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2014年7月

2014年7月31日 (木)

BLUES DETOX~アルバム発売記念ツアー

Marshall Blog初登場のBLUES DETOX。
ふたりである。
デュオである。
♪ひとりじゃないって素敵なことね…。

10その2人とは…。
ギター/ボーカルのオカヒロと…

30vドラムのMAD大内…すなわちTYOの2人だ。

40vギター/ボーカルと打楽器のデュエットといえば、真っ先に頭に浮かぶのがT-Rexと頭脳警察。
若いところではThe White Stripes。それとお姉さんが歌って弟がドラム叩いてるチームもあったな…Blood Red Shoesというコンビ。大分前にO-EASTで見たんだけど、お姉さんのDSL50と1960TVの組み合わせによるギター・サウンドがものすごく強烈だった。
若い人にかかると機材の使い方がこうも違ってくるのかと実感したりもした。
20

こうした少人数編成のバンドのいいところは、機材が少ないためにセッティングと片付けが何しろラクで早いところだろう。反対に人数が少ないがためにひとり何役もこなさねばならず、機材がかえって多くなってしまうこともあるかも知れないが…。
…というのは半分冗談で半分本気。
前出のBlood Red Shoesの時のヘッド・ライナーがThe Killsという、これまたデュオだった。すなわち、2バンド出て出演者が4人という、大阪の人だったら怒り出すのではないかという簡素さ。ひとり頭のギャラの分け前がウハウハ状態だ。実際見ていたらセッティングもバラシもメチャクチャ早かったもんね。

O_img_0044もちろんBLUES DETROX(Jeff Beck Groupに「Blues Deluxe」という曲があってついつい打ち間違えそうになる!)はそんなこと考えて2人でやっているワケではござらん。
2人の目指すところの音楽がそうあるべきだからデュエットしているワケ。
しかし!やはりロック・バンドたるもの迫力ある低音は不可欠。
BLUES DETOXにはベーシストはいない…ではどうしているか?
オカヒロちゃんがベース・パートもカバーしているのだ…ではどうやって?
ってんでまずは機材をチェックしてみよう。いつチェックするの?今でしょ!
もう「今でしょ」も大分古くなった感があるけど、あの「今でしょ」先生、それこそ今でもよくテレビに出てるよね。スッカリ人生変わっちゃったね。ホント、人生何が起こるかわからない。
あ、機材、機材。
O_img_0039
オカヒロちゃんはとにかくMarshall。Marshall、Marshall、Marshall…いつでもMarshallの素敵なロック野郎だから!

 170
当日ステージ上がったMarshallは2台。
向かって左は愛用の1976年製の2203。右はJCM2000 DSL100だ。キャビネットはともに1960A。
TYOではレスポールを使う姿をよく見かけたが、このバンドではストラトキャスターの使用頻度が高いようだ。

70これが足元。
シンプルだが、これがギター/ベースのひとり二役を演出する元。
ギターからの信号をここでパラレルに振り分け、一方はMarshallへ、もう一方はオクターバーを経由して下手にセットされたベース・アンプに送られる。
ベーシストがいなくて低音を稼ぎたい時に誰もがする発想だが、出てくるサウンドがグシャグシャになってしまうのが普通だ。

80オカヒロちゃんはベース音がはっきりと聴こえるように弾き方に大きな工夫を凝らしているという。それをどうやっているかは企業秘密。
こうして、通常と違うインストゥルメンタリゼーション(目指す音楽を考えて楽器を選び、グループの編成を組み上げること。言葉の使い方としては「The Mothers of InventionとThe Mahavishunu Orchestraはインストゥルメンタリゼーションが似ている」みたいな…)にすると思いもかけない副産物ができたりすることがあるので面白い。
ようするに人と同じことをやっていては、人と同じモノしか出てこないということだ。

100

さて、BLUES DETOX、サウンドの方はむしろ愚直なまでにトラディショナルだ。ロックがロックだった時代をいいように思い出させてくれる。ホッとするわ。
曲の7~8割はインスト。
好き勝手にギターを弾き、ドラムを叩く2人の姿の背後から「自由」という言葉が見えてくる。

90これが6月18日に一般発売されたアルバム『VERSATILY』。
DOLBYのロゴをアレンジしたタイポグラフィのデザインがカッコいい。MADさんの手によるもの。

ところで、「DOLBY」の研究所というのはロンドンのど真ん中、Paul McCartneyの出版社(MPL。もう引っ越しちゃったかも知れないけど)のすぐ隣にあるんよ。今度『名所めぐり』で紹介するね。

このタイトル、「Versatily」という英単語は辞書には載っていない。「多才」とか「多芸」という意味の名詞であれば「Versatility」だし、「多才な」とか「多芸な」という意味の名形容詞であれば「Versatile」となる。
こうして造語までひねり出してしまうところにどこか人とは違ったものを求めようとする意気込みを感じる。
その精神が「ロック魂」の礎なんだよね。

私が聴いたところでは「多芸」とか「多才」とかいうこととは無縁の「ロック・バカ」を感じたね。むしろ頑固一徹の職人ワザ。
ソリッドでヘヴィなギターリフ、思う存分引き倒すギター・ソロ、ダイナミックなドラム、70年代のグラムの芳香ただようポップなメロディ…コレでいいのだ。

50cd

さて、そのレコ発ツアーの初日。
オープニングは『VERSATILY』収録の「Mardi Gras」。

140

ゴキゲンなリフを持つヘヴィ・チューン。気合の入ったソロ!

120vいつも通りの派手なドラミングが気持ちいい~!
「2人で演奏しているとは思えない」なんて月並みな言葉でこのバンドを形容するのはもったいないね。
そんなことより、何しろ「ド迫力」だ!

130v2曲目は歌もので「Love Flammable」。
150
いつも元気なMADさん。ホント、この人を見ていると理屈抜きに元気になった気がしてくる。

155vプログラムは当然『VERSATILY』の曲を中心に進められていく。

160vどの曲だったか、転調を含む曲があった。考えてみれば、このバンド、転調はラクだよ~。もう好きなところで好きなように転調できちゃう。
180v
オカヒロちゃん(MADさんも)のMarshall Blogへの登場はかなり久しぶりのことだ。
実際に会ったのも久しぶりで、とてもあたたかく私を迎えてくれてとてもうれしかった。昔の仲間っていうのはホントにいいもんだ。
初めて会ったのはもうずいぶん前のことだが、会話の中でずいぶん「ロック」という言葉を使う人だな…と思った。真の「ロック野郎」なのである。
オカヒロちゃんのその「ロック野郎」ぶりはまったく変わっていなかった!…どころかますますノッている姿がとても頼もしかった。

O_img_0036

いつもニコニコのMADさん。この人ほど楽しそうにドラムをプレイする人は他にいまい。オカヒロちゃん崇拝のMCもメチャクチャおもしろかったナァ~。

190「ギターを好きに弾いているだけなのにこんなにたくさんの人が観に来てくれて本当にありがたいことです」…とオカヒロちゃん。
「自由にギターを弾くオカヒロちゃんの姿」が観たくてみんな集まっているのだ…。だから思い切り好きに弾きなさい。ロックを奏でなさい。

200v他にも歌ものを披露。

210v本編の最後の方でプレイしたのは「Zilbop」。ダンサブルなブルース・チューン。「Zilbop」ってのは懐かしいね~。SONYのデカいラジカセの名前だよね。私も持っていた。Walkmanが出る数年前の製品で、おそらくバカでかいラジカセの先駆け的だったのではなかろうか。
別売りのアダプターを使えばレコード・プレイヤーもつなぐことができた。
中学校の時、私は「FMレコパル」を片手にこのZilbopでずいぶんエアチェックしたもんだ。Todd RundgrenもRoxy MusicもJudas Priestも全部Zilbopで初めて聴いた。
こんな名前忘れてたよ。なつかしいな~。ありがとうBLUES DETOX!

220vアンコールを含めて全14曲。「ロック魂」に横溢した素晴らしいステージだった。

230v海外での活動も視野に入れているというBLUES DETOX。そんな2人の気概も強く感じられたステージだった。
TOWER RECORDSでは『VERSATILY』が洋楽のフロアで扱われていることをよろこぶオカヒロちゃんが印象的だったな。
BLUES DETOXとは関係ないけど、ホントにナントカなんないのかよ、洋楽人気ッ!
TOWERでのインストア・イベントも取材して来たのでそちらのレポートも乞うご期待!

240BLUES DETOXの詳しい情報はコチラ⇒BLUES DETOX OFFICIAL SITE

P.S. さっきオカヒロちゃんと電話で話した際のメッセージ⇒「今週末は大阪。大阪のみなさん、待っててね~!」
大阪のみなさん、よろしくです!

250(一部敬称略 2014年6月27日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年7月30日 (水)

【Music Jacket Gallery】ギター・ジャケット特集<後編>

BTO…知ってる?カナダのバンド。
Bachman-Turner Overdrive…略してBTO。何となくThe Band of Shigeo Rolloverみたいな名前のイメージだ。「over」が共通なだけか?

仕事柄、たくさんのミュージシャンと音楽の話しをすることが多いのだが、このBTOの話しをしたことのある人はほとんどいなかったように思う。会話の中に名前が出たとしても「カナダのバンド」という話題のくくりでチラっと通り過ぎる程度であったことは間違いない。
しかし!「American Woman」で有名なThe Guess WhoのRandy Buchmanが中心になって結成されたこのバンド、ものスゴイ人気だったのよ。
70年代の活動中、5枚のアルバムをアメリカのTop40に送りこみ6曲のシングルをチャートインさせ、世界で3,000万枚のアルバムを売り上げた。
私は特段ファンではなかったが、へヴィでポップな気の利いた曲はなかなか魅力的で、海外では「Deadheads」に向こうを張った「Gearheads」という熱狂的なファン集団が結成されていたらしい。「Gearheads」は彼らのロゴ・マークから名づけられた。

BTOは1976年の10月に来日。この時の音源がこのライブ・アルバムになった。『JAPAN TOUR』というタイトルになっているが、公演は福岡、大阪、名古屋、東京の4か所だけ。ただ、東京公演の会場は日本武道館だった。当時日本でもそれだけの認知度があったワケね。

このアルバム、すごく印象に残っていることがひとつある。
リリースされた時、中学校でロック好きの仲間が集まって、恐ら「くミュージック・ライフ」かなんかを見ておしゃべりをしていた時の話し。
まったくロックなど聴かないクラスメイトが我々のそばを通りかかって、このアルバムの広告かレコード評を目にしてこう言った。
「あ、ウチのアネキ、このコンサート行ってたよ」
BTOなんて知らなかったし、もちろんこの時は何とも思わなかったのだが、今にして思うと、そういう一般市民(?)がBTOなんて観に行っていた時代だったのである。
ロックがロックだった時代、ロックは「洋楽」を意味していた…とこのアルバムに接するたびに、この時の話しが脳裡によみがえり、よき時代に想いを馳せるのである。

2010年、Bachman & Turnerと冠したほぼ再結成のBTOをロンドンで観た。
やはりロンドンでも観客の歓迎ぶりはかなり大きなもので海外での人気を実感した。
ここで驚いたことがふたつ…。
ひとつはこの、Randy Bachmanのキコリのようなルックスによるイメージも大きいが、へヴィ級の代表のようなバンドが、コンボ・アンプを使っていたこと。しかもMarshallじゃねェッ!
スケールがメッチャ小さく見えたね。オイオイ、レコーディングならいいけど、そんなちっぽけなアンプじゃハイウェイをぶっ飛ばせないぜ!やっぱりここはMarshallの壁で演って欲しいところだろう。

それと、あの野太い声の主がRandy Backmanではなく、Fred Turnerの方だったことだ。え、そんなことも知らないのかって?いいの、いいの、特段ファンじゃないから。
このFred Turner、首に手ぬぐいをかけて、石鹸を入れた洗面器を小脇に抱えて横丁の銭湯に行くようなイメージで、何となく浅草で見かけるような気がする。その人があんな声を出すもんだからビックリした。
でも、そう思っていたのは私だけではなくて、相手が誰だったかは覚えてないが、この話しをすると「エ?!アレ、Randy Bachmanが歌ってるんじゃないの~?」と驚いていた。人間、見てくれはとても大切だ。

ジャケットはメンバーの集合シーンとバックに輝くバンド・ロゴ…ライブ・アルバムのジャケット写真の典型パターン。
スモークがいい具合だ。この時代のスモークはドライアイスで作っていたのかな?
ホント、最近はスモークたきすぎだって!照明効果かなんか知らんが、鮭じゃあるまいしあんなに燻しちゃいけない。小さいライブハウスのスモーク地獄はフォトグラファー泣かせなんよ。。

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Adrian Belewの『Lone Rhino』。
この人、一時トレードマークの動物の鳴き声でエアコンかなんかのCMに出てたよね?
こっちはKing Crimsonに加入する前、David Bowieのバンドに加入する前、すなわちZappaのバンドにいた時から知っているので何とも思わないが、一般の視聴者はあのCMを見てBelewのことを一体ナンダと思ったろうか?
ま、ギターを使った外国のお笑い芸人かなんかだろうね。

先回の来日時、出版社から頂戴したお仕事でステージの写真を撮らせてもらった。King Crimsonの初来日から数えて32年ぶりの生Adrianだった。
その時のようすをコチラに記しておいたので是非ご覧頂きたい⇒Shige Blog:エイドリアン・ブリューを撮ったよ

サイと対峙するAdrian。サイの背中には鳥が一羽。いい写真だ。
写真はT-REXやDavid Bowieの写真で有名な鋤田正義さん。

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Dweezil Zappaの『My Guitar Wants to Kill Your Mama』。ああ、なんてカッコいいタイトルなんだろう。
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オリジナルはお父さま。この『Weasels Ripped my Flesh(いたち野郎)』に収録されている。ジャケットのイラストはNeon Park。Little Featとかのジャケットの人ね。そういえば、Lowell Georgeはこのアルバムに参加している。
あ、こっちはMJG展示アイテムではないよ!展示アイテム意外の写真は小さくするか、斜めにして区別することにした。

コレ、自分を疎ましく思うガール・フレンドのお母さんをオレのギターが殺したがってるぜ!という歌。お父さんなんか燃やされそうになっちゃう…という物騒な歌。
昔、手塚治虫の『どろろ』であったじゃない?「妖刀」っての?刀が血を欲しがって、その刀を持ったヤツが殺人鬼になっちゃう話し。
バック・グラウンドは全然違うけど、なんかアレを思い出しちゃう。

残念ながらDweezilのは聴いたことはないんだけど、お父さまのはもうカッコよくて手の施しようがない。3分25秒の間、めまぐるしく変化するシーンに耳は釘づけだ。

Weasels 1975年発表のScorpionsのサード・アルバム。
Scorpionsを初めて聴いたのはいつのことだったかな~。『Virgin Killer』の直後ぐらいかしら?『Taken by Force』は間違いなくまだ出ていなかったと思うので1977年ぐらいのことか…。
ロック狂の兄を持つ同級生にすすめられ、「ドイツのグループ」ということに違和感を覚えながら、この『In Trance』と『Fly to the Rainbow』を買ったように記憶している。
他のところでも書いたけど、コレ、「Dark Lady」で景気よく始まるのはいいんだけど、2曲目のタイトル曲からやたら重苦しくなっちゃうのが苦手であんまり聴かなかったなぁ。

おなじみのバンド・ロゴはこのアルバムから登場した。
『Virgin Killer』、『Taken by Force』、『Tokyo Tapes』と何かとジャケットのトラブルが多いScorpionsだが、最初に物言いがついたアルバムがコレ。
下に見られるオリジナル・デザインは女性の胸があらわになっているため、NGとなったのだ。
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NGとなった後はこのように問題の個所が塗りつぶしとなりバストが完全に見えなくなった。オッパイが見たくて言うわけじゃないけど、やっぱり面白くなくなっちゃうよね。

この白いストラトはUli Jon Rothの私物で、このジャケットのアイデアもUliの発案とされていたが、後年インタビューでそれを正した。
内容はこうだ。
「初期のScorpionsのジャケット・デザインはレコード会社によるものでバンドはまったくクチを出していない。私が関わった作品のうちでもっとも恥ずべきモノだ」
ま、この『In Trance』はまだいい方だと思うけど、確かに『Fly to the Rainbow』は問答無用でカッコ悪いよな…子供の頃からそう思っていた。

Bkところで、このジャケットの写真を撮影した人はMichael Von GimbutというドイツのフォトグラファーでScorpions関連では他に『Virgin Killer』の表裏ジャケや『Taken by Force』のジャケットを撮った人。
他にもドイツ人ピアニスト、Joachim Kühnの『Springfever』なども手掛けている。
チョイと脱線するが、このアルバム、大好きなベルギー人のギタリスト、Phillp Catherineが参加しているので買ってみたが、つまらなかったな~。やっとの思いで1枚聴き通した。
Joachim Kühnは他にもJan AkkermanやRay Gomez目当てで買った『Sumshower』なんてのも失敗だった。
Jan Akkerman好きならデュオのライブ盤『Live! The Kiel Concert - The Stuttgart Concert 』がいい。
ソロ・ピアノの『Joachim Kühn Plays Lili Marleen』はなかなかヨカッタ。
他にもOrnette ColemanとやってるヤツとかArchie Sheppとの共演盤とか気になる作品もあるが危険度も高そうだ。

JkScorpionsのことを調べていて、ウチのLP棚をめくっていたらこんなのが出てきた。
2008年に来日した時に楽屋でUliからもらった中野サンプラザでのセット・リスト。ズボンのポケットに入れてシワくちゃにしちゃったのは私。
彼の楽屋には2日ともお邪魔させてもらったが、両日ともショウの直前に曲を決めていた。

Sl_4コレは1978年にScorpionsが2度目に来日した時のコンサート・プログラム。
Michael Schenkerが来るっていってたのに来なかった。
UFOでSchenkerが来日するいう話しもあったが来なかった。ギターはLone StarのPaul Chapmanだった。
結局私は一度も本物のMichael Schenkerを見ずじまいだ。このようすだと一生見れそうにないな…。

L_img_0005お定まりのプログラムの内容チェック!
1978年、Van Halenの初来日公演の広告が出てる。行った、行った、厚生年金。
Al Greenは飛ばしてと…それとLittle Feat。
中野サンプラザの2階席の一番前だった。双方行っといて本当によかったコンサートのうちのひとつ。

Img_0012これ、Soft Machineの『Third』なんだって。
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普通はコレじゃんね。

Sm3 裏はこんな感じ。こっちが表かな?
ファースト、セカンドのサイケデリック調からガラリと雰囲気を変えてフリー・ジャズのテイストとなったサード・アルバム。好き。

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そう、カンタベリー・ミュージック好きでしてね~。
わざわざ現地まで行った!

