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イベント・レポート Feed

2017年7月 6日 (木)

6弦BEAST☆翔己セミナー

  
6弦の達人、翔己のベース・セミナーのレポート。
イギリス本国に倣い、私も昔は「Marshall Roadshow」と称したMarshallのクリニックをずいぶんやらせて頂いた。
さて、今、私は「セミナー」と「クリニック」という言葉を使った。
恐らく皆さんは、こと音楽関係のイベントを指す場合、これらのふたつの言葉を同じ意味で使っているのではないだろうか?
私も同じだと思っているが、どちらかといえば「クリニック」という言葉を使っている。
双方チャンとした英単語ゆえ「ダブル・ヘッドライナーとツーマン」のようなケースとは異なり、特に言葉の使い分けにこだわりはないのだが、この手のイベントにおいては自分の場合、客席より舞台の上にいる機会の方が圧倒的に多かったので、出演者として「セミナー」なんて言うとチョット偉すぎな感じがしちゃっててね。結果、自然と「クリニック」と呼んでいた。
イギリスの連中はそういうデモンストレーション・タイプの企画のことを「Clinic」と呼んでるかな。少なくとも「Seminar」って言っているのを聞いた記憶がない。
ところで、この二つの言葉、もちろん意味が違う。
意味が違うから言葉が分かれてる。
「セミナー」というのは、その時々の大きなテーマを決めておいて、参加するメンバーでその当該のテーマに基づいたことを研究したり、意見を交換したりするイメージだが、講義の形を取ることも多い。
要するに「ゼミナール」だよね。
私は大学の時、出席が足りず「ゼミ」は単位を落としているので、実際にどうなっているのかを知らない。
一方、「クリニック」は、出席者個人個人が抱えている悩みや問題点を見つけ出し、それぞれのレベルをアップさせることを目的とする会合のイメージ。
だから、Marshall Roadshowは本当は「セミナー」だったんだな。
実はこういうヤツにはもうひとつ「ワークショップ」というのがある。
コレは講師がテーマについて一方的に講義する形式とは異なり、参加者した人が自分から入りこめるような機会を作って参加者した人たちの意見を聞き取りながら進めていく方法。
だから「セミナー」と「クリニック」を合体させたようなものか?
そういえば、アメリカに長く住む日本人が、著名なフィンガーピッカーのギター集中講座に通っていたことを指して、「〇〇のワークショップに参加していた」と表現していたな。
ナンカ「ワークショップ」と聞くと、「実験工房」みたいなイメージが強いんだけどな。
何人かが集まって「アレをやってみようか?」、「こういうのはどうだ?」と研究する感じ?
ま、いいや…。
とにかく今日のイベントは翔己くんのベース・セミナーなのだ。

10ステージにはホワイト・ボードが置いてあっていかにも「セミナー」なムード。

20翔己くんは珍しいツイン・ベースのインストゥルメンタリゼーションで知られるARESZ、並びに新生FEEl SO BADのベーシスト。
6弦ベースがトレードマークだ。

30いつもはこんな感じだけど…

40v今日は真剣な面持ちでセミナーの講師を務めるというワケ。
勉強しには行ったものの、途中で逃げ出してしまったので音楽理論はわからない…という翔己くん。
理論はわからなくても「ツイン・ベースはどうあるべきか」ということについて独自の研究を重ねて来たという。
それが彼独特のベースサウンドであり、奏法であり、フレーズであり…そういったことが実演を交え一時間半にわたって丁寧に語られた。

50vまずはバッキング・トラックを使っての模範演奏。
ARESZのステージで必ず演奏される「我が生き様誉れ」だ。

60この曲の中で使われているテクニックについて解説。
翔己くんのプレイング・スタイルの中でも取り分け人気の高いテクニックであるタッピングがこの曲でもふんだんに使われているが、コレはキーボーズを意識してのことだ。
初めてARESZを聴いた時、すぐにそれがわかったよ、オジちゃんは。
そして、ボーカルズにもギターにももう一本のベースにも負けない音を作らないとただの「落ち着きのないベースの人」になってしまうと思い、10年以上もかかって自分だけのサウンド作りをしてきたという。
ウン、ベースの人って落ち着いて大人しい人が多いからね。
奏法はもちろんのこと、弦高等の楽器の調整にも余念がなかったとのこと。

5img_0006_2 今や翔己くんのトレードマークとなっている6弦ベースだが、いきなり手にしたワケではない。
「バンドにベースが2人いる意味がわからない」と言われ、試行錯誤を繰り返し、ツイン・ベースの意味や効果を追求していくうちに徐々に弦の数が増え、5弦ベースを経て6弦ベースにたどりついたのであった。
何しろアイデア先行で、触ったこともないのに楽器屋さんに6弦ベースをオーダーしちゃったんだって!
弦はステンレス。コレもサウンドを考慮してのチョイスだ。

70そして、音の要であるアンプ。
コレも翔己くんならではの自己流。

80ある時、ベースをギター・アンプで鳴らすことを思いつき、試してみたらその音がスッカリ気に入ってしまった。
音ヌケが格段に良くなったのだそうだ。
そこで、現在はMarshall系とEDEN系の2セットを同時に鳴らすのが翔己くんの正式なバックライン。
エフェクターは使用せずベースとアンプは直結だ。

90これらがアンプ・ヘッド群。

100Marshall系のヘッドは300Wの3530。
3530は1987年にMarshallの創立25周年を記念して発売した25/50 Jubilee Bassシリーズのひとつ。
本来であれば、フロント・パネル左下の「300」の表記の右には「25/50 JUBILEE BASS SERIES MODEL 3530」という銘が入っているハズなのだが、きれいサッパリ消え失せている。
25周年を過ぎてからの製造だったのかしらん?
このあたりのモデルの資料が乏しくて詳しいことがよくわからん。
このヘッドをギター用スピーカー・キャビネット1960Aにつないでいる。

110EDENチームのヘッドはTERRA NOVA TN501とWTP-600とキャビネットはD410XST。
コチラは普通のベース用アンプの組み合わせだ。

120Marshallが歪み系のサウンドを担当し、EDENがクリーン系のサウンドを受け持っていて、両方をミックスするのが翔己くんが行きついたアンプのセッティングだ。

130「試しに…」とそれぞれ単独の音を聴かせてくれてその音色の違いを説明してくれた。
アシスタントはARESZのギターの那都己くん。

140会場の都合などで機材がフルで持ち込めない時はMarshallチームの方だけを使用している。
Billy Sheehanに憧れたという翔己くんらしいベース・サウンドだが、あくまでもオリジナルのトーンだ。

150今度は奏法の解説。

160v特にピッキングについて詳しく説明をしていた。
というのは、人差指、中指、薬指と長さの違う指を使ってどうやって同じ音を出すかという研究をかなりしたのだそうだ。

170とにかく苦労したのが弦をはじく指の順番が変わっても同じ音をキープするということ。
ホワイトボードを使って説明していたが、こうしたバッキングの練習を毎日2時間以上していたのだそうだ。
こういう地味な練習が一番ツライんだよね。
コレを克服できた人が才能のある人。練習できる人が「才能のある人」。
私はまっぴらゴメンだ!つまり才能はないということになる。それでよか。
翔己くん曰く「練習の時はドMになるべし」。

190他にもレ―キングやタッピング等の奏法についても詳しく説明。

200

やはりみんなが気になるのはタッピングのテクニック?
180v
ホワイト・ボードも駆使して熱の入った講義を展開した!

206自分の愛器を持参するお客さんも数人いたし…

250
翔己くんのベースをイジらせてもらうコーナーもあった。
240v
「ホ~、そんなことやってんねや?」とARESZのメンバーさんにも日頃の努力をアッピール?

260そして、模範演奏では「6弦ベースのための超絶技巧曲第一番ロ短調」も披露した

220v
観に来てくれたお客さんが「ベースをやってみようかな…」と思ってもらえるようなセミナーを目標にしていたという翔己くん。
まさにそんな目標を達成したような内容の濃いセミナーだった。
こういうのってイザしゃべり出すと「アレも」、「コレも」ってな具合で止まらなっちゃうモノなんですよ。
翔己くんは時間配分に気を配りながら実にうまくまとめていた。
おもしろかった!

270vさて、コレは先月リリースされたFEEL SO BADの新作『PENTAGON』。
先日の伊藤広規さんの新しいライブ・アルバムが『Tetragon』だったので、このタイトルを聞いた時はチョットびっくりした。
もちろんレコーディングには翔己くんも参加している。
Marshall、NATAL、EDENそろい踏みの作品。
FSBならではの世界をトクと楽しんで頂きたい。

5pg_2 そして翔己くんは明日、『FSB presents "LIVE PENTAGON vol.01 ~TOKYO~"』と銘打ったこのアルバムのレコ発ライブに出演する。
FEEL SO BADの他にもARESZとNAKED MACHINEが登場。
翔己くんはFSBとARESZの2バンドで登板する。
場所はココと同じ吉祥寺CRESCENDO。
お見逃しなく!

   
ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official web site of ARESZ
FEEL SO BADの詳しい情報はコチラ⇒Official facebook

280(一部敬称略 2017年5月22日 吉祥寺CRESCENDOにて撮影)

2017年3月21日 (火)

Marshall Japan Reception 2017

先週、Marshall社の社長ジョナサン・エラリーが来日した。
ジョンの来日は昨年のMarshall GALA以来でちょうど1年ぶりのこと。
そこで、『Marshall Japan Reception 2017』と称し、3年ぶりとなるジョンを囲んでの会食を企画した。
会場は前回に引き続いてのHard Rock Cafe。今回は上野駅店さんにお世話になった。
10vご出席頂いたのは日ごろよりMarshall、NATAL、EDENのMarshall製品をご愛用頂いているアーティストの皆さま。

20乾杯はMarshall GALAでトリを務めて頂いた岡井大二さん。
横に座って楽しそうにジョンとBrian Pooleの話をされていた。
Brian Poole&The Tremeloesは1962年のDECCAのオーディションでThe Beatlesに勝ったチーム。
Marshallの工場があるミルトン・キーンズに住むBrianとジョンは大の仲良し…という記事をMarshall Blogに掲載したことがあって、大二さんはそれを読んで下さっていたのだ。
  
その記事はコチラ⇒【Marshall Blog】 ビートルズに勝った男

30ヒロアキくんもジョンとはGALA以来の再会。

40この日、唯一のベーシストだった山本征史さんと。
もちろんEDENアーティストに声をかけなかったワケではなくて、ベーシストの方々、ナゼかタマタマ全員先約があって全滅だったのよ。

50シンガーもご出席。
クルベラブリンカの赤尾和重さんは大阪から駆けつけてくださった。
え?シンガーはMarshallもNATALも使わないじゃないか!って?
和重さんは声が1959みたいなもんだし、彼女のバンドはMarshall、NATAL、EDENだから。その三つのブランドはクルベラブリンカの音楽に不可欠なのです。使っているも同然。
それに和重さんはNATALの潜在アーティストなのだ!…パーカッションね。

60ジョンがニンマリしているのは…

70vコレ…。
お誕生日なのではなくて、お店からのスイーツの差し入れ。

80バーニーとの変則ツーショット。

85NAKED MACHINEからはMarshallのゲンちゃんとNATALの達也くん…とくればKANちゃんにも出席してもらわなきゃ!みんなMarshallファミリーの一員だ!

90ココはNATALチーム。
他のNATALアーティスト何人にも声をかけたんだけど、どうしても皆さん都合がつかなかった。
大二さんからグッドモーニングアメリカのペギちゃんまで、振り幅広し!

100若手の皆さんもガッチリとツーショット。
Ron Ron Necordsのタジーちゃん。

110Fury of Fearの守くん。
GALAのTシャツありがとう!

120TORNADO-GRENADOの雄太くん。

130バーニーと和重さん、感動の再会!
「今年は何か一緒にやろう!」ということになっているらしい。楽しみ!

140ジャズ方面からは関ちゃんが参加してくれた。
コレは珍しいツーショット!
ジャズ界にもバーニー・ケッセルという偉人がおりますな。

150ジョンとのツーショット写真がない方や最初の集合写真に写っていない方々もいらっしゃるけど、何しろ盛り上がって、結局閉店まで大騒ぎ!ということになってしまった!
  
この場をお借りしまして、Hard Rock Cafeさんのご厚意に心から感謝申し上げます。
お返しと言っては何だけど…Hard Rock Cafeさん主催のバンド・コンテストを紹介しておこう。
★世界規模のバンドコンテスト★Hard Rock RISING BATTKE of the BANDS

私、以前はこのコンテストの予選の審査員をさせてもらったこともあったんよ。
最後まで勝ち抜くとマイアミで開催されるNFLの試合のハーフタイム・ショウで演奏させてもらえるんだって!
マイアミ・ドルフィンズの前で演奏するなんてスゴイ!
  
