SYU AND MASHA Guitar Instrumental Live~シューマッシャー<後編>
昨年11月末に開催されたSyuとMashaのダブル・ヘッドライナー・ショウ『シューマッシャー』のレポートの<後編>。
マァその~、普段Marshall Blogに登場することのないガルネリウスのSyuさんを「Syuちゃん、Syuちゃん」と気安く「ちゃん」呼ばわりしているのは一体どういうことなんだ?…と、<前編>を読んで思われたガルネリウス・ファンの方もいらっしゃるのではなかろうか?
実はSyuちゃんとは昨日今日の付き合いでは全くないのだ。
しかし「久しぶり」どころか、今のMarshall Blogにご登場頂くのは今回が初めてのこととなる。
ということで、しばし私の「Syu史」をお届けしたいと思う。
まだYouTubeなんてなかった時代、「ヤングギター」誌は優れたテクニックを持つ若手ギタリストの演奏を収録したDVDを付録にして大きな人気を呼んでいた。
そのDVDの撮影のお手伝いをMarshallでさせてもらったのがそもそもの始まりだった。
2004年ぐらいのことであったろうか?もう少し前かな?
そのDVDの制作を監督していた当時のヤングギター誌の編集長にSyuちゃんをご紹介頂いたのだ。
撮影では演奏用のMarshallは当然のこと、画面をにぎやかにするための背景に設置するフル・スタックも大量に用意した。
ずいぶんやったっけナァ…。
この時、当の編集長にはSyuちゃんの他にも新進気鋭の若手ギタリストを大勢ご紹介頂き今でも感謝している。
2005年の暮れには『マーシャル祭り』というイベントの3回目を開催し、Syuちゃんにもご出演願った。
私が司会を務め、ジム・マーシャルの名代でイギリスから招いた令嬢のヴィクトリア・マーシャルが舞台挨拶をした。
後の「JVM」の「V」ね。
そういえば同じ2005年に『GUITAR INST de METAL~オヤジ魂~』と銘打ち、古今のアメリカのテレビ・ドラマや映画の主題歌をギターで演奏してCDを作るという企画があった。
Syuちゃんは何の関りもないであろうにヘンリー・マンシーニの「ピーター・ガンのテーマ」と「サンダーバード」を弾かされていた。
収録はライブ形式の一発どり。
それはいいんだけど、「ミスをした時の保険」ということですべての曲を2回連続で演奏した。
一発で満足に仕上がった曲でも2回演奏するワケ。
だから「一発録り」ではないな…「二発録り」。
コレがですね、その場にいて想像を絶するキツさなのよ。
飽きるのなんのって!
試しに普段聴くことがないCDを使って家で実際にやってごらん、11曲分。
特段好きでもない曲を2回ずつ連続して聴くということが想像をはるかに超える苦痛だということを身をもって知ったライブだった。
その後、Marshallは2006年から2007年にかけて「Vintage Modern」シリーズと現在でもフラッグシップ・モデルの座を務めている「JVM」シリーズを発売した。
まだジム・マーシャルがピンピンしていた頃…と言いたいところだが、ジムは2006年に不幸にして倒れてしまい闘病生活を余儀なくされた。
1962年のMarshall創立以来2日しか休んだことがなかった人だ。
だからその時もジムは周囲の制止を押し切り、不屈の闘志で病院から一時抜け出し、そして撮影したのが下のJVMとVintage Modernのポスターの写真。
確か倒れてから数日後のことだったハズだ。
これもYouTubeがなかった頃の古き佳き時代のイベントと言えようか?
