会場入り口に所狭しと飾られたゴージャスな花たち。
そう、今日は曾我泰久、ヤッチンの芸能生活40周年を祝したコンサートなのだ。
当日のプログラム。貴重な写真満載!
会場は超満員。このめでたき日をみんなで祝おうと熱気ムンムン!
開演時間が来て客電が落ちる。
ステージ奥のスクリーンに映し出されるのはスーツ姿の男性。
「さぁ~入って来て!75番の方入って…」と影アナが演じるスーツ姿の男性の声。
するとホンモノのヤッチンが上手からステージに上がり中央に進み寄る。
もちろん「75番の方」とはヤッチンのことだ。イヤ、正確に言うと40年前のヤッチンのことだ。
ウマイ!そう、ヤッチンの芸能生活のスタート、ジャニーズ事務所のオーディションを再現したのだ。
「好きな芸能人は?」
「フィンガー5です…」
「エ?」
「イ、イエ、郷ひろみさんです!」
「姉貴に言われて応募しました。その写真はおばあちゃんが一番気に入ってた写真です」
「…でナニを歌うの?」
「『ベンのテーマ』です」
1曲目は「ベンのテーマ」。
今日のコンサートはヤッチンの芸能生活と同じくしてスタートした。
ちょっとここで「ベン」について触れたいんですけどいいですか?流れを壊しちゃって申し訳ない。
でも、マイケル・ジャクソン人気でこの曲がエラク有名になっちゃってるでしょ。いつかどっかに書きたいと思ってたことがあるのです。
ヤッチンがその機会を与えてくれたと思って書かせていただきまっさ。ヤッチンと私は同じ学年だからね。
「ベンのテーマ」というのは、映画『ベン』のテーマ・ソングなんだけど、これは『ウイラード』という映画の続編なのね。
『ベン』はネズミと孤独な少年の友情を描いた感動作なんだけど、この『ウイラード』ってのが身の毛もよだつ動物怪奇映画だったのですよ。
ま、話しは似てなくもなくて、ベンは命令を受け、ことあるごとにウイラードを助け、二者間の友情が深まっていく。ちょうどのび太とドラえもんみたいな関係だ。「ど根性ガエル」のひろしとピョン吉と言っていいかもしれない。
はじめのうちは「アッレ~、ベン、家族ができたのかい?ヨカッタね~」なんてやってるんだけど、見る見るうちにネズミの数が増えてウイラードもビビりだす。そりゃそうだ、何せ相手はネズミ算を使うからね。
そうしているうちにベンの過剰なウイラードへの援助なんかもあって段々ネズミのことが疎ましくなって来て水に沈めて始末しちゃう。
それにキレたベンがウイラードに復讐をする…という話しなんよ。何しろ小学生の時に一回見ただけなので細かいことは覚えていないんだけど、ネズミが増えていくところは、ヒッチコックの『鳥』よりコワイかったので印象に残っている。
「もの凄いことが起こります!あなたは信じられますか」なんてキャッチがついてる1971年の日本初公開時のチラシ。ホンモノです。え?なんでそんなもん持ってるのかって?私、中学生ぐらいまで映画のチラシをコレクションしていたのですよ。今でも大事に保管しているんだ。
ね、ネズミのイラストが入っている。
その恐ろしい怪奇映画の続編が『ベン』なんですよ。それをですね、皆さんに知っておいてもらいたかったワケ。いわば『ターミネーター』と『ターミネーター2』みたいなもんだ。
ヘンな風に脱線してしまってゴメンナサイ。でもようやく書くことができてスッキリしました。ありがとう、ヤッチン!
上手に「ベン」を歌いきったヤッチンだったが、オーディション自体は残念ながら落選。しかし「ユーいいじゃない!ウチに入りなよ!」…とジャニーさんが認めてくれたという。
そうして芸能人としての人生を歩み出したのであった。
それから40年…今日もノリノリのロックンロール大会だ!
もちろんヤッチンのギターのお供はMarshall。
JVM210Hと1960A。
スッカリ使いこなして頂いてる!
40年を祝うバンドメンバーたち。
田川ヒロアキ
ヒロアキくんのMarshallは愛用のJMD501。もう身体の一部やね。
和佐田達彦
ファンキー末吉。
ファンキーさん、今週月曜日の東京新聞にデカデカと出てた!コレはまたの機会に紹介します。
まずは「UP BEAT」。
「Let's Get Together」と続けて演奏。
ヤッチン曰く、「目がテンになる」というヒロアキくんのソロもノッケから全開!
「Midnight Train」~「21st Century」
記念すべきコンサート…もちろん40周年を祝うゲストもお見えになった。
最初のゲストは…
草野とおる。
冒頭のオーディションの面接官の影アナもとおるさんの仕事。
ヤッチンとはアポロボーイズという劇中のバンドから派生したバンドで活動を共にした。
「アポロでドライヴ」。ま~、問答無用、楽しきゃいい!的なノリが実にほほえましい。
もう一曲は「三度目の15の夜」。
ヤッチン、「またベース弾きに来てね!あの時がワーってよみがえって来ました!」
お祝いにふさわしいにぎやかなひとときだった!
そして「和佐田さん、帰ってきてくださ~い!」
で、和佐田さん復帰。
ヒロアキくん、すかさず「和佐田さんがゲストみたいですね~!」
そしてもうひとりのゲスト。
今日は朝からドキドキしていたというヤッチン。小学生の時から憧れて、憧れて、憧れていたという…。
晃!
