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2013年5月

2013年5月31日 (金)

Guitar☆Man #004 <後編>

Guitar☆Manの第4回目。ショウはますますヒートアップ!

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セカンド・セットのギター・エンジェル。

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今度は今さんに渡された。広規さんの顔!楽しそうだナァ~。

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さて昨日の続きをば…。

これもGuitar☆Man定番の洋楽メドレー。1曲目がSantanaの「Europa(哀愁のヨーロッパ)」なのだが、ここで大二さんからご講話が…。大二さんの音楽への造詣の深さは並大抵ではない。造詣が深いだけでなく、数々の来日ミュージシャンとの共演履歴もあまりにスゴイ。なにしろ浅草の国際劇場のエレベーターにFrank Zappaとたった2人きりで乗り込んだことがあるというのだから尋常ではない。

さて、大二さんの話とは…このSantanaとTom Costerのペンになる「Europa」は邦題が「哀愁のヨーロッパ」になっとるが、「Europa(エウロパ)」というのは木星の衛星のうちのひとつで、「ヨーロッパ」とは関係ない。そもそも「Europa」と「Europe」でつづりが違うのだ!「当時、このエウロパは地球に似た環境を持ち、もしかしたらそこに住むことができるかもしれない」ということがわかり、それをイメージして作られた曲なのであ~る。

それを当時の日本のレコード会社の担当者が「ハイハイ、ヨーロッパね。哀愁のメロディだナァ」と勝手に思い込んで「哀愁のヨーロッパ」にしちゃったのだ…という。以上大二さん。

そうだよね~。そういわれてみればそうだ。Santanaを熱心に聴いたことがないもんで、恥ずかしながらこれは気がつかなんだ。このレコード会社の人、後で恥ずかしかったろうナァ~。完全に取り返しがつかないもんね。

真相を尋ねたら「イヤ、これはあくまで邦題であって衛星とは関係ない!オレのイメージじゃい!」って開き直るだろうナァ~。でも、真相を知っても我々日本人は「この曲=ヨーロッパ」というイメージが払拭できないのではなかろうか?私も曲名を指すときにほとんど100%原題を使うが、この「哀愁のヨーロッパ」だけは「哀愁のヨーロッパ」って呼んできた。そこにこの曲の落とし穴があったワケだ。もし、原題を使っていればもっと早く気がついたと思うんよ…ま、どうでもいいか?しかし、みなさんはこの曲を聴いてヨーロッパのどこを連想しますか?少なくともロンドンはないな~。

ちなみに木星の衛星というとイオ、ガニメデ、そしてこのエウロパあたりが有名か?66個もあるんだって!地球なんて1個だけなのに!太陽系の中でもっとも多くの衛星を持つ惑星は土星だったが、発見が相次ぎ木星が今一番多いのだそうである。

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ということで弾き手は今さん。説得力あるわ~、だんだん「エウロパ」に聴こえてきた!

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今回の洋楽メドレーはスゴかった。

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続いて飛び出したのが「Superstition」、BB&Aバージョン。

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そしてのけ反ったのが次の「Paranoid」!あまりにも強引で思わず笑った!

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そうそう、大二さん、「どんな音楽も好きで楽しむけど、どうしても苦手なのが3つある。それがBlack SabbathとUriah HeepとIron Butterflyなんだよね~」 わかる~。私も同じ。Heepはキライではないけどどうも感情移入ができん。私も「In-A-Gadda-Da-Vida」が名曲だとは特段思わないしな…。でも、Black Sabbathは恥ずかしながらこの歳になってナンカよくなってきて最近聴いちゃったりしてるのよ。観念するとなかなかSabbathもいいもんですよ、大二さん!

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また強引にねじ伏せたのがGrand Funk Railroadの「We're an American Band」。

広規さん曰く、「Mel Schacherというのは案外やるよ!」。そうだよね~、このバンド、Mark FarnerとよくてDon Brewer(この曲のボーカルはDon Brewer)ぐらいだもんね、目立つの。

そして、洋楽メドレーはFreeの「All RIght Now」で締めくくられる。

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ここでGuitar☆Man #004は意外な展開を見せる。

西脇さんが奏でる絶望感にあふれた、切なくも不吉なコード…。

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♪カンケンコンケン~、と有名な4つのギターの音で緊張感が極限に達する。ギターがふたりいるアマチュア・バンドがこの曲をやると誰がこの♪カンケンコンケン~を弾くかで取っ組み合いのケンカになるという…(本当はならないと思う)。

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そして、泣きのギター!これぞストラトキャスターってか?!

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曲はPink Floydの「Shine on You Crazy Diamond」。もちろん「Crazy Diamond」とは数年前に亡くなったSyd Barrettのことだ。

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まさかこんな曲が出るとは!大二さんのリクエストかな?それにしてもスゴイ人たちだ!

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後半には西脇さんのクロマチック・ハーモニカが大フィーチュアされる。

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これはあんまりカッコいいんでないの~!?

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人差し指より親指でピコピコした方がカッコよく見える…と西脇さん。最高の見せ場だ!

ところで、この「Shine on You Crazy Doamond」が収録されている『Wish You Were Here』。タイトル曲の「Wish You Were Here」ってあるでしょ?Floyd得意のフォーキーな曲。イギリスの連中がアコギを手にすると必ずコレを弾くんだよね。で、知ってた?この曲ってフランスの有名なジャズ・ヴァイオリニスト、Stephane Grappelliが参加してるって?もうほとんど聞こえないんだけど、5:21のところで、そういわれてみれば程度の感じ。Dave Gimoreが「カントリーみたいな感じで…」と演奏依頼をし、このDjango Reinhardtの相棒の天才ヴァイオリニスト(数々のジャズ作ももちろん素晴らしいが、Yehudi Menuhinと組んだ『Tea for Two』が愛らしい名盤だ!)はそれなりに弾きこなしたらしい。しかし、録音の状態が悪くものすごく小さな音で録られてしまった。「これじゃ聴こえん!」ということでFloydはジャケットにGrappelliの名前を入れなかったという話だ。この時、Roger WatersがGrappelliに渡したギャラは£300だったという。安い。

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そして、次もスゴかった!

今さんがアコギに持ち替えて演奏されたのは「I'm not in Love」。

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西脇さんが苦心の末に作り上げたコーラスが会場に充満する!

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ここで広規さんはピアノにスイッチ。Eric Stewartのパートだ。

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オリジナルはバスドラムの音だけだが、大二さんはブラシでサウンドを補強。

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もう10ccが好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでしてね。できれば私が歌いたかった?

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でもなかなか実物を観るチャンスがなくて、結局観たのは2010年のアストロ・ホールでの来日公演。Graham GouldmanとRIck FennとPaul Bergessが昔のメンバーだった。そういえば、その時会場で出くわしたイギリス大使館の知り合いにちょうど来日していた紹介されたBPI(British Phonographic Institute)の時のおエライさんを紹介してもらった。

「ショウはどうだい?」と訊かれ、「10ccは子供のころから大好きでしたが、なかなかショウを観る機会がなくて、今回がはじめてです。最高なんですが、オリジナル・メンバーがGrahamだけというのがちょっと…」と答えてしまった。あんなこといわなきゃよかったナァ~。

普段は軽佻浮薄な今風のイギリスの音楽を売り込むことを生業としている人が10ccのショウに来ているなんてチョットうれしくもあった。彼もこういうロックの方がいいにキマてる。

10ccのようなバンドは絶対にアメリカからは出てこないだろう。そういうところがまた大好きなのだ。

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Graham Gouldmanの名ベース・ソロを完璧に再現する広規さん!サスガ!

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そしてすぐさまピアノへ!難波さんも認める天才マルチ・プレイヤーの面目躍如たるシーンだった!

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誰?ステージでシャンペンなんか冷やしてんのはッ?!

「マリー・アントワネットのような彼女が素敵なキャビネットにキープしているMoet & Chandon」…「素敵なキャビネット」って1960のことだったのね?!んなワケないか…「Killer Queen」なんかもいいんじゃない? Marshallじゃないけど…。でもJimがなくなった時、Brian Mayは弔辞を寄せてくれていました。

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しっかし、今回のGuitar☆Manは選曲といい、演奏といい、雰囲気といい、まったくもって素晴らしい。

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今日もジャニスを1曲。

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ツワ~、完璧なカッティング!

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オリジナルのFull Tilt Boogieよりカッコいいい!

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早希子さん絶唱の「Half Moon」!

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広規さん、猛烈に楽しそう!そう、何しろ今回はノリが違う!

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…と、ここでガラリと雰囲気が変わって「Stairway to Heaven」。今さんの完璧なアコースティック・ギター。

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JPJのパートを忠実になぞる西脇さん。

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歌うはSyuartOさん。

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Led Zeppelinは広規さんも得意とするところだ。

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やはり大人気のこの曲…

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名人たちの熱演にみんなジ~ックリと聴き入っていた。

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ソロは土方さん。広軌さんがこの有名なJimmy Pageのソロを完璧に弾いてるのを見たことあるもある!

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「I'm not in Love」とこの曲でアコースティックを弾いた今さん。そういわれてみれば…なのだが、アコギの出番はこれがGuitar☆Man史上初だったのだ!今さんとはアコギの仕事でご一緒させていただいたことがあったが、ブルーグラスがお好きで、よく超絶フレーズを弾いていらした。

思い出した!その頃、雑誌の取材があって、色んなアコギを今さんに弾いていただいたのだが、ギターを換えるたびに今さんがローGを弾かれるのだ。ジャラーンって。もちろんチューニングの状態をチェックされているのだが、尋ねてみた…「どうして必ずローGを弾かれるんですか?」…と。 「ローGが一番チューニングの狂いをチェックしやすいんですよ」 その時の対談相手の著名ギタリストも「そうそう!」と完全に同意されていた。これ企業秘密?

でも考えてみると、オープンコードで全部の弦をいっぺんに、かつ自然にならせるのはEとGだけなんだよね。CもいけるがGの方が全然鳴りがいい。さすが!ま、たまにはGuitar Man(自分のこと)らしいことを書いてみました。

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そして最後はGuitar☆Manのテーマ曲ともいうべき「Smoke on the Water」。

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もうノリは最高潮ですね。やっぱりこのリフはロックのすべてを包含しているのかもしれない。イギリス人も大好きね。

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Guitar☆Manショウではすっかりおなじみの浦田"AMAZING"健志も飛び入り!

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そしてアンコール。広規さんも前に出てきたゾ~!

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ファースト・セットではVan Halenの「Panama」が…。

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Van Halenもメチャクチャはまりますナァ。ようするにナニを演っても完璧なのよ、このお方たちは!

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いつにも増して楽しそうな広規さんを見てこっちもハッピーになるね!

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「ギターはこう弾くものです」ということを思い知らされずにはいられない2人のプレイ。ハイ、できません。

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今さんはご持参のワイアレスを駆使して会場を練り歩く!

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セカンド・セットではDoobiesの「Listen to the Music」。

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もうコレもんですよ!土方さんも楽しそう!

セカンド・セットではアンコールの拍手がまったく鳴りやまず、広規さんの「やっちゃう~?」の一声で「Panama」を演奏。盛り上がりはさらにワン・ステージ上に突入した!

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観るたびに大きな満足感を与えてくれるGuitar☆Manだが、今回のショウはとりわけ素晴らしかった。自分好みのタイプの音楽やグループの曲が取り上げられたこともあったし、達人たちの名人芸にドップリと浸かることができた。

邦楽メドレーと極一部を除いてはすべて70年代の曲だ。すなわちロックの黄金時代だ。いつも訴えていることだが、こうした活動を通じて、人類が作ったこの偉大なエンタテインメントの財産を次世代に伝承していかなければならないとつくづく思った。

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6月のGuitar☆Manは…

6日 : Guitar☆Man Live #005 - King of Pops

7日 : Guitar☆Man Live #006 - Smoke on the Water

ともに会場は東京キネマ倶楽部。あの荘厳な会場で味わうGuitar☆Man…たまりまへんナァ~。

詳しくはコチラ⇒Guitar☆Man公式ウェブサイト

<Guitar☆Man過去のレポートはコチラ>

2013年2月10日 #001 @汐留Blue Mood <前編>

2013年2月10日 #001 @汐留Blue Mood  <後編>

2013年3月7日   #002  @目黒Blues Alley Japan

2013年4月10日 #003 @六本木Sweet Basil 139

(一部敬称略 2013年5月9日 渋谷JZ Bratにて撮影)

2013年5月30日 (木)

Guitar☆Man #004 <前編>

5月9日に開催されたGuitar☆Manショウの第4回目。

回を重ねるごとにどんどんエキサイティングなショウになってきた!

今回も入れ替え制の2回興行。両公演ともアンコールの一部を除きまったく同じ内容だ。マーブロでは1回分の公演を<前・後編>に分けてレポートするが、若干第1&2部の写真が混在することをお許しいただきたい。「アレ?洋服の色が違うじゃんけ!」という場面もあるが、理由はそれによるものである。

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今回も入口に展示されたチャリティ・ギターたち。

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「赤いピック募金」も募られた。実にステキなアイデアだ!

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今回もステージはMarshallづくし!

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いつものアニメーションからギター・エンジェルが登場。はじめてみる人はドッキリ、いつも見てる人はニンマリ。

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ステージに向かう途中、お客さんのテーブルに赤いバラが配られた。

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そして赤いバラが白いギターに持ち替えられ…

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今日のギター・マン、土方隆行に手渡された。

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Guitar☆Man #004のスタートだ!

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今回のメンバーは…

親方・伊藤広規

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今剛

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初回につづいて2回目の登場となる土方隆行。

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岡井大二

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西脇辰弥

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そしてボーカル陣…

政野早希子

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StuartO

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アラキマキヒコ

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オープニングはなんとDeep Purpleの「Speed King」!「♪土曜の夜、宵越しの銭は持たねーぜ」ってヤツね。

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今さん、いっきなりノリノリ!

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やっぱりこのハード・ロックの黄金時代を代表するようなリフを名人2人が弾くとスゴイね。重みが違う。これがホントのへヴィ・ロック!

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もちろんキーボードと…

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ギターの掛け合いのパートもホンモノに勝るとも劣らないシャープさだ!

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広規さんのハード・ロック・ベース!素晴らしい!

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次に出たのがGuess Who。Guess Whoといえば「American Woman」。カナダを代表するバンド。カナダも本当にいいバンドやミュージシャンが多い。というか本当にいいバンドじゃないと出てこれないんだろうけど。

こりゃGuess Whoが出たとなると、BTOが出る日が近いかな?

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こういう絞り出すようにしてシャウトする曲はアラキさんによく似合う。

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そしていつも演奏される邦楽メドレー。

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「ルビーの指環」。何せ今さんが弾いてるからね、ホンモノは。

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「黄砂に抱かれて」、「木枯らしに抱かれて」そして「Automatic」と続いた。「Automatic」も今さんだ。

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司会はNACK5の山本昇。出演者のトークもGuitar☆Manショウの大きな魅力のひとつだ。

ここで話しているのは…なんと昔、1フロアに2世帯入っているマンションで土方さんと今さんが同じ階に住んでいたという話し!

広規さんの顔!

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こっちは広規さんと西脇さんのデュエットMCコーナー。

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西脇さんが「あんなこともできる、こんなこともできる」とシンセサイザーの機能を実演。

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「ギター・マンとはいえキーボードにも注目してね!」と西脇さん。ナニをナニを!注目せざるを得ないような活躍ではござらんか!

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「Purple Haze」でおなじみのメンバー紹介。

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今さんとMarshall。いいね~。カッコいい!JVM210Hと1960AVの組み合わせだ。

ちょっと今さんの思い出を…。初めて今さんのギターを耳にしたのはPANTA&HALの『マラッカ』だった。『マラッカ』はそれこそ盤面が白っぽくなるまで聴き込んだ愛聴盤で、日本のロックの名盤の一角と信じて疑わない。そのタイトル曲、「マラッカ」のソロ。まったく驚いた。メロディアスでスリリングで美しくて…。もちろん必死になってコピーした(途中まで)。今でもそのパートが来ると何かしていても絶対にその手が止まって耳をそばだててしまう。日本のロック・ギター史に残る名ソロだ。

もうちょっと…。昔、銀座に「ローディ・プラザ」という日立の高級オーディオのショウ・ルームがあった。ステレオの視聴用に無料でレコードが聞けるとあって中学生のころから毎週日曜日、セッセと通ってはレコードを聴き漁っていた。何しろテレビやラジオ以外に無料でロックを聴く方法なんてなかったからね。

で、そのコーナーの傍らに立派なステージがあって、生の演奏を自分でその場でレベルやパンを調整し、ミキシングして2chのカセット・テープに録音する「ミキシング体験コーナー」みたいものがあった。そこで日立のカセット・テープを買わなくてはならないのは言うまでもない。

高校のある日、そのローディ・プラザに行くと(ずいぶん長いこと通ったものだ。そういえば、そのローディ・プラザの奥にMorning Sunという輸入レコード店があって、そこでKing Crimsonの『Earthbound』を買おうとしたら、『お兄ちゃん、Island盤の方がいいんじゃないの?』と訊かれ、ワケもわからずいわれるままにイギリスから取り寄せてもらったことがあった。中学3年ぐらいの時だったから、一体いくらかかるのか心配で仕方なかったが、2,000円で売ってくれた。いまだに安いんだか高いんだかわからないが大事に取ってある)、「ミキサー席が空いていますのでミキシング体験しませんか?」と声をかけられた。誰が出演するのか尋ねると、生演奏ではなくてPANTA&HALの8チャンネルの音源をミックスするんです…と聞き、狂喜乱舞。PANTA&HALのオリジナル・メンバーの演奏だからね。

「HALのテーマ」とかそれこそ「マラッカ」とか数曲の音源が流され、興奮しながら聴き入った。なかでもあの長い長い「マーラーズ・パーラー」で今さんが何十回と弾くオブリガードのすべてがすさまじく、これもよくコピーしたものだった(途中まで)。何しろ弾けば弾くほどメロディが多彩になり、ネタが尽きるどころか増えていく一方なのである。このテープは門外不出で大切に保管している。

おまけで…このミキシング体験で別の日に生演奏を録ったバンドがBAD SCENEで、ゲストで登場した銀次さんが壮絶なソロを弾いていた。このテープも門外不出の宝物だ。ちなみにBAD SCENEにはCharさんも在籍していたことがあり、広規さんがアオジュンさんらと結成したMagical Cityのギターだった牧野元昭さんもかつてメンバーだった。

ええ~い、脱線ついでに…。牧野さんはその昔、某楽器雑誌に「ジャズ・ギター講座」というコラムを執筆しておられ、Bill Evensの『Undercurrent』の「My Funny Valentine」のJim Hallの4つ切りを採譜し、誌面に掲載されたことがあった。当時こんなの他になくて、喜んでスクラップした。今でもどこかのウチの蔵書にそのスクラップがはさまっているハズ。

いい時代だった。

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大二さんは丸っきりいつものペースで優雅に叩く!

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しっかし、広規さんってスゲェな。何をやってもグイグイ引っ張るそのグルーブ感!本レポート<後編>ではもっともっと活躍してしまうのだ!

今日もVBA400とVBC810でブイブイいわす!

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アクションもバッチリの西脇さん。Liv Moonの時以来。

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もくもくと弾き続ける土方さん。今日はVintageModern2466のパワー・アンプと1960Aを使用。土方さんはキャビネットはA派だ。

実は土方さんについても私には門外不出の音源がある。土方さんには事あるごとにMarshallのデモのお仕事をお願いしてきたが、Marshall初のデジタル・アンプ、JMD:1のデモンストレーション音源がそれだ。JMD:1はプリアンプがデジタル回路になっていて、歴代のMarshallのサウンド12種類がサンプリングされていて、それEL34、つまり真空管で増幅するという便利で音の良いモデルだった。田川ヒロアキ氏やAldiousのYoshiちゃん等今でも愛用しているプレイヤーは多い。

ウェブサイト用のデモ音源を土方さんに弾いてもらったのだ。わざわざそのデモのために短い曲を書き下ろしてくれて、12通りの演奏をしていただいた。16ビートのカッティングからへヴィなリフ、灼熱のソロ等々、どれもがヨダレがでそうな演奏で今でも時々聴いている。その極めつけは(へへへ、私のアイデアなんだけど…)、Brian Mayよろしく何種類かの音を使ったひとり多重奏の「God Save the Queen」だった。

そんなふたりのギタリストが登場した今日のGuitar☆Man…最後の最後まで楽しみがテンコ盛りだ!

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今さんのリクエストだという「Reelin' in the Years」。「Do It Again」につづいて発売されたSteely Danのファーストアルバム、『Can't Buy a Thrill』からのシングル曲。1973年、Billboardのヒットチャートの11位をマークした。この曲好きな人、多いね。

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グエッ!イントロのギター、Elliot Randallク・リ・ソ・ツ!

そういえば、この曲Skunkも参加してるんだったっけ…最近どうしてるんだろう。

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聴きどころはサビのコーラス。

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そして中間のツイン・リード。

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ああ、なんてカッコいい曲なんだろう!

ちなみにこの曲にパーカションで参加しているVictor Feldmanはイギリスの人。なんとお父さんがロンドンのOxford Streetにある「100 Club」の創始者だ。「イギリス―ロック名所めぐり」で紹介しているので見てみてね⇒コチラからどうぞ

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思わずサビの「♪あ~ゆり~りにんじい~い~ず」のところはやっぱりいっしょに歌っちゃうよね。最近ずいぶんDanはご無沙汰してるけど久しぶりに聴きたくなった!

このメンバーで「My Old School」か「Hey Nineteen」演ってもらいたいな~。「My Old School」はSkunkのソロが完コピになるんだろうナァ~、いいナァ~。

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そしてThe Ventures。「Slaughter in Tenth Avenue」。平たく言えば「10番街の殺人」。私はベンチャーズにはちょっと近寄らないが、この曲は好き。1曲の中でこんなに強引に4回も転調する曲なんて普通ない。で、調べてみた。なんと、この曲、作者はRichard Rogersなのね~。「Walk Don't Run」がJohnny Simithなのは知っていたけど、これは知らなんだ。しかも、同名のバレエのための曲なんだってね~。

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これまた実に軽やかな演奏で楽しいなったらたのしいな!

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6月のGuitar☆Manは…

6日 : Guitar☆Man Live #005 - King of Pops

7日 : Guitar☆Man Live #006 - Smoke on the Water

ともに会場は東京キネマ倶楽部。あの荘厳な会場で味わうGuitar☆Man…たまりまへんナァ~。

詳しくはコチラ⇒Guitar☆Man公式ウェブサイト

つづく

(一部敬称略 2013年5月9日 渋谷JZ Bratにて撮影)

2013年5月29日 (水)

WHITESNAKE Live in Japan

そして、コンサート。

追加公演を含めた3回の東京公演のうち、7日の中野サンプラザのレポート。

お定まりの少々押してのスタート。客電が落ちてからもしばらくはメンバーが現れず興奮がさらに高まってしまう。

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David Coverdale

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Doug Aldrich

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Reb Beach

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Michael Devin

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Tommy Aldridge

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もうそこに立ってるだけでロック。年齢なんかまったくどうでもいいことを思い知らされるような圧倒的な存在感。

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WHITESNAKEを撮ったのは初めてではないが、やっぱり夢中になって撮っちゃうね。問答無用でみんなカッコいい。

DougのMarshallも昨日確認しちゃったことだし、今日は下手なコメントは控え目にして写真集として楽しんでいただければ…と思う。

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オープニングは「Give Me All Your Love」。

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枝ではなくロックの幹にいる人はやはり重みが違う。

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楽屋の廊下ですれ違って、ポンと肩を叩いてあの声で「Hi, how are you?」なんてやってくれるDavid。ニコニコと陽気でステキな人だ。

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あ~、クソ~、カッコいいナァ~。

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何回でも書く。Doug Aldrichは今日もカッコいいのだ!

