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ライブ・レポート Feed

2014年7月29日 (火)

田川ヒロアキ バースディ・スペシャル・ライブ2014

チョイと出ました田川ヒロアキ。
今日はバースディ・スペシャルということでスペシャルな面々を迎えてのステージだ。

10_2ベースに寺沢功一

30vそしてドラムに長谷川浩二

40vこのトリオのどこがスペシャルかというと…もちろん豪華メンバーということなんだけど、スペシャルの元ネタがもうひとつあるのだ。

ナニを隠そう、イヤ、ナニも隠す必要なない。この3人は、日本が世界に誇るへヴィ・メタルの祭典「LOUD PARK」に出演した時のメンバーなのだ。

50_2つまり、ヒロアキくんの誕生日のスペシャルとしてその時のもようを再現してみようという企画。

60v…ということでヒロアキくんのMarshallもいつものJMD501ではなくて、幕張の時と同じJVM210Hと1960がセットされた。
そうそう、ことろでそのJMD、残念ながら数年前に生産が終了してしまったけど、今、探している人が結構いるんだってね。特にヘッド。JMDを持っている方、大事に使ってやっておくんなさいまし。

70_2ということで、それでは2009年のLOUD PARKにタイプスリップしてみましょう~!

ポケタポケタポケタ…
ここは幕張。

L10だだっ広いステージにセットされたJVMのハーフ・スタック。

L_l20このギターもなつかしいね。弾き方は当時からコレ。昔からか…。
L_l70
「My Eternal Dream」で幕を開けた堂々たる演奏!

L_l30ヒロアキくんの気合の入ったプレイを猛然とサポートする鉄壁のリズム隊!

L_l40vそうだそうだ、この時角度がうまく合わなくて、正面からは浩二さんの顔しか撮れなかったんだっけ!

L_l50大会場を切り裂く必殺のJVMサウンド!

L_l60v得意のア・カペラのソロも披露して大喝采を浴びた。

L_l110v

持ち時間をノリノリでブッちぎった迫力の演奏だったのよ!

L_l100vポケタポケタポケタ…
ここは高田馬場音楽室DX。
こうして見ると5年位じゃみなさんそう変わらないね。

80_2オープニングはいつも通りの「Seascape」。
バッキング・トラックに乗せてギターが歌いまくる。

90_2続いては「LOUD PARK」でオープニングに演奏した「My Eternal Deam」。

110_2ヒロアキくんのテーマ・ソングとも言うべきキラー・チューン。

1t_img_0066矢継ぎ早に演奏するのは「Stranger Destroys Arms」。
コレも超重量級のハード・チューン。バースデイ・ライブのせいか、はたまたリズム隊のおかげか…ノッケからガッチリとした演奏で観客をワシづかみにした。

120vここでご挨拶とメンバー紹介。
LOUD PARKの思い出などをチラリ。そうだ、ほぼ同じ時間にLOUDNESSが出演していたんだっけね。「君が代」が聴こえてきちゃてね!

100v
4曲目には最新作『ようこそ田川Nightへ』から「BOUND」。幾度となく現れる意表を突く無茶なキメが痛快!

150v『Ave Maria』から「メンデルスゾーン」。
この日はどういうワケか浩二さんが同期の操作を担当。その危なっかしい操作で爆笑を誘う!
続けて演奏したのはSteve Vaiの「The Crying Machine」。浩二さんの選曲だそうだ。

130_2

2度目のMC。
今度はLOUD PARKで使用した機材などを紹介。2009年のこの時のMarshall Blogを読むと「人生最高のギター・サウンド!」とヒロアキくんが大層よろこんでくれたようだ。
そういえば、幕張駅に着いた時ヒロアキくんから連絡があって「アンプから音が出ませ~ん!」なんて言われて慌てて会場に入ったんだよな~。こういう仕事をしていて最もイヤな知らせだ。
会場に着いてみるとナンてことはなっく、ループの設定がチョイとマズかっただけの話しだった。

JVMのパラレル・ループに何も接続せずループ・レベルをフル・ウェットにして、ループに信号を送ると音が出ない構造になっているのだ。
あ、ちなみに…英語でそういう状態、つまり音が出なくなる状態を「Amp is dead」という。

ところで、実は昨年もこのトリオの再演を企画したがスケジュールが合わず断念したそう。

140
第1部の最後はボーカル曲「Keep Flying」。

155意外にもてらちんはこの日が初DXだったとか。「こんなアット・ホームなところで演れて楽しい!」

160浩二さんは以前「50歳になったらドラムを辞める」とかおっしゃっていたそうで…来年引退?!イエイエ、日本の音楽界がそはさせないでしょう!

170_2存分にソロも弾き切って〆のポーズもキマった!

190v…いうことでしばしの休憩。

200_2
さて、ここで休憩時間を利用して皆さんにお知らせだゼ~ット!
ポテトチップス(イギリスではクリスプスといいます)でおなじみの湖池屋の人気商品カラムーチョのPVに何とヒロアキくんが出ちゃってるんだよな~。
相手はナント水木一郎。
もう私なんか「マジンガーZ」、「変身忍者 嵐」、「バロムワン」、「バビル2世」あたりは完全にリアルタイムだからね。昔のアニメの曲はみんなどれもヨカッタ。みんなそれぞれ書き下ろしだったしね。

カラムーチョか…「ポテトが辛くてなぜおいしい」ってヤツね…食べたいナ。でもガマン。今、「ポテチ断ち」してるから。
ま、辛いものが大好きな私にはカラムーチョぐらいじゃビクともしないんだけどね。
それでも以前、新橋にあるメキシコ料理店で声高に「辛いモノ好き」と騒いでいたら「お客さん、このソースお試しになりませんか?」とキャラメルほどの大きさのゲル状の物体をお店の人が差し出してくれた。
恐る恐るホンノ耳かき一杯ほどのそいつを口に入れた瞬間、天井まで軽く飛び上がったね。「辛いモノ好きやめました!」って言いたくなったわ。あんなの非常識だってば。
イヤ、上には上があるもので、あれは一種の殺人兵器だったな。

…ということは関係なし、ヒロアキくんのカラムーチョぶりをトクとご覧頂きたいゼ~ット!

ナンカ異常に楽しそうだな…。
急遽決まった話しだったそうで。そこはさすがヒロアキくん、完璧なプレイで見事カラムーチョしてくれているゼ~ット!!

さて、始めるよん。
第2部の1曲目、じゃない…最初はジャンケン大会。
ヒロアキくんと勝負して勝ち残った2人にプレゼント。
勝者は2人とも女性で、おひとりはSPICE FIVEを見てヒロアキくんのファンになったとか。変わってるナ…。
そしてもうおひと方は楽器店のイベントでヒロアキくんの存在を知ったそう。

205そこからピアノの弾き語りに。
タイガースの「Love Love Love」。この曲はタイガースが好きな、ここ音楽室DXの店長に捧げられた。
というのも、店長はヒロアキくんのマネージャーの美瑞穂さんが持ち込んだ企画を即座に快く引き受けてくださり、そのおかげでこのステージが実現されたからなのだ。

210_2満を持して賀山(かやま)店長登場!マーブロもお世話になっております。
賀山さんからは誕生日の祝辞の他に当日のスペシャル・ドリンクの説明が加えられた。

305v
ここで浩二さんから重大発表。
「3人で演るのは5年ぶり。やっぱりイイ感じ。ということで3人でお皿作ろう!(これは古い言い回し~。さすが大ベテラン!「お皿」とはレコードのこと。今ではCD。フィジカル・プロダクツ擁護派の私としてはドンドン作ってもらいたい)」
「田川くんのメタルの部分を引き出した作品にするゼ~ット!(←この「ゼ~ット」はウソ)」
さらに「このバンドで海外デビューも目指すぞ!しかも年内にリリースします!」
「せーの!で撮るからね!コンピュータで作る冷たい音じゃないゼッ~ト!(←この「ゼ~ット」もウソだけどそれぐらいの勢いだ)」

すかさずヒロアキくん…「CDリリース記念ライブもやりたい!」
オウ!ドンドンやってくれい!

コレは実際楽しみだね。名手たちの高い音楽性の粋を集めた素晴らしいロック作品が期待できそうだゾ!浩二さん頼んまっさ、ボナマッサ!

K_img_0205ここで「ダダンダダン」。『ようこそ』収録の「Train」だ。この曲については『三宅庸介・田川ヒロアキ Guitar Show 2014 <前編>』に詳しく記しておいたので未読の方はゼヒご覧頂きたい。

230_216ビートのナンバー「That's Over」。
これはLOUD PARKでも演奏された曲だ。

240vここではリズム隊の2人をフィーチュア。
260_2

誰が呼んだか「低音暴力団」。しかしそのプレイはド迫力にして音楽的だ!

250v
代わって浩二さんのソロ。

270v快感!
このキットはLOUD PARKの時が筆おろしだったそうだ。

280ク~、乱れ出してからがタマらない!

290vガラっと変わってバラード「平和の風」。

300続いても代表曲「Speedway」。ギュイーン!

310ここでてらちんの小芝居。
「チョットいいですか?何だか急に歌をうたいたい気分なの。みんなもよく知っている歌だから一緒に歌って」とこの紙をお客さんに見せた。

この紙、最初てらちんの譜面台に横にして置いてあって、写真を撮る時にそれがチラッと目に入ったのよ。一瞬それがアルファベットでなくて何かの記号に見えたの。だってこんなことするとは思わなかったから!本当のサプライズだったってワケ。
こっちはその譜面らしきものを見てビックリした。
「スゲェなてらちん、パガニーニみたい。譜面が暗号だよ!」なんて感心しちゃったりなんかしちゃったりして。

320お客さんはもちろん大合唱。

330そして浩二さんが手にしたくす玉が割られる。ナゼか一緒にめっちゃノッテるヒロアキくん!

340くす玉からは「おめでとう」のメッセージが…。

345
そしてフー!帽子が良く似合う。コレもバースデイ・プレゼントだそうだ。

350v感動のコーナーが終わって本編最後は「Ave Maria」。チャッチャといくよ~。
これまでずいぶん色んなミュージシャンと演奏するヒロアキくんの「Ave Maria」を聴いてきたけど、この3人の演奏も秀逸だった。

360vそして、アンコール。「Back in the U.S.S.R.」…なんでここでロシアやねん?!

370ま、ストレートなエイト・ビートでゴキゲン、ゴキゲン!
楽しそうだな。

380v素晴らしい演奏を展開してくれた3人。マジでCD期待してまっせ!
バンド名は何かしら?
この3人、名前のイニシャルがHT、KT、KHとどっかつながってるんだよね。
390vだからといって、最近流行りの頭文字を取るヤツはもうやめて欲しいナ~。THT(田川/長谷川/寺沢)とかKHK(浩二/ヒロアキ/功一)とか、長田寺(宗派はナンダ?)とか…。そういうのパーマネント感というかバンド感が希薄なんだもん。

…ということで次回が色々と楽しみ!
400v田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

410v(一部敬称略 2014年6月8日 音楽室DXにて撮影)

2014年7月24日 (木)

SSS SUPER LIVE~ミサイルイノベーション&QUORUM

ああぁ、関東地方もとうとう梅雨が明けて始まってしまった…夏。これからしばらくイヤだナァ。早く冬にならないかナァ。
「今年はとんとツバメを見かけない」…これは友人のfacebookへの書き込み。で、ハタと思ったんだけど、そういえば「今年」に限らずツバメどころかスズメも見なくなったような気がするな。
ハトすら少なくなっているように思う。
ウチは比較的東京のド真ん中なんだけど、昔は、朝にはチュンチュンと盛大にスズメの鳴き声が聞こえてきたのもだ。今はまったくだもんね。気味が悪いわ。
これも温暖化の影響なのかしらん?
ここしばらく社会的にもイヤな話題がテンコ盛りで気分もすぐれないけど、こんな時はイキのいいロックを聴いてウサを晴らそうではないか!
暑さは無理だわ。暑さには誰も勝てん!

…ということで、まずご登場頂くのはミサイルイノベーションというバンド。

10Do As Infinityの大渡亮が2004年に結成したロック・トリオだ。

15ボーカルとギターは大渡亮。

20vベースは林由恭。

30vドラムに林久悦。

40v バンド名の表記は「ミサイルイノベーション」。「Missile Innovation」とアルファベットにするワケでもなく、それどころか「ミサイル」と「イノベーション」の間に「・(中黒)」さえ入らない。
このシンプルさの極みはいかにも亮さんらしくていいナァ。

50亮さんとは結構長いお付き合いをさせて頂いていて、以前はよくDo As InfinityでMarshall Blogに登場して頂いていた。
初めてお会いした時にイッパイ行って、たいていの人をウンザリさせてしまう間断ない私の「ロック論」を真剣に聴いてくださった辛抱強い人なのだ。

60v亮さんはもちろんMarshall。JCM2000は当然、VintageModern、JVM等を愛用してきてもらっている。
かつては1969年製の1959もコレクションされていた。
90
さて、このミサイルイノベーション、名前から想像するに攻撃的なヘヴィなロックを演るのかと思ったらさにあらず。実にわかりやすく、そして楽しいゴキゲンなロックンロール・サウンドを聴かせてくれる。

80このバンドでは亮さんはほぼボーカルに徹している。ギターうまいのに派手なソロのシーンはほとんどなし。
亮さん、高校の時に鹿鳴館に何回かSABBRABELLSというバンドを観に来ていたそう。
私は寡聞にしてこのバンドを知らなかったのでチョイと調べてみた。
1980年初頭から活動を開始したヘヴィ・メタルのバンドだったそうで、「目黒鹿鳴館の帝王」とアダ名されていたらしい。今、ブルース・ロックを演っている松川純一郎さんが一時期在籍していたことを知りビックリ。
亮さんによると、Black Sabbathに影響を受けたSABBRABELLSのライブは、何しろお客さん全員がトゲトゲの装束で客席が危険だったとか…。
DEAD ENDも観に来たんだって。

そんなだから、今回の鹿鳴館への出演は亮さんにとってはとても感慨深いものになった。

100メンバー全員が歌えるのも強みだ。

110v 曲のポイントをガッチリつかんだ分厚いコーラスが魅力的。
ところで、このふたりの林さんによるリズム隊…ずいぶん似てるナァ~と思っていたら双子さんだったのね!
道理でイキもピッタリなワケだ。兄弟がメンバーに含まれているバンドはまったく珍しくないが、双子はかなり珍しいでしょう。なくはないようだけれど、私が知っている限りではミサイルイノベーションだけだ。

120大好きだというレゲエ調の曲も含めロックの楽しさ満載のステージ!

70v
最後は「ミサイルイノベーション」という曲。

125バンドのテーマ曲として作ったのかと思ったらそうではなくて、先にこの曲があって、それをバンド名に持って来たとのことだ。

130亮さん、初ミサイルイノベーション、楽しませていただきました!

140ミサイルイノベーションの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

150この日のトリはおなじみQUORUM。

160浪岡真太郎

170v北川遊太

180v盆子原幸人

190v石川達也

200vオープニングは「Chicken」という曲。相変わらずのQUORUMサウンド!シビれるね~!

210真太郎のロック・ボイス…

220v遊太の灼熱のリフとソロ…

230縦横無尽に低音域を暴れまくる幸人…

240v猛然とバンドをプッシュする達也…

250vやっぱりロックはこうでなくちゃイケねぇ。

270
続いて「Shot Gun」。
280v
堂々と自分の言いたいことを託してソロを弾く遊太。その姿はステージの覇者のようだ。今、こんな風にしてギター・ソロを弾ける若者が他にいるだろうか?昔はみんなこうだったんよ…ギターがウマい人はね。そして、ロック・ギターというものは断じてこういうものなのだ。
290
「Slide Harp」という曲が続く。
310
真太郎はブルース・ハープも披露。初めはポケットから携帯電話でも出したのかと思ったら10ホール・ハーモニカでした。

260vその次に演奏したのはカバー。Silvertideというバンドの「Devil's Daughter」という曲。

「Silvertide…シルバータイド…しるばーたいど…汁婆態度と…。Silverheadなら知ってるけど、Silvertideなんて知らないな…。名前からすると70年代のマイナーなバンドか?ヤバいな、知らないな…。勉強不足だコリャ。まだまだエラそうなことは言えないな…」

と悩んでいたら、なんだよ、2000年以降の新しいバンドじゃねーかよー!ヨカッタ、それじゃ知らなくても無理はない。ヒヤっとしたぜ。

そうそうMichael Des BarresでおなじみのSilverhead、去年ギターのRod Daviesから、「今春日本に行くのでMarshallでサポートして欲しい」という連絡があったんよ。楽しみにしていたんだけど、残念ながら来なかった。是非Marshall Blogで取材したかったんだけどね。

295v残り2曲は「Patience」と「3J」。

320QUORUM名物の遊太と幸人のバトルもタップリと!

330これまで何回も彼らのステージに接してきたが、この日はすごく「ひと皮ムケた」感が強かった。
気が付いてみると、当日本編でファースト・アルバムから演奏したのは「3J」のみ。
それがその「ひと皮ムケた」感を与えたのだろうか?
言い換えれば「前進している」感だ。QUORUMが成長していることは間違いない。

M_img_0231 アンコールは「Danger」。
300
今年は年間100本のライブに挑戦しているQUORUM。昔の子供ばんどを思い出すね。
その忙しいさなか、もうすぐレコーディングに入るという。
MarshallとNATALサウンドにあふれたゴキゲンな作品を送り出してくれることだろう。楽しみだ!

340v

2m_img_0131 QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

350 NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
詳しくはコチラ⇒イケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年6月25日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年7月22日 (火)

森久保祥太郎 LIVE TOUR 2014 心・裸・晩・唱 〜PHASE4〜

超満員のZepp Diver City。

10今日のステージの主は…

20森久保祥太郎!

30押しも押されぬ声優界の大スターだ。
2s_img_0088
シリーズで展開しているコンサート…その第4段階!ハード&ヘヴィなナンバーがギッシリと詰まった一大ロック・スペクタクル!

404月からスタートした全国ツアーがソールド・アウト続出の大好評につき、開催が決定したのが本追加公演なのだ。

50ボーカルとギター、森久保祥太郎。

2s_img_0180祥太郎さんはMarshall。JCM2000 TSL100と1960Aのコンビネーション。
よく見るとヘッドのロゴの両脇にピックが貼ってある。

70vそして、祥太郎さんを劇的にバックアップするバンド・メンバーは…

80ギターに藤澤健至。

90v健至さんのMarshallはJVM410HJS。Joe Satrianiのシグネチャー・モデル。
このモデルは海外でも大変に評価も人気も高いモデル。もちろんSatriani自身もMarshallの50周年記念コンサートの時に使用していた。
キャビネットは1960A。

100v7弦ギターを組み合わせて、ソロにバッキングにと縦横無尽なギター・プレイを披露した。

110v上手のギターは鍋嶋圭一。

鍋嶋さんも7弦ギター。キャビネットは1960Aだ。

130vベースは三宅博文。EDENのスピーカー・キャビネットを使用。

140vマニピュレーターの大串友紀。

150ドラムは青山英樹。

160vロック・シーンとアニメやゲームの関わりが切り離せなくなってもうかなりの年数が経つ。最近はそれにインターネット・ミュージック(ていうのかな?)という第三の勢力が加わって、ロックの在り方の多様性が過去には想像できなかったほどに広がった。
そして、それらのどの勢力も「ロック」という音楽ジャンルの外側にあるようなイメージはいまだあるが、プロデュースされているサウンドは完全にロックだ。
40年近く「ロック」と言う音楽を傍らで見続けて来た者の目には、近い将来「ロック」という言葉もなくなってしまうのではないか?…という風に映る。

よく言えば、かつては怪しく危険なマイノリティの代表のような存在であった「ロック」という音楽が、人間が生まれてはじめて聴かされる音楽にまで普及したということになるのであろう。
その反対に「ロック」が生来持っていた「毒気」や「危険な香り」はまったく消え失せた。

勘違いしてはいけないのは、このムーブメントはアニメやゲームの流布によって現れたものではなく、パンク/ニューウェイブ以降、80年代から始まっているということだ。
それまでのロックに喝を入れるべく登場したパンク・ロックがかえって「ロック」の牙をもぎ取ってしまったところが実に皮肉だ。

さて、Marshall Blogではそのロックをロックたらしめる要素として、シンガーの声について何度も触れてきた。
要するにロックには「男性的な野太い声」が不可欠であるということだ。

170そこで感動したのが祥太郎さんの声!
190v
もちろん声優さんだからして「いい声」なのは百も承知なのだが…

280v
ロック・フィーリングあふれる実にクールなボイスなのだ!

