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2014年6月

2014年6月30日 (月)

横浜ハードロック・フェスティバル~吼えろDYNAGON!

古今亭志ん生のくすぐりに「なまじ顔がついてるばっかりに苦労している女性がたくさんいる」というのがあった。
今のご時世、こんなことを公の場で言ったら大変なことのなるかも知れないが、それは昭和の大名人、これを聴いて怒ったりする女性などいるハズもなく、師匠も自分の顔も人のことをとても言えた義理ではないこともあって、大ウケのネタのひとつであった。

音楽でも同じことが言える場合があると考えている。それは歌詞だ。
「恋愛」は歌の永遠のテーマゆえ、まだ「惚れた、はれた」の単純な愛の詩なら構わないのだが、取るに足らない「がんばれ」だの「負けるな」だの陳腐な人生応援歌にテレビで出くわすともう虫酸が走る。そんなにイヤなら見なきゃいいじゃないかって?ハイ。即チャンネルを変えています。
言っておきますが、いい歌詞はいいのですよ。昔のユーミンや陽水、ロックでは頭脳警察なんてあまりにも素晴らしい。

それならいっそのこと歌詞などない方がいい。なまじつまらん歌詞がついているばっかりに音楽をさらにつまらなくしているのだから…。
それで…というワケでもないが、このMarshall Blogでもそういう歌のないインスト・バンドを数多く紹介してきた。SHARAさんのmintmints、三宅さんのStrange, Beautiful and LoudD_Drive、そして今日また紹介するDYNAGON。
ま、コレを「怒り新党」的に勝手にひとくくりにすれば「新四大インスト・バンド」ということになる。

ところがですね、このインスト・バンド、「諸刃の剣」というか「紙一重」というか…つまらん歌詞がないのはいいのだが、今度は曲に魅力がないと聴く方は地獄の苦しみとなってしまう。

もうひとつのポイントはアドリブ・パートだ。
アドリブ・パートがないインストゥルメンタル曲は退屈極まりない。もちろんアドリブの内容もしかり。インプロビゼーションが生む奇跡の瞬間に立ち会うのもインスト・バンドを味わう大きな喜びなのだ。
それにはもちろん演者の力量がモノを言う。

昔、山下洋輔のエッセイで読んだことがあったが、山下さんが若い頃にElvin Jonesと共演する機会があった。残念なことにその時、Elvinは風邪か何かで体調を崩していた。しかし、快く共演を引き受けてくれて山下さんはシャカリキになってソロを弾いた。
それを聴いていた音楽の専門家が、演奏後、会心の出来と喜びを隠せないでいた山下さんにこう言ったという。「あんなつまらないソロを延々と弾きやがって…Elvinがかわいそうじゃないか!」
山下洋輔さんですらこうなのだ。
本当に人を納得させて感動させる器楽演奏がどれだけムズカシイかを示唆する話しではなかろうか…。

その点、先に挙げた「新四大インスト・バンド」はどれも高いクォリティの曲を最上の演奏と最高の音で聴かせてくれる素晴らしい連中だ。それでなければMarshall Blogでは取り上げられない。
この「四大」が「五大」、「六大」と拡大していくことを期待している。

さて、そのDYNAGON。先日鹿鳴館でのステージをレポートした。今日は、その翌日に開催された『横浜ハードロック・フェスティバル』でのようすをお伝えする。

10中野重夫

20v加藤剛

30v宮田叔侑

40v増井康博

50vシゲさんは前日同様、持参したSUPER100JHのヘッドを使用。

60v足元のようす。Rolloverの時とは全然違うがシンプルであることに変わりはない。

70やはりKT66がアンプリファイする究極に太いトーンが実にきもちよい。

80vドラムの増井さんはNATAL。

90v12"、13"、16"、22"のスタンダードなコンフィギュレーション。フィニッシュはグレイ・スパークル。

100シェルの材質はアッシュ。歯切れのよいクリスピーなサウンドが小気味よい。やはりNATALのバスドラは材の質を問わず驚異的な鳴りを実現してくれる。

110剛さんのシンセに導かれしオープニングは「Hammerhead」。ちょっと「Freeway Jam」を思わせるハードなチューン。

120
こういうヘヴィな曲にはやはりヘヴィな低音が不可欠だ。

140この曲だけでなく、すべてのDYNAGONのレパートリーにおいてトシさんのどこまでも重いベースが大活躍する。スラップもハーモニクスも関係ない。これがハード・ロック・ベースだ!

145vん~、この「Hammerhead」、意表をついて何回か転調して終わるところが何ともカッコいいぞ!

2曲目は渋めに「Radial Walk」。

1503曲目は「Parasise a Go Go」。これは元はロシアのボロディンの「韃靼人のおどり」。あのいつかやってたタバコのCMソングね。
それをThe Venturesが「Ten Seconds to Heaven」というタイトルでカバー。シングル盤として発売されたコレの邦題が「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」だった。
それをハードにアレンジしたのがDYNAGONバージョン。
中野重夫といえばJimi Hendrixだが、実はルーツはThe Venturesなのだ。
シゲさん曰く「Jimi HendrixとThe Venturesが何でもできて、ピックが一枚あれば日本国中どこでもいっしょに演奏できる仲間が見つかるな~」
素敵な話しだ。この普遍性の高さはそのまま音楽のクォリティに直結していると思えまいか?

160Deep Purple、Uriah Heep、Greenslade、Brian Auger、鍵盤が活躍するロックはカッコいい!

170v剛さんのキーボードなくしてはDYNAGONサウンドは実現しない。つまり、剛さんのキーボードがDYNAGONのカッコよさの大きな部分を担っているのだ。
260v

シゲさんのアルペジオのイントロからドラマチックに展開するのは「The Art of Nazka」。
235v
MC担当のトシさんによれば、古代、DYNAGONが地球に来た時に、次回来る時の目印にあの大きな地上絵を描いたそうだ。
あ、この話しは気にしないでください。
230v
コンパクトなプログレッシブ・ロックといった風情でコロコロとシーンが変わっていく。
200
メイン・テーマはシゲさん。
とてもジミヘンを演っているとは思えないモダンで(それでも70年代風)リアル・ロック・テイストに満ちたソロが素晴らしい。

190v「Put the Metal to the Pedal」。この曲好き。
シゲさんとトシさんのハードなイントロ・リフから、剛さんが奏でるテーマが何とも愛らしい。特にテーマの4小節目。このメロディは出にくい。

210xまたしてもシゲさんのド派手なソロ!どんなソロかはこの写真の表情で十分伝わるだろう。
130v

手数が多いわけでも音が特段大きいワケでもない。しかし、実にシャープで的確。とても印象に残るドラム。そんなドラミングがヤスさんの身上だ。
「オレが、オレが」的でないヤスさんのドラムは、自分の仕事では絶対にミスを許さない厳格な雰囲気さえ漂う。こういうドラムがいなきゃシゲさんもフロントでああは暴れられないよ。
そのヤスさんをサポートしているのがNATAL。相性がとてもいいようだ!

240最後はテーマ曲、「DYNAGON」。コレもいいナァ!

280v
これはテーマのバックで好き放題弾いているトシさんに「たいへんよくできました」でしょう!メッチャかっこいいわい!
それとリフのハモりがスンゲェ快感。

270vそしてこの曲のハイライトはコレ…剛さんとシゲさんの壮絶なバトル。

290 キーボードを前後に大きく揺さぶり感情をさらけ出す剛さん。を前後に
180

剛さんの激演に引けを取るワケにはいかないシゲさん!
220v
今回はイベントで時間が限られていたのでこのパートはやや短めだったが、個人的にはもっとやってもらいたいナァ。2人ともどっかの血管が切れるまでバトルして欲しい。
1dimg_0510
ギターxギター、ギターxベースというバトルは珍しくないけど、最近はキーボードが目立って活躍するバンドは滅多にないからね(岡垣さんがいるのもありがたい)。
貴重な場面なのだ!

310v …とこうして全6曲を演奏。
会場は初めてDYNAGONを見る人ばかりだったハズだが、大きな歓声が巻き起こっていた。

300vやっぱり曲がいいですよ。
彼らは私より少し年上で、私なんかよりロックのいい時代を直接経験した人たちだから、やっぱりロックに対する感覚がより本質に近いのだと思う。
年を取っているからこそできる音楽だ。ロックの世界では老兵は去るワケにはいかないね、シゲさん!あ、シゲさんたち全然老兵十じゃないね、「ベテラン」という言葉に置き換えよう!

それとね、楽器の音ですよ。みんなナチュラルな音だからいくら爆音でも聴いていて全然うるさくない。当然機材はシンプルだ。
こういうバンドに接している限りはロックの「世界の終り」を忘れさせてくれるわい。
ジャンジャン新曲を書いて日本国中で暴れまわってくれることを期待している。

今こそ吼えろDYNAGON!
250
コンサート会場限定で販売している5曲入りのミニ・アルバム。1987年に一発録りでカセット・テープに吹き込まれた音源がそのまま詰まっている。メッチャ演奏ウマい!
330cd
DYNAGONの詳しい情報はコチラ⇒公式facebook

320vNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
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(一部敬称略 2014年5月18日 横浜7TH AVENUEにて撮影)

2014年6月27日 (金)

【追悼】小川文明さんのこと

2014年6月25日、ありとあらゆる音楽ジャンルにおいて活躍し、日本の音楽シーンにその名を轟かせた名キーボード・プレイヤー、小川文明さんが天に召された。享年53歳。

B_img_0651_2実は私の文明さんとの関わりはそう古くなく、始めてステージを拝見したのがこの2010年の7月に催された50歳のバースディコンサートのことだった。
しかし、それ以前より「Black Page」や「Suzy Creamcheese」などという文明さんのバンドの名前に親しみを感じていて、いつかお近づきになりたいと日頃から願っていた。双方Frank Zappaの代表曲の名前だ。

Flyer_2「こういうのがあるから見に来ない?」と令文さんに誘われてMarshall Blogの取材でお邪魔し、ついに文明さんのステージを拝見した。

B_img_0613 行ってみるとコレが最高のショウで、今、当時のMarshall Blogの記事を読み返してみるといかに自分が大満足したかのようすがよくわかる。

B_img_0423_2Bob Dylanの「My Back Pages」をKeith Jarrettのアレンジで、しかも日本語を乗せて歌ったのがものすごく印象に残っている。
このKeithのアレンジは当然、インストルメンタルで、ハッキリ言ってDylanのバージョンより格段に切なく、美しく、まるで違う曲のようで、私はこのKeithの演奏が大好きだった。
それにあの文明さんのウォームな声で、しかも日本語の歌詞を乗せたところがあまりにも素晴らしかったのである。
それとPaul McCartneyの「Junk」も感動的だった。普通こんな曲を演る人はいないからね。
B_img_0418この鍵盤ハーモニカのソロもよく覚えている。Donard Fagenみたいにカッコよかった!
B_img_0521_2出演者全員から50歳の祝福を受けて、文明さんは始終うれしそうにしていた。

B_img_0435アンコールはDave Masonの「Feelin' Alright」を歌って大いに盛り上がった。

B_img_0725_23時間を軽く超す長丁場だったが最高に楽しかった。

B_img_0732_3ところで、文明さんはギターをお弾きになったものの、もちろんキーボード奏者でMarshallは関係ないと言えば関係ない。
しかし、文明さんはMarshall Blogにご登場いただいた回数が最も多いキーボード奏者のうちのおひと方なのだ。
それは和佐田達彦さんのバンド、SPICE FIVEに参加されていたからだ。

「今度こんなバンドに参加します」…と田川ヒロアキさんから情報を得、駆けつけた。第1回目、つまりデビュー・コンサートからお付き合いさせていただいたのだ。
すなわち、2011年1月10日、高田馬場の音楽室DXに出演したSPICE FIVEで文明さんにお会いしたのが2回目だった。

S5_1_1_2SPICE FIVEは音楽達人たちの即興演奏と筋書きのない爆笑トークをセールス・ポイントとしているバンド。

S5_1_2_2この時もよっぽど楽しかったらしく、当時のマーブロの記事を読むと「このバンド、個性のかたまりで実におもしろい。ずっと続いてくれることを望む」などと記している。

その望みがかない、そのひと月後、2011年2月16日にもDXを訪れた。

B_img_1731_23つ前の写真とほぼ同じだが、違う日に撮影したモノ。

B_img_1560_2ひと月前のステージに引き続き、2回目も相当楽しんだようで…
『演奏は極めてシリアスなのだが、曲間のMCが異常なまでにおもしろい。和佐田さんと文明さんという最高のエンターティナーがいるから当然か?今日は「似てる」シリーズで盛り上がった。
「完全無欠のロックンローラー」とWeather Reportの「Birdland」って似てへん?」と文明さん。こういう落差の大きい比較がおもしろい』

文明さん「♪つっ~ぱって」のところを指していらっしゃる。「エリンギ」と「レギンス」の区別がつかないという話しとかね…。

B_img_1619
爆笑したのがコレ…
『文明さんの「似てる」シリーズではホント腹が痛くなるほど笑わせていただきました。何かの加減でアフロ・ヘアの話しになると突然、「ナァ、レッツゴー3匹の長作ってスタンリー・クラークに似てへん?」と言い出す。もうこれにはハマッた。長作とスタンリー・クラーク…この溝がおもしろい!終演後もうひとつ教えてくれたのが「ショーケン(萩原健一)とジャコ・パストリアス…どやッ?」!』
さらに、後日わざわざ私のところに寄って来て「ナァナァ、桂三枝とブライアン・フェリーって似とるやろ?」…というのも笑ったな~。

お笑いネタはトークだけでなく、音楽的に私の好みに合致した。
『話しがマイルス・デイヴィスに及び、突然「ピノキオ(『Nefertiti』収録)ってどんな曲やったっけ?」とピラピラといかにも適当にピアノを弾いて「あの頃のマイルスの曲って何を弾いても合ってまう…」とボソッとおっしゃる。もうコレがおかしくて、おかしくて!思い出せば思い出すほどおかしい!』
この当時のMiles Davis Quintetといえば、音楽的に最も高度な時期で、名実ともに世界最高のジャズ・コンボだった。それをこうしてギャグに当てはめてしまうところが何ともスゴイ。

「高田の馬場ラーメン戦争」という曲では大胆にChick Coreaの「La Fiesta」のメロディを突っ込んでみたり、音楽を知っていれば知っているほど楽しめるのが文明さんのパフォーマンスだった。

B_img_1804_2その後、東日本大震災が起こり、しばらくの間、Marshall Blogが休刊した。

そして、その再開第一弾の記事もSPICE FIVEだった。おそらく休刊中に取材したSPICE FIVEのステージのもようをいち早く読者に伝えたかったのだろう。

2011年3月30日、SPICE FIVE、3回目のステージ。この日は怪獣に話しが及んだようすで…「ゴジラ⇒ゴジラの使いまわしのジラース⇒怪獣博士⇒ゴモラ⇒ソドムとゴモラ⇒へドバとダビデ⇒♪ナオミ・カムバック…ときて文明さんが「B面がヘブライ語!」と落とす。爆笑!』…なんて展開になっていた。

B_img_0332_3当時SPICE FIVEは、ほぼマンスリーで音楽室DXに出演していて、翌月にも(4月20日)取材に出かけている。
この時はダイエットが話題になり…『和佐田さんおすすめの「下痢ダイエット」…と聞いて黙っていられないのが文明さん。すかさず…ゲイリー・ピーコック!』
私的にはGary MooreでもGary CooperでもなくGary Peacockというところがうれしかった。Keithがお好きだったんですね。

B_img_0413_2この時は珍しく「Little Wing」を歌われている。

B_img_0349そういえばこんなこともやった。
SPICE FIVEはといえば「音楽達人」の集団。楽器を巧みに操るメンバーの手を紹介する…というもの。
コレは弾き方が間違っていますね!

B_img_0365文明さんの手。

B_img_0361この日の〆は文明さんのオハコ、Dave Masonの「Feelin' Alright」。

B_img_0534_23回目ともなると大分慣れて来て、文明さん、客席に乱入。
『「前に座ってる人は運が悪いです!」と前列のお客さんにひとりずつ絶唱させた!』
さらには…
『森進一バージョンも登場!「こんばんは、森進一です。今度レッド・ツェッペリンというバンドに入りました!」と「移民の歌~森進一バージョン」を交える。全員大爆笑!しっかしミュージシャンってこんなことばっか考えてんだよね~!最高!』

ホントにおもしろかったな~。

B_img_0528_2文明さんはその豊かな音楽的素養を活かし、さまざまなユニットで活動されていたが、これのそのうちのひとつ…小川田川。
2011年6月8日に一度だけ取材している。
B_img_0697_2ここではお互いのオリジナル曲を持ち寄り演奏するという内容がメインで、SPICE FIVEを「動」とするならば、メンバーの少なさもあって小川田川は「静」というイメージで、しっとり系の文明さんを味わうことができた。
B_img_0724Randy Newmanの曲なんかも演奏していたな…イメージがピッタリだもんね。

B_img_0735_2ステージの合間の休憩中にカンパイ!

B_img_0772_22011年の6月にもSPICE FIVEは音楽室DXに登場したが、海外出張かなんかにあたってしまい、見逃さざるを得ないこととなり悔しい思いをした。1回目から皆勤だったからね。
そんなだから次の7月15日は早くから予定を空けておいた。

B_img_0011よく覚えていないのだが、どうも文明さん「ダイアナ」を歌われたようで…
『文明さん曰く、「昔のムード歌謡のリードボーカルの人って何で時々ヨーデルみたいになるんやろな?」っと実演。もうこれがメチャクチャおもしろくて…もうハラ痛いわ。平井堅のモノマネも大披露!』…などと記録に残っている。
B_img_0143和佐田さんとのトークのコンビネーションは絶好調…
『ナゼかここで文明さんから和佐田さんに質問。「ナァ、パフュームとゴールデン・ハーフってどっちが好き?」 なんでこんな質問?
和佐田さんから「それはわからんナァ、でもな、友達がホンマに間違うとってん。『バキュームのポリタンク』って…」
すかさず文明さん「それはないヤろう!」』…こんな調子。

B_img_0100文明さんは写真もお好きで、持参した自分のカメラを私に預けては、「演奏中の自分を撮ってくれ!」と頼んで来てくだすった。
ところが、そのカメラがコンパクト・カメラの割にはズームのない単焦点レンズのカメラで、アップで撮るのがすごく大変でいつも苦労した。
こちらもマーブロ用の写真を必死に撮影しているワケで、時として文明さんのカメラで撮ることをすっかり忘れちゃったこともあったっけ。
でも、やさしい文明さんはいつも「よ~撮れとるで!」とよろこんでくれたのがうれしかったな。
B_img_0037この日はRay Charlesの「What'd I Say」を熱唱された。
そこでこんな仕掛けも…
『よく聴いていると文明さんはクライマックスで「Keep it greasey so it'll go down easy!」と絶叫しているではないの!これはもちろんフランク・ザッパの『Joe's Garage』収録の「Keep it Greasey」。聞けば私のために歌ってくれたのだそうです。まったくありがたいこってす!』
コレも相当にうれしかった。

B_img_0150翌月にも取材をしている。2011年8月12日の音楽室DX。
みなさん、どれも同じ写真とお思いかもしれませんが、全部違う日に撮影したモノだからね!着ている服を見てもらえばわかるけど…でもこうして見ると、文明さんは赤系統の服が多かった。
B_img_0641お笑いなのかマジなのかわからない音楽トークも楽しみだった…
『上戸彩ちゃんが歌う「カップスター」のCMソング。「カップスター、食べたその日から~」 ってヤツね。文明さんが言うには「味のトリコに、トリコになりました」の2回目の「トリコ」の「ト」はブルーノートにするべきで、あんなに軽く歌って欲しくないという』
こんな調子。
もっともコレには和佐田さんの最高の切り返しが待っていて…
『すかさず和佐田さん、「ちょっと彩ちゃんにはブルース・フィーイングがなかったのかな?同じ<戸>でも綾戸智恵さんならブルーノート楽勝なんですけどね」(大爆笑)』

B_img_0681さらに…
『お店の酎ハイがおいしいというところから今度は焼酎論議へ。文明さんの鹿児島弁講座も大爆笑さ~↗
そして、文明さんの歌コーナー!今日はウィルソン・ピケットの「Mustang Sally」をチョイス。今日は文明さんなんだかノリが激しいゾ!』
「歌のコーナー」なんて書いてある。コンサートだから音楽が主体のハズなのに!それほどトークも充実していたということ。
もちろん文明さんなくしてはこうはいかなかった。

B_img_06942011年9月29日。故意にモノクロで撮った。
何しろ毎月取材しているので、写真がどれも同じになってしまうためマンネリから脱却するため何か変化を与えたかったのだ。
さっきの「手の写真」もそうだが、SPICE FIVEはMarshall Blogの実験の場という側面もあったのだ。

Img_0002文明さんはお元気なころfacebookに毎日ご投稿されていて、ひとつは「朝バッハ終了~!」というヤツ。指のトレーニングで毎日バッハを弾かれていたようだ。
それと、朝のコーヒー。実は私はコレを案外楽しみにしていた。
どういうことかというと、文明さんが珈琲を飲みながら聴いたCDを紹介してくれるのだが、グレン・グールドから軽いシンガーソングライターの作品まで、そのバラエティたるや尋常ではなく、自分も同類(のつもり)だけに「文明さん、こんなんも聴いてるのか~」といつも参考にさせて頂いていた。
同じくamazonにオーダーされていた本にも興味津々だった。「トッドの本、どうでした?」「おもろかったで!」なんて話もしたっけ…。

B_img_0089キーボードだけではなく、みんな文明さんの歌も大好きで、確かこれは透さんが文明さんにリクエストしたと記憶している…
『ジョー・コッカーの『Mad Dogs and Englishman』の最後に入っている「Delta Lady」。元はLeon Russell。1970年の『Leon Russell(あの「A Song for Youが入ってるヤツね」)』収録。いい曲だよね~。確かにLeonのネバネバのダミ声よりも爆発的なコッカーのダミ声の方がいいかもしれない。だから文明さんにピッタリだ!』

文明さんはこの「Delta Lady」という曲をご存知なかったようだが、「気に入った!」とおっしゃってその後のステージでもお歌いになられていた。この時が初演のハズだ。
B_img_01739回目のSPICE FIVE。
B_img_0089またこんなことをやっていた…
『文明さんによると、ボラギノールのに使われている音楽はキーが「G」なんだそうだ。加えて太田胃散のCMで使われているショパンの『前奏曲7番 Op.28-7』の調子ははキーが、そう…「E」なんだって。ホンマかいな?
アンプのスイッチを入れたままギター・ケーブルの先っチョを触って出るジージーいうノイズが「G」だとかいう話しは聞いたことあるけどな…ここで訂正、太田胃散のショパンは「胃腸調」イヤ、「イ長調」だそうだ』