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昨日紹介した1959で素晴らしく情熱的なサウンドをクリエイトする。

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下手のReb。

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ペンタトニックを中心にブルージーにフレーズを練り上げるDougとは対照的にトリッキーなプレイで観衆の目を惹く。

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サウンドもDougに比べると鋭角的だ。

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コーラスでも大活躍のMichael Devin。

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もちろんMarshall。VBA400とVBC810のコンビネーションだ。

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このMichael、ブルース・ハープの腕前も抜群で、コンサートの半ばではDougのギターとともに飛び切りカッコいいデュオ・プレイを聴かせてくれた。

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ドラムがBrian Tichyでないのが少々さびしかったが、Brianはもうすでに自分の道を歩み出しているのだ。

代って参加のTommy Aldridge。彼もやたらと感じのいい人で、楽屋でも気軽に声をかけてくれる。

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素晴らしいプレイの連続で観客は総立ち!

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その昔、Foreignerが1977年にデビュー・アルバムを発表した時、メンバーがイギリス人とアメリカ人の混成なるがゆえに「Foreigner(異邦人)」というバンド名になったと喧伝していたが、もうメンバーの多国籍化というのは当たり前になっちゃったね~。

ブリティッシュ・ロックの権化と呼んでも過言ではなかろうDeep Purpleから派生したこれまたブリティッシュ・ロックを代表するバンドのメンバーが創始者を除いてみんなアメリカ人になっちゃったもんね。

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一時期のイギリス人がアメリカ人や世界のミュージシャンに与えたブリティッシュ・ロックの影響たるや尋常なものではない。70年代のハード・ロックのBritish Invationだ。その結果がもたらしたものは、ブリティッシュ・ハード・ロック・アーティストの枯渇だ。もちろんそれは結果論でしかないが、完全にアメリカ人がブリティッシュ・ロックを引き継いでしまった。

WHITESNAKEのオリジナル・メンバーって全員イギリス人だったんですよ!

Marshallの50周年記念コンサートもそう。ほとんどの出演者がアメリカ人だった。

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音楽に国境なないし、カッコいいロックをやってくれるなら国籍も洋の東西も問わない。でも、あまりにもイギリス勢がさびしすぎる。これもいつも書いていることだが、ショウを見ていて改めて考え込んでしまった。

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また、長きにわたってMarshallのデモンストレーターを務めたGeoff Whitehornがこう言っていたのを思い出す。「Deep PurpleにSteve Morseが入ったのは残念だ…。なんでアメリカ人を入れるんだ…」と。つまり、「オレを入れろ」ということだ。

これを聞いて、思ったことがふたつあった。ひとつは彼がDeep Purpleの加入につながっている同一線上で音楽を活動をしていること。そして、日本はまったくそお同一線の上にいないということ。もっとも彼は今でもProcol Harumで活躍していることだけでも十分スゴイが…。

そして、Deep Purpleの音楽をイギリス人として誇りにしていることだった。

とにかくイギリス勢にはがんばってもらいたい。

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その偉大なブロティッシュ・ロックの歴史の一部を作った人が目の前でマイクスタンドを振り回して暴れているのだからタマラナイ!

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DougとRebのギター・バトルは大きな見せ場だ。

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以前は「あ~か~こ~な~、ノースキャロライナ出身~、ミスター、ダ~グ、アルドリッチ~!」なんてやってたんだけどね。もうやらない。

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ただひたすら弾く!Dougのプレイに特徴であるオーバーベンドが炸裂!ニュイ~~ンってヤツね。

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そしてDougがつむぎだすフレーズはどこまでもブルージーだ。

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Rebは後攻。

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こちらは思い切りコンテンポラリーなプレイ。正確で一分の狂いも乱れもない!

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それでいてエモーショナル!
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このバトルも何回か見ているが、以前はただふたりが「これでもか!これでもか!」と弾き狂うだけだったのが、今回はバトルの後半では美しく、かつスリリングにハモっちゃったりなんかして観ていて最高におもしろかったナ。

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Dougってさ、プレイだけじゃくてアクションもカッコいいんだよね~。

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どう動いてもビシっとキマる!左手の指の形もカッコいい。

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ホント、いつかWembleyのレポートでも書いたけど、彼らは自分のスタイルを執拗なまでに守るんだよね。ちょっとの妥協も許さない。

本番前にMarshallの前で撮った写真も「見せて、見せて」と言って一枚一枚「いいね~」とか「ん~」とかその場で反応してくれる。どれもカッコいいので一体何がいいのか悪いのか皆目見当もつかないのだが、とにかく人前に出す自分をすごく大切にしているんだな。あ、ちなみに一枚一枚チェックはしてもDougは全然神経質じゃないの。そこがまた奔放でステキ!

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リズム隊も強力だった!

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実は…私はTommy AldridgeというとPat Traversなんだよね。あとBlack Oak Arkansas。

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マァ、バッチンバッチンと痛快に叩きまくる姿はやっぱりロックの歴史そのものだわね。

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サポート・キーボードのBrian Ruedy。ステージ上手の少し離れたところでプレイしていたが、バンド・サウンドをガッチリ厚くしていた。

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イヤ~、やっぱりいいね、こういうロックは。

え?どうもいつもと様子が違うって?写真を多く載せすぎたにしてもコメントが少なすぎるだろうって? 曲名も1曲目しか書いてねーじゃねーか!って?

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ハイ。特段書く必要は何もないんだけど、正直に言ってしまいましょう。

私、WHITESNAKEってまったく通らなかったんですよ。デビューした時のことはよく覚えているんだけど、チョットその頃違う世界にいたもんですから…。

でも、そんなの関係ない!今聴いていいものはいい!とにかくこういうのが「ロック」なんだよ!

でもさ、Deep Purpleの『Made in Europe』なんかを聴き直してみるとマジでDavidの声ってスゴイな…。 こういう声を出す人、出せる人ってまだまだいるでしょうに…一体どこへ行っちゃってるんだろう。

私はこういう声の歌でロックが聴きたいよ。

WHITESNAKE…いつまでもがんばって欲しいバンドだ!

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(敬称略 2013年5月7日 中野サンプラザホールにて撮影 ※協力:Creativeman Productions

2013年5月28日 (火)

WHITESNAKE Live in Japan~Doug AldrichのMarshall

2011年のLOUD PARK以来の来日となったWHITESNAKE。今回は香川まで足を延ばした全7回公演のジャパン・ツアーだ。

Dougとは昨年の9月のWembley以来。あの時に撮影した写真を渡したところ大層よろこんでくれた。

彼はいつだってMarshall Blogに快く協力してくれる。

Marshall Blogのスタート時にはメッセージも送ってくれた。⇒A Message from Doug Aldrich

で、開演前にMarshallをバックに記念撮影。

相変わらずカッコいいわぁ~。

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さて、今回の来日公演…ステージはMarshallオンパレード!

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ギター・アンプもベース・アンプもすべてMarshall!気持ちいい~!

やっぱり誰が何といおうとコレですよ、コレ。ロックはコレでいいの!

実はWHITESNAKEのMarshall WallはLCのキャビネット、つまりXキャビが基本なんだけど、今回はチョイと事情があってスタンダード・ブラックのフレット・クロスのキャビが並んだ。

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ステージ袖にセットされたDougのヘッド類。上がメインの1959。

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これがメインの1977年製の1959。

ご覧の通り改造が施されていて、マスター・ボリュームつきの2チャンネル仕様になっている。通常のVOLUME1と2はMASTERとなり、Inputの左下についているノブがGAINに変更されている。他にも派手な改造が加えられている。

Input部は完全に1 Input仕様になっていて、上段のジャックはまったく使用しないためか、ホコリがはいらないようキッチリとふたがしてある。

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下段はJMP時代(1981年以前、JCM800シリーズが発表される前)の2203。1978年製。こちらも2チャンネル仕様に改造されているが、メインの1959ほどではない。

右端のVOLUMEのノブがLes Paulのモノが使われているが、特に意味はない。ありあわせのモノを使ったようだ。Inputの下のノブはGAIN。

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背面のようす。

まずメインの1959から。プリ管(ECC83)が2本増設されている。パワー管はカリフォルニアの真空管ディストリビューターのARS ElectronicsのEL34が搭載されている。

一番左のノブはその横についているSEND/RETURNのSENDレベル。さらにその隣にはループのACTIVE/BYPASS切り替えスイッチがついている。その隣が出力を切り替えるスイッチ(ちょっとここ不確かです)。その右はMASTERのA/Bを切り替えるフットスイッチのジャックだ。後はSPEAKER OUT。

つまり、大ざっぱにいえば、MASTER VOLUME回路を2系統にして、出力を変えることによって音色をコントロールしているということだ。

パワー管には前回交換した日付が記され、ヒューズ・ボックスの横にはしっかりと予備のヒューズが貼りつけられている。

一方、下段の2203はACTIVE/BYPASSのスイッチか、出力切り替えのスイッチのどちらかがないだけで、後は1959と同じ仕様に改造されている。

こちらはどうも使われていないようであったが、キャビネットには結線されていた。

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もう一度キャビネットの写真を…。

こちら(ステージ上手)がDougのキャビ群。すべてBキャビだ。Dougは1959を2台に、2203を1台に結線している。上に書いたように2203はスペアのようだが、1959チームの方は常時2台とも鳴らしている。鳴らしているキャビはBV。

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足元のようす。

Dougはヤケクソにいろんな音色を使うギタリストではないが、それでもシンプル!

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エフェクターはラックにも組み込まれている。

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Dougの愛竿たち。

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今日はこれでおしまい。

「エ、ライブのレポートはどうしたって?それは明日の楽しみだ!ナニ?待ちきれないって?それじゃ、少しだけ…予告編だゼ!」

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「じゃ、また明日な!」

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Doug AldrichのMarshall50周年記念コンサートのようすはコチラ⇒【50 YEARS OF LOUD LIVE】vol.2

つづく

(敬称略 2013年5月7日 中野サンプラザホールにて撮影 協力:Creativeman Productions

 

2013年5月27日 (月)

フィル・ウェルズ・インタビュー~その3

モデル・ナンバーについて

S:今、モデル・ナンバーがたくさん出てきましたが、これらの番号の付け方を教えていただけますか? 当時、誰が番号を決めていたんですか? そして、どういう風に付けられたのでしょう?

P:一番最初、1962年頃はJTM45があり、その後、カタログ番号はローズ・モーリスによって付けられていました。 Pw_img_7778_2

S:ローズ・モーリスが?

P:はい。それからジムがアーティスト・ディストリビュートに関する契約を交わした後、モデル・ナンバーを考え出しました。それからカタログをまとめ始めました。私達には何ら関係ないところで彼らが勝手に始めたことなんです。
S:へぇ~。
P:特にJCM800は複雑です。シリーズが始まった時、出て来た時に順番で製品番号を付けました。それと4210みたいな番号は、4がコンボ、2は2チャンネル…みたいな。
…とか、2210は2が頭だからヘッド、2チャンネル、100W…。
(注:1981年にJCM800を発表した時にはローズ・モーリスはソール・エージェントではないため、JCM800のモデル・ナンバーはマーシャル自身によってつけられている。また、JCM800のモデル・ナンバーは1959と1960のように連番で無機的につけられたモデル[2203、2204や4210、4211、4212]と上のように桁に意味を持たせてロジカルにつけられたモデル・ナンバー[2205、2210]、さらにただヘッドのモデル・ナンバーをスライドさせているモノ[4103、4104(当然連番となる)]等が混在している。コンボはモデル・ナンバーから正体をロジカルに類推することは不可能)

S:(笑)

P:どうですか(笑)。そのうちみんな把握出来るようになりました。JCM900が出て来た時、4100…これは分かりやすいですね。4はリヴァーブを意味します。で、100Wの100。 4500はリヴァーブ搭載の50W。 2100はマスター・ボリュームのバージョンの100Wです。
例えば、4104なんていうモデルを作るのであれば(実在していない)リバーブ搭載で、100W、1×12”になります。4102はリバーブ搭載の100W、2×12”。

S:(笑)数字のクイズみたいですね。

P:はい。もちろん、DSLやTSLが出てからはそごくわかりやすくなりました。その頃には数字と一緒に記号を使えばいい事に気づきましたからね。番号だけの時よりもずっとハッキリしています。それでDSLがDual Super Lead、TSLはTriple Super Lead。JVMはJim Victoria Marshall。410はJVM 410。4チャンネルに100Wです。

S:では、1962なんて番号もローズ・モーリスが付けたのですか?

P:はい、そのあたりはすべてです。

S:えー? では1987や1959もですか?

P:はい。それでカタログを作りました。私達にはまったく関係ありませんでした。

S:では、「ユニットなんとか」も同じですか? Unit17、Unit 3…。

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P:はい。今は1959を100WとSuper Leadでくっつけていますが、数字を見ても何の事だか分からないものでした。かろうじて4100まできて何となく意味が分かる感じでした。でもハッキリしたものではありません。まあ、これを作った理由は間違えを防ぐためのもので、製品番号は何も意味していません。
BMWを例にすると、“318”というモデルがあったとします。するとこれは3シリーズだな、と分かる。そして、1800ccのエンジンが入っていると思うでしょう。でも、違う。3はシリーズではあるけど、エンジンは1900ccです。それで319にするとなんだか変なので、318にした…そういう感じで、私たち似たようなことをやっていました。誰かが思いついたんです。でも、DSLやTSLにした事で分かりやすくなりました。

S:しかし、型番を覚えているということはマニアの象徴でもあり、ロマンを持てることでもあります。

P:それはそうですね。
よくマーシャルのモデルを番号順にまとめたりしている人を見かけますが、それはまったく意味のないこと。シリーズで一緒にまとめておくことが大切なのです。
ためしに先頭の番号に戻ってみましょう。一番若い番号は1912です。でも2064なんていうモデルは1960年代の頃のものです。このように番号でならべてもただややこしくなるだけなんです。

1959の謎

S:ありがとうございます。実は個人的な質問があるのですが…。

P:どうぞ、構いませんよ。

S:ジミ・ヘンドリックスのシグネチュア・モデルなんですが…。

P:Super Leadですね。ハンドワイアードの。

S:Super 100。これは1959と呼んでいいのですか?

P:はい。

S:では、マスター・ヴォリュームなしの100モデルは1959という事ですか?

S:つまり、1959の定義は…。

P:入力が4つ。

S:そして100W?

P:はい。

S:一方、4インプットで50Wは…。

P:1987です。ですから、私達は番号のことなんか考えていませんでした。番号は全然意味がありません。これらが作られた時…ヘンドリックスのモデルですが…1つの回路基板しか使いませんでした。リードにもベースにも、PAにもオルガンにも、みんな全く同じ回路基板を使っていたのです。その上に乗せる部品が異なるだけでした。パワー段も同じ。フィードバックは要望によって少し異なりますが…。

S:コンデンサーや抵抗もそうですよね。

P:はい。

S:そして、JTM 45/100。これは初の100Wのマーシャルですが、これを1959と呼んでも良いのでしょうか?

P:はい。実際に1959と呼ばれていました。要するにそれが、1959が生まれた時なんです。パワー段は50Wのアウトプット・トランスがふたつ。メイン・トランスも実際には100Wでは80Wぐらいでした。それで、JTM 45/100が与えられたモデル名がでした。しかし、実際には最初の1959シリーズが作られた事になります。

S:なるほど。この型番には結構惑わされていました。歴史をこの目で見ていませんので、私なんかの感覚では、JTM45/100、Pw_img_7794
Super100等が1959とは異なる特別なカテゴリーに入るものだと思っていました。

P:JTM45/100は他と全く違う物だと言えます。これまでに作ったどの製品とも、またこれから先に作る製品とも異なる物です。理由はトランスが2つ付いているからなんですが、アルミ素材のシャーシを使った最後のモデルでもありました。アルミは強度があまり高くないことに気づいたんですね。
当時は100Wのアンプ用のアウトプット・トランスが簡単に手に入りませんでした。ですから、当時の技術を使ってトランスを作ったんです。つまり、2台のJTM45が同じ1つの箱の中に入っているモデルです。だからJTM45/100という名前がついたのです。

しかし、厳密に言えば最初に1959という型番が使われたモデルです。本当に厳密に言うなら、1965年、最初に100Wのアンプを製作した時…本物の100Wです…それ用のオリジナルのトランスを搭載しました。アウトプット用のトランスがひとつとメインのトランスがひとつです。それが初めて1959と呼ばれた時で、JTM45/100のことではありません。ですから、1964年の後半頃に最初のJTM45/100が出来て、1965年に最初の100Wモデルが出来て…。、両方とも1959と呼ばれています。誰に話しても、JTM45/100、それから1959、もしくは両方とも1959と呼ばれたりします。厳密には型番は1959です。リイシューした時にJTM45/100と呼んだのです。

S:やっと証明されました。ありがとうございます。

P:いえいえ。

S:さて、続けてもいいですか?

P:どうぞどうぞ。

この後、話題がガラリと変わるので、いつもより短いですが、キリのよいところで終了します。次回もお楽しみに!

つづく

(一部敬称略 2012年9月 英Marshall社にて撮影・収録 ※協力:ヤングギター編集部、平井毅さん&蔵重重友紀さん)

2013年5月24日 (金)

【Music Jacket Gallery】SFジャケット・コレクション <前編>

先日、HignosisのStorm Thogerson氏の逝去に伴い急遽掲載した『Music Jacket Gallery』。大きな反響をいただき、ご覧いただきました皆様にはこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

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さて、Music Jacket Galleryは3か月に一回定期的に展示を総入れ替えし、順調に回を重ね、ますますその認知度もアップさせてきている。

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その展示の入れ替えに合わせてマーブロでも解説記事を適宜掲載したいのだが、なかなか制作の時間が取れず、大幅にビハインドしてしまった!

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臆面もなくヘタな弁解をさせていただけるのであれば、何しろこれを1本書くのに、資料を集めたり、音源を聴き直したり、英語の文献を読みほどいたりで膨大な時間がかかるのである。でも、やってて楽しいけどね!ま、言い換えれば時間との戦いなのよ。

また、いっぺんに昔のことを思い出すのは不可能で、いつもいつも頭の中に展示されたジャケットのことを叩き込んでおいて、「ああ、ああいうことがあった」とか「こうなったらどうだろう」なんて文章の用意をしておかないととても書けるものではない。ようするに熟成期間が必要なのだ。
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それで、今回は少しずつすこしずつ長期間にわたって書き溜めた記事をとりまとめ、加筆訂正し、1本に仕立て上げたという次第。

展示の特集は「SFジャケット・コレクション」。恥ずかしながら1年以上前に展示が終わってしまっているのでMJGのガイドにも何もならないがお許しいただきたい。
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ここで拙文を重ねて訴えていることは「ジャケットの重要性」や「楽しさ」であることに以前と何ら変わりない。

一部ではLPレコードの需要が反転上昇しているやに聴いているが、ジャケット、いや、CD等のフィジカル・プロダクツが絶滅に瀕している状態はまったく変わっていない。3年後には日本からCDが姿を消すと断言している関係者もいる。

ここに書き連ねているのはいつも通りの取るに足らない私的レコード解説で恐縮だが、こんな内容でも、「もし本当にジャケットがなくなったら…」ということを思い浮かべながらお目通し願いたいと思う。

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さて、「SF」…海外では「サイファイ」と普通呼んでいるが、これはジャケットのモチーフとしてはもっとも扱いやすいもののひとつであろう。

人気テレビ番組『ザ・ベストテン』に出演したスター歌手が「どんな本を読むのか?」と訊かれ、胸を張って「SM小説です!」と答えていたのもはるか昔の話し。たまたま私はこの時の放送を見ていたが、生番組の恐ろしさを見たような気がした。

ジャケットの前に、ちょっと音源のことを考えてみるに、David Bowieの「Space Oddity」に代表されるようなSFをテーマにした歌もメッキリ見かけなくったのではなかろうか?

パソコンにケータイ…25年前には想像もできなかったこうしたIT機器(ITという言葉もなかった)の普及に満足し、近未来的な科学の発達を夢見るようなことがもう必要なくなったのかもしれない。

今更アシモフやブラッドベリーを読んでもピンとこないだろう。

手塚治虫が生きていたら何を空想していたのだろう?いつもここに書いているが、『火の鳥』の「未来編」のような話をもっと突き詰めて人類に警鐘を鳴らしていたのでは?

この大国のコンピュータ同士のケンカで核戦争が起こって人類が滅亡してしまう話は、ナント1967~1968年にかけて制作されている。恐るべし。

プロ棋士がコンピュータに勝てないとかボカロの話を聴くたびにこの『火の鳥』を思い出してしまう。ボカロについてはまた別の機会で触れたいと思うが、もう音楽の世界においてはテクノロジーの進化は必要ないでしょう。

これほどテクノロジーの進化がコンテンツを退化させてしまっている分野は他にないのではなかろうか?

