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2026年1月30日 (金)

マーシャル・ブログ博物館  第2回:工場ミュージアム<その2>

 
英Marshallの工場のミュージアムからお送りしている『マーシャル・ブログ博物館』の第2回目。
飾られているアイテムを時に詳しく、時に雑に見て行く。
前回案内した通り、工場のミュージアムはエントランス突き当りの2階に位置している。
ただ古今のMarshallを並べているだけで、特に解説のようなものは付けられていない。
下はほぼ現在のようす。
いつも代り映えがしないが、注意深く観ていると少しずつ変化が確認できる。
さて、コレらをお見せしようかと思って少々悩んだが、単純に写真の右側からズラ~っと見て行くことにした。
ずいぶん前に撮った写真も多数混在しているので、現在の様子とは異なる部分も少なくないことを予め申し上げておく。
でも、展示しているアイテムが増えることはあってもなくなっているということはないと思う。
10まず、上の写真には写っていない右の壁側。
ショウ・ウインドウが設置してあって中にズラリとギターが並んでいる。
昔はもう少しスカスカだったんだけど、最近は何やらアイテムが増えて賑やかになっているようだ。
20まずはショウ・ウインドウの中のアイテムから。
一番左の「50th Anniversary」のロゴがデカデカと入ったエクスプローラー。Thumbnail_img_0269コレはモーターヘッドのフィル・キャンベルが「50周年記念コンサート」の時に使っていたギター。
このオジさんもエラく気さくな人だった。
タバコのニオイがかなりスゴかったのをよく覚えている。
30コレはスラッシュから贈呈されたギブソン・レス・ポール。40v「FOR MARSHALL AMPLIFICATION
The Fucking Best Rock & Roll Product EVER ConSTRUCTED!」と大文字と小文字が入り乱れたメッセージがサインに添えられている。50Marshall初のシグネチャー・モデルだった「JCM800 2555SL」なんて懐かしいね。
日本にどれぐらい入って来たのかわからないが、当時はかなりの台数だったハズだ。
それらは今どこにあるんだろう?
このモデルに限らずMarshallをお買い上げ頂いて、ギター演奏を楽しんで、お歳を召してギターを弾くこともなくなり、もうMarshallも無用になってしまう…さてどうする?
少なくとも街中にMarshallが捨てられているのを見たことは一度もないし、皆さん押し入れで大切に保管されているのであろうか?
不思議なんだよネェ。
私が大学の時は「JMP1959」のハーフスタックを持っていたけど、それは友人に売った。
その先は知らない。
60「スパイナル・タップ」仕様のギター。
Bキャビがハズれちゃってるナァ。70vこれなら完璧。
『This is Spinal Tap』もまさかの続編が公開されてビックリしたわ。
しかもロブ・ライナーの遺作となってしまった。75vMarshallはこの機に記念の「JVM410H」を20台限定で生産した。16_9_spinal_tapリア・パネルにあしらったスパイナル・タップのロゴ。St_rearフロント・パネルの目盛りの最大値は「ラウドであることは良きこと哉」のコンセプトのもと、マスター・ボリュームは「∞」、その他のコントロールは「11」になっている。
ハハハ!好きだね~!
Marshall_spinal_tap_4_3ところでMarshallは映画『This is Spinal Tap』の公開25周年を記念して2009年にも2つのアニバーサリー・モデルを製作している。
2つのモデルのウチのひとつは「JMP1959」。
1970年代の1959ね。
すでに書いたように私なんかはこの1959で育った世代よ。
Img_0001 ノブも目盛りは「11」まで。90リア・パネルに入れられた「Spinal Tap」のロゴ。
シリアル・ナンバーが「NIGEL TUFNEL」になっているところがニクイね。
「Spinal Tap」についてはこれまでMarshall Blogでさんざん取り扱ってきたのでココでは詳しいことはやりません。
120こっちはそれこそナイジェル・タフネル(=バロン・クリストファー・ゲスト)が当時の広告に登場していた「JCM900 4100」。100こっちは目盛りの最大値が「∞」になっている。
コリャ、やかましいぞ~!110コチラもリア・パネルに「Spinal Tap」のロゴを入れた。
これらの2つのモデルは非売品で、マーケットに出ることはなかった。
とにかくMarshallとスパイナル・タップとの長く深い関係を示す2台だ。
130 これは以前にも何度かお見せしたことがあるが、私個人のマーシャル・ミュージアムからの出品。
スパイナル・タップ仕様の「MS-2」。140vフロント・パネルのロゴと「11」までついた目盛りが自慢。
150今でこそ「続編出来!」なんて騒いでいるけど、このロブ・ライナーの1984年の映画館向けの処女作は当時日本では未公開だったんだよ。
その頃の日本人には「この映画を楽しむだけのロックに関する素養がない」と映画配給会社が判断したのであろう。
未公開ゆえ私も知らなかった。
それがある時…多分1990年代のはじめ頃…NHKの衛星放送で放映され、本当にタマタマ観た。
するとあまりの面白さに「ナンじゃコリャ~!」となった。
2000年代に入っても多分ほとんどの日本人にはなじみがない映画だったんじゃないかしらん?