Hard Rock Cafeさんと私の関係はコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】 vol.26~ハイド・パークのカドッコで

155さて、今回の社長の来日はパーティで楽しく騒ぐことの他にもうひとつ重要な目的があった。
それはMarshallの日本の事務所の視察。
ま、「事務所」ったって、「私の居場所」っていうだけのものなんだけどね…。
Marshallに直にお世話になることになってカレコレ5年が経った。
その一番最初の頃、NAMMに呼ばれ、アジア地区のディストリビューターに紹介してもらったことがあった。
その時、韓国のディストリビューターの人に「事務所はどこなの?」と訊かれ、「イヤ、そういうのは特になくて、自宅で仕事をするんだよ」と答えると、「それじゃプライベートの時間や空間がなくなっちゃうじゃないか!」とものすごく驚かれた。
大好きなMarshallだもん、その時はそんなこと問題とは何ら思わなかったんだけど、やっているウチになるほど…その彼が言うように、本当に24時間営業になってしまったのですわ!
朝起きてから本当に寝る直前までPCの前に座りっぱなし。
朝、床から出るとその足でPCの電源を入れる。PCの電源を消して、トイレを経由してそのまま床に入る…って感じ?
ヘタをすると寝ている間も、Marshall Blogのいいアイデアが浮かぶと床から這い出てPCの前に座ったりなんてこともザラになってしまった。
大したことはゼンゼンやっていないのはわかっているし、同じような環境の人は数えきれないほどいることもわかっている。
だけど、コレはさすがにチョット…ということで、ごく簡単な事務所らしきものを構えて仕事とプライベートを分断させてもらうことにした。
で、イザ事務所を構えてみたらそっちの居心地がスッカリよくなっちゃって、結局同じだったりして!

160事務所のシンボルはコレ。
1959SLPと1960BXのウォール・マウント。
コレは悩んだ。
「何か事務所のシンボルになるもようなものはないかしらん?」と思いつき、このウォール・マウントを取り付けよう!というアイデアまでは一瞬だった。
ヘッドを1959にするのもすぐに決まった。
ところが、このキャビネットに入れる絵柄に困ってしまったのよ~。
やっぱりJim Marshallのポートレイトは入れたいでしょ?しかも笑っているヤツが望ましい。
色々と写真を引っ張り出してきて、いくつかアイデアをイギリスに提示して実際にCGでモックを作ってもらったんだけど、イザこのフレームに入れてみると、どうしてもどれもシックリ来ない。
ジョンと何回もやりとりしているウチに思いついたのがこの『Father of Loud』の表紙の写真。
写真の転用ができるか心配だったけどマンマとOK。
どうすか?
やや若き日のJim。
事務所に遊びに来てくれたアーティストにこのJimと記念撮影をしてもらおうという算段だ。

170vちなみに元はコレ。
CGもPhotoshopもない時代、ロンドンのハマースミス・オデオンに本物の1960Bを持ち込み、足場を組んで積み上げた巨大なMarshallの壁の前のJim。
そのキャビネットの数たるや160を超えたという。
よ~やるわ~!

1_img_0081 本社工場の写真も当然飾ってあるよ。

165ジョンとジム。
靴を脱がないで土足のままズイズイ入って行っちゃったので慌てた。
ジムの視線がいいね。
それにしてもジョン、デカいな~。

180古民家の一室なので、Marshallがズラリと並んで試奏OK…なんて設備はまったくないけど、音楽には満ち溢れているよん。
CODEでギターを弾くこともできるし、WOBURNやSTOCKWELLで一日中音楽を鳴らしている。
爆音が出せる設備の代わりに、ロック、ジャズ、クラシック、民族音楽までをカバーした音源やMarshallに関する資料、音楽に関する書籍を取り揃えた。
訪れてくれたアーティストの方がッと音楽やMarshallの話をするのをとても楽しみにしているし、
世間ではほとんど聴くチャンスがない古い音楽や変な音楽に興味のある若いミュージシャンを集めて「昔のロックはこんなにおもしろかったを実感する会」や「ロックじゃない『ロック』な音楽を研究する会」なんてのを開いて、ロックの延命を図りたいなんて思っている。

190カギはここ!

200

それと我が写真のポートフォリオ。

210vこちらは本家の壁。

215

コレをイメージしたんだけど、さすがに似ても似つかないな、コリャ!

216以上が事務所。
ジョンもとても気に入ってくれた。
  
…と、話ははじめに戻って、パーティでは最後に私も混ぜてもらって一枚。
在京の方だけでなく、本当はMarshall、EDEN、NATALをドップリご愛用頂いているアーティスト、すなわちMarshallファミリーの皆さま全員をお誘いしたいしたいところなんだけど、会場の都合などもあってさすがにそういうワケにもいかないのが残念至極。
でも、この会はずっと続けていくつもりですから!
      
ところで、ジョンから言われてハッと気がついたんだけど、あと5年経って2022年になると、Marshallは60周年を迎えるんだよね。
エリザベス女王は2012年に在位60周年を迎え、「Diamond Jubilee」という国家的記念イベントを開催した。
さて、Marshallはナニをやるでしょう?
今は秘密。
5年なんてアッという間だよ。

220

(一部敬称略 パーティ写真:2017年3月16日 Hard Rock Cafe 上野駅店にて撮影)

2017年2月 1日 (水)

Marshallスクールへようこそ!

学校の先生という職業に就いている人は、ご両親とも、あるいはご両親のどちらかが教職についているケースが多い。
私が勝手にそう思っているだけかも知れないけど…。
ウチは父方7人兄弟、母方8人兄弟と合わせれば結構マッシブなファミリーなんだけど、とにかく親戚にだ~れもいないな。見事にひとりもいない。
医者か外交官か指揮者、後はパイロットかスパイばかり…んなワケない!大工とコックばっかりよ!
きっと勉強がキライな家系なんだろう。
したがって、私も「教師」という職業とはなんの縁もなくて当然だし、おおよそガラでもない。
しかし、教科がMarshallとなれば話は別だ。
誰かに説明して「Marshall」というブランドに身近になってもらうことは、大変やり甲斐のある好きな仕事のひとつだ。
以前にいた会社では新入社員や楽器店の皆さんを相手にずいぶんMarshallやギター・アンプの講師をさせていただいたものだが、今のポジションなってからはトンと遠ざかっていた。
それが、一昨日、久しぶりに教壇に上がらせて頂いたのだ。
うれしかった。
ナニせ好きな仕事だからね。
会場は、文京区は本郷の尚美ミュージックカレッジ専門学校さん。
ギター科の生徒さんを中心にベースやドラムを学ぶ生徒さんにも集まって頂き、「スペシャル・セミナー」という格好で教鞭をとらせて頂いた。
しかし、スゴイですよ。
素晴らしい設備で、Marshallももちろんバッチリそろってる。
生徒さんも皆さん快闊で礼儀正しく、スレちがうとみんな明るく「こんにちは!」と声をかけてくれる。
こういうところでわかるよね~。
10今日の仕掛け人はこの人。
Marshall BlogではおなじみのTORNADO-GRENADOのギタリスト、真壁雄太くん。
雄太くんはこの学校の(優秀な)OBなのであ~る!
  
「教鞭を取った」なんて言ってもそんな堅苦しいものではまったくなくて、パワー・ポイントを使ってMarshallや音楽やアンプに知識についておしゃべりさせて頂く趣向。
イザやりだすと凝っちゃうからね~。一週間以上かけて150枚にも及ぶスライドを用意したよ。
もちろん、予行演習もした。
生徒役は当然私の家内。
かわいそうに…眠い目をこすりながら付き合ってもらった。

15授業は、まずは自分のことを知ってもらうことからスタートさせた。
自己紹介と一種の自慢話ですな。最初にハッタリかましておかんとマズイからね。
Marshallに勤めるようになったキッカケ、今の仕事の内容、Marshall Blogのこと、Marshallの本を書いたこと…。
そういえばMarshall Blogを見てる生徒さん、少なかったな~。若い人の読者をもっと増やしたいんだよな~。
そして、写真の仕事をしていることにも触れた。
何枚か自分が撮った写真をスライドにしておいたのだが、ハタと思いついてある写真を忍び込ませておいた。

22その写真とはコレ。
そしたらビックリ!
だって何も知らせていないのに、本物が教室に現れたんだもん!
つまりてらちんが偶然補講の仕事で登校していたのだ。
「スペシャル生徒」さんとして、少しだけ私の講義を受けて頂いた。

Mm そして、1時間目は現在のMarshall社についての紹介。
30a
NATALやEDENについてもしゃべらせて頂いた。
50a
さらにHEADPHONESやEYEWEAR、冷蔵庫やLONDON等のライフスタイル商品のことも紹介。

40しかし、もっとニコニコしてしゃべれんもんかね~。
気をつけようと思っていたのに真剣になってつい忘れちまった!
とにかく聞き手を飽きさせないように、飽きさせないように…久しぶりなもんで必死でございます。

40a2時間目はMarshallの歴史。
Marshallの歴史はJim Marshallの歴史。
コレを説明をおもしろく聴いてもらうには、どうしてもある程度の洋楽の知識が必要なのね。
そこで受講者に洋楽を聴いている人がどれぐらいいるが尋ねてみたら、やっぱり手を挙げたのは1人だけだった。
イヤ、恥ずかしがって手を上げにくかった人も中にはいるかもしれない。
とにかく、若い人たちにMarshallの歴史の話をするときはいつもココが大きなネックになるんよ。
今の若い子たちはピート・タウンゼンドだのリッチー・ブラックモアだのと言ったところでピンと来ないからね。

70v_2
でも、みなさんとっても熱心に私の話を聞いてくれてうれしかった。

50当然初代JTM45も登場。

80aJCM800の発売時の話や、マイナーな商品、隠れたベストセラーなども紹介させて頂いた。

90そして、3時間目。
コレは実は初めての試み。
みんなでイギリスへ行って来た!

100つまりヴァーチャル工場見学ね。
大変だったけど、スライドを作っている時は楽しかった。
実際にもう何回工場見学したかな~。

110休憩をはさんで4時間目。
実はチョット時間が足りなくなって来ちゃってね。
少し早口の説明になっちゃったけど、ギター・アンプやスピーカー・キャビネットの基礎知識のようなちょっと技術的なことについてお話させて頂いた。

140実際に分解した真空管を見てもらったり…

150スピーカーの中身を見て仕組みを説明したり。

160

コレのために実機を近所の鉄工所に持ち込んでフレームを切ってもらった。

170v

真空管のところでは、Apple社とアラン・チューリング、Marshallの関係についても脱線させて頂いた。

130

当然そこでCODEが登場するところだったんだけど、今回は諸般の事情によりカット。

120

当然この時とばかりに、いつもMarshall Blogでやってる日本と海外の音楽用語の違いについてもシッカリやらせてもらった。
出るよね~、当然「ツーマン」についても触れた。
みんな何てうるさいージジイだと思ったろうナァ。

1805時間目はデモンストレーション
雄太くんにお願いして歴代のMarshallを弾き比べてもらった。

1901959SLP、4100、JVM等、歴史と特徴を説明しながら実際の音を聴いてみようという内容。

195そして、放課後。
自慢のSilver Jubileeを使って雄太くんにミニ・ライブをお願いした。

215雄太くんは、この日のためにバッキング・トラックを作って3曲用意してきてくれた。
事前に打ち合わせを何度かしたのだが、その都度「あ~、ナニを弾こうかな~!」とうれしそうに悩むので、「自分の音楽を後輩に聴かせてあげなさい」とアドヴァイスさせてもらった。
披露した曲はすべて雄太くんのオリジナル曲だ。

2301曲目は「APOCALYPSE」。
以前、ギタリスト3人が集まってライブをする機会があり、そのために作った曲だそうだ。
もう今のシュレッダー・ミュージック丸出しのドライビング・チューン。
210
続いては「Eceed」。
学生時代に初めて作った曲にして初のインスト曲。
当時の演奏レベルで「ムズカシイ~!」と思っていたテクニカルな要素をすべてつぎ込みシュラプネル系を意識して作ったという快作!

