祝!D_Drive初の東京ワンマンライブ<前編>
2012年9月12日 Shige Blog 初出
「ボカロ」ってのが人気なんだって?こういうのを目の当たりにするにつけ、手塚治虫の『火の鳥』を思い出してゾッとする。コンピューター同士がケンカして核戦争になっちゃうヤツね。
ドラムの次は歌か…やっちまったな~…っていう感じがする。大げさに言えば、「利便性」とかいうものとは程遠い芸術に対する倫理性を問いたくなるような…クローン人間とか人造人間とか、ああいう類のものに手を出してしまったような…。音楽終末時計の針をまた進ませてしまった感じがするな。
こういうことの積み重ねは音楽をドンドン陳腐化させて、最後は破たんさせてしまうだろう。そして、また振り出しに戻る。ま、これもまたよかろう。開発業者には感謝すべきかも知れない…と言うのはイヤミがすぎるか?
でもさ、自分の作ったフレーズを本当にリッチー・ブラックモアが弾いたかのような音色で再現されたらどうする?でもね、それは絶対にありえないんですよ。何故なら リッチーの音は、もしくはジミヘンやベックの音は、彼らが血のにじむような鍛錬の時間を積み重ねて、スタイルを試行錯誤して、空気を震わせてはじめ てああいう音になるワケで、ITくんだりに真似されてはタマランのだ!だからちゃんとしたアンプで大きい音で弾く必要があるのですよ。それがロックだから!
ところで、ナゼ音楽を聴くのか? それは「快感」を得たいからじゃない?
チョット横道にそれて、また「火の鳥」の話しになるが、悪徳不動産星(?)業者(名をズダーバンという)にダマされて新婚のカップルが不毛の星に移住してしまう話しがあったでしょ?そのカップルには女児が生まれず、ご主人が早逝してしまう。残された奥さんは、子孫を絶やさないように宇宙生命体と冬眠装置を使って何代にもわたり自分の子供との間にまた子供を作っていく。時間が経てば経つほど地球への望郷の念が募る。何百年だか何千年だか経って懐かしの地球へ帰って来る。しかし、そこで待ち受けていたモノは…。
なんてシレっと書くとアジもソッケもないんだけど、最後に出て来るサン・テグジュペリの一節がまた実に効果的で、思い出しただけで泣けて来る。私は「火の鳥」はこの6巻(「望郷編」とかいうのかな?)までしか読んでいないのだが、そのどれも素晴らしい出来の中でこの6巻が一番好きだ。これを書いているだけで涙を落してしまう。
その中で、とても印象的なシーンがあった。その星は不毛の無人星だからそこに生まれた子供は音楽など存在すら知らないワケ。で、入植した2人の荷物の中に音楽の再生装置があって、何代か後の子供がなんかの拍子に偶然に再生された音楽を耳にしてこういう。
「ねえ、お母さん、この音ナ~ニ?」
「これはね、音楽っていうの。ビートルズっていうのよ」
「ふーん、とても気持ちのいい音だね!」
もうずいぶん長い間読んでないのでもちろん正確に再現はできていないと思うが、そんなシーンがあった。
とあるジャズ好きの薬学の先生の本で読んだのだが、現在の科学技術をもってすれば、脳のある部分に電気的刺激を与えることによって、好きな音楽を聴いた時と同じ脳の状態を作り出すことができるというのだ。つまり、音楽を聴かなくてもお気に入りの音楽を聴いたような快感を電気的に得られるというワケ。しかし、この先生はこう結論づける。
「でも、ナニもそんなことをする必要なんかない。いい音楽を聴けばいいだけの話しなんだから…」
で、冒頭に戻って、それほど機械の力を借りて音楽をやるくらいだったら、いっそのことこの先生のおっしゃった方法の方がよっぽど手っ取り早くはないかい?
それでも音楽はなくならないに決まってるんだけどね。でも、もう何十年かするとさ、小さい子がお母さんにこう訊くんだよ…「お母さん、昔、音楽って人間がやってたの?」とか「お父さん、『ガッキ』ってナ~ニ?」、そして「人間て歌が歌えるの?」って!
ま、大げさにして被害妄想的なことをつい書いてしまったが、ここまでひどくはならないことを期待している。ナゼなら「音楽はフリコ」で良くない時代が続けば必ず良い時代に戻って来るから。今日は、私の戯言とも「ボカロ」とも縁もゆかりもない、地道な努力で器楽演奏技術を身に付けて、ちゃんと人力で音楽をクリエイトしている素敵な「音楽家」たちの登場だ。私はこういうバンドに大きな安堵感を覚える。彼らが早急にフリコをいい方向に戻そうしてくれているのはマッチガイナイ!(フリコが戻りすぎか?)
珍しく今日は機材の紹介から。
上手のギターはJCM2000 DSL100と1960AXを使用。
下手はTSL。キャビネットは1960Aだ。
ドラムはドラムセット!って当たり前か…。ブルーを基調としたデザインがカッコいい!
そして弾き手はこの方々!D_Drive!!
ステージへ向かう直前のショット。バタバタはしていたが、変な緊張感は全くなし!いつも楽しそうで、演奏することがうれしそうで…ホント、入れてもらいたくなるバンドのナンバー1だ!