今日はそういうこともひとまず忘れて、古き良きレコード・ジャケットでゆっくりとSFの世界を楽しんでいただきたい。

自分の思い入れのある作品や興味のあるアイテムをピックアップしウンチクを固めてあるのはいつも通りのことである。

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今回ブロウアップされたのはVanilla Fudgeの『Renaissance』とThe Tubesの『Remote Control』。

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ああ、Alex Harvey。大好き!シンプルでカッコいいギター・リフ。ロック以外には使い道のないような、ともすればJoe Pesciを連想させる野太い独特の声。今、一番お目にかかることのできなくなったタイプのロックの代表ではなかろうか?いわゆる70年代の音。問答無用でカッコいい。もちろんギターのZal CleminsonはMarshallだ。

ボーカルのAlex Harveyは1935年、世界で三番目に地下鉄が開通したScotland第二の都市、Glasgowの生まれ。生粋のScotishだ。かなり芸歴が古く、1954年にはスキッフルのバンドでキャリアをスタートさせている。The Sensational Alex Harvey Band(以下SAHB)の前はR&Bとかブルースを歌っていた。

1963年頃のR&Bタイプの録音を聴くと、何しろこの声だからね…トリハダが立つことは請け合いだ。考えてみるとこの人もスキッフル、ロックンロール、R&B、ブルース、ハードロックとイギリスのロック史をそのままなぞったようなキャリアを持った人だった。

このブログによく出てくる私の親友Steve DawsonとSAHBの話しをすると決まって「Alexは酒で死んだんだ。スコティッシュだからね!」と言う。

自分だってスコットランドの首都、エジンバラまで電車で一時間ぐらいのところに住んでいるクセに、Alex以外にもスコットランド出身で早逝した人の話しになると必ず「酒が原因だ。スコティッシュだから…」と言う。よっぽどスコットランド人は浴びるようにスコッチ・ウイスキーを飲み、街中はアルコール中毒患者でゴッタ返しているのでは?と少しは心配にもなったが、実際に訪れたエジンバラはロンドンのソーホー辺りのような猥雑さを微塵も感じさせない世界遺産の名に恥じない美しく静かな街だった。

Alexは1983年、ベルギーで客死している。公演を終えてイギリスへ帰るフェリーを待っている時に心臓発作に襲われ、病院に向かう救急車の中で2度目の発作が起こり絶命した。47歳だった。

もうチョット書かせてね。好きなんだもん。

1970年には有名なミュージカル『Hair』の座付きバンド(Pit Band)を派生させてRay RussellとRock Workshopを結成した。Ray Russellもネェ~。私は詳しい方ではないが、『Goodbye Svengali(「Svengali=スヴェンガリ」というのはGil Evansのアナグラム。文字の順番を変えるとGil Evansとなる。ジャズの世界で最も有名なアナグラムは、Bill Evans作曲の「Re:Person I Knew(私が知っていた人について)」だろう。これはRiversideレーベルのレコード・プロデューサーのOrrin Keepnews=オリン・キープニューズのつづり代えだ。)』というアルバムを買って聴いてみたがまったくピンとこなかったナ。

で、その後、弟のLeslie "Les" HarveyにMaggie Bell(「イギリスのジャニス」と呼ばれる女性シンガーのうちのひとり)を紹介され、1969年にStone the Crowsを結成した。このバンド、ベースはRobin TrowerのところのJames Dewer、ドラムが後にFocusに加入するCollin Allenだった。こういうところが面白い。日本同様、イギリスの音楽業界は狭いのでこうしたキャリアの交流が盛んに発生する。翌年、弟のLesは演奏中に感電死してしまった。1972年頃にはギターにWingsのJimmy McCullochが在籍していたが、確かこのJimmyも感電死したように記憶していたが、ヘロインの過剰摂取による心臓発作で他界したらしい。

その後、1972年にAlexが結成したバンドがSAHBだった。

日本では知名度低いよね?スゲェいいバンドなんだけどな…。SHARAさんが好きだというのを聴いてうれしかった。

このバンドの作品のジャケットはアメリカン・コミック的なポップなイラスト調のものが多く、内容との乖離が大きい印象がある。とりわけ、この1975年発表の『Tomorrow Belongs to Me』はその傾向が強い。何で「明日はオレのもの」と、恐竜とユンボが戦ってるイラストが関係あるんだろう?「Action Strusse」とか「Snake Bite」とか、内容はいいよ~。

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Thomas Dolbyというのは全く知らないんだけど、ジャケットが面白いのでちょっと取り上げてみた。ナンカの映画のパロディなんだろうけど、なんだろう?勉強不足でわからない。「宇宙人現る!」みたいなヤツだね。40年代や50年代にはこうしたSF映画とか怪獣映画ってのは星の数ほど作られていた。

Frank Zappaが『Roxy & Elsewhere』のMCで「I love monster movies...」と切り出して当時のB級怪獣映画のチープっぽさを解説している。その後に演奏されるのが『Cheepnis』。コレを初めて聴いた時はあまりのカッコよさに腰を抜かしたわ。

最近は怪獣映画もすっかりみかけなくなった。なんでもかんでもCGアニメでさ…。映画は音楽より救いようがないからね。音楽ととても環境が似ていると思うのは、もう映画界はいい脚本が書けなくなってしまっていること。いいメロデイが作れない音楽界と同じだ。

これも「ニューシネマ」とかいって、金をかけずに、うわべだけのカッコよさを求めて作った薄っぺらな映画をもてはやした結果だろう。ロックとまるっきり同じだと思わない?

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Vanilla Fudgeも本コレクションのオーナー、植村さんのフェバリット。1968年発表の3枚目のアルバム、『Renaissance』。いいデザインだよね~。ロック・カルチャーの頂点はやっぱりこの頃だね。この後、ハード・ロックとプログレッシブ・ロックが隆盛を極めて、パンク/ニュー・ウェイブが出てきた瞬間、ロックは2巡目に入った…満身創痍で。

80年代以降のロックは、ごまかしながら出がらしのお茶を「おいしい、おいしい」と無理やり飲んでいるように見える。ジャズとまったく同じ歴史をたどっている。

生まれた時から出がらしのお茶しか飲んだことがなければ、誰だってそれが「お茶」だと思ってしまう。ところが、お茶を作る会社は玉露の香りを知っている。でも、教えない。製造に手がかかるワリには大して儲からないから。ま、それも譲ろう。音楽だってビジネスだから。一番マズイのはお茶を作る農家とそれを買い取るお茶のメーカーに玉露の香りを知らない人が増えてきているということだと思う。

イケね、またやっちまった。でも今日のはヨカッタでしょ?

で、Fudge。私は夢中になったことはないし、スミマセン、ファースト・アルバムですら休み休み聴く部類に入っちゃってます。でも、この『Renaissance』の直前の『The Beat Goes on』がメッチャ気になっていて、植村さんのお住まいにお邪魔した時に聴かせていただいた。キテレツ盤の域を出ないシロモノという感想だったが、へへへ、結局中古で見つけて買っちゃった。そんなもんなんですよ。内容がよくても悪くても気になるものは、聴く本人にとってはある種名盤なのだ!植村さん、ありがとうございます。

ご存知の通り、「You Keep Me Hanging On 」やら「She's not There」やら数々のビートルズ・ソングで構成されていたファーストや前作に比べ、数曲のカバーはあるにしてもこの3枚目の『Renaissance』はメンバーのオリジナルを中心に制作された。が、好事魔多し。オリジナル・プレスでは派手なプリントミスが生じてしまう。

「The Spell That Comes After」というEssra Mohawk(Frank Zappaが面倒をみたSandy Hurvitzと同一人物)の作曲者のクレジットがZappaのアート・ワークを担当していたCal Schenkelになってしまっていたという。もしかして、このジャケット、Cal Schenkel?

最終曲の「Seasons of the Witch」はDonovanのカバーだが、後半に同じくEssra Mohawkの「I'll Never Learn」が挿入されているという。

「…という」…というのは実は私はコレ聴いたことがないのね。でも、こういう裏話、特にZappaがらみの話と来れば是非聴いてみたくなる。ロックだって知れば知るほど面白くなるのだ。

Essra Mohawkについても詳しく知ってるワケでは全くないが、Sandy Hurvitzで発表した『Sandy's Album is Here at Last』は持ってる。Sandy Hurvitzと命名したのはZappa。Zappaの名作のタイトルにもある「Uncle Meat」というのはZappaが彼女に付けたアダ名。そんなヘンテコリンなアダ名をうら若き女性が好むハズもなく、そこからZappaとの関係が悪くなったとかいう話もある。ま、実際には音楽的な対立があったのだろう。Zappaの顔写真がこの作品のジャケットに写真もハメ込まれているにもかかわらず、プロデュース中途で拒否。そのためIan Underwoodがその尻拭いしてプロデュースしたという。そんな背景があってバンドを自由に調達できなかったのか、アレンジがピアノの弾き語りという曲も散見され、結果的には裏Laura Nyroみたいでなかなかによろしい。

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Jefferson系統ってどうにも昔から苦手だった。Airplaneの有名盤を何枚か持ってはいるけど、資料的な意味合いだけで、今でも進んで聴くことはまずないな。なんか歌声も演奏も曲も、見事にソリが合わないんだよな~。なんでなんだろう。

ま、元よりまばゆい陽光と雲ひとつないカリフォルニアの澄み切った空よりも、雨ばかりのどんより曇ったロンドンの空の方がシックリくる私のことだから無理もないか…。

でも高校の時、「オ!カッコいい!」と思って買ったのがこの『Dragon Fly』だった。何がカッコよかったかというとギターのCraig Chaquico。でも結局ロクに聴かないうちに売っちゃったな。

ジャケットはいい。トンボだよね。このStarshipになってからのジャケットは『Red Octopus』もいいし、『Spitfire』はとてもいい。どれももう家にないな~。

サンフランシスコから金門橋を渡ってNovatoというところに行く途中、左の遠くの山の中腹にある家をさして現地の友人が「アレ、Grace Slickの家だよ」と言っていたっけ。この時も友人がGraceの過去の逮捕歴について話していたが、あらためて調べてみると随分と警察のご厄介になってる人なのね。

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こっちが『Spitfire』。SFっぽいかはどうかは別にして文句なしにカッコいい!

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すいません、そんなこと言っててもどうしてもダメなイギリスものもある。Hawkwindダメなんだよね~。スペース・ロックかなんか知らんが、退屈なんですよ~。でもラリラリ状態でストリッパーが狂喜乱舞するステージを体験するときっと最高なんでしょうな…というよりそういう風に楽しむのがこのバンドのホントの楽しみ方なんだろね。

ところが音源だけ聴いていた日には大したテクニックもないのにダラダラと無用の演奏が続くという部分がなかなかにシンドイ…。

でもこのバンド、70年代の諸作のジャケット・デザインは大変によろしいな。すぐ下の4枚目のスタジオ録音盤『Hall of the Mountain Grill』も同様。宇宙のどこかの星に乗り捨てられた宇宙船を描いたのはこのバンドの美術を手掛けるBarney Bubblesの作品。

ちなみにこのタイトル『Hall of the Mountain Grill』というのはグリーグの『Peer Gynt(ペール・ギュント)』の中の「In the Hall of the Moutain King(山の魔王の宮殿にて)」とマーケットで有名なロンドンはポートベローにあったバンドの行きつけの喫茶店「The Mountain Grill」を合体させたものだそうだ。

まだベースはまだIan Kilmister、すなわちLemmyが担当している。本アルバムの次の作品『Warrior of the Edge of Time』からのシングル曲「King of Speed」のB面に収録されていた曲が「Motorhead」だった。Lemmyはそのアルバムを最後にHawkwindを脱退した(クビになった?)。

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ん~、いいナァ。1971年の『X in Search of Space』。内容は知らないけど…。初期のHawkwindは色々な(それこそ)アーティストがからんでいた。このデザインもRobert Calvertという詩人のイメージを膨らませてBarney Bubblesが制作した。

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LiverpoolとBrixton(双方『ロック名所めぐり』で紹介する)で録られた有名な1973年のライブ・アルバム『Space Ritural』。これも『X in Search of Space』のコンビが音とビジュアルの融合を目指してデザインされたという。私的には音よりもビジュアルの方がカッコいいと思うのだ。

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Greatful Deadもキツイなァ。70年代の正規のアルバムはほとんど持っているけど滅多に聴かないのぅ。いつかデッドのコンサートがいかに長いかっての書いたことあったけど、一度スッポリとハマってしまった人にはタマらんバンドのひとつには違いない。

ところで、デッド諸作のジャケット・デザインは総じてよろしいな。イラストものが多いのが特徴だ。有名な『Greatful Dead(Skull and Roses)』や『Steal Your Face(これはLPが出た時ジャケ買いした)』、『Aoxomoxoa(これを見るといつも水木しげるのマンガに出てくるバックベアードを思い出す)』、『American Beauty』等々すごくいい。本作や『Terrapin Station』、『Blues for Allah』や『Europe '72』だってゼンゼン悪くない。

一方、本人たちがご登場のジャケットは『Workingman's Dead』を除くと『Go to Heaven』や『In the Dark』のように残念なものが散見されますな~。

これが『Blues for Allah』。ヴァイオリンを弾くしゃれこうべが今回のテーマであるSFっぽくはある。このアルバムのタイトル曲はデッドのファンであったサウジアラビアのファイサル王(1906~1975年)に捧げられたとか。妙な曲だゼ~。今回久しぶりに聴き直してみたけどナカナカいいな…。

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この『From the Mars Hotel』は1974年に発表されたDeadの7枚目スタジオ盤。ジャケットの建物はサンフランシスコに実際にあった安宿を写実したもの。だからSFではない。でも舞台を火星にしちゃったからSFだ。

「GREATFUL DEAD FROM THE MARS HOTEL」の下の緑色の文字のようなものは、アルバムを逆さにして鏡に映すと読める。「UGLY RUMORS(醜いウワサ)」 だ。イギリスの元総理大臣、Tony Blairが学生の時に組んでいたバンドの名前は「UGLY RUMOURS」といったそうだ。イギリス綴りなので「O」と「R」の間に「U」が入る。

そういえば生前のJim Marshallが会食の席かなんかで「Tonyがどうの…」って話していたことを耳にしたことがある。 「総理大臣をトニー呼ばわりか…さすがジム」なんてその時は思ったもんだ。日本のどこかの社長さんが首相をつかまえて「晋三、晋三」と呼んでいたら笑うで、しかし。

それにしてもデッドがアメリカを代表するバンドってのは納得するよなァ。同時にMarshallからもっとも遠いアメリカのバンドって感じ。

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中学生のころ、Deep PurpleもLed Zeppelinもひと通り聴いたし、なんかカッコいいロックはないかいな?と思っていたところへ、ロック好きの兄を持つ友人がUriah Heepを教えてくれた。「エ、なに?ゆーらいあひーぷ」って感じだった。

このバンド名はCharles Dickesの『Davis Copperfield』に登場する「ユーライア・ヒープ」という不誠実で卑屈なキャラクターに由来している。イギリスではこれがのちに「イエスマン」という同義語として浸透した。

Ken Hensleyのオルガンを中心としたサウンドがちょっと他のハード・ロック・バンドと違って新鮮だった。それにDavis Byronの声。でも、曲がちょっとポップというか、単調というか…それほど夢中にはならなかったな。

イヤ、それよりも夢中にならなかった理由はオルガンが主役だったからかもしれない。Mick Boxがもっとギンギンに弾いたギター・オリエンテッドのバンドだったらもっとのめり込んでたかもしれないな…。

でもね、Mick BoxってとてもMarshallに忠誠ないいギタリストなんよ。

David Byronも気の毒な人だよな。この後、Rough Diamondを結成した。ちょっと気になったので久しぶりにレコード棚から引っ張り出してきた。タイポグラフィがエンボス加工されている。このパラフィン紙みたいな帯が泣かせるぜ。ナニナニ、「ブリティッシュ・ハードの神髄ここにあり!!(中略)嵐を呼ぶデビュー・アルバム!」…裕次郎か?

聴いてみる…まったく覚えてないな。少なくともこれで嵐は呼べんな。なんかブリティッシュともアメリカンともつかない中途半端な感じだ。だいたい、相棒のギタリストがClem Clempsonじゃ弱いよ。

1977年。この頃は既成のハード・ロックが飽きられてきて、ポップ性を吸収した音作りに奔走していたんだろうね。日本でも有名なギタリストが「歌謡界へ殴り込みだ!」なんて宣言していたのもこの頃ではなかろうか?

そこへパンクとからニュー・ウェイブってのが「アタシャ新しものでござんす」と切り込んできて、旧態依然としていたハード・ロックをがいとも簡単に駆逐してしまった。後はロックの低年齢化が進んで現在に至る。

イカンイカン、また脱線しちまった。で、このアルバム全然売れなかったらしい。それでさっさとDavid Byronはこのバンドを引き上げ、しばらくして自分のバンドを立ち上げたが大した話題にもならず1985年に死んでしまった。そうか…もうByronが死んで30年近くになるのか…。

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ところでヒープもいい加減ジャケットが玉石混交だよね~。

この『The Magician's Birthday』とか『Deamons and Wizards』とかはいいですよ。Roger Deanだからね。

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でもコレはないでしょう?1976年の『High and Mighty』。これはルガーP-08か…。一体何の根拠でこんなジャケットなんだろう?ピストル=MightyでHighだから空を飛ばしちゃったのかな?

『The High and the Mighty』という映画があった。John Wayne主演で、邦題は『紅の翼』という1954年の古い作品だ。観たことはないけど、航空パニック映画の先駆けみたいな話。この主題歌をNed WashingtonとDimitri Tiomkinが書いていて、実にいい曲なのね。もちろんタイトルは「The High and the Mighty」。よくJaco Pastriousがア・カペラのベース・ソロの時に弾いていたのがこの曲。昔、「あなたのジャズ・スタンダード・ベスト10」みたいなアンケートで香津美さんがこの曲を選んでいたが、ジャズの人たちが演奏しているのを聴いたことがないな。ロマンチックで美し曲。

ま、これはこのヒープのアルバムには関係ないだろう。

このアルバム、ベースがJohn Wettonなんだよね。何かのインタビューでこの作品へのWettonの参加を指して「彼はお金のためだけにグループに加入した」的なことが書かれていた。Davis Byronもアルコールでヘロヘロになっていた時期の作品。

だからジャケットもこんな…ってか?なんでドイツのピストルにしたんだろう?色々試したけど、翼が付けたとことがルガーが一番シックリいったのかもしれない。

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Hipgnosisと並んでRoger Deanもビジュアル的に70年代のロックを支持、発展し、レコード・ジャケット文化の隆盛を担った人だ。

ジャケットがなくなれば彼の偉業も水泡に帰してしまう。いやいや、クリックひとつでこうして見ることができるじゃないか、って?確かにその意匠は確認することができる。しかし、実物、つまりフィジカル・プロダクツではければ何の意味もないのだ。見て、手にして、匂いを嗅いで…それができてはじめてジャケットと呼べるんよ!

Bernie Marsdenも在籍したBabe Ruth。日本のバンドだったら「長嶋」だ。Babe RuthはAlan ShacklockというギタリストとJennie Haanという女性シンガーが中心となったHatfirld出身のバンドでこれは1972年のデビュー・アルバム『First Base』。

Jennieの声がちょっとキツくて滅多に聴くことはないが、なぜかFrank Zappaの代表曲のうちのひとつ「King Kong」を演ってるんだよね。これは悪くない、インストだから。

アメリカン・フットボールはタマ~にテレビで放映されているのを見かけるが、イギリスでは野球はサッパリだ。クリケットはシーズンぬなれば盛んに放映しているけど。なんでこんなバンド名にしちゃったんだろうね?ってんでイギリスでのセールスは惨憺たるものであったが、北米ではよく売れたらしい。

ジャケットのイラストはRoger Deanっぽくないような気がする。ロゴのせいかな?宇宙の野球?

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Dave GreensladeはColusseumやIfでキーボードを担当していた人。これは自分バンド、Greensladeの73年のデビューアルバム。このバンドはギターレスなんだよね。

「キーボードでハードロックをやるとこうなるぜ」的な演奏。ELPとはまったく違った味わいで大層カッコよろしいな。メロトロンも全開だ!ただ、ボーカルがあまりにも貧弱すぎて台無しだコリャ。インストの部分は完璧!

さすが、Roger Dean。ジャケットは素晴らしい。この次の『Bedside Manners Are Extra』もRoger Deanが手掛けた。

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これはBabe Ruthに雰囲気が似てるな。Gravy Trainの最終アルバム『Staircase to the Day』。「Gravy Train」というとこのバンドよりもLou DonaldsonのBlue Note盤の方が頭に浮かんでしまう。

「Gravy」というのはあのソースのグレイヴィ。ちょっとかけると料理がおいしくなることから「働かなくてももらえるボーナス」とか「チップ」を意味した。「Gravy Train」は1920年代頃から使われ出したアメリカのスラング。当時は線路の工場で硬貨を鋳造していたのか、その鋳造の仕事の方が普通に工場で働くより仕事が楽でも同じ給料がもらえたことから「おいしい仕事」を意味するようになった。ようするに「すごく分のいい仕事という意味」。

Pink Floydの『Wish You Were Here』の「Have a Cigar」の中にこういう一説が出てくる。

And did we tell you the name of the game, boy, we call it riding the gravy train. (なぁ、この遊びの名前を教えたっけ?我々はこれを「ぼろ儲け」って呼んでるんだ)

このGravy Trainのアルバムは持っていないけど、最高傑作とされている2枚目の『A Ballad of a Peaceful Man』が手元にあるので聴いてみよう。

フルートが結構フィーチュアされた渋めのロックとでも言おうか、Tullとはまた全く違った味わいだ。生きているうちにもう一回聴くかどうかは大きな疑問。

Roger DeanというとHipgnosisのPink FloydみたいにYesばかりが有名だが、このようにかなりバラエティに富んだバンドのジャケットを手掛けている。Budgie(バッジー:イギリス北部ではこれを完全に「ブッジー」と発音する。最初何を指しているのかさっぱりわからなかった)、Gentle Giant、Gracious!、Nucleus、Keith Tippett、Patto、Third Ear Band等々、ブリティッシュ・ロック史に残した足跡はかなり大きい。

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ELOの来日公演に行ったのは何回も書いた。調べてみると1978年のことだったらしい。まったく曲も知らずに「レーザー光線がすごい!」というだけで武道館へ行った。

ま、これも何回も書いてきたが、何も覚えてないんですわ~。とにかくアンコールで「Roll Over Beethoven」をやったってことだけ。

後年、ELOも比較的よく聴くようになったけど、ポップの鬼と化したELOよりもまだRoy Woodがいたファーストの方が好き。

なんで円盤なのかというと、前々作『A New World Record』で作ったロゴを用いて、当時はやっていた『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』っぽいデザインにしようとしたらしい。母船に入っていく宇宙船のドテっ腹に入っている「JTLA 823 L2」というのは、このレコードの元々のカタログ・ナンバーなんだって。

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これが1971年のファースト・アルバム『No Answer』。ジャケット・デザインはHipgnosisだ。このジャケットに使われているランプはIngo Maurerというドイツ出身の工業デザイナーの手によるもの。

ジャケットの内側は不吉なイメージの古いモノクロ写真が並んでいる。内容、ジャケットともに不思議な作品だ。だから好き。

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フリッツ・ラング監督、1927年公開のドイツ映画『メトロポリス』の引用。

先に挙げたJefferson Starshipのトンボと同じキャラクターだ。

このアルバム、LP時代にはLP+EPという形態で発売された。そのEPというのが珍しくて買った記憶がある。ベーシストが中国系の人でチャーリー・トゥマハイといった。それがすごく印象に残っている。

Bill Nelsonという人はなかなかにギターのうまい人だ。ジャン・コクトーに心酔していたとか…。フレーズの組み立て方が巧みで聴きごたえがあるんだけど、残念ながら歪みがきつくて音が細く、チープに聴こえるのが玉にキズか…。もっとクランチっぽいサウンドで弾きこなしていればもっとギターの存在感が増したと思う。ま、そうなると彼のナイーヴな声が殺されてしまうかな?

「モダン・ポップ」とか言われているようだが、結構好き。ナンダカンダで全部そろってるな。なんか力の入っていないロックのようなものを聴きたい時にはもってこいだ。

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これが付属のEP盤。今なら簡単にCD一枚に収録できるのにね。

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Be Bop Deluxeも『Drastic Plastic』ではヒプノシスがジャケットを担当していた。いいか悪いかは別にして『Axe Vicim』、『Sunburst Finish』等、結構インパクトの強いジャケットを採用したバンドだと思う。

この『Modern Music』は4枚目のスタジオ盤。このジャケットのどこがSFだと思う?