『Marshallロードショウ』と称した楽器店のホールやスタジオにお客さんを迎え、クリニック形式でMarshallの商品の魅力を伝えるイベント。
コレは(当時)本国のイギリスで励行していたプロモーション手段で、私は人前でしゃべるのが結構好きなものだから職権乱用で司会をやらせてもらい、ヤングギターの編集長にご紹介頂いたギタリストの皆さんにデモンストレーションをお願いして盛んに開催した。
そんな中、最も多数回デモンストレーターを引き受けてもらったのがSyuちゃんだったのだ。
私が商品の説明をしてSyuちゃんがデモンストレーションをして感想を語り合う…みたいな内容。
当時はどの楽器メーカーも同じようなことをしていたが、今ではもうスッカリ見かけなくなってしまった。
「チャンネル登録と高評価お願いします」ばっかりだもんね。
インターネットを通じての音などではなく、本物ドンズバの音を目の前で聴かせるワケだから、そりゃオモシロイにキマっている。
Syuちゃん人気のおかげでどこでやっても満員になった。
ロードショウ内での演奏の内容はシューマッシャーと同じ。
バッキング・トラックに合わせてガルネリウスの曲をバリバリ弾いて見せてくれた。
もし今、ロードショウができるのであれば、真っ先にシューマッシャーの2人にお手合わせをお願いすることだろう。
当時、ナニせVintage ModernとJVMが出て来てくれたおかげで、ネタに困ることが全くなかったし、Syuちゃんも極上のプレイで商品の魅力を的確に伝えてくれた。
何度もやっているウチに私がする説明の内容を覚えてしまって、Syuちゃんが私より先に商品を紹介してしまうなどという場面も出て来るようになった。
下の写真はSyuちゃんの演奏を集中して聴いている私。
寝ているワケではありません。
コレは2007年の3月。
フランクフルトでもSyuちゃんと一緒になった。
当時世界最大の規模とされていた楽器の展示会『Musik MESSE』にユウキさんと2人で某メーカーのデモンストレーターとして参加していたのだ。
激しくも精緻なパフォーマンスで2人とも大きな歓声を浴びていた。
2008年の4月にMarshall Blogがスタートすると、イの一番でインタビュー記事に登場してMarshallについて語ってもらった。
コレは2011年末に終了して現在は閲覧することができない旧Marshall Blogに掲載した記事なんだけど、読みたい人っているかしらん?
一方、ヤングギターのDVD制作のお手伝いは色々なスタイルで継続し、とうとうこんなコンピレーションDVDまで作って頂いた。
腕利きのギタリストが数人集まりVintage ModernやJVMを使ってしのぎを削る…というコアなギター好きには堪えられない好企画だった。
JVMとVintage Modernのプロモーションでこんなことをやったのは世界で日本だけだぜ。
その後もMarshallの快進撃は続き、ランディ・ローズのシグネチャー・モデル「1959RR」やケリー・キングの「2203KK」を発表。
こっちもそれに応えてSyuちゃんとのロードショウを頻繁に開催した。
ネタに困ることは一切なかった。
そういえばこの頃はF1の「ミハエル・シューマッハ」が人気だったのかな?
Syuちゃんは待ち時間になると「F1」のドライブ・ゲーム(っての?)に夢中になっていて、「このシューマッハの『シュー』は『Syu』の『シュー』なんですよ」みたいなことをよく言っていた。
だから「シューマッシャー」の息吹は20年以上前からあったワケだ。
ロードショウを通じてずいぶんと色々なところを回った。
東京都内や近郊はもちろんのこと、札幌、仙台、新潟、名古屋、岐阜…九州には行ったっけかな?
新潟の盛り上がりなんてスゴかったナァ。司会をしていてとてもオモシロかった。
一方、大村くんと松山に行ったことはあったが、Syuちゃんとは四国には行かなかった。
それと幹大ちゃん。
藤岡幹大さんともずいぶん色んなところを回った。
八王子でのロードショウを終えて、そのままSyuちゃんの車に乗せてもらって松本へ向かったこともあった。
私が「イヤだ」って言っているのに車の中で強引にドリーム・シアターを聴かせようとするのよ!
この時、仕込みを担当してくれた私の同僚の営業マンがSyuちゃんの本名を知らなかったので、仕方なく「周富徳」の名前でホテルの予約をしようとしていたのには大笑いした。
仙台では一緒に牛タンを食べに行ったり、冬の札幌ではSyuちゃんの目の前で私が足を滑らせて宙を飛んでスッ転がってみたり、いつも笑いが絶えなかった。
そして、Marshall Blogがスタートした翌月からロードショウを開催するたびに毎回レポートを掲載した。
調べてみると最後のレポートがMarshall Blogに載ったのは同年9月の「郡山」の記事だった。
合計で6回ほど記事を掲載した。
改めて驚いてしまったのだが、つまり5か月の間に6回ものハイペースでロードショウを開催していたのだ。
レポートは今みたいな微に入り細を穿つような内容ではないし、現在では一般公開もされていないが、「日本マーシャル史」の記録としては貴重になモノになったと思う。
もちろん全部保存してある。
そうそう!
