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2014年6月30日 (月)

横浜ハードロック・フェスティバル~吼えろDYNAGON!

古今亭志ん生のくすぐりに「なまじ顔がついてるばっかりに苦労している女性がたくさんいる」というのがあった。
今のご時世、こんなことを公の場で言ったら大変なことのなるかも知れないが、それは昭和の大名人、これを聴いて怒ったりする女性などいるハズもなく、師匠も自分の顔も人のことをとても言えた義理ではないこともあって、大ウケのネタのひとつであった。

音楽でも同じことが言える場合があると考えている。それは歌詞だ。
「恋愛」は歌の永遠のテーマゆえ、まだ「惚れた、はれた」の単純な愛の詩なら構わないのだが、取るに足らない「がんばれ」だの「負けるな」だの陳腐な人生応援歌にテレビで出くわすともう虫酸が走る。そんなにイヤなら見なきゃいいじゃないかって?ハイ。即チャンネルを変えています。
言っておきますが、いい歌詞はいいのですよ。昔のユーミンや陽水、ロックでは頭脳警察なんてあまりにも素晴らしい。

それならいっそのこと歌詞などない方がいい。なまじつまらん歌詞がついているばっかりに音楽をさらにつまらなくしているのだから…。
それで…というワケでもないが、このMarshall Blogでもそういう歌のないインスト・バンドを数多く紹介してきた。SHARAさんのmintmints、三宅さんのStrange, Beautiful and LoudD_Drive、そして今日また紹介するDYNAGON。
ま、コレを「怒り新党」的に勝手にひとくくりにすれば「新四大インスト・バンド」ということになる。

ところがですね、このインスト・バンド、「諸刃の剣」というか「紙一重」というか…つまらん歌詞がないのはいいのだが、今度は曲に魅力がないと聴く方は地獄の苦しみとなってしまう。

もうひとつのポイントはアドリブ・パートだ。
アドリブ・パートがないインストゥルメンタル曲は退屈極まりない。もちろんアドリブの内容もしかり。インプロビゼーションが生む奇跡の瞬間に立ち会うのもインスト・バンドを味わう大きな喜びなのだ。
それにはもちろん演者の力量がモノを言う。

昔、山下洋輔のエッセイで読んだことがあったが、山下さんが若い頃にElvin Jonesと共演する機会があった。残念なことにその時、Elvinは風邪か何かで体調を崩していた。しかし、快く共演を引き受けてくれて山下さんはシャカリキになってソロを弾いた。
それを聴いていた音楽の専門家が、演奏後、会心の出来と喜びを隠せないでいた山下さんにこう言ったという。「あんなつまらないソロを延々と弾きやがって…Elvinがかわいそうじゃないか!」
山下洋輔さんですらこうなのだ。
本当に人を納得させて感動させる器楽演奏がどれだけムズカシイかを示唆する話しではなかろうか…。

その点、先に挙げた「新四大インスト・バンド」はどれも高いクォリティの曲を最上の演奏と最高の音で聴かせてくれる素晴らしい連中だ。それでなければMarshall Blogでは取り上げられない。
この「四大」が「五大」、「六大」と拡大していくことを期待している。

さて、そのDYNAGON。先日鹿鳴館でのステージをレポートした。今日は、その翌日に開催された『横浜ハードロック・フェスティバル』でのようすをお伝えする。

10中野重夫

20v加藤剛

30v宮田叔侑

40v増井康博

50vシゲさんは前日同様、持参したSUPER100JHのヘッドを使用。

60v足元のようす。Rolloverの時とは全然違うがシンプルであることに変わりはない。

70やはりKT66がアンプリファイする究極に太いトーンが実にきもちよい。

80vドラムの増井さんはNATAL。

90v12"、13"、16"、22"のスタンダードなコンフィギュレーション。フィニッシュはグレイ・スパークル。

100シェルの材質はアッシュ。歯切れのよいクリスピーなサウンドが小気味よい。やはりNATALのバスドラは材の質を問わず驚異的な鳴りを実現してくれる。

110剛さんのシンセに導かれしオープニングは「Hammerhead」。ちょっと「Freeway Jam」を思わせるハードなチューン。

120
こういうヘヴィな曲にはやはりヘヴィな低音が不可欠だ。

140この曲だけでなく、すべてのDYNAGONのレパートリーにおいてトシさんのどこまでも重いベースが大活躍する。スラップもハーモニクスも関係ない。これがハード・ロック・ベースだ!

145vん~、この「Hammerhead」、意表をついて何回か転調して終わるところが何ともカッコいいぞ!

