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2013年5月24日 (金)

【Music Jacket Gallery】SFジャケット・コレクション <前編>

先日、HignosisのStorm Thogerson氏の逝去に伴い急遽掲載した『Music Jacket Gallery』。大きな反響をいただき、ご覧いただきました皆様にはこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

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さて、Music Jacket Galleryは3か月に一回定期的に展示を総入れ替えし、順調に回を重ね、ますますその認知度もアップさせてきている。

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その展示の入れ替えに合わせてマーブロでも解説記事を適宜掲載したいのだが、なかなか制作の時間が取れず、大幅にビハインドしてしまった!

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臆面もなくヘタな弁解をさせていただけるのであれば、何しろこれを1本書くのに、資料を集めたり、音源を聴き直したり、英語の文献を読みほどいたりで膨大な時間がかかるのである。でも、やってて楽しいけどね!ま、言い換えれば時間との戦いなのよ。

また、いっぺんに昔のことを思い出すのは不可能で、いつもいつも頭の中に展示されたジャケットのことを叩き込んでおいて、「ああ、ああいうことがあった」とか「こうなったらどうだろう」なんて文章の用意をしておかないととても書けるものではない。ようするに熟成期間が必要なのだ。
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それで、今回は少しずつすこしずつ長期間にわたって書き溜めた記事をとりまとめ、加筆訂正し、1本に仕立て上げたという次第。

展示の特集は「SFジャケット・コレクション」。恥ずかしながら1年以上前に展示が終わってしまっているのでMJGのガイドにも何もならないがお許しいただきたい。
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ここで拙文を重ねて訴えていることは「ジャケットの重要性」や「楽しさ」であることに以前と何ら変わりない。

一部ではLPレコードの需要が反転上昇しているやに聴いているが、ジャケット、いや、CD等のフィジカル・プロダクツが絶滅に瀕している状態はまったく変わっていない。3年後には日本からCDが姿を消すと断言している関係者もいる。

ここに書き連ねているのはいつも通りの取るに足らない私的レコード解説で恐縮だが、こんな内容でも、「もし本当にジャケットがなくなったら…」ということを思い浮かべながらお目通し願いたいと思う。

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さて、「SF」…海外では「サイファイ」と普通呼んでいるが、これはジャケットのモチーフとしてはもっとも扱いやすいもののひとつであろう。

人気テレビ番組『ザ・ベストテン』に出演したスター歌手が「どんな本を読むのか?」と訊かれ、胸を張って「SM小説です!」と答えていたのもはるか昔の話し。たまたま私はこの時の放送を見ていたが、生番組の恐ろしさを見たような気がした。

ジャケットの前に、ちょっと音源のことを考えてみるに、David Bowieの「Space Oddity」に代表されるようなSFをテーマにした歌もメッキリ見かけなくったのではなかろうか?

パソコンにケータイ…25年前には想像もできなかったこうしたIT機器(ITという言葉もなかった)の普及に満足し、近未来的な科学の発達を夢見るようなことがもう必要なくなったのかもしれない。

今更アシモフやブラッドベリーを読んでもピンとこないだろう。

手塚治虫が生きていたら何を空想していたのだろう?いつもここに書いているが、『火の鳥』の「未来編」のような話をもっと突き詰めて人類に警鐘を鳴らしていたのでは?

この大国のコンピュータ同士のケンカで核戦争が起こって人類が滅亡してしまう話は、ナント1967~1968年にかけて制作されている。恐るべし。

プロ棋士がコンピュータに勝てないとかボカロの話を聴くたびにこの『火の鳥』を思い出してしまう。ボカロについてはまた別の機会で触れたいと思うが、もう音楽の世界においてはテクノロジーの進化は必要ないでしょう。

これほどテクノロジーの進化がコンテンツを退化させてしまっている分野は他にないのではなかろうか?

今日はそういうこともひとまず忘れて、古き良きレコード・ジャケットでゆっくりとSFの世界を楽しんでいただきたい。

自分の思い入れのある作品や興味のあるアイテムをピックアップしウンチクを固めてあるのはいつも通りのことである。

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今回ブロウアップされたのはVanilla Fudgeの『Renaissance』とThe Tubesの『Remote Control』。

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ああ、Alex Harvey。大好き!シンプルでカッコいいギター・リフ。ロック以外には使い道のないような、ともすればJoe Pesciを連想させる野太い独特の声。今、一番お目にかかることのできなくなったタイプのロックの代表ではなかろうか?いわゆる70年代の音。問答無用でカッコいい。もちろんギターのZal CleminsonはMarshallだ。

ボーカルのAlex Harveyは1935年、世界で三番目に地下鉄が開通したScotland第二の都市、Glasgowの生まれ。生粋のScotishだ。かなり芸歴が古く、1954年にはスキッフルのバンドでキャリアをスタートさせている。The Sensational Alex Harvey Band(以下SAHB)の前はR&Bとかブルースを歌っていた。

1963年頃のR&Bタイプの録音を聴くと、何しろこの声だからね…トリハダが立つことは請け合いだ。考えてみるとこの人もスキッフル、ロックンロール、R&B、ブルース、ハードロックとイギリスのロック史をそのままなぞったようなキャリアを持った人だった。