SyuちゃんはMarshallの上にいつもピックを入れるためのハロウィンのカボチャと指板の潤滑油のスプレーを置いていた。
いつもキチンとSyuちゃんの背中の方を向いているカボチャが演奏を見守る魔除けみたいな感じだった。
最近では大音量を疎んじることも珍しくなくなってしまったが、この頃はロックが爆音を大歓迎していた時代だった。
デジタル・テクノロジー前夜、SyuちゃんのおかげでのMarshallの良き時代にドップリと仕事をすることが出来たことを本当に幸せに思っている。
私も一生懸命に取り組んだ。
そうした努力の積み重ねが認められて2009年にMarshallから表彰された。
ところがこの後、SyuちゃんがMarshallを離れてしまったため、ロードショウにもMarshall Blogの記事にも登場することがなくなってしまった…というワケ。
結局はまたMarshallに戻って来てくれて、もうかなりの時間が経ったので今回ご登場頂く運びとなった。
ナント18年ぶりのこととなる。
ありがとう、Syuちゃん!
さて、シューマッシャー「Syuの部」の3曲目は強烈なタッピングのイントロから…
巨大な岩石が猛スピードで転がり落ちて来るような過激なサウンド…と思ったら転がって来たのは「重金属」だった!
イントロからして規格外にスリリングな「GR Metal」。
大人しめのメロディアスなパートを経て…
一分のスキもないソロを通過して怒涛のエンディングに持って行った!
この曲もスゲエ。
「暑いッ!どうもありがとうございます!」
ちょうどこの頃は中国とのあの問題が勃発した時分だった。
ガルネリウスはその直前に中国ツアーに出かけたが、何事もなく成功裡に終了したことが報告された。
Syuちゃんも全曲インストゥルメンタル・ナンバーで揃えたかったのだが、ガルネリウスの曲を聴かせたかったのでセットリストは歌入りの曲を選んだことに触れた。
続いても爆発的なドライビング・ナンバー「Heartless」。
今SyuちゃんがMCで言っていた歌入りの曲。
しかし、音がデケエ!
うれしいネェ。ロックはヤッパリこうでなきゃイカン。
しかもSyuちゃんは歌やキーボーズのバッキングの時、ノン・ミュートでフル・ストラミングするものだから尚更音がデカく感じる。
でもこの芸当はなかなか出来ないよ。
さすがはSyuちゃんだわ。
もはやどこがソロだかバッキングだか区別がつかないようなギター・パートの濃密さ。
ドラマ性の高い曲をギターが一層パノラミックに演出して…
Syuちゃんのコーナーを締めくくったのは「I Believe」。
最後もツーバスの連打が迫りくるドライビング・ナンバー。
「オリャ~!(←実際には叫んでいない)」
会場の中を縦横無尽にギターが光速で飛び回る!
スゲえソロだぞ、コリャ。
そしてこの曲のエンディングはレナード・バーンスタインに指揮させたいぐらいの一大スペクタキュラー!
コレは聴く者に感動を与えるというモノだ。
これにて「Syuの部」は終了。
Syuの詳しい情報はコチラ⇒GALNERYUS Official Website
シューマッシャーの部
「Mashaさん、再登場してくれ~!」とSyuちゃんが叫ぶとMashaくんがただちに登場。
そしてこの日のハイライト。
再びシューマッシャーの部に突入した。。
「カッコいい…感動しました。スゴイな。
今から私も混ぜて頂いてガルネリウスの曲を演らせて頂きます!」
「Mashaの好意でガルネリウスの曲を演奏させてくれということでこういう企画が実現したのでございます。
決して私がサボったワケではありません!」
まずは「Emotions」。
Syuちゃんが先行でメロディを奏で…
Mashaくんが受け止める。
2人とも実に巧みに、流麗にメロディを歌い上げた。
双方Marshallなので音の相性もバツグンに良いのだ。
MashaくんのMarshallは…
今回初登板の「JCM900 4100」と「1960A」。
一方のSyuちゃんは…
「JCM2000 DSL100」と「1960A」。
コレは本当に驚いてしまったんだけど、Marshallの上に置いてあるカボチャね。
上で触れたカボチャと同じモノなんだって!