240写真のクレジットをご覧になればおわかりのように、この日、雄太くんの先輩お二方にすべての写真撮影をお願いした。
私の出番はなし。
まさか講義中に自撮り棒で自分を撮ったりはできないからね!
翌日の電話での雄太くんの言葉…「いつもは写真の撮影に忙しい牛澤さんに昨日はジックリとボクのプレイを観て頂けてうれしかったです!」
イヤイヤ、そんなそんな、大したもんではござんせん。
でも、2555Xらしさがとてもよく出ていた素晴らしいプレイだと思った。
曲もとってもヨカッタよ~!
いかにも今の子風のギター音楽だ。60年近く時間をさかのぼればThe Venturesということになる。
よくマーブロに「TORNADO-GRENADOのいいところはトラディショナルなロックの要素と今の若い人の感性のバランスがうまく取れていることだ」と書いているが、雄太くんはウチに来るたびに私が好んで聴くような音楽を吸収して帰っていく。
ハチャトゥリアンの「ヴァイオリン協奏曲」も聴かせた翌日にはもうゲットしていたようだ。
さすがにストレート・アヘッドなジャズにはあまり興味を示さないけど。
それが彼の曲にどう影響を与えたのかはわからないが、若い人たちにはゼヒともそういうことをしてもらいたいんだよね。

250MCでは「こんなハッピーな日に、演奏できて最高にハッピーです!」と言ってくれた。
イエイエ、こちらこそハッピーですよ!
最後の曲は「Wisteria」。

260v「ハッピーな日」にふさわしく、ポジティブでメロディアスな曲を作ろうと思って書き下ろしてくれたとのこと。
「wisteria」とは「藤」。花言葉は「至福の時」だ。
そこからタイトルをつけたそうだが、顔に似合わずめっちゃロマンチストやんけ!
ま、ミュージシャンはロマンチストかナルシストか、「オレがオレが」じゃなきゃとても大成せんよ。
そして、ナント!
この3曲を含め、今年中にインストのソロ・ミニアルバムをリリースする予定だそうだ。
ガンバレ真壁雄太!
真壁…まーかべ…マー壁…ナニせ名前がマーシャルの壁だからね。期待しています。

270こうして3時間チョットに及ぶ講義を終了させて頂いた。
ご静聴頂いた生徒の皆さん、どうもありがとうございました。
  
そうそう、下の写真でマイクを持っていらっしゃる轟先生。
私が以前勤めていた会社で長期にわたり赴任していた先とご出身が同じで、開講前にふたりだけで超ローカルな話題で盛り上がってしまった!
その轟先生、オープニングのごあいさつで生徒さんと「マーシャル!」のコール&レスポンスをされたのでビックリ!
「アンプは?」と訊くと?
「マーシャル!」と答えてもらうヤツね。
Marshall GALAでもやったけど、それってMarshall RoadshowやMarshallの講義でいつも私がやってるヤツなんだもん。
それゆえ、今回私は最後までそれをやりませんでした。

280a最後に先生とお手伝いをしてくれたみんなで記念撮影。
  
先生方、大変お世話になりました。
この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
  
また、お手伝いしてくれたオレの友達!
どうもありがとう!
余談だけど…この写真で私の隣に立っている「メランコリック写楽」というバンドのドラマーの拳章(ケンショウ)くん、私の家に来た時、冗談で聴かせたThe ShaggsとFrank Zappaにハマってしまい今CDを探しているとか。
若い連中だっていい音楽を聴きたいのだ!(The Shaggsはかなり好みの別れるところなので普通の人は要注意)

尚美ミュージックカレッジ専門学校の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

400そして最後に…雄太くん、どうもありがとう!
益々のご活躍をお祈り申し上げています。
CODE持って来いよ!

TORNADO-GRENADOの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site


そして末筆ながら、写真を撮ってくれた永倉くん、卓也くん、長い時間どうもありがとうございました!

9_img_33142 (一部敬称略 2017年1月30日 尚美ミュージックカレッジ専門学校にて撮影 ※写真提供:永倉航介氏、高橋卓也氏)

2017年1月16日 (月)

あなたの知らない世界~ポタフェスからWOBURNまで

少年マガジンで『うしろの百太郎』の連載が始まった時私は小学校5年生だったろうか?
連載の1回目の扉にどこかの建物の門柱の前にオカッパ頭の女の子がハッキリ写っている写真が掲載されていて、それが幽霊だということを知ってチビりそうになった。
CGなんてない時代だよ。
その時から「お化けの写真」と呼ばれていたモノが、「心霊写真」という名前に取って代わったのではなかろうか?
子供だったせいもあってか、そもそも「心霊」なんて言葉はそれ以前には耳にしたことがなかったので妙に怖い感じがしたな。
それから心霊写真ブームが起こって、御多分に漏れず私も一番最初の写真集を買ったような気がする。
テレビでもそうした科学の力では説明しにくいような心霊系の事象を扱ったプログラムが盛んに出始めた。その老舗のひとつが昼のワイドショーでやっていた『あなたの知らない世界』というヤツ。
ほとんど見た記憶はないのだが、夏休みなど学校が休みの時に目にしてコワがっていたような気もする。
今日はMarshall Blogがその「あなたの知らない世界」へご招待しよう…と言っても、別にコワイ世界ではない。
しかも、知らないのは「私」だけで、「あなた」はよくご存じの世界かもしれない。
それでは…。
コレがその私の知らなかった世界への入口。

10「ポタフェス」である。
初めて聞いたときは何となく「おせんべいの祭典」かなんかかと思った。コレ、結構マジ。
ただ「おばあちゃんのぽたぽた焼き」が頭にあっただけなんだけどね。
「ポタフェス」とは「ポータブル・オーディオ・フェスティバル」の略。

20それがどんなものであるかは今の時点では「ポータブル・オーディオ機器専門の展示会」としか言いようがないのだが、今回が2回目で、2日間の会期でナ、ナント59,000人が訪れたという。

30会場は秋葉原。
D_DriveのYukiちゃんとダイノジが5年前(早い!)に「Rocksmith」というギターのゲームのデモンストレーションを演ったところだわ。
YukiちゃんがMegadethの曲を弾いたんだよね。
Yuki_img_1353
そして、私は自分が知らない世界を見た。
最初に書いた通り、正確に言うと「自分だけが知らなかったかもしれない世界」かな。

40この展示、ほとんどがヘッドホン本体並びにその周辺機器なの。

50もうそのあたりのアイテムが信じられないぐらいたくさん並んでいる。

70失礼ながらヘッドホンのブランドがこれほどイッパイあるとは夢にも思わなんだよ!

210

それだけじゃない、ヘッドホン・アンプってのがこんなに盛んだなんて全く知らなかった。
ほとんどのヘッドホン・メーカーがヘッドホン・アンプを併売しているのだ。

220

ケーブル、プラグ、イヤーパッド等のアクセサリー類の充実具合がまたスゴイ。
ヘッドホンに関するありとあらゆるアイテムがテンコ盛りなのだ。
それにしても、ヘッドホンをカスタマイズする時代が来るなんて夢にも思わなんだナァ。
言っておきますが、コレ、音楽をかける装置の展示はほとんどないのよ。ひたすら聴く方のアイテムばっかり。
ご来場の皆様は熱心に商品を眺めてテストに大忙しだ。

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以前にもMarshall Blogで何度か触れたことがあるが、私が中学性の頃…アレは一種の流行だったのか、はたまたステレオが一般的な家電として扱われていた時代だったのか、今となってはわからないが、各家電メーカーがオリジナルのステレオのブランドを擁立して、プレイヤーからスピーカーまで盛んに販売合戦が繰り広げられていた。
そもそも、今「ステレオ」なんて言葉も死語かな?いつのまにか「オーディオ」という言葉が当たり前になった。
アレは以前、大抵の家庭にあったレシーバーが入った仏壇のような大きなステレオ・コンソール(たいていビクターだったような気がする)の需要が下火になり、「コンポーネント・ステレオ」という自分で好きなブランドの音響機器を組み合わせるスタイルに変わる瞬間だったのかも知れない。
40年以上前の話だ。
その時分14~15歳の私は、お小遣い+親の援助でステレオ一式を買い揃えたが、その時のプレーヤーとスピーカーは今も使っている。
それから数年してキラ星のごとくウォークマンが登場した。
この時は本当にビックリした。
それ以前にも「カッパ・サイズ」なんていう新書と同じ大きさの小型カセット・レコーダーというものはあったが、それは機器を小さくすることに重点を置いた、会議等の内容の録音を目的を主にした商品で音質はほとんど無視され、「音楽を聴く」ための機器ではなかった。もちろんモノラル。
それが、この初代ウォークマンが発売されてからというもの、音楽を外に持ち出せるようになった。
「歩きながら」あるいは「電車の中で」または「家の中のステレオのない場所で」自分の好きな音楽が楽しめるようになった瞬間であり、生活の中での音楽の位置が大きく変わることとなった。
そもそも「外で音楽を聴く」なんて発想自体がなかったので、洗濯機や冷蔵庫のようにそれまでの生活を変えてしまうような大発明だったんですよ。
その前に「Lカセット」で思いっきりしくじったソニーの会心の一撃でもあった。
この黄色いボタン、なつかしいね。
このボタンを押すとヘッドホンの音量がミュートされで、内蔵マイクが外の音を拾ってヘッドホンから流してくれるんだよね。
まだ外で音楽を聴くことに慣れていない民衆は、ヘッドホンから音が出ている間、自分の声がモニタリングできないため、無意識のうちに大声でしゃべってしまったものだった。その対策がこの黄色いボタンだったというワケ。
私も生涯この手の商品を一体何個買ったかナァ?
いつも使うのですぐに壊れてしまうのだ。
その後、本体は小型化が進み、ヘッドホンがイヤホンになり…CDウォークマンやらMDタイプやらが登場し、現在のようなデジタル製品に変遷を重ねた…というのが大ざっぱな歴史かな?
それがポタフェスに連綿とつながっておる。

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実は、私にとってはこのポタフェスは結構衝撃的だったのよ。
わかってはいたものの、従来のオーディオ機器が完全に駆逐されたという現実を再確認したような気になったことが理由のひとつ。
それと、こうした再生機器の変化が音楽そのものを変えてしまっていることを改めて確信したから。
230
どういうことかというと…今度は音楽制作サイドの話ね…ミュージシャンはレコーディングする時、消費者がどういう再生機器を使用して自分たちの音楽を聴いてもらうかということを考える。
レコーディング時にスタジオの高級スピーカーでプレイバックを聴いたとき、それが絶世の音質であったとしても、実際にお金を出して音楽を楽しむ人たちは、スタジオ・クォリティのスピーカーでそれを聴くことはまずあり得ない。
すると、自分たちの作った音楽が自分たちの理想とはまったく違う状態で聴いているという事態が発生する。
それは、例えばキーが変わっちゃうとか、ギター・ソロの長さが変わっちゃう、なんてことはないんですよ。
ベースやバスドラムの音が小さくなってしまったり、ボーカルの聞こえが悪かったり…とかいう風に音楽のイメージがガラリと変わってしまうということね。
コレは作り手にとっては致命傷だ。
丹精込めて作って演奏した自分の音楽が、大ゲサに言えば自分のイメージとは異なる作品として聴かれるワケだから。
そこで今のミュージシャンは、いいヘッドホンからチープなイヤホン、あるいはカーステレオとあらゆる再生装置が使用されるケースを想定して、納得のいく範囲内の最大公約数的な音質を選んでいるのだ。
「そんなの当たり前だろ」って?
イヤイヤ、昔はステレオで音楽を聴いていたもんですよ。ステレオとはレコードを回して音楽を聴くための装置なんだから。だからそれを想定した音決めをすれば、それで済んだ。
ところが今は違う。
逆にステレオで聴かれることはもう想定していないというのだ。
235
ある仲良しのミュージシャンから聞いた話では、今、音楽の聴き方でもっともスタンダードな環境は、コンピュータにダウンロードした曲やiTunesに入っている曲をPC用のスピーカーで鳴らすケースなのだそうだ。
あのスピーカーもピンからキリまであるんだろうけど、ああした小さいスピーカーで聴いているのが普通なのだそうだ。
絶句…。
私は幸運にして真空管のアンプと最上スピーカーでオリジナル・プレスのレコードを聴かせて頂くという幸運に恵まれたことがあるが、あまりの臨場感に腰を抜かしそうになった。
目を閉じれば、本当にそこでバンドが演奏しているかのような生々しい迫力なのだ。
音楽好きにとっては、アレはもっとも贅沢な趣味だね。それだけに楽器など比べ物にならないぐらい金がかかる。平気でケタがひとつ違う。
ミュージシャだってできればそうい環境で自分の音楽を聴いてもらいたいと思っているだろうな~。だから「イヤホンやヘッドホンで聴く音楽」と音楽のあり方も変わってしまったワケですよ。
もっとも、いわゆる「ステレオ」という音響機器がこの世からスッカリなくなってしまい、本当にイヤホンやPCのスピーカーでしか音楽が聴かれなくなればもうそんなこと関係なくなっちゃうんだけどね…そんな近未来を実際に見たような気がして衝撃的だったのです。

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で、なんでMarshallのオッサンがそんな展示会に来ているのかというと…あ、バレちゃった!

