Mate Kamaras on Stage!
六本木のSTB 139。
ココもなくなっちゃうんだってね~。新宿厚生年金、渋谷BOXX、横浜BLITZ、渋谷AX…それに2017年には中野サンプラザホールも閉鎖してしまうとか。寂しくなるね。
特にこのSTB 139は思い入れがありましてね。2001年に私が脚本を書いて、大満足のいく結果となったイベントが開催された場所なのだ。
ずいぶん色々なショウを見て来たし…。Marshallの登場頻度は多くなかったろうが、寂しくなるナァ。
今日はガツンとMarshall。そしてNATAL(ナタール)!
基本的にロックのハコではないので、あと何回来れるかわからないウチの一回が今日のレポートということになる。そんなチャンスを与えてくれたのが…
ギターは岡崎司。
岡崎さんのMarshallはJVM410Hと1960AV。
以前レポートしたSKOMBやサイケデリック・ペインの時と同じ。
キーボードは松田信男。
ベースは大桃俊樹。
そしてドラムは松田翔。
このバンドスゴイ。メンバー5人のウチ3人の名字に「松」が付いていて、ウチ2人が「松田さん」!
松田さんのキットはバーチの「ROCk」というキット。12"、13"、16"、22"、14"x5.5"というコンフィギュレーション。フィニッシュはタバコ・フェイド。
「よく鳴る~!」とリハーサル後もひとりステージに残ってNATALドラムの「鳴り」を味わう松田さん。お気に召して頂いてうれしいわん!
さて、マテさんはというと正式な音楽の教育を受け、ヨーロッパ各地で人気ミュージカルの重要な役をこなしてきたハンガリー出身のシンガーだ。
2003年~2005年の間にウィーン500回再演された『エリザベート』のトート役が当り大人気を得るに至った。
その後、2007年に初来日を果たし、東京と大阪で『エリザベート』のツアーを開催。さらに、ミュージカルコンサート『スーパー・ライブ』で姿月あさと、武田真治等と共演した。
一昨年には東宝版の『エリザベート』に出演し、東京、福岡、名古屋、大阪のツアーですべての曲を日本語で歌い上げた。
…という人気ぶりで今回の昼夜の東京公演も満席の大盛況ぶりであった。
その数々のミュージカルの曲を集めたアルバムを発表。そのレコ発ライブというワケ。
とにかくすごい熱唱!
こういう時は正直に言った方がいい。残念ながら不勉強で『エリザベート』の事を私は知らない。が、俄然燃えたのはこのシーン。
『The Rocky Horror Show』の「Sweet Transvestite」を歌ってくれたのだ!
『Rocky』の中では主役のDr. Frank N. Furterが登場する時に歌われる重要な曲。それでこんなコスチュームをまとっている。
オリジナルの歌詞では「♪A sweet ransvestite from transsexual, transylvania」と「trans-」で頭韻を踏ませるところがおもしろい。「transvestite」はよくTVに出て来る「服装倒錯者」。「transsexual」は当然「性転換者」とか「性倒錯者」。「Transylvania」はルーマニアの地名。もちろんドラキュラの故郷だ。Frank Zappaに「Transylvania Boogie(『Chunga's Revenge』収録)」というヤケクソにカッコいい曲がある。
歌詞の内容は異なるが、これをマテさんは日本語でうまく料理していた。
寡聞にして、他の曲にはなじみがなかったが、どれも親しみやすく味わい深い佳曲ばかりだった。
ブルース・ハープも披露!
岡崎さんをはじめとするバンドのメンバーを「2007年からの僕のトモダチ」と紹介するマテさん。岡崎さんとのイキも仲もピッタリだ。
マテさんを見ていて思ったのは、歌だけでなく言葉をすごく大切にしているんだな…ということ。
もちろんマテさんは、もう日本語も流暢で、MCも無難にこなすのだが、これは大変なことですよ。
よくヘタな英語に接した外国人が「ワタシノニホンゴヨリヨリゼンゼンウマイ!」と英語で言うが、おかしいでしょ?それは。
これを言う人のほぼ全員は日本語なんか勉強したことないハズなのよ。そうでなければ、そのセリフは日本語で発されるべきなんだな。
こっちはドロドロになって英語の勉強してるからね。このセリフを告げられて一緒にされた時点でもうその英語は失格なのだ…と思ってる。
では、本当に英語がウマイ時にはどう言われべきか?「How have you been in the States」とか「When did you live in London?」とか、そう言われるハズなのだ。
何かジョークを言った時には「I like your sense of humour」なんてのも最高の褒め言葉だ。英語と知性の両方を称えられたことになる。
で、外国人が日本語を勉強するのは我々が英語を勉強するのとは断じてイコールではない。何しろ彼らは「イチ、ニ、サン」から覚えなきゃならないんだからね。
我々は英語を勉強していばくてもかなり多くの英単語を知っている。またこれが変に日本人を英語から遠ざけたりもしているんだけどね。
それに漢字の前にひらがな、カタカナもやらなきゃならない。語彙も英語の倍以上必要とされている。我々日本人はかなり高度な言語を使っている優秀な民族なのよ。
イヤイヤ、そんなことを言おうとしたのではない。マテさんの言葉に対する真摯な態度。
「日本語で歌います」とか「ハンガリー語で書いた曲です」とか曲に使う言葉の情報を与えてくれる。
これは言葉を大切にしている証拠と見た。
ちなみにハンガリー語というのはこうしたポップソングにうまく乗るね。なんか哀愁があってとてもよろしい。
イタリア語もすごくいいんだよね。ロマンティックでロック・ビートにもよく乗る。だからPFMとかAreaとかBancoのような国際的なバンドが出て来れたのかもしれない。
反対なのがフランス語。AngeとかAtollあたりを聴いていると、シリアスな曲なのにズルっと来ちゃうようなところがあるもんね。好きだけど。
言語はどうあれ、歌詞に込められた想いを完全に理解してこそ歌い込むのが歌手の仕事なのだ。
マテさんは「歌」の意味を重視し、言語を超越して熱唱していた。これが言いたかった。
日本の楽器を使って音楽を作ってみたいというマテさん。その創作意欲は旺盛だ。
変幻自在に様々なギター・サウンドでソロにバックに素晴らしいプレイを見せてくれた岡崎さん!
ん~、やっぱり音がいいな~、NATAL。バスドラのリッチなサウンドがまずタマラン!とても音楽的なドラム・キットなのだ。ホントは叩き手がいいからなんだけどね!
とても「歌」のひとときでした。そんな現場でもMarshallとNATALはベスト・マッチなのだ!
マテ・カマラスの詳しい情報はコチラ⇒Mate Kamaras Official Website日本語版Marshall Blogをご覧のギタリストの皆さん!
バンドのドラマーさんに↓↓↓を教えてあげてくださ~い!
NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。
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(一部敬称略 2014年1月9日 六本木STB139にて撮影)