amber lumber~真夏のワンマン 森永JUDYアキラ生誕50周年 vol.4<後編>
征史さんの「I Wanna Be Your Blood」で第2部が賑やかにスタートしたところで雑談的にMC。
すると突然、アキラさんがとてもうれしそうに…
「もうバラしちゃうけど、今日は北海道の僻地から来てくれた人がいるんですよ!
興味の『興』に部屋の『部』って書いてどう読むか知ってる?…『興部(おこっぺ)』。
北海道でも『この人興部町から来たっぺ』って言うと『エエエエエエ!』ってみんな驚いちゃうぐらいのところ。
今日はそんな人が客席にいらっしゃいます。ホントにうれしい!
遠路はるばるありがとうございます!
いつも以上に頑張りますよ!」実はこの日の本番前、アキラさんも征史さんもお店で予期せぬ珍客に出くわして大騒ぎになっていた。
私が中学生だった今から約50年前、1週間ほど「士幌」というところの町はずれに滞在した経験があるんだけど、「隣の家まで10km」と聞いてブッたまげたものだった。
その時に美幌峠から見下ろした息をのむような屈斜路湖の美しさを今でも覚えている。
しかし、「興部町」は知らなかった。
そんなに遠いところなのか…と思って、ハイ、ココで「マーブロ地理教室」。
「紋別郡興部町」というのは下の地図で示したロケーションで今年現在の人口は3,536人。
札幌からの距離は271km。
札幌を東京に置き換えると岐阜市までと同じ距離。
ちなみに東京~興部間の距離は1,427km。
コレがどれだけの距離かと同じ距離を南下してみるとそこはもう東シナ海。
つまり、鹿児島を突き抜けちゃう。
そんな遠いところから突然ファンの方にお越し頂いた日にはビックリするわナァ。
ところで「おこっぺ」というのは、他の多くの北海道の地名のようにアイヌの「オウコッペ」という言葉に漢字を当てて付けられた地名で、それは「互いにくっつく川」を意味するらしい。
そのくっついている2つの川とはひとつが「興部川(おこっぺがわ)」。
そしてもうひとつは「藻興部川(もおこっぺがわ)」だそうです。
コレ…会話の中で聞き分けるのがムズカシイだろうな。
それにしても、よくもお越し頂いたものです。
ファンというのは本当にありがたいですね~。
アキラさん、興部に足を向けて寝たりしたら、そのお客さんが怒っぺ!
「アイヌ」で思い出した。
もうずいぶん前のことだけど、船戸与一の『蝦夷地別件』という小説を読んだ。
アイヌの文化や松前藩がアイヌに対してナニをしたのかについてとても詳しく記してあって、文庫で1,700ページにも及ぶ大著だったけどオモシロくて一気に読み通してしまった。
「ゴスカルリ」というアイヌ人の主人公のひとりの名前を今でも覚えている。
それと、コレは主に樺太が舞台になるけど、吉村昭先生の『間宮林蔵』もヤケクソにオモシロかった。「♪歌うことでしか生きていけない」…とアキラさんが声高らかに歌い出す「Herat to Heart」。征史さんのベースが後半から入るとサウンドがグッと厚くなり…一層アキラさんの熱唱に深みが増す。
なるほど…この曲には「ジャイアンの詫び状」的な個所が出て来るんですな。
換言するとアキラさんの自分の音楽に対する殊勝な心掛けの吐露…かな?
今回のショウの一連の流れでそれに気がついた。アルバム『Hundred Suns』の曲順通りに続けて「冗談じゃない」。
ココでもアキラさんのシャープなストラミングが大活躍。
フト思ったんだけど、これだけリズム感のいい人だからして、ビッグ・バンドで四つ切りを演ったらすごくいいんじゃね?
そんなアキラさんのお供はMarshallのアコースティック楽器用アンプ「AS100D」。
ストラミングもアルペジオもバツグンに美しい音を出してくれる。
もうひとつ…アキラさん曰く、バラードでギターのボディを叩いた時に出て来る音がとても気持ちがいいのだそうだ。アキラさんが猛然と曲を突き進む傍ら… !
第2部の冒頭で爆発した征史さんはココで再爆発!
