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2015年7月21日 (火)

Sound Experience 16 <前編>

三宅庸介のStrange, Beautiful & Loudが、毎回対バンやゲストを迎えてシリーズで展開している企画『Sound Experience』。
もう16回目…何回目から観てるかナァ。いつも楽しみにしてるのだ!
今回の対バンは、「満園Bros & 小松優也's Black Sabbath Tribute Band」…この名称だけで一体他に何の説明を要するというのだ?…的バンド名。

10小松優也

20_2満園庄太郎

30v満園英二

40v優也君のMarshall。
以前はVintage Modern2466を長い間愛用していたが、最近はBlind Birdのステージも含めてオリジナルのJCM800 2203を使用している。
キャビネットは1922だ。

50v足元のようす。

60コレでBlack Sabbathの曲を演ったとサ…ではあまりに味気ない。
一曲目はおなじみ「War Pigs」。

70実はですね、私、Black Sabbath、基本的にダメなんですよ。イヤ、「ダメだった」かな?
いつも言ってるように、私にとっての「ロック」は60~70年代中盤までのイギリスのロックよ。言い方を変えればハード・ロックとプログレッシヴ・ロック。生きている間は変わらないだろう。
パンク・ロックとかスワンプ・ロックとかソフト・ロックとか、まず率先して聴くことはない。聴くとすれば「勉強」のためだ。
今から38年か39年前に中学2年生の時に初めて買ったBlack Sabbathのアルバムが『Sabbath Bloody Sabbath(邦題:血まみれの安息日)』だった。プログレッシヴ・ロックに興味が移っていた頃だったのかな?
残念ながらナニひとつ刺激を受ける箇所がなくてバンドに興味を失ってしまったのね。(今聴くと何ら問題ない。こっちが年を取って子供に戻ったのだろう…)
一応、ファーストから『Mob Rules』までアルバムは全部持っているんだけど(正直、今回この記事のためにLPとCDの棚をチェックして案外持っていることに驚いた)、夢中になることはなかったし、ほとんど何も知らないに等しい。
でも、「お、カッコいい!」とすごく感心したのが、Marshallの創立50周年記念でZakk WyldeとKerry Kingが一緒にプレイした「Faries Wear Boots」だった。
お、そんな最近のことかよ!と笑わば笑え。
その次にZakkが演った「Into the Void」もすごく良くて。「ああ、Black Sabbathもいいもんだ」と思った。
大ゲサに聴こえるだろうが、今回のこの三人のアツイ演奏を聴いていて、ウェンブリーの時と同じ気持ちになってしまった。
ハイ、ここで気がついて頂きたいのは、すごく昔は使っていたけど、Marshall Blogでは「アツイ」という言葉を今は使わないようにしているのね、表現としてすごく安っぽいから好きじゃないの。
でも、ここは主義を曲げてでも「アツイ」と言っておきたくなった。

80v優也君とは長い付き合いだ。
だからこのプロジェクトのことを聞いた時、平気で彼に尋ねた。
「優也君、一体誰が歌うの?」
「あ、自分っす」
「え、大丈夫なのッ?」
…コレがなかなかにいいのだ。
そつなく「War Pigs」のあの有名なメロディを歌っちゃって!カッコいいゾ。

90vもちろんギターは水を得た魚だ。人間、好きなことを好きにやっている時の顔って実にいいもんだ。
100v
この恍惚とした表情!
Marshallがまた実にいい仕事をしとる!
Tony IommiはMarshallじゃないことが一般的に知られているけど、JCM900とか持ってるんだよ。
120
二曲目はファーストから「N.I.B.」。
詞を提供したGeezer Butlerによれば「恋に落ちた悪魔が次第に変化していい人になってしまう」という歌。
「N.I.B.」というのは「Nativity In Black」の略、またはごくまれに「Name In Black」の略とされていたが、実際はもっと簡単であることが後にGeezer Butler自身の口から語られた。
「N.I.B.」というのはそのまま「nib」ということで、「nib」とは羽ペンや万年筆のペン先のことだ。タイトルに困っていたGeezerは、Bill Wardのアゴひげがそのnibに似ていたので、そのまま曲のタイトルにしてしまったのだそうだ。
それだけだと芸がないので、文字の間に「.(ピリオド)」を置いてイタズラしたのだそうだ。
この曲がアメリカに渡った時、タイトルが独り歩きして「Nativity in Black」になっちゃった。「Nativity」とは「キリストの降誕」という意味だ。
ま、得てしてこういうもんよ。

