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2014年8月

2014年8月29日 (金)

Trio the Collagens~Live Album Release tour 『Rough&Dangerous』君に逢いたい2014

2014年7月13日の山形から8月13日の大阪までちょうど1か月にわたり22本のステージをこなしたTrio the Collagens。
7月にリリースされたライブ・アルバムのレコ発ツアーだ。

10_2これがそのライブ・アルバム『ROUGH & DANGEROUS!』。手直し、オーバーダブ一切なし。タイトル通りのラフでデンジャラスなすさまじい演奏がそのまま収録されている。
ジャケット写真もゼヒお楽しみあれ!

20cd大谷令文

30v今日はいつもの1959ではないけれど、もちろんMarshall。JVM900 4100と1960A。

40_2足元のようす。

50_3小笠原義弘

50vオガンちゃんはEDEN。
WT-800に4x10"のD410XSTと1x15"のD115XLT。

60vたまたまイギリスのMarshall社から来日していたEDENの責任者Luke Greenと。
Lukeったらあまりの音のよさとオガンちゃんのプレイのすごさに感動しまくっていた!
どうでもいいけどふたりとも上下前後左右にデカい!

70v_2高橋Roger知久

コレがTrio the Collagens。
令文さんによると、もともとは「Collagens」という名前の4 人編成のバンドだったのだが、ひとり減ってしまったので、「Trio」と頭につけたのだとか…。

80v_21曲目は『ROUGH & DANGEROUS!』と同じく「I.N.D.」。

90v堰を切ったように飛び出すロック・サウンドが実に気持ちがいい!これでIiNoDa!

100v2曲目もアルバムと同じ「Razor Boogie」。令文さん作のStatus Quoもビックリの急速調ブギ!
令文さんの火の玉のようなギターも十二分にスゴイが…

110vここはオガンちゃんとロジャーさんのバック陣にも大注目だ!
今、こんな演奏できるバンドって、今そう簡単に日本にはいないんじゃないの?ゼヒ若い人に見てもらいたいわ。ロックのリズム隊がどうあるべきかってことがわかるハズだ。
190v
疾風迅雷!すさまじいドラミング!
やっぱMarshallの連中もこの演奏には驚いていた。

130v3曲目もアルバムから「Sister Spider」。

135例の短いかと思ったらトンでもなく長かったという曲。
今日もアッという間だっただっただっただった(←ここディレイかかってます)!。

140vロジャーさんの歌で「Call on Me」。

150v名曲「Raven Eyes」。Max Middleton作。やっぱメッチャいいわ~。

160vこういう演奏を聴くと、ギターを本当に弾ける人たちが令文さんを絶賛するのがよくわかる。

170まず日本人っぽくないのだ。
ギターを弾いているというよりロックの黄金時代の空気を弾いているという感じ。ロック・ギターの色気というか、カッコいい部分がふんだんに詰まっている。

180一部最後の曲は、これもアルバム収録の「Valle Colorado」。

200令文さんの弾く変拍子のテーマが実にクール!

220vラテン調のこのナンバーはオガンちゃんの作品。

D_img_0105 ってんでオガンちゃんのソロもタップリ!

225v「切った、張った」の3人のインタープレイがスリリング。

260
オガンちゃんも日本人っぽくない。ルックスもそうだけど、プレイはなおさらだ。

230休憩をはさんで第二部。
人気シンガーを加えての興奮のパフォーマンス。
残念ながら諸般の事情で写真を掲載することができないが、日本が世界に誇る「声」の持ち主とだけ言っておこう。

240vほぼLed Zeppelin特集!このメンバーでZeppelin、ク~、たまらん!

210v

「Communication Breakdown」、「Good Times, Bad Times」、「Whole Lotta Love」、「Immigrant Song」…

270v
Zeppelinから離れてDon Nixの「Going Down」。
合間にお得意の「サワリ・シリーズ」があって楽しいことこの上なし!
ん~、それにしても素晴らしい演奏。

250そしてゲストも交えての「組曲難聴」。
会場が大爆笑になっとったで、しかし~!

260vそしてアンコール。

290再度ゲストを交えての「Rock me Baby」

300これまたすさまじいパフォーマンス。観客も一体になっての盛り上がりようがまた素晴らしい。

310そして最後はインストでJohn Lennonの「Jelous Guy」。
この曲は本人の演奏の他にRod Stewartが名唱を残しているが、令文さんのロマンチックなギターもそれらに負けないものだ。

320vMarshallのスタッフと記念撮影。
3人とも大絶賛で私も鼻タ~カダカでした。ありがとうTrio the Collagens!
でも、彼らも自分の国の音楽が最高の演奏で再現されてご満悦。やっぱロックはブリティッシュ!

330大谷令文の詳しい情報はコチラ⇒大谷令文ホームページ
小笠原義弘の詳しい情報はコチラ⇒Dancin' Funky Bass!!!
高橋ロジャー知久の詳しい情報はコチラ⇒高橋ロジャー知久Official Site

D_img_0008 (一部敬称略 2014年7月26日 高円寺SHOWBOATにて撮影)

2014年8月28日 (木)

【イギリス - ロック名所めぐり vol.14】 エジンバラ(Edinburgh)にも行ってみた

今日の「名所めぐり」はウスイ。そして、短い。
前回のニューキャッスルはなかなかに内容が濃くなったので、併せて2本にして連作としてご覧いただきたい。
ニューキャッスルからも電車で約1時間半と近いし。

スコットランドの首都、エジンバラ…それにしても最近のスコットランド独立騒ぎには驚くね。通貨や油田の枯渇等の経済的な問題が大きく、どうも反対の動きに固まっていきそうだけど、イングランドでは「行かないで…」なんて結構真剣に心配している一般市民も少なくないようだ。

我々は「イギリス」ということで完全に一本化してあの国を見ているが、実際に行って、図柄の全く異なるスコットランドの1ポンド紙幣なんかを手にすると、「コレ、ロンドンで使えるのかいな?ああ、ここではイギリスとは別の国のつもりなのか…」と実感したりするのだ。

ちなみにイギリスの人たちは「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」という大層な名称の自分たちの国が、東の小さな島国では単に「イギリス」と呼ばれていることは夢にも思っていない。

10さて、エジンバラ…エジンバラ…どう考えてもロックっぽいイメージがない。せいぜいBay City Rollersぐらいだ。
Jethro Tullがエジンバラかと思っていたらドンズバではなかった。
エジンバラに行く前にロックに関する情報を集めようとしたが、とうとうナニも得ることができなかった。

30でも行った。
ロックのファッションの店のような土産屋。
せっかくスコットランドに来たんだからタータンのスカートの一着でも買っていくか!…なんてことは思わないわな。絶対はかないもん。

40それにしても素晴らしい街のいでたち。
エジンバラは電車の線路がある峡谷を境に旧市街と新市街に分かれていて、そのどちらもがユネスコの世界遺産に指定されている。

天気がメチャクチャ悪くて…ゼンゼンいい写真が取れなかったのが返す返すも残念だ。
それと、行ったのは5月の末だったんだけど、もう寒くて寒くて。厚手のセーターにしっかりしたダウン・ジャケット、つまり真冬の格好をしていてもまだ寒かった。それでも現地の人はシャツ一枚とかで平気そうなんだよね。やっぱり寒い国の人たちなのだ。
写真は旧市街の目抜き通りRoyal Mile。この道を行った突き当りにエジンバラ城がある。

50_2さて強引に名所を探しましょう。
まずはGenesis…。5枚目のスタジオ・アルバム『Selling England by the Pound(月影の騎士)』のA面の3曲目に「Firth of Fifth」って曲があるでしょ。
メッチャかっこいい曲。イントロのTony Banksのクラシック調のピアノでまずヤラれちゃうヤツね。

D_img_0147 お、タネ明かしをする前に…このアルバム、70年代の粒ぞろいのGenesisの諸作の中でも確かに名盤だと思う。
それもそのハズ、Marshall Blogにもよく出てくるCLASSIC ROCK誌の別冊「RROG ROCK」のライターが選ぶ「THE TOP 30 PROG ROCK ALBUMS」で、『炎』、『宮殿』、『頭脳改革』、『危機』、『狂気』を抑えて見事第一位に輝いている。(この雑誌、奥付に発行年月日が書いていないんだけど、たぶん2007年の発行だと思う)

それにしてもプログレの邦題ってスゴイな。なんかもう単語ひとつでナニを指しているかわかっちゃう、という。これぞ日本のレコード会社のもくろみ。目的達成!
おかげで外人と話すときにエラク苦労する。だいたい『月影の騎士』ってナンだよな。

『恐怖の頭脳改革』なんて恥ずかしいだろ。後にELPが同名の曲を吹き込んでいるけど、原題は「Brain Sald Surgery」。昔、名古屋のなぞなぞ商会が「脳ミソサラダの外科手術」って曲を演ってたけど、ELPの方もそういう邦題にすればよかったんだよ。そうすれば今頃あのアルバム「脳ミソ、脳ミソ」って呼ばれていた。そっちの方が可愛いじゃん?

スミマセン、今回内容が薄いので「脱線」で紙幅を埋めています。
D_img_0140 さて、Genesis。題名の由来はここから…イヤ、正確に言うと、このRoyal Mileを下の写真の方向へ下ったところにある。(エジンバラ城への反対の道)
このまま進んでいくとドンドン道が下って行き、やがて北海に連なる入り江に出る。対岸はスウェーデンだ。
その入り江の名前が「Firth of Fourth」という。「firth」は「入り江」のこと。Genesisのこの名曲「Firth of Fifth」は、スコットランドに実在する入り江の名前のゴロ合わせだった。

ギタリストのSteve HackettはMarshallですから。

そういえば、昨日登場したスティーヴは「Genesisなんか聴いたことない」って言ってたな。
「Prog Rock」とはもちろん「プログレッシブ・ロック」のこと。向こうの人はみんな「プロッグ・ロック」と呼ぶ。

70vそれにしてもナニもない!この情報化の時代、事前に調べてないものは現地に行ってもなにもない!
コレはライブハウス。でもただそれだけ。

80vスティーブにも確かめたんだけど、コレはややそれっぽい。駅からほど近いところにある「PLAYHOUSE」という劇場。
今はミュージカルや芝居専門の劇場になっているようだが、以前はロックのコンサートも開かれていたようだ。
オープンは1929年。シート数は何と3000以上。
ウェンブリー・アリーナアールズ・コートのようなスポーツ・イベントを開催する巨大な施設を除けば、現在も使用している多目的劇場としては全英で一番大きいそうだ。
シート数に限って言えばロンドンのHammersmith Apollo(旧ハマースミス・オデオン)の方が多いが、こちらはコンサート専用でミュージカルには使用されることがない。

パッと見ると大して大きくはなさそうだが、この場所は高台で、建物はすぐ後ろから下に限りなく延びている。

色々調べてみたが、残念ながらどんなバンドに出たのかはわからなかったが、出たものを他にひとつ見つけた。
それは6階に夜な夜な現れる幽霊。アルバートというグレイのコートを着て、冷たい風とともに突然現れるのだそうだ。
さまざまな憶測が飛んだらしいが、事故で亡くなった舞台係かここで自殺をした警備員ではないかと言われている。

100やっぱり、エジンバラ出身のバンドというとホントにBay City RollersとPilotぐらいしかわからないな。
そこへ行くと同じスコットランドでもお隣のグラスゴーは結構イケてる。
古くはThe Sensational Alex Harvey BandにBeggar's Opera、Aztec Camera、Snow Patrol、Primal Scream、Franz Ferdinand、Mogwai等々。
Dunfermlineという町からはJethro TullとNazarethが出て来ている。

なんか文学優先の真面目そうな雰囲気もあるし、エジンバラではロックが育たなかったのかな?

ま、後はこんなジャズ・クラブぐらい?
コレじゃネタにならんわな~。
110
やっぱエジンバラのロックの名所はあきらめよう。
エジンバラの「バンド」や「ライブ」といったらコレにつきる!
60
明日は土曜日ですな…後はコレで我慢してください。

D_img_0137…とマァ、ロックの名所としてはゼンゼンダメだけど、街は信じられないぐらい美しい。
すべての景色が絵はがきみたいで、ゴミも落ちてなくてとても清潔だ。
ただ天気は悪いし、寒い。北海道より緯度がゼンゼン北だからね。
天気がいい時を狙ってまた訪れてみたいと思っている。

ここでは街の案内をゼンゼンしていないので、ゼヒこちらをご覧いただきたいと思う。
Shige Blog : イギリス紀行2012 その7~エジンバラ
Shige Blog : イギリス紀行2012 その8~エジンバラ2
Shige Blog : イギリス紀行2012 その9~エジンバラ3

20

つづく

2014年8月27日 (水)

【イギリス - ロック名所めぐり vol.13】 Newcastle(ニューキャッスル)はよいところ

今日の名所めぐりはイングランド北東部最大の都市、ニューキャッスルから。
もうすでにこの街の紹介はShige Blogでしているので、未読の方にはそちらからご覧いただくとうれしい。

Shige Blog : イギリス紀行2012 その10~ニューキャッスル
Shige Blog :  イギリス紀行2012 その11~ニューキャッスル2

チョット重複してしまうパートもあるかもしれないが、コチラでは「ロック名所」魂でお送りするのでお楽しみいただけば幸いである。
今回は結構マニアックだよ。
  
スタートはニューキャッスル駅。

10_2ニューキャッスルはイギリスで7番目に人口の多い街でその数28万人。
正式な名称はニューキャッスル・アポン・タイン(Newcastle Upon Tyne)。
この「アポン・ナントカ」の「ナントカ」以後は川の名前を指す。
シェイクスピアの出身地で有名な、観光地にもなっているストラットフォード・アポン・エイヴォン(Stratford Upon Avon)も同じ。エイヴォン川のほとりの村だ。

「名所めぐり」Shige BlogのSouth Shieldsの回でも紹介したように、タイン川流域は、今は猛烈にさびしくなっちゃったけど、昔は炭鉱や造船、鉄鋼で栄えた一大工業地帯で、北海に面したその河口までこのエリア全域の住民まで加えると、今でもその人口は165万人にもなる。なかなかの大都市なのだ。

20_2「イギリス紀行」で紹介したが、タイン川にかけられたこの街の橋はどれも魅力的だ。

30_2そのタイン川べりにある「Riverside」という名のクラブ。
週末になればライブ演奏をしている。

40v_2これもタイン川べり。
この向かって左の真ん中の三角屋根の建物、「The Cooperage」というライブハウスなんだけど、何と15世紀、つまり1430年に建てられたモノなのだそうだ。
案内してくれたスティーヴはほとんど来たことはないというが、そこそこのバンドが出ることもあるらしい。
内部は外観よりはるかに狭いらしく、キャパの関係でさすがに有名なバンドが出演することはできない。
有名なアーティストのサイド・プロジェクトなどが出たりすることが普通なのだが、その際にはデカデカと看板を出すのだそうだ。
そうすることによって、この建物が現役で役に立っていることを示すことができ、取り壊し対象の指定から逃れることができる。
東京なんかどんどん古い建物を壊しちゃうもんね。つい最近も銀座一丁目の「ホテル西洋銀座」という建物の解体が決まったらしい。
私はむしろその前にそこ建っていた「テアトル東京」や「テアトル銀座」の方になじみがあったので、コレに関しては惜しい気にはならないが、古い建造物はやはり大切にするべきだと思っている。
建造物には文物と同じく、時代の文化や空気が詰まっている。それを平気で壊すのは文化的民度の低さを露呈しているように感じるね。
まったく地震がないイギリスと土俵を同じにすることはできないが、日本だって優秀な建築家が揃っているのだから、古いモノを保存しながら地域を開発する技術を惜しみなく発揮するがいい。50街中に入る。

60v_2何しろ天気が悪くて色が出ないのが残念。
この建物、実物はオレンジと白とピンクでもっと色鮮やかなのね。
90_2
こんな建物がドカンと居座っていてもちっともおかしくない。

70その一階に楽器屋さんを発見。

80これはShige Blogで紹介したThe Thetre Royal Newcastle。

100_2浅草寺の本堂にも似た天井。

110_2このアーケイドも紹介したね。
左はクラシック系の楽器屋さんだ。

120目抜き通りのGrey Street。
130
実はニューキャッスルは、偉大なミュージシャンを何人も輩出している。
Hank Marvin、The AnimalsすなわちEric BurdonとChas Chandller(この関係でJimi Hendrixもしばらくこの街に滞在していた)、Bruce Welch(The Shadowsのメンバー)、Bryan Ferry、Sting、Brian Johnson、Mark Knopflerなどなど。Mr. Beanもそう。

チョットここでHank Marvinについて触れておきたいと思う。
赤いストラトキャスターがシンボルのこのThe Shadowsのギタリストは、Bruce Welch(上掲)によると「1958年から1964年までギターの神様」だったという。ナゼ1964年までかというと…Eric Claptonの登場である。64年はYardbirdsでClaptonが頭角を現してきた時分なのだ。

あまりの影響の大きさゆえ、イギリスのロックの歴史は何でもビートルズづくしだが、その前にはCliff Richardの存在が大きく、The Shadowsを従えて飛ばしたヒットの数々はブリティッシュ・ロックの礎を作ったとされている。
そんな功績で、CliffはSir.(一代限りの貴族)の称号を拝受し、2012年のエリザベス女王在位60周年記念(Diamond Jubilee)コンサートにも出演し、「Congratulations」を歌い、テレビのインタビューに元気に受け答えしていた。郷ひろみに似てると思った。

