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2014年6月13日 (金)

ワニゲラスイーン?~KRUBERABLINKA(クルベラブリンカ)ニュー・アルバム発売記念

「パパ、『ブランコ』って英語ちがうの?」

仕事の関係でアメリカへ渡ったある家族の会話。この家のお嬢さんは日本人学校へ通わず、普通のアメリカ人が通う小学校へ通っていた。
ある日、休み時間にブランコに乗りたくて、「ケナイ・ブランコ?」とクラスメイトに訊くと「ワニゲラスウィーン?」と訊き返されたというのである。
「ワニゲラスウィーン」…「ワニゲラスウィーン」…お父さんはいくら考えてもわからない。
「『スウィーン』はおそらく『ブランコ』のことだろう…じゃ一体、『ワニゲラ』ってなんだろう…」
さんざん考えてようやくヒネリ出した答えが

Do you want to get on the swing?

これが省略と渡り音で「ワニゲラスウィーン」となるんだ!と無事正解を得て娘への面体を保ったという話し。(講談社現代新書 倉谷直臣著「英会話上達法」より)

よく「イヤ~、英語もさ、相手が言っていることは大体わかるんだけど、口から英語が出なくてさ…」なんてことを耳にする機会が時々あるが、コレは絶対ウソだ。聞いてわかったような気になっているだけの話し。ちょっと複雑な話しや自分に関係のない話しをされたイチコロだ。

外国の言葉はしゃべるより正確に聞き取る方がはるかに難しい。
しゃべる場合は自分の頭の中だけで処理ができるし、相手が意味を汲んでくれるケースが多い。
ところが、聞く場合はすべて自力で処理しなければならない。相手の言葉を聞き取るにはそれをカバーするだけの語彙が必要だし、本場の発音を聞き解かなければならない。
何より相手がナニを考えているのかわからず、会話の行き先が自分が予想した方向と大幅に異なってしまった場合など、今さら聞き返すこともできないし、会話の軌道修正ができないことすらある。会議の席など話す時より聴く時の方が頭を回転させている…私の場合、いつも逆回転なんだけど。

何しろ知らない言葉は、いくら考えたところで意味の思い出しようがない!
リスニングの問題も大きい。私の英語力は冒頭の女の子以下だろうが、それでも少しは英語に慣れてきているつもりでいる。
ところが、これだけロンドンに行っていても、時々100%ナニを言っているのがわからないオッサンに出くわすことがある。驚いたことに100%わからないのである。まず、物乞いをしている人の英語は絶対にわからない。好奇心の強い私でもさすがに「今、ナンて言ったんスか?」なんて訊けない。でも意味はわかる。「お金チョーダイ」だ。

さて、ブランコの話題からずいぶん離れてしまったが、話題はここでブランコに戻る。
赤尾和重率いるKRUBERABLINKAのニュー・アルバムが『BLANKO』だ。

まずジャケットがいい。Charles Mingusの『The Clown』、Leo Sayerの『Silverbird(裏ジャケ』、CONCERTO MOONの『Angel of Chaos』と、そもそもピエロものには名盤が多い。
『KRUBERABLINKA』、『KAIZU』に続いてまたもやハード・ロックファンの琴線に触れるクォリティの高い作品を問うてきた。
ミックスはNATALでおなじみのBAZOOKA STUDIO。HR/HMの数々の名盤の制作に立ち会ってきた内藤輝和氏の手によるものだ。

05cd今日はその『BLANKO』のレコ発コンサート、東京公演のレポート。

ちなみに「ブランコ」という言葉は、ポルトガル語の balanço (バランソ、英語のバランス)、もしくはBlanco(ブランコ、白色)から来たとする説などがあるらしい。いずれにしても英語ではない。
イヤ、もう何年ブランコに乗ってないかな…。ちょっと乗っただけで気持ち悪くなっちゃうんだよね。
でも、目黒のブランコは最高に乗り心地がヨカッタぜ!

03 この日は『Mavericks and Mystics』とタイトルされた一連の『鹿鳴館伝説』での登場。全部で3バンドが出演した。

10KURUBERABLINKAはトリでの登場だ。

20オープニングは『Kaizu』のリード・チューン、「宇宙は滾れ」。

80ニュー・アルバム発表ということにだけでなく、久しぶりの東京での演奏ということもあってか、冒頭からすさまじい勢いで感曲を攻め立てる!

90バック陣も一丸となった演奏!メンバーの入れ替わりの影響など微塵も感じさせない安定感だ。

100ああ、この声!日本のハード・ロック史に間違いなくその名を刻む声色だ。
ヌケ、コシ、ツヤ、うどんで言えば讃岐の本場、Marshallでいえば疑いなくKT66が搭載されているモデルだ。

110v2曲目はファースト・アルバム収録の「太陽」。この不吉で重苦しいリフが好き。

120v「♪広がりたい、纏まりたい」…ヘヴィに歌いきる姿は圧巻!

130v続いてもファーストから「砂山」。

140ここでメンバー紹介…
赤尾和重

30v

鈴木広美
40v

泉谷賢

50v

片岡祥典

60v
鎌田学

70v

ここでようやく『BLANKO』からの曲を披露。普通、レコ発なんていうとニュー・アルバムの曲ばっかり演るんだけどね。この奥ゆかしさがクルベラ流?!