180加えてまったく手を抜かずにキチンと歌い込む姿勢もカッコいい。

250v

その祥太郎さんをバック・アップするバンド陣の演奏もすさまじい!
210
これでもか!と弾きまくるギター・チーム!

200めくるめくギター・ソロが右に左に繰り広げられる。

220v祥太郎さんの声が「ロック・ボイス」ならMarshallから繰り出されるギターのサウンドも最高の「ロック・トーン」なのだ!

285
リズム陣のハードでタイトな快演も完璧だった。

230v各地の名産品を食す「フード・ソロ」という大串さんのコーナー。東京はトンカツ。デカいヤツをガブリ!

240コンサートはいよいよ佳境に!
60
矢継ぎ早に飛び出してくるド迫力のナンバーに観客は大熱狂!
260

「夢にまで見た」というZepp Diver Cityでのコンサート…大成功だった!

290そしてアンコール。

300_2年内にミニ・アルバムを出すと発表。
3曲を演奏。

310そして、ダブル・アンコール。
第4段階は熱狂のうちに幕を下ろした。

320森久保祥太郎の詳しい情報はコチラ⇒official home page

330(一部敬称略 2014年6月14日 Zepp Diver Cityにて撮影)

2014年7月15日 (火)

LOWER THAN ATLANTIS LIVE IN JAPAN

LOWER THAN ATLANTISは2007年に結成されたイギリスのバンドだ。

10ポスト・ハードコア、アルタナティブ・ロックの旗手として人気を集めている。(←「ああ、シゲのヤツ、わかってないな…」とお思いの方、ご自由に想像してください。反論も抵抗もしません)

20Mike Duce

30vBen Sansom。メッチャでかい。

40vDec Hart
60v
Eddy Thrower…の4人。

50vギター・チームはUKのグループらしくガッチリとMarshallだ。
MikeのMarshallは…

70向かって右はJCM900 4100と1960BV。左はJCM800 2203にMF280A。
BVは特別でないにしても、海外のミュージシャンでMFキャビネットを使用しているのはかなり珍しい。
Mikeの並々ならぬ音へのこだわりがうかがえる。また、キャビネットにこだわるのは大正解だ。音を出しているのはスピーカー・キャビネットなのだから。

80替わってBen。

90v一系統が1962 Bluesbreaker。
その下のキャビネットは1960AV。

100vもう一系統はデジタル信号をMarshallのパワー・アンプ、9200で増幅し、1960AVで鳴らしていた。

9200は現在も製造しているフル・バルブ・パワー・アンプ、EL34 100/100の先代モデル。パワー管は5881だった。
Marshallのパワー管といえばEL34のイメージが強い。このモデルが発売された1993年当時は、MarshallはeslaのEL34をメインに使用していた。
ところが、チェコスロバキアの社会情勢が変わり、Teslaが廃業。1994年にはEL34の在庫が底をついてしまう。その供給不安を見越してこのモデルにはロシア製の5881を採用した。
JCM900シリーズに5881が搭載されているモデルがあるのはこの理由によるものだ。

ところで、一般的に初期のMarshallにはKT66が使用されていることが知られているが、おもしろいことに1962年の開発した当時はJTM45に5881を搭載していた。
しかし、5881はアメリカからの輸入品で大変高価であったため、国産のKT66を使用することになったのだ。KT管はイギリスの真空管である。歴史は繰り返す。

一方、9200や50Wバージョンの9100は1997年、EL34 の供給が安定したところで仕様を変更した。もちろんEL34をパワー管に採用したのだ。それゆえモデルの名前が現在の「EL34 100/100」や「EL34 50/50」となったのである。よっぽどうれしかったんかね?

110今回はfactのオープニング・アクトとしての来日だ。

120v門外漢なので詳しいことはまったくかけないが、ストレートでシンプルなサウンドが身上のようだ。

130v汗だくで演奏する姿と…

140はじけるような演奏がみずみずしい!

160飛ぶわ、飛ぶわ!

165vショウの途中で通訳の人が登場。ナニをするのかと思ったら、Mikeの携帯でお客さんといっしょに写真を撮らせてくれだって!
時代は変わりましたナァ~。
1975年、サディスティック・ミカ・バンドがRoxy Musicの前座でイギリスをツアーした時、ステージからポラロイドカメラでお客さんを撮影する加藤ミカが話題になった。
時代は変わったがやっていることはそう変わらないもんだ。

170Marshallは世代を超える。輪郭のハッキリしたサウンドで彼らの音楽をドラマチックに演出する。

180そうそう、開演前、楽屋でマーブロでの写真使用の許可をお願いしたら「自由に選んでいいけど、ハンサムに写っているヤツを頼むぜ!」なんていってたっけ。

190Marshallとともにこれからの活躍を期待している。

200vLOWER THAN ATLANTISの詳しい情報はコチラ⇒Official Website(英語版)

210(敬称略 2014年6月4日 Zepp Tokyoにて撮影)

2014年7月14日 (月)

在と無とのはざまで生きる髭 ツアー・ファイナル~BLIND BIRDニュー・アルバム発表!!

『在と無とのはざまで生きる髭』?これがツアー・タイトル。
5月末に終了したBLIND BIRDのニュー・アルバム発売前ツアーだ。今日はその千秋楽のレポート。

10そして、下が7月23日に発売予定の3rdアルバム、『仮想粒子』。

「仮想粒子(virtual particle)」とは、粒子と粒子の反応の際、中間の過程で現れ、存在を考慮する必要がある粒子を指す」…なるほど。ってナンのこっちゃ?そもそも粒子とはナンだ?
ま、ツアーのタイトル同様、ワケがわからないところがBLIND BIRD流と私はとらえている。

しかし!こっちの『仮想粒子』はわかりやすい。
メッチャいいんだわ、コレ!スゲェ気に入っちゃった!
今までナマ演奏でしか彼らの音を聴いたことがなかった。したがってこのバンドには「ワイルド一本!」という印象が強かったが、このアルバムを聴いて驚いた。

恐ろしく緻密なのだ。それでいてそのワイルドさをひとつも失っていない。すごく「ゴージャス」で安っぽいところがない。
BLIND BIRDの皆さんには失礼かもしれないが、期待をはるかにはるかに上回る仕上がりだ、コリャ。

職業柄、まず耳に入ってきてしまうのはギターの音なのだが、音はリッチこの上ないMarshallサウンド。優也くんのMarshallサウンドはいつもゴキゲンだ。
でも「音」よりも興味を惹いたのはdimやM7系のコードが頻出するバッキング。コレも問答無用でカッコいい!各曲のソロも出過ぎず、控え過ぎず、トリッキーなものも含めて、よく練られたメロディが実に心地よい。

それとドラム!さすがPONさん。聴いていてPONさんの顔が目の前に浮かんだわ!まさにそんなドラミング。
「NATALサウンド炸裂してまっせ~!」とレコーディングの期間中何度も聴かされていたが、そのPONさんの言葉にウソいつわり全くなし。
使用したのはいつものNATALのアッシュ・キット。スゲェな、NATALのアッシュって。こりゃ快感だ!またまたNATALに大きな自信を抱いてしまった!

我田引水…ついMarshallやNATALについて触れてしまった。だってマジでカッコいいんだもん!

BLIND BIRDの魅力はもちろんそれだけではござらん。
加えて直志さんのロック・ヴォイスと激シャウトに河野さんの音楽性豊かな知的ベース!これがなくてはもちろんBLIND BIRDは始まらない。

とどのつまりは曲のクォリティだね。どの曲も魅力的だ。このクォリティの高いロック・チューンがなければ4人の濃~いテイストもアッピールできない。
洋楽をミッチリと聴いてきた人達だけがなせるワザで、いいタネと肥沃な土がガッチリと組み合わさった良作だ。

それとね、これは書かない方がいいかな…?曲順もすごく考えられているから。まずは聴いてのお楽しみってことにしておこう!

ああ、今日のマーブロ、このアルバムに満足してこれで終わっちゃいそうだわ!
30cd…そうもいかない!
このツアー・ファイナルも大変素晴らしいものだった。

80

桐嶋直志

40v小松優也

50v河野充生

60v山口PON昌人

70vこの日は対バンがあったので1時間弱のステージ。
オープニングは『仮想粒子』のリード・チューン、「hi-lite」。

90vへヴィなギター・リフ。4/4+4/4+4/4+2/4。
100v
やはりこういうロックはMarshallのギター・サウンドでなければ成立しないね。
165v
優也くんのMarshallはVinyageModernの100Wヘッド、2466。
2006年の暮れにリリースされて問答無用ですぐにゲットしてくれた。
「もう少し試してからの方がいいんじゃないの?」と訊くと、「あ、コレがボクが求めていたサウンドですから…」と即決してくれたのをよく覚えている。
それからずっと大事に使ってくれている。Marshall屋冥利に尽きる話しだ。
「弘法筆を選ばず」ではなくて、真の弘法さんは自分の欲しい筆がはじめからキマってるのよ。

110vこの曲、リード・チューンなのにアルバムでは最後に収められている。

120それでライブでは1曲目に演奏するというこのパラドックスもBB流?
いつも何か変わったことをしてやろう…と考えている感が見ていて楽しい。

130v2曲目は「星座」。イントロではド派手なPONさんのドラムが炸裂!

135好き。この曲、演る人が変わったら完全に別な曲になることは間違いない。ちょっとバッキングを変えれば良質なシティ・ポップスに変身しそうなのだ。あるいは湘南風?

180v

ものスゴくポップでキャッチーなんだけど、まったくポップさを感じさせないところが実におもしろい。

150v犯人はこの人。

190v

「そこまで叩く必要があるのか?!」というくらいあおりまくる。この手の曲でこういう風に叩きまくると曲が壊れてしまいそうだが、そこはさすがBLIBD BIRD、すべて計算のうえでうまくまとめて曲の魅力を倍増させてしまう。
200v
そして、これがあの優也くんか?という大人のコード・ボイシングが耳につく。おもしろいナァ~。

170v3曲目も『仮想粒子』から「Sunny Rain」。

140v

こうしたロマンチックな曲が地続きになっているところがまたおもしろい。

160続いても『仮想粒子』から「Pride on the Street」。

210ガラリと変わってちょっとファンキーなへヴィ・チューン。

220v直志さんのロック・ヴォイスが実によくマッチする!
250v
中間部のスリリングなキメもバッチリ!
240
演奏を見ていて、このバンドには4人のメンバーの「バランスの奇跡」のようなものがあるように思ったな。
どんなに人気のあるスターがいるバンドでもバランスを崩してしまうと、そのパフォーマンスはつまらないものになってしまうものだ。
このバンドは、そのバランスがあまりにも整っているように感じるのだ。全員がスターでありながら民主的とでも言ったらいいのだろうか?

225そのバランスを保つカギを握っているのが河野さんだろう。タガをハメていると言ってもいいかもしれない。
この記事を読んでBLIND BIRDのコンサートに行ってみようか?という人がいれば大変うれしく思うが、もし行った際には河野さんのベースをよく聴いてもらいたい。
ラインのカッコよさはいうに及ばず、押したり引いたりするそのセンスが絶妙なところにゼヒ注目してもらいたい。
かつて伊藤広規さんのCDのライナーでも触れたが、いいバンドには必ずいいベーシストがいるものだ。

230v前作『Mescal Soul Drive』から「デタラメデモラブ」。

260v

同じく前作から「凡才」と…

245v「BLIND BIRD」。
最後は『仮想粒子』から「Still」をプレイ。

270このI→IdimとつなげるGeorge Harrison的なディミニッシュやIVm等、タマらんのう!
これはいい曲だわい!

300v
ミディアム・テンポながらショウの最後にピッタリの胸につきささるセンチメタル・チューン。

290v
短い時間ではあったが、BLIND BIRDの魅力の片鱗をアッピールしたステージだった。

280v『仮想粒子』収録の全曲をナマで聴ける日を楽しみにしている。

310vそれまでの間、このPVでガマンすることにしよう。
このPVでPONさんが使用してるのがこのNATALのキット。
B_img_0171
それでは、BLIND BIRDのサード・アルバム、『仮想粒子』から「hi-lite」、ご覧ください!…ってDJみたいになっちゃったな。

『仮想粒子』は7月23日発売。それに伴うリリース・ツアーも決定している。

BLIND BIRDの詳しい情報はコチラ⇒BLIND BIRD official web site

320cdNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
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(一部敬称略 2014年5月31日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年7月11日 (金)

後藤まりこ~510 mariko Party @ SHIBUYA-AX.....さらばAX!

2014年5月27日、閉館を4日後に控えたSHIBUY-AX。
私にとってはこの日が最後のAXになった。

05そしてこの日、私にとっての最後のAXが思い出深くなるような、思い出深い出演者に恵まれた。

10後藤まりこである。
この日、まずはギターを携えてのソロによるパフォーマンス。
ああ、なつかしい、トルネード!まりちゃんのトレードマークだ。

20vまりちゃんとはしばらくの間、音信不通になっていた。ところがこの日の数週間前のイベントで遭遇し、旧交をあたため、ここAXでの再会を約束したのだ。
私はミドリが好きだった。そしてよくMarshall Blogで取材をさせてもらった。
豪雨の野音などとてもいい思い出だ。私が撮った写真をCDにいち早く使ってくれたのもまりちゃんだった。
何よりも魅力的だったのは、フリー・ジャズのピアノ・トリオをバックに、それを上回る破壊的なまりちゃんのすさまじいパーフォーマンス。それは他では決して見ることのできない音楽性だった。
もうひとつは、まりちゃんのワン・アンド・オンリーのキャラクターだ。
数年を経てそのまりちゃんの世界がどう変化しているか、すなわち、どっちの方向にどうパワー・アップしているかがとても楽しみだった。

15満員の観客を前に最初に披露したのは「世田谷区桜新町2丁目」という曲。

30どうせこの後大爆発するのはわかってるんだけど、存外におとなしい…。

50
…と思っていたら「好き、殺したい、愛してる」で絶叫。いい感じ!ソロ・パフォーマンスながら、信じられないぐらいの緊張感。
「シンデレラタイム」、「触媒」と続く。

40v当然、まりちゃんはMarshallだ。

60JCM800 2203に1960A。以前はJCM2000 DSL100を愛用していた。そういえば、昔、DSLのフット・スイッチをグレイのビンテージ・タイプのものにしてあげたら、まりちゃんものすごく喜んでくれたっけナァ。とても可愛かった。
Marshallはまりこミュージックではマストなアイテムだ。

70vループを使用した「299792458_TOKYO-U」ではギターをおろしてハンド・マイクで歌った。
このタイトルなに?
穐吉敏子に「A-10-205932」という曲があるが、コレは敏子さんが1956年に渡米した際に交付された移民ナンバー。「囚人じゃあるまいし、こんな番号をつけやがって!」という反抗的な気持ちでイヤミで付けたタイトル。曲名があまりにも覚えにくいという理由で一時タイトルを変えていたような気もするが、それが何というタイトルであったかは忘れた。

80昭和の歌謡アイドルのような可憐な振り付けで観客の目を惹きつける。

90間奏で指揮棒を振るまりちゃん。当然眼前には誰もいない。
110v
「ラブロマンス」から…

105「大人の夏休み」…この曲の途中でバンド・メンバーが登場。

130ギターにAxSxE。ああ、NATSUMEN見たい!

140_2AxSxEさんのMarshallは変わっていない。

150やはりJCM800 2203と1960Aだ。

155vAxSxEさんの足元!ビーチサンダル!

160ベースは仲俣“りぼんちゃん”和宏。

170v仲俣さんはEDEN。

180ヘッドがWT-800、キャビ上段が4x10"、下段が1x15"というフル・スタック。

190vキーボードが中村圭作と…

200v坂井キヨヲシ

210vドラムはマシータだ。

220v個性的なメンツによる個性的なロックが始まった。

230「行こうかAX!」…いきなりダイブ。

240まぁ、お客さんのよろこびようったらないわ!みんな「我が意を得たり」という感じ。

250この後数回にわたり同じ光景が現れたが、もはやコレはまりちゃんにとってのギター・ソロみたいなもので、完全に曲の一部になっちゃってる!

260「ままく」…
360v
「M@HΦU少女。。」…

270v飛び跳ねる「Hey musicさん!」

280vバック陣も型にとらわれることのないまったく自由な演奏を繰り広げる。

295v
AxSxEさん、やっぱカッコいいわ~。それにしても以前にも増して髪の毛がものすごくて顔を撮るのに苦労したワ~。ああ、NATSUMENも見たい。

290この愛らしいアクションがまたいい。
300
そういえば、すごく可愛かったのがまりちゃんのMC。チケットがまったく売れなくて一時はどうなるかと思った…なんて正直言っちゃう。
トンデモナイ!こんなに満員ジャン!みんなまりちゃんのロックを楽しみたいのさ!

370_2 オ~ラ、またダイブやねん!
「4がつ6日」から…

305客席でそのまま「sound of me」。

310主のいないステージでの激演。このバンド、どこか独特ですごくよろしいナァ~。

316
「ふれーみんぐりっぷす」はタンバリンを手にしての熱唱。
「浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん」の後、新曲も披露した。

2m_img_0162 「m@u」では再びギターを手にする。

320コワイぐらいにギターに入り込むまりちゃん。

330vギターを可愛がっているのかイジめているのか…ものすごいテンションで暴れまくる!

340v最近はなかなかこういう入神のパフォーマンスにお目にかかることが少なくなったな。
もちろん私は経験がないが、60年代の後半に欧米に現れた新しいロックの波に見られた(当時の)過激とされたパフォーマンスの雰囲気はこんなだったのではなかろうか…と勝手に思ってしまう。要するにピュア感が漂っているのだ。

350バンドがステージを降り、本編をしめるのは「す☆ぴか」。

380ここでアンコールに入るハズだったのだが「このままやる」と引っ込まず演奏を続けた。
コレでいいのだ。

もう最近はアンコール地獄だもんね。「残業」だなんていってるけど、初めからセットリストに入っちゃってるし…残業は規定の時間以内にどうしても業務が終わらない時に、上司の許可を得て仕方なくするもんなんですよ~。
アンコール1回で2曲ぐらいが好ましいと思うけど、スゴイもんね最近のは。どうせ演奏するんだからいちいち引っ込んで時間を無駄に費やさない方がいいよ。ブライアン・エプスタインは偉大だった。

でね、お客さんもお客さんなの。客電が点いてBGMが鳴りだしているのにいつまでも「アンコール、アンコール」って…。昔はこんなことなかったよ。もっとみんなマナーをわきまえていた。ゴメンね、文句ばかり言って。

モニターに腰かけて「ゆうびんやさん」を弾き語る。

390v衣装を着替えたまりちゃん、ステージで平然と髪を乾かした。

2m_img_0274 バンドが加わっている。

400vギターを下げ、「ドローン」で再びすさまじいシーンが展開した。

405ドラムのスティックをギターに突き刺す!Keith Emersonを連想させるではあるまいか!

410鬼気迫るパフォーマンス!

420引きずられ虐げられるギター…何物にも代えがたいまりちゃんの相棒なのだ。

430v満ち溢れたエネルギーを放出するごとくまりちゃんのステージは続く。

440「うーちゃん」…

450v飛ぶわ飛ぶわ!

460vバック陣も何かが憑依したかのような激しい演奏だ!AxSxEさんはいつもこうだけど!

465vバス・ドラムからの跳躍!まりちゃんはナニも変わってない!