このブログによく出てくる私の親友Steve DawsonとSAHBの話しをすると決まって「Alexは酒で死んだんだ。スコティッシュだからね!」と言う。

自分だってスコットランドの首都、エジンバラまで電車で一時間ぐらいのところに住んでいるクセに、Alex以外にもスコットランド出身で早逝した人の話しになると必ず「酒が原因だ。スコティッシュだから…」と言う。よっぽどスコットランド人は浴びるようにスコッチ・ウイスキーを飲み、街中はアルコール中毒患者でゴッタ返しているのでは?と少しは心配にもなったが、実際に訪れたエジンバラはロンドンのソーホー辺りのような猥雑さを微塵も感じさせない世界遺産の名に恥じない美しく静かな街だった。

Alexは1983年、ベルギーで客死している。公演を終えてイギリスへ帰るフェリーを待っている時に心臓発作に襲われ、病院に向かう救急車の中で2度目の発作が起こり絶命した。47歳だった。

もうチョット書かせてね。好きなんだもん。

1970年には有名なミュージカル『Hair』の座付きバンド(Pit Band)を派生させてRay RussellとRock Workshopを結成した。Ray Russellもネェ~。私は詳しい方ではないが、『Goodbye Svengali(「Svengali=スヴェンガリ」というのはGil Evansのアナグラム。文字の順番を変えるとGil Evansとなる。ジャズの世界で最も有名なアナグラムは、Bill Evans作曲の「Re:Person I Knew(私が知っていた人について)」だろう。これはRiversideレーベルのレコード・プロデューサーのOrrin Keepnews=オリン・キープニューズのつづり代えだ。)』というアルバムを買って聴いてみたがまったくピンとこなかったナ。

で、その後、弟のLeslie "Les" HarveyにMaggie Bell(「イギリスのジャニス」と呼ばれる女性シンガーのうちのひとり)を紹介され、1969年にStone the Crowsを結成した。このバンド、ベースはRobin TrowerのところのJames Dewer、ドラムが後にFocusに加入するCollin Allenだった。こういうところが面白い。日本同様、イギリスの音楽業界は狭いのでこうしたキャリアの交流が盛んに発生する。翌年、弟のLesは演奏中に感電死してしまった。1972年頃にはギターにWingsのJimmy McCullochが在籍していたが、確かこのJimmyも感電死したように記憶していたが、ヘロインの過剰摂取による心臓発作で他界したらしい。

その後、1972年にAlexが結成したバンドがSAHBだった。

日本では知名度低いよね?スゲェいいバンドなんだけどな…。SHARAさんが好きだというのを聴いてうれしかった。

このバンドの作品のジャケットはアメリカン・コミック的なポップなイラスト調のものが多く、内容との乖離が大きい印象がある。とりわけ、この1975年発表の『Tomorrow Belongs to Me』はその傾向が強い。何で「明日はオレのもの」と、恐竜とユンボが戦ってるイラストが関係あるんだろう?「Action Strusse」とか「Snake Bite」とか、内容はいいよ~。

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Thomas Dolbyというのは全く知らないんだけど、ジャケットが面白いのでちょっと取り上げてみた。ナンカの映画のパロディなんだろうけど、なんだろう?勉強不足でわからない。「宇宙人現る!」みたいなヤツだね。40年代や50年代にはこうしたSF映画とか怪獣映画ってのは星の数ほど作られていた。

Frank Zappaが『Roxy & Elsewhere』のMCで「I love monster movies...」と切り出して当時のB級怪獣映画のチープっぽさを解説している。その後に演奏されるのが『Cheepnis』。コレを初めて聴いた時はあまりのカッコよさに腰を抜かしたわ。

最近は怪獣映画もすっかりみかけなくなった。なんでもかんでもCGアニメでさ…。映画は音楽より救いようがないからね。音楽ととても環境が似ていると思うのは、もう映画界はいい脚本が書けなくなってしまっていること。いいメロデイが作れない音楽界と同じだ。

これも「ニューシネマ」とかいって、金をかけずに、うわべだけのカッコよさを求めて作った薄っぺらな映画をもてはやした結果だろう。ロックとまるっきり同じだと思わない?

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Vanilla Fudgeも本コレクションのオーナー、植村さんのフェバリット。1968年発表の3枚目のアルバム、『Renaissance』。いいデザインだよね~。ロック・カルチャーの頂点はやっぱりこの頃だね。この後、ハード・ロックとプログレッシブ・ロックが隆盛を極めて、パンク/ニュー・ウェイブが出てきた瞬間、ロックは2巡目に入った…満身創痍で。

80年代以降のロックは、ごまかしながら出がらしのお茶を「おいしい、おいしい」と無理やり飲んでいるように見える。ジャズとまったく同じ歴史をたどっている。

生まれた時から出がらしのお茶しか飲んだことがなければ、誰だってそれが「お茶」だと思ってしまう。ところが、お茶を作る会社は玉露の香りを知っている。でも、教えない。製造に手がかかるワリには大して儲からないから。ま、それも譲ろう。音楽だってビジネスだから。一番マズイのはお茶を作る農家とそれを買い取るお茶のメーカーに玉露の香りを知らない人が増えてきているということだと思う。

イケね、またやっちまった。でも今日のはヨカッタでしょ?