Rimg0134街の雰囲気はおおよそSoft MachineでもCaravanでもはたまたHatfield & the Northでもない。ただの美しい寺町(?)。これまた近いうちに『名所めぐり』で案内するので乞うご期待。

Rimg0150ガラリと変わってTed Nugent。
この人、全米ライフル協会の会員ですごい国粋主義者らしい。「ジャップのメーカーのギターでブルースができるかよ!」なんて言ったとか言わないとか…。そんなこと言っちゃイヤですよね~。
だからイギリス製のMarshallも使わないんかね?
したがって、ギターもアメリカ製だ。ジャケットに写っているのが愛用のGibsonのByrdland。

「Cat Scratch Fever」って流行ったよね。私はこの人に近寄りもしないけど、このアルバムあたりはリアル・タイムで、「Hammerdown」とかいう曲がカッコよかったような記憶がある。
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このByerdlandというギターはBilly ByrdとHank Garlandというふたりのギタリストのアイデアによって開発され、1955年にGibsonが発売した。
Billyの「Byad」とGarlandの「land」を合体させた名前を持つ、L5CESやSuper400と並ぶハイエンドモデルだ。
Gibsonはその後、異なるハードウェアを搭載するなどして廉価版のES-350Tを発表した。
珍しいでしょ、こんなにギターの話しをするなんて…。

実はこのES-350Tってギターが昔欲しくてね~。ナゼなら70年代に渡辺香津美さんが愛用していたからなのだ。
ギター特集に免じてもらって今日一番の脱線をさせて頂く。ギターつながりだからいいでしょう?
それは香津美さんのこと。
世界で名の通った日本のギタリストというと、何といってもロックでは「高崎晃」だが、ことジャズになるとまず「渡辺香津美」の名前が挙がる。
昔からジャズの枠にとらわれない活動を展開されているが、バップ・ギタリストということでくくれば私は香津美さんが軽く世界の5本指に入ると思っている。…というか、普通の人間はこんなにギター弾けませんよ。
音速で弾きまくる速弾きシュレッディングももちろん大変な超絶技巧だが、音楽の複雑さやフレーズの難易度から見れば、バップ・ギターの方がはるかに技巧を要することは間違いない。
それも美しく太い音色と高濃度の歌心で弾き倒すワケだ。たまらんワケだ。

ということで、70年代のクロスオーバー・ブームに乗って香津美さんが押しも押されぬ大スター・ギタリストになる以前、Three Blind Miceあたりの香津美さんの参加作品が大好きでずいぶん集めて回った。

その頃の一番好きなアルバムがコレ。
これはThree Blind Miceではないが、八城一夫さんというピアニストとのドラムレス・トリオ。
1975年の録音だから香津美さんが22歳の時の作品だ。
ここでの香津美さんのプレイはもうただただ素晴らしい。もう完全に外人状態。
今でもよく聴いているアルバム。
おそらくここでそのES-350Tを弾かれているハズ。

W_img_0005この頃の香津美さんの参加作でロック・ファンにもスンナリ楽しめそうなアルバムを2枚紹介しましょうね。
向かって右が水野修孝という人の『ジャズ・オーケストラ’75』というビッグ・バンドの作品。ここでゲスト・ソロイスとトして香津美さんが参加し、宮間利之とニュー・ハードをバックに縦横無尽のソロを展開する。リズム隊のゲストとしてはポンタさんや岡沢章さんも参加している豪華布陣。
このジャケットに香津美さんがES-350Tを弾いている写真が掲載されているのでこの頃の愛器であったことは間違いない。
向かって左はそのライブ盤『水野修孝の世界』という、右の内容のライブ盤。ここでの香津美さんこそスゴイ。もうジャズとロックのフレーズがこんがらがっちゃって、出るわ出るわ、留まるところを知らない。これまた当時の香津美さんのトレードマークだったAlembicが七色のトーンをクリエイトしている。
この2枚からおいしいところをコンパイルしたCDはかなりおススメ。

香津美さんとご一緒させていただいた機会にES-350Tの所在を直接尋ねてみたが、すでに手放してしてしまったそう。

W_img_0021さて、Byrdlandに話しを戻そう。
先に書いたようにこのモデルはギタリストのBilly ByrdとHank Garlandのアイデアで作られた。
Billy Byrdという人は知らないが、Hank Garlandはなかなかいいよ。…といっても1枚しかもっていない。
『Jazz Wind from a New Direction』という1960年の作品。下がソレ。これもギター・ジャケットだね。ちゃんとByrdlandが写ってる。
このHank Garlandという人、普通のジャズ・ギター史にはまず名前が出てこない人だが、なかなかの名手。よどみなく繰り出す複雑なアドリブ・メロディは小型Tal Farlowを思わせる。
このアルバム、もうひとつ大きな聴きどころがある。
それはGary Burtonのヴァイブだ。文句なしの快演!次から次へと繰り出すバップ・フレーズがあまりにも素晴らしい。
この鍵盤打楽器というのは鍵盤楽器の複雑な音楽性を打楽器の技術で実現するという究極的に演奏がムズカシイ楽器とされている。
あの超絶ギターを弾くPeter Ollie Halsallは(私が言う「超絶」は速弾きという意味ではない)、はじめヴィブラフォン奏者を目指したが、あまりにもムズカシイので断念してギターに転向したというくらい。
PattoでOllieがヴィブラフォンを演奏している音源が残されているが、聴いてみるとトンデモなくうまい。それにもかかわらず、この最高のギタリストが断念してしまったというのだから鍵盤打楽器のムズカシさが窺えるというものだ。
で、このGary Burton、『Duster』とか『Lofty Fake Anagram』等のジャズ・ロック作品(ギターということでいえばこのあたりのLarry Coryellの破れかぶれさが最高にカッコいい)の評価が高いが、本作のようなストレート・アヘッドなプレイが実によろしい。
バークリーの先生も務めているが。生徒さんに言わせるとヴァイブにかけては「宇宙一」ウマいとか。
…てんで、このアルバム、おススメです。ドラムはJoe Morelloだし。

L_img_0022ビックリ!Ted Nugentの話しをしてたんだっけ?忘れてたわ。ずいぶん遠いところまで来たな。
ということでTed Nugentには何の思い入れもない…のだけれど、恥ずかしながら来日公演へ行ってますから。
1979年。武道館。
確かこの時、「世界一音が大きいコンサート」みたいなふれこみだったと思う。確かに音はデカいと思ったけど、最近のコンサートに比べたら屁でもなかったのかもしれない。
正直、演奏の内容は何も覚えていないが、コンサート自体は印象的なものとなった。

…というのは、コンサートの最中に武道館のアリーナで警備員と外人の客が大乱闘を展開したのだ。
当時、コンサートでは保全を目的にイスから立ち上がることさえ禁じられていて、感極まってイスから腰を上げるお客さんがいると警備員がスッ飛んできて「立たないでください!」と注意するのが普通であった。
その日、外人のお客さんが普通のコンサートより多く来場していた。酒でも入っていたのかもしれない。
コンサートの半ばにもなると大分盛り上がってきて、外人たちが立ち上がり出したのだろう。それを厳しく注意する警備員とその注意を聞き容れない外人客との一大バトルが始まったのだ。
他の警備員も加勢するわ、ヨソの外人客も乱闘に加わるわで武道館のアリーナが一時大騒ぎになった。
オモシロかったな~。一緒に行ったヤツが中学校一ケンカが強いヤツで、その乱闘に加わらないかとちょっとヒヤヒヤしたっけ。

しかし、昔のコンサートはよかった。ちゃんと音楽を聴く場所だった。
そんな風に立ち上がることすら禁じられていた時代だからお客さんはスタンディング・オベーションという行為すらしなかったし、一般的にもそうした行為は知られていなかった。でも、滅多に見ることのできないホンモノのロックを演奏する海外のバンドが目の前にいたのだから、そりゃジックリ聴いた。
いつからコンサート会場は盆踊り会場になってしまったのだろうか?

L_img_0003こっちのプログラムにはUFOとEaglesの来日公演の告知が掲載されている。

L_img_0010このカテゴリーでRoy Woodが登場するのは初めてかな?ロン・ウッドじゃないよ、ロイ・ウッド。
The MoveやElectric Light Orchestraの創設者のウチのひとり。「ウチ」のもうひとりはといえばJeff Lynneだ。(今回はBev Bevanには我慢してもらおう)

The Moveに関して言えば、イギリス人の友達によるとThe Moveはいわゆる「ポップ・バンド」という扱いになっていて、「ロック」とは一線を画しているようだ。
後期のThe Moveはかなりハードな曲が多いが、ファースト・アルバムなんかは「ビートルズに続け!」的な感じは否めないもんね。
でも、それがいいのよ。
そのヒット曲を書いていたのがRoy Wood。Ron Woodじゃないよ。

この人も日本ではかなり過小評価されている人のうちのひとりだろう。
驚異のマルチ・プレイヤーでロック楽器から管楽器、チェロまで何でもひとりでこなしてしまう。
でも、Toddだってそれぐらいのことをするし(2度目の来日公演の時にはサックスを吹いて、ドラムも叩いた)、マルチ・プレイーというのは、マァ、それほど珍しくもないのかもしれない。
このRoy Woodがスゴイのは、それだけでなく何しろものすごくいい曲を作る才能に長けていることだ。
誰も口にはしないが、70年代の日本のニューミュージック系の人たちはかなりRoy Woodを研究したのではないかと私はニラんでいる。

これは短命に終わったRoyのバンドWizzo Bandの唯一のアルバム『Super Active Wizzo』。
ジャズ・オリエンテッドという触れ込みだったらしいが、ま、ジャズには聴こえないな。残念ながら内容もあまりおもしろくない。
Bo Didleyモデルを下げてポーズをキメるRoyのジャケットはカッコいいが…。

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Roy好きの植村さんの本格コレクションには遠く遠く及ばないが、私もかなり好きでしてね。気が付くと結構ゴチャゴチャ集まってる。
今、Roy Woodってどうしてるんだろう…。

Jb_img_0005『Standing Ovaton』以降、Larry Coryellもこのクラシックのシリーズにはずいぶんのめり込んでいたね。
『シェエラザード』だの『火の鳥』だの『春の祭典』だの…。
このあたり、アコギ夢中期ではStephane Grappelli、Philip Catherine、Niels Pedersenと組んだ『Young Django』が愛聴盤。Catherineとのデュオ盤『Twin House』もいい。
それと、ポーランドのヴァイオリニスト、Michael Urbaniakとのデュエットも好きでよく聴いた。

問題は、まぁ、粗製乱造といったら失礼に当たるが、どう見てもB級、あるいはC級の域を出なさそうにない作品が目白押しの、その前のエレキ・ジャズ・ロック期だ。
サイドマンとして参加したものも含めると、ザックザク出てくる。でも、B&C級とわかっていても何となく手が出てしまうんだな~。
で、結果、気が付いてみるとこれまた結構集まっちゃってる。
よくライバル視されるJohn McLaughlinのストイックな姿勢と全然違う。初めは私もMcLaughlinの方が好きだった。
プレイもそう。McLaughlinの緻密さとは対照的なCoryellのヤケクソさとういうかアバウトさ…いつの間にか、Coryellの方がよくなっちゃってる自分に気づくんよ。

今でも時々ジャズのアルバムには手が出ちゃうもんね。隠れた名演的にはSonny Rollinsの『Don't Ask』が大好き。
この人、母方の方だったか、インドネシアあたりの東南アジア人の血が入っているらしい。それでちょっとああいう風貌。これがまた親しみやすさを増してくれてもいる。
このダリ丸出しのジャケットは魅力的だ。

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コチラはCoryell名義のアコギ・ギター・トリオ。お相手はJohn ScofieldとJoe Beck。
全部Ovationだよ。時代を感じるね~。1979年の作品。
カッコいいジャケットだ。

この中に「Zimbabwe(ジンバブエ)」というブルースが収録されていて、かつてFMでCoryellと香津美さんのデュエット・バージョンがオンエアされたことがあった。めっちゃカッコよかった。
Coryellは、敬意を表し香津美さんのことを「Kazumi-san」と必ず「さん」付けで呼ぶという話しを聞いたことがある。何となくうれしい話しだ。

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そうそう、ジョンスコとギター・トリオで思い出した。前にも紹介しているかもしれないけど、ロック・ファンの皆さんにもなじみやすいと思われるCharles Mingusのアルバムを一枚。
『Three or Four Shades of Blues』という1977年の晩年の作品。(Mingusは1979年に他界)
長いキャリアの中で(多分)ギタリストを起用したことがなかったMingusがLarry Coryell、Phiip Catherine、John Scofieldというクセモノ3人を集めて制作したハードな好盤。
同年に『Me Myself & I』というアルバムがあって、そこにはJack WilkinsやTed Dumbarが参加しているが、Mingusがいっしょにプレイしていないので、Mingusとギターの共演は『Three or Four Shades of Blues』だけになろうか?
まぁ、カッコいいから。ギター好きの人は一度聴いてみるといい。

34 『Land of the Midnight Sun』?『Elegant Gypsy』?『Casino』?…流行ったよね~ディメオラ。あの時代のお年頃の音楽好きは間違いなくみんな聴いたでしょ?
でもね、私はコレ…『Electric Rendevous』が好きだった。
収録されている「Crusin'」という曲をタモリがオールナイトニッポンで流してね、それが気に入ってアルバムを買った。この曲Jan Hammerがドラムを叩いてるんだっけ?

まだ渋谷のタワーレコードがハンズの先にあった頃で、King Crimsonの『Discipline』とLarry Carltonの『Sleepwalk』を同時に買ったのを覚えている。もちろん、もちろん全部その時の新譜レコード。いい時代だったな~。
イヤ、ま、だからなんだ?という話しなんだけど、年を取ってくるとこんなことでも懐かしく思えてくるんよ。

しかし、このジャケット、今見るとかなりダサいな。特になんでこんなにレスポールが痩せ細っちゃってんだ?!
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これは買ったことがない。Al DiMeolaのライブ盤。なんで買ったことがないかというと、ダビングしてもらったカセット・テープを何回も聴いたから。
それも、当時アルバイトしていた病院に入院していた中学生の子に頼んでエア・チェックしてもらった。あの子あの後元気にやってるかな…といってももう50近いのか…。

何でも当時Di MeolaはドラムがSteve Gaddじゃないとツアーに出ないとかいう話があって、Gaddのスケジュールの空きを待ってツアーを組んでこのアルバムをライブ・レコーディングしたとか…。

タイトルの「TOUR DE FORCE」とは「大作」とか「力作」という意味。他に「離れ業」なんていう意味もある。
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Manはわからない。1968年、ウェールズで結成された名門ブリティッシュ・ロック・バンド。これしか知らない。アルバムも1枚しか持ってないし、印象が薄い。
このアルバムは1975年に発表された『Maximum Darkness』というライブ盤。ロンドンはチョーク・ファームのThe Roundhouseで収録された。(The Roundhouseはそのうち『名所めぐり』で紹介します)
ずいぶん昔から、ハンターなんかでよく見かけたジャケットだ。子供ながらにカッコいいとは思ったものの一度も聴いたことがない。SGがいいよね。
そもそも日本に「マン・ファン(←変な言葉だな)」なんているのかしらん?いつか聴いてみようとは思っている。
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いつの時代もカッコいいね~、Jeff Beck。このジャケットの写真、何かのアルバムに封入されているポスターにもなってるんだっけ?
この頃はレスポール。コレがまたよく似合う。やっぱりすごいギタリストはギターがよく似合う。どんな服よりもギターとストラップがよく似合うのだ。

Jeff BeckのMarshall Blog発、最新の情報ということでコチラをご覧いただきたい⇒Jeff Beck のMarshall 2014
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…ということで『ギター特集』いかがだったろう。
やっぱりギターは不滅だね。「ギターを使う音楽が古い」だなんて発言は厳に慎むべきであろう。こんな発言をすれば自分が恥をかくだけだ。もし、この発言が広く受容される時は「世界の終り」が来るだろう。

さて、ここからは同時に開催された立体展示のアイテムをご覧いただく。
今回は特殊仕様のアナログ・ボックス・セット。CDのボックス・セットとは異なり、LPのボックス・セットはゴージャス感が強かった。
ハコに入っているという強みを生かし、大抵は分厚いブックレットが付属していたことも喜びのひとつだった。そして何といってもその重量。重さと値段がニアリー・イコールで、持っていることがひとつのステイタスだったりして。
それで、レコード棚に収めた時の背表紙の幅がまたうれしいと来てる。
私も何セットか持っているが、吹けば飛ぶ屁のようなものだ。
そこで、植村さんの相変わらずのすさまじいコレクションに舌鼓を打ってもらいたい。

● THE WHO / LIVE AT LEEDS (SUPER DELUXE COLLECTOR’S EDITION) (UNIVERSAL 2010)
ロンドン・オリンピックの閉会式で話題を集めたザ・フーの名ライヴ『Live at Leeds』の6枚組ボックス(1LP+1SINGLE+4CD)。
ここ数年のボックスものの大半にはLP(しかも重量盤)が同梱され、ハード・カバー・ブックレットが付属されるケースが多い。このセットでは当時付属されていたメモラビアも見事に再現されている

ロックを聴く者でこのアルバムを通過しないものはいまい。私も大好き。
ってんで3年前にイギリスに行った時、リーズを訪ねようかと計画した。ところが、友人にこのことを尋ねると街のようすが新しくなってしまい、面白くもなんともないという。それで往訪をあきらめ、ヨークに行くことにした
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● FRANK ZAPPA / BEAT THE BOOTS ! VOL.1 LIMITED EDITION BOX SET ( RHINO 1991)
巨星Frank Zappaが巷に横溢していた海賊盤に対抗すべく、67年から82年までの自分の海賊盤を自らリマスターし、オフィシャルな8枚組LPボックスに集大成したもの。
開くと観客がポップアップするという驚きの特殊パッケージも実にザッパらしいし、ライノならでの見事なアイデアだ。
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Tシャツ等のオマケもうれしい。
私も持っているが、もったいなくて開けられない。買った時の状態そのままにしてある。
「それじゃ聴けないじゃないか」って?
このシリーズは奇特なことにバラ売りの国内版のCDが制作されて、それを聴いているので大丈夫。

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● THE BEACH BOYS / THE SMILE SESSIONS (COLLECTOR’S BOX) (CAPITOL 2011)
デビュー50周年記念で数年前30年以上ぶりに来日したThe Beach Boysの幻のアルバム、『Smile』の全音源を集大成させた9枚組ボックス(2LP+2SINGLE+5CD)。内容もさることながら、オリジナル・アートワークを3Dで表現したパッケージが秀逸。資料満載のハード・カヴァー・ブックレットも充実している。
みんな『Smile』好きね。
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● THE ROLLING STONES / GOLDEN HISTORY OF THE ROLLING STONES (キング1971)
当時ロンドン・デッカとレーベル契約をしていたキング・レコードが日本独自に企画・発売した5枚組LPボックス。サイケ調にデザインされた分厚いカートン・ボックスに同梱されたのは2種類の特大ポスター(年表)と80ページに及ぶ特製ブックレット。
60年代から70年代初頭にかけて日本独自のデザインによるジャケットは多く見られましたが、ボックスものは極めて珍しいといえる。

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● DAVID BOWIE / SOUND + VISION (RYKODISC 1989)
元祖グラム・ロック・スターというより、英国を代表するアーティストの1人であるDavid Bowieの代表曲や未発表曲などを編集した6枚組(2枚組LPが3セット)LPボックス。
Bowieのパッケージはどれもハイセンスなものが多いが、このBowieのイラストが直接プリントされたプラスティック・ボックスそのものがもはやアートといえるだろう。
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ん~、ハイセンス!
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● 小沢昭一:取材・構成 / ドキュメント 日本の放浪芸(日本ビクター1971)
俳優である小沢昭一が60年代後半から数年をかけて全国各地の放浪芸(大道芸、門付芸など)をフィールドワークで集大成させた7枚組LPボックス。
60ページに及ぶLPサイズの解説書は、貴重な写真も含め民俗学としても極めて貴重な資料といえる。1999年に同作品は初CD化されたが、解説書もそのままコンパクトになったために非常に読み難くなってしまった。
そうなんだよね。
ジャズのLPは裏ジャケに著名な音楽評論家が書いたライナー・ノーツが掲載されていることが多い。で、そのライナーが情報の宝庫だということになっている。
それはわかってるんだけど、あれだけ細かい英語を読むのは大変億劫だでねェ。よっぽどの必要性に迫られない限り読むことはありませんよ、正直。
それがCDになって、オリジナルの体をキープしようとしている気持ちはわかるんだけど、そのまま縮小しちゃったら読めるワケないじゃんよ。
はじめから「読まないですよね?ほんなら縮小させて頂きますんで、よろしく」と考えているとしか思えない。こうなると読みたくなってくる。
中にはその文章をLPサイズの紙に印刷して4つにたたんでCDのケースに入れておいてくれたりするメーカーもある。これは親切。
後はブックレットに文章をそのまま転載するとかね。
もうね、小さい字はツライわ。ホントこんなにツライものだとは思わなんだよ。そろそろ天眼鏡をゲットしようかと思ってる。
名詞の片隅に小さく入ってるemailアドレスなんか読めないってば!
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● 大瀧詠一 / NIAGARA VOX (CBS・ソニー)
日本のフィル・スペクターこと大瀧詠一のナイアガラ・レコードでの作品を集大成した9枚組LPボックス。
目玉は多羅尾伴内、宿霧十軒、我田引水などの別名義作品による2枚のアウトテイク集。当時八曜社から刊行されていたナイアガラの定本も同梱されている。70年代前半に数多くの名デザインを手がけたWORKSHOP MU!!の代表作品ともいえるものだ。
大瀧さんの急逝にも驚いた。
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● VARIOUS ARTISTS / THE MUSIC PEOPLE (CBS・ソニー 1972)
1968年に創立されたCBS・ソニーが5周年記念として業界プロモーション用に制作した3枚組LPボックス。
3枚は、クラシック編、ポピュラー編、邦楽編に分かれ、各ライナーノーツには5年間の歩みとヒットのエピソードなどが綴られている。非売品ながら、ジャケットのイラストは和田誠氏によるものだ。一般発売しても遜色のない見事なクオリティ。
秋葉原の大手電気店のあの黄色いレコード袋がなつかしいね!
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● あがた森魚 / 永遠の遠国 (永遠製菓 1985)
ここ数年精力的に力作をリリースしているあがた森魚が、自主制作で発売した豪華5大付録付きの3枚組LPボックス。
77年に予約限定で制作を開始したが、制作費の不足から途中で中断、ようやく完成したのが8年後の85年。 
当時25,000円とい高価格にもかかわらず、限定250セットを予約で完売、最終的には追加プレスの200セットも完売した。
手作りによるおまけセットなどは自主制作ならではの温かさに溢れるもので、まさにアートな音楽箱。
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● 一柳 慧 : 作曲 / オペラ 横尾忠則を歌う(THE END 1969)
世界的にも著名な画家・イラストレーターである横尾忠則が、オノ・ヨーコの最初の夫であった現代音楽家の一柳慧とコラボした画期的なレコード。
内容はミュージック・コンクリートといえる音のコラージュで、当時世界初の2枚組ピクチャー・レコードとしても話題を集めた。
2005年には横尾氏の所有するオリジナル原画から復刻した限定1,000セットの4枚組CDボックスも発売されたが、即日完売したとのこと。
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● SIGUR ROS / IN A FROZEN SEA (ARTIST IN RESIDENCE 2008)
今やBjorkと並びアイスランドを代表する独創的なSigur Rosが、アナログLPのみで限定発売した7枚組ボックス。
彼等の静謐な世界を表現したアートブック仕様に収められたLPのレーベル・デザインと内袋のデザインとが見事にシンクロしており、そんな所にも彼等のアートに対する美意識の高さが現れている。
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● PUBLIC IMAGE LIMITED / METAL BOX (VIRGIN 1979)
Public Image Limited(PIL)の2作目『Metal Box』は、初回限定生産で3枚の12インチがアルバム・タイトルに因んだ缶に入れられて発売されました。John Lydonはとりわけ音質にはこだわりがあり、よりクオリティを求めて45回転12インチ・アナログという仕様になったといわれている。
この缶カラのジャケット、入れ物?、植村さんによるときれいに保管しておくのは相当難しいとのこと。ひとたび缶が空気に触れてしまうと酸化してしまい、年月を経てサビサビになってしまうのだ。ハハン、なるほど。Small Facesの『Ogden』の中古品でキレイなやつなんてほとんど見たことないもんね。
コレクターの苦労は尽きないのであ~る!
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Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※記事内のジャケット写真は展示アイテム以外のものは斜めにもしくはサイズを小さくして掲載しています。
※本展示は2012年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

(敬称略 ※協力:立体展示本項解説文原本執筆・植村和紀氏、金羊社・奥平周一氏 )

2014年7月29日 (火)

田川ヒロアキ バースディ・スペシャル・ライブ2014

チョイと出ました田川ヒロアキ。
今日はバースディ・スペシャルということでスペシャルな面々を迎えてのステージだ。

10_2ベースに寺沢功一

30vそしてドラムに長谷川浩二

40vこのトリオのどこがスペシャルかというと…もちろん豪華メンバーということなんだけど、スペシャルの元ネタがもうひとつあるのだ。

ナニを隠そう、イヤ、ナニも隠す必要なない。この3人は、日本が世界に誇るへヴィ・メタルの祭典「LOUD PARK」に出演した時のメンバーなのだ。

50_2つまり、ヒロアキくんの誕生日のスペシャルとしてその時のもようを再現してみようという企画。

60v…ということでヒロアキくんのMarshallもいつものJMD501ではなくて、幕張の時と同じJVM210Hと1960がセットされた。
そうそう、ことろでそのJMD、残念ながら数年前に生産が終了してしまったけど、今、探している人が結構いるんだってね。特にヘッド。JMDを持っている方、大事に使ってやっておくんなさいまし。

70_2ということで、それでは2009年のLOUD PARKにタイプスリップしてみましょう~!