真剣な鍵盤を叩いているのはWayne Shorterのブルース・ワルツ、「Footprints」。

B_img_0060

この日も「Delta Lady」と「Feelin' Alright」を熱唱された。
B_img_0110この2011年11月9日のステージを最後に私はSPICE FIVEから遠ざかってしまった。
この翌月の末で当時勤めていた会社を辞めたからだ。退社にともないMarshall Blogも終了し、閲覧することもできなくなった。
その後、さまざまな理由でSPICE FIVEを観に行くことはかなわなかったが、先月復活することができた。ついに2年半ぶりにSPICE FIVEを観たのだ

B_img_0058しかし、そこに文明さんの姿はなかった。
2011年11月9日の9回目のSPICE FIVEのステージが最後になってしまったのだ。
ああ、2年半の間無理をしてでも観に行けばよかった。今、とてつもない悲しさと後悔の念にさいなまれている。
410v稀代のエンターティナー、小川文明…。
エンターテイン(entertain)とは「人を楽しませる」という意味だ。「小川文明」の同義語だ。

この偉大な音楽家の芸術的遺産は色々な形で残され、後世まで親しみ継がれていくことだろう。
しかし、それでは文明さんのエンターティナーぶりをすべて網羅したことにはならない。
本当に人を楽しませ続けた文明さんの音楽以外の側面も記録されるべきと考え、ほんの一時期の一端ではあるがここに収録させていただき、Marshall Blogからの弔意に代えさせて頂いた。

腹の底から笑ったトークも時間が経つとおもしろかったことは覚えていても、細かい内容は忘れてしまうからね。
私がMarshall社の命を受けてこのBlogを書き続けている限り、この記事が削除される心配はもうない。お世話になった割にはこんなことしかできなくて恥ずかし限りではあるが、いつでも文明さんのエンターティナーぶりを楽しんで頂くことができるのではなかろうか?
文明さんの音楽作品を聴きながらいつでも好きな時にコレを読んで故人を偲んでいただければうれしく思うし、文明さんへの追悼になると思う。


文明さん、素晴らしい演奏と楽しいステージをありがとうございました!!
どうぞ安らかにお眠りください…

B_img_0490_2

2014年6月26日 (木)

Doningtonだより~Download Festival 2014

去る6月13~15日、イギリスはイングランド中部、レスターシャ―にあるドニントン・パークにて今年もDownload Festivalが開催された。
3日間の動員数は約24万人。Download Festivalはネブワースで開催されるSonisphere Festivalと並ぶイギリスにおける2大ロック・イベントだ。

以前はこの時期にMarshallの本社で会議が催され、「ついでにDownloadへ行こうよ!」とよく誘われたが、一度も行ったことがない。
元来、人がたくさん集まるところが好きではないうえに、長時間のフライトとヘヴィな時差ボケでヘロヘロになってしまってとてもフェスティバルどころではないのだ。

Download Festivalは1980~1996年にわたって同じ場所で開催されていた「Monsters of Rock」というフェスティバルが母体となっており、2003年から「Download Festival」となった。
イギリスの連中の話を聞いていると、Downloadのことをよく「ドニントン」と呼んでいるのを耳にする。一方、Sonisphereは滅多に「ネブワース」と言わない気がする。
これは、会場のDonington Parkが有名なレース・サーキットで、それで「ドニントン」という名前をなじみ深くしているのかもしれない。
ネブワースには有名な城があるくらいか?10年以上前、その城も含め、ネブワースの会場となる原っぱに連れて行ってもらったことがあるんだけど、とてもきれいなところだった。近くにあったゴルフ場なんて、完全におとぎ話の世界だったね。イギリスの郊外は本当に美しい。

この時期から8月ぐらいまでイギリスでは大小さまざまなロック・フェスティバルが開催される。結局ロンドンの真ん中で開催されるHigh Voltage Festivalしか行ったことがないのだが(この時のレポートはいつか書き下ろして再録するつもり)、行ってみると案外いいものだ。
日本でのフェスティバルというと、聞いただけで汗がジトっと出てくるほど「暑い」イメージがあるのは決して私だけではあるまい。
ところが、イギリスは8月でもヒーターを使うことが珍しくないところだ。
真夏のフェスでも涼しくて快適なのだ。ま、もちろん直射日光に当たっていれば、そりゃ暑い。古い2階建てのバスなんかは冷房が効いていなくて、2階に上がる乗客はまずいない。
それぐらいは十分に暑いのだが、木陰に入るとちょっと上着が欲しくなるほどカラっとして快適なのだ。そして、ビールがヤケクソにうまいときてる!
日本のフェスティバルは学校の夏休みに合わせて真夏に開催されるのかどうかは知らないが、梅雨に入る前の5~6月にやったらどうなんだろう?

さて、話をDownloadに戻す。
Marshallが最近取り組んでいる「#LIVEFORMUSIC」を旗印にDownload Festivlのオリジナル動画をプロデュースした。
ちょっと見てみて!

はい。ありがとうございました。

そして、イギリスのアーティスト担当のJoelから写真が送られてきたので紹介する。
Marshallはこうした主要なロック・フェスティバルには「キャビン」と称する小屋を設置して、商品を展示してミュージシャンに試奏してもらうことを常としている。
そこへ遊びに来た連中をキャッチしたというワケ。
ちなみにこのキャビンは楽屋エリアに設置され、一般の人は使用することはできない。

まずは、アメリカのFall Out BoyのJoe Trohman。

1_joseph_from_fall_out_boy_vロンドンからはOrange GoblinのJoe Hoare。

2_joe_from_orange_goblin_vスウェーデン、OpethはFrederik Akesson。

3_fres_from_opeth_vアメリカのFozzy。

4_fozzyFozzyのRich Ward(上の写真の左の人)、ステージ上のショット。
2203KKに1960BXのコンビネーション。

5_rich_ward_from_fozzy_chris_jerichBring Me The HorizenのLee Malia。

6_lee_from_bring_me_the_horizen_vステージのようす。

7_bring_me_the_horizenオイオイ、1960Bが34台だってよ~!地元はいいよな~。

8_bring_me_the_horizen_34pcsこれはJoe Perryのバックライン。

9_the_large_vintage_rig_was_joe_per思いっきりビンテージ!カッコいいな~。

10_joe_perry_2これもアメリカのバンド、Buckcherry。手前がギターのStevie D.

105_stevie_d_with_buckcherryキタキタキタキタキタ~!日本代表!CrossfaithのTakemura Kazuki!

11_kazuki_guitar_player_with_crossf

Crossfaithのステージでは1960Bが20台お目見えした!やっぱこうでなきゃ!

12_kazuki_on_main_stage_with_crossfJoe Bonamassaも立ち寄ってくれた。そういえば最近日本へ来ないね。

13_joe_bonamassa_in_the_cabin_vJoeのステージのようす。

14_joe_bonamassa_on_stageこの人は…John 5。

15_john_5_trying_out_gear_in_the_ca準備OK!出番直前のJohn。ヤーガン族かと思った。

16_john_5_all_suited_up_vJohn 5のカラフルなヘッド・ラック。上からJCM900 4100の赤、青、白。一番下はJCM2000 TSL100だ。

17_john_5s_multi_colour_guitar_rig_最後はこの人で締めくくろう。Zakk!

18_zakk_vBlack Label Societyのステージ。
壮観!4段積みがズラリ。

19_zakk_in_the_cabin_v後ろに並んでいるのこういうヤツ。コレの4段積みだ!

Zimg_0023 イギリスの連中も「Crazy Backline」と呼んでいるようだゼ。
ロックこうじゃないとねぇとな!Marshall並べてはじてロックよ!な、そうだろ?!他のアンプじゃこうはいかねェ…。ソコんとこよ~くわかっといてくれよ!

…イカン、イカン、ついZakk口調になってしまった!
いや実際の普段のZakkはおとなしいです。

20_zakk_on_stage_with_his_crazy_bacThank you very much for the great photos, Joel!

<オマケ>
この写真を送ってくれたのは先に記したとおり、イギリスのアーティスト担当のJoen Mananだが、このJoel、我々間違いなく「ジョエル」って読むでしょ?Billy Joelの影響もあるのかもしれないが、向こうの人は「ジョエル」とは発音しない。「ジョール」と「Joe」に「l」をくっつけたかのように読んでいることを知っておく必要がある…かどうかはわからない。

2014年6月25日 (水)

【Music Jacket Gallery】ギター・ジャケット特集<前編>

大変に古いネタである。アッという間に1年半も経っちまった!
読者の皆さま、調子っぱずれのレポートで申し訳ありませ~ん。
そして、植村さんゴメンなさい。せっかくの『ミュージック・ジャケット・ギャラリー5周年』だったのに…。

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今回ご紹介するアイテムは、MJG常設展で2012年10月~12月まで展示されたもの。
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MJGの5周年を記念して、ロックの花形楽器、「ギター」に関するジャケットが集められた。
今でこそほとんどイジらなくなってしまったが、私も14歳の時からギターを始めてプロ・ギタリストを夢見た身…この企画を耳にした時、「お~、そりゃいいや。記事が長くなりすぎちゃったらどうしよう!」なんて思っていたのだが、イザ、ギャラリーの展示を見て口をアングリ…。
なじみのないレコードの比率が予想をはるかに上回っていたのだ。

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ま、自分が好んで聴く音楽が偏っていて、完全に一般的でないことは認めるし、それを誇りに思っていたりもするのだが、ちょっとビックリ。「エ…自分はこれほどまでギターから遠い音楽を聴いてきたのか?」みたいな。
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その一番の原因はブルースなのね。(Marshall Blogでは「ブルーズ」とは表記しません。理由は強情だから…ではなくて、英語圏の人たちが「ブルース」と「ス」を濁らせずに発音していることを確認できたから。それなら、昔から「ブルース」と表記してきたんだもの、変える必要はないと思ってるの)
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今回の展示は存外にブルース作品が多く、ブルースを聴いて育たなかった私には馴染みのあるアイテムがいつもより少なかったのだ。
それと案外多いと感じたのがニュー・ウェイヴ系の作品。これも苦手。加えてテケテケ系。
もちろん植村さんは普遍性を重視して万遍なくチョイスされたのであろう。
反対に考えてみると、ブルースやニューウェイブ系、テケテケ系の作品のジャケットにはギターの登場頻度が高いということが言えるのかもしれない。ちょっと強引にすぎるか…?
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それにしてもこのギター群!
軽音楽の世界においては、断トツでレコード(CD)・ジャケットへの登場回数が多い楽器であろう。主役であるボーカリストの唯一の楽器、マイクロフォンの登場回数より多いのではなかろうか?
それはギターが主役だった時代があり、主役がギターを抱える時代があり、ギターがファッションだった時代もあり…いつの時代も音楽はギターと過ごしてきたということだ。
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最近、売れっ子の若手バンドの中心の子が何かのインタビューで「今時、まだギター使ってるの?」とか「ギターは時代遅れ」とか驚くべき発言をしたと報じられていた。
私がギャーギャー騒がずともかなりの批判を浴びたようだが至極当然のことだろう。
何でそんなことを言ってしまったのか…。
これは音楽を聴いていない証拠なんだろうね。「ボクはロックをちゃんと聴いていませ~ん!」と音楽を知らないことを自ら白状してしまったのではなかろうか?

芸術は、よいインプットなくしてはよいアウトプットはあり得ないと思っている。よくマーブロで言っている通り「よいミュージシャンは、よいリスナー」というヤツだ。
もし、過去の偉大な音楽家たちの音楽を真剣に聴いてリスペクトしていれば、この子にこんな発言ができるワケがない。
私は、音楽に流行があるのは仕方ないと思うが、基本的には流行で聴くものではないと思っている。また、音楽が新しい必要などナニもないと思っている。耳がトロいせいかも知れないが、現実的に巷間に流れている音楽が「新しい音楽」に響くことはまったくない。
目先の金儲けのために「流行」が「伝統」を壊すべきではないと信じている。
さもないと、本当に音楽に「世界の終り」が来ちゃうよ!

それではギター・ジャケットの世界をのぞいてみよう!偏ってるけどね…。
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いきなりFrank Zappa。

まずは『Shut Up'n Play Yer Guitar』。
Frank Zappaはギタリストである。「ギターの真の三大イノヴェーター」として、Allan Holdsworth(引退するんだってね)、Edward Van Halen、そしてFrank Zappaの名前を挙げる専門家もいるようだ。
このアルバムのウラジャケにこう記されている…
「このアルバムがリリースされる前、Zappaキチガイなら誰でも知っていることを認識している人はごくわずかだった。それは…「Frank Zappaはギターが弾ける」ということだ。
新聞や雑誌が軟弱なギタリストをもてはやし、一方では気分を害するような歌を歌う、とZappaを非難している間も、Zappaはどんな言葉を以てするよりはるかに冒涜的な役割をこの楽器を通じて演じてきた。マスコミの連中はZappaの発する言葉で先に気分を害してしまい、Zappaがギターで語ることに耳を傾けなかった。このアルバムで聴けるZappaの数々のソロは、Zappaのギターを聴くことを忘れたライターたちを恥じ入らせるための証明になるかもしれない」

拙訳で恐縮だが、Zappaのギター・プレイをずっと過小評価してきたことをマスコミは恥じろ!と言っている。

この3枚組のアルバムは、『Shut Up'n Play Yer Guitar』、『Shut Up'n Play Yer Guitar Some More』、『Return of the Son of Shut Up'n Play Yer Guitar』という通販でリリースされたバラのアルバムをまとめたもの。
内容は、簡単にいえばさまざまな曲で弾かれたZappaのギター・ソロを抽出して新しい曲に仕立て直したもの。だから全編ギター・ソロだ。
タイトルもしたがって『黙ってギターを弾け』となる。Zappaはこの後も、同じ趣向で『Guitar』と『Trans-Fusion』という作品を残している。

コレがですねー、いくらZappa好きでもですねー、なかなかにシンドイんですわー。何がって、Zappaのギター・ソロが…。
そこで、このアルバムを聴くときはVinnie Colaiutaやバック陣のすさまじい演奏を聴くようにしている。ファン失格ですな。
でもね、この頃のVinnieはもっともいい時だでね。ギタリストよりもドラマーの方が喜ぶべき内容かもしれない。

ポートレイトにアルバム・タイトルとZappaのロゴサインを入れただけのシンプルなデザイン。
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写真はJohn Livzey。次作の『You Are What You Is』のジャケ写も撮った人。Emmlou Harrisや若き日のEdward Van Halenも数多く撮影している。
この直前の『Tinsel Town Rebellion』を挟んだ前の3作(『Orchestral Favorites』はレコード会社が違うので除く)、すなわち『Sheik Yerbouti』、『Joe's Garage Act I』、『Joe's Garage Act II & III』から本作、そして次の『You Are What You Is』まで、ジャケットのタッチがエラク似てるでしょう?
『You Are~』の後の『Ship Arriving Too Late to Save a Drowing Witch』はガラリと変わってしまう。
そのタッチが似ている5作全部このJohn Livzeyが写真を撮ってるいるかと思うとさにあらず。
前半はかの有名なNormanSheeffが撮っているんですよ。
つまらん想像だけど、Norman Sheeffといえば世界的な売れっ子フォトグラファーだからね…。ギャラが途中で折り合わなくなったのではないか…と。それで、似たような写真を撮るJohn Livzeyの起用と相成ったのではないかと思ったりするのである。

Marc BolanやDavid Bowieを撮った有名な鋤田正義さんですら、Normanが撮ったThe Bandの『Stage Flight』の中ジャケの写真を見てショックを受けたとおっしゃっている。
それは真っ暗に近いウッディな部屋にストロボを1灯だけたいてメンバーを撮ったものだが、窓を背景にしているため、そのストロボが傘もろともくっきり写ってしまっている。それがまた破天荒にカッコいい。
この撮影の時、Normanは大遅刻をしてメンバー達を激怒させてしまったらしい。Normanは「まぁ、まぁ」とメンバーをなだめてとにかく撮影を敢行。仕上がったこの写真を見てメンバーはさっきの怒りはどこへやら大満足のおおよろこびだったらしい。Normanの頭の中には撮りたい写真のイメージがハッキリしていて、その表情をゲットするためにワザと遅刻してメンバーを怒らせたのかもしれないね。

さて、せっかくのギター特集、鋤田さんのお名前も出たところで脱線させていただく。
コレはもうイヤらしいぐらいにMarshall Blogに頻出している田川ヒロアキのアルバム『Ave Maria』。
私が撮った写真だが、実はこの写真、鋤田さんが撮った有名なMarc Bolanのポートレイトをイメージしている。笑わば笑え、イメージするのは個人の勝手だ。
それでもスタジオに入って何とか最初のイメージに近づけようとアレコレやってみた。しかし、徐々に元のイメージなんかどうでもよくなって、撮っているウチに自分の撮りたいイメージがクッキリ浮かび上がって来るんよ。
そして、下町のヒプノシス、梅村さんがカッコよくレイアウトしてくれた結果がコレ。

Avemariajacket1 コレもおなじみ。孤高のギタリスト、三宅庸介Strange, Beautiful & Loudの『Orchestral Supreme』。
この写真は東京キネマ倶楽部で演奏中に撮ったモノの中から三宅さんがセレクトしたもの。妥協を一切許さない、三宅さんの音楽に対する異常なまでにストイックな面を我ながらうまく表現できた思っている。ま、この写真を選んでくれた三宅さんのセンスがシャープなだけとも言えるが…。

写真って、不思議なのは「今日はいいのがたくさん撮れたぞ~」って時は案外ダメでね。「イヤ~、今日はシンドかった。一体どうすんだよマーブロの記事…ロクな写真ないぞ~」なんて時の方がいいものがザックザック出てきたりするのだ。
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これは合成写真。Chris Duarteのライブ盤。レーベルはShrapnel。このジャケットに使用されている写真の使用権に関してかの有名なMike Varneyと契約を交わした。
できればギタリストとして契約したかったんだけどね…ナンチャッテ!でもとてもうれしかった。
この時も結構驚いたの。というのは、自分が大層気に入っていた写真が採用されず、普段なら目に止まらない、「アレ、こんなの撮ったけな?」級の写真ばかりが使われているのだ。
この感覚の違いはまさに文化の違いなんだろうな~。

Cdsleeve 最後に話題のQUORUM。栄えあるデビュー・ミニ・アルバムに採用された写真。内ジャケだがこれもギター・ジャケットに数えさせていただいてもよかろう。
これはあまりにもスモークがキツくて苦労したがお気に入りの1枚。

…と私も一応「ギター・ジャケット」推進のお手伝いをさせて頂いているってワケ。ホントはもっと仕事が来ないかと思ってんだよ!

Bt_img_0003 あんまり脱線しすぎて何の話をしていたのかわからなくなっちゃったでしょう。コレです、コレ。

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このアルバムの国内盤のLPには八木康夫さんの解説がついており、その中で渋谷の屋根裏での「なぞなぞ商会」のコンサートに触れている。
へへへ、ナニを隠そう、私はソコにいたのですよ。その時、録音したテープは今でも大事に保管してある。
なぞなぞ商会は名古屋出身のZappaのカバー・バンド。今は「トリビュート・バンド」っていうのかな?最近は70年代のロックの黄金時代を懐かしみ、この手のイベントが多いね。Zappaのトリビュート・バンド、また出てこいや~!Rainbowばっかりだでな~。

その解説書には併せて紫狂乱というなぞなぞ商会のギタリストがZappaのギター奏法について解説しており、『One Size Fits All』の「Inca Roads」のソロが採譜してある。
いい時代だ。
 
何かのインタビューでZappaはこのLes Paul Customについて「音はよくないので派手に改造した」とか「チューニングが狂いやすかった」とか述べている。
確かにこのギターを使っていた時代の映像を見ると、フランジャーをギンギンにかけまくりほとんどナニを弾いているのかがわからないほどである。音の悪さをごまかしていたのかと思わざるを得ない。その割には、ルックスが気に入っていたのか、色々なところでこのLes Paulに遭遇する。

これは1980年のツアーのプログラム。
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コレはZappaのギター・ソロの譜面集。主に『Shut Up~』の曲が掲載されているが、コレを読んで弾きたがる人なんかいるのだろうか?
もちろん私も収集対象グッズとしてゲットした。
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採譜しているのは今をときめくSteve Vai。若い!
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VaiがZappaの作品に参加した出したのは1980年の『Tinsel Town Rebellion』あたりからか…。それゆえ私はSteve Vaiの名前をかなり前から耳にしていた。
『Ship Arriving~』あたりのVaiのクレジットには「Impossible Guitar Parts」とあって、メチャクチャうまいんだろうな~…と想像していた。
「想像していた」というのは、どうにもそれに該当しそうなパートが聴こえてこないのでスゴイのかどうかわからなかったのである。
それで、ある時海賊盤を聴いた時にブっ飛んだ。どの盤だか忘れてしまったが、「Black Page」を楽々と弾きこなしていたのだ。
この「Black Page」というのはメロディが大変に入り組んでいて、譜面にすると楽譜がたくさんのオタマジャクシで真っ黒になってしまうところから付けられたタイトルだが、ま、実際はそれほどでもない。
しかし、私もコピーしたがとても譜面にする気にはならなかったな~。
で、それをやったのがVaiだ。その譜面をZappaに送り、採譜係としてZappaとお近づきになり、バンドメンバーになり、上の楽譜集が上梓されたというワケだ。

下はMJGの展示。Vaiの1984年のソロ・アルバム『Flex-Able』のリイシュー盤。
Vaiはコレと『Flex-Able Leftovers』という10インチ盤をリリースしているが、Zappaの音楽に完全に親しんだ耳にはとてもチープで猿マネにしか聞こえなかったな。でも「Attitude Song」はカッコよかった。
あの『Crossroads』のJack Butlerもすごくよかった。
それでもこの人がこんなに人気になるとはね~。そこらじゅうで「バイ、バイ」言って…寿司屋か?!(当然「バイ貝」のことを言ってます)
音楽やギター奏法だけでなく、自分の見せ方をトコトン研究して、それらを巧みに組み合わせてうまくやった、もっとも典型的な成功例なのではなかろうか?

ジャケットはダリ風?オリジナルのデザインは見れたものではない。

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Zappaに話しを戻す。
コレは1983年の『The Man From Utopia』。ジャケットは『RanXerox』というSF漫画Tanino Liberatoreによるもの。
このアルバムの前年、イタリアでの野外コンサートの際、蚊の大群がステージに押し寄せ、演奏に難儀している図。よっぽどだったんだろうね、ネックを握りつぶしちゃってもん!

