ここまでエラそうなことを言っている私だけど、空いているのを良いことに作品にへばり付いて見ているのは私ぐらいなモノで、実際にフェルメールの絵に接近して警備員に怒られたことがあったことも書き記しておこう。 海外の皆さんは「ああでもない、こうでもない」と移動したり態勢を変えながら色んな距離と角度で絵を楽しんでいらっしゃる。 なぜいつもはマジメで思慮深い日本人が美術展となるとこうも節度を失ってしまうのか?…チョット大ゲサだけど、コレはひと重にこうした芸術に関する「教育」に起因している思う。 ロンドンの博物館や美術館に行くといつも小学生の団体に出くわす。 下の写真はイギリス最大の美術館「ナショナル・ギャラリー」で撮ったモノだかが、このように各団体には担任の先生ではなくチャンとした学芸員が付き添って展示品や作品の説明をする。 生徒たちはおとなしくその説明に耳を傾ける。 こういうことがそうした場所でのエチケットを育むに違いない。 日本の学校でもそうした活動をしていなくはないのであろうが、歴史と下地が日本とは全然違う。 そういう意味では日本人の芸術やエンターテインメントに対する民度はまだまだかなり低いと思う。 そうした文化的な常識こそ海外のマネをすればいいのにナァ…といつも思う。 さて、話題を戻して… 初代の「BIRDLAND」では数々のライブ・アルバムがレコーディングされていて、「I Want to Talk about You」の名演でコルトレーンの作品なんかはつとに有名だ。 でも、ナント言っても「BIRDLANDのライブ盤」といえばアート・ブレイキーでしょうナァ。 「ハードバップの起点」との呼び声も高い1954年の『A NIght at Birdland』を筆頭に… 1959年の『At the Jazz Corner of the World』の2連作…1961年の『Meet You at the Jazz Corner of the World』の2連作…さらに1963年の『Ugetsu』。 「Ugetsu」というのは日本語の「雨月」のことで、このレコーディングの数か月前に来日していたブレイキーがその日本滞在の印象から「雨月」というアルバム名を決めたらしい。 意味合いは「幻想」だって…なるほど。 …となると1953年の溝口健二の『雨月物語』に触れざるを得ないナァ。 若い人みんなに観てもらいたい。 そして、もし気に入って「他の溝口作品を観たい」と思ったらどうぞ『西鶴一代女』をご鑑賞あれ。 世界に名だたる1950年代の日本映画の巨人は小津と黒澤だけではござらんよ。 他にも木下恵介、成瀬巳喜男、今井正等々の作品の数々はゼヒ観てもらいたい。そして、今日の脱線のハイライト。 『A Night at Birdland』の第1集に話は戻る。 下は私が大学の時に聴き狂っていた当時のジャケット。 このライブ盤には冒頭にBIRDLANDの名物司会者「ピー・ウィー・マーケット(Pee Wee Marquette)」の前説が収録されている。 「Pee wee」というのは「小人」ということね。 その「前説」とはこんな感じ。
「Ladies and gentelemen, as you know we have something special down here at Birdland this evening. A recording for Bluenote Records. When you applaud for the different passages, your hands go right on the record. That's so when they play therm over and over throughout the country, you may be some place and ah, so well that's my hand on one of those records, that I dug down at Birdland. We bring it back to the band at this time, ladies and gentlemen, the great Art Blakey and his wonderful group featuring the new trumpet sensation Clifford Brown, Horace Silver is on piano, Lou Dnaldson on alto, Curly Russel is on bass. And let's get together and bring Art Blakey to the bandstand with a great big round of applause. How about a big hand now fo Art Blakey, Thank you!」
さて、Sallyちゃんの「誕生前夜」ライブ。 入り口にはこんなにゴージャスな祝い花が贈られていた。「さらなる高みを目指して」…4月の始業式の校長先生のご挨拶みたいでいいね。 私が通った中学&高校の校長先生は明治39年(1906年)生まれのおジイちゃんで、マァ~とにかく飛びっきり話が長かった。 どうだろう、中高一貫校に通わせてもらった私の場合、校長が6年間変わらなかったので始業式や終業式、文化祭や体育祭等のイベントでの校長のご挨拶を延べ50回は聞かされたであろうか…イヤ、ご講話を拝聴させて頂いたであろうか? それがどうだ? 一体ナニをお話になっていらしたのか? 毎度いかなる箴言を頂戴していたのであろうか? 見事にナニひとつ覚えていない! お父さん、お母さん、ゴメンなさい…きっとあのダラダラとした長い話も月謝の一部だったのですね? 若者よ、年寄の言うことを聞きたまえ! そして勉強したまえ!大いに本を読みたまえ!自分自身のためだぞ!…とこの美しい赤いバラを眺めて思ってしまった(←ウソです)。 ステージのようす。 上下にMarshall。 中央にNATAL。 コレがロックを演る現場のデフォルトの光景だ。今下手に見えているMarshallは「JCM2000 DSL100」と「1960A」。ドラム・キットはNATALのブビンガ。上手にも「JCM2000 DSL100」と「1960A」。 そして一番上に乗っているのが「JCM800 2203」だ。さて、Sallyちゃんの「誕生前夜イベント」の最初のステージはCrimzon Flare。 バンド名の「z」の表記は私がスペリング・ミスをしているワケではなく「Crimzon」で正しい。 ちなみに日本人は時折「スペルがわからない」のように「スペル」という言葉を使うが英語的にはコレは誤用。 「spell」という言葉は「つづる」を意味する動詞で、コレを名詞として使うと「呪文」とか「魔力」を意味してしまう。 ジミヘンも「Purple Haze」で「Whatever it is, that firl put a spell on me」って歌っているでしょ? それ以前にはスクリーミング・ジェイ・ホーキンスの「I Put a spell on You」という有名なR&Bの曲があった。 だからどうしても「つづり」という意味で「spell」という言葉を使いたいのであれば「spelling」と動名詞にしてやらなきゃダメね。 だから「スペリング・ミス」ね…でも「Crimzon」は間違えではありません。