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2013年10月18日 (金)

【Music Jacket Gallery】サマー・ジャケット特集<後編>

私の最初のロックのLPは中学2年の時、クラスメイトの「バニラ」というあだ名の友達から600円で買ったJohn Lennonのベスト盤、『Shaved Fish』だった。あの時代、運動部に所属していたバニラがナゼ『Shaved Fish』なんかを持っていたのか、今にして思うと大きな謎だな…。

The Beatlesから始まって、それ以前からロック自体は聴いてはいたのだが、レコード・プレーヤーを持っていなかった。
やがてSONYから「スタジオ・ジルバップ」とかいうレコード・プレーヤーを鳴らすことができるラジカセが発売された。

このラジカセがあれば大仰なステレオも不要ということで、お小遣いを貯めて、ジルバップとダイレクト・ドライブのレコード・プレーヤーを買った。
「プレーヤーは少々高くてもよいものを買った方がよい」というオーディオ好きの友人のアドバイスにしたがい比較的ちゃんとしたモノを購入した。
そのプレーヤー、買ってから37年を経過した今でも使っている。回転数を切り替えるスイッチなどプラスチックの部分がもろけ、内部の金属のパーツがむき出しになったりしてはいるが、回転ムラもそう気にならず、こうした原稿を書く時にLPでしかもっていない音源を聞いたりするのに時折使用している。

ひとたびレコードを聴く装置が手に入ればもうこっちのもの(ナニかだ?)!レコードの数は増え続けた。
やがてLPはCDに姿を変えたが、今に至っても増える一方。

途中で2~3回にわたり数千枚のLPを処分販売したものの、今まで買って来た枚数は軽く「万」は超えると思う。
ま、植村さんには遠く及ばないけどね!

家内からも「よくそんなに聴きたいものがあるわね~」と感心とも呆れともつかない(呆れてるにキマッてるか…)ことを言われるが、予め欲しいモノや、聴きたいものが、私の場合そうあるワケではない。
ただ、最初にある欲望は「出会いたい」ということなんだよね。つまり中古レコード店にいって片っ端からチェックしたい。「今日はコレを探すぞ!」なんてことはまずない。
そして、そこで出会っちゃうんだな~、欲しいものに。その場で聴きたくなっちゃうんだな~。

もちろんその場の出会いを逃さないように普段から勉強をしておかなければならないんだけどね。これがまた楽しい。さすがにあまりにも何の情報もないものを買うのはコワイしね。
ってんで現在も安い中古のジャズのCDを中心にジワリジワリとガラクタコレクションの数は増え続けている。

話しはもどって…そう、「いいものに出会った」なんてよろこんでいる半面、深刻な問題はドンドン大きくなる一方なのだ。
それは「収納」という問題。
私の住まいは古く、LPやCDの体積もさるころながら、質量も大きな問題となる。とくにLP。
以前は転勤族だったため、膨大な数のLPは引越しの際の致命傷となるため、長い時間をかけて積極的にCDに買い換えて来た。
それでも居間で保管していた処分するに処分できない2,000枚を優に超すLPは相当な重量だった。
私はそのLPが放つ「中古レコード屋臭」が大好きだった。何せ家にいてディスク・ユニオンの匂いがするんだからね。快便です。

「快便」というのは、汚い話しだけど、私は中古レコード屋に行くとほとんどと言っていいほど毎回便意を催すんだな~。本屋においてもほぼ同様(不思議と古本屋では催さない)。
こういう人が私の周りでは少なからずいらっしゃるが、これは医学的に原因が解明されていて、どうも自分が最もリラックスできる場所においてこうした症状が出るらしいのだ。
好きなレコードにかこまれてリラックスできる…一番居心地のいい場所が我が家の居間だったのだ。

しかし!2011年3月11日を機に階上の所有物の軽量化を図ることになった!
そこですべてのジャズのLPを泣く泣く階下の倉庫へ納めたのだ。
こ~れがまた腰がヒン曲がりそうな大変な作業だった。
ロックのLPはMarshall Blogを書くために必要な資料としてまだ部屋に確保してある。かくして居間の「中古レコード臭」はまぼろしと消え、便秘体質になったのであった(ウソ)。