ハイ、ここでクイズ。「ハエ叩き」は英語で何というでしょう。そのままの訳だと「Fly Swatter」となるけど、「Flapper」というのが普通らしい。
日本語では「ハエたたき」、英語では「フラッパー」…どっちがカッコいい?
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さて、ここで触れておかなければならないのは、このあたりのZappa一連の作品の邦題だ。
今の『The Man From Utopia』は「ハエ・ハエ・カ・カ・カ・ザッパッ・パ」…はっ?
キンチョールのCMが流行ってたころだったのかな?
さっきから出て来ている『Ship Arriving Too LAte to Save Drowing a Withch』は意味は「too~to・・・」の構文だから「たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を助けられなかった船」という訳になるが、邦題は『フランク・ザッパの○△□』…レコード会社の担当者、何かZappaに恨みでもあったのかな?それとも八木康夫さんの指示だったのかな?
私が一番許せないのは『ザ・ギタリスト・パ』だ。
コレは『Shut Up'n Play Yer Guitar』のこと。オイオイ、フザけんのもいい加減にしろっての。
レコード店に行って「『ザ・ギタリスト・パ』ください」とか、「『ハエ・ハエ・カ・カ・カ・ザッパッ・パ』予約します」なんて言えるか?!恥ずかしいだろ!
この『ザ・ギタリスト・パ』というのは、当時はやっていた『セニョール・パ』とかいうパ・リーグを舞台にした野球漫画にちなんでつけられたもの。コレ、未亡人のゲイルが聞いたら今でも怒るんじゃないの?
「思い出の渚」なら「カ・ワイルドワンズ・セ」か?(一応入っておきますが、「パ・リーグ」に対抗して「セ・リーグ」になってます)
それにしてもヒドイよね。

Mg_img_0003まずは…テケテケは苦手なんですよ。
何で昔の盤ってこういうデザインのジャケットなんだろね。少なくとも女の人は不必要なんだと思うけど…。
こんな素敵なお姉さんも我々の音楽にメロメロになってますよ~!ということか?イヤ、ジャケットを見る限り、メロメロになっているのはオッサンたち方のようだが…。

テケテケでおなじみの「エレキ・ブーム」はベンチャーズが再来日した1965年がピークとされているらしい。私は3歳。幼稚園へ入る前のことだ。
だから私の世代はどっぷりベンチャーズ世代ではないが、まぁ、みんな知ってる。少なくとも『エレキの若大将』は好きだ。
また、年上の憧れのミュージシャンがみんなベンチャーズ世代ということもあって比較的自然に疑似ベンチャーズ体験をしている。クドイようだが、同世代でベンチャーズに夢中になっていたヤツはかなり稀有だ。
そのエレキ・ブームから約50年(!)が経過している。ブームをリアル・タイムに経験して、テケテケを楽しんだ若者ももう60歳を軽く超え、70の声も聞こうとしているワケだ。
しかし、街にはいまだにエレキの飲み屋が全国にあったりして、みんなで集まってはテケテケやっているではないか!これはスゴイよね。ブームなんてものではなくて、完全に「日本の文化」として定着している。

ちなみにイギリス人はベンチャーズに全然興味がないみたいよ。

それでは若い世代はどうだ?我々の世代はもうダメだ。弾き手がほぼいない。ましてや今の若者なんかThe Venturesの名前すら知らないだろう。だってThe Beatlesすら知らない子が普通なんだから。
すなわち、このテケテケ文化は近い将来かなりの高い確率で絶滅するだろう。また一歩、ギターが「世界の終り」に近づいてしまう。
同じようにして大好きなハード・ロックやプログレッシブ・ロックもやがて絶滅していくんだろうなぁ。
今はまだいいけど、もう2~3世代時代が下ると、本当にLed ZeppelinもDeep PurpleもKing CrimsonもYesも知らない人だけの世界になるんだ。イヤだ、イヤだ。

ナントカならないものかね~。
…となれば救ってやりたくなるのがMarshall Blogのいいところにして余計なところ。近々マーブロ初のテケテケ・ギタリストを登場させることにした。もちろんそれでシーンが変わるワケではないけれど、ま、MarshallBlogの心意気と受け取って頂きたい。

ところで、みなさん、このベンチャーズの代表曲のひとつ、「Walk Don't Run」って誰の曲だか知ってる?
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この曲を作ったのはJohnny Smithというジャズ・ギターの名手。1954年の作品で下の『Kaleidoscope』というアルバムで聴くことができる。これも「ギター・ジャケット」。
ベンチャーズ・バージョンより早いテンポで4ビートで演奏される。
Johnny Smithは『Moonlight in Vermont』というまったりしたアルバムがやたら有名だが、実に端正で美しいギターを弾く人だ。しかし、この「Walk Don't Run」のオリジナル・バージョンはとてもスリリングな演奏だ。
この演奏をテケテケに焼き直したところがベンチャーズの何とも偉大なところだ。

Mg_img_0016このジャケットはカッコいいな…。
でも、なんでMel Taylorだけにピンが当たってるんだ?
コレ、Ginger Bakerみたいにドラムが思いっきり前面に出て来ているのも不思議だが、考えてみると、なんでアンプが奏者の前に置いてあるんだろう。これじゃ自分の音聴こえないじゃん?オープンバックだから大丈夫だってか?
あるいは名前は出さないが、アンプ・メーカーがいくらか出したのかな?宣伝になるように前に置いておいてくださいって…。それともこの時代はコレが普通だったのかな?
ベンチャーズ世代ではないのでわかりません。

この時代のギターの音ってテレッテレのペラッペラの人もいるけど、Norkieのうっすらと歪んだ軽いクランチ・サウンドはファンでない私だってカッコいいと思うね。最高の音だ。
デジタルもマルチ・エフェクターもラックもない、ほぼエレキ・ギターと真空管アンプのコンビネーションでどんなことでもできたのだ。また、シンプルであればシンプルであるほど音がいいということの永遠の証でもある。

ところで、6弦をピッキングしながらグリッサンドして得られるあの音を最初に「テケテケ」と表現したのは一体誰だろうか?あまりにも偉大でしょう。
果たして初めてあの音を聴いて「テケテケ」と聞こえる人がいるだろうか…いないのではないか。
さっそく家内に試してみた。彼女は私と同じ年なのでベンチャーズのファンであったことはないが「テケテケ」という表現にはなじみがある。結果…「ん~、『テケテケ』にしか聴こえないわよ」だそうだ。
やっぱり「テケテケ」とい言葉を知っている人にはそうなのだろう。

ムリヤリに他の擬音を考案してみる…「ズクズク」とか「ティレティレ」とか…でもやっぱりもう「テケテケ」にしか聞こえないよね~。やっぱり名擬音といえよう。
 
それとこの選曲のセンス。先の「Walk Don't Run」も見事だが、この「Caravan」…Duke Ellingtonのエキゾチックな名曲をうまく料理して…と言いたいところだが、この曲はEllingtonの作ではなく、Juan Tizor(ファン・ティゾール)という人の作品で、1936年に初めて演奏したのがDuke Ellingtonとされている。

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…ということで「Caravan」でWes Montgomeryに移動する。キャラバンだけにね。
1964年の『Movin' Wes』、Verve移籍後の第1作で、ナント初動で10万枚が売れたそうである。
その理由はひとえに1曲目にあるんじゃないの?すなわち「Caravan」。
でもこのアルバム、他にも案外魅力的な曲が収まっている。
新婚旅行で初めて行ったアナハイムのDisney Landでかかっていたのが印象に残る、『屋根の上のバイオリン弾き』の挿入曲、「Matchmaker, Mtchmaker」、愛らしいワルツの名曲。あの後NAMMでこれほどアソコへ行くとはあの時は夢にも思わなんだ。
ポピュラー・スタンダードの「People」、渋いMel Tormeの「Born to be Blue」、そして『Incredible Jazz Guitar』の「West Coast Blues」の再演…。
硬軟取り混ぜた裾野の広いレパートリーがヒットの原因か?イヤ、違う。絶対「Caravan」だ。
オーケストラをバックにすさまじいドライブ感で走り抜けるWesがあまりにもカッコいい。まずコードで奏でるテーマにチビる!そしてソロでチビる!ま、Wesの指グセのオンパレードとも言えなくはないが、スリル満点だ。
シングル・ノート、オクターブ・ソロ、コード・ソロと徐々に盛り上げていくのがWesのソロの組み立てだが、ここではテンポが早すぎるのか、面倒くさいのか、シングル・ノートからいきなりコードでテーマを弾いて終わってしまう。約2分半。ク~、もっと聴きて~!気が付けばチビちゃって下半身びっちょりだ。これが10分も続こうものなら間違いなくウンコもらしているだろう。

Wesのオーケストラモノで言えば、Oliver NelsonのアレンジでオルガンのJimmy Smithと組んだ『Dynamic Duo』の「Down by the Riverside」のソロもチビるほどカッコいいが、尺が短いながら「Caravan」も決して負けてはいまい。
「Caravan」の名演は数多くあれど、このWesのバージョンはもっとも好きな演奏かもしれない。

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1963年の『Portrait of Wes』。コレは持ってないんだよね。なんか胃が痛そうなイラストだ。

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フト気が付いた。で、ウチにあるWesの作品の一部を並べてみた。ギターがジャケットに写っている作品だ。

Mg_img_0028なんとギターが登場しているジャケットの多いことよ。
ラッパのMiles、テナーのCortraneとRollins、ピアノのMonkやEvans、ベースのMingus、ドラムのBlakey、どれもとってもこんなに楽器が登場しているジャケットが揃っているアーティストはいない。
これは間違いなくジャズ界でのギターという楽器の地位の低さを物語っているのだ。「ギターだってジャズできますよ~」と楽器自体をPRしているように思えてならない。
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やはりこのあたりは名盤ぞろいでジャケットもいいね。左上はどう見てもJoe Passに見える。
その隣、ギター名盤の誉れ高い『The Incredible Jazz Guitar』でWesが抱えているのはES-175D。Kenny Burrellに借りて録音したという話は有名だ。
左下、これまた最高のライブ名盤『Full House』。L-5のナチュラル。やっぱりこのアルバムはJohnny GriffinやWynton Kellyの名演もあって最高に素晴らしい。後年GibsonからシグネチャーのL-5を出したが、この『Full House』のL-5が一番Wesのイメージにシックリくる。
そして案外名演が詰まっているのが右下の『Boss Guitar』。これもL-5。もっとも私にはWesのギターよりも髪の毛がどうなっているのかが気になる。

2s_img_0030 ギターが出てこないジャケットの代表といえば後期のA&Mの諸作になろうが、ジャズ的には何と言ってもコレ…通称「Half Note」。WesのソロのすごさにWynton Kellyが聴き入ってしまいピアノを弾くのを忘れてしまったというヤツ。いまだに聴いてる。
そして向かって右は「Half Note」の数日後に同じ場所で録音されたWesの2枚目のライブアルバム。あまりにもひどいジャケット!落書きか?ところが音に若干難があるものの、素晴らしい演奏が収められている。ちょっと手に入りにくいかもしれない。

Mg_img_0035この他にもあるある。左はトリビュート盤。右のRonnie Scott'sのライブ盤と同じ写真の使い回しだ。
この3枚というか2種類の写真、なかなかこの角度で写真を撮ることってないんだよね。これはね、きっと座って演奏しているのでこういう構図に収まるんだと思う。ロック・ギタリストの場合、ギターを低めに下げて立って弾くのでこういう風には撮れないのだ。
こんどスペースがあればズンコで試させてもらおう。

Mg_img_0038さて、続いてはA&Mが出たところでGeorge Benson。昔は10年に一度出るか出ないかの大天才と言われた。
歌手じゃないんですよ~。すっかり顔つきも変わっちゃったけど、昔はベッタベッタでコッテコテのギターを弾いていたんだから。これがまたすこぶるカッコいいときてる。
でも、このアルバムは私にはチトツライ。
The Beatlesの『Abbey Road』の収録曲をすべてジャズで焼き直しちゃおうという企画なんだけど、アレンジがキツすぎて、聴いているのがなかなかに困難だ。
もし、Bensonの超絶ジャズ・ギターが聴きたかったら『Jazz at Sunday Afternoon Vol.1 & vol.2』をおススメする。スゴすぎちゃって、とてもロスでメローに週末をすごしてなんかいる場合ではない。

それにしてもこのジャケット!ま、シャレなんだろうけど、あんまりじゃない?
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雰囲気がガラっと変わってRoy Buchananを3枚。
1976年の『A Street Called Straight』。邦題が『メシアが再び』だったので。発売当時「メシア、メシア」と呼んでいた。
このアルバムにも収録されている「The Messiah Will Come Again」は1972年の『Roy Buchanan』というアルバムでも演奏されている。ま、演歌調とでも言おうか、いかにも日本人の琴線に触れそうなこの曲でヒットを狙おうとしたんだろうね。
同じ年にリリースされたJeff Beckの『Blow by Blow(ギター殺人者の凱旋)』の「'Cause We've Ended as Lovers(哀しみの恋人たち…もう邦題がメチャクチャだ~!)」はRoy Buchananに捧げられたことは有名。

久しぶりに聴いたけど、やっぱりこのギター表現力ってケタ違いにすごいよね。Jimi Hendrixと同じことを違う方法で取り組んでいるようだ。

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1977年の『Loading Zone』。
この人の愛器ってTelecasterではなくて前身のEaquireなんだよね。それと1954年製のTelecasterか…。
ロイ所有のうちのテレキャスターは後にDanny GattonやMike Sternの手に渡ったんだってね。このあたりは詳しくない。熱心なファンに怒られそうだからサラっと進める。
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そして1977年に来日。その時の音源がライブ・アルバムになったのがコレ。1978年に国内盤が発売されているが、私が今持っているのは輸入CD。
コレがひどくて、レコーディング・データが記されていない!
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以前にも触れている通り、私は彼の来日公演を後楽園ホールへ観に行った。その時のプログラム。
で、コレをひも解いてみると、1977年6月、ちょうど今から37年前だ。東京は後楽園ホールで2回、郵便貯金ホールで3回。他に大阪、新潟、名古屋、札幌を10日間で回っている。
調べてみるとどうもこのライブアルバムは郵便貯金ホールで収録された音源らしい。残念。
私が観た後楽園ホールの公演では演奏中に弦が切れてしまった。ギターはこの愛用のEsquire(か特別なテリー)しか使わないから今のミュージシャンみたいにローディが替えのギターをサッと用意するなんてことはあり得ない。
どうしたかというと、バンドが演奏を続ける中、すこしも慌てず、観客全員が見ている前で悠々と自分で弦を張り替えたのだ。アレ酔っぱらってたのかな?足元にビールは置いてあった。
これがすごく印象に残っている。
今来日したらよろこぶ人がさぞかし多いだろうね~。しかし、コレは二度とかなわない。
Royは酒で身を持ち崩し、一時第一線から遠ざかってしまった。しかし、酒量のコントロールにも成功し、ギターもまた手に取るようになり、復帰を目指していた。
ところが、家庭での口論の後、公の場での酩酊が原因で逮捕され投獄されてしまった。その後、ロイは刑務所の中で自分のシャツを首に巻きつけて自ら命を絶った。1988年のことであった。

Mg_img_0018久しぶりに引っ張り出してきたプログラムの中のレコードの広告。イアン・ギラン・バンドにスターズ、それにストラップスだよ。
ストラップスなんて「第2のディープ・パープル」とか言われてたけど全然ダメだったね。結構好きだった。
スターズは「エアロスミスの弟分」なんてふれこみでね。「Cerry Baby」一発で消し飛んでしまった。ボーカルの人なんつったけ?弟さんがRexとかいうバンドやってたよね。Michael Lee Smithってのか…。ウワ!これStarzって今でもやってんじゃん!失礼しました!
イアン・ギラン・バンドは来日公演に行った。武道館だった。いい時代だ。

Mg_img_0020プログラムからパラりと落ちてきたチラシ。こういうのも取っておくべきだね。実になつかしい。
Royのチラシなんて手書きだぜ!いい時代だ。

Mg_img_0025The Shaggsは何度かMarshall Blogに登場している。我が家では自分ひとり以外の時にこのアルバムを聴くことを固く禁止されている。
ニュー・ハンプシャーの金持ちが、わが娘可愛さに(ジャケットを見ると全然可愛くない)バンドを組ませて自由に録音させたという珍盤。
「何の欲も邪念もないこれこそナチュラルな音楽だ!」と絶賛してしまった大物アーティストがいたもんだから大騒ぎ。その大物アーティストとはFrank Zappaなんだけどね。
ま、普通の神経の持ち主なら2曲と持つまい。
簡単に言えばヘタウマではなくてヘタドヘタだ。
これに比べれば後期ColtraneやSonny Sharrock、John Zorn、Albert Aylerなんて可愛いもんだ。『Ascenssion』やOrnetteの『Free Jazz』が良心的に聞こえるワイ。

ジャケットもスゴイね。ナンカ被ってるのかと思った。
驚いたことに2001年にトリビュート・アルバムなんてのが制作されているが、ま、誰かがどうしても笑いを取りたかったんだろうね、あるいはう金持ちの悪い冗談だろう。
ところがね、不思議なことに何年に一回は家に誰もいない時に聴いちゃったりなんかして…。「どんなんだっけな?」と妙に気になって、取り出してしまうのだ。
結果、Captain Beefheartの『Trout Mask Replica』よりよっぽど聴いていたりして…(さすがにコレはウソですが)。
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Jefferson一家はどうも苦手でね。ところがこのHot Tunaは例外…と言いたいところだがそうはいかない。力は入ってないし、リズムはシャパラパだし、いまだによさがわからない。
でも、Jorma KaukonenとJack Casady自体はカッコいいな~。

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「秀人さん」…今では幸運なことに加納秀人のことをそう呼ばせて頂いている。「加納さん」とはお呼びしない。我々が若い頃、加納秀人といえば「ヒデト」とだったからだ。そして、雲の上の人だった。

秀人さんのソロ・アルバム『In the Heat』。名曲「龍神」が収録されている。秀人さんが日本のJeff Beckを標榜してギタリストとしての存在感を高めた1979年の作品だ。
実は、このダブルネック、思い出がありましてな。
私の知り合いが「ヒデトのボウヤ(昔はローディのことをこう呼んだ)とバンドをやるからスタジオに遊びに来ないか?」と誘われて渋谷の明治通り沿いにあった(今でもあるのかな?)VEGAというスタジオに遊びに行った。私が高校生の時の話しだ。
スタジオに行くと、そのボウヤなる人がこの白いダブルネックを持って来たのだ。
「ウワ!In the Heatのヤツだ!」
もちろんその頃はまだ奥ゆかしかったので「触らせてください」なんてこともお願いできず、ただ横で彼らが演奏する「龍神」を眺めていただけだった。
値段のはなしではなく、今では音楽やCDだけじゃなく、楽器の価値も下がってしまったような気がするな~。
おもしろいのは音楽の質が下がるとちゃんと楽器の値段も下がるね。安い楽器が出て来るから音楽が陳腐になるのかね?
6,000円でストラトキャスターが買える…って一体どういうことなんだろうね。もし私が若かったら買っちゃうんだろうか?
買うね。だってRitchie Blackmoreの使っているギターのメーカーなんてどうだっていいんだもん。なぜならDeep Purpleなんか知らんもんね~…ということだ。
(注:当該のスタジオで見た白いダブルネックは、秀人さんの所有物ではなく、この時持参した方のギターだったそうだ。先日実際にこの場に居合わせた人からこの情報を頂戴した。35年以上経って真実が明かされた!でも、上の文章は訂正しません。あの時の少年(=オレ)の興奮をそのままにしておきたいから!)

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ハウンド・ドッグ、1980年のデビュー・アルバム。コレとても好きで高校の仲間と「P.S.アイ・ラブ・ユー」を演ったことがあった。サラリーマン時代のカラオケの定番は「嵐の金曜日」だった。

この頃のハウンド・ドッグを一度だけ野音で観たことがあったな。確かトリはARBだったような…そうでないような…。
EX(エックス)なんていうバンドが出ていた。サウンド的には確かニューウェイブっぽいもので受け付けなかったが、なんで覚えているかというと、このバンド、「2本溝のシングル・レコード」というものを発売したからであった。
レコードというものは普通溝が1本でしょ?これが2本になっていて、普通は1本内側の溝に針を落とすと、その曲の先の部分に音が飛ぶワケだが、この2本溝のレコードは、隣の溝に針を落とすと別の曲になるというものであった。買ってないけど…。
アナーキーが出たのもこの時だったかな?
大友さんはARBの石橋さんのモノマネなんかをして大いに野音を盛り上げていた。

何となく、ホントに何となくこの頃から日本にロックというものが定着したようなイメージがある。というか、パンクやニュー・ウェイブの台頭により、海外のバンドがまったく面白くなくなり、テレビにロック・バンドが登場する機会が増えて来た頃だったのではないか…と思いついて、1980年のヒット曲を調べてみた。
ハハン、なるほどね。
「別れても好きな人」、「雨の慕情」、「哀愁でいと」、「昴」、「異邦人」、聖子ちゃん爆発前夜、百恵ちゃん健在という状況下、「ダンシング・オールナイト」、「ランナウェイ」、「大都会」、ジューシー・フルーツ、等のバンド組がヒット曲をチャートに送り込んでいる。
アイドル、演歌、歌謡曲の地位はゆるぎないものの、ロンドン・ブーツやベルボトムをはかず、髪の毛の短いロック・バンドがテレビに出て来て市民権を獲得し出した頃という見方は容易にできよう。

このハウンド・ドックのデビュー・アルバムのジャケットデザインはその時代に状況を如実に表していると思うのだ。
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<後編>につづく

ミュージック・ジャケット・ギャラリーはどなたでもご見学が可能です。
詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本項の展示は2012年12月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

(敬称略 ※協力:植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )

2014年6月24日 (火)

原田喧太~SOLO LIVE 『Guitar Circus 2014』

DAMIJAWをはじめ、数えきれないほどのバンドやイベントでヴァーサタイルな活動を繰り広げる原田喧太。久しぶりのワンマン・コンサートのレポートだ。

10コンサートのタイトルは『Guitar Circus 2014』。カラフルなギターを身上とする喧ちゃんのこと…ピッタリのタイトルではないか。

20v予想もできない離れ業で観ている者を楽しませてくれるという意味での「Circus」という言葉が使われているのだろうが、この単語、地名においてイギリスでは「Circle」、つまり「円」という意味で使われる。
Picadilly CircusとかOxford Circusとか…。
このコンサートは中心にいる喧ちゃんとギターをみんなで丸く囲んでいっしょに音楽を楽しんじゃおう!『Guitar Circus』…私にはそういう意味にもとれた。

270v
スリリングなインストルメンタルで幕を開けたステージ。
さっそく今夜の仲間が紹介される。

30伊藤可久

40v太田要

50vそうる透

60v忘れてはならない仲間はもちろんMarshall!