そう、Bill Nelsonの時計。腕時計でロボットを動かしたのは「マグマ大使」だっけ?「鉄人28号」だっけ?下の写真ではわかりにくいけど、Billの時計がテレビみたいになっていて、かれらのファースト・アルバム『Axe Victim』の骸骨が映し出されている。

このアルバムが発表されたのは1976年のこと。この頃は携帯電話なんて夢のまた夢だったんだろうナァ。今じゃ小学生でもこのジャケットの時計より優秀なケータイ持ってるってーの。

歌詞なんかチェックしたことただの一度もないけれど、このバンド、元より歌詞がSFっぽいんだそうだ。

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Vangelis。スゴイ名前だ。この人も1981年のイギリス映画『Chariots of Fire(炎のランナー)』ですっかり有名になった。ギリシアの人。

「はい、それではギリシアのロック・グループ」の名前を言ってください。

と訊かれたらAphrodite's Childだけだな。あとはロックではないけど、Melina Mercouriの「Never on Sunday(日曜はダメよ)」。そういう人がたくさんいるとは思うけど…。

まず名前が読めん。ギリシアの人の名前はポーランド人ほどではないにしても複雑なのが多くてね。ギリシア語でつづられたら文字のひとつもわからん。

英語の表現のひとつに「私にはちんぷんかんぷんでしてね…」みたいのを「It's Greek to me(ハハ、私にはそりゃギリシア語だわ)」と言うぐらいだからね。Geroge Chakiris(ジョージ・チャキリス)、John Cassavetes(ジョン・カサヴェテス)、Olympia Dukakis(オリンピア・デュカキス)…みんな映画俳優だけど、総じて角ばった感じの音の名前で、最後に「~ス」がついてる。

ヴァンゲリスの本名はΕυάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου …読めるか~!

読み方はエヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ。

私はVangelisはまったく聴かないが、ロックも長年聴いてくると英語圏のものにもちょっと飽き出して、東ヨーロッパ方面等の「辺境」と呼ばれる地域の物にも興味が出てくる。私の場合、2000年代は言うに及ばず、80年代、90年代と(私にとっては)時代的に若いロックをまったく吸収してこなかったのでなおさらだ。

それでもね、やっぱり何を聴いても英米のバンドの名盤と呼ばれるものには残念ながら遠く及ばないと私は感ずる。一回聴いて「オ、カッコいいじゃん!」とは思わせるんだけど、繰り返し聴くには耐えられないんだな。ただしイタリアは別。

その点、Aphrodite's Childの『666』なんかはかなり強力だ。それもこのΕυάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου の才能によるものなのだろう。

このジャケットのデザインもVangelis自身によるものだそうだ。

…と今知った驚きの事実が!イッパイやって、ナゼか急にKurt Weilが聴きたくなってCD棚をチェックしていたら!Vangelis聴かないとか言っておきながらこのアルバムを棚で発見!持ってやがんの。要するに聴いてないってことやねん。

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Toddは好きだったナァ~。

ビートルズにも大分飽きてきて「ナニかいいロックはないもんか…(コレばっかり!)」とある日渋谷陽一氏のラジオ番組から流れてきたのがこのアルバムA面2曲目の「Magic Dragon Theatre(←原題もイギリスつづり)」だった。映画が好きで映画音楽からロックを聴き始めた私はシアトリカルなこの曲に…「コレだ!」といたく感動してすぐにこのアルバム『Ra』を買った。「Communion with the Sun」とか「Hiroshima」とか「Singring and the Glass Guitar」とかいい曲が目白押しで大好きだった。

ToddもUtopiaも含めてジャケットは感心せんな~。Hipgnosisがやった『Back to Bars』は内容がイマイチだったしな…。『A Waizard / A True Star 』がスゴイか…。なんかこういうところに英米のミュージシャンの感覚の違いが表れているような気もする。

してみると、ブリティッシュ・ロックの作品のジャケットが軒並み素晴らしいのはHipgnosisとRoger Dean、それにMarcus Keefのおかげということになろうか…。でもアメリカ勢、ジャズはいいのが揃ってるよ。

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このLPには下のようなオマケがついていた。切リ抜いて組み立てるとUtopiaのメンバーのピラミッドになる。

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これは1976年のTodd初来日を記念して配布されたステッカー。ES-175Dのダブルネックを弾いてるTodd。

昔はこういうことをしていたんですね~。来日記念盤として『I Saw the Light / Hello It's Me』のスペシャル・カップリング・シングルがリリースされたらしい。シングルって…。1976年というと『Faithful』をリリースした年。どうしてもタイミングが合わなかったんだろうね、来日記念盤。このシングル曲は1972~73年の曲ですからね。強引に出したんだね。でも名曲よ。

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私が行ったのは1979年の2回目の来日の時。これがプログラム。 『Ra』と『Oops! Wrong Planet』からの選曲が中心のプログラムで本当に素晴らしいコンサートだった。今でもベスト3に数えられるぐらい。

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ちょっとその公演プログラムをのぞいてみると…UFO、Scorpions、Roxy Music、Nazareth来日の告知が出ている。コレ全部観に行った。S席がまだ3,000円だったんだね。

ココには「元UFOのマイケル・シェンカーがスコーピオンズに加入!」って書いてあるんだけど、結局来なかった。UFOでも観れず、私はつくづくシェンカーに縁のない男なのよ。

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そのUFO。これはヒプノシス。なんで邦題が『宇宙征服』なの?原題は『Obsession』。「Obsession」とは何かに取りつかれることを意味する。「I'm obsessed with photography(写真に首ったけなのよ)」みたいに。それが宇宙征服。♪なんでだろ~、なんでだろ~?

ハハ~ン、さてはこの人たちパチンコ中毒なんだな?もうパチンコやりたくてやりたく…体中の穴という穴からパチンコ玉が飛び出してるってことか…。飛行機乗るとき大変だぞ~、金属探知機に引っかかっちゃって!

これは7枚目のUFOのアルバム。UFOも結局、Michael Schenkerが現れての『Phenomenon』からコレと、この後のライブまでだったな~。無理やり結びつけるワケじゃないけどシェンカーとHipgnosisが現れて、ともに去って行って何も残らなかった…なんて言ったらファンには失礼か…。

なんでPaul Chapmanだっただろうね。ま、サンプラで観たけどサ…。もっとよさそうなのが他にいたろうにナァ。

ブリティッシュ・ロックにおいて、いかにギター・ヒーローが肝心かということを暗示している。というか完全にブリティッシュ・ロックの繁栄はギターの繁栄であり、間違いなくMarshallなくしては成立しない音楽だったのだ。

そして、EVHがアメリカに登場し、イギリスからギター・ヒーローの新世代が現れず、パンクやニューウェイヴといったギター演奏の技術を必要としない音楽が跋扈し出した途端ブリティッシュ・ロックがまったくつまらなくなった。

このアルバムに収録されているヒット曲「Only You Can Rock Me」はちょいとした思い出があって…といっても最近の話し。2010年にロンドンでUFOを観た時、当然この曲が演奏された。ギターはVinnie Mooreだった。イントロを弾くと、2~3小節目で音が出なくなってしまった。コリャやばいってんでスタッフ総出でアンプやらケーブルやらのチェック。何たってイントロ命の曲でしょ?

気を取り直してもう一回…するとまた同じところで音が出なくなってしまう。はじめはニコニコしていたPhil Moggの顔に陰りが見え出し、明らかにこめかみの血管がピクピクしている!で、さらにトライ…またほぼ同じところで音が出なくなってしまった!

ま、さすがにこの後、何とか無事にその箇所を通過して演奏を終えた。アンプはMarshallではなかった。でもね、イヤもんですよ。ああいう場面に出くわすと他社の商品でも生きている心地がしない。アンプが原因かどうかはわからないけど、音が出なくなって一番疑われやすいのはアンプでしょ?何しろ音を出してる現物なんだから。だからいいアンプを使いましょうね~!

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NHKの『Young Music Show』で観た印象がよくなかったせいか、Super Trampは聴かなかったナァ。でもこの『Crime of the Century』と次作の『Crisis? What Crisis?』はジャケットがいいなと思ってた。

あった、あった。レコード棚から『Crisis? What Crisis?』を引っ張り出してきたから聴いてみよう。

コレ、一応プログレの範疇にいるバンドなんだよね?それを気にしなければすごくいいな。これが数年後『Breakfast in America』で押しも押されぬ超人気バンドになろうとはね~。ま、その萌芽がここにあったのかもしれませんな。下とは違うアルバムでスミマセン。

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Focusが大好きな人っていまだに多いでしょう?私もそのひとり。といっても1978年の『Focus con Proby』までか。この『Focus con Proby』にしても大好きなベルギー人ギタリスト、Philip Cathrineが入ってなかったら聴いてないかもしれないけどね。『Hamburger Concerto』もどうな…。要するに『Focus 3』までってことかもしれない。

この『Mother Focus』は5枚目のスタジオ録音盤。LP2枚とCD1枚持ってやんの、オレ。国内盤のライナーを読んでみた。「ジャケットが今までになく派手である」…と。フムフム。「これまでのような長尺の大作がなく、短い曲がならんでいる」…とやっておいて、「アメリカ市場を狙っている」…と。なつかしいナァ。「アメリカ市場を狙ってる」…か~。

今はワザワザこんなこと言わないもんね~。しかし、なんでアメリカ市場は短く聴きやすい曲でなければならなかったんだろう。「売れたい一心」で名曲「Anonymus」の精神を捨てていたとしたらFocusにもちょっとガッカリするナァ。

でも、好きやねん、Focus。

だから数年前にフランクフルトでJan Akkermanに会ったときはうれしかった。向こうの人は「ジャナッカマン」みたいに発音する。滅多にミュージシャンと写真を撮らない私でもさすがにいっしょに記念撮影をさせてもらった。彼は私が来ているMarshallのユニフォームを見て「君はMarshallの関係者かい?僕も昔はMarshallを使っていたんだよ」と言っていた。

Jan Akkermanのソロ・アルバムも片っ端から買ったな~。あんまり弾かないんだよね、モッタイぶっちゃって。1978年の『Live』と1997年のCD2枚組の同じくライブ『10,000 Clowns on a Rainy Day』はバリバリ弾いてておススメ。

このアルバム、ジャケットのデザインはRob Petersとかいう人。なんかこのタッチのイラストってどっか他でも見てるよねェ?

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さすが、「SF特集」にふさわしくまたまた出ました空飛ぶ円盤!Bostonは円盤好きだね~。なんで円盤なんでしょうか?これ円盤がひとつのコミュニティになってるとかいうことなのかな?

自慢じゃないけど、Bostonってまったく聴いてないんだよね。そりゃ「More than a Feelig」ぐらいは知ってるけどサ。中学3年ぐらいの時にこの曲がヒットして、あの時はてっきり「♪マザー・フィーリン」って歌っているのかと思った。

スゴイ人気で、デビューした時は秋葉原の石丸電気のレコード館(3号館)の2階のロック売り場がBoston一色になっていたのを覚えている。

デビュー・アルバム。クラゲ。ああ、そうか。これ地球が爆発してBoston号で宇宙に脱出したとこなのか!

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セカンド・アルバム『Don't Look Back』で安息の地に到着した…と。「振り返っちゃいけない!」…と。

あんなに人気を誇ったバンドなのにこの2枚目を出したとこまでだったんだね。1978年。今は結構80年代のバンドやヒットした曲を「なつかしい」とか「いい時代だった」とかいう傾向があるけど、やっぱり80年代はロックの暗黒時代の始まりなんだと思うよ。暴論だけど、80年代以降のロックをすべて切り落としたとしても、ロックの歴史はなにひとつ困ることがないのではなかろうか。Marshall的には困っちゃうけどね…。

Bostonのこの後の諸作を観てみると徹頭徹尾空を飛んでるんだね~。ある意味Chicagoのジャケットみたいだ。

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Captain BeyondはDeep Purpleの初代シンガー、Rod EvansとJohnny WinterのところのBoby Caldwell、Iron ButterflyのLarry Reinhardtらで結成された。アメリカのバンド。

これも久しぶりに引っ張り出してきて聴いてみた。セカンド・アルバム、『Sufficiently Breathless』。邦題は『衝撃の極地』。1973年の発表だ。ま、パーカッションが効いた普通のアメリカン・ロックやね。

ジャケットは好き。この通りを歩いているケッタイなヤツらが楽しい。デザインはJoe Petagno。この人はMotorheadのLemmyと出会うまでHipgnosisと一緒に仕事をしており、Pink Floyd、Led Zeppelin、Nazareth等の作品の制作に加わっていた。Motorheadのシンボル、War-Pigはこの人のデザインだ。

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これは聴いたことない。でもドラムがMike Shrieveでね、いつかは聴いてみたいと思ってる。ギターはのちにGlen Hughesとタッグを組むPat Thrallだ。その前にはPat Traversのライブ盤なんかでも活躍していた。あの中のディレイ・トリックのソロにはビックリしたもんだ。「え~、コレ全部弾いてるの~?」って。

ジャケットはまさにSF。

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これもHipgnosis。元は写真素材らしい。しかし、こんなデザインのアイデアどっから出てくるんだろうね~。Black SabbathのHipgnosisはこれと次の『Never Say Die!』だけかな?Keefによるファーストや『Paranoid』、あたりはいいけど、このバンドもどう見てもジャケット・デザインに神経を使っているようには見えないナァ~。後年の『Mob Rules』なんて自分のバンドのカラーを見失っっちゃってる感じすらする。内容は案外好きだけど。

…とマァ、アタシャBlack Sabbathについてガタガタ言えるほど熱心であったことは一度もござらん。子供の頃からどうも受け付けなくて…。でも最近、なかなかいいなと思うようになってきたけどね。そんなアタシでもBirminghamへ行きゃ、結構「Iron Man」のリフを口ずさんじゃったりするんよ。

コレ持ってるの忘れて、先日つい2枚目を買っちまった!
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くどいようだけど、このジャケット見て毎回毎回思い出すのはJoan Baez。

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ゼンゼン違うんだけど、コレとダブっちゃんだよね。ま、Joan Baezが歌うSabbathこそ聴いてみたいような気もするけど。

Baez

Music Jacket Galleryの詳しい情報はコチラ⇒金羊社公式ウェブサイト

過去のMusic Jacket Gallery関連のレポートはコチラ⇒Marshall Blog - ミュージック・ジャケット・ギャラリー

つづく

(協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏)

2013年5月23日 (木)

Kelly SIMONZ~"the 5th" High Resolution Live 2013

Kelly SIMONZがシリーズで開催してきた東京キネマ倶楽部でのコンサート。今回は第5回目を迎えた。

昨日レポートしたCrying Machineのが出番を終え、いよいよ御大の登場!

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今回もbAd TRIBEでのパフォーマンス。

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Kelly SIMONZ

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Tim Miller

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Yosuke Yamada

もうマーブロではおなじみの面々だ。

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Kellyさんもシリーズ・コンサートということで観客を飽きさせないよう毎回色々な趣向をこらしてきた。

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今回は対バンがあって時間がいつもより短いということもあろうが、オープニングのビデオを除いては何の仕掛けも弄さないかなりストレートなステージ。

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ギター1本(実際には数本だけど…)とマーシャルさえありゃ十分!…的な、ガッツのあるステージ。

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弾いて弾いて弾きまくり、そして歌いまくる。何となくいつもより密度の濃さとスムーズさを感じさせるステージ運びが結果的に素晴らしいコンサートを演出した。

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Kellyさん自身もすごく生き生きと演奏していたように見えた。

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もちろんそれも信頼のリズム隊が控えてのこと。

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バンドとしての結束もも深まり盤石の態勢での激演。

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カメラ目線だが頭は演奏に集中しているYosuke。

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彼のドラミングもbAd TRIBEサウンドに欠かせない要となった。

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オープニングは「Future Destination」。

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いきなりKelly節全開で滑り出し好調!

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続いて「Anything Goes」。Cole Porterの同名曲とは似ても似つかないハード・チューン!

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Kellyさん言うところの「インストゥルメンタルだぜ!」の代表のような曲だ。

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この日もKellyさんのMarshallは絶好調!図太くも美しいトーンが迫りくる!

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「Silent Scream」

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地を這うようなTimのベースが大活躍の「Time」。

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そして、泣きの部。「Blue Monday」だ。このバラードがまたいい具合にプログラムに挟み込まれているんだな…。

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聴く者すべての魂を揺さぶるビブラート!

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「Angel Eyes」…

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「Aftermath」と歌を交えた熱演が続く。

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情感タップリに弾き込まれたのは「Cry for the Moon」。

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故Gary Mooreに捧げられた曲だ。

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怒涛のドラミングで最後までバンドをドライブさせまくったYosuke!

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激演はまだ続く!「悲愴」だ。

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「Now Your Turn」で本編は終了。この曲はなんかすごくKellyさんのショウのエンディング・テーマにぴったりだよね。

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アンコールは「Opus#1」。

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猛然とスパートするKelly SIMONZ!しっかしよう弾くナァ~。

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この曲や今日は演らなかったけど、「Rondo KSV007」あたりが一番Kelly Musicを感じさせるな。それは誰も踏み込むことのできないKelly SIMONZだけの聖地だからだ。

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そしてアンコール2曲目はCrying MachineのMASHAを呼び込んでの演奏。

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「Kelly SIMONZ」さんですか?」とMASHAがある楽器店でエフェクターを試奏しているKellyさんに声をかけたことから付き合いが始まったという。KellyさんはMASHAを「トーンで音楽している数少ない音楽家の友人」と呼ぶ。

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曲は「Eternal Flame」。MASHAが昔がんばってコピーした曲だ。

Kellyさんのこの顔!Scarlet Gardenの時もそうだが、お父さんのように後輩をやさしく見守るKellyさんのニコニコ顔が好きだ。

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憧れのミュージシャンとの共演。うれしいだろうナァ~。

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しかし演奏は「共演」には収まるハズもなく、すぐさま「競演」に早変わりした。

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すさまじいシュレッディングの応酬!昨日も書いたが、ふたりともフレーズの密度が濃いので聴いていてもまったく飽きることがない!

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最後はbAd TRIBEとCrying Machineでご挨拶。

ああ、また今日もいいコンサートだった!おい、ちょっと待て、7人しかいない。ひとり足んねーぞー!

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Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒++Kelly SIMONZ Official Website++

Crying Machineの詳しい情報はコチラ⇒Crying Machine Official Web Site

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(一部敬称略 2013年4月27日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2013年5月22日 (水)

Their Time Has Come ~Crying Machine登場!

シリーズで展開している東京キネマ倶楽部でのKelly SIMONZのコンサート。『"the 5th" High Resolution Live 2013』と題されてその第5回目が開催された。

今回サポート・アクトとして登場したバンドがCrying Machine。2009年結成の関西出身のバンドだ。

また、関西ですよ。ロックの世界において、どうしてこうも関西勢というのはいつの世も強いのだろう。私も大阪に数年住んでいたことがあるが、生活は別に東京と変わらないといえば変わらない。ポークカレーとチクワブがないことぐらいか?それなのに古今東西、ナント関西出身のバンドの強力なことよ!

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これがですよ…大変によろしい。何の予備知識もないままに当日のリハーサルではじめて音を聴いたのだが、思わず聴き入ってしまった。

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メンバーは;

Hundred Voltage VocalのHILE

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Emotional GuitarのMASHA

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Satanic KeyboardのYOSISI

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Stylish BassのFUKO

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Alternative DrumのSHUNの5人。

ひとりひとりのキャラが際立っていていい感じ!

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「ま、シゲさんが「いい!」なんて言うところを見ると、どうせギターのヤツがピロピロっとバップ・フレーズを弾いたかプログレ風味がちりばめられている…とかそんなところだろう」…なんて思ってるでしょ?

ゼンゼンちゃうねん。

サウンドはX JAPAN以降世代のハード~メタル風味にB'zが好きだった、あるいは好きなんだろうナァと思わせるものだが、まったくそれだけに収まらない、「バンド」としての魅力にあふれかえっているのだ。

下は2012年9月に発表されたセカンド・アルバム『The Time Has Come』。A面とB面に6曲ずつ収録されている…といってもまさか両面CDというワケではなく、B面の1曲目にインストを持ってきてチョイと雰囲気を変えてはいるが、全12曲が続けて収録されている。Kellyさんがライナーを寄稿している。

ああ~、色々言いたい!

どの曲もよく練られていて、聴きどころが満載だ。「Sail Away」 という曲の3:02から3:15には度胆を抜かれたよ。中間部のアイリッシュ風のパートも最高にカッコいい。

ギター・リフも秀逸だ。

我々世代がCrying Machineというバンドを形容するとすれば、シンプルに「ポップなハード・ロック」ということになってしまうのだが、前述のA/B面のアイデアもしかり、このバンドにはロックの黄金時代と今をつなぐ見えないパイプのようなものを感じたね。

できればCDを聴いてからライブを観たかったな…。

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こちらは5月8日に発売されたばかりのシングル『Brilliant Future』。「Brilliant」はイギリス人がよく使う言葉だ。アメリカ人は滅多に言わないような気がするな。やっぱりCrying Machine、ちゃんと黄金のブロティッシュ・ロックを吸収しているか?

爽快なドライビング・チューンが2曲収録されている。Mashaのギターもスロットル全開だ。

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さて、ライブ。

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当然ステージでのパフォーマンスもCDとまったく変わらない密度の濃さで抜群の演奏力を見せる。

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「100V」どころか「230V」もあるのではないかいうステップアップしまくりのHILE。

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最初から最後まで気合の入った歌いっぷりは見事だ。

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ハッキリ言って、この人は最高です。『The Time Has Come』にも数々の作品を提供している中心人物ひとり。

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もう、とにかくアクションがスゴイ!ま、気を悪くされるかもしれないが、「ふなっしー」のような鋭敏な動きでステージ狭しと暴れまくる。どうにもそのアクションが曲とマッチしておらず、かえってモノスゴイ存在感をクリエイトしてしまう。あんまり動きが速くて写真が撮りにくいのがタマにキズってか?

