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2015年7月

2015年7月31日 (金)

運命の歯車~FATE GEAR登場!

「運命」を英語で何というか…?
日本では「destiny」と答える人が一番多いのかな?
destiny
fate
doom
fortune
lot
…とチョット意味を広げれば、サッと考えただけでもコレだけ出て来る。
全部「運命」なんだけど、もちろん意味が全部異なっている。そうでなければ存在する意味がないもんね。
上から…
運命 (一番一般的なヤツ)
悲運 (コレも一般的)
不運 (ロック・ファンには「Doomsday」でおなじみか)
幸運 (おみくじは英語で「fortune lottery」という)
偶然 (「めぐり合わせ」みたいな意味)
日本語では上から三つめまでは普通に「運命」というイメージになろうか。
一方、英語圏の人はこれらの言葉を使い分けるワケだ。きっと宗教的な理由によるんだろうね。

その「運命」をバンド名に頂いたガール・バンドが登場した。
「運命の歯車」…FATE GEAR。
その初ライブがこのステージだ!

10メンバーは五人。
Mina隊長

20Nico

30vさかえ

50v杏奈

60vHIRO

70v「メンバーとファンひとりひとりがギア(歯車)となってひとつのものを創り上げていく」という発想から付けられたバンド名だそうだ。

80サウンドはメロディアスなヘヴィ・メタル。

90なじみやすいメロディがスカッとドライブしまくるサウンドは「組織の歯車」となって息苦しい日々を過ごしている方々には一種の清涼剤となるのではなかろうか。

100v_2FATE GEARは8月12日にフル・アルバムのリリースを予定している。
こちらのタイトルは『A Light in the Black』。

230cd

オープニングはバンド名をタイトルにした「FATE GEAR」。もちろんアルバムに収録されている。
初ライブの最初の曲がバンド名なんて自信を感じさせるね。イヤ、これも「運命」なのか…。

110Mina隊長はMarshall。

130v当日はJCM900 4100を使用。
Marshallはこの手の音楽にはなくてはならない「運命」的な存在だ。

140良質のトーンを得て縦横無尽に弾きまくるMina隊長!

145v「黎明」~「Romancer」~「Deathless Memories」とアルバム収録の曲がそのまま演奏される。(個人的には曲名を見て一瞬「Deathless Horsie」かと思ってビックリしたりして…)
カラフルなキーボード・サウンドで杏奈ちゃんがバンド・サウンドを厚くする。
185v
ソリッドなリズム隊もゴキゲンだ。
180
アクションも激しいさかえちゃん。

150vヘヴィにバンドをドライブさせるHIROちゃんはNATAL。

160vメイプルの12"、13"、16"、22"。やっぱバス・ドラムのヌケの良さは特筆すべきだろう。

170そしてパワフルにメロディを織り上げるNicoちゃんの歌声がたくましい!

210v

惜しげもなくファースト・アルバム収録の曲がジャンジャン繰り出される。
「沫雪の祈り」~「Nocturnal Moon」~「Winds of Fall」。

190Mina隊長のソロが炸裂するたびに大きな歓声が上がる。
ファースト・ライブは大成功!!

200強力なメタル・バンドはまたしてもガール・バンド!
華やかな門出を祝したい。


FATE GEARは明日、同じくココ目黒鹿鳴館にてレコ発ライブが開催される。
岡垣JILLさんとYOUさんのバンドとの共演だ!お見逃しなきよう!

220FATE GEARの詳しい情報はコチラ⇒FATE GEAR Official site

240

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年7月16日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2015年7月30日 (木)

MUSIC JACKET GALLERY 2015

最近facebookを通じて、「日本の音楽ビジネスのガラパゴス化」という現象に関する一文を目にした。
日本の音楽業界は「特有の側面を多く持っているがために、外人アーティストの参入や日本企業の海外での成功を妨げている」というのが命題になっていて、その原因を論じていらっしゃる。
書き手はこの業界に長い外人の方。
先方は覚えていらっしゃらないと思うが、実は私はこの方に数回お会いし存じ上げている。と~ても温厚で素敵な紳士だ。
音楽を見て来た環境が大きく異なることが想像されるため、熱心に反駁を加えるのは控えるが(この業界は世界規模でやたらと狭いし)、ひとつ、いや、ふたつ気になったことがあったので記しておきたいと思う。
私は学理的に音楽を分析するのは好きな方だが、ロックあたりで「文化」がどうだの「時代」がどうだとゴチャゴチャしかつめらしい言葉を使って大上段に構えた論議が好きではない。
第一、そんな文章はつまらん。
あ、この方の文章について言っているのではありませんよ。この方の文章の内容はストレートで読みやすい。
…なのでジーサンの言いたいことを上っ面だけ書かせてね。

さて、ひとつは「外人アーティストの参入」を妨げていると診る件について。
コレは日本にロックが普及してしまい、ロックのやり方を覚えてしまったため、ワザワザ言葉のわからない外国の音楽を聴かなくてもよくなったってことでしょうネェ。
それと、元来我々は西洋音楽についてはカテゴリーを問わず、すべて欧米がやることを手本にしてきたワケだけど、ロックに関していえば、パンク/ニューウェーブのムーブメントが収まったあたりから特に手本にすることがなくなっちゃたんじゃないかしら。
もう全部自分でできるもん!ということ。
簡単に言えば、洋楽がつまらなくなったということよ。
いつも書いているように私はゴリンゴリンの洋楽派だ。でも、つまらんものはつまらん。
それに日本人も生活様式や食べ物の欧米化で、ある種白人に近づき、それほど向こうの文化に憧れる必要がなくなったということもあるかもしれない。

でもね、コレは話が反れちゃうけど、キチンとした場所、すなわち紳士がタキシードを着、淑女がイブニング・ドレスをまとうような機会に接した時のあの猛烈な劣等感はマジでツライよ。
みんな色は白く、大きく美しい瞳、長いまつ毛、形のいい鼻梁とさわやかに上がった口角。
手足が長く、背筋がシャキとしていて、腰の位置が高く、男性の場合は肩の線や胸板の張り具合など問答無用でカッコイイ。
そして、自信タップリに腹の奥底から声を出して、歌うように話す自然な英語。
マンツーマンなら何でもない。
何十人にも囲まれて何時間も一緒に過ごしてごらんなさい。酒も入るし、つい自分もそうなっていると錯覚しちゃうんだな。そして、トイレの鏡で己が姿を目にした時の落胆ぶりったらない。
これは『国家の品格(新潮新書刊)』を著した数学者(新田次郎と藤原ていの次男)の藤原正彦氏ですら同書内で触れていた。
マァ、そんな時には「ナ~ニ、連中には着物は着れまい。よしんば着れても似合うまい…」と思うしかない。しかし、考えてみると自分も着物は着れないし、似合いもしないのだ!

話しは戻って…
それともうひとつは、「日本はいまだにCDが主流」ということ。スペシャル・バージョンでひと儲けしたい人やオマケが欲しいファンには好ましかろうが、新人やカルトなアーティストがお店にCDを置いてもらうのに四苦八苦しているという状況が指摘されている。
このあたりは「大きなお世話」でしょう。
コレについは国民性が強くからんでいるんじゃないかしら?
モノに対する感覚っていうのかな?
日本人は肉親が亡くなればお墓を建てて、家には仏壇を据えて、それらを丁寧に愛でることによって故人を偲ぶでしょ。結局モノが好きなワケ。
でも西洋の人は、死んだおじいちゃんが大切にしていた懐中時計一個がありさえすればいいの。一番大切にするのは思い出なのね。
もちろん連中だってお墓は建てるし、今でも火葬を避けたがる傾向が強い。
向こうの人は写真をとても大切にして、やたら飾るでしょ?あれは思い出を飾ってるワケ。モノより思い出の方が大切なんだ。
でも日本人は絶対に「モノ」。だからいつまでたってもCDという実在する「モノ」がスキなの。
「心はかたちを求め、かたちは心をすすめる」
これは稲荷町の仏壇屋のコピーだけど、仏教の何かの経典が出自になっていると聞いた。(その仏壇屋に尋ねた)
仏教で言ってるぐらいなんだから…それぐらいモノを愛でる国民なんですよ。
だから、みんなでCDという「音楽のモノ文化」を守ろう!

今日の本題…CDという親亀がコケれば、いとも簡単にコケてしまうのがジャケットだ。
そのジャケット文化を保護・普及する努力を続けているのが『MUSIC JACKET GALLERY』。
Marshall Blogではもうスッカリおなじみですな?
その特別展が今年も五月に東京で開催された。(開催期間は5月15日~24日)
私は、折悪くイギリス行きと重なってしまい今年はお邪魔することができなかった。
そこで、出展者のおひとりでもある日本屈指のLP/CDコレクター、植村和紀さんに写真を借り受けここにレポートさせて頂くことにした。

05

今年も会場は新宿の高島屋一階のオープンスペース。

10_2内容は今年も開催された「ミュージック・ジャケット大賞」の受賞作の紹介。候補作が50点展示され大賞をはじめとした受賞作品がを発表された。

30_2日本のジャケットデザイナーたちによる作品の数々を、その時代性と芸術性を軸に紹介するコーナー。

40v_2洋楽レコード国内盤のジャケットやオビの展示。
原題から大きくかけ離れた独自の邦題、味わい深い手書き文字によるタイトルデザイン等、洋楽レコード日本盤だけの「オビ付き」ジャケットを展示してその魅力をアッピール。
Roy Woodの『Mustard』が入ってるね。植村さんらしい。

50v_2そう、これらはすべて植村さんのコレクション
言い方を換えれば植村さんの本の現物展示だ。
この本についてはコチラ⇒【Music Jacket Gallery】 植村さんの本!

20v

ドワ~。こんなデカオビも!スゴイな…ナントカダイオウイカを釣り上げたみたいだ!

70v_2さらに、豪華・特殊パッケージをド~ンと展示。2014年に発売された豪華な特殊仕様のパッケージ(初回限定盤、リミテッド・エディション、立体パッケージ、BOX アーカイブ等)が集められた。

80v_2また、今回はジャケット・デザイナーによるトーク・ショーなどが企画され、ピーター・バラカンさんも檀上に上がった。
バラカンさん、『Hot Rats』を手にしてナニを語っていらっしゃるのかな?
氏の著書『わが青春のサウンドトラック(株式会社ミュージックマガジン刊)』や『ジャズ・ロックのおかげです(中山康樹、市川正二共著:径書房刊)』で『Hot Rats』を大推薦されているぐらいだからさぞかし熱意のこもったお話しが聞けたことだろう。
バラカンさんは1970年11月にロンドンでFrank Zappaをご覧になっているという…何ともうらやましい!

90_2他にも、普段見ることのできないCD とアナログレコードの製造過程をプレス工場潜入ムービーと途中生成物を展示してわかりやすく解説したり、音楽Blu-ray Discの映像作品を上映したりと例年通り盛りだくさんの内容でたくさんのお客さんの耳目を集め、ジャケットの楽しさや重要性をアッピールした。
考えてみりゃ、今度Marshall Blogも紹介してもらおうかな…。

昨年のレポートはコチラ⇒MUSIC JACKET GALLERY 2014

さて、盛りだくさんといえば、またまた植村さんがらみで興味深いイベントがもうすぐ開催される。
『70's バイブレーション!YOKOHAMA』と題した展示会。
キャッチ・コピーはこうだ…真夏の横浜・赤レンガ倉庫に70年代ニッポンの音楽とポップカルチャーが蘇る…。
ああ、麗しの70年代。
我がセイシュン時代。音楽の関しては「甘い」の一辺倒、恋愛に関しては「酸い」一筋!
開催は8月1日からだが、7月31日の内覧会&レセプションにご招待頂いたので、しっかり取材をして来たいと思っている。
Marshall Blogの宣伝にもなるかな?

70's バイブレーションYOKOHAMA!の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

100_2
Marshall Blogのミュージック・ジャケット・ギャラリーもよろしく!⇒コチラ

(一部敬称略 2015年5月16日 新宿高島屋特設会場にて撮影 ※写真提供:植村和紀氏)

2015年7月29日 (水)

BLACKCOFFEEにNATAL

♪I’m feelin’ mighty lonesome
Haven’t slept a wink
I walk the floor an’ watch the door
In between I drink Black coffee …

Love’s a hand-me-down room
I’ll never know a Sunday
In this weekday room
(lyrics by Paul Francis Webster)

もうクソがヤケるぐらいにカッコいい…。あ、アタマっから失礼しやした!
Sarah Vaughanの名唱で知られる「Black Coffee」という1948年の曲。
私はどちらかと言うとEllaの方が好きなのだが、この曲に関してはSarahに軍配が上がるな。
凄まじいまでの重さと黒さ、そして、どうしようもないけだるさ。
ツァ~、タマらん!
こんな曲、100年経っても日本人には歌えないだろうな~。まさに向こうの人の音楽だ。
Peggy Leeもいいナァ。


コーヒーに砂糖もミルクも入れなくなってからどれぐらい経つかな?アレは大阪にいた時だから29年前か…。
それから自主的にコーヒーには砂糖を入れていない。角砂糖一個、スプーン一杯もだ。
以前は濃いめのコーヒーに砂糖もミルクも十分に入れてアマアマにして飲むのが好きだったが、急に両方とも入れなくなった。何らかの主張があったワケではなくて、ホントに何となく使わなくなった。
「Black Coffee」という曲は大学の時に知ったが、それに感化されたワケでも決してない。

砂糖やミルクが入ったホットコーヒーを仕方なく飲むのは、差し入れなどで頂戴する缶コーヒーぐらい。これが存外にツラい…。
どんなに「微糖」を謳っていても、もう「コーヒーは甘くないもの」と脳に刷り込まれているので、そのギャップに苦しむのだ。甘いものは大好きなのよ。
「コーヒー・フレッシュ」っていうの?正直、アイスコーヒーにだけはミルクだけを入れていたが、最近ではその危険性がインターネット等で喧伝されているのを目にして恐ろしくなって使うのを止めた。
一日何リットルも摂らなければ身体に害はないであろうし、そんなことしても「頭隠して尻隠さず」なのは百も二百も承知。
でもサ、常温でいたまないミルクなんてやっぱりおかしいじゃん?
最近では牛乳ですら身体によくない…なんて言われているし、火のないところに煙は立たないからね。
日本人は世界で一番おいしいものを食べているんだから、どうせならもっと「食の安全」に気を使うべきだと思うよ。
もうスマホやらITやら、コレ以上進歩させてもそう意味はないでしょう?十分でしょ?
そんなことよりおいしくて安全な食べ物を安価で入手するシステムを作ることに知恵を絞るべきだとすごく思ってる。
私もスマホに代表されるIT技術の利便性を享受していることは認めるが、スマホがなくなるより、炊き立てのおいしいご飯が亡くなる方がコワいね。
スマホがいくら進化してもハラは満たしてくれない。

砂糖とコーヒーといえば、ま、人にもよるんだろうけど、私が見て来た限り、イギリス人ってコーヒーにかなり砂糖入れちゃうんだよね。紅茶にたくさん入れる人もいる。
カップに角砂糖を二つも三つも入れるのを前で見ていて、思わず「あ~、あ~!」なんて言うと「What?!」と実に不思議そうな顔をされる。
糖分は可能な限り摂取を押さえた方がよいとするのが日本でのもはや常識だ。
一方、以前にも書いたが、日本の加工食品のほとんどに使われている危険なグルタミン酸ナトリウム(MSG、日本では「アミノ酸」と表示されていることが多い)をイギリスでは厳禁している。かたや砂糖ドバドバ。
ところ変われば「悪」変わる…てか。

さぁ、音楽、音楽。
…ということで、今日はBLACKCOFFEEというバンドを紹介する。
舞台は『Fun Fun Connection』というアイスなるバンドが主催するイベントだ。今回で二回目の開催となる。

10BLACKCOFFEEはトリオ・バンド。
人間が古いもんで、「一体いつからこうなったんだ?」と思うことが少なくない。そこで思うのだが、このトリオ編成のバンドってメチャクチャ普通になったよね。私が若い頃は滅多にいなかったんよ。いつから、どこからこうなったんだろう?
あ、別に悪いこっちゃゼンゼンないのよ。まさか今時Creamに影響を受けてトリオを組んでいる若者なんて皆無だろうから…。Police?それとてもはやオールドファッションだもんね。Nirvanaとかその辺か?

20ギター/ボーカルはThe Power NudeLinxではZIN名義で活動している澤田天岳(まさたか)。

30vもちろんMarshallプレイヤー。今日はJCM900 4100と1960Aだ。

40vベースは岡田暁彦。同じくLinxからの参加だ。

50vドラムは元QUORUMの石川達也。

60v達也君はQUORUM時代から引き続いてのNATAL。
140v
12"、16"、22"のアッシュ・キット。

70おなじみの曲の数々をアレンジしてプレイするのがBLACKCOFFEE。
一曲目はMaroon5。

90v

寡聞にしてMaroon5のレパートリーはまったく知らないが、「maroon」という単語はFrank Zappaを通じてなじみがある。Mark VolmanとHoward KaylanのFlo & Eddieコンビだ。

100ゴキゲンなグルーヴ!

110v二曲目は東京事変だそう。
こういう曲が自然にセットリストに入って来るのは若い人たちならでは。

120v三曲目、アルトサックスはゲストで参加の名嘉(なか)達成。

130曲は「Change the world」。
この曲は人気あるネェ。自分の曲でもないのにグラミー賞を取ってしまうEric Claptonのアーティスト・パワーってのは本当にスゴイものがある。
Leon Russellと「Blues Power」なんて曲を作ってるぐらいだからね。パワーがあって当然か。

160

むせび泣くアルト・サックス。
そう、ロックにはアルトがいい。ロックンロールにはテナーだ。バリトンもいい。
アルトサックスがポピュラー・ソングに最もマッチしたプレイをしたのは間違いなく「Just the Way You Are」のPhil Woodsだろう。
「なかなか」なんて域を軽く超越する名嘉さんのプレイ!

150vガラリと変わってドカーンと「Burn」!

180v

ココでの聞き物はJon Lordのソロをベースで奏でた岡田さんのプレイ。愉快痛快!
後で訊いたら、コレハMr.BIGのアイデアだとか…だからこのベースなのね?!

170ハードロックはお手の物の達也君!暴れまくりです。

175Jamiroquaiの曲もプレイした。
ゲスト・ダンサーはDragon AshのDRI-V。

190ファンキーなプレイもお手のもの。
それにしてもNATALアッシュのサウンドのキレのよさよ!気持ちいい!

200v最後は「Come Together」。
ビートルズの曲はすべてそうだが、コレもやたら色々と料理される曲だ。それだけ密度が濃くまた深い。同時にシンプリシティが生み出すスキ間が多いということだ。名曲は偉大だ。人の感性を自由に引き出すから。

210v三人が一丸となって怒涛のごとく押し寄せる!

220vパワーみなぎるパフォーマンスは短い時間ながらとても見ごたえのあるものだった!

230vNATALは今日も働いてます!

240石川達也の詳しい情報はコチラ⇒おっさんの小部屋

250

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年6月14日 高円寺 Studio Kにて撮影)

2015年7月28日 (火)

オリンパス・ホール八王子のグッドモーニングアメリカ <後編>

グッドモーニングアメリカの『挑戦 㐧六夜』の<後編>。

10_2「楽しんでますか~…楽しんでます~…」。
お待ちかね(?)、たなちゃんのMCコーナー。
「いつでもゴロゴロ、腰イタイ…スッカリ必要、老眼鏡…コワくて帽子が、ハズせない!」…といういつものヤツで大暴れ!
ウソウソ、コレはわたしです。
「いつでも短パン寒くない」のヤツが正解ね。
この標語(?)もスッカリ定着してみなさん大合唱を楽しんでいましたな。

14v_2ここでは出身地を交えてメンバーを紹介。
サングラスをハズしたたなちゃん。
そして、いつも「ファイヤー!」で盛り上がる!

15v盛り上がったとろで、拍車をかけるのが「キャッチ・アンド・リリース」。

20_2イントロが聞えただけで割れるような歓声が沸き起こる!
40

そして立て続けに「空ばかり見ていた」。

30v演奏し慣れたグドモ・スタンダード。

50さらに「南風と太陽」。

60vメンバー四人とも付け入るスキのない鉄壁のパフォーマンス。
コンサート前半のハイライトとなった。

70_2ここで金ちゃんから。
「普段はライブハウスやフェスで演奏してるんだけど、今日はホールでのライブ。そこでいつもと違うことをやることにしました」と説明があった。

80_22012年10月、インディーズ時代の最後に2,000枚限定で発売したシングル『餞(はなむけ)の詩』に収録されている三曲をそのまま演奏したのだ。

90「恋愛三部作」と称された「あなたの傍に猛ダッシュで」…

100v「雨の日」、そして「餞の詩」だ。スゴイね、ドンドン歴史を積み重ねていってる感じがするね。

110_2ここで今日もグドモのバックラインを紹介しておこう。
ペギちゃんはNATAL(ナタール)。

120_2ブビンガのキットにアルミニウムのスネア。
最近、この「ロゴがいい!」とか「ナタールって名前がいい!」って言ってくれる人が増えて来ましてね。
うれしい限りです。一生懸命やっている甲斐があります。ホント、皆さんのおかげです!
ペギちゃん、ありがとう!

130たなちゃんはEDEN。

140WT-800のヘッドとD410XSTキャビネットが二台。
ものすごい存在感のある音を出しよる!

150vそして、幸一ちゃんはMarshallのJVM210Hだ。

155ここでメンバーは一旦ステージから降りる。
そしてステージのスクリーンにお宝映像が投影された。

156メンバーがステージに戻ればいよいよコンサートも後半だ!

220_2

「境界を越えて」…

160_2「inトーキョーシティ」…

245

「あなたに逢えて」…とここでも新旧取り混ぜてのチョイス。

170_2凱旋コンサートらしいシーン。
八王子のライブハウスに出演し、もがいて暮していた頃を思い返し、六年前に演った曲を感謝の気持ちを込めてプレイ。

210_2

「花」。

230_2

そして、場面は一転、本編最後の猛ダッシュの「未来へのスパイラル」!
240

250_2

200_2もうココは大合唱だよね。

S_img_0190_2 本編を締めくくるのは楽しい楽しい「イチッ、ニッ、サンでジャンプ」。

G_s41a5122 この曲は新しい曲だけど、思い入れの深い曲だ。
180_2
明るく楽しい曲調もさることながら…

190_2

グッドモーニングアメリカのプロモーション・ビデオに初めてNATALが登場した曲なのだ~!

G_s41a4823 燃えに燃えて本編終了!
トレードマークのロング・ボウ(長いお辞儀)でお客さんへの深い感謝を示す四人。

265
さて、コレは8月12日にリリース予定のニュー・シングル『ハローハローハロー』。
古い洋楽ファンにはBeggars Operaの『Pathfinder』を連想させてしまうかもしれないジャケット。
これも『ドラゴンボール・スーパー』のテーマ・ソングだ。
新鮮なグドモ・サウンドが二曲詰め込まれている。

S_gma_single さぁ、アンコール。

270金ちゃんがハンド・マイクで熱唱するのは最新のアルバムから「STAY WITh ME」。

280_2もう一曲は「いつかこういう場所で演ることをイメージして作った」という「喝采」。

290アンコールを入れて全18曲の熱演。

300_2大きな喝采を浴びるにふさわしい堂々たる演奏だった。

310またひとつ歴史を積み重ねたグッドモーニングアメリカ…

320次の大きな1ページは11月27日の日本武道館で開かれる!