70vJVM410HとMF400B。
SHARAさんやルークさんをはじめMODE FOURのBキャビを愛用するギタリストは珍しくない。

80喧ちゃんは以前MODE FOURを使用していて、はじめからこのキャビネットの魅力を見抜いていた。
その後、ヘッドはJVMに代わったが、キャビネットはMODE FOURを続けて使用している。もう結構経つよね。
このピース・サインはすごく気に入ってくれている証拠なのさ!

90もちろん喧太ミュージックには「声」も需要な存在だ。

100全編スリリングなギターと…

120v喧ちゃんの心のメッセージを伝える「歌」で構成された『Guitar Circus』は曲順もよく練られており、飽きたり、たるんだりする箇所が全くない充実の一編であった。

110v
喧ちゃんのトレード・マーク、ペロリ。アクションにも熱が入る!

130「衣装間違えた…」と喧ちゃん。そう思う。脱水症状が心配になるほどの汗・汗・汗!
しかし、ジャケットを脱がない。心頭滅却、気合が入っているのであ~る!

135そんな喧ちゃんをガッチリと固めるバック陣。
さすがに付き合いの長い可久ちゃんとは合いすぎるほど息が合っている!

140vピック弾きの歯切れのよい音が実に気持ちい要さんのベース。

150説明不要の透さん。
思えば10年以上前、喧ちゃんを紹介してくれたのは透さんだった。

160「歌い始めてまだ2年ぐらいなんだけどね…」、「2年ぐらいしか歌ってないんだけどね…」ともったいぶって紹介したシークレット・スペシャル・ゲストは…佐藤浩市!

160v会場はビックリ仰天!

170v浩市さんは芳雄さんの歌を歌い継いでいるという。

180アコースティックでもそのノドを披露。
ていねいに心を込めて歌い込む姿が感動的だった。
「ま、まだ歌い始めて2年なんだけどね…」と喧ちゃん!

190もうひとりのゲストはTomo Fujitaさん。

200NAMMショウでデモンストレーションをするTomoさんを毎年見ていたが、こうしてバンドでガッツリ演奏するところを観るのはじめてだった。
慎重に選んだ音をひとつひとつ丁寧につないで行く姿は、たとえ演奏する環境が異なっても当然変わるものではなかった。

210Tomoさんのギターは喧ちゃんのダイナックでエネルギッシュなスタイルと対をなすもので見応えのあるギター・バトルだった!

220喧ちゃんも実に楽しそうだ!

230また、チョイスした曲もスリリングにして味わい深いもので、ふたりの個性を引き出す格好の素材となった。

240v後半はすさまじいまでのノリノリ大会!「Do It, Boy!」なんか自然と一緒に歌っちゃう!

250vさすがにジャケットは脱いだものの気合はそのまま。最後の最後まで鬼気迫るギター・プレイはヘタなサーカスよりスリル大!

260会場も汗みどろの喧ちゃんの大熱演に応えるべく一心不乱に頭を振り、喧太ミュージックに実をまかせていた。

265そして、アンコール。本編の曲を「も一回やり直していい?」なんてシーンもあったがご愛嬌。

290

最後は宇崎竜童さんが喧ちゃんのお父さんのために書いた曲、「生きてるうちが花なんだぜ」。
赤坂BLITZでの芳雄さんの追悼ライブの時に桑名正博さんが気に入り、生前よく演奏していた曲。
浩市さんやTomoさん、オープニング・アクトを務めたKane Jら出演者全員がステージに上がってにぎやかに幕を閉じた。

280この歌、最近ものすごくグッと来るんだよね。
ホント、生きていなきゃこんな素敵なコンサートを観ることもできやしない!
盛りだくさんのコンテンツ…喧ちゃんとギターを中心にふんだんに楽しんだ。…ということは私のタイトルの解釈は大正解だった!

そして朗報!!
本番中に喧ちゃんが触れたように、『Guitar Circus 2014』のもようはDVD収録された。そのDVDが7月27日に発売されることが決定している!
詳しい情報はコチラ⇒アトス・インターナショナル公式ウェブサイト

300原田喧太の詳しい情報はコチラ⇒原田喧太Official Web Site

310v(一部敬称略 2014年5月16日 下北沢Gardenにて撮影)

2014年6月23日 (月)

LOUDNESS~One Night Premium Show 『ONCE AND FOR ALL』

LOUDNESSの約2年ぶりのニュー・アルバム『THE SUN WILL RISE AGAIN』が6月4日に発売となった。
今日レポートするのは、アルバムの発売を記念して6月6日に東京だけで開催された『"THE SUN WILL RISE AGAIN"発売記念 One Night Premium Show ONCE AND FOR ALL』と題されたのコンサートのもよう。
30cd
この日、雷鳴こそ聞こえなかったが、ものスゴイ雨もようだった。
朝から強く降る雨は夕方までまで続き、六本木の駅から大した距離ではないにもかかわらず、EXシアターに着く頃にはビチョビチョになってしまった。

当然、雨程度でひるむLOUDNESSファンではなく、満員の会場は開演前から熱気ムンムン!

客電がついたままAC/DCの「Highway to the Hell」が会場に流れ、暗転…SEが変わる。
緊張感あふれるベースの音。ニューアルバムの1曲目「Nourishment of the Mind」だ。
10そして、いよいよ4人がステージに姿を現す、ハチ切れんばかりの大歓声!
20
高崎晃

40v二井原実

50v山下昌良

60v鈴木政行

70vオープニングはニュー・アルバムから「Got to be Strong」。そして同じく「Never Ending Fire」…

80

さらに「The Metal Man」と続いた。すなわちオープニングSEの「Nourishment of the Mind」からここまで『THE SUN WILL RISE AGAIN』とまったく同じ展開。
「どうだ!オレたちLOUDNESSのニュー・アルバムは!」と自信満々に問いかけているかのようだ。

100

LOUDNESSを観るのは昨年末以来だが、あの時とは全く雰囲気が異なっていて、やはり「新しい作品」というものの存在意義の大きさを感じ取った。

ゴルゴ13が要人を一発の弾丸でしとめるように、政治家がニンマリ金勘定をしながら戦争をもくろむように、たこ焼きやき屋がクルクルとたこ焼きをひっくり返すように、曲を作って、演奏して、アルバムを作るのがミュージシャンの本来の仕事だと私は考えている。
コンサート活動はあくまでアルバムを広めるためのものだ。まして、ミュージシャンは決してタオル屋ではない。
「もうCDなど売れない」とか「CDなど作っても意味がない」的な発言が最近富に目につくようになったと同時に「ライブ第一」的な意見も定着してきた。
大反対である。

エジソン以前じゃあるまいし、また、ビートルズ前夜でもあるまいし…テクノロジーに進歩に翻弄されて作る側も聴く側も「再生芸術」の楽しみを忘れてしまったとしか言いようがない。若い人はそれを教えてすらもらっていない。

「再生芸術」の楽しみはアルバムによってしか味わうことのできないものである。
『Sgt. Pepper's~』は「Sgt. Pepper's~」に始まって「A Day in the Life」で締めくくることによって意味があり(もっと言うとその後のジングルまで)、各曲を単体で聴くよりアルバム全体を聴いた方がはるかに一曲ずつが輝いてくる。実際、このアルバムの発表時、シングル・カット曲がなく、ビートルズが解散した後、1978年にイギリスで「Sgt. Pepper's~」が単体で発売されただけだ。(B面は「A Day in the Life」)
今のポピュラー音楽界で起こっている事象、すなわちダウンロードして1曲ずつ音楽を聴くという行為は、SP盤しかなかった…すなわち長時間収録が可能な録音媒体がなかったローテク時代に音楽の在り方が退化していることを指し示しているとしか思えないのだ。

しかし、ナンダカンダ言っても、「CDが売れない」というのは、基本は「消費者は価値のないものに金を出さない」ということではないのかね?
お金を出してでも買いたい音楽は「形」にしてそばに置いておきたいと思うのではないかといまだに信じている。
CDの中に「ナントカ券」を入れている内は絶望的だよ。アレはCDを捨てる子より、そういうものを作る方が圧倒に「悪」だ。(←ココ、「いいね!」押すとこです)

そういう私の考え方をすべて包含してくれているようなアルバムが今度のLOUDNESSのTHE SUN WILL RISE AGAIN』なのだ。

110驚異のギター・トーン健在。
数年前ヨーロッパのフェスティバルでLOUDNESSを観たMarshallのスタッフが「出演したギタリストの中でもっとも美しいギターの音だった」と感動していたのを思い出す。、

120名器JMP-1とRoger Mayer製作のパワー・アンプにSidewinder入りの1960。世界がうらやむコンビネーション。
Aキャビの上に乗っているのはJCM800 2203。

130ある日本人のギタリストが高崎さんのギターの音をして「意味がわからない」と言っていた。その言葉の意味がわからないぐらい「いい音」ということだ。
ま、残念ながらそのいい音の核は、機材の中ではなく高崎さんの指と頭の中に詰まっている。

140v中盤は80年代の曲をセレクト。
165

二井原さんがLOUDNESSを離れていた時期の曲も演奏されたワケだが、ナニを歌っても二井原さんの声がかぶさると時代を超えてすべてLOUDNESSになる。「声」の力というものとはスゴイ。
クラシックの声楽の人たちは声のことを「楽器」と呼んでいるという話しを聞いたことがある。
二井原さんの楽器も世界的な名器だ!
150v
いつか二井原さんが歌うSladeの「Cum on Feel the Noize」を聴いてあまりのカッコよさに腰を抜かしそうになったことがあったが、何かの機会に二井原さんが歌うNazarethのヒット曲「Razamanaz」を聴いてみたいな…絶対ピッタリだと思う。身勝手なリクエスト。

160v「Black Star Oblivion」の素晴らしいギター・ソロ!改めてMarshallっていいな~と思ってしまった。
166v
写真の撮影をしているとどうしてもPAスピーカーの前に立つことも多く、爆音から耳を保護するためにどんな会場でも耳栓をするようにしている。さもないと耳がいくつあっても足りなくる。
しかし、高崎さんのソロの時にはソレを外すことが多い。そして役得でMarshallから発される生のトーンを聴く。
そのトーンは「最上」であると同時に「基本」である。
美しく歪んだ本来あるべき「ロック・ギター」の音がするのである。当たり前にそれは「いい音」なのだが、そのポイントは音の良し悪しの向こう側にあるような印象がある。「ロック魂」とでも言おうか、決して機材ウンヌンではない何か精神的なものである気がしてならない。
290

もちろん爆音なのだが、まったくうるさいとは感じない。世界に誇る日本のロック・ギターのトーンなのだ。
210v
1982年の『DEVIL SOLDIER~戦慄の奇跡~』から「Lonly Player」と「Angel Dust」のメドレーからの…
200
ドラム・ソロ!

225
さらにニュー・アルバムからタイトル・チューン「The Sun Will Rise Again」と「Motality」が続く。
190
そして、この超ヘヴィ級のリズム隊。もちろん岩をも砕かん大爆音!

170vところがそのサウンドはどこまでもクリアで鋭角的だ。

180二井原さんの弾き語り。

240v
そして、終盤に入り猛然とクライマックスへと向かう。

220本編最後は「Crazy Doctor」と…

250v「Crazy Night」の必殺の連チャン!
245v
そりゃ盛り上がるに決まってるわな~!観客総立ち!…って最初から総立ちだけど…。

90
これで一旦本編は終了。

260当然猛烈な「アンコール」の声。お客さんはひとり残らず実に楽しそうだ。

270「King of Pain」…

280「Let It Go」の2曲。

これで終わりかと思ったら…ダブル・アンコール!

300ここではニュー・アルバムから「Shout」と「SDI」を演奏。

320v待ってましたの「SDI」では会場も一体となってShout!アレ、うまくできてる?

330メドレー曲も含まれていたが、アンコールも含め22曲。約2時間20分。ニュー・アルバムからは11曲中6曲が選ばれるという新旧取り混ぜた「今のLOUDNESS」の格好のショウケースとなった。
370
個人的にひとつだけ…私はニュー・アルバムの最終曲、「Not Alone」が一番お気に入りなんだけど、今回のセット・リストから漏れたのがチト残念!こういう曲とか演奏ってなかなか日本人のバンドではお目にかかれないないLOUDNESSならではのものだと思っている。完全に洋楽なのだ。

335vこのアルバムのタイトルなのだが、未来を表す助動詞「will」が入っている。
ご存知の通り、太陽は必ず毎日昇る。曇ってはいても太陽が昇らない日はない。
英文法の時制のルールとしてこうした不変の真理は動詞に現在形を使うのが普通とされている。
にも関わらず「The Sun will~」としているのはこの「sun」が空の太陽を指しているのではなく、LOUDNESSのことを指しているとみた。
つまり、東から上った太陽がまた世界を席巻する…ということをこの「will」が暗喩しているように思えたのだ。

7月には東京、大阪、名古屋でのホール・ツアーが開催され、秋以降にはワールド・ツアーも企画されているという。がんばれLOUDNESS!

340外に出てみるとLOUDNESSのパワフルに対抗するかのようにまだ強い雨が降っていた。しかし、雷鳴(Thunder)が轟いていたのは雨模様の六本木の街ではなく、EXシアターの中だった。

350LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

360(一部敬称略 2014年6月6日 六本木EXシアターにて撮影)

2014年6月20日 (金)

クラシックROCK!!~DYNAGON、QUORUM、成増保育園

ワールド・カップ第2戦、ブラジル・ナタールでのギリシャ戦を記念し、急遽予定を変更して我がNATALが登場するコンサートのレポートをお送りすることにした。

ここ数日テレビから連呼される「ナタール」の声にうれしくもあり、ちょっと恥ずかしくもあり…。
今までウチの「NATAL」を「ナタル」とか「ネイタル」とか読む人が少なからずいたが、今回のことでかなり「ナタール」という読み方が定着したのではなかろうか。綴りも同じだし…便乗、便乗!

Natal_power 引き分けは悔しいけど、負けなくてヨカッタわ~。これでまたロスタイムに点を入れられて逆転負けなんて展開になっていたら「ナタールの悲劇」って一生言われちゃうからね。
普段はサッカーの試合なんてまったく見ないけど、こういう機会にはやっぱり夢中になって母国を応援しちゃうね。特に後半、汗みどろの選手の姿はまさに「死闘」の様相を示していて少なからず感動を覚えた。

コレで誰か決勝ゴールでも決めようものならその選手にお祝いでNATALのバーチのキットの1台もプレゼントしようと思ったが、実現できずチト残念!
でも、選手たち、ドラムを始める機会があったら間違いなくNATALを指定してくれるんじゃない?イヤ、それとも反対か?「NATALは思い出したくない!」…なんてね。
ところで「NATAL DRUMS」はイギリスのブランドで、名前の由来はブラジルのナタールとは何ら関係ないということをここで明言しておく。

さて、肝心のコンサートの方はといえば、『クラシックROCK!!』とタイトルされ、個性的な面々が揃う面白い内容となった。
まず登場したのが成増保育園。

10ナニも成増の保育園のOBというわけではない。(あるいはそうなのかな?)

20ギター、ベース&ドラムのトリオ編成の「成増保育園」という名前のバンドだ。

30コレがですね~、なかなかに強烈!今時こんなバンドが日本にいたのか?!という感じ。

40サウンドの基調はサイケデリック・ロックということになるのであろう。
強烈なビートにお経を乗せて読んでみたりする。ブラジルの巨人、Hermeto Pascoalもコレに似たようなことをやっているが、こちらの方がストレート。何とも言えない雰囲気だ。

50さらに、延々と狂ったように「ダイエット」を連呼して自己トランス状態に入り込む。
おおよそ万人に受け入れられるタイプの音楽ではないが、私は結構好き。ナゼかというと、ひとつの表現手段としてこの手のサウンドに「ロック」を感じるからだ。
テレビに出てくるバンド連中とそのサウンドを比べてみるがいい。同じ日本人が同じ楽器を使っているのにこうも違ってくるものか?むしろこっちの絶望的なサウンドにこそ「世界の終り」を感じるわ。

60vただ、こうしたサウンドは決して新しいモノではなく、60年代後半から70年代初頭にかけてGraham Bondあたりが取り組んでいた音楽に近いイメージだ。

70vQuintessence(クインテッセンス)というイギリスのバンドをご存じだろうか?むしろコレに一番近いかもしれない。
このQuintessenceというバンドはインド音楽の影響を受け、「アッラ~」とか「ブッダ~」とか延々と神様の名前を唱え続けたりする曲を演奏する。
私は決してHawkwindのようなトリップ系サウンドの愛好者ではないが、成増保育園を見ていてQuintessenceを思い出し、そして、そういうバンドがまだ日本いることを知ってとてもうれしくなってしまった。

80vちょっと調べたところ、ウェブサイトもお持ちでないようで情報が少なくてゴメンなさい。「成増保育園」で検索するとホンモノの保育園が引っかかって来ちゃって…。
とにもかくにもスゴク新鮮な感覚で接することができるバンドだった。

90そしてQUORUM。

100Marshall Blog読者にはもう説明は不要だよね?

110浪岡真太郎

120v北川遊太

130盆子原幸人

140石川達也

150vこの日の約1週間後に開催したワンマン・コンサートも大好評だったようで(先約があって行かれなかったのさ)、着実に前進を続けていて頼もしい限りだ。

160魅力的なヴォイスで観客の耳を一手に引き寄せる真太郎。

170v奔放なギター・プレイに大きな自信を垣間見せる遊太。
190

今回初めて聴いたが、「Get Back」にLed Zeppelinの「For Your Life」を突っ込んだアレンジには思わずニヤリとさせられた。

180v派手なアクションと「攻め」に徹する幸人のベースでステージ下手はいつもにぎやかだ。

200vそして、抜群の鳴りを誇るNATALを御するド迫力な達也のドラミング。QUORUMの音楽にベストマッチのサウンドだ。

210v今日もまた一歩前進するQUORUMなのであった!

220QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

会場に貼られたQUORUMのポスター。写真は私が撮らせていただきましたん!

230この日、トリで登場したのは「中京の重戦車」、DYNAGON(ダイナゴン)だ!

240中野重夫

250v加藤剛

260v宮田叔侑

270v増井康博

280vDYNAGONは1986年に結成されたインストゥルメンタルのハード・ロック・バンド。何と30年近く前にここ鹿鳴館に出演したことがあるという。

290シゲさん、絶好調!

300_2Marshallは使い慣れたSUPER 100JHヘッドを持参。

310vご覧の通りの大激演はいつも通りだ。

320vDYNAGONサウンドの大きな特徴のひとつは剛さんが操るキーボード・サウンド。

330Jon Lordを師と仰ぐ剛さんのプレイはロック・キーボードのカタマリみたいなものだ。

340vDYNAGONのサウンドをヘヴィたらしめるトシさんのベースもなくてはならないものだ。

350MCではトシさんから重大な発表(?)があった。
今回のコンサートでQUORUMと共演することで判明したのだが、QUORUMのギターの遊太くんのお父さんとトシさんは30年来の友人だというのだ。
もう何十年も行き会っていなかったが、今回のことを知り、遊太くんのお父さんが連絡をして来てくれてトシさんも初めて知ったそうだ。
「今度の対バンのQUORUMのギターはオレの息子なんよ」という具合。驚いたのはトシさん!
これをキッカケに遊太くんのお父さんと旧交を温めたという。これも音楽の持てる魔力なのか?

ロックもこの世に出て来てから60年も経ち、ますますこういう世代を超えた交流は増えてくるに違いない。親子どころか孫子の関係がそろそろ出て来てもおかしくない。ガンバレ、おじいちゃんチーム!

360vステージ後方から黙々とバンドをドライブさせるヤスさん。

370QUORUMもそうだが、やっぱりこうしたブリティッシュ然としたロックにはイギリス製の楽器が良く似合う。そういう空気が出てくるから不思議だ。
ヤスさんも気持ちよさそうにギンギンにNATALを鳴らしまくっていた。

380v演奏曲はDYNAGONスタンダード。

390「Hammerhead」、「The Art of Nazka」等々おなじみのナンバーだ。

400インストゥルメンタルといってもこのバンドの曲は小難しいところが一切なく、「ドライブ命!」的なところが聴いていて実に爽快だ。そして歌がなくても十分に「ロック」を楽しめることを教えてくれる。

410私は音楽が小難しければ小難しいほどよろこぶ音楽変態だが、彼らの熱演を見ているとそんなことはどうでもよくなってくる。
mintmintsStrange Beautiful & LoudD_Drive、そしてDYNAGON…これらをMarshall Blogの「新四大インスト・バンド」と認定させて頂きたい。

420vDYNAGONの詳しい情報はコチラ⇒DYNAGON Web

430三者三様、すごくおもしろいコンサートだった。ま、「クラシック・ロック」っちゃ「クラシック」だね。でも音楽のクォリティが低ければ風雪に耐えきれず「クラシック」として生き残ることはできない。
コレでいいのだ!

それと、コロンビア戦、がんばれニッポン!

440vNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月17日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年6月19日 (木)

Republic (モリマチ)Session

以前Marshall Blogでレポートしたことがあるが、Republic Saxophoneというバンドがある。森園勝敏さんのバンドだ。
残念ながら、現在森さんは療養中で第一線を退いている。そこで森さんの早期回復とステージへのカムバックを待って催されたのがこのセッション。だから『モリマチ・セッション』だ。

珍しく冒頭は大二さんのごあいさつ。「(森さんの)復帰までもう少しかかりそう。でも、いつ彼が帰って来てもいいようにウォーミング・アップ的な企画」と趣旨が説明された。

10_2オープニングは「Mercy, Mercy, Mercy」。

20アルト・サックス奏者、Cannonball Adderleyの大ヒット曲。作曲は後にWayne ShorterらとWeather Reportを結成するスイス人ジャズ・ピアニスト、Joe Zawinul。
Cannonballは好きだなぁ。最適ジャズ名門盤とされる『Somethin' Else』もいいけど、普通のジャズを演っていたRiversideの諸作はもちろん、ファンキー・ジャズになったDavid Axelrodプロデュース時代の諸作もすごくいい。
縦横無尽、ジェット機のように飛び交う鋭角的なソロがタマらない。

ちなみにManfred Mannの『The Five Faces of Manfred Mann』というアルバムに収録されている「Sack O'Woe」という曲はCannonball Adderleyの作曲だ。なんでManfred Mannがこんな曲を演ったんだろうね。初めて聴いた時、結構驚いたのを覚えている。

90年代の半ば、グリニッチ・ヴィレッジのThe Bottom LineでBuddy Rich Big Bandを観た。「Mercy, Mercy, Mercy」はこのビッグ・バンドの重要んあレパートリーだった。
その時のドラムはDave Weckl。
Wecklは『Burning for Buddy』というBuddy Richへのトリビュート・オムニバスでこの曲を録音している。
スゴかった。もうオカズ(今は「フィル」っていうのかな?)のひとつひとつが鳥肌もので、それがキマるたびに客席から「ウェッコー」、「ウェッコー」と掛け声がかかるのもカッコよかった。それと同じぐらいカッコよかったのが2番テナーを吹くSteve Marcusのソロだった。

30_2もうね、この日の大二さんもマジでWecklに負けてないの。音はいいわ、フィールはいいわ、こちらの「Mercy」も鳥肌ものだった。

40今日のメンバーは…
岡井大二

50v_2ベースに大西真

60v_2キーボードは石井為人。

70v_2そして森さんの代役は関雅樹

2曲目はブルースのスタンダード、「Steppin' Out」。

80_2そしてこれまたオハコ、「Goodbye Pork Pie Hat」。
コレの原曲を聴いたことある人はいるかな?Charles Mingusの1959年の『Miugus Ah Um』に収録されている。もちろんCharles Mingusの作品。
この曲はもうすっかりJeff Beckバージョンの方が当たり前になってしまった。その次におなじみなのはJoni Mitchellバージョンかな?同じ歌入りならRoland Kirkバージョンも最高にカッコいい。
ところがテナー・サックスの巨人、Lester Youngに捧げられたこの曲、原曲はBeckのものよりグッとプリミティブなイメージだ。
「Pork Pie Hat」にはズルっと来るかもしれないが、この『Miugus Ah Um』というアルバム、「Better Git It in Your Soul」、「Boogie Stop Shuffle」、「Fables of Faubus」といったMingusスタンダードが収録されたベスト盤的な内容なのでジャズ入門編の1枚としてロック・ファンにもおススメだ。
Mingusで脱線のついでに、廣木光一というジャズギタリストの『Preparense』というアルバムもおススメ。「Fables of Faubus」をギター・トリオで演っているが、すこぶるカッコいい。

今日も為人さんのピアノ・ソロが快調!

90_2噂をすればJeff Beck…「Behind the Veil」。それにしてもこの曲が入っている『Guitar Shop』というアルバムはスゴイね。「Savoy」とか「Big Block」とか、コンテンポラリー・ベックを演る人たちのスタンダードがガッチリ収録されている。私も出てすぐに買ったっけ。だからオリジナルジャケット。1989年の発表か…もうずいぶん経ったんだね~。

この曲は関ちゃんのオハコだ。

100vMarshall Blogでも何度かレポートしているように、関ちゃんはこの曲を大二さんとよく演奏しているので完璧。途中の無音状態からド~ンと盛り上がるところなど圧巻だ。

2m_img_0007 5曲目は「Stratus」。何度も言うけど「ストラトゥス」。
原曲にあるアタマのボワ~ンとなっているところ…アレ、特にやる必要ないような気もするけど、みんなナンカやりたがるね。
これもJeff Beckで再びスポットライトを浴びた曲だが、元はBilly Cobham。ギターはTommy Bolin。
今日はテンポも速く気合の入った「Stratus」だ!

120テーマの後、まずは為人さんのエレピのソロ。上下に音階をめまぐるしく移動しながらベンド・キーをいじるスリリングなプレイ!

130_2関ちゃんがソロを引き継ぐ。今日一番強めのディストーション。お、想定外のキメがキマった!

135_2その後ろで暴れる大二さん!NATALスゲ~!こりゃタマラン!
110

それにしても大西さんのベースの重いこと!この曲、イヤがるベーシストいるんよね。ずっと同じパターンの繰り返しだから。

150v関ちゃんのMC。

「思い出話しをするのもヘン」としながらも森さんとの出会いを語る。
関ちゃんは元々森さんの大ファン。このお店に出演した時、オリジナル・アレンジで「Lady Violetta」を演ったら客席で偶然ホンモノがそれを観ていた…という。
終演後、森さんと話しをした時、てっきり「勝手にアレンジすな!」と怒られると思ったらさにあらず。
「アソコ、どうやってんの?」と逆にアレンジについて質問されて、結局、今ではそのアレンジのバージョンで演奏している…というお話し。

160_2そこで、「Lady Violetta」。ん、今日も緩めのテンポだな…。
関ちゃんの弾くテーマ、今日は何だかフェイクが激しい。

170v_2為人さんのソロ。コンパクトにまとめたさわやかなソロだ。

180v_2代わってはじける関ちゃんのソロ!このサンバーストのストラトは実に音が甘い。この曲にピッタリのトーンだ。師匠直伝の「Sleepwalk」で曲を締めくくる。

190_2ここでNATALが紹介された。

200v大二さん曰く…「余計な倍音がなくてとてもいい。鳴りすぎて鳴りすぎて…。すごくいいっス。音が柔らかくて、それでいて迫力があるんだよね」
220_2

「Marshallのドラムがあればいいなってずっと思っていたんです。Marshallのステッカー貼っちゃう!」
日本のロック史に名を残す大二さんほどの名ドラマーにNATALを気に入って頂いて天国のJimもさぞかしよろこんでいるに違いない。

そうそう、サッカーのワールド・カップ、日本のギリシアとの第2戦は「ナタール」というところでやるんだってね。
テレビで「ナタール」、「ナタール」って連呼されて…ちょっとうれしい。

210_2
大二さんのキットはバーチ。フィニッシュはグロス・バーガンディ。要するにワイン・レッド。
関ちゃんのMarshallは愛用の2187。1987の2×12”コンボ・バージョン。

230_2足元のようす。また何やらゴチャゴチャしてきた?

240第1部の最後は森さんがよくやっていた「Hideaway」。

280_2真ん中のエイトのところは迷わず「Peter Gunn」!お、「Crossroads」も混ざって来た!
為人さんはメイオールばりのオルガンソロ!

270休憩をはさんで第2部。
シンプルなエイト・ビートで始まったのはThe Crusadersの「Put It Where You Want」。

260_2大西さんのベースソロ。
大西さんの背後にはEDEN。毎度書いてるけど、しっかし、音抜けがいい!音に大きな包容力があるのだ。

245これがEDEN WT-800とD410XST

250v_2大二さんのドラム・ソロ!

290_2ドワ~、なんていい音!さすがNATAL!と言いたいところだが、これは大二さんのテクニックによるところが大だろう。
音がデカいし早い。それでいてゼ~ンゼンうるさくない。
このお店は小ぶりなのでドラムは完全ナマ音なのだが、バランスがすごくいい。あたかもスネア、バスドラム、タムタム、それぞれが自覚を持って自分たちの仕事を確実にこなしているようだ。
見よ、この大二スマイル!大二さんはプレイ中真剣な顔をしていることが多いが、ついニンマリしてしまうのだ!たぶんNATALのせいだよ。

300vここでTerraのオーナー寺田一仁が登場。
「Ain't Nobody Business」。こっから先はシブシブだよ~。

310寺田さんの大二さんや森さんとの付き合いはかれこれ42年ものになるとのこと。寺田さんも森さんの一日も早い復帰を期待しているひとりだ。

320v寺田さんのトラディッショナルなブルース・ソロに対抗する関ちゃんのソロはディミニッシュ連発!

330Stuffを2曲。まずは「As」。元はStevie Wanderの曲。
そしておなじみ「Foots」。スゴイのり!

Stuffは高校生の時、チョット年上のお兄さんたちの間で大きな話題になっていたっけ。クロスオーバー。私はまだプログレッシブ・ロックに夢中のお子チャマちゃまだったので、Stuffの何がいいのかサッパリわからなかった。今でも聴かないけど…。でもこの曲は好きだった。

340続いてDupreeの曲。「How Long Will It Last」。これを聴くとHot Licksの教則ビデオを思い出すな~。メチャクチャ面倒くさそうにギターを弾くDupreeがかえって印象的だった。こうして聴くと実にいい曲だ。

350寺田さんの渋いノドでAmos Garrettの曲他を数曲プレイして2部は終了した。

360…と言いたいところだが、どこまでが本編でどこからがアンコールかわからなくなってしまった!
で、大二さんのツルの一声、「以上で本編が終わりました」と締めくくられ、アンコールと相成った。

J.J.Caleの「Cajun Moon」。
たまたまJ.J.Caleの名前が昨日今日とたて続けに出てきたが、すすんで私が聴くようなタイプの音楽ではないことはMarshall Blogの愛読者の方々は先刻承知だとは思う。その通り。「勉強聴き」の範囲を出ない。
で、それで学んだことは、桑田圭祐ってJ.J.Caleソックリだということ。歌いまわしとかかなり影響を受けていると観た。

365(結果的に)アンコールの2曲目はMuddy Watersの「Got my Mojo Workin'」。
1m_img_0139

…と、みんなで森さんの一日も早い復帰を祈って心を込めて演奏するRepublic Saxophoneなのであった。

370v

390v

400
380v
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月11日 西荻窪Terraにて撮影)

2014年6月18日 (水)

MUSIC JACKET GALLERY 2014

昨年は都合によりスキップしてしまったが、今年は無事取材することができた…MUSIC JACKET GALLERY 2014(ミュージック・ジャケット・ギャラリー 2014)。

10会期は5月29日~6月3日。取材時は平日の昼間にも関わらず、訪問客が途絶えることがなかった。
場所は例年通り新宿高島屋1階の特設会場だ。

20入り口にディスプレイされた巨大なVelvetsのデビュー・アルバム。

30ちゃんとバナナがはがれるようになってる!

40v_1レコード盤もしっかり再現されている。コレ、Verveは青がオリジナルなんだっけ?

50このバンド、John Cale を除いて、ゲストで参加したNicoまでオリジナル・メンバーが全員物故している。この生存率の低さはなかなかに珍しいのではなかろうか。
John Caleはイギリス人なんだね~、OBEを叙勲しているようだ。Nicoはドイツ人。ちなみに関係ないけど、J.J. Caleは先だって亡くなった。

60ちなみにこの1962年のBill Evansの『Moonbeams』。好きなEvansだが、ちょっとユッタリしすぎちゃっててこのアルバムはあんまり聴かないな…。でもジャケットRIVERSIDEにしては実にいい。このジャケットの女性はNico。

Nico それから干支がひと回りもするとこうなる。
こうして比較すると、Nicoの見た目の変わりようにも驚くが、彼女が歌う、オリジナルをズッタズッタに切り裂いた世にも重苦しい「The End」の変わりようもスゴイ!
写真の前列は左からKevin AyersとJohn Cale。Kevinも亡くなってしまった。

Juneちょっと変な方向に脱線してしまってゴメンなさい。入り口にあんなの置いとくもんだから!

今回はレイアウトが大きく変わった。

70展示の真ん中の列は「ミュージック・ジャケット大賞」のノミネート作品の実物。

902013年4月1日〜2014年3月31日の間に日本レコード協会会員社(59社)より発売された洋楽を含む国内制作の音楽CD作品がノミネートの対象となる。

100ウェブサイトだけでなく、この会場でも実際に投票できるようになっている。

80v お、Marshall Blog代表!人間椅子の『萬燈籠』もノミネートされている。皆さん是非清き一票を!
大賞の発表は8月上旬。詳しくはコチラ

110会場前方両壁には変形ジャケットのコレクションがズラリ。

120

130以前はガラスケースの中に展示されていたが、今回はアイテムが目の高さに近くなってすごく見やすくなった。

140

150かつてMarshall Blogで紹介したものも複数展示されていた。

160

170会場の奥に歩を進めるとこんな感じ。

180

190今回は紙ジャケット関連の展示が目を惹いた。
紙ジャケットの第1号はSonny Rollinsの『Saxophone Colossus』だったそうだ。なんで『サキ・コロ』だったんだろう?

200紙ジャケットCDが作られるまでの過程の展示。

210紙ジャケ超大作、Santanaの『Lotus』。横尾忠則のデザイン。Miles Davisがコレ(LPね)を手にした時、口の端からヨダレが垂れていたというヤツね。

220そして、LPと紙ジャケCDの比較展示がズラリ。

225v展示してあるLPは植村コレクションからの出展だ。

230vここは変形ジャケット特集ですな。
複製ミニチュア化の技術もスゴイけど、やっぱりこの時代のロックのクリエイティビティには目を見張るものがある。
同時に音楽もビジュアルもすべてこの時代にやりつくしてしまっていることがよくわかる。

24060~70年代の作品群。

250vどれもこれも独創性にあふれた印象的なデザイン。

260忘れてはならないのは、こうしたデザインのほとんどが自力でクリエイトされたワケではないということだ。

270vつまり、音楽あってのジャケット。この頃はいいデザインを生み出す独創性が音楽の側にあふれていたのだ。

280もちろん中には例外も少なくないが、中身のいいものはたいてい外見もよかった。逆にジャケットに惚れてそのレコードを買ってしまうということも十分に成立した。
要するにジャケットは音楽を聴く楽しみのひとつだった。目でも音楽を聴いた時代だった。(一応断っておきますが、この下の写真は10ccの『Original Soundtrack』を除いては個人的に愛着を感じるものは何ひとつありません。こう記しておかないと普段の論旨と矛盾してしまうもんですから…)

310vそれとね、思うのは写真の重みなんだよね。もちろんイラストやタイポグラフィのデザインは例外よ。
昔のジャケットに使用されている写真は魅力的なものが多いよね。BLUE NOTEやPrestigeがいい例。同じジャズの三大レーベルでもRIVERSIDEはそうでもないけど…。PACIFICやCONTEMPORARYも写真が実にいい。
ロックではやっぱりHipgnosisの使う写真が秀逸だと思う。CGなんか全くない時代だからすべて被写体は実物だ。
また、Jim MarshallやNorman Seeff、鋤田正義…スゴイ写真家が撮った写真のジャケットがゴロゴロしてたからね。
今でも有名な写真家の作品がジャケットに使われているのだろうが、どうも違うんだよな、あの頃と…。それは時代の空気感もあるだろうし、もちろん機材の違いも大きい。
しかし、そう感じさせるのはその写真が使われた作品の音楽の影響が一番大きいのではなかろうか…。

320このあたりは80年代以降か…。私にとってのロック暗黒時代。この頃から時のロックをほとんど聴かなくなったっけ。
290v
したがって失礼ながら、ジャケットも特段いいとは思わないし、愛着もまったく感じない。
ナゼなら音楽を聴いていないから…つまりはそういうことだ。
300
会場突き当りのスペース。

330ブルーレイディスク・オーディオの視聴コーナーとなっていた。

350
ソファが置いてあってユックリとその音を体験できるようになっている。John Coltraneの『A Love Supreme』なんかかけちゃうもんだからジックリ聴いてしまった。
記録できる情報がCDよりも格段に大きいため、よりナマナマしい音が再生できるようになるそうだ。
ん~、確かに音はいい。特にElvinのドラムがスゴく前に出て来て、かつJimmy
Garrisonのベースがよく聴こえる。Coltraneのサックスも水が滴るような感じだし、McCoyのピアノも恐ろしく粒立ちがよくなっている。
何のことはない、優れたオーディオ装置で聞くアナログ・レコードだ。最新の技術で原始的なテクノロジーを追及する…なんと贅沢な!それなら魅力的なジャケットをまとったアナログ・レコードのままで十分よかったのにね!

いくら音がよくなってももうソフトは買い換えられないな~。そりゃ音質が優れているに越したことはないが、私なんかに言わせれば「『音楽』を聴いている」のであって「『音』を聴いている」ワケではないのだから。さもなければ40年代に録音されたジャズなんか楽しめない。
「音」にこだわるより、もっといろんなモノを聴きたい派なのだ。もう人生のスタートよりゴールの方が全然近くなっちゃったからね。死ぬまでに1曲でも多くいい音楽を聴いて死んでいきたいと思ってます。

いい音で売り込むのも結構だし、名盤は名盤でいいんだけど、今こそもっと幅広く色々な音楽を
聴いてもらうことを考えた方が将来よっぽど商売になると思うんだけどね…いかがなものか?
ハードとソフトの関係は関係省庁の関係でもあるという話を聞いたことがあるが、レコード会社も大変だ。
とにかく、コレ、音はとてもいいですよ。

340そうそう!最近CDプレイヤーというものが無くなってきてるんだって?!
CDが出てきたのは1982年とか言ってたかな?大ゲサに言えば、たった32年の命?どうすんの、こんなにたくさん作っちゃって~!エジソン泣いてるよ。

私的なことだが、初めての自分のステレオを手に入れ、初めてレコードを買った(John Lennonの『Shaved Fish』)のが1976年、14歳の時かな?それ以前もロックを聴いていたけど、ステレオがなかったのでレコードが買えなかった。

それから大分経って1987年ぐらいに初めてCDを買った。
そういえば、その当時は「○○のアルバムはCDで持っています」なんてのが自慢話しだったよね。まったく笑わてくれるぜ。
その頃はCDが嫌いでね、世の中はもうCDになっていたけど強情を張ってセッセとLPを買い続けていた。
ところがCharlie Parkerの『Royal Roost』という未発表音源がCDだけの発売になりやがって仕方なくCDを初めて買った。
CDプレイヤーを持っていなかったので、プレイヤーを持っていた会社の若い女性(あ、当時は私も若かった!)にカセット・テープにコピーしてもらってそれを聴いていた。

その後、新譜のLPでの発売が減り出して、ほどなくしてCDプレイヤーを手に入れた。
それからはCD一辺倒になったな。何たって取り扱いがラク。
また当時は転勤族だったので、何しろ大量のLPは引っ越しの大きな悩み。そこで、あれほど可愛がっていたLPの一部、3,000枚以上を2度に分けて処分してCDに買い換えた。ああ、アレやっぱり売らなきゃよかったな~。

さて、こうして思い返して驚くのは、もうLPよりもCDとの付き合いの方がはるかに長くなっちゃったんだよね~。
そのCDがもう無くなろうとしているんだからビックリしたのを通り越して恐ろしいわ。

こうしてPCの普及により、どうにもこうにも大変な状況に陥ってしまった音楽パッケージ商品だが、ジャケットの魅力はやはり捨てがたい。
その魅力を後世に伝えるこのイベント、今の日本の音楽シーンにはなくてはならない重要な責務を負っていると感じた。
また、ここのところご無沙汰しているが、Marshall Blogでは植村コレクションのMusic Jacket Gallery常設展を通じてジャケットや音楽の魅力を私的にお届けするつもりである。

Music Jacket Gallery 2014の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

360(新宿高島屋1階特設展示場にて撮影)

2014年6月17日 (火)

SPOCK'S BEARD 初来日公演

「ジャズとロックが合体して、イギリスではプログレッシブ・ロックになり、アメリカではフュージョンになった」とFrank Zappaが言ったとか、言わないとか…

敬愛するFrank Zappaにタテつくつもりは毛頭ない。しかし!確かに「フュージョン」という言葉こそシックリこないが、イギリス人にはこの種の音楽をクリエイトする優秀な「ジャズ・ロック」のグループやアーティストがゴマンといた。
一方、イギリス式のプログレッシブ・ロックを「プログレッシブ・ロック」と定義するならば、アメリカはその手のバンドの層があまりにも薄い。反対にジャズ上がりのフュージョン・ミュージシャンが山ほどいることは間違いない。
だからZappaの言葉は普遍性はそう高くないにしろ、「当らずとも遠からず」ということは言えそうだ。

どうしてアメリカから強力なプログレッシブ・ロック・バンドが出にくいのだろう?
プログレッシブ・ロックの人気が(今は別として)ないかというと全然そうではない。アメリカにもプログレッシブ・ロック・ファンは多い。
アメリカのプログレッシブ・ロック・バンドといったら誰を思い浮かべるだろう?Kansas?
Kansasもイギリス製のそれに比べればポップこの上なく、私なんかには「プログレッシブ・ロック」というイメージは希薄だ。
他は?…Pavlov's Dog? Styxもそうかな?…出てこない。プログレッシブ・ロックを聴くのにわざわざアメリカのバンドなんて探さないからな…。 

そんな中で出会ったのがSpock's Beardだった。
初めて聴いた時は驚いた。やや明るめではあるが、そのサウンドがイギリス製プログレッシブ・ロックに響いたからだ。

Spock's BeardはNealとAlanのMorse兄弟によって1992年ロスで結成された。
その活動は20年以上に及ぶものの、何と今回の公演が初来日というのだから驚く。
会場は長年にわたり来日を待ち望んでいたファンで満席だった。

客電が落ち、薄暗いのステージから送り出されるシンフォニックなキーボード・サウンド!

1sb_img_0142 コレコレコレ、プログレッシブ・ロックはこうでなきゃ!

10_2ボーカル、ギター&キーボードのTed Leonard。

30v_2ギター&ボーカル、Alan Morse。

40v_2ベースはDave Meros。

50v_2ドラムはJimmy Keegan。

60vそしてRyo Okumoto。キーボード、奥本亮さんだ。

70v事前に亮さんにコンタクトを取り、Marshall Blogの取材をお願いしたところ、快くご了承いただいた。
この場をお借りしましてご協力に厚く御礼申し上げます。
210

機材は、というと…
ボーカルのTedはMarshall。

90vJCM900 4100と1960Aのコンビネーション。ガリガリとリード・ギターを弾くワケではないが、バンド・サウンドを分厚くする存在感のあるサウンドを醸し出していた。

100v_2そして、ベースのDaveはEDEN。

110_2WT-800ヘッドとD410XSTキャビが2台ずつという構成。

120vEDENのプレイヤーにはGenesisのMike Rutherfordが名を連ねているが、EDENのピュアでヌケのいいトーンがこうした緻密な音楽にもぴったりマッチするということの証左だろう。

130ドラムをはさんでステージ中央はこういうことになる。

140_2オープニングは「Something Very Strange」。

150_3昨年リリースした最新作『Brief Nocturnes and Dreamless Sleep』の収録曲。

155vコレがその『Brief Nocturnes and Dreamless Sleep』。

Sbcd ものすごく分厚いアンサンブル!とにかく演奏がうまい。もちろん「うまい」なんて言葉は世界を股にかけて活動するバンドに大変失礼だとは思うんだけど、とにかく「うまい」と言いたくなる。
浅草国際劇場で観た初来日のKing Crimsonも演奏のうまさに圧倒されたっけ。そんなイメージ。
20
そして、このAlanを見ればわかるように実に楽しそうに、うれしそうに演奏してくれる。Robert Fripは下向きっぱなしだったけんね。

170vそれとみんな歌が滅法ウマい。
いつか野音でRenaissanceやSteve Hackettの演奏を見ながら岡井大二さんがおっしゃっていたが、「彼らはああして一緒に歌っていると声が似てくるんだよね。だからコーラスがすごくきれいに聞こえるんだ」
まさにそのお言葉通りの美しいコーラス。

180_2Daveは指とピックを曲によって使い分けていた。

190v指だろうがピックだろうが、実にリッチで伸びやかなベースらしいトーンで聴いていて気持ちがいい!EDENの面目躍如といったところか。
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聴けばアータ、このお方、1991年にEric BurdonとBrian Augerで結成された「Eric Burdon-Brian Auger Band」のメンバーだったっていうじゃないの!その時の話しを聴きたかったナ。

2sb_img_0048セカンド・アルバムから参加している亮さん。中心人物としてバンドを引っ張っていく!