私はどうしてもまた観たくて2002年に初めてロンドンに行った時、真っ先にオックスフォード・ストリートのHMVへDVDを買いに行き、また別の機会にはロンドンの中心部に何件か店舗を構えていた「Book Warehouse」というゾッキ本屋で写真の右にあるスパイナル・タップの本を買った。
コレらもミュージアム入りさせていいでしょう?0r4a0017_3 他にもザック・ワイルド他のギターが飾ってあって、その前には小さ目のMarshallがゴロゴロ。160上の写真でショウ・ウインドウの中に納まっているMarshallはコレ。
1962~1963年頃に製造していた「JTM45」の2代目。
通称「White Front」。
いいネェ~、実にいいルックスだ。
170傍らにはこのアンプの出自に関する情報が添えられている。
このアンプの持ち主はケン・ブラン。
ケンがこのミュージアムに展示するなら…と息子さんのマシュー・ブランが2014年7月8日に持参してくれたもの。180下はケン・ブランと私。
Marshallはジム・マーシャルだけでなく、エンジニアのケン・ブランとダドリー・クレイヴンの3人で操業を開始した。
ダドリーはもうかなり前にお亡くなりになったが、ケンはMarshallからご勇退された後も長らくご存命で、私は一度でいいからお会いしたいと思っていた。
その念願が叶った瞬間が下の写真。
2012年5月、「ジム・マーシャルの生涯を祝う会」…すなわちジムとのお別れ会の時に撮った1枚。
うれしかったネェ。
自己紹介をすると「そうですか、そうですか」と紳士的に応えてくださって、好々爺の手本みたいな方だった。
そのケンも2018年3月25日にお亡くなりになってしまった。
ちなみにこの写真を撮ってくれたのはアメリカの「Colby Amplification」の創設者ミッチ・コルビー氏。
ミッチには大変にお世話になったことがあって、「JTM45」のレプリカを取り扱う時にお話したいと思う。190これはまた違う日のショウ・ウインドウのようす…2012年。
考えてみると、この展示って一体誰が担当しているんだろう?
そして、どうやって展示するアイテムをキメているんだろう。
今の今まで一度も考えたことがなかったけど…不思議だ。200この時に飾ってあったレス・ポール・モデル。
210vコレはポーランドの人だろうナァ。
ギターに付された解説には「Manek Krayczkowsk」という人を通じて2006年5月16日に寄贈された…とある。
ポーランドの人名は「c」と「w」と「z」だらけでまず読めませんな。
どうもコレは「マネク・クライチコフスク」ぐらいに読むようだ。
会社の名前かも知れない。
このギター、オーナーがノエル・レディングだった。220ボディとピックガードには数々のサインが施されている。
その主は…ジムにはじまって、バディ・ウィッティントン(ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ)、ポール・ヤング、スザンヌ・ヴェガ、ミック・ラルフス、レズリー・ウエスト、他知らない人2名。Img_0113その前に置いてあるのはJMP時代の「1987X」。
コレはナニが珍しいのか?…一度事務所の古株の友人に実際に訪ねたことがあった。230その時の答えでは…シャシに「1987SEMKO」というステッカーが貼ってあるでしょ?