他方、CDも5,000枚ともなると、これまたバカにできない大きさと重量になる。アレ、中身はほとんど空気のクセによ~。
そこで、植村さんのご推薦を頂戴し、いわゆるソフト・ケースを買い込んできて同様に少量&軽量化を図った。つまりプラスティックのケースをすべて捨ててしまったのだ。
体積は1/3となり、重量はそれよりも軽量化したハズだ。
あのプラケース、何千枚も集めると信じられないぐらいモノスゴイ重量で、角がとんがってるもんだからゴミ袋に入れると簡単に破って外に出て来てしまう。
しかも、ウチのエリアは同種のゴミの引きとりは1回に3袋までというルールがあるらしく、いっぺんに捨てられない。処分するのにもエラク苦労したわ。
とにかく何のコレクションにおいても「収納」は大きな問題だ。

私程度のコレクションでも「収納」に苦しんでいるのだから、この『Music Jacket Gallery』の主宰者であり、日本屈指のコレクターである植村さんときたら日夜「収納」との戦いであることは間違いない。買わなきゃ何の問題も起こらないんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

植村さんのコレクションをもう一度見てみよう⇒The Amazing Uemura Collection


とりわけ収納にご苦労なさっているのはボックスものだそうだ。
レギュラーのCDは形が統一されているので積んだり詰め込んだりしやすく、コンパクトに収納しやすいが、ボックスものは形状がまちまちで、中には面妖な形のパッケージもあり、積み上げるにしても「テトリス」状態となる。
ま、収納できなければ買わなきゃいいんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

そこで今回のガラス・ケースの立体陳列は、コンパクトなサイズのボックスにCDを巧妙に収納する「コンパクトCDボックス」が特集された。
コレ、一種の撞着かもしれないね。CDボックスというのは壮麗で大仰なパッケージにすることで商品の魅力を高めるワケだから…。それをコンパクトな商品にしてしまうということは案外いい度胸なのかも知れない。
では…。

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● GRATEFUL DEAD / WINTERLAND 1973: THE COMPLETE  RECORDINGS (RHINO 2008)
2011年の72枚組CD-BOX、2012年の14枚組DVD-BOXという凄まじい発売ラッシュが続いたGrateful Deadの1973年11月9日から11日までのウインターランドでの全公演を完全収録した9枚組CDボックス。
各3枚のCDを収納した3枚の紙ジャケを並べると大きなポスターになる特殊なパッケージ。ポストカード仕様のコンサート・ポスターのミニチュア版とピンバッチも同梱されている。
70年代までのDeadの正規盤は比較的揃っているが滅多に聴かないな~。でもDead系商品のデザインはなにかといいよね。
ある知人が熱狂的なDeadのファンの方に「72枚組を聴くこと」を「なかなかの荒行」と表現していたのを横で聞いていて吹き出してしまった!

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● VARIOUS ARTISTS / STIFF RECORDS BOX SET (DEMON 1992)
Elvis CostelloやIan Duryなど個性的なアーティストを輩出させた英スティッフ・レコードの作品を網羅した4枚組CDボックス。
レーベル、ブックレット、パッケージ に至るまで、あくまでもアナログ感覚にこだわったデザイン・ワークがスティッフというレーベル・ポリシーをうまく表現している。

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● NEW TROLLS / NEW TROLLS SINGLE BOX (ARCANGELO 2007)
イタリアン・プログレッシヴ・バンドとして今日も絶大な人気を誇るNew Trollsの再来日記念で発売された10枚組のシングル・ボックス。
1967年から72年までに発売された17作のシングル盤の中から12作を美麗なスリーヴと共に歌詞を掲載した内袋までを再現した復刻度は見事なものだ。解説もコンパクト・サイズなので中高年の方には読みにくいかもしれないが、豆本のようで何とも可愛らしいもの。
この再来日公演(かな?)を観に行った。日本から参加した大ストリングス部隊との共演が見事だった。
実はNew Trollsはゼンゼン通過していないので1曲も知らなかったのだが十分にコンサートを楽しめた。この時代のイタリアン・プログレの音楽レベルの高さは恐るべきものだ。
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● J.A.シーザー / 天井桟敷音楽作品集(DIW 2008年)
1967年に寺山修司が設立した劇団天井桟敷の音楽を担当していた孤高の音楽家、J.A.シーザーの貴重な歴史的音源を集大成した5枚組CDボックス。
5枚のCDを見事にコンパクトに収納した特殊パッケージもさることながら、貴重な台本、写真や絵などを載せた豪華ブックレットも見事なデザインワークだ。(ディスク・ユニオンのみの購入特典である未発表音源CD付き)
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● MILES DAVIS / THE COMPLETE COLUMBIA ALBUM COLLECTION (SONY BMG 2009)
ジャズ界の帝王Miles Davisのコロンビア時代の全作品を収納した53枚組CDボックス。パッケージ・デザインは、各アルバム・ジャケットをあしらったスタイリッシュ(ソニーのハウス・デザイナーの特徴)なもので、各アルバムは簡易型の紙ジャケット仕様になっている。ボックスの大きさや軽さなどを考慮した見事なエコ・パッケージといえる。
コレ、欲しいんだけど中身は単体でほとんど持ってるからな~。
これに「Plugged Nickel」とか「Jack Johnson」とか昨日紹介した「Celloar Door」とかの「Completeホニャララ」、そこにエエイ「Blackhawk」や「Carnegie」も組み入れて100枚組で再発売ってのはどう?
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● FANNY / FIRST TIME IN A LONG TIME THE REPRISE RECORDINGS (RHINO HANDMADE 2002)
1969年に結成された世界初の自作自演のガールズ・バンドと知られるFannyがリプリーズ・レーベルに残した音源を完全収録した4枚組CDボックス。
JuneとJeanというMillington姉妹を中心とする4人組は、Richard PerryやTodd Rundgrenなどのプロデュースによる傑出した作品を世に送り込み、今日また再評価されている。
完全限定盤にこだわったライノ・ハンドメイドならではの独創的なパッケージ。
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● VARIOUS ARTISTS / THE LOWEST FORM OF MUSIC L.A.F.M.S.1973?1994 (RRR RECORDS 1995)
Los Angels Free Music Societyという名で、様々な前衛音楽集団を束ねるRRRレコードの創立20周年を記念して発売された10枚組CDボックス。
こうした特殊なインディ音源はなかなか収集されにくいが、こうしたボックスは貴重な資料と共にレーベルの全貌が把握できる点が肝だ。