325グッドモーニングアメリカの詳し情報はコチラ⇒Official Site

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1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年6月13日 オリンパスホール八王子にて撮影)

2015年7月27日 (月)

オリンパス・ホール八王子のグッドモーニングアメリカ <前編>

胃カメラ飲むのが好きな方いらっしゃいますか?
「バリウムが好き」という人がいるのは聞いたことがあるけど、さすが「胃カメラ好き」ってのは聞いたことないナァ。
もちろん私も大っキライ。それでも三回やったかな?
三回目の時は技術が格段に進歩していて、カメラの径が極端に細くなっていた。よって鼻から入れることができるようになっていたので、それに「挑戦」した。
口から突っ込むよりは全然ラクだった。ノドにカメラを通過させる時、「はい、カメラを飲み込むつもりで!」なんて言われる。苦しくはないのだが、コレが何とも心地悪い。唾をのむようにした瞬間ゴリッとカメラを押し込まれるのだ。
さて、この「胃カメラ」、日本人の発明だということはご存知か?
カメラ・メーカーのオリンパスが開発した。
元はゼロ戦のプロペラと機銃掃射のシンクロを研究していた人が開発に「挑戦」した。
ゼロ戦の機銃の弾丸は機体本体の前面で回っているプロペラの後ろから出て来る。
もし、弾丸の出て来るタイミングが合わなければ、自分でプロペラの羽を撃ち砕いてしまい、機体は推進力を失い即座に墜落してしまう。
つまり、あの弾丸は高速で回っているプロペラの羽と羽の間を縫って飛び出すのだ。
コレだけでもスゴイ技術だと感心する。
実際には、この技術はそれ以前からあって、ゼロ戦のエンジンをグレードアップする時に、後に胃カメラを開発することになるその人が担当したそうだ。
さて、この胃カメラ、やはり開発には相当な苦労があって、まさにそれは「挑戦」の連続だった。
まず、「カメラを口から突っ込んで胃の中をのぞいちゃおう!」という発想がすさまじい。
カメラの超小型化は必須なワケだが、大きな問題は照明だった。カメラは光源がないとフィルムが露光しない。
しかし、人間の身体の中は真っ暗なので、写真を撮るためにはカメラと一緒に照明も胃の中まで突っ込まなければならない。
また、カメラをそのまま突っ込むのも非常に危険だ。これにはゴム製の避妊具が使われたそうだ。
最初の頃は犬を使って実験に臨んだ。犬に麻酔を打ち、昏睡したところで避妊具に収めたカメラを犬の口から強引に突っ込む。
商品は急速に改良が加えられていったが、不幸にも胃壁や食道を破ってしまい、相当な数の犬を犠牲にしたらしい。
その後、ますますカメラは進化し、人間同士で試すことになっていったが、まだまだカメラが大きく、それを飲み下すのは地獄を見るより苦しかったという。
それなのにカメラにフィルムを入れ忘れて「ワリィ、ワリィ」なんてこともあって、被験者は激怒したらしい。そりゃそうだ。それほど苦しかったのだ。
以上の話しは吉村昭の『光る壁画(新潮文庫刊)』から抜粋した。大変おもしろい小説なので興味のある人は読んでみるとよろしいかと…。
人生、何事も「挑戦」だ!

そして、ここにも「挑戦」する4人の若者が…。

10『挑戦』と銘打ったグッドモーニングアメリカのホールコンサート。

20会場はグドモの地元、八王子の大ホール、オリンパスホール。
そう、だから胃カメラの話しをオープニングに持ってきた。

S_img_0055チャレンジャーたちは…
金廣真吾

30渡邊 幸一

40vたなしん

50vぺぎ

60ロビーにはファンからのメッセージが記された巨大な寄せ書きが!みんな「がんばって!」って応援してる。

70オープニングは2010年にリリースした最初のミニアルバムの最初の曲、「そして今宵は語り合おう」。(シングルとしてはライブ会場と通販限定で2009年に発売された)
ホールに集まった大観衆を目前に思い切り時計の針を戻した。

80幸一ちゃんはMarshall。

90vJVM210Hだ。以前ベテランから若手のギタリストまでを満足させてしまうJVMの優秀さについて触れた。
ね、この通り。血気盛んな若者のエモーションも見事に具現化してしまうのだ。

100JVMの裏にはスペアで以前使っていた1959が控えていた。70年代前半の4アウトプット期のモデル。

110たなちゃんはEDEN。

120ヘッドはWT-800。キャビネットはD410XSTが2台。

130vペギちゃんはもちろんNATAL。

140v本日初お目見えのキット。

150ブビンガだ。
フィニッシュはナチュラル。

160コンフィギュレーションは10"、12"、16"、22"。

170プレイヤー側から見るとこんな感じ。

180スネアはアルミニウムの14"x5.5"。ペギちゃんのお気に入り。ハードウェアもすべてNATAL。

190「フィニッシュが美しい!」という評判を頂戴しているNATALだが、とりわけコレは木目がきれい~!まるで高級家具みたいだ。
ブビンガは比較的重め。つまり木目が「密」ということで、その分音がソリッドだ。
ペギちゃんのパワー・プレイにベスト・マッチする。

200二曲目は「輝く方へ」。

2202,000人収容の大会場での演奏ということなどツユも感じさせないいつも通りの落ち着いたパフォーマンス。

230冒頭三曲は間髪入れない構成。
三曲目には約1年前にリリースした新しめのシングル曲「拝啓、ツラツストラ」を持ってきた。
『ドラゴンボール改』の曲。
コレは盛り上がるわ~。

240v_2

ホラ、ギンギンに盛り上がってる!

S_img_0190

幸一ちゃんから「色々な思い出がある八王子で凱旋コンサートができたこと、ありがとうございます!」とあいさつがあって、新曲を披露。

250このコンサートの三日前にリリースされた「コピペ」だ。

290v
時代の違いを感じるナァ。
タイトルからしてそうなんだけど、「♪SNSからSOS」とか「いいね」とか…我々が若かった時代にはカケラすら見いだせなかった設定だ。
パ行の言葉遊びもおもしろい。

260昨秋のメジャー・セカンドアルバム「inトーキョーシティ」から「何とかなるでしょう」。続けて2012年の「届いたらいいのに」をプレイ。

270v派手に新旧を取り混ぜたセットリストがいかにも凱旋公演という雰囲気を醸し出していてほほえましい。
「故郷に錦を飾る」という意味を英語で表現すると、この場合「Return to their hometown in glory」 となるが、まさに「Glory(栄光)」!
ちなみに「Old Glory」というのはアメリカ国旗のことを指す。

280グッドモーニングアメリカの詳し情報はコチラ⇒Official Site

300<後編>につづく

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年6月13日 オリンパスホール八王子にて撮影)

2015年7月24日 (金)

がんばれヘビメタ!がんばれTORNADO-GRENADE!

今日は、先日紹介した若手ヘヴィメタル・バンド、TORNADO-GRENADEの登場だ。
いきなりだが、TORNADO-GRENADEのキャッチ・コピーを紹介するところから今日のMarshall Blogは始まる。

『かつてこの国にはメタルがあった。 日本人の、日本人による、世界に羽ばたけるメタル…。
それは「ジャパニーズ・メタル」と呼ばれ、国中が鋼鉄の輪で繋がれていた。
しかし、現代において、ハードロックは「過去の音楽」とされ、 ヘヴィメタルはアイドルやマンガの曲に取り込まれ、ハードロックもヘヴィメタルもダサいと言われる時代。
そんな現代に彼らは立ち向かう。 この国に今一度メタルの風を巻き起こし、 そして…爆発せよ!! Heavy Metal Strikes Back!!! TORNADO-GRENADE!!!』

…そういうこと。

10_2しかし、ホント、まさかLed ZeppelinやDeep Purpleが世間一般的に見て、すなわちオジサンの世界からひとたび離れれば、「過去の忘れ去られた音楽」になっていることに愕然とせざるを得ない…というのはチョット大ゲサで、こんなこと今に始まったことじゃない。
若い人たちの現場に出入りしていると、もはやそんなことを気にするレベルですらないところまで来ちゃったことを実感する。
若者が夢中になっているロックがベテラン・リスナーにとって「ロック」ではないように、ロック盛んなりし時代のロックもまた、若者にとっては「ロック」ではないのだ。
チョット前まで年配者と若者が意見を戦わせる番組をよく見かけたじゃない?アレの「ロック版」をやってみたらどうかね?
きっとDeep PurpleやLed Zeppelinの信奉者は頭から湯気を出して起こるに違いない。
反対に若者陣は自分たちが聴いているロックについて色々と言われても怒らないような気がするな~。
だって彼らはそれほど音楽に夢中になっているようには見えないもん。音楽というよりはフェス。みんなで集まって暴れることができればそれでOKみたいな。
我々はDeep Puepleを目の前にして暴れることは永遠にないでしょう。
それと若者にはアニメやゲームやインターネットといった楽しみが音楽以外にゴマンとあるもん。冒頭にTORNADO-GRENADEが言っているように、アニメやゲームの付属品がロックだから。


でもね、いつも言っているように、60~70年代の「ロック」を知らなければ「ロック」を聴いたことにはならないだろうナァ。これだけは曲げられない。
だって…だってサ、やっぱりケタ違いにカッコいいもん!
もうあの時代が戻ってくることはまずないだろう。しかし、突然変異的にあの時代に直結している若いバンドが出て来るからおもしろい…そしてうれしい。


ここでまたムズカシイのが、これまたいつも言っていることで、昔のロックをそのまま焼き直してもおもしろくないワケ。最初は「オ!」って思うんだけど、昔と同じことをやっていても意味をなさず、すぐ飽きられてしまう。なぜなら、Deep PurpleやLed ZeppelinのCDを聴けば事足りるからだ。
必要なのは、黄金時代のロックをミッチリと聴き込んで、今の時代に育った若者特有の感性を遠慮なくブチ込むことなんだな。
それを実践していると思っている若いバンドのひとつがTORNADO-GRENADEだ。
しかし、「TORNADO-GRENADE」って実にスペリングがムズカシイ!

20v塚本"JOE"旭

30v松浦カズマ

50

真壁雄太

40寺沢リョータ

60vドラゴンシャドウ村田

70…この5人が新曲のレコーディングに臨んだ。
「Rise up to Win!」という曲。
90
仕掛け人は実はこの人。低音暴力団の組長としておなじみ、寺沢功一だ(以下、てらちん)。

この曲は、カナダ人特撮監督ブエノ氏の『ガンキャリバー』という作品の主題歌だ。
てらちんがブエノ氏と知り合ったのは10年程前のことで、予てからブエノ氏の作品の主題歌の作曲を頼まれていた。
承諾したてらちんは、ブエノ氏との打ち合わせを重ねるうちに「若いミュージシャンに彼らの感性で作らせてはどうか」…というアイデアを提案。そして、TORNADO-GRENADEに白羽の矢が立ち、作曲を依頼することになった。
6月の初旬からてらちんとバンド・メンバーの間でメロディーやアレンジや歌詞のアイデアを煮詰めていき、6月27日のレコーディングと相成った。

T_img_0124 そして、レコーディングにはNATALが起用された。

10012"、13"、16"、22"のバーチのキット。フィニッシュはサンバースト・フェイド。

110それにしてもレコーディングの風景も変わりましたナァ。

130セーノで演奏して仮歌を入れる。もうこの段階でJOEくん100%入り込み状態!
120
ギター陣もサクサクとスムースに弾きこなしていく。
この雄太くんが自分で言ってたけど、まったく人見知りをしないキャラで、手が空いている時間はしゃべりっぱなし。タップリと笑かしてくれる!
一方、カズマくんは自他ともに認める強力な人見知り。このコントラストがおもしろい。

140ドラゴンシャドウはひとり個室で演奏。

150若々しく溌剌としたビートで曲を盛り上げていく!ん~、やっぱりNATALは音がよろしいな。

160vリョータくんも隣のダディにお構いなしにグイグイ押し込んでくる。

T_img_0383 すでに大熱唱してます。

170そうして出来上がったのがコレだ~!
「Rise up to Win!」…Take it away!

身近な言葉による歌詞と適度にハードな曲調。切れのいいギター・アレンジ、イキイキとしたリズム隊…作曲はカズマくんとJOEくん。カズマくんがベースを作って歌メロでJOEくんが手を加えられたとのこと。
若いヤツらに任せたのはてらちんのナイス判断といえそうだ!

この曲が主題歌となる『ガンキャリバー』は、DVDとして年内に商品化が予定されている。
そして来年、テキサスでの「TEXAS TOKUTAISEN」、そしてスペインの「STIGES」というふたつのフィルム・フェスティバルに出品されることが決まっているそうだ。
彼らの音が世界に発信される日も近いってワケ。

190

あ~一日よ~笑ったわ!若い人たちとの仕事は楽しい。ホント、パワーをもらうね。
みんな、そして、ドラゴンシャドウ、どうもありがとう!
次はカレーだ!

180さて、若いバンドならではのトンデモ企画が「大塚Heart's」にブッキングされている。
『スーパーカレー大戦ぽんぽこ』だって!
TORNADOの連中行きつけのインド料理屋さん、「スーラジ」にライブハウスまで出張してもらって、コンサートの傍らおいしい本場のカレーを食べちゃおうという企画だ!
コレがその白山にあるインド料理店「スーラジ」。

210v店内にはこの通り、ホラ、TORNADO-GRENADEのサイン入りポスターが飾ってある!
おいしいよ。

220v左は雄太くんのピック。右はスーラジのステッカー。スーラジづくし!

230 がんばれTORNADO-GRENADE!ハードロックを取り戻せ!

TORNADO-GRENADEの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

200

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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(一部敬称略 2015年6月27日 都内個人所有スタジオにて撮影)

2015年7月23日 (木)

OGAN OVER AMERICA!!

こんなヘソまがりの私でも海外で活躍する日本人スポーツ選手を見るとうれしくなる。
それにしても、日本人の体躯も昔に比べ、こんなに立派になったというのにどうしていつまでも海外勢にかなわないんだろう?
やっぱり活動資金の公的な支援が乏しいのと、とどのつまりは優れた指導者に恵まれていないってことになるのかね?
そもそもアメリカなんてちょっと前まではほとんどサッカーやってなかったんじゃなかったっけ?バレーボールもそうだよね?それがアッという間に「世界の強豪」になっちゃった。
ま、スポーツの話題はヤメにしておこう…どうせ何も知っちゃいないんだから。

コレが音楽の世界とあればうれしいことは尚更だ。
教育システムが確立しているクラシックの世界は除いて、ポピュラー音楽の世界で海外に拠点を置いて活躍し、成功した日本人といえば、私の場合はまず1950年代にアメリカに渡った穐吉敏子。
その苦労は『ジャズと生きる(岩波書店)』とか『孤軍(全音楽譜出版社)』という彼女の著書に詳しい。
ケタはずれの音楽的才能があるのはもちろんだけど、それだけじゃとても乗り切れない。チャンスだって必要だ。そして、規格外の根性がなければとても達成できない偉業だ。
実際、ニューヨークでお会いした時にはすさまじいオーラを感じた。イヤ、正確にはコワくて話しかけられなかったので、そばで佇まいを拝見しただけなのだが…。
自伝を読んでいてすごく印象に残っているのは、敏子さんがキャリアを積んで自分のオーケストラを結成した時、現地のミュージシャンの奥さんたちが、ダンナに向かって、「アナタ、日本人の女に雇われるって一体どういうことなの?」と音楽とは関係のない被差別体験したということ。
穐吉敏子の高度な音楽性は演奏するミュージシャンに超難度の演奏技術を要求し、後には「ToshikoとZappaのところにいたミュージシャンは、どんな現場でもオーディションを受ける必要なし…」と言われるようになったとか。ホントかどうかは知らないが、これまたうれしい話し。
それと敏子がMiles Davisに最初に会った時、「Wanna sit in?」と訊かれて断ってしまったのを今でも後悔しているということ。
Milesの言葉の意味がわからなかったのだそうだ。「sit in」というのはジャズ用語で「一緒に演奏する」ということ。
「音楽は世界の共通語」かもしれないが、ギターでステーキの焼き方を表現することはできまい。やはり文化の異なる土俵で勝負するのだから、言葉の苦労も並大抵なものではないだろう。
ジャズのピアノ界とサックス界のYngwie Malmsteenが競演した『Sonny Stitt Sits in With Oscar Peterson』なんていうドンズバのアルバムもある。

ロックの世界では山内テツだろうナァ。
70年代にFreeとFacesという名門バンドで活躍したんだからあまりにもスゴイ。以前にも書いたけど、Facesの時は、ステージの前にウイスキーのボトルをストレートで半分空けて、ステージの途中でその半分を飲み干し、演奏が終了してまたボトルを一本空けていたというのだからすさまじい。相撲取りか?話しを聞いただけで胃がチリチリしてくるわ。
まだアニメもゲームもなかった時代だからね。音楽一本、ベース一本で勝負したワケだ。
Canのボーカルのダモ鈴木もいた。

そして、ここにアニメもゲームも関係なく、ベース一本で北アメリカ大陸をまたにかける男がいる。
小笠原義弘(オガン)である。
今日の記事のタイトルはもちろんPaul McCartneyから。

10vMarshall BlogでもレポートしたChris Duarteのトリオへの参加だ。

20Chrisはオガンちゃんを含むトリオでShrapnelからライブ・アルバムをリリースしている。
もう一回言わせて頂くが、イヤ、何回でも言わせて頂くが、このCDに使用されている写真は私が撮ったものなのよ…宣伝、宣伝!詳しくはコチラ

30cd今回の全米ツアーは、親方であるラーメン好きのChris Duarteと…

O30v前回一緒に日本を回ったJohn McKnight。
この人、音もプレイもマジですごいでね。NATALを気に入ってくれているところがまたスゴイ。

O40v初日は7月22日のオハイオの中東部のタスカラワス。Eastern Standard Timeでは今、8時チョット前。もうすぐ出番かな?だとすれべ初日なのでチョット緊張しているかも知れないね。

その後は、明日のオハイオはデイトンから、ミシガン⇒インディアナ⇒アイオワ⇒サウス・ダコタ⇒イリノイ⇒またオハイオ⇒ニューヨーク⇒コネチカット⇒ニュー・ハンプシャー⇒ロード・アイランド…と回って来て、千秋楽は、マンハッタンはリンカーン・センターの向かいの「The Iridium」だ。
Fat Tuesdayが閉店した後、晩年のLes Paulが毎週月曜日に出ていた店ね。
私もそこで20年近く前にLesに会ってサインをしてもらった。
いいナァ~、くっついてって写真撮りたいな~。
普段あまりアメリカびいきのことを言わない私だけど、コレは見てみたいよね。
ナゼかというと、アイオワだのダコタだの、この公演箇所を見ればわかるように、完全に現地の人だけを相手にするコンサートだからね。そういうところでオガンちゃんのプレイが一体どう受け入れられているのか?
オガンちゃんがもう何度もアメリカで、また世界中で演奏して評価が高いことはよくわかっているけど、現地の人たちの音楽をプレイする東洋人がどう受け入れられるか皮膚で感じてみたいんだよね。

O50vオガンちゃんのお供をするのはEDEN。

O60v今までは会場によってはこんなセットや…

O70vこんなセットを組んで来たが…

O80v今回はWT-800とD115XLTを引き連れて、こんなセットで思う存分暴れてきてくれることだろう。
現地での機材は『Nick's Photo Gallery』でよくMarshall Blogに登場してくれる、Marshall USA DivisionのNick Bowcottが面倒を看てくれた。
ここで彼にひとことお礼を言わせてチョーダイ!

Hi ADMF, thank you very much for looking after my friend with EDEN.  I really appreciate your generous support.  Ogan is brilliant.  I hope you get the chance to see him during this tour!      TDMF

O90vがんばれオガンちゃん!

O100v今回のツアーのために用意されたポスター。
私が撮った写真を採用して頂いた。
オガンちゃん、ありがとう!まるでツアーに参加するような気分だぜ!

小笠原義弘の詳しい情報はコチラ⇒DANCIN' FUNKY BASS!!!

O100vlarge(一部敬称略)

2015年7月22日 (水)

Sound Experience 16 <後編>

さて、『Sound Experience 16』の後半は座長、三宅庸介率いるStrange, Beautiful & Loudの登場だ。

10_2三宅庸介

20v今日もJVM210Hと1960Bの組み合わせ。それにしても、うまいこと使わはる!

30v_2足元のようす。
新しいヤツが上段の真ん中に入り込んで来た。

40山本征史

50v_2征史さんもMarshall。1992SUPER BASSだ。

60v金光KK健司

70vNATALのアッシュ。12"、16"、22"のコンフィギュレーション。

80珍しく一曲目に「petal」が出てきた。

90「ここでナニを弾くんだっけな…」と考えているワケではない。その場その場の閃きで音楽が変化するのが三宅ミュージック。

100v_2よどみなく流れ出るワン・アンド・オンリーのフレーズとMarshallがクリエイトする最高のギター・トーンでその音世界を楽しむ。

120_2そして、当意即妙…

160v
以心伝心のリズム隊の妙技も味わい深いところ…毎回書いてるけど。

M_s41a3840続いて「stratify」。SBLのテーマ曲的イメージ。

140「♪ギュイーン」の瞬間。
三宅さんはトレモロ・アームを多用する。ハードなアーミングからサトルなアーミングまで三宅さんの重要な表現手段のひとつだ。
しかし、どんなアーム・プレイをしても目立ってチューニングが狂ったところを見たことがない。
物理的構造的に音程が狂わないことはあり得ないので、チューニングが保たれているように弾いているのだ。
それと、ギターの日頃の手入れ。きっと『ストラトのポテンシャルを200%引き出す極意』を見て研究しているのだろう。

145ところで、今日の三宅さんはノッている。
大きさや質ではなく、一段と音に勢いがある。
何しろ動きも激しく、二枚上の写真で見られるヘッドに付けた飾りを二曲目にしてもうすっ飛ばしてしまった!そして、私の目の前にポトリと落ちた。
三宅さん、そのことすらまったく気がつかない入り込みようだった。
170v
続けて「murt'n akush」。まだこの世に出てそう時間の経っていない曲だが、スッカリ重要レパートリーの仲間入りを果たしている。

180

前回の『Sound Experience 15』で初披露した「devil」。これもいい!

150v_2手前味噌ながら、また今更ながら、JVMってすごいギター・アンプだと思う。
ま、そう思うのは極単純な理由なんだけど。
JVMは今風のエグイ激歪みをギンギンに出してコンテンポラリーな音楽を演出する一方、三宅さんやSHARAさんや令文さんのような伝統のMarshallサウンドを知り尽くしたウルサ方をも満足させる力を持っているのということだ。
言い換えると、JVMは自分自身の確固たるサウンドを持っている一方、誰にでも弾き手の意志を汲んで、何色に染められるフレキシビリティに富んでいるということなのだ。
JVM、今日も一生懸命働いています!