200_2そして、初の来日公演…実にうれしそうだ。

2sb_img_0156 やっぱり、マルチ・キーボードはプログレッシブ・ロック・バンドのシンボルだね。
ハード・ロックやメタルにMarshallの壁が不可欠であるようにプログレッシブ・ロックにはこの光景がベスト・マッチする!
80_2
開演前楽屋の廊下で、DaveとこのJimmyと3人で雑談をしていると、Jimmyが私のシャツにプリントしてしてあるNATALのロゴを見て「NATAL知ってるよ~」と言ってくれた。High VoltageでThin LizzyのBrian Downeyと一緒になった時に知ったそうだ。「すごくいいドラムだ」とオホメの言葉を頂いたのはうれしかった。
オフステージではすごく気さくなJimmyだが、いったん演奏が始まると「ドラムの鬼神と化す!」といった感じで、気迫のこもったドラミングは素晴らしいのひとこと!

220亮さんから教わった日本語「どないや?!」も大ウケ!

230vアンコールも含めて全11曲。うち5曲が『Brief Nocturnes and Dreamless Sleep』からのチョイス。緩急自在に富んだ素晴らしい演奏だった。
やっぱりさ、うれしいよね。古くはFreeやFacesの山内テツさんや穐吉敏子さんのように孤軍奮闘、日本人が世界的なバンドにメンバーとして参加して活躍するというのは。
しかも亮さんの場合はバンドをリードしている点が輪をかけてすごい。
音楽に国境はないというけど、音楽活動には国境があるのだ。その国境を超えて、相手の土俵で勝負をするのはいまだに至難のワザだ。
数々のキーボードに囲まれて派手なアクションで鍵盤を叩きまくる亮さんの姿に感動を覚えずにはいられない。
近い将来の再来日を期待している。
160
そして、プログレッシブ・ロックという音楽。
いつも書いていることだけど、やっぱり若い人にも聴いてもらいたいナァ。
童謡のような今のロックに耳なじんでいる若い人たちにとってプログレッシブ・ロックを聴くことはおおよそ苦行の類になることは間違いない。でもね、そういうものこそ深く、飽きが来ないのだよ。
イヤ、好きにならなくてもいいから聴いて欲しい。こういう音楽もあるということを知っておいて欲しいのだ。
それでもし好きになればメッケもん!人生がより豊かになる。何もこれはプログレッシブ・ロックに限ったことではない。ジャズでもロックでも少しでもたくさんの音楽を楽しまないともったいないよ!

240_2SPOCK'S BEARDの詳しい情報はコチラ⇒Japan Official site

250 (一部敬称略 2014年5月10日 恵比寿LIQUID ROOMにて撮影)

2014年6月16日 (月)

♪SPICE FIVEはじめました~!

暑い!ああ~、イヤだ。夏はキライだ。夏といえば冷やし中華なんでしょ?
「なんでしょ?」というのは私は冷やし中華を食べないのだ。でも、今日のタイトルは冷やし中華風にしてみた…暑いから。

…といっても昔からMarshall Blogをご覧のみなさまはよくご存じの通り、ナニもSPICE FIVEというバンドが今に始まったワケではなく、休んでいたワケでもない。
以前のMarshall Blogを終了して復活する間も、もちろんずっと絶賛活動中で、休んでいたのはこっちの勝手。
元より大好きなSPICE FIVE、Marshall Blog再開後、早いうちに取材したかったのだが、なかなか都合が合わず今日に至ってしまった。
だから、「♪SPICE FIVE(また)はじめました~」なのだ!

10和佐田達彦

330v_2 そうる透
40v
武藤祐生

30v田川ヒロアキ

50v小川文明…といきたいころだが、文明さんは現在病気療養中で今回はお休み。
文明さん、以前はいつも自分のカメラ(単焦点のコンパクトカメラ!)を持参されて、私を信用して撮影をお願いしてくれた。それがないのか…さびしいな。

55v今やMarshall Blogで初めてSPICE FIVEに接する読者も多いかもしれないので簡単に説明しておくと、このバンドは和佐田さんが中心になって即興で音楽を作る集団だ。
すなわち演奏はその場限りで、再演は不可能。テーマすら即興。ただ調性はあるのでフリー・ジャズやノイズの類ではない。
普通に言えば「行き当たりばったり」、やや持ち上げて言えばElectric Miles。タイトルもその時の和佐田さんの虫の居所で決められるというスリリングな展開!だから本当にリハーサルもなし。
もちろん、こんなことそこいらのにわかミュージシャンにされてはタマったものじゃござんせん。
そこは、山も谷も竜宮城も修羅場も経験した人たちの演奏だからおもしろい。

即興なので、どうしても複雑なコード進行やキメは一切排除される。リズム隊は与えられたリズムをいかに律動させるか、フロント陣はワン・コードの中でどれだけメロディをはじき出すかに集中する…コレがSPICE FIVEの魅力。
2年ぶりのSPICE FIVE…全然変わってなくてうれしかった!

601曲目は「#$%&*」。←曲名がキマっていないということ。
スローのシャッフル。
ヒロアキ君絶妙のクランチ・サウンド!

1s5_img_0049 パワー・コードを用いた武藤さんのバッキングがカッコいい。そのままロングトーンを効果的にちりばめたドラマチックなソロへと突入する。

80見つめ合うリズム隊のふたり。

90今日も完璧なコンビネーション!

100v1曲目終了後、和佐田さんから正式な曲名が発表された。その名も「エデン」。つまりキーが「E」だから。
…ということで和佐田さんが機材を紹介する。

110そう、今日和佐田さんはEDENのWT-800を弾いているのだ。
これがまた信じられないくらい素晴らしいトーン!
「アンプやエフェクターにあまり興味がない」とおっしゃっていた和佐田さん。「コレ、ええわ~」と大絶賛。
驚異的に抜ける美しいトーンと「行く時は行ったらんかい!」的なプレイにも当意即妙に反応するレスポンス具合がマッチしているのであろう。120同時にヒロアキ君のMarshallも解説。今日はJVM210Hと1936。
1936は2x12"だが十分すぎる低音を放出してくれる。
ご覧の通り別売りのキャスターを装着することができるので運搬もラ~クラク。「乗れるんじゃないか?」だって!

ヘッドにマイクを立てて集音しようとした人が昔いたとか…。ヘッドにもアミアミ(フレット・クロスという)が張ってあってスピーカー・キャビネットみたいだからね。気持ちはわからなくもない。子供のころF社のアンプのカタログ見て同じことを思ったことがあるもん。

130v2曲目は「フジヤマ」。そうもうおわかり、キーは「F」。めずらしくメジャーだ。
透さんが叩きだすヘヴィな8ビートで曲は始まる。

140テーマは武藤さん。もちろん即興。
ソロではオート・アルペジオでホール・トーン・スケールを駆使して異様な雰囲気を醸し出す。

150オーッと新兵器!ポケット・サックスというハワイの楽器らしい。ちゃんとリードが付いている。楽器のせいなんだろうけど、恐ろしくピッチが甘く、これが妙な雰囲気でおもしろい
以前からギターのかたわらキーボードを弾くことは珍しくなかったが、最近はベースやらカホンやらこのポケット・サックスまで!これらがまたすべて達人の域だから恐ろしい。
ちなみに和佐田さん、ヒロアキ君がコレを出した時、一瞬「カツオブシ」を出したのかと思ったとか…。
今の若い人、にんべんの削り節が当たり前でカツオブシなんで見たことないんじゃないかね?昔は、「コレ削っといて」とカツオブシと削り器を夕食の前に渡されてコキコキやるのは子供の仕事だった。
そうそう、カラシもそう。今、みんなチューブになっちゃったけど、昔は粉でそこにお湯を少量垂らして猛然とカキ回したもんだ。「カラシは怒ってかく」なんて教えられちゃってね。これも子供の仕事。

160v3曲目は「ゲロゲロ」。
ものスゴイつまらない話なんだけど、皆さんSpiritっていうアメリカのバンドはご存知ですかね?結構隠れファンが多いバンド。
ここの中心人物がRandy Californiaというんだけど、昔、この人はJimi Hendrixとバンドをやっていたことがあった。そのバンドには何とJeff "Skunk" Baxterもいたらしい。
で、バンド内にRandyというヤツが2人いたもんだからふたりを区別するために、芸名としてふ出身地をファミリー・ネームにした。ひとりはドコだか忘れたが、SpiritのRandyがカリフォルニア出身だからRandy Californiaにしたそうだ。
この話し、もし岐阜出身で名前が同じヤツがバンド内に2人いたとするじゃない?ひとりは「高山」さんだよ。で、もうひとりは「ゲロ」さんになるだろうな~…なんてことを即座に思ったね。
ああ、こんなこと書かなきゃよかった!いつもこんあことばかり考えています、ハイ。

170めずらしくジャングル・ビートを取り入れた一編。
MCでは「狼少年ケン」の話しで盛り上がった。コレ、主題歌の作曲は小林亜星だって。いい曲だよね。今でもアニソンは人気があるけど、我々が育ったころのアニメの主題歌は本当にかわいくていい曲が多かった。
子供というのはかなり厳しい芸術評論家で、絵でも寓話でも音楽でも本当にいいものでないと喰いつかない。正直だからね。だから日本の長生きしているアニメは総合芸術として非常にクォリティが高い。
290
一部最後は「アマガエル」だって。スローな8ビート。
「かえるの歌」をマイナーで奏でる。本日初のキメ!
230
バッキングの和佐田さんのスラップが『We Want Miles』の頃のMarcusみたい。
透さんの延々と続くパターンの繰り返しに何となく『In a Silent Way』を聴いている気分になってくる。
エンディングは正調「カエルの歌」だ。

180

2部のオープニングは「ベロベロ」。

200透さんの和太鼓風ドラム。

205武藤さんが「In the Mood」を引用してソロを展開。

210v2曲目は武藤さんのアイデアという3/4拍子のファンク調。これが素晴らしい!

ヒロアキ君、また「笛」を演奏。このバンドではこの楽器は「笛」と呼ばれているようだ。
サングラス、帽子、体にくくり付けた楽器(ヒロアキ君の場合はギター)、クレイジーに吹きまくる姿…ヒロアキ君、完全にRahsaan Roland Kirkになってますから!

待てよ、このまま孝三さんに教わってサーキュレーションもマスターして、本当にソプラノとかソプラニーノとか吹いて、ギターを弾いて鍵盤も叩いたら完全にRahsaan超すぜ。私、真剣に言ってます。
ちなみにRoland Kirkの『The Retuen of the 5000 lb. Man』は我が一生の愛聴盤。それと今でも聴く度に手に汗握っているのは『Mingus at Carnegie Hall』の「C Jam Blues」のソロ。ロック・ファンにも是非一度は聴いてもらいたいジャズの名演のひとつだと思ってる。

260それをニコニコしながら見守る武藤さん。

270v指弾きだけのベース・ソロ。実にスリリング!
この曲、つまり3/4拍子のファンク。和佐田さん曰く演奏している方は「何か足りない。ちゃんと服を着ているけどパンツをはき忘れた感じ」だとか。
聴いている方は全然問題なし。ヴァイオリンが加わっているせいもあるんだろうけど、実にZAOぽっく聴こえた。ZAO好き。
240
3曲目は「出たとこ勝負」。
16ビートのマイナー曲。どちらかというと全曲「出たとこ勝負」という気もするが…。

280この曲はスゴカッタ。
何がってリズム隊のふたり!まずは和佐田さんの壮絶なソロ!クライマックスに達した時のこの和佐田さんのイケイケ感は他の人にないものだ。イヤ、個人的なイメージで社Jeff Berlinに共通項を見いだせるような気がするな~。
EDENの素直なトーンが和佐田さんのプレイに完璧にマッチしていることを確信した瞬間!

300vグイグイと遠慮なくプッシュする透さん!
380v
それに応えて目も覚めるようなランニング・ベースを披露してくれた。ココは今日のハイライトだったね。
2s5_img_0003
文明さんが欠席の分、和佐田さんにトークの負担がかかるが、全然ヘッチャラ。透さんとオーケストラの話し(指揮者とコンマスの関係)とか映画音楽の仕事の話しとか話題は尽きない。
220v
透さん、『里見八犬伝』が印象に残っているお仕事だとか。映画やCM等、参加した作品は3,000曲に上るという。日本のBernard Perdieだ。歌もメッチャうまいし。

340v

最後は「今日はうまく乗り越えられてよかった」…タイトルじゃないのかな?時々わからない時があったりもする。
2s5_img_0025

これが「ハード・ボサノバ」!そもそも「ボサノバ」というのは、ハードなサンバをユックリとおとなしく演奏することに意味があるのだが、「そんなの関係ネェ」のぶっちぎりハード・チューン!

360

それでも始めの内はやや大人しめだったが…

350vひとたびヘヴィな8ビートになればこっちのもの(何がだ?!)。ギンギンにメタル化して大いに盛り上がっちまった!
そうそう、下関出身のヒロアキ君。先週山口県知事の謁見して目の前でまた「君が代」をギンギンに弾いちゃったらしい!ドンドンやってまえ!

310

アンコールはお定まりのブルース。なつかしいな~。
キーはB。#が5個。ジャズメンにはまず無理なキー。メジャーのミディアムという設定になった。

390途中で「アッコちゃ~ん」も登場。ちなみに、「♪アッコちゃん来るかと…」のエンディング・テーマは、これも小林亜星作曲。作詞には何と「井上ひさし」の名もクレジットされている。
「アッコちゃん来るかと団地の外れまで出てみたが」…「団地の外れ」だって。そういう時代だったんだね。ものすごく昔の感じがする。
インターネットもスマホも、そんなものなくても間違いなくあの頃の方がいい世の中だった。かく言う私も「スマホはもはやオレの臓器」なんだけどね。

395無事終了~!

4002年ぶりのSPICE FIVE、やっぱりヨカッタ!でもやっぱりさびしいな。小川文明さんの一日も早い復帰をお祈りしています。
文明さん、またカメラ持ってきてください!写真撮りますよ~!

410v(一部敬称略 2014年5月9日 高田馬場音楽室DXにて撮影)

2014年6月13日 (金)

ワニゲラスイーン?~KRUBERABLINKA(クルベラブリンカ)ニュー・アルバム発売記念

「パパ、『ブランコ』って英語ちがうの?」

仕事の関係でアメリカへ渡ったある家族の会話。この家のお嬢さんは日本人学校へ通わず、普通のアメリカ人が通う小学校へ通っていた。
ある日、休み時間にブランコに乗りたくて、「ケナイ・ブランコ?」とクラスメイトに訊くと「ワニゲラスウィーン?」と訊き返されたというのである。
「ワニゲラスウィーン」…「ワニゲラスウィーン」…お父さんはいくら考えてもわからない。
「『スウィーン』はおそらく『ブランコ』のことだろう…じゃ一体、『ワニゲラ』ってなんだろう…」
さんざん考えてようやくヒネリ出した答えが

Do you want to get on the swing?

これが省略と渡り音で「ワニゲラスウィーン」となるんだ!と無事正解を得て娘への面体を保ったという話し。(講談社現代新書 倉谷直臣著「英会話上達法」より)

よく「イヤ~、英語もさ、相手が言っていることは大体わかるんだけど、口から英語が出なくてさ…」なんてことを耳にする機会が時々あるが、コレは絶対ウソだ。聞いてわかったような気になっているだけの話し。ちょっと複雑な話しや自分に関係のない話しをされたイチコロだ。

外国の言葉はしゃべるより正確に聞き取る方がはるかに難しい。
しゃべる場合は自分の頭の中だけで処理ができるし、相手が意味を汲んでくれるケースが多い。
ところが、聞く場合はすべて自力で処理しなければならない。相手の言葉を聞き取るにはそれをカバーするだけの語彙が必要だし、本場の発音を聞き解かなければならない。
何より相手がナニを考えているのかわからず、会話の行き先が自分が予想した方向と大幅に異なってしまった場合など、今さら聞き返すこともできないし、会話の軌道修正ができないことすらある。会議の席など話す時より聴く時の方が頭を回転させている…私の場合、いつも逆回転なんだけど。

何しろ知らない言葉は、いくら考えたところで意味の思い出しようがない!
リスニングの問題も大きい。私の英語力は冒頭の女の子以下だろうが、それでも少しは英語に慣れてきているつもりでいる。
ところが、これだけロンドンに行っていても、時々100%ナニを言っているのがわからないオッサンに出くわすことがある。驚いたことに100%わからないのである。まず、物乞いをしている人の英語は絶対にわからない。好奇心の強い私でもさすがに「今、ナンて言ったんスか?」なんて訊けない。でも意味はわかる。「お金チョーダイ」だ。

さて、ブランコの話題からずいぶん離れてしまったが、話題はここでブランコに戻る。
赤尾和重率いるKRUBERABLINKAのニュー・アルバムが『BLANKO』だ。

まずジャケットがいい。Charles Mingusの『The Clown』、Leo Sayerの『Silverbird(裏ジャケ』、CONCERTO MOONの『Angel of Chaos』と、そもそもピエロものには名盤が多い。
『KRUBERABLINKA』、『KAIZU』に続いてまたもやハード・ロックファンの琴線に触れるクォリティの高い作品を問うてきた。
ミックスはNATALでおなじみのBAZOOKA STUDIO。HR/HMの数々の名盤の制作に立ち会ってきた内藤輝和氏の手によるものだ。

05cd今日はその『BLANKO』のレコ発コンサート、東京公演のレポート。

ちなみに「ブランコ」という言葉は、ポルトガル語の balanço (バランソ、英語のバランス)、もしくはBlanco(ブランコ、白色)から来たとする説などがあるらしい。いずれにしても英語ではない。
イヤ、もう何年ブランコに乗ってないかな…。ちょっと乗っただけで気持ち悪くなっちゃうんだよね。
でも、目黒のブランコは最高に乗り心地がヨカッタぜ!

03 この日は『Mavericks and Mystics』とタイトルされた一連の『鹿鳴館伝説』での登場。全部で3バンドが出演した。

10KURUBERABLINKAはトリでの登場だ。

20オープニングは『Kaizu』のリード・チューン、「宇宙は滾れ」。

80ニュー・アルバム発表ということにだけでなく、久しぶりの東京での演奏ということもあってか、冒頭からすさまじい勢いで感曲を攻め立てる!

90バック陣も一丸となった演奏!メンバーの入れ替わりの影響など微塵も感じさせない安定感だ。

100ああ、この声!日本のハード・ロック史に間違いなくその名を刻む声色だ。
ヌケ、コシ、ツヤ、うどんで言えば讃岐の本場、Marshallでいえば疑いなくKT66が搭載されているモデルだ。

110v2曲目はファースト・アルバム収録の「太陽」。この不吉で重苦しいリフが好き。

120v「♪広がりたい、纏まりたい」…ヘヴィに歌いきる姿は圧巻!

130v続いてもファーストから「砂山」。

140ここでメンバー紹介…
赤尾和重

30v

鈴木広美
40v

泉谷賢

50v

片岡祥典

60v
鎌田学

70v

ここでようやく『BLANKO』からの曲を披露。普通、レコ発なんていうとニュー・アルバムの曲ばっかり演るんだけどね。この奥ゆかしさがクルベラ流?!

150まずはタイトル・チューンの「ブランコ」。この曲はアルバムでは冒頭に収録されている。
普通アルバムには派手なアップ・テンポを持ってくるものだし、実際前2作もそうだった。にもかかわらずこうしたドッシリしたミディアムのヘヴィな8ビート・チューンを配置したところにCazさんの自信を見るね。

160実際、「ドヤ、コレ?!」と客の反応を楽しんでいるかのように新曲を披露しているような気がした。

170続けても『BLANKO』から「8(エイト)」。

170v♪ズンズクズンズクのアップ・テンポ。「Lights Out」みたいなこういう曲こそ「ハード・ロック」の魅力だよね。

180vアルバムでも2曲目に入っているんだけど、「ブランコ」が終わった後、このズンズクがフェイド・インしてくる。コレがたまらない!それを実演してくれてるってワケね(ライブではフェイドインしません)。
さすがCazさん。私がいつも言ってる「2曲目が大事説」に同調してくれいるのかしらん?1曲目は絶対に自信作を持ってくるから良くて当たり前、なのに2曲目でズルっときてしまうアルバムが多いんだよね。2曲目をうまく乗り切れば後はナニをやっても大丈夫。
私のイメージで一番強いのはScorpions。『In Trance』の「Dark Lady」の次の「In Trance」、『Fly to the Rainbow』での「Speedy's Coming」の後の「They Need a Million」。1曲目に針を落としてせっかノリノリのいい気分になったのにナンで2曲目でおとなしくなっちゃうの?ってヤツね。
これに懲りたかScorpions、『Virgin Killer』では2曲目にUliのギターがメッチャかっこいい「Catch the Train」を持ってきてみた。だから『Virgin Killer』は名盤になった。

200v
この曲、大サビでチビっとだけメジャーになるんよ。そこが異常にカッコいいんだ。

190素晴らしいズンズクのり!さすが百戦錬磨の名人たちだ!

210v

ボンちゃん使用のキットはNATALメイプル。このブリティッシュ風味がKRUBERABLINKAサウンドにピッタリだ。

220バラード「野ばら達へ」。
この声でバラードを歌われると耳が歌に貼り付いてしまうね。

230歌詞もこのバンドの魅力だ。
なかなかエグイ単語や表現が歌に刻まれているが、まったく奇を衒った感じがなく、それらの言葉が実にうまくサウンドしている。
これはひとつの日本のロックの成果といえるのではなかろうか?

240v鈴木広美、渾身のア・カペラ・ギター・ソロ。
あるメモに「赤ぺら」と書いていた人がいたが、「ア・カペラ(イタリア語:a cappella)」が正しゅうございます。

250「♪ふるるふるる」が印象的な「帳」。『KAIZU』からのチョイス。

260本編最後は『BLANKO』から「案外」。

280アルバムでも最終を飾るハード・ドライビング・チューン。ライブではオープニングやクロージングにもってこいの曲だ。

290ハードなギター・ソロもタップリ!
270
「案外」の歌いまわしが案外気持ちいい!
KRUBERABLINKAの新しいスタンダードになりそう。

300vそしてアンコール。

310勢いよく飛び出したのは「Don't Be So Mad」。
思えばこの曲でKRUBERABLINKAがスタートした。テーマ・ソングともいうべきキラー・チューンだ。
5人によるマグマが噴き出しそうなすさまじい演奏!