で、Fudge。私は夢中になったことはないし、スミマセン、ファースト・アルバムですら休み休み聴く部類に入っちゃってます。でも、この『Renaissance』の直前の『The Beat Goes on』がメッチャ気になっていて、植村さんのお住まいにお邪魔した時に聴かせていただいた。キテレツ盤の域を出ないシロモノという感想だったが、へへへ、結局中古で見つけて買っちゃった。そんなもんなんですよ。内容がよくても悪くても気になるものは、聴く本人にとってはある種名盤なのだ!植村さん、ありがとうございます。

ご存知の通り、「You Keep Me Hanging On 」やら「She's not There」やら数々のビートルズ・ソングで構成されていたファーストや前作に比べ、数曲のカバーはあるにしてもこの3枚目の『Renaissance』はメンバーのオリジナルを中心に制作された。が、好事魔多し。オリジナル・プレスでは派手なプリントミスが生じてしまう。

「The Spell That Comes After」というEssra Mohawk(Frank Zappaが面倒をみたSandy Hurvitzと同一人物)の作曲者のクレジットがZappaのアート・ワークを担当していたCal Schenkelになってしまっていたという。もしかして、このジャケット、Cal Schenkel?

最終曲の「Seasons of the Witch」はDonovanのカバーだが、後半に同じくEssra Mohawkの「I'll Never Learn」が挿入されているという。

「…という」…というのは実は私はコレ聴いたことがないのね。でも、こういう裏話、特にZappaがらみの話と来れば是非聴いてみたくなる。ロックだって知れば知るほど面白くなるのだ。

Essra Mohawkについても詳しく知ってるワケでは全くないが、Sandy Hurvitzで発表した『Sandy's Album is Here at Last』は持ってる。Sandy Hurvitzと命名したのはZappa。Zappaの名作のタイトルにもある「Uncle Meat」というのはZappaが彼女に付けたアダ名。そんなヘンテコリンなアダ名をうら若き女性が好むハズもなく、そこからZappaとの関係が悪くなったとかいう話もある。ま、実際には音楽的な対立があったのだろう。Zappaの顔写真がこの作品のジャケットに写真もハメ込まれているにもかかわらず、プロデュース中途で拒否。そのためIan Underwoodがその尻拭いしてプロデュースしたという。そんな背景があってバンドを自由に調達できなかったのか、アレンジがピアノの弾き語りという曲も散見され、結果的には裏Laura Nyroみたいでなかなかによろしい。

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Jefferson系統ってどうにも昔から苦手だった。Airplaneの有名盤を何枚か持ってはいるけど、資料的な意味合いだけで、今でも進んで聴くことはまずないな。なんか歌声も演奏も曲も、見事にソリが合わないんだよな~。なんでなんだろう。

ま、元よりまばゆい陽光と雲ひとつないカリフォルニアの澄み切った空よりも、雨ばかりのどんより曇ったロンドンの空の方がシックリくる私のことだから無理もないか…。

でも高校の時、「オ!カッコいい!」と思って買ったのがこの『Dragon Fly』だった。何がカッコよかったかというとギターのCraig Chaquico。でも結局ロクに聴かないうちに売っちゃったな。

ジャケットはいい。トンボだよね。このStarshipになってからのジャケットは『Red Octopus』もいいし、『Spitfire』はとてもいい。どれももう家にないな~。

サンフランシスコから金門橋を渡ってNovatoというところに行く途中、左の遠くの山の中腹にある家をさして現地の友人が「アレ、Grace Slickの家だよ」と言っていたっけ。この時も友人がGraceの過去の逮捕歴について話していたが、あらためて調べてみると随分と警察のご厄介になってる人なのね。

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こっちが『Spitfire』。SFっぽいかはどうかは別にして文句なしにカッコいい!

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すいません、そんなこと言っててもどうしてもダメなイギリスものもある。Hawkwindダメなんだよね~。スペース・ロックかなんか知らんが、退屈なんですよ~。でもラリラリ状態でストリッパーが狂喜乱舞するステージを体験するときっと最高なんでしょうな…というよりそういう風に楽しむのがこのバンドのホントの楽しみ方なんだろね。

ところが音源だけ聴いていた日には大したテクニックもないのにダラダラと無用の演奏が続くという部分がなかなかにシンドイ…。

でもこのバンド、70年代の諸作のジャケット・デザインは大変によろしいな。すぐ下の4枚目のスタジオ録音盤『Hall of the Mountain Grill』も同様。宇宙のどこかの星に乗り捨てられた宇宙船を描いたのはこのバンドの美術を手掛けるBarney Bubblesの作品。

ちなみにこのタイトル『Hall of the Mountain Grill』というのはグリーグの『Peer Gynt(ペール・ギュント)』の中の「In the Hall of the Moutain King(山の魔王の宮殿にて)」とマーケットで有名なロンドンはポートベローにあったバンドの行きつけの喫茶店「The Mountain Grill」を合体させたものだそうだ。

まだベースはまだIan Kilmister、すなわちLemmyが担当している。本アルバムの次の作品『Warrior of the Edge of Time』からのシングル曲「King of Speed」のB面に収録されていた曲が「Motorhead」だった。Lemmyはそのアルバムを最後にHawkwindを脱退した(クビになった?)。

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ん~、いいナァ。1971年の『X in Search of Space』。内容は知らないけど…。初期のHawkwindは色々な(それこそ)アーティストがからんでいた。このデザインもRobert Calvertという詩人のイメージを膨らませてBarney Bubblesが制作した。

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LiverpoolとBrixton(双方『ロック名所めぐり』で紹介する)で録られた有名な1973年のライブ・アルバム『Space Ritural』。これも『X in Search of Space』のコンビが音とビジュアルの融合を目指してデザインされたという。私的には音よりもビジュアルの方がカッコいいと思うのだ。

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Greatful Deadもキツイなァ。70年代の正規のアルバムはほとんど持っているけど滅多に聴かないのぅ。いつかデッドのコンサートがいかに長いかっての書いたことあったけど、一度スッポリとハマってしまった人にはタマらんバンドのひとつには違いない。