M_s41a3854征史さんが操るSUPER BASSの音もまったくもって素晴らしい。出過ぎず、引っ込み過ぎず、とにかく深く、あたたかく、そしてブ厚い。何よりも個性的な音だ。

130_2

そしてKKのNATAL。あまりにも広いダイナミック・レンジと鋭いレスポンス。やはりロックを知り尽くしたMarshall傘下のドラム・ブランドだ。

190v_2そのようにして見ると、このバンドは演奏、サウンドともにまさに「三すくみ」なんですな。
誰がカエルで誰がナメクジで誰がヘビとは言わないが、仲のよい「三すくみ」。三人が等しい力を持って釣り合っている。でも、視線はにらみ合っているのではなく、三人が同じ方向を向いているのだ。
そういう関係が音楽をおもしろくすることは間違いない。CreamやThe Who(四すくみ)みたいなものか。
曲は「Bloom」から「If」へ。もう終盤だ。

200v_2そして、この日のハイライトがここにあった。

210v_312分にも及ぶ「Virtue」。

220vこれぞ火花を散らす「競演」。怪我人が出るのではないか?というすさまじさ!

230v命の薄皮を剥ぐような演奏とはこのことか…フトそんなことを思ってしまった。

SBLは今週の金曜日(7月24日)、高円寺のSHOWBOATに登場するので乞うご期待。
今回はアコースティックでの登場ということではあるが、共演は原田喧太。
一体どういう組み合わせ?JVMつながりか?
いずれにしても楽しみだ!

240v三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒YosukeMiyake's "Strange,Beautiful&Loud"

250そしてアンコール。

260v両バンド入り乱れてのセッション。

270曲はMountainの「Nantucket Sleighride」…は長いヤツか…。「Mississippi Queen」だ!だって「ミシシッピー」ってスペリングが難しんだもん…と思ったけど、この単語、頭の「M」を除いたすべての子音が重なるのね…これで覚えた。
三宅さんとMountain、似合うようには思えないナァ。
280Mountainって最近よく人の口に上るような気がする。気のせいか。昔は私もよく聴いたもんでしてね、こういう連中が気張って演奏すると実によろしいな。

290vもちろんギター・バトルもタップリと…。
あるイギリス人ギタリストからLeslie Westが実際に使ったピックをもらったことがあったけど、体系とは正反対にペラッペラなんだぜ。

300メンバーが入れ替わっての二曲目。庄太郎ちゃんがマイクを握る。
アレ?どっちで紹介したっけかな。「Killing Floor」だったっけか「Lemmon Song」だったっけか。ここではHowlin' Wolfにしておこう。いずれにしても「I should've quit you」だ。

310ハイ、ここで英語のお勉強。または私の知ったかぶり。
イヤな人は飛ばしちゃって!

「I should have quit you」とはどういうことか?これは仮定法過去完了ですな。
副島隆彦氏の『英文法の謎を解く(ちくま新書)』によれば、この仮定法過去完了と第五文型(あのSVOCってヤツね)のふたつが「英語」という言語において最も洗練された表現なのだそうだ。
第五文型は「OがCするのをVする」というしゃべり手が実際の動作に関係していないというトリッキーさがスリリングだ。コレがもっと自由に使いこなせればどんなにカッコいいか…第五文型が使いこなせれば文章が格段に簡潔かつスピーディになるからだ。
一方、仮定法は、「時制」という日本語においては重要でない言語システムを利用して法(ムード)を作り出す。ムードというのは「実際にはしなかったんだけど、やっぱりあの時しておけばヨカッタな~」という後悔の念のこと。
仮定法現在、仮定法過去、仮定法過去完了と三種類取り揃えられていて、仮定法過去完了が最もわかりやすいし、使いやすい。
「仮定法現在」は使われることが少ないようだ。過去なのに現在のことを言い表す「過去法過去」が感覚的に一番わかりにくいが、他の言い回しで簡単に逃げられるので心配ない。
その点、この過去完了はよく使う割に仕組みがわかりやすいので、この歌で思えておくとどこかで役に立つかもしれない。
形は「should(またはcould)+have+過去分詞」。これだけ。コレで「~しておくべきだったのにな~」とか「~できていたらヨカッタのにな~」とメッチャ後悔できる。
優柔不断な私なんかには絶対に必要な表現だ。
じゃ、この「Killing Floor」はどうか?
この歌はタチの悪い女にとっ捕まって殺されそうになっちゃう話しだ。そんな女、コワくてイヤですよね?敬遠しておいた方がいいよね。そんな女と付き合ったら後悔するよね?
そこで仮定法過去完了の出番。
歌い出しは「I should have quit you a long time ago」だ。「should」は「~すべき」、後悔の念を表したいので仮定法過去完了にするために「have」をひっ付ける。
「quit」はパソコンの電源を落とす時なんかにも使う「やめる」という意味の言葉。コレ、現在も過去も過去分詞も全部「quit」で自制変化しない動詞。「cut」とかといっしょ。
コレを並べると「I should have quit you」。「you」とはその女のことだ。
すなわち「もっとずっと前にオマエと別れておくべきだったナァ」という意味になり…「でも実際には別れていない」…だから「こんな目に遭ってしまった」…となる。
こういうこともわかると尚一層、ロックがおもしろくなるのではないかと…。
The Beatlesにもあるよね。「恋する二人」と放題が付けられた「I Should Have Known Better」。「I should have known better with a girl like you」…意味はもうお分かりだろう。考えてみるとコレは「Killing Floor」と全く反対のシチュエーションですな。アンサー・ソングだったりして!
なんてエラそうに書いている私も英語には苦労しっぱなしだ。だから私の場合は、I should have studied English harder!
庄太郎ちゃん、気持ちよく歌ってるのにこんなつまらないこと書いてゴメンね。

320v征史さんのブルース好きはSTANDのジャケットを見れば一目瞭然だ。

330v英二さんも最後まで猛烈にパワフルなドラミングをキメて見せてくれる!

340v熱唱する庄太郎ちゃん!
第一部のMCではロック史のさわりにも触れてくれた。

350ここでも白熱のギター・バトル。
言うまでもなく三宅さんにとっての「Killing Floor」はJimiだ。

360Black SabbathやらJimi Hendrixやら、ナンダカンダでロックの根底がガッチリ地続きになっていることをわからせてくれるようなセッションだった!
次回も楽しみ!

3701965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
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(一部敬称略 2015年6月1日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)

2015年7月21日 (火)

Sound Experience 16 <前編>

三宅庸介のStrange, Beautiful & Loudが、毎回対バンやゲストを迎えてシリーズで展開している企画『Sound Experience』。
もう16回目…何回目から観てるかナァ。いつも楽しみにしてるのだ!
今回の対バンは、「満園Bros & 小松優也's Black Sabbath Tribute Band」…この名称だけで一体他に何の説明を要するというのだ?…的バンド名。

10小松優也

20_2満園庄太郎

30v満園英二

40v優也君のMarshall。
以前はVintage Modern2466を長い間愛用していたが、最近はBlind Birdのステージも含めてオリジナルのJCM800 2203を使用している。
キャビネットは1922だ。

50v足元のようす。

60コレでBlack Sabbathの曲を演ったとサ…ではあまりに味気ない。
一曲目はおなじみ「War Pigs」。

70実はですね、私、Black Sabbath、基本的にダメなんですよ。イヤ、「ダメだった」かな?
いつも言ってるように、私にとっての「ロック」は60~70年代中盤までのイギリスのロックよ。言い方を変えればハード・ロックとプログレッシヴ・ロック。生きている間は変わらないだろう。
パンク・ロックとかスワンプ・ロックとかソフト・ロックとか、まず率先して聴くことはない。聴くとすれば「勉強」のためだ。
今から38年か39年前に中学2年生の時に初めて買ったBlack Sabbathのアルバムが『Sabbath Bloody Sabbath(邦題:血まみれの安息日)』だった。プログレッシヴ・ロックに興味が移っていた頃だったのかな?
残念ながらナニひとつ刺激を受ける箇所がなくてバンドに興味を失ってしまったのね。(今聴くと何ら問題ない。こっちが年を取って子供に戻ったのだろう…)
一応、ファーストから『Mob Rules』までアルバムは全部持っているんだけど(正直、今回この記事のためにLPとCDの棚をチェックして案外持っていることに驚いた)、夢中になることはなかったし、ほとんど何も知らないに等しい。
でも、「お、カッコいい!」とすごく感心したのが、Marshallの創立50周年記念でZakk WyldeとKerry Kingが一緒にプレイした「Faries Wear Boots」だった。
お、そんな最近のことかよ!と笑わば笑え。
その次にZakkが演った「Into the Void」もすごく良くて。「ああ、Black Sabbathもいいもんだ」と思った。
大ゲサに聴こえるだろうが、今回のこの三人のアツイ演奏を聴いていて、ウェンブリーの時と同じ気持ちになってしまった。
ハイ、ここで気がついて頂きたいのは、すごく昔は使っていたけど、Marshall Blogでは「アツイ」という言葉を今は使わないようにしているのね、表現としてすごく安っぽいから好きじゃないの。
でも、ここは主義を曲げてでも「アツイ」と言っておきたくなった。

80v優也君とは長い付き合いだ。
だからこのプロジェクトのことを聞いた時、平気で彼に尋ねた。
「優也君、一体誰が歌うの?」
「あ、自分っす」
「え、大丈夫なのッ?」
…コレがなかなかにいいのだ。
そつなく「War Pigs」のあの有名なメロディを歌っちゃって!カッコいいゾ。

90vもちろんギターは水を得た魚だ。人間、好きなことを好きにやっている時の顔って実にいいもんだ。
100v
この恍惚とした表情!
Marshallがまた実にいい仕事をしとる!
Tony IommiはMarshallじゃないことが一般的に知られているけど、JCM900とか持ってるんだよ。
120
二曲目はファーストから「N.I.B.」。
詞を提供したGeezer Butlerによれば「恋に落ちた悪魔が次第に変化していい人になってしまう」という歌。
「N.I.B.」というのは「Nativity In Black」の略、またはごくまれに「Name In Black」の略とされていたが、実際はもっと簡単であることが後にGeezer Butler自身の口から語られた。
「N.I.B.」というのはそのまま「nib」ということで、「nib」とは羽ペンや万年筆のペン先のことだ。タイトルに困っていたGeezerは、Bill Wardのアゴひげがそのnibに似ていたので、そのまま曲のタイトルにしてしまったのだそうだ。
それだけだと芸がないので、文字の間に「.(ピリオド)」を置いてイタズラしたのだそうだ。
この曲がアメリカに渡った時、タイトルが独り歩きして「Nativity in Black」になっちゃった。「Nativity」とは「キリストの降誕」という意味だ。
ま、得てしてこういうもんよ。

125ところで、Geezerってのもアダ名なのね。イギリスの英語で「変なヤツ」という意味。
10年近く前、海外の展示会などで、私はメモ帳を首からブラ下げて「英語教えて!」といつもMarshallの連中につきまとっていた。コレは今でも時々やっているんだけど、期待しているのはもちろん教科書や日本で出版されている英語関連の本に出ているようなものではない。
現地の人たちしか使わないような「生きた英語」だ。アメリカ人には通用しないようなイギリスの英語。
コレがすごくおもしろかった。
連中も私から英語のことを訊かれるのがうれしいようで、「アレはどうだ」、「コレはどうだ」と一生懸命対応してくれる。
そうして教わった表現のひとつに「geezer」があって、「変なヤツ(変なオジサン)」という意味らしい。「Black SabbathのGeezer ButlerのGeezerか?」と訊くと「そうだ」という。
しかも、これは「ギーザ―」と発音しないで、うまくカナカナで表記できないが、本当は「ギーザハッ」みたいに発音するらしい。何度聞き直しても「h」の音が聞こえるのだ。
はじめフザけているのかと思ったら、何人もの連中が「そう発音していたのでウソではないようだった。
こんなの何年通っても日本の学校で習うことはあるまい。
反対に連中は「~さん」という日本の敬称がおもしろいらしく、私のことを「ギーザ―さん」とか「ギーザッハさん」とかと呼んで盛り上がっていた。
楽しかったナァ、あの頃は。
そんな仲間も会社を辞めたり、亡くなったりして、私もMarshallの中では心太作用でスッカリ古株になってしまった。

130続いては例の「Faries Wear Boots」。やっぱりカッコいい曲だ!

140vそしてBlack Sabbathのスタート・ポイント、「Black Sabbath」。

150v英二さんのドラムがワイルドでいかにもそれっぽいのだ!

160ロック史に残る名リフの「Iron Man」。このリフ、チョット恥ずかしい感じもするが、それに麻痺すると実に味わい深い。
それが名リフたるゆえんだ。

170「現代ロック論」、「現代ギター論」をMCで展開した優也君。
その通りだよ!ちょっとトゲがあるので優也君のセリフをそのままココに記すワケにはいかないが、私が同意したとあれば、その内容は容易に測り知ることができるだろう。
結論はBlack Sabbathみたいなロックこそ「ロック」!…ま、他にもいいのいっぱいあるけど、Sabbathがその一角であることは間違いないことを実証してくれた。

180v「かなりマイナーなレパートリーも組み入れた」という三人。
『Master of Reality』から「Children of the Grave」。「墓場の鬼太郎」か…。
この曲の他に『Vol.4』から「Snowblind」という曲も演奏された。

190v

Ronnie系のSabbath信奉者でない限り、Black Sabbathのトリビュートとなるとどうしてもファースト・アルバムと『Paranoid』からの収録曲にレパートリーが集中するね。やはりサバス・エキスがそこに凝縮されているのだろう。
そういえば、私の周りではファースト・アルバムのジャケットの女の人がホンモノの幽霊だ…と伝えられていたことがあった。「Black Sabbathってジャケットに心霊写真を使ってるんだってよ!」とビックリした。40年近く前の話しよ。
「ずいぶんハッキリ写ってるナァ」なんて子供心に思ったりもしたが、残念ながら(?)ホンモノの人間だった。
女性は名前すら忘れらていたが、ある時、Black Sabbathのコンサート会場に楽屋にフラリと現れてTonyに自己紹介したそうだ。
当然「アラま~、あの時の~?!」みたいなことになったのだろう。
後に明らかにされたことには、彼女はその日の撮影のために雇われたモデル兼女優さんで、名前をルイーズといったそうだ

200v他にも先述の「Into the Void」や定番の「Paranoid」もプレイ。

210v優也君だけでなく、庄太郎ちゃんも「Sabbathは疲れる」と言っていたが、好きな音楽にドロドロになるまで集中して取り組む結果がもたらすものだろう。
冒頭でも触れたが、Black Sabbathの魅力を再認識させてくれた三人にお礼を言いたい。

小松優也の詳しい情報はコチラ⇒Diary Of A MADMAN

220<後編>はこの三人…

B230v

B240

B250v(一部敬称略 2015年6月1日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)

2015年7月17日 (金)

【号外】 渡辺英樹さんのこと

訃報の号外を出すのは実にイヤな気分だ。
しかし、また…。

既報の通りかねてより療養中だった元CCBの渡辺英樹さんが13日に永眠された。
55歳という若さだった。
残念ながら楽器関係での関わりはなかったが、ファンキーさん、王様とのトリオで何度かMarshall Blogにご登場いただいた。
私はこのトリオが大好きで、熊谷まで足を伸ばした。
去年の12月には田川ヒロアキさんらとパチスロの新機種の発表会にご出演されて猛烈にお元気な姿を見せていらっしゃたのに…まったく信じらない。
もうあのハリのある声とノリのよいベースが聴けないのかと思うととても寂しく思う。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

ここにご登場頂いた記事を再掲して英樹さんを偲ぶこととしたい。

王様 meets はち王子さま & 渡辺英樹家来~小畑秀光編
王様 meets はち王子さま & 渡辺英樹家来~本編
(2013年6月24日 熊谷Heaven's Rock)

340v王様+はち王子様+渡辺英KING全国行脚2013 <前編>
王様+はち王子様+渡辺英KING全国行脚2013 <後編>
(2013年12月18日 Heaven's Rockさいたま新都心)

220v風林火山とMarshall
(2014年12月17日 原宿クエストホール)

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ギター・テック・インタビュー:トレース(エアロスミス)

この仕事をしていると、海外のギター・テックと接するケースが度々出て来る。
来日、すなわち海外公演するような世界的なバンドについている連中だから、どんな仕事をしているのか当然気になる。
で、「他に誰の面倒をみてるの?」なんて話しをよくするんだけど、やっぱ世界はスゴイね。
ジェフ・ベックのテックのスティーブなんか、「ん~、ブライアン・メイとかブラーとか?」みたいな。オイオイ、軽く言うんでない。
かつてゲイリー・ムーアについていたグラハムも当たり前のようにすごいことを言っていた。忘れちゃったけど…とにかくスゴイいいヤツだったのは覚えている。
今日ここに登場するトレースも興味深いキャリアを誇るひとり。
エアロスミスのギター・テック、かつてはAC/DCやチープ・トリックとも仕事をしていたそうだ。
トレースのインタビューをお届けする。

Trace オクラホマのタルサ周辺が拠点なんだ。シカゴで育ったんだけど、80年代にはLAに移って20年ほど過ごした。自分でも楽器を演奏する一方、他のバンドの機材の面倒をみてかれこれ30年以上になるんだ。

僕はプレイヤーでもあり、テックでもやっている。いくつかのバンドでは両方を務めているんだよ。13年間にわたってメリッサ・エサリッジのショウ・バンドでテックを務め、キーボードとギターを弾いたよ。ものすごくバタバタした夜を過ごしたね。
ここ10年間で一緒に仕事をしたのは…

●エアロスミス:ジョー・ペリーのギター・テックを務めて7年経った。
●AC/DC:2015年のワールドツアーでスティービー・ヤングと仕事をした。AC/DCのツアーの仕事はこれが初めてなんだ。
●チープ・トリック:リック・ニールセンのギター・テック。普通のツアーだったけど、40本のギターの面倒をみなければならなかったよ。
●キース・アーバン:(訳者注:エ、この人ってニコール・キッドマンのダンナなの?!)
●コレクティブ・ソウル:過去10年くっついたり、離れたり…。いいバンドだね。
●グー・グー・ドールズ:テックとしてトラでツアーに参加したんだ。

ま、挙げ出したらキリがないね。本当に色々なタイプの音楽に携わってきたよ。

Marshall(以下M):はじめてマーシャルに接したのはいつですか?またどのバンド?
Trace(以下T):エ~、最初は僕が高校の時のバンドにさかのぼるかな。長い間お金をためてハーフ・スタックをゲットしたよ。
JCM800だったと思う。それがその時にもっともゲットするのにふさわしいモデルだったんだ。


M:今まで仕事をした中で最も爆音だった機材は?
T:よくぞ訊いてくれました。2か月前だったら「ジョー・ペリー」と答えていたな。ジョーの音は信じられないぐらいデカいんだ。
でもね、AC/DCの方がデカい。ウン、はるかにデカいな。耳の保護をしないままでアンプの前を通りすぎることができないんだ。痛いんだよ。
でもそれが彼らのサウンドなんだ。そして、メッチャ音がいい!


M:今まで仕事をしてきた中で最高と最低のギグはどれでした?
T:最高だったのはエアロスミスのジョー・ペリーとの最初のショウだね。十分な準備もリハーサルもなしにほとんどブッツケ本番だったんだ。
メチャクチャビビったよ。ジョーは要求がすごく多くてね、いつでも期待以上の仕事をしないとマズイことになるんだ。
でも僕は仕事をうまくこなした。そして、ジョーから仕事を頼まれ、後は現在に至るってとこ。
最初は一週間分の着替えだけをバッグに詰め込んで彼の所へ行ったんだ。彼との仕事はキツイと聞いていたので長いことは持たないと思ったんだけど、結局7年間もお世話になってるよ。

最低のギグか…。実際、心底ヒドイと思ったギグはないな。今まで一緒に付き合ったやつらでヒドイと思うヤツはいたよ、でもギグはいつもうまくいった。
僕は機材のバック・アップをいつも2セット確保しておくんだ。1セットじゃダメだ。2セット必ず用意する。「準備」こそ成功のカギなんだ。そうすればより楽しく、ストレスの少ない夜が確実となるんだ。


M:お気に入りのマーシャルのヘッドは?
T:完璧ではないんだけど、ジョーが持っている1969年製のプレキシかな。もうヤケクソにいい音なんだ!そういうことから言えば、プレキシ時代のヘッドは何でも好きかな。


M:最近の仕事でマーシャルに関するおもしろい話しは何かある?
T:AC/DCのツアーでの呆れるほど大量のマーシャルだね。ツアーでは60台のヘッドを運んで歩くんだ。まったくスゴイよ!しかも、そのヘッド一台一台にストーリーがあるんだ。


M:仕事関係で最も仲のいい人物は誰?
T:僕はAC/DCやエアロスミスの音楽と一緒に育ったんだ。若い頃は彼らの音楽を通じてギターの弾き方を学んだ。それが今では毎晩彼らが最高のサウンドを出せるようにすることに責任を負っている。夢がかなったんだ。
今ではアンガス・ヤングやジョー・ペリーやスティーブン・タイラーの周りにいて彼の話しを聞くことができるんだよ!それは音楽の歴史であって、彼らの音楽がその歴史の一部になっているなんてスゴイことだ。僕は本当に恵まれていると信じている。


M:今仕事でお付き合いしているアーティストとは関係なしに、あなたのお気に入りのギタリストやバンドは誰ですか?
T:リック・ニールセンやチープ・トリックと仕事をするのは大好きだった。僕らは出身地が同じで、彼らはいつも地元のヒーローだった。スタイリッシュで最高のミュージシャンだったよ。
僕の永遠のギター・ヒーローは問答無用でランディ・ローズなんだ。僕はオジー時代のランディに三回ほど会う特権に恵まれた。本当に素晴らしかった。彼が死んだ時、私たちは道半ばにして本物の伝説を失ったんだ。


M:JCMとプレキシどっちが好き?
T:プレキシだね。


M:最近のマーシャルではどれがお好み?
T:僕はビンテージにこだわるタイプなんだ。ゴメンね、最近でもメッチャいいヘッドをいくつか出しているのはわかっているよ。でも僕が面倒をみているアーティストはアンプが壊れていない限りはアンプをイジろうともしないんだぜ。

M:手持ちの機材で何か改造しているものは?
T:AC/DCの機材に関してはウィザード・アンプのリックに訊いてもらいたい。彼はAC/DCのアンプ・テックなんだ。チョコチョコっと改造しているのは知っているんだけど彼から話しを聞くべきだよ。もし彼がOKならば…の話しだけど。
ジョー・ペリーの機材はいくつか改造を施している。彼は最近のツアーからJCM800の100Wヘッドを使い出したんだけど、もうチョットだけヘッドルームを大きくして歪みにくくしたがった。そこで僕はボストンのロイ・グッド(かつてのジョーのスタッフ)の所へ二台送ったんだ。すると彼はチョットだけパワーアップさせて、かつハイを抑えるために音をダークにした。それがジョーの希望だったからね。
それからヴードゥー・アンプのトレイス・デイヴィスにも二台送った。彼もヘッドルームを少しだけ広げて、やはりハイを削って音を暗めにする改造を加えた。トレイスはそれに高域を調整できるようにプッシュ/プル式のポットを取り付けた。必要ないんだけど。


M:あなたのセットアップに何かマーシャルの秘密兵器はある?
T:秘密兵器と言えば、70年代のSUPER BASSとSUPER LEADかな。それだけ…でもAC/DCと来た日にはそれがすべてだからね。


M:最後に、何かマーシャルがらみの特に愉快な話しってある?
T:ジョーと僕がポール・マーシャルと一緒にマーシャルの工場見学をしていたんだ。ポールがこのアンプ(訳者注:どのアンプかは原文に明記していない。多分オリジナルのJTM45のことだろう)を見せて、いかに少数しか出回っていないということを口にしたんだけど、ポールはそれらが他にどこにあるかは不確かなようすだった。するとジョーがニヤリとしながら「どこにあるか知ってるぜ…俺んとこだよ」と言ったんだ!