1958年、「Move It」でCliffはデビュー。
この曲のイントロはシーナ&ロケッツのファンにはおなじみのハズだ。
その時のCliffのバック・バンドはDriftersといったが、プロデューサーがギタリストに不満を感じもっと強力なギタリストに差し替えることを画策する。

一方、ある日飛び入りでステージに上がったことがキッカケでHankとBruce Welchはロンドン、ソーホーの「2i's Coffee Bar」専属のミュージシャンとして演奏していた。
そのHankの演奏を見たCliffのプロデューサーが白羽の矢を立て、Bruceもメンバーに加えて改編したバンドがThe Shadowsになったというワケ。
その後、Cliff RichardとThe Shadowsは快進撃を続け、ビートルズ以前にBritish Rockを強力にけん引したのだ。

ハイ、ここでコレを見てください⇒【イギリス-ロック名所めぐり】Vol.5~ソーホー周辺 その1

この中で紹介している「2i's」のプラークに刻まれた「Birthplace of British rock 'n roll and the popular music industry」という文句の大きな意味のひとつはこのCliffとHankのことだったのだ。
何しろ、歴史上イギリスのヒット・チャートにもっとも多くの曲をブチ込んだのは、一位がElvis。二位がCliff Richard、そして三位がThe Shadowsというのだから驚きだ…イヤ、自分の勉強不足だ。
ま、それだけライバルも少ない時代だったんだろうけどね。
この2i's Coffee Barがなかったらブリティッシュ・ロックの歴史は変わっていたのかもしれない。
話しはニューキャッスルにもどって…

Nc_img_6900 ちなみにAC/DCのBrian Johnsonが以前やっていたバンドはGeordieという。GeordieとはNewcastleからタイン川流域に住む人たちが使う方言の名前、並びにこの辺り出身の人がのことを意味する。
イギリスではかなり有名な方言らしい。
South ShieldsにB&Bに泊まった時、おっそろしく早口の女性が面倒をみてくれた。スティーヴが彼女に「そんなに早くジョーディ弁でまくしたてたらシゲは理解できないぞ!」なんて言ってくれたが、スティーヴと長い時間いっしょにいたせいか、はたまた彼女の言っている内容がホテルの決まりきったルールだったからか、英語力がアップしたのか(←コレはない)、スンナリ聞き取れたな

そこからちょいとウラに入る。

140vゼンゼン風情もナニもないビルディング。この地下にあるのが…

150_2ロック・パブ(というらしい)の「Trillions」がある「The Jubilee」とか「The Man in the Moon」だとか、何回か名前が変わってはいるものの、創業開始は30年前だというからなかなかの老舗だ。
休憩がてらスティーヴとエールを頂く。

160_2これがステージ。
出演するのは地元のバンドか中級知名度のバンドが多いらしい。やはり基本的にはパブなのでギンギンにライブ事業を展開しているワケではないようだ。
やはりスティーヴも頻繁に訪れるワケではないが、ミュージック・パブとしてはすごく居心地がいいとか…。
Marshallのインターナショナル・デモンストレーターを務めるChris GeorgeはWaystedというバンドでここに出演したことがあるとのこと。

170_2街のど真ん中にあるThe Gateというショッピング・ビル。2002年にオープンした。
このビルができる前はThe Mayfair Ballroomという有名なダンス・ホール兼コンサート・ホールだった。
イギリスにもドアホがおったわ。こんなツマランものに作り変えてしまったのだ。
180_2
このThe Mayfair Ballroom、スティーヴと前を歩いた時は「ここにも有名なホールがあったんだよ」、「あっそう」ぐらいにしか話をしなかったが後で調べてみて驚いた!

1961年に開業したこのホールは1500人を収容することができ、1999年に閉鎖するまでの約40年間、ヨーロッパで最大のロックのライブハウスだったという。(みなさん「live house」は日本語ですからね!イギリスではそういう生演奏をする施設をひっくるめて「club」といいます)

どんな連中が出演していたかといえば…AC/DC, The Who, Pink Floyd, Queen, The Police, U2, The Clash, Iron Maiden, Judas Priest、Nirvana等々。ようするに「みんな」だ。

スティーヴは1980~1981年の間にここに出演していたこともあったし、アルコールが出される年になった1976年から、ロンドンに引っ越した1983年までここでずいぶん色々なバンドを観たそうだ。最後に観たのは1982年のGary Mooreだって。

で、ですね、ここに関するクロニクル的なウェブサイトってのがあって、これが滅法おもしろい!
記録がナニも残っていなくて、みんなで情報を持ち寄ってページを作ったとか。
出演者が何しろエグイ。
Juicy Lucy、Edgar Broughton、Graham Bond、Jon Hiseman、Quientessence、If(Terry Smith見たい!)、Chicken Shack、Van Dar Graaf Generator、Pretty Things、Derek & Dominos、Deep Purple、Humble Pie、Mottthe Hoople、Fleetwood Mac、Black Sabbath、T-Rex、Ten Years After、Faces、Curved Air…あ~もうキリがない。コレで1970年の一部。
一体、何だコレ?天国か?パラダイスか?それとも冗談か?
60年代もスゴイ。The MoveだのThe NiceだのFamilyだのTrafficだの…。

コレ、今だったら毎晩行っちゃうね、カメラ持って…。
Marhall Blogも毎日Alvin Leeだの、Russ Ballardだの、KossoffだののMarshallの紹介よ。

それにしてもスゲエな、コレ。止まらんわ。IsotopeとかOsibisaまで出てる。
1973年にはCurved AirとGary Moore Bandなんてブッキングもあるね。このGary Moore Band、Nazarethとも対バンしてるわ。

Led Zeppelinがイギリスで最初にライブをしたのがこのThe Mayfair Ballroomだったという。
スカンジナビア・ツアーから戻った末期Yardbirdsが、既にブッキングしてあった1968年10月4日のThe Mayfairのステージを契約消化のために出演した。
ステージに上がったのは例の4人。この晩からバンド名をLed Zeppelinに変えた。セットリストはすでにLed Zeppelinのモノだったという。
これを見た人がニューキャッスルに1,500人ほどいたいたワケだ。ため息が出る。

写真を勝手に使うことを控えているので、内部の様子をここでお見せできないのが大変残念だが、規模の違いはあれどこのゴージャスさは、日本でいえば東京キネマ倶楽部のようだ…とだけ言っておこう。そう東京キネマ倶楽部もかつてはBallroomだった。

The Mayfair Ballroomに興味のある人はコチラをチェックして欲しい。令文さんなんか大喜びするんじゃないかな?ああ。一緒に見て語り合いたい。
Quireboysが「Mayfair」という曲を演っていることも記しておこう。このビデオ・クリップではバックがMarqueeになってるけど…。

そして1999年、The Mayfair最後に日には5,000人ものファンがここに集ったという。だから残しときゃよかったんだよ!Nc_img_6863 O2 Academyはホールのチェーン店。ニューキャッスルのO2 Academyは2005年にオープンした比較的新しいモノ。Uriah HeepやY&Tなどいまだに活動を続けている70~80年代のバンドが比較的多く出演している。

190O2 Academyのすぐそばのギター・ショップ、McKay。
1977年、スティーヴが17歳の時、一大決心をし、大枚はたいてフェンダー・ストラトキャスターとMarshallの三段積みを買うことにした。
今でも使っているメイプル指板のナチュラルのストラトキャスター(私も何度か弾いたことがある)は今はもうない「Rock City」というお店で278ポンドでゲット。当時のレートで13万円ぐらい。

Marshallは1959のフル・スタック、いわゆるUNIT3が希望だった。価格は510ポンド(≒24 万円)。しかし、このMcKayでは現金なら472ポンド(≒9万4千円)で買えた。かくしてスティーヴは人生初のMarshallスタックをここでゲットしたのであった。
しかし、その1959はまったく歪まず、スティーヴはTonebenderのペダルをつながらなければならなかった…とさ。
この話、洋の東西を問いませんな~。

その後、スティーヴはその1959と使わなくなったBキャビを売り払い1973年製の100Wサイズの1987と1972年製の1959を手に入れ、今までも使っている。
Aキャビを売らなかったのは内部にJim Marshallのサインが入っていたからである。事業が成功した後もJimは工場に入り、キャビネットの製造を手伝っていた。ま、一種の趣味だ。

店の中は滅法せまく、商品も少ししか置いてない。

210v一方こちらは「Guitar Guitar」というモダンなお店。Marshshallウォールがうれしいね。

220裏通りにはこんなサルサ・バーも。
200_2
さて、今日のメイン・パート。Newcastle City Hallだ。

230_2落成は1928年。キャパ2135席のイングランド北東部屈指の名ホール。

240堂々たる威容。
この建物ですら解体の危機に迫られている。13000人の反対署名運動が行われたほか、facebookの「North East Music History Group」という団体がこの地方のロック文化の伝承・保護を目的に解体反対運動を推進している。スティーヴはもちろんのこと、私も知らない間にメンバーになっ ちゃってんだよね。でも、時折ポストされるコメントはコアなブリティッシュ・ロック・ファンには貴重な情報ばかりで存外に面白い。
270_2
ロビーはこんな感じ。やはり荘厳な雰囲気だ。

250これは2年前に撮影したものだが、今でも普通にコンサート・ホールとして使用されている。
The Osmomds、Elvis Costelo、Billy Oceanなんて名前が見えるが、私的興味をそそられるのは何と言ってもIan Andersonだ。

260もう挙げ出したらキリがないのでやらないが、まず大御所は全部出てる。
ここのウェブサイトには「みんなで思い出を語ろう!」みたいなコミュニティがあって、開業時の1920年代から思い出を語り合ってもらおうというイキな計らいをしているのだが、悲しいぐらい情報が集まっていない。
そもそも1920年代なんて大正時代だからね。ジャンジャン情報が寄せられることを期待する方に無理があるだろう。でもね、60年代の情報もないのよ…。
やっぱもう壊しちゃおうか…。

で、70年代。やっぱり少ないんだけど、オモシロい書き込みを見つけた。
それはSladeに関すること。
曰く「1974年にSladeを観ました。素晴らしい夜でした。前座はBeckettというバンドでリード・シンガーはTerry Slesserでした。
この人はFreeが解散した後Paul Kossoffが結成したBack Street Crawlerというバンドのリード・シンガーでもありました。
大分後になってライブハウスに出ていたTerryに会った時、このことを話すとうれしそうにこの晩のことを語っていました」
オイオイ、Sladeのことが書いてないじゃないの!

ちなみにBack Street CrawlerはKossff亡き後、Crawlerと名前を変え、Geoff Whitehornをギタリストに迎え活動を続けた。
そして、Terry Slesserは今、スティーヴとバンドを組んでいる。

もうひとつ…
「14歳の時に初めて観たナマのバンドがSladeでした。前座はThin LizzyとSuzi Quatroでした。素晴らしい夜でした」…そりゃ素晴らしいにキマってる!
うらやましいよね~!

その後、Sladeは1981年にココでのパフォーマンスをライブ録音し『Slade on Stage』というアルバムにしてリリースした。元々他の会場で録音した音源と混ぜて2枚組にする計画だったが、他の会場では、アンビエンスで録った音源に、あまりにもたくさんの観客のお下劣な騒ぎ声が入ってしまい使い物にならなくなってしまった。
仕方なくCity Hallだけの音源でシングル・アルバムとして制作されたのだそうだ。

この頃のSladeはもうかなり下火になっていたが、ナンノナンノ、このアルバムを聴く限りでは観客の盛り上がりは異様なまでに激しく、その人気を知ることができる。

Sos
City Hallで録音されたもっとも有名なアルバムはコレだろう。Emerson Lake & Palmer。

Keith Emersonが弾く冒頭のパイプ・オルガンはダーラム(ダーラム大聖堂が有名。ニューキャッスルからそう遠くない)で1861年に開業したHarrison & Harrisonというパイプ・オルガンの老舗の製品で1928年にこのCity Hallに備え付けられた。
当時のレコード会社はロックとして長大なクラシック曲の作品をリリースすることに消極的で、自分たちのクラシックのレーベルからリリースしたが案の定セールスは惨憺たるもので、ELPはこの作品をオクラ入りさせることを希望したらしい。
ところが『Tarkus』がヒットし、レコード会社も元の計画でこのアルバムを世に出すことに同意し、我々が普通に耳にすることになった。
今ではDVDで映像でも鑑賞できるようになったが、あの映像は1970年12月にロンドンのLeyceum Theatreのもので、ここのパフォーマンスではない。

正直、私はちょっとコレ苦手。
曲名を告げるMCへのお客さんの歓声が大きく、エラク受けているが、本当にみんな楽しんだのかしらん?静かなパートではお客さんが飽きちゃってるんだか、結構ギャーギャー騒いじゃってるんだよね。
もちろん「Nutrocker」はいつ聴いてもいいよね!

PeMotorheadの1981年のライブ盤『No Sleep 'til Hammersmith』の一部もCity Hallで録音された。

Index 建物の脇に回ってみる。

280_2これがステージ・ドア。
ここから数えきれない偉大なミュージシャンたちが会場に入り素晴らしいパフォーマンスを繰り広げたワケだ。

290v_2こちらはボックス・オフィス。どこかの工場の中にある売店みたいだ。

300vこれは見ての通りバー。ホールの中のお客さんも中に入らない外の人もここでイッパイできる。
以上Newcastle City Hall。

310v近くのパブ。
週末にはバンドが入る。

320vイギリスにもほら!I AM MAIDENだって!

330vスティーヴに連れられてさらに裏道を行く。こんな行き止まりの細い路地の奥には…

340vギター・ショップ。店の名前は何と「The Guitar Shop」。安直すぎない?

350狭いながらもすごくコージー。
スキン・ヘッドのオッサンはオーナーのBrian Younger。
またすごくいい人でさ。
入った瞬間、店内にはMiles Davisの『Kind of Blue』が流れていて、曲名とパーソネルを全部言い当てたらいっぺんに仲良くなっちゃった!(ジャズを聴いていればこんなのへのカッパ←コレ最近聞かなくなったね)

360リペアの仕事もこなしている。
このテリー、弾かしてもらったらエラク具合がいい。
「これはいいギターですね~」なんて言ってたら、上からジャンジャン在庫のビンテージ・ギターを持って来ちゃって「コレを弾いてみろ」、「次はコレだ!」なんて留まる気配なし。
とても感じのいい人だったな。

370最後にSteve Dawsonと一枚。
ああ、こんなことはもう二度とないだろうな…最高に楽しい一日だった。

Thank you very much for taking your time on that day, Steve.  And I apprecite not only your hospitality but also your cooperation for the addtitional iformation.  I couldn't make it without your generous support.
I wish I was born as a Gerodie so that I could experience the golden age of the great British rock!!
380スッカリ長くなっちゃった!

つづく

参考文献 : ロックの歴史(中山康樹著 岩波新書 2014年)

2014年8月26日 (火)

【号外!】It's a boy, Mr. Gilbert, it's a boy!

おめでたい話題をお送りしよう!
2014 年8月24日、Paul Gilbertがお父さんになった。
男の子。名前はMarlon Kanzan Gilbertくん。

この記事のタイトルはもちろんThe Whoの『Tommy』から。同じタイトルのお祝いのメールをポールに送ったら、MarlonくんをThe Whoに紹介するとか!

な~んか、いかにもポールが産んだみたいな写真だけど、実際に産んだのは奥さんのEmiさん。当たり前か…。
Emiさん、おめでとうございます!そしてお疲れさまでした!

Staticsquarespacecom ポールも人の親だぜ。さっそくこんなの作っちゃった!ロゴをよく見て!
メールにもこんなことが書いてあった。「シゲさん、MarlonもMarshallも頭文字が『M』なんだよ!」って!

もちろん返事はこうだ。「ポールさん、おめでとう!Marlonくんがギターを始めた時、アンプは絶対Marshallだぜ!」って!
毎度あり!

Congratulations Paul-tosan!

Marlonamp (写真提供:Paul Gilbert)

ZEPP DIVER CITYのグッドモーニングアメリカ

あんなに「暑い、暑い」と大騒ぎした夏も、気が付いてみればピークを過ぎて夏フェスもひと通り収まったって感じかな?
それでも十分暑いか…。なんだってこんなに蒸すかねェ~?

さて、その夏フェスを総ナメした感すらある絶好調のグッドモーニングアメリカ。
7月の初めに千秋楽を迎えた「7つの秘宝を探す冒険2014」と題したワンマンツアー。
会場はZEPP DIVER CITY。
オラオラ、今日もソールド・アウトだせ!

10いつも通りのたなしんのオープニング。やっぱりコレがなきゃ!
客席から担がれての登場。
この肉襦袢はドラゴンボールのヤツやね…って私はドラゴン・ボールってサッパリわからんからね。
マンガで始まったのが1984年か…。翌年からサラリーマンやってたわ。世代の違いをすさまじく感じるねェ。

201曲目から「イチ、ニッ、サンでジャンプ」で飛ばす!

30金廣真悟

40渡邊幸一

50たなしん

60vペギ
今日は金ちゃんを除いて全員瞑想系の写真でまとめてみた!

70「突破していこう」、「光となって」、「アブラカタブラ」…続けざまに4曲プレイ。

80今日はタップリ時間のあるワンマンだから惜しみなくジャンジャン演っちゃうよ~!

