後藤まりこ~510 mariko Party @ SHIBUYA-AX.....さらばAX!
2014年5月27日、閉館を4日後に控えたSHIBUY-AX。
私にとってはこの日が最後のAXになった。
そしてこの日、私にとっての最後のAXが思い出深くなるような、思い出深い出演者に恵まれた。
後藤まりこである。
この日、まずはギターを携えてのソロによるパフォーマンス。
ああ、なつかしい、トルネード!まりちゃんのトレードマークだ。
まりちゃんとはしばらくの間、音信不通になっていた。ところがこの日の数週間前のイベントで遭遇し、旧交をあたため、ここAXでの再会を約束したのだ。
私はミドリが好きだった。そしてよくMarshall Blogで取材をさせてもらった。
豪雨の野音などとてもいい思い出だ。私が撮った写真をCDにいち早く使ってくれたのもまりちゃんだった。
何よりも魅力的だったのは、フリー・ジャズのピアノ・トリオをバックに、それを上回る破壊的なまりちゃんのすさまじいパーフォーマンス。それは他では決して見ることのできない音楽性だった。
もうひとつは、まりちゃんのワン・アンド・オンリーのキャラクターだ。
数年を経てそのまりちゃんの世界がどう変化しているか、すなわち、どっちの方向にどうパワー・アップしているかがとても楽しみだった。
満員の観客を前に最初に披露したのは「世田谷区桜新町2丁目」という曲。
どうせこの後大爆発するのはわかってるんだけど、存外におとなしい…。
…と思っていたら「好き、殺したい、愛してる」で絶叫。いい感じ!ソロ・パフォーマンスながら、信じられないぐらいの緊張感。
「シンデレラタイム」、「触媒」と続く。
JCM800 2203に1960A。以前はJCM2000 DSL100を愛用していた。そういえば、昔、DSLのフット・スイッチをグレイのビンテージ・タイプのものにしてあげたら、まりちゃんものすごく喜んでくれたっけナァ。とても可愛かった。
Marshallはまりこミュージックではマストなアイテムだ。
ループを使用した「299792458_TOKYO-U」ではギターをおろしてハンド・マイクで歌った。
このタイトルなに?
穐吉敏子に「A-10-205932」という曲があるが、コレは敏子さんが1956年に渡米した際に交付された移民ナンバー。「囚人じゃあるまいし、こんな番号をつけやがって!」という反抗的な気持ちでイヤミで付けたタイトル。曲名があまりにも覚えにくいという理由で一時タイトルを変えていたような気もするが、それが何というタイトルであったかは忘れた。
昭和の歌謡アイドルのような可憐な振り付けで観客の目を惹きつける。
間奏で指揮棒を振るまりちゃん。当然眼前には誰もいない。
「ラブロマンス」から…
ヘッドがWT-800、キャビ上段が4x10"、下段が1x15"というフル・スタック。
まぁ、お客さんのよろこびようったらないわ!みんな「我が意を得たり」という感じ。
この後数回にわたり同じ光景が現れたが、もはやコレはまりちゃんにとってのギター・ソロみたいなもので、完全に曲の一部になっちゃってる!
バック陣も型にとらわれることのないまったく自由な演奏を繰り広げる。
AxSxEさん、やっぱカッコいいわ~。それにしても以前にも増して髪の毛がものすごくて顔を撮るのに苦労したワ~。ああ、NATSUMENも見たい。
この愛らしいアクションがまたいい。
そういえば、すごく可愛かったのがまりちゃんのMC。チケットがまったく売れなくて一時はどうなるかと思った…なんて正直言っちゃう。
トンデモナイ!こんなに満員ジャン!みんなまりちゃんのロックを楽しみたいのさ!
主のいないステージでの激演。このバンド、どこか独特ですごくよろしいナァ~。
「ふれーみんぐりっぷす」はタンバリンを手にしての熱唱。
「浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん」の後、新曲も披露した。
ギターを可愛がっているのかイジめているのか…ものすごいテンションで暴れまくる!