470v
客席をクラウド・サーフィンで縦断するまりちゃん、「あたしの衝動」。

470「お前ら…みんな死ね!」だって。そうこなくっちゃ!
続けて、「そして僕と一緒に1回死んで生き返ろう。共に歩んでください」…なかなに感動的であ~る!もちろん観客が沸き上がったことは言うまでもない。

480最後に「HARDCORE LIFE」を熱唱してすべての演目を終了した。

490この小さな体躯にみなぎるパワー、独自の音楽世界を追求し続ける彼女の姿にはナゼかロックの持つ「無垢」さを感じる。
がんばれまりちゃん!自分だけの道を突き進め!

500v後藤まりこの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

510
*******お ま け********

失礼ながら、新宿厚生年金会館のように子供の頃に通っていた場所ではないので、さして思い入れはないというのが正直なところだが、ま、それでも無くなるとなると寂しいものだ…SHIBUYA AX。
イヤ、もう閉館してしまったんだけど…。
だからもう2度とAXでの新しいライブ・レポートはMarshall Blogに出ることはない。ナンダカンダ言ってもずいぶんお世話になった。

今は「ああ、よく行ったからな」とハッキリようすを覚えていても、時間が経つと細かい部分はすっかり忘れてしまうものだ。
お礼の意味を込めて、ここMarshall BlogにAXを残しておくことにしよう。

開館は2000年の12月。したがって14.5年、結構長いことやってたんだな…。
杮落としはDragon Ashだったそうだ。
日本テレビと電通の共同事業ゆえ、名前は日本テレビのコールサイン「JOAX」の「AX」を採用した。
ちなみに六本木のEX Theaterはテレビ朝日系なので、そのコールサイン「JOEX」の「EX」が名前の由来のひとつになっている。

520建物前のロッカー群。ま、一度も使ったことはないが…。右端はTシャツの自動販売機だよね?

525入り口ロビーのようす。

530天井がCDで飾り付けられていた。

540vこのCDもそのうち無くなってしまうというのだから時の流れは残酷だ。

550電車で行くと、渋谷の駅から遠い上に登り坂だったので重いカメラをガラガラで持ち歩くのはシンドかった。駐車場が広かったので、車でお邪魔させてもらう機会が多かったのはありがたかった。

560開演前、出演者やスタッフがよくここでしゃべりをしていた。ここ西日が当たって暑いんだよね~。

570楽屋の廊下。

580v楽屋のトイレ。みんなこんなのすぐ忘れちゃうよ。

590閉館にあたっての寄せ書き。赤い四角の中にメッセージを書いてくれって言ってんのに完全にシカト。

X2楽屋の様子。
ここに照明機材を持ち込んでSCANDALのコピーバンド・コンテストの出演者を撮った時は楽しかった。

610AX、お疲れさまでした。さらばAX!

620 (一部敬称略 2014年5月27日 今はなきSHIBUYA-AXにて撮影)

2014年7月 9日 (水)

ざっとした音楽会~that生誕10000日スペシャル

今日ご紹介するのは、今春Marshall Blogに登場した「虹色オーケストラ」に参加していたシンガーのthat。
コンサートのタイトルは『that生誕10000日スペシャル』。

「生誕10000日」とは何ぞや?
そう、当日は文字通りthatさんが生まれてからちょうど10,000日目だったのだ。

10,000日か….。自分はどうなんだろう?ということでそれこそ「ざッと」数えてみた。
うるう年も考慮して…と。
今日で18,8558日ってとこだな。
スゲエな、ずいぶん生きてきた。
すると、メシは何回喰ってきたんだろう…かける3と…、56,574回!
何回ウンコしたかな?…これは簡単。でもどちらかというと腹が弱い方なので若干多めに見込んで20,000回は越してるかも…。あ、初っ端から失礼しました。

チョットあり得ないことを考えてみると…毎日ひとつ英単語を覚えて来ていたとしたら、ま、赤ちゃん時代を差し引いても一日ひとつ以上はイケるだろうから20,000は軽い。
アメリカ人の平均的な日常生活で必要とする語彙は20,000というから(我々日本人は50,000語使っている!)、単語を並べるだけなら日常英会話はチョロいもんだワケだ。

もし毎日100円貯金していたとしたらどうだ…失敗したな。

やっぱりものごと何でも溜めこんじゃダメだ。
なんて…人生も長くなるとこういう計算も案外楽しいもんだ。

10
…といいところに目をつけたthatさん。
その生誕10,000日を祝う音楽界の内容はとてもにぎやかで楽しいモノだった。

20
ボーカルのthat。今日のコンサートの主役だ。

30v
ピアノは紅い流星。

40
ベースは蒼い刹那。

50v
ドラムはもうMarshall Blogではおなじみ、ショボン。

60v
この日のショボンのキット。ウォルナットだ。
タムが10"x6.5"と12"x7"(今回は未使用)、フロアが14"x12"、バスドラムが22"x18"、スネアが14"x5.5"というコンフィギュレーション。FUSION Xというキットだ。

これがまた驚異のバランス!見た目の美しさも素晴らしいが、タマらないのはその音色!パワーだけではない、打楽器の持つ音色の魅力というものを教わったような気がする。

70
このバンド・フォーマット、つまりピアノ・トリオからもわかるように、この日はいつもポップに演奏している持ち歌をジャズやボサノバで演奏しようという企画なのだ。
ジャズ好きな私としては、NATALがどういう風にバンドをスウィングさせるのかすごく楽しみだった。
結果は上々。
このショボンちゃんの表情を見ればNATALがどう活躍してくれたか一目瞭然だと思う。

80
この人、以前にも書いたが、起きている間はスティックと練習パッドは片時も離さないという練習の虫。
190v
初めて会った時に彼の4ビートを聞かせてもらったのだが、すごくいい感じだった。あの絶え間ない練習がそうさせているのだろう。
シンバル・レガートだけでギンギンにスウィングさせて見せてくれたのだ。
「いいジャズ・ドラマーはライド・シンバルやハイ・ハットだけで猛烈にスウィングすることができる」とよく聞く話しを彼が証明してくれたようだった。

ウソだと思うかもしれないけど、いいジャズ・ドラムの演奏ってシンバル・レガートだけ聴いて楽しむことができるんよ。
ギターで言えばCount BasieのFreddie Greenみたいなもんね。

で、今回、ショボンちゃんがNATALでその実力を十分に見せてくれたのはとてもうれしかったね。
180v
ダンサーも登場してステージに華を添える。

90
ゲスト・ボーカルのコニー。

100v
同じくカケリネ。

120v
thatさんとコニーさん。
このコニーさんが芸達者で実に愉快!

130
後半ではthatさん、ギターを抱えての登場。

140
華麗なテクニックでソロをキメる紅い流星さん。

146
終始バッキングに徹してバンドをスウィングさせた蒼い刹那さん。エレクトリック・ベースではスラップのソロがフィーチュアされた。

147v
そしてショボンちゃんのテクニックを感じさせないナチュラルなドラミング。そういえば、観ていて何となくEd Thigpen(Oscar Peterson Trioのドラム)を思い出したっけな。

148
チビッとハスキーなthatさんの声がまたよくてゴキゲンな演奏だった。

150v
ダンサーもゾロゾロ!

160
ゲームやらお客さんを交えての寸劇やら、もういろんな企画がテンコ盛りで満員のお客さんも大喜び!

170
ホント、にぎやかで若々しくて…thatさんの生誕10,000日を祝うにふさわしい楽しいコンサートだった。

200
thatの詳しい情報はコチラ⇒ざっとしたぶろぐ

210
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

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(一部敬称略 2014年5月30日 東京カルチャーカルチャーにて撮影)

2014年7月 8日 (火)

ダイスをころがせ~キュウソネコカミ&赤い公園

5月下旬、閉鎖間近の渋谷AXで『ダイスをころがせ』というイベントが開催された。

Marshall Blogで話題になる回数が極端に低い、あるいはほとんど触れていない最もメジャーなバンドはThe Rolling Stonesだろう。
Charlie WattsこそNATALを使っていたが、Marshallを使うバンドではないし、元より個人的にすすんで彼らの音楽を聴くことがまずない。(←「キライ」とは言ってませんよ~!)
今まで万単位でレコードやCDを買ってきたが、我が家のレコード&CD棚に収まっているストーンズのアイテムの数といえば、片手で事足りる。
そんな私でも有名な曲はほとんど知っていて、その数もバカにならないところは「世界一のロック・バンド」たる所以か。
この「ダイスをころがせ」もその中の1曲。知らないながらも、『Sticky Fingers』とか『Exile on the Main Street』とか、聴くならこの頃のストーンズだ。
でもこの曲の原題は「サイコロを転がせ」ということではなくて、「転がるサイコロ」という意味だからね。

それにしても、最近のストーンズのベロ・マークの普及率ってスゴイと思わない?
巷間、このロゴがついたグッズを身につけている若者をやたら見かけるようになった。どう見てもロックを聴いているようには見えない若者、ましてやどう考えてもThe Rolling Stonesを知っているとは思えない若い子らだ。
もし、彼/彼女たちがストーンズを好きで聴いていて、それであのロゴが付いたグッズを身につけているのだとしたら、洋楽がこれほどすたれることはないだろう。
日本の音楽シーンにおいて、洋楽パッケージ商品の洋楽の占める比率は大分前に20%を切ったと言われていたので、今頃はもう10%を切っているかもしれない。洋楽は絶滅危惧種なのだ。

要するにこのベロ・マークは若い人の間ではただのファッションに過ぎず、ストーンズがサイコロを転がそうが、満足を得られなかろうが、んなこたァ、どうでもいいワケだ。
さて、このベロ・マーク(特別な名前はなく、海外でも「Tongue Logo」と呼ばれているようだ)、1970年にロンドンの美術学生が50ポンド(当時のレートで43,000円ぐらい)のギャラでデザインしたものだそうだ。
これは、なぎら健壱の「いっぽんでもにんじん」どころの話しではなかろう。もし、印税方式で契約していたら、ま、キティちゃんにはかなわないだろうにしても、この学生さんは億万長者になっていたことは間違いない。
それを見兼ねたのか、ミック・ジャガーは後にこの学生に200ポンド(今のレートで35,000円ぐらい)を恵んだそうだ。オイオイ、天下のミック・ジャガーが200ポンドってこたァねーじゃねーか。
もっともイギリスではミック・ジャガーはお金にシビアであることがよく知られていて、おつりは1ペニーまでシッカリ確認する人だそうだ。別に悪いこっちゃないけどね…。

このベロ・マークは、1971年の『Sticky Fingers』に使用されて以来、The Rolling Stonesという音楽集団を一目で認知させる力を発揮し、バンド・ロゴとしては恐らく世界で最もポピュラーなものに成長したというワケ。
だからロゴ・マークというのは恐ろしい。
Marshallもあのスクリプト・ロゴがあってヨカッタ。何が起こってもあのロゴがあるだけでMarshallはMarshallでいられる。
そして、最近すごく気に入っているのがNATALのロゴ。
落ち着いていて、威厳があって実にいい。このロゴが商品とともに育って行ってくれることを願ってやまない。
340
そして、今日のイベントにもそのNATALロゴがお目見えしている。

05

キュウソネコカミだ!

10もうこの上下2枚の写真でそちら側へ熱風が吹き込んだんじゃない?
すさまじい勢いで音楽シーンを席巻している人気者だ!

20ボーカル&ギター、ヤマサキ セイヤ

30キーボード&ボーカル、ヨコタ シンノスケ

40vギター、オカガワ カズマ

50vベース、カワクボ タクロウ

 150v
ドラムはソゴウ タイスケ

70キットは、メイプルでメタリック・ホワイト。12"、16"、22"というコンフィギュレーション。

80vNATALのメイプルは明るく軽快だ。打てば響く(ドラムなんだから当たり前か…)粒立ちのよいサウンドと驚異的に音抜けのよいバスドラの音色が実に心地よい。

100「ア~ユ~レディ~」の雄叫びとともに「良いDJ」。

110はじめの一音で客席は大爆発。地面が揺れ出した!

120キュウソネコカミもそうだが、最近の若いバンドのサウンドってすごく「和」なんだよね。
ギター・リフなんかでも洋楽の要素が皆無で、ものすごく日本的な雰囲気を感じる。

130リズムもそう。もちろん私もすべてのバンドを見ているワケでは決してないが、もう3連系の曲を演奏する若いバンドはそれこそQUORUMだけになった感すらある。

140vテンポが早い曲でも「スピード感」とか「ドライブ感」という観点が希薄で、いかに「ダンサブル」にサウンドをまとめるか…ということに重きを置いているように感じる。これで客がノラないワケがない。

2k_img_0140

そして、「ユーモア」。これは重要だ。「Does humor belong in music?」である。答えは「it must be!」。
参考までにFrank Zappaの1984年のライブ音源による『Does Humor belong in Music』の新旧のジャケットをアップしておこう。

OldNew_2
たった数分のドラマで「笑って、笑って、でもホントだな…」と、歌と自分を重ねさせるキュウソの作品のパワーは相当なものだ。
身近な「あるある」を題材に、諧謔精神旺盛に若者文化を描くキュウソの手法はひとつの日本のロックの理想形であるのではなかろうか?
自分がもう35歳若かったら間違いなく夢中になっていただろう。
加えて、私なんかは彼らが持つメッセージ発信能力に大いに期待を寄せているのである。
「がんばれ」、「負けるな」と犬も喰わない陳腐な人生応援歌などには目もくれず、社会的なメッセージを歌に詰め込んで若者にドンドン発信して欲しいと思う。

160その作品の典型が2曲目の「ファントム・ナビゲーション」。スマホの歌だ。
今朝テレビでやっていたけど、一日10時間とかイジっている若者がいるんだって?
それに、LINEの返事が来るとか来ないとかでイジメに遇ってしまうか…。
もうね、いい加減資本主義にブレーキをかけて「成長病」から脱却した方がいい。今からたった45年ぐらい前は、電話のない家なんかいくらでもあったんだぜ(ウチは電話あったけどね)。
携帯なんかなくたってゼンゼン平気なハズなんだけどね…。
ナンカこういう世の中のおかしな部分は全部キュウソネコカミの歌が解決してくれそうな気になってきた!

170サイコロを投げて出た目で曲を決めるコーナー。後ろの候補曲のリストが手書きなのがまた素晴らしい!

180おりゃ~!転がったらんかい!

190お客さんの頭上を行き来するサイコロ。

200サイコロの目は大無人、すなわち「一」。
…ということで約束通り「サブカル女子」をプレイ。これもいいね~。

210v続いて「DQNなりたい、40代で死にたい」。

230「♪ヤンキーこ~わい~」で大絶叫。
まさにステージと客席のパワーが拮抗している!お客さん達はもう無我夢中だ!

240さらに「ウィーワーインディーズバンド」。

260v「♪音楽でメシはゼンゼン喰えない」…か。いいこと歌うな~。
昔はメシが喰える音楽を作れる人だけが、音楽でメシを喰っていたんだけどね。
今は誰でも音楽ができるようになっただけに大変なことになってしまった。「裾野」が広がるというのは「才能」が増えるということではないんだな。

250v
このイベントには3バンドが出演。各バンドの持ち時間が長くないため、次の「ビビった」が最後の曲となった。

270この曲…こっちがビビったわ!
いつもMarshall Blogでグダグダ書いていることを若い視点でキュウソがまとめてくれちゃってる!
280v
今回も鉄壁のアンサンブルでフロント陣をインスパイアしたリズム陣。

276v歌に演奏に、もう好きなことを徹底的にやってくれ~!
285
これは6月18日にリリースされた7曲入りのセカンド・ミニ・アルバム、『チェンジ ザ ワールド』。ジャケットがカワイイね!
Cd
キュウソネコカミの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

2k_img_0200 続いて登場したのは赤い公園。
音楽評論家の大野祥之氏にすすめられて、昨年SUMMER SONICで初体験。そして、今回Marshall Blog初登場。

290ギターの津野米咲はMarshallを使用。

300v以前にも書いたが、ガール・バンドにはどうしても「男のすなるロック」をそまま移植しているバンドとアイドル系、さらに、ガール・バンドだけが持ち得る独特な世界観を具現化するバンド…ときれいにカテゴライズされると思っているが、この赤い公園は後者の最たるものといえよう。
幕張でも演奏していたが、「ふやける」という曲が好き。

310v

ところで、アタシャ仰天しちゃったんですよ。ホントに偶然にキマってるんだけど、ギターの津野さん、何かの曲のイントロでE-F#-E-Cという音列のアルペジオを弾いたのだ。
コレ、キーは違うのだろうが、三宅庸介の「Solitary Past」の中間部と同じなのだ!コレには驚いたね。一般の人にはわかるまいが、三宅さんのショウでは頻出の「三宅スタンダード」なので、思わず声を出してしまった。
三宅さんには失礼だが、津野さんが「Solitary Past」をご存知だとも考えにくいし…。ま、たった4つの音のことなので、世の中ではよくあることなのだろうが、よりによって好きな三宅さんの曲にブチ当ったのでビックリした次第。

320v大野さんのオススメ通り、とてもいいバンドである。いつかゆっくりMarshall Blogでレポートできることを心待ちにしている。

赤い公園の詳しい情報はコチラ⇒赤い公園オフィシャルサイト

330vNATALロゴ、いいでしょう?

340NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
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コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
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(一部敬称略 2014年5月25日 渋谷AXにて撮影)

2014年7月 7日 (月)

GO GO TOMOKO!~バースディ・ライブ2014

先日書いたばかりだが、我ながらなかなかいい発見だと思っているのでまた書く。
それは「テケテケ」のことである。

「テケテケ」…この擬音語を一体誰が作ったのだろうか?ベンチャーズの前に「テケテケ」なし、そしてベンチャーズの後に日本特有の文化のひとつとして「テケテケ」という言葉が残った。

ご存知の通り、多様な音楽への適応能力が他の楽器に比べて圧倒的に高いギターという楽器にはバラエティに富んだ奏法が存在し、様々な「音」をクリエイトしている。
その「音」を表現する言葉は色々あれど、「テケテケ」ほど浸透している言葉はあるまい。

オルガン入りのソウル・ジャズを「コテコテ」と呼び、一時かなり流行したがこれはジャズ好きだけの間の符牒であって一般的ではない。
ヘビメタのシュレッド・ギター(速弾き)を「ピロピロ」とか「ピラピラ」と表現することはあっても音楽を指し示す言葉として確固たるものではあるまい。
私が思いつく限り、音楽の種類いろいろあれど、擬音語で音楽ジャンルが表現できるのは「テケテケ」と、(適用範囲は狭いが)「コテコテ」だけだ。

しかも、「テケテケ」の流行から50年。この言葉が連綿と生き続けているのは、1960年代のブームがいかに巨大であり、一般市民の生活に溶け込んでいたかを語って余りあるのではなかろうか。

今日のMarshall Blogは「テケテケ」が主役。

10これまでMarshall Blogは、「旧」を含めると、これまで1,400回ほど更新して来ているが、もしかしたら「テケテケ」がフィーチュアされるのはコレが初めてかもしれない。

20その主役はTOMOKO。The VenturesのNorkie Edwardsとも親交のあるエレキ・ガールだ。

30v_2そのTOMOKOさんが今年2月末に発表したファースト・シングルがこの『FANTASTIC BLUE』。
このジャケ写、実際にギターを持って海に潜って撮影した。その撮影のもようが特典DVDに収録されている。もちろんスタントなしの本人の実演だ。

Cdt
ところで、今まで「テケテケ」がMarshall Blogでフィーチュアされなかったのはナゼか?このジャンルでMarshallが使われることがないからだった。

TOMOKOさんはMarshallだ。

50v使用しているのはJVM205C。2x12"の50Wコンボ。

60こ~れが、実にいい音なのだ。CLEAN/GREENをメインに、時折ORANGE MODEを交えながら素晴らしいサウンドをクリエイトしていた。

70さて、今日はTOMOKOさんのバースディ・コンサート。会場となった昭和33年開業の銀座の老舗TactにはTOMOKOさんの誕生日を祝おうと大勢の人が詰め掛けた。

そういえばこのTact、現在は地下にあるが、まだ階上にあった1998年にはJCM2000 TSLシリーズの発表会をするにあたり、ここにJim Marshallが数日訪れている。

オープニングにはCDに付いている特典DVDの映像が上映された。

80そしてTOMOKOさんとバンドが登場。

90TOMOKOさんが下げているのはこのカスタム・メイドのダブル・ネック。ネックが2本なだけでなく、ビグズビーも2ケ装着されているためその重さたるやハンパではない。

100vメンバーは…
TOMOKO
285v

キーボードは信田和雄(寺内タケシとブルージーンズ)。

120ぱっさんこと相良 宗男。同じくバースディ!

