イヤ~、月日の経つのは早いもので、「ウワ、そんなのやるのッ?」と驚いてからもう本番の日になっちゃった。
「伝説のロッカーたちの祭典」…。
そう、今日は「祭典の日」なのだ!…今日、この記事をお読みになられている方々の多くがあのJimmy Pageのイントロを自動的に思い浮かべていらっしゃることと思う。
それでいいのだ!
そういうレポ―トなのだ!
会場は新宿のスペース・ゼロ。
2000年に「マーシャル祭り」を開催し、Jim Marshallが舞台に上がったホールだ。
開場時間になり、ベテランのロック・ファンでにぎわうロビー。
ロックの一番いい時代をリアル・タイムで経験したうらやましい人たちだ。
でも、若い人もチラホラ。
そう、せっかくの「伝説のロッカー」たちだもん、観ておかなきゃもったいない!
このコンサートをサポートするのは…
MashallはJVM210Hと1960B。
EDENのWT-800ヘッドとD410XLTキャビネット。
そして、NATALのアッシュ。
12"、16"、22"のコンフィギュレーション。フィニッシュはグロス・ブラックだ。
開演時間となりステージ下手に登場したのは秀人さんとROLLYさん。
「加納さんに憧れて33年。外道を完全コピーしました!」…外道の最近作『Rockig the BLUES』でROLLYさんは見事共演を果たし、レコ発ライブにも登場したことはMarshall Blogでもレポートした。
貴重な話が聞けるのではないかとこのMCも楽しみにしてたんだ!
さっそくROLLYさん、「Led ZeppelinのJohn Paul Jonesが使っていたベースですよ!」とめんたんぴんの石崎さんにAlembicのツッコミ!
…ということで、トップ・バッターはめんたんぴん。
佐々木忠平
石崎三郎
沖村公平
そして、Marshall Blogではもうスッカリおなじみの松浦善博!
めんたんぴんを観るのは2008年の野音以来。
あの時も松浦さんがJTM45 Offsetで登場し、ベースはオガンちゃんだった。
一曲目は「国道8号線」。
国道8号線は新潟から京都へ抜ける総延長600kmを超す日本海側の主要国道だ。
私は以前の仕事で二年間ほど富山に住んでいたことがあって、旧道沿いの「越中大門」、それからチョット前にも触れたが、金沢を過ぎて、松任、美川と来て、次の「根上(ねあがり)」というところへよく通った。
その根上を過ぎるとめんたんぴんの故郷、「小松」だ。
8号線はそれか福井を西進すると、敦賀で国道27号線と別れる。私は担当エリアである27号線を進み、時折小浜まで足を伸ばした。
忠平さんのホレボレするようなバリトン・ボイスの歌を聴いていたらそんなことを思い出してしまった。
そして力みのないレイドバックしたリズム隊。
さすが日本のGreatful Dead。もういきなりロード気分だ!
こんな曲を演奏できるバンドはめんたんぴんを除いてもう日本にはいないだろう。
またツボを得た松浦さんのソロが素晴らしい。
都度忠平さんの方を向いてソロを奏でているサマはまるで忠平さんの唯一無二の歌声にギターの音をからめてるようだ。
二曲目はオハコの「木こりの唄」。忠平さん曰く、「40年間歌い続けた発売禁止の歌」。ナンで~?!
「♪オイラの仕事は山の木こり」…昔のロックはこうして色んな曲があったんだよ。
「ありがとう」や「さくら」や「そばにいる」だけじゃロックはつまらない。
松浦さんフィーチャー。
曲は「Statesboro Blues」!
当然ボトルネック大炸裂!