100v「キャッチアンドリリース」、「言葉にならない」、「バンバンガンガン」、「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」…。

110v自分のコーナーではあれほど暴れまくるたなしんだが演奏中はかなりモクモクだ。音楽に集中しているのだ。

120v幸一ちゃんはもちろんMarshall…って毎回うるさくてゴメンね。でコレはコレでこういう仕事だから…。

130vいつもの1959と…

1401982BLTD。

150v足元のようす。

160そしてペギちゃん。

170こちらもいつものバーチのキット。

180メインのスネアはアルミ・シェルだ。

190たなしんのセレモニーもいつも通りバッチリ!

200v「少年」、「空ばかり見ていた」、「マリオネット演者/詩」、「未来へのスパイラル」…

210もうね、盛り上がりすぎちゃってどうにもならないの。
プレスピットに入って撮影しているでしょ?ステージの照明の熱と背後から迫りくる若い人たちの熱気で完全なサウナ状態!
しかも、時折人が降って来るし!前に後ろに一時もボケッとしていられない!
マーブロやるのも命がけだぜ!

220「だけど不安です」、「ファイティングポーズ」、「ミサイルをぶちかましてぇな」…
コーラスでも激演で大活躍のペギちゃん!

230全編入魂のパフォーマンスで観客とバンドをリードした金ちゃん。この真摯な姿勢に並々ならぬ彼のミュージシャンシップを見る思いだ。このバンドのメンバーはみんなそうなんだけどね。

240「メロディ」、「たった6文字じゃ」、「喝采」と続け、全18曲、本編を終了した。

世代がいくつも違うので仕方のないことなのだが、彼らの演奏している音楽と普段私が聴く音楽との間には大きな隔たりがある。
ところが…毎回コンサートにお邪魔してこれだけ実際の演奏に接しているのだから当然なのだろうが、親近感を強く抱くグドモの曲がものすごく増えて来た。
勢いのあるバンドというものは、こういうことなのか…と思った。

バンドが人を惹きつける要素はいくつもあろうが、結局は曲の「存在感」なのだろう。
これだけは、どれだけ時間が経とうと、トレンドが移ろうと、どんなタイプの音楽であろうと、永遠に変わらない公理なのだ…音楽なのだから当然だ。

250vアンコールの「拝啓ツラツストラ」では7つのボールが!

260そしてドラゴン。

270「輝く方へ」…。
グドモのさらなる願いは必ずやかなうことだろう。

280グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルウェブサイト

290
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年7月5日 ZEPP DIVER CITYにて撮影)

2014年8月25日 (月)

Guitar☆Man Disco #15

15回目のGuitar☆Man。アレレ、いつもと様子がゼンゼン違う!
2_img_0078

このおじさん、どう見てもDeep PurpleやLed Zeppelinじゃない!ブリティッシュ・ロックに普通こういう人はいません。

2_img_0013…と思ったら今回はディスコ大会なのだ~!

流行ったよね~ディスコ。
映画『サタディ・ナイト・フィーバー』がキッカケなのかな?その前にブームの下地が出来上がっていて、トラボルタで大爆発!というところか…。
…と無責任な説明をしているのは、私は門外漢だったから。

『サタディ~』が大流行していた頃、私は高校生で、悪友に誘われて一度だけ新宿のディスコへ行ったことがあった。「USA」っていったっけかナァ。

こっちはKing CrimsonだのSoft Machineだの10c.c.だのUFOだのLittle FeatだのNazarethだのギンギンにロックに夢中になってた時分だからね、場違い感が半端じゃなかった。
そもそも運動神経がまったく欠落しているもんだから「踊り」自体が恥ずかしくてしょうがない。身体はワイヤーロープのように硬いし。
それにしてもこの時の「アウェイ感」たるやすさまじいモノがあったな。「山の生き物」が海へ来てしまってどうしたらいいか全くなす術がない…みたいな。

あれから結局、大学に入った後、仕方なくお付き合いで六本木の「ブルーなんとか」とかいうお店に行ったのを覚えているが、それ以降はまったく行ったことがない。結局、踊ったこともない。

チョ~ット、急に思い出しちゃたんだけど、高校の時に民間(?)の音楽サークルに参加していたことがあって(Guitar☆Manでもおなじみのギタリストさんには、35年前そこで初めてお会いした)、そこに出入りしている人がキーボードで参加していたバンドが「やまと」というグループで、「新宿ディスコナイト」というシングル盤を出していた。
これがYouTubeにアップされていた。覚えているもんだね~。見たら懐かしくて一緒に歌いながら涙が出ちゃったよ。1979年のことだそうだ。

あの頃は今と違って、レコードを出すなんて大成功もいいところだからね…。スゴイと思ったよ。みんなで応援しているウチに曲を覚えちゃったんだね。今聴いても十分スゴイわ。興味のある方はココをクリック。
ディスコの思い出っていったらコレぐらいかな~。

ちょっと待てよ…さっきから「ディスコ」、「ディスコ」って言ってるけど、最近はもしかしてこの言葉も「クラブ」という言葉に浸食されてもはや死語に近いんじゃない?
私は同じ「クラブ」でも「東京キネマ倶楽部」の方が断然落ち着くわ!

さて、Guitar☆Manのディスコ。
こちらは「ディスコ」の思い出が新たに増えるような楽しい内容だった。
当日は二部構成になっていたが、ここでは第一部の模様をレポートする。

親方!伊藤広規。

40vモーリス・ホワイト!…じゃないペッカー。

50vアイク植野

55v西脇辰弥

60v本間将人

80v篠田元一

90外園一馬

100矢吹文裕

D_img_0071 富永TOMMY弘明

110藤原美穂

120v浦田健志

130vオープニングは「Pick up the Pieces」。あ、コレ、Avarage White Bandだったのね。
Marshall Blogは知らないことは知らないってチャンと言います。
もちろんAWBは知ってますよ。でもこの曲とは結びついていなかった。

このバンド、不思議とスコットランド出身なんだよね。最近のスコットランド問題も微妙だよな~。

Albert Leeみたいに「え、この人イギリス人だったの?」ということがたまにあるからおもしろい。
ちなみに…『風と共に去りぬ』のヴィヴィアン・リーはイギリス人なんですよ。あの映画が公開された時、アメリカの男性が「オイオイ、イギリスにはこんな美人がいるのかよ!」とこぞって腰を抜かしたそうだ。
さらにちなみに、親方もヴィヴィアン・リー・ファンだそうだ。この話し、詳しくはコチラをご覧あれ!
それにしても美人も基準もずいぶん変わった。

さすがの名手ぞろい!
ノッケから濃密でノリノリのパフォーマンスが飛び出した!
ところでこの曲、Tower of Powerの「Scuib Cakes」とゴッチャになっている人は私だけでないのでは?

2_img_0002 定番「Stayin' Alive」、「Lady Marmalade」。

そういえばナンダカンダ言って『サタディ・ナイト・フィーバー』って観てないんだよな。ついでに言えば『スター・ウォーズ』も観てない。

先に書いた通り、『サタディ・ナイト』が流行ったのは高校の時のこと。父の命令で千葉の鹿野山に座禅を組みに行かされたことがあった。「鹿野山」って、神野寺って寺が飼っていた虎が逃げ出しちゃってハラホロヒレハラになっちゃた、あの鹿野山。
そこへ外人も来ていて、『サタディ』のTシャツを着ていた私よりちょっと年上の人にこう話しかけた。
「サラディナイフィバ、ミマシタカ?」
するとその人、「ふ、ふ、ふ、ふぁいぶ!ふぁいぶ!」とと手のひらを広げながらしきりに英語で答えていた。
それを観ていて、思った「フムフム、これはなるほどみっともない!」…この時日本語で話しかけられたら日本語で返事をするもんだと悟った。

ごめんなさい。これぐらいしか思い出がないのよ。

「Lady Marmalade」はLabelleというアメリカのコーラスグループの1974年のシングル…だそうだ。2001年Christina Aruilera他が映画『ムーラン・ルージュ』の主題歌としてカバーした。

140いつもはギタリストがハバをきかせているGuitar☆Manだが…

150今回ばかりはボーカル陣が仕切らせてもらうぜ!…って感じの迫力のパフォーマンス。
170
いつものGuitar☆Manのボーカル部隊から唯一参加の浦っちゃん。
オイオイ、Nirvanaとエラク違うけど大丈夫?…とおもったらバッチリ!やっぱりいい声はどんな音楽にもマッチするんだね。さすが!

160ところで今夜のディスコ・ナイトでも広規さんを後ろからバック・アップするのは…

180EDEN WT-800とD410XSTのフルスタック!
信じられないくらいグルーヴする広規さんにどこまでも付いていきます!

190vK.C. & The Sunshine Bandのメドレー。
200
「Get Down Tonight」から「Shake Your Booty」、「That's the Way」。

1_img_0099 「Shake Your Booty」はFrank Zappaファンにはメチャクチャなじみ深い。ロック史上に燦然と輝き、いまだに少しも色褪せる気配すらない世紀の名盤「Sheik Yerbouti」の元ネタだからね。(←急に力が入っちゃってスミマセン!今回ココぐらいしか頑張れるとことがない!)
広規さんもZappaズキだ。
250v
Zappaはこの頃のディスコ・ブーム揶揄して、このアルバムに「Dancin' Fool(ダンスバカ)」という曲を、他に『Zoot Allures』というアルバムに「Disco Boy」という曲を収録した。
それほどの世界的ブームだったのだ。
205v
「That's the Way」はハコバンをしていた時によくやった。コードが2つで単調すぎて、混乱してしまうことが時々あったっけ。
もちろんこのバンドは鉄壁の演奏で、大歓声が上がっていた。定番中の定番だもんね。

210ここでゲストのうじきつよし登場!
うじきさん、張り切って暴れすぎてヅラが取れちゃった!

220v曲はGraham Sentral Stationの「Ain't no fun to me」。

うじきさん、久しぶりにお会いした。2011年の子供ばんどの再結成の時以来だ。
相変わらず、炎のようなパワーでビックリするほどステージ上で暴れまくる姿が印象的だった。

230こんな感じ!

240v「Celebration」…

2_img_0054

「Get Ready」…

2_img_0105 今日の演目はいつものGuitar☆Manとは異質のものだが、大きな共通点がある。
それは演奏される曲たちのクォリティの高さだ。
ファッションや生活(時代)等、ディスコのブームを形成する大きな要素がいくつもあったのだろうが、こうして改めて聴いてみると、とどのつまりは曲が良さだったということがよくわかる。
演奏された曲たちは「Smoke on the Water」や「Stairway to Heaven」のように永遠に人類に歌い継がれていくことだろう。

翻ってみるに、ここ数年で未来に歌い継がれていくような名曲がうまれたか?ほとんどないでしょ?
あれだけ強引に聴かされればさすがに耳に馴染んでサビのひとつ口ずさんでしまうってもんだよ。ホント「ありのままに」しておいてもらいたいわ。

2_img_0017

やっぱりスゴイ広規さんのグルーヴ。なんでこうなるんだろうな~。教わってできるモノじゃないことだけはわかってるんだけど…。
もうベースを聴いているだけでシ・ア・ワ・セ!

260vここでまたまたスペシャル・ゲスト登場!
あでやかなダンスで大輪を添えてくれるのは東京バーレスクのみなさん!

270広規さん、チョットチョット、どっち向いてんの?!
290v
曲はこれまた定番「Can't Take my Eyes off you(君の瞳に恋してる)」!
これで盛り上がらないワケがない!

280レポートはココで終わるが、ショウはこの後狂乱の第二部に突入した。

伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規ホームページ

Guitar☆Manの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

300(一部敬称略 2014年7月9日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2014年8月22日 (金)

田川ヒロアキ~Music Traveling in Summer2014~

今年2月に発足した田川ヒロアキ・ファンクラブ。
それを記念したコンサートが開催された。

10_2しかし、この人もトコトン忙しい人だ。
自分の定期ライブをはじめ数々のサポート仕事、作曲、カラムーチョまでこなしている。
しかも、そのどれもに全力投球だ。
いいですか皆さん、彼の場合、仕事を増やすということはそれだけ「曲を覚えなければならない」ということに直結するワケです。譜面は役に立たないんだから。

譜面が送られてきてチャチャチャとさらって、本番は譜面見ながらサラり…なんてことは一切できない。
すなわち演奏する曲を全曲暗譜しているワケ。それもコード進行だけじゃないからね。メロディは言うに及ばず、本番ではアイ・コンタクトができないから曲の構成も完璧に覚えるしかない。
演奏中に頭を指さしてダ・カーポするなんてあり得ないのだ。

音感だけでなく、恐るべき集中力と記憶力を持っているのだ。
私もMarshall Blogの記事を書く時、どうしても思い出せないことはジャンジャン彼に訊いちゃう。
すると、「ああ、あの時はですね…」と、大分前に糠床に入れたキュウリを何の疑いもなく一発で取り出すおばあさんのように記憶を引き出してくれるのだ。
実は今日の記事を書く時にもメチャクチャ助けてもらいました、ハイ。

今回のイベントはセッションというスタイルではなく、前からアイデアを温めて、バンドのみんなでひとつのショウを作り上げようというコンセプトだったという。
そのヒロアキくんのねらい通り、最初から最後まで丁寧に作り込んだ構成で、集まったファンを感動させた。

20_2本日の主役、田川ヒロアキ。

30v石黒彰
50
石川俊介

40v高インボム

60今日もお供は愛用のJMD501。
ハードなディストーションからリリカルなクリーン・トーンまで、完璧に使いこなしている。JMDはもはやヒロアキくんの臓器だ!(キュウソネコカミより…)
80_2
オープニングは「Symphony」。

今回のショウの第一部のテーマは「旅」。ヒロアキくんの曲を題材に音楽で旅をしよう…というワケ。
曲の間に「旅」の説明がはさみ込まれる。
まずは電車に乗って「Train」。例の鶯谷のヤツね。この曲についてはコチラをご参照頂きたい。
90

夏に電車に乗っていく先はどこだ?(←コレはヒロアキくんのMCではないよ)
そう、山!…じゃない、じゃない、山へ行ったら旅が続かない!
海ですよ、海。「Train」で海。
海の田川ナンバーといえば…「Seascape」。

私は人ごみが苦手なので、混んでいる時にワザワザ混んでいるところへ行くのがイヤなので、もう今夏の旅行はコレで済ませることにした。
ただ、テレビでUターンラッシュのようすを見るのは大好きなんだけどね。

Img_0053 …ここでトロピカルな新曲「みなみかぜ」。

70
潮騒から『Ave Maria』収録のバラード「With Love」。
ハコが海の家になってきた。「ラーメン一丁!」 不思議とウマい海の家のラーメン…もうずいぶん長いこと食べてない。

Img_0038 するとどこからともなく「おまつり」の音が…。
ナニもすることがなくて、おろしたてのバラ色のシャツ着て…あ、シャツは黒いか…。

わたしにとっての「おまつり」は三社でも下谷でも鳥越でもなくて四人囃子なんだけど、ヒロアキくんにとってのお祭りは「よさこい」だ。
長崎県対馬市のよさこいのために作った「桜雪Ma-u」。

Img_0044 「よさこい」はアルバムも制作しているヒロアキくんの得意分野なのだ。
下がそのアルバム『男なら』。故郷の山口県から委託されて制作した「よさこい」集。ハードなロックが実にうまく溶け込んでいて、かなりの力作に仕上がっている。
Yosakoijacket
夏の風物詩といえば「ビア・ガーデン」。暑いし、高いし、食べ物マズイし…で私はビア・ガーデンにいい思い出がないけど、ここはビア・ガーデンに来たつもりのトーク・コーナーが展開した。。

Img_0225_2 そして第一部の最後が「Ave Maria」。

Img_0227 なるほどこの旅、最終的に行きつく先はこの「美しいギター」による音の桃源郷だったのか!とはオオゲサか。イヤ、JMDがあまりにもいい音を出していたのでつい…。

100v_2こうして夏の音楽旅行は全行程を終了したのだった。ああ、明日からまた会社かよ~…てか?
ノーノー、まだコンサートは続くのだ!

95そして第二部では自作自演でヒロアキくんの音楽半生記がつづられた。

ヒロアキくんの音楽ルーツのひとつはピンク・レディ。曲がヨカッタからね~。

110そして、LOUDNESS。高崎さんのパートを完璧に再現!

120山本譲二と共に務めている山口県のふるさと大使についても触れた。その関係もあって、先の山口国体のセレモニーでギターを弾いたのは記憶に新しい。

130さて、このコーナー、ヒロアキくんの演奏とレアな写真ももちろん大きな見どころだったが、素晴らしかったのはナレーション。担当したのはマネージャーの吉岡美瑞穂さん。
いつもヒロアキくんをステージに誘導しているあの美人さんね。
もともとテレビ局のプロのレポーターだっただけに完璧!鈴を鳴らすような声でヒロアキくんの半生を語り上げた。
第二部の成功のカギは美瑞穂さんも握っていたと言っても過言ではあるまい。

下は当日撮った写真ではないが、右が美瑞穂さん。ヒロアキくんの両隣りはヒロアキくんのご両親。ヒロアキ・ヒストリーということで特別にご登場頂いた。

Img_0524 そして、第三部に突入。
まずは田川バンドの演奏。

140_2シングル盤にもなったおなじみの「Keep Flying」。

150_2ここでゲストが登場した。

160二井原実

170v知っている人なら知っている、知らない人は全然知らないだろうが、ヒロアキくんが世に出てくるキッカケを与えてくれたのはナニを隠そう、別に隠さないけど、この二井原さんなのだ。(ココ、二井原さんのMC風に書いてみた)

ある日、二井原さんがネットサーフィンをしていて、たまたまヒロアキくんに出くわしたのだ。
そして、2006年二井原さんのソロ・アルバム『Ahses to Glory』のギタリストに起用された。
コレ、ヒロアキくんがゲストで何曲がチョロっと弾いているなんて思ったら大間違い。このアルバムで聴けるギターはすべてヒロアキくんが弾いているのだ。
二井原さんが全幅の信頼をヒロアキくんに置き、ヒロアキくんは見事にそれに答えた作品。
第二部でも自分の音楽のルーツにLOUDNESSを挙げていたヒロアキくん。この時の喜びたるや計り知れないものがあっただろう。
もちろん当時の持てる力をフルに発揮したかのような壮絶なプレイが収録されている。

Mn
その恩人との共演。
もちろんMarshall Blogでもレポートしてきた通り(たとえばコレ)、2人の共演は初めてではないが、ヒロアキくんの方から二井原さんにゲスト出演をお願いしたのは今回が初めてだったそうだ。

180vまず演奏したのはアルバム2曲目に収録されている「Fever」。カッコいい曲だ。レコーディングではホーンまで入ったゴージャスなアレンジとなっていたがここではストレートにロックしていた。
この曲、クレジットを見ると二井原さんとヒロアキくんの共作なのね!

