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2013年10月

2013年10月31日 (木)

LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <前編>

鶯谷…山手線29駅の中で最も昇降客の少ない駅。いいじゃないの、セイセイして。
って、コレどっかで見た!っていうんでしょ?ハイハイ。ちょっと再利用させて頂きますよ。

10近隣には徳川家の菩提寺の寛永寺と上野恩賜公園があるため高い建物が周囲にあまり多くなく、東京23区の中でも最も景色のいい場所のひとつとされているそうだ。
それにしても台東区ってのは名所旧跡、祭りごとが盛りだくさんだナァ~。台東区のおまわりさんは大変だ。
クラシックな駅舎。まるでロンドン郊外のようだ。

20昔は寛永寺に京都からの僧侶を迎えることが多く、「江戸のウグイスは訛ってはる」と、京都のウグイスを連れてきたそうだ。それが月日を重ねるうちに鶯の名所になり、鶯谷という地名に落ち着いたそうだ。
かつては正岡子規もここに暮らし、近隣には「恐れ入谷」の鬼子母神がある。

30橋の上の駅舎を出て1分…

40橋を渡ったところに「東京キネマ倶楽部」がある。
もう何回もMarshall Blogに登場してきているが、改めて名所案内、そして道順案内的に紹介してみた。
50先日リハーサルの模様をレポートしたように、ここ東京キネマ倶楽部において9月21日と22日の両日にわたり『LIVE ROKUGENSHIN』が開催された。

山本恭司さんをはじめとした日本を代表するスーパーギタリストたちが奏でる日本の美しいメロディをテンコ盛りに収録したコンピレーション・アルバム、『六弦心』&『六弦心 vol.2』。

0506

そのライブ・バージョンが『LIVE ROKUGENSHIN』。
久しぶりの大型ギター・イベントだからね。「ROCK DAY」と「CROSSOVER DAY」と題された2日間のステージをジックリとレポートする。

60_2ズラ~リとステージに並んだMarshall。
JVMやら2203KKやらVintageModernやらJMDやらJCM2000やら…。
「六弦心」であると同時に「黒箱心」でもあるのだ。

10やっぱりMarshallって絵になるよナァ~。
前から言ってるけど、「ズラリと並んでサマになる」のは仮面ライダーとMarshallだけなのだ!(ウルトラの兄弟も許す)
しっかし不思議だよな~。他のアンプではどんなことがあってもこうはいかない。
並んだMarshallが魅力的なのは、単にデザインや黒と金と白の配色ということだけではないんだよね。
古いギターがそうであるように、Marshallにはロックの黄金期を作って来たというロマンが詰まってるからなんだな~。

20入口ロビーに飾られた出演者たちの愛器。

30バラエティに富んだ「六弦心」グッズ。

40定番のTシャツや出演者が実際に使った弦やピックを加工して作られたアクセサリー類もも人気だったが、ナント言っても変わり種は…

50コレ!
オリジナルのとうがらし。七味唐辛子から一味抜いて「六味とうがらし」。「Rock Me」なんてSteve Millerも薬研掘りもビックリのグッズじゃないの!

60開演直前のステージそでの楽屋…

70みんなヤル気満々!

80そして第1日目、『LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY』が始まった!

90このコンサートのホスト役、山本恭司がまず登場!

100v_2コンサートのテーマ・ソング的にバッキング・トラックに乗せて「君が代」を演奏。必殺の恭司さんサウンド!

110気合タップリのオープニングにコンサートへの期待は否が応でも高まるというもの。
130そして、オリジナル曲「Generations」。

120v冒頭からギターづくしの展開にギター・ファンはニンマリ。そう、今日&明日はゲップが出るまでギターを味わい尽くすギターの日本シリーズなのだ!

140vMCを務めるのは音楽評論家の大野祥之。恭司さんとはもう超長年の間柄だ。
私も恭司さん長いのよ、一方通行だけどね。
何せはじめてBOW WOWを観たのが14歳の時で1977年のこと。Aerosmith初来日の時だもん。

150このコンサートはいつかマーシャル祭りの時にやったのと同じで、バックは変わらずフロント陣がジャンジャン変わるという、「ギタリスト十人組手」方式。
コレ見てる方は内容がコロコロ変わって楽しいけど、演ってる方は段取りやら取り回しやら結構大変な騒ぎ。
しかし!一番大変なのはモクモクとバッキングに徹するバック・バンドの方々なのだ!

フロントの人はいいよ、曲を選んで自分の曲だけ弾いて「ハイ終わり」だからね。
ところがバック・バンドはタマらんよ。ギタリストが好き勝手に選んで持って来た曲をすべてさらって、全編弾き続けなきゃならない。目立たないし…。
しかも本番だけじゃないからね。リハも当然全部付き合わなきゃならない。
つまり、これが務まるのは相当腕がよくてモノ好きでお人良しのミュージシャンということになる。
今日もそんなスゴ腕のリズム隊が集まった!

キーボード、石黒彰

160vベース、二家本亮介

170vドラムは山本真央樹。もはやいわずと知れた恭司さんの息子さん。

180そしてここから六弦心ギタリストが次々と登場する。

トップバッターはD_Driveのふたり。

190vSeijiと…

200vYuki

210v2人は『六弦心 vol.2』に「どこかで春が」で参加した。

2202人とも自分のMarshallを持ちこんでのプレイ。
SeijiさんはJCM2000 DSL100EC。普通のDSL100にEC(Extended Check)フレットを施した日本限定50台で発売したモデル。同時にLC(Large Check)フレットを貼ったDSL100LCも発売された。あの時はカスタム・ショップなんて夢のまた夢で、私が独自にMarshallに企画を提出して作ってもらったモデルだ。
回りまわってSeijiさんに使ってもらえてメッチャうれしいわ!

230vYukiちゃんは同じくJCM2000のTSL100。

240vこの演奏を聴くと今年のNAMMを思い出す。
ここだけの話し、あの時、日本に帰ったらすぐにレコーディングしなければならないのにSeijiさんはこの曲のアレンジに苦心していたのだ。
元来Seijiさんはこの曲を知らず、シンプルすぎるネタの料理法に迷っていたワケ。
でも結果的には、「お、Seijiさんうまくやったな!」って感じ。

250vメロディに入る前に付け加えられたメロディが実にD_Driveらしい。一旦マイナーに入ってから本メロディにつないで明るい春の到来を暗示させている。

260vツイン・リードというD_Driveのセールス・ポイントをうまく活かした楽しいアレンジだ。
彼らのツイン・リード、自分達のオリジナルではよさが大爆発するのは当然なんだけど、SHARAさんをゲストに交えたワンマンで「Radio Magic」のメロディを2人が弾いたことがあった。あのカッコよさはいまだに忘れられん。
今日も思い出に残るステージになった。

270実はこの曲のライブ演奏は今回が初めてではなくて、CDがリリースされた時の記念イベントでも演奏している。

280あの時はチョット緊張していたみたいだったけど、今回は素晴らしいバック陣を得てふたりともス~ラスラと立板に水の演奏。Seijiさんの座右の銘通り「完璧」でござんした!

290Yukiちゃんにインタビュー。

300六弦心のライブに出演できたよろこびを述べるYukiちゃん。

最近はモノスゴイ人気のD_Drive。どこへ行っても会場は超満員。ああ、あのガラガラだった頃がなつかしい…あ、失敬!とにかく盛り上がっちゃってる!
やっぱり他にないからね、こういうバンド。オリジナルはやはり強いのだ!

310v続いての登場は原田喧太

320vYukiちゃんとのセッションでJeff Beckの「Savoy」。
みんなこの曲好きね~。

330喧ちゃんもいつも通りのJVM410H。

340誰もついてコレない速さでフレーズを積み上げるYukiちゃん。

350v観客の目はYukiちゃんの壮絶なプレイにくぎ付けだ!

355v対する喧ちゃん。スケールのバカでかいソロで迎え撃つ。

360そういえば、大分前、MODE FOURが発売になった時、アチコチで喧ちゃんとクリニックをやったんだけど、その時よくこの曲を弾いてもらったんだっけ。なつかしいナァ。

370vどんなフォーマットでも笑顔の絶えないYukiちゃん。本当にギターを弾くのが楽しそうだ。ま、これだけ弾けりゃ楽しいにキマってるわな。

380v迫真の掛け合いパート!

390大先輩の喧ちゃんとの共演に緊張した…ってんだけど、堂々たる弾きっぷりでした。

400vマァ~、最初からナントすごいパフォーマンスってことよ。

410続いて喧ちゃんのソロでCD収録曲「夕焼け小焼け」をプレイ。

430さすが!喧ちゃんらしいエモーショナルにしてワイルドなアレンジ、そしてプレイ。

420行く時はトコトンまでとめどもなく突き進んでしまうのが喧ちゃんのスタイル。
440vさすがにJVMを知り尽くしているだけあってサウンドも極上!この曲、こんなにヨカッタかな?
先日の「マサヤン天国生誕60祭」も感動したけど、今日もジンとくる「夕焼け小焼け」なのでありました!

450六弦心の詳しい情報はコチラ⇒六弦心Official Website

<ROCK DAY中編>につづく
(一部敬称略 2013年9月21日 東京キネマ倶楽部にて撮影 ※冒頭は9月19日付けの記事の一部を転用しました)

2013年10月30日 (水)

【緊急掲載!!】本日発売の伊藤広規ニュー・アルバム、そしてチャリティ・コンサート

『Water Color』、『ON EARTH/NEBULA』とここのところギタリストの松下誠とのコラボ作品のリリースが続いている伊藤広規。
そして本日、その3作目『FUTURE DAYS』がリリースされた。これにて3部作完結!

10cdさて、自分の音楽活動、山下達郎をはじめとするさまざまな音楽家との活動に並行して広規さんが力を入れているのが東日本大震災のチャリティ活動だ。
『FUTURE DAYS』発売のちょうど前日、つまり10月29日の昨日、シリーズで開催しているチャリティ・コンサートを取材してきた。

冒頭に広規さんからのごあいさつ。

20vそして、福島県南相馬市から駆けつけてくれた『いちばん星南相馬プロジェクト』というチャリティ団体の星巖理事長からさまざまな被災とその後の状況の説明があった。
テレビでは食品偽装や原発汚染水のニュースなどで毎日ゴッタ返していて、2年半前に被災されたたくさんの方が今でもさまざまな形でご苦労されていることを我々は忘れがちだ。
現地の方の生の声を聞くと、その現状に驚かされる一方だ。こうして普段と何ら変わりのない生活が遅れることに感謝せずにはいられない。

そうした被災者の方々の援助をし続けているのが広規さんのチャリティ・コンサートなのだ。
震災直後はずいぶんとあちこちで盛り上がったチャリティ活動だが、今ではあまりそんな声も聞えなくなった。広規さんはずっ~と続けている。

30vさて、コンサート。
今日はドラムレス。
ベース、サックス、ピアノというJim Hallもビックリの編成!

40テナー・サックスは北海道の広規さんの仲間、小野健吾

50v同じくピアノの工藤拓人。拓ちゃん。

60vそして親方、伊藤広規。

70v達郎さんやいわき等、大きいステージでは必ずMarshall 1992のフルスタックを使う広規さん。
今日のような小ぶりのギグにはさすがにフルスタックは不釣り合いだ。
で、今日はEDENの180W、2×10"のコンボ、EC210が使用された。

このNAMM2013で発表されたコンボ、すでにMarshall BlogではD_DriveのShimataroがデモ演奏で使用してその音質のよさやヌケの良さがズバ抜けて素晴らしかったことをレポートしているが、なるほどやっぱりスゴイ!

Marshall社のエラリー社長がMarshall Blogの1周年を記念するメッセージの中で触れているように、EDENはMarshallの保有するベース・アンプのブランドだ。

80そして、愛用のDIペダルWTDI。

95実は、今日のバンド・フォーマットがドラムレスと聞いて、正直楽しみにしていた。
ナゼか?
広規さんのお宝グルーヴが裸で味わえるから。裸ったって広規さんが脱ぐワケじゃないよ。脱ぎたがる人は後で登場する。
ベース1本でどれだけバンドをドライブさせるかが楽しみ…ということね。

100また、ドラムがいないんだからよせばいいのに、ノッケからゴリゴリのハード・フュージョン・チューン!
ところがコレがスゴイ!
ドラムがいない間隙を全部広規さんが埋めてっちゃう!

110演奏だけでなく、小野さんとはゆッる~いMCのコンビネーションもバッチリ!

115そこへまず加わるのが松下誠。

120vひとり増えてカルテットになった。これが今日のバックバンド。

130ついに『Water Color』、『ON EARTH』、『FUTURE DAYS』の3部作を完成させたNEBULAコンビ。

140誠さんのセンシティブなプレイ。

150ひとりでカッチリとリズムを背負う広規さん。やはり最高の組み合わせだ。

イヤ、しかしこのコンボ、EC210ってよくできてるな~。このヌケの良さは一体なに?ま、広規さんが弾いていることを大分割り引いても音が良い。
180Wなんでドラムが入ったらチトきついかもしれないが、今日はこれであまりにも十分。
音に芯があって、何よりも音色が深い!

155ここからは歌入り。
歌うは浦田Amazing健志

160vバンドはクインテットに。また雰囲気がガラリと変わる。

170Tom Waitsの曲やLeon Russellの「Tight Rope」、The Beatlesの「A Day in the Life」などなかなかクセのある選曲がうれしい。

180「A Day in the Life」ではポールのベース・ラインを完璧に押さえる広規さん。タマラン!メッチャかっこいい!

190vしかし、にぎやかで愉快な人だ、浦田さん。自分で「Amazing」と呼ぶ。
でも、本当にAmizingな声と歌いっぷりだと思う。また「Helter Skelter」聴きたい。
浦田さんはポール派なんだな?「A Day in the Life」のポールのパートを成り切り気分で歌っているのがほほえましい。
浦田さんの声で「Oh! Darling」や「Got to Get into my Life」や「I've Gotta Feeling」あたりを聴いてみたいと思う人は私だけでなあるまい。

この「A Day in the Life」、オーケストレーションは40人編成。それをもっと分厚くするために4回ダビングして160人編成のオーケストラにした。とか、最後のピアノの大フェルマータは3台のピアノを4人で同時に弾いて、ハーモニウムを加えて3回ダビングしたとか…。
昔の人は本当に偉大だ。
クリックひとつで何でもできちゃうデジタル・テクノロジーも便利だが、こうした先人が苦労して仕上げた音楽的遺産の前ではナント軽佻浮薄なことか…。ボカロはその一番いい例だろう。

200最後に三線を持ってもうひとり加わる。

210石垣島出身の華菜枝
240済んだ愛らしい声で「なだそうそう」と「ハナミズキ」を熱唱した。

220v広規さん、譜面ガン見。もっと譜面台を高くすればイイのに!でもおかげで写真が撮りやすいです。

230難関をスリ抜けて汗ばんだ広規さん。それを華菜枝がチャリティ・バンダナであおいでいるところ。

250そして全員集合。
このバンド、実はすごい。ナニが?って、北海道から石垣島までの人たちを網羅している!温度調節がムズカシイ?!

260Young Rascalsの「Groovin'」。
これはもう広規さんの『Relaxin' at IWAKI ALIOS』でおなじみね。

270浦田バージョンも男性らしくてよろしいな。

280可憐な声でハーモニーをつけてくれた華菜枝ちゃん。

290色っぽいソロに、深いバッキングにとスケールの大きなギター・プレイの誠さん。

300リハの時、Pat Methenyの「James」、Herbieの「Dolphine Dance」、Joe Hendersonの「Recoda Me」なんかを吹いていた小野さん。「My Foolish Heart」も吹いてな。
次回は広規さんとこれらの曲を本番で演って欲しいな。

310どの曲だったか忘れちゃったけど、ものすごいソロがあったっけ。もちろんすべてが素晴らしいプレイの拓ちゃん。
こういうフォーマットではピアニストのプレイが大きなカギを握る。

320最終曲、The Band の「The Weight」でコーラスをつける広規さん。
やっぱりすごうベース・プレイだった!
なんで、こう違うんだろうな~。広規さんとかオガンちゃんのベースってのは一度弾き出すと、まるで音を立てて(実際に音は出してるんだけど…)バンドが動き出すよのがわかるような感覚を受ける。
今日もタップリそれを味あわせて頂いた。

330vそして終了。
おもしろかった!

340さて、さてさて、ここで話題はチト変わる。
今日、2013年10月30日、広規さんと誠さんのコラボ作品の第3作にして最終作の『FUTURE DAYS』が発売された。
2人の他に青山純。Ma*To、マック清水、ゲストで北島健二なども加わった重厚なる一撃。
内容は他2作同様過去に録音されたものだが、何でまた今までオクラに入ってたのと誰もが首をかしげたくなるような仕上がりだ。

350『Water Color』、『ON EARTH/NEBULA』同様、今回もライナー・ノーツを書かせていただいた。
これで『Relaxin' at IWAKI ALIOS』、『A*I』に引き続き、連続で5作ライナーを担当させていただいているが、毎回書いていて実に楽しい。
ま、大した文章でないのが申し訳ないが、今まで書き澱んだということがない。聴いてすぐにドバーっと書いて、後は文字を切り詰める作業に時間をかける。実はコレが大変な作業なのだ。
何しろ書きたいことや言いたいことが山ほどあるから。
『Relaxin'』は文字数無制限だったので、1曲ずつ解説して、9,000字ほどブチ込ませて頂いたが、他の諸作は紙幅が限られていたので、もう縮めるのに一苦労!
この『FUTURE DAYS』をお手にされた時、我が拙文にもお目を通して頂ければ光栄至極である。

360ジャケットのデザインはやましたみか。みかさんとも『Relaxin'』からずっと一緒にお仕事をさせていただいている。私のヘタな写真を選んで、並べる。つまらん文章をスペースに押し込む。そのご苦労には感謝して余りある。
今回も3作を通して統一した雰囲気の中に一作ずつ内容を主張させているかのようなデザインが素晴らしい。

370ノリにノッてる広規さん。益々のご活躍を期待するばかりである。

伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規オフィシャル・ウェブサイト

380v(一部敬称略 ステージ写真は2013年10月29日 仙川Kick Back Cafeにて撮影)

2013年10月29日 (火)

黒猫チェルシー+OKAMOTO'S presents 『ミュージックヒストリーグレイテストゴールデン☆ヒッツラボセミナーゼミナール研究所』

本当にいい夜だった。
まずは黒猫チェルシーと再会したこと…。以前、何回かMarshall Blogに登場していただいたことがあった。

10黒猫チェルシーは…

ボーカル、渡辺大知

10vギター、澤竜次

20vベース、宮田岳…今日はキーボードを担当。

30v_2ドラム、岡本啓佑。

40v_2以前にもMarshall Blogに出て頂いた…というのは、そう、澤さんはMarshallプレイヤー。

50v_2JMP時代の(JCM800シリーズが出る1981年より前に製造された)2203に1960TVを使用している。
若いのに伝統に根ざした素晴らしいギター・サウンドだ!

60v_2さて、この『ミュージックヒストリーグレイテストゴールデン☆ヒッツラボセミナーゼミナール研究所』と題したコンサート…素晴らしい企画だった。
黒猫チェルシーとOKAMOTO'Sのメンバーが研究員に扮し、ロックの生誕から発展していく過程、を調査し、時代を象徴する名曲を再演するのだ。研究員だから白衣を着ている。

合間合間にはその時代の代表的な出来事を紹介するハマ・オカモトさんの愉快なMCがはさまれる。

勉強不足で申し訳ないのだが、「OKAMOTO'S」というバンド名はメンバーの名字が全員「OKAMOTO」さんだからなんですってね。
フィンガー5の「玉元」さんと同じか…って違うよね~。Ramonesと同じく「バンドメンバー皆兄弟」的な発想なのだそうだ。

70_2出だしは50年代のロックンロール期。

80v「Jailhouse Rock(監獄ロック) / Elvis Presley」と「Johnny B. Goode / Chuck Berry」が研究された。

90vやはり、長年の風雪に耐えてきたオリジナルは強い。諸説あろうが、やはり「ロック」をさかのぼればコレに突き当たる。

100_2若いのにメンバーたちも演奏が楽しそうだ。

11060年代のMods、British Invation期。
「Jampin’ Jack Flash / The Rolling Stones」。
続いて「The Kids Are Alright / The Who」 この曲が出るたぁビックリだ。

120The Whoのギタリスト、Pete TownshendなくしてはMarshallは生まれなかった。
ところで、この時代のThe Whoの音楽がレコード会社の都合によって日本にスムーズに配給されず、浸透しなかったのは、日本のロック・シーンのひとつの大きな悲劇といえるだろう。

130The Beatlesの「Ob-La-Di, Ob-La-da」。イントロのピアノはジョンが力いっぱいヤケクソで弾いている話しも披露された。
このタイトルはナイジェリア、ベナン、トーゴあたりの2000万人の民族によって話されているヨルバ語で「人生はつづくよ」というような意味。
ベナンへ行った時、現地の人にこんなことを言ってみる…「ツライことがあってもくじけてなんかいられない。これで人生が終わりってワケじゃないもんね!」
すると、現地の人は励ますように「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ!」と言ってくれるのだ。その時、絶対歌っちゃうな…。「デスモンド~」って。

140そして、Dylanの「Like a Rolling Stone」。
How do they feel?って訊かれて、人生、生きている内に体験してみたいことのウチのひとつ…ボブ・ディランの歌をネイティブのようにナチュラルに楽しむこと。
ビートルズは大分できるようになった。ディランの言葉もサッパリわからないワケではないが、もっと楽に理解したい。
Bob Dylanの一番好きな曲は「My Back Page」。なんか今の自分のことのよう。私も昔より今の方が若いような気がする。そうした一種の「あるある体験」をディランの歌で味わいたいのだ。
そういう意味ではBruce Springsteenなんかもいいんだろうナァ。Zappaの曲で好きなもののひとつは「Black Page」。

ジャズやファンクが好きなアメリカ人の友達がかつてスプリングスティーンはスキと言いだして驚いたことがあった。彼がそういう音楽を聴いていたなんてついぞ思いつかなかったし、私にはスプリングスティーンのよさがわからないからね。
彼が言うには「ブルースはオレたちのことを歌っているんだ。彼の歌に共感しない労働者はいないよ」。
イギリス人も同じようなことを言っていた。だからスプリングスティーンはSunderlandなどというイングランド最北の大して大きくない街まで入り込む。なぜならそのあたりはサッチャー登場以前、造船と鉄鋼で繁栄したエリアだからだ。一声で数万人が集まるのはアメリカと同じ。

そして、日本はこういう音楽環境にない。

150vここでGSを挟んで来た!実にうまい展開!
「バンバンバン / ザ・スパイダース」、「トンネル天国 / ザ・ダイナマイツ」。私が幼稚園の頃。
日本独自の軽音楽、GSが生まれたキッカケはもちろんビートルズだ。
このあたりのことを記した『さよならビートルズ/中山康樹(双葉新書)』というおもしろい音楽評論がある。
現在のロック・シーンがつまらないと思っている諸兄には興味深く読むことができるハズだ。特にレコード会社に勤める若い人には読んでもらいたいと思う。

160ロックがへヴィ化、アート化していった70年代前半を代表して選ばれたのは「Purple Haze / Jimi Hendrix」と「Smoke on the Water / Deep Purple」。
この時代のロックは間違いなくMarshallなくしては実現しなかった。
そしてすべてのロック史を通じてもっともクリエイティヴにして、一番カッコよく、最高におもしろい時代だ。

17070年代の後半に出現したパンク・ロック・ロンドンからSex Pistolsの「Anarchy in the UK」とニューヨーク・パンクからRamonesで「Do You Remember Rock’N’Roll radio?を演奏。

個人的にはこの後あたりからロックがメッキリおもしろくなくなった。
パンクとかニューウェイブというのはまったくの苦手。それでも『Never Mind the Bollocks』あたりは今聴くとナカナカいいよね。
プロデューサーのChris Thomasがこんなことを話しているのを聴いたことがある。「あれでもギターのパートは12回重ねた箇所があるんだ。そして、12回録るうち、ワザと一回もチューニングをさせなかった。チューニングを自然に狂わせて音を厚くしようとしたんだ」…これがパンクか?Pink Floydあたりがトライしそうな手法ではあるまいか?
この後、録音技術の進化にきれいに反比例するようにロックはドンドン幼稚化ししていった。おそらく今が一番ボトムではなかろうか?