320v

330v
340v

350v

360v60分という時間を有効に使い新旧のレパートリーを巧みに取り混ぜてKRUBERABLIKAの魅力を爆発。愉快なMCも聴きどころのひとつで、ベテランの滋味にもあふれていた。

370そして堂々たるステージ・マナー。やっぱりこういうベテランのステージは見応え十分だね。

380アンコール後のサプライズ。Cazさんの呼びかけで当日出演していた高谷"ANNIE"学Dio Kenがステージに上がる。
これはまったくCazさんのアイデアでライブハウスの人にも秘密にされていた。当然会場からは大喝采が!

390この日、5月10日がRonnie James Dioの命日に近いということで3人でRonnieに1曲捧げたのであった。(KenさんからRonnieの逝去日時について超詳しい解説が付け加えられたことはいうまでもない)

400vア・カペラでの歌唱。曲は「Rainbow Eyes」。咳ひとつない静寂に響き渡る3人のやさしくも力強い歌声…。思いがけぬ感動でこの日のステージは幕を下ろしたのであった。

410終演直後の物販コーナー。「儲かってまっか~?」「ボチボチでんな~」どころではなく大盛況だった。

420「毎度ありぃ~!」…『BLANKO』お買い上げのお客様に快くサインをするCazさん。

430v「ワニゲラスウィーン?」
「イエッサィドゥ!」
…ということで素敵なブランコに乗ってきた。次のアルバムも楽しみだ!

KRUBERABLINKAの詳し情報はコチラ⇒KRUBERABLINKA Facebook

440NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 2014年5月10日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年6月12日 (木)

Playing God : JILL'S PROJECT-ZX-、THE BADASSES & QUORUM

日本のMarquee、目黒鹿鳴館のシリーズ企画『鹿鳴館伝説』。毎回興味をそそるブッキングで好評をキープし続けている。
今回は『Playing God』と題して岡垣正志率いるJILL'S PROJECT他、総勢6バンドが結集した。その一部を紹介する。

まずはQUORUM。

10もうMarshall BlogではおなじみのQUORUM。共演希望の声も多く着実にそのポジションをアップさせてきている。

20ボーカルの浪岡真太郎。

30vギターは北川遊太。

40ベースの盆子原幸人。

50vドラムは石川達也。

60vいつもと変わらぬ伝統のロック・サウンド!ホッとする~!

80
Marshallなくしては実現できないホンモノのロック・サウンドだ。

70前回もかなり長尺のイベントだったが、今回も6バンドの登場とあって各バンドの持ち時間はそう長くはなかった。

90vその中でキッチリとQUORUMの魅力を放出させたのはさすが。

100vそれは演奏する自作曲ひとつひとつが、「QUORUMをQUORUMたらんとさせる力」を持っているからだろう。
130
着実にファンの数も増やしてきているようで実に頼もしいかぎりだ。

110v
毎回書いていることではあるが、若い人たちにどうしても見てもらいたいバンドだ。
最近は「英語で歌うバンドお断り」というようなフェスティバルもあるらしいが、そんなところでこそQUORUMが暴れたら面白いだろな。10代の若い人たち、QUORUMを見て一体どんな顔をするだろう?
120

QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

140次に紹介するのはTHE BADASSES。

150gi-na

160トシヒケタ

170vFIRE

180v星山哲也

190v…というオールスター・バンドがTHE BADASSES。
gi-naさんとFIREさんはMARCY BAND以来のMarshall Blogご登場!

200vバンド名の「badass」とは元来「性質の悪いヤツ」みたいな意味であったが、今ではもっぱら「カッコいい!」という肯定的な意味で使われるアメリカの俗語。
イギリスの人がこの言葉を口にしているのを聴いた記憶がないな。イギリス人はなんて言うのかな?「Bloody lovely!」かな?
220v
そのバンド名通り、gi-naさんのパンチの効いた歌と…

210vトシさんのテクニカルなギター…

230そして強靭なリズム隊…さすが、ロックに必要なエキスが存分に盛り込まれているのがこのバンド。各人の持てる音楽的スキルがフルに発揮されていて見ていて実に気持ちがいい!
250v
テクニカルだがテクニックに頼ることのないトシさんのギターがエモーショナル極まりない。歌心にあふれているとでも言おうか…。
音楽の根底にタップリとブルースの奔流があるのだ。やはりこうでないと「ホンモノのギタリスト」として世界レベルで認められないのだ。

2jp_img_0187 最近メッキリ少なくなった「日本のロック」を感じさせる超ゴキゲンな演奏だった。

240THE BADASSESの詳しい情報はコチラ⇒THE BAD ASSES OFFICIAL SITE

260vこの日最後に登場したのがJILL'S PROJECT-ZX-。

まずはインストゥルメンタルで1曲。

270岡垣"Jill"正志

280島紀史

290vANI-Katsu

300v出原卓

310vそして、ボーカリストが加わって今日のJILL'S PROJECTのラインナップが完成する。

320ボーカルは佐々井康男。
390v
ん~、今日も絶好調のノンちゃん!

330使用しているヘッドは1967MAJOR。

340vしっかし、音がドンドンよくなっていくな~。

350岡垣さんの様式美キーボード・プレイも健在。

360vオルガンを前後に揺さぶり、鍵盤にのしかかる激しいプレイ!音楽監督としての存在だけでなく、プレイヤーとしての大きな存在でバンドをギュッと引き締める。

370どこを切っても勢いよく流れだす様式美サウンド!これもブリティッシュ・ロックに対する日本のロックのひとつの回答だ。

380冴えわたるノンちゃんのソロ!

410vめくるめく華麗なテクニックに見惚れるのもいいが、実はこの人のソロ・フレーズ、メタル・ギターのClifford Brownとでも例えればいいのだろうか(余計わからんか…)、実に密度が濃い。もちろんその場限りの完全アドリブだ。
鋭角的に切り込んできて、アッという間に空の彼方に飛び去っていく。そう、鷹が獲物を捕らえる時のようなイメージだ。

420vそして、他流試合の時の、CONCERTO MOONの時と異なる表情が魅力的でもある。

425数々の名ギタリストを輩出したTerra Rosaの総帥、岡垣さんの慧眼も忘れてはならない。
まとめ役がしっかりとしたビジョンを持っていれば、こうした鉄壁のバンド・サウンドがクリエイトされるという恒例。

430vアンコールにはゲストで西川茂が登場!

440茂さん、待ち時間長くて大変だったろうな~。
でもそれを吹き飛ばすほど強烈な「Lady Double Dealer」だった!

450岡垣正志の詳しい情報はコチラ⇒Jill's Room
島紀史の詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site

460(一部敬称略 2014年5月6日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年6月11日 (水)

NATALを手で叩いてみた!! by てぃっしー (ニタニタ動画)

それにしてもこの人の人気はすさまじい。今、「好きなドラマーは?」の問いに最も数多く名前が挙げられるのが「ブライアン・ティッシー」ではなかろうか…。
Bt今さら触れるまでもなく、ブライアンはNATALのドラマーだ。

Acrylickit私なりのブライアンのドラミングに対するイメージはとにかく「音楽的」であると思う。その叩姿は、まるで歌を歌い、ギター・ソロやカッコいいギター・リフを弾いているかのようだ。

や はり、こうしたことは洋の東西を問わず、日本の売れっ子ドラマーさんたちにも同じことを感じる。そしてそういうドラマーのプレイは、レガートならレガー ト、スネアならスネア、バスドラならバスドラ、それだけ単体で聴いていても飽きることがない。そしてキマってうるさくない。音は大きいのにうるさく感じさ せることがない。
反対にやたら手は早く動くし、パワフルなのだが、うるさくてとても聴いていられないドラマーもいるがアレはツライな…。音楽を根こそぎブチ壊してしまう。
ドラムってのはプリミティブなだけに、プレイヤーの素養や資質がモロに出てしまうからおもしろい。

Bt_img_0083 Marshallの創立50周年記念コンサート『50YEARS OF LOUD LIVE』でもハウス・ドラマーとして大活躍してくれた。

Bt_img_0172 そのブライアンが主宰しているのが、敬愛するジョン・ボーナムへのトリビュート・コンサート『BONZO BASH』だ。
「bash」というのはアメリカの俗語で「にぎやかなパーティ」を意味する。日本語的に言えば「ドンチャン騒ぎ」となろうか?ドラムだけに「ドンチャン」だ。

Nm_img_2497_2コレは2013年のNAMMの時に開催されたBONZO BASH。
この時のことはすでにMarshall Blogでレポートしている。
演奏される曲は当然すべてZeppelinナンバー。私もキライじゃないからね、そりゃ楽しいですよ。
ところが、時差ボケの状態でMarshallの連中と軽くイッパイやりながら爆音の中にいるともう猛烈に眠くなっちゃってね…。
翌日、「シゲ、昨日のBASHどうだった?」なんて訊かれて、「最高、最高!Zeppelin好きだから!」なんて言ってたら他のヤツに「ウソつけ!シゲ、オマエ思いっきり舟漕いでたじゃねーか!」なんてからかわれちゃったりしてね。
でも、コンサートの内容はとてもヨカッタ。

Nm_img_2444その中でブライアンは何曲かギターを披露した。

Nm_img_2508後日会ったブライアンはこの刺青を見せてくれた。
へ?コレ、ジョン・ボーナムのマークじゃなくてジミー・ペイジじゃん?
ブライアンは大のジミー・ペイジ・ファンなのだそうだ。

Nm_img_3123ブライアンにもらったピック。
ブライアンのドラミングが至極音楽的なのはこういうこと、つまり、ドラム以外の楽器もよく知っていて、音楽全体を考えてのプレイを心掛けているからなのではなかろうか?

Nm_nm_nm_img_3544 さて、今年も開催されたBONZO BASH。
その中で鳥肌モノのブライアンの動画がアップされていたので紹介する。Zeppelinの新企画盤も発売されたことだしちょうどいいタイミングじゃん?!
スティックを使わない手によるドラム・ソロ。もちろん「Moby Dick」のアレだ。

今年の1月、ニュージャージーでの演奏。アキれるほどカッコいい!
見りゃわかるけど、ドラムはもちろんNATAL。
Acrylickit2オマケ的に他の動画も…「アキレス」。
ちなみにこの「アキレス」は英語圏の人たちは「アキリース」と発音する。「アキレス」ではまず通じない。
コレで一番困ったのが「ケンタウロス」。あのエフェクターを指して言おうとしたがトコトン通じなかった。
アレ、「セントァ」と「セ」にアクセントを置いて発音する。ゼンゼン違うじゃねーか!

早 期英語教育もいいけどね、こういうことも教えておかないと英語圏の人と話しをする時に恥をかく。英語は出来るようになるかもしれないが、「英語の文化」に 丸っきり無知であることが露呈してしまう。これだといくら英語がうまく話せても「世界の田舎者」としてバカにされ続けちゃうよ。

もう一発、「Kashumir」。
このあたりの曲は絶対にコンサートの佳境で演奏されるので、私には実物を観る機会は永遠に来ないかも…舟漕いでるから!

NAMM 2013でのBONZO BASHのレポートはコチラ

NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
日本語版は只今準備中です。

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

2014年6月10日 (火)

VIVA LA ROCKのグッドモーニングアメリカ

ああ、梅雨はイヤだ。この季節が一年のうちで一番好きなんて人いるのかな?
「イヤ~、オリャ、梅雨に目がなくってサ。天気が悪くてジメジメしてるのが大好きなんよ~」…なんてね。祖先はアマガエルに違いない。
かといってコレが終わればあの夏だもんね。夏は苦手だ~。しばらくツライ季節が続く。
それにしても最近は雨が災害に直結するケースがやたら多くなった。昔はこんなことはなかった。それに加えて竜巻だもんね。一体ココはドコになっちゃったんだ?

これから夏が終わるまでフェスティバル・シーズンとなり、それを待ち望んでいる人も多かろう。
しかし、35年ほど前(コレばっかし…)、これほどフェスティバル・タイプのコンサートが盛んになるとは誰が想像したろうか?
もちろんあるにはあったが、せいぜいどこか大きい会場を借り切って複数のバンドがかわるがわるに登場する程度のものだった。それが今ではテントを張って、泊りがけも珍しくないもんね。隔世の感ありだ。
イギリスなんかではそれが当然で、テントや寝袋を売っている楽器屋なんかもあったりする。イギリスのこうしたフェスは1968年のワイト島が最初なのかな?

とにかくそうしたフェスティバルに付き物なのが雨。「ゲリラ豪雨」ももはや珍しくないもんね。そういう時は屋内の開催がうらやましくもあるだろう。

今日の話題はVIVA LA ROCKというフェスティバルに登場したグッドモーニングアメリカ。
3日間にわたり、さいたまスーパーアリーナで開催された屋内型のイベント。だから雨の心配なし。今年が初めての開催だ。
10_3
ゴルボン装束で登場したたなしん。

20v会場となったCAVE STAGEは超満員。グドモには小さすぎる!入場制限がかかってしまい、観れないお客さんが多数出てしまった。

25_2「グッドモーニングアメリカはじめます!」

30vいつも通りの段取りを踏んで幕を開けたグッドモーニングアメリカのステージ!

40_2金廣真吾

50v_2渡邊幸一

60v_2たなしん

70v_2ペギ

80v_2オープニングは「キャッチアンドリリース」。

90_3幸一ちゃんはもちろんMarshall。

100_3今日はスタンダードに1959と1960Aのセットだ。ビグズビー付きの335とのコンビネーションでグドモのギター・サウンドを構築する。

110_32曲目は「空ばかり見ていた」。
190_2続けて「アブラカダブラ」。
200vフェスティバル特有の高揚感からか、金ちゃん、始まって数曲でギターを降ろして客席へ闖入!

120_3客席前方はもう大騒ぎ!とにかく熱い!雰囲気もそうだけど室内たるや湿度500%のサウナ状態!コレ、エアコン効かないんじゃん?あまりの熱気で!

130_2ステージ奥で今日も激演を繰り広げるペギ。

140v_2今日のNATALはウォルナットのキットだ!いつもはバーチのペギちゃん、ウォルナットにもfell in love。
輪郭のはっきりした深い音色が実に心地よい!

150_2この人には室内の温度なんか気にならない。自分が一番熱いからね!

160v恒例のたなしんコーナー。ぬ、脱げない!引っ掛かっちゃって脱げない!

170人気のこのコーナー、お客さんとの息もバッチリだ。この後はこれまたいつも通り…

180_2幸一ちゃんの挨拶からの…新曲「拝啓、ツラツストラ」。

210vひとつ前のシングル「イチ、ニッ、サンでジャンプ」と立て続けに演奏。

220vそして、最後は「未来へのスパイラル」。
240_2全6曲とコンパクトなステージだったがグドモの魅力が爆発したとてもいい感じのショウだった!こういうのがフェスティバルに潜んでいる魔力の成し得るところなのかな?

230v_2現在、『7つの秘宝を探す冒険 2014』と銘打ったワンマンツアーを敢行中のグドモ。「飛ぶ鳥を落とす勢い」というのは、こういうバンドのためにある言葉なのだろう。
益々の活躍を期待せずにはいられない。

250_2終演後はロビーでトーク・ショウが開催された。

260_2たなしんを中心にそれぞれのキャラクターを発揮してお客さんの爆笑を誘う楽しくにぎやかなトーク・ショウでこちらも見応え十分だったよ!

270グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルウェブサイト

280NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
日本語版は只今準備中です。

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月3日 さいたまスーパーアリーナにて撮影)

2014年6月 9日 (月)

TOTAL OBJECTION TOUR 2014 「Monoral」レコ発ライブ

4月下旬、閉館まで約ひと月の渋谷AXにカラフルなサイリウムの花が咲く。
こんな書き出しからいきなり無粋なことを記すが、この「サイリウム」というのはコレを開発したアメリカのオムニグロー・コーポレーションの登録商標なのだそうだ。
固有名詞が一般名詞になってしまうというパターン。「ホチキス」とか「セメダイン」とか「バンドエイド」みたいなヤツね。かつては「エレベーター」も登録商標だったらしい。「写メール」もそうなんだって。
このサイリウム、一般名詞としては「ケミカル・ライト」という。
「ケミカル・ライト」…長いね。日本人お得意の省略を使って「ケミ・ライ」、「ケミラ」…どうも座りが悪い。「サイリウム」…やっぱりコレが言いやすい。音楽同様、言葉もはいつの時代でも口にしやすいものが生き残る。

それで、いつも不思議に思っていたのだが、この客席のケミカル・ライトの色、みんな一斉に変わるでしょ?
プレス・ピットに入った際、どうなってるのか最前列の女の子に訊いてみた。
「メンバーによって色がキマってるんです~!」
と実にうれしそうに教えてくれた。つまり、バンドのメンバーには予め割り当てられた色があって、その時ステージ上でフィーチュアされているメンバーの色に合わせて都度手元で切り替えるのだそうだ。
つまりギターの人が赤だとすると、ギター・ソロのシーンではお客さんのケミカル・ライト(ガンコでしょ?サイリウムとは言わない)の色が一斉に「赤」に変わるという仕組み。
あ、我々のころは声援と拍手でだけでしたから…。紙テープがあったな。アレも考えてみれば危なうわな。そのせいか、いつの間にかなくなっちゃったね。

10さて、今日はMarshall Blog初登場のバンド、TOTAL OBJECTION。

20ファースト・ミニ・アルバムの発売記念ライブだ。会場は超満員!

30ボーカルはけったろ。

40vギター、鬼丸PP。

50vもうひとりのギターは須賀勇介。

60v鍵盤はyuna。

70v以上がTOTAL OBJECTIONのメンバー。
そしてサポートとして参加しているのが…ベースはNOHHY(ノッヒー)。

80vマニピュレーターは青木繁男。

90ドラムはショボン。

100これがそのTOTAL OBJECTIONのファースト・ミニ・アルバム『MONORAL』。4月28日、つまりこのコンサート当日に発売された!

115cd作曲や演奏等で色々な方面でフレキシブルに活動しているメンバーがバンドとしてまとまったのがTOTAL OBJECTIONであり、その反対にTOTAL OBJECTIONのメンバーがソロ活動を積極的に展開しているというフレキシブルな集合体。
110ギターの鬼丸が、ボーカルのけったろのソロCDの制作に参加したキッカケで2012年12月にTOTALOBJECTIONとしての活動をスタートさせた。ニコニコ動画への曲のアップがキッカケで注目を浴びる。
170vその後、yunaと…
160須賀勇介が加わり現在の形となった。

165vたたみかけるようなヘヴィなサウンド。

120ニコ動がらみということもあり、若い女性の観客が多いが、こんなドヘヴィなサウンドもヘッチャラだ。
昔話なかりで恐縮だが、10年ぐらい前なら「ワタシ、ロックは好きですけど、ハードなのはチョット…」ってな感じだったけどね…隔世の感があるねェ。

だからこそそういう若い子に70年代のハード・ロックを聴かせてみないな~。(ちなみに今、コレを書きながら聴いているのはThe Sensational Alex Harvey Band。ああ~、いつ聴いても、いくつになっても、Alexの声とZalにギター興奮するわ。
あ、ちなみに…最近ピエロの格好したメンバーのいるバンドをテレビでよく見かけるが、珍しがることは何もない。こんなのもう40年前もにやってるんだよ。それがThe Sensational Alex Harvey Bandだ)

130そんなドヘヴィなサウンドをクリエイトするための重要なパートは鬼丸のギター。

140vもちろんMarshall。Jeff Beckも愛用のDSL100を使用していた。

150ショウの半ばではダンサーも登場!

180曲に合わせたアグレッシブな舞いで大喝采を浴びていた。

190ドラムのショボン。

200激愛用のNATALはバーチのUS FUSION Xというキット。

205v10"x6.5"タム、12"x7"タム、16"x14"フロア、22"x18"バスというコンフィギュレーション。フィニッシュはサンバースト・フェイド。

210スネア今注目のアッシュのPURE STAVE。ショボンによれば「もうコレなしではいられない」という。

220ダイナミックにしてパワフル、かつ繊細な彼のプレイにはまさしくもってこいの楽器のようだ。

230vもう会場は上へ下への大騒ぎ。
ステージ上のメンバーの一挙手一投足に合わせて歓声が巻き起こる!もちろん暗闇の映えるサイリウム(あ、言っちゃった!)の色もコロコロ変わって美しいことこの上ない。

240こういう現場に来ると若返った気になるね。汗ダクでステージを縦横無尽に動き回るメンバーの姿と演奏に果てしないエネルギーを感じる。

245時代が変われば人心も変わる。コレはやむを得ないことだ。今の日本の若者の音楽シーンからアニメ、ゲーム、そしてニコ動を取ったらほとんどナニも残らないのではないか?
とにかく「いい音楽」を楽しんでもらいたい。
既成の概念にとらわれないTOTAL OBJECTIONの今後の活動に期待したい。

250TOTAL OBJECTIONの詳しい情報はコチラ⇒TOTAL OBJECTION OFFICIAL WEB SITE

260NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
日本語版は只今準備中です。

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
(一部敬称略 2014年4月28日 渋谷AXにて撮影)

2014年6月 6日 (金)

【NAONのYAON 2014】 vol.5 (最終回): SHOW-YAとグランドフィナーレ!<追捕版>

4回にわたってお送りして来た『NAONのYAON 2014』レポート、今日で最終回!
トリを飾るのはもちろんSHOW-YA!

10_3客席は「待ってました!」とばかりに超総立ち!

20_4寺田恵子

30v_3五十嵐sun-go美貴

40v_2仙波さとみ

50v_4中村美紀

60v_3角田mittan美喜

70_3赤い衣装を身にまとい、堂々とステージの中央に君臨する恵子さん。ホント、赤と黒が良く似合う。スタンダール?!

90v_41曲目は「奪いとれ」。

80_5堰を切ったようにドバ~っと飛び出すいつものSHOW-YAサウンド!

100_3タマリまへんな~!快感~!

110_2会場の多くのSHOW-YAファンがこの瞬間を待っていた!

120v_3「熟女ナメんなよ!」…はい!ま、このサウンドに圧倒されて熟女をナメてる場合ではない!

125vもうお気づきだとは思うが今日sun-goさんが弾いていたダブルカッタウェイの黒いギターはおニュー。「Fairy」という。黒いトップに青緑の妖精のイラストが映える!

130vアンプはレポートの第2回目で紹介したようにJVM410Hと1960BDM。いつもと同じ。これらのコンビネーションがあの分厚いギター・サウンドのサポートをしている。

140_32曲目は「私は嵐」。

160_2コンサートでもハイライトとなる曲だけど野音で聞くと一層よろしいな。

Sg_img_0853♪ズゲゲゲゴゲゴガゴ…さとさんのベースのピック・アップ!カッチョいい~!

