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2014年8月18日 (月)

Shrimpheads(シュリンプヘッズ) ツアー2014 with 奥田民生

Marshall Blog読者の皆様におかれましては楽しい夏休みをお過ごしになられたことと存じます。
一度の更新をはさんでMarshall Blog、夏休みより戻ってまいりました。

「夏休み」といっても取材へ行ったり、記事のアイデアを練ったり、資料を集めたり、写真を整理をしたり…と普段とほとんど変わらないことをしていたんだけどね…。
今日から再開させて頂きます。相変わらずのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、再開一発目は「日本のロック」について。
「日本のロック」というとみなさんはどういうイメージを持っているだろうか?
日本のロックも長い年月をかけて多様化が進み、これまでバラエティに富んだたくさんのバンドやミュージシャンが現れては消えて行った。

私もロックへの入り口はビートルズで、当時の多くの若者がそうであったように、最初はゴリゴリの洋楽派だった。
日本のロックを聴き出したのは、高校に入った頃で、比較的後になってのことだ。1977~78年ぐらいかな?
したがって時はすでに遅し…当時リアルタイムに体験はできなかったが、私にとっての「日本のロック」の原風景は頭脳警察と四人囃子と外道なのだ。
それでもナンダカンダで結構色々なバンドを聴いたな。ライブハウスにも通ったし…。

揺籃期の「日本のロック」は、次から次へと現れる海外のミュージシャンに、追いつき追い越せと日々精進を重ねていたワケだけど、聴き比べるに、言葉や演奏技術、録音技術以外に洋楽とは大きな隔たりがあるように感じた。
それは得も言われぬ「日本人」感みたいなもので、演者の気持ちがわかるというか、マイノリティ独特の屈折感、さらに洋楽とは一線を画した心地よいホームな雰囲気があったんだよね。

ところで、コレを読んでくれている若い人に一応説明をしておくけど、「日本のロック」とは「J-POP」のことではないですからね。いくら演者がバンドの形をしていても「J-POP」はロックではないと思ってください。もちろんどちらがいいとか、悪いとかいうことではござらんよ。
時代時代によって音楽のトレンドが変わるのは避けられないことだから…。
ただ、洋楽同様とにかく70年代のロックはすべて聴いておいた方がいい。

で、今日の主役はShrimpheads。
卓越な海老隊、シュリンプヘッズがそのなつかしくも心地よい「日本のロック」を聴かせてくれるのだ!
これぞ日本のロック。

下は2013年11月にリリースされたアルバム『We are traveling』。
このアルバムを引っ提げての初の東京公演のもようをレポートする。

10cdシュリンプヘッズは日本を代表するボトルネック・ギターの名手、松浦善博さんのグループだ。

207月上旬の下北沢GARDEN。

30シュリンプヘッズは…
ギター、KENTARO。そう、GargoyleのKENTAROさん。ひっさしぶりにお会いした!
JMDでご一緒させて頂いたころがもうなつかしい!

40vベースはおなじみオガンちゃん。小笠原義弘
235v

キーボードは松浦さんの盟友、神本宗幸。

60vドラムは高橋ROGER知久。ロジャーさんもマーブロではスッカリおなじみ!

70v松浦さん、この日は1962を併用。

80v小型のコンボの他に、パンチの効かせたいパートでBluesbreakerが活躍した。極上のトーン!

90松浦さん愛用のスライド・バー。ごく普通のステンレス仕様のようだ。

100足元のようす。

110そして、我らがオガンちゃん。
50v
後ろに見えるのが…

120EDENのセット。
キャビネットはD115XLTが2台。オガンちゃんは演奏する音楽に合わせて4x10"のD410XLTと使い分けている。
アグレッシブなサウンドのバンドの時はでレスポンスの早いD410XLTを使用する。
今日はレイドバックする必要があるのでD115XLTを2台重ねた。
ちなみに大谷令文さんとのTrio the Collagensの時は4x10"と1x15"を組み合わせている。