ところで、デッド諸作のジャケット・デザインは総じてよろしいな。イラストものが多いのが特徴だ。有名な『Greatful Dead(Skull and Roses)』や『Steal Your Face(これはLPが出た時ジャケ買いした)』、『Aoxomoxoa(これを見るといつも水木しげるのマンガに出てくるバックベアードを思い出す)』、『American Beauty』等々すごくいい。本作や『Terrapin Station』、『Blues for Allah』や『Europe '72』だってゼンゼン悪くない。

一方、本人たちがご登場のジャケットは『Workingman's Dead』を除くと『Go to Heaven』や『In the Dark』のように残念なものが散見されますな~。

これが『Blues for Allah』。ヴァイオリンを弾くしゃれこうべが今回のテーマであるSFっぽくはある。このアルバムのタイトル曲はデッドのファンであったサウジアラビアのファイサル王(1906~1975年)に捧げられたとか。妙な曲だゼ~。今回久しぶりに聴き直してみたけどナカナカいいな…。

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この『From the Mars Hotel』は1974年に発表されたDeadの7枚目スタジオ盤。ジャケットの建物はサンフランシスコに実際にあった安宿を写実したもの。だからSFではない。でも舞台を火星にしちゃったからSFだ。

「GREATFUL DEAD FROM THE MARS HOTEL」の下の緑色の文字のようなものは、アルバムを逆さにして鏡に映すと読める。「UGLY RUMORS(醜いウワサ)」 だ。イギリスの元総理大臣、Tony Blairが学生の時に組んでいたバンドの名前は「UGLY RUMOURS」といったそうだ。イギリス綴りなので「O」と「R」の間に「U」が入る。

そういえば生前のJim Marshallが会食の席かなんかで「Tonyがどうの…」って話していたことを耳にしたことがある。 「総理大臣をトニー呼ばわりか…さすがジム」なんてその時は思ったもんだ。日本のどこかの社長さんが首相をつかまえて「晋三、晋三」と呼んでいたら笑うで、しかし。

それにしてもデッドがアメリカを代表するバンドってのは納得するよなァ。同時にMarshallからもっとも遠いアメリカのバンドって感じ。

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中学生のころ、Deep PurpleもLed Zeppelinもひと通り聴いたし、なんかカッコいいロックはないかいな?と思っていたところへ、ロック好きの兄を持つ友人がUriah Heepを教えてくれた。「エ、なに?ゆーらいあひーぷ」って感じだった。

このバンド名はCharles Dickesの『Davis Copperfield』に登場する「ユーライア・ヒープ」という不誠実で卑屈なキャラクターに由来している。イギリスではこれがのちに「イエスマン」という同義語として浸透した。

Ken Hensleyのオルガンを中心としたサウンドがちょっと他のハード・ロック・バンドと違って新鮮だった。それにDavis Byronの声。でも、曲がちょっとポップというか、単調というか…それほど夢中にはならなかったな。

イヤ、それよりも夢中にならなかった理由はオルガンが主役だったからかもしれない。Mick Boxがもっとギンギンに弾いたギター・オリエンテッドのバンドだったらもっとのめり込んでたかもしれないな…。

でもね、Mick BoxってとてもMarshallに忠誠ないいギタリストなんよ。

David Byronも気の毒な人だよな。この後、Rough Diamondを結成した。ちょっと気になったので久しぶりにレコード棚から引っ張り出してきた。タイポグラフィがエンボス加工されている。このパラフィン紙みたいな帯が泣かせるぜ。ナニナニ、「ブリティッシュ・ハードの神髄ここにあり!!(中略)嵐を呼ぶデビュー・アルバム!」…裕次郎か?

聴いてみる…まったく覚えてないな。少なくともこれで嵐は呼べんな。なんかブリティッシュともアメリカンともつかない中途半端な感じだ。だいたい、相棒のギタリストがClem Clempsonじゃ弱いよ。

1977年。この頃は既成のハード・ロックが飽きられてきて、ポップ性を吸収した音作りに奔走していたんだろうね。日本でも有名なギタリストが「歌謡界へ殴り込みだ!」なんて宣言していたのもこの頃ではなかろうか?

そこへパンクとからニュー・ウェイブってのが「アタシャ新しものでござんす」と切り込んできて、旧態依然としていたハード・ロックをがいとも簡単に駆逐してしまった。後はロックの低年齢化が進んで現在に至る。

イカンイカン、また脱線しちまった。で、このアルバム全然売れなかったらしい。それでさっさとDavid Byronはこのバンドを引き上げ、しばらくして自分のバンドを立ち上げたが大した話題にもならず1985年に死んでしまった。そうか…もうByronが死んで30年近くになるのか…。

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ところでヒープもいい加減ジャケットが玉石混交だよね~。

この『The Magician's Birthday』とか『Deamons and Wizards』とかはいいですよ。Roger Deanだからね。

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でもコレはないでしょう?1976年の『High and Mighty』。これはルガーP-08か…。一体何の根拠でこんなジャケットなんだろう?ピストル=MightyでHighだから空を飛ばしちゃったのかな?