190一部に引き続いて完璧な演奏でヒロアキくんを支えるバック陣!
ヒロアキくんのもうひとつの頭脳、石黒さん。

200石川さんの確実かつ誠実なプレイでバンドがビシとしまる。

210v高くんはドラム・ソロも披露。一緒に行ったね~、台風の宮古島!アレもレポートを書き直してまたいつかアップしようね。

220v_2続いては同じく二井原さんのアルバムから「Long Live Your Life」。ミディアム・テンポのドラマチックな曲。

230_2そして、Bruno Marsなるアメリカのシンガーソングライターの「Talking to the Moon」というバラード。

240_2私はBruno Marsという人を知らないが、客席からは大きな歓声が上がっていた。
こういう甘~いバラードも二井原さんの得意とするところだ。

250_2そして最後は第二の名古屋市歌、Dioの「We Rock」。

「世界の二井原」、さすがのスーパー・シャウト!
ああ、自分で好きな曲を選んで、二井原さんに歌ってもらってアルバムを1枚プロデュースできたらどんなに幸せか…やってみたいナァ。

260何しろ驚異的なパワーでステージがすっかりスゴイことになって二井原さんのコーナーを終え、本編を締めくくった。

270アンコール。
また田川バンドに戻って、ヒロアキくんのテーマ曲的作品「My Eternal Dream」。

D_img_0148弾くわ弾くわ!石黒さんとのバトルも最高にエキサイティング!

D_img_0150 さらに、先ごろ亡くなった小川文明さんに弔辞が送られた。
私もヒロアキくんたちと一緒に文明さんのお別れの会に参列させて頂いたが、その時は気丈に振る舞っていたヒロアキくん。
それから数日経って、「文明さんとはもう一緒に演奏することができない」という実感が猛烈に沸いてきたのか、文明さんへの言葉をつづる中、大粒の涙をこらえることができなかった。
それを見ているこっちも涙がこぼれ落ちてしまった…。

280「生きていれば、辛いことも悲しいこともあるけれど、自分の道をひたすら歩いてきます!」と文明さんに伝えるかのように「My Way」を熱唱した。
Go over big with Marshall!!

290出演者全員でご挨拶。

320そして退場~!石川さんの手刀が何ともいえない!

330サイン会も2人で席を並べた。ものすごい長蛇の列!

この数日後、LOUDNESSのコンサートの時、サンプラザの楽屋で二井原さんにお会いした際、「ホンマ、ええコンサートやったね~!CDもよう売れた!」なんておっしゃってた。
ヒロアキくんの生みの親的存在のおひとりである二井原さんにとっても感慨深いショウとなったようだ。

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

340(一部敬称略 2014年7月6日 六本木Beehiveにて撮影)

2014年8月21日 (木)

還暦ーズ ライブ2014~Sweet Sixty 1954~

最近「還暦」にまつわる記念コンサートに出くわすことがよくある。実にいいことだね。ポピュラー音楽の寿命がドンドン延びているということだ。

60年前の1954年というと、ロックンロールがまだ若き頃、お生まれになった方々にはビートルズの出現が小学生の時、60~70年代のロックやフォークが一番エキサイティングだった時代を経験している。何よりも、最もいい音楽を聴いて育った世代の人たちなのだ。
そして、日本のロックやニューミュージックが市民権を得、オリジナリティを保ちながら隆盛を極めた時代に自分たちの音楽をクリエイトしてきたワケだ。
すなわち、日本のポップスが一番おいしく、おもしろい時代に作る側の中心にいたことになる。

コンピュータで音楽を作るなんてことなど発想すらなかった時代。「同期」といえば「桜」の方に親しみを感じる世代の方々。
楽器の腕は超人的だ。よりオリジナルに近いところで音楽を吸収し、楽器に関する情報が極端に少ない中、手探り、体当たり、根性、意地、そして音楽への愛情で楽器の奏法をマスターした人たちだ。

さて、出演者がお生まれになった1954年にはどんなことが起こっていたかちょっと調べてみた。昭和29年。戦後から10年も経っていない。
●アメリカで世界初のカラー・テレビの放送が開始。
●ジョー・ディマジオとマリリン・モンローが2月に新婚旅行で来日してる。
●3月に第五福竜丸の死の灰事件。60年後の今も同じ事件が起こってる。
●初の集団就職列車が運行された。青森⇒上野だ。
●明治製菓から缶ジュースが初めて発売されたそうだ。
●「自衛隊に海外派遣させない」ことを参議院全会一致で可決。何だ今の日本は?いかに今戦争の惨禍が忘れ去られたかがわかる1件。
●9月には洞爺丸事件。台風で青函連絡船が沈み1155人が亡くなった。日本海難史上最悪。
●アメリカNBCで『The Tonight Show』がスタート。コレ、60年もやってんのかよ!
●映画『ゴジラ』公開。ゴジラも還暦なのね。
●『七人の侍』もこの年の封切りだ

今日のレポートは去る7月6日に開催された還暦を迎えたミュージシャンによるスペシャル・コンサート『還暦ーズ ライブ2014~Sweet Sixty 1954~』。
思い出の名曲でつづる「お祝いコンサート」だ。

10カセット・テープのイラスト、テープの部分には「SIXTY YEARS OLD」と入っている。「60」のレタリング、そして赤…完璧な60'sグッズ!
カセット・テープずいぶん買ったな~。中学の頃は秋葉原へ行ってハコ買いしてた。まだワープロなんか全然ない時代で、レーベルには手で慎重に曲名を書き込んだ。

「Lカセット」ってのもあったね。アレまだ持っている人ってこの世にいるのかしらん?
MDってのもサッパリ見なくなった。
そうしてみるとこのオープン・リールに代わって登場したカセット・テープというものはかなり長命だったことになる。大発明だったんだね。

20さて、コンサート。
オープニングは「すてきな60才」。ウマい!

もちろんオリジナルはニール・セダカの「すてきな16才(Happy Birthday Sweet Sixteen)」。
歌詞が「♪Happy Birthday Sweet Sixty」になってる!
いい曲だよね~。
私も以前、会社の都合で信州に住んでいた時、パブのハコバンを長いことやっていたんだけど、この曲よく演ったな。我々が演奏するとギンギンのドライビング・チューンになっちゃってたけど…。

30出演は…
庄野真代水越恵子。

40サーカスの叶高。

50v杉真理

60v白井良明

70v岡崎倫典

80坂本洋

90v林敏明

100vそして我らが伊藤広規!
み~んな60歳!若い!みなさん映画が1,000円で観られるそう。

広規さんは生まれ月の2月に盛大に還暦のお祝いをしたもんね。その時の模様はコチラ

110v懐かしのメロディでも超人的にグルーヴしちゃう広規さんのお手伝いするのはEDEN。
最上位機種World Tour800と4x10"スピーカー・キャビネットD410XLTが2台のフルスタック!

130vホント音いいわ~。もっとも弾き手がスゴいんだけど…。

140真代さんと恵子さんでザ・ピーナッツ。
曲は「ふりむかないで」。岩谷時子と宮川泰コンビの初のヒット曲。コレ、元はアメリカン・ポップスなのかとずっと思ってた。
1962年の発売。52年前だよ!Marshallアンプの第一号機が産声を上げた年だ。

偶然にもこの曲がMarshall Blogに登場するのは2回目だ。
以前に登場したのはイリアさんが演奏した時のことだ。
ちょっとコチラをご覧いただきたい。↓
The Paisleys & JUICY HALF ジョイントLIVE <後編>

この曲の可愛さについて触れた。
今回、真代さんと恵子さんもまったく同じことをMCでおしゃべりになられたので驚いた。
「可愛いわよね~、靴下を直しているところを見られたくないなんて!」って。
やっぱりみんな思うんだね。
メロディやアレンジだけじゃなく、歌詞も素晴らしい。ホントに昔の曲は魅力的だ。古くなるどころか齢を重ねるにつけ価値が増しているではないか!
210
このコンサート、トーク・コーナーがまた充実している。もちろん昔話…イヤ、思い出話。
「物心ついた頃の最初の曲の思い出」や「はじめて買ったレコード」の話しで盛り上がる。

150開演前にセットリストを頂戴した瞬間「スーダラ節(伊藤)」というのが目に入った。
「オワ!広規さん、スーダラ節歌うのかよ!子供ばんどみたいだな!」…と思ったら大間違い。広規さんの思い出の曲だった。

160vみんなで持ち寄った幼少時代の写真がまたウケるウケる!
電車のおもちゃを大事そうに抱えているのは広規さん。今はこれがジャズ・ベースになってる。
それにしても背景がスゴイな。1950年代後半ってまだこんなだったんだね。
畳屋さんか…。畳屋もあんまり見なくなったな。まだ後ろの路地は舗装をしていないように見える。
おそらくこの写真が撮影された4~5年ぐらい前まで日本はアメリカに統治されていたんだぜ。

どなたの写真だったか忘れたけど、オカッパ頭の女の子の写真が出て来て叶さんがひと言…「ウ冠みたいなな頭ですね!」って。死ぬほど笑った!

170広規さんがはじめて買ったレコードはThe Bee Geesの「Massachusetts」だそうだ。1967年のヒット曲で、全世界で500万枚が売れた。
歌うは杉さん。

190vそして、続くはGSの大メドレー!
ちょっとセットリストを引用する。
1.    あの時君は若かった
2.    君に会いたい
3.    スワンの涙
4.    バラ色の雲
5.    想い出の渚
6.    長い髪の少女
7.    シー・シー・シー
8.    エメラルドの伝説
9.    好きさ好きさ好きさ
10. トンネル天国
11. 小さなスナック
12. 白いサンゴ礁
13. ブルーシャトー

ハイ、マーブロ読者の皆さんはどれくらい歌えますか?私はほとんどOK。
GSブームというのは一般的に1967~69年とされているようだ。私は幼稚園だった。
なんでミリタリー・ルックだったんだろうね?「サージェント・ペパーズ」か…。

それにしてもこの名曲の数々はどうだ!今もバンド形態の歌手がひっきりなしにテレビに出ているが、50年近く歌い継がれているこれらの曲とはクォリティが雲泥の差だ。まさに「世界の終り」を感じさせる。
今の若い人たちが歳をとった時に歌う歌は一体なんだろう?今から30年後…それを見届けてから死にたいな。それまでマーブロ続けるか?
200vその名曲を最高の歌と演奏で再現してくれるのだからタマらない。思わずいっしょに歌っちゃうよね。

この時代の曲も粒ぞろいだけど、もうちょっと時代をさかのぼっていわゆるオールディーズ時代の曲をまた見直してはどうかなと思う。
この原稿を書くのにオールディーズのCDを引っ張り出してまた聴いていたんだけど、やはり、今さらながら、この時代のアメリカン・ポップスにはポピュラー音楽のすべてが入っているように聴こえたね。
歌詞も秀逸。今でこそややストレートに英語の歌詞が頭に入ってくるようになってわかってきたけど、やっぱりこの歌詞をそのまま言語で理解している現地人たちの音楽の楽しみ方は我々のそれとは全く異なるものだ。
したがって一時大流行した和製ポップスというのは至極正しい方法論だったのかもしれない。

Nancy Sinatraの「Like I Do(ナゼか邦題は「レモンのキス」。これもザ・ピーナッツ」なんてホント可愛くてステキ。「like I do(わたしのように)」をキーワードに彼氏の気を惹きつけるというような内容なんだけど、実にうまくできてる。
日本語の歌詞は似ても似つかない内容だけどね。

どの曲もいいけど、私のお気に入りはConnie Francisの「Lipsticks on Your Coller」かな?ギター・ソロがまた滅法カッコいい!この曲もコピーしてよく演った。

とにもかくにも今の日本の音楽界に必要なのは無理して黒人のマネをすることでも、新しい技術でも、はたばたファッションでもなく、「温故知新」だと思う。

220v実はこの日、ダブルヘッダーで、この第一部の終りあたりで次の現場へと移動しなければならなかった。残念!
第二部でも名曲が次から次へと演奏され、最後には合唱隊も加わるという壮大な内容となっていた。
広規さんのウクレレ・ベースの超絶プレイが見れなかったのも残念だった。

次回は…「古希」か、その時はユックリと取材させていただきましょう!
マーブロも年なんかとってられんぞ、コリャ!

230名曲たちが永遠に歌え継がれんことを願ってやまない。
そして、ご出演の方々がいつまでも元気でご活躍されることを祈っています。
還暦おめでとうございます!

240伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

250ところでこの会場、2000年に開催した「Marshall祭り」の舞台だった。
AVTシリーズの発表会も兼ね、Jim Marshallも参加した。発表会では私が通訳をやらされたんだけど、Jimの英語を聞き取るのが大変で冷や汗のかきっぱなしだった。
あの頃のJimはまだものすごく元気で、大勢のお客さんと握手をして写真を撮っていたっけ。
14年ぶりに訪れてとてもなつかしかった。

(一部敬称略 2014年7月6日 新宿スペース・ゼロにて収録)

2014年8月20日 (水)

METROCKのグッドモーニングアメリカ

色々あってアップが遅くなっちゃったけど、METROCKのレポート追加しちゃいます。

すでにキュウソネコカミのレポートで触れたとおり、METROCKとは「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL」の略。
東京湾に面した新木場の若洲公園で開催される都市型ロック・フェスティバルだ。開催されたのは5月24日と25日。暑くなく、寒くなく、一番いい季節。(私は正直に言います。スミマセン、この辺りほとんどコピペ)
やっぱりフェスはこれぐらいの季節にやった方がいいって!
夏フェスが一段落した今、そういう意味ではこの記事のアップは実にタイムリーかも!(勝手なイイワケ)

10グッドモーニングアメリカのステージ。

20上手にはMarshall。JCM800 2203と1960A。

30v中央にはNATAL。

40スネアは14"x5.5"のアルミ・シェル。

50開演前のオフ・ステージのようす。

60軽くウォーミング・アップする真悟ちゃん。

70ゼンゼン緊張していない様子のペギちゃん。

80すでに客席は盛り上がっちゃってる!入場規制がかかったぐらいだからね。

90そして、たなしんがステージに現れた!

100「グッドモーニングアメリカはじめます!」

110v1曲目から「キャッチアンドリリース」。余計に盛り上がる!

120_2金廣真悟

130v渡邊幸一

140vたなしん

150vペギ

160v続いて「空ばかり見ていた」。

170v絶好調の4人。

180vやることなすことが上昇気流に乗っている。

190v自信にあふれたハツラツとしたパフォーマンスはやはり見ていて気持ちのいいものだ。

200vステージ上の4人とがっちりタッグを組んでいるかのような客席。

120お互いにインスパイアし合ってステージは進む。

アレ!、金ちゃんの靴。私もほとんど同じの持ってるわ。コレはいてイギリスへ行ったことがあるんだけど、大騒ぎだったよ。どうも彼らの感覚では靴でこの色はあり得ないらしい。
中には「写真撮らせてくれ」ってヤツもいたし、Marshallの若いヤツは昼休みに彼女とSkypeのテレビ電話で会話している途中に私の青いスニーカーを発見して、「オイオイ、シゲシゲ!その靴を彼女に見せてやってくれよ!」と靴を履いたまま机の上に足を乗せられた!

210Marshallが繰り出す分厚いギター・トーンでカラフルにバンドを彩る幸一ちゃん!