この「SEMKO」というのは「SVENSKA ELEKTRISKA MATERIELKONTROLL ANSTALTEN」の頭字語で、「スウェーデン電気製品安全協会」みたいな意味。
スウェーデンで流通される電気製品はすべてこの機関の精査を受けて合格していなければならない。
当然日本にもそうした規格の協会があるが、何でもこのスウェーデンの検査がベラボーに厳しいらしい。
で、安心してください、MarshallはチャンとSEMKOの検査をパスしていますよ…それほど品質は確かですよ!…ということをアッピールするために置いてあるのではないか?、という話しだった。
かつてMarshallの法務室の人からは、そうした検査が最も厳しいのはアルゼンチンだという話しを聞いたことがある。240これは「POWER BUILDER(パワー・ビルダー)」という1967年に販売されていた商品。
モデル・ナンバーはない、もしくは不明。
パワー・アンプを内蔵したセレッション搭載の「Slave(スレイヴ)」と呼んだ2x12"のスピーカー・キャビネットと組み合わせて使った。Img_0046コントロールはノブの先のゴールド・キャップが取れている右端の「BASS/TREBLE」のみ。
他に電圧の切り替えとON/OFFスイッチ、ヒューズボックスが2つ。
そして、この機種最大の特徴である2つの端子が左端についている。
向かって左が「POWER INLET」、その内側が「POWER OUTLET」…つまりオスメスの出入力端子だ。
これをどういう風に使ったのかというと…
Img_0043下は「Marshallがまた1番!」のキャッチコピーが目を惹く1967年当時のローズ・モーリスの広告。
ナゼまた1番になのかというと、「新しいアンプの革命的なコンセプト」をパワー・ビルダーで確立したから…だって。
50W出力のパワー・ビルダーを1セット持っていれば、上のオスメスの入出力端子を使ってリンクし、最大10セットまでつなげることにとって500Wのアンプになりますよ!…というワケ。
「オモチャのブロックを積むみたいに簡単です!」だそうです。
要するに昔ジミ・ヘンドリックスが「1959」でやっていたようなことですな。0r4a0026_3 実際には下の写真のようにして使ったらしい。
Marshallは自信マンマンで発売した年の「British Trade Show」という展示会に出品したのだが期待に反してウケが悪かった。
理由は値段。
このセット商品はとても高価で、同じ50Wの「1987」の2.3倍の値段がつけられていた。
オマケに200Wの「MAJOR」シリーズともそう値段差がなかったのでコスパの悪さが目立ってしまったというワケ。
そして1967年にたった50台を生産したのみで廃番になったのだそうだ。
写真のアイテムは最後に作られた個体らしい。
結果、ゼンゼン1番ではなかったが、今となってみるとレア度は結構1番かも知れない。
「高野長英」の顔じゃないけど、実際にコレをこうやって使っているのを見たことがある人はもはや世界で1人もいないのではなかろうか?
0r4a0027…とココまで書くためにインターネットやら手持ちのMarshallに関する書籍でパワー・ビルダーのことを調べてみたのだが、どこを見ても「パワー・ビルダーはプリアンプ」という説明になっている。
で、今一度Marshallのコレクションを見てみると…コレ、シャシに乗っている真空管は「EL34」じゃんね?
オマケにプリアンプにしては妙にトランスもデカイ。
コレはプリアンプではなくて、スレイヴのアンプ部分なんだね。
下のシャシが後ろを向いてスピーカー・キャビネットに搭載されていた。
そうすれば上の写真の上段で2台のキャビをつないでいるケーブルにも納得がいく。
違っていたら正直に謝ります。
260ショウ・ウインドウの前に飾られているMarshallをいくつか見てみよう。
一部のモデルは後々細かく取り扱うつもりなので、ココではスキップすることをご承知あれ。
まずは… 
1969年から1971年まで製造していた5Wのバルブ・コンボ「Capri」。
Capriにはこの写真のストレート・タイプと他にアングルド・タイプがあって、スピーカーも2x8"と1x12"の2つのバージョンがあった。280「2060」というモデル・ナンバーが付された5W、1x12"トレモロ搭載コンボの「Mercury」は1972年から1975年までの製造。
コレを見るたびに思うのだが、この書道家が⁀揮毫したような「Marshall」のサインはカリグラフィが得意な工員がひとつずつ手で書いたのであろうか?…そんなことあるワケないな。
コレ、そのウチに赤やオレンジのバージョンも出て来るけど、ゴールド・ビーディング(上面に入っている金色のモール)やLCフレット(大きいチェックのフレット・クロス)が使われていてナニげにカッコいいんだよね。
29030W、2x12"、トランジスタ・コンボの「LEAD 30Watt」。
モデルナンバーは「2201」で1975年から1977年に生産していた。
「2202」というベース用もあったが、それは1977年に製造していたのみだ。
300v下は工場に送られて来た修理品を保管しておくスペースのようす。
ココで白い「2201」を発見したことがあった。
日本でも見かけたことはあるが、さすが本国、こんなモデルが普通に修理に持ち込まれることに感心し、「珍しい~」と思って下の写真を撮ったワケだが、日本でインターネットを見てみると、オークションのサイトにチョコチョコと出されているんですな。3101979年頃に製造していた「Park」の20W、1x12"コンボ。
型番が「1231」という情報が出回っているが、私が使っているMarshallの記録にはその型番は存在しない。
正面と上部に何のコントロールもついていないツルっとしたルックスがうれしい。
320コントロールはすべて「VINTAGE L.E. 20W Tube Amp」と表示されているリア・パネルに集中させている。
「Valve」ではなく「Tube」という言葉を使っているところがやや気になるが、その名の通り「ECC83」と「EL84」を2本ずつ搭載している。
2インプット、ボリューム、トレブル、ベースだけの極シンプルな構成。330しかし誰がコレの中身を入れ替えているんだろう…不思議だ。340<つづく>

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