最近はなかなかこういう入神のパフォーマンスにお目にかかることが少なくなったな。
もちろん私は経験がないが、60年代の後半に欧米に現れた新しいロックの波に見られた(当時の)過激とされたパフォーマンスの雰囲気はこんなだったのではなかろうか…と勝手に思ってしまう。要するにピュア感が漂っているのだ。
ここでアンコールに入るハズだったのだが「このままやる」と引っ込まず演奏を続けた。
コレでいいのだ。
もう最近はアンコール地獄だもんね。「残業」だなんていってるけど、初めからセットリストに入っちゃってるし…残業は規定の時間以内にどうしても業務が終わらない時に、上司の許可を得て仕方なくするもんなんですよ~。
アンコール1回で2曲ぐらいが好ましいと思うけど、スゴイもんね最近のは。どうせ演奏するんだからいちいち引っ込んで時間を無駄に費やさない方がいいよ。ブライアン・エプスタインは偉大だった。
でね、お客さんもお客さんなの。客電が点いてBGMが鳴りだしているのにいつまでも「アンコール、アンコール」って…。昔はこんなことなかったよ。もっとみんなマナーをわきまえていた。ゴメンね、文句ばかり言って。
モニターに腰かけて「ゆうびんやさん」を弾き語る。
ギターを下げ、「ドローン」で再びすさまじいシーンが展開した。
ドラムのスティックをギターに突き刺す!Keith Emersonを連想させるではあるまいか!
引きずられ虐げられるギター…何物にも代えがたいまりちゃんの相棒なのだ。
満ち溢れたエネルギーを放出するごとくまりちゃんのステージは続く。
バック陣も何かが憑依したかのような激しい演奏だ!AxSxEさんはいつもこうだけど!
客席をクラウド・サーフィンで縦断するまりちゃん、「あたしの衝動」。
「お前ら…みんな死ね!」だって。そうこなくっちゃ!
続けて、「そして僕と一緒に1回死んで生き返ろう。共に歩んでください」…なかなに感動的であ~る!もちろん観客が沸き上がったことは言うまでもない。
最後に「HARDCORE LIFE」を熱唱してすべての演目を終了した。
この小さな体躯にみなぎるパワー、独自の音楽世界を追求し続ける彼女の姿にはナゼかロックの持つ「無垢」さを感じる。
がんばれまりちゃん!自分だけの道を突き進め!
後藤まりこの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト
*******お ま け********
失礼ながら、新宿厚生年金会館のように子供の頃に通っていた場所ではないので、さして思い入れはないというのが正直なところだが、ま、それでも無くなるとなると寂しいものだ…SHIBUYA AX。
イヤ、もう閉館してしまったんだけど…。
だからもう2度とAXでの新しいライブ・レポートはMarshall Blogに出ることはない。ナンダカンダ言ってもずいぶんお世話になった。
今は「ああ、よく行ったからな」とハッキリようすを覚えていても、時間が経つと細かい部分はすっかり忘れてしまうものだ。
お礼の意味を込めて、ここMarshall BlogにAXを残しておくことにしよう。
開館は2000年の12月。したがって14.5年、結構長いことやってたんだな…。
杮落としはDragon Ashだったそうだ。
日本テレビと電通の共同事業ゆえ、名前は日本テレビのコールサイン「JOAX」の「AX」を採用した。
ちなみに六本木のEX Theaterはテレビ朝日系なので、そのコールサイン「JOEX」の「EX」が名前の由来のひとつになっている。
建物前のロッカー群。ま、一度も使ったことはないが…。右端はTシャツの自動販売機だよね?
このCDもそのうち無くなってしまうというのだから時の流れは残酷だ。
電車で行くと、渋谷の駅から遠い上に登り坂だったので重いカメラをガラガラで持ち歩くのはシンドかった。駐車場が広かったので、車でお邪魔させてもらう機会が多かったのはありがたかった。
開演前、出演者やスタッフがよくここでしゃべりをしていた。ここ西日が当たって暑いんだよね~。
閉館にあたっての寄せ書き。赤い四角の中にメッセージを書いてくれって言ってんのに完全にシカト。