ステージせましと頭を前後に揺さぶって…〆はジャ~ンプ!征史さんのお供もMarshall。
「1992 SUPER BASS」という70年代のベース・アンプ。
コレがamber lumberのライブのひとつのキモ。「増えましたね?」とアキラさんが尋ねたのは征史さんのエフェクト・ペダル。
コレね。
上がいつも使っているメインのボードで下はサブ。
「多いよね~。今日はリハの時にメインのヤツの音出なかったんでサブのヤツも並べて置いています。
まぁ、後で見に来てください。
だから今日はメインの方のペダルは1個も使っていないんですよ」
「そろそろお盆ですね。私の誕生日はお盆に近いからね。
今日ね、実はお葬式に寄ってからココへ来たんですよ。
だからチョットお盆には早いけど、今日ご先祖さまと話して来たから。
父の弟が亡くなったんだけど私が小さい時によく遊んでくれた人。
その叔父さんがかいた胡坐の上に私を乗せてギターを弾いてくれたという…覚えてないけどね。
後に始めたプレスの仕事で指を落としちゃってギターが弾けなくなっちゃった。
多分、私がこんなにギター弾けるようになったのは知らないと思う。
ずっと会っていなったから」
「いつも言うけどサ、自分がいて、お父さんがいて、お母さんがいて…そのまたお父さんとお母さんがいて…。
よく人が亡くなると『お星さまになる』って言うじゃない?
星ってスゴイ数じゃん?
その満天の星空の星が全部ご先祖さまで全員が私を見ているんだよ。
ナゼなら…私がご先祖さまたちの集大成だからなの。
私だけじゃなくて全員がそうなんだよね。
だからこのシステムはどういうことになってるのか?
なんで全員が集大成になれるのか?…よくわからないけど、とにかくそうなってんの」コレはアキラさん、いいことをおっしゃったよ。
ダテに50も齢を重ねていらっしゃらない。
ご先祖さまの存在ってスゴく不思議なもの。
おジイちゃんやおバアちゃんのレベルじゃないよ、英語で言えば「ancester」の世界。
ナニが不思議って、千年百年、連綿と続く血脈(けちみゃく)が残しているモノって今生きている我々だけなんだね。
当たり前のことなんだけど…。
だから政治家になっていようと上野公園で賛美歌を歌っていようと、今生きている人がその家系の最新バージョンなんですよ。
音楽家でも画家でもアーティストであれば誰だって新しく発表する作品はこれまでで一番良いものにしようと思うハズで、そうして出来上がった作品が我々であり、その血脈が生み出した「集大成」なのです…と思うのです。
イヤ、そうでなければご先祖さまに申し訳が立たない。
ま、私は期待ハズレだったろうけどよ。
一方ではその途方もなく長く続く血脈の中の誰かひとりでも欠けていたら今の自分はないんだからオモシロい。
ウチは孫が生まれて半年ほど経つんだけど、今のところ彼女がウチの「集大成」。
その孫娘の姿を私の肉眼で見ることができるのは、何事もなければ向こう20年とチョットぐらい?…それ以降は自分がお星さまになって見下ろすことになるワケだ。
その頃にはまた新しい集大成が出来ていることだろう。
コレが「動物」の営みよ。
今、この自然が育んで来たシステムの存続が危ぶまれているのだから恐ろしい。
コレは政治のせいではないんですよ。
「政治は国民の鏡」…この国が民主主義国家である以上、そうした政治とマスコミをズッと放ったらかしにしておいた国民の方が悪い。
要するにツケが回って来ただけの話なのよ。
国民は勉強しないと!
「民主主義」って「勉強するので我々にやらせてね」という意味だから。
あ、アキラさん、ゴメンなさい。
あんまり良い話を聞いたのでついエラそうなことを言ってしまった!
そんな話をしたアキラさんがひと言…
「なので一生懸命歌います」
曲は「ウートートゥ」。
情感をタップリ込めて歌うアキラさんと…繊細な低音で曲を彩る征史さん。
フレットレス・ベースってのはいいもんだ。
2人が作り上げたドラマが観客全員の心を揺さぶった。
いつかこの曲を聴いて号泣していた若い男性がいたからね。
わかるよ、その気持ちが。
「コレも良い歌だね。自分で言うのもナンなんだけど。
ところで8月は『平和を考える月』とかいつも言ってるけど、その叔父ちゃんって8月6日に亡くなったのね。
で、お婆ちゃんが死んだのも同じ8月6日なのね。
ウチには8月6日に亡くなったのが2人いるの。
で、今日が叔父さんのお葬式…何も私の誕生日に葬式をすることないじゃんね~。
明るい曲を演ろうかな…次もあんまり演らないヤツ」「あまり演らないヤツ」とは『Mother Moon』のクローザー「風が吹いたら」。
確かにあまり出て来ない1曲。|I|IIm|IV|I|をひたすら繰り返すコード進行の中で作られる物語。
速くもなく遅くもないテンポ感が実に気持ち良いメジャー・チューン。征史さんはココでもコーラスとメリハリの効いたベースの両方で曲に色どりを付けた。
「あまり演っていない」という割には曲への親近感が強いのはamber lumberの音楽性が一貫しているということなのだろう。「山本さんがセット・リストを考えてくれてたんだけど…次、『半分』でいいですか?