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Flying Vベースを下げて黙々と低音を刻み続けるFUKO。

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え、なんでこういう音楽やってるの?と思わせなくもないたたずまいだが、よく練られたベース・ラインがガッチリとバンド・サウンドに食い込んでいる。

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パワフルでへヴィなドラミング。

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SHUNのドラムはCrying Machineのサウンドをハードに演出している大きな要素だ。

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そしてMASHA。

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ギター・ソロが絶滅しそうな状況下、皮肉なことに続々と現れ続けるシュレッダー。弾けないか、弾きすぎるか…MASHAはこの激しい2極化の環境下に現れた新しいギター・ヒーローかもしれない。

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そのカギは「メロディ」とトーンを含めた意味での「フィーリング」だ。

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MASHAも他の追随を許さない抜群のテクニックを持ったシュレッダーだが、それだけに収まりきれないスケールの大きさがあり、また反対に密度の濃さを感じさせる。

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そして、トーン。おそらく右手のアタックがものすごく力強く正確なのであろう。じつに小気味のいいギター・サウンドだ。愛器は1987。彼も根っからのマーシャリストだ。名前からしてMASHAだからね。Marshallはそういうギタリストを裏切らないし、Marshallを愛するギタリストはそれを知っている。

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シュレッディングというのは両刃の剣のようなところがあって、好きな人なら死ぬまで速く弾いてくれることを望むのだろうが、そうでない一般ファンにはチトつらい。全部同じに聴こえちゃうからね。いいメロディとD難度の技をうまくちりばめることがどうしても肝要になってくる。

Paul GilbertやJoe Satrianiなんかはそういうところを実にうまくコントロールしていて、ギターだけ弾いていても観る者を飽きさせない。このMASHAのプレイにもそういうところがあるように思える。そして、ギター・ソロが曲を殺すことがない。

曲があってのギター・ソロ…彼はそれがよくわかっているのではなかろうか?

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私がこのバンドをなぜ気に入ったのかというと、答えはいつもMarshall Blogに書いてきたことを感じたからだ。

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それは、もうロックが進化することができなくなっていて、音楽の抜け殻しか作れなくなってきていることは論を俟たない。これを打開するにはもう温故知新しかない。でも、ただ古いモノを聴いてそれをマネするだけでは意味がないというか、またぞろロクでもないものができてしまうことは明らかだ。

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60年代や70年代初頭のロックがなぜあれほどクリエイティブでカッコよかったかというと、アレを生み出す空気があったからで、今同じことをやっても「ああ、なつかしい」で終わってしまうだろう。

今の若い人たちには、自分の育った環境で培った感性を持って温故知新をしてもらいたいのだ。

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これは私が勝手に感じたことなので本人たちはどう思うかはわからないが、Crying Machineはそれ実践しているように見えたのだ。

今回のアルバムはセルフ・プロデュースで制作されたが、次回はドロッドロのブリティッシュ・ロッカーのベテラン・ギタリストあたりがプロデュースを手伝ったら面白くなるのでは?と個人的好みで期待したりもしている。

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アコギももって歌ってみたかったというHILE。バッチリきまってたよん!

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少しの乱れも見せずに1時間のステージを完璧にこなしたMASHA。すごい集中力だ。

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動きに目が離せないYOSISI!

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エレガントにステージを舞い、バンドをドライブさせたFUKO。

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SHUNのハードなドラミングも最後まで爆発し続けだった!

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なんか一筋の光明をCrying Machineに見出したような気すらしたね。まさに「Brilliant Future」だ。そしてそんなバンドをMarshallがサポートしていることがうれしい。やっぱりいいロックにはMarshallが必要なのだ。

「The time has come」…そう、Crying Machineの時代が来た。

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Crying Machineの詳しい情報はコチラ⇒Crying Machine Official Website

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(一部敬称略 2013年4月27日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2013年5月21日 (火)

SHOW-YA 『GENUINE DIAMOND RELEASE TOUR~HARDEST ROCK~』

Shige Blog 2012年7 月20日初出

ホンマ、毎回書いてるけど…とにかく乗りに乗ってるSHOW-YA…シゲブログでは開始早々【3Days】で登場して頂いているが、もうとにかく素晴らしい。見るたびにグレードアップしていくようで(コレも毎回書いてる!)、一体どこまで登りつめるのか楽しみでしょうがない!

今日のレポは大分時間が経ってしまったが、ニュー・アルバム『GENUINE DIAMOND』の発売記念ツアーのファイナルだ。会場はLIQUID ROOM。

ここのところ、しばらくイングリッシュ・エールばかりだったので恵比寿に帰って来た!

「アップが遅いじゃねーか!」って?! ヘヘヘ、ワザとなのよ、ワザと。…というのも残念ながらSHOW-YAのライブの間がしばらく空くでしょ?ファンのみなさん、さびしいと思ってね…忘れた頃にド~ンと写真満載でお送りしようという算段なのさ!

今回のレポは、かなりボリューミー。これで9月まで待てるでしょ?

エ、待てない?んじゃ繰り返し読んでシゲブログのアクセス回数上げちゃってくだセイ!
ところで、このレポート、必ず『GENUINE DIAMOND』を流しながら読んでね!持ってない人はまずCDを用意しよう!

コレです。

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じゃあ、いきま~す!!
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ステージには紗幕。オープニングSEが流れるまで、SHOW-YAのアーティスト写真が投影される。そして、SHOW-YAデビュー当時からの写真をフラッシュ!そこに投影されるセリフ…

「女達の戦いは始まった…」 、「戦いは決してやめない…」

キマった~! 紗幕に映るメンバーの影!会場のあちこちで歓声が上がる。観客はいきなり超興奮状態に!

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ドォォォォォ~ン!文字通り、幕が落とされ、戦いの火蓋は切られた!

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強力な女戦士達の登場だぁ!
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まずは「Bloody Rose ~薔薇の紋章~」、そして「奪い取れ」。いきなりのハードな2曲に、ソールドアウトのLIQUID ROOMが揺れたね!
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「命の火花は咲き乱れるままに」、「嵐の荒野に一人咲き誇る」…「Bloody Rose」という、ちょっとゴシックでサディスティックなタイトルとは印象が異なる気高い歌詞が、今のSHOW-YAそのものだ。

今回SHOW-YAのメンバーは、新しい衣装でお出ましだ。ロック・コンサートはひとつの総合エンターテインメントだからね。

誰でも知ってる超ベテラン・ベーシストがあるインタビューで「若いミュージシャンに何か伝えたいことは?」と訊かれて「キタねー格好でステージに立つなって言いたい」とズバリおっしゃっていた。その通り!

こうしてキチッとステージ衣装を身にまとってお客さんをエンターテインするというのは非常に大切なことだと思う。

ボーカルの寺田恵子。透き通るような白い肌に黒が映える。胸の薔薇のタトゥーと同じ、赤と黒の衣装がとっても魅惑的!
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キーボードは中村”captain”美紀。今日は一段と艶やかな出で立ちだ。

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ギター、 五十嵐”sun-go”美貴。ハードな黒い革の衣装。戦う彼女にふさわしい戦闘服だ!
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ベースは仙波さとみ。ロングストレートの髪の毛に似合う、流れるようなラインの黒い衣装。白いベースが彼女の武器。
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ドラムの角田”mittan”美喜。大胆に脇があいたオーガンジー(生地の種類)のコスチューム。mittanにピッタリ!

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音楽、衣装、ステージング、照明、セットリスト……。そのトータルコーディネートが、SHOW-YAのRock Showなのだ!
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「Rolling Planet」、「SURVIVOR」、「BATTLE EXPRESS」と続く。ん~これはなかなかいいショット!
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「情熱の薔薇を撒け 人生はパレード」…恵子さんの華やかさ、はかなさ、危うさと良く合う歌詞だ。
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おーっと、気をつけれっ! sun-goの大きなアクションに、ファンはハートを鷲掴みにされる。彼女の足と一緒にブーンと振り回される気分だ。ただし、カメラマンの頭をふんづけてはいけない!
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「SURVIVOR」は、会場全体でサビを歌う。
今回リリースされた『GENUINE DIAMOND』に収録された新曲だが、ライブでは一昨年から演奏されている。回を重ねるごとに進化し、今回のCD収録となったわけだが、レコーディング後のライブでも、さらに進化中だ。スゲェ!

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ハァ~…(ため息)。この情熱的な表情と、声に、すっかりマイってしまう。絶対に手を抜かないからね、恵子さんは!
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『GENUINE DIAMOND』リリース後、単独でインストアライブを行った恵子さん。情熱的なアコースティックギターの弾き語り。
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このブログを読んだ人の中にも、彼女のアコギライブを体験した人もいるハズだ。

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あちこちの会場で、老若男女を問わず観る者を虜にしてきた。ひとつひとつステージが、全部彼女の武器になるのだ!
そう、向かうところ敵なし!それどころか、向かうところの敵を首ったけにして引き連れてくる。
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続いて「OUTSIDER」、「性~SAGA~」、そして「流星少女~Shooting Star 196X~」。「OUTSIDERは」、イントロのユニゾンが強烈だ。

『GENUINE DIAMOND』について、TVでキャプテンがコメントした言葉が印象に残っている。
「このアルバムは技術的にも最高傑作。誰にもコピーできない。」 ク~、カッコいい!キャプテンが言うところがまたタマらん!静かな声でのコメントだったが、その自信に満ちあふれ微笑んだ顔は忘れない。

さとさんもバリバリに乗りまくってる!
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さて、SHOW-YAのライブのもうひとつのお楽しみ!こればっかりはライブに来ないと観れないよ~!

「どーもー!こんにちはー!mittanでーす!」…そうMCコーナー!
「達人」みったんがマイクを持つと、そのパワフルなドラミングからは想像できない、mittanワールドが広がる。ちょっと言葉では伝えられないな。もうマイクを持ったその場おもしろい!味わいたければ……ライブに来なきゃダメだ!
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後ろではなにやらヒソヒソ。ナニを話してるんだろう?!
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sun-goの「オッケー!」って。もう何でもオッケー!

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どう、このものすごく楽しそうなこのダンス。思わずこちらも踊っちゃう。
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さて、こんな大爆笑のおしゃべりコーナーから、バラードナンバーの演奏へ。気持ちを切り換えて…「In My Arms」…と。

「ごめん、入れない」とつぶやいたsun-go、笑いすぎちゃったの!でも、策座に気持ちを入れ換えて…と。そして、観客の高まった心をぐいっとつかんで、曲の世界へ一気に引き込んでいくギター。
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つらいことがあっても、泣けない、苦しいことがあっても、泣けない…
そんな、泣きたくても泣けない大人達のために、SHOW-YAが奏でる大人の子守歌なのだ。
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しっとり落ち着いたところで、ソロコーナー。
中村”captain”美紀!!
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彼女に操られる新旧の鍵盤たち。クロい衣装がカッコいい。

これぞハードロック・キーボード!という壮大なソロを弾きまくるキャプテン。このコーナー大好き!
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続いて、角田”mittan”美喜!
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さっきの「みったんワール」ドはまぼろしだったのか?攻撃的な激しいプレイが炸裂。「流星少女」のPVの時から愛用している新色のスリータムのセットで、オーディエンスを煽る。
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そして、彼女自身のテンションを上げる銅鑼。もちろん、ファンも銅鑼があれば最高潮。
ジョワ~~~~~ん。五臓六腑に染み渡る銅鑼の音。

しかしサ、こうしてイエスみたいにメンバー各人の器楽演奏を見せるバンドってもうほとんどなくなっちゃったよね。そういう意味でもSHOW-YAのやっていることはまったく正しいと思っちゃうんだよね。
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ソロコーナーのドラムから流れるように続くのは……「Count8」。

この曲は、SHOW-YAのリズム隊(さとさん+みったん=さとみったん)の曲だ。さとみったんの曲には、「Rock Train」、「Paranoia Paradise」などリズムに特徴がある曲が多いけれど、この曲は特にノリがいい。4ビートだもんね。他のメンバーも、演奏するのがとても楽しそう!
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ノリノリの恵子さん、ち、近い!実はこういう写真撮るのムズカシイんだよね。皆さんニョキって乗り出してくれるんだけど、絶対に照明が当たらないから顔が真っ暗になっちゃうの…。さすが恵子さん、これは結構うまくいった。

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さとさんのベースはメロディアスなことでよく知られているけど、今回のアルバムでの彼女の存在感は特にスゴイ。SHOW-YAの曲のベースライ ン自体は、動きが複雑だ。でも、彼女の長い指が指板の上を動く時、押さえていると言うより、まるでなでているように滑らかに見える。とても艶めかしい のだ。
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そして、クライマックスはこの3曲。みんな、ヘッドバンキングの準備はいいか。頭振って帰れよ~っ!!
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と繰り出されるのは怒涛の3曲!「ギャンブリング」、「私は嵐」に続いて「限界LOVERS」だ!クライマックスだよん!
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とにかく最後の最後まで力いっぱい歌い上げる恵子さんの迫力は誰にもマネができん!

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そして、何よりもバンドのCD再現力がハンパない。
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「私は嵐」サビの大合唱!つい一緒に歌っちゃうよね~!
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JKN48(熟女ナメんなよ48と読む)を卒業するが、こんなパワフルでゴージャスで妖艶なJNK48、見たことあるか?
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sun-goもこれでもかと弾きまくっている。彼女の図太いサウンドは何物にも替え難い。一心不乱にギターをかき鳴らす様は、トリハダものなのだ。
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そして、サオまわし。だんだんうまく撮れるようになってきた!

本編が終わり、メンバーはステージから下がったが、鳴り止まない「SHOW-YA」コール!!

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そして、アンコールはしっとりこの曲から。「Life With You」
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ファンを見つめながら歌う恵子さん。ターゲットになった人はナミダボロボロ、大泣き!スゲエ、恵子さん、人ひとり歌で思いっきり泣かせちゃった!

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深い歌詞。覚えやすいコーラスのメロディ。新しいSHOW-YAスタンダードの誕生だ。
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しっとりした後に「メンバー紹介」。mittan、ステージの前に登場。

「みなさんごいっしょに~!A!B!C!、A!B!C!」って…何かと思ったらエー!ビー!スィー!えー!びー!すー!」だって!ここは恵比寿 LIQUID ROOM。 18歳の頃、この街でバイトをし、プロを目指していた、という感動的な話しもひっついた。
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mittanの「えー!びー!すー!」に合せてバスドラを踏む恵子さん。シェルの色と髪の色が良く似合っている。
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さとさんもお立ち台に乗り、ファンを盛り上げる!
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ステージと客席が一体になるってこういうこと。SHOW-YAのライブでは、この時に何て言うか知ってる? そう、「WE ARE SHOW-YA!」です。ファンとスタッフはSHOW-YAの6人目のメンバー。そんなこと言われたらファンのみなさんはグっと来ちゃうよね。
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最後はおなじみの「Fairy」!
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そしてファンと「フェアリー」の大合唱。恵子さんは会場にマイクを差し出す。気持ち良さそうな表情だ。sun-goも「私に聞こえるように歌ってよ」とばかりに、挑発的な表情を作る。
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そして、どんなに激しくても乱れない演奏。それがSHOW-YAの実力だ。

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恵子さんも悔いが残らないようにしているのか、と思えるほどのヘッドバ~ンキング!
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ステージ前の柵に足をかけるさとさん。ここ、結構ステージと柵の間に距離があるんだよね。でも、さとさんはそんなことモノともせずヒラリ!とひとっ飛び!ファンも大よろこび!

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最後は、ファンの声援に全員で挨拶。
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SHOW-YA、22年ぶりのアルバム『GENUINE DIAMOND』のツアーはこの日で終了。

最近はTVへの露出度も増え、復活したことを知ってライブ会場に足を運ぶ旧来のファンや、新しいファンもどんどん増えている。

LIVEに参戦してファンになった人、インストアライブでファンになった人、TVを見てファンになった人、そして昔からファンの人、みんなで今後も戦い続けるSHOW-YAについていこうではないの!
「戦いは決してやめない…」のだから!

来春、うれしいことにあの伝説のイベント「NAONのYAON」を復活させるという。

そして、それに先駆け、この秋から、ジャンルを問わず女性アーティストとSHOW-YAがバトる新企画「NAONのBATTLE」が開催される!これは楽しみだ!このシリーズの予定は…

「NAONのBATTLE~Vol.1」 × ZONE     9月9日(日) 赤坂BLITZ OPEN 16:30 START 17:00
「NAONのBATTLE~Vol.2」 × 土屋アンナ 10月19日(金) 渋谷O-WEST OPEN 18:00 START 18:30

もう遠慮なくジャンジャンやってもらいたいね!

SHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA OFFICIAL SITE

(一部敬称略 2012年5月19日 恵比寿LIQUID ROOMにて撮影)

【号外】ジョン・ロード逝く!

Shige Blog 2012年7月17日初出

現在『イギリス紀行2012』で活躍中のマーシャルのスティーヴ・ドーソンから突然メールが来た。

"Oh!, no, Jon Lord has died :-("

またか!

またしてもロック界は大きな大きな才能を失った。ジョン・ロード、享年71歳。

ディープ・パープルの総帥として長年にわたりハード・ロック界をリードし、セッション・プレイヤーとしてはザ・キンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」のレコーデング等に参加した才人。

マーシャルはかつてPAやオルガンのアンプのビジネスをかなり積極的に展開していた時代があった。そして、マーシャルのキーボード・アンプというと必ず出る名前が「ジョン・ロード」だった。

どこかでも触れたが、ディープ・パープルのMarkIIはギター・アンプは当然、ベースもキーボードもアンプ類はすべてマーシャルを使用していた時期があり、マーシャル商品のデモンストレーション・コンサートまでしたことがあったという。これは見たかった!

私は残念ながらジョン・ロードの演奏は見たことがない。

2009年にディープ・パープルとイングヴェイ・マルムスティーンのダブル・フィーチュア・ショウがあった。その時、まだ開発中であったイングヴェイのシグネイチャー・モデル、YJM100のできたてのプロトタイプをイングヴェイに見せに、マーシャルのサンチャゴ・アルヴァレスとふたりで東京国際フォーラムに持って行った。

その時はキーボードはドン・エイリーで、演奏はされなかったがジョン・ロードもいっしょに来日していて、バックステージでお会いすることができた。「お会いすることができた」というより「お見かけした」という方が断然正確か…。髪やひげまで、上から下まで白い装束に包まれ、とてつもない気品に満ちあふれていた。何しろ名前からして「Lord」だからね。バックステージでの彼は、「ピリピリしたオーラ」というよりも先に「イギリス紳士」という印象が強かったナ。

こうして、ひとつひとつ、偉大なロックの財産を我々は失っていくのだ。ジョン・ロードを、そして、ディープ・パープルの音楽を愛する皆さん、彼らの偉大な才能を、ロックの素晴らしさを後進に伝えていこうではないか!

"Jon passes from Darkness to Light"…遺族の言葉だそうだ。

個人のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

TSP ETERNAL PHOENIX TOUR 2012

Shige Blog 2012年7月13日初出

沢田泰司の魂を受け継ぐバンド…TSP。

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6月6日に初のミニ・アルバム『MAD CLUSTER』を発表した。

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そして、リリースに合わせた『ETERNAL PHOENIX TOUR 2012』と銘打ったツアー敢行。実際にはこの後もう1公演が追加されたが、代々木でのツアー・ファイナルの様子をレポートする。

いよいよ再始動した姿をわが目で確認しようと会場は完全ソールド・アウトの超満員となった!
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ギターのShu。TSPのリーダーであり、魂であり、頭脳であり、そして原動力だ。
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ドラムはHINA。ボーカル、ドラム・ソロと大活躍!

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TAIJIのパートという大役をこなすベースのYou+。
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ボーカル、【K】。

最近は名前の表記に凝る人が増えたナ。にぎやかで楽しい!

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1曲目から得体の知れない何か危険なものが爆発したかのような疾走感!

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そして、アリが入り込む隙間もないくらいの万全のまとまり感!

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TAIJIが乗り移ったかのような鬼気迫るShuのギター・プレイ!オープニングはニューアルバム収録の「THE REASON」だ。
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ギター・プレイだけでなく、味のあるMCも魅力だ。

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次いで演奏されたのは、「TSP」と決定する前にバンド名の候補となっていたという「Desperate Angel」。
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3曲目はアルバムのタイトル・チューン「MAD CLUSTER」。HINAの歌がまたいいんだナ~。

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「MAD CLUSTER」以外にも数曲で渋いノドを聴かせてくれたHINA。TSPサウンドの大きなチャームポイントとなっていることは間違いない。

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おまけにド迫力のドラム・ソロも!

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ドラム・ソロにジョインしてベース・ソロを披露したyou+。

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TSPサウンドの重要な要素であるへヴィネスをガッチリと支えただけでなく、ショウを盛り上げる重要なキーマンぶりを見せた。

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大爆音の中でTSPのボーカリストとしての存在感を十二分にアッピールした【K】。

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緩急自在な歌いっぷりは見事だった。「デーモン、デーモン、デーモンズ・ライド!」のリフレインが耳に残ってる!
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このHINAのポーズが新生TSPの充実ぶりを明確に表しているように見える!
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ニュー・アルバム全曲を中心に、アンコールを含む13曲を鉄壁の演奏で編み上げた。

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5人目のメンバーとして紹介されたTAIJI。

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これらのショットは2010年12月5日に高田馬場でのTAIJIの雄姿。偶然にも撮らせてもらっていた。

今回のステージでは姿を見せることはできなかったが、間違いなくTAIJIの魂はステージの上にあった…。

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そして、へヴィネスの饗宴は一時の隙間もなく最後の最後まで繰り広げられたのであった。

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TSPの詳しい情報はコチラ⇒TSP Official Website

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(一部継承略 2012年6月17日 代々木Laboにて撮影)

 

2013年5月20日 (月)

Dos a tres caids!~CONCERTO MOON 炎の三番勝負~<vs. 人間椅子:後編>

Shige Blog 2012年7月10日初出

続いての登場はお待ちかねの人間椅子!

ギターの和嶋さんとは昨年末、ベーシストの山本征史さんのイベントの時に「和嶋工務店」として島紀史氏や三宅庸介氏とともにご一緒させていただいたが、人間椅子を見るのは今回がはじめて。もちろんテレビでは昔からチョクチョク拝見してはいたが…。楽しみにしていた。

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ショウがスタート!オワ~、カッチョいい!
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へヴィなリフに乗った独特の世界観がタ、タマラン!
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和嶋さんのギターの音がまたスゴイ!前回ご一緒した時は「自分のキャビネットじゃないので音がいつもと違う」とおっしゃっていたが、なるほどコリャすさまじい!
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昨日も出したけど、もっかい。向かって右のセットが和嶋さんのマーシャル。ヘッドは1987。キャビネットは1960TV。そうなんですよ、この1960TVはユニットがCelestionのG12M-25。いわゆるGreenback。ビンテージ・サウンドのイメージが強いが、使いようによってはものすごく凶暴な音を出してくれる。何年か前に「Blood Red Shoose」というデュオ・バンドの女性ギタリストがDSL50と1960TVを組み合わせて使っていたが、あれもドスのきいたものスゴイ音だった。(1960TVは入力が100Wしかないので使い方に気をつけてね!)

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そう!ノンちゃんも絶賛の和嶋さんのサウンドは実にドスがきいている。SGとの組み合わせの手本のようなサウンドだ。SGとマーシャルといえばアンガス・ヤング?ザッパ?それともザル・クレミンソン?(この人はグラスゴー出身だ。やっぱこないだ行けばよかったナ、Glasgow)それとも和嶋慎治?…というぐらい自己を確立したサウンドだ!

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ベースは鈴木研一。ねずみ小僧での格好をしてイカ天に登場したのは衝撃だったな。ナレーターが「日本文学との融合!そうか、こんなやり方があったのか?!」とか言ってたような気がするが、格好や題材もさることながら、やっぱり70年代サウンドをしっかりと踏襲した音楽に魅力を感じたね。ブラック・サバスとかよく形容されているようだけど、私にはアリス・クーパーとかそれこそセンセーショナル・アレックス・ハーベイ・バンドとかを感じる。Budgieのカバーの映像なんかも残っていますよね?いいナァ~。

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そして鈴木さんは出家された。しかし、その誇り高きサウンドはナニも変わっていない!