180研究は日本のロックにも及んだ。
憂歌団の「嫌んなった」。こんな曲がでるとはネェ~。憂歌団、ヨカッタな~。
高校1年ぐらいの時に観て、それから大分経って就職して大阪に赴任した時に新御堂沿いのライブハウスで観た。大阪で観る憂歌団は格別だった。もちろん「嫌んなった」も演った。

190vそして、日本語ロック紛争の説明があって「はいからはくち / はっぴいえんど」。これも驚いたな。でも、私にとっても日本語ロックの最大のショックは頭脳警察だ。いまだに一番カッコいい日本語のロックだと思ってい る。
よくパンクの元祖とか言われるがやめてもらいたい。チョットとんがったロックをすべて「パンクの元祖」と形容するのは勘弁して欲しい。「punk」と いうのは「チンピラ」という意味だ。チンピラがゲーテの詩にメロディをつけたりはしない。

200_2これはずいぶん盛り上がっていた。サンハウスの「レモンティー」。サンハウスは名曲が多いからね。
以前にも書いたが、郡山市立美術館からご指名を受けて、200人以上の聴衆を前に鮎川誠さん、シーナさんと鼎談をしたことがある。お題は「スインギン・ロンドン」。
鮎川さんは『'60ロック自伝』という本を著しているほどのお方だ。何せリアルタイムだから滅法強い。「お弁当を包んでいた新聞でビートルズの名前を知った」なんていう話しをはじめ実に楽しかった。
その中で鮎川さんは自分の曲をその当時のロックに敬意を表した「改作」とおっしゃっていた。立派だと思った。サンハウスは今でも時々好きで聴いている。
今の若い人たちもなるべくオリジナル世代に近いロックを聴いて、いい部分を吸収して、そこに自分たちの感性を注ぎ込んで新しいものを作ってもらいたいと思う。つまらないモノをいくら聴いたところでおもしろいモノは絶対に出て来ないのはもう明らかなのだから…。

210v_2そして、今日う偶然に2回目の登場のフィンガー5で「学園天国」。これは時代や世代を超えて盛り上がるね~。曲がいいもん!

220v時代は80年代に突入。
「JUMP / Van Halen」、「Twilight / ELO」…。
「銀河鉄道999 / ゴダイゴ」、「タッチ / 岩崎良美」とつづく。

230vさらに、時代は下って「リンダリンダ / The Blue Hearts」、「空も飛べるはず / スピッツ」、「ガッツだぜ!! / ウルフルズ」…

240「Give it away / Red Chill Hot Pappers」、「Smells like teen sprit / Nirvana」
このあたりになると私の研究もおとなしくなってくる。レッチリは好きだけど。

250ここから先は演奏した曲を記す。

小さな恋の歌 / MONGOL800
大切なもの / ロードオブメジャー
リライト / ASIAN KUNG-FU GENERATION
恋のメガラバ / マキシマム ザ ホルモン

260Fantasista / Dragon Ash
ロックンロールは鳴り止まないっ / 神聖かまってちゃん
アルクアラウンド / サカナクション
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ / サンボマスター
280ここへ来て洋楽がまったく姿を消した。
こうして、近い将来アメリカやイギリスで作られる音楽が日本から姿を消し、日本は「音楽鎖国政策」を完遂する。
しかし、そんなことはお構いなしに若い観客は大喜びだ。

270_2アンコールではそれぞれのバンドのオリジナル曲を演奏した。
OKAMOTO'Sは「JOY JOY JOY」、黒猫チェルシーは「恋はPEACH PUNK」。

290双方とてもいいバンドだ。
それはこうしてキチンと音楽のルーツを研究し、自分たちの音楽に吸収しているからに他ならない。

300v_2それにしてもいい企画だった。アッという間の3時間半。
後半に入り、レパートリーが国内の最近のモノになるに連れお客さんの反応が良くなったのは仕方あるまい。
「The Kids Are Alright」で喜んでるオッサンは自分ひとりだったことも間違いない。
でも予想以上に若いお客さんが60~70年代の曲も楽しんでいるように見えたのはとてもうれしかった。

ハッキリ言おう。ワカモノよ!
君たちはまだロックの「ロ」の字も聴いていない!いや、聴かされていないのだ。
オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ!人生は長い。まだまだカッコいいロックが山ほど残されているゾ!
今f現在、その「カッコいいロック」は将来ではなくて過去にある。
その過去をぶっ飛ばすようなカッコいいロックをクリエイトして欲しい。そのためには、今は黒猫チェルシーやOKAMOTO'sのように過去のロックを勉強することだ。80年代のロックは過去ではないからね、注意。60~70年代のロックを研究する。
しゃがまなければ大きなジャンプはできん!

310黒猫チェルシーの詳しい情報はコチラ⇒黒猫チェルシーオフィシャルサイト

320(一部敬称略 2013年9月8日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2013年10月28日 (月)

『ウッポニウム・デヴァンダの新しいテキスト』~梅村昇史の作品展

先週末、Marshall Blogの一周年を迎えるにあたり、たくさんのお祝いや励ましのお言葉を頂きました。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
これほどまでに皆様のご支持を頂戴していると、もはや街中でヘタなこともできず、鼻クソをホジりながら中古CDを探すなどもってのほか!…などと改めて気を引き締めた次第です。
イヤ、中古CDを見る時は真剣ですので本当は鼻はホジりません。
そんなことよりも、とにもかくにも皆様に愛され、可愛がって頂けるような紙面づくりに邁進したいと思っております。
今後ともご指導ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、Marshall Blog、毎日ご覧になって頂いていらっしゃる方は毎日。一日おきにご覧になっていらっしゃる方は一日おきに御対面いただいているのがブログの先頭のバナー。

ことあるごとに触れてきたのでご存知の方も多いかと思うが、このバナーは梅村デザイン研究所を主宰する「下町のヒプノシス」、梅村昇史先生の作品だ。

10私はこの梅村さんの作風が大好きで、ヴィジュアル的なアイテムが必要な時は、ナニをするにも梅村さんにご相談させていただいている。

いつも「痒いところに手が届く」仕事をしていただいていて、はじめて出来上がった作品に接する時、「オーッ!」っと感動の声をあげてしまうのを常としている。

それもそのはず、ヒプノシスは言うに及ばす、カル・シェンケルやソウル・バス、果てはデヴィッド・アレンの線描画まで私の趣味が氏と似通っているのだ。
また、梅村さんは私のフランク・ザッパの師匠でもある。ロック、ジャズ、クラシック、現代音楽に及ぶ幅広い音楽の知識やそこから発する独特の音楽論はいつも私を刺激してくれる。

20その梅村氏が作品展を開いた。「梅村作品のお祭り」だから「うめまつり」だ。
時期が大幅にズレているところも梅村さんらしくておもしろい。

30梅村さんの奥さまの渡辺千春さんもとても素敵な作品を輩出しているイラストレーターだ。先だっては「うめまつり」に先行して作品展を同じ場所で開催した。
40会場は東陽町のレコード・ショップ、ダウンタウン・レコード。
おシャレな店内にストックされているLPは一枚一枚まるで宝石のように大切に取り扱われていて実に気持ちがよい。

45CDのジャケットからタクシー会社のウェブサイト、近くの鍼灸院のチラシ…とありとあらゆる仕事をこなす梅村氏。柔軟性も抜群だ。
で、今回の作品展は「本とレコード」をテーマに作品が出展された。
60
ここはCDジャケットやアーティストのパンフレット等の展示。

65梅村デザイン手法のショウケースとなっている。

70これは泣く子もダマる大人気の「在日ファンク」のCDジャケット。

80梅村作品の大きな特徴のひとつであるメルヘンチックなタッチ。

90

100このあたりは子供向けの絵本の挿絵。

110梅村さんの作品はたいてい登場人物がニコニコしている。

120着色も柔らかいものが多く、意匠もさることながら、絵の可愛らしさにいつも感心してしまう。

130これはJimi Hendrixの『Rockin' the USA』シリーズのジャケット。

140同シリーズ。
160Shige Blogのバナー。
そのとなりはMarshallの日本語版カタログの表紙。これをはじめて見た時は感激した。古今東西、楽器の日本語版カタログの表紙でこれよりカッコいいものはないと思ってる。

150これはSoft Machineの『Floating World Live』の日本版に使われたイラスト。

170今回の作品展の告知ポスター。可愛い!

180手掛けたCDジャケットの実物。
ところで私の持っている『Garden Shed』のCDってレコード針のスクラッチ・ノイズがエラク目立つんだけど、皆さんのはいかが?

190これは今回の作品展用に描き下ろしたイラスト集。
50可愛いものからキテレツなものまで見ていてまったく飽きない。

200コレ、真っ白のLPジャケット、すなわち30cm四方の白い厚紙の真ん中に穴が空けてあって、そこにレコードを入れるとレーベルが穴から顔を出し、作品が完結する仕組みになっている。

210線描、着色にはマーカーを使っている。

220音楽関連の作品。
これは2009年にZappa Plays Zappaが初来日した時の宣伝用チラシ。都内レコード店でイベントまでやったんだよね。
思えば植村さんのご紹介で、あの時はじめて梅村さんにお会いしたのだった。

2307枚組のFrank Zappaのボックス・セット。

240これも氏のデザインだ。

250収納されている7枚のCD。もちろんこのレーベルも梅村さんの作品だ。

260Soft Machine、『Floating Live』の実物。(CD盤はアタリです)

270『The Soft Macine Legacy』のCDジャケット。(CD盤はアタリです)
梅村さんお得意のコラージュ技法。
290Clint Eastwood作品の関連サントラ。Lalo Schifrinってアルゼンチンの人なのね?知らなかった!

280Jimi Hendrixの『Rockin' the USA』シリーズの実物CD。

310弘田三枝子の『サルサ人形の家』。以前、SHOW-YAのところで紹介したヤツ

300本邦初公開。
これはおなじみの田川ヒロアキの『Ave Maria』のオリジナル・アイデア。まだタイトル名も入っていない。

Ht2これも同様。
双方私の撮った写真を使ってデザインされている。LPで見てみたかった!

Ht3 ガラリと代わって制作サイドの意向で最終的にはこのデザインとなった。
これもカッコいい。
私なんぞの写真をどれもこんなにカッコよく使ってもらっちゃって!「馬子にも衣装」とはこのこった!

Ht1
これはGreatful Deadの本。タイトルはよく見ると「スケルトンキー」とカタカナで表記されている。

320以下は、梅村さんが創作した架空のシングル盤ジャケット。これがまた楽しい!
LPもそうだけど、この正方形の中の意匠というものは独特の世界を作り出す。

330これらのレコードは会場で販売されている。ただし架空のレコードなので盤は関係ないものが入っている。あくまでもジャケットのデザインを味わう。

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370このあたりなんかこのまますぐ「おかあさんといっしょ」のサントラに使えそう。

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得意の架空のZappa作品。

390しっかし、うまいこと描くな~!

400
これは氏が制作したZappaの架空のLiveアルバムのジャケット。私の宝物。ものすごくよくできていて、最近のZappaの作品のジャケットよりはるかによろしい。
Joe Traversももうデザインを梅村さんに任せればいいのに…。
ちなみにZappa Pays Zappaが初来日して渋谷のO-EASTに出演した時、Jamie Kime他のメンバーとあのさかの下のラーメン屋に言った。
みんな味噌ラーメンの熱さにヒーヒーいいながらおいしそうに食べてた。餃子が人気だった。
Joeはコーラを頼んだが、お店に置いてなくてスタスタ外へ出て行って自販機でコーラを買って戻って来た。ゼンゼンそういうの平気なのね。
私はお腹が空いていなかったのでビールを飲んだ。みんなにもすすめたが、「ビールなんか飲んだら演奏できなくなっちゃううよ!」と誰も口にしなかった。やっぱ毎晩弾いてても大変なんだね…Zappaの曲。

Ud_img_7159 これは見たことがある人も多いのでは?

405そう、オルゴールつきCDとして発売になった。

406梅村さんのセンスのよさはこうした線描のようなシンプルな作品でより強調される。

410「David Allenがスキ」というのも大いにうなずける。

420でも、本人曰く「私は絵描きではなくて、デザイナーなんですよ…」。
しかし、こんなん絶対描けんな…。

425これはCarnationのTシャツのデザインで不採用になったもの。すごくいいのにナァ。

430

これは、奥様の渡辺千春さんの作品。千春さんのイラストをポチ袋にした。作っても作ってすぐ売り切れちゃう!ウチの家内も今回ようやくゲットできた!

460こちらも千春さんが取り組んでいる豆本。メッチャよくできてる!
この豆本のおかげでメガネを新調することを決心。帰り道にすぐ作ってもらえるメガネ屋さんに寄ったよ。
でも、私は自分のメガネをその場で受け取ることができなかった。え、ナゼかって?遠近両用は時間かかるんだってサ!
毎日一日中、ずっとパソコンに向かってりゃ目も悪くなるわな。え、PC関係ない?ハイ、その通りの老眼です。

470私が梅村作品が好きな理由は、まず「品がある」ということ。そして、総じて可愛らしい。遊び心も満ち溢れている。何と言うか、見ていてイヤなところがまったくないのだ。
加えて、50~60年代、もっとも洗練されていた時代の欧米の意匠をキッチリと学び、それに流されることなく独自の世界を築いているということ。
そ して、「足し算と引き算の妙」とでも言えばよかろうか、アレを足しても、コレを削ってもダメ…というギリギリのバランス感覚が素晴らしい。これは色彩につ いてもいえて、作品の中で使われている色すべてが全力で引っ張り合って、あるいは押し合ってバランスを取っているような印象を受けるのである。

そんな梅村ワールドをこの作品展でタップリと味わっていただきたい。

梅村昇史の作品展は、10月25日(金)から11月4日(月)pm1:00~pm8:00、江東区東陽町ダウンタウンレコード(03-3645-0155)にて開催中。
※29日(火)と30日(水)はお店の定休日になりますので展示もお休みとなります。

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梅村昇史の詳しい情報はコチラ⇒梅村デザイン研究所/パンプロファクトリー

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(一部敬称略 2013年10月27日 東陽町ダウンタウンレコードにて撮影 ※記事中には実際に展示されていないアイテムも掲載されています)

2013年10月25日 (金)

祝!Marshall Blog一周年!

自分で「祝!」というのもおかしな話だけど、うれしいので素直に祝わせていただきます。
Marshall Blog、今日でちょうど丸1年!祝!

去年の10月29日にスタートしてアッという間に1年が過ぎちゃったよ!

最近ではコンサート会場でお声をかけていただくことも稀でなくなり、Marshall Blogの浸透度には驚くばかりです。本当にうれしい!これもすべて皆様のご協力の賜物。
ご支援をいただいている方々にはこの場をお借りしまして、心から感謝申し上げる次第でございます。
 
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さて、今日のMarshall Blog一周年を記念して(身内ですけど…)イギリスのMarshall Amplification本社のJonathan Ellery(ジョナサン・エラリー)社長からメッセージが届いたので紹介させていただきます。

Je1「みなさん、1歳の誕生日を迎えたMarshallのオフィシャル・ブログにようこそ。
このブログは我々のアジア&オセアニア地区マネージャーのShigeによって運営、コントロールされてます。100%オフィシャルの日本のマーシャルのブログです。」

「毎日更新されるレポートや素晴らしい写真の数々をお楽しみいただいていることと存じます。もしあなたのお友達が音楽シーンで何が起こっているかを知りたがっ て いるとしたら、このMarshallのオフィシャル・ブログこそ、彼らが訪れるべきサイトだということを忘れずに教えてあげてください。
そして、もしあなたがMarshall Blogを見逃せば、それだけ他の人に先を越されてしまうこと も忘れないでくださいね。」

「Marshall Blogをいつもご覧いただいている皆さまにおかれましては、Marshallは今やNATALやEDENを傘下に組み入れていることをご存知でしょう。 そして、年々それらのブランドが、Marshall Blogにおいてもとても重要な話題になっていくであろうこともご理解いただいていると思います。
ですからベーシストの皆さん、ドラマーの皆さんはもちろん、すべての音楽愛好家の皆さんにMarshall Blogをお楽しみいただけると思っています。」

「開始から1年、Marshall Blogはますます強力なものになってきました。この機会をお借りしまして、この1年にわたりご愛読いただいた皆さま、ご協力を頂戴した皆さまに厚く御礼を申し上げます。

また、ご登場いただきましたアーティストやバンドの皆さま、そして少なからずShigeのたゆまぬ努力なくしては成り立たなかった1年であり、心から感謝申し上げます。」

キープ・ブロギング、キープ・リーディング

社長 ジョナサン・エラリー

(原文後出)

エラリー社長、ありがとうございました。
Je2それにしてもこの1年は早かったな~。
以下、この1年に撮った写真を交えて現況の報告とお詫びとお礼とお願いを書き連ねさせていただく。

Mb_img_7687 この1年で300近い記事をアップした。
以前のMarshall Blogから通算すると1,200以上の記事を書いてきたことになる。
さすがにひとりでやっているものだから、同じことや似たようなことを何回も書いてしまっていることは承知している。
ライブ・レポートの掲載タイミングが1月遅れになってしまったり、『ロック名所めぐり』も休止状態、『Music Jacket Gallery』に至っては1年以上前の展示品を解説している始末だ。
そして、記事の制作にご協力いただいている皆様にはご迷惑をおかけしっぱなしで忸怩たる思いでいっぱいだ。
Nya1_img_7425 しかし、決してサボっているワケでもなく、「平日一日一回更新」を基本ルールに据えていることがこの現象の主たる原因だ。
つまりインプットの量がアウトプット量をはるかに多いということだ。
しかし、たったひとりでやっていると、これぐらいのネタを常時ホールドしておかないととてもではないが回転していかないのだ。
また、出演者の多いイベント系の記事はどうしても内容が膨らんで複数のエピソードにまたがってしまう。
100vさらに、素晴らしいショウやMarshall Blog精神に合致したコンサートは仔細にレポートしたいと思うし、写真で生計の一部を立てている身としては、いい写真が撮れた時はできるだけ多くの画像をアップして皆さんに楽しんでいただきたいとも願っている。
310v 一方では、10kgを超すカメラを首から下げて老体にムチ打ってコンサート会場をかけずり回ったり(腰がタマらんのよ!)、ない文才を無理やりに絞り出しては、身を削るようにして文章を綴るのもなかなかの労苦でしてね。
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でもね、撮った写真を適当に並べて、「ハイ、行って来ました」…という無責任なレポートだけは避けたいと思っていて、同じく身を削って自分の音楽を創作しているアーティストに対して失礼のないよう、記事を制作するにあたっては、一回一回心をこめてシャッターを切り、一文字一文字楽しみながら読める文章を書くように頭をひねっている。

10 それと、もうひとつのMarshall Blogに込めた情熱は、「伝承」だ。私はやっぱり60年代後半から70年代前半のロックこそが最もクリエイティビティに富んだ最良のロックだと思っている。
そうしたロックが「クラシック・ロック(海外では「ダイナソー・ロック(恐竜時代のロック=クソ古いということ)」などと呼ばれてどんどんリスナーが減少していく恐ろしい状態を少しでも食い止めたいのだ。
110_2それと並行して洋楽の絶滅を遅らせたい。2010年には邦楽:洋楽の比率は74:26だった。それがここ1~2年の間にとうとう洋楽のシェアは20%を切ってしまったようだ。近い将来、絶滅かそれに似た状態に陥ることは避けられないだろう。
Jimi HendrixやLed Zeppelinがない世界…こんなの考えられる?
でも、今の若者はそういう世界に生きているのだ。

410 NazarethやParisとは言わない、人間として生まれて来たからにはLed ZeppelinやDeep Purpleを楽しむ権利があるのではなかろうか?
若者は知らないだけなのだ。儲けになりにくいものを大人が取り上げて隠しているだけなのだ。
我々がお世話になったいいロックをMarshall Blogを通じて教えてあげたいのだ。
これは「大きなお世話」ではなく「ロックへの恩返し」だと思っている。

…とかなんとかエラそうなことを言っていても、ナント言ってもMarshall Blogの原動力は読者の皆さんのご支援とご協力頂く方々のご厚意だ。

60v おかげさまで取材に赴いた際、「やった!とうとうマーブロに出られるゾ!」とまるで成功の一端をつかんだようによろこんでいただくミュージシャンも少なからずいてくださるのだが(←コレこちらは最高にうれしいもんです)、Marshall Blogのステイタスをそこまで引き上げてくだすったのは読者や支援者の方々にほかならない。
本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

90_2 それにしても、Marshall Blogをやっていて、こんなアンチ・デジタルおやじでも1年で世の中の変化を痛切に感じるのは、facebookやTwitterの存在だ。
数年間にMarshall Blogを始めた時には「いいね!」の「い」の字もなかった。イヤ、あったのかも知れないが、少なくとも気にするような相手ではなかった。

Pg_img_1862 それが今ではfacebookはMarshall Blogの更新を通達する大切なツールになった。
このブログの運営サイトにはどこを経由してMarshall Blogへたどり着いたのかがわかる機能がついている。

190v
それを調べるとわかるのだが、Marshall Blogへは、何といっても毎日ご愛読いただいていらっしゃる方々のダイレクトなアクセスが一番多い。ありがたいことだ。
そして、次に来るのがおそらくfacebook経由のアクセス。登場する内容が若者向きだと圧倒的にTwitterからのアクセスが増加する。
本当にこのfacebookやTwitterというSNSが生活の中心に存在していることを実感しているのである。

130
しかしね、今から45年ぐらいまでは家に電話ないのも珍しくなかったのよ。電話のない家は、電話が引いてある家の電話を使わせてもらってたんだから。
名刺にまで平気で人の家の電話番号を載せて、その末尾に(呼)なんて入れていた(らしい…その頃は子供だったのでさすがに本物は見たことがない)。
90
ウチは小さい頃アパートをやっていたので、階上の住人に電話がかかってくると、よく呼びに行かされていたものだった。
そんなんでも特段困ることはなかったハズだ。「連絡がつかなきゃ仕方ない…」で済んだのだ。
それが今では「携帯依存症」だなんてね~。
科学の進歩をどうこういうつもりはないのだが、そうした利便性が犯罪を誘導してしまうのが困り者だ。
facebookにしても、もう犯罪がからむようになって来た。私は近い将来、「いいね!」をした、しないで大きな事件が起こってもおかしくないとおもっている。ちっとも「いいね!」ではないのかもしれない。

100オッと!話がまたそれてしまった。Marshall Blogの歴史、すなわち脱線の歴史だから…。
で、何がいいたいのかというと、私の見識不足をタナに上げての話で恐縮なのだが、Marshall Blogの巻末にもついている「いいね!」について。
これは今のマーブロになって始めてみた。

190
このカラクリは一体どうなっているんですかね?
記事上の「いいね!」の多寡と実際のブログ本体へのアクセス件数がほとんど比例しないんだよね。コレはそういうものなのかしらん?