そしてショウがスタート!会場はチョ~満員!パンパンよパンパン!
大阪を拠点に活動しているD_Driveは地元では何度もワンマンライブを催してきた。もちろんこれまで何度も上京してライブやクリニックをこなしてきたが、実はこの日が初の東京ワンマン!めでたいね!その初のワンマン・ショウをこうして満員のファンが出迎えてくれたのだ!
上手ギター、リーダー、D_Driveの頭脳、Seiji。
下手ギターのYuki。
ベースはShimataro。
ドラムはChiiko。
せっかくの東京初ワンマンなので、もうちょっと機材の写真を載せておこうね。
Seijiさんの足元のようす。
やっぱちこちら(東京)ではなかなかタップリとD_Driveを観るチャンスがないので、もうノッケから「待ってました」感が異常に強い、まさにロケット・スタート!
縦横無尽に指板の上を動きまくる流麗なプレイで観客を圧倒するSeiji。
速弾きだけでなく、情感豊かにメロディを歌い上げる泣きのギターも魅力だ!
様々なテクニックを駆使してSeijiと渡り合うが、決して技術一辺倒の冷淡さを感じさせることがない。
ステージ中央でヒラヒラと蝶のように舞いながらギターを引く姿が魅力的だ。
よく見てると実に色んな事をやっとる!でもやっぱりテクニックが鼻につくような感じはしないんだよね~。ネコちゃんが大好きなやさしく、にこやかな性格だからかな?色のついた漬物は私も苦手だ!
何となくウチの下の子に似てるんだよな~。そういえば彼は当ブログの『イギリス紀行2012』を読んでくれていて、終演後イギリスのビールの話しで大いに盛り上がった!うれし楽しかった!
ショウの後、有名な音楽評論家の方と意見が一致。「ドラムが滅法カッコいいよね~!」って!
そう、彼女のクリスピーさはいい加減スゴイ!胸のすくようなストレート・アヘッドなドラミングなのだ!
メンバー紹介でSeijiさんが彼女のことを「ドラムと『おもしろ担当』!」と紹介したのよ。確かにChiikoちゃんは最高に明るくて楽しい人で紹介は間違っていないと思うんだけど、「おもしろ担当」という言葉がメチャおもしろくて、ステージ前の柵中でひとりで爆笑してしまった!
今日はココまで。
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site
さて、D_Driveはその卓越した器楽演奏能力を活かして、これまで数種もの教則DVDをリリースしてきた。そのどれもが個性的で充実した内容を誇り人気を博している。
ちょっとオリジナル解説を付けてみたので読んでみてチョ!
まず、SeijiさんのDVD。『リズムからソロまで完璧に弾けるギター・トレーニング』。これはこの日会場のみで発売された特別ジャケット仕様。
通常版はこちら。本当に何でも「完璧」にやることは大変なことだよね。このDVD、ギター・プレイングを「完璧」にするためとはいえ、おっそろしく至れりつくせりの内容になっとるで~!
Seijiさんのギターに対する情熱がステージから発されるそれとは違う形で表現されているように思う。「完璧」なギター・プレイを目指すためのDVDこそが「完璧」なのさ!
Yukiちゃんの第2弾DVD。『ゼッタイ弾ける!スウィープ超入門』。前作は速弾きに関する内容で「私の速さについてこれる?」が「大賞」は逃したものの流行語にもなった。(ホンマか?)
今回はスウィ―プ編。そしてこれはSeijiさん作と同じくはこの日会場のみで発売された特別ジャケット仕様。
スウィ―プね~。「邪道」だったんだよ、オジちゃんがギター弾くのに夢中になってた頃は…。全部ピッキングしなきゃいけなかったの!それがね~、これが有名になったのはフランク・ギャンバレか?
それよりズ~と前、1950年代にはバーニー・ケッセルなんかがバリバリもうこのテクニックを使っていたけどね。でもそうしたテクニックが体系化されて音楽表現のひとつの手法として確立されたのはいいことなんじゃねーの?しかも先生がYukiちゃんときてりゃマスターしない手はなかろうが!
私はドラマーじゃまったくないけど、コレおもしろかったニャ~。Chiikoちゃんの『ゼッタイ叩ける!ドラム・フィルイン超入門』。
これまでおもしろかったドラムの教則ビデオって、テリー・ボジオ、サイモン・フィリップス、マイク・ポートノイとか?カーター・ビュフォードもスゴかった。一時期教則ビデオの仕事をやってたもんでずいぶん勉強したんですよ。
で、このChiikoちゃんのはかなりいいと思ったね。楽しい。でも一番はChiikoちゃんの竹を割ったようなドラミングを観れることだった。
D_Driveで教則DVDが出てなかったのはSimaちゃんだけだったの。ところが!ついに出るよ。ベーシスト諸君、お待ちどうさまでした!現在鋭意制作中!乞うご期待!
教則DVDの詳しい情報はコチラ⇒アトス・インターナショナル公式ウェブサイト
<後編>につづく
(一部敬称略 2012年8月5日 六本木morph Tokyoにて撮影)