130vヘッドは最上機種、WT-800。
先日EDENの責任者が来日してオガンちゃんのプレイを目の当たりにしたのだが、その音の素晴らしさとオガンちゃんのスーパー・プレイに感動しまくっていた。この時のことは後日レポート。

140オガンちゃんの足元のようす。

150オープニングはCDの一曲目「決まっているのさ」。

160ク~、これが「日本のロック!」。
「♪僕たちは夢の途中で日本のロックを歌い続けている」…その通り!昔を懐かしいと思うことはあっても、そう昔に戻りたいとは思わない。でも、ロックだけは昔に戻ってもらいたいナァ。
コレが「懐メロ」に聴こえるか?絶対にそうは聴こえない。なぜならこれがロックの本質だからだ。

170v2曲目は、これもCD2曲目の「夢のリモコンチャンネル」。
これはわかるな~。
松浦さんのDuaneへの憧憬。右手のミュート、左手のタイミング…彼のプレイの秘密を本人に会って訊き出したい!自由に夢が見れるリモコンがあれば夢の中でDuaneに会えるのに!

私だったらFrank Zappaに会うな~。実際、夢に何回かZappaが出てきたことがあるんよ。昔は彼は夢の中で日本語を話していたけど、最近Zappaに会う夢を見る時は、キマって私が懸命に英語で話しかけている。返事は日本語だけど…。でも、少しは英語力が進歩したってことかね?

1803曲目は「ギターとロックンロールと」。
このあたりは松浦さんの民主的政策なのか、心意気か、それとも松浦さんがギター・プレイに専念したいのか、メンバーが交代で歌う。コレがまた楽しい。

190オガンちゃんが歌うのは「オレのピストルはどこだ」。
この2曲は松浦さんの2006年のソロ・アルバム『Slidin' & Slippin'』から。

200ロジャーさんは「そんなマイベストフレンド」。ロジャーさんのボーカルぶりはCollagensの「組曲難聴」などでも十分おなじみだ!

210v神本さんは渋いノドで「オレンジ色の神戸」。

関西の人がうらやましいと思うのはこの「神戸」だ。ついで「京都」。この2つの街には東京の地名にはない素敵なイメージがいつもつきまとっている。
関東でいえば「横浜」ということになるのであろうが、もっとソフィスティケイトされたイメージがある。
したがって歌にもなりやすい。
「横浜」だとどうしても「たそがれ」だが、「神戸」は「オレンジ色」だ。オッと!横浜には「ブルー・ライト」があったんだっけ!

ま、そんな素敵な神戸でも私の一番の思い出と言えば、元町でFrank Zappaの海賊盤の12枚組のボックスセットを格安で見つけてゲットしたことか?無粋でスミマセン。

ところで、神戸といえば「ビーフ」。日本に来る外人が食べたいものの筆頭に挙げるのが「神戸ビーフ」。でも彼らは「コーベビーフ」と絶対に言わない。
「コービービーフ」になっちゃう。彼らは単語の中に自分たちの慣れ親しんでいる言葉を見つけると、自分たち流にそこだけそのまま読んでしまう。「Kobe」の「be」は彼らには「ビー」にしか見えないのだ…というのは私の研究結果。真相は知らん。

220そして松浦さんの歌で「真夏の言葉」。

230レイド・バックした熟成のロックととろけるような松浦さんのギター。あせらない、あせらない…じっつにいい感じで前半を終了した。

240v後半に入って登場したのは…

250奥田民生

270v民生さんもMarshallだ。
以前にも機材の紹介をしたが、あの時のヘッドは1917、通称PA20というボーカル・アンプだったが、今回は現行品の2061Xを使用した。
キャビネットについてはこちらを参照されたい⇒【緊急速報!!】奥田民生のMarshall~『奥田民生2013ツアー SPICE BOYS』から

280v足元のようす。

290もうここは「ギタリスト・奥田民生」全開!