ポケタポケタポケタ…
ここは幕張。

L10だだっ広いステージにセットされたJVMのハーフ・スタック。

L_l20このギターもなつかしいね。弾き方は当時からコレ。昔からか…。
L_l70
「My Eternal Dream」で幕を開けた堂々たる演奏!

L_l30ヒロアキくんの気合の入ったプレイを猛然とサポートする鉄壁のリズム隊!

L_l40vそうだそうだ、この時角度がうまく合わなくて、正面からは浩二さんの顔しか撮れなかったんだっけ!

L_l50大会場を切り裂く必殺のJVMサウンド!

L_l60v得意のア・カペラのソロも披露して大喝采を浴びた。

L_l110v

持ち時間をノリノリでブッちぎった迫力の演奏だったのよ!

L_l100vポケタポケタポケタ…
ここは高田馬場音楽室DX。
こうして見ると5年位じゃみなさんそう変わらないね。

80_2オープニングはいつも通りの「Seascape」。
バッキング・トラックに乗せてギターが歌いまくる。

90_2続いては「LOUD PARK」でオープニングに演奏した「My Eternal Deam」。

110_2ヒロアキくんのテーマ・ソングとも言うべきキラー・チューン。

1t_img_0066矢継ぎ早に演奏するのは「Stranger Destroys Arms」。
コレも超重量級のハード・チューン。バースデイ・ライブのせいか、はたまたリズム隊のおかげか…ノッケからガッチリとした演奏で観客をワシづかみにした。

120vここでご挨拶とメンバー紹介。
LOUD PARKの思い出などをチラリ。そうだ、ほぼ同じ時間にLOUDNESSが出演していたんだっけね。「君が代」が聴こえてきちゃてね!

100v
4曲目には最新作『ようこそ田川Nightへ』から「BOUND」。幾度となく現れる意表を突く無茶なキメが痛快!

150v『Ave Maria』から「メンデルスゾーン」。
この日はどういうワケか浩二さんが同期の操作を担当。その危なっかしい操作で爆笑を誘う!
続けて演奏したのはSteve Vaiの「The Crying Machine」。浩二さんの選曲だそうだ。

130_2

2度目のMC。
今度はLOUD PARKで使用した機材などを紹介。2009年のこの時のMarshall Blogを読むと「人生最高のギター・サウンド!」とヒロアキくんが大層よろこんでくれたようだ。
そういえば、幕張駅に着いた時ヒロアキくんから連絡があって「アンプから音が出ませ~ん!」なんて言われて慌てて会場に入ったんだよな~。こういう仕事をしていて最もイヤな知らせだ。
会場に着いてみるとナンてことはなっく、ループの設定がチョイとマズかっただけの話しだった。

JVMのパラレル・ループに何も接続せずループ・レベルをフル・ウェットにして、ループに信号を送ると音が出ない構造になっているのだ。
あ、ちなみに…英語でそういう状態、つまり音が出なくなる状態を「Amp is dead」という。

ところで、実は昨年もこのトリオの再演を企画したがスケジュールが合わず断念したそう。

140
第1部の最後はボーカル曲「Keep Flying」。

155意外にもてらちんはこの日が初DXだったとか。「こんなアット・ホームなところで演れて楽しい!」

160浩二さんは以前「50歳になったらドラムを辞める」とかおっしゃっていたそうで…来年引退?!イエイエ、日本の音楽界がそはさせないでしょう!

170_2存分にソロも弾き切って〆のポーズもキマった!

190v…いうことでしばしの休憩。

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さて、ここで休憩時間を利用して皆さんにお知らせだゼ~ット!
ポテトチップス(イギリスではクリスプスといいます)でおなじみの湖池屋の人気商品カラムーチョのPVに何とヒロアキくんが出ちゃってるんだよな~。
相手はナント水木一郎。
もう私なんか「マジンガーZ」、「変身忍者 嵐」、「バロムワン」、「バビル2世」あたりは完全にリアルタイムだからね。昔のアニメの曲はみんなどれもヨカッタ。みんなそれぞれ書き下ろしだったしね。

カラムーチョか…「ポテトが辛くてなぜおいしい」ってヤツね…食べたいナ。でもガマン。今、「ポテチ断ち」してるから。
ま、辛いものが大好きな私にはカラムーチョぐらいじゃビクともしないんだけどね。
それでも以前、新橋にあるメキシコ料理店で声高に「辛いモノ好き」と騒いでいたら「お客さん、このソースお試しになりませんか?」とキャラメルほどの大きさのゲル状の物体をお店の人が差し出してくれた。
恐る恐るホンノ耳かき一杯ほどのそいつを口に入れた瞬間、天井まで軽く飛び上がったね。「辛いモノ好きやめました!」って言いたくなったわ。あんなの非常識だってば。
イヤ、上には上があるもので、あれは一種の殺人兵器だったな。

…ということは関係なし、ヒロアキくんのカラムーチョぶりをトクとご覧頂きたいゼ~ット!

ナンカ異常に楽しそうだな…。
急遽決まった話しだったそうで。そこはさすがヒロアキくん、完璧なプレイで見事カラムーチョしてくれているゼ~ット!!

さて、始めるよん。
第2部の1曲目、じゃない…最初はジャンケン大会。
ヒロアキくんと勝負して勝ち残った2人にプレゼント。
勝者は2人とも女性で、おひとりはSPICE FIVEを見てヒロアキくんのファンになったとか。変わってるナ…。
そしてもうおひと方は楽器店のイベントでヒロアキくんの存在を知ったそう。

205そこからピアノの弾き語りに。
タイガースの「Love Love Love」。この曲はタイガースが好きな、ここ音楽室DXの店長に捧げられた。
というのも、店長はヒロアキくんのマネージャーの美瑞穂さんが持ち込んだ企画を即座に快く引き受けてくださり、そのおかげでこのステージが実現されたからなのだ。

210_2満を持して賀山(かやま)店長登場!マーブロもお世話になっております。
賀山さんからは誕生日の祝辞の他に当日のスペシャル・ドリンクの説明が加えられた。

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ここで浩二さんから重大発表。
「3人で演るのは5年ぶり。やっぱりイイ感じ。ということで3人でお皿作ろう!(これは古い言い回し~。さすが大ベテラン!「お皿」とはレコードのこと。今ではCD。フィジカル・プロダクツ擁護派の私としてはドンドン作ってもらいたい)」
「田川くんのメタルの部分を引き出した作品にするゼ~ット!(←この「ゼ~ット」はウソ)」
さらに「このバンドで海外デビューも目指すぞ!しかも年内にリリースします!」
「せーの!で撮るからね!コンピュータで作る冷たい音じゃないゼッ~ト!(←この「ゼ~ット」もウソだけどそれぐらいの勢いだ)」

すかさずヒロアキくん…「CDリリース記念ライブもやりたい!」
オウ!ドンドンやってくれい!

コレは実際楽しみだね。名手たちの高い音楽性の粋を集めた素晴らしいロック作品が期待できそうだゾ!浩二さん頼んまっさ、ボナマッサ!

K_img_0205ここで「ダダンダダン」。『ようこそ』収録の「Train」だ。この曲については『三宅庸介・田川ヒロアキ Guitar Show 2014 <前編>』に詳しく記しておいたので未読の方はゼヒご覧頂きたい。

230_216ビートのナンバー「That's Over」。
これはLOUD PARKでも演奏された曲だ。

240vここではリズム隊の2人をフィーチュア。
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誰が呼んだか「低音暴力団」。しかしそのプレイはド迫力にして音楽的だ!

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代わって浩二さんのソロ。

270v快感!
このキットはLOUD PARKの時が筆おろしだったそうだ。

280ク~、乱れ出してからがタマらない!

290vガラっと変わってバラード「平和の風」。

300続いても代表曲「Speedway」。ギュイーン!

310ここでてらちんの小芝居。
「チョットいいですか?何だか急に歌をうたいたい気分なの。みんなもよく知っている歌だから一緒に歌って」とこの紙をお客さんに見せた。

この紙、最初てらちんの譜面台に横にして置いてあって、写真を撮る時にそれがチラッと目に入ったのよ。一瞬それがアルファベットでなくて何かの記号に見えたの。だってこんなことするとは思わなかったから!本当のサプライズだったってワケ。
こっちはその譜面らしきものを見てビックリした。
「スゲェなてらちん、パガニーニみたい。譜面が暗号だよ!」なんて感心しちゃったりなんかしちゃったりして。

320お客さんはもちろん大合唱。

330そして浩二さんが手にしたくす玉が割られる。ナゼか一緒にめっちゃノッテるヒロアキくん!

340くす玉からは「おめでとう」のメッセージが…。

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そしてフー!帽子が良く似合う。コレもバースデイ・プレゼントだそうだ。

350v感動のコーナーが終わって本編最後は「Ave Maria」。チャッチャといくよ~。
これまでずいぶん色んなミュージシャンと演奏するヒロアキくんの「Ave Maria」を聴いてきたけど、この3人の演奏も秀逸だった。

360vそして、アンコール。「Back in the U.S.S.R.」…なんでここでロシアやねん?!

370ま、ストレートなエイト・ビートでゴキゲン、ゴキゲン!
楽しそうだな。

380v素晴らしい演奏を展開してくれた3人。マジでCD期待してまっせ!
バンド名は何かしら?
この3人、名前のイニシャルがHT、KT、KHとどっかつながってるんだよね。
390vだからといって、最近流行りの頭文字を取るヤツはもうやめて欲しいナ~。THT(田川/長谷川/寺沢)とかKHK(浩二/ヒロアキ/功一)とか、長田寺(宗派はナンダ?)とか…。そういうのパーマネント感というかバンド感が希薄なんだもん。

…ということで次回が色々と楽しみ!
400v田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

410v(一部敬称略 2014年6月8日 音楽室DXにて撮影)

2014年7月28日 (月)

原田喧太のDVD~GUITAR CIRCUS 2014

先日レポートした原田喧太のソロ・ライブ『GUITAR CIRCUS 2014』がDVDになった!
このことはショウの中で喧ちゃん自身が触れていたが、いよいよ昨日発売となったのだ。

これがそのDVD。
ん~、まずはジャケ写がよい!アレ?どっかで見た感じのヤツじゃん?…という方はご名答。
ハイ、恐れ多くも私めの写真を使っていただいております。

Kenta_dvd Marshall Blogではすでにレポートを掲載したので、内容についてはここではツベコベ言わず、制作したアトス・インターナショナルさんの惹句を引くことにしよう…

「その実力と個性でミュージック・シーンに欠かせないギタリストとして大活躍中の原田喧太の2014年のソロ・ライヴを収録。
バックを固めるのは、ドラムにそうる透、ギターに伊藤可久、ベースに太田要、そしてゲスト・ギタリストにはジョン・メイヤー等海外の有名ギタリストが師事するTomo Fujitaを迎え、スリリングで大胆、且つ繊細なギター・プレイを聴かせてくれる」

これでいいのだ。
DVDの詳しい情報はコチラ⇒アトス・インターナショナル公式ウェブサイト

尚、Marshall Blogの記事はコチラをご参照あれ!⇒原田喧太~SOLO LIVE 『Guitar Circus 2014』

せっかくだから、喧ちゃんが登場した主なMarshall Blogの記事を振り返ってみよう。
すでにご覧になっている方もゼヒ再チェック!見てない人は要チェック!

★まずはコレ。20年目を迎え、幕を閉じる日本を代表するロック・イベント。今年も喧ちゃんは出演するよ。
CLASSIC ROCK JAM 2013 -王道回帰- アメリカン・ロック・ナイト<前編>    
CLASSIC ROCK JAM 2013 -王道回帰- ブリティッシュ・ロック・ナイト<前編>   

50v ★そしてコレ。日本の美しいメロディを名手たちがギターで奏でるCDのライブ版。再演が望まれるイベントだ。
LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <前編>    
LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <中編>  

190 ★これは感動的だった!桑名正博氏を偲んで集まった人気ミュージシャンたちの饗宴。
マサヤン天国ロック生誕60祭 ~HeavenS MASAYAN ConnectioN LIVE 2013~<前編>
マサヤン天国ロック生誕60祭 ~HeavenS MASAYAN ConnectioN LIVE 2013~<後編>

370 ★今年も大ツアーを敢行しているDAMIJAW。おかまいなしに暴れまくる喧ちゃんが見事!
DAMIJAW 47都道府県 tour“Be with You!!!!!”2~原田喧太 Plays Marshall!

120v …とことあるごとにMarshall Blogに登場してくれる喧ちゃんは日本のMarshallになくてはならない存在なのだ!

原田喧太の詳しい情報はコチラ⇒原田喧太Official Web Site

2014年7月25日 (金)

ichiro Plays Marshall~Z's START ON TOURより

2014年3月に結成された矢沢永吉の新しいバンド、Z's(ゼッツ)。
矢沢さんのむき出しの魂と若手メンバーによる若く熱いエナジーのぶつかり合い!
そのZ'sの「Z's START ON TOUR」と冠した全国ツアーにサポート・ギタリストとして参加したのがおなじみichiro。
そして全公演でichiroちゃんを完璧にバック・アップしたのがMarshallだ!

10v 矢沢さんのサポートでは、以前JCM2000 DSL100を使用していたが今回はちょっと小ぶり。

201987Xと1936のコンビネーションだ。

30予備としてビンテージの1987T、50WのSUPER TREMOLOも準備されていた。

40足元のようす。大分シンプルになったナァ…。

50矢沢さんのコンサートはもちろん今回が初めてではなく、以前は武道館や屋外競技場等で拝見した。
今回はZepp Tokyoというライブハウスでのステージということで大分雰囲気が違った。
客電が落ち、紗幕にZ'sのポートレイトが映し出され、Freeの「All RIght Now」が流れる。
会場は一糸乱れぬ「永ちゃん」コール!
やはり巨大な会場とは異なる一体感の強さに感動を覚えずにはいられない。
このすさまじいまでの興奮に包まれた一大ロック・ショウにMarshallが関わっていることを誇りに思った。

ichiroの詳しい情報コチラ⇒ichiro WEB SITE

Img_0099 (一部敬称略 2014年6月4日 ZEPP TOKYOにて撮影)

2014年7月24日 (木)

SSS SUPER LIVE~ミサイルイノベーション&QUORUM

ああぁ、関東地方もとうとう梅雨が明けて始まってしまった…夏。これからしばらくイヤだナァ。早く冬にならないかナァ。
「今年はとんとツバメを見かけない」…これは友人のfacebookへの書き込み。で、ハタと思ったんだけど、そういえば「今年」に限らずツバメどころかスズメも見なくなったような気がするな。
ハトすら少なくなっているように思う。
ウチは比較的東京のド真ん中なんだけど、昔は、朝にはチュンチュンと盛大にスズメの鳴き声が聞こえてきたのもだ。今はまったくだもんね。気味が悪いわ。
これも温暖化の影響なのかしらん?
ここしばらく社会的にもイヤな話題がテンコ盛りで気分もすぐれないけど、こんな時はイキのいいロックを聴いてウサを晴らそうではないか!
暑さは無理だわ。暑さには誰も勝てん!

…ということで、まずご登場頂くのはミサイルイノベーションというバンド。

10Do As Infinityの大渡亮が2004年に結成したロック・トリオだ。

15ボーカルとギターは大渡亮。

20vベースは林由恭。

30vドラムに林久悦。

40v バンド名の表記は「ミサイルイノベーション」。「Missile Innovation」とアルファベットにするワケでもなく、それどころか「ミサイル」と「イノベーション」の間に「・(中黒)」さえ入らない。
このシンプルさの極みはいかにも亮さんらしくていいナァ。

50亮さんとは結構長いお付き合いをさせて頂いていて、以前はよくDo As InfinityでMarshall Blogに登場して頂いていた。
初めてお会いした時にイッパイ行って、たいていの人をウンザリさせてしまう間断ない私の「ロック論」を真剣に聴いてくださった辛抱強い人なのだ。

60v亮さんはもちろんMarshall。JCM2000は当然、VintageModern、JVM等を愛用してきてもらっている。
かつては1969年製の1959もコレクションされていた。
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さて、このミサイルイノベーション、名前から想像するに攻撃的なヘヴィなロックを演るのかと思ったらさにあらず。実にわかりやすく、そして楽しいゴキゲンなロックンロール・サウンドを聴かせてくれる。

80このバンドでは亮さんはほぼボーカルに徹している。ギターうまいのに派手なソロのシーンはほとんどなし。
亮さん、高校の時に鹿鳴館に何回かSABBRABELLSというバンドを観に来ていたそう。
私は寡聞にしてこのバンドを知らなかったのでチョイと調べてみた。
1980年初頭から活動を開始したヘヴィ・メタルのバンドだったそうで、「目黒鹿鳴館の帝王」とアダ名されていたらしい。今、ブルース・ロックを演っている松川純一郎さんが一時期在籍していたことを知りビックリ。
亮さんによると、Black Sabbathに影響を受けたSABBRABELLSのライブは、何しろお客さん全員がトゲトゲの装束で客席が危険だったとか…。
DEAD ENDも観に来たんだって。

そんなだから、今回の鹿鳴館への出演は亮さんにとってはとても感慨深いものになった。

100メンバー全員が歌えるのも強みだ。

110v 曲のポイントをガッチリつかんだ分厚いコーラスが魅力的。
ところで、このふたりの林さんによるリズム隊…ずいぶん似てるナァ~と思っていたら双子さんだったのね!
道理でイキもピッタリなワケだ。兄弟がメンバーに含まれているバンドはまったく珍しくないが、双子はかなり珍しいでしょう。なくはないようだけれど、私が知っている限りではミサイルイノベーションだけだ。

120大好きだというレゲエ調の曲も含めロックの楽しさ満載のステージ!

70v
最後は「ミサイルイノベーション」という曲。

125バンドのテーマ曲として作ったのかと思ったらそうではなくて、先にこの曲があって、それをバンド名に持って来たとのことだ。

130亮さん、初ミサイルイノベーション、楽しませていただきました!

140ミサイルイノベーションの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

150この日のトリはおなじみQUORUM。

160浪岡真太郎

170v北川遊太

180v盆子原幸人

190v石川達也

200vオープニングは「Chicken」という曲。相変わらずのQUORUMサウンド!シビれるね~!

