祝!D_Drive初の東京ワンマンライブ<後編>
2012年9月13日 Shige Blog 初出
1960年代にはテケテケ、70年代にはクロスオーバー、それからしばらくお休みで90年代あたりからの癒し系…と歌なしの音楽、いわゆるインストゥルメンタル・ミュージックは時代を超え、スタイルや目的を変えつつ脈々と民衆の心に息づいているといえよう。
それにしても、あのグリッサンドを「テケテケ」と表現した日本人の語感ってスゴイと思わない?
私はインストが好きだ。もちろん「歌」も好きだけど、やっぱり楽器がメロディを奏で、即興演奏で腕を競うという形態がとてもスキ。何回も書くけど、楽器を習得するには膨大な時間と気の遠くなるような地道な努力が必要だ。そこに一種の 「道」を感じるワケ。「ギター道」とか「ドラム道」とかのね。ステキ。
誰にでも気軽にたしなめるのが音楽の魅力であることは認める。でも、やっぱり音楽は最低限のちゃんとした演奏技術を身につけてからにしてもらいたい。「Fが押さえられないけど作曲してます」なんてのはナシだよ。
やっぱり音楽はウップンばらしでなないのですよ。私もいい加減、長いことロックを聴き、その変遷を見てきたが、最近のロックはコンサート会場で騒ぐだけが目的になっていて、音楽などどうでもいいようにしか私には見えて仕方ない。
コンサートの盆踊り会場化はおかしいと思うし、また、暴れていさえすればよしとしているステージ上のミュージシャン・サイドもどうかと思う。別にグルグル輪になって騒いだり、観客の上でゴロゴロしたりするだけが「ノル」という感情表現では決してあるまい。反面、あまりもにジッと聴かせる正当なロックが少なくなってしまったことの証左であろう。
もう少し、演奏する方は観客をジックリと聴かせる音楽をクリエイトするべきだし、観客は真摯に音楽を受けとめる努力をするべきではなかろうか?前にも書いたが、ジェフ・ベックのコンサートでノッケから席を立つのは本当に本当に止めてもらいたい。
そういう環境下でインストゥルメンタル・ミュージックが大きな支持を受けていることは大変によろこばしい。EARTHSHAKERのSHARAさんのmintmints、カシオペアの活動再開、田川ヒロアキのニューアルバムもインストとのことだ。そしてD_Drive…。
レコード会社の親友に言わせると「シゲさん、インストは厳しいよ!癒し系なら話しは別だけど…」という。確かにセールスを考えればそういうことなのだろう※。でも、こうして消えることなくインストゥルメンタル・ミュージックが注目されているのはジックリと音楽を聴きたいと思っている人が増えて来ているということなのではなかろうか?そうであれば本当にうれしいことだ。ナンダカンダ言ったって日本は本国アメリカよりベンチャーズの本場なんだから!
D_Driveが21世紀のベンチャーズとなって、多くの若者が楽器を手にするようになることを願って止まない。
以上…ではない!それでは、再度D_Drive初の東京ワンマン・ショウの会場にご案内しましょう!
※当該の親友は、実際にはセールスだけにとらわれない良質な国内外のロック作品を多数制作、配給してくれています。
オープニングはセカンド・アルバム『ACCELERATOR』でも1曲目を飾っている「hyper Driving high」。何かが迫りくるような緊張感あふれるオープナーだ!
そして、CDと同じく「M16」へ。M16…イギリスのフリーウェイか?はたまたゴルゴ13か?M16 Assault Rifle、欲しかったナァ~、MGCのモデルガン!
楽しそう!そう、楽しそうなのだ。きっと本当に楽しいのだろう。
光るポジション・ドットだけがD_Driveのトレード・マークじゃないゾ!この笑顔もD_Driveの特長だ!
3曲目はファースト『Something to Drink』の1曲目、「Runaway Boy」を持ってきた。各アルバムのキラー・チューンを冒頭に並べるなんて、いかにD_Driveがこのショウに燃えているかがよくわかるというものだ!