マーシャルの層は驚くべき厚さだよね。エアロスミスのジョー・ペリーやブラッド・ウィットフォード、AC/DCのメンバーたちは何百ものマーシャルを持っている。それには理由があるんだ。それらはサウンドを構成する巨大な要素なんだ。

M:トレース、貴重な時間をありがとう!

Marshall Offical Websiteより引用)

2015年7月16日 (木)

IMPELLITERI~LIVE in JAPAN

「Spelling Bee」って知ってる?
アメリカ発祥の「英単語をいかに正確に綴れるか」というコンテスト。今では世界中で展開しているらしい。
決勝戦ともなるとさぞかしスゴイ単語の綴りが出題されるのだろうか?
「長い」という観点で綴りが困難ということであれば、最も有名なのは『Mary Popins』の「Supercalifragilisticexpialidocious」だろう。
イギリスには「antidistablishmentarianism(反国教会制度廃止論)」なんて単語もある。
でも、調べてみると他にもすさまじいのがいくつもあって…
たとえば、「Honorificabilitudinitatibus(オノリフィカビリテュディニタティバス)」というのはシェイクスピアの『恋の骨折り損(Love's Labour's Lost)』に出て来る言葉。
例文の多さが評価され、英和中辞典としてスタンダードな地位を確立した大修館書店の『ジーニアス英和辞典』の私が使っている第3版には出ていないので、インターネットで調べてみると、「名声を得ることが出来るような状態」を指すらしい。残念ながらこの単語を使っている外人は今のところ見たことがない。
次、「Pseudopseudohypoparathyroidism」…コレ読めないな。「シュードシュードハイポパラサイロイディズム」かな?「寿限無」みたいだな…。病気の名前。「偽性偽性上皮小体機能低下症」というらしい。
ああ、だから同じ綴りが2回入ってるんだ。でも日本語でもわからん。
病気の英単語はラテン語が元になっていることが多く、得てして難読だ。
こういうの大好きなので、もうひとつだけ…。
辞書に出ている最も長い英単語は何か…(中辞典ではムリ)。「Pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis(ニューモノウルトラマイクロスコピックシリコボルケイノカナイアシス)」で45文字!
意味は単なる「塵肺」。炭鉱など空気の汚れた場所にいる方々が罹患する、肺に汚れがたまってしまう病気だ。
ただ、一見難しそうに見える単語だが、分解するとそうでもない。
「pneumono-」は「肺炎」のことを英語で「pneumonia」ということを知っていれば何となく「肺」に関する接頭辞であることが類推できる。
「ultra」は「ウルトラ」、「microscopic」は「メッチャ小さい」という普通の英単語。「顕微鏡」は英語で「microscope」だ。「silico」は「ケイ素」のこととすぐ分かるし「volcano」は「火山の」を表すごく普通の名詞。問題は最後の「conoiasis」だ。実はココがわからないと残念ながらラチがあかない。「coni-」は「塵の」で「-ois」は「病気」を示す接尾語なんだそうだ。こんなにくっつけるんじゃない!
すまぬ、時間の無駄になった。
そして、世界で一番長い英単語は、化学の専門用語で、タンパク質の一種を示す言葉がそれで、18万字を費やすそうである。アホか…?
ここまでが前置きの前置き。

Spelling Beeの決勝戦はこんな実用性のない単語が出題されるワケではなく、私が何かで聞いた時の問題のひとつは「神風」だった。
あの神風。英語では「Devine Wind」というが、ご存知の通り「腹切り」や「ヤクザ」や「過労死」みたいに正式な英単語のひとつになっている。
答えはもちろん「K-M-I-K-A-Z-E」でOK。楽勝である。
ナゼこれが上級問題なのかがわからない。
むしろ「綴り」ということより「語彙」の方に重点が置かれているのかもしれない。
あ、ちなみに日本人はよく「綴り」のことを「スペル」と言うけど、これは誤り。「spell」は動詞でそのままでは「名詞」の機能を持たない。
「綴り」という意味のことを英語で言いたければ動名詞にして「スペリング」と言わなければならないことを覚えておこう!

さて、私にとってなかなかの難題が今日登場するバンド名の綴りだ。
I-M-P-E-L-L-I-T-E-R-I…いまだに一発で正確にタイプできたことがない。
イタリアの名前なのかな?
「r」かと思えば「l」、「r」が重なるかと思えば「l」が重なってる!トリッキー~!
今日のレポートは5月28日の東京公演のようすだ。

I_10Chris Impelliteriを観るのはLOUD PARKのANIMATAL USA以来…
I_70
と言いたいところだが、実は、残念ながらこのコンサートに行かれなかったの。

I_60

何とならば、過日寄稿した通り、このコンサートの数日前に父が永眠しましてね、とてもじゃないけど実家を空けられなかったのです。
会場はO-EASTだったし観たかったんだよね~。私も昔は速弾きに狂ったからね。

I_30
それに加えてMarshallの壁よ!
ANIMETAL USAの時もそうだったけど、白くデコレーションした。

I_20来日メンバーはChris Impelliteriの他、ドラムにJohn Dette。

I_40ボーカルにRob Rock、ベースにJames Pulliという面々。

I_503月に発表したニュー・アルバム『Venom』を引っ提げた6年ぶりの来日とあってメチャクチャ盛り上がったようだ。

I_80Impelliteriの詳しい情報はコチラ⇒Victor Entertainment公式サイト

I_90(一部敬称略 2015年5月28日 渋谷TSUTAYA O-EASTにて撮影 ※協力:エムアンドアイカンパニー 撮影:MASAYUKI NODA)

2015年7月15日 (水)

BUDGIE PLAYS NATAL in JUNO REACTOR

おはようございます。
今日は(も)余談から…。
皆さんは「虫の知らせ」っての信じますか?私は信じていたんだけど、この現象は科学的に解明されていると聞いて信じなくなった。
「虫の知らせ」は単なる偶然で、齢を重ねて経験が増せば増すほど確率的にそういうことが起こりやすくなるそうだ。
しかし!…しかし、しかし、しかし!
今朝ばかりは心底驚いたし、間違いなく私の周りにはハエか蚊が飛んでると確信したぜよ。
東京新聞の朝刊の「筆荒」というコラムにアティカス・フィンチの話しが出ていたのだ!
アティカス・フィンチといえば、『アラバマ物語』の主人公で、昨日のMarshall Blogで紹介したばかり!(未読の方はコチラをどうぞ!⇒【MJG】サウンドトラック盤ジャケット特集<前編>
今時の日本でこんなマイナーな存在が人の口にのぼることはまずあるまい。
まさか、この東京新聞のライターはMarshall Blogを読んでるのかな?
でも、あるメジャー誌の編集委員の人がMarshall Blogの『ミュージック・ジャケット・ギャラリー』を楽しみにしているということを聞いたことがある。うれしいね!
こうなると田川ヒロアキじゃないけど、「Marshall Blogはもはやひとつのメディアである」なんて言葉を鵜呑みにしたくなる。
それもこれも毎日読んで頂いている皆様のおかげです。ありがとうございます。


さて、東京新聞のアティカス…興味深いことが書いてあったので簡単に記しておく。
『アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)』の原作はハーパー・リーという女流作家で、89歳で続編を上梓したんだって。
タイトルは『Go Set a Watchman(見張りを置いてこい)』といって、そこにもアティカスが登場するんだけど、こともあろうに「差別主義者」として描かれているんだそうだ。
何しろピューリッツアー賞作家の新作である。アメリカン・ヒーロー・ナンバーワンである。
さすがにこれには「裏切られた!」との批判が広がっているそうだ。
ところが、この「ウォッチマン」は『アラバマ物語』より前の作品にも登場していて、人種差別問題にはどっちつかずな立場を取っており、それが当時の南部の実際の風潮だったらしい。
リーさんはこの新作で批判を浴びることは予想出来ていたが、「現実は複雑で、世の中は変わる」というメッセージを伝えたかったのではないか…と東京新聞は空想している。
以上、朝になって書き加えた。それにしても驚いた~。

さて、小生、勉強不足である。言わなくてもわかってるか…?
「トランス・シーン」というものがあるそうな…「trance」というのは「恍惚」とか「失神」とかいう意味。
昔、ありましたな~、「失神ショー」っていうの。オックスね。
今から17年前、腰を患って入院した時、オックスの元メンバーの方とそこで一緒になった。当時私はまだタバコをのんでいて、喫煙室でご一緒して色々な話しをその方からお聞きするのを結構楽しみしていた。
「失神」の話しはしなかったけど…。
その人、腹腔鏡手術をして、何やらお腹から管がピロピロと飛び出していたけど、医者にムリを言って病院を抜け出して地方公演に出かけて行ってた。プロってスゴイと思った。

ま、「失神」までいかなくても、アイドルを応援する男の子たちなんかも完全にトランス状態ってヤツだよね。
大声を出しながら一心不乱にペンライトを振り回す姿はむしろ美しい。
高校の時、大学の推薦入学の手続きをしなければならない大事な日に学校をサボって、ハッピを着て、メガホンを持って、郁恵ちゃんの応援に行ってしまったがために大学に行かれなくなってしまったヤツがクラスにいた。後でソイツに聞いたら、親にエラク怒られたそうだ…当たり前だ。
でもね。そういう風に我を完全に忘れて夢中になれるものがあるのを大変うらやましく思うよ。
いいナァ、自分もトランスしてみたいナァ…。

で、今日のレポートはそのトランス・シーンのパイオニア、「Juno Reactor」。
私もトランスするぞ!何しろNATALだし!
…と楽しみにしていたんだけど、残念!
イギリス行きと重なってしまい、参加できなくなってしまった。
仕方ないので、プロモーターの方にお願いして写真をシェアしてい頂いたものを掲載する。
NATAL、一生懸命働いてます!

10NATALをの使い手はイギリス人ドラマー、Budgie。

90v

イヤ~、ここでも勉強不足のそしりは免れない。
ある日Marshallから連絡が来て、「Budgieが行くからNATALで面倒みてやってチョーダイ」とのこと。
「お!Budgieが来るのか!和嶋さんや鈴木さんがよろこぶぞ!」なんて構えていた。
その後、何回かイギリスとやり取りをしていたら、どうも様子がおかしい。
すると「おいシゲ、あのな、Budgieってバンドじゃなくて人だぞ、ドラマーだよ、Siouxsie & the Bansheesのドラム!」だって言うじゃんよ!
どうすんだよ、みんなに言っちゃったよ、「バッジーが来る」って。
私の周りは「ウソ!またやってんだ!」なんてもう大喜びしちゃってんだぞ!

60

Siouxsie & the Bansheesか…わからなかったワケだ。だいたい読めないから…。
高校の時にコピーしてたヤツがいたっけな。
ちなみにイギリスでは「Budgie」は「ブジー」と発音する。

30

ブジーのリクエストは、メイプルのROCKキット。

20すなわち、12"、13"、16"、22"のコンフィギュレーション。

50

スネアはHandhammeredシリーズのブロンズ。右下に見える茶色っぽいヤツ。

70

こういうヤツね。

I_hholdbronzesnare2 このキットを自在に操り、エキサイティングなドラム・プレイを見せてくれた…と、実際に観に行った同じNATALプレイヤーの英太郎さんから後に聞いた。観たかったな~。

40そして、満員のO-EASTはトランスしまくりだったそうな。
私もトランスしそこなったのは残念だった!

80JUNO REACTORの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト(英語)

100

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 2015年5月22日 渋谷TSUTAYA O-EASTにて撮影 ※協力:エムアンドアイカンパニー 撮影:KOTARO MANABE)

2015年7月14日 (火)

【Music Jacket Gallery】サウンドトラック盤ジャケット特集<前編>

今回のミュージック・ジャケット・ギャラリーは「サウンドトラック盤」特集。
別項にも記した通り、私は父の影響を強く受け、元来映画が大好きで、映画あるいは映画音楽から音楽の世界に入った。

10_3それにしても、映画の世界も変わり果ててしまったナァ。
アニメばっかりになっちゃった。
昔はアニメは子供のものだった。そこへ1969年、手塚治虫が「大人のアニメ―ション」とか銘打って『千夜一夜物語』を制作した。ものの見事ズッコケて虫プロが傾いちゃったんじゃなかったけ?
手塚治虫はマンガはスゴイけど映像に関してはそれほどでもなかった…なんてことも言われているようだけど、失敗の原因のひとつは「大人はマンガを見なかった」からだったのではなかろうか?
今では大人も夢中になってアニメを見てる。
それと、何から何までディズニーになっちゃった。
興行収益の上位といえば、ここのところもう何年もアニメとディズニーなんじゃないの?(最近の邦画は対象外)
これはひとえにハリウッド映画の凋落が原因だと思っている。
アニメじゃなければCGの人形劇か、過去の名画のリメイクばっかりだ。
俳優も小ぶりになった。
ジェイムス・スチュアートやケーリー・グラントやハンフリー・ボガートのような本当にカッコよくて存在感のあるいい男優が見当たらなくなった。みんな軽い。
女優陣も美人の基準がスッカリひん曲がってしまって、グレース・ケリーやエリザベス・テイラーやデボラ・カー型の真性美人女優がいなくなっちゃった。
さらに、ピーター・ローレやアーネスト・ボーグナイン、マイケルJ.ポラード、あるいはジョン・カザールみたいな優れた性格俳優も見なくなった。
これは、作る映画の質が低くなったからなのではないか?いい作品がないから役者が育たない。必要ともされない。
では、いい映画とは何か?
それは「いい脚本」から作られる映画ということだ。
コレはヒッチコックや黒澤明も言っている。
ヒッチコックはストーリーを明解にするために短編小説しか素材に用いなかったし、『七人の侍』の脚本を書いた黒澤・橋本・小国のコンビネーションは世界の映画人がうらやんだという。
音楽でいえばメロディだ。
いいメロディがなくなってしまった今の音楽界と状況がよく似ている。

そんなだからとにかく映画を観なくなった。
子供の頃はアカデミー賞の結果を楽しみにしていたものだが、全く興味が失せてしまった。バカバカしくて…。もうだいぶ前になるけど、昔アカデミー賞の授賞式の会場に使われていたLAの「シュライン・オーディトリアム」に入った時は大興奮しちゃったぐらいなんだから。
まず最初の脱線。
この会場ではStan Getzのライブ・アルバムなんかが録音されているが、Genesisが『GENESIS ARCHIVE 1967-75』というボックスセットに、1975年1月24日にここで全曲演奏した『Lamb Lies Down on Broadway』の音源を残している。


しっかし、音楽でも映画でも、文句ばっかり言ってるナァ…。でも私は映画も音楽も心から愛しているのだ!
でも、いくら新しくても「いいものはいい」と言いますから。最近では五月にロンドンへ行く飛行機の中で観た若年性アルツハイマーの恐ろしさをテーマにした『アリスのままで(Still Alice)』というのがヨカッタ。
主演のジュリアン・ムーアやアレック・ボールドウィンの演技が素晴らしかったし、映画自体テーマにふさわしくコンパクトに、そしてとても丁寧に作ってあっ好感が持てた。

20_2そんな映画好きなものだから、MJGが「サウンドトラック特集」を企画していると聞いて「コリャ、記事を書くとなったら紙幅がいくらあっても足りないぞ…」と思ったりもしたが、植村さんには恐縮だが、そうはならなかった。
…というのも、映画の作品自体にはそれぞれ色々と思うところがあるのだが、「サウンドトラック盤のジャケット」ということになると、特段語るべきことが見つからなかったのだ。
なぜなら、コレは当然のことなのだが、サントラ盤のジャケットはその映画の有名なシーンのスチール写真やロゴやタイトル等々、映画のイメージを一発で想起させる意匠をそのまま使うのが普通だからだ。
要するにサントラ盤のジャケットのためのオリジナルのアイデアというものがほとんど見当たらない。
コレは仕方ない…というより他にやりようがない。
それでも好きな映画を中心にゴチャゴチャやってみた。
尚、展示は2013年10~12月のもので、現在の展示アイテムではないことを予めご了承ください。

では…

『E.T.』のサントラ盤とくれば、この指先を合わせるシーンか、例の満月をバックに自転車が空を飛ぶシーンということになるわな~。
コレは丸の内ピカデリーへ今の家内(今も昔もひとりだけです)と観に行った。ものすごく混んでいて、前から2列目ぐらいの席だった。
この頃のスピルバーグはヨカッタね。『激突(コレ、原題は「Duel」という。つまり「決闘」ね。そっちの方が良かったのでは?)』を見よ!デニス・ウィーバーよかったナァ。
『ジョーズ』、『未知との遭遇』、『レイダース』、そして『E.T.』。この辺りがピークかと思いきや、『シンドラー』でまたかましてくれた。
でも、私にとってのスピルバーグはここまでだったかな。
『戦火の馬』とかいうのを飛行機で観たけどツラかった。

帯に「ロードショー」誌のロゴが見える。私は「スクリーン」派だった。今にして思うと、よくもこんな洋画の専門誌がしのぎを削る時代があったもんだ。
ロードショー誌は2009年に廃刊になったそうだ。

40_3コレも家内と映画館で観たな。どこの映画館だったか覚えていない。
まさにこのジャケットなんかはコレ以外やりようがないでしょう。
この映画はおもしろかった。
「♪ゴッ~トバッタ~ズ」という主題歌もはやった。
この曲ではまったくその片鱗を見せないが、Ray Parker Jr.はカッティングの達人で、Herbie Hancockの『V.S.O.P.』ではすさまじいプレイを聞かせてくれる。

50_2このオムニバス映画はタイトルがアニメーションで、それがすごくヨカッタ。
でも映画自体はどうってことなかったことしか覚えていない。

60_2『ウエスト・サイド物語』は中学1年の時に日比谷のスカラ座にひとりで観に行ったことをよく覚えている。
あの頃はそういうオリジナル映画かと思っていた。
つまり、ミュージカル映画のほとんどがブロードウェイやウエスト・エンドの舞台がオリジナルであることを知らなかったのである。子供だったから。
『West Side Story』は1957年のブロードウェイで初演された。
そして、映画は1961年の公開。
妖しい口笛のメロディ。黄、赤、青と刻々と変わる画面に不規則に描かれた縦の線。
そこへいきなり入ってくるオーケストラの爆音!
その縦線が遠ざかって行くのと同時に現れるタイトル。そしてその縦線がマンハッタンの摩天楼だったことがわかる。
なんて、いかにも正確に覚えているように書いているけど、一部DVDで再確認した。
でもはじめて観た時は感動したナァ。全身にトリハダが立った。
このジャケットも映画のロゴを使わざるを得ないでしょう。


美術はソール・バス。いかにものデザイン!素晴らしすぎる。
ソール・バスの映画でのいい仕事を挙げたらきりがないが、特にヒッチコックの『北北西に進路をとれ』、『めまい』、『サイコ』がカッコいい。ヒッチコックとの仕事はこの三本だけだったそうだ。
もっとあってもよさそうなのに…。加えてこのあたりのバーナード・ハーマンの音楽も最高!
他にも私の大好きな『攻撃』、また『黄金の腕』をはじめとしたオットー・プレミンジャーの諸作、『シャイニング』のポスターとかね…挙げ出したらキリがない。
スピルバーグの『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』もそう。コレなんかスピルバーグがソール・バスにタイトルを作ってもらいたいがために制作したんじゃないかとさえ思っちゃう。
180_2
ちなみにこの京王百貨店の包装紙はソール・バスの仕事であることはよく知られている。ミノルタや紀文のロゴもソール・バスの手によるものだ。

Keioさて、『ウエスト・サイド物語に』もどって…。
当然上のサントラ盤のLPは持っているんだけど、チェックしてみたらCDは持っていなかった。
代わりにこんなのいかが?
コレは大阪の難波のレコード屋さんでヘロヘロになりながら売られていたシングル盤。100円か200円だった。
オリジナル・ブロードウェイ・キャストのレコーディングで「America」と「I Feel Pretty」のダブルA
面。
もう一枚同じデザインで「Tonight」のシングルがあったんだけどどっか行っちゃった…。

J_s41a7792下は私が持っている『ウエスト・サイド』色々。
上段左から…
●穐吉敏子=Charlie Mariano
●Dave LiebmanとGil Goldstein
●オリジナル・スコアを使ったナッシュヴィル交響楽団の全曲集
下段へ移って…
●Richie Cole
●定番のOscar Peterson Trio

別に意識してるワケではないんだけど、何となくこうして集まってしまう。
…というのはやっぱり素材がズバ抜けていいからなんだろうね。
私はこのレニーの代表作は、人類が作り出すことのできる「いい音楽」の限界のひとつだと思っている。これ以上いい曲を作るのは不可能なのではないか?
ミュージカルという括りで言えば、一般的ながら『サウンド・オブ・ミュージック』も『マイ・フェア・レディ』も『メリー・ポピンズ』もはたまた『ロッキー・ホラー・ショウ』もそれぞれ鉄壁の名曲で固められているけど、レニーにはかなわない。
その完璧さゆえか、下の各再演盤のほとんどが原曲をなぞっているだけに等しい内容になっているのが面白い。
かのDave Liebmanですらかなりオリジナル・メロディを忠実に奏でていて、いつものLiebman節があまり出て来ない。もっともそういうコンセプトで制作をしているんだろうけど…。
そこへいくとOscar Petersonの作品はかなり大胆なアレンジで挑戦していて、そこが定番たる所以なのかもしれない。
Richie ColeのヤツはVic Jurisのギターがぶっ飛んでいてカッコいい。
Toddも「Something's Coming」を演ってたね。