125ところで、Geezerってのもアダ名なのね。イギリスの英語で「変なヤツ」という意味。
10年近く前、海外の展示会などで、私はメモ帳を首からブラ下げて「英語教えて!」といつもMarshallの連中につきまとっていた。コレは今でも時々やっているんだけど、期待しているのはもちろん教科書や日本で出版されている英語関連の本に出ているようなものではない。
現地の人たちしか使わないような「生きた英語」だ。アメリカ人には通用しないようなイギリスの英語。
コレがすごくおもしろかった。
連中も私から英語のことを訊かれるのがうれしいようで、「アレはどうだ」、「コレはどうだ」と一生懸命対応してくれる。
そうして教わった表現のひとつに「geezer」があって、「変なヤツ(変なオジサン)」という意味らしい。「Black SabbathのGeezer ButlerのGeezerか?」と訊くと「そうだ」という。
しかも、これは「ギーザ―」と発音しないで、うまくカナカナで表記できないが、本当は「ギーザハッ」みたいに発音するらしい。何度聞き直しても「h」の音が聞こえるのだ。
はじめフザけているのかと思ったら、何人もの連中が「そう発音していたのでウソではないようだった。
こんなの何年通っても日本の学校で習うことはあるまい。
反対に連中は「~さん」という日本の敬称がおもしろいらしく、私のことを「ギーザ―さん」とか「ギーザッハさん」とかと呼んで盛り上がっていた。
楽しかったナァ、あの頃は。
そんな仲間も会社を辞めたり、亡くなったりして、私もMarshallの中では心太作用でスッカリ古株になってしまった。

130続いては例の「Faries Wear Boots」。やっぱりカッコいい曲だ!

140vそしてBlack Sabbathのスタート・ポイント、「Black Sabbath」。

150v英二さんのドラムがワイルドでいかにもそれっぽいのだ!

160ロック史に残る名リフの「Iron Man」。このリフ、チョット恥ずかしい感じもするが、それに麻痺すると実に味わい深い。
それが名リフたるゆえんだ。

170「現代ロック論」、「現代ギター論」をMCで展開した優也君。
その通りだよ!ちょっとトゲがあるので優也君のセリフをそのままココに記すワケにはいかないが、私が同意したとあれば、その内容は容易に測り知ることができるだろう。
結論はBlack Sabbathみたいなロックこそ「ロック」!…ま、他にもいいのいっぱいあるけど、Sabbathがその一角であることは間違いないことを実証してくれた。

180v「かなりマイナーなレパートリーも組み入れた」という三人。
『Master of Reality』から「Children of the Grave」。「墓場の鬼太郎」か…。
この曲の他に『Vol.4』から「Snowblind」という曲も演奏された。

190v

Ronnie系のSabbath信奉者でない限り、Black Sabbathのトリビュートとなるとどうしてもファースト・アルバムと『Paranoid』からの収録曲にレパートリーが集中するね。やはりサバス・エキスがそこに凝縮されているのだろう。
そういえば、私の周りではファースト・アルバムのジャケットの女の人がホンモノの幽霊だ…と伝えられていたことがあった。「Black Sabbathってジャケットに心霊写真を使ってるんだってよ!」とビックリした。40年近く前の話しよ。
「ずいぶんハッキリ写ってるナァ」なんて子供心に思ったりもしたが、残念ながら(?)ホンモノの人間だった。
女性は名前すら忘れらていたが、ある時、Black Sabbathのコンサート会場に楽屋にフラリと現れてTonyに自己紹介したそうだ。
当然「アラま~、あの時の~?!」みたいなことになったのだろう。
後に明らかにされたことには、彼女はその日の撮影のために雇われたモデル兼女優さんで、名前をルイーズといったそうだ

200v他にも先述の「Into the Void」や定番の「Paranoid」もプレイ。

210v優也君だけでなく、庄太郎ちゃんも「Sabbathは疲れる」と言っていたが、好きな音楽にドロドロになるまで集中して取り組む結果がもたらすものだろう。
冒頭でも触れたが、Black Sabbathの魅力を再認識させてくれた三人にお礼を言いたい。

小松優也の詳しい情報はコチラ⇒Diary Of A MADMAN

220<後編>はこの三人…

B230v

B240

B250v(一部敬称略 2015年6月1日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)