130パーカッションは米元美彦(米本さん、実はマーブロ登場は2回目。前回はコチラ)。

140vもうひとりのパーカッションは高橋結子。

150ベースは杉田孝弘。寺内タケシとブルージーンズのベーシストだ。

160v杉田さんはEDEN。ヘッドはThe Traveler WT-300。キャビネットはD410XLT。

170Marshallファミリー。金と黒の素敵なコラボレーション!

1801曲目は「Blue Star」。
このダブル・ネックのギターは見た目はピンクだが「Blue Star Tomoko Special」という名前がつけられている。

310v
ベンチャーズで有名な、「想いでの渚」のメロディをうろ覚えで歌ったかのようなこの曲の作者はなんと大作曲家、Victor Young。「When I Fall in Love」、「Stella by Starlight」、「Love Letters」、「Street of Dreams」、「Johnny Guitar」、「My Foolish Heart」、「Delilah」、あ~もうキリがない!…他を作った大作曲家だ。
「Blue Star」は医療をテーマにした50年代のアメリカのテレビ・ドラマ、「Medic」の主題歌だった。

澄み切ったコシのあるJVMのクリーン・トーンがこの美しい旋律を華やかに演出する。

110v

飾りのついたテンガロン・ハットと長い脚がトレードマークのTOMOKOさん。

190v2曲目にしてもう「ベンチャーズ・メドレー」。テケテケ炸裂で会場は興奮のるつぼ!

200続いてもベンチャーズの「Rap City」。ブラームスの「ハンガリー舞曲 第五番」。

210v矢継ぎ早に繰り出されるナンバーは「さすらいのギター」。
はい、もう一度正直に言います。私は超有名なところしかテケテケを知りません。しかし!好奇心旺盛にして勉強熱心な私は気になることは調べないと気が済まないのですよ。

調べてみるに…もうこのあたりでこの時代のエレキ・ギター・ミュージックに脱帽ですな。
この「さすらいのギター」の原題は「Manchurian Beat」というんだけど、この「Manchurian」って何だかわかる人はいるかしらん?


ハイ、そこのあなた…そう!これは「満州」のことなんだね。
この曲の元はかなり古くて、日露戦争に軍楽隊員として従軍したロシア人が戦死した戦友に想いを馳せて作った「満州の丘に立ちて(На сопках Маньчжурии)」という曲。ロシアでは今でも吹奏楽でよく演奏されているらしい。

ちょっと脱線するけど、日露戦争ってのは「日本が勝った」ことになっているけど、「何とか勝っていた時点で終わった」…というよりか、「終わらせてもらった」というのが正確な史実のようだ。

雨天のため試合は最後まで行われなかったが、何とか6回まで日本チームが試合をリードしていたので勝ちゲームにさせてもらったというイメージか?
もしあのまま試合を続行して、強打者バルチックが代打で登場していたら、今頃私の苗字はシコロフスキーかペドロハバロフスカヤになっていたかもしれない。ハラショー、ドウショー。
だから戦勝国であるハズの日本はロシアから賠償金を一銭もとれなjかった。

この終戦の交渉をロシアのウィッテというオッサンと丁々発止やりあったのが時の外務大臣の小村寿太郎という人。
昔の政治家は本当に立派だった。
この交渉を描いた記録小説が吉村昭(また出た!)の『ポーツマスの旗(新潮文庫刊)』。今の政治家先生全員に読んでもらいたい。議会で居眠りしているぐらいならコレをまず読むべき。おもしろくていっぺんに目が覚めら!
まだ読んでいない各種議員さんはコチラをクリック⇒amazon

もちろん一般の方もどうぞ。おもしろいよ。
戦争というものは、一般市民がマスコミの情報操作によってイケイケドンドンになって加速していくことがよくわかる。
なにしろ『昭和史(平凡社ライブラリー刊)』の半藤一利先生によれば、この日露戦争が太平洋戦争を導いたとある。つまり、「日本はメッチャ強い」と国民はダマされたんだね。そうした情報操作に惑わされないよう、国民はシッカリ勉強をする必要がある。今こそその時だと思うね。

話しを「さすらいのギター」に戻そう…1960年代の前半にフィンランドのThe Soundsというグループがワルツの原曲を4/4にアレンジして「Manchurian Beat」として世に送り出した。
何でフィンランド?
The Sputnicksはスウェーデンか…。北欧もテケテケが盛んだったんだね。
そして、その後、The Venturesがカバーしてヒットしたという次第。
邦題は「さすらいのギター」…さすがに「満州の丘に立ちて」なんてタイトルは付けられないもんね。

でも曲はいい。スラブっぽいメロディとでもいうのかな?いかにも日本人好みだと思う。同じくロシアのショスタコーヴィチのジンタ、「ジャズ組曲第二番:ワルツ」なんかも同じ味わいだもんね。もしかしてこの曲、ベンチャーズ演ってる?

B_img_0123 この日の大きな発見はふたつ。
ひとつはMarshall JVMがテケテケにメチャクチャマッチすること。
今ひとつはギターだけでなく、TOMOKOの歌が素晴らしいことだ。
230第一部で歌ったのは「雨の御堂筋」。
この歌、流行ったんだぜ~。欧陽菲菲。
ベンチャーズ作曲だもんな~。これは歌詞とメロディ、どっちが先にできたんだろう?ま、メロディが先か…。
それにしてもアメリカ人がこんな日本人の塊のようなメロディをよく書いたと思うが、先の「満州の丘に立ちて」のメロディなんかに接していたことを思うと納得がいくかもしれない。

とってもチャーミングな声ゆえにTOMOKOの歌はとても耳に心地よいのだ。

240x今度はリムスキー=コルサコフ。「Bumble-bee Twist」すなわち「熊蜂の飛行」。
派手ににぎやかにカッコよくキメるTOMOKOさん!

さっき「テケテケに脱帽」と書いたのは、もう60年代で色んなことをすべてやり尽くしちゃっている…ということ。
強引にも見受けられるあまりにアグレッシブなクリエイティビティに時代のパワーを感じるね。
今とは雲泥の差だ。
The Beatlesもそうだけど、この時代から70年代の半ばまでの人たちがすべてやっちゃい過ぎてるんですよ。
後輩にネタを少しは残しといてあげればヨカッタものを…。
先輩が遠慮なく新しいことをやり尽くしてしまったものだから、後の人たちは真に新しい音楽をクリエイトすることができなくて、「新しい音楽」と思いこませることにしか心血を注ぐスペースがなくなってしまった…というのがここ30年のポピュラー音楽の流れだね。
だから今やれること、やらなければならないこと、やった方がいいことは絶対に「温故知新」しかあり得ない。そうしないと本当に「世界の終わり」が来ちゃう。

ところで、このクロマチックのかたまりのような「熊蜂の飛行」、それこそ色々な楽器で演奏されている人気曲だが、ベンチャーズ・バージョンは技巧を追求するより、タイトル通りロックンロールらしいノリを重視してのアレンジだ。
一方、他の楽器に目をやると、断然マリンバが頑張ってるね。もうマリンバのイングヴェイ状態。この音板打楽器ってのはヤケクソに難しいからね。
そういえば、パーカッショニストのBrian SlawsonってのもStevie Ray Vaughanを迎えて演ってたな。
でも、圧巻はWynton Marsalisのトランペットだろうな。楽器の特性からいってもWyntonの演奏が一番スゴイのでは?

250

「朝日のあたる家」、「ダイヤモンドヘッド」、「パイプライン」と定番を固めて第一部は終了。

260v第二部はシングルに収められている「花氷」でスタート。
しごく和風に響く物悲しいメロディが印象的な曲。レコーディングにキーボードで参加しているShiho Teradaさんの作。

270第二部では「Fly Seagull Fly」なるオリジナル曲も披露。
320v
話しも上手なのでMCもまたおもしろい。
ギタリストとしてギターへの愛情と演奏に対する情熱の決心を語るくだりでは、途轍もない迫力のようなものを感じた。
290
最近は学校の普及とともにシュレッド・ギターを弾きこなす若い女性がジャンジャン出て来ているが、同じ女性ギタリストでもTOMOKOさんはまったく違う世界にいる。
速弾きともスウィープともタッピングとも無縁のスタンダードな演奏スタイルは、ただただギターを使っていい音楽を聴く者に届けようとる音楽への情熱で成り立っている。
しかし、ギター一本を手に日本国中を駆け巡る女ギター・スリンガーの夢と野望は大きいのだ。
280v
4曲目は「ムーチョ・カリエンテ」。これは竹田和夫の作品。
実はTOMOKOさんは竹田さんを師と仰いでおり、当日も駆けつけてくださった師、自らSonny Rollinsの「St. Thomas」をプレイしてくれた。
370v
第二部で歌ったのは前川清の「花の時・愛の時」。

330vこのあたりからはクライマックスに向けてテケテケの魅力大爆発ナンバーが続く。
まずは「秘密諜報員(Secret Agent Man)」。コレ、何が一体「秘密諜報員」なのか前から気になっていたので、今回はそれを調べるいい機会となった。ありがとうTOMOKOさん!
これは1960年に放映されていたイギリスのテレビ・ドラマ『Danger Man』のテーマ・ンングだってよ。
驚いたことにMel Tormeもカバーしているらしい。もちろんベンチャーズがカバーしているからここで演奏されているのだが、一番有名なのはJohnny Riversのバージョンなのだそうだ。
ゴーゴー調丸出しのサビの部分がなんともイナたくていいな~。

350v秘密の「密」から「蜜の味」へとつなぐ。

360もう1曲の歌は「北国の青い空」、奥村チヨとベンチャーズのコラボ作品。
「北のエレキガール」、TOMOKOさんによればこの曲の原題は「Hokkaido Sky」といい、北海道出身の自身のテーマ曲的存在であるという。
それだけに渾身の絶唱!ホント、もっと歌のレパートリーがあってもいい感じ!
340
本編の最後は定番「十番街の殺人(Slaughter on the Tenth Avenue)」。
「いい曲~」だって?そりゃそうだ。作曲はRichard Rogers。1930年代のブロードウェイ・ミュージカル『On Your Toes』の挿入歌。
やっぱりこれはテケテケ界の「Smoke on the Water」というところなのだろうか?それとも「Highway Star」か…どっちでもいいか、名曲であることは間違いない。
TOMOKOさんも思わず激演!

300v

こうして聴いてみると、Marshallが「テケテケ」に向いていないなんてことはまったくないな。そりゃモデルにもよるけど…さすがに1959とか1987で演るのはチトしんどそうだ。
「歪み、歪み」ととかく言われがちだが、Marshallはクリーンもよいのですよ。そして長い間見ていると、一般的に腕の立つギタリストほどこのことを口にするようだ。

充実の本編第二部が終了。

380v割れんばかりの場内のアンコールに応えて再度登場!黒いTシャツとトレードマークのテンガロンハットがよく似合う!背が高いからね。

390v演奏したのは「Caravan」。この曲についてはMJGの記事に書いたので是非ご覧いただきたい。

400vアップ・テンポでドライブしまくってバースディ・コンサートは終了した。
余韻に浸る大勢のお客さんが終演後も席を立とうとしなかった。

410TOMOKOの詳しい情報はコチラ⇒TOMOKO PROJECT

B_img_0025今回この記事を書くにあたり、予想以上に色々なことを調べてしまった。
コンサート・レビューなのに曲目解説みたいになってしまってTOMOKOさんには申し訳なかったが、存外におもしろかったし、勉強になった。
こうしてみると、60年代のエレキ・ブームがいかにパワフルなものであったかがわかるというものだ。
そして、驚くべきはこのThe Venturesというバンドの制作意欲だ、浅学にして情報を持ち得ないが、一体誰がこのバンドのディレクションをしていたのだろう?

当然ブームに乗って、周りのスタッフはここぞとばかりに「売らん哉」をたくらんだのだろうが、ネタを見つけて、アレンジを考えて、演奏して…。
そうさせることができたのは何と言っても「時代」だろう。ポピュラー音楽自体がまだ若かったのだ。やることなすこと、みんな未体験のことばかり。そりゃ与える方も与えられる方も面白かったと思うね。
もう音楽にこういう時代は永久にやって来ないだろう。だとすれば、音楽に必要なのは「伝承」しかない。
がんばれTOMOKO!

420(一部敬称略 2014年5月20日 銀座TACTにて撮影)

2014年7月 4日 (金)

GUITAR☆MAN LIVE #14

回を重ねること14回目!
GUITAR☆MAN LIVEが東京キネマ倶楽部で華々しく開催された。

10今回のギター・マンたちは…我らがSHARAさ~ん!

1g_img_0141 当然Marshall。ステージそでにセットされた写真右のMarshallがSHARAさんのヘッド。
120

両方ともJVM410H。上がメインで下がサブだ。
130v
キャビネットはMF400B。Marshallの壁の中に組み込まれている。
100v
もうおひと方は是永巧一。

2g_img_0063 是さんもJVM410H。キャビネットは1960Aだ。

150vベース・ギター・マンはおなじみGUITAR☆MANの親分・伊藤広規。

2g_img_0226 背後には今日もEDEN。

160vヘッドはEDENのフラッグシップ・モデルWT-800。キャビネットは2台のD410XST。EDENのフル・スタックだ。

170v 1曲目は「Hush」。最近この曲を至る所で耳にするナァ。QUORUMも演っていたし。

180_2広規さんも森園勝敏、向山テツとのThe Thlee of Usというグループでよく演奏していた。
ゴキゲンなミディアム・テンポがオープニングによくハマる。

190hこの曲、Deep Purpleの曲だと思っている人が多いようだが、Joe SouthなるミュージシャンがBilly Joe Royalという歌手のために作り1967年にリリースされたもの。双方アメリカの人だ。
このBilly Joe Royalがリリースした翌年、Deep Purpleがカバーした。母国イギリスではまったく注目されない中、アメリカ、カナダ両国でヒットしたという。
私はJim Marshallのお別れの会でこのMK I時代のベーシスト、Nick Simperに会ったが、全然わからなかったな~。

2002曲目は「Helter Skelter」。

210hs_2「Helter-Skelter」はイギリスでは「混沌」とか「無秩序な焦り」みたいな意味で、また遊園地にこういう名前の乗り物があるらしい。作曲者のPaul McCartneyは「最近バラードばっかり作ってんじゃん?」という批評家の声を吹っ飛ばすべくこの曲を作ったとか…。
しかし、これがThe Whoの「I can See for Miles」にインスパイアされている。両方大好き。

1969年、カルト宗教の指導者、チャールズ・マンソンらが映画監督ロマン・ポランスキーの家に押し入り当時妊娠8ケ月だった奥さんで女優のシャロン・テートを惨殺。現場の壁面に「Helter Skelter」と書いた話は有名。マンソンはこの曲を勝手に自分の思想と結びつけていたらしい。エライ迷惑な話である。
The Beach BoysのDennis Wilsonもマンソンと交流があったこともよく知られている。
ロマン・ポランスキーのことを書きたいのだが、相当長くなりそうなので今日はやめておく。

それにしても、さすがの達人たち、このビートルズいちハードな曲も難なくプレイ!

220v3曲目は定番の「Purple Haze」。メンバー紹介だ。
ベースは親分、伊藤広規

230vph石原SHARA慎一郎

240v是永巧一
380
そうる透

260vキーボードは工藤拓人

270v今回のボーカル陣。
おなじみ浦田健志

280v玲里

290vPOM…の3人だ。

300NACK5の山本昇氏によるインタビューも絶好調!

305ここでまたDeep Purple。「Black Night」だ。

310vbnこな辺りはみなさんもうお手のもの!
コレ初めて聴いた時は本当にカッコいいと思ったわ。
後にコレがRicky Nelsonの「Summertime」の改作と知って驚く…というより実際に聴いて笑った。
この「Summertime」はもちろんGeorge Gershwinのあの「Summertime」。このリフをよう「Summertime」に乗っけたよね~。Janisの「Summertime」よりスゴイわ。

このリフはDeep Purpleだけでなく、Blues Magoosというアメリカのグループが「(We ain't got) Nothing Yet」なる曲でやはり頂いちゃってる。
このバンドの動画みると、どうも当時Vox社のオルガンのモニターを盛大に請け負っていたようで、バスドラムのヘッドにまでメーカーのロゴを入れちゃってる。一種のメーカーのデモ・バンドの仕事をしていたのかもしれない。

Marshallもそういうバンドがあったんですよ。誰か知ってる?

一番有名なのはDeep Purple。MK IIの頃。
Ritchie BlackmoreやRoger Gloverは当たり前。その他、Jon Lordのオルガンのアンプはもちろん、Ian Gillanのボーカル用のアンプやキャビネットもMarshallだった。
もし今ならIan PaiceのドラムはNATALだったのにね、残念!

Jon Lordは後年、「Black Night」のリフはRicky Nelsonの「Summertime」にインスピレーションを受けたとインタビューで話していたようだ。

Deep Purple研究家の間では「Burn」のリフも借用で、元はやはりGeorge Gershwinの「Fascinating Rhythm(魅惑のリズム)」とされているが、こちらのキーはメジャー。もしこの話が本当だとしたらめっちゃくちゃセンスがいいとしか言いようがない!
それと「Child in Time」。これはIt's a Beautiful Dayの「Bombay Calling」。似てるもナニもほぼ同じ。
反対にIt's a Beautiful Dayはセカンド・アルバムの中の「Don and Dewey」という曲でPurpleの「Wring That Neck」を借用したことになっているが、実際に聴いてみるとそれほど似ていない。

こんなことをやっていたら実はキリがなくて、Led Zeppelinも初期の頃は借用なんて当たり前。
みんな借用してどんどんカッコいいものを作り出していった。ロックがまだルーツにほど近い時代だから素材も新鮮で、だからこそこんなことができたのだろう。
今じゃこんなことは到底できない。出がらしからは味も香りも出てこないからね。

320この透さんのキット!
今から35年ぐらい前、池袋のパルコの屋上で東京おとぼけキャッツの透さんをはじめて見た時は驚いたな。
まだ当時はラックなんてものは見たことがなくて、櫓のように組んだ鉄パイプに数えきれないくらいの枚数のシンバルがくっついていた。
セッティングをする透さんに接する機会があったので高校生だった私は恐る恐る声をかけた…「これ自作ですか?」
透さんは「そーだよ~」と何でもなく答えてくれた。
あの時、まさか将来お仕事でご一緒させてただくことになろうなんて夢にも思わなかった。

330Living Colorの「Cult of Personality」。
Vernon Reidか…チョットごめんなさい。通ってないので全然わからん。でもこの曲のPVを見るとオールMarshallですな。イコールいいバンドってことだ。
350v
それにしてもEDENはよう音がヌケますな~。弾き手がいいから当たり前なんだけど…。
こんなハード・ナンバーにもピッタリやんけ!

340lcここでJourneyのメドレー。
またしてもゴメンね。私、Journeyまったく知らないんですよ。かつてNeal Schonに1960を貸し出したことがあったっけな~。
どうしてダメなのかな?「初期の2枚はいいよ!」と令文さんにすすめられてを聴いたけど、どうもピンと来ない。たとえドラムが大好きなAynsley Dumbarでもダメ。毒気が感じられないからかもしれない。

でも、GUITAR☆MANのJourneyはヨカッタですよ。

360jSHARAさんもあのイントロの「テケテケ(曲は知ってるんだけど名前がわからない)」もチョロもんでクリア。

370vみなさん入魂の演奏。
このメドレーが終わった瞬間のお客さんの歓声の大きさといったら!自分のヘソ曲り具合を思い知らされた?!