J_s41a7789ヒッチコック大好き。
登場人物はきれいに着飾った正統派美男美女ばかりだし、短編小説しか題材にしない脚本はよく書けているし、音楽は濃密だし、撮影は奇想天外だし…すべてヒッチコックの演出のなせるワザ。
映画本来の魅力が全部詰まってる。
この人もイギリス人。
アールズ・コートの住居跡にはブループラークがかかっているらしいが、五月に行った時チェックするの忘れた!
左下はヒッチコックの名言『It's only a movie』をタイトルにした伝記本。
1945年の『白い恐怖(Spellbound)』の撮影の時、当時大プロデューサーだったデヴィッド・O. セルズニックが送り込んだテクニカル・アドヴァイザーが気に入らなかったヒッチコック(ヒッチコックは撮影技術の大家)は、あるシーンを訂正しようとするそのアドヴァイザーに向かってこう言った;
「マァ、キミ、こんなのたかが映画じゃないか(my dear, it's only a movie)」
カッコいい~!彼ほどの巨匠がそう言ったのである。Mick Jaggerからさかのぼること約30年前のことだ。
で、この伝記は「ヒッチコックが好き」と言ったのを覚えていてくれたHal Leonardの社長が日本に来る時にお土産でプレゼントしてくれた自社取扱い商品。
プレゼントもさることながら、自分が言ったことを覚えていてくれたのがうれしい。あと、彼は私がFrank Zappa&ジャズ・マニアということも知っている。
お嬢ちゃんがShige Blog出ているので、パパに敬意を表して紹介しておこう⇒コチラ

J_s41a7823 ああ、また出てしまった。
この映画は一体何回観たことか…。
ジャケットのスチール写真はジョー・バック(ジョン・ヴォイト)とラッツォ(ダスティン・ホフマン)が自分たちが住処にしていた廃屋が解体されるのを茫然と眺めているシーン。
ジョーが寒そう。外套を買う金がないのだ。
この映画についてはもう何度かMarshall Blogに登場していて、もうここで書くことがないので、過去の記事を紹介しておく。
我ながらお気に入りの記事だ。Nilsonのところだけでも拾い読みして頂ければ幸いである。

Music Jacket Gallery~日本独自ジャケットLPコレクション<前編>  

前回、『乗り物ジャケット』の時にこの作品については『サウンドトラック盤』特集の時に触れる…と書いたのでもうチョット触れる。
それは、お定まりのNilsonの「Everybody's Talkin'(邦題:「うわさの男」)」のこと。まただ。でも書きたい。
この歌は、「自分の好きな服装にマッチする太陽が輝く気候のところに行くんだ。小石のように大洋をひとっ飛びするんだ!」というようなことを歌っている。
で、この曲は映画の最初と最後でガツンとフィーチュアされるんだけど、最初は田舎から飛び出して、ニューヨークで有閑マダムを相手にするハスラーを目指すカウボーイ姿のジョー・バックのために使われる。
そしてエンディングでは、健康のために陽光を求めてフロリダに向かうバスの中のアロハ・シャツ姿のラッツォのために流れる。
スゴイなぁ、ジョン・シュレシンジャー。この人、イギリス人だったのね?
コレ、英語の歌詞がリアル・タイムで理解できれば涙倍増でしょうな。私は違いますが…。
帰国子女のような英語の達人を除いて、残念ながら大抵の人は欧米の文化を本当に楽しんでいるとは言い難い。私も含めてですが…。でも努力はしてます。
そう考えるとドメスティックなエンタテインメントに人気が集中するのもムリはない気がしてきた。

70_2「ニック、ニック、ニック!」
この単車がカッコいいといって、小学校の時にクラスで流行った。
でも私はこの映画はあまり好きじゃなかったな。
だって面白くないんだもん。
それと、重厚なハリウッド映画をそれまでにもタップリ観ていたので、アメリカン・ニュー・シネマってのはどうもチープでタイプではなかった。
先の『真夜中のカウボーイ』や『俺たちに明日はない』もアメリカン・ニュー・シネマのひとつに数えられるけど、つ出来はすっかり別物だ。
だから、私はこの映画を小学校の時以来観ていない。
でも印象に残っているのはジャック・ニコルソンがウィスキー(バーボンかな?)をラッパ飲みして、たたんだ肘をバタつかせてこう叫ぶところ…ニック、ニック、ニック!

ところでコレは完全に映画『イージー・ライダー』のサントラ盤の体をしているが、The Byrdsの『Ballad of Easy Rider』というアルバム。

80_2オリジナルのジャケットはこんな感じ。我々世代にはDoobie Brothersでおなじみの「Jesus is Just Alright」がこのアルバムからシングル・カットされている。この曲のオリジナルはゴスペル方面。

Balladridercover『イージー・ライダー』の正式なサントラ盤はこっち。
サウンドトラック盤というのはフィルムの音の入った部分を音源として独立させたものを指すため、そのことを鵜呑みにすれば、映画の内容とサントラ盤の内容が合致するハズなのだが、現実はゼンゼンそうはいっていない。
一番わかりやすい例は『ウッドストック』のサントラ盤であろうか。
あのLP三枚組はフェスティバルのライブ盤という扱いであればアレはアレで立派に成立する作品だと思うが、盤には「Music from the original soundtruck and more」と謳ってある。
いくら「more」と記してあってもゼンゼン内容が違うでないの。
その点この『イージー・ライダー』のサントラ盤は、映画の内容を可能な限り代弁すべく、進行に沿って曲が収められているそうだ。
これらの曲は、この映画の編集を担当したドン・キャンバーンという人がオートバイのフィルムを何時間も見て、そこからインスピレーションを得、自分のレコード・コレクションの中から選曲した。そして、その使用料たるや百万ドル(当時のレートで3億6千万円)にも上り、映画の製作費より高かったとか…ホンマかいな。
しかし、それだけこの映画における音楽の重要性が高く、また、ベトナム戦争が背景にあった1969年当時のロックに力があったことを示しているということだ。
Bob Dylanもこの映画の制作に協力も求められたが乗り気ではなく、イヤイヤ「It's Alright, Ma」という曲を提供し、The ByrdsのRoger McGuinnに演奏させた。
それだけでは満足できぬと制作サイドは曲を書き下ろすようにDylanに依頼する。
Dylanは「Ballad of Easy Rider」の一番だけをサラッと書いて制作サイドに告げた。
「マッギンに渡してくれ。そうすれば彼はどういうことかわかるハズだ」
ヤル気ね~!
Roger MuGuinnは曲を完成させて演奏した。
また、映画の中ではThe Bandの「The Weight」も使用されているが、サントラ盤への収録許可が下りなかったため、Smithというバンドが演奏したバージョンに差し替えられている。
Jimiは邦題で笑いが取れる曲のひとつ、『Axis: Bols as Love』から「If Six was Nine」が選ばれた。その邦題とは「もしも、もしも」。
カメか?このネタは三宅さんとジミの話しをしていると時折話題に上がる。
ま、何と言ってもこの映画の音楽で一番得をしたのはSteppenwolfじゃないかね~?「いつものラーメン」はさぞかし美味だったことだろう。
でもね、出て来る度に毎回かいているけど、このカナダのバンドは海外ではモノスゴイ人気だったんだってよ。

90_2今の時代、「いちご白書をもう一度」は知っていても、『いちご白書』を知らない人は結構いるのでは?この映画、原題を『The Strawberry Statement』という。
…なんてエラそうに言う私もこの映画は観ていない。
やっぱりCSNの曲が使われている。この時代のCSN強し!
観たこともないのにこの映画を取り上げたのは主題歌になっている「Circle Game」が好きだったから。
小学生の時、ラジオで聴いてBuffy Saint-Marieの激ちりめんビブラートに驚いた。
「ウワ!歌ヘッタ~!」って。
歌詞は「♪ロンドンロンドンロンドンサーコーゲー(←こう聞こえた)」しかわからなかったけれど、曲がものすごくよくて、メロディをすぐに覚えてしまった。
後に『Ladies of the Canyon』でJoni Mitchellのオリジナルを聴いたが、どうも違う。イヤ、全然違う。
三つ子の魂百まで…いまだにJoniが演奏するこの曲を聴くと「間違えて歌っている…」ように聴こえるのだ。

しかし、昔はこういう学生運動の映画なんてのがあったんだね。忘れていたよ。
音楽もしかり。
演る方も聴く方も、今こそ若者に頭脳警察のパワーを知って欲しい。

100_2「ア~イム・スパルタカス!」…キューブリックも好きだァ。
『スパルタカス』も『現金~』も『ロリータ』も『博士~』も『オレンジ』も『バリー・ロンドン』も『シャイニング』も『アイズ・ワイド~』も大好き。
『バリー~』からはリアルタイムで映画館へ観に行った。
何しろ『シャイニング』の舞台となったコロラドのホテルまで行ったけんね(ついででだけど)。
この『2001年宇宙の旅』ももちろん大好き。さっぱりワケがわからないんだけど、いつもジックリ観てしまう。
トム少佐は出て来ないけど、David Bowieの「Space Oddity」はココから。タイトルからしてもいかにも…。
それに、この映画の準主役、HAL-9000というコンピュータがあるでしょ?殺人コンピュータ。
あの「HAL」という名前はIBMの先を行くということで、I・B・Mの一文字ずつ前のアルファベットを採ったと言われているけど、違うんだって。
このHALはHercuristically programed ALgorithmic computerの略で「発見的学習能力をプログラムされたアルゴリズム・コンピュータ」という意味なのだそうだ。
IBMはキューブリックがコンピュータに殺人させたことがお気に召さず、このHALの語源のくだりも快く思わなかった。そんなもんだから、映画の中に映っていた会社のロゴを全部取り外すよう要求し、社員にもこの映画を観ないようにしたそうだ。大人げないナ…。
一方、PAN AMはこの映画に協力的で、キューブリックの要請に応じてロゴの使用を快諾した。あのスチュワーデス(キャビン・アテンダントっていうのか…?)の制服にPAN ANのロゴが付いているのはこのせい。
ところが、皮肉なことにパンアメリカン航空社はこの映画の舞台の10年前の1991年に破産してしまった。
昔、あのPAN AMのロゴの入ったバッグを持っている人をよく見かけたよね。「海外旅行行って来ました~!!!!」のサインだったんね、アレは。

キューブリック作品はいつも音楽がすごいでしょ?映像的なパワーを持っている。
『2001年』では何と言っても印象深いのは「ツァラトゥストラ」と「美しき青きドナウ」でしょう。リヒャルトとヨハンのシュトラウス・コンビ。
ワケはわからなくても「ツァラトゥストラ」の「♪ドンガンドンガン」で猿が一発で進化してしまいそうな猛烈なパワーを感じさせる。
宇宙船の「ドナウ」もしかり。
このサントラ盤、『第2集』とある。サントラ盤で連作?
確かにこの映画のサントラ盤はいくつかバリエーションがあったようだ。それで、劇中で使われているクラシック曲をフル・レングスで収録してあるバージョンはとても一枚には収まり切らず、こうして分割されたようだ。
他にもリゲティやハチャトゥリアン(あの「剣の舞ね」)といったクラシック曲がこの映画には使われたワケだが、実はこの映画のために書き下ろしたオリジナル・スコアがあったそうだ。
作者はアレックス・ノースという映画音楽作曲家。
キューブリックは、アタリで使っていたそれらのクラシック曲をそのまま本チャンに使ってしまったのだ。
ノースがこのことを知ったのはプレミアの時だったというのだから残酷な話しじゃあ~りませんか。
しかも、これには後日譚があって、「キューブリックは音楽の使い方に失敗して作品を台無しにしてしまった。もし、キューブリックがノースの作品を使っていたら『2001年』はもっとスゴイ作品になっていた」という人が現れた。
これが通りいっぺんの映画評論家かなんかだったら何の騒ぎにもならないが、この発言の主が、「超」がいくつも付く一流の映画音楽作曲家ジェリー・ゴールドスミスだったのである!
私はキューブリックに付いて行きます。

さて、このジャケットにある宇宙ステーション。機内で乗組員がジョギングするシーンがあるでしょ?あのセットだけで、当時の金額で2億7千万円(1$=360円換算)もかけたんだって。
1969年にアポロが月に行った時、あの月面着陸の映像は、実はキューブリックがどこかのスタジオで撮影したというまことしやかな噂が立った。そして、アームストロング船長が地球に帰って来て受けた最初のインタビューでその質問が出たという。
何しろこの話しをネタにしたような『カプリコン1』という映画もあった。アレのテリー・サバラスは最高だった。ジブリの『紅の豚』という作品の主人公のキャラクターは完全にアレが元ネタでしょ?だって声(森山純一郎)が同じだもんね。
で、アポロ11号のアームストロング船長は「フェイクより実際に月に行く方が簡単だ」と答えた。もし、キューブリックに任せておいたら本当に月に行くより費用がかかっていたかも知れないからね!
そういえば「月の石」見に行ったナァ。万博じゃないよ、上野の科学博物館。ウチは万博へは日帰りで行った。アメリカ館の長い行列に並んでいる時間なんかなかった。
ちなみに、万博が出て来る山田洋二の『家族』というロード・ムービーはおススメですぞ!

ところで、この映画はある種オムニバスのように内容をいくつかに割っていて、最後は「木星と無限のかなた(JUPITER AND BEYOND THE INFINITE)」という章で終わる。
何やら宇宙の大パノラマを主人公が暴走し、光の中に突入する(このシーンの撮影が一番大変だったらしい)と、そこには年老いた自分とモノリス、そして胎児がいた…みたいなサッパリワケがわからないシーンだ。ま、クライマックスといえばクライマックス。

一方、Pink Floydに『Meddle』っていうアルバムがある。あのブッチャーのテーマが入っている『おせっかい』ね。
このアルバムのB面は23分半にも及ぶ大作「Echoes」が占めている。
昔、四人囃子はこの曲を完璧に演奏できるバンドとして有名だったのだが、この「Echoes」という曲、実は『2001年』のその最後の章、「木星と無限のかなた」と完全にシンクロしてるっていうのよ。
言い換えれば映画の中で起こっていることを音にしたというのね。確かに歌詞にもそんなくだりがある。
「ホンマかいな?」と思って、早速DVDとCDを引っ張り出して来て、DVDに合わせてヘッドホンで「Echoes」を聴いてみた。しかも2回!
こんなことしてるからMJGの記事を書くのに膨大な時間を要してしまうのです。でもコレが楽しい!
できればひとりでも多くの人に読んでもらいたいのです。

さて、やり方は簡単。DVDの音を消して、チャプター機能を使って「木星と無限のかなた」まで飛ぶ。そして、そのタイトルが現れた瞬間に「Echoes」に合わせておいたCDのPLAYボタンを押すだけ。
画面は宇宙、音は例の「ピッ、ピッ」…。
コレが異常にピッタリくる。数か所画面に合わせてサウンドが変わるところもあるような気もしてくる。Nick Masonのドラムがいつもよりインテリジェントに聴こえる。
そして、そのまま見て、聴いていくと…ナント!映画と曲がまったく同時に終了するのよ!
コレ知ってた?有名な話しなのかしらん?今度、大二さんに会った時に訊いてみよう。
マ~ジで驚いたわ!
やるナァ、Floyd、『死刑台のエレベーター』よりスゴイわ。

関係ないけどよくテレビの右下の丸い小さな枠で別の映像を流すでしょう?芸能人水泳大会みたいなヤツ。最近、テレビでアレを指して「ワイプ、ワイプ」って呼んでるけど、正しくは「アイリス」っていうんじゃないの?映画用語。

110_2「ジャケット」といっても上着のことでもレコードのことでもない。
『フルメタル・ジャケット』とは「被覆鋼弾」という弾丸の種類の名前で、鉛でできた弾芯を真鍮で覆ったモノを指す。このジャケットに見られるヤツがそう。
このタイプの弾丸は貫通性に優れていて、軍用ライフルにはこの弾丸が使われる。一発で仕留めるためだ。
ナニを?
「人を」…だ。
だからヘルメットに書いてある…「BORN TO KiLL」って。
その横にはピースマーク。一種の撞着だろう。またはイヤミ。これは反戦映画だから。
ところで、日本人は鉄砲の弾丸を「タマ」と一口に呼ぶが、英語では「弾丸」と「薬きょう(cartridge)」とに分けて呼ぶ。
すっ飛んで行くヤツが「弾丸」だ。英語では「bullet」。
スティーヴ・マックィーンとジャクリーン・ビセットの『ブリット』がコレ。サンフランシスコの街の傾斜を利用したカーチェイスが壮絶で、サンフランシスコに行った時、現地の人にチョットだけロケ地を案内してもらってうれしかった。
そういえばこの映画も父に教わった作品のひとつ。
で、この「bullet」という言葉は「ブリット」でも「バレット」でも、恐らくネイティブには通じないだろう。
「ビューレット」と発音すればOK。
だから新幹線のことは「弾丸超特急」として、英語では「Bullet Train」と呼ばれている。
かつて、日本テレビの朝の番組に外タレが出演して、「日本で何がしたいですか?」の問いに「新幹線に乗りたい」と答えたところ、通訳が「ブルー・トレイン乗りたいそうです」と誤訳していた。
この時は「勝った!」と思った。
「Bullet Train」を「Blue Train」と聞き間違えたのだ。

さて、音楽を担当したAbigail Meadとは、キューブリックの末娘Vivianのペンネーム。
そのオリジナル曲の他にキューブリックは時代観を出そうとして、1962~1968年までのBillboardのTop100に入った曲を何百曲も聴いて選び、映画に挿入した。
The Rolling Stonesの「Paint it Black」やThe Dixie Cupsの「Chapel of Love」(60年代に活躍した黒人女性のコーラストリオ。Dr. Johnの名盤の誉れ高い『Gumbo』の一曲目の「Iko Iko」はニューオーリンズの伝承歌で、Mac Rebennac=Dr.Johnより先にkixie Cupsが歌って有名になった)の他に日本ではお世辞にも「良く知られた」なんて言えないマイナーな曲たちだ。
キューブリック曰く「あの映画には1968年以降の曲は一曲もないハズだ。」
舞台となったのが1968年のベトナムだったからだ。でも、確か、この映画の後半の狙撃兵のシーンはロンドンで撮影したと聞いた記憶がある。
キューブリックはイギリスが好きでブルックリン生まれながらイギリスで息を引き取っている。

このサントラ盤のジャケットも宣材物がそのまま転用された格好だ。
このヘルメットのイラストが際立つようにワザと真っ白の背景を選択したそうだ。

まだキューブリックいい?音楽がらみ。
やっぱりどれもセンスがいい。『オレンジ』のベートーベンとか「Singing in the Rain」、『博士』の「また会いましょう(We'll Meet Again)」とかね。
この人の音楽の使い方の特徴は、黒澤明が『生きる』で思いっきりやったように、「対位法」っていうのかな?…悲惨な場面に明るい音楽をかぶせるのが得意なんだよね。
それとクラシック。
ドンズバの『バリー・リンドン』はもちろんグッド。『シャイニング』ではシュトックハウゼンやペンデレツキやリゲティの現代音楽をウマく使った。
そして案外好きなのが遺作となった『アイズ・ワイド・シャット』。
ここでもハンガリーの作曲家リゲティの作品が使われている。「ムジカ・リチェルカータ」というピアノ曲がそれで、たった2つの音が行ったり来たりするだけで恐ろしく不気味な雰囲気を醸し出す。
イヤ、そういう風になるようにキューブリックがうまく使ったんだろうけど。
そして、ヤラれたのはショスタコーヴィチ。
月並みでお恥ずかしいのですが…「ジャズ組曲 第2番ワルツ2」ってヤツ?ジンタだよね、ジンタ。この場末の飲み屋のBGMでかかってるような曲をうまく使うんだよな~。
アタシャこれを知って、すぐにショスタコーヴィチの27枚組のCDボックスを買ったわ。交響曲、協奏曲、弦カル、ソナタ、どれもいいわ!
教えてくれてありがとう、スタン!

120_2戦争つながりで『地獄の黙示録』。
コレもサッパリわからなかったな。話しはわかるんだけど、だからナンダ?的な。
映像はスゴイ。さすがのコッポラ。
音楽は「The End」と「ワルキューレ」に尽きる。音楽自体の出来も素晴らしいんだけど、その使い方がやっぱり芸術的にスゴイよね。

ところで、ベトナム戦争をテーマにした映画の音楽ってナゼか当時のロックが頻繁に使われるよね。オリジナル・スコアがフィーチュアされることはまずない。
これはどうしたことだろう。
ひとつは「時代感」を出すためだろう。
そして、もうひとつはベトナム戦争の主役は「若者」だったということなのだろう。その若者の文化の象徴であるロックを画像にシンクロさせて現実感を出したんだと思う。一種の「対位法」だ。

こういう映画はもちろん「反戦」をアッピールして作っているワケなんだけど、「戦争狂い」のアメリカが作っているのはいかがなものか?…色々なことを知って来るとそんなことを考えてしまう…特に最近のアメリカを見てると。
フランク・キャプラの『素晴らしきかな人生!』や『スミス都へ行く』のように「アメリカは素晴らしい!」、「自由って素晴らしい!」、「正義って素晴らしい!」とアメリカン・ヒューマニズムをアッピールした映画が1930~1940年代にはたくさんあった。勧善懲悪の時代劇みたいなものだ。
恥ずかしながら私もキャプラは大好き。『或る夜の出来事』なんてタマらんよ。
つい「ああ、自分もアメリカ人に生まれたかった」と思ってしまう。
ところが、そういう「素晴らしい(はずの)アメリカ」の裏では、黒人やマイノリティに対し、壮絶な人種差別をしていていたワケでしょう。
他にもある。
例えば『12人の怒れる男』や『アラバマ物語』。
黒人擁護の、すなわち白人は立派である…みたいな映画をジャンジャン作った。今となってはイビツな「ノブレス・オブリッジ」に映る。

『アラバマ物語』をご覧になった方はいらっしゃいますか?
本題に入る前にひとつ…この『アラバマ物語』、いよいよ邦題がメチャクチャで、Lynyrd Skynyrdの伝記みたいだもんね。舞台は南部だけど、サザン・ロックは一切出て来ない。
原題はピューリッツァー賞を受賞した原作「To Kill a Mockingbird(モノマネ鳥を殺すこと)」と同じ。
この映画の主人公は、グレゴリー・ペック扮するアティカス・フィンチという弁護士で、人種差別の嵐が吹きすさぶ南部にあって立場が圧倒的に弱い黒人を弁護する役柄なんだけど、2003年、アメリカでこういうアンケートがあった。
「あなたが考えるアメリカン・ヒーローは誰ですか?」
リンカーン?
クラーク・ケント?
ビル・ゲイツ?
R2D2?
答えはナント、つまりアメリカン・ヒーローの人気ナンバー・ワンはアティカス・フィンチだった。
ホンマかいな?「作り」じゃないの?
コレ、すなわちこうした「アメリカ=いい国」のプロパガンダ映画がいまだに世代を超えて支持されていることを示しているのではなかろうか?…なんていう風に見えて来ちゃう。
おもしろいので、次点以降を記しておくと…
*インディアナ・ジョーンズ
*ジェイムズ・ボンド(イギリス人なんですけど…。ショーン・コネリーはスコティッシュ)
*リック・ブレイン(ハンフリー・ボガート扮する『カサブランカ』の主人公。「サム。その曲は弾くなと言ったろう!」の人ね。あれってヒーローなのかな?)
*ウィル・ケイン(『真昼の決闘』のゲーリー・クーパー。クーパーもイギリス人。ダンスタブルというMarshallから車で30分ぐらいの街の出身)
*クラリス・スターリング(『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスター。彼女は私と同じ年で生年月日が一日違いだ)…とマァ、おなじみの名前が続く。
おもしろいのは、他国の人でも平気で選んじゃう。オスカー・シンドラーなんてのも13位に入ってる。
反対に悪役版もあって、一位は「レクター博士」だって。
以下…
*ノーマン・ベイツ(『サイコ』のアンソニー・パーキンス。「ベイツ・モーテル」ね)
…以上二人、精神異常者。
続いて…
*ダース・ベイダー
*西の魔女(誰だ。こんなの選んでんの?『オズの魔法使い』だよ、コリャ)
*ラッチト看護婦(『カッコーの巣の上で』のルイーズ・フレッチャー。日本だったら絶対に出て来ない)
*ポッターさん(『素晴らしき哉人生!』のクソじじい。でも、このライオネル・バリモア演じる意地悪ジイさんが本当に意地悪そうでいいんだな~)
…とマァ、こんな感じ。
どちらかというと悪役の方がおもしろい。ヒーローよりもはるかに役の振り幅が大きいからね。悪役に魅力がない映画はおもしろくない。
私が役者だったら断然悪役をやりたいな。
おかげさまで「悪人面」ではないので、見た目はいい人だけど、本当はエライ悪くてなにを考えているのかわからない…みたいな。誰だ?それなら地でイケるなんて言ってるのは?!