210真太郎のロック・ボイス…

220v遊太の灼熱のリフとソロ…

230縦横無尽に低音域を暴れまくる幸人…

240v猛然とバンドをプッシュする達也…

250vやっぱりロックはこうでなくちゃイケねぇ。

270
続いて「Shot Gun」。
280v
堂々と自分の言いたいことを託してソロを弾く遊太。その姿はステージの覇者のようだ。今、こんな風にしてギター・ソロを弾ける若者が他にいるだろうか?昔はみんなこうだったんよ…ギターがウマい人はね。そして、ロック・ギターというものは断じてこういうものなのだ。
290
「Slide Harp」という曲が続く。
310
真太郎はブルース・ハープも披露。初めはポケットから携帯電話でも出したのかと思ったら10ホール・ハーモニカでした。

260vその次に演奏したのはカバー。Silvertideというバンドの「Devil's Daughter」という曲。

「Silvertide…シルバータイド…しるばーたいど…汁婆態度と…。Silverheadなら知ってるけど、Silvertideなんて知らないな…。名前からすると70年代のマイナーなバンドか?ヤバいな、知らないな…。勉強不足だコリャ。まだまだエラそうなことは言えないな…」

と悩んでいたら、なんだよ、2000年以降の新しいバンドじゃねーかよー!ヨカッタ、それじゃ知らなくても無理はない。ヒヤっとしたぜ。

そうそうMichael Des BarresでおなじみのSilverhead、去年ギターのRod Daviesから、「今春日本に行くのでMarshallでサポートして欲しい」という連絡があったんよ。楽しみにしていたんだけど、残念ながら来なかった。是非Marshall Blogで取材したかったんだけどね。

295v残り2曲は「Patience」と「3J」。

320QUORUM名物の遊太と幸人のバトルもタップリと!

330これまで何回も彼らのステージに接してきたが、この日はすごく「ひと皮ムケた」感が強かった。
気が付いてみると、当日本編でファースト・アルバムから演奏したのは「3J」のみ。
それがその「ひと皮ムケた」感を与えたのだろうか?
言い換えれば「前進している」感だ。QUORUMが成長していることは間違いない。

M_img_0231 アンコールは「Danger」。
300
今年は年間100本のライブに挑戦しているQUORUM。昔の子供ばんどを思い出すね。
その忙しいさなか、もうすぐレコーディングに入るという。
MarshallとNATALサウンドにあふれたゴキゲンな作品を送り出してくれることだろう。楽しみだ!

340v

2m_img_0131 QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

350 NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
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(一部敬称略 2014年6月25日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年7月23日 (水)

Jeff BeckのMarshall 2014

Jeff Beck、ジェフ・ベック、じぇふ・べっく…どう考えてもまず名前がいいよな…。

そして、その名を口にしてみる…
じ・ぇ・ふ・べ・っ・く
……すると問答無用で浮かび上がってくるのは白いストラトキャスターを下げたギタリストの姿だ。
人気、実力、キャリアをギター1本に詰め込んで時代を超えて常に前進し続ける真のアーティスト。
「他の追随を許さない」とは、まさにこういう人のことを言うのだろう。実際、古今東西、他にこんなギタリストいないもんね。

4月の来日公演、私がお邪魔したのは東京ドームシティホール3daysの初日だった。
満員のお客さんを前に、いつも通り次へと次へと代表曲を淡々と弾きこなすようすに力みはまったくなく、まるで息を吸うように自然だった。まさにギターを弾くために生まれてきた人間を見た。

いつぞはJeffがステージに現れた途端、観客が総立ちとなり、まさかのスタンディングでショウを観たことがあったが、今回のお客さんは実に落ち着いていて、イスに座りながらジックリとJeffの音楽を楽しんでいたのはとてもうれしく思えた。
いい音楽を聴くにはこうでなきゃ。

今回もMarshall。
JeffがMarshallを愛用してくれていることはうれしいことこの上ないが、輪をかけてうれしかったのはステージ上のホンモノのJeff Beckを撮影したことだ。
ま、正直「オレもいよいよここまで来たか…」と感慨にふけりましたよ。
ところが実際の撮影では結構ビビった。
写真を撮ること自体にビビったというワケではない。
撮影をしていると、ファインダーを通してJeffとガッチリ目が合うのだ。コレが結構コワイ。眼光が鋭く、何か獲物を狙う猛獣のような目なのだ。
子供の頃読んだ雑誌を通じ、「インタビュー嫌いのジェフ・ベック」という情報が刷り込まれていて、インタビューが嫌いなら写真も嫌いなんだろうな…と勝手に思い込んいるので、「オイ、そこのオッサン、ナニ写真撮ってんだ!」なんて怒られたらどうしよう!…なんてことを考えてしまう。
もちろん許可を得ているし、そんなことはまったくないのよ。

それでは今回のJeff BeckのMarshallを紹介しよう。

10v今回はDSL100Hと1960BXのセットがメイン。音はかなり固めにセットされている。双方日本で用意したものだ。

1999年の来日時(Jennifer Battenと来た時)以来、毎回JeffのMarshallのサポートをしてきているが、これまではJCM2000 DSL50を使用するケースが最も多く、他にDSL100や1987Xが選ばれたこともあった。
ヘッドやセッティング自体は割合毎回異なるが、キャビネットは一貫して1960BXだ。
何かのインタビューで、かつてJeffが「Bキャビネットの方がステージでモニタリングしやすい」とBキャビネットを使う理由を述べていた記憶がある。

実は今回大きな機材上の変更点がある。
それはMarshallのモデルではなく、「電圧」である。
以前使用していたJCM2000は持参していたので、当然イギリスと同じ230V仕様。1987Xは日本で調達したが、こちらもイギリスと同様、230V、50Hzで使用していた。
ところが、今回のDSL100Hは現地調達の100V仕様。
すると、イギリスで弾くのと音は異なるハズなのだが、出てくる音は完全にJeff Beck。
やはり自らのサウンドを確立したギタリストにとって機材の違いはそう大きな問題ではなく、彼らの音が機材ではなく指から出されているモノであることがよくわかる。
昨今の「機材狂騒ぶり」を見ていると、このことが完全に忘れ去られているような気がする。何でも趣味の道具をイジくり回すのはとても楽しいことだとは思うけどね…。

そして、Jeffが使ってきた機材は市中の楽器店で入手できる普通のMarshallと何ら変わらない。
加工も改造も一切していない一般品であることを書き添えておく。

20これは上のMarshallの真裏にセットされたDSL100Hと1960AX。客席からはまったく見えない。
表のMarshallと異なったトーンにセットされている。

30ステージ上手にセットされていたのはサイド・ギター、Nicolas MeierのMarshall。
Jeffとまるっきり同じDSL100Hと1960BXのセットだ。
この人、徹底してバッキング・プレイに徹していたけど、エレアコの持ち替えてソロが回ってきた途端、めくるめくテクニックでバリバリ弾きだしたには驚いた!

40ナンダカンダでJeffのギターテクのSteveとの付き合いも長くなり、すっかり仲良しになった。今回は1月のBlur以来の再会だ。
そのSteveに会うために早めに会場に入り、休憩室で時間をつぶしていると、Jeffが楽屋フロアに入って来た。
驚いた。
Jeffはギターをお付きの人に持たせることなく、肩にかけて自分で運んでいたのだ。
感じるね~、ギターへの愛を!
そして、楽屋からは熱心にギターを練習する音が…。

『Truth』から46年。ほぼ間断なく音楽活動を続け、常にギター界の頂点に君臨するギターの王者。次は何をしてくれるんだろう?
Jeff Beckと同じ時代に生きることができたのはギターを愛する者として幸せだと思うのだ。

50v(敬称略 2014年4月6日 東京ドームシティホールにて撮影)

2014年7月22日 (火)

森久保祥太郎 LIVE TOUR 2014 心・裸・晩・唱 〜PHASE4〜

超満員のZepp Diver City。

10今日のステージの主は…

20森久保祥太郎!

30押しも押されぬ声優界の大スターだ。
2s_img_0088
シリーズで展開しているコンサート…その第4段階!ハード&ヘヴィなナンバーがギッシリと詰まった一大ロック・スペクタクル!

404月からスタートした全国ツアーがソールド・アウト続出の大好評につき、開催が決定したのが本追加公演なのだ。

50ボーカルとギター、森久保祥太郎。

2s_img_0180祥太郎さんはMarshall。JCM2000 TSL100と1960Aのコンビネーション。
よく見るとヘッドのロゴの両脇にピックが貼ってある。

70vそして、祥太郎さんを劇的にバックアップするバンド・メンバーは…

80ギターに藤澤健至。

90v健至さんのMarshallはJVM410HJS。Joe Satrianiのシグネチャー・モデル。
このモデルは海外でも大変に評価も人気も高いモデル。もちろんSatriani自身もMarshallの50周年記念コンサートの時に使用していた。
キャビネットは1960A。

100v7弦ギターを組み合わせて、ソロにバッキングにと縦横無尽なギター・プレイを披露した。

110v上手のギターは鍋嶋圭一。

鍋嶋さんも7弦ギター。キャビネットは1960Aだ。

130vベースは三宅博文。EDENのスピーカー・キャビネットを使用。

140vマニピュレーターの大串友紀。

150ドラムは青山英樹。

160vロック・シーンとアニメやゲームの関わりが切り離せなくなってもうかなりの年数が経つ。最近はそれにインターネット・ミュージック(ていうのかな?)という第三の勢力が加わって、ロックの在り方の多様性が過去には想像できなかったほどに広がった。
そして、それらのどの勢力も「ロック」という音楽ジャンルの外側にあるようなイメージはいまだあるが、プロデュースされているサウンドは完全にロックだ。
40年近く「ロック」と言う音楽を傍らで見続けて来た者の目には、近い将来「ロック」という言葉もなくなってしまうのではないか?…という風に映る。

よく言えば、かつては怪しく危険なマイノリティの代表のような存在であった「ロック」という音楽が、人間が生まれてはじめて聴かされる音楽にまで普及したということになるのであろう。
その反対に「ロック」が生来持っていた「毒気」や「危険な香り」はまったく消え失せた。

勘違いしてはいけないのは、このムーブメントはアニメやゲームの流布によって現れたものではなく、パンク/ニューウェイブ以降、80年代から始まっているということだ。
それまでのロックに喝を入れるべく登場したパンク・ロックがかえって「ロック」の牙をもぎ取ってしまったところが実に皮肉だ。

さて、Marshall Blogではそのロックをロックたらしめる要素として、シンガーの声について何度も触れてきた。
要するにロックには「男性的な野太い声」が不可欠であるということだ。

170そこで感動したのが祥太郎さんの声!
190v
もちろん声優さんだからして「いい声」なのは百も承知なのだが…

280v
ロック・フィーリングあふれる実にクールなボイスなのだ!

180加えてまったく手を抜かずにキチンと歌い込む姿勢もカッコいい。

250v

その祥太郎さんをバック・アップするバンド陣の演奏もすさまじい!
210
これでもか!と弾きまくるギター・チーム!

200めくるめくギター・ソロが右に左に繰り広げられる。

220v祥太郎さんの声が「ロック・ボイス」ならMarshallから繰り出されるギターのサウンドも最高の「ロック・トーン」なのだ!

285
リズム陣のハードでタイトな快演も完璧だった。

230v各地の名産品を食す「フード・ソロ」という大串さんのコーナー。東京はトンカツ。デカいヤツをガブリ!

240コンサートはいよいよ佳境に!
60
矢継ぎ早に飛び出してくるド迫力のナンバーに観客は大熱狂!
260

「夢にまで見た」というZepp Diver Cityでのコンサート…大成功だった!

290そしてアンコール。

300_2年内にミニ・アルバムを出すと発表。
3曲を演奏。

310そして、ダブル・アンコール。
第4段階は熱狂のうちに幕を下ろした。

320森久保祥太郎の詳しい情報はコチラ⇒official home page

330(一部敬称略 2014年6月14日 Zepp Diver Cityにて撮影)

2014年7月18日 (金)

FURTHER EXPROLATIONS~mintmints最新情報!

とある都内のレコーディング・スタジオ…

10スタジオ内の演奏を聴きながらエンジニアの作業を見守るのはSHARAさん。

20vスタジオの中にはてらちんとテツさん。そう、mintmintsの新曲のリズム録りの真っ最中なのだ。

30スピーカーから流れ出るベースとドラムの音にすべての神経を集中させるSHARAさん…と思ったら寝てた…というのはウソ。

40一旦演奏を終え、ミキサー室でプレイバックに聴き入るてらちん。

50…そしてテツさん。
今日はsun-goさんは残念ながら欠席。別の現場で同じようなことをしている。
70v
みんな自分の音にはとてもシビアだ。
レコーディング現場に立ち会っていつもスゴイと思うのは、プロはどんな短い個所でも自分が弾いた音を覚えていて、いとも簡単に気に喰わない場所を撮り直せることだ。
こちとら、どんなに時間をかけても何の文章を書いたかすぐ忘れてしまうというのに!

それと、ほんの微細なミスも絶対に許さない完全主義。
私も傍らでプレイバックを聴いていると、どんな小さいミスでもすぐわかるが…とカッコつけたいところだが、サッパリわからん。
「エ、今の一体何が悪かったの?」ってな具合。
聴いては撮り直し、聴いては撮り直し…これを延々と繰り返すワケだ。

私は飽きちゃってこういう作業は見ているだけでもすぐシンドくなんてしまうが、プロは違う。これがミュージシャンのもっとも大切な仕事なのだ。
曲を作って演奏して、CD(レコード)という物理的な商品のネタを制作するのがミュージシャンの一番大切な仕事だと思うのだ。
ライブ・コンサートやタオルを売ることがミュージシャンの一番大事な仕事ではないハズだと信じている。

60EARTHSHAKERに、mintmintsにと、着実にCDを発表し、創作活動を果敢に続けるSHARAさんには大きな拍手を送りたい…今、寝ちゃってるけど。寝てないってば!

80vこの日、取り組んでいたのは「ECHO」という曲。コレがまたいいぞ!
mintmintsのニューアルバムは9月のリリースを予定している。

90さて、時と所が変わって…。
ニュー・アルバム収録曲のPV撮影現場。
とても暑い日だった!

100暑さにめげず集まった4人。
石原SHARA慎一郎

110v五十嵐sun-go美貴

120v寺沢功一

130v向山テツ
250v
4人そろってmintmints!

150ここ、撮影スタジオなんだけど、トタン屋根でヤケクソに暑い!ビニールハウスの中にいるようなもの。
…なので、一回撮っては階下のエアコンの効いた部屋に下りて汗を引かせるということを繰り返した。

160曲は「Aladdin」。ポップでありながらの~、ハード・ドライビン!まさにmintmintsの真骨頂!

170vもう後は暑いのを隠して撮影に没頭するメンバーの皆さんの懸命な姿を楽しんでくだされ!

180今日のギターは黒。

190vステージ上さながらの激しいアクション!

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206てらちんも絶好調!

210v今回もヘビィでよく練られたベース・ラインで聴く者を楽しませてくれる。

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230vテツさんが一番暑かっただろうな~。

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2m_img_0111

2m_img_0220 さて、sun-goさんファンのみなさん、お待たせしましたッ!

265PVではsun-goさんもバッチリとフィーチュアされてますからね~!
280
新しいギター「Fairy」を携えての出演。

270v休憩時間にこのギターをイジらせてもらったけど、音のバランスがよくていい感じ。ネックも適度に細くて弾きやすい!アクションも実に心地よかった。sun-goさんの新しい相方にふさわしい出来だ。

290v暑くてもポーズはバッチリ。

300v「アヅイ~!」
「カット!」の声とともに冷風に当たるsun-goさん!

M_img_0081曲中にはふたりのツイン・リードのパートも!

310v

320

330さすが完璧なコンビネーション!
私が見ていた限りでは振り付けは何の打ち合わせもしていなかったような…。

340この他にもSHARAさんの曲解説も収録された。

350それともうひとつハイライトが!
それはてらちんの名司会に乗って、4人がファンの質問に答えるというコーナー。
テツさんがノリノリでメッチャおもしろかった!笑い声をこらえるのに苦労したわ。ま、どれだけ収録されるのかは知りませんが…。

とにかく見ていて、仲が良くて楽しそう!mintmints入りたいわ!
この雰囲気の良さが、新4大インスト・ロック・バンド一角の音楽に現れるんだろうね。
とにかく9月のリリースが楽しみだ!

360mintmintsの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

Img_0718_2 (一部敬称略 2014年7月15~16日都内某所にて撮影)

2014年7月17日 (木)

Knebworthだより~Sonisphere Festival 2014

イギリスで毎年開催される2大ロック・フェスティバルのうちDownload Festival(Donington)について先日レポートした
今日はもうひとつのNebworthで開催されるSonisphere Festivalの写真がアーティスト担当のJoelから届いたので紹介する。

Sonisphere Festival(ソニスフィア・フェスティバル)は6月から8月にかけてヨーロッパ各地を巡業するロック・フェスティバルだ。今年もフィンランドを皮切りにノルウェイ、ドイツ、イタリア、スイス、イギリスを巡り、先週のポーランドで終了した。
イギリスではロンドンから大分北東へ行った、Knebworth(ネブワース)というところで開催される。

このSonisphereには行ったことはないが、私はだいぶ前にKnebworthには行ったことがある。
下がその時の写真。
若いな…ネクタイなんか締めちゃって…。

後ろに見えるのがKnebworth HouseというCountry House。カントリー・ハウスというのはてっとり早く言えば貴族の住いということになる。他にもManor House(マナー・ハウス)なんてのもある。
複雑な行政区画や、貴族制度等々、さすがにイギリスは歴史の古い国だけあって、こういう昔からあるものは調べて調べても知らないものが出て来て辟易する。

このKnebworth House、ずっと城かと思っていた。ま、貴族が住んでいるバカでかい邸宅とくれば「城」と呼んでもよさそうだが、向こうの連中はそれをしっかり区別する。
うっかり「The castle in Knebworth」なんて言おうものなら、「No, no shige, it's a country house!!」なんてすぐに訂正されちゃう。(←実話)
それでもね、郊外へ行くと結構どこにでもこのカントりー・ハウスってのがあって、スゴイよ。とにかくデカい。塀づたいの道を車で結構走ってもなかなかその塀が途切れなかったりする広大な敷地、その中にそびえ立つ古式ゆかしいゴシック調の建物はどう見ても「城」だ。

このネブワース城、イヤ、ネブワース・ハウス、元は古いものだが、現在の体になったのは1840年代のことらしい。

Nwここでロック・コンサートが開かれるようになったのは最近のことではない。最初に大きなコンサートが開かれたのは1974年のことで60,000人を集めたという。
そ の時の出演者はThe Allman Brothers Band、The Doobie Brothers、Mahavishunu Orchestra、The Sensational Alex Harvey Band、Van Morrison、Tim Buckleyという顔ぶれだった。
いいよナァ~。
その後に続いたフェスティバルの出演者もFrank ZappaやSteve Miller Band、Brand X、Genesis、Todd Rundgren等、私的にヨダレもののグループばっかり。EllaやSarahまで出てる。1986年、Queenの最後のライブ演奏の舞台となったのもココだ。
で、この時私を連れて行ってくれた人は「10ccを観た」といって私を大層うらやまらしがらせた。

DVDになったLed Zeppelinが演奏したのは1979年。イギリスでは1975年以来のライブ演奏で11万人を集めたという。

Lzkw21980年のThe Beach Boysの演奏もライブ・アルバムになっている。
ヤケクソなまでの大ヒット・パレード。どの曲もえらくテンポが速いのが気になるが、「Sloop John B」のすさまじい走りようはいつ聴いてもツライ~。

Bbkwさて、それでは今年Sonisphereで活躍したMarshallたちを見てみよう。
写真は本社のアーティスト担当、Joel Mananの提供だ。

SsまずはIron MaidenのMarshall。
Iron MaidenのギタリストたちはMarshallを愛用してくれている。
こちらはDave MurrayのMarshall。

Iron1

こちらはYanik GarsのMarshall。
JMP-1の上に収まっているのはマルチ・エフェクト・プロセッサーJFX-1。コレすごくヨカッタんだけどな~。

Iron2以前は3人ともラックを使用していたように記憶しているが、今Adrian SmithはJVMを使用している。Iron3当然キャビネットもMarshallだ。

数多いMarshall信奉者の中でもIron Maidenの忠誠度は非常に高く、Marshallの創立40周年の時にもBruce Dickinsonを除いて全員パーティに参加してくれていた。
生前Jim Marshallは同じドラム・メーカーのエンド―サー(Jimは第1号エンド―サーだったらしい)ということもあってかNickoをすごく可愛がっていた。
工場にあるミュージアムの中央にはNickoのドラム・キットが飾ってあったほどだ。
本人たちにはEddieのようなオドロオドロしい雰囲気はまったくなく、気さくでとてもいい人たちだ。

Iron4イギリスの人気シンガー・ソングライター、Frank Turnerのバンドのギタリスト、Benの1962。

Ben_frank_turnerこちらはSlayerのステージ。

Slayer4

壁は意外にも平屋建てだ。

Slayer2みればわかりますな~。2203KK。ちゃんとKerry King本人が使用している。これもすごくいいアンプだった。
ずいぶんRoadshowやったっけな~。

SlayerKerry 健在!
Kerryだけはちょっと近寄りがたいんだよな~。コワイとかいうよりも何しろ人見知りが激しい感じなのよ。
いつも緑色のボトルに入った変な酒を飲んでる。ちょっと飲ませてもらったことがあったが、クセえわ、ノドが焼けるほど強いわでビックリした。

Slayer3この人はChino Moreno。Deftonesのボーカリスト。打ち上げでMarshall Stanmoreとパチリ。

Chino_morenoまた来年!
Thanks for the great photos, Joel!  Please let me take them next time haha!