390ここで「Radio Magic」!
これはビックリした。
あれだけMARCYさんの歌声でこの曲を聴いているとスゴイ変な感じ。目の前にいるのがSHARAさんなのに、声が違う!目の前とギターだけEARTHSHAKERなんだけど全然違うEARTHSHAKER!
声の力ってものがいかに強力か思い知ったね。

400vrnそしてベース!ナンじゃ、コレ?
ラインといい、音の置いて行き方といいカッコいいことこの上なし。そうなんですよ、ベースが変わるとバンドがガラっと変わるんだよね。
「あ、そう来ます、広規さん?」、「おお、そう弾きましたか?」、「エ、そっち?!」…なんて1音ずつベース・ラインを追いながらシャッターを切った!

410v_2「♪Wonder radio」もSHARAさんはいつも通り。この曲はいつでも聴いている者をハッピーにする。やっぱり名曲だにゃ~。

4202曲目のHendrix。「Fire」だ。

430fこれまた実にスリリングで引き締まった演奏!

440vやはりHendrixナンバーはギタリストを熱くさせる。
460v
Jimiに関するロンドンのランドマークを「名所めぐり」で紹介しようと、ここのところ数冊Jimi関連の本を読んでいるのだが、この人は本当に大人しい人だったらしいね。
Jim Marshallもブレッチリーの中華料理屋で食事をした時そう言っていた。

450vこの曲、もちろんセクシーな意味合いが強いんだけど、有名なリフレイン「Let me stand next to your fire」のところは実際、そういうことがあったらしい。
つまり、1966年の暮れにJimiとガールフレンドのCathyがベースのNoel Reddingの実家に招かれた。
あんまり寒いもんで暖炉(=fire place)の横にいたNoelのお母さんに「ちょっと隣にいさせてもらませんか?」と頼んだというのだ。
ところがその行く手にはお母さんが飼うグレートデンが横たわっていて(犬だって寒い)行かれない。
この場面が「Oh! Move over, Rover (これ、大文字になっているので犬の名前なのかな?) and let Jimi take over~」というくだり。「チョットどいてくれないか、Jimiに場所を譲ってくれよ」と犬に話しかけているシーンなのだそうだ。

そして1967年、Jimiはロンドンのクラブでこの曲を演奏した際、初めてギターに火をつけた。

465v続いてもゴキゲンな「Rock and Roll, Hoochie Koo」。Rick Derringer、1970年のヒット曲。以前にもGUITAR☆MANで取り上げられていた。

470rrこういうドップリしたミディアムの曲も燃えるよね。
Rick Derringerもポップでハードな佳曲を演る人だ。

2g_img_0311『All American Boy』、『Spring Fever』あたりでは美形をウリにもしていたようだけど、最近の姿を見るとビックリするよ。
彼はよくNAMMショウに来ているんだけど、あのジャケ写には似ても似つかないジジイっぷりなのよ。
でも、ギターはウマい人だよね。Steely Danの「Green Earings」のソロなんかメッチャかっこいいもんな。
480v
こういうロックがなくなって久しい。こうして音楽達人たちが完璧な演奏でよみがえらせてくれるのはうれしい限りだ。

475v最後は驚き!何とYesの「Roundabout」。
是さんのハーモニクスによりEmからスタート。

490vraオワ~、これはスゴイ!
よりによってSHARAさんが登場する回にこの曲が選ばれるところがおもしろい。SHARAさん初コピーだろうな~。お疲れさまでした。

500v次から次へめまぐるしく変わって行くシーンを完璧に演出する透さんの華麗なドラミング!

520大作だけあって各人、気合の入れ方がチョイと違う!
やっぱりカッコいい曲だわ。
510
ちなみに「ラウンドアバウト」というのはイギリスの郊外に行けば必ずある周回型の交差点のこと。Marshallが位置するMilton Keynesには無数のラウンドアバウトがある。
信号がないので空いている時は時間の短縮になって合理的なのだが、直進する際でも半円分中心を迂回しなければならず、何度もコレを通過すると、飲みすぎた時などかなりツライ。

ちょっとオマケ的に…
コレは変拍子ジャズの王者Don Ellisの『Connection』というアルバム。この中で「Roundabout」がジャズのビッグ・バンドで演奏されている。興味のある方はどうぞ。

Cd そしてアンコールではGUITAR☆MANのテーマ・ソングともいうべき「Smoke on the Water」をプレイ。

530swさらにこれも以外にも初登場だというのだが、Doobie Brothersの「China Glove」。

540cgやっぱりこの頃のロックは最高だね。

560クォリティの高い曲の数々…

570v最高の演奏!
今回も至福の時を過ごしたのでありました!

580v最後に出演者全員でパチリ。

590GUITAR☆MANの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

600(一部敬称略 2014年5月23日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2014年7月 3日 (木)

STONE PUSHING UPHILL MAN in Shibuya~ポール・ギルバート・ニュー・アルバム・発表ミニ・ライブ

コンスタントにソロ・アルバムを発表し続けるPaul Gilbert。その創作意欲はとどまるところを知らない。
2012年9月にリリースした『VIBRATO』に続く新作のタイトルは『幸福なるシジフォス~ストーン・プッシング・アップヒル・マン(原題:STONE PUSHING UPHILL MAN)』。

ジャケットを見るとPaul愛用のギターが描かれている…ちゃうちゃう、そこじゃなくて、力のありそうなオジちゃんが大きな岩をギターの側面に沿って一生懸命押し上げているでしょう?
この様子がタイトルになっている。「Stone Pushing Uphill Man」とは「石を丘に押し上げる男」という意味。見ればわかるか…。
出自はギリシャ神話の「シジフォスの寓話(神話)」で、岩をやっとの思いで丘に押し上げるが、頂上に着く直前に重みで転がり落ちてしまい、また最初からやり直すという永遠の苦行を意味している。
日本式に言うと「賽の河原」というヤツだ。

Paulはギタリストとしての生き方やギター道こそがこの岩なのだと語っている。
イヤイヤ、ギター道に関しては、Paulはもうスッカリ頂上へたどり着いていると思うんですけどね…。でも、それでヨシとしないところがPaulのアーティストとしての偉大さなのだ。

ま、真面目に生きている以上、誰しもこの岩を押し上げながら毎日を過ごしているとは思うよね。

ちなみに、内ジャケットにはMarshallのイラストも描かれているので要チェック!
尚、アルバムのレコーディングには愛用の1987Xと2061Xが使用されている。

10cd_2そして去る6月28日、その新譜のプロモーションのために来日したPaul Gilbertが渋谷のタワー・レコードでミニ・ライブを開催した。
特設ステージが用意された1階はたくさんの人でゴッタ返していた。
20

早速アルバムからの曲をプレイ。

50
今日のMarshallは…
向かって左がPaulのリクエストによるDSL40C。
セッティングはClassic GainのCrunchでGainがほぼフル。ボリュームは3程度でEQはすべて5付近。Reverbは4ぐらい。
右はJVM215C。
以前はステレオにセットしてフェイザーのトリックなどを仕掛けていたが、今回はDSLをメインに使用し、JVMはバッキングのループやソロ時の補足的な役割に活用されていた。

30足元のようす。

40いきなりの大熱演!

60v_2 気持ちよくソロをキメるPaulだが、問題発生!
電源のトラブルでバッキング・トラックが止まってしまったのだ。

70トラブルを知ったPaul、間髪を入れず王者の雄叫び、「ロッケンロー!!!!!」。
観客はもう大騒ぎ!

95v_2 Paulはといえば、ま~ったくあわてずに直ちにその場でバッキングのループを作る。ブルースだ。
そして歌い出したのはJimi Hendrixの「Red House」。

80v こういうとこところはスゴイよな~。ステージにトラブルはつきもの…きっとこういう目に何度も遇っているんだろうけど、むしろトラブルを楽しんでいるよう!

90またこの「Red House」がいい!
歌とギターのひとりコール&レスポンスがカッコいいのなんのって!フレーズがいいんだわ~。

100vオーディオ装置もすぐに直ってショウは何事もなかったように…イヤ、かえって盛り上がって進行した。

120v 今回のアルバムはPaul McCartneyやElton John、James Brownらの曲を取り上げている。Paulは彼らからインスピレーションを得て「ギターに歌わせる」ということをテーマにしたという。

130今まではとにかく「速く、正確に、安定したボリュームとトーン」でギターを弾くことを目的としていたが、今回は偉大なロック・シンガーたちのような豊かな感情をギターで表現したかったという。

どうなんだろう、一般的にはPaulは徹底したハイテクニックの超絶シュレッダーという印象があるのだろうか?
私も昔、教則ビデオに関連した仕事をしていたのでREHあたりのPaulの壮絶なプレイを見ている。
しかし、Marshallの展示会やインベントなどを通じ、何度となくPaulのプレイを見て、話をしていると、もう全くそういった超絶技巧をウリにするギタリストという印象がなくて、あの手この手でギターの魅力をアッピールし、音楽をクリエイトすることをひたすら楽しんでいるギタリストにしか見えない。

140vクラシックの声楽の人たちが自分の声を「楽器」と呼んでいることは以前にも書いた。
やはり「声」はもっとも個性的な音色を持つ楽器の王様だ。加えて「詞(ことば)」という強力な武器も持っている。
どんなに超絶技巧で楽器を操っていても老練なブルースシンガーや浪曲師のひとウナリには到底かなわなかったりもする。

関係ないけど、昔、テナー・サックスの巨人、Dexter Gordonが来日し、日本のジャズ・ミュージシャンとテレビで共演した。何しろ相手は偉大なる「Long Tall Dex」、リハーサルの時、日本のミュージシャンは技術の粋を尽くして込み入ったソロを展開した。
そして、その後Dexterが「ボー」とたった一音吹いた。その後、日本のミュージシャンは誰ひとりDexterの前で演奏できなかったという。
…なんて伝説がある。
このDexter Gordonのテナー・サックスから出た「ボー」も声だったに違いない。それもドスのきいたド迫力の声だったろう。
Paulのメッセージを読んでいてこの話を思い出した…という次第。

ギターを「声」という高い丘に押し上げようとするPaulは真のSTONE PUSHING UPHILL MANなのだ。
そして、最終的にその「声」を出しているのがMarshallであることがうれしいのだ。

150v「Steven Tylerはキーが高いからね…」と言いながら最後にはAerosmithの「Back in the Saddle」をプレイ。この曲でスタートする『ROCKS』はホントにカッコよかったもんね。
Aerosmithは「もうCDを作らない」宣言をしたんだったね?作っても売れないから。
一体なんでこんなんなっちゃったんだろうね。理由はわかっているつもりでも絶対おかしいよ。ミュージシャンはCDを作るが仕事なんだから。こんなことしていたらホントに音楽の「世界の終り」が来てしまうよ。
Paulがこの曲を選んだのも、そんなロックの巨人へのエールを送りたかったのではないかと思ってる。
だって「♪Back in the saddle again」だもん。

160v この曲もそうだが「初めてナマで演奏する」という曲もいくつかあったが、当然危なしげもない演奏で、ポール節がさく裂した…あ、イヤ、歌詞で苦労している曲があったな…。

170_2 Paulが足を上げて踏んづけようとしているのは…なんていうんだろう…フット・パーカッション?とにかく踏みつけるとゴツンとパーカッシブな音を出す装置。
思い出してみるに以前はこれギターケースでやってたんだよね。

180掘っても掘っても次から次へと出てくる完成されたフレーズ。こうした音楽的な厚みは日本人のそれとは全く異なるものだ。
当たり前なんだけど、その違いが「洋楽」と「邦楽」の差さんだよね。
「洋楽」がすたれ始めた時から日本のロックは形骸化した。だってロックは海の向こうのものだんだもん。やっぱりロックを志す者は「洋楽」を聴かなきゃ絶対だダメだ。

190v短い時間ながら今回も「ギターを歌わせるギタリスト」としてのPaulが大いにフィーチュアされていたと思う。
もっとも、この人わざわざギターで歌に挑まなくても、実際のノドで十分勝負できるほと歌がうまいんですけど…欲張っちゃイカン!
アンコールではPaul McCartneyの「Why Don't we do it in the Road」を演奏した。

200v『幸福なるシジフォス』の詳しい情報はコチラ⇒WHDエンタテインメント公式ウェブサイト

210cd 11月にはMr.BIGでの再来日も決定しているPaul Gilbert。
ますますの活躍を期待している。

220 (一部敬称略 2014年6月28日 タワーレコード渋谷店1階特設会場にて撮影)

2014年7月 2日 (水)

METROCK 2014~キュウソネコカミ

METROCKとは「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL」の略。
東京湾に面した新木場の若洲公園で開催される都市型ロック・フェスティバルで、開催されたのは5月24日と25日。暑くなく、寒くなく、一番いい季節。
都心からすぐ近くのロケーション。とても快適なロック・フェスティバルなのだ。。

10会場内に3つあるステージのうち、NEW BERAT SQUAREにはNATAL(ナタール)Drums。

30客席はもうパンパン。入場規制がかかり、会場に入れない人が続出。

35その絶大な人気を誇るのがキュウソネコカミだ。Marshall Blog初登場!

40何しろすさまじい人気!

50キュウソネコカミは2009年に結成された関西のグループだ。

60若者の文化をテーマに、ダンサブルでハードな曲調で観客熱狂させている。70ヤマサキ セイヤ

80vヨコタ シンスケ

90vオカザワ カズマ

100vカワクボ タクロウ

110vソゴウ タイスケ

120vソゴウのキットはメイプル。フィニッシュはメタリック・ホワイト。
12"、16"、22"のコンフィギュレーション。

130v粒立ちのよいNATALのドラム・サウンドがキュウソの疾風怒濤の楽しいレパートリーを盛り上げる。

140何しろ元気いっぱいのステージ。MCがまたヤケクソにおもしろい!
「外に入る入れなかったお客さん聞こえますか~!」なんて会場と外と仲で掛け合いをやっちゃう。

145こうしたフェスティバルではお客さんの前でサウンド・チェックをしなければならないケースがよくある。曲の頭をチョコっと演奏して音のバランスをチェックするワケだ。
キュウソの場合、もうこの時点で全力投球…というか、もうここからステージが始まっちゃってる。

150セイヤと…
160
シンスケのツイン・ボーカルが基本的なスタイル。
今までにもマルチ・ボーカルのバンドはいくらでもあったが、キュウソのツイン・ボーカルは強力だ。
この2人の掛け合いが不思議な化学反応を生み出して加速度的にステージが盛り上がっていく!

170
この通り!気持ちいいだろうな~。

155そして、その暴れまくるフロント陣を容赦なくプッシュするリズム陣。

180v曲の中を縦横無尽に駆け巡るタクロウのベースはキュウソ・サウンドを華やかに彩る。

190ギンギンにソロを弾きまくるというタイプではないものの、モクモクとステディにリズム刻むカズマのギターも重要だ。

200そして、ソゴウのドラム。イキをつく間もなくスピーディに展開するステージの要だ。

210「スマホはもはやオレの臓器」…か。ホントそうだよな~。
私なんか携帯電話を持ち出したのはかなり遅い部類だと思うし、まず「新しい機種に買い替えたい」なんてこと思ったこともなく、故障した時に仕方なく新調してきた程度。
もちろんゲームなんてやったこともない。要するに携帯に何の興味もないんだけど、気が付いてみると結構長い時間いじくってるよナァ。
携帯を忘れて出かけて電車に乗ってる時なんか、手持無沙汰で気が狂いそうになるもんね。
いくつもスマホにメールのアカウントが入っていて、いつでもチェックしていないと不安で、不安で…。マーブロのアクセス数だって気になるし、誰が何をやっているかfacebookでチェックしといた方がいいかも知れないし…。こんなオッサンでもそうなんだよ。
オイオイ、一体だれがこんなもん作ったんだよ!
220
そんな身近な出来事をテーマにした曲の数々が若者に受け入れられないワケがなく、この通りの盛り上がりようなのだ。
アタシャもう若者じゃないけど、楽しみがまたひとつ増えた!

215これは6月18日にリリースされたセカンド・ミニ・アルバム、『チェンジ ザ ワールド』。7曲のキュウソの世界が広がる好盤だ。

Cd キュウソネコカミの詳しい情報はコチラ⇒キュウソネコカミ公式ウェブサイト

230NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいまし!
詳しくはコチラ⇒イケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月24日 新木場若洲公園にて撮影)

2014年7月 1日 (火)

TOTAL OBJECTION presents.「TOTAL CAFE」~LOKA初登場!

先日Marshall Blogで紹介したTOTAL OBJECTIONにツアー・レポート第2弾!
そのコンサートに登場したMarshall Blog初登場のバンドを紹介しよう…LOKAだ!

10_2ボーカルのkihiro

20vドラムのKEN'ICHI
50
ギターはSIN

30vベースの勝己

40vSINはMarshallを使用している。

60JCM2000 DSL100と1960A…一世を風靡したコンビネーション。

70vMarshallサウンドが時代を超えてシーンの中央にそびえ立っていることを証明しているかのようなプレイ!

80vもう何しろはち切れんばかりのパワーよ!ああ、オレももうちょっと若かったらな~…なんてチョット思ったりして。

90このバンドのことはNATALの山口PON昌人氏から聞いていて、いつか見てみたいと思っていた。
250v
2012年、LOKAはkihiroとKEN'ICHIの2人によって結成され、翌年そこに勝己とSINが合流して現在の形となった。

100vLOKA自体はMarshall Blog初お目見えだが、実はkihiroとKEN'ICHIはすでにご登場願っている。
KEN'ICHIはちょっと前に島紀史が客演したFRUIT POCHETTEというアイドル系のバンドで紹介させて頂いた。
220v
ボーカルのkihiroも2回目、。前回はUNDIVIDEでの登場だった。
あのUNDIVIDEの時も「この人、身体大丈夫なのかな?」というほどの狂熱ぶりで驚いたが、このLOKAでも同様だった。
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『Sexy, Bad & Heavy』がテーマだというLOKA。そう、今の若い人は「Bad Boy Rock」なんて言葉になじみがないだろうが、昔はロックは「悪」、「ちょい悪」が当たり前で、それがカッコよかった。間違ってもロックには「桜」や「がんばれ」や「負けないで」はなかった。

そういえば、以前ニューヨークに行った時、偶然CBGBの前を通りかかった…というか、通ろうとしたんだけど、店の前にたむろしてる若者がおっかなくてワザワザ通りを渡ったことを覚えている。
そう、ロックはLOKAのように、ちょっとぐらいBadなのがちょうどいいのだ!

200v…と思ったら、そうでもないか?

210すでに『EnFLAME』と『QUATTRO』という2枚のアルバムを発表しているLOLA。「Flame」なんていいね、SAHBみたいで!

240海外での活動も盛んに展開し…

230v

ドイツとオーストリアではワンマン・コンサートも開いているという。

260この日、とても短い時間であったが、その爆発ぶりは相当なもの。
4人のこれからの活動を大いに期待している

2l_img_0050 LOKAの詳しい情報はコチラ⇒LOKA OFFICIAL WEB SITE

270v この日、ステージに上がったのは4組。そして登場したのはもちろんTOTAL OBJECTION!
350
けったろ

290v鬼丸PP

310v_2yuna

320v須賀勇介
60v

そして、強靭なサポート陣…ベースはNOHHY(ノッヒー)
330v
マニピュレーターは青木繁男。
90
NATALでおなじみのショボン!

340v 出てきた瞬間から客席は即沸騰!白熱のステージだった!

TOTAL OBJECTIONの詳しい情報はコチラ⇒TOTAL OBJECTION OFFICIAL WEB SITE

280(2014年5月29日 渋谷TSUTAYA O-EASTにて撮影)

2014年6月30日 (月)

横浜ハードロック・フェスティバル~吼えろDYNAGON!