220「アブラカタブラ」

240おなじみのたなしんのコーナーがあって…

250v新曲(当時)「拝啓ツラツストラ」。
280

今日もワイルドに、そしてパワフルにグドモをドライブさせるペギちゃん。この目ツキ、何かを狙ってる?!そう、世界レベルのドラマーを狙ってるのだ。

260名曲「イチ、ニッ、サンでジャンプ」で勢いは最高潮へ!
275
そして、最後は「未来へのスパイラル」で大合唱。

270vほんの6曲とアッという間のステージだったが、その魅力を十二分に発揮した!
230v

終演後にはインタビュー。

290みんな揃って「たなしんポーズ」!めちゃくちゃイキが合ってる。かわいい!!
アレレ、たなしんはシカト…。

300グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルウェブサイト

310(一部敬称略 2014年5月24日 新木場若洲公園にて撮影)

2014年8月19日 (火)

Kelly SIMONZ'S BLIND FAITH~SIGN OF THE TIMES at 東京キネマ倶楽部 "The Seventh"

東京キネマ倶楽部においてシリーズで展開しているKelly SIMONZのコンサート。
今回はBLIND FAITHを引き連れての7回目の登場だ。

M_img_0038 ステージの主を待つMarshall Wall。ロック・コンサートのステージでもっとも標準的にしてもっとも魅力的なステージ・セット。
ギターを弾く者を鼓舞し、名演を演出する。
20オープニングは「Sign of the Times」。

30

Kelly SIMONZ

40vKellyさんの足元。自らの名前を冠したペダルが中央手前に鎮座ましましている。

50ベースはKaz。

60vドラムはYosuke Yamada。

70v前回はやや短めのショウとなった。今回はそれを穴埋めすべく、タップリと演奏する…というKellyさんのアナウンスで会場は大よろこび!
90
今回は冒頭にリズム隊の2人がサブステージから階段を下りて登場した。
何曲目かにワザワザKellyさんもサブステージから登場し直した。こういう茶目っ気もKellyさんの魅力だ。

80vセットリストは3月にリリースされた『BLIND FAITH』からの曲を中心に過去に発表された人気曲で構成された。
「Eternal Flame」~「Burning in my Soul」。

150

Kellyさんお得意のクラシック・テイストの「Opus #2-No.1」から情感たっぷりの「Cry for You」。
155v
ケチョンケチョンに弾き狂う「Allegro Maestoso」。
しっかし、仕事とはいえよく弾くな~。コレ、一曲で普通のギタリストのひと月分はピッキングしてるな。
130v
抜群のテクニックを駆使しながらステージ狭しとプレイするKazさんは格段に存在感を増し、BLIND FAITHサウンドの要であることを示した。
180
「Destiny」から「The Rule of Right」。
165v
「Still」、「Time of Revelation」。Kellyさん、「Revelation」好きだな。
関係ないけど、Russell Feranteというキーボード・プレイヤーの「Revelation」というゴスペル調の曲も最高にカッコいいよ。「Revelation」つながりでゼヒ一度聴いてみて!
110
いよいよ本編も終盤にさしかかる。
「The End of the Beginning」…
160
「Opus#1」…
200v
「Stay in my Heart」…
2k_img_0158
…と耳なじんだスタンダードを演奏していよいよクライマックスへ突入した。
210v
前回はショウの冒頭に登場したYAMA Bだが、今回は上がる一手前に出された「2」の4枚組のように(コレ、「大富豪」です。最強ってことね)本編の最後に颯爽と現れた。

120
これだけ盛り上がっているところへいきなり登場するのも温度調整が大変なような気もするが、そんなことは心配ない。
スタートダッシュではいゴール!火の玉のような迫力で「Revelation」と「時の断片」を熱唱した。

100
実際に場内の気温も少し上がったのかも知れないね!
140
全15曲…ドロッドロに中身の濃い本編が終了した。

215アンコールではナイロンでのソロから「Nocturne」へ。

220v1回目のアンコールでは「Requiem」と「Sings of the End of the World」をプレイ。

230v2度目のアンコールには「Cry for Love」とYAMA Bが加わっての…

220「Now Your Turn」。
さらにもう一度アンコールに応えてドラムのフィーチュアから…
190
「N.W.O.」を演奏した。
「今日はタップリ演奏する」という冒頭のKellyさんの言葉にウソいつわりのない一大ロック・ショウとなった。

240演ってる方もノビノビと楽しそうだったけど、お客さんたちもみんな、うれしそうだったな~。
そして皆さん、いつも私にまであたたかきお言葉をかけてくだすってありがとうございます!

2k_img_0555 さて、さてさて、この6月のコンサートのレポートをここまで延ばしたのにはワケがある。そのワケはBrian Setzer…ではなくて、Young Guitarの9月号。
しかし、Brianもスッカリ貫禄が出ちゃってるな~。

Yg1Kellyさん念願のヤンギ登場。Kellyさんと相談して、今月ウリのYoung Guitar誌の付録DVDにKellyさんが登場しているので、その情報を一緒にフィーチュアしよう!ということになってたのさ。
ファンの人たちはもうとっくにゲットしているでしょうけど、まだの人は急いだ方がよさそうだ。
ちなみに誌面のステージ写真はすべて私が撮影したもの。Kellyさん、ありがとう!

Yg2 さて、Kellyさん、9月6日には沼袋の氷川神社で「NUNO JAZZ FESTA 2014」というイベントに出演することになっている。
そして、11月5日にはキングレコードからクリスマス・アルバムを発売する。スタンダードなクリスマス・ナンバーと数曲のオリジナルで構成されるそうだ。
ますますのご活躍を期待している。

Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

250(一部敬称略 2014年6月21日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2014年8月18日 (月)

Shrimpheads(シュリンプヘッズ) ツアー2014 with 奥田民生

Marshall Blog読者の皆様におかれましては楽しい夏休みをお過ごしになられたことと存じます。
一度の更新をはさんでMarshall Blog、夏休みより戻ってまいりました。

「夏休み」といっても取材へ行ったり、記事のアイデアを練ったり、資料を集めたり、写真を整理をしたり…と普段とほとんど変わらないことをしていたんだけどね…。
今日から再開させて頂きます。相変わらずのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、再開一発目は「日本のロック」について。
「日本のロック」というとみなさんはどういうイメージを持っているだろうか?
日本のロックも長い年月をかけて多様化が進み、これまでバラエティに富んだたくさんのバンドやミュージシャンが現れては消えて行った。

私もロックへの入り口はビートルズで、当時の多くの若者がそうであったように、最初はゴリゴリの洋楽派だった。
日本のロックを聴き出したのは、高校に入った頃で、比較的後になってのことだ。1977~78年ぐらいかな?
したがって時はすでに遅し…当時リアルタイムに体験はできなかったが、私にとっての「日本のロック」の原風景は頭脳警察と四人囃子と外道なのだ。
それでもナンダカンダで結構色々なバンドを聴いたな。ライブハウスにも通ったし…。

揺籃期の「日本のロック」は、次から次へと現れる海外のミュージシャンに、追いつき追い越せと日々精進を重ねていたワケだけど、聴き比べるに、言葉や演奏技術、録音技術以外に洋楽とは大きな隔たりがあるように感じた。
それは得も言われぬ「日本人」感みたいなもので、演者の気持ちがわかるというか、マイノリティ独特の屈折感、さらに洋楽とは一線を画した心地よいホームな雰囲気があったんだよね。

ところで、コレを読んでくれている若い人に一応説明をしておくけど、「日本のロック」とは「J-POP」のことではないですからね。いくら演者がバンドの形をしていても「J-POP」はロックではないと思ってください。もちろんどちらがいいとか、悪いとかいうことではござらんよ。
時代時代によって音楽のトレンドが変わるのは避けられないことだから…。
ただ、洋楽同様とにかく70年代のロックはすべて聴いておいた方がいい。

で、今日の主役はShrimpheads。
卓越な海老隊、シュリンプヘッズがそのなつかしくも心地よい「日本のロック」を聴かせてくれるのだ!
これぞ日本のロック。

下は2013年11月にリリースされたアルバム『We are traveling』。
このアルバムを引っ提げての初の東京公演のもようをレポートする。

10cdシュリンプヘッズは日本を代表するボトルネック・ギターの名手、松浦善博さんのグループだ。

207月上旬の下北沢GARDEN。

30シュリンプヘッズは…
ギター、KENTARO。そう、GargoyleのKENTAROさん。ひっさしぶりにお会いした!
JMDでご一緒させて頂いたころがもうなつかしい!

40vベースはおなじみオガンちゃん。小笠原義弘
235v

キーボードは松浦さんの盟友、神本宗幸。

60vドラムは高橋ROGER知久。ロジャーさんもマーブロではスッカリおなじみ!

70v松浦さん、この日は1962を併用。

80v小型のコンボの他に、パンチの効かせたいパートでBluesbreakerが活躍した。極上のトーン!

90松浦さん愛用のスライド・バー。ごく普通のステンレス仕様のようだ。

100足元のようす。

110そして、我らがオガンちゃん。
50v
後ろに見えるのが…

120EDENのセット。
キャビネットはD115XLTが2台。オガンちゃんは演奏する音楽に合わせて4x10"のD410XLTと使い分けている。
アグレッシブなサウンドのバンドの時はでレスポンスの早いD410XLTを使用する。
今日はレイドバックする必要があるのでD115XLTを2台重ねた。
ちなみに大谷令文さんとのTrio the Collagensの時は4x10"と1x15"を組み合わせている。

130vヘッドは最上機種、WT-800。
先日EDENの責任者が来日してオガンちゃんのプレイを目の当たりにしたのだが、その音の素晴らしさとオガンちゃんのスーパー・プレイに感動しまくっていた。この時のことは後日レポート。

140オガンちゃんの足元のようす。

150オープニングはCDの一曲目「決まっているのさ」。

160ク~、これが「日本のロック!」。
「♪僕たちは夢の途中で日本のロックを歌い続けている」…その通り!昔を懐かしいと思うことはあっても、そう昔に戻りたいとは思わない。でも、ロックだけは昔に戻ってもらいたいナァ。
コレが「懐メロ」に聴こえるか?絶対にそうは聴こえない。なぜならこれがロックの本質だからだ。

170v2曲目は、これもCD2曲目の「夢のリモコンチャンネル」。
これはわかるな~。
松浦さんのDuaneへの憧憬。右手のミュート、左手のタイミング…彼のプレイの秘密を本人に会って訊き出したい!自由に夢が見れるリモコンがあれば夢の中でDuaneに会えるのに!

私だったらFrank Zappaに会うな~。実際、夢に何回かZappaが出てきたことがあるんよ。昔は彼は夢の中で日本語を話していたけど、最近Zappaに会う夢を見る時は、キマって私が懸命に英語で話しかけている。返事は日本語だけど…。でも、少しは英語力が進歩したってことかね?

1803曲目は「ギターとロックンロールと」。
このあたりは松浦さんの民主的政策なのか、心意気か、それとも松浦さんがギター・プレイに専念したいのか、メンバーが交代で歌う。コレがまた楽しい。

190オガンちゃんが歌うのは「オレのピストルはどこだ」。
この2曲は松浦さんの2006年のソロ・アルバム『Slidin' & Slippin'』から。

200ロジャーさんは「そんなマイベストフレンド」。ロジャーさんのボーカルぶりはCollagensの「組曲難聴」などでも十分おなじみだ!

210v神本さんは渋いノドで「オレンジ色の神戸」。

関西の人がうらやましいと思うのはこの「神戸」だ。ついで「京都」。この2つの街には東京の地名にはない素敵なイメージがいつもつきまとっている。
関東でいえば「横浜」ということになるのであろうが、もっとソフィスティケイトされたイメージがある。
したがって歌にもなりやすい。
「横浜」だとどうしても「たそがれ」だが、「神戸」は「オレンジ色」だ。オッと!横浜には「ブルー・ライト」があったんだっけ!

ま、そんな素敵な神戸でも私の一番の思い出と言えば、元町でFrank Zappaの海賊盤の12枚組のボックスセットを格安で見つけてゲットしたことか?無粋でスミマセン。

ところで、神戸といえば「ビーフ」。日本に来る外人が食べたいものの筆頭に挙げるのが「神戸ビーフ」。でも彼らは「コーベビーフ」と絶対に言わない。
「コービービーフ」になっちゃう。彼らは単語の中に自分たちの慣れ親しんでいる言葉を見つけると、自分たち流にそこだけそのまま読んでしまう。「Kobe」の「be」は彼らには「ビー」にしか見えないのだ…というのは私の研究結果。真相は知らん。

220そして松浦さんの歌で「真夏の言葉」。

230レイド・バックした熟成のロックととろけるような松浦さんのギター。あせらない、あせらない…じっつにいい感じで前半を終了した。

240v後半に入って登場したのは…

250奥田民生

270v民生さんもMarshallだ。
以前にも機材の紹介をしたが、あの時のヘッドは1917、通称PA20というボーカル・アンプだったが、今回は現行品の2061Xを使用した。
キャビネットについてはこちらを参照されたい⇒【緊急速報!!】奥田民生のMarshall~『奥田民生2013ツアー SPICE BOYS』から

280v足元のようす。

290もうここは「ギタリスト・奥田民生」全開!

300スワ世界初?ダブル・ボトルネック・リード…。民生さん曰く「そんなのゴマンとあるでしょ?」
以前、民生さんのコンサートに松浦さんがゲスト出演された時、「絶滅の危機に瀕するスライド・ギターの救世主」的な紹介をしていたのを思い出す。
ふたりで楽しそうに思いっきり弦の上にスライド・バーを滑らせていた。
曲は「Life in Bloom」。民生さんも参加していた松浦さんの同名アルバムから。

310続いて「フィルモア最初の日」。『Slidin' & Slippin'』に収録されている民生さん作の佳曲。

サンフランシスコのFilmore Westは1971年7月、最後に5日間にわたってさよならコンサートが開催され、Santana、CCR、Quicksilver Messenger Service等が出演し、ライブ・アルバムになっているためよく知られている。
でも、「最初の日」に出演したのは誰なんだかね?
このハコはGreatful Deadの本拠地で、68~71年の間に64回出演したという。

一方、同時期に存在したニューヨークのFilmore Eastのお別れコンサートにはThe Allman Brothers Band、The J Gilles Band、Albert King、Edgar Winterらが出演した。
こちらもDeadの根城で4年の営業期間中に43回出演したそうだ。

Eastの最後の日はライブ・アルバムこそ残されていないが、The Allman Brothers Band、Frank Zappa、Band of Gypsys、Miles Davis等々超ド級の名盤を数えきれないほど残している。ロックの一番よかった時代だ。

このFilmoreを主宰したBill Grahamは、こうしてロックの発展に限りなく大きな足跡を残した。映画『ウッドストック』にもチラリと登場しているが、ウッドストック関連の本を読むと、Bill Grahamは自分がウッドストックの企画に名を残せなかったことに激怒していたという。

320松浦さんもかつて民生さんのギターを指して、「いい音出すんだよね~」としみじみおっしゃっていたっけ。

330vそう、実にいい音なのだ。そして、弾くソロもまさに「音を選ぶフレーズ集」でムダなものが一切ない。
やはり、民生さんが作る名曲と相通ずるところがあるのだ。
しかし、民生さんがギターを弾く姿を見ているとひしひしとギターへの愛情を感じるね~。

340v『We Are Traveling』から「ああ しんど」。松浦さんのビートルズ・ストーリー。

350vそれにしても素晴らしいサウンドのオガンちゃんのベースはどうだ?まるで音楽のかたまりだ。
外人によく見間違えられるらしいが、ホント、ルックスもプレイもますます日本人離れしてきたんじゃない?

355v「カヌー」、「息子」等、民生さん作品の他にツイストの「からまわり」もプレイ!

360KENTAROさんとのギター・バトルもバッチリ!

380オガンちゃんのベース・ソロ!
コレ、歌ってるのではありません。トーキング・モジュレーターで暴れまくっているところ。

390v民生さんのコーナー、最後は「Rocky Mountain Way」。みんなJoe Walsh好きね~。
370v
全8曲。完全に「ゲスト」の枠を飛び越えたメインともいうべきパフォーマンスで会場は大いに盛り上がったよ~!

410vそしてまたシュリンプヘッズにもどって「ひょっこりひょうたん島のように」。
Bo Diddleyと化した松浦さんが昨今の日本を憂う。

420vこのリズム隊だから、Bo Diddleyビートもゴキゲン!

430v

440v本編最後は軽快に松浦さんの『Rainbow Roll』または『Ramblin' Roll』に収録されている「あの丘をめざせ」で締めくくられた。

450vそして、アンコールには再び民生さんが登場。

4601曲は民生さんの「ロボッチ」。

470続いて『We Are Traveling』から「燃えろうぜ」。
最後には松浦さんも曲のタイトル通り完全燃焼!

480vニッパーで弦を1本ずつ切っていって今日のパフォーマンスにさよならをしたのだ!

490あ~、おもしろかった!
「日本のロック」をタップリと楽しませていただいた素晴らしい一夜だった。
ライブDVDもリリースし、10月にはまたツアーが決定している。
これからもシュリンプヘッズには「日本のロック」を盛大にブチかましていってもらいたい。

松浦善博の詳しい情報はコチラ⇒Slidin' & Slippin'

500v(一部敬称略 2014年7月2日 下北沢GARDENにて撮影)

2014年8月15日 (金)

ROCK IN JAPANのグッドモーニングアメリカ

<チョット夏休みから抜け出して…>

今度の東京オリンピック、暑すぎてヤバいんじゃないの?ってな話しが最近喧伝されていたけど、絶対ヤバいよね。

もうマラソンは仕方ないので屋内競技場で400mトラックを105周半回るしかないんじゃん?ずっと同じ方向に回ると選手も飽きるだろうから、53周目から反対に回るとかさ…。さもないと金網デスマッチより恐ろしい本物の「殺人競技」にならないとも限らない。

アフリカや東南アジアの人たちなら何ともないのかもしれないけど、北半球の外国から来るお客さんもこの暑さに耐えられまいって!
「暑さ」も地獄だけど、輪をかけてツライのは「湿気」だよね。
今夏、久しぶりにMarshallから何人かスタッフが日本に訪れたけど、やっぱりダメよ。ダメ、ダメ。
イギリスはヘタすれば8月でも朝晩は暖房つけてるんだから。
そんな国の人たちにこの灼熱地獄を味あわせることは非常識だと思うよ。

冬にやったらいいじゃん。何だったら冬季大会も札幌か長野で開催してもらって、夏冬、好きな方を選べちゃうワケ。
アイスホッケーを観戦した翌日は陸上ホッケーよ。ノルディックとマラソンでもいい。同じ選手が両方の競技に出ちゃって「年間五輪最強王者」なんて栄誉をたたえる。
そうすれば少なくともマラソンで死者が出るなんてことはあるまい。

それにしても暑いね~。あんまり暑いんで、ついどうにもくだらないことを書いちまった!