ク~、こりゃタマらん!まさにいぶし銀のプレイ。
民生さんがいつか松浦さんのことを「ボトルネック保存協会の会長」に推挙されていたが、まさに適役。
こういうすごいプレイを聴くと少しはボトルネックにもトライしてみたいとは思うが、すぐ諦めちゃう。
以前紹介したMarshallサウンドに満ちた松浦さんの教則DVDも必見だ。
ちなみにジャケット写真は私が撮影させて頂いた。
四曲目は「コンサート・ツアー」。まさにめんたんぴんのテーマ・ソング!Keep on truckin'!
まだまだ日本のロックがよちよち歩きの頃…
地でこの歌の通りに活動していたバンドがめんたんぴんだ。
そして、アッという間に最後の曲。
「幾人も仲間を失ってきた。死んだとはいってもみんないつも一緒にいるような気がします」と、アコギに持ち替えた忠平さんがシットリと歌ったのは「見知らぬ旅人」。
また松浦さんのセンチメンタルなギター・ソロがいいんだ!
いきなりの素晴らしいステージで一気に伝説がよみがえった。
ここのMCはPANTAさんと秀人さん。
麻雀をしない秀人さんからバンド名についての質問が出ると、PANTAさんから詳しい解説が…。
PANTAさんは麻雀好きなのね…って実は私はPANTAさんが麻雀をしている傍らにいたことがあるのだ…35年前の渋谷で。
メンバーの中には人気のギタリストがいらっしゃった。もちろんこんなことPANTAさんは覚えていらっしゃらないだろうけど。
当時、外道はめんたんぴんと一緒になったことがなかったそうだ。
で、秀人さんが「どんなバンドと一緒でした?」と訊くと、答えはシュガー・ベイブ、憂歌団、上田正樹とサウス・トゥ・サウス…スゴイ時代である。
「皆さん、これは映像じゃありませんよ。実物ですよ!」と言う忠平さんに会場は大爆笑!
忠平さんによれば、あの頃は田舎からバンドが出た時代だった、という。
コレは東京や大阪以外にもいいバンドがたくさんいたという意味だろう。
めんたんぴんは小松、センチメンタル・シティ・ロマンスは名古屋、名前は出なかったがサンハウスは博多…等々。
ここでクイズ・コーナー。
「めんたんぴんが当時日本で最初にしたこととは何でしょう?」というのが質問。
答えはさっきの曲の通り…「コンサート・ツアー」だ。
機材車を仕立てて自分たちの楽器やPAまで積み込んで国中を回る。
それまでは「ドサ回り」と呼んでいたこの活動を「コンサート・ツアー」と称して展開した日本で最初のバンドがめんたんぴんなのだ。
要するにGreatful Deadだ。
秀人さんは地方に行って「下道」と書かれたことがあったとか!ヒドイ!
今では国中の隅々まで高速道路が延伸して道路の事情も車の性能も各段に良くなり、「ツアー、ツアー」と駆け出しのバンドでも平気で日本国中をグルグル回っているが、昔は大変だった。
めんたんぴんぐらいメジャーなバンドならまだしも、インターネットがない時代は十分に告知することもできなかったので、ツアーを企画するのは決死の覚悟が必要だったのだ。
音楽を取り巻く物理的な環境の変化で、「ツアー」と「レコーディング」ほど軽くなった言葉はあるまし。親しみやすくなったと言った方がよろしいか?
イヤ、一番軽くなってしまったのは肝心の「ロック」の方かな?
忠平さんのお腹には、ピンスポットに照らされたSkull & Rosesが輝いていた。
めんたんぴんを初めて46年…今の忠平さんの夢は「いい曲を作りたい!」だそうだ。アッパレすぎる。
めんたんぴんの詳しい情報はコチラ⇒めんたんぴん公式ウェブサイト
続いての登場はTHE 卍。
ROLLY
リズム隊はロジャー高橋とベースの佐藤研二。
そういえば、こないだオーストラリアから来た若い友人に浅草寺を案内した。彼は煙が出ているあのデカい香炉についた卍マークを発見して、「Whyッ?!」とビックリ仰天していたな。
ハーケンクロイツではないことはシッカリと説明しておいた。
自らを「日本一の小心者」と紹介したROLLYさん、ノッケから濃厚なエンターテイナーの香り。いつも通りだ!