古今亭志ん生のくすぐりに「なまじ顔がついてるばっかりに苦労している女性がたくさんいる」というのがあった。
今のご時世、こんなことを公の場で言ったら大変なことのなるかも知れないが、それは昭和の大名人、これを聴いて怒ったりする女性などいるハズもなく、師匠も自分の顔も人のことをとても言えた義理ではないこともあって、大ウケのネタのひとつであった。

音楽でも同じことが言える場合があると考えている。それは歌詞だ。
「恋愛」は歌の永遠のテーマゆえ、まだ「惚れた、はれた」の単純な愛の詩なら構わないのだが、取るに足らない「がんばれ」だの「負けるな」だの陳腐な人生応援歌にテレビで出くわすともう虫酸が走る。そんなにイヤなら見なきゃいいじゃないかって?ハイ。即チャンネルを変えています。
言っておきますが、いい歌詞はいいのですよ。昔のユーミンや陽水、ロックでは頭脳警察なんてあまりにも素晴らしい。

それならいっそのこと歌詞などない方がいい。なまじつまらん歌詞がついているばっかりに音楽をさらにつまらなくしているのだから…。
それで…というワケでもないが、このMarshall Blogでもそういう歌のないインスト・バンドを数多く紹介してきた。SHARAさんのmintmints、三宅さんのStrange, Beautiful and LoudD_Drive、そして今日また紹介するDYNAGON。
ま、コレを「怒り新党」的に勝手にひとくくりにすれば「新四大インスト・バンド」ということになる。

ところがですね、このインスト・バンド、「諸刃の剣」というか「紙一重」というか…つまらん歌詞がないのはいいのだが、今度は曲に魅力がないと聴く方は地獄の苦しみとなってしまう。

もうひとつのポイントはアドリブ・パートだ。
アドリブ・パートがないインストゥルメンタル曲は退屈極まりない。もちろんアドリブの内容もしかり。インプロビゼーションが生む奇跡の瞬間に立ち会うのもインスト・バンドを味わう大きな喜びなのだ。
それにはもちろん演者の力量がモノを言う。

昔、山下洋輔のエッセイで読んだことがあったが、山下さんが若い頃にElvin Jonesと共演する機会があった。残念なことにその時、Elvinは風邪か何かで体調を崩していた。しかし、快く共演を引き受けてくれて山下さんはシャカリキになってソロを弾いた。
それを聴いていた音楽の専門家が、演奏後、会心の出来と喜びを隠せないでいた山下さんにこう言ったという。「あんなつまらないソロを延々と弾きやがって…Elvinがかわいそうじゃないか!」
山下洋輔さんですらこうなのだ。
本当に人を納得させて感動させる器楽演奏がどれだけムズカシイかを示唆する話しではなかろうか…。

その点、先に挙げた「新四大インスト・バンド」はどれも高いクォリティの曲を最上の演奏と最高の音で聴かせてくれる素晴らしい連中だ。それでなければMarshall Blogでは取り上げられない。
この「四大」が「五大」、「六大」と拡大していくことを期待している。

さて、そのDYNAGON。先日鹿鳴館でのステージをレポートした。今日は、その翌日に開催された『横浜ハードロック・フェスティバル』でのようすをお伝えする。

10中野重夫

20v加藤剛

30v宮田叔侑

40v増井康博

50vシゲさんは前日同様、持参したSUPER100JHのヘッドを使用。

60v足元のようす。Rolloverの時とは全然違うがシンプルであることに変わりはない。

70やはりKT66がアンプリファイする究極に太いトーンが実にきもちよい。

80vドラムの増井さんはNATAL。

90v12"、13"、16"、22"のスタンダードなコンフィギュレーション。フィニッシュはグレイ・スパークル。

100シェルの材質はアッシュ。歯切れのよいクリスピーなサウンドが小気味よい。やはりNATALのバスドラは材の質を問わず驚異的な鳴りを実現してくれる。

110剛さんのシンセに導かれしオープニングは「Hammerhead」。ちょっと「Freeway Jam」を思わせるハードなチューン。

120
こういうヘヴィな曲にはやはりヘヴィな低音が不可欠だ。

140この曲だけでなく、すべてのDYNAGONのレパートリーにおいてトシさんのどこまでも重いベースが大活躍する。スラップもハーモニクスも関係ない。これがハード・ロック・ベースだ!

145vん~、この「Hammerhead」、意表をついて何回か転調して終わるところが何ともカッコいいぞ!

2曲目は渋めに「Radial Walk」。

1503曲目は「Parasise a Go Go」。これは元はロシアのボロディンの「韃靼人のおどり」。あのいつかやってたタバコのCMソングね。
それをThe Venturesが「Ten Seconds to Heaven」というタイトルでカバー。シングル盤として発売されたコレの邦題が「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」だった。
それをハードにアレンジしたのがDYNAGONバージョン。
中野重夫といえばJimi Hendrixだが、実はルーツはThe Venturesなのだ。
シゲさん曰く「Jimi HendrixとThe Venturesが何でもできて、ピックが一枚あれば日本国中どこでもいっしょに演奏できる仲間が見つかるな~」
素敵な話しだ。この普遍性の高さはそのまま音楽のクォリティに直結していると思えまいか?

160Deep Purple、Uriah Heep、Greenslade、Brian Auger、鍵盤が活躍するロックはカッコいい!

170v剛さんのキーボードなくしてはDYNAGONサウンドは実現しない。つまり、剛さんのキーボードがDYNAGONのカッコよさの大きな部分を担っているのだ。
260v

シゲさんのアルペジオのイントロからドラマチックに展開するのは「The Art of Nazka」。
235v
MC担当のトシさんによれば、古代、DYNAGONが地球に来た時に、次回来る時の目印にあの大きな地上絵を描いたそうだ。
あ、この話しは気にしないでください。
230v
コンパクトなプログレッシブ・ロックといった風情でコロコロとシーンが変わっていく。
200
メイン・テーマはシゲさん。
とてもジミヘンを演っているとは思えないモダンで(それでも70年代風)リアル・ロック・テイストに満ちたソロが素晴らしい。

190v「Put the Metal to the Pedal」。この曲好き。
シゲさんとトシさんのハードなイントロ・リフから、剛さんが奏でるテーマが何とも愛らしい。特にテーマの4小節目。このメロディは出にくい。

210xまたしてもシゲさんのド派手なソロ!どんなソロかはこの写真の表情で十分伝わるだろう。
130v

手数が多いわけでも音が特段大きいワケでもない。しかし、実にシャープで的確。とても印象に残るドラム。そんなドラミングがヤスさんの身上だ。
「オレが、オレが」的でないヤスさんのドラムは、自分の仕事では絶対にミスを許さない厳格な雰囲気さえ漂う。こういうドラムがいなきゃシゲさんもフロントでああは暴れられないよ。
そのヤスさんをサポートしているのがNATAL。相性がとてもいいようだ!

240最後はテーマ曲、「DYNAGON」。コレもいいナァ!

280v
これはテーマのバックで好き放題弾いているトシさんに「たいへんよくできました」でしょう!メッチャかっこいいわい!
それとリフのハモりがスンゲェ快感。

270vそしてこの曲のハイライトはコレ…剛さんとシゲさんの壮絶なバトル。

290 キーボードを前後に大きく揺さぶり感情をさらけ出す剛さん。を前後に
180

剛さんの激演に引けを取るワケにはいかないシゲさん!
220v
今回はイベントで時間が限られていたのでこのパートはやや短めだったが、個人的にはもっとやってもらいたいナァ。2人ともどっかの血管が切れるまでバトルして欲しい。
1dimg_0510
ギターxギター、ギターxベースというバトルは珍しくないけど、最近はキーボードが目立って活躍するバンドは滅多にないからね(岡垣さんがいるのもありがたい)。
貴重な場面なのだ!

310v …とこうして全6曲を演奏。
会場は初めてDYNAGONを見る人ばかりだったハズだが、大きな歓声が巻き起こっていた。

300vやっぱり曲がいいですよ。
彼らは私より少し年上で、私なんかよりロックのいい時代を直接経験した人たちだから、やっぱりロックに対する感覚がより本質に近いのだと思う。
年を取っているからこそできる音楽だ。ロックの世界では老兵は去るワケにはいかないね、シゲさん!あ、シゲさんたち全然老兵十じゃないね、「ベテラン」という言葉に置き換えよう!

それとね、楽器の音ですよ。みんなナチュラルな音だからいくら爆音でも聴いていて全然うるさくない。当然機材はシンプルだ。
こういうバンドに接している限りはロックの「世界の終り」を忘れさせてくれるわい。
ジャンジャン新曲を書いて日本国中で暴れまわってくれることを期待している。

今こそ吼えろDYNAGON!
250
コンサート会場限定で販売している5曲入りのミニ・アルバム。1987年に一発録りでカセット・テープに吹き込まれた音源がそのまま詰まっている。メッチャ演奏ウマい!
330cd
DYNAGONの詳しい情報はコチラ⇒公式facebook

320vNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


さらに!NATALがイケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原でもお試しいただけるようになりました。
コージー村上さん他、お店のスタッフさんにお気軽にお声をかけてくださいとのこと。
是非、秋葉原にもお出かけください!
詳しくはコチラ⇒イケベ楽器店ドラムステーションリボレ秋葉原公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月18日 横浜7TH AVENUEにて撮影)

2014年6月24日 (火)

原田喧太~SOLO LIVE 『Guitar Circus 2014』

DAMIJAWをはじめ、数えきれないほどのバンドやイベントでヴァーサタイルな活動を繰り広げる原田喧太。久しぶりのワンマン・コンサートのレポートだ。

10コンサートのタイトルは『Guitar Circus 2014』。カラフルなギターを身上とする喧ちゃんのこと…ピッタリのタイトルではないか。

20v予想もできない離れ業で観ている者を楽しませてくれるという意味での「Circus」という言葉が使われているのだろうが、この単語、地名においてイギリスでは「Circle」、つまり「円」という意味で使われる。
Picadilly CircusとかOxford Circusとか…。
このコンサートは中心にいる喧ちゃんとギターをみんなで丸く囲んでいっしょに音楽を楽しんじゃおう!『Guitar Circus』…私にはそういう意味にもとれた。

270v
スリリングなインストルメンタルで幕を開けたステージ。
さっそく今夜の仲間が紹介される。

30伊藤可久

40v太田要

50vそうる透

60v忘れてはならない仲間はもちろんMarshall!

70vJVM410HとMF400B。
SHARAさんやルークさんをはじめMODE FOURのBキャビを愛用するギタリストは珍しくない。

80喧ちゃんは以前MODE FOURを使用していて、はじめからこのキャビネットの魅力を見抜いていた。
その後、ヘッドはJVMに代わったが、キャビネットはMODE FOURを続けて使用している。もう結構経つよね。
このピース・サインはすごく気に入ってくれている証拠なのさ!

90もちろん喧太ミュージックには「声」も需要な存在だ。

100全編スリリングなギターと…

120v喧ちゃんの心のメッセージを伝える「歌」で構成された『Guitar Circus』は曲順もよく練られており、飽きたり、たるんだりする箇所が全くない充実の一編であった。

110v
喧ちゃんのトレード・マーク、ペロリ。アクションにも熱が入る!

130「衣装間違えた…」と喧ちゃん。そう思う。脱水症状が心配になるほどの汗・汗・汗!
しかし、ジャケットを脱がない。心頭滅却、気合が入っているのであ~る!

135そんな喧ちゃんをガッチリと固めるバック陣。
さすがに付き合いの長い可久ちゃんとは合いすぎるほど息が合っている!

140vピック弾きの歯切れのよい音が実に気持ちい要さんのベース。

150説明不要の透さん。
思えば10年以上前、喧ちゃんを紹介してくれたのは透さんだった。

160「歌い始めてまだ2年ぐらいなんだけどね…」、「2年ぐらいしか歌ってないんだけどね…」ともったいぶって紹介したシークレット・スペシャル・ゲストは…佐藤浩市!

160v会場はビックリ仰天!

170v浩市さんは芳雄さんの歌を歌い継いでいるという。

180アコースティックでもそのノドを披露。
ていねいに心を込めて歌い込む姿が感動的だった。
「ま、まだ歌い始めて2年なんだけどね…」と喧ちゃん!

190もうひとりのゲストはTomo Fujitaさん。

200NAMMショウでデモンストレーションをするTomoさんを毎年見ていたが、こうしてバンドでガッツリ演奏するところを観るのはじめてだった。
慎重に選んだ音をひとつひとつ丁寧につないで行く姿は、たとえ演奏する環境が異なっても当然変わるものではなかった。

210Tomoさんのギターは喧ちゃんのダイナックでエネルギッシュなスタイルと対をなすもので見応えのあるギター・バトルだった!

220喧ちゃんも実に楽しそうだ!

230また、チョイスした曲もスリリングにして味わい深いもので、ふたりの個性を引き出す格好の素材となった。

240v後半はすさまじいまでのノリノリ大会!「Do It, Boy!」なんか自然と一緒に歌っちゃう!

250vさすがにジャケットは脱いだものの気合はそのまま。最後の最後まで鬼気迫るギター・プレイはヘタなサーカスよりスリル大!

260会場も汗みどろの喧ちゃんの大熱演に応えるべく一心不乱に頭を振り、喧太ミュージックに実をまかせていた。

265そして、アンコール。本編の曲を「も一回やり直していい?」なんてシーンもあったがご愛嬌。

290

最後は宇崎竜童さんが喧ちゃんのお父さんのために書いた曲、「生きてるうちが花なんだぜ」。
赤坂BLITZでの芳雄さんの追悼ライブの時に桑名正博さんが気に入り、生前よく演奏していた曲。
浩市さんやTomoさん、オープニング・アクトを務めたKane Jら出演者全員がステージに上がってにぎやかに幕を閉じた。

280この歌、最近ものすごくグッと来るんだよね。
ホント、生きていなきゃこんな素敵なコンサートを観ることもできやしない!
盛りだくさんのコンテンツ…喧ちゃんとギターを中心にふんだんに楽しんだ。…ということは私のタイトルの解釈は大正解だった!

そして朗報!!
本番中に喧ちゃんが触れたように、『Guitar Circus 2014』のもようはDVD収録された。そのDVDが7月27日に発売されることが決定している!
詳しい情報はコチラ⇒アトス・インターナショナル公式ウェブサイト

300原田喧太の詳しい情報はコチラ⇒原田喧太Official Web Site

310v(一部敬称略 2014年5月16日 下北沢Gardenにて撮影)

2014年6月23日 (月)

LOUDNESS~One Night Premium Show 『ONCE AND FOR ALL』

LOUDNESSの約2年ぶりのニュー・アルバム『THE SUN WILL RISE AGAIN』が6月4日に発売となった。
今日レポートするのは、アルバムの発売を記念して6月6日に東京だけで開催された『"THE SUN WILL RISE AGAIN"発売記念 One Night Premium Show ONCE AND FOR ALL』と題されたのコンサートのもよう。
30cd
この日、雷鳴こそ聞こえなかったが、ものスゴイ雨もようだった。
朝から強く降る雨は夕方までまで続き、六本木の駅から大した距離ではないにもかかわらず、EXシアターに着く頃にはビチョビチョになってしまった。

当然、雨程度でひるむLOUDNESSファンではなく、満員の会場は開演前から熱気ムンムン!

客電がついたままAC/DCの「Highway to the Hell」が会場に流れ、暗転…SEが変わる。
緊張感あふれるベースの音。ニューアルバムの1曲目「Nourishment of the Mind」だ。
10そして、いよいよ4人がステージに姿を現す、ハチ切れんばかりの大歓声!
20
高崎晃

40v二井原実

50v山下昌良

60v鈴木政行

70vオープニングはニュー・アルバムから「Got to be Strong」。そして同じく「Never Ending Fire」…

80

さらに「The Metal Man」と続いた。すなわちオープニングSEの「Nourishment of the Mind」からここまで『THE SUN WILL RISE AGAIN』とまったく同じ展開。
「どうだ!オレたちLOUDNESSのニュー・アルバムは!」と自信満々に問いかけているかのようだ。

100

LOUDNESSを観るのは昨年末以来だが、あの時とは全く雰囲気が異なっていて、やはり「新しい作品」というものの存在意義の大きさを感じ取った。

ゴルゴ13が要人を一発の弾丸でしとめるように、政治家がニンマリ金勘定をしながら戦争をもくろむように、たこ焼きやき屋がクルクルとたこ焼きをひっくり返すように、曲を作って、演奏して、アルバムを作るのがミュージシャンの本来の仕事だと私は考えている。
コンサート活動はあくまでアルバムを広めるためのものだ。まして、ミュージシャンは決してタオル屋ではない。
「もうCDなど売れない」とか「CDなど作っても意味がない」的な発言が最近富に目につくようになったと同時に「ライブ第一」的な意見も定着してきた。
大反対である。

エジソン以前じゃあるまいし、また、ビートルズ前夜でもあるまいし…テクノロジーに進歩に翻弄されて作る側も聴く側も「再生芸術」の楽しみを忘れてしまったとしか言いようがない。若い人はそれを教えてすらもらっていない。

「再生芸術」の楽しみはアルバムによってしか味わうことのできないものである。
『Sgt. Pepper's~』は「Sgt. Pepper's~」に始まって「A Day in the Life」で締めくくることによって意味があり(もっと言うとその後のジングルまで)、各曲を単体で聴くよりアルバム全体を聴いた方がはるかに一曲ずつが輝いてくる。実際、このアルバムの発表時、シングル・カット曲がなく、ビートルズが解散した後、1978年にイギリスで「Sgt. Pepper's~」が単体で発売されただけだ。(B面は「A Day in the Life」)
今のポピュラー音楽界で起こっている事象、すなわちダウンロードして1曲ずつ音楽を聴くという行為は、SP盤しかなかった…すなわち長時間収録が可能な録音媒体がなかったローテク時代に音楽の在り方が退化していることを指し示しているとしか思えないのだ。

しかし、ナンダカンダ言っても、「CDが売れない」というのは、基本は「消費者は価値のないものに金を出さない」ということではないのかね?
お金を出してでも買いたい音楽は「形」にしてそばに置いておきたいと思うのではないかといまだに信じている。
CDの中に「ナントカ券」を入れている内は絶望的だよ。アレはCDを捨てる子より、そういうものを作る方が圧倒に「悪」だ。(←ココ、「いいね!」押すとこです)

そういう私の考え方をすべて包含してくれているようなアルバムが今度のLOUDNESSのTHE SUN WILL RISE AGAIN』なのだ。

110驚異のギター・トーン健在。
数年前ヨーロッパのフェスティバルでLOUDNESSを観たMarshallのスタッフが「出演したギタリストの中でもっとも美しいギターの音だった」と感動していたのを思い出す。、

120名器JMP-1とRoger Mayer製作のパワー・アンプにSidewinder入りの1960。世界がうらやむコンビネーション。
Aキャビの上に乗っているのはJCM800 2203。

130ある日本人のギタリストが高崎さんのギターの音をして「意味がわからない」と言っていた。その言葉の意味がわからないぐらい「いい音」ということだ。
ま、残念ながらそのいい音の核は、機材の中ではなく高崎さんの指と頭の中に詰まっている。

140v中盤は80年代の曲をセレクト。
165

二井原さんがLOUDNESSを離れていた時期の曲も演奏されたワケだが、ナニを歌っても二井原さんの声がかぶさると時代を超えてすべてLOUDNESSになる。「声」の力というものとはスゴイ。
クラシックの声楽の人たちは声のことを「楽器」と呼んでいるという話しを聞いたことがある。
二井原さんの楽器も世界的な名器だ!
150v
いつか二井原さんが歌うSladeの「Cum on Feel the Noize」を聴いてあまりのカッコよさに腰を抜かしそうになったことがあったが、何かの機会に二井原さんが歌うNazarethのヒット曲「Razamanaz」を聴いてみたいな…絶対ピッタリだと思う。身勝手なリクエスト。

160v「Black Star Oblivion」の素晴らしいギター・ソロ!改めてMarshallっていいな~と思ってしまった。
166v
写真の撮影をしているとどうしてもPAスピーカーの前に立つことも多く、爆音から耳を保護するためにどんな会場でも耳栓をするようにしている。さもないと耳がいくつあっても足りなくる。
しかし、高崎さんのソロの時にはソレを外すことが多い。そして役得でMarshallから発される生のトーンを聴く。
そのトーンは「最上」であると同時に「基本」である。
美しく歪んだ本来あるべき「ロック・ギター」の音がするのである。当たり前にそれは「いい音」なのだが、そのポイントは音の良し悪しの向こう側にあるような印象がある。「ロック魂」とでも言おうか、決して機材ウンヌンではない何か精神的なものである気がしてならない。
290

もちろん爆音なのだが、まったくうるさいとは感じない。世界に誇る日本のロック・ギターのトーンなのだ。
210v
1982年の『DEVIL SOLDIER~戦慄の奇跡~』から「Lonly Player」と「Angel Dust」のメドレーからの…
200
ドラム・ソロ!