で、夏のロック・フェス。これはどうしても夏なのかね?春か秋にできないの?
暑い、遠い、人が多い…という体力に自信がないロックジジイにとってはあまりにも過酷な条件が重なるため、フェスはどうしても疎遠になっちゃうのはゴメンちゃい。

しかし!どうしてもレポートしたいこともあるもんよ。
ってんで、バンドさんから写真を送っていただいた。現地に行っていないので細かいレポートは書けないのが残念ね。

主役はグッドモーニングアメリカ。舞台はROCK IN JAPAN 2014だ。

10こりゃスゴイ。

20それにしてもグドモの快進撃はどうだ?
ドラゴンボールのエンディング・テーマをやったせいもあってかまさに「昇り竜」だね。
その大活躍にMarshallとNATALが一役買っていることを大変うれしく思う。

30この日はアッシュのキットで暴れまくったペギちゃん。
こういうのを見ると、フェスもいいもんだと思うね。

40v ペギちゃん、写真ありがとう!
明後日のサマソニも頑張ってね!

<夏休みにもどりま~す>

(2014年8月9日 ROCK IN JAPAN 2014にて撮影 ※撮影:濱谷幸江)

2014年8月 8日 (金)

LOUDNESS~WORLD TOUR 2014 "THE SUN WILL RISE AGAIN″

「LOUDNESSの新しいCD、スンゲェいいよ!」…最近コレを現場でよく耳にする。
ウソでもお世辞でも何でもない。事実だ。
そのニューアルバム『THE SUN WILL RISE AGAIN』を引っ提げてのツアーの東京公演にお邪魔してきた。
会場は中野サンプラザホール。

Cd夕方から耳もつん裂けんばかりの雷鳴とプールをヒックリ返したかのような豪雨!
そういえば前回の六本木でのコンサートの時もそうだった。
まさにThunder in the east…LOUDNESSにふさわしいドラマチックなシチュエーションだ!

「Highway to Hell」からオープニングSEの「Nurishment of the Mind」が流れる中、4人が登場する。

10_3オープナーは「Got to be Strong」。

20_2二井原実
40v_3
高崎晃

30v山下昌良

50v_3鈴木政行

60v_2続けてニュー・アルバムから「The Never Ending Fire」、MCをはさんで「The Metalman」へと続く。
そう、例のアルバムの曲順通りの進行だ。

70_2その後続いたのは「Loudness」で幕を開ける80年代曲のメドレー。

110v

「Loudness~Bkack Wall~Butterfly~Sutisfaction Guaranteed~Lines Are Down~Run for Your Life~Shadows of War」80v…と、ほぼワンコーラスずつ迫りくる全7曲の怒涛のメドレー!

90vもちろんギターはあの極上サウンド。

120_2ナニも足す必要もなければ引く必要もない世界に冠たるバックラインだ。
高崎さんのMarshallがWeROCK誌最新号で詳述されるのでそちらもお見逃しなく!

130二井原さんのタイトルコールから「Mortality」。

150_2マイナーでメロディアスなギター・リフに導かれてハードにそしてドラマチックに展開する。
190v
ヘヴィ級のリズム隊を擁するLOUDNESSならではのドライビング・チューン!

170v_2ここでもアルバムで続けて収録されている「The Best」が続く。
ショウを考慮してCDを作ったのか、CDを意識して曲順を決めているのか…双方に大きな効果を影響を与え合っているウマい選曲!
230v

幻想的なイントロからどうしようもなくヘヴィに発展していくサマはスリル満点だ。
210
一変して二井原さんのアコギ弾き語りで「So Lonely」。真っ暗なステージひとりたたずみじっくりと歌い上げる。
240v
そのまま待ってましたの「Not Alone」へ…。ニュー・アルバムのクローザー。
200_2
続いて今度は90年代に発表したアルバム収録曲からのメドレーだ。

220
「Soldier of Fortune~Down 'n' Dorty」…

250
ここでドラム・ソロ。「アンパン!」のかけ声が無数に飛び交う!

180_2そのままメドレーは続き、「Black Widow~9Miles High~Crazy Go-Go」とドラム・ソロを含んで6曲が演奏された。

225巨大なミラー・ボールを使った演出が観る者を魅惑する。

260vここでまた!
今度は2000年のオリジナル・メンバーによる再結成後のレパートリーによって構成されたメドレーだ!
270v

「Racing~Exultation~The Pandemonium~Chaos」

275v山下さんのベース・ソロをはさんで…
50v
「The City of Vampire」。
そう、このコンサート、ニュー・アルバムからの曲の数々と3つのメドレーで80年代~90年代~2000年代~現在へとLOUDNESSの伝説と現実が俯瞰できるメタル・スペクタキュラーとなっているのだ。

280LOUDNESSのコンサートに来るといつも思うことがある。
それは、自分のものでも何でもないのに「どうだ!これがLOUDNESSだ!」と子供が自分の宝物を見せるように、誰とはなしに自慢したくなってしまうのだ。
コレ、おそらく会場の全員共通の気持ちではなかろうか?

320v
ショウはいよいよクライマックスへと向かう。
325
「Black Star Oblivion」
140v
本編最後は「Survivor」で締めくくられた。
160v
そしてアンコール!
高崎さんと山下さんが壇上から登場。誰がどう見てもあの壇の上でプレイするんだろうな思ったことだろう。ところが高崎さん、なかなか上がらなかった。
ここへ来てようやく颯爽と壇上に登り会場全体を見下ろすようにプレイしたのだ。

285ここはニュー・アルバムから!タイトル・チューンの「The Sun Will Rise Again」。

300vLOUDNESSは現地時間の今日、2014年8月8日、フィンランドのJalometalliというメタルのフェスティバルに出演する。
フィンランドはHanoi RocksやChildren of BodomやSonata Arcticaを輩出したロックがとても盛んな国だ。Finnish Rockを世界に普及させようと国をあげて積極的なPR活動を展開している。
そのロック先進国で日本が誇るメタル・バンドのサウンドを思い切りブチかましてくれることだろう。

さらに10月18日のLOUD PARKにも出演が決定し、年末には海外ツアーも計画しているという。

3102回目のアンコールでは「Crazy Nights」が飛び出した。2時間を超える圧倒的に充実した内容。満足しない観客はおそらくいなかったであろう。
そして、このバンドほど終了後のお客さんの顔がほころんでいるコンサートはあるまい。
バンド結成34年目に入りますます血気盛んな日本の世界的バンドの活躍に期待せずにはいられない。

330LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website

340※Marshall Blogは明日より夏季休暇を頂きます。思いつきで号外をチョコチョコとアップするかもしれませんが、レギュラー記事の更新再開は18日を予定しております。
皆様におかれましてはよい夏をお過ごしください。
お時間があれば見逃したMarshall Blogの記事なんぞをツラツラっとチェックしていただけますと幸いです。

(一部敬称略 2014年7月24日 中野サンプラザホールにて撮影)

2014年8月 7日 (木)

Sound Experience 12

今年4月にリリースされたセカンド・アルバム『Orchestral Supreme』を発表した三宅庸介。流行やスタイルのとらわれないワン・アンド・オンリーな世界とギターという楽器の魅力を十二分に伝える内容で評価は上々のようだ。
その三宅庸介が毎回ゲストを迎え、シリーズで展開しているコンサートが『Sound Experience』。
Marshall Blogではレギュラーでレポートをお送りしているが、今回で12回目となった。

10cd今回のゲストはSTAND。もうマーブロ読者にはおなじみだろう。

20山本征史

30v_2金光健司

40vそして…ア、写真間違えた。

50v島紀史

60vノンちゃん愛用の1967 MAJORと1982。

70v足元のようす。

80好きね~。

90今日も3人一丸となったパワー全開のパフォーマンス!

100歌にベースに、回を追うごとに自分の世界を拡大していく征史さん。

110v弾いている人もスタイルも機材も同じなのにCONCERTO MOONの時とはまったく違う表情を見せるノンちゃんのギター。スンゲェ~いい音!

120胸のすくようなドラミング!そのサウンドの表情は豊か極まりない。

130ハードなロックンロールから深遠なバラードまで、幅広いレパートリー。

140vこの日はギタリストがお互いにゲスト演奏するという形でふたつのバンドが交流することとなった。もちろん「ふたりのギタリスト」とは、STANDの島紀史と…

150三宅庸介である。

160v曲は、三宅さんが征史さんや金光さんとずいぶん昔に組んでいたHypeというバンドのレパートリー。
征史さんのオリジナル曲だ。

165三宅さんはもう丸っきり忘れていた上に、アレンジが以前とまったく異なっていたというが、始まってしまえば「立て板に水」状態の怒涛の演奏!

170お約束のギター・バトルはスリル満点よ!

180気が合うのだろう…見ていているだけでふたりの演奏のコンビネーションがシックリ来ているのがよくわかる。
楽屋でも放っておけば飽きもせずズ~っとギターとRitchie Blackmoreの話ししてるわ。
こっちは征史さんと時折落語の話しをしたり、金光さんにドラムのことを教えてもらったり…。
ホーム感満点で楽しいの。

190山本征史の詳しい情報はコチラ⇒BLACK CAT BONE

200v後半は三宅庸介率いるStrange, Beautiful & Loud。

210三宅庸介

220山本征史

230金光健司
…全員着替えてる!

240今日の三宅さんのMarshallはJVM210Hだ。
VintageModernなき後、セカンド・チョイスでJVMを使用してくれている。
それに加え。何回か前のここでの大谷令文さんのJVMを使ったプレイに接してまたJVMの魅力を見出してた。
結果、三宅さんはJVMを「新しい友達」と呼んでくれている。もちろんサウンドはく最上…友達だからね!JVMも一生懸命働きます。

250v左は三宅さん使用のJVM210Hと1960B。向かって右は征史さんのSUPER BASSだ。

260三宅さんの足元のようす。コンパクトになった。

270オープナーは「Bloom」。

280v「Stratify」、「if」と三宅スタンダードが続く。

290三宅さんの頭の中にある音楽を完璧に具現化するリズム隊。

300当意即妙とはこういうことを言うのであろう。フロントとリズム隊、どちらが引っ張るでも、ついて行くでもなく、自然発生的に音楽がクリエイトされていく。ここを味わうのがこのバンドの正しい楽しみ方のひとつ。

310ニュー・アルバムに収録されている「murt 'n akush(マラケシュ)」。好きな曲。
脱線タ~イム!三宅さん、チョットいい?だって思い出しちゃったんだもん…。
それは「マラケシュ」について。
「murt 'n akush」というのはベルベル語で「神の国」を意味するらしいが、モロッコの第三の都市だ。
ヒッチコックに『知りすぎた男(The Man Who Knew Too Much)』という1956年の作品があった。この作品は『裏窓』と『ハリーの災難』とならんで長い間日本で公開されず、何十年ぶりだかのリバイバル上映ということで大学生の時に映画館に観にいった。
これは1934年の『暗殺者の森(原題同じ)』という作品のセルフ・リメイクで、「Ambrose Chappell(アンブローズ・チャペル)」という謎のキーワードを軸に、見知らぬ土地で息子が誘拐されて要人暗殺事件に関わってしまうというヒッチコック得意の「巻き込まれ型」サスペンスの秀作だった。
映画は実に面白かったのに、長い間人目に触れなかったせいか、結果的にはアカデミー賞を受賞した主題歌ばかりが名を残すことになってしまった。
で、この映画の舞台がカサブランカからマラケシュへの移動中という設定なのだ。
私はコレが好きで、後にビデオを入手して何回か観ているうちにあることに気が付いた。

映画の中で主演のジェイムス・スチュアートがでレストランかなんかでヨソの人と話している。
「最近の音楽はいかがですかね?」
「イヤ~、なんですかアレは?『ビ・バップ』っていうんですか?アレはイケませんね~、やかましくて…」

字幕には出てこないが「ビ・バップ」という言葉が出てくる。やっぱりBenny GoodmanあたりのSwingに慣れた当時の人の耳にはParkerやGillespieの音楽がうるさく聴こえたんだろうね。
ますますBe Bopが好きになるわ。
でも!この会話はおかしい。この映画の公開は1956年。舞台がリアルタイムということであれば、ジャズ界はハード・バップ真っ盛り。この当時ビ・バップはすでに過去の音楽になっていたハズなのだ。
邪推するに、一般の人にはビ・バップもハード・バップも関係なくて、40年代の古き良きスウィング・ジャズを愛聴していた世代には、50年代のジャズが猛烈にやかましく聴こえたということなのかもしれない。ロックと何ら変わらないね。

ところでこの映画でアカデミー主題歌賞を獲った曲とはDoris Dayが歌う「ケ・セラ・セラ」である。ああ、コレ書いてたらまた観たくなってきた!
脱線終りました!

320さて、SBL。
「Petal」、「Ring」と続いて本編を終了した。

2_img_0229_2アンコールでは先ほどと反対にノンちゃんがゲスト参加。

350さっきとまったくメンバーは同じなのに、丸っきり違うバンドが演奏しているようだ。
「曲が違うのだから当たり前」なんてことは言いなさんな。「空気」が違うのである。
音楽は「空気」を作ることができるのだ。
330v

60~70年代のロックの「黄金期」たる所以の大部分はこの「ロックの空気感」なのだと思う。この空気感の伝承に失敗したことが日本のロックの悲劇といえるのではなかろうか…。
もちろんこのふたりにはその「空気感」がイヤというほど漂っている。
何しろ、放っておけば一日中でもギターやRitchie BlackmoreやJimi Hendrixの話しをしている連中なのだから!

370v曲は「Virtue」。
前回の田川ヒロアキとの共演による「Bloom」もあきれるほどカッコよかったけど、今回もあまりにも素晴らしい!
「ギターが2本あるとミラクルが起こる」と言ったのはMcLaughlinだったかCoryellだったか…。これはアコギのことを言っているのだが、エレキも同じ。
三宅さんの曲はマルチ・ギターが実にシックリはまるのだ。
そして、ソロの応酬!その緊迫感たるや何をかいわんやだ。

380しかし、この日のコンサート、2バンド、出演者4人。ま、コレは以前にもあったけど、ギターまで!だって指板は異なれど、黒のストラトしか出てこなかった、立派!

390三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful & Loud

400(一部敬称略 2014年6月30日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)

2014年8月 6日 (水)

フィル・ウェルズ・インタビュー~その8(最終回)

技術の進歩とアンプ製造
S:技術の革新によって、アンプ製造のプロセスは変わったと思いますが、どこが一番大きな変化だと思いますか?
P:一番大きな変化は、エレクトロニクスだと思います。例えば金属製のシャーシがありますよね。今作られた物と1959年に作られた物を比較してみると、1959~1970年頃に作られた物は大し

Pw_img_7777て変化がありません。色は違います。しかし基本的な素材は一緒ですし、同じ製造工程、同じ型です。
キャビネットに関しては4x12”のキャビネットやヘッドのキャビネットを見ると、1960年に作られたものと現在のものは同一です。同じ厚みで同じ素材を使っています。
しかし、エレクトロニクスに関しては劇的に変わりました。
1977年に私が勤め始めた頃はフロート・ソルダー・マシンの数が少なかった。最初に製作したアンプのほとんどは同じ回路基板を使い回しました。「ST-1」と呼ばれたものです。
これから10種類の異なるアンプが作られました。リード、キーボード、ベース用、何でも作れたのです。30~40の部品から成り立つとてもシンプルな構造でした。
最近では、ほとんどのアンプが複数の回路を持っています。DSL100を例に挙げると、これは回路が6つあり、500個の部品で出来ています。1959は37個ですけどね!
これは大きな変化です。
S:10分の1以下?!
P:はい。
理由のひとつはお客様からのご要望です。もっともっと、という声に答えて、JVMはノブを29個搭載し、4台分のアンプを1台に詰め込みました。見た目が複雑そうだなという懸念がありましたが、お客様はこういった、クリーンからスラッシュ・メタルまでスイッチを切り替えれば対応出来る製品が要求され」ました。
だから、エレクトロニクスの違いですよ。私が35年前に始めた時はサーキット・ボードが導入され、部品は手作業で取り付けされました。手でカットし、ハンダ付けの機械を通り、配線されました。非常にシンプルでストレートです。今ではJVMの場合、67%は自動で組み込まれています。
私はそれ自体は良いことだと思っています。こんなにたくさんの部品を手作業で組み込んでいたら、間違う可能性も少なくありません。自動挿入のメリットは間違いがないということです。正しくプログラミングが出来ていれば…の話ですが。コストも少なくて済みますし…。
今までの統計のファイルを見ると、部品の数こそ増えましたが、昔に比べると間違った部品を入れるという人為的なミスが減っているのが分かります。自動装着のおかげです。
また、JVM410などは4段階で製品がチェックされています。部品が載せられた時に1回、フロー方式でハンダ付けされた時に1回。

