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2013年6月24日 (月)

The Paisleys & JUICY HALF ジョイントLIVE <後編>

今日は…っていつもだけど、思いっきり最初っから脱線させてくだセェ。もんのスゴイ遠回りします。

オッサンの昔話しを読む時間がない人はまでワープしてください!

では…

1970年代の前半、フジテレビに夜中の11時55分から始まる『洋画の窓』という5分枠の番組があった。
映画の予告編を2本放映するという何の工夫もない内容だったが、映画が大好きだった私は毎晩眠い目をこすりながら、ラジカセをテレビにつないで録音するのを常としていた。
ビデオなんてない時代だからね、後から音だけでも楽しもうというワケだ。

ある晩、まったく前情報がない作品の予告編がその番組から流れてきた。『ファントム・オブ・パラダイス(Phantom of the Paradise)』という映画。

その頃はブライアン・デ・パルマなんてまったく知られていない時分の話しで、主演もポール・ウィリアムス、ウィリアム・フィンレイ、ジェシカ・ハーパーと知らない人たちばかりで、普通であれば、こんないかにも「B級でござい」という映画に何の興味も示さないところではあったが、銀色の奇怪なマスクをつけた怪人が劇場の中を暴れまわるシーンが妙に印象的で何か運命的なものを感じていた。

私は中学に入った頃、毎週日曜日には有楽町に出かけ、片っ端から話題の映画を観ていた。で、ある日、観る映画がなくなり、スバル座で「あの銀色の仮面の怪人」の映画かかかっていることを思い出した。

ま、半分ダマされたつもりで入ってみたところ、場内はガラガラもいいところだった。
ところが例の運命的感覚以外、何の期待も予備知識もなかったせいか、その映画はまばたきをするヒマもないくらいおもしろかった。

大きな眼鏡をかけた不気味な主演の小男が「Old Fashioned Love Song」なんて名曲を作った男であることはその時はツユ知らなかった。
ちなみにポール・ウィリアムスは悪魔に魂を売ったプロデューサーの役を演じたのだが、その役名を「スワン」といった。これはツェッペリンを意識してたのかな?…なんて後年ちょっと思ったりもした。
そのスワンが営むレコード・レーベルが「Death Reacord」といって、鳥の死骸をロゴ・マークに使用していた。
ま、もちろん悪趣味ではあるが、1974年という制作時期を考慮すると、先のロック・ファッションのイメージをすでに具現化していたように思える。昔の方が進んでいたともいえよう。
とにかく大好きな映画のひとつだった。

さらに時代は下って…近田春夫さんがBEEFというバック・バンドを率いて活動した後、女性をひとり含んだ4人組のバンドがデビューした。
当時、とても珍しかった女性だけのバンド、GIRLSの中で一番好きだったイリアさんが加入していたバンドだったので注目した。

バンドの名前がジューシィ・フルーツ。
すぐにピンと来た。ハハン、近田さんも好きなのかって…。
「ジューシィ・フルーツ」も前身の「BEEF」も『ファントム・オブ・パラダイス』に登場するバンドとシンガーの名前だったのだ。

ま、完全に「だからナンダ?」という類の話しなのだが、これは前から書きたくて書きたくて、どこで書こうかとそのチャンスをズッと狙っていたのだ。

それがね~、こうしてホンモノのイリアさんのステージに接することができる日が来るなんて。チャンス到来!
いつ書くの?今でしょ!
すみません、コレばっかりで…。でもこれは今年の「流行語大賞」は確実でしょう。
やっぱりこういうはやり言葉というのは実用性が高くないと絶対に普及しないね。

さて、『The Paisleys & JUICY HALF ジョイントLIVE 』の後半。The Paisleysに続いての登場はJUICY HALF。

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JUICY HALFはその名の示す通り、ジューシィ・フルーツに在籍した2人が結成し2009年より活動している。

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4人のウチの2人だから「ハーフ」ね。

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メンバーは、ジューシィ・フルーツから…

ボーカル&ギターのイリアと…

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ドラムの高木利夫。
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そして、HALFから参加しているリード・ギターにアキシロと…

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ベースのジェフ…の4人。

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この日はですね~、も~どっぷりとシアワセ状態だった。The Paisleysを存分に楽しんだ後、このJUICY HALF。