150まずはタイトル・チューンの「ブランコ」。この曲はアルバムでは冒頭に収録されている。
普通アルバムには派手なアップ・テンポを持ってくるものだし、実際前2作もそうだった。にもかかわらずこうしたドッシリしたミディアムのヘヴィな8ビート・チューンを配置したところにCazさんの自信を見るね。

160実際、「ドヤ、コレ?!」と客の反応を楽しんでいるかのように新曲を披露しているような気がした。

170続けても『BLANKO』から「8(エイト)」。

170v♪ズンズクズンズクのアップ・テンポ。「Lights Out」みたいなこういう曲こそ「ハード・ロック」の魅力だよね。

180vアルバムでも2曲目に入っているんだけど、「ブランコ」が終わった後、このズンズクがフェイド・インしてくる。コレがたまらない!それを実演してくれてるってワケね(ライブではフェイドインしません)。
さすがCazさん。私がいつも言ってる「2曲目が大事説」に同調してくれいるのかしらん?1曲目は絶対に自信作を持ってくるから良くて当たり前、なのに2曲目でズルっときてしまうアルバムが多いんだよね。2曲目をうまく乗り切れば後はナニをやっても大丈夫。
私のイメージで一番強いのはScorpions。『In Trance』の「Dark Lady」の次の「In Trance」、『Fly to the Rainbow』での「Speedy's Coming」の後の「They Need a Million」。1曲目に針を落としてせっかノリノリのいい気分になったのにナンで2曲目でおとなしくなっちゃうの?ってヤツね。
これに懲りたかScorpions、『Virgin Killer』では2曲目にUliのギターがメッチャかっこいい「Catch the Train」を持ってきてみた。だから『Virgin Killer』は名盤になった。

200v
この曲、大サビでチビっとだけメジャーになるんよ。そこが異常にカッコいいんだ。

190素晴らしいズンズクのり!さすが百戦錬磨の名人たちだ!

210v

ボンちゃん使用のキットはNATALメイプル。このブリティッシュ風味がKRUBERABLINKAサウンドにピッタリだ。

220バラード「野ばら達へ」。
この声でバラードを歌われると耳が歌に貼り付いてしまうね。

230歌詞もこのバンドの魅力だ。
なかなかエグイ単語や表現が歌に刻まれているが、まったく奇を衒った感じがなく、それらの言葉が実にうまくサウンドしている。
これはひとつの日本のロックの成果といえるのではなかろうか?

240v鈴木広美、渾身のア・カペラ・ギター・ソロ。
あるメモに「赤ぺら」と書いていた人がいたが、「ア・カペラ(イタリア語:a cappella)」が正しゅうございます。

250「♪ふるるふるる」が印象的な「帳」。『KAIZU』からのチョイス。

260本編最後は『BLANKO』から「案外」。

280アルバムでも最終を飾るハード・ドライビング・チューン。ライブではオープニングやクロージングにもってこいの曲だ。

290ハードなギター・ソロもタップリ!
270
「案外」の歌いまわしが案外気持ちいい!
KRUBERABLINKAの新しいスタンダードになりそう。

300vそしてアンコール。

310勢いよく飛び出したのは「Don't Be So Mad」。
思えばこの曲でKRUBERABLINKAがスタートした。テーマ・ソングともいうべきキラー・チューンだ。
5人によるマグマが噴き出しそうなすさまじい演奏!

320v

330v
340v

350v

360v60分という時間を有効に使い新旧のレパートリーを巧みに取り混ぜてKRUBERABLIKAの魅力を爆発。愉快なMCも聴きどころのひとつで、ベテランの滋味にもあふれていた。

370そして堂々たるステージ・マナー。やっぱりこういうベテランのステージは見応え十分だね。

380アンコール後のサプライズ。Cazさんの呼びかけで当日出演していた高谷"ANNIE"学Dio Kenがステージに上がる。
これはまったくCazさんのアイデアでライブハウスの人にも秘密にされていた。当然会場からは大喝采が!

390この日、5月10日がRonnie James Dioの命日に近いということで3人でRonnieに1曲捧げたのであった。(KenさんからRonnieの逝去日時について超詳しい解説が付け加えられたことはいうまでもない)

400vア・カペラでの歌唱。曲は「Rainbow Eyes」。咳ひとつない静寂に響き渡る3人のやさしくも力強い歌声…。思いがけぬ感動でこの日のステージは幕を下ろしたのであった。

410終演直後の物販コーナー。「儲かってまっか~?」「ボチボチでんな~」どころではなく大盛況だった。

420「毎度ありぃ~!」…『BLANKO』お買い上げのお客様に快くサインをするCazさん。

430v「ワニゲラスウィーン?」
「イエッサィドゥ!」
…ということで素敵なブランコに乗ってきた。次のアルバムも楽しみだ!

KRUBERABLINKAの詳し情報はコチラ⇒KRUBERABLINKA Facebook

440NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年5月10日 目黒鹿鳴館にて撮影)