曲はまず「♪アアン、アアン」の「気になる女の子」。
ヤッチン、この曲好きだな~って思ってたら、コレ憧れのフィンガー5のレパートリーだったのね。
それにしてもフィンガー5は衝撃的だった。
すさまじい人気で、クラス中の男の子は妙子ちゃんの、女の子は晃さんの写真を下敷きに入れてたっけ。
テレビの仕事で晃さんに初めて会ったヤッチンは気が遠くなりそうだったという。
実際、今のEXILEあたりより全然クリエイティブでカッコよかった。今時のアイドルとはケタも風格も違う。
そして、決して「楽曲」だとか「アーティスト」なんて言葉を使ったりしなかった。そんな形骸化した言葉の力など借りなくても、それこそアーティストにパワーがあった。
お待ちかねの「個人授業」。シャッター切りながら一緒に歌っちまった!
水島新司のイラストのジャケットも印象的だったよね。
「♪できるなら個人授業を受けてみたいよ」だの「♪結構グラマーなこともぼくは気が付いているんだよ」…って、よく考えてみればエロガキについての歌なんだけど、あのメロディに乗って晃さんが歌うこの曲はまったくナチュラルで可愛かった。
MCで解説してくれたんだけど、「♪罪なことだよ、せんせい」の「い」から音程が飛んで「できるなら」の「で」にスラーでつなげるところは晃さん自身のアレンジだったそうだ。
この「せんせい」のブルーノートもカッコいい。
この時代の歌謡曲は今のバンドの体をしてテレビに出て来るロックもどきの子たちよりもよっぽどロックだった。
それで、この次にリリースされた曲がまた衝撃的だった。「ハロー、ダーリン!」よ。あの「♪リンリン」にはマイッタですよ。この曲だって3コードだもんね。今、電話は「リンリン」ってならないもんね。
実はこの日体調がすぐれなかったという晃さん。「でもヤッチンの顔見たら元気が出たよ!」ともう1曲、「学園天国」。当然この曲も合唱!
これだってたかが小学校のクラスの席替えの歌なのに、何たるドラマ!コミカルにしてスリリング。そして最高のロック・フレイバー。前作に続いて阿久悠&井上忠夫のコンビ。もう2人ともいなくなっちゃった。
お年寄りから若者まで、それぞれの世代にみんなが歌える歌があった時代だった。「個人授業」は阿久悠&都倉俊一。やっぱりそうした音楽をキチンと勉強して本当にいい曲を書くことができる職業作曲家を育てるべきなんですよ。
とにかくこの曲のクォリティの高さ!これらの曲が世に出てから40年ちょっとか?まったく古くならずに歌い継がれているジャン。日本人が地球上にいる限り歌い継がれますよ。
それに引き換えナンダ、今のテレビで流れているような曲は?幼稚かつまらないか…どっちかが好きに選べるようになってるってか?そんな曲、半年と持つまい。
それにしても歌謡曲もロックも失った日本の音楽界はあまりにもヒドくなった。
本当にヤッチン、ハッピーだったんだね。演奏後、晃さんに向って「40周年のお祝いとはいえ、いっしょに歌ってくれるなんてメチャメチャうれしかったです!」とよろこびをあらわにしたのだった。
アコギに持ちかえて最近作ったという「Go Ahead Again!」をプレイ。
いつまでも夢を追いかけていたい…という思いを込めて作った曲だそうだ。
ここでビデオ・レターのコーナー。
松原秀樹、リリーズ、影山ヒロノブ、イルカ、野村義男各氏から40周年を祝う言葉を載せた映像が披露された。
そして、衛藤浩一登場!
「来ちゃった!あなたのために咲いたの!」とヤッチンにお祝いの花束を贈呈。
現在ヤッチンと衛藤さんは『曾我 泰久 with 衛藤 浩一 LIVE TOUR 2014春 ~ Dear Friend ~』を展開中。各公演とも大好評のソールドアウトだ。
コンサートも後半に入る。
カラオケに入ったという「君の歌」。ピアノとストリングスのSourcesも加わった豪華バージョン。
ちょっとトラブルあったけど、めでたいから問題なし!
なつかしの映像をバックに歌う「ALBUM」。
みんな可愛らしくて…若いって素晴らしいな~。
終盤に向けてはお約束のノリノリ・チューンが続く!
そして「Yes! Yes!! Yes!!!」でクライマックスを迎える!
今日も要所要所でシャープで美しいギター・ソロを披露したヒロアキくん。
ヒロアキくんとのギターバトル!
タオル投げもバッチリきまった!
すんげェ投げてる人いるナァ。
ヤッチン、感極まって思わず涙が!「泣くキャラじゃないけど、うれしい!」って!
本編の最後は「愛を育てよう」で幕を下ろした。
「40年歌って来たのは奇跡。これからもずーっと歌い続けたい!」とスタートしたアンコール。
「春風を誘うから」…
そして「Stand Alone」。
大盛り上がりで曾我泰久の芸能生活40周年を祝う記念すべきコンサートが終了した…と思ったら!
それでは収まりきらず予定外のダブル・アンコール。
サービスも満点なのであった!
ヤッチン、これからもずっとゴキゲンな音楽を聴かせてね!
曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒soga21.com
(一部敬称略 2014年3月8日 渋谷DUO MUSIC EXCHANGEにて撮影)