一曲目は「ロックンロール中学生」。
THE 卍はこれまで二枚のアルバムをリリースしているが、記念すべきファースト・アルバムの一曲目がコレ。
当然ギター・ソロは顔で弾く!
何せROLLYさんはステージ・アクションの教則DVDを出してるからね~。
二曲目は「ギャルギャルギャルヲ」。
いかにもROLLYさんらしいポップなコード進行に乗せたストレートな一曲。
サブドミナントがマイナーに変わる動きってのは実にいいよね。
そして、「♪ギャルギャルギャル」でしっかりと印象づける。楽しい曲だ。
「レジェンドの皆さんより若いですが、三人で150歳超えています!」
続いてROLLYさんが次の曲を説明する。
曲名はズバリ「ROUTE171」。「66」じゃないよ。
ナゼか今日は国道の話しが出るな…今度は171号線だ。
171号線は現地の人から「イチナナイチ」と呼んばれている京都から神戸へ抜ける大変に交通量の多い国道だ。
夜中、ROLLYさんが車で171号線を走っていると…
裸の女がボンネットに飛び乗って来て「ヒャー」といった…という事件をテーマにしたのが次の歌。
昔、人気落語家が酒に酔って「トラックと相撲をとる」と言って車道に飛び込んだのもこの国道171号線。
ROLLYさんじゃないけれど、そういうことが起こるのが171なのかも…。
ナンでこんなことを覚えているのかと言うと、さっきの富山の次に私が住んだのが大阪の箕面で、この171沿いの二宮無線という家電店によく行ったのですよ。
ちなみに箕面の駅の近くにあるミスター・ドーナツって第一号店なんだぜ。
冴えわたるギター・プレイ!黄金時代のロックを知り尽くした芳醇なソロだ。
ロジャーさんのフィーチュア・タイム。
バス・ドラムのフロント・ヘッドにはってあるステッカーは新発売のロジャーさんグッズ。よく描けてるナァ~。
曲は「難聴」。
Marshall Blogの読者には大谷令文さんとのTrio the Collagensでスッカリおなじみの曲だよね。
ボーカルから解き放たれたROLLYさんが過激なアクションで魅せる!
「エ、なんて?」のパートでは会場のお客さんが大爆笑!
ますますエキサイトするROLLYさん!
オオ~っと!暴れすぎてROLLYさんまさかの転倒!これがまたひとつのアクションになる!
ロジャーさん、ド迫力のソロ!
そして、早くも最後の曲だ。
セカンド・アルバム『puzzle』から「ハンティーフラッシャー」。
もうこの燃え尽きんばかりのすさまじい暴れ具合はただひたすら見てもらうしかない!
ROLLYさんは今週、7月8日に『ROLLY’S ROCK CIRCUS~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその影と光~』と題したニュー・アルバムをリリースする。
まずジャケットがいい。『In Trance』のアルバムのジャケットについてはMJGの『ギター・ジャケット特集』で取り扱ったことがあるね。
内容は外道、ミカ・バンド、四人囃子、モップス等々、消しても消しきれないほどの足跡を日本のロック史に刻んだバンドの名曲のカバー・アルバムだ。
15年前、ここで開催された「Marshall祭り」に出演した際にROLLYさんが演奏したのも「SATORI Part 2」だった。
こうして日本の音楽的財産が後世に伝承される機会が増えるのは実によろこばしいことだ。
ROLLYの詳しい情報はコチラ⇒ROLLY OFFICIAl WEBSITE
五つのエキサイティングなナンバーを演奏し終えたところでROLLYさんから休憩のアナウンス…。
つづく
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
(一部敬称略 2015年6月28日 新宿スペースゼロにて撮影)