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ドラムはナカジマノブ。タイトでへヴィなドラミングが人間椅子サウンドにベストマッチだ!

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和嶋さん、CONCERTO MOONを指して「あの人たちの楽屋から聴こえてくるのはプロレスかディープ・パープルの話しばっかり!しばらくディープ・パープルの話しをしていたかと思うとプロレスの話しになる。でまた、しばらくするとディープ・パープルの話しをしてる」

いやはや、まったく和嶋さんのおっしゃる通り!特にノンちゃんと耕作さんがスゴイ。このふたり、今回のリハで3日間いっしょにいたらしいんだけど、3日間を通じて7割がたディープ・パープルの話しだったらしい。

そして、和嶋さんが続ける…「まったく、ニック・シンパーだのロッド・エヴァンスだの…誰も知らんつーの!」

和嶋さんゴメンナサイ!ニック・シンパーの話しを出したの私なんです!ナゼかというと、以前にレポートした「ジムマーシャルの生涯を祝う会」にニック・シンパーが来ていたんですよ。それを話したのです。彼と認識できる人は会場におらず、例え「ディープ・パープルの初代ベーシストだってば!」と説明を受けても「ロジャー・グローバーじゃないの?」ってなことになってしまう。そんな時は「シーッ!本人に聞こえちゃうよ!」なんてことになる。

あ、ここはディープ・パープルの「Hush!(シーッ!)」にひっかけております。ウマイ!初期のヒット曲ね。これこそニック・シンパーがベースじゃん。

ってな具合で和嶋さんのMCがまた愉快!
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また楽しみがひとつ増えた!
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人間椅子の詳しい情報はコチラ⇒人間椅子オフィシャルサイト

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さてアンコール。人間椅子が1曲プレイ、そして和嶋さんの呼び込みでCONCERTO MOONのメンバーが加わる。
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人間協奏曲(またはムーン・チェア)は人間椅子の3人にノンちゃんと久世ちゃんという布陣。

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「なんだい、コンチェルト・ムーンってバンドはMCがウケないとピックを投げられるのかい?」、「いえ、あれピックじゃなくて二銭銅貨なんですよ(こんなことは言っていません)」なんてなごやかムード。それだけにこれからの爆発ぶりが楽しみだ!

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そして、ジャージャ、ジャージャ、ジャージャージャージャージャジャジャと必殺の名曲がスタート!おわかりですよね?!
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大正解!「Speed King」!結局、ディープ・パープル!
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それにしても何とピッタリコンとした選曲!
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上手のふたりに負けずにこっちもきれいにまとまってる!

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何物にも替え難いパープル・チューン!燃えまくるノンちゃん!
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全員が一丸となった鬼気迫る熱演!
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間奏では和嶋さんがジョン・ロードのフレーズを、ノンちゃんがリッチーのフレーズを再現して会場を大いに沸かせた。

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ギター・バトルもハンパじゃない!

歯弾き…
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背弾き…
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暴れ…
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ブギュ~ン、ギュイーン、ピック・スクラッチ合戦!

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「ナ~ナナナナ~」のところ。気持ち良さそう!

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こっちも気持ちよさそうだ!

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インヤ~、素晴らしい演奏でした~。おもしろかった~。
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楽屋でパチリ!お疲れさまでした~!

さて、「三番勝負」の第2試合の相手はEARTHSHAKERだ!8月26日、場所は同じくここ渋谷BOXX。奇跡の対決をお見逃しなく!

CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site
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(一部敬称略 2012年6月23日 渋谷BOXXにて撮影)

Dos a tres caids!~CONCERTO MOON 炎の三番勝負~<vs. 人間椅子:前編>

Shige Blog 2012年7月9初出

先日レポートしたのはKelly SIMONZ率いるBad Tribeとの血で血を洗う大決戦だった。そして、CONCERTO MOONはまたここに自ら新たな対決の場を設けた。

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その名も「炎の三番勝負」!今、乗りに乗ってるCONCERTO MOONが3つのバンドと対決する。
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とにか~く!刺激的な対抗バンドを迎えて燃えに燃えまくってみようという暑苦しくも華麗なイベントなのだ!

第1勝負は結成20年を優に超すベテラン「人間椅子」!コイツぁ、楽しみだゼイ!

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持ち時間は1時間ずつ。だからモタモタしとれん!

1曲目は『Rain Forrest』収録の「Victim of Desire」。超ストレートなブリティッシュ・ハード・ロック・テイストが最高に気持ちいい!!
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今日もノッケからスロットル全開の親分、島紀史!
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今日も1959での登板。向かって左側がノンちゃんのセット。今日はハーフスタック。お札が貼ってあるのが和嶋さんのマーシャル。触らないように…。
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足もとのようす。最近チョコチョコとアタッチメントのないようが入れ替わってる。
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ドラムは人気者、長田昌之
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前回から加わってくれているオリジナル・メンバーの三谷耕作。

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耕作さんのバックライン。これナント1959。1992ではない。キャビはHIWATTの4×12"。
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ボーカル、久世敦史
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2曲目はグッと新しく「Savior Never Cry」。
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もう完全に入りこんでるノンちゃんの雄姿!凄まじい熱気だ!さっきまで楽屋でずっとディープ・パープルの話しに興じていた人と同一とは思えない!
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これまたストレートな「Run to the Sky」が3曲目。久世ちゃんの声がバッチリとマッチするナァ。
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何となくだけど、スロットル全開の中に今日はエラク落ち着いてプレイしている感じがする。ノンちゃんのソロも端正に聴こえる。時間が短い分、ジックリと弾きこんでいるという言い方もあるかもしれない。すごくいい!
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もちろん爆発ぶりはいつもと何ら変わらないんだけどね。
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ホントにこの人のベースはスゴイ!ジェット・エンジンのついた重戦車ってとこか?もうバンド・アンサンブルにトロリとマーブル状に溶け込んでいるんだけど、アイデンティティは全く失われていない。どこにベースがいるかすぐわかる。
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テクニックや音楽性もさることながら、このベースの音!ビンテージ系のマーシャルのベース・アンプの音って、これにしか出せない独特の味わいがあるんだよね。某プロフェッショナル・ギタリストも「これまでの人生のウチで一番いいベースの音かもしれない!」と終演後絶賛されていたが、ホント、そう言いたくなるのは当然の極上サウンド!1959ってスゲェな。100Wだゼィ。
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長田ちゃんは安定したドラミングで全曲ファスト・テンポのセットリストを難なく乗り切った。

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親分とのイキは完璧すぎるくらいピッタリ!曲はもちろんギャグの時もピタリとつける長田ちゃんの機転の早さは天下一品だ。コッテリだ。
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1時間の尺では残念ながらドラム・ソロもお披露目できないが、その分、パワー全開!もっとも何時間叩いても、どれだけソロをやってもパワーは最後まで落ちないんだけどね。

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『Life on the Wire』から「Cheating Fortune Teller」。イントロのリフがタマラン!

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もうCONCERTO MOONの声と化した久世敦史。「Over the Fear」「Live to Win」「From Father to Son」と続く。
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クラシック・レパートリーを完全に消化して、イヤ昇華させてCONCERTO MOONワールドを紡いでいく。
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そして「It's Not Over」、「Angel of Chaos」、「Change my Heart」と最後まで丁寧に新旧のレパートリーを編み込んだ。こういうのっていいな…。

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…というのも、総帥・島紀史が弦残のCONCERTO MOONに満足し、自分の歴史と将来をバンドのメンバーに預けているかのような印象を受けたからだ。
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それにしても完全無欠のギター・プレイ!心から快哉の声を上げたい!でも、1時間はちょっと短いナ…。
と物足りない感を故意に残させつつ、舞台を人間椅子に受け渡した。セッションがまた一層楽しみとなる!

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CONCERTO MOONのくわしい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site

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<後編>につづく

(一部敬称略 2012年6月23日 渋谷BOXXにて撮影)

mintmintsフォト・セッション!~寺沢功一誕生日スペシャル!

Shige Blog 2012年7月5日初出

ポップでハードでテクニカル、おまけにキュートでスリリング…こんな形容がmintmintsの音楽にピッタリだと思うがどうだろう?ベンチャーズのテケテケから始まって、ロック・インスト・バンド数あれど、クォリティの高い曲にこれだけの要素がごく自然に混ざり合っているのはmintmintsだけ。ギター・ミュージックの楽しさをとことん教えてくれるのがmintmintsなのよ!

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そう、mintmintsは言わずと知れたEARTHSHAKERの石原SHARA慎一郎のソロ・プロジェクトじゃんね。

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これまで『whitemints』と…

Whitemints

『Splash』の2枚のアルバム発表をし、大きな支持を得ている。
Splash

そのmintmintsが9月にニュー・アルバムを発表する!ってんでツアーやらリハやら、アルバムのアートワークやら色々と身辺がにぎやかになってるのよ!
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で、今日のレポはそんなソワソワ、ワクワクのmintsのリハにお写真撮りがてら潜入してきた!

このあたりがその時に撮ったポートレイト。

石原"SHARA"慎一郎。
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ベースは寺沢”てらちん”功一
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もう一枚、てらちん!実は今日の今日、お誕生日なのだ!おめでとうございま~す!
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五十嵐"sun-go"美貴
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向山テツ
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もうみんな明朗快活な人たちだから、始終ケタケタ笑って実に楽しい!この明るさがmintsの音楽性に反映されているんだね~。

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でも、ひとたびプレイし出すと真剣そのもの!
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誰ひとりヘラヘラしていないし、納得がいくまで何回でも同じ個所を確認して練習する。キャリア豊かな超一流のプロだから当然か。
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この辺りはSHARAさんとsun-goさんのハモリのチェック。
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SHARAさんが作った練りに練ったメロディに慎重に副旋律を重ねていく。

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みんなでアイデアを出し合いどんどん曲を磨き上げていく。いいナァ~、入りてぇーなー、mints。
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オッと!忘れないうちに書いとかなきゃ!!
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ギターのメロを殺さない、それでいて曲の厚みを極限まで増す完璧なベース・ライン!さすがトップ・ロック・ベーシスト!今日が誕生日だ!

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快感、そしてまた快感!もういつ聴いてもテツさんのドラムにはマイるね、鳥肌立っちゃって困っちゃう!
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さて、mintmintsは9月14日の金沢を皮切りに京都、大阪と『love & mints tour 2012』と銘打ったツアーを敢行する。

エ、東京は?って?東京公演は来る今度の日曜日、7月8日と28日に新代田Boogie Stockで催されるんだけど、完全ソールド・アウトなのよ~。ゴメンね~。

ニュー・アルバムお楽しみに!ジャケットもお楽しみにね!
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mintmintsの詳しい情報はコチラ⇒mintmints News

石原SHARA慎一郎の詳しい情報はコチラ⇒石原"SHARA"慎一郎Official Site
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(一部敬称略 2012年7月3日 新代田Boogie Stockにて撮影)

WeROCK No. 029

Shige Blog 2012年6月19日初出

2012年6月14日発売のWeROCK No.029にマーシャルの特集が掲載されています。文章、写真ともに担当させていただきやした!

表紙は閣下ね。

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ジムの生涯とマーシャルの歴史…

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マーシャル・ミュージアム展示の名器、珍器…

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マーシャル社社長、ジョン・エラリー氏のインタビューやマーシャル・プレイヤーのメッセージなど盛りだくさんの内容でで構成されています。

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是非ご覧くだされ~!

WeROCKの詳しい情報はコチラ⇒WeROCKオフィシャル・サイト

ジム・マーシャルの生涯を祝う会

Shige Blog 2012年6月15日初出

シゲブログでも弔意を寄せた通り、マーシャルの創設者ジム・マーシャルが去る4月5日、鬼籍に入ってしまった。
そして、お葬式とは別に偉大なるジムの功績と人生を祝う会がMarshallの本社があるイギリスのミルトン・キーンズで開催された。

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幸運にも私のところにも招待状が届いた。
もう私はマーシャルの仕事から離れてしまっているが、もしジムに関する祝い事があった際には万難を排して参席するつもりだったので…

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…イギリスまでひとっ飛びしてきた。

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会場は「創立40周年記念パーティ」が開催された工場にほど近い「Wilton Hall(ウィルトン・ホール)」というところ。
町の公民館風と言っては聞こえは悪いが、ジムの地元中の地元の立派なホールだ。

来客を待ちうけるJVMのフル・スタック。

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会場に入ると、ジムの半生をつづった『THE FATHER OF LOUD』の表紙のおなじみの写真が…。

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ジムの足跡を記した巨大なボード。

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この会の招待状にはこう記してあった。
「ジムとの思い出の写真をご持参ください。会場にボードを用意しときますので、そこに貼ってください」と。
私もジムが2003年に最後に来日した際の写真を持って行った。

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貼ってあるのはどれも感慨深い写真ばかり…っと、よく知っている顔を発見!ってオレじゃんか!しかも2枚も貼ってある!
1枚は2009年に「Shige Award」を受賞した時のもの。
ま、こっちはまだイイかも知れないけど、もう1枚はホテルの部屋で酔っ払ってギターを弾いている写真じゃんか~!
恥ずかしい!さてはピーターのシワザだな…?

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他にもジムにまつわる思い出の品がゾロリ!

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エリザベス女王から下賜された『The Queen Award』の賞状や…

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「Dr.Jim Marshall」の「博士号」の授与証書なども惜しげもなく展示されていた。

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ステージの両サイドにはジムの遺影が飾られ、中央のスクリーンにはジムの思い出の映像や出席できなかった関係者からのビデオ・メッセージが上映された。

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会場は200名を超す招待客でイッパイ。
東洋人は私ひとりだけで、目立つ目立つ!
しっかし、オレの顔も平べってーナァ~!

もちろん出席者はすべてジムにゆかりのある人ばかり。
とてもうれしかったのは、招待客の中に何とケン・ブラン氏がいらっしゃって、友人に紹介してもらい、いっしょに写真を撮らせていただいた。
さすがにご高齢のため足をお悪くされているが、実にかくしゃくとしていて、しかも物腰の柔らかいとても素敵なおじいちゃんだった。
「この人がJTM45を設計したのか…」と感無量で握手をしてもらった。

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ひとしきりバーでイッパイやりながら旧知の仲間とジムの思い出を語り合った後、決められた場所に着席。
私はカナダのピーターの隣りで、「ピーターでしょ?あれ貼ったの?!」恥ずかしいじゃんか!」と問いただすと「キヒヒヒヒ!」とイタズラっ子のように笑っていた。

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そして、会が始まった。
トップに挨拶をしたのはマーシャル社社長のジョナサン・エラリー氏。

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続いて壇上に上ったのはこの日の司会を務めたドラマーのニコ・マクブレイン。

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ジムのドラム仲間であり、最良の友でもあったニコ。
ジムの思い出を切々と語ったのち、司会の大役を着実にこなしていた。
彼の軽妙洒脱ぶりは定評のあるところだ。

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続いて挨拶をしたのはこの方…誰かににてるでしょう?
そう、ジムの実弟のアル・マーシャル氏だ。
兄弟しか知り得ない昔の話しを面白おかしくしてくれた。

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こうしてジムの友人や、お世話になった人、仕事仲間たちが順々に登壇し弔辞とスピーチを捧げた。

ピート・タウンゼンドからはビデオ・レターが寄せられた。
ご存知の通りピートはマーシャルを使わないが、彼なくしては絶対にマーシャルはあり得なかった。
メッセージでピートは実に淡々と思い出を語った後、「じゃあな、ジム!」と締めくくった。ピートらしいカッコいいメッセージだった

さて、ここからは世界中から駆けつけたディストリビューターたちの中から、スピーチをした私の仲良したちを紹介しておく。

アメリカからミッチ・コルビー氏。
彼も今はマーシャルから離れてしまったが、ディストリビューターとしては世界でも最も長くジムとお付き合いをしたのではなかろうか?
自身もアンプのコレクターで優れたジャズ・ギタリストでもある。
はじめて見たマーシャルの壁はナント、ニューヨークで見たクリームだった!という話しが印象的だった。

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おお~、さすがミッチ!ジムの十八番のコルクのトリックだ!ちゃんど仕込んできてた!…と思ったが「できません!」

そういえば、私が楽器店の皆さんをマーシャルにお連れしてジムといっしょに食事をした時、まだジムはまったく元気で、みんなの前でこの手品を見せてくれたっけ。みんな、覚えてる?

手品というのは左右の手の人差し指と親指ではさんだコルグを交差させて、チチンプイプイと呪文を唱えるとアラ不思議!交差しているので離すことのできないハズの両手が離れてしまうというもの。
「おお~!ワンモア、ワンモア!」という歓声に応え、「フォッフォッフォッ…」とドヤ顔で何回もやって見せてくれたジムが実にチャーミングだった。

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おとなりアイルランドからレスリー・ケイン氏。いつも私によくしてくれる大の仲良し。

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レスリーもベテランだけにジムとのお別れは相当辛いものであったハズだ。
会議ではなかなかの論客のレスリーもこのスピーチ後半では涙ぐんでしまい、見てるこっちもホロっときてしまった。

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ピーターの出番!
彼があの写真をはっつけたのよ!
ピーターとは、会議で集まるといつもホテルの彼の部屋に集合して、ラム酒を飲みながら遅くまでギターの腕比べをした。
いつも楽しかった。
え、どっちがウマイ?彼、彼!熱心なマーシャル・ブログの読者の方なら覚えていて下さると信じているが、一度登場してもらったことがあった。彼は過去プロのバンドでデビューしており、そのマボロシの音源について私が一筆奮ったのだ。だからかなうワケないんよ。
よく自分でアレンジしたビートルズ・ナンバーを弾いて聞かせてくれた。ボードに貼ってあったギターを弾いている写真はその時に撮られたものなのさ!

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ピーターのジムとの付き合いはミッチほどは長くはないが、かなりの古株。
ジムを心から信奉していた。それだけに彼のショックも大きいかったろう。
スピーチもとても真摯なものだった…あんな写真のイタズラしたくせに!

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スティーヴ・ウッド氏。ジムのお抱えドライバーだった人。
イヤ、家族といっていいだろう。彼は献身的にジムの世話をし、絶大な信頼を得ていた。

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よくマーシャルへ行くと迎えに来てくれたり送ってきてくれたりで、車中私と冗談を言い合っては大笑いするのが常で、私も彼と会うのを楽しみにしていた。
そんな旧知の中なので、一体どんなスピーチをするのかと思っていたら、淡々とジムも思い出を語った。

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ところが、話しているうちにあまりにも色々な思い出がよみがえってきたのだろう。感極まって、泣きだしてしまったのだ。
スピーチ後、ニコと抱擁し合うスティーヴ。
見ているこっちもググっと来た。会場は割れんばかりの拍手!この日のクライマックスだった。やっぱりとてもやさしい男だったんだな、スティーヴは!

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マーシャル社からインターナショナル・デモンストレーター兼ニュー・プロダクト・コーディネーターのクリス・ジョージが登壇した。彼もフランクフルトMESSEのレポートなどでブログに登場しているので顔を覚えていらっしゃる方も多いだろう。

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彼は今、9月にロンドンのウェンブリー・アリーナ(ウェンブリー・スタジアムのとなり)で開催される50周年記念コンサートの仕込みに取り組んでいる。
また新しく始まる50年に向けて意気揚々とした若々しいスピーチが印象的であった。

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さらにマーシャル社からマーケティング&アーティスト担当のニック・ボウコットがスピーチした。
彼は元グリム・リーパーのギタリストでジムとの付き合いも深く長い。

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ジムを出来る限りの爆音で送りだそうと、参席者全員に手を叩き、足を鳴らすよう求めた。
ドド~っとモノすごい音が会場を揺るがした。ニックらしいユーモアあふれるスピーチであった。

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他にジムのドラム教室の生徒であり、ジムの店の最初の従業員だった方や、ジャズ歌手のデイム・クレオ・レーン!(仲良しだったそう…知らなかった!)といった方々もスピーチを披露。

また、ジムはマーシャルだけでその名を世に知らしめたワケではなく、OBEの勲位が示す通り、病院やスポーツ団体など多方面にわたってたくさんの寄付をした篤志家としても高名であった。
そうしてお世話になった方々からの心温まる言葉も寄せられ、ジムの生前の偉業がさらに浮き彫りにされた会となった。

下は参列者に配られた会のしおりとジムの歌が収録されたオーディオCD『Reflection of a Man』。こうしてジムの声が参列者の元に半永久的に留まることとなった。

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これは配られたしおりの内側。ボロボロのキャビネットに刻まれたジムの言葉は「私の辞書には世界で最高のものは音楽だ…と書いてある。音楽にかなうヤツはいない」…その通りだ。

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後先になったが、会の冒頭に上映されたフィルムにはツェッペリンの「Whole Lottta Love」に乗せてジミ・ヘンドリックス、リッチー・ブラックモア、ピート・タウンゼンド、The Who、スパイナル・タップ、ゲイリー・ムーアが登場した。そしてフィルムの最後に出た文字は「To Be Continued」…。

そう、音楽がある限りマーシャルは不滅なのだ…。

もう一度言おう…ありがとう、そして、さよならジム!

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またマーシャルの新しい50年が始まった!

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(敬称略 2012年5月27日イギリス、ミルトンキーンズ、ウィルトン・ホールにて撮影)

この時のイギリス滞在のレポートをShige Blogに掲載しました。併せてお楽しみください!

Shige Blog はコチラ⇒イギリス紀行2012

2013年5月17日 (金)

Koenji Rock Show!!!~STAND他登場!

今日の主役はベーシスト。先週も登場してもらった…

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山本征史!

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今回は山本征史率いるトリオ、STANDのライブのレポート。

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メンバーはCONCERTO MOONの総帥、島紀史。ノンちゃん。

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ドラムは金光KK健司。征史さんとともに先週も登場してもらった。

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征史さんはおそらく伊藤広規と並んでマーブロへの頻出度が高いマーシャル・ベーシストだ。

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夜叉を15年間にわたり牽引し、サンハウスの柴山俊之率いるZi:LiE-YA に在籍し、現在は三宅さんのStrange Beautiful & Loudや人間椅子・和嶋慎治の和嶋工務店で活躍しているのが征史さん。 日本ロック・ベース界の重要人物のひとりだ。

そして満を持して立ち上げた自身のバンドがこのSTANDだ。征史さんは「メタル色の強い、歌もののロックンロール」とSTANDの音楽を形容しているが、まさに言い得て妙。

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「ロックなんてこんなもんさ!」と突き放しておいた先にホンモノのロックを感じさせるというか、ものすごい情熱を感じるんだよね。ロックってこんなもんですよ!
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大分前にマーブロでも紹介したことがあるが、これデビューアルバム。ジャケットからしてこれだもん。あんまりスゲェ。Hipgnosisもビックリのインパクトだ。ところが内容は全然マジでカッコいいロックなんだゼ。

曲が粒ぞろいで、ロックがまだ大人のものだった時代を思い出させてくれる充実の内容だ。

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その征史さんのお供を長年務めているのがこの1977年製の1992 SUPER BASS。

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ギターの島紀史については、マーブロ上ではもはや何の説明も必要としないだろう。

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最近お熱のMAJOR 1967で登場だ。

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最近はすっかりメジャー・ハンター(?)と化したノンちゃん。今2台目。ますます理想郷に近づいてきた?!

