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2014年7月 8日 (火)

ダイスをころがせ~キュウソネコカミ&赤い公園

5月下旬、閉鎖間近の渋谷AXで『ダイスをころがせ』というイベントが開催された。

Marshall Blogで話題になる回数が極端に低い、あるいはほとんど触れていない最もメジャーなバンドはThe Rolling Stonesだろう。
Charlie WattsこそNATALを使っていたが、Marshallを使うバンドではないし、元より個人的にすすんで彼らの音楽を聴くことがまずない。(←「キライ」とは言ってませんよ~!)
今まで万単位でレコードやCDを買ってきたが、我が家のレコード&CD棚に収まっているストーンズのアイテムの数といえば、片手で事足りる。
そんな私でも有名な曲はほとんど知っていて、その数もバカにならないところは「世界一のロック・バンド」たる所以か。
この「ダイスをころがせ」もその中の1曲。知らないながらも、『Sticky Fingers』とか『Exile on the Main Street』とか、聴くならこの頃のストーンズだ。
でもこの曲の原題は「サイコロを転がせ」ということではなくて、「転がるサイコロ」という意味だからね。

それにしても、最近のストーンズのベロ・マークの普及率ってスゴイと思わない?
巷間、このロゴがついたグッズを身につけている若者をやたら見かけるようになった。どう見てもロックを聴いているようには見えない若者、ましてやどう考えてもThe Rolling Stonesを知っているとは思えない若い子らだ。
もし、彼/彼女たちがストーンズを好きで聴いていて、それであのロゴが付いたグッズを身につけているのだとしたら、洋楽がこれほどすたれることはないだろう。
日本の音楽シーンにおいて、洋楽パッケージ商品の洋楽の占める比率は大分前に20%を切ったと言われていたので、今頃はもう10%を切っているかもしれない。洋楽は絶滅危惧種なのだ。

要するにこのベロ・マークは若い人の間ではただのファッションに過ぎず、ストーンズがサイコロを転がそうが、満足を得られなかろうが、んなこたァ、どうでもいいワケだ。
さて、このベロ・マーク(特別な名前はなく、海外でも「Tongue Logo」と呼ばれているようだ)、1970年にロンドンの美術学生が50ポンド(当時のレートで43,000円ぐらい)のギャラでデザインしたものだそうだ。
これは、なぎら健壱の「いっぽんでもにんじん」どころの話しではなかろう。もし、印税方式で契約していたら、ま、キティちゃんにはかなわないだろうにしても、この学生さんは億万長者になっていたことは間違いない。
それを見兼ねたのか、ミック・ジャガーは後にこの学生に200ポンド(今のレートで35,000円ぐらい)を恵んだそうだ。オイオイ、天下のミック・ジャガーが200ポンドってこたァねーじゃねーか。
もっともイギリスではミック・ジャガーはお金にシビアであることがよく知られていて、おつりは1ペニーまでシッカリ確認する人だそうだ。別に悪いこっちゃないけどね…。

このベロ・マークは、1971年の『Sticky Fingers』に使用されて以来、The Rolling Stonesという音楽集団を一目で認知させる力を発揮し、バンド・ロゴとしては恐らく世界で最もポピュラーなものに成長したというワケ。
だからロゴ・マークというのは恐ろしい。
Marshallもあのスクリプト・ロゴがあってヨカッタ。何が起こってもあのロゴがあるだけでMarshallはMarshallでいられる。
そして、最近すごく気に入っているのがNATALのロゴ。
落ち着いていて、威厳があって実にいい。このロゴが商品とともに育って行ってくれることを願ってやまない。
340
そして、今日のイベントにもそのNATALロゴがお目見えしている。

05

キュウソネコカミだ!

10もうこの上下2枚の写真でそちら側へ熱風が吹き込んだんじゃない?
すさまじい勢いで音楽シーンを席巻している人気者だ!

20ボーカル&ギター、ヤマサキ セイヤ

30キーボード&ボーカル、ヨコタ シンノスケ

40vギター、オカガワ カズマ

50vベース、カワクボ タクロウ

 150v
ドラムはソゴウ タイスケ

70キットは、メイプルでメタリック・ホワイト。12"、16"、22"というコンフィギュレーション。

80vNATALのメイプルは明るく軽快だ。打てば響く(ドラムなんだから当たり前か…)粒立ちのよいサウンドと驚異的に音抜けのよいバスドラの音色が実に心地よい。

100「ア~ユ~レディ~」の雄叫びとともに「良いDJ」。

110はじめの一音で客席は大爆発。地面が揺れ出した!