80Marshall HEADPHONESの輸入販売代理店のNAVYSさんが出展していたからなのだ!

90目立つな、~三段積み。
皆さん、コレがMarshallの三段積みですよ~。「アンプ・ヘッド+上のキャビネット+下のキャビネット」、上から1、2、3で「三段積み」ね。
最近、この数え方も不確かなミュージシャンや機材屋さんのスタッフが出てきたからね。「ロックは遠くになりにけり」…なんて言っちゃいられない!スタックもがんばらないと!

100Marshallのヘッドホンを試しに見えた若いお客さんとスタッフの会話を少しの間そばで聞かせて頂いた。
そして、スタッフの商品説明の間隙を縫ってつい口をはさんでしまった。
「お客さん、やっぱりギターをやっていらっしゃるんですか?」
「あ、イエ、特に…」
「アレ?それじゃまたどうしてMarshallのヘッドホンにご興味を?」
「あ、イエ、普通に…」
「ロゴがカッコいいとか?」
「あ、イエ、何となく…」
「ん~、あの~、もしかしてMarshallってブランドってご存知ないとか…」
「あ、イエ、普通に知らないッス」
「じゃ、今初めて知ったとか?」
「あ、イエ、普通にそうです」
「ありがとうございます!」…ま、ココは「普通じゃないですよ!」なんて言いたいところだけど、若い人は仕方ないね…。
逆にMarshallというブランドを知らないのにこのスクリプト・ロゴを見て興味を持ってくれるなんてうれしいね!
何かMarshallというブランドの時代を超えた底知れぬパワーを感じるよ。
初めてMarshallというものを知ってから40年以上経つけど、我ながら今でもカッコいいと思うもんな~。

110v展示の主役は当然ヘッドホンたち。

120それに人気のBluetoothスピーカーたち。
最近、あるギタリストにこの写真のKILBURNをお買い上げ頂いた。
どうやってお使いなのか伺ったところ、Bluethoothを利用してパソコンから電波(でいいの?)を飛ばしてパソコンのない部屋で音楽を楽しんでいらっしゃるとか…なるほど。
音もルックスも最高!と大変よろこんで頂いている。

130スピーカーは人気も高いため軽量級のKILBURNからヘヴィ級のWOBURNまで展示されていた。

140Marshall HEADPHONESの輸入販売代理店NAVYSさんではこんなヘッドホンも取り扱っている。
カラフル~!
以前はこういうモノは「黒」と相場がキマっていたんだけどね~。

160もうちょっとポタフェスを味わってみましょうか?
ちなみに入場料はロハです。

170ヘッドホン関連のアイテム以外で異彩を放っていたのがコレ。
6L6GCを使って組み立てるオーディオ・アンプ・キット。私がEL34だの5881だのKT66だのECC83の名前を出したら係りの人がビックリしてた。
いつかは真空管のアンプにデカいスピーカーでゆったりを音楽を楽しみたいものだ。
早速挑戦してみようかとも思ったが、ハンダゴテを使えない人は作れないというので諦めた。
私、イモハンダの王者ですので。

180会場の入り口にはこんなアトラクションンも。
人気アニメの「ラブライブ!」のアトラクション。

190よく知ってるでしょう?
何とならば主人公、高坂穂乃果の声を演じているのは新田恵海ちゃん。
その恵海ちゃんのコンサートを二度ほどMarshall Bogでレポートしてるんだよ。

200_2なぜなら、恵海ちゃんのバンドのドラマー、ショボンちゃんはNATALプレイヤーだからなのだ!

3120_こんなモノも。
コレは我々世代ではカートリッジ・メーカーでおなじみのオルトフォン社製。
やっぱりイヤホンなんかを製造して世の荒波を乗り切っているようだ。

250以上でポタフェス終わり。
さて、この度、Marshall HEADHONESのBuetoothヘッドホンがいよいよ日本に上陸するそうだ。
もうヘッドホンもすっかりワイアレスの時代なのね。
MAJOR IIはブラック、ブラウン、ホワイトの3タイプが用意されるそうだ。

M22 Marshall HEADPHONESの詳しい情報はコチラ⇒NAVYS公式ウェブサイト

150v

今日はこの後もう少しMarshall HEADPHONES商品をご紹介させて頂きますよ。
ナ~ンだ、コレ?

260表には1959や1960Xに使用されているレヴァント・カバリングにゴールドのMarshallエンブレム。

270ペロリンと開けると麻雀牌のケース!
じゃなくて充電式BluetoothスピーカーのSTOCKWELL。

280要するに今、STOCKWELLのケースを紹介している。
Marshallロゴをギューギュー押し付けないようにフタの裏側がへっこんでいる…という気の配りよう!

290ケースにはツメは二個付いていて…

300STOCKWELLの背面の凹みにそのツメを入れる。
ツメが付いている板の中には磁石が仕込んであって、ペロンとケースがSTOCKWELLにくっつくようになっている。
この「ペロン」が気持ちいい。

310そして、フタをたたむとこの通り…STOCKWELLのスタンドになるというワケ。

320こんな感じね。

330しっかり立ってる。

340…というのもコレ。
最初に紹介した金のMarshallエンブレム。

350SROCKWELL本体がこのエンブレムにひっかかってズルと滑らないようになっているのさ。

360Marshall GALAの時もチョイとした小芝居つきで紹介したけど、もうね、私、このSTOCKWELL大好きなの。
見た目よりズッシリくる。それがまた高級感を醸し出していていいんだな~。
このケースに収めてからというものますます好きになった。

370昔、何かのテレビCMに「好きなものに囲まれて生活するよろこび」なんてキャッチがあったような気がするんだけど、STOCKWELLに加えてまた「好きなもの」が!

380上でチョコっと触れたBluetoothスピーカーの最大機種、「WOBURN」。
MS-2と比べるとこんな大きさだよ。

390いつかも書いたけどWOBURNはMarshallの工場があるBletchleyの隣の町の名前。
Marshall HEADPHONESの商品にはその肝心のBletchleyという名前を冠した商品がない。
不思議に思って社長に尋ねたところ、「’ブレッチリー’という言葉はアメリカ人には発音しにくいんだ」ということだった。
そうかナァ。
しからばこの「WOBURN」はどう発音するか…なんか「WOBURN」って、字面からするとすごく親近感が湧かない感じがするんですけど。
この「WOBOURN」…「ウォバーン」ではなく、「ウォウバーン」という風に発音する。
アメリカ人は「バーン」のところで思いっきり舌を巻いても大丈夫だ。
まずはこのルックス!
いいナァ、タマりまへんナァ。

4001962や1969TVなどに使用されているECフレット。
そしてスモール・ゴールドのロゴ。

410ヘリにはチャンとゴールド・パイピングが施されていてビンテージ・テイスト満点!

420底を見るとカバリングを合わせた個所が…。
コレもさ、工場のカバリングの作業を見ているようでいいんだよね。
あ、こお製品はBletchleyで作っているワケではないんだけどね。

430工場はこんな感じ。

9_img_8298いまだに100%手作業でひとつひとつ丁寧にカバリングをキャビネットの貼り付けている。
道具はカッターとハサミと「ボーン」と呼ばれる細かいところにカバリングを定着させる小さな棒状の道具だけだ。
Marshallの工場には様々な工程があり、不器用な私にはそのどれもが不得意なのは請け合いだが、このカバリングの工程だけは絶対に無理だな。
できるのはみんなのコーヒーを淹れるぐらいか?イヤ、あれもブラックだの、砂糖だけだの、スペックが全員違うので大変だ。

9_img_0051上から見るとこんな感じ。
ひとつだけリクエストをさせてもらえば、上面にストラップが欲しいな。
大きさからしてMarshallの小型コンボみたいなので、移動する時、無意識のうちについストラップを探してしまう。
「あ、そうか、ないんだった!」となる。

コントロールはボリューム、トレブル、ベースと入力をチョイスするスイッチとBluetoothのペアリング・ボタンだけ。
ノブはゴールド・トップのブラック・ボディ。
ピン・スイッチにしたところがまた泣かせるじゃん?
さらにコントロール・パネルはアルミ削り出し。「プレキシじゃないの?」なんて言いなさんな。

450入力の方法は4通り。
Bluetooth、オプティカル、それにアナログのInpurtがふたつ。
コントロールの表示に使われているフォントが本物のアンプみたいでグッとくる。
ま、本家のギター・アンプみたいというのも当然だよね。アンプからアンプを作ってるんだもん。冷蔵庫とはワケが違う。

460背面の様子。
上部についている穴は持ち運びのためものではなくて、豊かな低音を実現するためのダクトだ。
「バスレフ式」っていうヤツ。

470OPTICALとInput2のRCA端子はコチラに搭載されている。

480付属品は電源ケーブルの他に、ミニプラグのカールコード(!)と分厚い取り扱い説明書。
取説は何も使用法が難しいから分厚いワケでは決してない。英語、フランス語、ドイツ語等ユニバーサルな仕様になっているから。
Marshallのアンプの取説も同様なのだが、こういうものに中国語のページが割かれるようになってから久しい。
このようなチョットしたことで世界情勢が変わっていることを実感する。日本語のページがなくならないことを祈るわ。

490こういう袋に入れられてくるのもうれしいところ。

500さて、せっかくの機会なのでWOBURNを使って少し試聴会をやってみよう。
試聴会といっても勝手に選んだCDをWOBURNで鳴らしてどんな印象かを記しただけなんだけどね。
試聴に当たっては、一時代を作ったオーディオの老舗ブランドに敬意を表してmarantzのCDコンソールを使用し、WOBURNのInput2に接続した。

 

Marantz

WOBURNには1インチのドーム・ツィーターと5と1/4インチのウーファーが2台ずつ搭載されている。
最大出力は80Wなので家で使う分にはボリュームは1か1以下で十分。こんなところもまるで1959みたいだ。
でも、1959と決定的に違うのはボリュームを5以上にしても当然歪まない。もっともそれだけ大きくするなんてことはほとんどないであろう。
とにかくラウドだ。
で、私もウサギの小屋のようなところで使っているのでボリュームはほとんど1。トレブルもベースも中点の5にセットした。

440

  

★Are You Experienced / Jimi Hendrix Experienceから「Manic Depression」
ん~、WOBURNで初めて聴いたけど、なんかね~、感無量なんだな~。
WOBURNを目の前に置いて聴いているでしょ。するとイヤでもMarshallのロゴとECフレットが目に入ってくる。
で、そこからJimiの音楽が流れ出てくるのがすごく感動的なんだな~。
むしろ音質とかよりもそちらのほうに意識が硬いてしまう。
ま、音としてはこのトリオのワイルドさが実にうまく表現されているとでも言おうか…。
Noel Reddingのベースってこんなにふくよかだったのね?