(写真提供:Marshall Amplification plc  Joel Manan)

2014年7月16日 (水)

You Got News from Marshall

この数日、facebookで多くの人にシェアされているMarshallの動画がある。
それはHandwiredシリーズのPVで、1962を製造するシーンが収められている。

A_1962 「#LIVEFORMUSIC」を標榜するMarshallの新しいイメージに合致させたこのPVのつくりは、今までの同種のモノに比べ、ケタ違いにソフィスティケイトされている。
ここで見られる光景は、さすがに私には見慣れたものではあるのだが、とても新鮮に感じた。そして、何よりもカッコいい!ウマいこと作りよるわ~。
まずはそのPVをご覧いただきたい。

Marshallではすべての工程を工場で自己完結している。PVの中では木工や配線、組み立てのシーンがフィーチュアされているが、当然これだけではMarshallを作ることはできない。

F_img_8273_2他にも鉄板からシャシを作り上げる工程や…

50

55組み立てたケースの下地の処理…

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85とても高度な技術を要するカバリングの貼り付け…

90

100真剣である。

110他にもある。
これはハコに入れる緩衝材。要するにクッションを作る装置。コレがなくては出荷することができない。

130イングヴェイやサトリアーニがしっかりと応援してる!

140vこのあたりは最終の工程だ。

150こうした工程のどれかひとつが欠けてしまってもMarshallを作ることはできない。これはHandwiredであろうが「普通ワイアード」であろうが同じことだ。

160v最初のHandwired製品の復活は1999年のJTM45 Offsetだ。
下の写真、今はNATALの設備になっているが、2003~2004年にHandwiredシリーズをスタートした頃はこのスペースで作っていた。
ここにベテランと若い男女の工員が学校の教室のように机を並べでみんなでセッセと配線や組み立ての作業に勤しんでいたのだ。

この部隊のリーダーであったキャシーと私は仲が良く、工場を訪れるたびに彼女はとてもよくしてくれて色んな話しを聞かせてくれた。(キャシーにはすごく可愛い男の子がいて、ずいぶん大きくなったろうな~)
この部門の一番の苦労は「教育」だと彼女が言っていたことがすごく印象に残っている。

ご存知の通りMarshallが操業を開始したのは1962年のこと。当時は今のようなPCBなどは使用せず、すべて手作業で基板を製作していた。
その後、Marshallは世界的な成功を手中にし、大量生産を可能にするPCB基板を採用するようになった。

2004年にHandwiredシリーズを始めた時にはまだ昔の手作業時代の経験者が工場にいて、当時の作業を完璧に再現することができた。その人たちはほとんどが女性だった。
しかし、そういった先輩たちがいつまでもこの作業に従事できるワケはない。いずれはリタイアしてしまうのだ。そこで若い工員にその技術を伝承する計画が持ち上がった。
コンピュータの使用法などと違って「マニュアル一冊あればいい」などということはあり得ず、手取り足取り、細かなところまで技術の伝授を行う必要があった。

コレだけやっている分には特にも問題はなかった。
ところが、うれしいことにと言うか、当たり前のことと言うべきか、最初に出した1974Xと2061Xが世界的な大ヒットとなり、オーダーが山となってしまった。
これでもベテランの工員さんが次から次へと製作すればさほど大きな問題にはならなかったのだが、何しろ若手の指導も将来へつなげるための大切な仕事である。
つまり、ベテランの工員さんは若手の「教育」に時間を割きながら自分の作業をしなければならないという大きな苦行を強いられてしまったのだ。

その苦労が実ってか、今では先の2機種のみならず、この1962他の新しいモデルも追加されHandwiredシリーズはMarshallの人気シリーズのひとつとなっている。

200工場に行くと、ここでしか見ることのできない工具がゴロゴロしている。

210どれも職人の魂が込められた逸品だ。

220こうしてみると、年季の入ったRoly Gallagherのストラトキャスターのようではあるまいか?

230Marshallに関する情報をもうひとつ。

それはASシリーズのことだ。ASとはAcoustic Soloistの略で、Marshall自慢のアコースティック・ギター用のコンボのこと。
このシリーズが今年でめでたく発売20周年を迎えたのだ。
何回かのモデルの入れ替えや仕様変更があったものの、20年続く商品ってかなりスゴイよ。

「生きる化石」よろしく、Marshallのラインナップで仕様を変えずにもっとも長い間製造され続けているアンプ(キャビネットはのぞくという意味)は1959と1987で48年。もうすぐで満50歳になる。
1962は初期に大幅にルックスを変更しているので、1959たちに軍配が上がる。

1959や1987を除いて現行のラインナップの中の20年選手はASシリーズだけだ…と思うとさにあらず。
昨日説明したEL34 100/100も20周年を迎えている。しかし、汎用性ということで言えばASにとてもかなわない。

というのは、実はASは海外では「大」が5つぐらい付くベストセラー商品なのですよ!

日本ではステージでアコギを鳴らす時、いまだにラインを使用するのが主流だが、海外ではアンプを使うのが極当たり前。
その時にお声がかかるのが、ナチュラルにアコースティック・ギターの音をアンプリファイするMarshall ASなのだ。
特にヨーロッパでの人気は非常に高く、フランスでは最も人気のあるアコギ・アンプのひとつに数えられている。ま、これにはPierre Bensusanの影響もあるかもしれないけどね。

日本もアコギ・アンプのステージでの使用が主流になればいいんだけどナァ。
ナゼ、海外のミュージシャンがアコギ・アンプをステージで使うのかというと…これは実際に世界的に有名なフィンガー・ピッカーに聴いた話し…

「ホワッ?なぜアクースティック・グィターのエンプを使っているかって?(この発音からわかるように話してはアメリカ人です。帰国子女ではありません)
オイオイ、シゲさん、そんなこと訊くのかよ。可愛いヤツだな~(←ウソ。これは言っていない)
そりゃ、キマってるだろ、ハァン?
自分のグィター・セァウンドを作るのにミクサー・ガイにいちいち頼むのは面倒だろう?モア・トレブリーとか…。
オン・ジ・アザー・ヘァンド、エンプが自分のところにあれば自由にセァウンドを作れるじゃないか。
それと、エンプから出したセァウンドはラインの音に比べて何といってもパァンチが効いてるからね。
一度使ったらやめられないよ!」

とこんな調子だった。
まさにASはそうしたギタリストの考えを満足させる名器なのだ。

Asしかし、コレ忘れてたんだけど、このシリーズの開祖はAS80Rという40W+40Wのステレオ・コンボだけだったんだよね。1994年の発売。
その5年後、もっとリーズナブルな入門機種を導入しようとすることになってAS50Rが誕生した。

As50d



また、その1年後、AS80Rは6年間の勤務を終えてリタイア。2000年に代わって登場したのがデジタル・エフェクトを搭載したAS100Dだった。
AS50Dもその後、デジタル・エフェクトを搭載し生まれ変わって現在に至っている。

このシリーズって考えてみると何のオプションもなくて、思い切り自己完結しているところがいいのかもしれないな。
ASというとても狭い世界の中にも20年の間にデジタル・テクノロジーが浸透し、技術の変遷を見る気がする。

Handwiredのような伝統的な技術からデジタルまで…Marshallはやはり魅力的だ。
ひとつ頭に入れておきたいのは、こうした幅のあるビジネスができるのもひとえに50年の伝統があるからだと思う。
これは、どんなに低音や爆音を出そうが、どんなに歪もうが、他の新しいアンプ・ブランドには到底マネできないことなのだ。
Marshallはその伝統を大切に前進を続けていくのだ!コレでいいのだ!

A_as100d

 

2014年7月15日 (火)

LOWER THAN ATLANTIS LIVE IN JAPAN

LOWER THAN ATLANTISは2007年に結成されたイギリスのバンドだ。

10ポスト・ハードコア、アルタナティブ・ロックの旗手として人気を集めている。(←「ああ、シゲのヤツ、わかってないな…」とお思いの方、ご自由に想像してください。反論も抵抗もしません)

20Mike Duce

30vBen Sansom。メッチャでかい。

40vDec Hart
60v
Eddy Thrower…の4人。

50vギター・チームはUKのグループらしくガッチリとMarshallだ。
MikeのMarshallは…

70向かって右はJCM900 4100と1960BV。左はJCM800 2203にMF280A。
BVは特別でないにしても、海外のミュージシャンでMFキャビネットを使用しているのはかなり珍しい。
Mikeの並々ならぬ音へのこだわりがうかがえる。また、キャビネットにこだわるのは大正解だ。音を出しているのはスピーカー・キャビネットなのだから。

80替わってBen。

90v一系統が1962 Bluesbreaker。
その下のキャビネットは1960AV。

100vもう一系統はデジタル信号をMarshallのパワー・アンプ、9200で増幅し、1960AVで鳴らしていた。

9200は現在も製造しているフル・バルブ・パワー・アンプ、EL34 100/100の先代モデル。パワー管は5881だった。
Marshallのパワー管といえばEL34のイメージが強い。このモデルが発売された1993年当時は、MarshallはeslaのEL34をメインに使用していた。
ところが、チェコスロバキアの社会情勢が変わり、Teslaが廃業。1994年にはEL34の在庫が底をついてしまう。その供給不安を見越してこのモデルにはロシア製の5881を採用した。
JCM900シリーズに5881が搭載されているモデルがあるのはこの理由によるものだ。

ところで、一般的に初期のMarshallにはKT66が使用されていることが知られているが、おもしろいことに1962年の開発した当時はJTM45に5881を搭載していた。
しかし、5881はアメリカからの輸入品で大変高価であったため、国産のKT66を使用することになったのだ。KT管はイギリスの真空管である。歴史は繰り返す。

一方、9200や50Wバージョンの9100は1997年、EL34 の供給が安定したところで仕様を変更した。もちろんEL34をパワー管に採用したのだ。それゆえモデルの名前が現在の「EL34 100/100」や「EL34 50/50」となったのである。よっぽどうれしかったんかね?

110今回はfactのオープニング・アクトとしての来日だ。

120v門外漢なので詳しいことはまったくかけないが、ストレートでシンプルなサウンドが身上のようだ。

130v汗だくで演奏する姿と…

140はじけるような演奏がみずみずしい!

160飛ぶわ、飛ぶわ!

165vショウの途中で通訳の人が登場。ナニをするのかと思ったら、Mikeの携帯でお客さんといっしょに写真を撮らせてくれだって!
時代は変わりましたナァ~。
1975年、サディスティック・ミカ・バンドがRoxy Musicの前座でイギリスをツアーした時、ステージからポラロイドカメラでお客さんを撮影する加藤ミカが話題になった。
時代は変わったがやっていることはそう変わらないもんだ。

170Marshallは世代を超える。輪郭のハッキリしたサウンドで彼らの音楽をドラマチックに演出する。

180そうそう、開演前、楽屋でマーブロでの写真使用の許可をお願いしたら「自由に選んでいいけど、ハンサムに写っているヤツを頼むぜ!」なんていってたっけ。

190Marshallとともにこれからの活躍を期待している。

200vLOWER THAN ATLANTISの詳しい情報はコチラ⇒Official Website(英語版)

210(敬称略 2014年6月4日 Zepp Tokyoにて撮影)

2014年7月14日 (月)

在と無とのはざまで生きる髭 ツアー・ファイナル~BLIND BIRDニュー・アルバム発表!!

『在と無とのはざまで生きる髭』?これがツアー・タイトル。
5月末に終了したBLIND BIRDのニュー・アルバム発売前ツアーだ。今日はその千秋楽のレポート。

10そして、下が7月23日に発売予定の3rdアルバム、『仮想粒子』。

「仮想粒子(virtual particle)」とは、粒子と粒子の反応の際、中間の過程で現れ、存在を考慮する必要がある粒子を指す」…なるほど。ってナンのこっちゃ?そもそも粒子とはナンだ?
ま、ツアーのタイトル同様、ワケがわからないところがBLIND BIRD流と私はとらえている。

しかし!こっちの『仮想粒子』はわかりやすい。
メッチャいいんだわ、コレ!スゲェ気に入っちゃった!
今までナマ演奏でしか彼らの音を聴いたことがなかった。したがってこのバンドには「ワイルド一本!」という印象が強かったが、このアルバムを聴いて驚いた。

恐ろしく緻密なのだ。それでいてそのワイルドさをひとつも失っていない。すごく「ゴージャス」で安っぽいところがない。
BLIND BIRDの皆さんには失礼かもしれないが、期待をはるかにはるかに上回る仕上がりだ、コリャ。

職業柄、まず耳に入ってきてしまうのはギターの音なのだが、音はリッチこの上ないMarshallサウンド。優也くんのMarshallサウンドはいつもゴキゲンだ。
でも「音」よりも興味を惹いたのはdimやM7系のコードが頻出するバッキング。コレも問答無用でカッコいい!各曲のソロも出過ぎず、控え過ぎず、トリッキーなものも含めて、よく練られたメロディが実に心地よい。

それとドラム!さすがPONさん。聴いていてPONさんの顔が目の前に浮かんだわ!まさにそんなドラミング。
「NATALサウンド炸裂してまっせ~!」とレコーディングの期間中何度も聴かされていたが、そのPONさんの言葉にウソいつわり全くなし。
使用したのはいつものNATALのアッシュ・キット。スゲェな、NATALのアッシュって。こりゃ快感だ!またまたNATALに大きな自信を抱いてしまった!

我田引水…ついMarshallやNATALについて触れてしまった。だってマジでカッコいいんだもん!

BLIND BIRDの魅力はもちろんそれだけではござらん。
加えて直志さんのロック・ヴォイスと激シャウトに河野さんの音楽性豊かな知的ベース!これがなくてはもちろんBLIND BIRDは始まらない。

とどのつまりは曲のクォリティだね。どの曲も魅力的だ。このクォリティの高いロック・チューンがなければ4人の濃~いテイストもアッピールできない。
洋楽をミッチリと聴いてきた人達だけがなせるワザで、いいタネと肥沃な土がガッチリと組み合わさった良作だ。

それとね、これは書かない方がいいかな…?曲順もすごく考えられているから。まずは聴いてのお楽しみってことにしておこう!

ああ、今日のマーブロ、このアルバムに満足してこれで終わっちゃいそうだわ!
30cd…そうもいかない!
このツアー・ファイナルも大変素晴らしいものだった。

80

桐嶋直志

40v小松優也

50v河野充生

60v山口PON昌人

70vこの日は対バンがあったので1時間弱のステージ。
オープニングは『仮想粒子』のリード・チューン、「hi-lite」。

90vへヴィなギター・リフ。4/4+4/4+4/4+2/4。
100v
やはりこういうロックはMarshallのギター・サウンドでなければ成立しないね。
165v
優也くんのMarshallはVinyageModernの100Wヘッド、2466。
2006年の暮れにリリースされて問答無用ですぐにゲットしてくれた。
「もう少し試してからの方がいいんじゃないの?」と訊くと、「あ、コレがボクが求めていたサウンドですから…」と即決してくれたのをよく覚えている。
それからずっと大事に使ってくれている。Marshall屋冥利に尽きる話しだ。
「弘法筆を選ばず」ではなくて、真の弘法さんは自分の欲しい筆がはじめからキマってるのよ。

110vこの曲、リード・チューンなのにアルバムでは最後に収められている。

120それでライブでは1曲目に演奏するというこのパラドックスもBB流?
いつも何か変わったことをしてやろう…と考えている感が見ていて楽しい。

130v2曲目は「星座」。イントロではド派手なPONさんのドラムが炸裂!

135好き。この曲、演る人が変わったら完全に別な曲になることは間違いない。ちょっとバッキングを変えれば良質なシティ・ポップスに変身しそうなのだ。あるいは湘南風?

180v

ものスゴくポップでキャッチーなんだけど、まったくポップさを感じさせないところが実におもしろい。

150v犯人はこの人。

190v

「そこまで叩く必要があるのか?!」というくらいあおりまくる。この手の曲でこういう風に叩きまくると曲が壊れてしまいそうだが、そこはさすがBLIBD BIRD、すべて計算のうえでうまくまとめて曲の魅力を倍増させてしまう。
200v
そして、これがあの優也くんか?という大人のコード・ボイシングが耳につく。おもしろいナァ~。

170v3曲目も『仮想粒子』から「Sunny Rain」。

140v

こうしたロマンチックな曲が地続きになっているところがまたおもしろい。

160続いても『仮想粒子』から「Pride on the Street」。

210ガラリと変わってちょっとファンキーなへヴィ・チューン。

220v直志さんのロック・ヴォイスが実によくマッチする!
250v
中間部のスリリングなキメもバッチリ!
240
演奏を見ていて、このバンドには4人のメンバーの「バランスの奇跡」のようなものがあるように思ったな。
どんなに人気のあるスターがいるバンドでもバランスを崩してしまうと、そのパフォーマンスはつまらないものになってしまうものだ。
このバンドは、そのバランスがあまりにも整っているように感じるのだ。全員がスターでありながら民主的とでも言ったらいいのだろうか?

225そのバランスを保つカギを握っているのが河野さんだろう。タガをハメていると言ってもいいかもしれない。
この記事を読んでBLIND BIRDのコンサートに行ってみようか?という人がいれば大変うれしく思うが、もし行った際には河野さんのベースをよく聴いてもらいたい。
ラインのカッコよさはいうに及ばず、押したり引いたりするそのセンスが絶妙なところにゼヒ注目してもらいたい。
かつて伊藤広規さんのCDのライナーでも触れたが、いいバンドには必ずいいベーシストがいるものだ。

230v前作『Mescal Soul Drive』から「デタラメデモラブ」。

260v

同じく前作から「凡才」と…

245v「BLIND BIRD」。
最後は『仮想粒子』から「Still」をプレイ。

270このI→IdimとつなげるGeorge Harrison的なディミニッシュやIVm等、タマらんのう!
これはいい曲だわい!

300v
ミディアム・テンポながらショウの最後にピッタリの胸につきささるセンチメタル・チューン。

290v
短い時間ではあったが、BLIND BIRDの魅力の片鱗をアッピールしたステージだった。

280v『仮想粒子』収録の全曲をナマで聴ける日を楽しみにしている。

310vそれまでの間、このPVでガマンすることにしよう。
このPVでPONさんが使用してるのがこのNATALのキット。
B_img_0171
それでは、BLIND BIRDのサード・アルバム、『仮想粒子』から「hi-lite」、ご覧ください!…ってDJみたいになっちゃったな。

『仮想粒子』は7月23日発売。それに伴うリリース・ツアーも決定している。

BLIND BIRDの詳しい情報はコチラ⇒BLIND BIRD official web site

320cdNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年5月31日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年7月11日 (金)

後藤まりこ~510 mariko Party @ SHIBUYA-AX.....さらばAX!

2014年5月27日、閉館を4日後に控えたSHIBUY-AX。
私にとってはこの日が最後のAXになった。

05そしてこの日、私にとっての最後のAXが思い出深くなるような、思い出深い出演者に恵まれた。

10後藤まりこである。
この日、まずはギターを携えてのソロによるパフォーマンス。
ああ、なつかしい、トルネード!まりちゃんのトレードマークだ。

20vまりちゃんとはしばらくの間、音信不通になっていた。ところがこの日の数週間前のイベントで遭遇し、旧交をあたため、ここAXでの再会を約束したのだ。
私はミドリが好きだった。そしてよくMarshall Blogで取材をさせてもらった。
豪雨の野音などとてもいい思い出だ。私が撮った写真をCDにいち早く使ってくれたのもまりちゃんだった。
何よりも魅力的だったのは、フリー・ジャズのピアノ・トリオをバックに、それを上回る破壊的なまりちゃんのすさまじいパーフォーマンス。それは他では決して見ることのできない音楽性だった。
もうひとつは、まりちゃんのワン・アンド・オンリーのキャラクターだ。
数年を経てそのまりちゃんの世界がどう変化しているか、すなわち、どっちの方向にどうパワー・アップしているかがとても楽しみだった。

15満員の観客を前に最初に披露したのは「世田谷区桜新町2丁目」という曲。

30どうせこの後大爆発するのはわかってるんだけど、存外におとなしい…。

50
…と思っていたら「好き、殺したい、愛してる」で絶叫。いい感じ!ソロ・パフォーマンスながら、信じられないぐらいの緊張感。
「シンデレラタイム」、「触媒」と続く。

40v当然、まりちゃんはMarshallだ。

60JCM800 2203に1960A。以前はJCM2000 DSL100を愛用していた。そういえば、昔、DSLのフット・スイッチをグレイのビンテージ・タイプのものにしてあげたら、まりちゃんものすごく喜んでくれたっけナァ。とても可愛かった。
Marshallはまりこミュージックではマストなアイテムだ。

70vループを使用した「299792458_TOKYO-U」ではギターをおろしてハンド・マイクで歌った。
このタイトルなに?
穐吉敏子に「A-10-205932」という曲があるが、コレは敏子さんが1956年に渡米した際に交付された移民ナンバー。「囚人じゃあるまいし、こんな番号をつけやがって!」という反抗的な気持ちでイヤミで付けたタイトル。曲名があまりにも覚えにくいという理由で一時タイトルを変えていたような気もするが、それが何というタイトルであったかは忘れた。

80昭和の歌謡アイドルのような可憐な振り付けで観客の目を惹きつける。

90間奏で指揮棒を振るまりちゃん。当然眼前には誰もいない。
110v
「ラブロマンス」から…

105「大人の夏休み」…この曲の途中でバンド・メンバーが登場。

130ギターにAxSxE。ああ、NATSUMEN見たい!

