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2014年4月14日 (月)

帰ってきたTRICK BOX!!

コレは2014年の日本のギター界にとって「うれしい出来事」のひとつに数えられるだろう。
10_8
藤岡幹大のTRICK BOXの復活だ。
幹大ちゃんとは比較的古い付き合いをさせてもらっていたが、ここ数年、年賀状のやり取りぐらいしか接点が見いだせず疎遠になっていた。昨年の5月にMarshallの社長が来日した際のパーティで顔を合わせたぐらいだった。
ところが昨年の暮れ、池尻大橋の駅のホームを歩いていたら私を大声で呼ぶ声が聴こえ、その声の主を見ると長髪の小柄な少女。ハテ、私のようなオッサンにこんな可愛い女の子の知り合いなんかいたっけ?
しかし、声は聴き紛うことのない、藤岡幹大のソレだった。しかし、まだわからない。
「幹大ちゃん?」
「ハイ、そうです!」
最後に会った時に比べ、すっかりスリムでカッコよくなってしまって一瞬誰かわからなかったのだ!
彼はホームを歩く私の姿を見て、自分の降車駅でもないのにワザワザ電車から一旦降りて声をかけてくれたのだ。
ま、要するに彼とはそんな仲で、立ち話のなかで「来年にはまた自分のバンドで活動する」という話しを聴いて、その時とてもうれしく思ったのであった。

20_8私が言うのも生意気だが、私は彼の作曲家&ギタリストとしての才能をとても高く評価していて、ファンとして、また友人としてその活動を楽しみにしていたのだ。
相変わらず日本は「速弾き至上主義」のような傾向が強く、「超絶=シュレッディング」の図式が堅固に出来上がってしまっているが、断じてそうではない。
かく言う私も若い頃は速弾き至上主義者であったし、「速弾き」と呼ばれる演奏技術がすさまじい鍛錬の積み重ねで成り立っていることもよく理解している。
しかし、速く弾くことばかりがロック・ギターの醍醐味であるワケはなく、もっと音楽の「クリエイティビティ」に耳を傾けるべきだと思う。

30v_8そこへ登場したのが藤岡幹大だった。
「誰もやらないことをわかりやすくやる」…これが彼のギター・プレイへの印象。

コレは2007年に発表されたアルバム『TRICk DISC』。もう7年も経つのか…。
「もう少し踏み込んで作り込んだいたら、もっともっと面白いアルバムになった」などということをヨッパライついでに大阪のお好み焼屋で幹大ちゃん本人と話し合ったことがあった。あの時は生意気言ってゴメンナサイ。
このアルバムを聴くと、ある音楽誌でホッピー神山さんが添えたMike Keneallyの『Hat』評をいつも思い出すのだ。Mikeの音づくりの凝りようを指して、曰く「アメリカ人にはなぜこの手のキチガイが多いのだろうか」…。もちろんホッピーさんがMikeに送った最大の賛辞だ。

それでも三宅庸介の『Orchestra Supreme』ズンコの『コスモス』等、あまりにも薄い層の中で何も知らない消費者を満足させようとしている軽佻浮薄な日本のロック・シーンにあって、こういう音楽がまだ日本で手に入ることを私たちはよろこぶべきではあるだろう。

最近、政治がキナ臭い動きを見せているが、国民はもっと勉強しないと!ウチは新聞を変えた。
音楽もそう、勉強した方が何万倍も楽しめる。

Mikioさて、彼とはずいぶんクリニックのお手合わせもしていただいた。東京都内はもちろん新潟や大阪まで遠征してMarshallのクリニックをやったものだ。
ふたりの好きな曲を題材にしたり、幹大ちゃんの著作に沿って進行したり、私自身が彼のファンであるだけにいつも楽しかった。
昔はMarshallもずいぶんいろんなことをやったんよ!

Books3そして、池尻大橋の駅のホームで彼が発した言葉通り、彼のバンドTRICK BOXが帰って来た!
110v_2もちろんバックラインはMarshall。

35_2JCM2000 DSL100と1936。
以前はJVM410Hを使用していた。彼はJVMの最も古いユーザーのひとりでもあり、上記の著作に付属しているCDもJVMの「サイレント・レコーディング」機能を利用して録音された。

40v_5足元のようす。大分以前は黎明期の古いデジタル・ディレイなどを使っていたが、かなりノーマルなようすになった。

50_5さて、今回のTRICK BOXの面々は…
ギターとボーカルが藤岡幹大。

60_5ベースが小川洋行

70v_3ドラムが野口広明

80v_5冒頭のMC。「家を出る時娘が『うまく弾けるといいね!』と言ってくれた」…せいかどうか1曲目からうまく弾けました。「Amazing Graces」から「Harmonix」。
なつかしいな~。メロディを強引にすべてナチュラル・ハーモニクスで弾いてしまうという強引にして繊細な難曲。

90v_2『TRICk BOX』からの幹大スタンダードに新曲を交えショウは構成された。

100_7複雑に展開する幹大ちゃんの作る曲を完璧に弾きこなすリズム隊。

120_6

130_42曲はさんで、「まわるわ。」という新曲では歌も披露。コレは7/8か?
ちょっと忘れちゃったんだけど、タイトルの「まわるわまわる」とか、シャレになっていて、こういう言葉の遊びも幹大ちゃんのセンスのいいところ。

140_3しっかし、ギターうめぇナァ~。
楽器フェアの時、Marshallのブースに遊びに来てくれていっしょにZappaの「Black Page Part2」を弾いてもらったことがあったんよ。私のはメロディをナゾるのが精いっぱいで聞けたものじゃないけど、幹大ちゃんの「Black Page」は美しく歌ってた。

150v_5これまたなつかしい「イメージを持って踏切を渡る」。これはよくMarshall Roadshowで弾いてくれた。
続けて新曲の「おもいだす」。これも歌入り。11/8だって。単刀直入にカッコいい!
アノ、言っておきますが変拍子だからカッコいいと言っているのでは絶対ありませんよ。
Paul Gilbertの新作に5/4拍子かなんかの曲が入っていて、Paulに会った時に「アレ、5/4拍子だね」と言うと、彼はすかさずこう言った。「自然に聴こえる?」って。
そう、自然に聴こえるのが一番カッコいい変拍子なのだ。Zappaを聴けばわかる。11/8も13/8も19/16もまるで4/4に聴こえる…こっちの耳が悪いせいもある。

160_6本編最後はオープニング・アクトを務めた教え子を交えて「Proto-Cosmos」をプレイ。Tonyの『Believe It』やね。そう言えばこないだ三宅さんも「Red Alert」演ってたな。「Stratus」の後のブームはTonyかな?
アンコールは「Chicken」。
あ~、タップリ超絶ギターを堪能したわ~。やっぱりこの超絶はMarshallじゃないとイカンね。音のヌケが違うもん。音ヌケの悪いアンプだったらこの超絶具合も魅力半減だったろう。

これを機に幹大ちゃんの活発な音楽創作活動を期待して止まない。

175そうそう、当日のPAの担当者も昔の仲間でね。久しぶりに会うことができてとてもうれしかったな。
昔の仲間と再会するってのは本当にいいもんだ。

藤岡幹大の詳しい情報はコチラ⇒Twitter

Bm_img_0140_2(一部敬称略 2014年2月25日 汐留Blue Moodにて撮影)