanisの「Move Over」…
あまりにもスゴイ坪倉さんの熱唱!トリハダ立ちまくり!
ここでゲストが登場。
山本恭司だ!
多くの人がすでにご存知の通り、恭司さんはスノー・モービルで右手を大破してしまった。
それでも不屈のミュージシャン・シップで左手一本で参加。
「吼」印のミュートの力を借りて大熱演!
…というか、いつもと変わらないほどの完璧なプレイ!
曲は「Purple Haze」。
それとBB&Aでおなじみの「Sweet Sweet Surrender」。Steve CropperやDuck Dannとサックスで活動を共にしていたメンフィスのソングライター、プロデューサー、Don Nixの作品だ。
ちなみに外国人が寄ると触ると演奏するジャム・セッションの超定番曲「Goin' Down」もDon Nixのペンによるものだ。
それにしても恭司さんのプレイ!ほとんどをグリッサンドとハンマリング並びにプリングオフで弾かなければならないという途轍もない制約の中で実に中身の濃い刺激的な演奏を披露してくれた。
恭司さんはVintageModern2466のパワー・アンプとキャビネットを使用。KT66の太いサウンドがプレイの美しさを際立たせていた。
もちろん演奏後には盛大な歓声が送られたことは言うまでもない。
最新の情報では大分よろしいようでギプスも小型化された。一日も早いご快癒を願っている。日本のロック・ギターの宝だからね!
さらにゲストが加わる。
上田正樹!
しっかし、スゴイね。もう登場しただけでガラリと雰囲気が変わる。思いっきり引き込んじゃう。
ソロを回すときに「Your turn...」とやるのが滅法カッコいい。とても自然なのね。
私は昔からジャズ以外の黒人音楽を聴くことがほとんどなくて、ソウルやR&Bを滅多に聴かないし、聴くとしてもいまだに勉強聴きの域を出ない。でもね、高校の時、上田さんの「Try a Little Tenderness」や「I Can't Turn you Loose」を聴いたときはシビれたナァ~。「オーティス、聴いとるか、オーティス!」と天国のOtis Reddingに語りかけてから歌うその姿はもう完全に音楽の化身となっていた。その時のことを思い出しちゃった!
「Feelin' Fine」、「That's What All I Wanna Do」…
そして、「I've Been Working on the Railroad」が演奏された。
上田さんからの説明もあったが、日本ではこの曲は「線路はつづくよどこまでも」として時代を超えて愛唱されているが、元は過酷な労働に従事する線路工夫の労働歌だ。
そしてショウも大詰め!
Jimi Hendrixの「Manic Depression」。もともとは「Bipolar Disorder(バイポーラー・ディスオーダー)」という病気の名前。躁状態と鬱状態を繰り返す症状で、日本語では「双極性障害」という。ロンドンの記者会見で、同席したマネージャーのChas Chandlerがジミと記者との受け答えを見て「まるでManic Depressiveだな」といったのを聴いたジミが翌日この曲を持ってきたという。
Jimiスタンダードの中でも珍しいワルツの名曲だ。
全員一丸となった演奏!
そして、本編最後の曲。これには驚いた!Rick Derringerの「Rock 'n' Roll, Hoochie Koo」なんだもん!
1970年、Johnny Winterのバンドが初吹き込みのゴキゲンなロック・チューンだが、作者はRich Derringer。1973年に自分のバンドでもレコーディングしてヒットした。
一般的に日本で「デリンジャー」というとピストルの名前が先に出てくるかもしれないが、Rick DerringerはSteely Danのレコーディングにも参加している名ギタリストで、『Royal Scam』の「Green Earings」のシャープなギター・ソロが彼が弾いていたりする。Alice Cooperの必殺の名曲「Under my Wheels」のソロもDerringerだ。Toodの『Something/Anything』や『Back to the Bars』にも参加しているし、Led Zeppelinの最後のアメリカ・ツアーのオープニング・アクトも務めている。
Derringerという自分のSurnameを冠したバンドも率いていた。近年はどこかのギター・メイカーでシグネチャー・モデルを出してNAMMショウなんかでもかつてはよく見かけたが、『All American Boy』や『Spring Fever』のジャケットに見られるような美少年の面影はなかった。
特段、Rick Derringerのファンなワケでもないんですけど、「ギタリスト」としてもっと日本でも評価されていい人だと日頃から思っていたもんでつい…。
そして、こんな曲が出てくるこのショウの懐のデカさに感動したりして…。
ギターだけでなく、こうした「隠れた名曲」的な、または「忘れられている名曲」的なものを押入れから引っ張り出してきてくれるのもGuitar☆Manの魅力のひとつなのだ。
そしてアンコールは、きっと毎回1曲は演奏されるであろうJeff Beckの曲。
広規さんの三連のグルーヴがバンドをグイグイ引っ張っていく!
さらにゲストのふたりとボーカル陣が加わる。
恭司さんを気遣う上田さん。恭司さんの演奏を「マジックのようなプレイ」と大絶賛。
アンコールはGuitar☆Manのテーマソングともいうべき「Smoke on the Water」。
「上田さんがDeep Purple?!」的なパフォーマンスも楽しい熱のこもった素晴らしい演奏!
やっぱり名曲は不滅なのだ!
次回のGuitar☆Manは5月9日。明後日ね。
土方隆行氏、今剛氏を迎えて渋谷のJZ Bratで開催される。お見逃しなく!
Guitar☆Manの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト
(一部敬称略 2013年4月10日 六本木スイートベイジル139にて撮影)