Ttc_img_6012つまり、記事内の「いいね!」の数が多い割にはアクセス件数はかなりの低空飛行。反対にアクセス件数が爆発的に多い割には「いいね!」が雀の涙…なんてことがよくあるんですよ。両方ドカッと来ることはかなり珍しい。
どうしたって実際のアクセス件数を重視せざるを得ないので、「いいね!」の数の動向に拘泥しないようにしているが、世間体ってものもあるからね…というのが人情だろう。まったく不可解だ。
「いいね!」の件は以上。

Sbl_img_4667これからもおもしろい記事づくりに全力を注いていくつもりです。
相変わらずのご支援をお願い申し上げます。
ですので、お読みいただいて、「いいね!」とお思いになったら下の「いいね!」を押してやってください。やっぱり「いいね!」ゼロだと寂しいもんね!

Km_img_9246最後にこんなヤドロクを見捨てず、文句ひとつ言わず心のこもったサポートをしてくれる家内にも深い感謝の気持ちを送りたい。

260あ~あ…またグジュグジュ書いてしまった!ま、これも一種のカタルシスということでご容赦くださいね。

1年間、たくさんの人と再会し、色々な人と出会った。これもMarshall Blogのおかげだ。
本当に楽しい1年だった。

150これからもMarshall、NATALそしてEDEN製品を何卒よろしくお願い申し上げます。
さ、月曜日の記事かかなきゃ!

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<ジョナサン・エラリー・メッセージ原文>
Welcome everyone to the 1st birthday of the official Marshall blog, run and controlled by our Asia and Oceania Region Manager, Shige and the only 100% official Marshall Blog of Japan.

I hope you have all enjoyed reading the reports and looking at the amazing pictures that are posted on a very regular basis. Don’t forget to tell all of your friends if they want to know what is happening in the music scene that the Official Marshall blog is the place to visit every day. Remember if you don’t visit you will miss out and everyone else will know more than you.

All of you who are regular followers of the blog know, Marshall now has Natal Drums and Eden Bass lines and over the next year the information on these will become a very important part of the blog material. So for all you Bass players, Drummers and music lovers alike the Marshall blog is the place to be, so tell everyone.

So one year on and the blog goes from strength to strength, I would like to take this opportunity to thank everyone who has visited the blog over that last year and everyone who has contributed to the blog. Also a big Marshall thank you to all the individuals and bands that have appeared on the blog and not least Shige as without his tireless effort none of this would have been possible.

Keep bloging keep reading

Jonathan Ellery MD Marshall

(写真と文章の内容には関連性は一切ありません。お写真を掲載できなかったご関係者の方々にはこの場でお詫び申し上げます。これはひとえに紙幅の関係によるもので、他意はございませんことご了承願います)

2013年10月24日 (木)

series epitaph vol.1 ゲキ × ソニック!~サイケデリック・ペイン編

『ゲキ×ソニック』、続いての登場はサイケデリック・ペイン。

10_3詩音(福士誠治)

30v_2魁人(綾野剛)

40v_2麗次(内田朝陽)
140v_2準(前川紘毅)

60v_2翔太(松田翔)

65vそして、サポートでSKOMBから岡崎司。

70v_2「サイケデリック・ペイン」とは、2012年に上演された劇団☆新感線のロック・オペラのこと。
日本を代表する作詞家、森雪之丞の作。音楽は布袋寅泰、演出は劇団☆新感線のいのうえひでのりが手掛けた。

80_3森さんと劇団☆新感線は、これまでにも『五右衛門ロック』、『蛮幽鬼』、『薔薇とサムライ ~ GoemonRock OverDrive』等の作品を発表し、大きな支持を得てきた。

90_3森さんは「いつか自分でロックオペラを作ってみたい」という野望も抱いていて、3年前には『サイケデリック・ペイン』の第1稿を書き上げていたという。
その後、少しずつ手を加え、磨き続けてきたという大切な作品なのだ。
また、これまで映画音楽を多数手がけてきた布袋さんだが、舞台音楽に携わるのはこれが初めてだそう。テーマ曲、『神様(ジーザス)!アンタに喧嘩を売ってやる!』他、約 20曲すべてのナンバーを書き下ろしたという力の入れよう。

100_2その劇中で演じられたバンド、「サイケデリック・ペイン」がライヴで復活したというのが今日のショウというワケ。

ま、我々世代で「ロック・オペラ」といえば、まずThe Whoの『Tommy』。
CD『Live at Leeds』のDeluxe Editionの2枚目には『Tommy』の全曲が演奏されているが、それと同じだね。

私はケン・ラッセルの映画の方から『Tommy』に入った。中学1年の時、日比谷のスカラ座へひとりで観にいったのだが、「クィンタフォニック・サウンド・システム」とかいって、巨大なPAスピーカーを上映室の4隅に配置して繰り出されるサウンドに仰天した。
ご存知のように映画『Tommy』にはセリフがひとつもなく、すべて強烈なロック・ナンバーで物語が綴られていることにも驚いた。ま、「強烈」というのは、ロックを聴いていなかった時分の話しなのだが…。プログラムを手にして「フ~ン、エリック・クラプトンっていう人は有名なのか…」なんて時代がなつかしい。

110_3『サイケデリック・ペイン』はキャスティングにも1年半という膨大な時間をかけて行われた。そして、人気と実力を兼ね備えた粒揃いのメンバーが集まってこのロック・オペラが実現したのだ。
50v_3ここでも当然Marshall。
綾野さんもJVM410Hと1960Aを使用。ヘッドは写真には写っていないが、ソデにセットしてある。

120vベースはSKOMBからの流れでそのままVBA400とVBC810のセットを使用。やっぱ音いいナァ~。

130v_4岡崎さんもSKOMBの時と同じJVMのセット。

150vゲスト・ボーカルで3曲目から登場したレディ・パンドラ(片瀬那奈)。

155v_2那奈さんの役どころは、主人公の詩音が立ち向かうところの「秘密結社ダークネス」のセクシー・デビル。

160_4「デビル」というにはあまりにも可愛くて華やか!こんなデビルなら…デヘヘ、いいナァ。

170_3「”悪”ってなあに?」
いつも日曜日の朝、テレビでお見受けしているが、イヤ~、実際の那奈さんの艶やかさといったら!楽屋の廊下でスレ違う度にドキドキしてしまったよ!
歌の方もバッチリ!とにもかくにも、この「レディ・パンドラ」という役どころをとても楽しんでいるように見えた。

185このロック・オペラは森さんがロック・アーティストに曲を提供する際に常に意識している「天使と悪魔」がモチーフになっている。
180v「人間は天使と悪魔のハーフ。誰の心にも天使と悪魔はいる」というテーマが礎にあるのだ。
こうした二律背反をテーマにした劇作は多いが、この『サイケデリック・ペイン』はその魅力的な音楽も手伝って傑作のひとつに数えられることだろう。

190_2こうして音楽だけを切り取って上演するだけでも楽しくゴージャスなロック・ショウになっているのはそのいい証拠なのだ。

195以前より何回かMarshall Blogに書いてきているが、私はミュージカル好きでしてね。
ロックのミュージカルの挿入歌というのは単独で書かれる曲とは違う魅力を持っていると思う。

200_3ドラマの中で使われている曲だから、ストーリーというものがあって、当然歌詞は前後の流れを汲んでいるハズ。そこを無視していきなり曲を切り売りするところに別のドラマ性を感じ、そこを楽しむのだ。
210_3オペラの上演にあたり、出演者も猛練習をしたと聞いたが、なるほど完璧な演奏!

220v_2コーラスなどはお手のもの!

250v_4エキサイティングなパフォーマンスで会場を揺るがす!

260v_2緩急自在、ダイナミクスに富んだ松田さんのドラミングがまた素晴らしいね。
270_4髪を振り乱してソリッドにギターを弾きまくる!背は高いし、アタマちっちゃいし、男の私が見てもカッコいいわ~、綾野剛。

240v_3本日出ずっぱりの岡崎さんも完璧にギターパートをサポートする。

230v_21曲演奏されたインストもすごく良かった!

20_4照明も最高に美しく、出演者の表情や曲の情感を実にうまく引き出していた。

216実際には『サイケデリック・ペイン』を観ずしてこのコンサートに臨んだワケだが、断然、お芝居の方を観たくなってしまった!再演時は見逃せないぞ、コリャ!

275劇団☆新感線の詳しい情報はコチラ⇒劇団☆新感線オフィシャルサイト

280v(一部敬称略 2013年9月14日 渋谷AXにて撮影)

2013年10月23日 (水)

series epitaph vol.1 ゲキ × ソニック!~SKOMB編

満員御礼の渋谷AX…

10_2今日最初の出演はSKOMB(スコンブ)。
そう、マイクを握っているのは、Marshall BlogではD_Driveとの共演やClassic Rock Jamでおなじみの…

20_3冠徹弥

30vそして以下初登場していただく…
ギター、岡崎司

40vギター、高井寿

50v_2ベース、大桃俊樹

60vキーボード、松田信男

Pp_img_1723そして、ドラムは梅棹裕也。

80vShinkansen Kanmuri Okazaki Metal Batteryの頭文字を取ったのがSKOMB。
Shinkansenとは「劇団☆新感線」のこと。
230v劇団☆新感線の芝居の曲をピュアなへヴィ・メタルで聴かせるバンドがSKOMBなのだ。
180_3筋金入りのメタラー、冠さんがフロントだけあって、これがすさまじい演奏!
160_3そして、メタルとくりゃ当然Marshallよ。イヤ、Marshallでなくてはならないのだ!
90_2岡崎さんはJVM410Hに1960A。

100v_2高井さんもJVM410Hと1960A。

110_2このJVMのコンビネーションが絶妙なギター・アンサンブルを織りなすワケ。

120_3派手なアクションをキメてステージ上手を彩るMomo。

130v_3大桃さんもMarshall。VBA400にVBC810のセット!

140_2ステージはとにかく冠さんのペースで激情的にハードに展開していく。

150_3オリジナル曲の他に、なんと!井上陽水の「氷の世界」をカバー。
昔からハード・ロックっぽい曲だと思っていた。イントロがまずそれっぽいもんね。
でもSKOMBはその上を行くドハードなアレンジ!お見事!

170v2人のギター・ソロもタップリとフィーチュアされる。
200vベテラン・ギタリストのテクニックの応酬。

190v_2しかし、十分にメロディック!

210v「速弾き、速弾き!」と冠さんからリクエストを受けテクニシャンぶりをアッピールする高井さん。

220_2フロント陣をガッチリとサポートするキーボード…

250v_3そしてパワフルなドラム!

260_2MCに歌にアクションに、常にコミカルな要素を織り込む冠さん。ひとときも目が離せない。
最高におかしかったのは、最前列のど真ん中に次のバンドを目当てに会場にきたのであろう、やや年配の女性の方がいらっしゃって、この方がまたテコでもSKOMBの演奏に反応しない。二コリともしない。
それを冠さんが見つけて、ガンのつけ合い、飛ばし合い…もうこれがおかしくて、おかして!

240_2そして、怒濤のベースソロ。

270_36弦ベースの幅広い音域を利用した多彩なプレイ!

280_3VBAとVBCのコンビネーションがそのプレイを劇的にサポートする!

290v_2冠さんは衣装替え。この格好は…?

300_2「バーツ!」で会場全員がひとっ飛び!
320_3この手の音楽はや~っぱりMarshallだよね!SKOMB大正解!

310_2あまりライブをしないというSKOMB。
どこかでライブ情報をつかんだら是非ともお出かけいただきたい。
おもしろいし、スゴイし…最高です!

330v_2冠徹弥の詳しい情報はコチラ⇒あれが野獣の眼だ!
岡崎司の詳しい情報はコチラ⇒SMILY'S STUDIO

340v_2劇団☆新感線の詳しい情報はコチラ⇒劇団☆新感線オフィシャルサイト

350_3<後編>につづく

(一部敬称略 2013年9月15日 渋谷AXにて撮影)

2013年10月22日 (火)

大谷一門会~ギターバカ一代<後編>

最近、六嶋由岐子という古美術商や美術関連の翻訳の仕事をしている方の『ロンドン骨董街の人びと(新潮文庫)』というエッセイを読んだ。
中古レコードに興味はあっても、私は別段骨董に興味はない。時折読んでいるイギリスやロンドン関連の本の中の一冊ということにすぎないのだが、おもしろいことが書いてあった。少し長いが引用させていただこう。

「もしも、よりよい生活をめざしてこつこつと働き、子育てのために生活基盤に執着する現実的な『利口者』だけがこの世に生を享けるのであれば、なるほど人類の生存にとっては合理的だったことだろう。」

とやっておいて…、

「しかし、創造主は、そんな人の世の青写真を描いてみて寒気がしたのである。ロマンや美学、冒険に無縁な生き物など退屈だし、それらが群れ集う光景となると想像しただけでおぞましい。もしかしたら人の世を彩るのは、生存不適正な連中ではないか。」

ひとことで言えば「マジメ」くんばかりじゃどうにもならんということね。そして、創造主はどうしたかというと…

「そう思いついた神様は、木の実の採集や皮むきがへたな者や、貨幣の勘定にジンマシンが出るような輩が、淘汰されないようにと知恵を絞った」

もうここまで来るとおわかりですな…

「(神様は)彼らを生かす方法を考え出し、手品師から売春婦、画家、俳優にいたるまでのありとあらゆる職種が」取りそろえたのだという。」
原著ではもう一歩突っ込んだ箇所で古美術商という職業が出現した理由を説いている。

これは原著に書かれていないことだが、『その代わりに神様は「生存不適正な連中」には「才能」という贈り物を授けた』んですな…。

私など「生存不適正」にして「才能なし」といういわゆる箸にも棒にもかからない者の代表のようだが、今日登場する3人は(生存不適正ということではまったくないが…)その才能を与えられた稀有な芸術家たちだ。
つまり、「ギターを弾くために生まれて来た」男たちなのだ。そして、Marshallにはそうした人間のために大きな存在意義を発揮する。

そこで今日も「大谷一門会」。その<後編>だ。

10v 昨日は山本征史率いるSTAND…

20_2三宅庸介率いるStrange Beautiful & Loudにご登場願った。

30_2島紀史

40_2三宅庸介

50山本征史

60_2金光KK健司

70_2この日登場したMarshallたち。
左から、令文さんが使用したレンタルのDSL100と1982B(通称Hendrix Stack、もしくはBarneyのBキャビネット)。
向かって右は三宅さんのDSL100と1960BV。

80_2こちらは上手。
向かって右はノンちゃんの1967MAJORが2台と1960B。
向かって左のヘッドは1977年製の1992 SUPER BASS。

90家元・大谷令文登場!

100モデルはどうあれ、やっぱり令文さんはMarshallがよく似合う。

110v最初に家元が手合わせを相手は三宅庸介。

120_2曲は人気の「Raven Eyes」。

130v_2ク~、こりゃタマらんて!

140vナニも知らない人がこの曲を聴いたら間違いなくイギリスのバンドのオリジナル曲だと思うだろうな。
150_2「Lady Spider」にしても「Razor Boogie」にしてもそうだけど、令文さんの曲はそういうクォリティだ。

340令文さんのソロ。どこまでも重く、そして音はどこまでも太い。

160_2掛け合いを楽しむ2人!
こうなると三宅さんもダマってはいない。
2人とも取っておきのフレーズの応酬!ロックをトコトン知り尽くしている人たちのギター・ソロ合戦だ、スリリングでなかろうはずがない!

180_22番手は島紀史。
「大谷師匠の演奏を目の前で見てやられた」というノンちゃん。実は三宅さんも共通の経験をしている。2人とも令文さんのプレイでロック・ギターの虜になったのだ。
これから行う師匠との演奏を誇示するかのように客席をあおってからスタートした。

190v曲は島紀史のソロ・アルバム『From the Womb to the Tomb』に収録されている「Jackhammer」。

200_2クールなギター・リフをもったアップテンポの急速調。

210_2こちらもこの2人にピッタリのナンバーだ!

220vま、説明は不要だと思うけど、ノンちゃんのソロ・アルバムの中で実際に共演した曲。
ライブ演奏はこれがはじめて!

230_2CDでも令文さんが入って来るところなんざ鳥肌もんだけど、やっぱりナマはスゲエ。
レコーディングの時はノンちゃんのリクエストで令文さんはストラトキャスターを弾いたのだった。
今日はレスポールでドッカン。
240v_2ノンちゃんも弾くわ弾くわ!

250v_2こっちのクラスも実に楽しそうだぞ!

240リズム隊も汗がしたたる激演に次ぐ激演!

260今日のこの場に最もふさわしい最高の律動部隊だ!

Og_img_1485 そして最後は3人がそろう。

265曲は「なんでやねん?」という感じがしないでもないElectric Sunの「Electric Sun」。

270_2歌うは令文さん。
でも令文さんって「Polar Night」とか演っちゃうかんね。これもまたよし。

280_2「よし」どころか、すさまじい演奏!イントロからノケゾリだ!
このアルバムは出た時にすぐ買ったっけナァ。そして、この曲にはぶっ飛んだ。

290それがこうして目の前でギンギンにホンモノの人間に弾かれちゃタマらんわ!
この手で令文さんにやられるの2回目だ。以前は「Black Rose」ね。
310しっかし、このアルバム今聴くとずいぶんジミヘンだな~。「Third Stone from the Sum」とチャイコフスキーがこんがらがっちゃったりして…。
330でもメチャクチャカッコいい。いつもはホンワカしてるあのウリがイザとなるとこんなにカッコいいんだからね~。
350_2そして近づくあの真ん中のキメ。
300vドワ~「♪ティラリラリラリラ、ティラリラリラリラ」完璧!これは感動以外のナニモノでもないぞ!
よかった~、今日来て!

320_2キマッタ~!
今度、この3人でこのアルバム全曲演ってくんないかしらん!

360_23人とも本当に楽しそうだ。
ギターを弾くこと、音楽をクリエイトすること、そして師匠と演奏すること…そのどれもを存分に謳歌しているのだ。

370_2あ~、今日も本当に素晴らしい演奏だった。
「ギターに対するほとばしる愛情を見た」…なんて表現はこの3人に対してはあまりに陳腐だ。
「ギターバカ一代の姿を堪能した」…これでいいのだ。
いつまでもギターバカでいて欲しい。Marshallとともに!

380大谷令文の詳しい情報はコチラ⇒大谷令文ホームページ
三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful & Loud
島紀史の詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site 
山本征史の詳しい情報はコチラ⇒BLACK CAT BONE

390(一部敬称略 2013年9月14日 秋葉原Club Goodmanにて撮影)

2013年10月21日 (月)

大谷一門会~ギターバカ一代<前編>

大谷令文、三宅庸介、島紀史…ああ、3人の名前をタイプしただけでMarshallのサウンドが聴こえるようだ。
この3人が集まったイベントが開催された。タイトルは『Strings On Fire ~炎の血統~』。
この場合、「血統」とはMarshallの「血」を指す。

10…とかなんとかコジャレたこと考えても、本当のタイトルは『大谷一門会~ギターバカの血筋』だ。
または『令文一家のマーシャル祭り』と呼んでも一向に差し支えないだろう。上の写真の両端のふたりのうれしそうなこと!

20出演は、まずはSTAND。

25STANDは何回もMarshall Blogに登場してくれている山本征史率いる強力トリオだ。

30山本征史

50v島紀史

60金光KK健司

70今日は濃霧の中での撮影だ。
100vギターの3人が「ギターバカ」なら征史さんは完璧な「ベースバカ」だ。
90vもちろん今日もMarshall 1992 SUPER BASSをブリブリいわせてる!

80以前、『STAND, コウムテン & LOUD』というイベントをやったことがあった。もちろんこのタイトルは三宅さんの「Strange, Beautiful & Loud」のパロディ。
リズム隊の征史さんとKKが出ずっぱりでフロントがノンちゃん、人間椅子の和嶋さん、三宅さんにかわっていく、3バンドで出演者5人という普通であれば計算がまったく合わない珍しいコンサート。

110今回はその再演ともいうべき企画なのだが、家元の登場とあって、また雰囲気が違う。

120STANDの時のノンちゃんもまた強烈だ。

130vConcerto Moonの時に見せる指導者としてのオーラを取り払い、何の制限も責任もなくただのギター小僧になって縦横無尽に弾ききってしまうのだ。

140そして、このふたりのコンビネーションがいい。

150そしてそれを確実にサポートするドラムバカ。
KKはこの後、霧の中に消えて撮影不能となってしまった…。姿は見えずとも壮絶なドラミングで抜群の存在感をアッピールした。

155vドライブしまくるSTANDの曲がまたこの3人の個性を存分に引き出すんだな~。

160征史さん独特の声質がまた曲にコッテリとマッチする。

170ノンちゃん渾身のア・カペラ・ソロ!
愛用の1967MAJORが容赦なく襲いかかる!

190歌もベースもレッド・ゾーンをぶっちぎるパワフルなパフォーマンスの征史さんなのだ!

200私はアルバム『煩悩Good!』好きでしてね、個人的なリクエストとしてはアルバム『煩悩グッド』からタイトル曲や「ジェット」、「脈動」なんかも演って欲しいです。

山本征史の詳しい情報はコチラ⇒BLACK CAT BONE

210さて、ノンちゃん。好評のニュー・アルバム『BLACK FLAME』を引っ提げての全国ツアーが終盤に差し掛かった。
これはツアー・プログラム。

212メンバー3人による曲目解説や…

213ステージ・フォト満載の永久保存版!写真はすべて私が撮らせていただいたもの。
コンサートにお出かけの際には記念にお買い求め頂きたい。
残すコンサートは11月8日の大阪と16日の東京公演のみ。
是非お出かけください。

CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official site

尚、『BLACK FLAME』に関するインタビューもお見逃しなく!これを読んでからコンサートに行けば楽しさ倍増!↓
渾身のニュー・アルバム『BLACK FLAME』~島紀史インタビュー<前編>
渾身のニュー・アルバム『BLACK FLAME』~島紀史インタビュー<後編>
214さて、出番は替わって…

215三宅庸介、Strange, Beautiful & Loud。

220Soud Experience』シリーズでスッカリMarshall BlogではおなじみのStrange, beautiful & Loud。

230三宅庸介

240v山本征史

250v金光KK健司

260vオープナーは「if」。

270はじめの1音から三宅ワールドが炸裂する。
2曲目には新曲「murt 'n akush (マラケシュ)」を持ってきた!

280「いい音」を出すギタリストはたくさんいるが、やはりこうして一聴しただけで「三宅さんや!」と知らしめることができるギタリストとなるとそう多くはない。
310vフレーズを奏でて「あ、これはあの人じゃん?」というレベルに達するだけでも膨大な時間とそれに耐えうる努力が必要だ。
それにも増して「音」だけで自己を確立させるというのは並大抵なことではないだろう。
290v今日出演している3人は全員それを克服している。
3人に共通して言えることは、楽器と恋愛関係にあり、お互いに師弟関係にあるということだ。ある時は楽器をかしずかせ、ある時は楽器に教わる。
それに加えて、自由な発想、先達から素直に学ぶ姿勢、旺盛な実験精神、狂気にも似た探究心、これらから何ひとつ欠けてもうまくはいかなかったに違いない。
だからギター(ベース)バカ一代なのだ!

300ステージはStrange, Beautiful & Loud一色!