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★Live in Japan / Deep Purpleから「Highway Star」
Marshallつながりのライブ盤を選んでみた。
ま、「Highway Star」といえばアンコールのジャム・セッションで「Burn」と並んでもっとも選んで欲しくない曲だが、久しぶりに本物を聴くと…カッコいいな~。
こういうロックで育った我々は幸せだ。
うん、コレはIan Gillanの歌がチョット引っ込んで聞こえる。
例えて言うと、ステージ・フロントではなくて、4人に囲まれて歌っている感じ。
そのかわりIan Paiceのバスドラがアホほどカッコいい!
さすがに左右のスピーカーがくっついているので、ステレオ装置で聴いた時のようなパノラマ感は希薄だが、ものすごく状態の良いモノラル録音盤を聴いたような印象を受ける。

Dpチョット脱線。
コレはご存知の通り輸入盤の『Made in Japan』。
写真はロンドンのフィンズベリー・パークにあるRainbow Theatreで撮られたもの。
この写真の中でIan Gillanが叩いているコンガはNATAL製だ。

Dp2 
しからば、試聴盤の候補に入れていなかったんだけど、純のモノラル録音盤をかけてみよう。
 
★With the Beatles / With the Beatlesから「Till There was You」
ウワ!今度はPaulがグッと前に出てきた!
全体がバキッとまとまっているけど、ひとつひとつの音が実にクリアだ。
何かでこの曲のことをビートルズの作品と紹介しているを見かけたことがあるが、それは誤り。
これは『Music Man』というブロードウェイ・ミュージカルの挿入歌だ。
でも、Paulが作曲したといわれても全く疑いようのないようなハマりようだよね。だから、常々私は「Paulはティン・パン・アレイの作曲家に本当にあこがれていたんだナァ」と思うのだ。
さもなければ「When I'm Sixty Four」とか「Honey Pie」とか、後の「You gave me the Answer」なんて曲作らないよね。

Wb

 

★Samsara Flight / LOUDNESSから「Loudness(Disc1)」
ヘビメタいってみよう!
文句なしに気持ちいい!
ついボリュームを上げたくなってしまいますな。
世界がうらやむ高崎トーンもナマナマしく再現されているし、リズム隊の迫力たるや文句のつけようがない。
その手前にヌッと二井原さんが現れて絶唱してくれる。
最新の音響テクノロジーの利点をうまく活かされていると思う。

Sf 

★One Size Fits All / Frank Zappaから「Inca Roads」
生涯の愛聴盤から一枚。「20bit 24k Gold」とかいう金色の盤の仕様。
今度はChester Thompsonのドラムが引っ込んだ。何か別室で叩いているような…。
その代わりBruce Fowlerのベースがスゴイな~。コレ出すぎなんじゃないの?
銀色の普通の盤に変えてみたらそうでもなくなったわ。
ま、知った風なことを書けば、こうしたコンパクトな音響装置というものは低音の出方を重視するので、マスタリングでベースを強調するような手の加え方がされていると効果がてきめんに出すぎちゃうことがあるのではないかしら。

Osfa

ジャズを聴いてみよう。

★Kind of Blue / Miles Davisから「So What」
何にしようかメッチャ悩んだけど、猛烈に普遍性が高いことからこの誉れ高き入門盤をまず選んでみた。
コレはいいわ~。
Paul ChambersのベースとJimmy Cobbのシンバル・レガートが気持ちいいことこの上なし。
そこへのっかってくるMiles、Coltrane、Cannonball、Evansらのソロの音色のクリアなこと!
それにしてもスゴイ演奏だな。もうこれまで何回聴いたかわからないけどいまだに緊張感に満ち溢れている。真剣に聴いてあげないと怒られそうだ。

Kind★From Toshiko with Love / Toshi Akiyoshi=Lew Tabackin Big Bandから「let the Tape Roll」
ビッグ・バンドから一枚聴いてみよう。
まるでジャズの「Highway Star」のようなブルース。
冒頭のLew Tabackinのテナーの音が図太く鳴っている。
アンサンブルでは音がゴチャゴチャになっちゃうかと思っていたけど割合そうでもなく、各パートがそれぞれカッキリと聴こえてくるわ。
やっぱりここでもベースとドラムのコンビネーションが素晴らしいな~。
サックス・ソリではバリトンがよく聴こえてくるナァ、こんなだったかしらん?

Toshiko   
★Jurassic Classics / James Carterから「oleo」
新しい録音から一枚聴いてみよう…といっても1995年の作品。
このアルバムはブレーキの壊れた大型トラックが暴走しているような乱暴な演奏が魅力なんだけど、ベースの音が弱すぎて爽快感が完全に失われてしまっている。
コレは大きなステレオで聴いたほうがゼンゼンいい。
イヤホンなどで聴くことを想定して低音をリッチに録音するんじゃないのか?
よくわからなくなって来たゾ。

Jc

今度はクラシック…
★ハチャトゥリアン / ヴァイオリン協奏曲から「第一楽章」
「20世紀に作られたヴァイオリン協奏曲の中で一番カッコいい」といわれているだけあって、何人かのギタリストにおススメしたところ好評だった。
何しろこの曲を聴かずして死ぬのはモッタイないとまで書いている音楽評論家もいるぐらい。
実際、メッチャかっこよくて大好き。
で、それを聴いてみると…ダメだ!
イツァーク・パールマンの弾くヴァイオリンは何ら問題ないんだけど、オーケストラがゼンゼンだめ。小型ラジオのクラシック音楽の放送を聴いているようだ。
実は、この他にもクラシックのCDを鳴らしてみたんだけど、どうもWOBURNにはクラシックは向かないようだ。Marshallだからな。
でも、この曲はホントおススメですよ。他の人の演奏も聴いてみたけど、このパールマン盤の方がゼンゼンよかった。
今、また聴いているんだけど、どうしても聴き入ってしまう!

Kp  
最後は民族音楽。
それこそ限りなく種類があるので、どうしようかと思ったが、一時夢中になったパキスタンのスーフィー歌謡、カッワーリーを選んでみた。
★法悦のカッワーリー[I] / ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンから「ナミー・ダーナム(たどり着いた場所はどこなのか)」
ま、コレはゼンゼン普通だった。
あの壺みたいなヤツの「プォ」という音がチョット目立って聞こえるぐらいか?
こうしたアコースティック・ミュージックはごく素直に再生するということだろう。

9_nfa1   
…と、色々聴いてみたけど、音的には低音がふくよかですごく好みのタイプということが言えるのね。
やっぱりロック系の音楽にマッチしていると言えようが、ジャズもすごくイケる。
それで、新たに気がついたのは、WOBURNを置く場所によって聴こえ方が結構変わってくるということ。
上に書いたように、WOBURNには低音を吐き出すダクトが背面についているので、壁の近くに置いた時と離して置いた時では低音の聴こえ方が異なるのだ。
コレはまさにコンボ・アンプと同じことだよね。
そのあたりにMarshallからのアドバイスがあったのかどうかは不明だが、色々と試してみるとおもしろいと思う。
何しろこういう自分のお気に入りのものが生活の中にあるっていうのはうれしいね。
Marshallが提唱する「Lifestyle」ってのがよく理解できる。



(一部敬称略 2016年12月18日 ベルサール秋葉原にて撮影)

2016年11月27日 (日)

【号外】ドローイング・レコード2016(梅春スケッチフェス)

今、一部では「ゴールド免許のあり方」についてモメているようですな。
何でも「ゴールド免許」保有者の21%はペーパードライバーだそうで…。
「運転しないヤツこそ講習を受けるべき」という論理も立派に成り立つような気がしますな。
かく言う私もしばらくゴールド免許だった。
地方から東京に帰って来て車に乗る必要がなくなったからだ。
今、Marshallに勤めるようになって、MarshallやNATALを運ぶ仕事が多く、車に乗る必要が出て来た。
そしたら一発よ、一発!
一日に二回切符を切られてアッサリ「違反野郎」の大悪人に転落。
それで、先日30年ぶりぐらいに鮫洲の試験場に免許の書き換えに行ってきた。
そして、そのサマ変わりにビックリ仰天。
私が免許をゲットした昭和56年頃は、鮫洲駅前の細い道には数え切れないほどの代書屋が立ち並び、まるで「海の家」のようににぎやかに客の呼び込みをやっていたものだった。
今は一軒だけになっていた。

9_2img_2825 他の代書屋さんはこの通り全部閉まっていた。
ところで、昔は何であんなに代書屋ってのがにぎわっていたのかしらん?…とベースの山本征史さんと話をしていたら、「イヤ、昔は字を書ける人が少なかったんじゃないですかね?」などとおっしゃる。
「そんなバカな…」と受け答えたのだが、調べてみるとどうもコレはまんざらでもないようだ。
一応日本は「識字率100%、文盲ゼロ」の国だからして、字が書けないとまではいかなくても、チョット複雑な書類が作れない人が昔は多かったようなのだ。
そこで活躍していたのが「あなたの代わりに免許更新に必要な書類をお作りします」という代書屋だったようだ。

9_2img_2826 試験場もスッカリきれいになって、コンピュータのおかげか、手続きもアッという間だった。(講習は長かった~)
昔は、教習所を卒業して「さぁ、思いっきり暴走するゾォ~!」という血気盛んな若者でゴッタ返していてね。何をやるにもものスゴク時間がかかってウンザリだったんよ。

9_2img_2827 …なんて話を友人としていたら、「ところで、何で鮫洲なんて行ったの?東陽町の方がゼンゼン近いじゃん?」と言うじゃない?
「へっ…?! トーヨーチョー?」
何のことかと思って尋ねると、今、東陽町に試験場があるんだってね~!知らなかった。
80年代半ばからしばらく東京を離れていたことと、ゴールド免許のおかげで近隣の警察署で用を済ますことができていたので、そういう設備が出来たことを本当に知らなかったのだ!

で、今日の舞台はその東陽町のdowntown records(ダウンタウン・レコーズ)というレコード屋さんだ。

10永代通りからチョイと入ると目に飛び込んで来るアートのカタマリ。
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そこがダウンタウンレコード。
「CD屋さん」ではない。
「レコード屋さん」だ。
以前にもMarshall Blogに登場して頂いたことがあるのでご記憶のある方も多かろう。

15今、ダウンタウンレコードで開催しているのが梅村昇史+渡辺千春(パンプロ・ファクトリー=梅村家)による「絵」のイベント。
お二人のドローイングやスケッチ等のイラスト作品の展示のほかに、それらの作品をジャケットにした中古シングル盤を販売するという企画。
「作品展」と「産地直売会」が混ざり合ったアートイベントだ。
名付けて『ドローイング・レコード2016(梅春スケッチフェス)』。

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主宰の梅村昇史さん。
「下町のひとりヒプノシス」として、もう何回もMarshall Blogにご登場頂いている。
先日の『1000のMarshall Blog』にもメッセージを寄せて頂いた。

50一応、チラリとウチ系のポートフォリオをご紹介しておくと…
これまたおなじみ田川ヒロアキの『Ave Maria』のジャケット・デザイン。
帯のデザインも梅村さんの手によるもの
写真はワタシ。

55_2梅村さんとの初仕事は2010年度版のMarshallのカタログの表紙だった。
何回も書くが、コレは古今東西で最もカッコいい楽器カタログの表紙だと信じている。

56さて、今回の『ドローイング・レコード2016(梅春スケッチフェス)』の作品を見てみよう。

60こちらはLPサイズの丸い盤に描かれたイラスト。

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80レコードとしてちゃんとクレジットも入っている。
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コレは梅村さんの奥方の渡辺千春さんの作品。
また、千春さんがやさしくて可愛いイラストを描くんだ~。

90コレも千春さんの作品。

110入り口に貼ってあった江東区の子育て関連のイベントの告知ポスター。
コレも千春さんの仕事。

120お店の一面を占めているのは梅村さんの作品群。

130Marshall Blogでも紹介している通り、梅村さんは実際のCDジャケットのデザインを種々手がけているが、以前から「架空のレコード・ジャケット」というコンセプトの作品に取り組んでいる。

140この30cmの真四角のスペースをキャンバスに見立てた美術作品だ。

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160コレはSoft Machineを思い出させるな…。

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180レーベルに刷り込まれたクレジットとコピーライト表示。
こういう細かい配慮がうれしい。

190背面もちゃんと作り込んである。

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240とにかくどの作品も可愛くて、見ているとついついニコニコしてしまう。

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270コレは実際に商品になっている。

280Frank Zappaの代表曲のひとつ「Peached en Regalia」のオルゴール付きCDだ。
右上のクレジットは上で紹介したモノとは異なり、コチラは「ROCK & ROLL MUSIC BOX SOUNDS」となっている。

290

300

310コレはEPサイズ。
モチーフはもちろんZappaだ。

330コチラは千春さんの作品。
いいナァ。
「RECORD PEOPLE ARE FLOWER PEOPLE」だって!