早くPigを見つけてもらって、その音を聴いてみたい!

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足元のようす。

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ヘッドルームが大きいせいか、とてもクリア(クリーンという意味ではない)でヌケの良いサウンドが素晴らしい。音はデカイがやかましくはない。

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ノンちゃんの1959もVintageModernのサウンドも好きだが、これもかなり好き。

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もうひとつ好きなのは、STANDでプレイする時のノンちゃんの姿だ。

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とても楽しそうなのである。…というとCONCERTO MOONの時は辛そうなのかというと、もちろんまったくそうではない。STANDの時はどこかリラックスしていて、そのさまは(昔の)高校生がお小遣いをためてようやく借りたスタジオに入って、日頃の練習の成果を思う存分発表しているような…。絶品だ。

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またKKのドラムが素晴らしい。素材の性質上、シンプルにストレートにひたすら音楽をドライブさせることに専念する。Strange~のKKとは違うパワー・ヒッターとしての魅力が爆発する。

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この3人のエネルギーとテクニックがぶつかり合うもんだからタマッタもんじゃない!

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それと忘れてはならないのはこのバンドは歌ものバンドということ。

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この征史さんの声がまたいいんだ。鼻にかかった他ではチョット見かけない(聴きかけない?)タイプの声で、それが曲とすさまじい演奏にうまい具合に絡み合うのだ。

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もちろん2人のインタープレイもタップリ!

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ノンちゃんの火を噴くようなプレイはいつも通り。

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熱しきった油の中に見え隠れするおいしいフレーズがたまらない!

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ベースを弾いても…

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歌をうたっても…

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大熱演の征史さん!

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1992は100W のヘッドだ。基本的には1959と回路が近い。ベースの100Wアンプといえば今ではヘタをすりゃ練習用のアンプぐらいに感じるが、1970年代の最初のころはみんなコレだった。やっぱりロックの音なんだよね。

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そういうこともあってSTANDのサウンドが大変にシックリ来るのかもしれない。

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今、なかなかこうしたロックのエキスを詰め込んだバンドに出くわさないからね。STANDにはこの調子で我が道を突き進んでいってもらいたいのだ。

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山本征史の詳しい情報はコチラ⇒山本征史Official Site

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この日続いての登場は加納秀人率いるATOMIC POODLE(アトミック・プードル)!

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加納秀人

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満園庄太郎

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五十嵐公太

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イヤ~、久しぶりだ、秀人さん!最後にお会いしたのは五反田で開催された『Classic Rock Jam』の時だから…2011年1月。え~、そんな前かよ~!この日、楽屋を訪ねた私を見つけるやいなやハグハグしてくれた。

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ゼンゼン変わらない秀人さん。まずヤケクソに若い!「拾得」の時となんら変わらないロックのかたまりだ!

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秀人さんも、もちろん外道デビューの頃からの根っからのMarshallistだが、大きい会場でしかMarshallを使用しない。

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1970年代初頭の、日本のMarshall史でいえば黎明期の1959を所有しているのだが、音がまったくクリーンな分、ケタ違いにラウドなので大きい会場でないと使い辛いのだ。

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庄太郎ちゃんもマーブロへの登場頻度がかなり高いベーシストだ。もちろんそれだけ多くの現場をこなす人気ベーシストということだ。

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彼のベースも好きだナァ。

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カッコいいからね。派手なアクションに目を奪われがちだけど、アップテンポの曲で現れるランニングのラインなんてタマらんよ!サウンドも男らしい!

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公太さんは前回のClassic Rock Jam以来。ストレートなドラミングが気持ちいい!

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以前からではあるけど、リード・ボーカルもフィーチュア!

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歌にコーラスにもちろんドラムにATOMIC POODLEの要の公太さんなのだ。

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ATOMIC POODLEはかなり前、つまりデビューしたての頃から見せてもらっている。最初の頃は外道のレパートリーが多かったが、今回は「いつものところでブルースを」と「宇宙からの叫び」ぐらいだったかな?

大半がオリジナル曲で構成されるようになっていた。これらの曲がまたいい!適度にポップで適度にハードで…やっぱりロックを知り尽くした人たちが、「ロックで人を楽しませる」という目的で書いて、そして演奏しているように見えたね。ヒイキ目まったくなくして、すごくいい!

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庄太郎ちゃんの「Fire」も飛び出した!

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この日のトリは高橋竜の「帰ってきた謎の高橋竜セッション」。

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もちろん竜さんの本職はベーシストで、大槻ケンヂの特撮や難波さんのNUOVO IMMIGRATO、令文さんとの竜文などで大活躍している。やはりMarshallのベース・アンプをお使いいただいている。

しかしこの日はアコギを手にボーカルとして登場。声スゴイからね、竜さんは。

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素材はTOTOをはじめとした80年代のヒットソング。

私は80年代に入って2年ほど経ったあたりからFrank Zappa以外のロックをリアルタイムでまったく熱心に聴かなくなった。「80年代がロック暗黒時代のはじまり」を唱えるひとりで、「ベスト・ヒットUSA」にも何の興味のなかった。ヘソ曲がりだからね。

しかし、こうして30年の時を経てそうした時代の曲を聴いてみると、なかなかいいもんだね~。これは、それらの曲が結果的に30年の風雪に耐えられる素養を備えていたということなのであろう。もちろん竜さんたちの演奏が素晴らしいということもある。

今巷間流れている曲が30年後にどうなっているか…。ロックの黄金時代を知る人たちには愚問といえよう。その時、いったい誰がそれを懐かしんでいようか?30年後なら何とか見届けられるかな?興味あるな…。まずはγ-GTPを減らすことから始めなきゃ…。

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三者三様、実におもしろいライブだったな…。やっぱりこういうロックはいいね!

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(一部敬称略 2013年4月22日 高円寺SHOWBOATにて撮影)

2013年5月16日 (木)

【イギリス-ロック名所めぐり vol.7】 ソーホー周辺 その2

海外に出ると、とにかくすぐに日本の食べ物が恋しくなる。昔はこんなことなかったんだけどナァ~。どこまでいっても肉、肉、肉.

油っこいもの大歓迎!ステーキなら何枚でも食べられた。

それがね~、今では「ああ、刺身が食べたい…」なんて思うようになっちゃって…。大分若い頃と食べ物の嗜好が変わってきた。逆流性ナントカが怖くて大食い、早食い、脂っこいモノの過剰摂取にも注意が必要になった。

こうなるといよいよ困るのが海外での食事。ビールはウマイけど、サンドイッチが辛くて辛くて…。ピザはもとよりあまり好きじゃないし…。そうかといってチキンとポテトばかり食べてもいられない。いよいよ和食が恋しくなってどうにもならなくなってきた旅の半ばに食べるハンバーガーのシンドさといったら筆舌し難いものがある。

私だけの嗜好かもしれないが、摂取できなくて一番苦しくなるのがダシとコシのある麺と炊き立ての米だ。お茶もそうだが、イギリスは紅茶があるからさほど困ることはない。緑茶も紅茶もウーロン茶もどうせもとは同じ葉っぱだ。

しかし、ダシ・麺・米にはほとほと困る。

そういう時に圧倒的に助かるのが中華料理だ。ロンドンにもニューヨークにもサンフランシスコにもチャイナタウンがあって、おいしいものが安く食べられる。ロンドンは高いか…でも同じ料金を払って食べる味の濃い現地の和食よりは納得がいく。

それにどこにでもあるから助かるってものだ。7~8年前にWembleyで食べたチャーハンなんかとてもおいしかった。

で、同じくどこにでもあるのがインド料理。おいしいところはメッチャおいしいでねぇ。そこで、じゃどっちを食べようか…ということになる。

アレって法律で定められているのかどうかは知らないけど、イギリスのレストランってどんなところでも必ず店の入り口に値段を明記したメニューが置いてある。当然それをチェックして店を決めることになるワケだが、中華と印度を比べると1~2割インド料理の方が高い。もちろん同じものが置いてあるわけではないので感覚的なものなのだが、このあたりを工場の友達に尋ねると、思った通りインド料理の方が高級なんだそうだ。日本だと中華の方が高級という感じがするんだけどな…。

ということでロンドンに行くとたいては1~2回、チャイナタウンに来てワンタンメンを食べることになる。

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ロンドンの中華街はShaftesbury AvenueをはさんだSohoの反対側、Leiceter Squeareとの間ぐらいに位置している。横浜の中華街とは比べ物にならないくらい小さいが、いつも賑やかでその中華街的雰囲気(当たり前!)はロンドンにいることを忘れさせてくれる。

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Wardour Streetから左に折れて中華街に入ってすぐの左側のビル。

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ナント、1968年8月、この中華料理店の地下でレッド・ツェッペリンの最初のリハーサルが行われたというのだ。最初に取り上げた曲はThe Yardbirdsの「Train Kept a Rollin'」だったという。ご存知の通り、Led Zeppelinは当初New Yardbirdsと名乗ったぐらいだからね。マーシャルを持ち込んだのかな?

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ここにあの4人がネェ…。

こういうところが本当にオモシロイ。つまり、なんてことないロンドンの街かどにそんな話が残っている。興味のない人にとってはバカバカしいと思うだろうが、こちとらそうはいかない!こうした話は何だって感動しちゃう。

日本でもよく「何でこんなとこ写真撮ってんの?!」っていう外国からの観光客がいるでしょ。ガソリンスタンドとかタワーの駐車場とか(ちなみに駐車場のビルはあってもタワーの駐車場はイギリスでまったく見たことがない)…アレとまったく同じ。しかもこっちは興奮しているもんだから夢中になって熱を込めてシャッター切っちゃうじゃない?その姿はすごく不思議だと思うよね。

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Marshallを使わなかったバンドの代表はThe Beatlesだろう。続いてThe Rolling Stones。個人的にビートルズは好きだからこの「名所めぐり」にも頻出する。だってビートルズだもん!

反面、ストーンズは個人的にまったくと言っていいほど聴かないので残念ながら取り上げられることはない。ファンのみなさん、ごめんなさい。でのここでひとつだけ…。

上の中華街を抜けてすぐ右に曲がったところにあるこの建物。今はバート週末には簡単なライブハウスになるこの「Ku」というお店はローリング・ストーンズが初めてリハーサルをやったパブだったところだそう。そんだけ~。

 

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さて、ここはソーホー・スクエア。ロンドンには町の真ん中にこうした公園がゴロゴロしている。これはとってもいいよね。みんな草の上に座ってお弁当を食べたり、ゴロリと寝転んだり…うらやましい。
公園の外の正面に茶色の建物がある。二階がガラスになってるビルだ。

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コレがその建物。「mpl」というのは「McCartney Productions Limited 」の略。ポール・マッカートニー卿関連の出版物を管理する会社だ。

ロンドンとニューヨークに拠点がある個人所有の音楽出版社としては世界最大のものだ。
Apple社とアラン・クラインから距離を置くためにポールが1970年に設立した。最終的にはポールはAppleレーベルに1975年まで籍を置いたため、結局mpl名義で最初にリリースしたアルバムはWingsの『Venus and Mars』となった。

この会社は多数の音楽著作権を管理しており、ポール自身の作品はもとより、ポールらしくBuddy Holly、Carl Perkinsらのロックンロールもの、Harold ArlenやJerry Hermanらのブロードウェイの作曲家たちの作品を網羅。アル・ジョルソンで有名な「Rock-a-Bye Your Baby with a Dixie Melody(私はSummy Davis Jr.のバージョンが大好き)」や有名な「Blue Swade Shoes」の著作権もmplが持っている。
ビートルズ関連では「Love Me Do」、「P.S. I Love You」、「Please Please Me」や「Ask Me Why」などの曲がカタログに掲載されている。

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ちょっと失礼して…。壁にズラリとゴールド・ディスクが飾られている。 儲かってんだろうナァ~。

Hal Leonard(←このリンク先、加筆したので見てみてね!)という北米最大の音楽出版社がある。ここにBradという仲良しがいて、彼とニューヨークの話をしていて色々とニューヨークにまつわる歌を口ずさんでいると、「ア、それウチ」、「それもウチだ」っていちいち主張していたのが面白かった。「ウチ」というのはこの場合Hal Leonard社がその曲の著作権を管理しているという意味だ。Bradはマーブロに何回も出てきているChad Smithの実兄。ニューヨークの歌の数々はMel Tormeの『Sunday in New York』から引用した。

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しっかし、天気が悪いのう。

次に行ってみるのはmplからすぐのレコーディング・スタジオ。この先にあるハズ…。

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コレ。ここはかつて「Trident Studios(トライデント・スタジオ)」といって、数々のブリティッシュ・ロックの名作が録音された場所なのだ。

今は撮影スタジオになってるのかな?

このスタジオは1967年にNorman とBarryのSheffield兄弟によって設立された。ここには独自に開発したTrident  A Range Consoleというマルチトラックの録音機器が備え付けられており、音楽的なEQ機能を持つこのコンソールが大変な評判を呼んだ。

何でも68年の開業時にはManfred Mannが「My Name is Jack(The Kinksの「Village Green Preservation Society」のちょっと似ているなかなかの佳曲)」という曲をここで吹き込んで大きな宣伝効果をもたらしたという。

このManfred Mannもよくわからんよね~。日本ではまったく人気がないけど、イギリスではスゴイ人気。私は後年結構好きになり、Earth Bandを含めて何枚もCDを持っているけど、毒もクセもないワリには何となく病みつきになるバンドだ。解せないのはカバー曲でバカスカとヒットチャートに食い込んでくるところなんだよね。例えば「Blinded by the Light」。これはBruce Springsteenの曲でしょ?Manfred Mann's Earth Bandは完全に別曲にアレンジしてる。ま、好みにもよるけど、私なんか完全にEarth Bandの方がいいと思う。こういうところで人気があるのかな?

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The Beatlesの『White Album』や「Hey Jude」、Elton Johnの「Candle in the Wind」、David Bowieの『The Rise and Fall of Ziggy Stardust(ジギー・スターダスト)』など数えきれない名盤、名曲がここで録音された。

ま、名前を挙げだしたらキリがないが、他にも…The Bee Gees、Carly Simon、Joan Armatrading、Joe Cocker、 Kiss、Lou Reed、Peter Gabriel、The Rolling Stones、Thin Lizzy、Tina Turner、T-Rex、Yesなどなど。結構アメリカのミュージシャンも多い。それにしてもゴイス。

このスタジオには100年前につくられたドイツの名器、C.Bechstein(ベヒシュタイン:「ピアノのストラディバリウス」と呼ばれるスタインウェイやベーゼンドルファーと並ぶ世界3大ピアノ・ブランドの一角)のハンドメイドのコンサート・サイズ・ピアノが備え付けてあり、「Hey Jude」やEltonの「Your Song(僕の歌は君の歌)」に使われた。その後、このピアノは弦を張り替えた途端音が硬くなってしまい、使われなくなってしまった。あ~あ~モッタイないね。しかし、この2曲が同じピアノで吹き込まれているというのはまた感動ですナ~。今の若い人たちにはわかんなだろうナァ~、この感動。かわいそうだナァ~。
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また、ここのスタジオは、イギリスで始めてドルビー・システムを使い、まだ、Abbey Road Studioが4トラックのレコーディング・デッキを使用していた時にすでに8トラックのそれを導入していた。

この8トラック・デッキは「Hey Jude」の他、『White Album』の「Dear Prudens」、「Honey Pie」、「Savoy Truffle」や「Martha My Dear」、さらに『Abbey Road』収録の「I Want You」のベーシック・トラックが、そして、Eric Claptonも参加してのJohn Lennonの「Cold Turky」が吹き込まれた。これまたゴイス。

私は2006年にタバコをやめました。工場に行った時にやめた。当時まだ円が桁違いに安くて、ただでさえ高いイギリスのタバコが縁に換算すると1箱1,500円近くしていたのでバカバカしくてとても買う気にならず、「やめた」というより「やめざるを得なかった」というのが正しい。

それほどヘヴィ・スモーカーでなかった私でも初めの頃はその禁断症状に大いに悩まされたね。目はチカチカ、指先ジンジン。少しでもラクになろうとやたらと深呼吸をしていると、ちょうど食事で一緒になったDoug Ardrichも「シゲ、具合でも悪いのか?」と心配してくれる。

Marshallの友人もそれを見て、「どうしたの?調子でも悪いの?」と心配してくれる。「実はタバコをやめたんだ」と告げるとみんな口をそろえて「オー、コールド・ターキーか?!」と言うではないか!その瞬間、あの世にもカッコいいイントロをクラプトンが弾く姿が目に浮かび、禁断症状の苦しみも和らいだのだった。「オレ、コールド・ターキーなのか~!カッコいいな~」って。もちろんあの歌詞ほど禁断症状はヒドくないよ。

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さて、もう少し。さらにTrident Studioは繁忙を極めた。当時のApple Recordのアーティストが大量にこちらに流れて来たのだ。Billy Preston、Mary Hopkin、James Taylorなどなど、George Harrisonの『All Things Must Pass』もここでレコーディングされた。

また、ポールは自分が使わない時に将来有望と見込んだバンドを呼んできて自由にスタジオを使わせた。その有望なバンドこそQueenだった。

他にも出てくる出てくる、70年代初頭にこのスタジオを使用したアーティストは他にもFrank Zappa、Rolling Stones、Free、Lindisfrne、Mahavishunu Orchestra、Jeff Beckがいた。

また、Charismaもお得意さんのひとつで、Genesisはここで『Trespass(侵入)』、『Nursery Cryme(怪奇骨董音楽箱)』、『A Trick of the Tail』を制作。さらにVan Der Graaf Generatorやその重鎮、Peter Hammillもこのスタジオでレコーディングしたのだ。

加えてRick Wakemanはこのスタジオでハウス・プレイヤーとして働いていて、ものすごい数のレコーディングでピアノを弾いているらしい。David Bowieの「Life on Mars?」や「Changes」はそれらのうちのふたつ。
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残念がらBrian MayはMarshallプレイヤーではないが、Jimがなくなった時には弔辞を寄せてくれていた。そのお返しと言ってはなんだが、最後にQueenの話しをひとつ。

Sheffield兄弟は初期のQueenのブレイクに一役買っている。兄弟はQueenに最新機器とオペレーション・スタッフを自由に使わせるという契約を結び、プロデューサーやエンジニアも紹介した。まだQuennがまったく無名の頃の話し。

アルバムが完成すると、Sheffield兄弟はそれを発売するレコード会社探しに苦心惨憺してしまう。他のバンドとは異なり、当時はまだQueenの音楽があまりにも風変わりでレコード会社は契約することを恐れたのであった。

そして、とうとう兄弟は「Trident」というレーベルを立ち上げ、Queenのデビュー・アルバムをリリースしたのであった。結果、アルバムはヒットし、QueenはEMIと契約して『クイーンII』をリリースした。Queenは本国イギリスよりも早く日本で火のついたバンドだ。

つまり、シェフィールド兄弟と我々の支持がなかったら「Bohemian Rhapspdy」も「Brighton Rock」も「Killer Queen」も聴くことができなかったのかも知れないのだ。ま、若い人にはわからんか…気の毒に。

しかし、この細い道をそういう人たちが歩いていたのかと思うと…やっぱりロンドンはゴイス!

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つづく

2013年5月15日 (水)

Strange Beautiful & Loud~Sound Experience 7

三宅庸介の音楽をタップリ、ジックリ楽しむシリーズ『Sound Experience』。

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出演はおなじみStrange Beautiful and Loudとゲスト・ギタリストだ。

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最近ではスーパーでグレープフルーツを見かけると「Stratify」のイントロのドラムが聞こえてくるようになった!

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Strange Beautiful and Loudは

三宅庸介

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山本征史

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金光KK健司

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普段、普通の音楽を聴いている人、特に若い人にとってはキテレツ極まりない音楽に聴こえるんだろうナァ。人間だもの、得意不得意の別はあるにしても、時代に迎合しない極めて独創的な道を歩んでいるこのようなバンドは徹底的に応援したい。

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三宅さんの音楽が特段「新しい」などと言うつもりは毛頭ない。だって「新しい」ということがエライともまったく思わないんだもん。

テレビでよく新人のバンドが紹介されて「新しい」とか「今までにない」とか喧伝しているのをよく見かけるが、「お~コレは!」なんていうのに出くわしたことがない。ただのマスコミの「売らんかな」の宣伝惹句にしか聞こえない。

まさかマスコミは本気でそう思って宣伝しているのだろうか?

そうかと思うと、アイルランドの若いバンドが60年代風のロックを演奏していて「新鮮だ!」と大絶賛していたりする。何ていうグループだったっけかナァ。エルトン・ジョンがプロデュースを買って出た…とかいう。別に新鮮でも何でもないよ。騒いでいる連中が勉強不足なだけだ。

ま、これはしょうがないのはよくわかってる。「音楽は振り子」だから。どんなにカッコいいロックでもさすがにみんな同じことをやって、時間が経てば何か新しい(実際には、新しいと勘違いしている)ものを求めるのは自然の摂理で、そこにマスコミのビジネスチャンスがあるワケね。

それよりも、新しいか古いかは別にして、曲の良し悪しというのは大変重要な問題で、この点は明らかにレベルが低下してきた、というより出尽くした感があると思うね。だからそれを「新しい!」と騒いでごまかしているのではないかと観ている。

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そうだな…ビートルズの「I Will」やら「For No One」とか「Here There and Everywhere」とかと最近テレビによく出ている「○○○○○(ここは好みでないバンドやミュージシャンの名前を好きに入れてください)」の曲を比べてごらん。

どっちがいいかは自動的に答えが出てくるでしょ?比べることに無理もあるけど…相手はマッカトニー卿だからね。

ハイ。次に、そうした名曲を若い人たちが全く知らないという風に思ってください。知っているのは「○○○○○(ここは好みでないバンドやミュージシャンの名前を好きに入れてください)」のどこまで行っても平坦でつまらないバラードばかり。

どうでしょうか?若い人たちが気の毒に思えてこない?

ここで重要なのはビートルズだけではなくて、ジミ・ヘンとかツェッペリンとか、人類は無限の音楽財産を持っているということなのよ。ナゼみんなでそれを教えてあげない?!

そんなビートルズの連中にしたってエルヴィスをはじめとしたアメリカのロンクンロールをキッチリと学んだからこそああいう新しく素晴らしい音楽を生み出すことができたんでしょ?ちゃんと勉強しないと…。古きをたずねる時が来たんですって。

いつ温故知新を実践するの?今でしょ?(最近こればっか)

とにかく、我々は与えられるものを甘受するだけでなく、それに惑わされないようにしっかりと過去の遺産を吸収しておくべきなのですよ。

大幅に脱線してしまったが、最近行ってきたフェスティバルで見た光景がいつになく胸に突き刺さったもんだからつい書いてしまった。ステージの音楽に合わせて飛び跳ねて踊り狂っているだけのいつもの光景なんだけどね…。

また、いつもと同じこと言ってら!と思われるだろうが、マーブロは私がやっている以上は言い続けます。

三宅さん、ごめんなさい。またやっちまった!

