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2014年7月31日 (木)

BLUES DETOX~アルバム発売記念ツアー

Marshall Blog初登場のBLUES DETOX。
ふたりである。
デュオである。
♪ひとりじゃないって素敵なことね…。

10その2人とは…。
ギター/ボーカルのオカヒロと…

30vドラムのMAD大内…すなわちTYOの2人だ。

40vギター/ボーカルと打楽器のデュエットといえば、真っ先に頭に浮かぶのがT-Rexと頭脳警察。
若いところではThe White Stripes。それとお姉さんが歌って弟がドラム叩いてるチームもあったな…Blood Red Shoesというコンビ。大分前にO-EASTで見たんだけど、お姉さんのDSL50と1960TVの組み合わせによるギター・サウンドがものすごく強烈だった。
若い人にかかると機材の使い方がこうも違ってくるのかと実感したりもした。
20

こうした少人数編成のバンドのいいところは、機材が少ないためにセッティングと片付けが何しろラクで早いところだろう。反対に人数が少ないがためにひとり何役もこなさねばならず、機材がかえって多くなってしまうこともあるかも知れないが…。
…というのは半分冗談で半分本気。
前出のBlood Red Shoesの時のヘッド・ライナーがThe Killsという、これまたデュオだった。すなわち、2バンド出て出演者が4人という、大阪の人だったら怒り出すのではないかという簡素さ。ひとり頭のギャラの分け前がウハウハ状態だ。実際見ていたらセッティングもバラシもメチャクチャ早かったもんね。

O_img_0044もちろんBLUES DETROX(Jeff Beck Groupに「Blues Deluxe」という曲があってついつい打ち間違えそうになる!)はそんなこと考えて2人でやっているワケではござらん。
2人の目指すところの音楽がそうあるべきだからデュエットしているワケ。
しかし!やはりロック・バンドたるもの迫力ある低音は不可欠。
BLUES DETOXにはベーシストはいない…ではどうしているか?
オカヒロちゃんがベース・パートもカバーしているのだ…ではどうやって?
ってんでまずは機材をチェックしてみよう。いつチェックするの?今でしょ!
もう「今でしょ」も大分古くなった感があるけど、あの「今でしょ」先生、それこそ今でもよくテレビに出てるよね。スッカリ人生変わっちゃったね。ホント、人生何が起こるかわからない。
あ、機材、機材。
O_img_0039
オカヒロちゃんはとにかくMarshall。Marshall、Marshall、Marshall…いつでもMarshallの素敵なロック野郎だから!

 170
当日ステージ上がったMarshallは2台。
向かって左は愛用の1976年製の2203。右はJCM2000 DSL100だ。キャビネットはともに1960A。
TYOではレスポールを使う姿をよく見かけたが、このバンドではストラトキャスターの使用頻度が高いようだ。

70これが足元。
シンプルだが、これがギター/ベースのひとり二役を演出する元。
ギターからの信号をここでパラレルに振り分け、一方はMarshallへ、もう一方はオクターバーを経由して下手にセットされたベース・アンプに送られる。
ベーシストがいなくて低音を稼ぎたい時に誰もがする発想だが、出てくるサウンドがグシャグシャになってしまうのが普通だ。

80オカヒロちゃんはベース音がはっきりと聴こえるように弾き方に大きな工夫を凝らしているという。それをどうやっているかは企業秘密。
こうして、通常と違うインストゥルメンタリゼーション(目指す音楽を考えて楽器を選び、グループの編成を組み上げること。言葉の使い方としては「The Mothers of InventionとThe Mahavishunu Orchestraはインストゥルメンタリゼーションが似ている」みたいな…)にすると思いもかけない副産物ができたりすることがあるので面白い。
ようするに人と同じことをやっていては、人と同じモノしか出てこないということだ。

100

さて、BLUES DETOX、サウンドの方はむしろ愚直なまでにトラディショナルだ。ロックがロックだった時代をいいように思い出させてくれる。ホッとするわ。
曲の7~8割はインスト。
好き勝手にギターを弾き、ドラムを叩く2人の姿の背後から「自由」という言葉が見えてくる。

90これが6月18日に一般発売されたアルバム『VERSATILY』。
DOLBYのロゴをアレンジしたタイポグラフィのデザインがカッコいい。MADさんの手によるもの。

ところで、「DOLBY」の研究所というのはロンドンのど真ん中、Paul McCartneyの出版社(MPL。もう引っ越しちゃったかも知れないけど)のすぐ隣にあるんよ。今度『名所めぐり』で紹介するね。