225
さらにニュー・アルバムからタイトル・チューン「The Sun Will Rise Again」と「Motality」が続く。
190
そして、この超ヘヴィ級のリズム隊。もちろん岩をも砕かん大爆音!

170vところがそのサウンドはどこまでもクリアで鋭角的だ。

180二井原さんの弾き語り。

240v
そして、終盤に入り猛然とクライマックスへと向かう。

220本編最後は「Crazy Doctor」と…

250v「Crazy Night」の必殺の連チャン!
245v
そりゃ盛り上がるに決まってるわな~!観客総立ち!…って最初から総立ちだけど…。

90
これで一旦本編は終了。

260当然猛烈な「アンコール」の声。お客さんはひとり残らず実に楽しそうだ。

270「King of Pain」…

280「Let It Go」の2曲。

これで終わりかと思ったら…ダブル・アンコール!

300ここではニュー・アルバムから「Shout」と「SDI」を演奏。

320v待ってましたの「SDI」では会場も一体となってShout!アレ、うまくできてる?

330メドレー曲も含まれていたが、アンコールも含め22曲。約2時間20分。ニュー・アルバムからは11曲中6曲が選ばれるという新旧取り混ぜた「今のLOUDNESS」の格好のショウケースとなった。
370
個人的にひとつだけ…私はニュー・アルバムの最終曲、「Not Alone」が一番お気に入りなんだけど、今回のセット・リストから漏れたのがチト残念!こういう曲とか演奏ってなかなか日本人のバンドではお目にかかれないないLOUDNESSならではのものだと思っている。完全に洋楽なのだ。

335vこのアルバムのタイトルなのだが、未来を表す助動詞「will」が入っている。
ご存知の通り、太陽は必ず毎日昇る。曇ってはいても太陽が昇らない日はない。
英文法の時制のルールとしてこうした不変の真理は動詞に現在形を使うのが普通とされている。
にも関わらず「The Sun will~」としているのはこの「sun」が空の太陽を指しているのではなく、LOUDNESSのことを指しているとみた。
つまり、東から上った太陽がまた世界を席巻する…ということをこの「will」が暗喩しているように思えたのだ。

7月には東京、大阪、名古屋でのホール・ツアーが開催され、秋以降にはワールド・ツアーも企画されているという。がんばれLOUDNESS!

340外に出てみるとLOUDNESSのパワフルに対抗するかのようにまだ強い雨が降っていた。しかし、雷鳴(Thunder)が轟いていたのは雨模様の六本木の街ではなく、EXシアターの中だった。

350LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

360(一部敬称略 2014年6月6日 六本木EXシアターにて撮影)

2014年6月20日 (金)

クラシックROCK!!~DYNAGON、QUORUM、成増保育園

ワールド・カップ第2戦、ブラジル・ナタールでのギリシャ戦を記念し、急遽予定を変更して我がNATALが登場するコンサートのレポートをお送りすることにした。

ここ数日テレビから連呼される「ナタール」の声にうれしくもあり、ちょっと恥ずかしくもあり…。
今までウチの「NATAL」を「ナタル」とか「ネイタル」とか読む人が少なからずいたが、今回のことでかなり「ナタール」という読み方が定着したのではなかろうか。綴りも同じだし…便乗、便乗!

Natal_power 引き分けは悔しいけど、負けなくてヨカッタわ~。これでまたロスタイムに点を入れられて逆転負けなんて展開になっていたら「ナタールの悲劇」って一生言われちゃうからね。
普段はサッカーの試合なんてまったく見ないけど、こういう機会にはやっぱり夢中になって母国を応援しちゃうね。特に後半、汗みどろの選手の姿はまさに「死闘」の様相を示していて少なからず感動を覚えた。

コレで誰か決勝ゴールでも決めようものならその選手にお祝いでNATALのバーチのキットの1台もプレゼントしようと思ったが、実現できずチト残念!
でも、選手たち、ドラムを始める機会があったら間違いなくNATALを指定してくれるんじゃない?イヤ、それとも反対か?「NATALは思い出したくない!」…なんてね。
ところで「NATAL DRUMS」はイギリスのブランドで、名前の由来はブラジルのナタールとは何ら関係ないということをここで明言しておく。

さて、肝心のコンサートの方はといえば、『クラシックROCK!!』とタイトルされ、個性的な面々が揃う面白い内容となった。
まず登場したのが成増保育園。

10ナニも成増の保育園のOBというわけではない。(あるいはそうなのかな?)

20ギター、ベース&ドラムのトリオ編成の「成増保育園」という名前のバンドだ。

30コレがですね~、なかなかに強烈!今時こんなバンドが日本にいたのか?!という感じ。

40サウンドの基調はサイケデリック・ロックということになるのであろう。
強烈なビートにお経を乗せて読んでみたりする。ブラジルの巨人、Hermeto Pascoalもコレに似たようなことをやっているが、こちらの方がストレート。何とも言えない雰囲気だ。

50さらに、延々と狂ったように「ダイエット」を連呼して自己トランス状態に入り込む。
おおよそ万人に受け入れられるタイプの音楽ではないが、私は結構好き。ナゼかというと、ひとつの表現手段としてこの手のサウンドに「ロック」を感じるからだ。
テレビに出てくるバンド連中とそのサウンドを比べてみるがいい。同じ日本人が同じ楽器を使っているのにこうも違ってくるものか?むしろこっちの絶望的なサウンドにこそ「世界の終り」を感じるわ。

60vただ、こうしたサウンドは決して新しいモノではなく、60年代後半から70年代初頭にかけてGraham Bondあたりが取り組んでいた音楽に近いイメージだ。

70vQuintessence(クインテッセンス)というイギリスのバンドをご存じだろうか?むしろコレに一番近いかもしれない。
このQuintessenceというバンドはインド音楽の影響を受け、「アッラ~」とか「ブッダ~」とか延々と神様の名前を唱え続けたりする曲を演奏する。
私は決してHawkwindのようなトリップ系サウンドの愛好者ではないが、成増保育園を見ていてQuintessenceを思い出し、そして、そういうバンドがまだ日本いることを知ってとてもうれしくなってしまった。

80vちょっと調べたところ、ウェブサイトもお持ちでないようで情報が少なくてゴメンなさい。「成増保育園」で検索するとホンモノの保育園が引っかかって来ちゃって…。
とにもかくにもスゴク新鮮な感覚で接することができるバンドだった。

90そしてQUORUM。

100Marshall Blog読者にはもう説明は不要だよね?

110浪岡真太郎

120v北川遊太

130盆子原幸人

140石川達也

150vこの日の約1週間後に開催したワンマン・コンサートも大好評だったようで(先約があって行かれなかったのさ)、着実に前進を続けていて頼もしい限りだ。

160魅力的なヴォイスで観客の耳を一手に引き寄せる真太郎。

170v奔放なギター・プレイに大きな自信を垣間見せる遊太。
190

今回初めて聴いたが、「Get Back」にLed Zeppelinの「For Your Life」を突っ込んだアレンジには思わずニヤリとさせられた。

180v派手なアクションと「攻め」に徹する幸人のベースでステージ下手はいつもにぎやかだ。

200vそして、抜群の鳴りを誇るNATALを御するド迫力な達也のドラミング。QUORUMの音楽にベストマッチのサウンドだ。

210v今日もまた一歩前進するQUORUMなのであった!

220QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

会場に貼られたQUORUMのポスター。写真は私が撮らせていただきましたん!

230この日、トリで登場したのは「中京の重戦車」、DYNAGON(ダイナゴン)だ!

240中野重夫

250v加藤剛

260v宮田叔侑

270v増井康博

280vDYNAGONは1986年に結成されたインストゥルメンタルのハード・ロック・バンド。何と30年近く前にここ鹿鳴館に出演したことがあるという。

290シゲさん、絶好調!

300_2Marshallは使い慣れたSUPER 100JHヘッドを持参。

310vご覧の通りの大激演はいつも通りだ。

320vDYNAGONサウンドの大きな特徴のひとつは剛さんが操るキーボード・サウンド。

330Jon Lordを師と仰ぐ剛さんのプレイはロック・キーボードのカタマリみたいなものだ。

340vDYNAGONのサウンドをヘヴィたらしめるトシさんのベースもなくてはならないものだ。

350MCではトシさんから重大な発表(?)があった。
今回のコンサートでQUORUMと共演することで判明したのだが、QUORUMのギターの遊太くんのお父さんとトシさんは30年来の友人だというのだ。
もう何十年も行き会っていなかったが、今回のことを知り、遊太くんのお父さんが連絡をして来てくれてトシさんも初めて知ったそうだ。
「今度の対バンのQUORUMのギターはオレの息子なんよ」という具合。驚いたのはトシさん!
これをキッカケに遊太くんのお父さんと旧交を温めたという。これも音楽の持てる魔力なのか?

ロックもこの世に出て来てから60年も経ち、ますますこういう世代を超えた交流は増えてくるに違いない。親子どころか孫子の関係がそろそろ出て来てもおかしくない。ガンバレ、おじいちゃんチーム!

360vステージ後方から黙々とバンドをドライブさせるヤスさん。

370QUORUMもそうだが、やっぱりこうしたブリティッシュ然としたロックにはイギリス製の楽器が良く似合う。そういう空気が出てくるから不思議だ。
ヤスさんも気持ちよさそうにギンギンにNATALを鳴らしまくっていた。

380v演奏曲はDYNAGONスタンダード。

390「Hammerhead」、「The Art of Nazka」等々おなじみのナンバーだ。

400インストゥルメンタルといってもこのバンドの曲は小難しいところが一切なく、「ドライブ命!」的なところが聴いていて実に爽快だ。そして歌がなくても十分に「ロック」を楽しめることを教えてくれる。

410私は音楽が小難しければ小難しいほどよろこぶ音楽変態だが、彼らの熱演を見ているとそんなことはどうでもよくなってくる。
mintmintsStrange Beautiful & LoudD_Drive、そしてDYNAGON…これらをMarshall Blogの「新四大インスト・バンド」と認定させて頂きたい。

420vDYNAGONの詳しい情報はコチラ⇒DYNAGON Web

430三者三様、すごくおもしろいコンサートだった。ま、「クラシック・ロック」っちゃ「クラシック」だね。でも音楽のクォリティが低ければ風雪に耐えきれず「クラシック」として生き残ることはできない。
コレでいいのだ!

それと、コロンビア戦、がんばれニッポン!

440vNATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月17日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2014年6月19日 (木)

Republic (モリマチ)Session

以前Marshall Blogでレポートしたことがあるが、Republic Saxophoneというバンドがある。森園勝敏さんのバンドだ。
残念ながら、現在森さんは療養中で第一線を退いている。そこで森さんの早期回復とステージへのカムバックを待って催されたのがこのセッション。だから『モリマチ・セッション』だ。

珍しく冒頭は大二さんのごあいさつ。「(森さんの)復帰までもう少しかかりそう。でも、いつ彼が帰って来てもいいようにウォーミング・アップ的な企画」と趣旨が説明された。

10_2オープニングは「Mercy, Mercy, Mercy」。

20アルト・サックス奏者、Cannonball Adderleyの大ヒット曲。作曲は後にWayne ShorterらとWeather Reportを結成するスイス人ジャズ・ピアニスト、Joe Zawinul。
Cannonballは好きだなぁ。最適ジャズ名門盤とされる『Somethin' Else』もいいけど、普通のジャズを演っていたRiversideの諸作はもちろん、ファンキー・ジャズになったDavid Axelrodプロデュース時代の諸作もすごくいい。
縦横無尽、ジェット機のように飛び交う鋭角的なソロがタマらない。

ちなみにManfred Mannの『The Five Faces of Manfred Mann』というアルバムに収録されている「Sack O'Woe」という曲はCannonball Adderleyの作曲だ。なんでManfred Mannがこんな曲を演ったんだろうね。初めて聴いた時、結構驚いたのを覚えている。

90年代の半ば、グリニッチ・ヴィレッジのThe Bottom LineでBuddy Rich Big Bandを観た。「Mercy, Mercy, Mercy」はこのビッグ・バンドの重要んあレパートリーだった。
その時のドラムはDave Weckl。
Wecklは『Burning for Buddy』というBuddy Richへのトリビュート・オムニバスでこの曲を録音している。
スゴかった。もうオカズ(今は「フィル」っていうのかな?)のひとつひとつが鳥肌もので、それがキマるたびに客席から「ウェッコー」、「ウェッコー」と掛け声がかかるのもカッコよかった。それと同じぐらいカッコよかったのが2番テナーを吹くSteve Marcusのソロだった。

30_2もうね、この日の大二さんもマジでWecklに負けてないの。音はいいわ、フィールはいいわ、こちらの「Mercy」も鳥肌ものだった。

40今日のメンバーは…
岡井大二

50v_2ベースに大西真

60v_2キーボードは石井為人。

70v_2そして森さんの代役は関雅樹

2曲目はブルースのスタンダード、「Steppin' Out」。

80_2そしてこれまたオハコ、「Goodbye Pork Pie Hat」。
コレの原曲を聴いたことある人はいるかな?Charles Mingusの1959年の『Miugus Ah Um』に収録されている。もちろんCharles Mingusの作品。
この曲はもうすっかりJeff Beckバージョンの方が当たり前になってしまった。その次におなじみなのはJoni Mitchellバージョンかな?同じ歌入りならRoland Kirkバージョンも最高にカッコいい。
ところがテナー・サックスの巨人、Lester Youngに捧げられたこの曲、原曲はBeckのものよりグッとプリミティブなイメージだ。
「Pork Pie Hat」にはズルっと来るかもしれないが、この『Miugus Ah Um』というアルバム、「Better Git It in Your Soul」、「Boogie Stop Shuffle」、「Fables of Faubus」といったMingusスタンダードが収録されたベスト盤的な内容なのでジャズ入門編の1枚としてロック・ファンにもおススメだ。
Mingusで脱線のついでに、廣木光一というジャズギタリストの『Preparense』というアルバムもおススメ。「Fables of Faubus」をギター・トリオで演っているが、すこぶるカッコいい。

今日も為人さんのピアノ・ソロが快調!

90_2噂をすればJeff Beck…「Behind the Veil」。それにしてもこの曲が入っている『Guitar Shop』というアルバムはスゴイね。「Savoy」とか「Big Block」とか、コンテンポラリー・ベックを演る人たちのスタンダードがガッチリ収録されている。私も出てすぐに買ったっけ。だからオリジナルジャケット。1989年の発表か…もうずいぶん経ったんだね~。

この曲は関ちゃんのオハコだ。

100vMarshall Blogでも何度かレポートしているように、関ちゃんはこの曲を大二さんとよく演奏しているので完璧。途中の無音状態からド~ンと盛り上がるところなど圧巻だ。

2m_img_0007 5曲目は「Stratus」。何度も言うけど「ストラトゥス」。
原曲にあるアタマのボワ~ンとなっているところ…アレ、特にやる必要ないような気もするけど、みんなナンカやりたがるね。
これもJeff Beckで再びスポットライトを浴びた曲だが、元はBilly Cobham。ギターはTommy Bolin。
今日はテンポも速く気合の入った「Stratus」だ!

120テーマの後、まずは為人さんのエレピのソロ。上下に音階をめまぐるしく移動しながらベンド・キーをいじるスリリングなプレイ!

130_2関ちゃんがソロを引き継ぐ。今日一番強めのディストーション。お、想定外のキメがキマった!

135_2その後ろで暴れる大二さん!NATALスゲ~!こりゃタマラン!
110

それにしても大西さんのベースの重いこと!この曲、イヤがるベーシストいるんよね。ずっと同じパターンの繰り返しだから。

150v関ちゃんのMC。

「思い出話しをするのもヘン」としながらも森さんとの出会いを語る。
関ちゃんは元々森さんの大ファン。このお店に出演した時、オリジナル・アレンジで「Lady Violetta」を演ったら客席で偶然ホンモノがそれを観ていた…という。
終演後、森さんと話しをした時、てっきり「勝手にアレンジすな!」と怒られると思ったらさにあらず。
「アソコ、どうやってんの?」と逆にアレンジについて質問されて、結局、今ではそのアレンジのバージョンで演奏している…というお話し。

160_2そこで、「Lady Violetta」。ん、今日も緩めのテンポだな…。
関ちゃんの弾くテーマ、今日は何だかフェイクが激しい。

170v_2為人さんのソロ。コンパクトにまとめたさわやかなソロだ。

180v_2代わってはじける関ちゃんのソロ!このサンバーストのストラトは実に音が甘い。この曲にピッタリのトーンだ。師匠直伝の「Sleepwalk」で曲を締めくくる。

190_2ここでNATALが紹介された。

200v大二さん曰く…「余計な倍音がなくてとてもいい。鳴りすぎて鳴りすぎて…。すごくいいっス。音が柔らかくて、それでいて迫力があるんだよね」
220_2

「Marshallのドラムがあればいいなってずっと思っていたんです。Marshallのステッカー貼っちゃう!」
日本のロック史に名を残す大二さんほどの名ドラマーにNATALを気に入って頂いて天国のJimもさぞかしよろこんでいるに違いない。

そうそう、サッカーのワールド・カップ、日本のギリシアとの第2戦は「ナタール」というところでやるんだってね。
テレビで「ナタール」、「ナタール」って連呼されて…ちょっとうれしい。

210_2
大二さんのキットはバーチ。フィニッシュはグロス・バーガンディ。要するにワイン・レッド。
関ちゃんのMarshallは愛用の2187。1987の2×12”コンボ・バージョン。

230_2足元のようす。また何やらゴチャゴチャしてきた?

240第1部の最後は森さんがよくやっていた「Hideaway」。

280_2真ん中のエイトのところは迷わず「Peter Gunn」!お、「Crossroads」も混ざって来た!
為人さんはメイオールばりのオルガンソロ!

270休憩をはさんで第2部。
シンプルなエイト・ビートで始まったのはThe Crusadersの「Put It Where You Want」。

260_2大西さんのベースソロ。
大西さんの背後にはEDEN。毎度書いてるけど、しっかし、音抜けがいい!音に大きな包容力があるのだ。

245これがEDEN WT-800とD410XST

250v_2大二さんのドラム・ソロ!

290_2ドワ~、なんていい音!さすがNATAL!と言いたいところだが、これは大二さんのテクニックによるところが大だろう。
音がデカいし早い。それでいてゼ~ンゼンうるさくない。
このお店は小ぶりなのでドラムは完全ナマ音なのだが、バランスがすごくいい。あたかもスネア、バスドラム、タムタム、それぞれが自覚を持って自分たちの仕事を確実にこなしているようだ。
見よ、この大二スマイル!大二さんはプレイ中真剣な顔をしていることが多いが、ついニンマリしてしまうのだ!たぶんNATALのせいだよ。

300vここでTerraのオーナー寺田一仁が登場。
「Ain't Nobody Business」。こっから先はシブシブだよ~。

310寺田さんの大二さんや森さんとの付き合いはかれこれ42年ものになるとのこと。寺田さんも森さんの一日も早い復帰を期待しているひとりだ。

320v寺田さんのトラディッショナルなブルース・ソロに対抗する関ちゃんのソロはディミニッシュ連発!

330Stuffを2曲。まずは「As」。元はStevie Wanderの曲。
そしておなじみ「Foots」。スゴイのり!