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とにかく両バンドとも出てくる曲、出てくる曲、どれもが可愛くて楽しくて…。どんなに聴いても聴き足りない!
乙女心のようにワクワク、ドキドキ…(乙女になった経験はないが、きっとこんなんだろう)。
ああ初恋の気分ってこんなんだったんじゃないかしら…(アホか、オレは?!でもホントにそうなの)。

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1曲目は「ふりむかないで」。1962年のザ・ピーナッツのヒット曲。この頃の歌謡曲は殺人的にクォリティの高い曲がズラリと並んでいる。歌謡曲バンザイなのである。

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靴下を直しているところを見られたくない、初々しい乙女の気持ちを歌った唄。
いい曲だナァ。さすが宮川先生。
今時、こんな女の子いないわナァ。電車の中で化粧だもんナァ。それじゃこういう曲もできるワケない。

「♪ふりむかないで~、お願いだから~、今ね、3つ目のツケマ乗せてるところなの~」じゃ歌にならんわな。

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「♪じゅっちゅうはちきゅ~」 のコーラスがかわいい「十中八九NG」。これはジューシィ・フルーツのレパートリー。これもいい曲だナァ。

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JUICY HALFもコーラス最高!

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やっぱり美しいコーラスというのは曲のグレードを格段にアップさせるね。

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もともと曲がいいところへ持ってきて、こうした王道的手法による完璧な演奏をするもんだから悪いワケがない。

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「夢見るシャンソン人形」のカバー、「夢見るシェルター人形」。
イリアさんの声が曲にピッタリとマッチしてる!

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もちろんインスト・パートもエキサイティング!

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その昔、ジューシィ・フルーツがテレビに出た時(しょっちゅう出てたけど)、何の番組だったかは覚えてないが、The Manhattan Transferの「Twilight Tone」を演ったんですよ。
しかも、イリアさんとギターの方があの有名なJay Graydonのギター・ソロを完コピしてた。トリハダもののカッコよさだった。

で、今回この時のことをドラムの高木さんにうかがってみたところ、「アレは確か、レパートリーがまだ少なくて、カッコいいからコレやろうよ!みたいにして演ったんじゃなかったかナァ~。イリアは難なくサラッとギター・ソロをコピーしてたみたいだったよ!」ですって。さすがイリアさん!

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「これがそうなのね仔猫ちゃん」…

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「そんなヒロしに騙されて」…「恋はベンチシート」…

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それにしても有名な曲が多いな。

アキシロさんはサム・ピックを使用している。

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アキシロさんもJVM210Hと1960Aを使用。

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「燃ゆる瞳」…

ジェフさんもリッケンだね。こういうタイプの曲はリッケンか…。

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「メビウス・ラブ」。コレいい曲だナァ~と思ったら「そんなヒロシに騙されて」のB面にカップリングされ、あるラジオ局の「B面ベスト10」という企画で10週連続1位を獲得したとか…

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そうだろうな~、いい曲だもん。
続いて「ツイ・ツイ・ツイッター」、これはJUICY HALFのオリジナル・ソング。可愛いタイトルだね~。

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ショウはいよいよ終盤。ここでやっぱり「ジェニー」。これも思い出があってね~。

テレビで見た時、「♪そ~すれば、と~にかく」の「と」ところのコードにビックリした。翌日学校でバンドをやっている連中が集まって、「オイ、昨日のアレ見たか?『とにかく』のところのコード、どうなってんだ?」って話になったんだけど誰もわからない。

で、幾日かして楽器屋に入り浸っているヤツが「あれ、わかったゾ!」と答えを持ってきた。「あれ、ディミニッシュっていうんだってよ!」と聴いてみんなビックリ。

程度が低いと笑わば笑え…当時は今みたいに教則本やらDVDなんかなかったからね。
コードといえばメジャーとマイナーしか知らなかったし、短7度の役割も知らなかった。
みんな自分たちの耳だけを頼りに、手さぐりでロックの研究をしてたんだから。

それを聞いてみんなこう言った…「あれがディミニッシュってヤツか~。話しには聞いていたけど、初めて見た!」…なんて、明治時代にはじめてバナナを食べた一般市民のようなことになった。いい時代だったナァ。

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いい時代だったのは、こういうジューシィ・フルーツのようなステキなバンドや歌手がジャンジャンTVに出て、いい曲をたくさん提供してくれていたことなのね。

やっぱり歌謡曲があった時代はよかった。ロックと歌謡曲が完全に分かれていた時代。もちろん当時、私は「ナンでぇ歌謡曲なんてカッコ悪い!アイドルなんか関係ネェ!」とロック一辺倒だった。

