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2013年10月 3日 (木)

CONCERTO MOON渾身のニュー・アルバム『BLACK FLAME』~島紀史インタビュー<後編>

Ns_img_0041 ゲイリー・ムーア

M:「Until You Remember」。ゲイリー・ムーア。

Ns_img_9825_2S:みんなそういうけど、僕の中ではリッチー・ブラックなんですよ!
M:コード進行がアレっぽいからね。
S:「こういうのも自分の中にあるんだよ」っていうのをアルバムの中で表現したかった。それとアルバムの最後に向けて盛り上がる前に「箸やすめ」には重すぎるけど、こういう曲があってバ~ンとおわるアルバムがスキっていうことなんですよ。
M:これはMAJOR?ただギターのボリュームを下げてクリーンにしてる?
S:そう。アンプのセッティングは全く変えてない。
M:アンプのボリュームはどれくらい?
S:7(3時)ぐらい。

令文フィルター

M:「Reach for the Sky」のハモリ!スゴイよね。いつかもレコーディングにお邪魔して驚いたんだ

Ns_img_0014けど、何がスゴイって元のメロディを覚えてること。それにほぼ一発で完璧にハモリのメロディを乗せるでしょ?あれは「慣れ」とかじゃなくて「才能」だよね!
S:イエイエ、苦労するんですよ。主旋律は自分が得意とするメロディだったり持って行き方だったりするんですけど、その3度上とかいうとまったく無理な運指が出てきたりするでしょ?
M:そうでしょうね。
S:でも、ああいうことをすればその部分がギター・インストみたいにもなりますでしょ?そういうところが僕の言うギター道の邁進でもあるんですが、「この曲のハイライトはギター・ソロのハモリのパート」なんて言われたい欲求もあったりするワケです。
目にも止まらない速さで弾くアドリブ・パートとそうしたアレンジされた部分の対比が大切だと思っています。
M:よくわかります。私もそういうシッカリと作り込まれた音楽は好きです。で、この曲もやっぱり難しかった?
S:「Reach for the Sky」はムズカシカッタ。
M:あのハモリの最後の部分のビブラートが「ウワ~、ウリだなぁ!」って感動した。
S:アレはね、大谷令文ですよ!僕はウリ大好きですけど、考えてみるとコピーしたことってないんですよ。

Ns_img_1674_2M:令文フィルター?

S:そう!強烈なビブラートの初体験というのは最前列で見た大谷令文さんなんですよ。
M:三宅さんみたいなこと言ってる!
S:最前列で1959の音をモロに浴びて、「ギターはこう弾くもんや!」って教わったような気がした。
M:メッチャ強力ですからね。
S:令文さんがウリやゲイリーの影響を受けているかもしれないけど、僕は大谷令文なんですよ。そう、令文フィルター。
M:イヤ、令文フィルター通している人多いナ~。

ギター・ソロ

M:今回もソロは全部アドリブ?
S:そう。
M:やっぱりこのアドリブの展開の仕方とかはスゴイですよね。天才的な閃きを見るような気がしま

Ns_img_0032すよ。才能がなければいくら練習を積んでもこういうのは無理。
S:アドリブでダーっと弾きまくるのはギタリストにとって一番楽なんですよね。当たり前だけど僕も手グセや得意なパターンで弾いている部分もある。それが果たして曲の流れに溶け込んでいるかどうかっていうことにはこだわりますよね。
M:ソロも曲の一部ですからね。
S:そういう即興のパートからさっきのハモリのように作り込まれたところにいかに自然に流れていくかということはすごく考えます。そうしないとさっき言った「ギター・インスト・パート」みたいな部分が生きてこないんですよ。
M:結構テイクを重ねるんですか?
S:3回か4回録ってうまくいかない時は、その曲から1回離れますね。
M:結局ファースト・テイクが一番よかったりする…。
S:うん。でもそこにミスがあるんだよな~、なんて悩むぐらいなら、時間が経ってからやり直します。
で、20テイクも30テイクも重ねれば当然新鮮味もなくなって、しかもアドリブではなくなっておもしろくないソロになって来る。
そうですね~、僕の場合はせいぜい5テイクまでですかね~。
M:私論ですけど、プロの定義は「同じことを何回繰り返しても平気」なことだと思うんですよ。プロ・ミュージシャンはその最たるものですよね。
S:なるほど。それなら僕はプロと呼んでもらえるかもしれない!

Marshallについて

M:『Chaos』は1959とVintageModern。ソロはどっちでしたっけ?

Ns_img_0339vmS:VintageModernで弾きました。
M:『Savior』が1959…だけでしたっけ?
S:そうですね。全部。
M:そして今回が…
S:全部MAJOR。
M:なるほど。私の印象では順を追って音が鋭くなっていった感じを受けますね。前の作品の方が音が甘い。
S:圧倒的にゲインを下げて、ピッキングのアタックやニュアンスを出したかったんですね。食いつき感っていうのかな?
M:うん、鋭角的になった。
S:弾きにくかったけどね。レコーディングだとすべてが出ちゃうから、自分の右手の技術がまだまだだってことがわかりました。
M:まだまだ?
S:チャンとひかなきゃダメ。でもちゃんと弾けば自分のイメージした音が出る。そのチャレンジでしたね、今回は。
M:セッティングさっきも出た通りボリュームが7…?
S:そうです。全部同じ。
M:キャビネットは?