320
千春さんは豆本の製作家でもある。

335コレがレコード入り、ジャケット。
ホントは反対なんだけど…。

336ココでの主役は梅村さんと千春さんのイラストだからね!
中身は何が入っているかはわからない。

337ウチはポスト・カードを数枚ゲット。
「WHAT'S NEW IN CANTERBURY?」はZappaの「WHAT'S NEW IN BALTIMORE」のもじり。
メリーランド州ボルチモアは全米でも治安の悪いことで有名なところ。
NFLのフランチャイズ・チームは、昔は「コルツ」だったのだが、今は「レイヴンズ」になっている。ギターがうまそうなチームだ。
コルツはインディアナポリスに行ったそうだ。インディアナポリスは「インディアナ/ポリス」ではなくて「インディ/アナーポリス」と発音する、なったってWes Montgomeryの故郷だからね。

340なぜ「カンタベリー」なのかというと、このデザインはSoft Machineの『フローティング・ワールド・ライブ』の国内盤のジャケットのイラストなのだ。
このアルバム、輸入盤より梅村さん盤のジャケットの方がゼンゼンよかった。
ちなみに去年久しぶりにカンタベリーに行ったけどナニも変わっていなかった。

Smしかし、可愛いイラストだな~。
ココにある「Flogs With Pretty Little Eyes」もZappaネタ。
オリジナルはZappaの息子アーメット作詞による「Flogs with Dirty Little Lips」(『Them or Us』収録)。

350コレは『Just Another Band from L.A.』。
Zappaの同乗者が胴部ってところが手塚治虫の『W3』みたいで可愛いナァ。
主題歌の最後の「♪ワンダースリ~」という部分を覚えいるんだよね。
でも、テレビで『W3』を放映していたのが1965年。私が3歳の時だからして、さすが覚えているワケがない…とういことは再放送で見ていたのか。
なつかしくなってこの主題歌の動画見てみたら、バーバーショップ・ハーモニーだよ。
昔の人は本当にスゴかった。

360コレが元の『Just Another Band from L.A.』。
梅村さんのポストカードに載っている「GOING TO  EL MONTE LEGION STADIUM」というのはこのアルバムにも収録されている「Dog Breath」の歌詞の一部。(初出は1969年の『Uncle Meat』)
1963年、ZappaはThe Mother of Inventionを結成する前にRay Collinsと「Memories of El Monte」というドゥーワップの曲を作り、The Penguinsというグループが歌ってチョットしたヒットとなった。
ちなみにこの「El Monte Legion Stadium」はキャパ7,000のインドアの大ホールでビートルズも演奏したことがあるという。
今は駐車場になっているらしい。
ところで、この1972年のZappaのアルバムの聴きどころは何と言ってもLPのA面を占める「Billy the Montain」だろう。
私よりチョット年上で、とても仲のよくしている生粋のLA生まれのアメリカの友達が、1969年あたりからZappaのコンサートに何回も行っていて、「Billy the Mountain」も生で観たというのを聴いてとてもうらやましかった。
この人、Duane Allmanもホンモノを見たそうだ。
人間はゼッタイに平等ではない!

365_2千春さん作のクリスマス・カードもゲット。

380さて、この展示会は11月24歩から12月5日まで開催しているが、12月2日には『ドローイング・レコードのパーティー〜でも、おむすびとお茶しかないけど!(仮)』なる企画が予定されている。
梅村家の夜食である「顔つきおむすび」を食べる会だそうだ。
12月2日金曜日18:00から。合い言葉は「夜食 in 夕方」。
「顔つきおむすび」とはこういうモノ。

Rbそれと、今回併催されていたのがコレ。

390プラスチックの薄い板に何かを描いてオーブンで焼き固めるヤツがあるでしょ?

395アレで80~90年代のロックのレコード・ジャケットや写真を再現したそうだ。

400製作者は中学生だ。

410ところで、コチラのダウンタウンレコードさん、はじめの方に「レコード屋さん」って書いたでしょう?

420この通り…本当のレコード屋さんなのだ。
つまり、CDを一枚も置いていない。
若い人が見たらどう思うのかな?
私なんかはこういう光景が当たり前の時代に育ったので何の違和感もないが…。

430お店は非の打ちどころがまったくないまでに、いつ来ても清潔感にあふれ返っている。
でも、キレイなのはそれだけじゃなくて、展示している商品がどれも驚くほど美品なのだ。
それでいてお値段もすこぶる良心的だ。

440「マニアック」という言葉はあまり好きではなくて、自分から使うことはないが、ま、こういうのを「マニアック」って言うんだろうな~。
何しろ、まずエサ箱の仕訳がスゴイ。
「60年ロック」、「70年代ロック」なんて表示はどこでも見かけるが、ダウンタウンさんときたら細かいところでは「'64~'66」とか「67'~69'」みたいに2年区切り!
要するに、それほどこの時代はロックの変化が激しく、リスナーの嗜好も別れるところ…ということか。
こんなことお店の人がよほどのマニアでない限り絶対にできない。
470
この「映画音楽」のコーナーがまたスゴイときてる。
私も40年以上中古レコード屋に通っているが、そもそも映画音楽だけに一列まるごとスペースを与えているなんてお店は他に知らん。
Neal Hefti、John Barry、Jerry Goldsmith、Armando Trovajoliなんて仕訳ラベルは他ではまずお目にかかることはあるまい。
『モン・パリ』なんて、どうにもなつかしいね。
それとね、うれしいのはこの展示品の分量。
スキスキでしょ?
こうしておけば、盤を持ち上げないでペラペラとめくるようにしてアイテムをチェックすることができる。
盤がパンパンに詰まっているとそうはいかない。
まだ血気盛んな頃、私はあのLPレコードを持ち上げては落とす作業の速さにかけては誰にも負けなかった。
でも、もうそんなことをする元気もないし、ガツガツしてまで欲しいと思うアイテムも多くなくなった。
今では、ジャズとかクラシックを中心に、一枚一枚ゆっくりチェックして、知らないアイテムとの出会いを楽しんでいる。
すると、ダウンタウンさんのディスプレイはとてもありがたい。
そもそも静かだし、ジャケットの痛みも防ぐことができる。
480
前回は、超美品でが格安だったThe Whoの『Quadphenia』とウエスト・ロード・ブルースバンドのライブ盤を頂いてきた。
今回はコレ。
『冒険者たち』の主題歌…「Laetitia(レティシア)」っていうのか?
私はこの映画を父のススメで小学生の時に初めて観た記憶があるが、モノスゴイ感動したな。
以前にもどこかに書いたことがあったと思うが、ジョアンナ・シムカスが最高にチャーミングだった。この人、「シムカス」なんていうsurnameなので、てっきりギリシア系アメリカ人かと思っていたら、リトアニア系のカナダ人だった。
そのジョアンナ・シムカスの役名が「レティシア」。
映画の中には印象的なシーンがいくつがあるが、凶弾に斃れたレティシアを潜水服にくるみ、深海に沈めるシーンは子供ながらに美しいと思った。
そして、全編に流れるテーマ・ソング。
このシングル盤はアラン・ドロンの歌が入っているが、映画の中では悲しげな口笛がメロディを奏でるインスト・バージョンが使われる。
もうこのメロディがタメらなくてね~。映画を観て、その場で覚えた。
作曲はフランスの映画音楽の大家、「フランソワ・ド・ルーベ(François de Roubaix)」という人。詳しくは知らないが、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンの『さらば友よ』なんかもこの人の作品だ。アレもカッコいい曲だった。
ハリウッドは別して、フランスもイタリアも映画に使われるオリジナル・スコアっていいものが多いよね…あ、もちろん昔の話。

465もう一枚は加藤登紀子と長谷川きよしの1978年の二枚組ライブ・アルバム。
私にしては珍しいジャンル。
最近、長谷川さんの声が聴きたくなっていたこと、去年野音で加藤さんを撮らせて頂いたこと、バックに中野督夫さんが参加していること…等の理由でゲット。もちろんお値打ち価格。
メモが貼ってあるでしょ?
ダウンタウンさんでは、LP一枚一枚にこうして簡単な解説を記したメモを付けている。
コレは破天荒に大変な作業ですよ。
何が大変かって、聴かなきゃならないもん。つまり、時間がかかるということ。
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最近「~に愛を感じる」みたいな言い方が流行っているけど、このお店のレコードや音楽に対する愛情にこそ、その表現を使って欲しい。
下の写真では見えないが、正面後ろのラックに一週間前に亡くなったMose AllisonのLPを飾り、追悼の意を表していた。
私はMose Allisonのホワホワした声が苦手で決してファンではないが、facebookで訃報を投稿したがほとんど反応がなかった。
つまり日本人の多くがMose Allisonを知らないようだった。だからダウンタウンさん「サスガ!」と思った。
ジャズのシンガー/ピアニストだが、ロック・ファンにはThe Whoの「A Young Man's Blues」を作曲した人と説明すればよいだろう。
 
ダウンタウンレコードの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャル・ウェブサイト

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『ドローイング・レコード2016(梅春スケッチフェス)』の開催は12月5日まで。
  
パンプロファクトリーの詳しい情報はコチラ⇒ハルタンタハルタンチ

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(2016年11月26日 東陽町ダウンタウンレコードにて撮影)

2016年11月16日 (水)

LONDON DRUM SHOW 2016

ロンドンは得意のアールズ・コート駅。
ココはピカデリー線とディストリクト線が乗り入れているにぎやかな駅。
何せレッド・ツェッペリンやピンク・フロイドで有名なコンヴェンション・センターがあるので、以前から何回もここを訪れているし、前回ロンドンに行った時には5日ほど滞在して何度もこの駅を利用した。
しかし、ディストリクト線の支線がここから伸びているとは知らなんだ。
ハイ、英語脱線。
「拍車」ってあるでしょ?騎士の靴の踵にくっついている馬のお腹をつっつくギザギザの車輪。
アレ、英語で「spur(スパー)」っていうのね。
ナゼこれを覚えたかと言うと、Horace Parlan(ホレス・パーラン)というピアニストに『On the Spur of the Moment』っていうアルバムがあって、「spur」の意味を調べたから。「on the spur of the moment」は熟語で、「出来心で」とか「衝動的に」とか言う意味。
で、この言葉、もうひとつ「支線」という意味があるんだってさ~。正しくは「spur track」って言うらしいんだけど、「spur」でも通じるようだ。
今、知ったよ!うれしいな~。
さてこのspur、アールズ・コートから先に駅がひとつしかない。
要するに始発駅と終着駅だ。
その終着駅とはケンジントン(オリンピア)というところ。

20その駅名の通り、ここにはオリンピア(Olympia)という見本市会場がある。
1885年に完成。129年前の建物だ。
立派だね~。

30最近でこそビッグサイトとか幕張メッセとかパシフィコ横浜なんてのがあるけど、日本はこういう設備が本当に少ないよね。
日本に比べて国土2/3、人口半分のイギリスにはこういう設備がいくらでもある。
展覧会、博覧会、展示会、見本市等がいかに太古から普通に開催されていたかを物語っているのではなかろうか?
それで、こういう展示場につきものなのがコンサートの類。
調べてみるとヤッパリ…ジミ・ヘンドリックスは1967年12月22日に、ステイタス・クォーは1975年の大みそか、その翌日の元旦にはプロコル・ハルム、バッド・カンパニーは1977年のお正月の2日と3日、、ロッド・スチュアートも1977年の1月にここでコンサートを開いている。
これらは一種の「ニュー・イヤー」企画だったのかな?

40展示があるとこんな感じ。

50コレ、相当デカイね。
敷地面積は4エーカーだって…1万6千平方メートル。
浅草寺の本堂が何個入るんだ?
と久しぶりに平方根の計算をすると、126.5m四方となる。屋内でこのサイズは相当大きいでしょう。
しかも19世紀の建物だからね。

60それで、この週末の11月12&13日にココで開催されたのがロンドン・ドラム・ショウだ。
数えてみると65のドラムに関するブランドの豪華な展示とアーティストを売り物にしている。
やっぱりこういうイベントはアーティストをジャンジャン呼ばないとラチが開かないのをさすが連中はよくわかってる。
展示やデモだけでなく、エデュケーション・ゾーンという体験コーナーというかドラム教室のコーナーも充実しているようだ。コレは楽器フェアなんかでもマネっこしていておなじみだろう。
ウェブサイトに出ているこのイベントの紹介文を見るとこんな文章があった。
「Some of the best drum tutors out there will be on hand to finesse your fills and reignite your rudiments.」…会場にいる何人もの世界的なドラム講師が、あなたのオカズの悩みを解決し、あなたのルーディメンツに火をつけるのをお待ちしています…ぐらいの意味になるのかな?
「fill」だの「rudiments」だのに特化しているところが面白い。
ちなみ「finesse」というのはフランス語。辞書によると動詞では「術策を用いる」なんてスゴイ意味になっているけど、そういう意味なのか…。
穐好敏子のソロ・アルバムに「Finesse」という作品があるので単語自体は知っていたのだが意味は正確には知らなんだ。「オハコ」っていう意味かと思っていた。
入場料は£5だから今なら700円ぐらいかな?
10_2
コレは調べたワケではなくて、何人かのイギリスの友人からの聞き伝えで恐縮なのだが、ロンドンでは元々『ロンドン・ギター・ショウ』というのがあって、ここに『ドラム・ショウ』が合体したり離れたり、場所を変えたり、しまいには開催しなかったり、と紆余曲折を経て来たようだ。
それがこんな立派な会場で開催されてめでたし、めでたしなんじゃないの?
私はと言えば、2004年にウェンブリーで開催された『ロンドン・ギター・ショウ』にお邪魔したことがある。
ドラムは全くなかった。
比較的ショボめの展示会だったが、ジェリー・ドナヒューがデモをやっていて、そのスゴさに腰を抜かしたものだった。

70他にもMarshallのデモ・バンドにブルース・ディッキンソンが飛び入りで入って来て歌ったりと日本では絶対にできない経験をした。
「VIP」だし!でも何ひとつ特別な扱いはなかったな。
で、この晩、ニコ・マクブレインたちと夕べの食卓を共にさせてもらったんだけど、ニコがフォークとナイフを手にする前に、手を合わせうつむき、神様にシッカリとお祈りを捧げている姿を目の当たりにして驚いた。あの顔だし…。
他にもイギリス人がたくさんいたが、そんなことをしているのはニコだけだった。
その後もニコとはジムの家やフランクフルトで何度も食卓を共にをしているが、彼はいつもキチンとお祈りをしている。
そういえば、この時、ウェンブリーが物騒だから外に出ない方がいい…とMarshallのスタッフに注意を受けたっけ。
たまたま、数日前に追剥きかなんかがあったからだったように記憶している。

80さて、そのロンドン・ギター・ショウ、じゃないわ、ついついギターが先に出てきてしまう!
ロンドン・ドラム・ショウ、もちろんNATALも参加した。

90以下はその展示のもよう。

100色々とラインナップを広げております!