私だったら誰を選ぶかな…。今の気分だと、ヒーローはまたしても『攻撃』のジャック・パランス扮するコスタ大尉(「大尉」はアメリカ英語で「lieutenant」。コレ発音がメッチャムズカシイ。アメリカ式に発音すると「リューナン」みたいな。これに「Colnel」がついて「Lieutenant Colnel」になると「中佐」。私の同じ年のアメリカ人のイトコ、Danielはアメリカ空軍にかつて従軍していて、数年前に退役した。最終の階級はこの「Lieytenant Colnel」だったと電話で話していた。このことを普通のアメリカ人に話すとかなり驚く。私の年で、つまり当時40代後半で「中佐」になるのはかなりのエリートで、しかも25年勤め上げているとなると、退役後は信じられないぐらいの厚遇が待っているそうである。うらやましいな~。でも転勤ばかりで本当に大変だったと言っていた。頭もかなり薄いらしい。コレは母方のジーさんに似ちゃってるんだ~)
エー、どこまで行ったっけ?(Whre am I?)
あ、悪役だ。
悪役も『攻撃』から選ばせて頂く。ただし、それは臆病で部下を見殺しにしたエディ・アルバート扮するクーニー大尉ではなく、その上司のバートレット中佐。自分の利益しか考えないから。
『攻撃』はDVDにもなっているようなので、男女を問わず会社勤めの皆さんはゼヒ一度ご覧あれ。

イヤ~、今日は脱線が激しいな。思っていた通りだ。
ハイ、今日の〆。
最近の日本の世情と絡めるに、もうアメリカはウンザリだ。
犬神サアカス團じゃないけれど、いい加減「アメリカ病」を治療した方がいい。
今でも12月24日になるとアメリカでは『素晴らしき哉人生!』がテレビで放映されるとか…。かく言う私も何回観ても泣きますよ。この後また観ても多分泣くわ…。
良きにつけ、悪しきにつけ、それだけ映画というのは力を持っているのだ。
そして、いつの世も変わらないのはマーブロの脱線話しだ。
今日はチョット締まりが悪うございました。

130_2<中編>につづく

Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本展示は2013年12月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。


2015年7月13日 (月)

Like Father, Like Son ~ 父の思い出

五月の下旬、父が81歳で永眠し、先週四十九日の法要も無事に済ませた。
この場をお借りしまして、お心遣いを頂戴しました皆様に心から御礼申し上げます。

父が息を引き取った時、私はイギリスにいたものだから今わの際に立ち会うことが出来なかった。
芸人でも公人でもない自分が、まさか肉親の臨終に接することが出来ないなんてことはついぞ考えたことがなかったが、却ってよかったとも思っている。
ドラマよろしく目の前で「ご臨終です」なんてやられた日には号泣してしまって思いっきり正体を失いかねなかったからね。
何しろMarshallの近くのホテルで妹から訃報メールを受け取って、それを見ただけで「ガ~っ」っとひと泣きしちゃったぐらいだから…。
それでも、聞こう翌日からお通夜、告別式と時差ボケしているヒマもないぐらいの忙しさだった。


生まれてこの方、ズ~っと心配のかけ通しだった。
本当に親孝行なんて何ひとつできなかったナァ。
「親孝行した」と、こっちの論理で自分を納得させるならば、孫の顔を二種類見せることができたのと、最後まで父と仲良くしていたことぐらいかしらん?

父は明るく、人を笑わしたり、おどかしたりすることが大好きなオッチョコチョイなキャラクターだった。だから、棺の中の彼を見ても息を引き取ったことが信じられず、しんみりしているところに突然ガバッと起き出して、「ギャハハ、驚いたかッ?!」とやりそうな気がしてならなかった。
でも、その亡骸は氷のように冷たく、ピクリともしなかった。
「お父さんはどういう人でしたか?」と人から尋ねられたら、何の迷いもなく、「とてもやさしい人でした」と答える。
今日はそんな父のことを書かせて頂く。

これまでMarshall BlogにはMarshallに関わった方々の訃報を何度も掲載してきた。
もちろん私の父はギタリストでもなければ、楽器業に携わっていたワケでもない。せいぜいJim Marshallに一度会ったことはあるぐらいだ(正確にはJimを「見た」だ)。
だからMarshall Blogに採り上げられる所以はまったくない。
彼は浅草生まれの大工で、音楽とはまったく縁のない仕事をしていた。
強引に結びつければ、下の写真の若い頃の父のヘアスタイルを見ると、ちょっと「ロケンロー」になっているからだ…というのはもちろん冗談。

戦時中は仙台に集団疎開し、戦後の混乱期には学校にもロクに行かれず、幼い頃から玄翁(トンカチのこと)や鍛冶屋(釘抜きのこと)を握り、同じく大工だった祖父の仕事を手伝わされて過ごしたため、十分な教育を受けることが何ひとつできなかった。
しかし、父は(私から見れば…)かなりの博学だった。
知識はすべて書物から得たと昔よく言っていたが、彼は日本文学はもちろん、シェイクスピア、ディケンズ、ヘミングウェイ、スタインベック、スタンダール、ドストエフスキー等の海外文学まで精読していた。
囲碁や将棋にも詳しく、ゴルフやスキーも今みたいに一般化する大分以前からたしなんでいた。
…なんて書くと、いかにも優秀な「スーパー・インテリ大工」のように見えるが、全然そんなことはなくて、チョット一杯引っ掛ければデレデレになってしまう一介の職人だった。
また、昔はそんな人がゴロゴロしていたものだった。
しかし、父には誰にも負けない分野があった。
それは「映画」だ。
特に洋画に関しては膨大な知識を持っていた。アレで文章のひとつも書けて、滑舌よくしゃべることができれば、簡単に映画評論家になれていたかもしれない。実際に雑誌の企画で淀川長治や小森和子と旅行に行ったこともあったらしい。

私はその父の薫陶を受けて、かなり小さい頃から映画に夢中になった。
中学に入るとその興味が音楽に移行し、ギターを弾き始めた。
そして時は流れに流れて、今はMarshallのために額に汗し、Marshall Blogを書き続け、幸せなことに読者の皆様から大きな支持を頂戴している。
つまり、父がいなければ映画に興味を持たなかったかもしれないし、音楽を好きになることもなかったかも知れない。
すなわち、Marshall Blogもこの世にあり得なかったかもしれない…。
そうであれば父もMarshallに関係していることになるのではないか…と私流に感謝の気持ちを込めて考えたのである。

そういうことで、今日は紙幅をお借りして思い出を交えながら映画の話しをして、Marshall Blogの源流である父にトリビュートさせて頂きたいと思う。
家内にも話したことのない話しばかりだ。どうでもいいような話しだからだ。
しかし、私の中ではそのどうでもいい話しが連綿と生き続けていて、一生忘れることができない父の思い出になっているのだ。
お時間のある方は是非お付き合い頂きたい。映画好きの方のもゼヒご一読願えれば幸甚である。
タイトルの「Like father, like son」とは「この親にしてこの子あり」を意味するイギリスのことわざだ。
では…

<Beep!(開演ベルの音)>

さて、下の写真は浅草の父の実家の前で昭和39年ぐらいに撮られたもの。50年前の写真だ。
すでにfacebookに乗せたことがあるので、それをご覧になられた方多くいらっしゃると思うが、この当時、まだ東洋の一大繁華街であった浅草でもまだ地面が舗装されていなかった。
後ろは私の父と母。前に立っている利発そうで可愛らしい男の子が私である。
この後、このガキが迷惑と心配と金を親にかけっぱなしにするなんてことは、写真の中の二人はつゆ知らない様子だ。
昭和39年、1964年、東京オリンピックが開催した年。
年表を調べると、経済的、政治的、文化的にものすごくたくさんの発展的な出来事が起こっている年だ。
終戦から約20年、イケイケドンドンで戦後日本の一番いい時代だったんだろうね。

D_dad2さて、ここに父の薫陶を受けた証しがある。
三冊のファイル・ブック。
本当はもっとあったのだが、引っ越しのドサクサでこれだけになってしまった。
強引なのは百も承知。でもこれらを紹介することを父への追悼のひとつとしたい。
これらが積りに積もってMarshall Blogになっているのだから…。

10ファイルブックの中身は映画のチラシだ。
私が小学校高学年から中学1年生の時に集めたもの。リアル・タイムでゲットしたものもあれば、後追いでコレクションに加わったものもあって、すべてホンモノである…といってもたかがチラシ、金銭的には何の価値もなかろうが、思い出がいっぱい詰まっている私には値千金の宝物なのだ。

20ところで、昔は子供の数も多く、怪獣映画がすごく盛んだった。
ゴジラやガメラは言うに及ばず、ギララ、ガッパ、『恐竜グワンジ』…あと忘れたけど、そういう怪獣物は母が連れて行ってくれた。ケロヨンもよく観に行った。
当然ビデオなんかない時代だからね、映画館でしかそれらの動く怪獣を見ることができない。
父と一緒に映画館で映画を観た最古の記憶は多分『ポセイドン・アドベンチャー』だ。
錦糸町の江東リッツだったように記憶している。
それから今は無きテアトル東京で観た『パピヨン』。コレなんか親戚一同で行ったわ。

一番印象に残っているのは、小学生の時に観た『七人の侍』だ。
モノスゴイ雨の日で、ヘタをすると映画の中の野武士との決闘シーンより映画館の外の方が土砂降りだったに違いない。
映画館はまたしてもテアトル東京で、父はナニを勘違いしたか、道を間違えてしまい開演時間に間に合わなくなてしまった。
ほうほうの体で映画館にたどり着いた時は全身ずぶ濡れだった。
『七人の侍』の公開が久しぶりだったのか、あの広い館内はスシ詰め状態で、まだ小さかった私は立ち見することもできなかった。
すると父は「アソコへ行っちゃえ!」と舞台を指さした。
テアトル東京は舞台と客席がなだらかなスロープでつながっていて、よじ登ることなくステージにあがることができたのだ。
そこにも大勢のお客さんが座っていて、軽く頭を下げて仲間に入れてもらった。つまりあの大スクリーンから2~3mの距離で三時間半の映画を観たのだ。
それでも子供ながらに「なんておもしろい映画なんだ!」と夢中になって映画の中に入り込んだナァ。今観てもそうなんだけど。
父が亡くなる数か月前、私の家に来た時、DVDで『七人の侍』を一緒に観た。すると、「あの時はすごい雨だったナァ…」と、ポツリポツリと40年前のことを静かに口にしていた。この時、「父にさよならする日もそう遠くないな」…と感じた。
その後に『隠し砦の三悪人』も観たのだが、彼はあまり集中している様子ではなかった。
すぐに疲れてしまい寝てしまうのだ。
『赤ひげ』もすすめたのだが、「アレは長いからイイや」と遠慮していた。この数か月後、自分が『赤ひげ』の中の藤原鎌足扮する六助のようになってしまったのだ。
結果、『七人の侍』が父の最後の映画になった。

下は珍しいA4サイズのチラシ。1967年の『特攻大作戦(The Dirty Dozen)』。チラシはやはり映画好きで年上のいとこからもらった。
ロバート・アルドリッチ監督、リーマービン、アーネスト・ボーグナイン、チャールズ・ブロンソン、ジョン・カサベテス、テリー・サバラス、ジョージ・ケネディ、ロバート・ライアン、ドナルド・サザーランド…ク~、タマらんぜ!男のニオイしかしない映画。メチャクチャおもしろかった。
映画も監督も俳優も全部父から教わった。
もうハリウッドはこういう映画を作ることはできなくなってしまった。『ミッションなんとか』の軽く数百倍は面白い。

30『シャレード』を初めて観たのはテレビでだった。小学校四年ぐらいだったのかナァ?やはり父のすすめだった。「そうか!切手か!」なんてそのトリックに感心したりして…。


父は『ベン・ハー』がとても好きだったな。ジュダ・ベン・ハーよりもメッサーラの方がカッコいいぐらいのことを言っていたのを覚えている。


『アラビアのロレンス』も父から勧められた。
我々の世代はこういう映画をすでに「名画」として観るワケだが、父は「新作」として観てるからね。それはそれは新鮮だったと思う。
よくオマー・シャリフがラクダに乗って向こうの方から近づいてくる最初のシーンのことを話していた。
そのオマー・シャリフも数日前に亡くなった。享年83歳だったそうだが、ナント、ウチの父よりたった2歳上なだけだった!片やベドウィン族の親分、こっちは浅草の職人。父もアラビアに生まれていたらモスクのひと棟も建てていたかもしれない。


『エデンの東』の話しも良くしていたナァ、というのもジェイムス・ディーンの役どころと自分の立場が重なると考えるらしいのだ。次男坊の悩みだ。
「親は長男ばかり可愛がるが、本当に親や家のことを考えているのは次男なんだ」って。
父は自分の家族には最高にやさしく接してくれたが、自分はあまり家族愛に恵まれない境遇だった。


『風と共に去りぬ』も恐らく十回以上は観ているのではないだろうか?「金はあるし、カッコいいし、アシュレーよりレッド・バトラーの方がゼンゼンいいのにな?」と観るたびに言っていた。
しかし、昔のアメリカ映画は本当にスゴかったね~。音楽もよかった。(『ロレンス』はイギリス映画。ちなみにヴィヴィアン・リーはイギリス人。ヘップバーンも元はイギリス国籍でベルギーで生まれ育った)

40この辺りは珍しいのではないかと思ってピックアップしてみた。

ほとんどピーター・オトゥールしか出て来ない異色戦争映画『マーフィの戦い』、本当にネズミが恐ろしい『ウイラード』、設定が巧妙な『さらば荒野』なんてのを父から教わった。
どれも最高におもしろくて夢中になって観た。


『マッド・ボンバー』のチラシなんて珍しいでしょ?チャック・コナーズもネヴィル・ブランドもよかった!
『おかしな夫婦』は原題が『The Out of Towners』というニール・サイモン脚本の喜劇。ジャック・レモンとサンディデニスの主演。メチャクチャおもしろいよ。
30年後にスティーブ・マーチンとゴールディ・ホーン主演で、『アウト・オブ・タウナーズ』というタイトルでリメイクされた。私はスティーブ・マーチンが苦手なんだけど、コレは案外よかった。「モンティ・パイソン」や「フォルティ・タワーズ」のジョン・クリースも出てる。

50『ゴッドファーザー』も大好きだった。ただし『パートIII』のことはクソミソに攻撃していた。
ご多分にもれずニーノ・ロータのテーマ曲にやられたクチでよく鼻歌を歌っていた。
自分ではジェイムス・カーンかアル・パチーノ気取りだったかもしれないが、実際はジョン・カザールだったりして…イヤイヤ、私にとって父はいつまでもドン・ビトー・コルレオーネなのです。
やっぱりコッポラってスゴイ。また観たくなってきた!

60彼、『007』は最後の最後まで全部観てるんじゃないかしら…。
車をアストン・マーチンにすることはなかったけど、ボンドのことはすごく好きだったハズだ。
私よりチョット年上の方々がLed ZeppelinやDeep Purpleをリアル・タイムで体験したように、父はもこのシリーズも最初からリアル・タイムで観ているハズだ。
そりゃ、『ロシアより愛をこめて』なんて出てきた時に観りゃおもしろくてタマらんわナァ。よくあの列車の中のロバート・ショウとの決闘のシーンの話しをしていた。あのロバート・ショウは本当にカッコよかったもんね!
一方、サンダーボール作戦」なんて言葉を父の口から聞いたことはなかった。でも観てるハズ。

さて、このチラシ、ちょっとよく見てみて。
『ドクター・ノォ』と『サンダーボール作戦』のショーン・コネリーの写真が何と使い回しなの!なんでこんなことしたのだろうか?! 
ボンドのピストルはワルサーPPK。PPKとは「Polizeipistole Kriminal(警察用拳銃刑事版)」のこと。「Polizei」はドイツ語のポリスね。何年か前、タクシーにスーツケースを忘れてフランクフルトのPolizeiに大変お世話になった。

アレ?よく見ると『死ぬのは奴らだ』と『黄金銃を持つ男』のロジャー・ムーアも同じだ!ロゴみたいなもんか?
そういえば『黄金銃』のクリストファー・リーも先ごろ亡くなった。
私が「ポール・マッカートニー」という名前をハッキリと認識したのは、「ビートルズのポール」ではなく、「『死ぬのは奴らだ』の主題歌の人」だった。
原題の『Live and Let Die』は「Live and Let Live」ということわざのパロディ。「自分も生きて、他人を生かす」という「共存共栄」を意味するが、ここでは「自分は生きて他は死なせる」と物騒な意味に変えている。
10ccは、この後さらにひねって『Live and Let Live』というライブ・アルバムを発表した。

70昔はCGなんてないから特撮映画は珍しがられたし、良く出来ている作品は人気も高かった。
このシンドバッドのシリーズとか『アルゴ探検隊の大冒険』とか『ミクロの決死圏』とかその特殊効果に驚いたものだった。
このあたりも全部父から教わった。
ちなみに海外では「シンドバッド」のことは「シンバッド」と発音する。

80『燃えよドラゴン』も父が新宿へ観に連れて行ってくれた。
映画館から出てきた時にはふたりともすっかりブルース・リー気分で、道を歩きながら「アチャ~!」なんてやったものだ。
根っからのアメリカ映画信奉者の父は、ブルース・リーをカッコいいと思いながらも『燃えよドラゴン』以外作品はまったく観なかったのではないかと思う。あるいは、チョットは観たけど受け付けなかったのではないか?
「キョンシー」なんて絶対に観なかった。でもジャッキー・チェンはヨカッタみたいだ。

90ヨカッタよね~『フレンチ・コネクション』。
ジーン・ハックマンのポパイもヨカッタけどロイ・シャイダーがまたいいんだ。
音楽はDon Ellis。
『2』の頃になると私はひとりで映画館に通っていたので、もう父と映画を観に行くことはなかった。『2』は日比谷映画で観たな。ポパイが麻薬中毒にされて監視役のババアに時計を取られるシーンがナゼかショッキングだった。
しかし、ジーン・ハックマンっていい役者だった…ってまだご存命なのね!『俺たちに明日はない』ではあんな役だったのに…ドンドンすごい仕事をするようになった。
『盗聴』なんて今でも観てる。

100あ~、『ダーティ・ハリー』も夢中になって観てたな。ただし、一作目だけ。でもそれは正解。

『2』は小学生の時、親戚のオバサンに新宿のミラノ座へ連れて行ってもらった。映画は面白いとは思わなかったが、帰りにそのオバサンが映画館で即売していたMGCの「44マグナム6インチ」のモデルガンを買ってくれた。うれしかったナァ。
それからしばらくの間モデルガンにハマった。
それで勉強がおろそかになり、父が罰としてモデルガンをどこかに隠したことがあった。没収だ。
返して欲しくば勉強をしろ…ってなことになったのであろう。
珍しくしっかり勉強をして、約束通りテストで良い点を取って許してもらったのかな?
「モデルガンを返して欲しい」と父に詰め寄ると、一枚の紙を私に渡した。
そこには「勉強が~」から始まり、何やらしかつめらしいことが何行か書いてあった。
「わかったから返してくれ!」と詰め寄ると、父は「その文章をよく読んでみろ。特に最初の字を!」と答えた。
言われるままにジーっと最初の文字だけに目をやると、「勉強」の「べ」から始まり、後は覚えていないが…それらの最初の文字をタテに連ねて読むと「べつどのした」となった。
私の大切なモデルガンがベッドの下から出て来た。
そんなことをする父だった。

110古さからいけば最初の『特攻大作戦』の方がレアかもしれないが、恐らく私のコレクションの中で最も珍しいのはコレじゃないかしら?『ボルサリーノ』。二種類揃ってるし。
『ボルサリーノ』は1970年の日本公開。『2』は日比谷映画で観た。
父はジャン・ポール・ベルモンドが好きでね、『リオの男』とか『カトマンズの男』とかを紹介してくれた。アレもおもしろかった。
それで私もベルモンドが好きになると、どこからかポスターを買って来てくれたことがあった。
当然大工仕事はお手の物だから、手作りでパネルを作って来て、そのポスターを貼ろうということになった。
そんなもんうまくいくハズもなく、案の定、ノリの水分でデコデコになってしまった。憐れベルモンドはイッキにゴミと化した。
そういえば、昔は木造の家の建築現場ってのがあちこちにあって、子供たちがその廃材に久ぐを打ってパチンコ(スマート・ボールかな?)だの手製の船だのを作って遊ぶことがあった。
私もその船を自分で作ったことがあった。船といってもただ五角形に切った薄めの板に船室に見立てた小さな木端を釘で打ち付けたような取るに足らない代物だ。
ところが、それを見た父が「そんなんじゃダメだ」と仕事場で立派な船を作ってくれた。うれしかったんだけど、さすがにプロらしく、正目の檜から切り出した木材の表面をノミで掘り出して、側にカンナをかけた、「木曽の土産」とでも言えそうな流麗な船仕上がりだった。イヤな予感がした。
さっそく家のフロに水を張ってその船を浮かべてみたら…見事に転覆して沈没していった。
こんなことって結構覚えているもんだわ。

120『さらば友よ』は観ていない。
コレ、1974年の1月31日にテレビ放映しているハズ。どうして覚えているかというと、死ぬほど観たかったんだけど、親に早く寝るようにいわれて泣く泣く布団に入ったんよ。次の日は2月1日で、ある私立中学校の入学試験日だったの。
それを受験するもんだから、前日の夜更かしは厳禁だったというワケ。
結果は不合格。
それなら観ておけばヨカッタ。
そして、いまだに観ていない。
アラン・ドロンも人気あったよね~。久しぶりに『レッド・サン』なんて観たいな。ドロンもまだご存命だ。

140

チャップリンの話しはほとんどしたことがない。どうもあまり好きではなかったようだ。
少なくとも『キッド』は自分の子供の頃を思い出すとか言ってイヤがっていた。別にウチの父は孤児じゃないんだけど…。
反対にマルクス兄弟が大好きだった。
私もその影響でDVDのボックスセットを買った。『A Night at the Opera』とか『A Day at the Races』とかね。Queenファンはコチラをご覧あれ。