Pw_img_7784それから、アンプに組み込まれた後にもう1回チェックを行ないます。シャーシに本体を入れてアンプとして完成した状態にして、電源を入れてちゃんと動くかどうか確かめるのです。それから最終チェック。ギターをつないでチェックします。
以前よりチェック回数が多くなっているんです。ちゃんと動いているかどうか、確実に見ていきたいからです。
お客様の要求により複雑なアンプを製作するようになったので、こういう形になりました。
S:なるほど…。
P:あなたの質問に簡単にもう一度お答えすると、エレクトロニクスが大きな変化の原因です。箱もシャーシも同じ。組み込み方すら変わっていません。木材を使って総てを手作業でスピーカーを入れ、ネジで留める。
アンプも同じ形で作られ、シャーシも同じ形で作られています。35年前にここの仕事を辞めた人が今戻って来ても、同じ仕事が出来ると思います。機械は新しくなっていますけどね。基本的には同じような事をやっています。
S:スゴイ!でも…。
P:そう。エレクトロニクスはものすごい変化を遂げました。でも、「ST-1」の作られ方は今も昔も一緒です。
若い女性でヘーゼルという人がいるんですが、彼女がパーツを入れてハンダ付けの機械を通り、ハンダが終わるとヘーゼルの前に戻ってくる。伝統的には35年前と全くもって同じ方法です。もっと複雑なアンプを作っている所だけが違うんです。

ギター・アンプの未来
S:ありがとうございます。私はシンプルな構造のアンプが好きです。
P:例えば?
S:JTM45や1959などですね。私は音楽は振り子のようなものだと思っているので、今、振り子がこの辺(右)だとしたら、いつかこちら(左)に戻っていくと思っています。
つまり、ベーシックなサウンドを必要とする音楽がまた戻ってくるような気がしています。
あなたはギター・アンプの未来のゴールはどこにあると思いますか?方向性は?
P:私たちはロック・マーケットに向けたアンプを製作しています。そこにはふたつの道があります。やはり、インターネットやiPad、コンピュータによる相互作用などでギターを弾く人達もアンプを使いたがっています。

Pw_img_7814だから、その方向に沿ったアンプを用意し…ヴァーチャルなアンプですが、すべてがパソコンの中で設定され、小さな箱か何かにダウンロードされて…Jimi Hendrixの音なんかがプレイ出来るようになっている…と言いってもそれは不可能で、絶対にHendrixの音にはなりません。
S:もちろん!
P:人々はふたつのタイプに分かれていると思います。ベースやトレブルなどをiPadのようなものでダウンロードするような人達。良いことですよ。私たちも入って行くべき市場だと思います。ねえ、マイルス?(フィルと机を並べていたR&Bのスタッフ)
マイルス:はい。
P:しかし同時に、マイルスや他の人たちと話していて思うのが、伝統的なアンプが欲しい人は熱い真空管の入ったアンプを地元のパブやクラブに持ち込んで鳴らしたい。市場はそこにもあると思っています。
S:私もそっちだな~。
P:でしょうね。

ホンモノの音
P:35年間Marshallに勤める中で私が発見したことがあります。
よく見られる傾向として、マーシャルの中に限った話ですが、毎回新しいシリーズが発売されるたびに、その前のシリーズが注目されるようになります。
JCM800の前は1959と1987ぐらいしかありませんでした。さらにゲインが欲しい時は歪み系のペダルをつないでいました。
そしてJCM800を発表しましたが、最初は「ウ~ン、どうだろう」という反応でした。しかし、間もなく気に入ってもらえるようになりました。それからJCM900が出ました。
すると「ン~…違うなあ。JCM800の方が良い」という評判が多く寄せられました。
生産終了になると、JCM900の人気が出ました(注:JCM2000への移行後、ヨーロッパではJCM900が流通しない時期があった)。
S:そう!市場から消えるとみなさん探し出す。
P:そして、その後一般的な傾向として多機能が望まれることから、TSLやJVMを発表しました。最初は「スゴイ!」ということになりますが、「多機能すぎる」という意見が出始め、昔のモデルに戻ります。そうした多機能のモデルも、家に持ち帰り、ある一定の期間が過ぎると、彼らは1~2チャンネルしか使わないようになります。他のチャンネルは使われなくなってくるのです。

Pw_img_7793S:自分好みの音を作っちゃいますからね。
P:その通り!しかし、そういうお客さんはそもそも真空管アンプが欲しいからそれらのアンプを購入したのです。チャンネルがいくつあろうと関係なく、真空管アンプが欲しかった。
そういうものが欲しい人は、ほとんどの場合iPadは持っていません。たとえ持っていたとしても用途はせいぜいインターネットの閲覧です。iPadの中で音を作ったりパソコンでデータをダウンロードして弾いたりということはしないでしょう。
このふたつはまったく別々の事柄なんです。統合されることはないと思います。そのマーケットの在り方は良いものだと思います。

しかし、コンピュータで欲しいサウンドを作り出すためにデータをダウンロードして、「Marshall」と書かれた小さな黒い箱みたいなものからYngwie Malmsteenの音が出る事は絶対にないんですよ!
S:YE~S!
P:音は良いかもしれませんし、あなたの要求には応えてくれるでしょう。
しかし、決して真空管アンプと同じ音にはなりません。もしも同じ音になったとしたら、真空管アンプは消滅するでしょう。わかりますよね。
S:もちろん!まったく同感です。
P:突然完全デジタル仕様のアンプを作り、JTM45と全く同じ音を出す。歪みも倍音も同じ。その時、真空管アンプの時代は終わります。
でも、その兆しはまだ見えません。少なくともしばらくはなさそうです。
トラディショナルな人達がいますから…私の世代もあなたの世代も、マイルスの世代も、みんな真空管アンプを使いたいと思っている。
でも、どんなものにも流行はあります。80年代にはみんなこぞってラック・システムを買い始めました。パワー・アンプ、プリ・アンプ…。
その時代は終わりました。もうラックを買う人は少ないでしょう? 
S:はい。まるであの時代が幻のように…。
P:それからフル・スタック。60~70年代ですね。ステージに4×12”を10台並べて…。
今なら、ステージに置いてあるのは2×12”のコンボ。信号はDIを通ってミキサーに送られます。しかし、アンプはギタリストのためのものです。本物のギタリストは何を使って弾けばいいかよくわかっている。オーディエンスはそれをPAから聴く。
S:「ロック」という音楽があまりにも変わってしまいましたよね。
P:はい。たとえばAC/DCのAngusやMalcomが2×12”のコンボをステージで使っていたとしら、今のPAの技術があればお客さんが聴く音はスタックで鳴らした時と同じかもしれませんが…ダメです。やっぱりあの見た目がないとダメなんです。
S:音楽は空気ですからね。
P:そう!しかし、Angusは今、自宅で曲を思いついた時に、パソコンに向かって小さなデジタルの箱に音をダウンロードして、1×10”みたいなスピーカー…完全にデジタル仕様なんですが…から音を出しているそうです。とても気に入っているそうです。そういう状況下でなら何ら問題ないと思います。
S:それはやっている作業が違いますからね。

マーケットを満足させるということ
P:マーケットを満足させなりません。だから、ロック・コンサートに対するマーケットは常に存在します。地元のパブやクラブ、ナイトクラブへのマーケットも存在します。
そして、自宅にこもって小さな1×10”のコンボからYngwieの音を出したいという人達のマーケットもあります。
私達は、これらすべての市場を満たさなければならないと思っています。
S:そうしましょう!
P:しかし、よく考えてみると、30年前と音はほぼ同じなんですけどね。

Pw_img_7789また、ノブが6つ必要なのか、36個必要なのか…もしくはバーチャルで36個必要なのか。コンピュータがあれば、ベースのつまみをコンツァーやボリューム、リヴァーブ、ディレイなどに切り替えたりすることが出来ます。デジタル・ユニットならではのメリットです。ノブが前面に6つしかなくても、好きなように出来るワケです。そういう市場があることもよくわかっています。
一方、私達はロック・コンサートのアンプの壁で最も有名になりましたし、今でもそうです。両方大切です。
S:音楽がマーシャルで作られている限りは心配はいらないんでしょうかね?
P:まあ、あと50年ぐらいは…。
よく言われるのが、Marshallがスタートした頃はThe WhoやJimi Hendrixなどがいました。それから50年経っても、人々はまだThe WhoやHendrixの音楽をプレイし続けています。このスタイルの音楽を弾き続けたい人がいる限り、アンプは存続するでしょう。
S:残念なことのひとつは、1969年以降にピート・タウンゼントがマーシャルを弾くのを辞めてしまったことですね。
P:そうですね。使っていたのはごく短期間でした。しかし、珍しいことです。
名前は伏せておきますが、とあるバンドと話をしたことがあります。話題になったのは、ジムが絶対にやらなかったことのひとつは、無償で製品を供給することでした。ステージ上で見かけたアンプは、必ず購入されたものだったのです。
誰かが私たちのために何かをしてくれたからといっても、ジムは絶対に「ああ、The Whoだから機材を提供しなさい」というようなことは言ったありませんでした。
ジムは絶対にそういうことをしなかったんです。
S:よく聞く話ですね。ジムの半生記、『Father Of Loud』によると、ピート・タウンゼントがマーシャルを辞めた理由はテリーとの摩擦だったようですね。それは本当ですか?

P:私もそのように聞きました。テリーのことは知っています。面白い人でした。しかしそのこと事を尋ねる勇気はありませんでしたね。
S:その後、彼は「H」に移ったんですね。「H」は当時マーシャルの最初のフォロワーだったとか…。
P:はい。何十年も見ていると、アンプにはファッションがあります。どういう意味かというと、有名なギタリストが小さなブティック・カンパニーに移ってステージ上でもそのアンプをプレイする。マーシャルを弾くのを辞めて、短い間のうちにその会社が凄く有名になります。お客さんは自分の大好きなギタリストが使っているアンプだから、同じ物が欲しいと思う。
S:それは自然なことですね。
P:しかしそれほど長くは続きません。私達は50年経っています。そんな風には仕事を回していません。バックアップを出来るだけとっておけるようにします。経済的な面も大切です。
S:それも大切なことです。
P:しかし、そういうファッション的なものは気にせず…みんな、マーシャルを使いたがるものです。ステージでどんなロック・バンドを観ても、マーシャルを目にするチャンスはとても多いですよね。フリーの広告みたいなものです。ジムは口コミが好きでした。

Pw_img_7890_2 (注:テレビ局の取材を受けるフィル)

フィルからのメッセージ、ジムの言葉
S:ありがとうございます。では最後に、35年マーシャルで働き続ける大ベテランから日本のマーシャル・ファンに向けて、メッセージをいただけますか?

Pw_img_7825_2P:何を言えばいいのかよく分かりませんが…私はここに35年いました。日本のミュージシャンがいつぐらいからマーシャルを使い始めたのかわかりませんが…。
S:おそらく一般的になり出したのは…1970年代の初めだったと思います。
P:では30年は使ってきた可能性があるわけですね。もうすぐ40年ということですね。
S:はい。
P:私が言えるのは、マーシャルを使い続けていれば、私たちは同じクオリティのものを生産し続けます。私たちの目的は誰もが使いたくなるアンプを作ることです。日本の皆さんがマーシャルを使っていただければ、単純に私もまだずっとマーシャルで働き続けることが出来ます。
マーシャルを試しに弾いてみれば、あなたの弾きたい音楽に合わせてマーシャルが適切な音を出してくれます。ユニークだとは言いませんが、使う人の音楽に合わせてくれます。
あと、最近は聴き飽きたような言葉ですが、この会社は家族のような会社です。ジムもいつも言っていたのですが、「お客様をお客様と思わないこと」といつも言っていました。「家族のようにもてなしなさい」と。
ですから、彼の哲学は、「マーシャルのアンプを購入した人なら日本人でもアメリカ人でもドイツ人でも、みんな家族と思うように!」でした。
マーケティングのようなビジネス的なものではなく、彼自身の考えでした。マーシャルを買えば、マーシャルの名前とマーシャル・ファミリーが付いてきます。
もっとたくさんの人に使ってもらいたいですね。我々はお金を作るためではなく、お客様のためにあります。それ以上のことは言えませんね。  
S:長時間にわたりありがとうございました!
P:どういたしまして!


*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

以上でフィル・ウェルズのインタビューを終了する。ご愛読ありがとうございました。

全8回。第1回目の掲載は何と2013年の4月だった。その中に記したとおり、インタビュー自体も3時間半に及ぶ長大なものであったが、小出しにお送りしたとはいえ、掲載期間はさらに長期間に及んでしまった。
もう、初めの方のことを覚えていらっしゃる方はいないのではないかしらん?
まだご興味があれば読み返して頂きたいと思う。
第1回目の記事はコチラ⇒フィル・ウェルズ・インタビュー~その1

最終回を終えて…このインタビューはフィルの経験談という形こそ採っているものの、内容としてはジムのメッセージを後世に伝え、そのカリスマ性とリーダーシップがどれだけ強力であったかを物語る一編となったような気がする。

もちろんフィルの体験談もとても興味深いものであった。
もっとたくさんの関係者にこうしたインタビューをしたら、オモシロい話しが止めどもなく出てくるのではなかろうか?
たとえばMitch Mitchelに連れられてJimi HendrixがUxbridgeのジムの店を訪ねた際、店にいたのはジムひとりではあるまい?
Deep Purpleがマーシャルのデモ・バンドをやっていた時にRitchie Blackmoreとギター・サウンドについて語りあった人もいるだろう。
Creamを観にMarqueeへ顔を出した人がまだ元気でいても不思議はない。

第1回目で書いたようにケン・ブランも健在だし、ダッドリー・クレイヴンが物故したという話しは聞いたことがない。ギャラガー兄弟は?ジムの弟もまだ元気だ。他にもオモシロそうな話しが聴けそうな先達がたくさん残っているのではないか?

<付記>この原稿を書いた後しばらくして他のMarshall関連の調べごとをしていて知ったのだが、ダッドリー・クレイヴン氏がすでに亡くなったそうである。したがってMarshallの黎明期を知るキーパーソンのひとりを失ったことになる。残念だ!

そうした方々の話しを一編にまとめることができたらさぞかし興味深い「裏ロック史」的な読み物ができるに違いない。
誰かやってはくれまいか?
どんな形でもいいから伝承をしないと!

本企画の掲載を快く承諾してくださったヤングギター編集部の平井毅さん、気が遠くなるような量のフィルと私の会話を文字に起こしてくれた同誌編集部の蔵重友紀さんにこの場をお借りして心から御礼申し上げる次第である。

そして長時間にわたったインタビューに快く応えてくれたフィル・ウェルズ氏に心から感謝する。

おしまい

2014年8月 5日 (火)

for the tomorrow~新生DESTROSEお披露目ライブ

今日の東京、今年一番の暑さだってよ!もういい加減にしろってんだ!
「アツイ、アツイ」と言ったり、嘆いたり、泣いたり、書いたりしても涼しくならないことは先刻承知だが、書く。

アツイ!

ってんで、今日のレポートはひと月チョット前に開催されたDESTROSEのライブのもようだ。

10_2この日は新しいボーカリストを迎えた新生DESTROSEのお披露目ライブ。
会場は目黒鹿鳴館。完全ソールド・アウトで会場はイモ洗い状態。猫の子一匹入るスキ間もありゃしない。まるで昔の真夏の後楽園プール!
その熱気で場内は阿鼻叫喚の灼熱地獄!悠々と写真を撮るスペースもまったくない。
うれしいことにMarshall Blogの読者の方が扇子で煽いでくれてかなり助かった。
この熱気もしくは殺気をもってして新生DESTROSEへのファンの期待を知るべし。
かくして幕は上がった!

20成美

30miho

40vHaruna

50vサポートで参加したミキ。

60vそして、新しく加入したボーカル、里彩(りさ)

70オープニングからいきなりバンド名を冠した代表曲「破壊の薔薇」。会場は狂気にも似た筆舌しがたい猛烈な興奮状態!

80DESTROSEの熱烈なファンたちはこの新しきヒロインを問答無用で歓迎したようだ。

90華麗なギタープレイと燃え上るような赤い髪で観客を魅了する成美。

この辺りからカメラのアングルが変わる。そして、冒頭の「アツイ」とつながるワケ。
…というのは、初めは下で撮っていたんだけど、お客さんのあまりの熱気と湿気でカメラが一台壊れちゃったんよ!デジタル機器は極端に暑いところ、寒いところが苦手だっていうことなんだけど、これにはマイッタ。
そこで急遽お客さんをかき分けて二階へ上がって撮影を続行したのですわ。
恐るべしDESTROSE軍団!

100vボーカルが変わって以前より若干ソフトになたかな?硬いばかりがロックじゃない。その分音楽性に豊かさがより加わったように聞こえたのは私だけだろうか?
スゴクいい感じ!私も新生DESTROSEを歓迎する。

120まったく物怖じしないミキのプレイも見逃せない。サポート・メンバーとは思えない一体感。

125Marshallの上にはバラが…。バラはイギリスの国花だ。イギリスの国歌はハード・ロックといってもよかろう。そして、Marshallはイギリスを代表する楽器ブランド。
この符合をまとめたところにいるのがDESTROSEなのだ。
やはり、いいロックあるところには必ず「M」の字が存在する。

130v一段とパワーとドライブ感を増したHarunaのドラム。全編ぶっちぎりに全力疾走!

150

この日、3つの新曲も披露。ファンの期待度を劇的に高めたことは間違いない。

140アンコールではファン狂喜(ここは「狂気」ではない)のサプライズ!

160お休み中のMina隊長がステージに上がったのだ!当然Marshall!

170v曲は「Fenixx」。
里彩の歌声が何の違和感もなくハードなDESTROSEサウンドに溶け込んでいる。行く先に何の問題も不安もないことを証明した瞬間でもあった。

190さすがのコンビネーション!