140_2AxSxEさんのMarshallは変わっていない。

150やはりJCM800 2203と1960Aだ。

155vAxSxEさんの足元!ビーチサンダル!

160ベースは仲俣“りぼんちゃん”和宏。

170v仲俣さんはEDEN。

180ヘッドがWT-800、キャビ上段が4x10"、下段が1x15"というフル・スタック。

190vキーボードが中村圭作と…

200v坂井キヨヲシ

210vドラムはマシータだ。

220v個性的なメンツによる個性的なロックが始まった。

230「行こうかAX!」…いきなりダイブ。

240まぁ、お客さんのよろこびようったらないわ!みんな「我が意を得たり」という感じ。

250この後数回にわたり同じ光景が現れたが、もはやコレはまりちゃんにとってのギター・ソロみたいなもので、完全に曲の一部になっちゃってる!

260「ままく」…
360v
「M@HΦU少女。。」…

270v飛び跳ねる「Hey musicさん!」

280vバック陣も型にとらわれることのないまったく自由な演奏を繰り広げる。

295v
AxSxEさん、やっぱカッコいいわ~。それにしても以前にも増して髪の毛がものすごくて顔を撮るのに苦労したワ~。ああ、NATSUMENも見たい。

290この愛らしいアクションがまたいい。
300
そういえば、すごく可愛かったのがまりちゃんのMC。チケットがまったく売れなくて一時はどうなるかと思った…なんて正直言っちゃう。
トンデモナイ!こんなに満員ジャン!みんなまりちゃんのロックを楽しみたいのさ!

370_2 オ~ラ、またダイブやねん!
「4がつ6日」から…

305客席でそのまま「sound of me」。

310主のいないステージでの激演。このバンド、どこか独特ですごくよろしいナァ~。

316
「ふれーみんぐりっぷす」はタンバリンを手にしての熱唱。
「浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん」の後、新曲も披露した。

2m_img_0162 「m@u」では再びギターを手にする。

320コワイぐらいにギターに入り込むまりちゃん。

330vギターを可愛がっているのかイジめているのか…ものすごいテンションで暴れまくる!

340v最近はなかなかこういう入神のパフォーマンスにお目にかかることが少なくなったな。
もちろん私は経験がないが、60年代の後半に欧米に現れた新しいロックの波に見られた(当時の)過激とされたパフォーマンスの雰囲気はこんなだったのではなかろうか…と勝手に思ってしまう。要するにピュア感が漂っているのだ。

350バンドがステージを降り、本編をしめるのは「す☆ぴか」。

380ここでアンコールに入るハズだったのだが「このままやる」と引っ込まず演奏を続けた。
コレでいいのだ。

もう最近はアンコール地獄だもんね。「残業」だなんていってるけど、初めからセットリストに入っちゃってるし…残業は規定の時間以内にどうしても業務が終わらない時に、上司の許可を得て仕方なくするもんなんですよ~。
アンコール1回で2曲ぐらいが好ましいと思うけど、スゴイもんね最近のは。どうせ演奏するんだからいちいち引っ込んで時間を無駄に費やさない方がいいよ。ブライアン・エプスタインは偉大だった。

でね、お客さんもお客さんなの。客電が点いてBGMが鳴りだしているのにいつまでも「アンコール、アンコール」って…。昔はこんなことなかったよ。もっとみんなマナーをわきまえていた。ゴメンね、文句ばかり言って。

モニターに腰かけて「ゆうびんやさん」を弾き語る。

390v衣装を着替えたまりちゃん、ステージで平然と髪を乾かした。

2m_img_0274 バンドが加わっている。

400vギターを下げ、「ドローン」で再びすさまじいシーンが展開した。

405ドラムのスティックをギターに突き刺す!Keith Emersonを連想させるではあるまいか!

410鬼気迫るパフォーマンス!

420引きずられ虐げられるギター…何物にも代えがたいまりちゃんの相棒なのだ。

430v満ち溢れたエネルギーを放出するごとくまりちゃんのステージは続く。

440「うーちゃん」…

450v飛ぶわ飛ぶわ!

460vバック陣も何かが憑依したかのような激しい演奏だ!AxSxEさんはいつもこうだけど!

465vバス・ドラムからの跳躍!まりちゃんはナニも変わってない!

470v
客席をクラウド・サーフィンで縦断するまりちゃん、「あたしの衝動」。

470「お前ら…みんな死ね!」だって。そうこなくっちゃ!
続けて、「そして僕と一緒に1回死んで生き返ろう。共に歩んでください」…なかなに感動的であ~る!もちろん観客が沸き上がったことは言うまでもない。

480最後に「HARDCORE LIFE」を熱唱してすべての演目を終了した。

490この小さな体躯にみなぎるパワー、独自の音楽世界を追求し続ける彼女の姿にはナゼかロックの持つ「無垢」さを感じる。
がんばれまりちゃん!自分だけの道を突き進め!

500v後藤まりこの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

510
*******お ま け********

失礼ながら、新宿厚生年金会館のように子供の頃に通っていた場所ではないので、さして思い入れはないというのが正直なところだが、ま、それでも無くなるとなると寂しいものだ…SHIBUYA AX。
イヤ、もう閉館してしまったんだけど…。
だからもう2度とAXでの新しいライブ・レポートはMarshall Blogに出ることはない。ナンダカンダ言ってもずいぶんお世話になった。

今は「ああ、よく行ったからな」とハッキリようすを覚えていても、時間が経つと細かい部分はすっかり忘れてしまうものだ。
お礼の意味を込めて、ここMarshall BlogにAXを残しておくことにしよう。

開館は2000年の12月。したがって14.5年、結構長いことやってたんだな…。
杮落としはDragon Ashだったそうだ。
日本テレビと電通の共同事業ゆえ、名前は日本テレビのコールサイン「JOAX」の「AX」を採用した。
ちなみに六本木のEX Theaterはテレビ朝日系なので、そのコールサイン「JOEX」の「EX」が名前の由来のひとつになっている。

520建物前のロッカー群。ま、一度も使ったことはないが…。右端はTシャツの自動販売機だよね?

525入り口ロビーのようす。

530天井がCDで飾り付けられていた。

540vこのCDもそのうち無くなってしまうというのだから時の流れは残酷だ。

550電車で行くと、渋谷の駅から遠い上に登り坂だったので重いカメラをガラガラで持ち歩くのはシンドかった。駐車場が広かったので、車でお邪魔させてもらう機会が多かったのはありがたかった。

560開演前、出演者やスタッフがよくここでしゃべりをしていた。ここ西日が当たって暑いんだよね~。

570楽屋の廊下。

580v楽屋のトイレ。みんなこんなのすぐ忘れちゃうよ。

590閉館にあたっての寄せ書き。赤い四角の中にメッセージを書いてくれって言ってんのに完全にシカト。

X2楽屋の様子。
ここに照明機材を持ち込んでSCANDALのコピーバンド・コンテストの出演者を撮った時は楽しかった。

610AX、お疲れさまでした。さらばAX!

620 (一部敬称略 2014年5月27日 今はなきSHIBUYA-AXにて撮影)

2014年7月10日 (木)

ROUGH & DANGEROUS! ~ TRIO the COLLAGENSのライブ・アルバム

気骨のあるダイナミックなトリオ・ロックを聴かせるTRIO the COLLAGENS。
ロックの酸いも甘いも知り尽くした名人3人による、黄金時代の洋楽と揺籃期の日本のロックの香りをプンプン漂わせるゴキゲンなグループだ。
もう何度もMarshall Blogに登場してもらっているので読者の皆さんにもおなじみのことと思う。

10大谷令文

20v小笠原義弘

30v高橋ロジャー知久

40vそのTRIO the COLLAGENSがライブ・アルバムを発表する。
コレがそれ。
タイトルは『ROUGH & DANGEROUS! -Live in SENDAI-』。
光栄にもジャケットには私の写真を採用していただいた。

50cdまぁ~、コレがタイトル通りパワー感あふれるラフな展開が実にデンジャラス!
「ちいせぇことは気にしねぇ!」的な仕上がりが、ナマナマしいことこの上ない。その感覚たるやThe Kinksの『Live at Kelvin Hall』あたりを連想させる。
TRIO the COLLAGENSのステージはオリジナル曲の他に、誰が選んでいるのか(ま、令文さんなんだろう)、エグめのカバー曲で構成される。
その中からオリジナル曲を収録したのが本盤だ。仙台での録音。

60壮絶なかき回しからスタートするアルバム1曲目は「I.N.D.」。元気いっぱいのインスト・ナンバー。
令文さんのブリティッシュ風味タップリのギター・リフから…

70vリズム隊が入ってくるところでまずトリハダ。令文さんのソロ・パートのベースを聞き逃すことなかれ!

80vはじけまくるロジャーさん!
3人が組んずほぐれつドライブする爽快なナンバーだ。それにしてもデンジャラ~ス!
でもコレでいいのだ!
90v続いてはブギの剛速球、「Razor Boogie」。
この曲を聴く度にMarshall Blogでのインタビューでの令文さんのかつての言葉を思い出す。何回も書いているけど、また書く。こういうことはずっと言い続けないと…。

「最近のロックを聴いていて思うのは『3』の感覚を持ったバンドが全然ないということですね。『3』というのはシャッフルとかブギとか…。若い人はそういう音楽をもはや知らないんじゃないかな?」

まったくその通りだと思います。
こういう指摘を受けると、今、日本ではびこっているロック的な音楽は、本来持っているロックの魅力をたくさん切り捨てていることがわかる。
火の玉のようなこの「3」のカタマリの曲を聴いてナニも感じない人はもはやロックを聴かない方がいい。

100イントロからいきなり転調するところが実にスリリング!

そしてヤケドしそうな猛烈なソロ!
このあたりの令文さんのソロはもう外人だね。Steve VaiやJoe Satrianiが来日した時に「レイブン・オータニという男はそんなにスゴイのか?」と関係者に尋ねたという話しもうなずける。

105vおい、オガンちゃん、やめてくれ!今、ギター・ソロ聴いてるんだから!そんなベース弾いたらギターに集中できんだろうが!
でも、こういう曲はオガンちゃんの独壇場になるね。オガンちゃんも「3」のカタマリみたいなベーシストだからね。コレがホントのミスター・ベースマン?!(←「3」だからですよ)

106vこの曲好き、「Sister SPIDER」。これもイギリスのロックをそのまま日本に持ってきてしまったかのようだ。
このリフ!ロックはこうでなきゃイケね~ぜ!

「♪Sister Spider waits for you」とか単純に2回繰り返すところが渋い。そして、ワンコーラス終わったとにリフに戻るところがタマラン!カッコいいリフというのは結局こういうことなんだよな。

110そして転調してみる。場面がガラリと変わる。いいリフというものは転調にも大きな効果をもたらすのだ。

オガンちゃんのソロ。あらゆる音楽を研究しているオガンちゃんのこと、そのアドリブ・メロディの幅は果てしなく広い。
ちなみにオガンちゃんは「私設フランク・ザッパ同好会」の大阪支部長である。会長は私。会員は一切募集していない。
Tc_img_8681
これまたスケールの大きい令文さんのソロ!
そしてイントロと同じアウトロがついて曲は終了…って、この曲、9分も演ってたのかよ?!
実際に聴いてると4~5分にしか感じないな~。

120v今回のアルバムではロジャーさんのボーカルも大きくフィーチュアされる。
まずはロマンチストであるロジャーさんの側面が強調された愛らしいワルツ「Call On Me」。
「日本のロック」の枠に収まらないスケールの演奏だ。

130ここでまたインスト。

140オガンちゃん作による「Valle Colorado」。テーマ部分はは7/8と4/4の合体。
管楽器を入れればバキっとしたラテン・チューンになるような曲。
150
もちろんCOLLAGENSはそんなことおくびにも出さないハードなロック調に仕上げている。

200v_2 コレが驚異のグルーブを生み出すオガンちゃんの右手。ポツン、ポツンと何でもなさそうに弦をはじいているように見えるが、普通の日本人は一生かかってもこういうノリを出すことはできないだろう。
外人なんだよね。中身はロックの国の人。ベースを弾くために生まれてきたような人だ。

170そしてアルバムを締めくくるのは…

180ロジャーさんフィーチュアで「組曲:難聴」。
210v
ロジャーさんの極度の高域難聴を歌った「病気シリーズ」。
歌詞の中で「♪お願いだから皆さんアンプの音を下げてくれよ!」という箇所があるのだが、これはMarshallのことなんだとうな~。
ごめんなさい、ロジャーさん…イヤイヤ、Marshallのせいではありません。使い手のせいです!(写真とは関係ありません)
でも、いい使い手の爆音は気持ちいいでな~。

190コーラスも大活躍!
「♪聞こえね~」

220v「♪オレはなんちょ~!」
私も気をつけないと!

230vドラム・ソロもタップリ!
250v
…と、バラエティに富んだ6曲を収録。やっぱりラフでデンジャラス!
しかし、何の差し替えもせず、音質もイジることのないプリミティブな仕上がりには、ロックが元来持っているパワーとスリルが存分に発揮されていると思う。

240v何よりも30年以上にわたってロックし続けている3人の至芸を味わって欲しい。
さらに!ナマを見て、その至芸を堪能してもらいたいと思うのだ。

260vってんでチャンス到来。
来る7月13日の山形を皮切りにツアーが開始される。東北8か所を回って、関東は25日の横浜と26日の高円寺。その後は西を回る総計22本の大ツアー!
CDは当面各会場での販売となる。
お見逃しなく!

270cdそして、このライブ・アルバムにはMarshallとEDENがふんだんに使用されています。

280cd安心してお楽しみください。

290(今日掲載した写真のほとんどはTRIO the COLLAGENSのリクエストに基づいています)

2014年7月 9日 (水)

ざっとした音楽会~that生誕10000日スペシャル

今日ご紹介するのは、今春Marshall Blogに登場した「虹色オーケストラ」に参加していたシンガーのthat。
コンサートのタイトルは『that生誕10000日スペシャル』。

「生誕10000日」とは何ぞや?
そう、当日は文字通りthatさんが生まれてからちょうど10,000日目だったのだ。

10,000日か….。自分はどうなんだろう?ということでそれこそ「ざッと」数えてみた。
うるう年も考慮して…と。
今日で18,8558日ってとこだな。
スゲエな、ずいぶん生きてきた。
すると、メシは何回喰ってきたんだろう…かける3と…、56,574回!
何回ウンコしたかな?…これは簡単。でもどちらかというと腹が弱い方なので若干多めに見込んで20,000回は越してるかも…。あ、初っ端から失礼しました。

チョットあり得ないことを考えてみると…毎日ひとつ英単語を覚えて来ていたとしたら、ま、赤ちゃん時代を差し引いても一日ひとつ以上はイケるだろうから20,000は軽い。
アメリカ人の平均的な日常生活で必要とする語彙は20,000というから(我々日本人は50,000語使っている!)、単語を並べるだけなら日常英会話はチョロいもんだワケだ。

もし毎日100円貯金していたとしたらどうだ…失敗したな。

やっぱりものごと何でも溜めこんじゃダメだ。
なんて…人生も長くなるとこういう計算も案外楽しいもんだ。

10
…といいところに目をつけたthatさん。
その生誕10,000日を祝う音楽界の内容はとてもにぎやかで楽しいモノだった。

20
ボーカルのthat。今日のコンサートの主役だ。

30v
ピアノは紅い流星。

40
ベースは蒼い刹那。

50v
ドラムはもうMarshall Blogではおなじみ、ショボン。

60v
この日のショボンのキット。ウォルナットだ。
タムが10"x6.5"と12"x7"(今回は未使用)、フロアが14"x12"、バスドラムが22"x18"、スネアが14"x5.5"というコンフィギュレーション。FUSION Xというキットだ。

これがまた驚異のバランス!見た目の美しさも素晴らしいが、タマらないのはその音色!パワーだけではない、打楽器の持つ音色の魅力というものを教わったような気がする。

70
このバンド・フォーマット、つまりピアノ・トリオからもわかるように、この日はいつもポップに演奏している持ち歌をジャズやボサノバで演奏しようという企画なのだ。
ジャズ好きな私としては、NATALがどういう風にバンドをスウィングさせるのかすごく楽しみだった。
結果は上々。
このショボンちゃんの表情を見ればNATALがどう活躍してくれたか一目瞭然だと思う。

80
この人、以前にも書いたが、起きている間はスティックと練習パッドは片時も離さないという練習の虫。
190v
初めて会った時に彼の4ビートを聞かせてもらったのだが、すごくいい感じだった。あの絶え間ない練習がそうさせているのだろう。
シンバル・レガートだけでギンギンにスウィングさせて見せてくれたのだ。
「いいジャズ・ドラマーはライド・シンバルやハイ・ハットだけで猛烈にスウィングすることができる」とよく聞く話しを彼が証明してくれたようだった。

ウソだと思うかもしれないけど、いいジャズ・ドラムの演奏ってシンバル・レガートだけ聴いて楽しむことができるんよ。
ギターで言えばCount BasieのFreddie Greenみたいなもんね。

で、今回、ショボンちゃんがNATALでその実力を十分に見せてくれたのはとてもうれしかったね。
180v
ダンサーも登場してステージに華を添える。

90
ゲスト・ボーカルのコニー。

100v
同じくカケリネ。

120v
thatさんとコニーさん。
このコニーさんが芸達者で実に愉快!

130
後半ではthatさん、ギターを抱えての登場。

140
華麗なテクニックでソロをキメる紅い流星さん。

146
終始バッキングに徹してバンドをスウィングさせた蒼い刹那さん。エレクトリック・ベースではスラップのソロがフィーチュアされた。

147v
そしてショボンちゃんのテクニックを感じさせないナチュラルなドラミング。そういえば、観ていて何となくEd Thigpen(Oscar Peterson Trioのドラム)を思い出したっけな。

148
チビッとハスキーなthatさんの声がまたよくてゴキゲンな演奏だった。

150v
ダンサーもゾロゾロ!

160
ゲームやらお客さんを交えての寸劇やら、もういろんな企画がテンコ盛りで満員のお客さんも大喜び!

170
ホント、にぎやかで若々しくて…thatさんの生誕10,000日を祝うにふさわしい楽しいコンサートだった。

200
thatの詳しい情報はコチラ⇒ざっとしたぶろぐ

210
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
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(一部敬称略 2014年5月30日 東京カルチャーカルチャーにて撮影)

2014年7月 8日 (火)

ダイスをころがせ~キュウソネコカミ&赤い公園

5月下旬、閉鎖間近の渋谷AXで『ダイスをころがせ』というイベントが開催された。

Marshall Blogで話題になる回数が極端に低い、あるいはほとんど触れていない最もメジャーなバンドはThe Rolling Stonesだろう。
Charlie WattsこそNATALを使っていたが、Marshallを使うバンドではないし、元より個人的にすすんで彼らの音楽を聴くことがまずない。(←「キライ」とは言ってませんよ~!)
今まで万単位でレコードやCDを買ってきたが、我が家のレコード&CD棚に収まっているストーンズのアイテムの数といえば、片手で事足りる。
そんな私でも有名な曲はほとんど知っていて、その数もバカにならないところは「世界一のロック・バンド」たる所以か。
この「ダイスをころがせ」もその中の1曲。知らないながらも、『Sticky Fingers』とか『Exile on the Main Street』とか、聴くならこの頃のストーンズだ。
でもこの曲の原題は「サイコロを転がせ」ということではなくて、「転がるサイコロ」という意味だからね。

それにしても、最近のストーンズのベロ・マークの普及率ってスゴイと思わない?
巷間、このロゴがついたグッズを身につけている若者をやたら見かけるようになった。どう見てもロックを聴いているようには見えない若者、ましてやどう考えてもThe Rolling Stonesを知っているとは思えない若い子らだ。
もし、彼/彼女たちがストーンズを好きで聴いていて、それであのロゴが付いたグッズを身につけているのだとしたら、洋楽がこれほどすたれることはないだろう。
日本の音楽シーンにおいて、洋楽パッケージ商品の洋楽の占める比率は大分前に20%を切ったと言われていたので、今頃はもう10%を切っているかもしれない。洋楽は絶滅危惧種なのだ。

要するにこのベロ・マークは若い人の間ではただのファッションに過ぎず、ストーンズがサイコロを転がそうが、満足を得られなかろうが、んなこたァ、どうでもいいワケだ。
さて、このベロ・マーク(特別な名前はなく、海外でも「Tongue Logo」と呼ばれているようだ)、1970年にロンドンの美術学生が50ポンド(当時のレートで43,000円ぐらい)のギャラでデザインしたものだそうだ。
これは、なぎら健壱の「いっぽんでもにんじん」どころの話しではなかろう。もし、印税方式で契約していたら、ま、キティちゃんにはかなわないだろうにしても、この学生さんは億万長者になっていたことは間違いない。
それを見兼ねたのか、ミック・ジャガーは後にこの学生に200ポンド(今のレートで35,000円ぐらい)を恵んだそうだ。オイオイ、天下のミック・ジャガーが200ポンドってこたァねーじゃねーか。
もっともイギリスではミック・ジャガーはお金にシビアであることがよく知られていて、おつりは1ペニーまでシッカリ確認する人だそうだ。別に悪いこっちゃないけどね…。

このベロ・マークは、1971年の『Sticky Fingers』に使用されて以来、The Rolling Stonesという音楽集団を一目で認知させる力を発揮し、バンド・ロゴとしては恐らく世界で最もポピュラーなものに成長したというワケ。
だからロゴ・マークというのは恐ろしい。
Marshallもあのスクリプト・ロゴがあってヨカッタ。何が起こってもあのロゴがあるだけでMarshallはMarshallでいられる。
そして、最近すごく気に入っているのがNATALのロゴ。
落ち着いていて、威厳があって実にいい。このロゴが商品とともに育って行ってくれることを願ってやまない。
340
そして、今日のイベントにもそのNATALロゴがお目見えしている。

05

キュウソネコカミだ!