そのせいか私もチャップリン映画はほとんど観ていない。でも、ナゼか自然とチラシだけは集まった。多分、私が中学一年生ぐらいの時にチャップリンのリバイバル・ブームがあって、映画館へ行くたびにチラシだけ持って帰って来ていたんだと思う。
今こそジックリ観たい。

160

やっぱり単純で明るい人だったといえるのだろう。父はハリウッド映画とそれに準ずる娯楽映画以外は一切観なかった。
ベルイマンとかブニュエルとかフェリーニとか、いわゆる芸術映画を徹底的に忌避していたね。
私もそういうのは苦手で、『去年マリエンバートで』とか『8 1/2』とか、観るには観たけどサッパリよさがわからなかった。
そんなしかめっ面して観る小難しい映画よりも、ビリー・ワイルダーやヒッチコックや初期のスピルバーグを心から愛でていた。ワイルダーのお気に入りは『第17捕虜収容所』と『お熱いのがお好き』と『サンセット大通り』だった。
思い出したらキリがないな、ハンフリー・ボガードもお気に入りで、『黄金(原題は『The Tresure of Sierra Madre』)』とか『サハラ戦車隊』とか『脱出』、『アフリカの女王』、『必死の逃亡者』もすすめてくれた。全部破天荒におもしろかった。特にジョン・ニューストンの『黄金』はスピルバーグのお気に入りでもある文句のつけようがない傑作だと思う。

おかげで私も難しい映画は苦手。音楽はダンゼン難しい方が好きなんだけど。
でもチラシはチョット様子が違っていて、こんなサタジット・レイなんかも集めてみた。映画は観たことない。

180

…と、とにかく色々と教えてもらったな。
父は落語にも造詣が深く、「生きている志ん生を見た」というのが自慢のひとつだった。
仕事中は現場でラジオを聞くのが常で、ラジカセのある現場ではテープを持参して落語をよく聴いていた。
私も父によろこんでもらおうと思って、図書館でレコードを借りて来てはカセット・テープにダビングして差し入れあげた。
すると、「お、可楽か?」、「三木助だな?」と片っ端から演者を言い当てていた。
若手では志ん生の息子、志ん朝と談志は別格だった。それと、「小金治がちゃんと古典をやっていればナァ」と嘆いていたナァ。
なぜコレを覚えているかというと私にとってのDavid Sanbornだったから。「Sanbornがちゃんとビバップを演奏してればナァ」という嘆きと同じだったからだ。


私も小づかい銭欲しさに中学の頃から父の仕事をよく手伝っていたので、その仕事現場で落語に馴染み、興味を持った。
浅草で仕事を手伝って、取っ払いで5,000円もらってそのまま秋葉原の石丸電気へ行って、少しお金を足して『Yessongs』を買ったことを昨日のことのように覚えている。
それと、よく柳家三亀松のテープを買い込んで聴いていたな。他にも虎三をはじめとした浪曲や相撲甚句なども好んで聴いていた。
あの浪曲ってのは「ひとりミュージカル」で、よく聴いていると結構おもしろいよ。
私のミュージカル好きも父親譲りなのだ。

私はというと、映画だけでなく映画音楽にも深く興味を持ち、月一回のNHK FMの関光男の映画音楽の番組を丹念にエアチェックしていたりしたが、The Beatlesを知ってから徐々に音楽単体に興味が移って行った。
あの頃に映画で知った音楽で今でも聴いているものも結構ある。
例えば『ルシアンの青春』のDjango Reinhardtや『好奇心』のCharlie Parkerなどがそうだ。

200

他にも『スティング』に使われたScott Joplinのラグタイムもそう。ま、今はそう聴かないけどね。『スティング』はミュージック・テープをお茶の水の駅の横の小さいレコード屋で買った。
その他、ずいぶんポピュラー音楽が使われた映画が当時からあった。ポランスキーの『マクベス』なんでThird Ear Bandだもんね。『ビリー・ザ・キッド』はBob Dylan。Bee GeesやSimon& Garfunkelについては説明不要だろう。
こういう映画が私を音楽の世界に這い込むキッカケを作ってくれた。すなわち父からの流れだ。

130上にも書いた通り、父には「生きている志ん生を見た」というのが大きな自慢だったが、他にもうひとつ自慢があって、晩年まで私にその話しをしていた。これは以前、Marshall Blogに書いたことがあったように記憶している。
それは、『絶壁の彼方に』という1950年のイギリス映画を観ている…ということだった。
私はこの映画を『たかが映画じゃないか(←コレはヒッチコックの有名な言葉、明日解説します)』という和田誠と山田宏一の対談集で知った。何しろヤケクソにおもしろいらしいのだ。
この話を父にすると、「エ、何?『絶壁の彼方』?シドニー・ギリアットのか?ダグラス・フェアバンクス・ジュニアな!ジャック・ホーキンスも出てたよ。あれは本当におもしろかった。アッレ~?もしかしてキミ観てないの?あんなおもしろいのに!何で観ないの?」…なんて猛烈に私をからかうのである。しかも、毎回会う度にである。
そんな愉快な人だった。
こっちも悔しいので、あの手この手でビデオを探した。VHSがかつてあったようだが、モノは見つからなかった。
ま、死ぬまでに一回ぐらいは観ることができるだろう。楽しみはキープしておこう。

今日ここで触れた以外にも、一体どれだけの情報を私に授けてくれたことだろう。映画に限った話しではない。
忘れていたけど、父は写真がウマかったらしい。何だかのコンテストで優勝したことがあるとか言っていたが、賞状はおろか作品も見たことはなかったし、写真の話しなんかしたことなかった。
でも、後年私が「写真の仕事をしている」と告げると「ホホウ、僕の才能が遺伝したのかな?」とか言っていた。ホンマか?

こうして落ち着いてくると、結構色んな事が自然に思い出されて来てツライ。いくつになっても肉親を失うのは寂しいものだね。
私が幼い頃ふたりで行ったスキーのこと、交通事故で入院した時のこと、カップヌードルが発売になって大興奮で買って帰って来た夜のこととか、半分に切ったグレープフルーツに間違えて塩を乗せて食べさせてしまったこと(飛び上がっていた)、中三で入院した時、私が読みたいと言ったLed Zeppelinの本をお茶の水じゅうを探してゲットしてきてくれたこと、マーシャル祭りを観に来てくれたこと…もう、いつもしてもらってばっかりだった!
怒られたこともホンの数回あったけど、父といると笑いが絶えることがないのが普通だった。ずいぶん笑わされてもらったし、こっちもたくさん笑わせた。

お父さん、本当にどうもありがとう。
こうして考えてみると、私は完全にお父さんのクローンだわ。まったく出来の悪いクローン。
すなわちLike father, like son。
もう一回お父さんとイッパイやりながら映画の話しをしたいよ…。
続けられる限りMarshall Blogは続けるぜ!
さようなら、お父さん。
あ、お盆だからすぐ帰って来るか…。
それなら大好きな浅草でユックリしていけばいいよ。


  ★     ★     ★    ★


本稿に関連し、明日はMusic Jacket Galleryで『サウンドトラック盤特集』を掲載します。
お楽しみに!

(敬称略)

2015年7月10日 (金)

Kelly SIMONZ~リスニング・パーティ&ミニ・ライブ

去る7月1日はKellyさんのお誕生日。
そして同日にニュー・アルバムがリリースされた。
そこで、その両方を記念したイベントが神保町の「楽器cafe」で開催された。
Kellyさんを囲んでニュー・アルバムのパブリック・リスニングをしようというワケだ。
題して『ニュー・アルバム発売&生誕45年記念 リスニング・パーティ&ミニ・ライブ』…これだけでもう全部内容がわかっちゃう。Kellyさんの年までハッキリしちゃう!

10コレがKelly SIMONZ's BLIND FAITHのニュー・アルバム『AT THE GATES OF A NEW WORLD』。
今回も数曲でボーカルにYAMA-Bをゲストにを迎えて11の力作を揃えてきた。
タイトルの「New World」にふさわしく、前作までには見られなかったようなKelly作品の新しい魅力が満載だ。

20cd当日の司会進行はBLIND FAITHのドラマーYosuke Yamada
まず、Yosukeさんが紹介するはMarshall Blogでもレポートした前回のKellyさんのコンサートにゲスト出演したKeiji by ZERO。

30今回もゲストで参加して見事なシュレッドぶりを見せてくれた。
70
Yngwieの「Far Beyond the Sun」とKellyさんの難曲「Opus#1」をラクラクプレイ。

40Keiji by ZEROの詳しい情報はコチラ⇒Keiji by ZERO facebook

60そしてKellyさん登場。
手にしているのはBLIND FAITHの特製クリア・ファイル。宣伝だ

80今日の企画は、まずKellyさんの解説付きで本人と一緒にニュー・アルバムを味わってみよう…という感じね。
今回のアルバムは特にドラムの録音に神経と経費を使ったということだ。つまり、走ったりもたったりする人間的なグルーヴをも意図的に取り入れて制作しているというのだ。

Marshallは今回JCM800 2204を使用。
2204はMaster Model 2203の50Wバージョン。100Wより当然出力は小さいが、50W独特のコンパクトな鳴りが魅力で、Jeff Beckのように50Wをこよなく愛するギタリストも少なくない。
キャビネットは1960Xだ。

90お客さんに混ざって音源に聴き入るKellyさん(赤線内の人)。
途中コンピューターを操作してパート別に音源を分解して解説してくれた。こういうのはおもしろいね。

J_s41a7635 オープニングは壮大なシンフォニー。この大仰さがKellyさんに実にシックリとハマる。
二曲目、メジャーになって、かつ転調するところ、そしてまたマイナーに戻るところが何とも奇抜でカッコいい。
三曲目のタイトル・ソング…メジャー・キーがよろしいな。中間部ソロも意外な展開。
四曲目、正統派ブリティッシュ・ハード・ロック!いいね~。こんな曲、以前なかったよね?大歓迎。
六曲目はケルト風味。たった一曲でピックが半分すり減ってしまうかのような壮絶な右手ワザが炸裂!「♪Immortal love」の絶唱がすさまじいYAMA-B。それに「ここで入れるかッ?」のピック・スクラッチ。

…とマァ、私の解説を記してもラチがあかないので、CDを聴くかコンサートに来てもらいたいと思うが、とにかくバラエティに富んだ内容は聴く者を飽きさせない。
しかも、それほど「ギター、ギター」していないのも大きな特徴か…あるいは「ギター、ギター」していると感じさせないパワーが曲にあるのかもしれない。
実際にKellyさんも触れていたが、ギターの音が小さくなっても音楽重視で他のパートの音量を上げた曲もあるとか…。
一曲目なんかまさにそう。
目にも止まらないシュレッド・フレーズが効果音のひとつのようにさりげなく使われていたりするのだ。

110ひと通り聴き終わったところで、お楽しみのミニ・ライブ。
再びKeijiくんの登場だ。

120演奏するはニュー・アルバム収録のインスト曲、その名も「Attack by Zero」。

130狂気にも似たツイン・リード!もうもはや「よ~、やるわ…!」と言うしかない!

140Yosukeさんの司会っぷりもなかなかのもの。押しつ押されつKellyさんと絶妙のシーソー・ゲームを展開した。

150最後にもう一曲。
背面の特製クリア・ファイルをフィーチュアせんとすべく歌詞をガン見しながらの「Stay With Me Forever」。

160想定外の超ロング・トーンと激情ギター・ソロで新Kellyバラードのスタンダードとなることだろう。

J_s41a7699 ここからが「生誕45周年」イベント。
来場したお客さんの寄せ書きがKeijiくんから手渡される。

J_s41a7710 ファンの皆さんが色とりどりのペンでKellyさんへと綴ったメッセージだ。

J_s41a7713 Kellyさんもうれしそう!

200さらにバースデイケーキ!

J_s41a7733 みんなで「Happy Birthday to You」を歌う。
時々この歌の出だしで苦しんでいる人を見かけるが、覚えておこう。
いきなり歌からはいる場合、まず、この曲はワルツだ。だから3/4拍子でカウントする。ここで「ワン・ツー・スリー・フォー」とやってしまうといつまでも歌に入れない。
「ワン・ツー・スリー」とやっておいて、もう次の「ワン・ツー」の「ツー」で大声を出すと「…ハッピ」と入りやすくなる。そうすると「スリー」のところに常に「ハッピ」が来るというしくみ。
…なんてことはどうでもいいか…。

J_s41a7741 Kellyさん、お誕生日おめでとう~!

J_s41a7756 ところでこのアルバムのタイトル『AT THE GATES OF A NEW WORLD』は、「NEW WORLD」という言葉に不定冠詞の「a」が付いている。
…ということは、「いくつかある新世界のうちのひとつ」ということになる。まだ見ぬ新世界のうちのひとつだ。
そして、「gate」が複数形になっている。
すなわちKellyさんにはまだまだ新しい世界があって、そこに入る扉はいくつも用意されている…つまり、現時点がゴールでもなんでもなく、ただの「現在進行形」に過ぎない…なんてことを表そうとしているではないかと読んだ。

250cdそのKellyさんの「現在進行形」を是非皆さんの目で確かめてもらいたい。
ニュー・アルバムを引っ提げた明日の東京キネマ倶楽部でのコンサートである。
題して『Tokyo Kinema Club "the 9th" AT THE GATES OF A NEW WORLD 2015』…MarshallサウンドにつつまれたKelly SIMONZの新しい世界のひとつを、ひとりでも多くの人にご堪能いただきたいと思う。

Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

375最後に皆さんとパチリ。鶯谷でお会いしましょう!

楽器カフェの詳しい情報はコチラ⇒アトス・インターナショナル公式ウェブサイト

240

(一部敬称略 2015年7月1日 神保町 楽器カフェにて撮影)

2015年7月 9日 (木)

ミューコミ+ 春の学園祭~HoneyWorks at 野音

野音からお届けするのは、『ミュ~コミ+ 春の学園祭 ★野音にカモ~音!★』というイベント。

10満員である。
総立ちである。
大盛り上がりである。

「ミュ~コミ」とは「ミュージック」と「コミック」を合体させてできた言葉。2006年から始まったニッポン放送の人気ラジオ番組の名前だ。
それのコンサート・バージョンがこのイベント。

20「よく知ってんな」って?イエイエ、勉強させて頂いておりますから!
もう日本のロックはアニメ、コミック、ゲーム、インターネットなしでは成立できなくなってますからね。
昨日までの頭脳警察や外道とのこの落差!
演者の年齢も40歳の差があっておかしくはない。言い方を変えると、「年齢倍半分」どころか「三倍、三分の一」のケースが出て来ている。
ジャズは四倍のケースも見られるようになった。
その老若両者をカバーするいMarshall Blogも我ながらスゴイっちゃ、スゴイ。
だってサ、ここでもNATALが大活躍してるんだもん!

30vバンドはHoneyWorks。通称「ハニワ」。ハハハ。「ニコニコ動画」上で活動するグループ。

40ドラムはAtsuyuK!。

50vギターは作編曲、プロデュースも担当するGom。Marshallだ。

60vベースはHiroki169。

70v上手のギターはOji(海賊王)、キーボードはcakeという布陣。写真には写っていないが、この五人にボーカルのCHiCOが加わってのステージ。

75_2軽快な音楽を小気味よく、そしてナチュラルにまとめるAtsuyuk!さんのドラミング!
100v
10"、12"、16"、22"のコンフィギュレーションでアッシュを使用。

90_2
Atsuyuk!さん、アクションもハデハデにキメて魅せる~!

80_2Gomさんもシャープなギター・プレイでHoneyWorksの音楽を彩る。途中キーボードに持ち替えた。

120それにしても楽しそうにドラムをプレイするAtsuyuk!さん。こうでなくっちゃお客さんも楽しめない!
きっとNATALのサウンドもゴキゲンだったに違いない。
このアッシュのキット、おかげさまでものすごい評判を頂戴している。特にバスドラの響きにはシビれるね~。
「ああ~、今からでもドラムやろうかな~」なんて気にさせてくれちゃう!

130v

とにかくバンドも客席も、アウンの呼吸でギンギンに盛り上がる~!

140Atsuyuk!さん、激演!

145Honey Worksの詳しい情報はコチラ⇒Official web site

150v1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年5月3日 日比谷野外大音楽堂)

 

2015年7月 8日 (水)

伝説のロッカーたちの祭典 <第3部>~外道&合同

 「日本のロックの異端児!!!」…いよいよ最後の出演者がROLLYさんから声高らかに紹介される。

10v外道!

20加納秀人

30松本慎二

40そうる透

50外道はMarshall Blogには三月ぶりの登場となる。最近作『Rocking the BLUES』の発売記念ライブのレポート以来だ。

60v秀人さんの1971年製のMarshall 1959。モノスゴイきれい。大事に使ってくれているのだ。

65この1959で歴史に残る名演を残してきた。

70今日の一曲目は「Rockで行こうよ!」。

90v

『Rocking the BLUES』収録のゴキゲンな外道ロックンロール!

80

続いても同アルバムから「What a BITCH」。

100「イエロー・モンキー」調のへヴィなナンバー。

110現在の外道はこういう曲調が実によくマッチする!

115v秀人さんのスペイシーなギターが縦横無尽に宙を飛び交う!

120vゴリンゴリンの松本さんのベースが暴れまくる「Get Down」。

130vニュー・アルバムは外道のピュアなロック・テイストを存分に吸収したクールなナンバーが満載だ。それらがより一層外道のステージの幅を広げることになったと言ってよかろう。

140もう一曲ニューアルバムから…これぞリアル・ロックンロール!

150v「Shake it Baby」だ!

170v

7th丸出しのコーラスから定番のコード進行のサビまでロックンロールの楽しさの真髄を教えてくれる。
こういうサウンドは秀人さんならでは!のものだ。理屈も問答も無用の秀人ロック!

160残りは外道クラシックス。
この光景を見ればオールド・ファンはナニを演っているかが一発でおわかりだろう。

180外道ダンス…「何?」だ。
お客さんもコレを待ち構えていたかのようなノリのよさ!

185当然三人の演奏も激しさを増していく~ッ!

190

200

210「♪外道のワッペン背中にしょって」…「ビュンビュン」だ!

220v40年の長きにわたって息吹き続ける日本のロックのスタンダード。
真のロック・チューンはとこしえに息絶えることはなく、いつの時代も新鮮さを保っている。

230その代表がコレ。
「♪ゲ~ゲ~ゲ~、ゲゲゲゲゲゲゲ、ゲ~ゲ~ゲ~ゲ~、ゲド~」…

240v…「香り」。

250v外道はおのが香り、そして外道は「日本のロック」の香りと姿なのだ。

260vこの曲も初めて聴いた時にはビックリしたナァ。
「日本にもこういうバンドがあったのかッ?!」って。
外道を観る度にその感動がよみがえる…今だからこそかもしれない。
席から立ち上がるお客さんもいてコンサートは最高潮を迎えた。

270外道の詳しい情報はコチラ⇒アイノア公式ウェブサイト

280そしてアンコール。今日の出演者が大集結だ。
ステージの上で談笑するPANTAさんと哲さん。

290秀人さんのリードでブルースを…

300ギター・ソロのリレーだ!
まずは琢己さん。

310ROLLYさん…

320大竹さん…

330そこから「Purple Haze」へなだれこんだ!
400
忠平さんが歌う「Purple Haze」!ド迫力!

340哲さん、ジミヘンの曲なんか歌ったことないでしょうにッ!大丈夫なのか?!
そこは持ち前のド根性で突破成功!

350ベースのソロまわしも!
後ろのドラマー・グループの方も楽しそう!

360そして、ギター・ソロまわし。

380

390お客さんをジャンジャンあおる哲さん!暴れまくってたナァ。

410ソロはドラム・チームへ!

420vドラマーが入れ替わる瞬間は透さんが繋いだ。
これがまたおかしくて、おかしくて!
ナゼかおとぼけキャッツ時代の「スティーヴ・ガッド、スティーヴ・ガッド」を思い出してしまった!

430vみんな素晴らしく気合の入ったソロだ!

440vそして透さんの出番…乱打!連打!激打!

450v何とも長~~~い「Purple Haze」。でも最高に楽しかった!

460今日、日本のロックを作って来た偉大なミュージシャンたちの演奏を目の当たりにして思った…やっぱり音楽ってのは「声」だね。

どのバンドも曲のオリジナリティや演奏の独創性に長けていることはもちろんなんだけど、忠平さん、ROLLYさん、哲さん、PANTAさん、そして秀人さん、皆さん歌声がスゴイ。
みんなワン&オンリーで、何人の侵入も許さない自分だけの世界を持っている。

テレビで散見される今時のロック・バンドがみんな同じに聴こえて、区別がつかないのは、み~んな同じようなソフトな声をしているからではないだろうか?
もちろんどのバンドの曲も歌詞のテーマ曲も酷似していることもある。
「ウサギのロック」なのだ。
今日はたっぷりと「ライオンのロック」を聴かせてもらった。

やはり、ブルースに端を発した「ロック」という音楽は、いくら一般大衆化して、ビジネスの対象となっても、言い換えれば軟弱になったとしても「心の叫び」の部分は温存し続けて欲しいと思う。
「叫び」は「声」だ。
だから、私はいつまでも彼らの歌や演奏に「真のロック」を感じてしまうのだ。
いつまでも「日本のロック」を奏で続けて欲しいと思う。

Drおわり

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年6月28日 新宿スペースゼロにて撮影)

2015年7月 7日 (火)

伝説のロッカーたちの祭典 <第2部>~頭脳警察&三文役者

15分の休憩をはさんで登場したのは三文役者。
まずは、三文役者をご存じない方はコチラの記事をご参照頂きたい⇒三文役者なわたし

10_2花之木哲

20v大竹亨

30v_2石井正夫

40v_3さとっちょ

50v_2以前はツイン・ギターの五人編成だったり、それにキーボードが加わって六人編成になったりしたこともあったが、現在はこの四人が三文役者だ。

60_2一曲目は「Hold on my Way」。

70_2哲さん、ノッケから気合の入り方がスゴイ!

80vもちろんメンバーも同様。

90v大竹さんはJVM210Hと1960Bのハーフ・スタック。

100v_1

昔はMarshall 1992 SUPER BASSを愛用していた正夫さん。私の1959のハーフスタックとステージではお揃いだったのよん。
120v
今回はEDEN WT-800とD410XSTの三段積み。
130v_2
さとっちょのクリスピーなドラミング。

140v_2

NATALアッシュで効果倍増!すごく気に入ってくれた。
150
この「Hold on my Way」という曲は新しいのかな?