300スワ世界初?ダブル・ボトルネック・リード…。民生さん曰く「そんなのゴマンとあるでしょ?」
以前、民生さんのコンサートに松浦さんがゲスト出演された時、「絶滅の危機に瀕するスライド・ギターの救世主」的な紹介をしていたのを思い出す。
ふたりで楽しそうに思いっきり弦の上にスライド・バーを滑らせていた。
曲は「Life in Bloom」。民生さんも参加していた松浦さんの同名アルバムから。

310続いて「フィルモア最初の日」。『Slidin' & Slippin'』に収録されている民生さん作の佳曲。

サンフランシスコのFilmore Westは1971年7月、最後に5日間にわたってさよならコンサートが開催され、Santana、CCR、Quicksilver Messenger Service等が出演し、ライブ・アルバムになっているためよく知られている。
でも、「最初の日」に出演したのは誰なんだかね?
このハコはGreatful Deadの本拠地で、68~71年の間に64回出演したという。

一方、同時期に存在したニューヨークのFilmore Eastのお別れコンサートにはThe Allman Brothers Band、The J Gilles Band、Albert King、Edgar Winterらが出演した。
こちらもDeadの根城で4年の営業期間中に43回出演したそうだ。

Eastの最後の日はライブ・アルバムこそ残されていないが、The Allman Brothers Band、Frank Zappa、Band of Gypsys、Miles Davis等々超ド級の名盤を数えきれないほど残している。ロックの一番よかった時代だ。

このFilmoreを主宰したBill Grahamは、こうしてロックの発展に限りなく大きな足跡を残した。映画『ウッドストック』にもチラリと登場しているが、ウッドストック関連の本を読むと、Bill Grahamは自分がウッドストックの企画に名を残せなかったことに激怒していたという。

320松浦さんもかつて民生さんのギターを指して、「いい音出すんだよね~」としみじみおっしゃっていたっけ。

330vそう、実にいい音なのだ。そして、弾くソロもまさに「音を選ぶフレーズ集」でムダなものが一切ない。
やはり、民生さんが作る名曲と相通ずるところがあるのだ。
しかし、民生さんがギターを弾く姿を見ているとひしひしとギターへの愛情を感じるね~。

340v『We Are Traveling』から「ああ しんど」。松浦さんのビートルズ・ストーリー。

350vそれにしても素晴らしいサウンドのオガンちゃんのベースはどうだ?まるで音楽のかたまりだ。
外人によく見間違えられるらしいが、ホント、ルックスもプレイもますます日本人離れしてきたんじゃない?

355v「カヌー」、「息子」等、民生さん作品の他にツイストの「からまわり」もプレイ!

360KENTAROさんとのギター・バトルもバッチリ!

380オガンちゃんのベース・ソロ!
コレ、歌ってるのではありません。トーキング・モジュレーターで暴れまくっているところ。

390v民生さんのコーナー、最後は「Rocky Mountain Way」。みんなJoe Walsh好きね~。
370v
全8曲。完全に「ゲスト」の枠を飛び越えたメインともいうべきパフォーマンスで会場は大いに盛り上がったよ~!

410vそしてまたシュリンプヘッズにもどって「ひょっこりひょうたん島のように」。
Bo Diddleyと化した松浦さんが昨今の日本を憂う。

420vこのリズム隊だから、Bo Diddleyビートもゴキゲン!

430v

440v本編最後は軽快に松浦さんの『Rainbow Roll』または『Ramblin' Roll』に収録されている「あの丘をめざせ」で締めくくられた。

450vそして、アンコールには再び民生さんが登場。

4601曲は民生さんの「ロボッチ」。

470続いて『We Are Traveling』から「燃えろうぜ」。
最後には松浦さんも曲のタイトル通り完全燃焼!

480vニッパーで弦を1本ずつ切っていって今日のパフォーマンスにさよならをしたのだ!

490あ~、おもしろかった!
「日本のロック」をタップリと楽しませていただいた素晴らしい一夜だった。
ライブDVDもリリースし、10月にはまたツアーが決定している。
これからもシュリンプヘッズには「日本のロック」を盛大にブチかましていってもらいたい。

松浦善博の詳しい情報はコチラ⇒Slidin' & Slippin'

500v(一部敬称略 2014年7月2日 下北沢GARDENにて撮影)