でもね、最近、やたらと「昭和歌謡」の番組やってるでしょう?恥ずかしながら、正確ではないにしろあの当時の歌ならほとんど歌えるんだよね。
それだけ一般大衆にそうした音楽が浸透していたかのが我ながらよくわかる。
曲のクォリティが格段に高かったからだ。永遠に残る歌たちも少なくないだろう。

私の中でのベストは「木綿のハンカチーフ」。
今でも聴けば泣く。
だからカラオケなんかで歌ったことはない。泣いちゃうから。
あの藤丸さんが奏でる美しいダブル・ストップのイントロに導かれて展開するコール&レスポンス式の純愛物語。ああ、コレ書いてても泣けるわ。

でもさ、今は「華やいだ街」へわざわざ「君への贈りもの」を探しに行かなくったて、クリック一発、いつでもどこでも欲しいものが手に入る。
風情もナニもあったもんじゃないね。MJGのところでも書いたけど、利便性というのは間違いなく風情を殺す。
両立はできないことになってる。こんなことでレコード・ジャケットもなくなっちゃうんだから恐ろしい。

こうした風情があったからいい歌詞が書けたし、いい旋律や編曲ができたんだと思う。

そうそう、実は今、「編曲」という音楽のひとつの醍醐味も失われていることに気を配るべきだと思うんですよ。
ビッグ・バンドやオーケストラがなくなっちゃったからね。

伝承、伝承、とにかくいいものや正しいことを後世に伝えないと!そういう意味では今日のコンサートは実にいい機会だった。

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「夢ゆめ御用心」、「おとめのカウントダウン」、「そわそわストリート」…と信じられないくらいの佳曲がゾロゾロ出るわ出るわ!

この「おとめのカウントダウン」なんてナニこれ?もう歌詞もメロディもステキすぎるわい!恥ずかしながら写真を撮りながら脚立の上で身体を揺らしちまった!

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それにしても歌にギターに最高にキュートなイリアさんなのだ!
ちょっとした仕草が歌声が可愛いのなんのって!

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ああ、ジックリと聴いてしまった。本編は終了。

アンコールはThe Paisleysの3人も加わった。

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ヤッチンがジューシィ・フルーツについて語る。

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やっぱりみんな好きだったんですネェ。ヤッチンのパートナーのギタリストはJUICY FRUITSの曲をすべて歌えちゃうとか…。

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で、アンコールは「恋愛タクティクス」。これも可愛い曲だ。

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ヤッチンも楽しそう!

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そして、最後はBay City Rollersの「二人だけのデート(I Only Want to be with You)」。元はイギリスの歌手、Dusty Springfield(ダスティ・スプリングフィールド)の1963年のヒット曲。

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毎日のように「ぎんざNOW」で大騒ぎしていたベイ・シティ人気をヘソ曲がりな中学生だった私は決して快く思わなかったが、今聴くとなかなかよかったりするんだよね。

あまりの人気でボーカルのレスリー・マッコーエンの変な噂まで出てきたりしてね。コンサートではまったく演奏していないとかサ…考えてみるとエア・バンドの先駆けだったりして?! んなことないか…。

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いい曲だよね。個人的にこの曲はFrank Zappaの「Let's Make the Water Turn Black」と似ていると思ったりするのだが、ここでは関係ない…みんなこんなに楽しそうなんだもん!

その人気のベイ・シティ、今ね、ホームのエジンバラへ行ったってベイ・シティの「べ」の字も出てこないよ。ま、英語の国だから「べ」は出てこないのが当たり前か…。

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お客さんもおおよろこび!

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大いに盛り上がって今日の出し物はすべて終了。あ~楽しかった!

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楽屋へ戻って記念撮影…で終わる予定だったんだけど、すさまじい「アンコール」の声!このままじゃ収まらない!

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そこで、もう一度出演者が全員ステージに上がりご挨拶。そして完全にこの日のステージは幕を下ろした。

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これはジューシィ・フルーツ名義でリリースした29年ぶりのシングル『ちょっとだけ★ナラバイ』。6~7月までNHKの『みんなのうた』で放送されているので要注目!

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あ~、ホントに今日は楽しんだな。

JUICY HALFの詳しい情報はコチラ⇒JUICY HALF facebook

The Paisleysの詳しい情報はコチラ⇒曾我泰久オフィシャル・ウェブサイト soga21.com

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(一部敬称略 2013年5月19日 渋谷Rexにて撮影)