320「Bloom」、「Ring」、「Mani」とおなじみのレパートリーが続く。

330vもう何十回も接している三宅さんのステージ。もちろんほとんどの曲に慣れ親しんでいる。しかし、正直言って曲名と曲が一致しなかったり、展開を勘違いしたり…これがまた私にとってはスリリングなのだ。
ナンというか、Milesの『Bitches Brew』や『On the Corner』を聴いているような気分と言ったらいいだろうか?いつも新鮮なのよ。

350「Stratify」、「petal」、「Virtue」を演奏。「Stratufy」は三宅さんのテーマ的な曲。その向こうを張って「Marshallogy(マーシャル学)」とか「Marshalized…(マーシャルされて…)」が出て来ないかと期待している。(実際はお願いししている?!)
340vしっかし、このリズム隊はスゴイ。三宅さんと2人の音が絡み合うサマは3匹の大蛇がこんがらがっちゃって、ほどけなくて暴れまわっているようだ…見たことはないけど。

370そして、ふたたび…ギターの音!
三宅さんのMarshallの音をいくら私が辞書を片手に形容しようとも一回のピッキングにはかなうまい。
是非コンサート会場で実物を確かめていただきたい。
次のチャンスは今週の金曜日。10月25日の三軒茶屋Grapefruit Moonだ!お越しあれ!

360三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Yosuke Miyake's Strange Beautiful & Loud

380v家元登場の<後編>につづく

(一部敬称略 2013年9月14日 秋葉原Club Goodmanにて撮影)

2013年10月18日 (金)

【Music Jacket Gallery】サマー・ジャケット特集<後編>

私の最初のロックのLPは中学2年の時、クラスメイトの「バニラ」というあだ名の友達から600円で買ったJohn Lennonのベスト盤、『Shaved Fish』だった。あの時代、運動部に所属していたバニラがナゼ『Shaved Fish』なんかを持っていたのか、今にして思うと大きな謎だな…。

The Beatlesから始まって、それ以前からロック自体は聴いてはいたのだが、レコード・プレーヤーを持っていなかった。
やがてSONYから「スタジオ・ジルバップ」とかいうレコード・プレーヤーを鳴らすことができるラジカセが発売された。

このラジカセがあれば大仰なステレオも不要ということで、お小遣いを貯めて、ジルバップとダイレクト・ドライブのレコード・プレーヤーを買った。
「プレーヤーは少々高くてもよいものを買った方がよい」というオーディオ好きの友人のアドバイスにしたがい比較的ちゃんとしたモノを購入した。
そのプレーヤー、買ってから37年を経過した今でも使っている。回転数を切り替えるスイッチなどプラスチックの部分がもろけ、内部の金属のパーツがむき出しになったりしてはいるが、回転ムラもそう気にならず、こうした原稿を書く時にLPでしかもっていない音源を聞いたりするのに時折使用している。

ひとたびレコードを聴く装置が手に入ればもうこっちのもの(ナニかだ?)!レコードの数は増え続けた。
やがてLPはCDに姿を変えたが、今に至っても増える一方。

途中で2~3回にわたり数千枚のLPを処分販売したものの、今まで買って来た枚数は軽く「万」は超えると思う。
ま、植村さんには遠く及ばないけどね!

家内からも「よくそんなに聴きたいものがあるわね~」と感心とも呆れともつかない(呆れてるにキマッてるか…)ことを言われるが、予め欲しいモノや、聴きたいものが、私の場合そうあるワケではない。
ただ、最初にある欲望は「出会いたい」ということなんだよね。つまり中古レコード店にいって片っ端からチェックしたい。「今日はコレを探すぞ!」なんてことはまずない。
そして、そこで出会っちゃうんだな~、欲しいものに。その場で聴きたくなっちゃうんだな~。

もちろんその場の出会いを逃さないように普段から勉強をしておかなければならないんだけどね。これがまた楽しい。さすがにあまりにも何の情報もないものを買うのはコワイしね。
ってんで現在も安い中古のジャズのCDを中心にジワリジワリとガラクタコレクションの数は増え続けている。

話しはもどって…そう、「いいものに出会った」なんてよろこんでいる半面、深刻な問題はドンドン大きくなる一方なのだ。
それは「収納」という問題。
私の住まいは古く、LPやCDの体積もさるころながら、質量も大きな問題となる。とくにLP。
以前は転勤族だったため、膨大な数のLPは引越しの際の致命傷となるため、長い時間をかけて積極的にCDに買い換えて来た。
それでも居間で保管していた処分するに処分できない2,000枚を優に超すLPは相当な重量だった。
私はそのLPが放つ「中古レコード屋臭」が大好きだった。何せ家にいてディスク・ユニオンの匂いがするんだからね。快便です。

「快便」というのは、汚い話しだけど、私は中古レコード屋に行くとほとんどと言っていいほど毎回便意を催すんだな~。本屋においてもほぼ同様(不思議と古本屋では催さない)。
こういう人が私の周りでは少なからずいらっしゃるが、これは医学的に原因が解明されていて、どうも自分が最もリラックスできる場所においてこうした症状が出るらしいのだ。
好きなレコードにかこまれてリラックスできる…一番居心地のいい場所が我が家の居間だったのだ。

しかし!2011年3月11日を機に階上の所有物の軽量化を図ることになった!
そこですべてのジャズのLPを泣く泣く階下の倉庫へ納めたのだ。
こ~れがまた腰がヒン曲がりそうな大変な作業だった。
ロックのLPはMarshall Blogを書くために必要な資料としてまだ部屋に確保してある。かくして居間の「中古レコード臭」はまぼろしと消え、便秘体質になったのであった(ウソ)。

他方、CDも5,000枚ともなると、これまたバカにできない大きさと重量になる。アレ、中身はほとんど空気のクセによ~。
そこで、植村さんのご推薦を頂戴し、いわゆるソフト・ケースを買い込んできて同様に少量&軽量化を図った。つまりプラスティックのケースをすべて捨ててしまったのだ。
体積は1/3となり、重量はそれよりも軽量化したハズだ。
あのプラケース、何千枚も集めると信じられないぐらいモノスゴイ重量で、角がとんがってるもんだからゴミ袋に入れると簡単に破って外に出て来てしまう。
しかも、ウチのエリアは同種のゴミの引きとりは1回に3袋までというルールがあるらしく、いっぺんに捨てられない。処分するのにもエラク苦労したわ。
とにかく何のコレクションにおいても「収納」は大きな問題だ。

私程度のコレクションでも「収納」に苦しんでいるのだから、この『Music Jacket Gallery』の主宰者であり、日本屈指のコレクターである植村さんときたら日夜「収納」との戦いであることは間違いない。買わなきゃ何の問題も起こらないんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

植村さんのコレクションをもう一度見てみよう⇒The Amazing Uemura Collection


とりわけ収納にご苦労なさっているのはボックスものだそうだ。
レギュラーのCDは形が統一されているので積んだり詰め込んだりしやすく、コンパクトに収納しやすいが、ボックスものは形状がまちまちで、中には面妖な形のパッケージもあり、積み上げるにしても「テトリス」状態となる。
ま、収納できなければ買わなきゃいいんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

そこで今回のガラス・ケースの立体陳列は、コンパクトなサイズのボックスにCDを巧妙に収納する「コンパクトCDボックス」が特集された。
コレ、一種の撞着かもしれないね。CDボックスというのは壮麗で大仰なパッケージにすることで商品の魅力を高めるワケだから…。それをコンパクトな商品にしてしまうということは案外いい度胸なのかも知れない。
では…。

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● GRATEFUL DEAD / WINTERLAND 1973: THE COMPLETE  RECORDINGS (RHINO 2008)
2011年の72枚組CD-BOX、2012年の14枚組DVD-BOXという凄まじい発売ラッシュが続いたGrateful Deadの1973年11月9日から11日までのウインターランドでの全公演を完全収録した9枚組CDボックス。
各3枚のCDを収納した3枚の紙ジャケを並べると大きなポスターになる特殊なパッケージ。ポストカード仕様のコンサート・ポスターのミニチュア版とピンバッチも同梱されている。
70年代までのDeadの正規盤は比較的揃っているが滅多に聴かないな~。でもDead系商品のデザインはなにかといいよね。
ある知人が熱狂的なDeadのファンの方に「72枚組を聴くこと」を「なかなかの荒行」と表現していたのを横で聞いていて吹き出してしまった!

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● VARIOUS ARTISTS / STIFF RECORDS BOX SET (DEMON 1992)
Elvis CostelloやIan Duryなど個性的なアーティストを輩出させた英スティッフ・レコードの作品を網羅した4枚組CDボックス。
レーベル、ブックレット、パッケージ に至るまで、あくまでもアナログ感覚にこだわったデザイン・ワークがスティッフというレーベル・ポリシーをうまく表現している。

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● NEW TROLLS / NEW TROLLS SINGLE BOX (ARCANGELO 2007)
イタリアン・プログレッシヴ・バンドとして今日も絶大な人気を誇るNew Trollsの再来日記念で発売された10枚組のシングル・ボックス。
1967年から72年までに発売された17作のシングル盤の中から12作を美麗なスリーヴと共に歌詞を掲載した内袋までを再現した復刻度は見事なものだ。解説もコンパクト・サイズなので中高年の方には読みにくいかもしれないが、豆本のようで何とも可愛らしいもの。
この再来日公演(かな?)を観に行った。日本から参加した大ストリングス部隊との共演が見事だった。
実はNew Trollsはゼンゼン通過していないので1曲も知らなかったのだが十分にコンサートを楽しめた。この時代のイタリアン・プログレの音楽レベルの高さは恐るべきものだ。
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● J.A.シーザー / 天井桟敷音楽作品集(DIW 2008年)
1967年に寺山修司が設立した劇団天井桟敷の音楽を担当していた孤高の音楽家、J.A.シーザーの貴重な歴史的音源を集大成した5枚組CDボックス。
5枚のCDを見事にコンパクトに収納した特殊パッケージもさることながら、貴重な台本、写真や絵などを載せた豪華ブックレットも見事なデザインワークだ。(ディスク・ユニオンのみの購入特典である未発表音源CD付き)
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● MILES DAVIS / THE COMPLETE COLUMBIA ALBUM COLLECTION (SONY BMG 2009)
ジャズ界の帝王Miles Davisのコロンビア時代の全作品を収納した53枚組CDボックス。パッケージ・デザインは、各アルバム・ジャケットをあしらったスタイリッシュ(ソニーのハウス・デザイナーの特徴)なもので、各アルバムは簡易型の紙ジャケット仕様になっている。ボックスの大きさや軽さなどを考慮した見事なエコ・パッケージといえる。
コレ、欲しいんだけど中身は単体でほとんど持ってるからな~。
これに「Plugged Nickel」とか「Jack Johnson」とか昨日紹介した「Celloar Door」とかの「Completeホニャララ」、そこにエエイ「Blackhawk」や「Carnegie」も組み入れて100枚組で再発売ってのはどう?
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● FANNY / FIRST TIME IN A LONG TIME THE REPRISE RECORDINGS (RHINO HANDMADE 2002)
1969年に結成された世界初の自作自演のガールズ・バンドと知られるFannyがリプリーズ・レーベルに残した音源を完全収録した4枚組CDボックス。
JuneとJeanというMillington姉妹を中心とする4人組は、Richard PerryやTodd Rundgrenなどのプロデュースによる傑出した作品を世に送り込み、今日また再評価されている。
完全限定盤にこだわったライノ・ハンドメイドならではの独創的なパッケージ。
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● VARIOUS ARTISTS / THE LOWEST FORM OF MUSIC L.A.F.M.S.1973?1994 (RRR RECORDS 1995)
Los Angels Free Music Societyという名で、様々な前衛音楽集団を束ねるRRRレコードの創立20周年を記念して発売された10枚組CDボックス。
こうした特殊なインディ音源はなかなか収集されにくいが、こうしたボックスは貴重な資料と共にレーベルの全貌が把握できる点が肝だ。

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● VARIOUS ARTISTS / THE CHESS STORY 1947-1975 (CHESS 1996)
第二次大戦直後にChess兄弟によって設立された米チェス・レコードの15枚組CDボックス。
チェス・レコードはブルース、R&B、ソウルといったルーツ・ミュージックを中心にアメリカの音楽シーンをリードしてきた。
貴重なブックレットの資料と共に、15枚目のCD-ROMにはチェスが発売してきた全カタログが網羅されている。そして、パッケージは多くのCDをコンパクトに収納する理想的なものとなっている。
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● NINA SIMONE / FOUR WOMEN : THE NINA SIMONE PHILIPS RECORDINGS (VERVE 2003)
2003年4月にパリの自宅で70年の生涯を閉じたNina Simoneの追悼盤。
ジャズというジャンルを超えた幅広い音楽性はその独特なヴォーカルとも相まってコアな人気が高く、全盛期である1964年から66年までの全オリジナル・アルバムを4枚のCDに集大成したもの。
サック・ケースも含めたお洒落なデザインワークで作られたコンパクトなパッケージには思わず所有欲をそそられる。
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●BEACH BOYS / U.S. SINGLE COLLECTION THE CAPITOL YEARS 1961?1965 (CAPITOL 2008)
夏の定番アーティストの筆頭格であるThe Beach Boys前期のアメリカ盤シングルをピクチャー・スリーヴに収納した16枚組CDボックス。
箱自体は硬質の段ボールで作られているが、ナゼか箱の一部には本物の木が使用されている。おそらく紙と木という素材の組み合わせによってエコロジー感を表現したのであろう。
同梱された80ページの特製ブックレットのカヴァーは砂浜を表現している。
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● KEITH RICHARDS / TALK IS CHEAP (VIRGIN 1988)
Keith Richardsの初ソロ・アルバムの初回限定生産パッケージ。
Keithのキャラクターであるツヤ消しブラックの骸骨の缶に現在ではほとんど発売しなくなった8センチCDが3枚収納されている。アルバム・クレジットなどが載った丸型のブックレットも凝った作りだ。
この小さいCD、昔はアダプターをひっ付けてたんだよね。アダプターつきで世界で最初のシングルCDとなったのはFrank Zappaの「Peaches en Regalia」?
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● VARIOUS ARTISTS / BEARSVILL BOX SET (BEARSVILL 1996)
聖地ウッドストックで1969年に設立された名門ベアズヴィル・レーベルの作品を集大成した4枚組CDボックス。
CDの収納トレイと腰巻き帯を付けた単行本仕立てのスリムなパッケージが独創的だ。シリアル・ナンバー・カードを封入した完全限定盤で、日本独自の企画・発売。
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…と、これらのコンパクトなパッケージのおかげでうまく収納できました。
でもね、収納できなければ買わなきゃいいんだけどね…わかっちゃいるけど止められない!ってか?

(敬称略 ※協力:本項解説文原本執筆・植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )

Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。
















































      







































2013年10月17日 (木)

【Music Jacket Gallery】サマー・ジャケット特集 <中編>

いつもは3本立の【MJG】レポート。チョット今回は取り上げるアルバムの数が少なかったので2本立てにしようかと思った。

それでも存外にボリュームが少なくなりそうだった。
わかってますよ…どうせみんな言うんでしょ?「ナンダ、今回は短いじゃん!」って。
わかりましたよ、「こっちも意地だ!」ってんで、シャカリキになって<前編>を書いているうちにアッという間に長くなってしまった。
すると今度は、2本立てにしてレコードの解説全部を<前編>に盛り込んじゃうと長すぎるので、強引にチョン切って<中編>をこうして設けてみたものの、見事にボリュームの配分がおかしくなってしまった!つまり<中編>が短すぎてしまったのだ。
そこで大変身勝手ながら植村コレクション以外のアイテムも積極的に盛り込んで調整してみた。(植村さん、ゴメンナサイ!)
でも、本題に関連していることですから許してチョーダイ。
ではさっそく…。
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このジャケット昔から好きだった。ものすごく暑苦しい感じがする。メキシコ?今こうして改めて見ると、初期のファミコンの画面みたいだ。
「Yellow Roses」と「Chloe」の2曲がいいナァ。
特にこの「Chloe」という曲はJoe Passが1970年の『Intercontinental』というアルバムで演奏していて、それがまた実にいい。

でもRy Cooderってどうもなじめない。
『Into the Purple Valley』だの『Paradise Lunch』他、有名なアルバムは持っていて、一応は聴いているんだけど…。
ま、ブルースをして熱心に聴くことのないオコチャマな私のことだからアメリカン・ルーツ・ミュージック自体が苦手なのだろう。ジャズは大好きよ。
なのでRy Cooderについて語る資格はない。「んじゃ取り上げるな!」と言われそうだけど、このジャケットは好きだから…。
でも、Ry Cooderってものすごく支持層が厚いよね。聞いた話では、ひとたび来日して全国を回ると会場の手売りだけでCDを3,000枚ぐらいさばいちゃうとか…。
きっとライブに感動して、終演後買うお客さんが多いんだろうね。
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Hipgnosisの作品ですな。
String Driven Thingは1960年代から活動するバイオリンを前面に押し出したスコットランドはグラスゴーのフォーク・ロック・バンド。
4枚目のアルバム『Please Mind Your Head』。
コレは持っていないんだけど、一作前の『The Machine That Cried』と本作を挟んだ『Keep yer 'and on it』は持っている。前者は魚、後者は歯磨き粉のイメージを使ったHipgnosisの有名なジャケット。
以前どこかで内容に関して「別段おもしろくない」と書いたような記憶がある。で、普段はまったく聴いたりはしないのだが、今回この原稿を書くに双方を聴き直してみた。
なかなかよろしいな。前言を撤回します。
やっ ぱりGraham Smithのバイオリンが効いている。この人は後にVan Der Graaf Generatorに加入にするが、イギリスの有名な指揮者、John Barbirolli(バルビローリ)の傘下にいてキチンとクラシックを学んだ人だそうだ。スキンヘッドのゴツイ巨漢で、そのルックスとの差がまたおもしろい。

メ ンバーがガラリと変わったため、『Keep yer 'and on it』はサウンドも大幅に変化してビートルズの「Things we Said Today(今日の誓い)」なんかをドッロドロに演ってたりしてて存外におもしろい。また、「Old Friends」という5/4拍子の超ポップチューンも心地よかったりする。
いずれにせよ単なる「フォーク・ロック・グループ」として切り捨てるのはもったいないことがよくわかった。

以前、Led Zeppelinの『House of the Holy』のジャケットに触れたことがあったでしょう。
読んでない人はチョットこれを読んでみて⇒緊急特集!<追補> Hipgnosis Collectionと下町のヒプノシス

それでJimmy Pageがムカっと来てボツにしたデザインがコレなんだそうだ。
ま、コレだけ見てりゃHipgnosisだし、まぁどうってことないんだけど、これが『Houses of the Holy』になっていたかと思うとゾッとするよね。
あの重厚なロックがひと回りもふた回りも軽くなっちゃうような気がする。やはりジャケットというものは重要なものなのだ。

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この項を書くのに久しぶりにザッと映画『ウッドストック』を観たんだけど、主宰者のマイケル・ラングがインタビューに答えるシーンで驚いてしまった。

このフェスティバルの経費を訊かれ、200万ドルと彼は答える。当時の200万ドルと言えは当時の為替レートで換算すると7億2千万円。

開催された1969年はアポロ11号が月に行き、東大の入試が中止になった年。流行語は「オー・モーレツ」、「アッと驚くタメゴロウ(ゲバゲバですな)」、「はっぱふみふみ」に「黒猫のタンゴ」だよ。「なつかしい~」と知っている自分の歳にもはや感謝するわ。

大卒の初任給が31,830円。国鉄の初乗りが30円。ラーメンが150円(ウチの方はもっと安かったと思う)、かけそばが80円の時代。

今の貨幣価値につすとザッと30億円ぐらいか…?それでこの若者が「トントンならありがたい」と軽く言ってのける。スケールのデカイ話しだ。

他のシーンではコミューンに暮らすという若いカップルがインタビューを受け、彼氏が言う。
「ナゼ20万も30万も60万も70万もの人がここに集まっていると思う?音楽を聴きに来たていると思うかい?」「いいや、音楽は重要ではないんだよ。みんな生き方を探しに来ているんだ」

その重要でない音楽を共通項に50万人もの人間が集まるなんてことはやはり尋常ではない。50万人といったら赤ちゃんからお年寄りまで、すべての宇都宮市民がウッドストックへ行っちゃったようなもんだ。
ベトナム戦争などの社会的背景があって、今と世情があまりにも異なっていたことは百も承知だが、やはりそれだけ音楽に力があったことは論を俟たない。

ウッドストックについては色々と書きたいことがあるが、キリがないのでそれはまた別の機会に譲ることにする。

さて、この『Woodstock Two』。これは映画に使われていない曲を収めた2枚組アルバム。映画に関係ないので入手する気が起こらず、かなり後年になってCDでゲットした。
私にとって「ウッドストック」は映画の『ウッドストック』なのだ。

なるほど、3枚組の『Woodstock』は「サウンドトラック」をうたっているが、少なくとも私が持っている『Woodstock 2』のCDには「Soundtrack」の表示がしてないわ。

ウッドストックが開催されたのは8月だから自然と今回のテーマ通りの「夏」になるね。

向こうは小さい子をこうして平気で素っ裸にしちゃうんだよな~。
ウンコをするところも含めて、子供が映し出さてJohn Sebastianが歌う「Younger Generation」も忘れられないシーンだった。「助けて!歌詞を忘れた!」
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これは3枚組LP『Woodstock』の内ジャケ。LPのサイズはご存知30cm(12インチ)。それが鏡開きになるこのジャケットの全幅は90cm以上になる。壮観ではあるまいか?音楽配信にコレができるかよ!

ウッドストックの思い出についてはShige Blogにも綴っておいた。是非ご覧頂きたい。
<Shige Blog>
我が青春のウッドストック <前編>
我が青春のウッドストック <後編>

Th_img_1256名盤が多い中期までのWeather Reportの作品の中でも名盤の誉れ高い『Black Market』。やっぱりタイトル曲のイントロを聴くとウキウキしちゃう。この録音ではJoe Zawinulのキーボードがあの有名なBbのリフを弾いているが、ライブ盤『8:30』ではPeter Erskineのドラム・フィルに導かれたJacoのフレットレス・ベースが疾駆する。コレ、初めて聞いた時。鳥肌が立ったっけナァ。
とびきり派手なそのライブバージョンも最高にカッコいいが、このスタジオ・バージョンもスキ。

このアフリカ調のテーマあるでしょ?これ完全にペンタトニックでできているんだけど、コピーしてギターで弾こうとするとなかなかに手ごわい。
ギターはペンタトニック・スケールに滅法強い楽器(ペンタトニックでできているロックフレーズといった方が正確か…)のハズなんだけど、それは視覚面で音列を取りやすいから。

Zawinulのような才人が作ったメロディともなると、アララ不思議、実に弾きにくい。
決して複雑なフレーズじゃないんだけどね。このあたりに鍵盤楽器を学んだ人とサオを握ってペンタトニック一発で勝負してきた人の違いが表れる。

Jacoはこのアルバム中、2曲に参加している。その他の曲でベースを弾いているのはAlphonso Johnson。ドラムはChester ThompsonとMichael Walden。それにパーカッションでAlex AcunaにDon Aliasという目もくらむようなスゴイ面々だ。

この頃のWeatherはヨカッタ。この後もジャズ専門誌でずいぶん長いこともてはやされていたけど、私が夢中になって聴いたのはせいぜい『Heavy Weather』までかな。

それにしてもあの頃のフュージョン・ブームってのはなんだったんだろう。時間とともにこれほど形骸化してしまった音楽ジャンルも珍しい。
やっぱりファッション感覚で展開する音楽は熱するのも早いけど、冷めるのも早いナァ。
何となくイナゴの大群が畑を全部食い荒らしてしまったあとのような…。

「フュージョン」ってのは昔は「クロスオーバー」なんて呼ばれてたよね。その前は「ジャズ・ロック」かな?
アレなんだって「クロスオーバー」って言葉が使われなくなったんだろう?いつしか、「フュージョン」という言葉に定着した。高校の時だったかな?私が「クロスオーバー」という言葉を口にすると「今、フュージョンっていうんだぜ」なんて友達に正されたことがあったな。

きっと「フュージョン」という言葉を使った方がレコード会社が儲かる仕組みだったんだろう。

私は「ジャズ・ロック」が大好きだ。でも「クロスオーバー」は苦手だった。でも「フュージョン」はいいものはよかった。…ええい、もう何でもいいわい!