100_2私にとってはもちろん古い曲の方が断然シックリ来るんだけど、新しい曲もとても魅力的に聴こえる。
哲さんはThe Rolling Stonesのようなものすごくシンプルなロックがお好みなのだが、曲を作る時そこに何とも言えない昭和歌謡的な雰囲気を入れ込んでくる。
当時は本当に昭和だったから「昭和歌謡」なんて発想は全くなかったんだけど、いかにも日本人らしいメロディをシンプルな8ビートに載せるのがうまかった。
コレもそんな曲。

110_2三声のコーラスなんか入れちゃってビックリ!
大竹さんもさとっちょもコーラスうまいからね。昔はこんなんなかったんよ。

160続いては二月のライブでも取り上げていた「Dream Crush」。

170_2コレまた哲さんらしいミディアム・テンポのシンプルなナンバー。

180_2哲さん書く曲のもうひとつの魅力は歌詞だ。イヤ、むしろこっちが土台なのだ。
作品には「街」をテーマというか、街を相手にした内容の歌詞が結構あって、この曲もそう。
その「街」とは「東京」のことだ。
実際に「東京デストロイ・シティ」という曲では「裏切りの街」と歌い、この「Dream Crush」では東京を「イカれた街」と歌っている。
東京で生まれ育った私にはわからないが、地方から東京に出てきた人たちにしかわからない大都会に対する特別な感情や体験があるということに気付いたのはずいぶん後になってのことだ。
何事においても悲喜こもごもの経験が生み出す曲は深い。

物価に関していえばロンドンの方が断然イカれているけど…。

190_2三曲目は「Hello Dear Friend」。

200_21991年リリースのアルバム『Live On』から。
コレもロマンチストな哲さんらしいメロディが印象的な作品。

210v上着を脱いでいよいよエキサイトしてきたぞ!

220定番の「怒雨降り」。
哲さん、この曲好きなんだナァ~。ここから最後まではトラディッショナルなレパートリーで固めた。

230_2着実なプレイが身上の正夫さん。EDENのヌケヌケサウンドにゴッキゲン!

260v
さとっちょの要所要所をバシバシキメてくるメリハリの効いたドラミングが小気味よい!
270v
マフラーを振り回し暴れまわるのは「回転木馬」。
245

この曲も2月に演奏した。
「回転木馬」曲が生き残って今も頻繁に歌われているのはチョット意外かな?
もちろん好きな曲!

240vこの曲には2小節のギターのピック・アップがあって、そこにクイでバンドが入るところがカッコいいんだ。
ヘヘン、実は高校の時、この曲で「クイ」という言葉を教わったのだ。

250_2そして最後は「三文役者」。

280v哲さんとPANTAさんの共作。
大竹さんが弾くこのリフをこれまで一体何回聞いたことか!

290v哲さんは18、19歳の時に開高健の「日本三文オペラ」を読んでインスピレーションを得たという。そして、PANTAさんと共作。哲さんはPANTAさんの才能に憧れていたそうだ。

320v

この曲を死ぬまで忘れない人って私の周りには結構いるんじゃないかな~。

310_3PANTAさんバージョンはホーンが入ったファンクっぽいアレンジだったが、三文役者バージョンはストレート・アヘッドな8ビート。
#9thのカッティングから続く長いアウトロがカッコよくってね。初めて聴いた時は鳥肌が立ったな~。

330vで、大竹さんにどうやって弾いているのか教えてもらった。例のゲーム・センターでね!私が17歳ぐらいの時の話しよ。

340_3力演!熱演!激演!…その類の言葉がすべて当てはまるパフォーマンス!
なんか心の底から「お疲れさま!」って声をかけてあげたいわい!まだまだこれからなんだけど!

350_2初対面のROLLYさんからインタビューを受ける哲さん。
以下ROLLYさん…「三文役者はスタジアムが似合いますね。スカッとするハードロックを演奏するバンドが少なくなった今、貴重な存在…(中略)…77年のロッキンfの記事で初めて三文役者を知りました。そして、それから35年経って遂に同じステージに立つことが出来ました!」
さらに…「こういうストレートなロックは海外向けだと思いますね。声がとても日本人らしい。AC/DCのBon Scott(故人)やJourneyのSteve Perryみたい…」
哲さん、ニンマリ。
ありとあらゆる膨大な量のロックを聴き漁ってきたROLLYさんが言うのだから間違いない。

360_2ROLLYさんがご覧になったロッキンfの記事ってコレかな?コレはレコードを出した時だから80年か…。
でも、それより前のロクfの記事ってのも見た記憶がなきにしもあらずだな。イヤ、アレは大竹さんにみせてもらったのかな、あのゲームセンターで…。
他にも「ADVEN」という雑誌にも出たことがあった。あの雑誌、どこへ行ったかな…実家にまだ残っているような気もするけど。
だから私は「断捨離」に反対なのだ。家では「断捨離」に反対していることを反対されていますが…。
「後で何が必要になるか」なんてことはその時には絶対わからないんだもん。捨てて臍を噛む思いをするなら捨てないで全部とっとけ!

70_2 ところで、三文役者には埋もれている曲がまだまだたくさんあって、今こうして外から観てみると、このバンドって哲さんの「シンプルなロックンロール」のコンセプトをベースにずいぶん色んなタイプのロックの要素を吸収していたことがわかるんだよね。
「ニアミス」や「悪魔の誘い」なんてブリティッシュ・ロックっぽい曲なんかもあったし、「ファースト・キッス」なんて下世話な曲、「三文役者パート2」と題した大作もあった。
「夢うつつ」なんてあまり演奏しなかった曲(村八分とは同名異曲)のメロディが今でも突然ボロっと脳裏をかすめたりすることがある。
私も「昔のことほどよく覚えている年齢」になっているにしても、よっぽど三文役者と過ごした日々が印象に残っているのだろう。


三文役者は8月にもワンマン・ライブが決定しているので、是非ご覧になって頂きたいと思う。
チョー久しぶりのクロコダイル?
前回は大阪から来たキャバレーというバンドと一緒だったような…30年以上前の話しだ。

T_sanmon引き続いてROLLYさんが「最後の肉食系ロックバンド」と紹介するのは…

365頭脳警察!

370PANTA

380vTOSHI

390v_2菊池琢己

400vJIGEN

420v原田淳

430v_2一曲目…聴き慣れたベースのリフが、一気にテンションが高める!

440「銃を取れ!」だ。

450_2なかなかドップリとPANATAさんのことを書く機会がないが、頭脳警察を聴いた時はショックを受けたナァ。頭脳警察も大竹さんから教わったハズだ。
今では大っぴらに手に入る発売禁止となった一枚目と二枚目のアルバムが聴きたくて悶々とした時期もあった。
三文役者の伝手でテープにダビングしてもらったその音源にこの曲が入っていた。やっぱり聴いてブッ飛んだよね。
それよりもビックリしたのは「世界革命戦争宣言」だった。
後に読んだ角間隆というルポライターが著した『赤い雪』という連合赤軍のノンフィクションにこの宣言文全文が載せてあって、「ウォー!頭脳警察じゃん!」と感動したものだった。
私の世代はそんなもんですよ。
大学への進学率が急速に高まり、学生はみんなバリバリのノンポリで、「大学は遊びに行くところ」が当たり前の風潮。学生運動はすでに前時代的なものになっていた。
それでも、「カク」だの「マル」だの独特のフォントで書かれた難文の横断幕がキャンパスの一部に盛大に飾ってあったナ。学生運動の全盛期にはモノスゴイことが起こったキャンパスだったから。
今では「ノンポリ」なんて言葉も消え失せてしまった。
でもPANTAさんが最近披歴されたその「世界革命戦争宣言」の裏話に大笑いしてしまった!

460_2皆さんご存知だとは思うが、一応書いておくに「頭脳警察」の出自はFrank Zappaの「Who Are the Brain Police?」だ。
1969年のデビュー。
パワーは全く衰えを知らない。

470vふたりを支えるバンドがまた強力!
琢己さんはMarshallプレイヤーだ。

480JVMはとっくにお試し済みで、シッカリいい音で鳴らしてくれた。
560_2
2曲目は1991年のアルバム『歓喜の歌』から「飛翔<ひらめく旗の下で>」。

490_2PANTAさんに紡がれた言葉が独特の世界を築き上げる。
やっぱり言葉の重みが違う。
40年以上前、日本語によるロックを確立させたのは、他でもない、頭脳警察だと私は思っている。

500_2没後30年で寺山修二の作品を取り扱ったのが次の曲。

510_22008年に発表した「時代はサーカスの象にのって」。

520_2「時代はサーカスの象にのって」…なんて言葉の列をよく思いつくものだと思う。
ROLLYさんも後のMCでおっしゃっていた。寺山さんの作品。
530
みっともなくて卑怯者、乱暴者で梅毒な私には詞なんてわからないが…、
「夜が疲れかけた時、鳥が夢をさがす時、銀のペンをイマージュに突き刺す  星が溢れすぎた街、時がこわれそうな街、それを今のテーマとみなそう」
…なんてどうよ。
コレは『誕生』に収録されている「詩人の末路」という曲の歌詞。PANTAさんの作品。
こんな言葉を一体どういう思考で選び、そして連ねるんだろう?素敵すぎるにもほどがある。
550v_3
四曲目は1986年のソロ作から「R☆E☆D」。
S41a7241
頭脳警察だけが作り得る孤高の世界をガッチリとサポートするバック陣がまた見事。

S41a7155いいんだよナァ、クールでいかにもロック・バンドらしい。やっていることとイメージがバッチリかぶさっている感じ。
590v_2
♪ダッパンダッパンというドラムのエキサイティングなイントロから…
580v_2
ギターのあのメロディ。
535v
「ふざけるんじゃねぇよ」だ!
570v
ク~、タマらん!一緒に歌っちゃったよ!舌がうまく回らないけど…。

S41a7210考えてみるとこの曲が一番最初に聴いた頭脳警察だったかもしれない。
コレを聴いた瞬間に逮捕されてしまった。「殺人許可証」を持っていなかったから!

540そして、最後の曲。
シットリと「さようなら世界夫人よ」。

S41a7106

先日、無くなられた頭脳警察の初代マネージャーに捧げられた。

600v_2この曲の歌詞はヘルマン・ヘッセ。
スムーズな言葉の連なりとと美しく物悲しいメロディはいかにも故人の追悼の場にふさわしいもので、何回も聴いた私ですら目頭が熱くなってしまった。
しかし、この曲の歌詞はとても辛辣なもので、PANTAさんは同時に現在の世情を憂い歌い上げたのだ。

610v頭脳警察の詳しい情報はコチラ⇒頭脳警察Official Website

620_2ROLLYさん、ヘルメットを持って登場。
話しは最後に演った「世界夫人」に…。
PANTAさん「マネージャーのこともあったけど、この曲がこれほど染み入ったことはない」
ROLLYさん「タイトルが好き。でも当時は聴きたくても聴けなかった。レコードが発売禁止で手に入らなかったから!」

630頭脳警察のデビューはいつどこか?というクイズも出題された。
答えは、1969年の神田共立講堂だったそうだ。
ウッドストック、成田闘争の年。
青山に「キラージョーズ(Benny Golsonの「Killer Joe」からかな?)」というディスコがあって、そこでナンパしたのが男だった。それが何とピーターだった!…で大爆笑。
コレ完全にThe Kinksの「Lola」じゃん!
そして、話しはシャンソンに突入した。
ROLLYさんは定期的にシャンソンのショーをやっているからね。
PANTAさんもフランスを題材にした作品があって、「トゥ・シューズ」もそうだけど、さっき「時代はサーカスの象にのって」のところでチョット引用したのはブリジット・フォンテーン。『仮面劇のヒーローを告訴しろ』の「まるでランボー」だ。
頭脳警察バージョンの方が断然スキ!
ふたりのシャンソンの競演を楽しみにすることにしよう。

05_2 つづく

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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(一部敬称略 2015年6月28日 新宿スペースゼロにて撮影)

2015年7月 6日 (月)

伝説のロッカーたちの祭典 <第1部>~めんたんぴん&THE 卍

イヤ~、月日の経つのは早いもので、「ウワ、そんなのやるのッ?」と驚いてからもう本番の日になっちゃった。
「伝説のロッカーたちの祭典」…。
そう、今日は「祭典の日」なのだ!…今日、この記事をお読みになられている方々の多くがあのJimmy Pageのイントロを自動的に思い浮かべていらっしゃることと思う。
それでいいのだ!
そういうレポ―トなのだ!

10
会場は新宿のスペース・ゼロ。
2000年に「マーシャル祭り」を開催し、Jim Marshallが舞台に上がったホールだ。

20
開場時間になり、ベテランのロック・ファンでにぎわうロビー。
ロックの一番いい時代をリアル・タイムで経験したうらやましい人たちだ。
でも、若い人もチラホラ。
そう、せっかくの「伝説のロッカー」たちだもん、観ておかなきゃもったいない!

30
このコンサートをサポートするのは…
MashallはJVM210Hと1960B。

40v
EDENのWT-800ヘッドとD410XLTキャビネット。

50v
そして、NATALのアッシュ。

60
12"、16"、22"のコンフィギュレーション。フィニッシュはグロス・ブラックだ。

80
開演時間となりステージ下手に登場したのは秀人さんとROLLYさん。
「加納さんに憧れて33年。外道を完全コピーしました!」…外道の最近作『Rockig the BLUES』でROLLYさんは見事共演を果たし、レコ発ライブにも登場したことはMarshall Blogでもレポートした

90
貴重な話が聞けるのではないかとこのMCも楽しみにしてたんだ!

110
さっそくROLLYさん、「Led ZeppelinのJohn Paul Jonesが使っていたベースですよ!」とめんたんぴんの石崎さんにAlembicのツッコミ!

100
…ということで、トップ・バッターはめんたんぴん。

120
佐々木忠平

130v
石崎三郎

140v
沖村公平

150v
そして、Marshall Blogではもうスッカリおなじみの松浦善博!

160v
めんたんぴんを観るのは2008年の野音以来。
あの時も松浦さんがJTM45 Offsetで登場し、ベースはオガンちゃんだった。

170
一曲目は「国道8号線」。
国道8号線は新潟から京都へ抜ける総延長600kmを超す日本海側の主要国道だ。
私は以前の仕事で二年間ほど富山に住んでいたことがあって、旧道沿いの「越中大門」、それからチョット前にも触れたが、金沢を過ぎて、松任、美川と来て、次の「根上(ねあがり)」というところへよく通った。
その根上を過ぎるとめんたんぴんの故郷、「小松」だ。
8号線はそれか福井を西進すると、敦賀で国道27号線と別れる。私は担当エリアである27号線を進み、時折小浜まで足を伸ばした。

180
忠平さんのホレボレするようなバリトン・ボイスの歌を聴いていたらそんなことを思い出してしまった。
210
そして力みのないレイドバックしたリズム隊。
230
さすが日本のGreatful Dead。もういきなりロード気分だ!
こんな曲を演奏できるバンドはめんたんぴんを除いてもう日本にはいないだろう。

240

またツボを得た松浦さんのソロが素晴らしい。

190
都度忠平さんの方を向いてソロを奏でているサマはまるで忠平さんの唯一無二の歌声にギターの音をからめてるようだ。

200
二曲目はオハコの「木こりの唄」。忠平さん曰く、「40年間歌い続けた発売禁止の歌」。ナンで~?!

250
「♪オイラの仕事は山の木こり」…昔のロックはこうして色んな曲があったんだよ。
「ありがとう」や「さくら」や「そばにいる」だけじゃロックはつまらない。
S41a6540
松浦さんフィーチャー。
曲は「Statesboro Blues」!

260
当然ボトルネック大炸裂!

270
ク~、こりゃタマらん!まさにいぶし銀のプレイ。
民生さんがいつか松浦さんのことを「ボトルネック保存協会の会長」に推挙されていたが、まさに適役。
こういうすごいプレイを聴くと少しはボトルネックにもトライしてみたいとは思うが、すぐ諦めちゃう。

280
以前紹介したMarshallサウンドに満ちた松浦さんの教則DVD
も必見だ。
ちなみにジャケット写真は私が撮影させて頂いた。

50dvd_2
四曲目は「コンサート・ツアー」。まさにめんたんぴんのテーマ・ソング!Keep on truckin'!

Img_0477
まだまだ日本のロックがよちよち歩きの頃…310_2
地でこの歌の通りに活動していたバンドがめんたんぴんだ。
320_2
そして、アッという間に最後の曲。
「幾人も仲間を失ってきた。死んだとはいってもみんないつも一緒にいるような気がします」と、アコギに持ち替えた忠平さんがシットリと歌ったのは「見知らぬ旅人」。
340_2
また松浦さんのセンチメンタルなギター・ソロがいいんだ!

330
いきなりの素晴らしいステージで一気に伝説がよみがえった。

300
ここのMCはPANTAさんと秀人さん。
麻雀をしない秀人さんからバンド名についての質問が出ると、PANTAさんから詳しい解説が…。
PANTAさんは麻雀好きなのね…って実は私はPANTAさんが麻雀をしている傍らにいたことがあるのだ…35年前の渋谷で。
メンバーの中には人気のギタリストがいらっしゃった。もちろんこんなことPANTAさんは覚えていらっしゃらないだろうけど。

当時、外道はめんたんぴんと一緒になったことがなかったそうだ。
で、秀人さんが「どんなバンドと一緒でした?」と訊くと、答えはシュガー・ベイブ、憂歌団、上田正樹とサウス・トゥ・サウス…スゴイ時代である。
「皆さん、これは映像じゃありませんよ。実物ですよ!」と言う忠平さんに会場は大爆笑!

350

忠平さんによれば、あの頃は田舎からバンドが出た時代だった、という。
コレは東京や大阪以外にもいいバンドがたくさんいたという意味だろう。
めんたんぴんは小松、センチメンタル・シティ・ロマンスは名古屋、名前は出なかったがサンハウスは博多…等々。

ここでクイズ・コーナー。
「めんたんぴんが当時日本で最初にしたこととは何でしょう?」というのが質問。
答えはさっきの曲の通り…「コンサート・ツアー」だ。
機材車を仕立てて自分たちの楽器やPAまで積み込んで国中を回る。
それまでは「ドサ回り」と呼んでいたこの活動を「コンサート・ツアー」と称して展開した日本で最初のバンドがめんたんぴんなのだ。
要するにGreatful Deadだ。
秀人さんは地方に行って「下道」と書かれたことがあったとか!ヒドイ!

今では国中の隅々まで高速道路が延伸して道路の事情も車の性能も各段に良くなり、「ツアー、ツアー」と駆け出しのバンドでも平気で日本国中をグルグル回っているが、昔は大変だった。
めんたんぴんぐらいメジャーなバンドならまだしも、インターネットがない時代は十分に告知することもできなかったので、ツアーを企画するのは決死の覚悟が必要だったのだ。

音楽を取り巻く物理的な環境の変化で、「ツアー」と「レコーディング」ほど軽くなった言葉はあるまし。親しみやすくなったと言った方がよろしいか?
イヤ、一番軽くなってしまったのは肝心の「ロック」の方かな?

360
忠平さんのお腹には、ピンスポットに照らされたSkull & Rosesが輝いていた。
めんたんぴんを初めて46年…今の忠平さんの夢は「いい曲を作りたい!」だそうだ。アッパレすぎる。


めんたんぴんの詳しい情報はコチラ⇒めんたんぴん公式ウェブサイト

370v
続いての登場はTHE 卍。

380
ROLLY

390v
リズム隊はロジャー高橋とベースの佐藤研二。

S41a6667_2 そういえば、こないだオーストラリアから来た若い友人に浅草寺を案内した。彼は煙が出ているあのデカい香炉についた卍マークを発見して、「Whyッ?!」とビックリ仰天していたな。
ハーケンクロイツではないことはシッカリと説明しておいた。

410
自らを「日本一の小心者」と紹介したROLLYさん、ノッケから濃厚なエンターテイナーの香り。いつも通りだ!

420
一曲目は「ロックンロール中学生」。
THE 卍はこれまで二枚のアルバムをリリースしているが、記念すべきファースト・アルバムの一曲目がコレ。

当然ギター・ソロは顔で弾く!
何せROLLYさんはステージ・アクションの教則DVDを出してるからね~。

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二曲目は「ギャルギャルギャルヲ」。
いかにもROLLYさんらしいポップなコード進行に乗せたストレートな一曲。
サブドミナントがマイナーに変わる動きってのは実にいいよね。

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そして、「♪ギャルギャルギャル」でしっかりと印象づける。楽しい曲だ。

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「レジェンドの皆さんより若いですが、三人で150歳超えています!」
続いてROLLYさんが次の曲を説明する。
曲名はズバリ「ROUTE171」。「66」じゃないよ。
ナゼか今日は国道の話しが出るな…今度は171号線だ。
171号線は現地の人から「イチナナイチ」と呼んばれている京都から神戸へ抜ける大変に交通量の多い国道だ。
夜中、ROLLYさんが車で171号線を走っていると…

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裸の女がボンネットに飛び乗って来て「ヒャー」といった…という事件をテーマにしたのが次の歌。

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昔、人気落語家が酒に酔って「トラックと相撲をとる」と言って車道に飛び込んだのもこの国道171号線。
ROLLYさんじゃないけれど、そういうことが起こるのが171なのかも…。
ナンでこんなことを覚えているのかと言うと、さっきの富山の次に私が住んだのが大阪の箕面で、この171沿いの二宮無線という家電店によく行ったのですよ。
ちなみに箕面の駅の近くにあるミスター・ドーナツって第一号店なんだぜ。

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冴えわたるギター・プレイ!黄金時代のロックを知り尽くした芳醇なソロだ。

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ロジャーさんのフィーチュア・タイム。
バス・ドラムのフロント・ヘッドにはってあるステッカーは新発売のロジャーさんグッズ。よく描けてるナァ~。

J_s41a6591 曲は「難聴」。
Marshall Blogの読者には大谷令文さんとのTrio the Collagensでスッカリおなじみの曲だよね。

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ボーカルから解き放たれたROLLYさんが過激なアクションで魅せる!

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「エ、なんて?」のパートでは会場のお客さんが大爆笑!

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ますますエキサイトするROLLYさん!

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オオ~っと!暴れすぎてROLLYさんまさかの転倒!これがまたひとつのアクションになる!

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ロジャーさん、ド迫力のソロ!

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そして、早くも最後の曲だ。

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セカンド・アルバム『puzzle』から「ハンティーフラッシャー」。

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もうこの燃え尽きんばかりのすさまじい暴れ具合はただひたすら見てもらうしかない!
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ROLLYさんは今週、7月8日に『ROLLY’S ROCK CIRCUS~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその影と光~』と題したニュー・アルバムをリリースする。
まずジャケットがいい。『In Trance』のアルバムのジャケットについてはMJGの『ギター・ジャケット特集』で取り扱ったことがあるね。
内容は外道、ミカ・バンド、四人囃子、モップス等々、消しても消しきれないほどの足跡を日本のロック史に刻んだバンドの名曲のカバー・アルバムだ。
15年前、ここで開催された「Marshall祭り」に出演した際にROLLYさんが演奏したのも「SATORI Part 2」だった。
こうして日本の音楽的財産が後世に伝承される機会が増えるのは実によろこばしいことだ。

ROLLYの詳しい情報はコチラ⇒ROLLY OFFICIAl WEBSITE

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五つのエキサイティングなナンバーを演奏し終えたところでROLLYさんから休憩のアナウンス…。

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つづく

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版制作中!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年6月28日 新宿スペースゼロにて撮影)