170_2イヤ~、ホント嵐のような演奏だ。

180v_4「嵐ポーズ」もバッチリ!

190v_2今度のギターはより一層音が太くなっていい感じですな。

200_5これが最後の曲!「限界LOVERS」では七瀬ちゃんとしょこたんがジョイン!
この七瀬ちゃんとしょこたんが着ているTシャツ見といてね。

210_3昨年は時間が足りなくなってしまい、曲の構成を変えたりして巻きを入れたりしたが、今年は時の番人のおかげでそんな必要もなく、3曲と短いながらもジックリとした演奏で最後を締めくくった。
ファンの人はこの展開を予めわかっているだろうけど、ここで初めてSHOW-YAを見た人やSHOW-YA歴が短い人はもっと見たくなったに違いない。
そういう人は是非SHOW-YAのコンサートに来て頂きたい。この5人が待ってるからね!次は東京は7月ね。

220v

230_2

240_5

250v_2そして、SHOW-YAのギターサウンドはMarshallですから!

Sg_img_0814イヤ~、ホント限界まで盛り上がりましたな!

270こうして本編が終了。
最後は去年と同じく全員参加の「ああ無情」。

280_3この光景は野音ならでは。このキャノンが発射される瞬間は緊張するんだよ~。撮り逃せないからね!

290_4実際に数えた人の情報では、出演者は総勢85人に上ったらしい。転換の時間にイライラすることもないし、趣向を凝らした出し物の連続で、5時間近い長尺ながら一時も飽きることがない、緻密な構成に基づいた素晴らしいイベントだった。

300_3「『NAONのYAON』に出るのが夢」というガール・ミュージシャンもたくさんいることだろう。ドンドン新しい才能が出て来て、これからもこのイベントを盛り上げていって欲しいと思う。

310v_4出演者のひとりひとりにお礼を言って握手をする恵子さん。

320v_3観客も総立ち!これで『NAONのYAON 2014』も最後だ。

325一旦、出演者を見送ってから恵子さんが単独でステージに…。

330v_3感謝の気持ちで精神を統一して…

340v_3「ありがとう~!!!」

1_img_1017 ああ、もう来年が待ち遠しい!

350vSHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA OFFICIAL SITE

360(一部敬称略 2014年4月29日 日比谷野外大音楽堂にて撮影 協力:株式会社マスターワークス ※転用・転載は固くお断りします)


<P.S.コーナー>
*その1*
撮影機材を片づけて、みなさんにご挨拶をし、野音の地下の駐車場へ移動して…地上に出たらナント雨!本降りよ!
昨日書いたように天気の神様が、「あ、『NAONのYAON』終わったね。んじゃ予定通り雨イキま~す」と雨のスイッチをオンにしたとしか思えない!

*その2*
今回のイベントTシャツ。ま、スタッフのユニフォームですな。
これは背中。「NAON CREW」カッコいい!訳して「女一団」!
Img_0129
これが前面。
気にしていなかったんだけど、ある人の指摘で気が付いた。
コレ、土偶?土偶にV。
SHOW-YAのTシャツっていつかの「シャイニング」の猫ちゃんとかガイコツとか鳥とか、いつも楽しみにしているのよ。
今回、なんで土偶?
考えた。かなり考えてみた。
土偶、どぐう、ドグー、それにV…ナンカのシャレかな~?
Dogu…Doug Ardrich?
「どぐう」って何回か口にしていると「グッド」に聴こえるな。

ん!…とようやく思いついたのは、確か土偶って一般的には女性なんだよね。男性の土偶は珍しいというか、ほとんどないとかいう話しを思い出した。つまり「土偶=女」か…。
ハハン、それにFlying Vで「女性の勝利」みたいなことを表してるんだな…。
違うかな?
お後が「土偶」だったようで…あ、「グッド」だった。

<追捕>
主催者より情報を寄せていただきました。助け舟。この土偶は1989年、山形県の西ノ前遺跡から出土したもので、「縄文のビーナス」と呼ばれているそうだ。
だから「VENUS ROCK」。2012年に国宝に指定された。
考えすぎでした。イヤ~、音楽と映画ならナントカいけるけどさすがに土偶まではカバーできませんって!勉強不足ですみません。
『NAONのYAON』も世界に稀なる「女性のロックの祭典」としてその内国宝に指定されるかも?!
がんばれSHOW-YA!!

Img_0127 おしまい

2014年6月 5日 (木)

【NAONのYAON 2014】 vol.4 : シシドカフカ、加藤ミリヤ、杏子、星屑スキャット、八代亜紀、土屋アンナ、相川七瀬登場!

さぁて、陽が沈んで大分暗くなってきた野音…といつもなら書く時分だが、今日はお日様なんかまったく出ていないんだったっけ…。
それでもほぼ雨が降らないに等しくここまで来たのは実にありがたいことだ。
お天気の神様も絶対に『NAONのYAON』の味方をしてくれているに違いない。…と思ったけど、それなら最初から「晴れ」にするがいいじゃんね?イヤイヤ、順番では「雨」だったのよ。
それがあまりにも素晴らしいステージだったので神様も感動して「雨」を取り下げたのさ!

とにかく全編が見どころ!どこを切ってもハイライト。紅組だけのロック紅白歌合戦。まるで「わんこガールズ・ロック」だ~!

シシドカフカがステージ中央にセットされたドラムに向かう。

10v_2昨年も大活躍だったけど今年もダイナミックに、そして華やかにスティックを振り回し、熱唱してくれた。
はじめて気がついたんだけど、カフカちゃんのキットってタムタムがないのね。

20_3「ラブコリーダ」、「MISSミスミー」、「キケンなふたり」の3曲を演奏。
カフカちゃんは自分のバンドの後もステージに残り迫力のドラミングを見せてくれた。

30v_2人気者がジャンジャン登場する…なんて書くと「時間が押してるんだろう?」なんて思うでしょ?ところがドッコイ、vol.2で紹介した「時の番人」のおかげで進行もバッチリ。そういう点でも素晴らしいイベントなのよ。

MCの恵子さんと入れ替わりでステージに現れたのは加藤ミリヤ

40_3カフカちゃんの時とはまったく異なる雰囲気で、「HEAT BEAT」と「SAYONARAベイベー」の2曲を披露。

50v_3ここでギターでD_DriveのYUKIちゃんが加わる。

60v_2YUkiちゃんはもちろんMarshall。背後に控えしは愛用のJCM2000 TSLと1960Aだ。

2_img_1333 杏子さんの出番だ。
何と1曲目は「バードランドの子守歌(Lullaby of Birdland)」。ロンドン出身の盲目のピアニスト、Gerorge Shearing(ジョージ・シアリング)の作品。
シアリングはOBE(大英帝国勲章:Jim Marshallと同じ)を受勲し、その後Knightの称号を得ている。
もちろんジャズ・ピアニストとしても最高峰に位置し、Herbie Hancok(ハービー・ハンコック)をはじめとして、かなり多くのコンテンポラリーなジャズ・ピアニストに影響を与えたと言われている。

Sarah VaughanとClifford Brownの名演で有名なこの曲は、元々はポップ・チューンだったが、次第にジャズ・ボーカルのスタンダードになっていった。実際にShearingの初レコーディングを聴くと、アップテンポで、驚くほどツルっとした演奏になっていて、あの切なく息の詰まるようなサラの歌いっぷりとは似ても似つかないものだ。
ホントに偶然、一昨日この人の『George Shearing on Stage!』を聴いてたんだけど、メンバー紹介で自分のことを平気で「My name is Erroll Garner...」なんて言って笑いを取ったりしている。このライブ盤は1958年の発表だから、60年近く前からビートたけしがよくやっているこうしたギャグがあったということだ。
Erroll Garnerは「Misty」を作曲した人気ピアニスト。当時はきっとスゴイ人気だったのだろう。この人は生涯譜面が読めなかったらしい。

イヤ、すみません。今シリーズ初の大脱線!だってジャズ・スタンダードが出てくるなんて思わなかったんだもん…ついうれしくて!

70v_2「バードランド」でソロをキメたYukiちゃん。

80v「バービー・ボーイズから1曲」…と始まったのは「目を閉じておいでよ」。
相手役は黒づくめのアンナちゃん!マイクに添える右手を見て!カ~ッコえ~!男の私が見ても惚れてまうやろ~、あ、惚れていいのか…。

この後、杏子さんは「恋するBAILA BAILA」という新曲を披露してステージを降りた。

90v_3お次は男が惚れにくい方々の登場。
星屑スキャット
ここもおもしろかったな~。しかし、「星屑スキャット」っていい名前だな…。

100_2昨年に引き続いての登場で、「マグネット・ジョーに気をつけろ」を披露。

110v_3女性しかステージに立てないハズのイベントなのにナゼか何の違和感もないな。
ヤダよ、そのうち『YAYA NAONのYAON』なんてやっちゃ…。

120_3スキャットとのMCで、カラオケの話しから演歌の話しになった。ここで恵子さん、「舟歌」を一節唸る。
♪お酒はぬるめの燗がいい~ お酒はぬるめの燗がいい~
お酒はぬるめの燗がいい~ お酒はぬるめの燗がいい~

ぬるめの燗しか出てこない。飲んでばっかり。あぶったイカすら出てこない。
その代わり出てきたのは…

130_5八代亜紀~!ホンモノ!

140v_2当然会場はこの日一番のどよめき。シークレットだったからね。
亜紀さん、メチャクチャかっこいい!

150v_3もうね、ナニをどうやってもカッコよく撮れる。すべての動作がポーズになっているのだ。こういう大御所ってそうなんだよね。
恵子さんと「舟歌」を共演。

160もう1曲は、まさかの「あめあめ、ふれふれ」って、今日はマズイでしょ!
エエイ、もうどにでもなれ!ってんで「雨の慕情」。

170バックを務めるのは…

200_4SHOW-YAの面々だ。

210v_2だから当然アレンジも…

220_4ハード・ロック調。

230v_3亜紀さんもゴキゲンのようす!す~んごく楽しそうで可愛いの!190_3もちろんサビはみんなで大合唱ね。お客さんもフリまでやってたよ!
みんなもう雨のことなんてもうスッカリ忘れてら!
そういえば去年は夏木マリさんがシークレット・ゲストだったんだっけ!
180場面替わって…土屋アンナ

290v_2アンナちゃんとSHOW-YAのコンビネーションはもはや定番。昨年の『NAONのYAON』だけでなく、『NAONのBATTLE』もすごくヨカッタもんね。

250v実はそれより先に私は別の仕事でアンナちゃんを撮らせて頂いたことがありましてね…最初アンナちゃんを見た時はビックリしたよ、真っ白であんまりキレイで…。
だいたい脚が私の胸のところぐらいまであるからね。アンナちゃんのおみ足に比べたらアタシのなんざ、ただのデッパリだわ。

260v_31曲目は去年も歌った「Brave Vibration」。ステージはすっかりアンナ・モードだ!
240_42曲目もゴキゲンな8ビート・チューン「Up To You」。

280_23曲目にはsun-goさんがアコギに持ち替えて「Sugar Palm」。
270v_43月にリリースしたミニ・アルバム『Sugar Palm』に収録された3曲で構成されたステージ。
歌におしゃべりに…アンナちゃんもこのイベントに欠かせない重要な存在であることを印象づけられた。

300v_2ゲスト・コーナー(っていうのかな?)最後の登場は相川七瀬

310v_3七瀬ちゃんも昨年に続いての出演。赤い上下に身をつつみエキサイティングに「Sweet Emotion」を歌う!当然「♪スイ~トエモ~ション」のところは大合唱ね。

320_2七瀬ちゃんも2曲目には3月に発表したシングル曲、「櫻舞い降りる頃、涙色」を熱唱。

330v_2そして、最後を締めくくるのは千里ちゃんが合流しての「夢見る少女じゃいられない」。
ここも大いに盛り上がったよ!

340v_2…ということでゲストの皆さんのステージはすべて終了。明日は最終回。いよいよSHOW-YAの出番だよ~!
350vSHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA OFFICIAL SITE

つづく

(一部敬称略 2014年4月29日 日比谷野外大音楽堂にて撮影 協力:株式会社マスターワークス  ※記事内に使用している写真は出演者の選択に基づき許可を得て掲載しています。転用・転載は固くお断りします)

2014年6月 4日 (水)

【NAONのYAON 2014】 vol.3 : 中ノ森文子、黒木渚、矢沢洋子、LoVendoЯ、Zwei、稚菜、FLiP、森高千里登場!

『NAONのYAON 2014』レポートの中日、vol.3は中ノ森文子からスタートだ。

10vバンドはCyntiaにMary's BloodのSAKI(ちゃっきー)ちゃんが加わる。使用しているMarshallはJVM210Hと1960A。

20v曲は「Get the Glory」。もうすぐ発売される初シングル。

30vガッツあふれる歌声にステージを駆け巡るハツラツとしたアクション!短いながらもとても存在感のあるパフォーマンスで観客を魅了した。

50v_2それに負けない熱演はギターのちゃっきー!堂に入った演奏で本編でも重要な役割を果たす。
40v文子さんに替わってステージに上がったのは黒木渚

60vなんとマァ、手足が長くてスラッとしてるんでしょう!まるでお人形さんのようだ。そんなルックスとは裏腹に骨のある歌を歌ってくれるからタマらない。

70_2「革命」という歌。スゴイよ、文学的な歌詞が。ショスタコーヴィチの「交響曲第五番」並みの重厚さ。まるで『誕生』の頃の頭脳警察だ。
しつこいようだが、こうした意外性がガールズ・ロックの醍醐味だよね~。それも奇を衒ってないところがカッコいい。

90v_2続いてこのセットで登場したのは矢沢洋子。「Give Me!!!」昨年に続いての登場。

100昨年、初めて観た時、そのストレートなロックっぷりに感銘を受けたが今年も同様。飾らないロック・フィーリングが実にカッコいい!鋼のような圧倒的なステージだ。

110v_2そして、このセッのト最後には恵子さんも加わって、全員で浜田麻里の「Return to myself」をプレイ。この曲、日本のJeff Beck、大槻啓之の作曲だ。
会場は大盛り上がり!

120_2ちゃっきーの素晴らしいプレイにも惜しみない拍手と歓声が送られた。さっき「ちゃっきー、ちゃっきー」と騒いでいたお客さんも大喜びだったハズだ。
80_4ここでバンドは総入れ替わり。LoVendoЯの出番だ。

140_2田中れいな

150岡田万里奈

160v_3ベースはZweiのMegu。ドラムは小林香織。

170v_3昨年も登場したLoVendoЯ。何もロック魂をアッピールすることだけがロックじゃない。このLoVendoЯのガーリーなステージは『NAONのYAON』のとてもいいアクセントになる。

180v_3「BINGO」と「不器用」を歌ったLoVendoЯのふたりに替わって登場したのは…ZweiのAyumu。ガラッと変わってマニッシュなガール・ロック・バンドに早変わり!

210_2ギターはLoVendoЯの宮澤茉凜と魚住有希。

200_3曲は「純情スペクトラ」。カチッとまとまった演奏で否が応にもお客さんをエキサイトさせてしまう!

220_3ここでもう一度フロントが交代。
昨年はオープニング・アクトで登場した稚菜

230v_2前回はピアノの弾き語りだったが、今回のステージはバンドでの演奏となった。
昨年のステージや恵子さんのソロ・ライブでのサポートなどで弾き語る稚菜ちゃんを数回観てきたが、バンドでの演奏を観るのはコレが初めて。

240_3自作の「戦火の詩」がより一層ドラマチックに響く。
「カンボジアに音楽学校を作る」のが夢だという稚菜ちゃん。きっとその夢はかなうことだろう。

250_3本日の出演者中、最南端からの登場は沖縄出身のFLiP

260ボーカルはSachiko。
FLiPは以前にも何回か観たことがあって、ちょっと沖縄っぽい曲がすごく魅力的だと思った。

270v_3今回は「ワンダーランド」と「Raspberry Rhapsody」というストレートなロック・ナンバーをプレイ。4人が一丸となった弾力性に富んだ演奏が見ものだった。

280今回の『NAONのYAON』のヘッド・ライナーとでも呼べる人がステージに上がった。森高千里
バンドも総入れ替え。
あんまりマーブロにはこういうことは書かないようにしているつもりだが、書かないとバカかと思われそうなので書いておくが、どうにもならないくらい可愛い。ビックリしたわ。

290_3「非実力派宣言」と「臭いものにはフタをしろ」と往年の代表曲を熱唱。猛烈に大きな歓声!
曲といい、ステージ・アクションといい、可愛いだけじゃなくてエンタテインメント性がものすごく高いところがあまりにも素敵だ。

300_2そしてミニスカ・ポリスの杏子さんとヒラヒラの衣装で恵子さんが合流。
「この曲を私たちに歌わせるとはいい度胸だ!」とかナントカいいながら「私がおばさんになっても」を大熱演!今回のハイライト・シーンのひとつ。

310でも、ナンダカンダ言って恵子さんの若々しさに一番ビックリするわ!もう雨のことも忘れてた!

320v_2アホほど盛り上がった~!楽しいなったら、楽しいな!

SHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA OFFICIAL SITE
130_3つづく

(一部敬称略 2014年4月29日 日比谷野外大音楽堂にて撮影 協力:株式会社マスターワークス  ※記事内に使用している写真は出演者の選択に基づき許可を得て掲載しています。転用・転載は固くお断りします)

2014年6月 3日 (火)

【NAONのYAON 2014】 vol.2 : 中川翔子、D_Drive、Gacharic Spin、Drop、Cyntia登場!

何とかオープニング・アクトの間は天気が持った…と。
さすが恵子さん、強引に力で雨をねじ伏せているとしか思えない!

05恵子さんの開会宣言で『NAONのYAON 2014』がスタート!
30_2これはステージそでに設置されたゴング。
野音は時間の制限が厳しい。MCが長引いて演奏時間が短くなったりしたらマズイからね。
話しが長引かないようにこのゴングでタイム・キープをしようというワケ。「時の番人」としてレスラーの神取忍と春山香代子が待機。
恵子さんの話が長引きだすとゴングが鳴って、時の番人に担がれて舞台から「退場」させられちゃう!

20_2でも、恵子さんのMCはおもしろいからね。話しも聞きたいよね~。
実際、恵子さん担がれて退場させられる場面も!

10_2さぁ、満員の野音のお客さんを前に最初に登場したのは…

40_2中川翔子

50vそしてバックを務める面々…
中村美紀

60_2五十嵐sun-go美貴

70v仙波さとみ

80_3角田mittan美喜

5_img_0049 あ~、このホーム感!
SHOW-YAの4人に加えてD_Driveから…Yuki。

100vChiiko。
こちらもホーム感満点!
D_YAかSHOW-Driveかわからないが、しょっぱなから最高のコンビネーション!

110vステージ上に並んだアンプ類。MarshallはJVMがゾロリとYukiちゃんのTSL100だ。
sun-goさんはいつも通りキャビネット1960BDMをステージ上にセットして、アンプ類はソデに設置した。

120これがsun-goさんのMarshall。おなじみのJVM410Hだ。

130_2いっきなり杏子さん、恵子さんとのコラボ。

140曲は「9 LIVES」。
150v_2シンガー陣も豪華だがギター陣も負けていない。sun-goさんと…
170v_2Yukiちゃんの…
165vスリリングなギターバトル!
1752曲目は「さかさま世界」。
210v安定した演奏を聞かせるさすがのバック陣。
Joni Mitchellで例えれば、さとさんはジャコだ。ジャコったって魚じゃないよ!ジャコ・パストリアスね。

180v_2キャプテンはライル・メイズ。

185vmittanはドン・アライアスか…というのも冗談ではなくて、Joni同様、腕利きたちの演奏をバックに個性的なシンガーのパフォーマンスを味わえるのはとても幸せなことだ。

190も~ちろん、Chiikoちゃんとのツイン・ドラムもバッチリよ。
こういう豪華な共演もこのイベントの大きな魅力のひとつ。それにしてもChiikoちゃん楽しそうだな~!

200_2このふたりの共演も久しぶりだ。(以前の様子はコチラ

220_2演奏もスゴイが、とにかくすさまじいのはしょこたんの破天荒なパワー!夏の野音でやったら卒倒間違いなしのエネルギッシュなパフォーマンス!
160v_2しょこたんのステージ、最後の曲は「Tyrant too young」。

240_2昨年も演奏したハードな火の玉チューン!

250_2しょこたんのたたみ込むような雄叫び、「●▲%&$#でございます~!」とか「お前ら■@*☆か~!」とか…アレたまんないね。カッコいいわ~。
280v_2鉄壁の演奏を披露したD_Drive女子部。

260v_2この世界でも稀なるガールズ・ロックの祭典にふさわしいゴージャスな幕開けとなった。
ここでバック陣が全員ハケる。

270v_2代わっての登場はGacharic Spin

285ココもまたすさまじいパワーだ。遠慮することをまるで知らない強い押し出し感がタマらない!この圧迫感こそロック!

290_2ボーカル&ドラムのはな。

300vFチョッパーKOGA

310v_2TOMO-ZO

320オレオレオナ

330前回はTOMO-ZOちゃんだけの参加だったが今年はバンド全員で登場。その意気込みが目に見えるような立ち回りで2曲を激演した。
もう最近はほとんど新しいギターが欲しいと思わないけど、このギターはいいナァ。だって全部アイスクリームなんだぜ!

340v恵子さんのMCも時間通りにサクサク進む。
そうそう、このイベントでは出てくるたびに変わる恵子さんの衣装も見物なんよ。
ドンドン変えていって最後はSHOW-YAの衣装でしめくくる。カッチョいい~!

346ん~、メッチャ魅力的な声!

345北海道から参加のDrop's。

350_2ルックスからは想像できないロック・ボイスで2曲を演奏。またまた将来が楽しみなガール・バンドが出て来たね。

360v_2次に登場したのは、昨年も出演して大熱演を披露したCyntia。

370v絶好調のCyntia、存在感を倍増させて今年も野音のステージで2曲を演奏し、暴れまくってくれた。

380ステージ狭しとその魅力を振りまいたSAKI。

390ギターはYUI、ベースはAZU。
AZUちゃんとは結構古いつきあいだ。彼女はMarshallのベース・キャビネット、VBC410を使ってくれている。

400ここまでで、チビ~っと水滴が落ちてきたが、雨支度をするほどのものでもなし。恵子さんのパワーがまだまだ雨に勝っている!このままいけばナントカなるかも?!

SHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA OFFICIAL SITE

410つづく

(一部敬称略 2014年4月29日 日比谷野外大音楽堂にて撮影 協力:株式会社マスターワークス  ※記事内に使用している写真は出演者の選択に基づき許可を得て掲載しています。転用・転載は固くお断りします)