『The High and the Mighty』という映画があった。John Wayne主演で、邦題は『紅の翼』という1954年の古い作品だ。観たことはないけど、航空パニック映画の先駆けみたいな話。この主題歌をNed WashingtonとDimitri Tiomkinが書いていて、実にいい曲なのね。もちろんタイトルは「The High and the Mighty」。よくJaco Pastriousがア・カペラのベース・ソロの時に弾いていたのがこの曲。昔、「あなたのジャズ・スタンダード・ベスト10」みたいなアンケートで香津美さんがこの曲を選んでいたが、ジャズの人たちが演奏しているのを聴いたことがないな。ロマンチックで美し曲。

ま、これはこのヒープのアルバムには関係ないだろう。

このアルバム、ベースがJohn Wettonなんだよね。何かのインタビューでこの作品へのWettonの参加を指して「彼はお金のためだけにグループに加入した」的なことが書かれていた。Davis Byronもアルコールでヘロヘロになっていた時期の作品。

だからジャケットもこんな…ってか?なんでドイツのピストルにしたんだろう?色々試したけど、翼が付けたとことがルガーが一番シックリいったのかもしれない。

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Hipgnosisと並んでRoger Deanもビジュアル的に70年代のロックを支持、発展し、レコード・ジャケット文化の隆盛を担った人だ。

ジャケットがなくなれば彼の偉業も水泡に帰してしまう。いやいや、クリックひとつでこうして見ることができるじゃないか、って?確かにその意匠は確認することができる。しかし、実物、つまりフィジカル・プロダクツではければ何の意味もないのだ。見て、手にして、匂いを嗅いで…それができてはじめてジャケットと呼べるんよ!

Bernie Marsdenも在籍したBabe Ruth。日本のバンドだったら「長嶋」だ。Babe RuthはAlan ShacklockというギタリストとJennie Haanという女性シンガーが中心となったHatfirld出身のバンドでこれは1972年のデビュー・アルバム『First Base』。

Jennieの声がちょっとキツくて滅多に聴くことはないが、なぜかFrank Zappaの代表曲のうちのひとつ「King Kong」を演ってるんだよね。これは悪くない、インストだから。

アメリカン・フットボールはタマ~にテレビで放映されているのを見かけるが、イギリスでは野球はサッパリだ。クリケットはシーズンぬなれば盛んに放映しているけど。なんでこんなバンド名にしちゃったんだろうね?ってんでイギリスでのセールスは惨憺たるものであったが、北米ではよく売れたらしい。

ジャケットのイラストはRoger Deanっぽくないような気がする。ロゴのせいかな?宇宙の野球?

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Dave GreensladeはColusseumやIfでキーボードを担当していた人。これは自分バンド、Greensladeの73年のデビューアルバム。このバンドはギターレスなんだよね。

「キーボードでハードロックをやるとこうなるぜ」的な演奏。ELPとはまったく違った味わいで大層カッコよろしいな。メロトロンも全開だ!ただ、ボーカルがあまりにも貧弱すぎて台無しだコリャ。インストの部分は完璧!

さすが、Roger Dean。ジャケットは素晴らしい。この次の『Bedside Manners Are Extra』もRoger Deanが手掛けた。

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これはBabe Ruthに雰囲気が似てるな。Gravy Trainの最終アルバム『Staircase to the Day』。「Gravy Train」というとこのバンドよりもLou DonaldsonのBlue Note盤の方が頭に浮かんでしまう。

「Gravy」というのはあのソースのグレイヴィ。ちょっとかけると料理がおいしくなることから「働かなくてももらえるボーナス」とか「チップ」を意味した。「Gravy Train」は1920年代頃から使われ出したアメリカのスラング。当時は線路の工場で硬貨を鋳造していたのか、その鋳造の仕事の方が普通に工場で働くより仕事が楽でも同じ給料がもらえたことから「おいしい仕事」を意味するようになった。ようするに「すごく分のいい仕事という意味」。

Pink Floydの『Wish You Were Here』の「Have a Cigar」の中にこういう一説が出てくる。

And did we tell you the name of the game, boy, we call it riding the gravy train. (なぁ、この遊びの名前を教えたっけ?我々はこれを「ぼろ儲け」って呼んでるんだ)

このGravy Trainのアルバムは持っていないけど、最高傑作とされている2枚目の『A Ballad of a Peaceful Man』が手元にあるので聴いてみよう。

フルートが結構フィーチュアされた渋めのロックとでも言おうか、Tullとはまた全く違った味わいだ。生きているうちにもう一回聴くかどうかは大きな疑問。

Roger DeanというとHipgnosisのPink FloydみたいにYesばかりが有名だが、このようにかなりバラエティに富んだバンドのジャケットを手掛けている。Budgie(バッジー:イギリス北部ではこれを完全に「ブッジー」と発音する。最初何を指しているのかさっぱりわからなかった)、Gentle Giant、Gracious!、Nucleus、Keith Tippett、Patto、Third Ear Band等々、ブリティッシュ・ロック史に残した足跡はかなり大きい。

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ELOの来日公演に行ったのは何回も書いた。調べてみると1978年のことだったらしい。まったく曲も知らずに「レーザー光線がすごい!」というだけで武道館へ行った。

ま、これも何回も書いてきたが、何も覚えてないんですわ~。とにかくアンコールで「Roll Over Beethoven」をやったってことだけ。

後年、ELOも比較的よく聴くようになったけど、ポップの鬼と化したELOよりもまだRoy Woodがいたファーストの方が好き。

なんで円盤なのかというと、前々作『A New World Record』で作ったロゴを用いて、当時はやっていた『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』っぽいデザインにしようとしたらしい。母船に入っていく宇宙船のドテっ腹に入っている「JTLA 823 L2」というのは、このレコードの元々のカタログ・ナンバーなんだって。