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かといってですな、三宅さんの音楽にものすごく郷愁を覚える…とかそういうことはない。だから面白いんだろうね、聴いてて。新しいとか古いとか、そういうことを超越した音楽だから。

しかし、ギターのサウンドは確実に愛着を感じるものだ…それはヘンドリックス。

三宅さんのフロントの音にはまったくもって感心してしまう。

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その三宅さんのギター・サウンドは愛用のDSL100と1960BVとストラトキャスターから生み出される。

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ベースもMarshallだ。

以前から書いてきたが、征史さんのMarshallベース・サウンドが実にこのバンドのサウンドにマッチする。

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SUPER BASS1992。1977年製。

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三宅さんの宙を飛び交うギターを迎え撃つような自由なプレイが素晴らしい。

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このバンドでベースを担当するのは相当難しいだろうが、最高にオモシロイんじゃないかな?

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それも、このドラムあってこそ!

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歌うように、メロディを奏でるようにドラムを叩く人だ。

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耳をそばだてなければ聞き取れないようなピアニシシモの音からハイドンの94番も(それこそ)ビックリのフォルテシシモまで自由自在にクリエイトするダイナミクスの魔術師だ。

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Brian Tichyも好きだというKKだが、ま、私は勝手に心の中で「Dan Gottlieb」だと思ってるんね。

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ね、こうして三宅さんの一挙手一投足に目と耳をそばだててピタリとマッチしたドラミングを提供する。

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ま、こうしたストイックな音楽の求道者三人が集まって展開する音楽をひと目見ようと動員数も順調に上向いている。

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ショウの内容はアルバム『Lotus and Visceral Somgs』からの曲を中心に演奏される。 いつも通りの白熱した演奏。

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アレ?何だこりゃ?と気が付いた。…といっても何の写真かはわかるワケがないよね。これはアルバムには入っていない「If」という曲のサビを弾いているところ。て何枚か撮ってみた。

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これが三宅さんの曲にしては非常に覚えやすいメロディで、アルバムに入っていなくても毎回ライブで演奏されるからとてもなじみが深い曲なのね。

「アレ?」と思ったのはメロディが半音下がるだけなのにフィンがリングがエラク忙しい…。で、よ~く観ていてわかったのが、半音下の音をワザワザそこだけ違う弦で出しているんですわ。

これはサキソフォンなんかでいう「オルタネイト・フィンガリング」というヤツ。音が同じなのに違う押さえ方で出してやることによって複雑なニュアンスを加える手法ね。マイケル・ブレッカーはエリック・クラプトンのフレーズをこれを使ってサックスで再現していたりするね。比較的昔から使われている手法だけど、やっぱりブレッカーにようにブッ速く吹ききるには大変な技術を必要とするらしい。

ギターと言う楽器は弦の太さとフレットの高低で音程を定めているため、構造上場所は違えど同じ音を出すポジションがいっぱいあるでしょ?このことがギターを演奏技術を複雑にして、色んなことができるようになっているワケ。

その点、サックスは弦が1本しかないのと同じようなものだから、違うところを押さえていたら同じ音なんか出そうにないと思うけどさにあらず。こういうオルタネイト・フィンガリングってのがたくさんあるんだって。クラリネットなんかもっとすごくて、同じ音列でも上昇する時と下降する時とでは押さえるところが違ったりするってーじゃんね。オモシロイもんですな(以上、協力はサックス吹きの親友)。

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一応三宅さんに確認してみたところ、大当たり。ニュアンスを豊かにするためにこのテクニックを使っているとのこと。5弦解放のAか6弦5フレットのAなんてことは考えることはあっても、こんな比較的速いフレーズでこういうことをするところがいかにも三宅さんらしい。

ちなみに初めてこのころを指摘されたそうだ…エヘン!

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「Stratify」や「Bloom」、「Fantasia」等アルバム収録の曲を4曲、それ以外の「Petal」、「If」等、全8曲を演奏して本編を終了した。

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やっぱり阿吽の音楽というか、会話で成り立つ音楽というか、こういうタイプの音楽は演奏者がこなれればこなれるほど迫力が増して面白くなってくる。

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しかし、それが過ぎてしまうと、それこそ新鮮味を失い始めてしまう恐れがある。

そのカギはやはり「曲」にあると思う。演奏者の力をいつまでも引き出し続ける魅力な「曲」。三宅さんの作品にはそうした能力を持った曲が揃っているのだ。

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ちょーっと三宅さん、どしたん、その汗!まるで風呂上がりじゃないの!マー風呂か?

…と後で訊いたら、かわいそうに下手側のエアコンが壊れていて三宅さんのところだけサウナ状態だったそうですわ。

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アンコールにはゲストを迎え入れる。

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今日のゲストは…

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足立YOU祐二! 的な?

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まずは「Stratus」。また出たよ~!前回書き忘れちゃったけど、三宅さん曰く、Stratocasterの「Strato」もどうやらこの言葉に関係しているらしい。

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怒涛のソロ・バトル。これはスゴカッタ!

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YOUさんはJVM410Hと三宅さん所有の1936を使用。JVMの使用チャンネルはOD1/GREENだ。ゲインをやや低めに設定して、さらにギターのボリュームを調整して音を作る。

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このサウンドがまた独特でしてね。MarshallじゃないMarshallの音?

以前にもシェイカーの工藤さんや甲斐さんたちといっしょのバンドでDSLのサウンドを聴かせていただいたけど、あんなDSLの音初めて聴いたもんね。今回もそう。

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2曲目は三宅さんの歌で「Litte Wing」

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もちろん歌につづいてはまたギター・バトル。繰り返し何度も順番が回ってくるたびに、YOUさんは毎回必ずその回のソロのテーマというか、見せ場のようなものが出てきて(もちろん即興)、時にはひとりで、時にはふたりでそれを展開していく様が何ともスリリングだった。

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YOUさんJVMをして曰く、「ボリュームを落としてバッキングをした時もギターの音がバンドによ~くなじむ」…なるほど。

もちろんソロの時のサウンドも絶品だ。

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三宅さん、当日のリハの時、YOUさんがどうやってJVMで音を作るか観察されたらしい。「フムフム、ゲインは?トレブルは?」みたいに…。ところが、最初に音を出した瞬間からもうYOUさんの音だったのでどうにも観察のしようがなかったって!

それにしてもこれほど「もっと聴きたい!」と思わせるギター・バトルも珍しいな…。

Sound Experience 8 も楽しみじゃん?!

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三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange Beautiful and Loud

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(一部敬称略 2013年4月18日 三軒茶屋Grapefruit Moonにて撮影)

 

2013年5月14日 (火)

フィル・ウェルズ・インタビュー~その2

最も魅力的なモデル

S:あなたはマーシャル社の中でも最長のキャリアをお持ちですよね?

P:エレクトロニクスの分野ではそうですね。

S:そこで、今日はあなたからマーシャルのウラ話や普段は語られることのないエピソードなどをたくさんおうかがいしたいと思います。

P:わかりました。

S:ではまず…過去の機種について、あなた個人の観点で構いませんのでお答えください。あなたが最も魅力的に感じたモデルは何でしょう? 音質面からでも、見た目でも、最も印象的だったモデルは? 個人的に思い入れが大きいものでも結構です。

P:たくさんありますが、最も思い入れがあるのは近年の物ですね。近年といっても過去25年間ぐらいの事ですが、それはトランジスPw_img_7787
タ・モデルになります。最初のValvestateシリーズですね。とりわけその中の8080でしょうか。これは80Wの1×12”のコンボでした。
S:名器と呼ばれたモデルですね?
P:はい。でも最初は「あーあ、トランジスタ・アンプか…」と世間からいわれたシリーズです。Marshallは真空管アンプで有名なメーカーでしたからね。しかし、あのシリーズこそマーケットに大きなインパクトを与えた製品なんですよ。私達にとっても同様です。
S:なるほど…。
P:8080はとても音がよく、信頼性も高かったので何千台と生産しました。音がよかっただけでなく、的確なタイミングでマーケットに投入できた。つまり、消費者がちょうど欲しがっていたものをタイミングよくリリースしたのです。
S:なるほど。新商品を投入するタイミングはとても大切ですよね。
P:その通り。当時、真空管アンプの価格は6~700ポンドでしたが、8080は約200ポンドでした。マーケットにとっても我々にとっても良い製品だったんです。
一方、単体のモデルから選ぶのであれば、4210が最も印象に残るモデルになるでしょう。JCM800シリーズの1×12”のスプリット・チャンネルのコンボです。

S:コンボ・バージョンの2210か2205という事でしたっけ?

P:2210は100W、2205は50Wのヘッドですね。4210は2205のコンボ・バージョンで70年代後半に出てくるはずの物でした。そこでJCM800の中の1×12”コンボでは一番最初にリリースされました。
それがマーシャル社の最初のモデルであるJTM45に次ぐ革命を起こしました。なにしろJCM800シリーズは会社にとって2番目のマイルストーンとなりましたからね。
S:エリザベス女王から賞ももらいましたもんね。
P:はい。具体的にもっと詳しく説明しましょうか?

S:お願いします。

P:4210は非常にシンプルなアンプで2チャンネル仕様です。ひとつはクリーン寄りですが、クリーンではなくオーヴァードライヴ。ODほどダーティではありませんが…。背面にはエフェクト・ループを搭載しています。リヴァーブもあり、オンオフが出来ます。小さなコンボですが通常の50Wスタック並のパワーとパンチがあります。

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EL34が2本。それにECC83を5本搭載しています。プリ・アンプに3本、リヴァーブに1本、位相反転に1本。

S:もちろん知ってはいますが一度も弾いたことないな…。

P:試す価値は十分にありますよ。生産終了からもう22年も経っているのに、今でも「また生産しないのですか」と訊かれることがしょっちゅうあるんです。
S:そうですか。
P:JCM800 2203はリイシューを出しました。ですからシリーズでリイシューされるのではないかと注目が集まっています。
S:日本でも2203はいまだに人気がありますよ。
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P:JCM800は1981年に生産がはじまり、1990年に生産終了になりました。
生産されているシリーズが終了して、次のシリーズが紹介されるまでに平均して6~8年なんですね。会社の方針や市場でのポジションも変わるんです。

S:日本ではほとんどの人が忘れているかもしれません、JCM800のコンボは…。本当にリイシューされたらいかがですか?

P:ええ、するべきだと思います。出来ますよ。

S:(小声で)限定生産でもいいので。

P:(笑)はい、その方が効果的ですね。コンボだけではなくて、ヘッドもやるといい。50Wのヘッド。中身はコンボと全く同じ仕様のヘッド・ヴァージョンです。
S:いいですね。
P:当時、非常に評価が高かったので、(もしリイシューが実現したら)みんなが試奏するでしょうね。20年経った今でも、「生産されないのか?」と訊かれるモデルはそんなにあるもんじゃありません。「他の新製品を出すよりも、そっちを優先した方がいいんじゃないですか」とね。

マーケットへの投入

S:他には?

P:私がここにいる間にとても気に入っている製品が2つありました。
同時に上手くいかなかった製品も2~3ありました。理由はただひとつ、市場を見誤ったことでした。その商品が収まるべき場所に収めることができなかった。商品を明確に定義づけられなかったのです。クリーンなマーケットに向けるのか、ヘヴィ・メタルやスラッシュ・メタルの方に向けるのか。そういう指向が特定されないものがあったんです。これはいつでも難しいことなんです。その点、4210はブルース、ジャズからヘヴィ・ロック、何にでも使えました。それとは反対にどのジャンルにもまったく当てはまらないモデルがあるんです。

S:でも、機能が多彩すぎてしまうモデルもある。

P:そうです。12個以上つまみがあるものは、多すぎだと思っています。

S:(笑)

P:「正しいことをしようとしろ」と言っているのではなく、「やりすぎないようにしろ」と言っているんです。
S:昔の人はアンプから欲しい音を得ようとする時、いちいちコントロールをいじったり改造したりするより、自分の指で音を作っていたと思います。

P:はい。1つの箱にいくつもアンプを入れるような必要はありません。例えば“JVM”でも、4チャンネルで12種類のサウンドがありますが、2チャンネルしか使わない人達がいるのを知っています。クリーンと何か他の物。それ以外はみんなペダルです。そんなものですよ。その方が簡単に切り替え出来ますからね。
だから…私は機能が多彩なアンプを使うには年をとっていますが…たくさんの人が言うように、12個以上つまみがあると難しすぎると思います。
もちろんそこに市場があるから存在する製品ですが、購入者のほとんどが、意図された設計通りに使わないのが普通なのです。つまりいくらチャンネルを増やしても、すべてのチャンネルを使わない傾向にあります。非常に多彩なアンプでフェンダーのクリーンからスラッシュ・メタルまで使えるのに。使わないんですよ。

S:マーシャルはマーシャルですから。それで十分ですよね。

P:そうです。フェンダーのクリーンで弾く人とスラッシュ・メタルを弾く人は同じではありません。どちらか一方だけを弾くものです。でも、JVMはチャンネルがたくさんあってもとても良いアンプですよ。

奇妙なモデル

S:同感です。それから…その一方で、どの製品が一番奇妙な存在感を持っているとお思いですか? 他のどの製品とも異なるものは?

P:良い意味で? 悪い意味で?

S:両方です。お思いになっていることを何でも…。

P:チョット考えさせて下さい…(間)…一番奇妙だったのは、発表してからも全く良い評価を得られなかったのがStudio 15…4001で
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した。小さな15Wの製品で、今のClass 5みたいな感じですね。しかしあれは15Wで、パワー管には6V6が2本入っていました。ギグ用のアンプとして使う事が出来、ジェスロ・タルのマーティン・バレが使っていました。
彼は6台を同時に使っていました。2台はクリーン用、2台はオーバードライブ、そして残りの2台はエフェクト用です。素晴らしかったですよ。あまりラウドではないけど、ミキサー卓に直接つなぐ事が出来ました。
しかし問題は、あまりにもクリーンで繊細すぎたので、100Wのパワー・アンプにつなげなければまともに動きませんでした。真空管が良いとか悪いとかではないんです。ただ、アンプがとても繊細だったので、設定が難しかったんですね。
市場に出てからも長い時間をかけて売っていました。2~3年は売れましたが、思ったような所まで行きませんでした。
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しかしその一方で、大体同じ時期に“SE-100”というユニットを生産しました。ラック型で…。

S:ジェフ・ベックも使っているモデルですね。

P:はい。これもまた、「どうだろうか」と思いながら市場に出しましたが、結果的には周りから「また作らないんですか」と訊かれる製品になりました。なぜならシンプルで使いやすかった。スピーカーなしで直接ギターをつぐことができたし、スピーカーを使う時は25Wや30Wに変換する事も出来ました。れっきとしたパワー・ブレーカーではありませんでしたが、エミュレーションの方は、アンプを取り外してミキサーに信号を送ることができ素晴らしい製品でした。評価も高かった。

S:マイキングの位置を変えたり…

P:そう!あれも、もう作って20年ぐらいになりますが、いまだに尋ねてくる人がいます。ちょっと前までは中古で300ポンドぐらいで買えましたが、今は7~800ポンドに上がっています。みんなが気に入っているから。スタジオにも良いし、ライヴでも非常に重宝するんです。

もうひとつは…これもよく評価され、しかもこれまでに作ったものと比べてちょっと変わっていたのがJMP-1でした。MIDI搭載のプリ・

アンプで…クールですよね。プリ管を2本搭載していましたが、飾りだと思っていた人が結構いたんですよ!もちろん音をウォーム・アップさせる為に実際に使用されていたものです。サウンドのエミュレートは素晴らしいものでした。これはMIDIプリ・アンプですが、ベース、トレブルなど何でも変更して保存出来たという点がそれまでとは大きく異なる点でした。評価も高く、他の商品の平均的な寿命が6~8年であるのに対して、JMP-1は12年も生産され続けました。今でも人気があります。ただ私達が作れなくなってしまっただけです。パーツやユニットの問題がありましてね。

S:お客さんからも、JMP-1を復刻してほしいという声を聞かれると思いますが…。

P:もちろんです。「JMP-2は作れないのですか?」とかね。「中身は変えないで、よりモダンな感じにしてください」とか…。
S:ああ、気持ちはわかりますね。
P:人々がJMP-1を気に入ってくれたのは、とてもシンプルだったからです。本体の中でたくさんのパラメータを変えられますがベースやトレブル、ミドルなどを変えたり、ゲインを増やしたり減らしたりするぐらいです。アタック、ディレイといった音に関するあらゆるパラメータを変える事は出来ません。凄くシンプルなユニットですが、私達にとっては革命でした。これまで真剣に踏み込んで行かなかった領域に入ったのです。
今はほとんどの製品に何らかの形でデジタル信号が使われています。リヴァーブだけということもあるし、それからMGシリーズにようにすべてがデジタルでコントロールされているものもあります。形が違うんですよ。モダンな手法だと言えるかもしれません。悪いとは言っていませんよ。ただ、これが現代のやり方なんです。

最も成功したモデル

S:過去の製品についての質問を続けさせてください。個人的には、どの製品が最も成功したと思われますか?

P:様々な角度からの見方があります。持続性…どのぐらい長い期間生産されていたかということならJTM45でしょう。設立当初かPw_img_7804
ら現在までいまだに作り続けられているモデルですからね。

しかし一番ポピュラーなのはマスター・ヴォリュームを搭載した2203と2204でしょう。1970年代の半ばに出てきましたが、何かの理由で生産がいったん止まってしまった時を除き、ずっと生産され続けている一番有名な製品です。考えてみると、DSL、TSL、そして今作っているJVM、すべてにマスター・ボリュームが付いています。みんな2203や2204の設計を受けて作られたものです。
でも、あなたの質問にもしひとつだけ答えるならJTM45でしょうね。50年にわたって生産され続けていますから。生産していない時期もちょくちょくありましたが、基本的には50年です。さらに、人気という事でいえば、多分…。

S:DSL?

P:DSL。ウン。JTM45 ほど長い間は生産されてはいませんが、市場に的確なタイミングで参入してきました。スラッシュ・メタル用のアンプではないし、クリーンなアンプでもありません。「マーシャルのアンプ」です。ちょっと聞き飽きた表現かもしれませんが、これがマーシャルを有名にした音です。JTM45はなかなか買われません。クリーンが弾けないから。
S:良い答えですね(笑)。

P:ありがとうございます(笑)。

S:では、一番短命に終わったのは?

P:そう来ると思って今ちょっと考えていました。調べてみましょう…(間)…“Powercell”というコンボでしょうか。JCM800のシリーズで基本的には1×15"。リード、100Wのコンボです。

S:パワー何ですって?

P:Powercell(パワーセル)。こう呼ばれた理由は、搭載したスピーカーがセレッションのPowercellという名前だったからです。2年も経たないうちに生産終了してしまいました。多分全部で2~300台しか生産されなかったと思います。箱の大きさの割にパワフルすぎたのがマズかったかと…15インチのスピーカーが1発で、パワー段はストレートに100Wです。通常のJCM800のパワー部と変わらないんですから。音が箱っぽかった。

S:箱っぽい?(笑)

P:まさにその通り。鼻をつままれたような感じで、コントロール部でどういじってもそこを変える事が出来ませんでした。

S:(笑)

P:4×12"に繋げば素晴らしい音になりました。しかしコンボしか作りませんでした。だから、長続きしませんでしたね。

S:どんなヤツかなぁ?

P:テストもしたんですよ。ここにも1台あったんですが…。でもテストしただけでした。これは2バージョン作ったんです。1つは1×15"、もうひとつは1×12"。まず1×15"をやってみて、次に1×12"にして箱っぽさをなくそうと試みましたが、上手くいきませんでした。全く同じ音が出ました。低音が出るわけでもないんです。ただ、箱の音がするんです。 とにかくあれはもったいない製品でした。Pw_img_7799
スゴく良いものになるはずだったんです。でも、あれがここ50年作ってきた中で一番短命に終わってしまいました。
上部にコントロールがあって。ちょっと1959みたいですね、入力が4つあって…ボリューム、ベース、ミドル、トレブル、プレゼンス。それからマスター・ボリュームも搭載していました。だから、1959と2203の中間だといえます。

S:いい感じですよね~!

P:いい感じです。完全に新しいモデルでした。それまでは回路は…JCM800…つまり2210や2205みたいに、同じ回路を使って真空管の数を増やしたり減らしたりしていました。それで50Wや100Wモデルを作っていたんです。これは全く新しい回路を使いました。
これが回路の写真です。

S:ヒューズの数が凄いですね(笑)。

P:そうですね。問題があったわけじゃないんです。ただ音があまり良くなかった。というか理想の音を得られませんでした。

S:アンプとキャビネットの組み合わせが悪かったという事ですか?

P:はい。新しいアンプ、新しいキャビネット…。小さめに作って、地元のパブやクラブで弾けるようにしたんです。サイズは大きくないけれどパンチがある。

S:キャビネットがパワーを十分に受けきれなかったんでしょうね。

P:さすが!まったくその通りです。1978年から1979年の間に作られました。

S:短い!(笑)モデル・ナンバーは何番でした?

P:2150です。このシリーズの中で、実は他にも1年しかもたなかった製品があります。、Powercellが1977年の後半にスタートして1979年に中止された時に作られていました。、Club&Countryと呼ばれているモデルです。

S:それは知っています。

P:これも凄く良かったんですよ。とてもよく動きます。

S:茶色いのがマズかった…?

P:はい。それと、タイミングが良くなかったのか、あまり売れませんでした。誰かの決断で…外部の人間だったか内部だったかは覚えていませんが、とにかく生産中止になりました。

ビッグ・ダディ

S:あれは確かJCM800のファミリーですよね。

P:もちろんです、みんな同じファミリーですよ。JCM800というとマスター・ボリュームのことを思い浮かべる人がほとんどですが、確Pw_img_7778
かJCM800という名前の下には25種類の製品があります。

S:25も? それは一大家族ですね。

P:はい、2203と2204があって… 。

S:お父さんとお母さんですね(笑)。

P:はい、まさに(笑)。4010、4104、4103、そして4”×12"とマスター・ボリューム、そしてつい先ほどお話した2150、2140、2145、それから4001…あの小さなStudio 15です。それから4203…これはハイブリッド。3203はハイブリッドの30Wヘッド・ヴァージョン。だから、たくさんあります。

S:考えてみるとJCM800シリーズって本当に大家族ですよね~!

P:ええ、単独のアンプ・ファミリーの中では一番大きいんじゃないでしょうか。なぜならいろいろ々な製品が生産されていた時期でした。私達にとってブームの時期だったんです。作れば作るほど売れ、人気が出ました。

つづく

(一部敬称略 2012年9月 英Marshall社にて撮影・収録 ※協力:ヤングギター編集部、平井毅さん&蔵重友紀さん)