でもね、思い返してみるとスゴイよ。高校ぐらいの時、高中正義ブームが吹き荒れた。あのパイオニアのCMの効果?私はサディスティック・ミカ・バンドが大好きだったので、まったく受け付けなかった。ハード・ロック一本やりだったし。

ところが、その流行りっぷりたるや、今の音楽事情を鑑みるに想像を絶するもので、高校生のバンド・コンテストがあると複数のバンドが「なんとかラグーン」ってのを演ってたものだ。
隔世の感があるでしょ?

どうだろう、この手の音楽は1980年ぐらいがピークだったのじゃないかしらん?
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Dollar Brandは南アフリカのジャズ・ピアニスト。『African Piano』というソロ・ピアノのアルバムが有名。5/4拍子でポツリポツリと弾くサマはまさに他のジャズのソロ・ピアノ・アルバムと一線を画す。なかなかいいものだ。
とうよう先生はこの手法の発想はカリンバと解く。なるほどね。


しかし、今まで考えたことなかったけど、「ダラー・ブランド」なんてバンドの名前みたいだね。しかもパンクっぽい。お金第一の資本主義に一石を投じる!…みたいな。
それにしても上の『Black Market』にジャケットの風合いが似てるね~。
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『LIVE-EVIL』。左から読んでも右から読んでも「Live-Evil」。
アコースティック・マイルスは当然だが、私はエレクトリック・マイルスも大好き。『In a Silent Way』『At Fillmore』、『Jack Johnson』なんかをよく聴いた…というか今でも聴いてる。
それと『We Want Miles』も好きだった。この辺はリアルタイムで聴いたからね。30年も前か…。

で、なぜ『We Want』が好きだったのかというと、ひとえにMike Sternがカッコよかったから。
『The Man with the Horn』の「Fat Time」のソロもコピーした。
『We Want Miles』にはMilesが81年に来日した際の音源も収録されているが、アルバム全体としてはMike Sternのソロがカットされて少なめだったのがチョイと不満だった。
ところが、ラッキーなことにこの1981年10月4日の新宿西口広場の演奏が丸々FMでオンエアされたことがあって、エアチェックしたテープでMike Sternのソロをさんざん楽しんだ。

そして後年、その音源が『Miles! Miles! Miles!』という2枚組アルバムになってリリースされた。
この日のMilesは体調がすこぶる悪く、よってこのアルバムの評価も決していいものではないようだが、んなことは関係ない。何しろノーカットでMike Sternのソロがタップリ聴けたからね。

この頃のMikeは音も素晴らしかった。ギンギンにコーラスをかけてクリーンで弾くキテレツなヴォイシングや、これまたコーラスを深くかけたクランチ気味のストラトのトーンで弾かれるウネウネのソロはもうタマらなかったね。デブっちょに長髪というルックスもカッコよかった。
この時使用していた白いストラトは不幸にも盗まれてしまったとか。盗難の対象となるほどの名器だったワケだ。

その後、Milesの元を離れて、Steps Aheadの頃なんかは、「Fat Time」の見る影もないほど悲惨な、昔の高校生が弾くリードギターのようなサウンドになってしまってガッカリした。こんなに耳のいい人がどうして無頓着にもあの音でよしとしたのだろう?

さらに、日本製のギターに変えた頃には、Blood Sweat &TearsやTiger's BakuやMilesのバンドの頃のキラメキは失せてしまっていて興味を失ってしまった。

でも、久しぶりに『Miles! Miles! Miles!』なんて聴くとやっぱりカッコいいわ。
そうそう、この来日の時、Mikeは香津美さんとプライベートでジャムったそうで、その時に演奏した「枯葉」なんかの音源がこの世に存在するらしい。聴きて~!

本題とは関係ないけど、MJGでMike Sternに触れる機会なんかないと思って書きこんでしまった。
で、話しを戻して…70年代のエレクトリック・マイルスの中でもとりわけ好きだったのはこの『Live-Evil』だった。

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またジャケットのイラストが素晴らしいったらありゃしない。
ドイツ出身のAbdul Mati Karwein(アブドゥル・マティ・クラーワイン)という人の作品。エグイよね~。一体どういう感覚を持っているんだか…。
内容との関連性は皆無だ。また、黒人の裸の妊婦さんが描かれていてるということだけで、「夏」というイメージは特段ないといって差し支えないでしょう。

このMati Karweinという人は数多くのジャケット・デザインを手がけている。Milesでいえば『Bitches Blew』がそうだ。似てるでしょ?

他にもEarth Wind & Fireの『Last Days and Time』、Gregg Allmanの『Laid Back』、Joe Beck(Jeff Beckじゃないよ)の『Beck』、Santanaの『Abraxas』などなど…マーブロ読者におなじみのアルバムならTempestの『Living in Fear』ってところか?(Ollie Halsallのゴーゴンの方ね)

Hermeto Pascoal y Grupoの『Só Não Toca Quem Não Quer (邦題:やらないのはやりたくないだけ⇒これメッチャいいよ)』もそう。
Hermeto Pascoalは「南半球のFrank Zappa」として愛聴している。この『Live-Evil』に収録されている「Nem Um Talvez」という曲はHermetoの作品で自身もこのアルバムに参加している。

Hermetoといえば先日、仲良しの日系ブラジルの若い女性と家内とで食事をしたんだけど、話しが音楽に及んだ時、彼女が「エルメート・パスコアール」をごく当たり前に知っていたのにはビックリ!
「え、ブラジルではみんな知ってますよ~」って。Milton Nascimentoも当たり前。でもEgberto Gismontiは知らなかった。ブラジル音楽に関しては、あんまり突っ込むと間違いなくボロが出るのでここらへんで留めたが、日本でパスコアールを知っている若い女性なんてまずいないでしょう?さすがブラジ~ル!

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さて、もう少し脱線しましょかね。
下はJackie McLeanのBlue Note時代後期の名盤『Demons Dance』。ひと目でMatiの作品とわかるでしょ?
このアルバムの1曲目には「Sweet Love of Mine」という曲が収録されている。哀愁を帯びたメロディが心に突き刺さる必殺の名曲だ。作曲は人気トランペッターのWoody Shaw。

一方、日本を代表するベーシスト鈴木勲さんの代表作に『Blue City』というアルバムがある。このアルバムには若き日の香津美さんが参加していて「Body and Soul」なんかで涙もののプレイを聴かせてくれるのですわ。
でも、ここでの話題は香津美さんではなくて、収録されている「45th Street」という曲。
コレ、Shawの「Sweet Love of Mine」と寸分たがわぬまったく同じ曲なのだ。超名曲だけにはじめて聴いた時はビックリした。だって、似てるどころか「同じ」なんだもん。

真相は「共作」ということらしいが、Woody Shawが勝手に自分の名前をクレジットしたとかいう説も…。数年前にテレビのナンカの番組で、そのあたりの曲の真相について取り上げていたが、「友情物語」に仕立て上げられていた。内容は忘れちゃった…。

ま、なにはともあれ、「Sweet Love of Mine」、名曲なのでロック一辺倒の人にも聴いてみて欲しい。それにしてもこの『Demon's Dance』のジャケもかなりエグイぞ!

Indexで、ようやく話しは『Live-Evil』に戻って…え、まだやってんのか?って?もうチョットね。
この2枚組のライブ・アルバムが好きだったそもそもの理由はJohn McLaughlinが参加しているから。
Milesは1970年の12月16~19日にかけてワシントンDCの「セラー・ドア」というクラブに出演した。その時の演奏を大幅に編集した音源にスタジオ録音の作品を足して出来上がったのが『Live-Evil』。

その後、発売されたのが下の『The Cellar Door Sessions 1970』という6枚組のボックスセット。これには4日間の演奏の約半分の演奏が収録されている。

ま、6枚通して聴くなんてことは精神的、肉体的に私にはまず不可能で、「今日はコレ」…とチビリチビリ聴いて楽しんでいるが、実はMcLaughlinが出演しているのは最終日一日だけだったんだって。
NYCに来ていたMcLaughlinをMilesがワシントンDCまで呼びつけて弾かせたらしい。
この頃のMcLaughlinのアンプはMarshallだったハズ。
『Live-Evil』らのCDもMarshallで弾かれていれば聴く楽しみも倍増するでしょ。でも、昨今の日本のライブハウスじゃあるまいし、そんな小さなジャズ・クラブにMarshallなんか置いてあるワケないよね。じゃ、まさかNYCからワシントンDCまで飛行機で運んだのかな?それも考えにくい。
じゃ、どうするか…「現地でレンタルした」ということにしておいて、この名盤もMarshallが演出している、ということにして愛聴し続けることにしよう。

『Cellar Door』の方は『Live-Evil』では大幅にカットされたkeith Jarrettのソロが入っていたり、絶好調のJack DeJonetteのドラムがアホほどすごかったりで、別にMacLaughlinがのべつ登場しなくても十分に楽しめる。でも、『Live-Evil』がカッコいいのはMcLaughlinのおかげというのも確かなのだ?

昔はJohn McLaughlinを「ジョン・マクローリン」なんて表記していた。現在は「ジョン・マクラフリン」に落ち着いているが、英語圏の人は「ジョン・マクラッグリン」と発音するので覚えておこう!イヤ、別に覚えなくてもいいか。

それにしてもこのボックス・セット、『Live-Evil』のジャケに比べたらあまりにも面白くないデザインだな~。

Th_img_1291ナンカこの辺になってくると「夏」特集だか「お色気」特集だかわからなくなってくるが、ま、冬はそう裸になることもないだろうから服を脱いでいるだけでも「夏」ってことにしちゃえ!

The Slitsというバンドの『Cut』という1979年のアルバム。UKチャートの30位に食い込んだとかいうけど知らんな~。そして、2004年に「The 100 Greatest British Albums」というナンカの人気投票でこのアルバムが58位になったそうな。ホンマかいな?
全イギリス制作アルバムの中で58位になるって相当スゴイよ。
ま、このジャケットが奏功しているとは思わないけどね。
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これは中学生の時、よく聴いた。中学生にはジャケットも十分に魅力的だったが、Roxy Musicの音楽の方がもっと刺激的で魅力的だった。
NHK FMの渋谷陽一の番組で『Viva! Roxy Music』が新譜として紹介され、「Out of the Blue」がかかった瞬間「コレだ!」と思った。
Bryan Ferryの歌やAndy Mckayのオーボエ、Eddie Jobsonのヴァイオリンに何かすごくミステリアスな雰囲気を感じたんだよね。
すぐ翌日、学校帰りに石丸電気レコード館に行った。アッという間に既発のアルバムは全部揃えたが、中でもこの『Country Life』がお気に入りだった。
何でもタイトルはイギリスの田舎暮らしの雑誌「Country Life」からとったとか…。


夏だね~。このアルバムが発表されたのは1974年。このジャケットデザインは当時、アメリカやスペインやオランダで問題になり、アメリカ盤なんかは2人の女性なしの葉っぱだけのヴァージョンで発売された。それじゃつまんないじゃんね~。
このジャケットのデザインはBryan Ferry自身。ポルトガルでこの2人のドイツ人に頼みこんでジャケットに登場してもらった。
収録されている「Bitter-End」という曲は途中ドイツ語で歌われるが、このどちらかの女性がBryanの英語詩をドイツ語に翻訳したんだって。

もうひとつ…2曲目の「Three and Nine」。これはイギリスの複雑な通貨制度を歌にしたもの。
今は100ペンスが1ポンドでドルやユーロと同じだから何の問題もない。
ちなみに「ペンス」は「ペニー」の複数形だから1/100ポンドを示す時は単数形にもどって「1ペニー」になる。向こうの人はペンスのことを「p(ピー)」って呼んでいるけどね。「サーティ・パウンド・フィフティ・ピー」とか。
さて、イギリスの通貨制度には1971年までポンドとペンスの他にシリングってのがあって、これが12進法と20進法が混在するメッチャ複雑な通貨システムだった。実際、歌の中に「Decimal Romance」なんて言葉も出て来る。
1ポンドが20シリングで1シリングが12ペンスだったという…。だから1ポンドは240ペンスになる。これはややこしい!
で、生まれて初めてMarshallの工場に行った時、どうしてもこの辺のことが知りたくて、今の社長の奥さんのEllieに質問した。
「そんな昔の話し知らないわ!」と笑いながら「ホント、あれは難しかったのよ」と言って、わざわざ1971年以前に刊行された本の裏表紙に印刷されているシリングの値段表示を見せてくれたことがあった。
ホント、イギリスはおもしろい。
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こちらは1973年、Roxyのサード・アルバム『Stranded』。
ジャケットの女性は当時のBryan FerryのガールフレンドでPlayboy誌の1973年の「Playmate of the Year」となったMarilyn Coleという人。
『Viva!』以前のアルバムでは、一番聴かなかったのはこれかなぁ。なんか暗くてね~。「A Song for Europe」なんて曲を聴いているとジトっと疲れてくる。
でもUKチャートNo.1を獲得したんだってさ。

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久しぶりに引っ張り出して来てライナーノーツを見る。
「アイランド・レーベルに関するお問い合わせ」なんていってレコード会社の担当者の名前と電話番号が出ている。
さらに「ロキシ―・ミュージック・ファン・クラブの問い合わせ」にはファンクラブの会長かなんかの個人宅の住所と電話番号が書いてある。
ノンビリしてたね~。個人情報の保護もヘッタクレもありゃしない!明らかに今より悪人が少ないイイ時代だったとしか思いようがない。
Th_img_1270これは展示にはない私物でござるが、Roxyの5枚目のアルバム『Siren』。人魚だから裸で当然なんだけど、「夏」ということで勝手に足しておいた。
このアルバムも大好きだった。特に「She Sells」。いかにもこの当時のRoxyっぽくてヨカッタ。
モデルは当時Bryan Ferryのガールフレンド、Mick Jaggarの恋人としても有名なアメリカのモデルJerry Hall。
ニューキャッスル大学(マーブロではスッカリおなじみのSteve Dawsonのお譲ちゃんのEmmaは先ごろこの大学の文学部を卒業した)で美術を学んでこだわりが強いのか、Bryanはここでもジャケット・デザインのアイデアを提供している。
Bryanはテレビのドキュメンタリーで見たWalesのAngleseyという溶岩でできた海岸をこのジャケットのロケ地に選んだ。
Sirenというのはギリシア神話のキャラクター(?)で、美しい歌声で船乗りを誘い寄せ、船をナンパさせた半人半鳥の生みの精だ。
半分鳥なんだって。このJerry Hallはどう見ても半人半魚だよね~。アレンジしたのか?

ちなみにこの船をナンパさせる話しだけど、吉村昭の小説にまったく同じ発想で、すさまじく憐れな話しがある。『破船』という作品ともうひとつ…短編だったな、タイトルは忘れた。
この『破船』というのはスゴイよ。オススメです。

Th_img_1266今は海賊盤というと正規盤と見まごうような立派な製品ばかりだけど、昔はコレが当たり前だった。
白いジャケットに色紙にコピーされた内容を記す紙っペラが一枚。当然盤のレーベルはのっぺらぼうだ。
音質もひどいものが多かったが、この75年のアメリカ・ツアーの海賊盤は音も比較的よくて何回も聴いた。『Siren』のレコ発ツアーだったのかな?選曲もすこぶるよろしい。
最後の「Re-Make/Re-Model」の演奏がすさまじい。ベースはJohn Wettonかな?


ジャケットもオフィシャルのアルバムに合わせたのだろう、エロチックなものになっている。

Th_img_1262こっちはEnoが在籍していた頃の海賊版。ベースはQuartermassのJohn Gustafsonだ。
これはただライブを隠し撮りした音源だけでなく、後に『Viva!』にライブで収録されることになる「Pajamarama」のスタジオ・バージョンなんかも収録されている。
なつかしいな~。
アジもソッケもないジャケットだけど、ナント言うか、風合いを感じさせるではあ~りませんか?

Th_img_1265そして、1979年にRoxy来日!
当然観に行った。武道館の1階席だったっけ。
4年ぶりにリリースしたスタジオ・アルバム『Manifesto』が気に喰わなかったからかもしれない。あんまりおもしろくなかったという印象。とにかくすごく音が悪かったような気がする

ちょっと調べてみると私もこの年は忙しくて、4月にトッド(サンプラ)とロキシ―(武道館)、5月にブルー・オイスター・カルト(厚生年金)とナザレス(渋谷公会堂)、それにUK(青年館)、6月にスコーピオンズ(サンプラ)とUFO(サンプラ)に行ってるわ。
ガールフレンドもいなかったので、とにかくお小遣いはすべてレコードとコンサートと化したね。

このロキシ―よりも77年に単独で来日して中野サンプラザで観たBryan Ferryの方が何倍もよかった。
何たってメンバーがすごくて、Chris SpeddingにPhil Manzanera、Paul ThompsonにJohn Wetton。Andy McKayもいたような気がするな。メンバーはほとんどRoxyだったけど、おもにBryan Ferryのソロの曲を演奏した。

この年のこのロックバカ少年(もしくはバカロック少年)の行動を顧みると…1月にエアロの初来日(武道館:前座はBow Wow)、3月にキッス(武道館:前座はBow Wow)、4月にローリング・ココナッツ・レビュー(晴海貿易センター)、6月にブライアン(サンプラ)とロイ・ブキャナン(後楽園ホール)、9月にイアン・ギラン・バンド(武道館)、11月にサンタナ(武道館:後出)に行ってる。15歳の時だ。

残念ながらDeep PurpleもLed ZeppelinもJeff Beckも見ることができなかった。エラそうなことは言えない中途半端な世代なのさ…もう5.6年早く生まれていればナァ。
でも、プロギタリストになることを夢見ていた。いい時代だった。

下はRoxy来日公演のプログラム。Ws_img_1045_2ちょっとRoxyをやったついでにサディスティック・ミカ・バンドをやっておこう。
最近は世界も狭く小さくなって、日本のバンドがホイホイ海外へ出かけて演奏するようになった。

一方、ミカ・バンドはアニメやゲームの力も借りずに40年も前に自分たちの音楽だけで本場で勝負した日本で最初のバンドだ。
ホラ、おなじみの『黒船(Black Ship)』も今は亡き加藤和彦さんとミカさんが涼しそうに空を飛んでいて季節は「夏」を感じさせるでしょ?冬じゃ寒くてこうは飛んでいられない。Bs1972年、ロンドンのケンジントンに移り住んだ加藤和彦は当時隆盛を極めていたT-RexやDavid Bowieに大きな影響を受け、日本で同様のバンドの結成に取りかかる。
加藤和彦、ミカ、つのだ★ひろ、高中正義というオリジナル・メンバーで1973年に「サイクリング・ブギ」をリリース。その後、ドラムが高橋幸宏に代わり、小原礼が参加しアルバム『サディスティック・ミカ・バンド』を発表。このアルバムはイギリスでもHarvestレーベルから発売された。

加藤さんはそのアルバムをMalcom McLaren(New York DollsやSex Pistolsの仕掛け人)に送ったところ、それがBryan Ferryの手に渡った。

そして、Chris Thomasのプロデュースのもと、『黒船』がイギリスでレコーディングされる。Thomasはその時にプロデュースしていたBad Fingerの『Wish You Were Here』にミカをナレーションで参加させた。「Know One Knows」という曲の中で、Pete Hamの歌詞を日本語に訳したものだ。この曲は日本でのみシングル・カットされた。
ナレーションは「誰も知らない、誰も知らない」と極単純なものだが、日本語などまったくわからないであろう英語圏の人たちにとってこのパートはすごく印象的なものであっただろう。
さすがChris Thomas。
久しぶりに聴いてみると、私の中では完全にAreaの「Luglio, Agosto, Settembre」の冒頭の「ハビビ…」というアラビア語と同じに聴こえた。
さて、今井裕を迎えて発表した『黒船』は日本ではヒット。イギリスでは評価は高かったもののセールスは振るわなかった。

ベースが後藤次利に代わり、再度Thomasのプロデュースの元、サード・アルバム『Hot! Menu』を発表した1975年には人気番組The 『Old Grey Whistle Test 』に出演。

この番組は1971~87年の間、イギリスBBC2で放映された音楽番組で新人アーティストの登竜門であった。
番組タイトルにある「The Old Grey」とは、ロンドンの音楽出版社がひしめくエリアで働くドアマンやメッセンジャー、ポーター達の総称だ。
音楽出版社のスタッフは新曲がヒットするかどうか彼らを使ってテストしたという。
つまり新曲を数回「The Old Grey」に聞かせる。そして、彼らがすぐにメロディを口笛で吹けるようであれば、それは耳馴染みがよく、曲がよい証拠に違いなく、「ヒットの可能性大」ということになるワケ。
すなわち「The Old Grey」たちへの口笛のテストだから「The Old Grey Whistle Test」だ。

ミカ・バンドの出演時、その番組名のバックドロップがワザワザ「The Old Glay Whistle Test」にアレンジされたという。「Grey」を「Glay」に…もちろん、これは日本人は「r」と「l」の発音の区別ができないというジョークだ。
これが国営放送の番組がやることだからね~。ホントおもしろい。でも大きなお世話だ!

ミカ・バンドは番組で「Time to Noodle(Wa-Kah! Chiko)」と「Suki Suki Suki(「塀までひとっとび」)」を演奏した。
その後、ミカ・バンドはRoxy Musicの前座として全英をツアー。サディスティック・ミカ・バンドは全英をツアーをした最初の日本人でバンドとなった。1975年のことである。ノーギャラだったらしい。

このツアー中、ロンドンの10月17&18日のWembley Arena(当時Wembley Empire Pool。私が持っている東芝EMI製のCDは「TEMBLEY EMPIRE POOL」と誤植されている)と14&15日のマンチェスターBelle Vueの演奏が下の『Mika Band Live in London』に収録されている。それが下の作品。
ジャケットの写真は加藤さんが冬の出で立ちで今回の特集にはそぐわないが…。

Wembley ArenaはMarshallの創立50周年を祝うコンサート『50 YEARS OF LOUD LIVE』が開催された場所だ。ああ、私もミカ・バンドのメンバーと同じ楽屋の廊下を歩いたのかと思うと感無量だ。

日本の文化を盛り込むことによって奇を衒うことなく、完全アウェイで自分達流に向こうの音楽をそのまま演奏して成功したミカ・バンドとかLOUDNESSのようなバンドを本当に尊敬するね。
しかも、今ではやや柔らかくなったが、イギリスの連中は「自分たちのロックがこの世で一番!」という感覚がメチャクチャ強く保守的だ。そこに40年も前に風穴を開けたのだからスゴイ。

ミカ・バンド自体が「黒船」だったのだ。

それと、イギリスでの演奏体験を通じ加藤さんはPAの重要性をイヤというほど思い知り、日本へ帰って来てPAの専門業者を立ち上げたという。今ではPAを取り扱う音響会社がたくさんあるが、この加藤さんの会社が日本で最初のPA業者だという話しを聞いたこともある。

「帰って来たヨッパライ」は私が最初に買った(買ってもらった)レコードだと記憶しているが、この大ヒット曲は加藤和彦の才能という氷山のホンノ一角でしかなかったのだ。

Lil1976年のGongのアルバム『Shamal』。Gong創設者、David Allen抜きの作品。プロデュースはNick Mason。
このあたりのGongの区分けがどうなっているのかサッパリわからんが、サウンド的にはいわゆるPierre Moerlen's Gong的。凡庸なAOR風な部分を除けばヴァイブラフォンやマリンバがタップリ入ってかなりカッコいい。『Expresso II』的とはまた違う味わいですな。

「Bambooji」という曲では「さくらさくら風の和的メロディがフィーチュアされる。「竹寺」?鎌倉の「報国寺」?
ん~、なかなかにヒドイ。中国風になったり、チャランゴが入ってフォルクローレ風になったり、一体どうなってんだ、コレ?こんなことしなきゃいいのに…。

ジャケットは「夏」というより、どちらかというとただ「暑い!」って感じ?