Stuffは高校生の時、チョット年上のお兄さんたちの間で大きな話題になっていたっけ。クロスオーバー。私はまだプログレッシブ・ロックに夢中のお子チャマちゃまだったので、Stuffの何がいいのかサッパリわからなかった。今でも聴かないけど…。でもこの曲は好きだった。

340続いてDupreeの曲。「How Long Will It Last」。これを聴くとHot Licksの教則ビデオを思い出すな~。メチャクチャ面倒くさそうにギターを弾くDupreeがかえって印象的だった。こうして聴くと実にいい曲だ。

350寺田さんの渋いノドでAmos Garrettの曲他を数曲プレイして2部は終了した。

360…と言いたいところだが、どこまでが本編でどこからがアンコールかわからなくなってしまった!
で、大二さんのツルの一声、「以上で本編が終わりました」と締めくくられ、アンコールと相成った。

J.J.Caleの「Cajun Moon」。
たまたまJ.J.Caleの名前が昨日今日とたて続けに出てきたが、すすんで私が聴くようなタイプの音楽ではないことはMarshall Blogの愛読者の方々は先刻承知だとは思う。その通り。「勉強聴き」の範囲を出ない。
で、それで学んだことは、桑田圭祐ってJ.J.Caleソックリだということ。歌いまわしとかかなり影響を受けていると観た。

365(結果的に)アンコールの2曲目はMuddy Watersの「Got my Mojo Workin'」。
1m_img_0139

…と、みんなで森さんの一日も早い復帰を祈って心を込めて演奏するRepublic Saxophoneなのであった。

370v

390v

400
380v
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年5月11日 西荻窪Terraにて撮影)

2014年6月17日 (火)

SPOCK'S BEARD 初来日公演

「ジャズとロックが合体して、イギリスではプログレッシブ・ロックになり、アメリカではフュージョンになった」とFrank Zappaが言ったとか、言わないとか…

敬愛するFrank Zappaにタテつくつもりは毛頭ない。しかし!確かに「フュージョン」という言葉こそシックリこないが、イギリス人にはこの種の音楽をクリエイトする優秀な「ジャズ・ロック」のグループやアーティストがゴマンといた。
一方、イギリス式のプログレッシブ・ロックを「プログレッシブ・ロック」と定義するならば、アメリカはその手のバンドの層があまりにも薄い。反対にジャズ上がりのフュージョン・ミュージシャンが山ほどいることは間違いない。
だからZappaの言葉は普遍性はそう高くないにしろ、「当らずとも遠からず」ということは言えそうだ。

どうしてアメリカから強力なプログレッシブ・ロック・バンドが出にくいのだろう?
プログレッシブ・ロックの人気が(今は別として)ないかというと全然そうではない。アメリカにもプログレッシブ・ロック・ファンは多い。
アメリカのプログレッシブ・ロック・バンドといったら誰を思い浮かべるだろう?Kansas?
Kansasもイギリス製のそれに比べればポップこの上なく、私なんかには「プログレッシブ・ロック」というイメージは希薄だ。
他は?…Pavlov's Dog? Styxもそうかな?…出てこない。プログレッシブ・ロックを聴くのにわざわざアメリカのバンドなんて探さないからな…。 

そんな中で出会ったのがSpock's Beardだった。
初めて聴いた時は驚いた。やや明るめではあるが、そのサウンドがイギリス製プログレッシブ・ロックに響いたからだ。

Spock's BeardはNealとAlanのMorse兄弟によって1992年ロスで結成された。
その活動は20年以上に及ぶものの、何と今回の公演が初来日というのだから驚く。
会場は長年にわたり来日を待ち望んでいたファンで満席だった。

客電が落ち、薄暗いのステージから送り出されるシンフォニックなキーボード・サウンド!

1sb_img_0142 コレコレコレ、プログレッシブ・ロックはこうでなきゃ!

10_2ボーカル、ギター&キーボードのTed Leonard。

30v_2ギター&ボーカル、Alan Morse。

40v_2ベースはDave Meros。

50v_2ドラムはJimmy Keegan。

60vそしてRyo Okumoto。キーボード、奥本亮さんだ。

70v事前に亮さんにコンタクトを取り、Marshall Blogの取材をお願いしたところ、快くご了承いただいた。
この場をお借りしましてご協力に厚く御礼申し上げます。
210

機材は、というと…
ボーカルのTedはMarshall。

90vJCM900 4100と1960Aのコンビネーション。ガリガリとリード・ギターを弾くワケではないが、バンド・サウンドを分厚くする存在感のあるサウンドを醸し出していた。

100v_2そして、ベースのDaveはEDEN。

110_2WT-800ヘッドとD410XSTキャビが2台ずつという構成。

120vEDENのプレイヤーにはGenesisのMike Rutherfordが名を連ねているが、EDENのピュアでヌケのいいトーンがこうした緻密な音楽にもぴったりマッチするということの証左だろう。

130ドラムをはさんでステージ中央はこういうことになる。

140_2オープニングは「Something Very Strange」。

150_3昨年リリースした最新作『Brief Nocturnes and Dreamless Sleep』の収録曲。

155vコレがその『Brief Nocturnes and Dreamless Sleep』。

Sbcd ものすごく分厚いアンサンブル!とにかく演奏がうまい。もちろん「うまい」なんて言葉は世界を股にかけて活動するバンドに大変失礼だとは思うんだけど、とにかく「うまい」と言いたくなる。
浅草国際劇場で観た初来日のKing Crimsonも演奏のうまさに圧倒されたっけ。そんなイメージ。
20
そして、このAlanを見ればわかるように実に楽しそうに、うれしそうに演奏してくれる。Robert Fripは下向きっぱなしだったけんね。

170vそれとみんな歌が滅法ウマい。
いつか野音でRenaissanceやSteve Hackettの演奏を見ながら岡井大二さんがおっしゃっていたが、「彼らはああして一緒に歌っていると声が似てくるんだよね。だからコーラスがすごくきれいに聞こえるんだ」
まさにそのお言葉通りの美しいコーラス。

180_2Daveは指とピックを曲によって使い分けていた。

190v指だろうがピックだろうが、実にリッチで伸びやかなベースらしいトーンで聴いていて気持ちがいい!EDENの面目躍如といったところか。
2sb_img_0023
聴けばアータ、このお方、1991年にEric BurdonとBrian Augerで結成された「Eric Burdon-Brian Auger Band」のメンバーだったっていうじゃないの!その時の話しを聴きたかったナ。

2sb_img_0048セカンド・アルバムから参加している亮さん。中心人物としてバンドを引っ張っていく!

200_2そして、初の来日公演…実にうれしそうだ。

2sb_img_0156 やっぱり、マルチ・キーボードはプログレッシブ・ロック・バンドのシンボルだね。
ハード・ロックやメタルにMarshallの壁が不可欠であるようにプログレッシブ・ロックにはこの光景がベスト・マッチする!
80_2
開演前楽屋の廊下で、DaveとこのJimmyと3人で雑談をしていると、Jimmyが私のシャツにプリントしてしてあるNATALのロゴを見て「NATAL知ってるよ~」と言ってくれた。High VoltageでThin LizzyのBrian Downeyと一緒になった時に知ったそうだ。「すごくいいドラムだ」とオホメの言葉を頂いたのはうれしかった。
オフステージではすごく気さくなJimmyだが、いったん演奏が始まると「ドラムの鬼神と化す!」といった感じで、気迫のこもったドラミングは素晴らしいのひとこと!

220亮さんから教わった日本語「どないや?!」も大ウケ!

230vアンコールも含めて全11曲。うち5曲が『Brief Nocturnes and Dreamless Sleep』からのチョイス。緩急自在に富んだ素晴らしい演奏だった。
やっぱりさ、うれしいよね。古くはFreeやFacesの山内テツさんや穐吉敏子さんのように孤軍奮闘、日本人が世界的なバンドにメンバーとして参加して活躍するというのは。
しかも亮さんの場合はバンドをリードしている点が輪をかけてすごい。
音楽に国境はないというけど、音楽活動には国境があるのだ。その国境を超えて、相手の土俵で勝負をするのはいまだに至難のワザだ。
数々のキーボードに囲まれて派手なアクションで鍵盤を叩きまくる亮さんの姿に感動を覚えずにはいられない。
近い将来の再来日を期待している。
160
そして、プログレッシブ・ロックという音楽。
いつも書いていることだけど、やっぱり若い人にも聴いてもらいたいナァ。
童謡のような今のロックに耳なじんでいる若い人たちにとってプログレッシブ・ロックを聴くことはおおよそ苦行の類になることは間違いない。でもね、そういうものこそ深く、飽きが来ないのだよ。
イヤ、好きにならなくてもいいから聴いて欲しい。こういう音楽もあるということを知っておいて欲しいのだ。
それでもし好きになればメッケもん!人生がより豊かになる。何もこれはプログレッシブ・ロックに限ったことではない。ジャズでもロックでも少しでもたくさんの音楽を楽しまないともったいないよ!

240_2SPOCK'S BEARDの詳しい情報はコチラ⇒Japan Official site

250 (一部敬称略 2014年5月10日 恵比寿LIQUID ROOMにて撮影)

2014年6月16日 (月)

♪SPICE FIVEはじめました~!

暑い!ああ~、イヤだ。夏はキライだ。夏といえば冷やし中華なんでしょ?
「なんでしょ?」というのは私は冷やし中華を食べないのだ。でも、今日のタイトルは冷やし中華風にしてみた…暑いから。

…といっても昔からMarshall Blogをご覧のみなさまはよくご存じの通り、ナニもSPICE FIVEというバンドが今に始まったワケではなく、休んでいたワケでもない。
以前のMarshall Blogを終了して復活する間も、もちろんずっと絶賛活動中で、休んでいたのはこっちの勝手。
元より大好きなSPICE FIVE、Marshall Blog再開後、早いうちに取材したかったのだが、なかなか都合が合わず今日に至ってしまった。
だから、「♪SPICE FIVE(また)はじめました~」なのだ!

10和佐田達彦

330v_2 そうる透
40v
武藤祐生

30v田川ヒロアキ

50v小川文明…といきたいころだが、文明さんは現在病気療養中で今回はお休み。
文明さん、以前はいつも自分のカメラ(単焦点のコンパクトカメラ!)を持参されて、私を信用して撮影をお願いしてくれた。それがないのか…さびしいな。

55v今やMarshall Blogで初めてSPICE FIVEに接する読者も多いかもしれないので簡単に説明しておくと、このバンドは和佐田さんが中心になって即興で音楽を作る集団だ。
すなわち演奏はその場限りで、再演は不可能。テーマすら即興。ただ調性はあるのでフリー・ジャズやノイズの類ではない。
普通に言えば「行き当たりばったり」、やや持ち上げて言えばElectric Miles。タイトルもその時の和佐田さんの虫の居所で決められるというスリリングな展開!だから本当にリハーサルもなし。
もちろん、こんなことそこいらのにわかミュージシャンにされてはタマったものじゃござんせん。
そこは、山も谷も竜宮城も修羅場も経験した人たちの演奏だからおもしろい。

即興なので、どうしても複雑なコード進行やキメは一切排除される。リズム隊は与えられたリズムをいかに律動させるか、フロント陣はワン・コードの中でどれだけメロディをはじき出すかに集中する…コレがSPICE FIVEの魅力。
2年ぶりのSPICE FIVE…全然変わってなくてうれしかった!

601曲目は「#$%&*」。←曲名がキマっていないということ。
スローのシャッフル。
ヒロアキ君絶妙のクランチ・サウンド!

1s5_img_0049 パワー・コードを用いた武藤さんのバッキングがカッコいい。そのままロングトーンを効果的にちりばめたドラマチックなソロへと突入する。

80見つめ合うリズム隊のふたり。

90今日も完璧なコンビネーション!

100v1曲目終了後、和佐田さんから正式な曲名が発表された。その名も「エデン」。つまりキーが「E」だから。
…ということで和佐田さんが機材を紹介する。

110そう、今日和佐田さんはEDENのWT-800を弾いているのだ。
これがまた信じられないくらい素晴らしいトーン!
「アンプやエフェクターにあまり興味がない」とおっしゃっていた和佐田さん。「コレ、ええわ~」と大絶賛。
驚異的に抜ける美しいトーンと「行く時は行ったらんかい!」的なプレイにも当意即妙に反応するレスポンス具合がマッチしているのであろう。120同時にヒロアキ君のMarshallも解説。今日はJVM210Hと1936。
1936は2x12"だが十分すぎる低音を放出してくれる。
ご覧の通り別売りのキャスターを装着することができるので運搬もラ~クラク。「乗れるんじゃないか?」だって!

ヘッドにマイクを立てて集音しようとした人が昔いたとか…。ヘッドにもアミアミ(フレット・クロスという)が張ってあってスピーカー・キャビネットみたいだからね。気持ちはわからなくもない。子供のころF社のアンプのカタログ見て同じことを思ったことがあるもん。

130v2曲目は「フジヤマ」。そうもうおわかり、キーは「F」。めずらしくメジャーだ。
透さんが叩きだすヘヴィな8ビートで曲は始まる。

140テーマは武藤さん。もちろん即興。
ソロではオート・アルペジオでホール・トーン・スケールを駆使して異様な雰囲気を醸し出す。

150オーッと新兵器!ポケット・サックスというハワイの楽器らしい。ちゃんとリードが付いている。楽器のせいなんだろうけど、恐ろしくピッチが甘く、これが妙な雰囲気でおもしろい
以前からギターのかたわらキーボードを弾くことは珍しくなかったが、最近はベースやらカホンやらこのポケット・サックスまで!これらがまたすべて達人の域だから恐ろしい。
ちなみに和佐田さん、ヒロアキ君がコレを出した時、一瞬「カツオブシ」を出したのかと思ったとか…。
今の若い人、にんべんの削り節が当たり前でカツオブシなんで見たことないんじゃないかね?昔は、「コレ削っといて」とカツオブシと削り器を夕食の前に渡されてコキコキやるのは子供の仕事だった。
そうそう、カラシもそう。今、みんなチューブになっちゃったけど、昔は粉でそこにお湯を少量垂らして猛然とカキ回したもんだ。「カラシは怒ってかく」なんて教えられちゃってね。これも子供の仕事。

160v3曲目は「ゲロゲロ」。
ものスゴイつまらない話なんだけど、皆さんSpiritっていうアメリカのバンドはご存知ですかね?結構隠れファンが多いバンド。
ここの中心人物がRandy Californiaというんだけど、昔、この人はJimi Hendrixとバンドをやっていたことがあった。そのバンドには何とJeff "Skunk" Baxterもいたらしい。
で、バンド内にRandyというヤツが2人いたもんだからふたりを区別するために、芸名としてふ出身地をファミリー・ネームにした。ひとりはドコだか忘れたが、SpiritのRandyがカリフォルニア出身だからRandy Californiaにしたそうだ。
この話し、もし岐阜出身で名前が同じヤツがバンド内に2人いたとするじゃない?ひとりは「高山」さんだよ。で、もうひとりは「ゲロ」さんになるだろうな~…なんてことを即座に思ったね。
ああ、こんなこと書かなきゃよかった!いつもこんあことばかり考えています、ハイ。

170めずらしくジャングル・ビートを取り入れた一編。
MCでは「狼少年ケン」の話しで盛り上がった。コレ、主題歌の作曲は小林亜星だって。いい曲だよね。今でもアニソンは人気があるけど、我々が育ったころのアニメの主題歌は本当にかわいくていい曲が多かった。
子供というのはかなり厳しい芸術評論家で、絵でも寓話でも音楽でも本当にいいものでないと喰いつかない。正直だからね。だから日本の長生きしているアニメは総合芸術として非常にクォリティが高い。
290
一部最後は「アマガエル」だって。スローな8ビート。
「かえるの歌」をマイナーで奏でる。本日初のキメ!
230
バッキングの和佐田さんのスラップが『We Want Miles』の頃のMarcusみたい。
透さんの延々と続くパターンの繰り返しに何となく『In a Silent Way』を聴いている気分になってくる。
エンディングは正調「カエルの歌」だ。

180

2部のオープニングは「ベロベロ」。

200透さんの和太鼓風ドラム。

205武藤さんが「In the Mood」を引用してソロを展開。

210v2曲目は武藤さんのアイデアという3/4拍子のファンク調。これが素晴らしい!

ヒロアキ君、また「笛」を演奏。このバンドではこの楽器は「笛」と呼ばれているようだ。
サングラス、帽子、体にくくり付けた楽器(ヒロアキ君の場合はギター)、クレイジーに吹きまくる姿…ヒロアキ君、完全にRahsaan Roland Kirkになってますから!

待てよ、このまま孝三さんに教わってサーキュレーションもマスターして、本当にソプラノとかソプラニーノとか吹いて、ギターを弾いて鍵盤も叩いたら完全にRahsaan超すぜ。私、真剣に言ってます。
ちなみにRoland Kirkの『The Retuen of the 5000 lb. Man』は我が一生の愛聴盤。それと今でも聴く度に手に汗握っているのは『Mingus at Carnegie Hall』の「C Jam Blues」のソロ。ロック・ファンにも是非一度は聴いてもらいたいジャズの名演のひとつだと思ってる。

260それをニコニコしながら見守る武藤さん。

270v指弾きだけのベース・ソロ。実にスリリング!
この曲、つまり3/4拍子のファンク。和佐田さん曰く演奏している方は「何か足りない。ちゃんと服を着ているけどパンツをはき忘れた感じ」だとか。
聴いている方は全然問題なし。ヴァイオリンが加わっているせいもあるんだろうけど、実にZAOぽっく聴こえた。ZAO好き。
240
3曲目は「出たとこ勝負」。
16ビートのマイナー曲。どちらかというと全曲「出たとこ勝負」という気もするが…。

280この曲はスゴカッタ。
何がってリズム隊のふたり!まずは和佐田さんの壮絶なソロ!クライマックスに達した時のこの和佐田さんのイケイケ感は他の人にないものだ。イヤ、個人的なイメージで社Jeff Berlinに共通項を見いだせるような気がするな~。
EDENの素直なトーンが和佐田さんのプレイに完璧にマッチしていることを確信した瞬間!

300vグイグイと遠慮なくプッシュする透さん!
380v
それに応えて目も覚めるようなランニング・ベースを披露してくれた。ココは今日のハイライトだったね。
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文明さんが欠席の分、和佐田さんにトークの負担がかかるが、全然ヘッチャラ。透さんとオーケストラの話し(指揮者とコンマスの関係)とか映画音楽の仕事の話しとか話題は尽きない。
220v
透さん、『里見八犬伝』が印象に残っているお仕事だとか。映画やCM等、参加した作品は3,000曲に上るという。日本のBernard Perdieだ。歌もメッチャうまいし。

340v

最後は「今日はうまく乗り越えられてよかった」…タイトルじゃないのかな?時々わからない時があったりもする。
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これが「ハード・ボサノバ」!そもそも「ボサノバ」というのは、ハードなサンバをユックリとおとなしく演奏することに意味があるのだが、「そんなの関係ネェ」のぶっちぎりハード・チューン!

360

それでも始めの内はやや大人しめだったが…

350vひとたびヘヴィな8ビートになればこっちのもの(何がだ?!)。ギンギンにメタル化して大いに盛り上がっちまった!
そうそう、下関出身のヒロアキ君。先週山口県知事の謁見して目の前でまた「君が代」をギンギンに弾いちゃったらしい!ドンドンやってまえ!

310

アンコールはお定まりのブルース。なつかしいな~。
キーはB。#が5個。ジャズメンにはまず無理なキー。メジャーのミディアムという設定になった。

390途中で「アッコちゃ~ん」も登場。ちなみに、「♪アッコちゃん来るかと…」のエンディング・テーマは、これも小林亜星作曲。作詞には何と「井上ひさし」の名もクレジットされている。
「アッコちゃん来るかと団地の外れまで出てみたが」…「団地の外れ」だって。そういう時代だったんだね。ものすごく昔の感じがする。
インターネットもスマホも、そんなものなくても間違いなくあの頃の方がいい世の中だった。かく言う私も「スマホはもはやオレの臓器」なんだけどね。

395無事終了~!

4002年ぶりのSPICE FIVE、やっぱりヨカッタ!でもやっぱりさびしいな。小川文明さんの一日も早い復帰をお祈りしています。
文明さん、またカメラ持ってきてください!写真撮りますよ~!

410v(一部敬称略 2014年5月9日 高田馬場音楽室DXにて撮影)