180
9月末にはミニ・アルバムを発表し、11月末にワンマン・ライブを開催する。

195パーマネントな活動を続けるグループにとってはメンバーのどのパートが交代しても痛手は大きいものだが、やはりそのバンドの音楽の顔である「声」が変わってしまうのは一番ダメージが大きいことは否めない。
その難局を見事に乗り切ったDESTROSE。

「開演前はモノスゴイ緊張でブっ倒れそうだった」という里彩。楽屋では堂々として全然そういう風には見えなかったけど…。
しかし、ステージに上がるとその緊張もどこへやら、DESTROSEとの演奏が楽しくて、「一生この光景が続けばいいのにと思った」とか…。
DESTROSEの行く先にはもっとスゴイ光景が待ち受けているハズだ。
がんばれDESTROSE!

200DESTROSEの詳しい情報はコチラ⇒DESTROSE Official site

1d_img_0227 (敬称略 2014年6月28日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年8月 4日 (月)

第14回 真夏のJAZZ 葉山 2014 ~モヒカーノ関メモリアル~

葉山に来た。暑い~。
潮風が心地よいこと!…と思ったらベッタベタの熱風。
それでも都会の風よりは健康的で、そういう意味では実に気持ちがよい。
隣の逗子の海水浴場は飲酒や音楽の禁止条例が布かれ(とてもいいことだ)、訪れる客が大幅に減っていることをテレビのニュースで喧伝していたが、この辺りはどこの駐車場もパンパンで、にぎやかな海水浴場の雰囲気が横溢している。
御用邸があるせいかどうかは知らないが、渋谷よろしく俗化極まりない湘南エリアの海水浴場よりはずっとおとなしくてクラッシーな感じがするのが好ましい。
初めて訪れたが、とてもいい印象を受けた。
今年初のかき氷…金時ミルク。イヤ~、おいしかったな~。

10 さて、なぜにココ葉山までやって来たのかというと、おいしいかき氷を食べるためではない。
『第14回 真夏のJAZZ 葉山 2014』の取材に訪れたのだ。
14回目となるこのジャズまつり、もはや葉山の夏の風物詩のひとつとなっている。
当初は海近くの屋外で開催されていたが、現在は葉山福祉文化会館内で催されている。
「暑い、暑い」と苦しまず、ジックリとジャズが味わえるというワケ。

今回は、昨年1月に早逝されたラテン・ジャズ・ピアニスト、モヒカーノ関さんへのトリビュート・コンサートとなった。

20取材の目的はコレ…ギタリスト、杉本篤彦さんのグループだ。

30杉本篤彦

40v杉本さんは昔からMarshall MG(Marshall MGIII)を愛用してくださっていて、以前にもMarshall Blogに登場して頂いたことがある。
ストレート・アヘッドなジャズをベースにソウルフルなプレイを身上とする人気ギタリストだ。
80v
今回のMarshallはJVM215C。JVM2の2x12"、50Wコンボ。
90
もちろんチャンネルはCLEAN/GREEN。TREBLEとMIDDLEが3、BASSが7~8というジャズ・セッティング。MASTERはかなり大きめにセットされている。

100
今日の杉本さんのグループ、ゲストでピアノは石井彰。日野皓正グループのピアニスト。その他、著名なジャズ・ミュージシャンとピアノ・トリオやグループを結成し活躍している。

50v吉岡大典。ジャズ、ラテン、ソウル、R&B、ブラジル音楽、ポップス、吹奏楽、フォーク、ワールドミュージック等々、幅広い分野で活躍する名手。
60v

ドラムの板垣正美もあらゆるジャンルで活躍する売れっ子ドラマー。膨大な数のサポート・ワークもこなしている。

70v

オープニングはWes Montgomeryの「Full House」。Wesの7枚目にして初のライブ・アルバムのタイトルにもなったFmの名ワルツ。
このアルバムA面最後に収録されているブルース、「Blue 'n' Boogie」の壮絶なギター・ソロはロック・ファンにも聴いてもらいたいナァ。共演のJohnny GriffinやWynton Kellyの胸のすく快演も聞き逃せない。

110杉本さんもやや早めのテンポでWesに負けないガッツのあるプレイを聴かせてくれる。
シングル・ノート、オクターブ、コード・ソロとWesの黄金のスタイルをカンペにカバーする熱のこもったソロが素晴らしい。

1202曲目は杉本さんのオリジナルで「Black and Blue」。
俗語で「Black and Blue」というのは「アザ(黒タン、青タン)」を意味するが、杉本さんのこの曲のタイトルが意味するところは都会出身の杉本さんの夜のイメージが「黒」、その後移り住んだ湘南の海や空のイメージが「青」…これが杉本さんの音楽のインスピレーションの礎となっているそうだ。
また、杉本さんが初めて訪れたニューヨークで観て感銘を受けたブロードウェイ・ミュージカル『Black and Blue』にもひっかけてあるそうだ。
よっぽどお好きと見えて、8年も続いた湘南のFMの杉本さんがパーソナリティを務めた番組名も『Black and Blue』と名付けられていた。

130vついでながら…私の「Black and Blue」はコレ。Bud Powellの『Blues in the Closet』というVerb盤。
このジャケットが好きでジャケ買いした。Bud Powellの話しをする時、まず人の口に上ることがないアルバム。色合いやモデルの女性もカッコいいが、すべての文字が小文字というのが実にイキ。聴くより眺めている方がシアワセ…。

Bbテレビ東京の人気番組『美の巨人たち』のエンディング・テーマともなったこの曲、ウォームな曲想がこのグループのヴァーサティリティアッピールする格好の素材だ。

135v続いてはオリジナルの「Blazing Sword」。
「sword」という単語は発音に注意。つづりに「w」が入っているが、ほとんど発音しない。「スァード」みたいな発音になる。Wishbone Ashの名曲も「スロウ・ダンザ・スァード」だ。
140
新撰組のファンだという杉本さん。とりわけ土方歳三がお好きで、『燃えよ剣』に触発されて作った曲だとか。
急速調でスリリングなテーマからして聴きごたえ十分!
実は、この曲ラジオで聴いたことがあって感動…ナマで聴きたかった曲なのだ!
175
各人とも素晴らしいソロを展開する!

200v

150v

160

170vここでもシングル・ノート、オクターブ、コード・ソロと丁寧、かつ緊張感極まりないソロを織り上げる杉本さん。
全音ジックリ聴いてしまった!

180シグネチャー・モデルに記されている三角印は新撰組のそれだ!

ところで…杉本さんのプレイ・スタイル。
このことである。(司馬遼太郎に対抗して池波正太郎風に…)

ピックを持っているように見えるがピックは使っていない。
昔はPat Martinoのような石のピックを使っていたが、演奏中誤って落とし、割ってしまった。その時に咄嗟に採った弾き方がそのまま今のスタイルになってしまったという。
基本的にはダウンは親指、アップは人差し指で返している。
親指は普通に弦をはじいているが、人差し指は、何と説明したらよいか、指の腹の薬指側を弦に当てているそうだ。
こうすることによってアルアイレ奏法に近くなり、弦がフレットに当たらず澄んだ音になるのを狙っている。

それと左手…発見してしまった。
先ほどから触れているが、杉本さんはオクターブ奏法をよく使用する。
1弦と3弦、または2弦と4弦の組み合わせをでオクターブを作る場合、人差し指と小指で弦を抑えるのが普通だが、杉本さんはガバッと開いて、ほとんど人差し指と薬指で押さえてしまう。
コレ、ハイフレットならそう問題ないが、5フレットぐらいまで下りてくるとかなりツライ。
ここでもガッツを追及する杉本さんなのだ。

1854曲目はEaglesの「Desperado」をシットリと。

210v一音一音、息を吹きかけるように紡ぎだす音が美しい。

220v最後もオリジナルで〆る。「Crazy Summer Blues」。

230vクソ暑い異常な夏に一撃をくらわすハードな曲!

235短い時間ではあったが、一年の大半をステージですごす杉本さんのこと、さすが!あまりにも濃いステージの組み立てで「真夏のJAZZ 葉山 2014」の素晴らしいオープニングを飾った。

240v杉本篤彦の詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦オフィシャル・ブログ

250ところで、杉本さんがMarshallを好む理由…「ガッツがあるから」。
「ガッツ」重視の杉本さん、この言葉が意味する一番のところは「音抜けが抜群」ということだそうだ。

250v続いて登場したのは田近香子さんというピアニスト率いるVakenecoというトリオ。
驚いたのはこのベース。

260vこの人、岩見敬吾という。元ミドリのベーシスト!
ああ、何年ぶりだろう?!バッタリ出くわしてビックリ!

270vルックスが若き日のミンガスみたいじゃない?!
ゴリンゴリンのトーンで音もミンガスみたいでカッコよかった。
しかし、こうして期せずして昔の仲間にバッタリ出くわして旧交をあたためるというのは実にいいもんだ。

280vその次に登場したのが「いわし」。Marshall BlogではSPICE FIVEでおなじみの和佐田さんが参加しているピアノ・トリオだ。

290「い」の井上尚彦。
320
「わの」和佐田達彦

300v「し」の進藤陽悟。進藤さんは以前ファンキーさんの五星旗3rdでMarshall Blogに登場してもらった。

310vこれがまた最高だった。
さすが和佐田さんが参加しているグループだけあって演奏だけだでなくMCも抱腹絶倒!イヤ~、おもしろいのなんのって!
もちろん3人ともプレイは超一流。最高の演奏と最強のおしゃべりは一度体験すべし!

330帰りはちょっと渋滞に巻き込まれたけど、まぁ問題なし。
実に充実した一日であった!
夏もなかなかいいもんだ…イヤイヤ、早く秋になってくれ~!

340(一部敬称略 2014年8月2日 葉山福祉文化会館にて撮影)

2014年8月 1日 (金)

犬神サアカス團~祝20周年!犬神まつり

デビュー20周年を迎えた犬神サアカス團。
「犬神まつり」と銘打っての大ツアーが敢行され、7月の千秋楽を前に二日間の特別興行が開催された。
公演内容がまったく違うということで両日とも行きたかったのだが、初日には先約があってどうしても都合がつかず二日目だけお邪魔してきた。

10両日とも会場は犬っこたちで超満員だった。

20犬神情次2号

30v情次兄さんのMarshall。
JCM800 2203と1960Aのコンビネーション。

40足元のようす。

45ベースはジン兄さん。

50ジン兄さんはEDEN。WT-800とD410XSTからなるフル・スタック。

60v_2足元のようす。

65そしてドラムは明兄さん。

70NATALのバーチ。12"、13"、16"、22"のコンフィギュレーション。

80フィニッシュはタバコ・フェイド。傍らの卒塔婆にマッチさせてみた。

90明兄さんの足元の表。犬神ロゴとNATALロゴが赤いフロントヘッドに映える。

100そして…

110犬神凶子。

120これは20周年を記念してリリースされたシングル・ベスト、『青少年のための犬神入門』。
このタイトル!King Crimsonじゃんね~。うれしいね~。
アルバム未収録のカップリング曲や幻の名曲、「運命のカルマ」や書き下ろしの未発表曲も収録されている。
ジャケットがまたいい。Cal Schenkelタッチだね。「Uncle Meat」と「Joe's Garage」と「Tinseltown Rebellion」が合わさったような…好きなタッチだ。

Cd
そして、いよいよツアー千秋楽の二日目がスタート!

130オープニングは初日と同じく、「基準停止装置2014」。

140エンディングでの凶子さんのセリフ…「人生って不思議なものね。こんなバンドか20年も続くなんて誰が思っただろう。神様に感謝しないと。それとも悪魔?」
感謝すべきは神様と悪魔とファンだろうね~。
犬神サアカス團のファンは「犬っこ」と呼ばれているが、30歳を超すと男のファンは「犬っさん」になるそうだ。「犬っこ」と「おっさん」が合体した呼称。
20年年前には「犬っこ」だった人たちがすっかり「犬っさん」になってもこうして駆けつけてくれるのだからありがたい。私なんかもう「犬じい」だよ。
150v立て続けに「夜が終わっちまう前に」…

160v「人工妊娠中絶」。
そういえば20年ぐらい前にニューヨークへ行った時のこと。「堕胎」は英語で「abortion」っていうんだけど、ホテルの部屋でマンハッタンの分厚い職業別の電話帳をこれとはなしに開いたら、一番最初のページに「abortion」が出て来て驚いたことがあった。
もちろん職業の名称がアルファベット順に掲載されているので「a」と「b」が連なる「abortion」という言葉が初めの方に来るのは当然なんだけど、ズバリそういう言葉が出ていることにビックリした。ま、だからナンダ?という話し。

170vMCをはさんで幻の名曲といわれる「運命のカルマ」。凶子さんの巻き舌全開の爽快チューン。。

180マイナーのヘヴィ。・ナンバーだが、途中1か所だけ情次兄さんがメジャー・コードをキメるところが異常にカッコいい!
メロディも至極犬神的だ。

190vアップ・テンポの曲が続く…「桜散る中」から「都合のいい女」。
210v
「♪こっちへおいでよ」…冒頭の凶子さんのモノローグにからむすさまじいキメからヘヴィなワルツへ。「春来る鬼」…前半のハイライトだ。
20分になんなんとする大作。
「ワタシ、狂ってるの?」のというセリフがヤケに耳に残る。

2_img_0059 コロコロと変わる場面からは一時も耳をそらすことができない。こういうシアトリカルな曲を演る日本のバンドはほとんどいないよね。それだけに犬神サアカス團は大変貴重な存在だと思うのだ。私はこういうの大好きなの。

前半のジン兄さんのワルツのパートのベース・ライン!トリハダものだ。

200v「裸のマリー」、「地獄に堕ちた子供たち」、「口裂け女伝説」とノリノリの曲が続くが、テーマはどこまでも暗い。そこがタマらなく魅力的だ。

220MCでは凶子さんがNATALを紹介してくれたりして…。それと即席ドラム。凶子さんドラムのお勉強をしているとのことで、エンペラーだの、アンバサダーだの、ディプロマットだの、バラモンだの、バイシャだの、スードラだの…(あ、「バラモン」以降は冗談ですよ)ドラムヘッドの解説をしてくれた。私よりよっぽど詳しいわい。

240こういう本格的なハード・ロックには2203のサウンドが実にシックリくる。
歪みすぎず、芯のシッカリしたトーンがリフにバッキングにソロに大活躍する。
私の世代だと1959から2203ぐらいまでが最もMarshallっぽい音に響くのではなかろうか?
そう、それは高校生の時にライブハウスで聴いた轟音なのだ。

250ド派手なアクションが目を引くジン兄さん。
ベースの音抜けが信じられないくらい素晴らしい。レスポンスの早い4x10"効果も抜群。
よく練られたベース・ラインがスパスパと耳に入ってきてバンド・アンサンブルの良さが倍増する。

260クリスピーにしてヘヴィなドラミングが素晴らしい明兄さん。
犬神サアカス團の曲のほとんどは明兄さんのペンによるものだが、ホントにいつ、どこで、どうやってこういう曲想を練っているのだろうか?
以前に犬神の世界を黒岩重吾と喩えたことがあったが、こういう雰囲気(私的には昭和30年代~40年代前半って感じに聞こえるかな?)を醸し出しているバンドはもう他にないだろう。
明さんの地獄の頭脳と暗黒の才能でどうかこの世界を死守してもらいたいと思うのだ。

270
「赤痣の娼婦」…しかし、こうしてタイトルを打ってるだけで笑えてくるわ。こんなん20年もやってるんだからね。すごいわ。
230
「♪平成デモクラシー」のパートは今日もキャッチ―だった。

1_img_0148 アメリカ国家から「ビバ!アメリカ」。
「ABC、LSD、CIA、USA」、「あたしの病気はアメリカ」、「あなたの病気もアメリカ」。ウマい!
最近の世情を見ていると快癒するどころか、日本はますます重篤なアメリカ病になってしまったのぉ。
若い頃はあこがれたけどね~。もうまったく魅力を感じなくなってしまったな。

1_img_0099 名曲「絆」。

3_img_0068_2 「脳内観念スター」、「最後のアイドル」とショウはいよいよクライマックスに突入する。
「冒涜と呵責」演らなかったな…それにしてもモノすごいレパートリーだ。
これが20年の厚みなのね!

3_img_0108 アンコールはまず「血まみれの内臓ロックンロール」。
290v
「浅草心中」も今日はなし…というのは、どうも凶子さんと明兄さんは浅草の銭湯のお湯が異常に熱いと思っているようだが、そうでもない。ものすごい熱くしているところもないではないが、普通である。
でも、いつかは「浅草蛇骨熱湯地獄」という熱い湯をテーマにした曲を作ってもらえることを期待している。

280_2 続けて「陰謀論」。

300v一度ステージから降りた後、再び登場して「泥」をプレイして幕を下ろした。

310v私はコッテコテの洋楽崇拝者。
歌詞の意味なんかわからなくてもそれを補って余りあるほどカッコいいロックに溢れた黄金時代に洗礼を受けているからだ。(もちろん歌詞の意味がわかるに越したことはない)
しかし、こうして母国の独特の文化を、瞬時にして意味の通る母国語で歌った音楽もまたいいものだ。
歌詞の内容は絶望に満ちた「世界の終り」的な雰囲気さえ漂うが、音楽全体としては「世界の終り」どころか永遠に朽ち果てることのない不変の「ロックの魂」だ。ロックはこうあるべきであり、こうあるものがロックなのだ。

この後、7月に一回のステージをこなし、現在犬神サアカス團は活動を停止しているが、また、復活の際にはドロッドロの暗黒世界を披露してくれることだろう。
もちろん、その残り一回のコンサートもMarshall Blogがレポートする。

320 犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

330vNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年6月22日高田馬場PHASEにて撮影)