2曲目は渋めに「Radial Walk」。

1503曲目は「Parasise a Go Go」。これは元はロシアのボロディンの「韃靼人のおどり」。あのいつかやってたタバコのCMソングね。
それをThe Venturesが「Ten Seconds to Heaven」というタイトルでカバー。シングル盤として発売されたコレの邦題が「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」だった。
それをハードにアレンジしたのがDYNAGONバージョン。
中野重夫といえばJimi Hendrixだが、実はルーツはThe Venturesなのだ。
シゲさん曰く「Jimi HendrixとThe Venturesが何でもできて、ピックが一枚あれば日本国中どこでもいっしょに演奏できる仲間が見つかるな~」
素敵な話しだ。この普遍性の高さはそのまま音楽のクォリティに直結していると思えまいか?

160Deep Purple、Uriah Heep、Greenslade、Brian Auger、鍵盤が活躍するロックはカッコいい!

170v剛さんのキーボードなくしてはDYNAGONサウンドは実現しない。つまり、剛さんのキーボードがDYNAGONのカッコよさの大きな部分を担っているのだ。
260v

シゲさんのアルペジオのイントロからドラマチックに展開するのは「The Art of Nazka」。
235v
MC担当のトシさんによれば、古代、DYNAGONが地球に来た時に、次回来る時の目印にあの大きな地上絵を描いたそうだ。
あ、この話しは気にしないでください。
230v
コンパクトなプログレッシブ・ロックといった風情でコロコロとシーンが変わっていく。
200
メイン・テーマはシゲさん。
とてもジミヘンを演っているとは思えないモダンで(それでも70年代風)リアル・ロック・テイストに満ちたソロが素晴らしい。

190v「Put the Metal to the Pedal」。この曲好き。
シゲさんとトシさんのハードなイントロ・リフから、剛さんが奏でるテーマが何とも愛らしい。特にテーマの4小節目。このメロディは出にくい。

210xまたしてもシゲさんのド派手なソロ!どんなソロかはこの写真の表情で十分伝わるだろう。
130v

手数が多いわけでも音が特段大きいワケでもない。しかし、実にシャープで的確。とても印象に残るドラム。そんなドラミングがヤスさんの身上だ。
「オレが、オレが」的でないヤスさんのドラムは、自分の仕事では絶対にミスを許さない厳格な雰囲気さえ漂う。こういうドラムがいなきゃシゲさんもフロントでああは暴れられないよ。
そのヤスさんをサポートしているのがNATAL。相性がとてもいいようだ!

240最後はテーマ曲、「DYNAGON」。コレもいいナァ!

280v
これはテーマのバックで好き放題弾いているトシさんに「たいへんよくできました」でしょう!メッチャかっこいいわい!
それとリフのハモりがスンゲェ快感。

270vそしてこの曲のハイライトはコレ…剛さんとシゲさんの壮絶なバトル。

290 キーボードを前後に大きく揺さぶり感情をさらけ出す剛さん。を前後に
180

剛さんの激演に引けを取るワケにはいかないシゲさん!
220v
今回はイベントで時間が限られていたのでこのパートはやや短めだったが、個人的にはもっとやってもらいたいナァ。2人ともどっかの血管が切れるまでバトルして欲しい。
1dimg_0510
ギターxギター、ギターxベースというバトルは珍しくないけど、最近はキーボードが目立って活躍するバンドは滅多にないからね(岡垣さんがいるのもありがたい)。
貴重な場面なのだ!

310v …とこうして全6曲を演奏。
会場は初めてDYNAGONを見る人ばかりだったハズだが、大きな歓声が巻き起こっていた。

300vやっぱり曲がいいですよ。
彼らは私より少し年上で、私なんかよりロックのいい時代を直接経験した人たちだから、やっぱりロックに対する感覚がより本質に近いのだと思う。
年を取っているからこそできる音楽だ。ロックの世界では老兵は去るワケにはいかないね、シゲさん!あ、シゲさんたち全然老兵十じゃないね、「ベテラン」という言葉に置き換えよう!

それとね、楽器の音ですよ。みんなナチュラルな音だからいくら爆音でも聴いていて全然うるさくない。当然機材はシンプルだ。
こういうバンドに接している限りはロックの「世界の終り」を忘れさせてくれるわい。
ジャンジャン新曲を書いて日本国中で暴れまわってくれることを期待している。

今こそ吼えろDYNAGON!
250
コンサート会場限定で販売している5曲入りのミニ・アルバム。1987年に一発録りでカセット・テープに吹き込まれた音源がそのまま詰まっている。メッチャ演奏ウマい!
330cd
DYNAGONの詳しい情報はコチラ⇒公式facebook

320vNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年5月18日 横浜7TH AVENUEにて撮影)