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これが1971年のファースト・アルバム『No Answer』。ジャケット・デザインはHipgnosisだ。このジャケットに使われているランプはIngo Maurerというドイツ出身の工業デザイナーの手によるもの。

ジャケットの内側は不吉なイメージの古いモノクロ写真が並んでいる。内容、ジャケットともに不思議な作品だ。だから好き。

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フリッツ・ラング監督、1927年公開のドイツ映画『メトロポリス』の引用。

先に挙げたJefferson Starshipのトンボと同じキャラクターだ。

このアルバム、LP時代にはLP+EPという形態で発売された。そのEPというのが珍しくて買った記憶がある。ベーシストが中国系の人でチャーリー・トゥマハイといった。それがすごく印象に残っている。

Bill Nelsonという人はなかなかにギターのうまい人だ。ジャン・コクトーに心酔していたとか…。フレーズの組み立て方が巧みで聴きごたえがあるんだけど、残念ながら歪みがきつくて音が細く、チープに聴こえるのが玉にキズか…。もっとクランチっぽいサウンドで弾きこなしていればもっとギターの存在感が増したと思う。ま、そうなると彼のナイーヴな声が殺されてしまうかな?

「モダン・ポップ」とか言われているようだが、結構好き。ナンダカンダで全部そろってるな。なんか力の入っていないロックのようなものを聴きたい時にはもってこいだ。

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これが付属のEP盤。今なら簡単にCD一枚に収録できるのにね。

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Be Bop Deluxeも『Drastic Plastic』ではヒプノシスがジャケットを担当していた。いいか悪いかは別にして『Axe Vicim』、『Sunburst Finish』等、結構インパクトの強いジャケットを採用したバンドだと思う。

この『Modern Music』は4枚目のスタジオ盤。このジャケットのどこがSFだと思う?

そう、Bill Nelsonの時計。腕時計でロボットを動かしたのは「マグマ大使」だっけ?「鉄人28号」だっけ?下の写真ではわかりにくいけど、Billの時計がテレビみたいになっていて、かれらのファースト・アルバム『Axe Victim』の骸骨が映し出されている。

このアルバムが発表されたのは1976年のこと。この頃は携帯電話なんて夢のまた夢だったんだろうナァ。今じゃ小学生でもこのジャケットの時計より優秀なケータイ持ってるってーの。

歌詞なんかチェックしたことただの一度もないけれど、このバンド、元より歌詞がSFっぽいんだそうだ。

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Vangelis。スゴイ名前だ。この人も1981年のイギリス映画『Chariots of Fire(炎のランナー)』ですっかり有名になった。ギリシアの人。

「はい、それではギリシアのロック・グループ」の名前を言ってください。

と訊かれたらAphrodite's Childだけだな。あとはロックではないけど、Melina Mercouriの「Never on Sunday(日曜はダメよ)」。そういう人がたくさんいるとは思うけど…。

まず名前が読めん。ギリシアの人の名前はポーランド人ほどではないにしても複雑なのが多くてね。ギリシア語でつづられたら文字のひとつもわからん。

英語の表現のひとつに「私にはちんぷんかんぷんでしてね…」みたいのを「It's Greek to me(ハハ、私にはそりゃギリシア語だわ)」と言うぐらいだからね。Geroge Chakiris(ジョージ・チャキリス)、John Cassavetes(ジョン・カサヴェテス)、Olympia Dukakis(オリンピア・デュカキス)…みんな映画俳優だけど、総じて角ばった感じの音の名前で、最後に「~ス」がついてる。

ヴァンゲリスの本名はΕυάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου …読めるか~!

読み方はエヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ。

私はVangelisはまったく聴かないが、ロックも長年聴いてくると英語圏のものにもちょっと飽き出して、東ヨーロッパ方面等の「辺境」と呼ばれる地域の物にも興味が出てくる。私の場合、2000年代は言うに及ばず、80年代、90年代と(私にとっては)時代的に若いロックをまったく吸収してこなかったのでなおさらだ。

それでもね、やっぱり何を聴いても英米のバンドの名盤と呼ばれるものには残念ながら遠く及ばないと私は感ずる。一回聴いて「オ、カッコいいじゃん!」とは思わせるんだけど、繰り返し聴くには耐えられないんだな。ただしイタリアは別。

その点、Aphrodite's Childの『666』なんかはかなり強力だ。それもこのΕυάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου の才能によるものなのだろう。

このジャケットのデザインもVangelis自身によるものだそうだ。

…と今知った驚きの事実が!イッパイやって、ナゼか急にKurt Weilが聴きたくなってCD棚をチェックしていたら!Vangelis聴かないとか言っておきながらこのアルバムを棚で発見!持ってやがんの。要するに聴いてないってことやねん。

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Toddは好きだったナァ~。

ビートルズにも大分飽きてきて「ナニかいいロックはないもんか…(コレばっかり!)」とある日渋谷陽一氏のラジオ番組から流れてきたのがこのアルバムA面2曲目の「Magic Dragon Theatre(←原題もイギリスつづり)」だった。映画が好きで映画音楽からロックを聴き始めた私はシアトリカルなこの曲に…「コレだ!」といたく感動してすぐにこのアルバム『Ra』を買った。「Communion with the Sun」とか「Hiroshima」とか「Singring and the Glass Guitar」とかいい曲が目白押しで大好きだった。