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● VARIOUS ARTISTS / THE CHESS STORY 1947-1975 (CHESS 1996)
第二次大戦直後にChess兄弟によって設立された米チェス・レコードの15枚組CDボックス。
チェス・レコードはブルース、R&B、ソウルといったルーツ・ミュージックを中心にアメリカの音楽シーンをリードしてきた。
貴重なブックレットの資料と共に、15枚目のCD-ROMにはチェスが発売してきた全カタログが網羅されている。そして、パッケージは多くのCDをコンパクトに収納する理想的なものとなっている。
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● NINA SIMONE / FOUR WOMEN : THE NINA SIMONE PHILIPS RECORDINGS (VERVE 2003)
2003年4月にパリの自宅で70年の生涯を閉じたNina Simoneの追悼盤。
ジャズというジャンルを超えた幅広い音楽性はその独特なヴォーカルとも相まってコアな人気が高く、全盛期である1964年から66年までの全オリジナル・アルバムを4枚のCDに集大成したもの。
サック・ケースも含めたお洒落なデザインワークで作られたコンパクトなパッケージには思わず所有欲をそそられる。
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●BEACH BOYS / U.S. SINGLE COLLECTION THE CAPITOL YEARS 1961?1965 (CAPITOL 2008)
夏の定番アーティストの筆頭格であるThe Beach Boys前期のアメリカ盤シングルをピクチャー・スリーヴに収納した16枚組CDボックス。
箱自体は硬質の段ボールで作られているが、ナゼか箱の一部には本物の木が使用されている。おそらく紙と木という素材の組み合わせによってエコロジー感を表現したのであろう。
同梱された80ページの特製ブックレットのカヴァーは砂浜を表現している。
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● KEITH RICHARDS / TALK IS CHEAP (VIRGIN 1988)
Keith Richardsの初ソロ・アルバムの初回限定生産パッケージ。
Keithのキャラクターであるツヤ消しブラックの骸骨の缶に現在ではほとんど発売しなくなった8センチCDが3枚収納されている。アルバム・クレジットなどが載った丸型のブックレットも凝った作りだ。
この小さいCD、昔はアダプターをひっ付けてたんだよね。アダプターつきで世界で最初のシングルCDとなったのはFrank Zappaの「Peaches en Regalia」?
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● VARIOUS ARTISTS / BEARSVILL BOX SET (BEARSVILL 1996)
聖地ウッドストックで1969年に設立された名門ベアズヴィル・レーベルの作品を集大成した4枚組CDボックス。
CDの収納トレイと腰巻き帯を付けた単行本仕立てのスリムなパッケージが独創的だ。シリアル・ナンバー・カードを封入した完全限定盤で、日本独自の企画・発売。
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…と、これらのコンパクトなパッケージのおかげでうまく収納できました。
でもね、収納できなければ買わなきゃいいんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

(敬称略 ※協力:本項解説文原本執筆・植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )

Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。