120キュウソネコカミもそうだが、最近の若いバンドのサウンドってすごく「和」なんだよね。
ギター・リフなんかでも洋楽の要素が皆無で、ものすごく日本的な雰囲気を感じる。

130リズムもそう。もちろん私もすべてのバンドを見ているワケでは決してないが、もう3連系の曲を演奏する若いバンドはそれこそQUORUMだけになった感すらある。

140vテンポが早い曲でも「スピード感」とか「ドライブ感」という観点が希薄で、いかに「ダンサブル」にサウンドをまとめるか…ということに重きを置いているように感じる。これで客がノラないワケがない。

2k_img_0140

そして、「ユーモア」。これは重要だ。「Does humor belong in music?」である。答えは「it must be!」。
参考までにFrank Zappaの1984年のライブ音源による『Does Humor belong in Music』の新旧のジャケットをアップしておこう。

OldNew_2
たった数分のドラマで「笑って、笑って、でもホントだな…」と、歌と自分を重ねさせるキュウソの作品のパワーは相当なものだ。
身近な「あるある」を題材に、諧謔精神旺盛に若者文化を描くキュウソの手法はひとつの日本のロックの理想形であるのではなかろうか?
自分がもう35歳若かったら間違いなく夢中になっていただろう。
加えて、私なんかは彼らが持つメッセージ発信能力に大いに期待を寄せているのである。
「がんばれ」、「負けるな」と犬も喰わない陳腐な人生応援歌などには目もくれず、社会的なメッセージを歌に詰め込んで若者にドンドン発信して欲しいと思う。

160その作品の典型が2曲目の「ファントム・ナビゲーション」。スマホの歌だ。
今朝テレビでやっていたけど、一日10時間とかイジっている若者がいるんだって?
それに、LINEの返事が来るとか来ないとかでイジメに遇ってしまうか…。
もうね、いい加減資本主義にブレーキをかけて「成長病」から脱却した方がいい。今からたった45年ぐらい前は、電話のない家なんかいくらでもあったんだぜ(ウチは電話あったけどね)。
携帯なんかなくたってゼンゼン平気なハズなんだけどね…。
ナンカこういう世の中のおかしな部分は全部キュウソネコカミの歌が解決してくれそうな気になってきた!

170サイコロを投げて出た目で曲を決めるコーナー。後ろの候補曲のリストが手書きなのがまた素晴らしい!

180おりゃ~!転がったらんかい!

190お客さんの頭上を行き来するサイコロ。

200サイコロの目は大無人、すなわち「一」。
…ということで約束通り「サブカル女子」をプレイ。これもいいね~。

210v続いて「DQNなりたい、40代で死にたい」。

230「♪ヤンキーこ~わい~」で大絶叫。
まさにステージと客席のパワーが拮抗している!お客さん達はもう無我夢中だ!

240さらに「ウィーワーインディーズバンド」。

260v「♪音楽でメシはゼンゼン喰えない」…か。いいこと歌うな~。
昔はメシが喰える音楽を作れる人だけが、音楽でメシを喰っていたんだけどね。
今は誰でも音楽ができるようになっただけに大変なことになってしまった。「裾野」が広がるというのは「才能」が増えるということではないんだな。

250v
このイベントには3バンドが出演。各バンドの持ち時間が長くないため、次の「ビビった」が最後の曲となった。

270この曲…こっちがビビったわ!
いつもMarshall Blogでグダグダ書いていることを若い視点でキュウソがまとめてくれちゃってる!
280v
今回も鉄壁のアンサンブルでフロント陣をインスパイアしたリズム陣。

276v歌に演奏に、もう好きなことを徹底的にやってくれ~!
285
これは6月18日にリリースされた7曲入りのセカンド・ミニ・アルバム、『チェンジ ザ ワールド』。ジャケットがカワイイね!
Cd
キュウソネコカミの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

2k_img_0200 続いて登場したのは赤い公園。
音楽評論家の大野祥之氏にすすめられて、昨年SUMMER SONICで初体験。そして、今回Marshall Blog初登場。

290ギターの津野米咲はMarshallを使用。

300v以前にも書いたが、ガール・バンドにはどうしても「男のすなるロック」をそまま移植しているバンドとアイドル系、さらに、ガール・バンドだけが持ち得る独特な世界観を具現化するバンド…ときれいにカテゴライズされると思っているが、この赤い公園は後者の最たるものといえよう。
幕張でも演奏していたが、「ふやける」という曲が好き。

310v

ところで、アタシャ仰天しちゃったんですよ。ホントに偶然にキマってるんだけど、ギターの津野さん、何かの曲のイントロでE-F#-E-Cという音列のアルペジオを弾いたのだ。
コレ、キーは違うのだろうが、三宅庸介の「Solitary Past」の中間部と同じなのだ!コレには驚いたね。一般の人にはわかるまいが、三宅さんのショウでは頻出の「三宅スタンダード」なので、思わず声を出してしまった。
三宅さんには失礼だが、津野さんが「Solitary Past」をご存知だとも考えにくいし…。ま、たった4つの音のことなので、世の中ではよくあることなのだろうが、よりによって好きな三宅さんの曲にブチ当ったのでビックリした次第。

320v大野さんのオススメ通り、とてもいいバンドである。いつかゆっくりMarshall Blogでレポートできることを心待ちにしている。

赤い公園の詳しい情報はコチラ⇒赤い公園オフィシャルサイト

330vNATALロゴ、いいでしょう?

340NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
詳しくはコチラ⇒イケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月25日 渋谷AXにて撮影)