ToddもUtopiaも含めてジャケットは感心せんな~。Hipgnosisがやった『Back to Bars』は内容がイマイチだったしな…。『A Waizard / A True Star 』がスゴイか…。なんかこういうところに英米のミュージシャンの感覚の違いが表れているような気もする。

してみると、ブリティッシュ・ロックの作品のジャケットが軒並み素晴らしいのはHipgnosisとRoger Dean、それにMarcus Keefのおかげということになろうか…。でもアメリカ勢、ジャズはいいのが揃ってるよ。

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このLPには下のようなオマケがついていた。切リ抜いて組み立てるとUtopiaのメンバーのピラミッドになる。

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これは1976年のTodd初来日を記念して配布されたステッカー。ES-175Dのダブルネックを弾いてるTodd。

昔はこういうことをしていたんですね~。来日記念盤として『I Saw the Light / Hello It's Me』のスペシャル・カップリング・シングルがリリースされたらしい。シングルって…。1976年というと『Faithful』をリリースした年。どうしてもタイミングが合わなかったんだろうね、来日記念盤。このシングル曲は1972~73年の曲ですからね。強引に出したんだね。でも名曲よ。

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私が行ったのは1979年の2回目の来日の時。これがプログラム。 『Ra』と『Oops! Wrong Planet』からの選曲が中心のプログラムで本当に素晴らしいコンサートだった。今でもベスト3に数えられるぐらい。

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ちょっとその公演プログラムをのぞいてみると…UFO、Scorpions、Roxy Music、Nazareth来日の告知が出ている。コレ全部観に行った。S席がまだ3,000円だったんだね。

ココには「元UFOのマイケル・シェンカーがスコーピオンズに加入!」って書いてあるんだけど、結局来なかった。UFOでも観れず、私はつくづくシェンカーに縁のない男なのよ。

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そのUFO。これはヒプノシス。なんで邦題が『宇宙征服』なの?原題は『Obsession』。「Obsession」とは何かに取りつかれることを意味する。「I'm obsessed with photography(写真に首ったけなのよ)」みたいに。それが宇宙征服。♪なんでだろ~、なんでだろ~?

ハハ~ン、さてはこの人たちパチンコ中毒なんだな?もうパチンコやりたくてやりたく…体中の穴という穴からパチンコ玉が飛び出してるってことか…。飛行機乗るとき大変だぞ~、金属探知機に引っかかっちゃって!

これは7枚目のUFOのアルバム。UFOも結局、Michael Schenkerが現れての『Phenomenon』からコレと、この後のライブまでだったな~。無理やり結びつけるワケじゃないけどシェンカーとHipgnosisが現れて、ともに去って行って何も残らなかった…なんて言ったらファンには失礼か…。

なんでPaul Chapmanだっただろうね。ま、サンプラで観たけどサ…。もっとよさそうなのが他にいたろうにナァ。

ブリティッシュ・ロックにおいて、いかにギター・ヒーローが肝心かということを暗示している。というか完全にブリティッシュ・ロックの繁栄はギターの繁栄であり、間違いなくMarshallなくしては成立しない音楽だったのだ。

そして、EVHがアメリカに登場し、イギリスからギター・ヒーローの新世代が現れず、パンクやニューウェイヴといったギター演奏の技術を必要としない音楽が跋扈し出した途端ブリティッシュ・ロックがまったくつまらなくなった。

このアルバムに収録されているヒット曲「Only You Can Rock Me」はちょいとした思い出があって…といっても最近の話し。2010年にロンドンでUFOを観た時、当然この曲が演奏された。ギターはVinnie Mooreだった。イントロを弾くと、2~3小節目で音が出なくなってしまった。コリャやばいってんでスタッフ総出でアンプやらケーブルやらのチェック。何たってイントロ命の曲でしょ?

気を取り直してもう一回…するとまた同じところで音が出なくなってしまう。はじめはニコニコしていたPhil Moggの顔に陰りが見え出し、明らかにこめかみの血管がピクピクしている!で、さらにトライ…またほぼ同じところで音が出なくなってしまった!

ま、さすがにこの後、何とか無事にその箇所を通過して演奏を終えた。アンプはMarshallではなかった。でもね、イヤもんですよ。ああいう場面に出くわすと他社の商品でも生きている心地がしない。アンプが原因かどうかはわからないけど、音が出なくなって一番疑われやすいのはアンプでしょ?何しろ音を出してる現物なんだから。だからいいアンプを使いましょうね~!

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NHKの『Young Music Show』で観た印象がよくなかったせいか、Super Trampは聴かなかったナァ。でもこの『Crime of the Century』と次作の『Crisis? What Crisis?』はジャケットがいいなと思ってた。

あった、あった。レコード棚から『Crisis? What Crisis?』を引っ張り出してきたから聴いてみよう。

コレ、一応プログレの範疇にいるバンドなんだよね?それを気にしなければすごくいいな。これが数年後『Breakfast in America』で押しも押されぬ超人気バンドになろうとはね~。ま、その萌芽がここにあったのかもしれませんな。下とは違うアルバムでスミマセン。

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Focusが大好きな人っていまだに多いでしょう?私もそのひとり。といっても1978年の『Focus con Proby』までか。この『Focus con Proby』にしても大好きなベルギー人ギタリスト、Philip Cathrineが入ってなかったら聴いてないかもしれないけどね。『Hamburger Concerto』もどうな…。要するに『Focus 3』までってことかもしれない。