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Brand Xのことは『SFジャケット』の<中編>に記しておいたのでそちらもご参照願いたい。
これは1977年に発表された2枚目の『Moroccan Roll』。タイトルは「More Rock 'n' Roll」のダジャレ。ジャケット・デザインはひと目でわかる通りHipgnosisだ。
これは「夏」かな?「Hot-Hotter-Hottest」の3種類の季節しかないエリアのだからね、一年中「夏」でもあるし、反対に特別「夏」があるワケでもなさそうな感じだ。

内容の方は中近東サウンドとロックを融合させたつもりらしいが、そうかな~。民族音楽臭はかなりうすい。
それにしても、こうして聴いてみるとJohn GoodsallってMcLaughlinに似てると思わない?
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ここでSANTANAを取り上げるのは初めてかな?
これもひと目でわかるジャケットデザインは横尾忠則。
横尾さんは以前に日本でのライブ盤『Lotus』の多面ジャケットを手掛けている。
今回は偶然Miles DavisとSantanaが登場しているのでそのお話を最後に…。

1.『Lotus』が発売になるにあたって何かの機会にCarlosがMilesにそのジャケットを見せた時のこと。
「イヤ~、ディヴィスさん、コレ、今回の私の3枚組のライブ・アルバムなんですよ。ちょっとジャケットに凝りましてね、ホラこうして、こうして…22面体なんですよ。ハハハ、くだらないでしょ、こんなのきっとバカバカしいと思いますよね~、ディヴィスさんともなると…」とへりくだって見せたかどうかは知らないが、熱心にそのジャケットに見入るMilesの口の端からはヨダレが垂れていたという…「いいナァ~、コレ」って。ナベサダか?!(←これは古い!)

2.この時の話しかどうかは知らないが、Carlosが尊敬するMiles Davisにお気入りのペンダントをプレゼントした時のこと。
「あの、ディヴィスさん、もしよろしければこの私の大切にしているペンダント受け取っていただけませんか?」
あのしゃがれ声で…「いいのかいサンタナくん。コレはキミがとても大切にしているものなんだろう?」
「イエイエ、ナニをナニを、、私が心から尊敬するジャズの巨人に受け取って頂けたら本望です!」とへりくだって言ったかどうかは知らないが、そのペンダントが気に入ったのか、熱心に見入るMilesの口から出た言葉は…。
「サンタナくん、貰いっぱなしじゃなんだから、キミ、よかったら表にある僕のフェラーリ持ってっちゃってくれないか?」

ま、ホントかどうかは知らないけど、ホントの話しということにしておきたい話しだ。
某漢方薬会社の元社長さんが中古レコードを見に行って、欲しいものが何枚か出て来た。それ以上レコードをチェックするが面倒なので、レジで「あの、この店1軒ください」と言った話しとかね。コレはウソらしい。
でも、こういうスケールの大きい話しは大好きだ。

それとどうしてもまた触れておかなければならないのは「Europa事件」。これで哀愁も吹っ飛ぶぞ!
他の記事の再録になるが、ドラムの岡井大二の話し…このSantanaとTom Costerのペンになる「Europa」は邦題が「哀愁のヨーロッパ」になっとるが、「Europa(エウロパ)」というのは木星の衛星のうちのひとつで、「ヨーロッパ」とは関係ない。
そもそも「Europa」と「Europe」でつづりが違うのだ!「当時、このエウロパは地球に似た環境を持ち、もしかしたらそこに住むことができるかもしれない」ということがわかり、それをイメージして作られた曲なのであ~る。

それを当時の日本のレコード会社の担当者が「ハイハイ、ヨーロッパね。哀愁のメロディだナァ」と勝手に思い込んで「哀愁のヨーロッパ」にしちゃったのだ…という。以上大二さん。

そうだよね~。そういわれてみればそうだ。Santanaを熱心に聴いたことがないもんで、恥ずかしながらこれは気がつかなんだ。このレコード会社の人、後で恥ずかしかったろうナァ~。完全に取り返しがつかないもんね。

真相を尋ねたら「イヤ、これはあくまで邦題であって衛星とは関係ない!オレのイメージじゃい!」って開き直るだろうナァ~。でも、真相を知っても我々日本人は「この曲=ヨーロッパ」というイメージが払拭できないのではなかろうか?私も曲名を指すときにほとんど100%原題を使うが、この「哀愁のヨーロッパ」だけは「哀愁のヨーロッパ」って呼んできた。そこにこの曲の落とし穴があったワケだ。もし、原題を使っていればもっと早く気がついたと思うんよ…ま、どうでもいいか?
しかし、みなさんはこの曲を聴いてヨーロッパのどこを連想しますか?少なくともロンドンはないな~。

ちなみに木星の衛星というとイオ、ガニメデ、そしてこのエウロパあたりが有名か?66個もあるんだって!地球なんて1個だけなのに。太陽系の中でもっとも多くの衛星を持つ惑星は土星だったが、発見が相次ぎ木星が今一番多いのだそうである。

…お後がよろしいとうれしいな…。
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私はSantanaを聴かないが、先に記したように中学3年の時、武道館に観に行った。これがその時のプログラム。『Moonflower』の発表直後だったんだね。
あのね、さんたなだよ…。チャウチャウ、あのね、ものすごくヨカッタんですよ。本当に感動した。私の外タレコンサートの人生ベスト5に入るね。

Ws_img_1044プログラムの中からこんなの出て来たよ。
Scorpionsの2度目の来日の告知チラシ。ナニナニ「元UFOの名ギタリスト、マイケル・シェンカーが来る!」だって?

サンプラへ行ったけどね、思いッきし来ねーんでやんの。UFOでも来なかったし、結局私は一度も本物のMichaelを観たことがないのです。

Th_img_1245<後編>につづく

ミュージック・ジャケット・ギャラリーはどなたでもご見学が可能です。

詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本項の展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

(文中一部敬称略 ※協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )





2013年10月16日 (水)

曾我泰久LIVE!LIVE!LIVE!JAPAN TOUR 2013

今年1月のバースディ・コンサートの時に「今度のツアーはメンバーのみんなの故郷で演奏しよう!」という言葉に偽りなく、それぞれの出身地での公演を含む全国ツアーを敢行したヤッチン。

10そのツアー・ファイナルのレポートをお送りする。

20東京出身の曾我泰久。

30v山口出身の田川ヒロアキ

40v京都出身の和佐田達彦

50vそして香川出身のファンキー末吉

60v今回も最高に明るく楽しいコンサートだった!

70v今回のMarshallはJVM210Hと1960AX。
そして、ズラリと並んだステージのギター。これまでヤッチンが自分の音楽をクリエイトするために愛用してきたギターたちだ。

80今回、それらの思い出深いギターをすべて使用してヤッチンの音楽活動を振り返ってみようってワケやね。

90田川ヒロアキは愛用のJMD501。
110v田川ヒロアキとMarshallが織りなす相も変わらない美しいギター・サウンドでソロにバッキングにと大活躍だった。

100vオープニングは「ハダカノココロ」。

130いきなりヤッちんの上質なPOPワールドが飛びだす!ああ、さわやかでいいナァ~。

140vまずは最近集中して使っているミドリのGuyatone。
中学生の時、Roly GarllagherがGuyatone製のMarrolyというギターを使っていることが話題になった。
シングル・カッタウェイのフラット・トップのモデルで、このヤッチンのモデルもそうかな?
で、Rolyが「Guyatone」を「ガイアトーン」と読んだという話しがどこからともなく伝わって来て、そんなことも話題になっていたっけ。今みたいにクリックひとつで何の情報でもゲットできる時代じゃないからね。
この「Marroly」というのは名前に「Roly」が入ってるんだね。今気がついた。
ちなみに英語圏の人は英語読みできるところをまず英語式に読んでしまうクセがあるようだ。「Guya」というのは頭に「Guy(=ガイ)」という英単語が入っているからまずそれを英語式に読んで「ガイアトーン」になってしまったのだろう。

今日はヤッチンの弾きまくりも期待できそうだ!
150こちらはいつも通り弾きまくりの田川さん。

「Let's get together」、「Midnight Train」、「XYZ」と曲が続く。

160vTHE GOOD-BYE時代から使っているという白いストラトキャスターでは「僕の月面計画」、「One more kiss you!」、「秘密」を演奏。

170v用意されたのはエレクトリックだけではなく数本のアコギも登場。
ヤッチンのソロ活動は23年に及び、年に1枚のペースでCDを発表し続けて来た。

180バンドをしたがえて…「Go Ahead Again!」。

191ヤッチンの「ここでバンドの皆さんにはゆっくりくつろいで頂きます」というアナウンスに忠実に従う和佐田さん。まじめな人だ。

192「エ、楽屋で休むの?!」

193ここからヤッチンの弾き語りコーナー。
「せっかくなので30年前のTHE GOOD-BYEのデビュー曲「気まぐれワンウェイ・ボーイを…」と言った瞬間、会場は割れんばかりの大歓声!残念でした、演りません。
「あの曲をひとりで演るワケないでしょ!」とヤッチン。

190ここは公演地によって演目が異なったようだ。ヤッチンが会場の雰囲気を見てその場で決めたのだろう。
今日は「思い出のLONG VACATION」。

200本年7月2日に不幸にも亡くなられたTHE GOOD-BYEのベーシスト、加賀八郎さんの思い出を語りながらアコギをウクレレに持ち替えて「Going Home」を歌う。
前回、この曲を聴いた時のステージには加賀さんがヤッチンの横にいたのにナァ…。
今年でTHE GOOD-BYEはデビュー30周年を迎える。

210vそして、楽器を降ろし、ひとり多重録音で「見上げてごらん夜の星を」を。
ヤッチンは小学校5年の時にジャニーズ事務所に入り、お兄さん格のフォーリーブスのバックダンサーを務めていた。その時、フォーリーブスが歌っていたのがこの曲だったという。
心温まる素晴らしい歌唱。

220ここでメンバーのソロ・コーナー。
「僕は彼の前では普通のギター・キッズに戻ってしまう」と田川ヒロアキを紹介。

230ヒロアキくんは大好評の「アヴェ・マリア」を交えてギター・ソロを構築。

240vおなじみのメロディを一音一音祈るようにして弾く。
メロディを際立てているのはその美しい音色。

260v華美な装飾を施すなく、ともすれば折れてしまうような単音のプレイが心を打つ。
こういうプレイはヒロアキ君ならではのものだ。

250vもちろん後半は弾きまくりのティロリロ状態!
お客さんも盛り上げどころをよく心得ていてかなりいい感じ!

270今日もキマった~!

280v替わっての登場はバーべQ和佐田!
この日のために1,500円で髪を切って来たそうで…。

290vいつも何かフザけていないと気が済まない仕事熱心な人だが…

300v決める時はバッチリキメる!

310v壮絶なスラップ!
こういう派手なプレイもカッコイイが、ランニング・ベースもタマランよ。いつかの「爆風トリビュート」の時のプレイは本当にスゴかった。アレは忘れもしない…エーといつだったっけナァ~…忘れとるやんけ!ってヤツですな(二井原さんMCより借用)。本当は覚えてるの。それはコチラ(ヤッチンも登場してます)。

320vそしてファンキーさん!

330vファンキーさんは衣装を新調!でもなんでGS風?
衣装といえば、以前紹介した「はち王子さま」の衣装もスゴイからね。もうすぐまたツアーに出るようなので絶対に観た方がいいッスよ!マーブロもまた取材に行くぞ!

350v会場を揺るがすすさまじいドラム・ソロ!

360vファンキーさんのドラム・ソロはいつも盛り上がるな~!

340「ファンキー~~~~~~~~~~~~すえよし~~~!!!!!!!!!」と和佐田さんがソロを占める。

370しかし、この2人があんなスゴイ演奏をするんだからな~!だからカッコいいのだ!

380バンド・メンバーが好きなだけ好きなことをやった後、ヤッチンがアコギを下げて再入場。曲は「Another World」。

390vそしてショウは後半に突入。ギターはまたコレ。
「約束の場所で」と「流されて」をプレイ。

400今回はこれだけギターを並べたということもあってか、ヤッチンのギター・ソロは前回のバースディ・ライブの時よりはチョット多め。余計なことを一切しない音を選ぶソロだ。
個人的にはもっと弾いてもらいたいな~。

410vヤッチン、今度はチェリー・サンバーストのレスポール。
Guyaのギターを見慣れているせいか、レスポールがよく似合うな。

430v「Please Believe Me」と…
420v「Yes! Yes!! Yes!!!」。

ヒロアキ君はボーカル、キーボード、ギターと大忙し!

445本編最終パートの大盛り上がりセクション!

440v
和佐田さんもノリノリだ!ここは真剣!

450ヤッチンとヒロアキくんのギター・バトル!

120長いツアーの最終日、またメンバーがバラバラに自分の仕事に帰って行くのはさびしいけど、演奏は楽しそう!

460お客さんも大熱狂!
465本編最後の曲は赤のストラトキャスターで「UP BEAT」。占めて19曲。
よく練られた楽しいステージだった~!

470vアンコール…ヤッチンの呼び込みでステージに入って来たファンキーさん、なんと中国と電話中!

2sg_img_0955アンコールのギターはTHE GOOD-BYE時代にLAで購入したというリッケン。
480曲はこないだThe Paisleysでもやっていた「気になる女の子」。
みんなで「♪ア、アン、ア、アン」の所を歌おうというワケ。

475vいよいよ最後。Guya、今日3回目の登場!

490vさずがヤッチン、おしゃれ!タオルをキチンと首に巻いてる。
曲は「Stand Alone」。

500さらに定番「愛を育てよう」が続いてコンサートは終了した。

510v今日はゲストの登場もまったくない、4人だけのストレートなコンサート。なんか、本当に仲がよさそうで見ているこっちも楽しくなる。
「いい音楽を楽しく奏でよう!」というヤッチンの気持ちが伝わって来るいいコンサートだった!

52011月17日にはTHE GOOD-BYEの30周年を記念するコンサートも開催される。あまりの人気にマチネーが追加になったそうだ。これも楽しみだね!

530曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒曾我泰久オフォシャルサイト【soga21.com】

540v(一部敬称略 2013年9月1日 新宿BLAZEにて撮影)

2013年10月15日 (火)

QUORUM at 鹿鳴館~Tasuya Plays NATAL!

Marshall Blog早くも3回目の登場となるQUORUM。
やはり一般の音楽愛好家だけでなく、たくさんの音楽関係者からも注目されているようだ。

10_2本当はですよ、本当は、制作サイドが「売り上げ至上主義」にのっとって世に送り出した、時間がチョット経てば灰塵と化してしまうどうしようもないロックもどきの出番をホンノ少し削って、「黄金時代のロック」を伝承していく作業をマメにしていたらQUORUMは今、注目を浴びてなかったかもしれない。

そういう意味ではQUORUMはラッキーだったとも思えるし、本物のロック・バンドだともいえるし、一番早い話し、ようやく現れたロックのストレートな救世主ということができると思う。

私は中山康樹さん(元スウィング・ジャーナル編集長)の音楽評論が好きで、影響を受けない程度に楽しみながら読んでいる。あまり読みすぎて影響を受けちゃうと、つい受け売りが多くなったりしてMarshall Blogが書きづらくなっちゃうからね。

ちなみに中山さんの著書、『新マイルスを聴け!アコースティック1945-1967 』や『リヴァーサイド・ジャズの名盤50(ともに双葉文庫)』、『ビル・エヴァンスを知る名盤50選(廣済堂出版)』の表紙のデザインはこのMarshall BlogやShige Blogのバナーをデザインしてくれた梅村デザイン研究所の作品だ。

で、中山さんが『さよならビートルズ(双葉社)』という著書の中で、「近い将来、日本から洋楽が消えてなくなる」と記されている。
同感ですな。み~んな洋楽から教えてもらったのに…。
こういうことは以前から言われて来ていることだが、中山さんの経験や知識、鋭い洞察眼を通して分析されると、いよいよか…とうなずいてしまう。
スティーヴ・ジョブスは家では音質を尊重してアナログ・レコードを愛聴していたというし、もうメチャクチャですな。「大山鳴動して」出て来たのは「カッコいい音楽の死滅」ということか。

さらに中山さんのご指摘に同感したいのは、「レコード会社の最大の失策は、コピー防止など、商敵を消費者に設定したことであり、本当の商敵は他の娯楽業界であったことに気付かなかったこと」という部分。いまではアニメやゲームの他の業界に頼らなければならないところは皮肉な話しだ。

そんな状態を目の当たりにすると、いよいよこのQUORUMが頼もしくなってくるのだ。「QUORUM」が何とかしてくれる!…って。QUORUMを支持している人はみんなそんな気持ちで彼らに接しているのではなかろうか。

20ボーカル、真太郎。

30v_3ギター、遊太。

40v_3ベース、幸人。

50v_3ドラムは達也だ。

60v_3今日のレポートは9月に目黒鹿鳴館で開催されたイベントの一幕。
何の飾り気もない約1時間のステージであったが、着実に前進する4人の姿を定点観測するとてもいい機会だった。

70_3Marshall Blog読者の中にはまだQUORUMの音を聴いたことがないという方もたくさんいらっしゃると思う。
ラッキーなことにQUORUMの公式ウェブサイトから「サワリ」を発信しているので、今日はそれを交えていくことにする。
3曲紹介するので、是非クリックして聴いてみて欲しい。

80v_2オープニングはバンドのテーマ曲ともいうべき「Quorum」。音源はコチラ
QUORUMらしさが満載の実にカッコいい曲だ。

Why don't you listen to "Quorum"?

90どんなバンドでも場所もメンバーも同じとなると、レポートが書きづらくなるものだが、今回は違う。
それは達也のドラム!

100v_2Marshallのドラム、NATALを使用しているのだ!

110_2使用しているのは、22"Bass、13"Tom、14"Floor、16"Floor、14"x5.5"SnareからなるTraditional Customというキット。色はGloss Black。材質はMapleだ。

120vただでさえワイルドでクリスピーな達也のドラミングにシャープさが強調された感じで実によろしい。

200v遊太は当然Marshall。今回もJCM900 4100を使用しているが、本当のお目当ては1987だ。

130v1987をXキャビで鳴らしたらいいだろうな~。本当に70年代の黄金のサウンドになることは疑いようがない。
ちょっと勘違いして欲しくないのはナニも私が「古ければよい」といっているワケではないからね。そんなつもりはまったくなくて、「いいものはいい」といっているだけ。
先日、マンチェスターから来たThe Virginmarysというバンドを観たが、実にヨカッタ。ちっとも新しくないのに古いというか、古臭いのに新しいというか…。その種明かしは後日アップする記事トを待っててちょ!

140v_2バラードで「Tennessee」。「田無」ではない。音源はコチラ
し、しかし、同じ若者でテレビに出て来るようなバンドとどうしてこうも違うかね?ここまで来ると喰い物の違いを疑ってみたくなる。こうしたバラードにも真太郎の魅力が横溢している。

Let's have a break over "Tennessee"!

150v_2もう1曲は「Danger」。音源はコチラ
ウ~ム、ウマイところでフェイドアウトしたな?この先がまた滅法カッコいいのに!
これもQUORUMのいいところが惜しみなく出ている今のところの代表曲だと思う。

"Danger" is dangerous!!  Please come over to the gig to experience the further part of this song!!  It's a killer!!

160v_2今日リンクした3曲以外にもQUORUMワールド全開のロック・チューンが演奏された。

170_2遊太には並々ならぬ才能を感じていることは以前にも書いたが、終演後、彼は私に向かってこう言った。
「シゲさん、オレがんばりますよ!もっともっといい曲たくさん書きますからネ!」って。
すごく頼もしかった。
がんばらなきゃいけないのはMarshallの方かも知れない。

180_2
ま、私は根っからのギター族で、ドラマーの良し悪しに興味はあってもドラム・セットの良し悪しには興味はなかった。
しかし、ドラム・キットが変わるだけで、とこうしてものすごくバンド全体のイメージが変わるということがよくわかった。

Qr_img_1972NATALの創設は1965年のロンドン。69年に創造性のピークを迎えたといわれているロックの揺籃期にスタートしている。
元々はパーカッションのブランドだが、こうしてドラム・キットを作ってもやはりそのブリティッシュ魂には何の揺らぎも感じられない。
それがQUORUMのロックに完全にマッチしているのだ。
やはり、ホンモノにはホンモノがシックリくるということだ。
210
音源はいかがだっただろうか?気に入ったら是非コンサートに足を運んでいただきたい。その際には入り口で「Marshall Blogを見ました」と伝えて欲しい。何にももらえないけど、私がうれしいです。(あ、ホントは言わなくていいです)
190v_2QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

220_2(一部敬称略 2013年9月15日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2013年10月11日 (金)

Aphroditeの様式美

Aphrodite(アプロディーテ)…愛と美と性を司るギリシア神話の女神。戦の女神としての側面も併せっている…ま、残念ながら会ったことはない。

10_2私が会ったのはこっちのアフロディーテ。岡垣Jill正志率いる様式美系バンドの雄だ。

20荒木真為

30v_2西村守

40_2ANI-Katsu

50v_2堀江睦男

60そして岡垣Jill正志。

70_2小柄な体躯からとめどもなくパワフルに繰り出されるロック・ヴォイス!

80v_2もちろんその声質はあまりにもバンドのサウンドとマッチしていてAphroditeの音世界を極限まで広げてしまう。

90無節操にやたら弾きまくることのない抑制の効いたギター。西村さんも大のMarshall愛好家だ。
110vやはりこの手の音楽のこういうギターにはMarshallがベスト・マッチする。何というか、そのバンドの中において、ギターという楽器が持つ独特の色気が一気に引き立つのだ。

100v三宅庸介、今井芳継、鈴木広美、足立YOU祐二…赤尾和重曰く、「岡垣くんがどこからともなく連れて来る」名ギタリストたちだ。
岡垣さんと活動を共にする西村守も例外なく「名ギタリスト」の仲間入りを果たすことだろう。
120この手のスタイルの音楽には緻密なプレイをするリズム隊が絶対に欠かせない。これでリズム隊が少しでもガタついていると、様式がいとも簡単に粉々に崩壊し「様式醜」になってしまう。

130「謎のアラブ人」とか「謎のパキスタン人」というルックスのインパクトもさることながら、堀江さん、ドラミングもかなりインパクト強し。
豊かなダイナミクスでビシビシとキメてくるところが実に爽快!このメリハリの効く鉄壁のリズム陣を配してこそ様式の美しさが成り立つのだ!

140そして、Aphroditeの頭脳にして司令塔の岡垣正志のキーボード・プレイ!