110こないだ「NATALのアクリルってカッコいいですよね~!」とあるプロ・ドラマーに言われちゃってさ~、うれしかったな。
正直、ヨソとどこが違うんだかよくはわからないけど、カッコいいことはよくわかる!

120スプリット・ラッカーというヤツ。

125おいしそうなお菓子が入っていそうでしょ?
音はおいしいよ~。

130

140

150こんなヤツも…。

160

165

170METAシリーズという新しいブラスのスネアのラインも好評だったようだ。

180vあ~、コレはどこでも見かける光景!

190vオリジナル・シリーズも安定した人気をキープしている。

180お!スゴイ行列!

200StereophonicsのJamie Morrisonのサイン会。

210展示されていたキットはまさにホンモノ。

220だって、コレと同じなんだもん。

230コレはStereophonicsが7月に来日した時に撮影したもの。

240グドモの金ちゃんとペギちゃんとも記念撮影したね。
JamieとペギちゃんはNATALつながりなのだ!
この時、モノスゴイ黒山の人だかりになっちゃって…。
Jamieからスティックをもらってご満悦のペギちゃん。

9_s41a0271 これがそのスティック。

9_2img_2382 相変わらずの人気のJamieなのである。

250コレはエデュケーション・ゾーンのようす。
NATALドラマー、Marko Djordevicのクリニック…ってったって知らない人はまず読めないよね。
「マルコ・オルジェヴィック」っていうんだって。
モダンドラマー誌に「世界クラスのドラマー」とか「真の革新者」と評価されたスゴ腕ドラマーで、SVETIというグループを率いてリーダー作も発表している。
バークリーを出たジャズ系の人で、Wayne Krantz、Garry Willis、Bill Frisell等々と共演し現在までに40枚以上のアルバムのレコーディングに参加しているそうだ。
彼のSVETIというグループは「コルトレーン、ウェザー・リポート、ザッパ、ポリスに影響を受けた古郷のバルカン風味タップリの音楽」を標榜している…「バルカン」にはそそられるな~、と思いつつ動画をいくつかチェックしてみたけど、普通のジャズだったわ。
でも今風のテイストのジャズ・ドラミングでカッコいい。
260今回写真を提供してくれたアメリカのJoshが動画をあっぷしてくれたのでそれを拝借して掲載しておく。
この人、どこか東ヨーロッパの国の出なんだろうけど、こういうルーツを持った人たちが英米のシーンに出て来ることも珍しくなくなったね。
こういう人たちはアニメもゲームもない裸一貫の音楽出稼ぎだからして、その実力と根性はかなりのレベルなのだろう。
そして、この動画を見て思い出したのはMagamとかSBBとかあたりのブリティッシュではないプログレッシブ・ロックだ。新手のフリオ・キリコみたいな?
彼らにはアニメがない代わりに、この手の音楽のDNAがあるんだろうな~と感じてしまった。

…ということでNATALよろしく願します!

270965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年11月12~13日 ロンドン・オリンピアにて撮影 ※Spechai thanks: Josh Touchton)

2016年11月11日 (金)

TOKYO HIGH SCHOOL ROCK 2016

10月1日…学生の頃はうれしかったな。
学校が休めるのがなんだってあんなにうれしかったんだろうね?
学生やっているウチが一番楽だなんてことにはその時はついぞ気がつかないもんだ。
 
さて、ナゼ10月1日が「都民の日」になったのか…?
林先生なら知ってるだろうナァ。
私は知らなかったので、これを機に「いち都民」として調べてみた。
ちょっとゴチョゴチョ書くが、高校生諸君、学校を休めるんだからこれぐらいの文章はガマンして読んでもらいたい。
     

東京は昔、「東京府東京市」といった。
東京市、京都市、大阪市の三つは「市制特例」といって、これらの市が設置された1889年5月~1898年(明治22~31年)まで、当時の社会的背景を利用することによって実現するかもしれない独裁政治を防止するために、権力の強い「市長職」を置かなかった。
他の一般の市には「市長」さんはいたのよ。
その後、その「市制特例」が撤廃されて東京も普通の「市」となり「市長」を置くことになった。
それが1898年10月1日の出来事だったというワケ。
その10月1日を記念して、1952年に9月27日に東京都が「都民の日条例」を制定し、同年10月1日から施行した。
つまり、最初の「都民の日」はそのたった3日前にキマったんだって!
当時の学生も突然休みが増えてよろこんだことだろう。
ちなみに「県民の日」は設けている県とそうでない県があるようだ。
東京と同じ「市制特例」が施行されていた大阪も京都も「府民の日」ってないんだって。
♪ねぇフーミン、ナンチャッテ。
  
で、何で「都民の日」を休みにするかというと、その目的は、「都民の一体感や自治意識を高め、また福祉を増進する」ということらしいんだけど、休んじゃえばこっちのもの。
せっかく学校が休みなんだからロックで楽しんじゃおうぜ!…というイベントのレポートが今日の記事。
この『TOKYO HIGH SCHOOL ROCK』は、コンテストではなくて、オーディションを経て勝ち残った4バンドがO-WESTのステージに上がることができるというスタイル。
今回で9回目の開催となる。
年々応募者の数が増え、また、演奏や音楽のレベルも毎回アップし、今回も審査にかなり骨を折ったとのことだ。
ちなみに、応募者の中にはギター・リフがあって、ギター・ソロがあって、ヘヴィなリズム隊に乗って男性的なボーカルが暴れまわる…という往年のハード・ロック・スタイルのバンドはゼロ。皆無だったそうだ。
我々が高校の時はまずディープ・パープルだったけどね。
間違いなくハード・ロックは世代間の伝承に失敗し、「絶滅危惧種」の音楽の代表格になったことがここでも容易にうかがえる。
Marshallは最初か2回目からかこのイベントをサポートさせて頂いているが、今回は2014年以来のレポート。

10_2最初にステージに上がったのは神奈川から来た「ニトロデイ」。
10月1日は神奈川もが休みなの?…という心配には及ばない。ナゼなら当日は土曜日だったのだ。

20_2 男女2名ずつの4人編成でオリジナル曲を披露。
「ナニナニ風のサウンド」なんて形容したいんだけど、もはや私には不可能。
我々の世代なら普通はなじみのないスタイルのロックだ。

30v_2そういう音楽を聴き、影響を受けて来た世代だからそれも当然のこと。
もうそこにディープ・パープルの幻影を求めてはならないのだ。

50v_3「エ?」と耳を疑うようなアルペジオ。
とっても自由でよろしいな。
それにしても、女子のバンド・メンバーってのはホントに当たり前になったね。

40v_3
「原爆オナニーズ」のTシャツを着てる!
オジちゃん、37年前、自分が高校生の時に「なぞなぞ商会」の前座で登場したこのバンドを見たわ。

60v_3誰かを目的にライブハウスに赴くというのと違って、こうして受動的に若者の音楽を聴くのはとても刺激になるし、彼らの今の嗜好を掴むいい勉強になる。
70

次は「hula-hoop」という女子のトリオ。
フラフープできる?
自慢じゃないけどアタシャ見事なまでにできない。一回転もさせられない!
しかし、若いのによくフラフープなんて知ってるね。

80「歌詞はネクラで曲ポップ」のネクラ・ポップを標榜しているのだそうだ。

90v歌詞の内容としては高校生の日常を歌っている。可愛らしくて、何よりも品がいいところが気に入った。

100v一体誰の影響を受けて曲を作っているのだろう?なんてことが気になるね。

110v出番が終わった後、実は少しお話をさせて頂いた。
「ねごと」が好きなのだそうだ。

120こういう早くからオリジナリティを発揮しているバンドには、とにかく色んな音楽を聴いていいものを吸収してもらいたいと思う。
まだ、キミたちが知っている音楽は氷山の一角の一角にも満たないのだから。

130

三番手は「メチルオレンジ」。

140ボーカルをフィーチュアしたハッピーハッピーなポップ・ロック。

150v3曲演奏したうちの2曲がオリジナル。
コピーの1曲が何かは聴いただけではサッパリわからん。

160vここも5人メンバーのうち3人が女性!

170vそのせいかアンサンブルもしっかりしていてコーラスがきれいだ。

180vドラムの彼女、メッチャうまかったな。もうグルーヴ感がゼンゼン違う。
今高校2年で、ドラムは1年生の時に始めたそうだ。誰かによっぽど教わっているのかと思ったらそうではないとのこと。
いつの時代でもいるんだよね~、そういう人って。

190v我々が若い頃は照れちゃって、人前でこんなにソレっぽく演奏することなんてとてもできなかったナ。
ただ突っ立ってるだけが関の山。
ステージでのこうした所作も含めて、コレが彼らの「ロック」なんだな~。
ちなみに私が彼らぐらいの時はマイケル・シェンカーに夢中になってUFOのコピーを演っていた。その前はウィッシュボーン・アッシュだった。

195コレはビックリしたよ。
だって4番目に登場したのがゲストなんだもん!普通最後でしょ?
…と思って仲良しのスタッフに理由を訊いてみたら、「高校生のイベントですから、やっぱりトリは高校生にしないと!」…いいイベントだ~。
でも調べてみたら2014年の時も真ん中でゲストが登場していた。
…ということでMAGIC OF LiFEがステージに上がった!

200高津戸信幸

210v山下拓実

220v渡辺雄司

230vそして、我らが岡田翔太朗!

240v短い持ち時間だが、大激演はいつも通り。

250MAGIC OF LiFEは9月7日に発表したニュー・アルバム『X-1A』が大好評だ。
そして、このアルバムを引っ提げて明日から全国ツアーがスタートするのだ。

190cd「高校生はいいよね。MAGIC OF LiFEは栃木の高2年の時からの仲間で、その頃に書いた曲をいまだに歌っているんだ」
うん、高校の時は楽しかったな。
私は絶対にプロギタリストになろうと思っていた。結果、ならないで命拾いしたわ。

270おお~!名曲「スターチス」。
コレはホントいい曲だと思う。

9_img_0219 MAGIC OF LiFEの曲は繊細さと豪放さが複雑に混ざり合っている。
そのあたりを演出するダイナミクスのカギを握っているのはなんといってもドラムだ。
255v

いつもはメイプルのキットを使っている翔太朗くんだけど、今日は皆と同じバーチのキットを使って頂いた。
メイプルよりは落ち着いた深みのあるサウンドだが、翔太朗くんのドラミングの持ち味であるキレの良さは全く変わらない。

260

フランスでドラムのことを「バッテリー(Batteries)」と言うが、まさにバンドの原動力とでもいうべき推進力にあふれたドラムを聴かせてくれる。
そういうドラマーにはNATALがピッタリだ!

280vMAGIC OF LiFEの詳しい情報はコチラ⇒official web site

290どーすんだよ、プロの後!
どのツラ下げて出てくりゃいいんだよ~、なんてことは心配ご無用!

300_2 チャンと元気のいいのが出てきて立派にトリの大役をこなした!