このタイトル、「Versatily」という英単語は辞書には載っていない。「多才」とか「多芸」という意味の名詞であれば「Versatility」だし、「多才な」とか「多芸な」という意味の名形容詞であれば「Versatile」となる。
こうして造語までひねり出してしまうところにどこか人とは違ったものを求めようとする意気込みを感じる。
その精神が「ロック魂」の礎なんだよね。

私が聴いたところでは「多芸」とか「多才」とかいうこととは無縁の「ロック・バカ」を感じたね。むしろ頑固一徹の職人ワザ。
ソリッドでヘヴィなギターリフ、思う存分引き倒すギター・ソロ、ダイナミックなドラム、70年代のグラムの芳香ただようポップなメロディ…コレでいいのだ。

50cd

さて、そのレコ発ツアーの初日。
オープニングは『VERSATILY』収録の「Mardi Gras」。

140

ゴキゲンなリフを持つヘヴィ・チューン。気合の入ったソロ!

120vいつも通りの派手なドラミングが気持ちいい~!
「2人で演奏しているとは思えない」なんて月並みな言葉でこのバンドを形容するのはもったいないね。
そんなことより、何しろ「ド迫力」だ!

130v2曲目は歌もので「Love Flammable」。
150
いつも元気なMADさん。ホント、この人を見ていると理屈抜きに元気になった気がしてくる。

155vプログラムは当然『VERSATILY』の曲を中心に進められていく。

160vどの曲だったか、転調を含む曲があった。考えてみれば、このバンド、転調はラクだよ~。もう好きなところで好きなように転調できちゃう。
180v
オカヒロちゃん(MADさんも)のMarshall Blogへの登場はかなり久しぶりのことだ。
実際に会ったのも久しぶりで、とてもあたたかく私を迎えてくれてとてもうれしかった。昔の仲間っていうのはホントにいいもんだ。
初めて会ったのはもうずいぶん前のことだが、会話の中でずいぶん「ロック」という言葉を使う人だな…と思った。真の「ロック野郎」なのである。
オカヒロちゃんのその「ロック野郎」ぶりはまったく変わっていなかった!…どころかますますノッている姿がとても頼もしかった。

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いつもニコニコのMADさん。この人ほど楽しそうにドラムをプレイする人は他にいまい。オカヒロちゃん崇拝のMCもメチャクチャおもしろかったナァ~。

190「ギターを好きに弾いているだけなのにこんなにたくさんの人が観に来てくれて本当にありがたいことです」…とオカヒロちゃん。
「自由にギターを弾くオカヒロちゃんの姿」が観たくてみんな集まっているのだ…。だから思い切り好きに弾きなさい。ロックを奏でなさい。

200v他にも歌ものを披露。

210v本編の最後の方でプレイしたのは「Zilbop」。ダンサブルなブルース・チューン。「Zilbop」ってのは懐かしいね~。SONYのデカいラジカセの名前だよね。私も持っていた。Walkmanが出る数年前の製品で、おそらくバカでかいラジカセの先駆け的だったのではなかろうか。
別売りのアダプターを使えばレコード・プレイヤーもつなぐことができた。
中学校の時、私は「FMレコパル」を片手にこのZilbopでずいぶんエアチェックしたもんだ。Todd RundgrenもRoxy MusicもJudas Priestも全部Zilbopで初めて聴いた。
こんな名前忘れてたよ。なつかしいな~。ありがとうBLUES DETOX!

220vアンコールを含めて全14曲。「ロック魂」に横溢した素晴らしいステージだった。

230v海外での活動も視野に入れているというBLUES DETOX。そんな2人の気概も強く感じられたステージだった。
TOWER RECORDSでは『VERSATILY』が洋楽のフロアで扱われていることをよろこぶオカヒロちゃんが印象的だったな。
BLUES DETOXとは関係ないけど、ホントにナントカなんないのかよ、洋楽人気ッ!
TOWERでのインストア・イベントも取材して来たのでそちらのレポートも乞うご期待!

240BLUES DETOXの詳しい情報はコチラ⇒BLUES DETOX OFFICIAL SITE

P.S. さっきオカヒロちゃんと電話で話した際のメッセージ⇒「今週末は大阪。大阪のみなさん、待っててね~!」
大阪のみなさん、よろしくです!

250(一部敬称略 2014年6月27日 目黒鹿鳴館にて撮影)