この『Mother Focus』は5枚目のスタジオ録音盤。LP2枚とCD1枚持ってやんの、オレ。国内盤のライナーを読んでみた。「ジャケットが今までになく派手である」…と。フムフム。「これまでのような長尺の大作がなく、短い曲がならんでいる」…とやっておいて、「アメリカ市場を狙っている」…と。なつかしいナァ。「アメリカ市場を狙ってる」…か~。

今はワザワザこんなこと言わないもんね~。しかし、なんでアメリカ市場は短く聴きやすい曲でなければならなかったんだろう。「売れたい一心」で名曲「Anonymus」の精神を捨てていたとしたらFocusにもちょっとガッカリするナァ。

でも、好きやねん、Focus。

だから数年前にフランクフルトでJan Akkermanに会ったときはうれしかった。向こうの人は「ジャナッカマン」みたいに発音する。滅多にミュージシャンと写真を撮らない私でもさすがにいっしょに記念撮影をさせてもらった。彼は私が来ているMarshallのユニフォームを見て「君はMarshallの関係者かい?僕も昔はMarshallを使っていたんだよ」と言っていた。

Jan Akkermanのソロ・アルバムも片っ端から買ったな~。あんまり弾かないんだよね、モッタイぶっちゃって。1978年の『Live』と1997年のCD2枚組の同じくライブ『10,000 Clowns on a Rainy Day』はバリバリ弾いてておススメ。

このアルバム、ジャケットのデザインはRob Petersとかいう人。なんかこのタッチのイラストってどっか他でも見てるよねェ?

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さすが、「SF特集」にふさわしくまたまた出ました空飛ぶ円盤!Bostonは円盤好きだね~。なんで円盤なんでしょうか?これ円盤がひとつのコミュニティになってるとかいうことなのかな?

自慢じゃないけど、Bostonってまったく聴いてないんだよね。そりゃ「More than a Feelig」ぐらいは知ってるけどサ。中学3年ぐらいの時にこの曲がヒットして、あの時はてっきり「♪マザー・フィーリン」って歌っているのかと思った。

スゴイ人気で、デビューした時は秋葉原の石丸電気のレコード館(3号館)の2階のロック売り場がBoston一色になっていたのを覚えている。

デビュー・アルバム。クラゲ。ああ、そうか。これ地球が爆発してBoston号で宇宙に脱出したとこなのか!

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セカンド・アルバム『Don't Look Back』で安息の地に到着した…と。「振り返っちゃいけない!」…と。

あんなに人気を誇ったバンドなのにこの2枚目を出したとこまでだったんだね。1978年。今は結構80年代のバンドやヒットした曲を「なつかしい」とか「いい時代だった」とかいう傾向があるけど、やっぱり80年代はロックの暗黒時代の始まりなんだと思うよ。暴論だけど、80年代以降のロックをすべて切り落としたとしても、ロックの歴史はなにひとつ困ることがないのではなかろうか。Marshall的には困っちゃうけどね…。

Bostonのこの後の諸作を観てみると徹頭徹尾空を飛んでるんだね~。ある意味Chicagoのジャケットみたいだ。

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Captain BeyondはDeep Purpleの初代シンガー、Rod EvansとJohnny WinterのところのBoby Caldwell、Iron ButterflyのLarry Reinhardtらで結成された。アメリカのバンド。

これも久しぶりに引っ張り出してきて聴いてみた。セカンド・アルバム、『Sufficiently Breathless』。邦題は『衝撃の極地』。1973年の発表だ。ま、パーカッションが効いた普通のアメリカン・ロックやね。

ジャケットは好き。この通りを歩いているケッタイなヤツらが楽しい。デザインはJoe Petagno。この人はMotorheadのLemmyと出会うまでHipgnosisと一緒に仕事をしており、Pink Floyd、Led Zeppelin、Nazareth等の作品の制作に加わっていた。Motorheadのシンボル、War-Pigはこの人のデザインだ。

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これは聴いたことない。でもドラムがMike Shrieveでね、いつかは聴いてみたいと思ってる。ギターはのちにGlen Hughesとタッグを組むPat Thrallだ。その前にはPat Traversのライブ盤なんかでも活躍していた。あの中のディレイ・トリックのソロにはビックリしたもんだ。「え~、コレ全部弾いてるの~?」って。

ジャケットはまさにSF。

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これもHipgnosis。元は写真素材らしい。しかし、こんなデザインのアイデアどっから出てくるんだろうね~。Black SabbathのHipgnosisはこれと次の『Never Say Die!』だけかな?Keefによるファーストや『Paranoid』、あたりはいいけど、このバンドもどう見てもジャケット・デザインに神経を使っているようには見えないナァ~。後年の『Mob Rules』なんて自分のバンドのカラーを見失っっちゃってる感じすらする。内容は案外好きだけど。

…とマァ、アタシャBlack Sabbathについてガタガタ言えるほど熱心であったことは一度もござらん。子供の頃からどうも受け付けなくて…。でも最近、なかなかいいなと思うようになってきたけどね。そんなアタシでもBirminghamへ行きゃ、結構「Iron Man」のリフを口ずさんじゃったりするんよ。

コレ持ってるの忘れて、先日つい2枚目を買っちまった!
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くどいようだけど、このジャケット見て毎回毎回思い出すのはJoan Baez。

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ゼンゼン違うんだけど、コレとダブっちゃんだよね。ま、Joan Baezが歌うSabbathこそ聴いてみたいような気もするけど。

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Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

過去のMusic Jacket Gallery関連のレポートはコチラ⇒Marshall Blog - ミュージック・ジャケット・ギャラリー

つづく

(協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏)