ブルースを揺さぶれ!~外道ニューアルバム『Rocking The BLUES』発売記念ライブ <前編>
おなじみ「外道大明神」のアミュレット(amulet)…つまりお守り。
この「amulet」という単語はFrank Zappaの「Camarillo Brillo」で知った。いかにも日本語になりやすそうなんだけど誰も使わないな。うまくやれば商売につながりそうな気もするんだけど…。
「携帯電話」もいつまでたっても日本語のままなのがとても不思議。
「ガラケー」なんてのはすごい言葉だ。
外国の地名と日本語を足して省略しちゃう。こんなことができる日本語ってスゴイ。
私は日本語がスキでしてね…。英語を勉強すればするほど(実際、最近はサボっている)、日本語の文法の複雑さと音の美しさ、四季に根差した語彙の豊富さに感心するのだ。
ああ、日本語が自由に書けてしゃべれてシ・ア・ワ・セ。
その日本語をバンド名にしているバンドが相変わらず散見され、うれしく思うけどナンカ大分風情が変わって来たよね…文章みたいなバンド名。
例は挙げないけど、そういうことこそ若い人の感性であって、歓迎すべきだと思う。
問題は音楽の内容だ。
昨日、たまたま有線系のテレビで若いバンドを紹介している番組に出くわしたんだけど、マァ、ああいうのは「ロック」とは呼んで欲しくないナァ。違う名前でカテゴライズしてもらいたい。
「電気フォーク」なんてのはどうかね?「デンフォ」とか「エレフォ」って呼べばいいじゃん?
出ていたバンドさんは、髪の毛の短いボーカルさんが、甲高く、そしてカボソイ声で意味のわかからん詩を汗ダクでガナリ立てていたけど、あれだけ血気盛んな若者が、どうして横一線でみんな同じことをやっているのをヨシとしているんだろう?判を押したようにどのバンドもまったく同じに聴こえる。どの曲もメロディが平坦で聴く者を惹きつける部分がない。
そして、ロックのすべてを知っているかのようにそれを絶賛する大人たち。台本に書いてあるのかどうか知らないけど。どうせ家に帰ればゼンゼン違う音楽を聴いているに違いない。CrimsonとかToddとか。
本当にロックを勉強してきた大人なら、ああした覇気も独創性もないロックを絶賛するワケがない。
熱海から送ってもらったおいしい甘夏とソーダで割った「金宮」の味が一気に変わりそうだったので、すぐにチャンネルを変えた。
月曜日の朝からまたクダを巻いて恐縮だ。でも、それだけに今日レポートする外道のコンサートの素晴らしさが引き立つというものだ。
それにしても「外道」なんていい名前だよナァ。
もうコレだけで「日本のロック」の雰囲気がムンムンして来るもん。
デビューは1973年。結成40周年を記念して10年振りのスタジオ・アルバム『魂の叫び』を一昨年に発表。
それに続き、この度ニュー・アルバム『Rocking The BLUES』をリリースした。
今日レポートするコンサートはそのレコ発を記念したものだ。
秀人さんはこのアルバムに関し…「(秀人さんの世代は)The Venturesに行く連中もいたけど、自分はロックンロールやブルースがスタートラインだった。今回のアルバムはその基本に戻ろうと思った。ブルースのブルーな雰囲気に明るく力強いロックンロールのエネルギーを加えた「気」のようなものを出したかった。ゲストも多く、すごい楽しいレコーディングだった」
と語り…
「40周年を迎えてまた新たに外道が始まった。ここからまだ100年はやりたい!」
と意気込んでいる。
まさにそんな秀人さんのエネルギーとロック・スピリットにあふれたアルバムだ。向こう100年は軽いだろう。
そして、コンサートはレコーディングに参加した豪華な面々をゲストに迎え、アルバムをそのままナマで再現するというゴージャスな内容となった。
客電が落ちる。
PAスピーカーから流れ出てて来るのはBonzo Dog Bandの「Slush」。
『Music Jacket Gallery』の「動物ジャケット編<前編>」にも書いたが、コレが流れない限りは外道が絶対にステージに上がって来ないような気がするのだ。やっぱりショウのスタート前の鳥居とBonzoは欠かせない!
「B」と「E」だけのシンプルにして強力なリフ。そして、外道は行くのだ。未来のない明日に向かって!
続いては『Rocking The BLUES』から「What a BITCH」。ん~、いかにも外道らしいエナジェティックな曲!
秀人さんの1959。1971年製。日本に入って来たMarshallの最初期のもの。何しろ音がデカくて歪まない!いいアンプだ。
「OH my my」。かつてCaptain Beefheartに「Upon the my oh my」という曲があったことを思い出した。
「OH my my」はBeefheartの曲とは似ても似つかない、秀人さんのリフづくりのセンスが光るストレートなスピード・チューン。
さらに「Rockで行こうよ!」。タイトル通り、気分爽快のロック・ナンバー。
キーボードは、ゲスト参加のエルトン永田。もちろんエルトンさんはアルバムのレコーディングにも参加している。
ゴキゲンなオルガンでロック・フィーリング激アップ!
そして、地を這うかのように低いところ暴れている松本さんのベース!ピックで聴くそのトーンの歯切れよさが気持ちいいのだ!
ココは「お誕生日コーナー」。
コンサートの日が誕生日の人、いなければ近い日に生まれたお客さんに曲をプレゼントするという趣向。
ステージの真ん中にイスを置いて座って聴いてもらおうというワケ。
この日は、ドンズバのご年配の男性のお客さんがいらっしゃった。
はじめはイスに座っていらしたが、さすがに恥ずかしいのか、ステージの上を移動。
曲は『Rocking The Blues』から、そのままの「Happy Birthday」。
それにしてもコレいい曲だナァ~。
お客さんは何の違和感なく、ステージ上でリズムに合わせて身体をくねらせていた。
そのイキの合ったサマはまるで4人目の外道のようであった!
秀人さんともガッチリと握手。とてもうれしそうでした!
2人目のゲスト…ROLLY!
ROLLYさんはその前作にも参加しており、「Help me mommy, Gedo!」の声が大変印象的だった。その再演だ。
続いて「逃げるんじゃねえ!」。
今回もROLLYさんはレコーディングに参加して大活躍している。
外道のスタンダードに「逃げるな」という曲があるがアレとは全然別の新作。
秀さんのボトル・ネックも冴えわたる!
もうだいぶ前の話し。ROLLYさんが森園さんたちと「おまつり」等の四人囃子の曲をプレイされたことがあって…多分あの時が最初だったのだろう…大層うれしそうにそれていたが、今回の外道との共演を見てその時のことを思い出してしまった。
今回も秀人さんとの共演の時間を実に楽しげに、そして誇らしげに過ごしているように見えた。
そして、ROLLYさんは2000年に開催した『マーシャル祭り』にもフラワー・トラベリン・バンドの「Satori Part2」で出演してくれたのよ。アレからもう15年かよ!
ROLLYさんのコーナー最後は新作から「俺のRock'n Roll」。
曲名が最近流行のレストランの名前みたいだけど、秀人さんがおっしゃっていた「ルーツ」丸出しのロックンロール・ソング。さすが、ロックンロールがウマく料理されてる、まさに「オレのロック」!
そういえば、「俺の○○」というレストラン。勘違いして「俺サマの○○」と呼んでいた人がいたが、「そんなに偉くない」と訂正されていたな…。
エルトンさんも大熱演!
イヤ~、やっぱり理屈抜きのロックンロールは楽しいね~!
アルバム唯一のインスト曲。
Gary Mooreを彷彿とさせる「鳴き一発」のギター。秀人さん特有のむせび鳴くベンドが心にしみる。
秀人さんのソロ・アルバムはミュージック・ジャケット・ギャラリーでも紹介している。
ただし、そこに書いてあることに誤りがあることを最近になって知った。そこに実際に居合わせた人に真実を聞いたのだ。
文章に出て来る白いダブルネックのGibsbnは本人の所有物で、秀人さんのものではなかったというのだ。ま、イタイケな少年の夢をこわさないよう、文章はそのままにしておくことにする。
「ブルース・コーナー」…外道スタンダード「いつもの所でブルースを」。
こういう曲を世間では本当に聴かなくなった。要するにブルースをドッシリと土台に構えたロック・チューン。
冒頭に記したように、最近のバンドにロックを感じないのはブルース・フィーリングが完全に欠落しているからだ。
こういう曲を演る若いバンドがもっと出て来てくれないかナァ。カメラかついで喜んで取材に入っちゃうんだけどね。あ、もちろんMarshallサウンドでなきゃイヤよ。
別のコンサートではこの曲を演る前に秀人さんがささやくようにこう言った…「ブルースを教えてあげとう…」。こういうところがまたカッコいいんだよ!
以前は、コレ、長~いケーブルを使ってやってたんだよ。
今回はワイアレスでラ~クラク。
お客さんたちはもう大喜び!
もういいように携帯で撮られまくり!ピースしながら秀人さんをバックに記念撮影する人も!
…と、盛り上がりながら<後編>につづく。
外道の詳しい情報はコチラ⇒アイノア・ウェブサイト