10もうこの上下2枚の写真でそちら側へ熱風が吹き込んだんじゃない?
すさまじい勢いで音楽シーンを席巻している人気者だ!

20ボーカル&ギター、ヤマサキ セイヤ

30キーボード&ボーカル、ヨコタ シンノスケ

40vギター、オカガワ カズマ

50vベース、カワクボ タクロウ

 150v
ドラムはソゴウ タイスケ

70キットは、メイプルでメタリック・ホワイト。12"、16"、22"というコンフィギュレーション。

80vNATALのメイプルは明るく軽快だ。打てば響く(ドラムなんだから当たり前か…)粒立ちのよいサウンドと驚異的に音抜けのよいバスドラの音色が実に心地よい。

100「ア~ユ~レディ~」の雄叫びとともに「良いDJ」。

110はじめの一音で客席は大爆発。地面が揺れ出した!

120キュウソネコカミもそうだが、最近の若いバンドのサウンドってすごく「和」なんだよね。
ギター・リフなんかでも洋楽の要素が皆無で、ものすごく日本的な雰囲気を感じる。

130リズムもそう。もちろん私もすべてのバンドを見ているワケでは決してないが、もう3連系の曲を演奏する若いバンドはそれこそQUORUMだけになった感すらある。

140vテンポが早い曲でも「スピード感」とか「ドライブ感」という観点が希薄で、いかに「ダンサブル」にサウンドをまとめるか…ということに重きを置いているように感じる。これで客がノラないワケがない。

2k_img_0140

そして、「ユーモア」。これは重要だ。「Does humor belong in music?」である。答えは「it must be!」。
参考までにFrank Zappaの1984年のライブ音源による『Does Humor belong in Music』の新旧のジャケットをアップしておこう。

OldNew_2
たった数分のドラマで「笑って、笑って、でもホントだな…」と、歌と自分を重ねさせるキュウソの作品のパワーは相当なものだ。
身近な「あるある」を題材に、諧謔精神旺盛に若者文化を描くキュウソの手法はひとつの日本のロックの理想形であるのではなかろうか?
自分がもう35歳若かったら間違いなく夢中になっていただろう。
加えて、私なんかは彼らが持つメッセージ発信能力に大いに期待を寄せているのである。
「がんばれ」、「負けるな」と犬も喰わない陳腐な人生応援歌などには目もくれず、社会的なメッセージを歌に詰め込んで若者にドンドン発信して欲しいと思う。

160その作品の典型が2曲目の「ファントム・ナビゲーション」。スマホの歌だ。
今朝テレビでやっていたけど、一日10時間とかイジっている若者がいるんだって?
それに、LINEの返事が来るとか来ないとかでイジメに遇ってしまうか…。
もうね、いい加減資本主義にブレーキをかけて「成長病」から脱却した方がいい。今からたった45年ぐらい前は、電話のない家なんかいくらでもあったんだぜ(ウチは電話あったけどね)。
携帯なんかなくたってゼンゼン平気なハズなんだけどね…。
ナンカこういう世の中のおかしな部分は全部キュウソネコカミの歌が解決してくれそうな気になってきた!

170サイコロを投げて出た目で曲を決めるコーナー。後ろの候補曲のリストが手書きなのがまた素晴らしい!

180おりゃ~!転がったらんかい!

190お客さんの頭上を行き来するサイコロ。

200サイコロの目は大無人、すなわち「一」。
…ということで約束通り「サブカル女子」をプレイ。これもいいね~。

210v続いて「DQNなりたい、40代で死にたい」。

230「♪ヤンキーこ~わい~」で大絶叫。
まさにステージと客席のパワーが拮抗している!お客さん達はもう無我夢中だ!

240さらに「ウィーワーインディーズバンド」。

260v「♪音楽でメシはゼンゼン喰えない」…か。いいこと歌うな~。
昔はメシが喰える音楽を作れる人だけが、音楽でメシを喰っていたんだけどね。
今は誰でも音楽ができるようになっただけに大変なことになってしまった。「裾野」が広がるというのは「才能」が増えるということではないんだな。

250v
このイベントには3バンドが出演。各バンドの持ち時間が長くないため、次の「ビビった」が最後の曲となった。

270この曲…こっちがビビったわ!
いつもMarshall Blogでグダグダ書いていることを若い視点でキュウソがまとめてくれちゃってる!
280v
今回も鉄壁のアンサンブルでフロント陣をインスパイアしたリズム陣。

276v歌に演奏に、もう好きなことを徹底的にやってくれ~!
285
これは6月18日にリリースされた7曲入りのセカンド・ミニ・アルバム、『チェンジ ザ ワールド』。ジャケットがカワイイね!
Cd
キュウソネコカミの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

2k_img_0200 続いて登場したのは赤い公園。
音楽評論家の大野祥之氏にすすめられて、昨年SUMMER SONICで初体験。そして、今回Marshall Blog初登場。

290ギターの津野米咲はMarshallを使用。

300v以前にも書いたが、ガール・バンドにはどうしても「男のすなるロック」をそまま移植しているバンドとアイドル系、さらに、ガール・バンドだけが持ち得る独特な世界観を具現化するバンド…ときれいにカテゴライズされると思っているが、この赤い公園は後者の最たるものといえよう。
幕張でも演奏していたが、「ふやける」という曲が好き。

310v

ところで、アタシャ仰天しちゃったんですよ。ホントに偶然にキマってるんだけど、ギターの津野さん、何かの曲のイントロでE-F#-E-Cという音列のアルペジオを弾いたのだ。
コレ、キーは違うのだろうが、三宅庸介の「Solitary Past」の中間部と同じなのだ!コレには驚いたね。一般の人にはわかるまいが、三宅さんのショウでは頻出の「三宅スタンダード」なので、思わず声を出してしまった。
三宅さんには失礼だが、津野さんが「Solitary Past」をご存知だとも考えにくいし…。ま、たった4つの音のことなので、世の中ではよくあることなのだろうが、よりによって好きな三宅さんの曲にブチ当ったのでビックリした次第。

320v大野さんのオススメ通り、とてもいいバンドである。いつかゆっくりMarshall Blogでレポートできることを心待ちにしている。

赤い公園の詳しい情報はコチラ⇒赤い公園オフィシャルサイト

330vNATALロゴ、いいでしょう?

340NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
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(一部敬称略 2014年5月25日 渋谷AXにて撮影)

2014年7月 7日 (月)

GO GO TOMOKO!~バースディ・ライブ2014

先日書いたばかりだが、我ながらなかなかいい発見だと思っているのでまた書く。
それは「テケテケ」のことである。

「テケテケ」…この擬音語を一体誰が作ったのだろうか?ベンチャーズの前に「テケテケ」なし、そしてベンチャーズの後に日本特有の文化のひとつとして「テケテケ」という言葉が残った。

ご存知の通り、多様な音楽への適応能力が他の楽器に比べて圧倒的に高いギターという楽器にはバラエティに富んだ奏法が存在し、様々な「音」をクリエイトしている。
その「音」を表現する言葉は色々あれど、「テケテケ」ほど浸透している言葉はあるまい。

オルガン入りのソウル・ジャズを「コテコテ」と呼び、一時かなり流行したがこれはジャズ好きだけの間の符牒であって一般的ではない。
ヘビメタのシュレッド・ギター(速弾き)を「ピロピロ」とか「ピラピラ」と表現することはあっても音楽を指し示す言葉として確固たるものではあるまい。
私が思いつく限り、音楽の種類いろいろあれど、擬音語で音楽ジャンルが表現できるのは「テケテケ」と、(適用範囲は狭いが)「コテコテ」だけだ。

しかも、「テケテケ」の流行から50年。この言葉が連綿と生き続けているのは、1960年代のブームがいかに巨大であり、一般市民の生活に溶け込んでいたかを語って余りあるのではなかろうか。

今日のMarshall Blogは「テケテケ」が主役。

10これまでMarshall Blogは、「旧」を含めると、これまで1,400回ほど更新して来ているが、もしかしたら「テケテケ」がフィーチュアされるのはコレが初めてかもしれない。

20その主役はTOMOKO。The VenturesのNorkie Edwardsとも親交のあるエレキ・ガールだ。

30v_2そのTOMOKOさんが今年2月末に発表したファースト・シングルがこの『FANTASTIC BLUE』。
このジャケ写、実際にギターを持って海に潜って撮影した。その撮影のもようが特典DVDに収録されている。もちろんスタントなしの本人の実演だ。

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ところで、今まで「テケテケ」がMarshall Blogでフィーチュアされなかったのはナゼか?このジャンルでMarshallが使われることがないからだった。

TOMOKOさんはMarshallだ。

50v使用しているのはJVM205C。2x12"の50Wコンボ。

60こ~れが、実にいい音なのだ。CLEAN/GREENをメインに、時折ORANGE MODEを交えながら素晴らしいサウンドをクリエイトしていた。

70さて、今日はTOMOKOさんのバースディ・コンサート。会場となった昭和33年開業の銀座の老舗TactにはTOMOKOさんの誕生日を祝おうと大勢の人が詰め掛けた。

そういえばこのTact、現在は地下にあるが、まだ階上にあった1998年にはJCM2000 TSLシリーズの発表会をするにあたり、ここにJim Marshallが数日訪れている。

オープニングにはCDに付いている特典DVDの映像が上映された。

80そしてTOMOKOさんとバンドが登場。

90TOMOKOさんが下げているのはこのカスタム・メイドのダブル・ネック。ネックが2本なだけでなく、ビグズビーも2ケ装着されているためその重さたるやハンパではない。

100vメンバーは…
TOMOKO
285v

キーボードは信田和雄(寺内タケシとブルージーンズ)。

120ぱっさんこと相良 宗男。同じくバースディ!

130パーカッションは米元美彦(米本さん、実はマーブロ登場は2回目。前回はコチラ)。

140vもうひとりのパーカッションは高橋結子。

150ベースは杉田孝弘。寺内タケシとブルージーンズのベーシストだ。

160v杉田さんはEDEN。ヘッドはThe Traveler WT-300。キャビネットはD410XLT。

170Marshallファミリー。金と黒の素敵なコラボレーション!

1801曲目は「Blue Star」。
このダブル・ネックのギターは見た目はピンクだが「Blue Star Tomoko Special」という名前がつけられている。

310v
ベンチャーズで有名な、「想いでの渚」のメロディをうろ覚えで歌ったかのようなこの曲の作者はなんと大作曲家、Victor Young。「When I Fall in Love」、「Stella by Starlight」、「Love Letters」、「Street of Dreams」、「Johnny Guitar」、「My Foolish Heart」、「Delilah」、あ~もうキリがない!…他を作った大作曲家だ。
「Blue Star」は医療をテーマにした50年代のアメリカのテレビ・ドラマ、「Medic」の主題歌だった。

澄み切ったコシのあるJVMのクリーン・トーンがこの美しい旋律を華やかに演出する。

110v

飾りのついたテンガロン・ハットと長い脚がトレードマークのTOMOKOさん。

190v2曲目にしてもう「ベンチャーズ・メドレー」。テケテケ炸裂で会場は興奮のるつぼ!

200続いてもベンチャーズの「Rap City」。ブラームスの「ハンガリー舞曲 第五番」。

210v矢継ぎ早に繰り出されるナンバーは「さすらいのギター」。
はい、もう一度正直に言います。私は超有名なところしかテケテケを知りません。しかし!好奇心旺盛にして勉強熱心な私は気になることは調べないと気が済まないのですよ。

調べてみるに…もうこのあたりでこの時代のエレキ・ギター・ミュージックに脱帽ですな。
この「さすらいのギター」の原題は「Manchurian Beat」というんだけど、この「Manchurian」って何だかわかる人はいるかしらん?


ハイ、そこのあなた…そう!これは「満州」のことなんだね。
この曲の元はかなり古くて、日露戦争に軍楽隊員として従軍したロシア人が戦死した戦友に想いを馳せて作った「満州の丘に立ちて(На сопках Маньчжурии)」という曲。ロシアでは今でも吹奏楽でよく演奏されているらしい。

ちょっと脱線するけど、日露戦争ってのは「日本が勝った」ことになっているけど、「何とか勝っていた時点で終わった」…というよりか、「終わらせてもらった」というのが正確な史実のようだ。

雨天のため試合は最後まで行われなかったが、何とか6回まで日本チームが試合をリードしていたので勝ちゲームにさせてもらったというイメージか?
もしあのまま試合を続行して、強打者バルチックが代打で登場していたら、今頃私の苗字はシコロフスキーかペドロハバロフスカヤになっていたかもしれない。ハラショー、ドウショー。
だから戦勝国であるハズの日本はロシアから賠償金を一銭もとれなjかった。

この終戦の交渉をロシアのウィッテというオッサンと丁々発止やりあったのが時の外務大臣の小村寿太郎という人。
昔の政治家は本当に立派だった。
この交渉を描いた記録小説が吉村昭(また出た!)の『ポーツマスの旗(新潮文庫刊)』。今の政治家先生全員に読んでもらいたい。議会で居眠りしているぐらいならコレをまず読むべき。おもしろくていっぺんに目が覚めら!
まだ読んでいない各種議員さんはコチラをクリック⇒amazon

もちろん一般の方もどうぞ。おもしろいよ。
戦争というものは、一般市民がマスコミの情報操作によってイケイケドンドンになって加速していくことがよくわかる。
なにしろ『昭和史(平凡社ライブラリー刊)』の半藤一利先生によれば、この日露戦争が太平洋戦争を導いたとある。つまり、「日本はメッチャ強い」と国民はダマされたんだね。そうした情報操作に惑わされないよう、国民はシッカリ勉強をする必要がある。今こそその時だと思うね。

話しを「さすらいのギター」に戻そう…1960年代の前半にフィンランドのThe Soundsというグループがワルツの原曲を4/4にアレンジして「Manchurian Beat」として世に送り出した。
何でフィンランド?
The Sputnicksはスウェーデンか…。北欧もテケテケが盛んだったんだね。
そして、その後、The Venturesがカバーしてヒットしたという次第。
邦題は「さすらいのギター」…さすがに「満州の丘に立ちて」なんてタイトルは付けられないもんね。

でも曲はいい。スラブっぽいメロディとでもいうのかな?いかにも日本人好みだと思う。同じくロシアのショスタコーヴィチのジンタ、「ジャズ組曲第二番:ワルツ」なんかも同じ味わいだもんね。もしかしてこの曲、ベンチャーズ演ってる?

B_img_0123 この日の大きな発見はふたつ。
ひとつはMarshall JVMがテケテケにメチャクチャマッチすること。
今ひとつはギターだけでなく、TOMOKOの歌が素晴らしいことだ。
230第一部で歌ったのは「雨の御堂筋」。
この歌、流行ったんだぜ~。欧陽菲菲。
ベンチャーズ作曲だもんな~。これは歌詞とメロディ、どっちが先にできたんだろう?ま、メロディが先か…。
それにしてもアメリカ人がこんな日本人の塊のようなメロディをよく書いたと思うが、先の「満州の丘に立ちて」のメロディなんかに接していたことを思うと納得がいくかもしれない。

とってもチャーミングな声ゆえにTOMOKOの歌はとても耳に心地よいのだ。

240x今度はリムスキー=コルサコフ。「Bumble-bee Twist」すなわち「熊蜂の飛行」。
派手ににぎやかにカッコよくキメるTOMOKOさん!

さっき「テケテケに脱帽」と書いたのは、もう60年代で色んなことをすべてやり尽くしちゃっている…ということ。
強引にも見受けられるあまりにアグレッシブなクリエイティビティに時代のパワーを感じるね。
今とは雲泥の差だ。
The Beatlesもそうだけど、この時代から70年代の半ばまでの人たちがすべてやっちゃい過ぎてるんですよ。
後輩にネタを少しは残しといてあげればヨカッタものを…。
先輩が遠慮なく新しいことをやり尽くしてしまったものだから、後の人たちは真に新しい音楽をクリエイトすることができなくて、「新しい音楽」と思いこませることにしか心血を注ぐスペースがなくなってしまった…というのがここ30年のポピュラー音楽の流れだね。
だから今やれること、やらなければならないこと、やった方がいいことは絶対に「温故知新」しかあり得ない。そうしないと本当に「世界の終わり」が来ちゃう。

ところで、このクロマチックのかたまりのような「熊蜂の飛行」、それこそ色々な楽器で演奏されている人気曲だが、ベンチャーズ・バージョンは技巧を追求するより、タイトル通りロックンロールらしいノリを重視してのアレンジだ。
一方、他の楽器に目をやると、断然マリンバが頑張ってるね。もうマリンバのイングヴェイ状態。この音板打楽器ってのはヤケクソに難しいからね。
そういえば、パーカッショニストのBrian SlawsonってのもStevie Ray Vaughanを迎えて演ってたな。
でも、圧巻はWynton Marsalisのトランペットだろうな。楽器の特性からいってもWyntonの演奏が一番スゴイのでは?

250

「朝日のあたる家」、「ダイヤモンドヘッド」、「パイプライン」と定番を固めて第一部は終了。

260v第二部はシングルに収められている「花氷」でスタート。
しごく和風に響く物悲しいメロディが印象的な曲。レコーディングにキーボードで参加しているShiho Teradaさんの作。

270第二部では「Fly Seagull Fly」なるオリジナル曲も披露。
320v
話しも上手なのでMCもまたおもしろい。
ギタリストとしてギターへの愛情と演奏に対する情熱の決心を語るくだりでは、途轍もない迫力のようなものを感じた。
290
最近は学校の普及とともにシュレッド・ギターを弾きこなす若い女性がジャンジャン出て来ているが、同じ女性ギタリストでもTOMOKOさんはまったく違う世界にいる。
速弾きともスウィープともタッピングとも無縁のスタンダードな演奏スタイルは、ただただギターを使っていい音楽を聴く者に届けようとる音楽への情熱で成り立っている。
しかし、ギター一本を手に日本国中を駆け巡る女ギター・スリンガーの夢と野望は大きいのだ。
280v
4曲目は「ムーチョ・カリエンテ」。これは竹田和夫の作品。
実はTOMOKOさんは竹田さんを師と仰いでおり、当日も駆けつけてくださった師、自らSonny Rollinsの「St. Thomas」をプレイしてくれた。
370v
第二部で歌ったのは前川清の「花の時・愛の時」。

330vこのあたりからはクライマックスに向けてテケテケの魅力大爆発ナンバーが続く。
まずは「秘密諜報員(Secret Agent Man)」。コレ、何が一体「秘密諜報員」なのか前から気になっていたので、今回はそれを調べるいい機会となった。ありがとうTOMOKOさん!
これは1960年に放映されていたイギリスのテレビ・ドラマ『Danger Man』のテーマ・ンングだってよ。
驚いたことにMel Tormeもカバーしているらしい。もちろんベンチャーズがカバーしているからここで演奏されているのだが、一番有名なのはJohnny Riversのバージョンなのだそうだ。
ゴーゴー調丸出しのサビの部分がなんともイナたくていいな~。

350v秘密の「密」から「蜜の味」へとつなぐ。

360もう1曲の歌は「北国の青い空」、奥村チヨとベンチャーズのコラボ作品。
「北のエレキガール」、TOMOKOさんによればこの曲の原題は「Hokkaido Sky」といい、北海道出身の自身のテーマ曲的存在であるという。
それだけに渾身の絶唱!ホント、もっと歌のレパートリーがあってもいい感じ!
340
本編の最後は定番「十番街の殺人(Slaughter on the Tenth Avenue)」。
「いい曲~」だって?そりゃそうだ。作曲はRichard Rogers。1930年代のブロードウェイ・ミュージカル『On Your Toes』の挿入歌。
やっぱりこれはテケテケ界の「Smoke on the Water」というところなのだろうか?それとも「Highway Star」か…どっちでもいいか、名曲であることは間違いない。
TOMOKOさんも思わず激演!