ハイ、メンバー紹介!今日はドラムから…Chiiko!
ベース、Shimataro。
ギター、Yuki。
そして、Seiji。
Seijiさんのおしゃべりがまた楽しい。この日のテーマは「休みの日ナニしてる?」。大阪人独特のフラ(落語用語。おもしろいことをしたり、言わなくても、生まれつき自然に人を笑わせることができる特殊能力)がスパークする!
昔のロック・バンドはほとんどしゃべらなかったんだけどね。今はMCが楽しいこともいいショウのひとつの大きな条件tなった。いいことだ。エンタテインメントなんだから笑いが必要なのだ。
このギター陣ふたりのギター・バトルがまた素晴らしい。そして、その時のふたりのアクション!押したり引いたり…一回でいいからやってみたいニャ~。エ?どう弾くかって?知ってる限りのバップ・フレーズ並べませ~…3つぐらいしかないけど!
Shimaちゃんのベースはね、ベースであり、第3のギターなのだ。たとえベースラインをステディになぞってリズム楽器に徹している時でも、ラインは至極メロディアスで、アンサンブルを思いっきり厚くするギターっぽい役目をしている。また実際にギターとオクターブユニゾンでテーマの断片を弾いたり…ようするにやりたい放題!?あ、いい意味で言ってま~す!
ショウが進むにつれてますます鋭く冴えまくるChiikoちゃん!イタズラにソロが入らないところもシブイ!
その後は「Escape from...」、「Peach Fizz」、「Champagne」、「Mr. Rat Boots」と『Something to Drink』から数曲続けられた。弾きなれた曲ばかりでますますドライブ感が増していく!
照明がブルーに変わる。重々しいブルーだ。曲はYukiちゃんフィーチャーの「Unkind Rain」。
ニコニコだけでなく、こうしたへヴィなD_Driveもいいもんだ。
曲はまた『ACCELRATOR』に戻って「Lost Block」。そして。今年6月にリリースされたシングルから「Among the Destruction」が演奏され、「Mystery Zone」がこれに続いた。
本編残すは2曲のみ!エ~、もう~?!
本編の〆は同じく6月発売のシングル「Russian Roulette」と人気曲「Screw Driver」!
何度もイベントでD_Driveを観て来て、いつも「短いナァ~」と物足りなく思っていたが、ナンダ、ワンマンで観ても短いじゃん!イヤ、もちろん楽しいから短く感じているだけなんだけど…もっと観たいナァ~!…とみんな思ってるもんだからすぐにアンコールの嵐!
オリジナル曲、「傷だらけのヘビーメタル」と「中3インマイドリームス」を演奏。
Classic Rock Jamの常連でロック・スタンダードを歌う冠さんを何回も観ているが、こうしてオリジナル曲を歌うのを初めて見た。自分で「ヘンな曲やらせちゃってゴメンね~」とかおっしゃっていたが、全然カッコよかった!
冠さんとの競演を観ていてD_Driveのバンクバンドってフトカッコいいなと思った。ナゼかボブ・ディランやヴァン・モリソンのバック務めているザ・バンドを連想してしまった!ナゼかはわからない。
ま、言ってみりゃ歌ありのD_Driveだったワケだが、なかなかいいもんだ。イヤイヤ、ダメダメ!D_Driveにはしっかりとインスト路線を突き進んで頂きます。ボカロなんて絶対に使わないでよ!
冠徹弥の詳しい情報はコチラ⇒THE冠公式サイト
お待ちかねの「Cassis Orange」!
そして「Over REV」。
思い切りエキサイトはしているものの、最後まで少しも演奏のスキを見せないところはサスガ!
ファンを睥睨するYukiちゃん。「D_Driveについて来れる?」のシーンだ!
D_Driveが東京を制覇した夜。打ち上げで飲んだカシス・オレンジやピーチ・フィズはさぞかし美味であったろう。
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site
ホントにアッという間だった!また来てね!がんばれD_Drive!!
(一部敬称略 2012年8月5日 六本木morph Tokyoにて撮影)