160vオルガンにシンセサイザーに…幻想的にして鋭角的なプレイは岡垣さんならではのもの。

170キーボードの入ったロックをいつも称賛しているが、こうした華麗なプレイを以てして成り立つ「様式美」のスタイルはその最高峰と言えるだろう。
時折、オルガンを前後に大きく揺さぶりながらメンバーの仕事ぶりを睥睨する姿は鬼気迫るものがある。

180私にとって「aphrodite」というと、すぐに連想されるのはギリシアのバンド、Aphrodite's Child(アフロディテス・チャイルド)だ。
後に『炎のランナー』で名を馳せるEvangelos Odysseas Papathanassiou(エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ)、平たく言えばヴァンゲリスがやっていたバンド。名盤の誉れ高い『666』はよく聴いた。

190向こうはChild、こっちはAphroditeでお母さんだからこっちの方がエライ…ってナニいってんだか。
両方好きよ。

195v寡聞にして決して詳しくはないが、いわゆるこの「様式美」と呼ばれる(あるいは呼んでいる)スタイルのロックは昨今の世界の音楽地図の中にあって、至極日本的で、独特のモノではないかと思うのだ。
210ガッチリとまとまったテクニカルなハードなロックを骨組みに、幻想的にスペクタクルを演出するキーボード…とここまではそう珍しくないスタイルだろう。

Ap_img_0510ところが、このスタイルを海外の同類のバンドと一線を画し、猛烈に日本独特の味わいに仕上げているように感じさせるのは「ことば」だ。
そりゃ日本語で歌えば「日本ムード」が横溢するにキマってはいるが、その上を行くフィット感があるんだな。メンタルな部分がすごく大きいと思う。

200vこの「様式美」という音楽スタイルも、日本人がイノベイトした、J-POPの極北に位置する真の「日本のロック」のひとつと言えはしまいか?

220v来る12月にも「様式美大作戦」と銘打ってJill's Worldを堪能できる機会がやってくる。
東京は12月1日、目黒鹿鳴館、にて、大阪は7日、心斎橋Club ALIVEにて開催。出演は;

★Jill's Project EX featuring 島 紀史(!)
岡垣Jill正志   
ANI-Katsu
出原 卓
千田 忠彦
島 紀史

★Aphrodite
岡垣Jill正志
荒木 真為   
堀江 睦男
西村 守
ANI-Katsu 

☆ゲスト 足立YOU祐二、 三宅 庸介(東京、大阪両日) 、赤尾 和重(大阪のみ)

という岡垣一家総出の豪華イベントだ!マーブロ一家という感じもするな…おもしろそ~!チョイとしたMarshall祭りだゼ!コリャ見逃せんワイ!
240岡垣正志&Aphroditeの詳しい情報はコチラ⇒Jill's Room

225今日はイベントでの出演だったため上演時間は短かったが、十二分に自分たちの世界を展開したAphroditeなのであった!

230(一部敬称略 2013年8月24日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2013年10月10日 (木)

日比谷野音のグッドモーニングアメリカ

若い人たちでスシ詰めの日比谷野音…みんなウチの子たちよりも若いな。
野音は好きだな。
35年来、私も彼らより若い時分からここに通って来た。

ワシも歳をとったものじゃ。こうして客席に出ると間違いなく一番の年長じゃ。昔はどこへ行っても一番年下だったんじゃがの~。

でもね、マーシャル・ブログだよ…イカンイカン、最近芦田愛菜ちゃんのモノマネがメッチャ気に入っていて「でもね」と来るとつい…。

でもね、歳を取ることも悪くないと考えているし、この歳になってこうして若い人たちと楽しく仕事ができるのはとてもラッキーなことだと思う。
若い人にはエネルギーとバイタリティがあるし、年寄りが考えつかないようなことを編み出す鋭い感性も持っている。
若い時には年配者を敬い、年配になったら若い人を尊重する…人の一生はうまく出来ている。
音楽に関しては普段はガミガミうるさいことを言っているが、この先、若い人に可愛がられる「マーシャルじーさん」になりたいもんだ。あだ名は「マージー」ね。

10『ときめきジャンボリー』という若手のバンドさんが集結したにぎやかなイベント。

20出番を待つNATAL(ナタール)。

30v会場はものスゴイ熱気!
この後、グッドモーニングアメリカが出番がやってくる。

40そして、大歓声の中、客席から登場したたなしん。

50手にしているのは弓と矢。今日は愛のキューピットだ!「ときめき」だからね。

60たなしんが登場して、「グッドモーニングアメリカはじめま~す!」の儀式が終わり、バンドがクレッシェンドしてくる瞬間はやはり鳥肌ものだ。グドモのステージの最初の見せ場。

70情感あふれる歌いっぷりで満員の観客を酔わせた金廣真吾。

80v「き~」でコール&レスポンス・コーナーをキメたたなしん。もちろんベースでも大活躍だ。

90v今日もカラフルにグドモのサウンドを彩った渡邊幸一。

100もちろん愛用のMarshall 1959+1960AとBigsbyつきの335のコンビネーションは不動だ。

110今年5月に発表したファースト・フル・アルバム『未来へのスパイラル』を引っ提げてのツアーもすべての会場がソールド・アウトとなり、大成功のうちに終了した。

120vNATALドラムを手中に収め、そのドラミングを一層シャープなものに昇華させたペギ。
ドラム・キットによって随分とバンド・サウンドも変わるものだ。

130v幸一ちゃんのMarshallギター・サウンドとペギちゃんのNATALドラム・サウンドがグッドモーニングアメリカ・サウンドの要になっていることがうれしくも頼もしい。
ペギちゃんはNATALのウェブサイトにも登場している⇒NATAL Official Web Site

140v2014年冬のツアーも決定したそうで、ますます活動を活発化させているグッドモーニングアメリカ。向かうところ敵なしの状態がつづく。

150今年の野音はこれで最後かな?野音に来なくなった時が私にとっての夏の終わりだ。

グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルサイト

160(一部敬称略 2013年8月24日 日比谷野外大音楽堂にて撮影)

2013年10月 9日 (水)

Chris Duarteと小笠原義弘、待望のライブ・アルバム『CHRIS DUARTE GROUP LIVE』発売!

アノね、マーシャル・ブログだよ。(意味はないです。どうしてもやりたかっただけ…スミマセン)


昨日も令文さんとのグループ、Trio the Collagensで登場してくれた小笠原義弘。

10「~をするために生まれて来た男」っていう表現をよく使うでしょ。「野球をやるために生れて来た男」、「詐欺をするために生れて来た男」…これはよろしくなけど、あまりにも夢中に何かに打ち込んで、その能力が普通の人も何倍も長けているような人を指す。
20v「ベースを弾くために生まれて来た男」…それがオガンちゃん、小笠原義弘なのだ。

30vこれまでマーブロでも「いいバンドには必ずいいベーシストがいる」なんてことを書いてきたが、その味方に何の揺るぎもないどころか、こうしてオガンちゃんのプレイに接しているとますますその考えが確固たるものになっていくし、ベースという楽器がバンドの中で驚くほど重要な役割を担っていることを実感する。

40無理は承知だが、オガンちゃんに協力してもらってやってみたい実験がひとつある。
それは、初心者に毛が生えたようなバンド、それからマァある程度まとまっているバンド、それと上手なバンドの3つを用意して、それぞれにオガンちゃんが入ってベースを弾いてもらう。
そこでそれぞれバンドの演奏がどう変わるのかを見てみたいのだ。おもしろそ~でしょ?
こういうことこそテレビでやれってんだよ!
この実験は広規さんでもやってみたい。
また「ドラム編」があってもよい。

50vこの実験で一番顕著な結果が出る楽器はは間違いなくドラムとボーカルでしょう。次いでベース。
それも、真ん中のある程度まとまっている程度のレベルのバンドに大きな効果が表れると見ている。
こんなことを思いついたのは、オガンちゃんが参加しているバンドの演奏を観ていて、ベースが入っているパートとそうでないパートにおいてグルーブ感とかドライブ感にケタ違いの差がああることに気がついた時だった。
もちろんオガンちゃんが一緒に演っているようなミュージシャンのことだからベースがなくても鉄壁のグルーヴ感をクリエイトしているのは当然だ。
しかし、オガンちゃんが弾き出すとグルーヴが渦を巻き出し、バンドが動き出すのが目に見えるような感覚を受けるのだ。

もう「グルーヴ」という言葉も死語になりつつあるらしい。いわゆる「グルーヴ」感を必要とするような音楽がもうないからね。Red Garlandもかわいそうに…。
でも、オガンちゃんのベースには「groove」という言葉がよく似合う。

60vそれと「エロス感」。オガンちゃんのベースにはエロスを感じる。色っぽいというか、艶っぽいというか、聴いていてウットリ、デレデレしてしまう。そこには「毒素」もふんだんに盛り込まれている。さながら山の歩道に赤く毒々しく生えるキノコのようだ。
面白い音楽にはジャンルの別を問わず「エロス」と「毒」が必要だ。
だから、巷間の「がんばれ!音楽」や「負けるな!ミュージック」のような菌床栽培のシメジやエノキダケには面白さのカケラも感じられないのだ。
90vこれが「世界の手」。
世界中で最高のグルーブをカマしてきた「手」だ。
こんなにゴッツイ体躯をしていても、他のミュージシャン同様やはり手は美しい。

70オガンちゃんの「世界ストーリー」は続く。
それは、テキサス出身のCris Duarteとの活動だ。
Chrisが来日する時はもちろん、全米ツアーにもオガンちゃんは参加している。

80vハイ、ここから話しが変わります。

そして、8月下旬、満を持して発表されたのがこの2枚組CD、『CHRIS DUARTE GROUP LIVE』。2012年7月26日、目黒Blues Alley Japanでの白熱の演奏を収録したライブ・アルバムだ。
発売元はMarshall Blogの皆さんにはおなじみであろうShrapnel Records。

当日の公演のもようはShige Blogで2本立てでレポートしているので是非ご覧いただきたい。

Shige Blog : Chris Duarte Live in Japan 2012 <前編>

Shige Blog : Chris Duarte Live in Japan 2012 <後編>

そして、このヘタクソなレポートの内容が実際に音になったというワケ。これはうれしい!
ま、ヘタクソなレポートとはいっても、我ながら撮った写真はとても気に入っていましてね…。

C10そして、うれしいのは当日の演奏が音になったばかりではなかった。
実はこのCDに使われている写真はすべて私が撮ったものなのね。
コレはうれしかったね~。
一応世界デビューですからね、そりゃうれしいですよ。

C20フォト・クレジットもしっかり入れてもらっちゃって!

C50もちろんオガンちゃんとChrisがつないでくれたんだけど、ある日あのMike Verneyから「キミの写真は素晴らしい!最高だ!是非今回のライブCDのスリーヴにキミの美しい写真を使わせて欲しい!」とメールが来たんですわ。

それでShrapnel Recordsのロゴの入った契約書にサインしたってワケ。
マジ、うれしかったね。鳥肌立ったわ!

短期間にココまで来れたのも、Marshall Blogにご協力頂いている皆様のおかげと感謝しております。快くステージを撮影させていただいて訓練をしていなかったらこんな写真は撮れなかったにキマってますからね。
そして、Marshall Blogをご支援頂いている読者の方々がいてくれなかったらMarshall Blogも継続できなかったハズです。

この場をお借りしまして皆様のご厚情に心から御礼申し上げます。

C30_2CDの内容についてはとにかくCDを聴いてもらいたい。先入観を植え付けたくないのでここではゴチャゴチャ書くのを控えておくことにする。

ひとつだけ…
Chrisを初めて観たのはもう何年も前のことだが、その時からコルトレーンの影響をそのプレイに感じていていた。
そしたら、このコンサートの締めくくりは、ナント、コルトレーンの「Alabama(『Live at Birdland』収録)」だった!
オイオイ、こんな曲、ギタリストはゼッタイにやんないよ!それがこのCDにも収録されている。祈るかのように音を絞り出すChrisのプレイが実に感動的だ。
ひとつだけ、残念だったのは、コンサート中に演奏したもうひとつのコルトレーン・スタンダード「Moments Notice」(『Blue Train』収録)が収録されていないということ。すごくいいプレイだったんのにな…(Shige Blog参照)。それにもう一度CDを通してオガンちゃんのこの曲でのプレイが聴いてみたかったりして…。

C60さて、そのオガンちゃん参加のChris Duarte Groupが11月に日本に帰って来る!
これは見逃せませんぜ!11月1日の福岡を皮切りに13公演。

ChrisとはNAMMで1月にNAMMで行き会ったが、私がMarshallに帰ってきたことをすごくよろこんでくれた、Chrisも以前はJCM900を使っていたからね。
私も今回のツアーでは色々とサポートさせていただこうかと思いましてね、とても楽しみにしているのだ。

CdfCDは現在のところAmazonの他、Tower RecordsやHMV等の大手輸入CD店にて輸入盤のみ入手可能。
Chrisが来日する時にもゲットできるチャンスがあるようだ。サインももらえちゃいそうだよ。

また、国内盤の発売も予定されているのでよろしくです。
それではライブ会場でお会いしましょう!


小笠原義弘の詳しい情報はコチラ⇒DANCIN'FUNKY BASS!!!

C40

2013年10月 8日 (火)

Trio the Collagens~これでいいのだ これがいいのだ 2013~

『Trio the Collagens Presents! Raven & Roger 30th Anniversary Tour~これでいいのだ これがいいのだ 2013~』というのが正式なツアー・タイトル。
これまで予告編も含めて2度ほどこのツアーに関するレポートをお送りしてきた。

10ベースのオガンちゃんが音楽生活30周年を迎えた先輩、令文さんとロジャーさんに敬意を表して企画したツアーだ。
バンド名はTrio the Collagens(トリオ・ザ・コラーゲンズ)。

20大谷令文

30小笠原義弘

40高橋ロジャー知久

50vそしてこの日がツアーの千秋楽。
ゲストを交えての公演となった。

601曲目は令文さんの「いいのだ」。

70vそして2曲目も令文さんの「Razor Boogie」。

80v超速調のブギ。こんな曲、このリズム隊だからサマになってる!
Ttc_img_5939このトリオのもっともいい部分が発揮される曲だと思う。「火を噴くような」という形容がまさにピッタリだ。
ホント、こういう曲が世の中からスッカリ消え失せてしまったよね。聴き違いようなく、ロックの一番カッコいい部分のひとつだろう。若い人たちはこういう曲を聴いてどう思うのかしら?
ま、ティロティロと両手を使ったり、ペロペロとスウィ―プで間を埋めたりするんだろう。
大谷令文はそんなことはしない。右手を指板の上に乗せるなんてことは知らない。では、どう弾いているか?

それは実際にコンサート会場で確かめて欲しい。40年前のイギリスのロック・ギタリストと何ら変わらない。つまり、間違いなく一番カッコいいスタイルでロック・ギターを奏でているハズだ。

100vこれもいいよナァ。令文さんの「Sister Spider」。イギリスのロック、すなわちブリティッシュ・ロックだ!

110vみなさ~ん、「UK Rock」という言葉はイギリスにはありませんよ~!彼らはそれを「Brit Pop」と呼んでいます。つまりロックではないの。イギリス人はここのところはハッキリ分けている。
「UK Rock」というのは完全に和製英語。
イギリスのロックは「British Rock」といいます。テレビで使われる言葉は簡単にアテにしないようにしましょう!
そして「ロック」という言葉はこういうバンドがやっている音楽を意味します。

115vオガンちゃんのソロもバッチリ!

120vロジャーさんの歌で「Call on Me」。

130v名古屋の時と同様、このツアーの趣旨がオガンちゃんから説明された。

1351曲はさんで令文さんの定番曲、「おやすみ」。

140エモーショナルに歌い、そして弾く令文さん。バラードながら大きな見せ場のひとつだ。
私は「♪お~や~す~みッ」と、「み」を思いっきりスタッカートさせるところが大好き!

150v再びロジャーさんで「俺はBANDMAN」。

160v第1部はロジャーさんのボーカル曲が3曲セットされた。
3曲目は「難聴」。
でもね~、ホント、気をつけてるんですよ。我々なんかステージの写真を撮る時、大きな会場ではPAスピーカーの前で待機したり、小さい会場では1960の音に直撃されたりで、耳を痛める危険性がものすごく高いの。そこでいつも思い出すのがこのロジャーさんの歌。もちろん耳栓は常時携帯している。
さて、いよいよ秋本番だけどロジャーさん、虫の鳴き声聞いたかしら…?

170vBluestone Co.の「Valle Colorado」。
ラテン・メロディのテーマを持つゴキゲンな曲。真ん中のキメをさりげなく7/8拍子にしているところなんざ実にイナセ。

180ベース・ソロもタップリと聴かせてくれた。

190vこうした硬派な曲は令文さんによくマッチしますな。

200vオガンちゃんが出て来る度に「世界の」という枕詞をつけているが、また世界に出て行ってしまった。
このことは明日のマーブロでレポートするのでお楽しみに!

210v一部の最後はロジャーさんをフィーチュアしてCozy Powellの「Killer」。

220令文さんはいつもの1959。当たり前のことだし、今日は長尺なので細かくは取り上げない。

230vそして休憩をはさんで第2部。
まずは令文さんのオハコ。「Don't Believe a word」。

240そしてゲストが登場!
270Mr. Tone、原マサシだ!
275曲は「Little Wing」。
250vイヤ~、マサシさん久しぶりだな~!

280このド迫力の熱演ぶり…ナニも変わっちゃいない!

290vそして、2曲目はThin Lizzyの「Black Rose」。

300本番は写真を撮っているのでそれどころじゃないけど、リハの時、感動して不覚にも落涙してしまった!

310vその昔、名古屋のハートランドというライブハウスの主催で「Marshall Mania」というイベントが企画された。
これがまた濃い企画で、自慢のレアなMarshallを持ち寄って展示するというもの。そして、夜には豪華メンバーによるコンサートが開かれた。
そこで初めて原マサシさんにお会いした。考えてみると令文さんともこの頃から親しくさせて頂いている。

320その夜のコンサートに先駆けて、昼間には令文さんのギター・クリニックが開催された。そこは令文さんのこと、ピーター・グリーンの解説などを筆頭に、メチャクチャ濃い模範演奏を聴かせてくれてとてもおもしろかった。

330そして、そのクリニックにゲストとして登場したのがマサシさんで、令文さんは「ほんじゃ、アイルランドの民謡でもやりますか…」と言って、ドラムンもベースもバッキング・トラックもない、丸裸のギター・デュオで「Black Rose」を弾いたのだ。
コレに感動しちゃってね~。だって、目の前で人間が弾く「Black Rose」なんて見るのはじめてだったし、大好きな曲だし…とても深く印象に残ったのであった。

340今回、その時のことを思い出しちゃったのだ。「アレからいろんなことがあったな~」って。

さて、夜の部もスゴイ盛り上がりようで、令文さんやマサシさんはもちろんichiroちゃん、トーベンさん、中野のシゲさん(Rollover)等のスゴ腕がゾロゾロ出て来て、死ぬほどギターを聴かせてもらった。
軽くご飯を食べてホテルに帰ったのが午前1時過ぎだったよ。

350そして、その直後、マサシさんが当時ロンドン在住と知って、私がMarshallに行く時に再会した。
あの時は楽器店の方々をお連れしたのだが、工場のTheatreでマサシさんにデモンストレーションをお願いした。ブルースのカラオケをバックに数曲とジミヘン・バージョンの「Rock me Baby」を弾いてくれたように記憶している。
その時、面倒を見てくれたのはマーブロではおなじみのSteve Dawsonで、マサシさんのプレイにビックリ仰天していたのも印象に深い。
あの頃、もう車いすだったが、ジムはまだ元気で、工場見学が終わった後みんなでジムを囲んでディナーを楽しんだ。いい思い出だ。
360今日も「Mr. Tone」の名に偽りのない素晴らしいサウンド、そしてプレイ!あの時と同じ熱演を目の前にしてとてもうれしかった。

365令文さんもマサシさんと演奏するのが本当に楽しそうだ。

3702人目のゲストは先日Ebony EyesですでにMarshall Blogに登場していただいている藤本朗!

380vここのセクションではX Ray関連の曲を披露。

390「Lonely Guys」、「Impact」、「Foolish Boys」。

400vもちろん藤本さんのマシンガン・トークも絶好調!
今晩のショウのうちでもっともコンテンポラリーでメタルなコーナーだった。

410そして、マサシさんも加わって、これも令文さんの定番…

430Freeの「Wishing Well」。
しかし、これもいい加減、いい曲だよな~

420vこういうタイプの曲もこのバンドに実にシックリとくる。

440vTrio the Collagensに限らず、この辺りの人たちは曲の選択がまた素晴らしい。
今日は披露されなかったが、特に令文さんが時折チョイスするScorpions系統の曲なんかはエグさ満点だ!

450いい選曲に百戦錬磨のロック野郎たちの演奏と来れば悪かろうハズがない。だからドンドン観に行って欲しい。

465
最後は、ク~、これまた泣かせるゼ~!インストでJohn Lennonの「Jelous Guy」。コレもアホほどいい曲だ。
それをガツンとゴリンとドバッと令文さんがレックレスに奏でる幸せ。今日も来てよかった!

470これにて本編終了。

480そしてアンコール…
510v 「犬も歩けば」、「なればいい」、「Lullaby」の3曲で締めくくった。

500vああ~、今日もタップリいいッロックと令文節を堪能させていただいた。
460v令文さん、ロジャーさん、30周年おめでとうございます!

520v(一部敬称略 2013年8月9日 高円寺SHOWBOATにて撮影)

2013年10月 7日 (月)

LuLu単独診察会 於渋谷大西病棟

「クシャミ3回、ルル3錠」…ってか。
診察会に行くまで気がつかなかったな…。診察会というのは「コンサート」のこと。
「LuLu」という医療系ロック(そんなのあんのか?!)の大御所のワンマン・コンサートに行って来た。本当に薬からバンド名をつけていたんだな?
診察会場は渋谷O-EAST。Marshall Blog 初登場だ。

10「医療系ロック」というのは私がここで勝手にそう呼んでいるだけだが、基本的にはビジュアル系の流派に属しており、お客さんは若い女の子ばかり。

20コスチュームは血染めの白衣。ドラム・キットやマイク・スタンドには大量の包帯。
いいよ、いいよ。別に血染めがいいワケでは決してなくて、Marshall Blogで時折声高に叫んでいるように、「ロックはエンタテインメント・ショウのひとつ」…衣装や舞台装置に凝ることは大歓迎という意味だ。
ま、でもこんなに血だらけの医者がいたらだれもその病院に寄り付かんわね。

30LuLuは5人編成。それぞれがお医者さんだ。
彼らは自分たちのことを「医師団」と呼んでいる。

外科のたぁ院長。

40v内科のユキ。

50v精神科のさゆき。

60v皮膚科のまーつん。

70v眼科の真己。
さすがに肛門科と性病科の先生はいらっしゃらないようだ。イヤ、影で兼務されているのかも知れない。

80vしかし、最近はあまり目立たなくなった感じがするが、「ヴァイキング・メタル」とか「フォーク・メタル」ととかロックの科目がやたら細かくカテゴライズされている。
だいたい。「フォーク・メタル」ってナニよ?フォークの極北がメタルなんじゃないの?…と思ったらこの「フォーク」はどうやら「民族」の方の意味らしい。それにしても細かい。ほとんどギャグの世界に近い。
で、さっきから「医療系ロック」などと呼んではいるが、実は「病院」を題材にしたバンドというのは過去にもあった。30年以上前、ブラックライトをライブハウスに持ち込み、手術着をコスチュームにする「グランギニョル」というバンドがいた。1回だけ渋谷の屋根裏で観たことがあったが、音楽についてはハッキリ覚えてないな。暗く重いドロドロした感じの曲をやっていたような気がする。

90昔はそれだけでかなり異端視されていたものだ。パンクがちょうどもてはやされ出したぐらいの頃だったろうか…。
そこへいくと、今のバンドは大変だ。もうネタは出尽くしたわ。色んな規制は厳しくなるわで…。

160そこへ行くと、このLuLuはウマイ具合にやっていると思う。
実際には「悪魔」のそれとまったく同じだが、「コンサート」を「診察会」、「新曲」を「新薬」、「メンバー」を「担当医」などと呼んだりする言葉遊びも楽しい。
こういうバンドはお客さんもたいていノリがいいものだ。
来場している若い女性も、わかるだろうか…
140v看護婦姿なのだ。
しかも、ナゼかこのバンドのお客さん、カワイコちゃんと外国人の女性が多い。
あんまり書くと「マーブロのせいで男性客が増えた」なんて言われそうなのでこれ以上は触れない。いずれにしても男性の看護婦姿でコンサートに行くことだけはご遠慮願いたい。LuLuに代わってお願いしておく。

100さて、ナゼゆえLuLuが登場したかというと…。
もちろんMarshallがらみにキマってる。
ギタリストのユキ。本職は内科医。

110vこれが彼のMarshall。
メインは80年代のJCM800 2203。その上に乗っているのはVintageModern2466。キャビネットは1960A。

120v一体もう何年になるだろうか?実はユキはMarshall Blogに頻出してくれている私の親しいギタリストのお弟子さんで、師匠、つまり私の友人の診察会、イヤ、コンサートに来ていて、何回も顔を合わせていて、彼の方から声をかけて来てくれて、コンサート、イヤ、診察会にその後も何回かご招待してくれたのだ。
しかし、いつも都合が悪く、その後私が前職を辞したりして没交渉となっていたが、再会。こうしてはじめて診察会にお邪魔したというワケ。

130そしたらアータ、この人アホほど弾きまくるわ、バンドはメジャーデビューしてるわ、お客さんは看護婦だわ…でビックリ仰天よ。

150vユキのお立ち台姿。かわいい。ちなみにこの台は持参している。515円か?