300v

こうして聴いてみると、Marshallが「テケテケ」に向いていないなんてことはまったくないな。そりゃモデルにもよるけど…さすがに1959とか1987で演るのはチトしんどそうだ。
「歪み、歪み」ととかく言われがちだが、Marshallはクリーンもよいのですよ。そして長い間見ていると、一般的に腕の立つギタリストほどこのことを口にするようだ。

充実の本編第二部が終了。

380v割れんばかりの場内のアンコールに応えて再度登場!黒いTシャツとトレードマークのテンガロンハットがよく似合う!背が高いからね。

390v演奏したのは「Caravan」。この曲についてはMJGの記事に書いたので是非ご覧いただきたい。

400vアップ・テンポでドライブしまくってバースディ・コンサートは終了した。
余韻に浸る大勢のお客さんが終演後も席を立とうとしなかった。

410TOMOKOの詳しい情報はコチラ⇒TOMOKO PROJECT

B_img_0025今回この記事を書くにあたり、予想以上に色々なことを調べてしまった。
コンサート・レビューなのに曲目解説みたいになってしまってTOMOKOさんには申し訳なかったが、存外におもしろかったし、勉強になった。
こうしてみると、60年代のエレキ・ブームがいかにパワフルなものであったかがわかるというものだ。
そして、驚くべきはこのThe Venturesというバンドの制作意欲だ、浅学にして情報を持ち得ないが、一体誰がこのバンドのディレクションをしていたのだろう?

当然ブームに乗って、周りのスタッフはここぞとばかりに「売らん哉」をたくらんだのだろうが、ネタを見つけて、アレンジを考えて、演奏して…。
そうさせることができたのは何と言っても「時代」だろう。ポピュラー音楽自体がまだ若かったのだ。やることなすこと、みんな未体験のことばかり。そりゃ与える方も与えられる方も面白かったと思うね。
もう音楽にこういう時代は永久にやって来ないだろう。だとすれば、音楽に必要なのは「伝承」しかない。
がんばれTOMOKO!

420(一部敬称略 2014年5月20日 銀座TACTにて撮影)

2014年7月 4日 (金)

GUITAR☆MAN LIVE #14

回を重ねること14回目!
GUITAR☆MAN LIVEが東京キネマ倶楽部で華々しく開催された。

10今回のギター・マンたちは…我らがSHARAさ~ん!

1g_img_0141 当然Marshall。ステージそでにセットされた写真右のMarshallがSHARAさんのヘッド。
120

両方ともJVM410H。上がメインで下がサブだ。
130v
キャビネットはMF400B。Marshallの壁の中に組み込まれている。
100v
もうおひと方は是永巧一。

2g_img_0063 是さんもJVM410H。キャビネットは1960Aだ。

150vベース・ギター・マンはおなじみGUITAR☆MANの親分・伊藤広規。

2g_img_0226 背後には今日もEDEN。

160vヘッドはEDENのフラッグシップ・モデルWT-800。キャビネットは2台のD410XST。EDENのフル・スタックだ。

170v 1曲目は「Hush」。最近この曲を至る所で耳にするナァ。QUORUMも演っていたし。

180_2広規さんも森園勝敏、向山テツとのThe Thlee of Usというグループでよく演奏していた。
ゴキゲンなミディアム・テンポがオープニングによくハマる。

190hこの曲、Deep Purpleの曲だと思っている人が多いようだが、Joe SouthなるミュージシャンがBilly Joe Royalという歌手のために作り1967年にリリースされたもの。双方アメリカの人だ。
このBilly Joe Royalがリリースした翌年、Deep Purpleがカバーした。母国イギリスではまったく注目されない中、アメリカ、カナダ両国でヒットしたという。
私はJim Marshallのお別れの会でこのMK I時代のベーシスト、Nick Simperに会ったが、全然わからなかったな~。

2002曲目は「Helter Skelter」。

210hs_2「Helter-Skelter」はイギリスでは「混沌」とか「無秩序な焦り」みたいな意味で、また遊園地にこういう名前の乗り物があるらしい。作曲者のPaul McCartneyは「最近バラードばっかり作ってんじゃん?」という批評家の声を吹っ飛ばすべくこの曲を作ったとか…。
しかし、これがThe Whoの「I can See for Miles」にインスパイアされている。両方大好き。

1969年、カルト宗教の指導者、チャールズ・マンソンらが映画監督ロマン・ポランスキーの家に押し入り当時妊娠8ケ月だった奥さんで女優のシャロン・テートを惨殺。現場の壁面に「Helter Skelter」と書いた話は有名。マンソンはこの曲を勝手に自分の思想と結びつけていたらしい。エライ迷惑な話である。
The Beach BoysのDennis Wilsonもマンソンと交流があったこともよく知られている。
ロマン・ポランスキーのことを書きたいのだが、相当長くなりそうなので今日はやめておく。

それにしても、さすがの達人たち、このビートルズいちハードな曲も難なくプレイ!

220v3曲目は定番の「Purple Haze」。メンバー紹介だ。
ベースは親分、伊藤広規

230vph石原SHARA慎一郎

240v是永巧一
380
そうる透

260vキーボードは工藤拓人

270v今回のボーカル陣。
おなじみ浦田健志

280v玲里

290vPOM…の3人だ。

300NACK5の山本昇氏によるインタビューも絶好調!

305ここでまたDeep Purple。「Black Night」だ。

310vbnこな辺りはみなさんもうお手のもの!
コレ初めて聴いた時は本当にカッコいいと思ったわ。
後にコレがRicky Nelsonの「Summertime」の改作と知って驚く…というより実際に聴いて笑った。
この「Summertime」はもちろんGeorge Gershwinのあの「Summertime」。このリフをよう「Summertime」に乗っけたよね~。Janisの「Summertime」よりスゴイわ。

このリフはDeep Purpleだけでなく、Blues Magoosというアメリカのグループが「(We ain't got) Nothing Yet」なる曲でやはり頂いちゃってる。
このバンドの動画みると、どうも当時Vox社のオルガンのモニターを盛大に請け負っていたようで、バスドラムのヘッドにまでメーカーのロゴを入れちゃってる。一種のメーカーのデモ・バンドの仕事をしていたのかもしれない。

Marshallもそういうバンドがあったんですよ。誰か知ってる?

一番有名なのはDeep Purple。MK IIの頃。
Ritchie BlackmoreやRoger Gloverは当たり前。その他、Jon Lordのオルガンのアンプはもちろん、Ian Gillanのボーカル用のアンプやキャビネットもMarshallだった。
もし今ならIan PaiceのドラムはNATALだったのにね、残念!

Jon Lordは後年、「Black Night」のリフはRicky Nelsonの「Summertime」にインスピレーションを受けたとインタビューで話していたようだ。

Deep Purple研究家の間では「Burn」のリフも借用で、元はやはりGeorge Gershwinの「Fascinating Rhythm(魅惑のリズム)」とされているが、こちらのキーはメジャー。もしこの話が本当だとしたらめっちゃくちゃセンスがいいとしか言いようがない!
それと「Child in Time」。これはIt's a Beautiful Dayの「Bombay Calling」。似てるもナニもほぼ同じ。
反対にIt's a Beautiful Dayはセカンド・アルバムの中の「Don and Dewey」という曲でPurpleの「Wring That Neck」を借用したことになっているが、実際に聴いてみるとそれほど似ていない。

こんなことをやっていたら実はキリがなくて、Led Zeppelinも初期の頃は借用なんて当たり前。
みんな借用してどんどんカッコいいものを作り出していった。ロックがまだルーツにほど近い時代だから素材も新鮮で、だからこそこんなことができたのだろう。
今じゃこんなことは到底できない。出がらしからは味も香りも出てこないからね。

320この透さんのキット!
今から35年ぐらい前、池袋のパルコの屋上で東京おとぼけキャッツの透さんをはじめて見た時は驚いたな。
まだ当時はラックなんてものは見たことがなくて、櫓のように組んだ鉄パイプに数えきれないくらいの枚数のシンバルがくっついていた。
セッティングをする透さんに接する機会があったので高校生だった私は恐る恐る声をかけた…「これ自作ですか?」
透さんは「そーだよ~」と何でもなく答えてくれた。
あの時、まさか将来お仕事でご一緒させてただくことになろうなんて夢にも思わなかった。

330Living Colorの「Cult of Personality」。
Vernon Reidか…チョットごめんなさい。通ってないので全然わからん。でもこの曲のPVを見るとオールMarshallですな。イコールいいバンドってことだ。
350v
それにしてもEDENはよう音がヌケますな~。弾き手がいいから当たり前なんだけど…。
こんなハード・ナンバーにもピッタリやんけ!

340lcここでJourneyのメドレー。
またしてもゴメンね。私、Journeyまったく知らないんですよ。かつてNeal Schonに1960を貸し出したことがあったっけな~。
どうしてダメなのかな?「初期の2枚はいいよ!」と令文さんにすすめられてを聴いたけど、どうもピンと来ない。たとえドラムが大好きなAynsley Dumbarでもダメ。毒気が感じられないからかもしれない。

でも、GUITAR☆MANのJourneyはヨカッタですよ。

360jSHARAさんもあのイントロの「テケテケ(曲は知ってるんだけど名前がわからない)」もチョロもんでクリア。

370vみなさん入魂の演奏。
このメドレーが終わった瞬間のお客さんの歓声の大きさといったら!自分のヘソ曲り具合を思い知らされた?!

390ここで「Radio Magic」!
これはビックリした。
あれだけMARCYさんの歌声でこの曲を聴いているとスゴイ変な感じ。目の前にいるのがSHARAさんなのに、声が違う!目の前とギターだけEARTHSHAKERなんだけど全然違うEARTHSHAKER!
声の力ってものがいかに強力か思い知ったね。

400vrnそしてベース!ナンじゃ、コレ?
ラインといい、音の置いて行き方といいカッコいいことこの上なし。そうなんですよ、ベースが変わるとバンドがガラっと変わるんだよね。
「あ、そう来ます、広規さん?」、「おお、そう弾きましたか?」、「エ、そっち?!」…なんて1音ずつベース・ラインを追いながらシャッターを切った!

410v_2「♪Wonder radio」もSHARAさんはいつも通り。この曲はいつでも聴いている者をハッピーにする。やっぱり名曲だにゃ~。

4202曲目のHendrix。「Fire」だ。

430fこれまた実にスリリングで引き締まった演奏!

440vやはりHendrixナンバーはギタリストを熱くさせる。
460v
Jimiに関するロンドンのランドマークを「名所めぐり」で紹介しようと、ここのところ数冊Jimi関連の本を読んでいるのだが、この人は本当に大人しい人だったらしいね。
Jim Marshallもブレッチリーの中華料理屋で食事をした時そう言っていた。

450vこの曲、もちろんセクシーな意味合いが強いんだけど、有名なリフレイン「Let me stand next to your fire」のところは実際、そういうことがあったらしい。
つまり、1966年の暮れにJimiとガールフレンドのCathyがベースのNoel Reddingの実家に招かれた。
あんまり寒いもんで暖炉(=fire place)の横にいたNoelのお母さんに「ちょっと隣にいさせてもらませんか?」と頼んだというのだ。
ところがその行く手にはお母さんが飼うグレートデンが横たわっていて(犬だって寒い)行かれない。
この場面が「Oh! Move over, Rover (これ、大文字になっているので犬の名前なのかな?) and let Jimi take over~」というくだり。「チョットどいてくれないか、Jimiに場所を譲ってくれよ」と犬に話しかけているシーンなのだそうだ。

そして1967年、Jimiはロンドンのクラブでこの曲を演奏した際、初めてギターに火をつけた。

465v続いてもゴキゲンな「Rock and Roll, Hoochie Koo」。Rick Derringer、1970年のヒット曲。以前にもGUITAR☆MANで取り上げられていた。

470rrこういうドップリしたミディアムの曲も燃えるよね。
Rick Derringerもポップでハードな佳曲を演る人だ。

2g_img_0311『All American Boy』、『Spring Fever』あたりでは美形をウリにもしていたようだけど、最近の姿を見るとビックリするよ。
彼はよくNAMMショウに来ているんだけど、あのジャケ写には似ても似つかないジジイっぷりなのよ。
でも、ギターはウマい人だよね。Steely Danの「Green Earings」のソロなんかメッチャかっこいいもんな。
480v
こういうロックがなくなって久しい。こうして音楽達人たちが完璧な演奏でよみがえらせてくれるのはうれしい限りだ。

475v最後は驚き!何とYesの「Roundabout」。
是さんのハーモニクスによりEmからスタート。

490vraオワ~、これはスゴイ!
よりによってSHARAさんが登場する回にこの曲が選ばれるところがおもしろい。SHARAさん初コピーだろうな~。お疲れさまでした。

500v次から次へめまぐるしく変わって行くシーンを完璧に演出する透さんの華麗なドラミング!

520大作だけあって各人、気合の入れ方がチョイと違う!
やっぱりカッコいい曲だわ。
510
ちなみに「ラウンドアバウト」というのはイギリスの郊外に行けば必ずある周回型の交差点のこと。Marshallが位置するMilton Keynesには無数のラウンドアバウトがある。
信号がないので空いている時は時間の短縮になって合理的なのだが、直進する際でも半円分中心を迂回しなければならず、何度もコレを通過すると、飲みすぎた時などかなりツライ。

ちょっとオマケ的に…
コレは変拍子ジャズの王者Don Ellisの『Connection』というアルバム。この中で「Roundabout」がジャズのビッグ・バンドで演奏されている。興味のある方はどうぞ。

Cd そしてアンコールではGUITAR☆MANのテーマ・ソングともいうべき「Smoke on the Water」をプレイ。

530swさらにこれも以外にも初登場だというのだが、Doobie Brothersの「China Glove」。

540cgやっぱりこの頃のロックは最高だね。

560クォリティの高い曲の数々…

570v最高の演奏!
今回も至福の時を過ごしたのでありました!

580v最後に出演者全員でパチリ。

590GUITAR☆MANの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

600(一部敬称略 2014年5月23日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2014年7月 3日 (木)

STONE PUSHING UPHILL MAN in Shibuya~ポール・ギルバート・ニュー・アルバム・発表ミニ・ライブ

コンスタントにソロ・アルバムを発表し続けるPaul Gilbert。その創作意欲はとどまるところを知らない。
2012年9月にリリースした『VIBRATO』に続く新作のタイトルは『幸福なるシジフォス~ストーン・プッシング・アップヒル・マン(原題:STONE PUSHING UPHILL MAN)』。

ジャケットを見るとPaul愛用のギターが描かれている…ちゃうちゃう、そこじゃなくて、力のありそうなオジちゃんが大きな岩をギターの側面に沿って一生懸命押し上げているでしょう?
この様子がタイトルになっている。「Stone Pushing Uphill Man」とは「石を丘に押し上げる男」という意味。見ればわかるか…。
出自はギリシャ神話の「シジフォスの寓話(神話)」で、岩をやっとの思いで丘に押し上げるが、頂上に着く直前に重みで転がり落ちてしまい、また最初からやり直すという永遠の苦行を意味している。
日本式に言うと「賽の河原」というヤツだ。

Paulはギタリストとしての生き方やギター道こそがこの岩なのだと語っている。
イヤイヤ、ギター道に関しては、Paulはもうスッカリ頂上へたどり着いていると思うんですけどね…。でも、それでヨシとしないところがPaulのアーティストとしての偉大さなのだ。

ま、真面目に生きている以上、誰しもこの岩を押し上げながら毎日を過ごしているとは思うよね。

ちなみに、内ジャケットにはMarshallのイラストも描かれているので要チェック!
尚、アルバムのレコーディングには愛用の1987Xと2061Xが使用されている。

10cd_2そして去る6月28日、その新譜のプロモーションのために来日したPaul Gilbertが渋谷のタワー・レコードでミニ・ライブを開催した。
特設ステージが用意された1階はたくさんの人でゴッタ返していた。
20

早速アルバムからの曲をプレイ。

50
今日のMarshallは…
向かって左がPaulのリクエストによるDSL40C。
セッティングはClassic GainのCrunchでGainがほぼフル。ボリュームは3程度でEQはすべて5付近。Reverbは4ぐらい。
右はJVM215C。
以前はステレオにセットしてフェイザーのトリックなどを仕掛けていたが、今回はDSLをメインに使用し、JVMはバッキングのループやソロ時の補足的な役割に活用されていた。

30足元のようす。

40いきなりの大熱演!

60v_2 気持ちよくソロをキメるPaulだが、問題発生!
電源のトラブルでバッキング・トラックが止まってしまったのだ。

70トラブルを知ったPaul、間髪を入れず王者の雄叫び、「ロッケンロー!!!!!」。
観客はもう大騒ぎ!

95v_2 Paulはといえば、ま~ったくあわてずに直ちにその場でバッキングのループを作る。ブルースだ。
そして歌い出したのはJimi Hendrixの「Red House」。

80v こういうとこところはスゴイよな~。ステージにトラブルはつきもの…きっとこういう目に何度も遇っているんだろうけど、むしろトラブルを楽しんでいるよう!

90またこの「Red House」がいい!
歌とギターのひとりコール&レスポンスがカッコいいのなんのって!フレーズがいいんだわ~。

100vオーディオ装置もすぐに直ってショウは何事もなかったように…イヤ、かえって盛り上がって進行した。

120v 今回のアルバムはPaul McCartneyやElton John、James Brownらの曲を取り上げている。Paulは彼らからインスピレーションを得て「ギターに歌わせる」ということをテーマにしたという。

130今まではとにかく「速く、正確に、安定したボリュームとトーン」でギターを弾くことを目的としていたが、今回は偉大なロック・シンガーたちのような豊かな感情をギターで表現したかったという。

どうなんだろう、一般的にはPaulは徹底したハイテクニックの超絶シュレッダーという印象があるのだろうか?
私も昔、教則ビデオに関連した仕事をしていたのでREHあたりのPaulの壮絶なプレイを見ている。
しかし、Marshallの展示会やインベントなどを通じ、何度となくPaulのプレイを見て、話をしていると、もう全くそういった超絶技巧をウリにするギタリストという印象がなくて、あの手この手でギターの魅力をアッピールし、音楽をクリエイトすることをひたすら楽しんでいるギタリストにしか見えない。

140vクラシックの声楽の人たちが自分の声を「楽器」と呼んでいることは以前にも書いた。
やはり「声」はもっとも個性的な音色を持つ楽器の王様だ。加えて「詞(ことば)」という強力な武器も持っている。
どんなに超絶技巧で楽器を操っていても老練なブルースシンガーや浪曲師のひとウナリには到底かなわなかったりもする。

関係ないけど、昔、テナー・サックスの巨人、Dexter Gordonが来日し、日本のジャズ・ミュージシャンとテレビで共演した。何しろ相手は偉大なる「Long Tall Dex」、リハーサルの時、日本のミュージシャンは技術の粋を尽くして込み入ったソロを展開した。
そして、その後Dexterが「ボー」とたった一音吹いた。その後、日本のミュージシャンは誰ひとりDexterの前で演奏できなかったという。
…なんて伝説がある。
このDexter Gordonのテナー・サックスから出た「ボー」も声だったに違いない。それもドスのきいたド迫力の声だったろう。
Paulのメッセージを読んでいてこの話を思い出した…という次第。

ギターを「声」という高い丘に押し上げようとするPaulは真のSTONE PUSHING UPHILL MANなのだ。
そして、最終的にその「声」を出しているのがMarshallであることがうれしいのだ。

150v「Steven Tylerはキーが高いからね…」と言いながら最後にはAerosmithの「Back in the Saddle」をプレイ。この曲でスタートする『ROCKS』はホントにカッコよかったもんね。
Aerosmithは「もうCDを作らない」宣言をしたんだったね?作っても売れないから。
一体なんでこんなんなっちゃったんだろうね。理由はわかっているつもりでも絶対おかしいよ。ミュージシャンはCDを作るが仕事なんだから。こんなことしていたらホントに音楽の「世界の終り」が来てしまうよ。
Paulがこの曲を選んだのも、そんなロックの巨人へのエールを送りたかったのではないかと思ってる。
だって「♪Back in the saddle again」だもん。

160v この曲もそうだが「初めてナマで演奏する」という曲もいくつかあったが、当然危なしげもない演奏で、ポール節がさく裂した…あ、イヤ、歌詞で苦労している曲があったな…。

170_2 Paulが足を上げて踏んづけようとしているのは…なんていうんだろう…フット・パーカッション?とにかく踏みつけるとゴツンとパーカッシブな音を出す装置。
思い出してみるに以前はこれギターケースでやってたんだよね。

180掘っても掘っても次から次へと出てくる完成されたフレーズ。こうした音楽的な厚みは日本人のそれとは全く異なるものだ。
当たり前なんだけど、その違いが「洋楽」と「邦楽」の差さんだよね。
「洋楽」がすたれ始めた時から日本のロックは形骸化した。だってロックは海の向こうのものだんだもん。やっぱりロックを志す者は「洋楽」を聴かなきゃ絶対だダメだ。

190v短い時間ながら今回も「ギターを歌わせるギタリスト」としてのPaulが大いにフィーチュアされていたと思う。
もっとも、この人わざわざギターで歌に挑まなくても、実際のノドで十分勝負できるほと歌がうまいんですけど…欲張っちゃイカン!
アンコールではPaul McCartneyの「Why Don't we do it in the Road」を演奏した。

200v『幸福なるシジフォス』の詳しい情報はコチラ⇒WHDエンタテインメント公式ウェブサイト

210cd 11月にはMr.BIGでの再来日も決定しているPaul Gilbert。
ますますの活躍を期待している。

220 (一部敬称略 2014年6月28日 タワーレコード渋谷店1階特設会場にて撮影)