つまり20年以上このピック入れにしているカボチャを使い続けているのだ。
なんて物持ちの良い人なんだろう。
その隣りの指板潤滑油の銘柄も変わっていないようだ。
Syuちゃんは業界定番のあの黄色いヤツを昔から使わない。
もちろんソロのパートでは丁々発止と渡り合った。
とても楽しそうなお2人さん。
「ギター2本の『Emotions』はなかなかないんでね。
普段はユウキネンが弾いているパートをMashaに弾いてもらいました。
本当はシューマッシャーで曲も作ろうとしていたんだけど今回は時間がなくてできなったねんな。
もし作るとしたらMashaはどんな曲がええ?」
「弾かせて頂きました!
曲ですか…激しい、泣ける…みたいな」
コリャ、2人の共作に期待できそうですな?
SyuちゃんがSilexやガルネリウスの近況や予定を説明。
また、2人が使っているSyuちゃん作のオリジナル・ペダルについても言及。
「Marshallにチョットだけ音を足さささささせて頂いております。
Marshallとの相性もバッチリでございます!」
イエイエ、どうぞ好きなようにやってください。
そして、Mashaくんが話していたBRAND NEWがらみの2人のなれそめを詳しく説明し、できるだけ近いウチにまたシューマッシャーを開催することをSyuちゃんが宣言して大きな歓声を浴びた。
シューマッシャーの2曲目は「Voice in Sadness」。
開放弦を使ったフレーズをユニゾンで弾いてイキの合ったところを見せる。
この曲でもSyuちゃんが先行でソロを弾き…
Mashaくんがバリバリと追撃。
そしてエキゾチックなフレーズを完全ユニゾンで合わせた。
「楽しんで頂けましたでしょうか?
追い付かなきゃ!と必死でしたがその瞬間がすごく楽しかったです。」
「自分のバンドはギターが1人なので、Mashaみたいな腕の立つギタリストと一緒に演奏するのは刺激以外のナニモノでもないんです。
最近はこういう機会がないので本当にいい刺激になったと思います。
ありがとうMashaさん!」
「そういえば!」と、ココで昨年Mashaくんが共演したウリ・ジョン・ロートの話。
Syuちゃんがトクトクとウリのギターの魅力について語った。
大好きなのね、ウリ。
ホラ、この通り。
20年前、フランクフルトでウリと撮った写真。
とてもうれしそうだった。
「第2回シューマッシャー大会」を締めくくったのは「Raise my Sword」…だったんだけど、その前に「RMS Session」と題して1曲分に相当する前奏曲が追加された。
マイナー曲の定番コード進行に乗せて奏でるユッタリとしたバラード・ナンバー。
泣く子がダマらずもっと泣いてしまいそうな哀愁のメロディがテンコ盛り。
徹底的に泣かせておいて…
一変して「Raise my Sword」で究極のメタル・ゾーンへ!
さっき泣いていたのがウソのような激しさ!
2人でシュレッド・ギターの真髄を見せた!
最後は2人の壮絶なカデンツァ。
もうコレはシュレッディング・ギターの大津波だ!
2人ともカッコよかった~。
「ありがとうございました!
Syuさん、皆さん、どうもありがとうございました!」
「オン・ギター、Masha!」
「もう最高!としか言いようがない感じの締めくくりができたと思います。
ひとつ前に演った曲はMashaが絶対にいい感じに泣いてくれるやろと思って作ったんですよ。
モロにそんな感じで泣いて下さいました。
ありがとうございました!」
「また近いうちにMashaと出来たらと思います。
その時にはまた遊びに来てください。ありがとうございました!」
「楽しかったです!皆さんありがとうございました!」
最後はみんなで記念撮影。
次のシューマッシャーも楽しみにしています!
(一部敬称略 2025年11月29日 四ツ谷Honey Burstにて撮影)