155vユキのスタイルはとにかくシュレッディング。小さな手が猛烈なスピードで指板の上を駆け巡る。図太いサウンドをクリエイトする2203や2466は彼のプレイにベストマッチだ。

315アコギも数曲でフィーチュアされた。これがユキの繊細さが前面に押し出されたプレイですごくいい感じだ。

220v診察会はもうノッケからものすごいノリよう。

145場内はどこも熱気でムンムンなんだけど、この最前列の気合の入りようたるや尋常ではない。完全にミュージシャンより身体動かしてるけんね。
こっちアタマぶつけてカチ割っちゃったら大変だから十分に気をつけとります。

170vさて、肝心な音の方は、というと…ボーカル中心のへヴィなサウンドだ。
190ここの医師団はリズム隊がまたいい。

200vベースもドラムもテクニックがしっかりしており、バンド・サウンドが安定しているのだ。

220精神科のさゆきは7弦ギターでバッキングに徹する。

210vそこへ切り込むユキのシュレッディング。
330vお医者さんだけに医師団ひとりひとりのキャラクターも明確だ。要するにヤブ医者がいないのだ。
250ド派手なアップ・テンポ曲だけではない。シットリと歌い込むバラードも…

230vバッキングはユキのアコースティック・ギターだ。

240vさらにユキとまーつんの…

260ギターvs.ベースの大バトル!

270vワザとワザに応酬!自己の技術の限界に挑むふたり!

180どんな音楽をやろうとも、それが音楽である以上、やはり器楽演奏のレベルは高いに越したことはない。見応えがガクゼンと違うからね。

285vスリリングなパフォーマンスに拍手!

290彼らはお客さんのことを「クランケ」と呼ぶ。要するに患者さん扱いだ。
クランケなのに看護婦姿というこの矛盾がまたいい。
ところがね、今は実際の病院では、患者さんのことは「クランケ」とは呼ばないハズだ。もう医学界も英語がスタンダードになっていて「PT(ピーティー)」と呼ぶのが普通。「Patient(患者)」という英単語の頭文字だ。

320vでもこの場では「クランケ」の方がいい。雰囲気がある。「まだイケるか、クランケ!」なんてね。なかなかキマる。

300
歌もさることながら、病院タームをふんだんに盛り込んだMCもゆかいなたぁ院長。クランケを熱狂のウズに叩きこんで本編を終了した。
310v
そして、アンコール。
演奏の前に外国の若く美しい女性のファンから「LuLu」のバナーがプレゼントされた。
350メンバー、イヤ、医師団もこのサプライズ・プレゼントがスッカリ気に入った様子でとてもうれしそうだ。

360バナーを身にまとうユキ。

370もうひとつ驚いたのは、誰がキメたかクランケの一糸乱れぬ振り付け。会場、イヤ、診察室(こっちもノッて来たぜ!)中の看護婦姿のクランケがごく自然に舞ってしまう光景は圧巻だ!

380アンコールも阿鼻叫喚のノリノリ地獄!イヤ天国!
ああ、後から考えてみると、半分ぐらいクランケを観ていたような気がするな…。

390ちゃんと踏み台まで持って来てる。これ前柵のない会場ではどうしてるんでしょう?

4006月26日に投薬されたシングル『301病室』も大好評だ。
また遊びに行こうかな?オレも白衣用意しておくか?カメラは胃カメラに変更だ!

405cdLuLuの詳しい情報はコチラ⇒LuLu総合病院

410(一部敬称略 2013年8月20日 渋谷O-WESTにて撮影)

2013年10月 4日 (金)

黄金の薔薇たち~赤尾和重、三宅庸介、満園庄太郎&板倉淳

三軒茶屋は「Grapefruit Moon」の楽屋。三宅庸介と金光健司、それに島紀史…どうせ話題はまたDeep Purpleだな…。さもなければ機材の話しに決まってる!
…ということはStrange Beautiful & Loudのシリーズ・コンサート、 「Sound Experience」でゲストがノンちゃんなんだな…。

10_2…と誰しも思うよね。でも違う!
今日の出演者とお客さん。アレ?庄太郎ちゃんだ!

20_2正体はコレ!赤尾和重と三宅庸介が中心になって結成した「Golden Roses」というグループなのだ!

40_2メンバーは、KRUBERABLINKA赤尾和重

50vStrange Beautiful & Loud三宅庸介

60vAtomic Poodle他の満園庄太郎

70vそしておなじみ板倉淳

80v_21曲目は、ナ、ナント、Scorpionsの「All Night Long」だよ!
三宅さん、イントロのオクターブ、完璧!
そういえば、1月にNAMMでウリに会った時「『東京テープス』を再演するんだ」って言ってたけど、どうなったのかな?

90Klaus Meineの向こうを張るパワフルなCazさん!

100vおかしいでしょ?なんで庄太郎ちゃんなの?って思うでしょ?それもそのハズ、他の3人とは完全初顔合わせだった。

110vジュンペイさん節、炸裂!やはりこの日も知らず知らずのうちに主役に…?

1202曲目はBlack Sabbathの「Turn up the Night」。『Mob Rules』のオープニング曲…
140すなわちRonnieだ!

130このメンツだからね、次に何が飛び出すのかが楽しみ!(ホントは事前にセット・リストもらってんだけどね…ヘヘヘ)

3曲目はJeff Beckの「Spanish Boots」。

150_2CazさんのRodもいいもんだ!

160_2そしてここでTerra Rosaの曲を演奏。

170vまずは「One of SectionsLAP」

180v昔の仲間が3人も集まっているだけに実にスムースな演奏だ!

190そしてもう1曲は「Petrouchka」だ。

200このバンド、ナント、ツアーの直前にたった4時間、全曲を1回ずつ合わせただけのリハーサルだったという。
他の3人とは異なり、庄太郎ちゃんはTerra Rosaの曲を演奏するのは初めてだ。それにもかかわらず、完璧に弾き切ったあたりはさすが、百戦錬磨の売れっ子ベーシストだ。
390vこの表情!ジュンペイさんのシリアスな局面がよく出てる。

210Cazさんの熱唱。その迫力はドレッドノート艦をいとも簡単にしのぐ(あ、コレ「超ド級」という意味ね)。

220Cazさんの機材。今日は「Terra Rosa」ロゴの入ったスタンド。

225vここで1曲、三宅さんのStrange Beautiful & Loudの曲がはさまれた。「Solitary Past」だ。

230三宅さんはもちろんいつものDSL100と1960BVのセットだ。今日もゴッキゲンなサウンド!
270v庄太郎ちゃんはVBA400とVBC412の組み合わせ。これまたゴリンゴリンの魅力的なベース・サウンド!
山本征史、小笠原義弘、そして満園庄太郎…考えてみると、これだけのベーシストがこの曲を演奏するのを聴いてきた。
三人三様、みんな素晴らしい演奏だ。こうして演奏者が変わった時に違った味わいで名演を生み出すのは曲にパワーがあるからなのだ。
ジャズの言葉に「名演あれど名曲なし」だったか「名曲あれど名演なし」だったか忘れちゃったけど、そんなのがある。
でも正しい答えはこうだ…「名曲があるから名演がある」のだ。

250vああ、思い出すナァ。初めて三宅さんの演奏を見た時のことを…。高円寺のSHOWBOATでのことだった。
240令文さんが企画したジュンペイさんを大阪に送り出す「さよならコンサート」の時だった。
もちろんドラムはジュンペイさんだった!

260vMCもCazさんのステージの楽しみのひとつ。
今、ロニーもビックリのスーパーボイスで歌っていたかと思うと、急に大阪のオバちゃんに!(失敬!)
私はCazさんの「アメいるか?」が大好きだ!   

280vCazさんが説明しているのは…

290この日のためにワザワザつくった特別チケット。

300それがコレ。庄太郎ちゃん以外は私が撮った写真を使ってくれている。
真ん中に切り取り線が入っていて、モギるとCazさんとジュンペイさんが切り離されることになっている。あ、深い意味はナニもありませんよ、もちろん!「真ん中」ということだけ。

Gr_img_4035さて、ショウも中盤から後半に差し掛かるところで、またもやSabbathの「War Pigs」!Cazが歌う「War Pigs」、興奮するね~!大きな見せ場のひとつ。

イントロは気合満点のジュンペイさんのドラムフィル!
…と思ったら…。

310vアラ?みんなズっこけた!

320アララ、このズっこけようは生半可じゃない!
ナニが起こったかはご想像にお任せします。ま、写真を見ればだいたいわかりますね?

330Cazさん、思わず記念撮影!ま、滅多にないことだから?!
三宅さん、まだ笑ってる!

340気を取り直して!
カッコいいにゃ~!Cazさんの声だからね~。

350Ozzyよりよっぽど男らしい!なんて言ったら怒られるか?

360最後のブロックでは、再度Terra Rosaの曲を演奏。

370もうファンの人たちは大喜びさ!

380まずは「The endless Basis」。

400v_2Terra Rosaも一筋縄でいかない独特の曲ばかりでうれしくなる。

410vStrange Beautiful & Loudでストイックな自身の音楽を追求している姿とは対照的に、自由に爆発する三宅さんのハードロック・ギターがあまりにもカッコいい。

420vハードロック・ギターといっても、そこは三宅さんのこと、定番フレーズを粉々にしてバラ撒いて、それをランダムにくっつけ直したような何とも言えないエグさがある。これが快感!

430もう1曲。すなわち、本編の最後を飾ったのは、やはりTerra rosaの曲で…
440v「Friday's free Fair」。

450インスタントのバンドとはまったく思えない完成度の高い演奏。

460vやはりベテランの演奏というものはいいものだ。「安心感」とか「安定感」を超えた「何か」があるのだ。
それが「アジ」というものなのだろう。

470vアンコール。

480Jeff Beck Groupの『Rough and Ready』の1曲目、「Got the Feeling」。

490これまたムネのすくような快演だった!

500そして最後は、もはや世界共通のロックンロール賛歌となった感のある「Long Live Rock'n'Roll」。

510v三宅さんのRainbowもいいもんだ。

520「ロック・ベーシストここにありき」の存在感をいいように見せてくれた満園庄太郎。

530v今日もやっぱりある意味、主役になってしまったジュンペイさん。

540これ一回っきりじゃモッタイないな~。
はじめ三宅さんからこのプロジェクトの話しを聴いた時、庄太郎ちゃんの参加は「うなぎに梅干し」、「天ぷらとスイカ」、「柿にカニ(こんなの知らなかった)」的な感じがしたけど、トンデモナイよ。あまりにも素晴らしかった!
「イチゴにコンデンスミルク」っての?「Marshallにストラト」?「MarshallにLes Paul」?いいに決まってるわ!
再演を望みます。

550いや~何から何までよかった!
ジュンペイさん、なんでそんなにお茶のボトル持ってんの?

560こういう名手の手による名曲の再現ってのはいいね。選ぶ題材もいい。
もうサ「Smoke on the Water」とか「Stairway to Heaven」とかからは離れるだよ。
SweetとかSladeとかBudgieとかNazarethとか…そんなバンドの曲なんかを取り入れたらどうだろうか?
まだまだ日本では認知度が低い飛びっきり上等なロック・チューンが山ほどありまっせ!

570v(一部敬称略 2013年8月11日 三軒茶屋Grapefruit Moonにて撮影)

2013年10月 3日 (木)

CONCERTO MOON渾身のニュー・アルバム『BLACK FLAME』~島紀史インタビュー<後編>

Ns_img_0041 ゲイリー・ムーア

M:「Until You Remember」。ゲイリー・ムーア。

Ns_img_9825_2S:みんなそういうけど、僕の中ではリッチー・ブラックなんですよ!
M:コード進行がアレっぽいからね。
S:「こういうのも自分の中にあるんだよ」っていうのをアルバムの中で表現したかった。それとアルバムの最後に向けて盛り上がる前に「箸やすめ」には重すぎるけど、こういう曲があってバ~ンとおわるアルバムがスキっていうことなんですよ。
M:これはMAJOR?ただギターのボリュームを下げてクリーンにしてる?
S:そう。アンプのセッティングは全く変えてない。
M:アンプのボリュームはどれくらい?
S:7(3時)ぐらい。

令文フィルター

M:「Reach for the Sky」のハモリ!スゴイよね。いつかもレコーディングにお邪魔して驚いたんだ

Ns_img_0014けど、何がスゴイって元のメロディを覚えてること。それにほぼ一発で完璧にハモリのメロディを乗せるでしょ?あれは「慣れ」とかじゃなくて「才能」だよね!
S:イエイエ、苦労するんですよ。主旋律は自分が得意とするメロディだったり持って行き方だったりするんですけど、その3度上とかいうとまったく無理な運指が出てきたりするでしょ?
M:そうでしょうね。
S:でも、ああいうことをすればその部分がギター・インストみたいにもなりますでしょ?そういうところが僕の言うギター道の邁進でもあるんですが、「この曲のハイライトはギター・ソロのハモリのパート」なんて言われたい欲求もあったりするワケです。
目にも止まらない速さで弾くアドリブ・パートとそうしたアレンジされた部分の対比が大切だと思っています。
M:よくわかります。私もそういうシッカリと作り込まれた音楽は好きです。で、この曲もやっぱり難しかった?
S:「Reach for the Sky」はムズカシカッタ。
M:あのハモリの最後の部分のビブラートが「ウワ~、ウリだなぁ!」って感動した。
S:アレはね、大谷令文ですよ!僕はウリ大好きですけど、考えてみるとコピーしたことってないんですよ。

Ns_img_1674_2M:令文フィルター?

S:そう!強烈なビブラートの初体験というのは最前列で見た大谷令文さんなんですよ。
M:三宅さんみたいなこと言ってる!
S:最前列で1959の音をモロに浴びて、「ギターはこう弾くもんや!」って教わったような気がした。
M:メッチャ強力ですからね。
S:令文さんがウリやゲイリーの影響を受けているかもしれないけど、僕は大谷令文なんですよ。そう、令文フィルター。
M:イヤ、令文フィルター通している人多いナ~。

ギター・ソロ

M:今回もソロは全部アドリブ?
S:そう。
M:やっぱりこのアドリブの展開の仕方とかはスゴイですよね。天才的な閃きを見るような気がしま

Ns_img_0032すよ。才能がなければいくら練習を積んでもこういうのは無理。
S:アドリブでダーっと弾きまくるのはギタリストにとって一番楽なんですよね。当たり前だけど僕も手グセや得意なパターンで弾いている部分もある。それが果たして曲の流れに溶け込んでいるかどうかっていうことにはこだわりますよね。
M:ソロも曲の一部ですからね。
S:そういう即興のパートからさっきのハモリのように作り込まれたところにいかに自然に流れていくかということはすごく考えます。そうしないとさっき言った「ギター・インスト・パート」みたいな部分が生きてこないんですよ。
M:結構テイクを重ねるんですか?
S:3回か4回録ってうまくいかない時は、その曲から1回離れますね。
M:結局ファースト・テイクが一番よかったりする…。
S:うん。でもそこにミスがあるんだよな~、なんて悩むぐらいなら、時間が経ってからやり直します。
で、20テイクも30テイクも重ねれば当然新鮮味もなくなって、しかもアドリブではなくなっておもしろくないソロになって来る。
そうですね~、僕の場合はせいぜい5テイクまでですかね~。
M:私論ですけど、プロの定義は「同じことを何回繰り返しても平気」なことだと思うんですよ。プロ・ミュージシャンはその最たるものですよね。
S:なるほど。それなら僕はプロと呼んでもらえるかもしれない!

Marshallについて

M:『Chaos』は1959とVintageModern。ソロはどっちでしたっけ?

Ns_img_0339vmS:VintageModernで弾きました。
M:『Savior』が1959…だけでしたっけ?
S:そうですね。全部。
M:そして今回が…
S:全部MAJOR。
M:なるほど。私の印象では順を追って音が鋭くなっていった感じを受けますね。前の作品の方が音が甘い。
S:圧倒的にゲインを下げて、ピッキングのアタックやニュアンスを出したかったんですね。食いつき感っていうのかな?
M:うん、鋭角的になった。
S:弾きにくかったけどね。レコーディングだとすべてが出ちゃうから、自分の右手の技術がまだまだだってことがわかりました。
M:まだまだ?
S:チャンとひかなきゃダメ。でもちゃんと弾けば自分のイメージした音が出る。そのチャレンジでしたね、今回は。
M:セッティングさっきも出た通りボリュームが7…?
S:そうです。全部同じ。
M:キャビネットは?

Ns_img_9485S:ベース用のキャビと1960BVを同時に鳴らして曲によってマイキングのバランスを変えました。要するに低域をリッチにするか、中域をリッチにするかを調節したんです。
一種の挑戦で難しかったけど、それなりの成果は出たと思います。
今回自慢できる何かがあるとすれば、このセッティングで弾き通したってことかな…。
M:それじゃ、リッチーや令文さんのマーシャル・サウンドを熟知した中で今回クリエイトした自分のマーシャル・サウンドの達成度はどれくらい?
S:まだまだですよ。今回は自分の右手の未熟さもよくわかったし…。

Ns_img_1566M:もういいんじゃないの?
S:イヤ、リッチー・ブラックモアなんか今でもうまくなってるもん!もっと技術があればあのセッティングでもっといいサウンドがだせると思うし、出せたらまたセッティングをグレードアップしていくし…もっと行けると思います。
でも今回はアルバムの満足度は高いですよ。ま、半年後には違うことを言ってるかも知れませんが…。


三部作を作り終えて


M:三部作の中では一番?
S:もちろん。段違いに!今までやってきたことが間違っていなかったと思うし、反面、もっとそれを高めていかなければならないとも感じました。

Ns_img_0046

M:もう次のことは考えてる?
S:イヤ、まだですね。
M:ツアーもこれからだしね。
S:うん。プレイヤーとしてはもっと右手を鍛えないと…と思ってます。
M:ハハハ、でもアスリートと違って歳を取ってもできるから…。
S:そう、60歳になった時に一番うまくなってればいいかな…と。
Mそれにしてもさ、ノンちゃんとも昨日今日の付き合いじゃなくなってきたけど、いつも見ていてシャカリキになって曲を作ってるとかギターの練習してるっていう感じがまったく漂ってこないんだよね。よくいるじゃない、全然勉強してる風じゃないのにいつもクラスで一番みたいなヤツ。

Ns_img_1619S:イエイエ、やってるんですよ~!
M:今、何か欲しいマーシャルってありますか?Pig?
S:イヤ、いらん。MAJORのベース用ヘッド(1978)とビンテージのキャビが欲しいですね。
M:ベース用?また何で?
S:リッチー・ブラックモアが使ってたから!
M:またそれか!

* * * * * * * * * * * * * * * * *

インタビューはこれで終わり。ナンダカンダいって結びはまたリッチー・ブラックモア。ホント、ノンちゃんのリッチーへの一途ぶりには頭が下がる。何しろリッチーの弾いた音源すべてがアタマに入っているぐらいだから!
でも、それでいいのだ。いいプレイヤーはいいリスナーなのだ。

ノンちゃんのことで最近気がついたことがある。私はプロレには全くうとく、ビル・ロビンソンとかストロング小林、デストロイヤー、そしてリング上で「風神」という掃除機のデモンストレーションをやっていたのを覚えているぐらいで、ドラムの長田ちゃんみたいにとてもノンちゃんの相手など務まらない。
で、勢いふたりの話題はブリティッシュ・ロックとMarshallになることが多いのだが、ノンちゃんってMarshallの話しをしていても「絶対」といっていいほどアンプの改造の話しをしないのだ。事実、所有しているMarshallに改造を施しているものなどない。真空管のメーカーがどうの…なんてこともほとんど口にしない。

令文さんやSHARAさん、三宅さん等々のマーブロによくご登場頂いているお歴々、若いD_Driveのふたりもそう…つまり本当にMarshallを愛でてくれているギタリストたちは真空管の話しぐらいはするにしても、自分のMarshallに妙な手を加えようなどということを絶対にしようとしない。
Marshallを信頼し、Marshallが作って来た音楽に敬意を払い、そして自分の腕に自信があるからだと信じている。
私はこのことをうれしく思っている。そしてMarshallってそういうものだと思っている。

このことこそインタビュー中に質問すればよかった!また次回ゆっくりと!CONCERTO MOONはまた必ず魅力的な新譜を出してくれるハズだから。

ここから先はオマケ。もうちょっと付き合ってくだされ!

ジャケット撮影

昨日のインタビューの中でも触れたが、これが今回の『BLACK FLAME』のジャケット。ダーク!

Ns_img_1294そしてこれはブックレットの表4。つまり裏表紙。こっちもダーク!
実はコレ、私が撮らせていただいた。
もうアルバムのコンセプトがガッチリ固まっていたので、写真のイメージのリクエストも明確。「暗めに撮ってチョーダイ」という指令。
私の中ではかなり暗めに撮っているんだけど「もっと暗く!」という指令が飛び交い、最終的にこれらの写真が採用された。

Ns_img_1296撮影は小さいながらも便利で楽しい「Shige Studio」で敢行された。
「あんまり暗いのばっかりでもね~」ということで「白」バージョンも撮ってみた。
その写真がYOUNG GUITAR誌10月号のノンちゃんのインタビューに使用されているモノ。ちなみに今回のMarshall Blogのインタビューは、YG誌と質問がかぶらないように構成した。YGのインタビューも是非目を通していただきたい。

Ns_img_4030 これも「白」バージョンからの1枚。「ダーク編」ではなく、こっちの「白」バージョンから写真を選ぼうかという案もあったが、結局「ダーク編」に落ち着いた。結果は大オーライでしょう!『BLACk FLAME』なんだから!

Shimaさて、CONCERTO MOONは10月11日名古屋を皮切りに『BLACk FLAME TOUR2013』と銘打ったレコ発ライブを敢行する。全国で8本。お近くの会場の是非とも足を運んで頂き、島紀史の信念を実際の演奏で確かめて欲しいと思う。まった、スゲェ演奏になると思うよ~!
コンサートに出かける前にもう一度このインタビューを読んでみて!演奏をさらに感動的なものにすると思うよ。

CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site

(文中一部敬称略)