普通のバンドってセット・リストを書いて見えるところに置いているんだけど、amber lumberは置かないの。
自分の記憶力を強化できるのではないかと思ってそれをやってこなかったんですが、もう覚えられなくなってきた!」
ということで若干曲順を変更して「半分の月」。どうして急にこの曲を選んだのかしらん?
amber lumberのキラー・バラード。
向こうの人は「ヤバイやつ」、すなわち「切り札」的なモノのことを「killer」って言って、そのバンドの看板の曲を「killer tune」と呼ぶ。
舟木一夫で言えば「高校三年生」だ。
一方、「killer ballade」なんて言葉があるのかどうかは知らないが、「半分の月」はまさにamber lumberの音楽を定義づけるキラーな1曲だ。
アキラさんがこの曲を大切にしている感じがよく窺える。「ありがとうございました。
1曲終わるたびに終わりの時間が刻一刻と近づいております。
私たちズっと仲悪くやってきたけど、こうやって離れてみるとオモシロイことに仲良くなるんだよね」
「エ?
本当にありがたいなと思ってますよ…森永さんと出会えてね、本当に。
名古屋でソロのライブに呼んでくれた時も楽しかったですよ。
まさに音を出すというよろこびですね」」
「そう、こないだの名古屋の時、『山本さんはゲスト』とか言っていたんだけど、もう面倒くさいから『amber lumber』で演っちゃったの。
ナンカ、ズっと一緒に演っていく中で曲って段々進化していくんだけど、離れていても進化する思っているの。
今の曲は自分のソロでも歌っているんだけど、またチョット新たなフェーズに差し掛かってきた…え、フェーズってナニ?」本編の最後はいつも通りの「ここにある宇宙」。もちろん後半は征史さんの独壇場!270度足を開いてエフェクター(サブ)を操り…愛器を振り回しての大熱演!
ここに征史さんの「宇宙」が広がった!アキラさんの誕生日を祝うamber lumberの真夏の単独公演の本編が無事に終了した。 すかさずアンコール。
演奏に入る前に「森永さん!」と征史さんが声をかけると…
お客さんが歌う「♪ハッピバースデー」のメロディに乗ってケーキ登場!
「店長からです。
何回もやらせてもっらってます…ロウソクは5本立っております」「そう、だって50歳だから。
『生誕50周年 Vol.4』ってやっていますが、よく考えたら50歳の時が1回めだから、今回はホントは5回目だった!
どうもありがとう!」
「コレね、フ~する時、願いごとがひとつ叶うって知ってる?」
「フ~」とやったアキラさんの願いごとは「世界平和」。
「私の苦労や悩みごとなんてちっちゃいわ。
地震も怖いよね。政府があ~いう風になると余計に怖い。
あ、今日はそういうことを忘れて楽しむ日だ!
じゃあ、新曲をもう一度」
どうするのかと思ったらアキラさん、胡坐をかいてステージに座ってギターを弾き出した。
今回ミスったら痛棒を喰らわせてくれ!ということか?
イヤ、梓みちよ式ですって。すると征史さんが当意即妙にアキラさんの傍らに正座をしてベースを弾き出した。
さすが!冒頭とは異なり今回はスンナリと完走!
「歌えた!ありがとう。
30年ぶりの若葉マークで会いたい人に会いに来た~!」
よっぽどこの曲のことが気になっていたのであろう、大変うれしそうだった。さぁて、スッキリしたところで「とりあえずハッピー」。「とりあえず」では収まらない「ハッピネス」を振りまくアキラさん。「ありがとうございました!今日はすごくシアワセ!」征史さんの提案で最後は…「ヨイショ~!」
そういえば今日は相撲の話がでなかったナ。
ウチは相撲の情報といえばすべてamber lumber経由だ。
「どうもありがとう!」
ところが、会場の興奮とても収まらず。
「『ラッタカ』を演るとか言ってたけどズっと演っていなかったから出来るかどうか自信ないの。
お相撲さんってさ、1週間に1回くらいしか頭洗わないんだよね。
だけど洗う時にはシャンプーを丸ごと1本使っちゃうらしい…優しくな~い。
私もチョット髪が伸び過ぎちゃって、シャンプーを使ってます…優しくな~い。
みなさん、何でもいいから地球にやさしい活動をしてください…という歌ですからね!」
と観客に呼び掛けてノリノリで「ラッタカ」をキメて…
さらにもう1曲「呼吸とテレパシー」を続けた。
アキラさんの50歳を祝うにふさわしい充実の単独公演だった!
「どうもありがとう!」
アキラさん、50歳のお誕生日おめでとうございました!
amber lumberの詳しい情報はコチラ⇒amber lumber Official Web Site
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<Birdsong>
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