Ns_img_9485S:ベース用のキャビと1960BVを同時に鳴らして曲によってマイキングのバランスを変えました。要するに低域をリッチにするか、中域をリッチにするかを調節したんです。
一種の挑戦で難しかったけど、それなりの成果は出たと思います。
今回自慢できる何かがあるとすれば、このセッティングで弾き通したってことかな…。
M:それじゃ、リッチーや令文さんのマーシャル・サウンドを熟知した中で今回クリエイトした自分のマーシャル・サウンドの達成度はどれくらい?
S:まだまだですよ。今回は自分の右手の未熟さもよくわかったし…。

Ns_img_1566M:もういいんじゃないの?
S:イヤ、リッチー・ブラックモアなんか今でもうまくなってるもん!もっと技術があればあのセッティングでもっといいサウンドがだせると思うし、出せたらまたセッティングをグレードアップしていくし…もっと行けると思います。
でも今回はアルバムの満足度は高いですよ。ま、半年後には違うことを言ってるかも知れませんが…。


三部作を作り終えて


M:三部作の中では一番?
S:もちろん。段違いに!今までやってきたことが間違っていなかったと思うし、反面、もっとそれを高めていかなければならないとも感じました。

Ns_img_0046

M:もう次のことは考えてる?
S:イヤ、まだですね。
M:ツアーもこれからだしね。
S:うん。プレイヤーとしてはもっと右手を鍛えないと…と思ってます。
M:ハハハ、でもアスリートと違って歳を取ってもできるから…。
S:そう、60歳になった時に一番うまくなってればいいかな…と。
Mそれにしてもさ、ノンちゃんとも昨日今日の付き合いじゃなくなってきたけど、いつも見ていてシャカリキになって曲を作ってるとかギターの練習してるっていう感じがまったく漂ってこないんだよね。よくいるじゃない、全然勉強してる風じゃないのにいつもクラスで一番みたいなヤツ。

Ns_img_1619S:イエイエ、やってるんですよ~!
M:今、何か欲しいマーシャルってありますか?Pig?
S:イヤ、いらん。MAJORのベース用ヘッド(1978)とビンテージのキャビが欲しいですね。
M:ベース用?また何で?
S:リッチー・ブラックモアが使ってたから!
M:またそれか!

* * * * * * * * * * * * * * * * *

インタビューはこれで終わり。ナンダカンダいって結びはまたリッチー・ブラックモア。ホント、ノンちゃんのリッチーへの一途ぶりには頭が下がる。何しろリッチーの弾いた音源すべてがアタマに入っているぐらいだから!
でも、それでいいのだ。いいプレイヤーはいいリスナーなのだ。

ノンちゃんのことで最近気がついたことがある。私はプロレには全くうとく、ビル・ロビンソンとかストロング小林、デストロイヤー、そしてリング上で「風神」という掃除機のデモンストレーションをやっていたのを覚えているぐらいで、ドラムの長田ちゃんみたいにとてもノンちゃんの相手など務まらない。
で、勢いふたりの話題はブリティッシュ・ロックとMarshallになることが多いのだが、ノンちゃんってMarshallの話しをしていても「絶対」といっていいほどアンプの改造の話しをしないのだ。事実、所有しているMarshallに改造を施しているものなどない。真空管のメーカーがどうの…なんてこともほとんど口にしない。

令文さんやSHARAさん、三宅さん等々のマーブロによくご登場頂いているお歴々、若いD_Driveのふたりもそう…つまり本当にMarshallを愛でてくれているギタリストたちは真空管の話しぐらいはするにしても、自分のMarshallに妙な手を加えようなどということを絶対にしようとしない。
Marshallを信頼し、Marshallが作って来た音楽に敬意を払い、そして自分の腕に自信があるからだと信じている。
私はこのことをうれしく思っている。そしてMarshallってそういうものだと思っている。

このことこそインタビュー中に質問すればよかった!また次回ゆっくりと!CONCERTO MOONはまた必ず魅力的な新譜を出してくれるハズだから。

ここから先はオマケ。もうちょっと付き合ってくだされ!

ジャケット撮影

昨日のインタビューの中でも触れたが、これが今回の『BLACK FLAME』のジャケット。ダーク!

Ns_img_1294そしてこれはブックレットの表4。つまり裏表紙。こっちもダーク!
実はコレ、私が撮らせていただいた。
もうアルバムのコンセプトがガッチリ固まっていたので、写真のイメージのリクエストも明確。「暗めに撮ってチョーダイ」という指令。
私の中ではかなり暗めに撮っているんだけど「もっと暗く!」という指令が飛び交い、最終的にこれらの写真が採用された。

Ns_img_1296撮影は小さいながらも便利で楽しい「Shige Studio」で敢行された。
「あんまり暗いのばっかりでもね~」ということで「白」バージョンも撮ってみた。
その写真がYOUNG GUITAR誌10月号のノンちゃんのインタビューに使用されているモノ。ちなみに今回のMarshall Blogのインタビューは、YG誌と質問がかぶらないように構成した。YGのインタビューも是非目を通していただきたい。

Ns_img_4030 これも「白」バージョンからの1枚。「ダーク編」ではなく、こっちの「白」バージョンから写真を選ぼうかという案もあったが、結局「ダーク編」に落ち着いた。結果は大オーライでしょう!『BLACk FLAME』なんだから!

Shimaさて、CONCERTO MOONは10月11日名古屋を皮切りに『BLACk FLAME TOUR2013』と銘打ったレコ発ライブを敢行する。全国で8本。お近くの会場の是非とも足を運んで頂き、島紀史の信念を実際の演奏で確かめて欲しいと思う。まった、スゲェ演奏になると思うよ~!
コンサートに出かける前にもう一度このインタビューを読んでみて!演奏をさらに感動的なものにすると思うよ。

CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site

(文中一部敬称略)