Img_0061 「豆腐メンタル」というグループ。
最近、フト気が付いたんだけど、食べ物を扱う商店で豆腐屋さんって特殊だと思わない?
肉屋でも魚屋でも、ま、加工はするにしても、基本的には右のモノを左に動かして商売するのに対して、豆腐屋さんって「メーカー」なんだよね。
自分のところで商品を作ってるの。
パン屋もそういうところがあるけれど、それは最近の話。昔のパン屋さんは仕入れしたものをただ売っている店ばかりだった。
豆腐好きだな~。
おいしい豆腐屋さんが近所にあるとホッとする。
ハイ、ここで脱線クイズ。
コレは以前にも書いたけど、豆腐は冷ヤッコの夏と鍋物の冬、どちらが売れ行きがいいでしょ~か?
答え…ケタ違いに冬の方が忙しいそうです。

310v「サイン、コサイン、タンジェント」か~!
ああ、高校生らしくて素敵!
三角関数好きだったけど、社会に出てから一回も使ったことないな~。コタンジェントとかコセカントとかいうのもあったよね?

320vジャージに入ったロゴを見るにアソコだね、学校は…オレンジがスクール・カラーのところ。
大学のビッグバンドでいえば「二ューオレンヂスウィングオーケストラ」やね?

330vなんとなく往年のP-MODELを思わせるような独特のサウンド。
好きなことをドンドンやればいい!

S41a0373プロの後というキツイ状況で見事にトリの重責を果たした豆腐メンタルだった!
  
それにしても、女子パワーの何と強いことよ!
待てよ、数えてみると今日出た4つのバンドのメンバーの男女比って6:10で女の子の方がゼンゼン多いじゃねーか!
我々が高校の時は、そうだな~、たぶん30:1とか20:0とか、そんなだったよ。
スタッフの方に尋ねると、今日はタマタマ女子が多かったのではなく、応募者全体を見ても女子の方が多いらしい。
そこで提案。
男子はもっと男性にしかできないような硬派なロックをやったらどうかね?
要するにハード・ロックということになるけど。
…と言いたいところなんだけど、プロの世界を見てもガール・バンドの方が硬派だからね~。
ま、どんな音楽をやるにしても、色んな音楽を聴いて勉強してもらいたい。
今、テレビやインターネットから自然に耳に入ってくる音楽は、「流行」という錦の袈裟をかざして耳ざわりがよく聴きやすいかもしれないけど、どう聴いても風雪に耐えることができるようなシロモノではない。「流行っている」ということは「短期間のうちに消えてなくなる」ということだ。
一生付き合えるような音楽を早いうちに見つけることができるのはとてもシアワセなことだ。
音楽は知れば知るほど奥が深く、そして面白いものです。
どんどん探求して豊かな人生の糧にしてもらいたいと思う。
もし、本当にこれからも音楽を続けていきたいと思っている人に、ふたつの言葉を贈りたいと思う。いつもMarshall Blogで書いていることだ。
ひとつは「音楽の将来は現在にはなく、過去にしかない」ということ。
もうひとつは「平和でなければ自由に音楽を楽しむことはできない」ということ」だ。
  
ナンカいつもの読者に読んでもらいたいんだか、高校生に読んでもらいたいんだかわからない内容になっちゃった!
とにかく『TOKYO HIGH SCHOOL ROCK』、来年も楽しみだ!

S41a04021965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月1日 TSUTAYA O-WESTにて撮影)

2016年11月 8日 (火)

楽器フェア 2016~三宅庸介CODEを弾く!(オマケつき)

11月6日(日)、『楽器フェア2016』最終日…この日もヤケクソにいい天気!
チョット出遅れたと思ったら会場となりの駐車場はすでに満車。
日曜日だけあって前日よりにぎやかなのかな?

06臨時駐車場を案内してもらって会場までカメラと脚立を持って10分ほど歩く。

10もうそれだけで汗が少し出て来るような陽気のよさだ。
気持ちいいね~。
着いた~。

20今日は11時チョット前の入場。

35やっぱりそれでも結構の人出だ。
更にお昼から最後にかけてはすさまじい混み具合になることでしょう。

40数えてみると、私は1999年から7回ほど楽器フェアの仕事に関わらせて頂いた。
意外に少ないとお思いになるかも知れないが、12年ほど堅めの仕事をしてからこの業界に引っ越して来たので、同輩に比べるとキャリア短いのだ。
池袋が2回、横浜が5回経験させてもらった。
客として訪れたことは一度もなかったが、前回からは「お客さん」としてお邪魔している。
  
関係者、客の両方の眼から見て…とにかく、ココへ移って来て格段によくなったよね。
都心から近いし、広いし…まったくうらやましい。チョット周りに飲食店が少ないのかな?
池袋の時は近くて助かったけど、会場の天井が低くて息苦しく、その分音もスゴかった。
それとが不便だった。
2003年に横浜に移った時からは、スタンドまでトラックが入れるようになり、搬入出の仕事が格段に楽になった。

50
でも、横浜はシンドかったナァ。
遠くて遠くて…。
何が遠いっか?って、あの頃はまだ「みなとみらい線」が開通していなくて、桜木町の駅から延々と歩かされたんだよね。
朝はいいんだけど、丸一日立ちっぱなしの後、パシフィコから桜木町まで歩く帰り道には泣きたくなった。
ま、飲んでたせいもあったけど…。
一日、騒々しい場所にいて、大声で話をしているとメチャクチャくたびれるんだ。
当時はパシフィコ周辺も今ほどはにぎやかでなく飲食店の数が極端に限られていて、夜はすぐに入れる店を探すのもひと苦労だった。
2003年の時にはジム・マーシャルが来てくれたんだよね。
それで、あの「タイタニック・ステーキ事件」が起きてしまった。
それも今となってはジムのいい思い出だ。
また、ジムのお付きのスティーヴが東京に宿泊する晩があって、二人で東横線に乗ってパシフィコ横浜に向かったのもいい思い出だ。
この時はMODE FOURが出た年だったが、「シゲ、来年はキツイぞ~。新商品がないんだよ!」なんてことを道々話していたのを覚えている。あとはズッ~トMarshallとブリティッシュ・ロックの話だった。
私はとにかく仕事に関係していようがいまいが、イギリスのことを勉強するのに必死だった(今でも同じ)。
そのスティーヴも何年か前に突然この世から姿を消してしまった。
たかだか13年前のことだけど、なつかしいナァ。
その時の写真を載せたいんだけど、チト色んな事情がありましてね…パス。
そもそも、その頃はまだフィルムが一般的な時代だったんよね。もうネガなんかどこにあるかわからないし…。
「デジタル・テクノロジー」ってのは、なるほど、ある局面においては究極的に便利だということを実感するわ。

60ほんと、ココは通路が広くていいね。
会いたくない人が向こうから来てもサッと隠れることができるじゃんか。
ま、相対的に全体の広さに関しては2011年の横浜が過去最強か?

70ハンドメイド系楽器のスタンドも目立った。
以前はこういうのなかったよね?
正確にシステムを把握しているワケではないが、NAMMの地下みたいなイメージ?
とてもいいことだと思う。
大分前のNAMMでこういう感じのコーナーにポッコリ座ってボ~っとしていたおじいちゃんがリック・デリンジャーだったのには腰を抜かしたっけ。

80オーディオ関連製品のコーナーもにぎやかだ。
こうなってみると、NAMMとの違いはプロオーディオや照明等の機材の展示の有無ぐらいか?

90昔からやっていたバーゲン品コーナーも同じフロアで開催されていて大にぎわい。

100楽譜やアクセサリー以外、ギター本体もココでしか見たり、触ったり、買ったりできないアイテムが大集合して多くのファンが群がった。
床がヨダレだらけになったことは言うまでもない。

110それと、大小を問わず、ブース内も含めてイベント・スペースが盛んに設置されていたような気がしたな。

130私は昔からブース内イベント推進派だった。
それと並行したプロ・ミュージシャンの招聘。NAMMを何回も観察していてそう思っていたのだ。
2001年の池袋では調子に乗って各種のデモをパンパンに入れ過ぎてヘロヘロになったこともあった。
それをやりたかった理由はふたつあって、ひとつは何といってもその商品の魅力を優れた弾き手によってアッピールしたい。
もうひとつは自分が司会をして、自分の口から商品の優位性を伝えたかったのね。
ま、要するに目立ちたがリ屋でおしゃべりなだけなんだけど…。
だからMarshall GALAは楽しかったな~。
アレはこのふたつの理由の権化みたいなものだっただからね。本当はしゃべり足りなかったんだけど…。

140冨田勲さんのメモリアル・コーナー。
こういうのはとてもいいね。
音楽のジャンルを問わず、レコード会社と手を組んで、こういう機会を利用して日本の音楽の「レガシー」をドンドン後世に伝えるべき。
武満徹がどれだけ偉大だったか…とか。一日中「ノヴェンバー・ステップス」を大音量でかけてサ。
そんなコーナーがあればオーディオとも手を組めるんじゃない?
ただし見せ方がムズカシイ。何しろ興味のないひとを振り向かせなければならないんだから。
でも、立体的に組み立てれば面白くなると思うけどな。
ジャズなんか、まだ敏子さんや貞夫さんがご存命のうちにナニかやったらいかがですかね?
ロックだってかなり面白いことができると思うのですよ。
もう日本ロックだってカレコレ50年近い歴史があるんだから…。
ライブハウスの歴史とか…みんなで「懐かしのグッズ」を持ち寄ってね。
こういう企画になると日本は必ずテケテケかGSになっちゃうからな~。それらは禁止。「ロック前夜」だから。
それ以降、いわゆる「日本のロック」のシーンがどうなっていたか…なんてことをテーマにした展示なんて面白いと思うんですけど…私だけか、そんなこと考えてるの。
イヤ、若い人だって楽しめるんじゃないかな?
ま、勝手な妄想を語っておりますが…失礼しました!

150v「ボク、楽器フェアのゆるキャラ、ガッキーです!」
もうひとつ白いのは「フェアリーちゃん」だ…紅白そろって「ガッキフェア」!
え、違う?スイマセン!
ベビーカーの子、ビックリしちゃってる。
スゲェちっちゃいナァ。子供が中に入ってるのか?

2img_2797 さて、全体を見回したところで~…

153Marshall!
今日は三宅庸介の登場だ!
え、コレどこ?
2011年の時の写真だよ。
以前の楽器フェアの写真をチェックしていて偶然見つけたの。

155三宅さんのCODEデモンストレーションの一回目。
まずは簡単なご挨拶から…

155v三宅さんのルーティン。
「Come down on me , Jimi!」

160CODE50を使用しての「if」。
真空管モデル以外のMarshallでこの曲を聴くのは生まれて初めてかも!
ま、正直言いますよ。
そりゃいつも三宅さんが使っているJVM210Hと1960BVの音とまったく同じではないですよ。
本当に同じ音が出るのであれば、MarshallはCODE作らないってばよ。
そんなことをしたらMarshallつぶれてまうって!
でもね、いつもの三宅さんの音を聴いて知っている人なら思わず笑っちゃうでしょう!
そして、信じられないでしょう。
この音が、あんな小さい箱から出ているなんて!

170v三宅さんから丁寧な事後解説が寄せられているので、紹介していくね。
事前に三宅さんにCODEをお預かり頂き、いろいろと研究してもらった後、このステージで初めて比較的大きな音で演奏してみた…というシチュエーションでのご感想だ。
『今日はこういうデジタル・アンプなので、せっかくですから自前のペダル類などは一切使わず、CODE本体だけで演奏してみました。
結果的に、お集まり頂いた皆さんにCODEのサウンドを聴いてもらう手段として、それが一番良かったと思っています』
180
三宅さんのセッティング。
JCM800への評価がかなり高かったんだけど、曲に合わせてのデモでは「Plexi」をチョイス。
1969年製のMarshallを想定したのかな?
今回のこのデモンストレーションに際して、事前に三宅さんと少し情報交換をした時に出たのがこの「Presence」の設定。
昨日も少し触れたが、見て!…三宅さんは1.1にまで下げている。
1959とかJTM45とから1962とかヴィンテージ系のプリアンプを選ぶ時は「Presenceを下げるべし」ということで意見が一致した。

200set

続いては、EQ関係。
ココでも昨日も触れたノイズ・ゲートの「Threshold」に注目。
1.5だ。
CODEのプリセットのデフォルトは、7とか8とか、かなり「しきい値」が高く設定されている。
ノイズゲートとしてはかなり優秀な働きを見せてくれるが、ギターのボリュームでトーンを作る人にはコレはかなりの危険物。
ノイズが出てもいいから思い切って下げるべし!
もちろん、ギンギンに歪ませて、ギターのボリュームを常にフルテンにしておくようなタイプの方は、反対にこのノイズゲートを盛大に活用するべし。
弾かない時にはスイッチが入っているのを忘れさせてくれるほどの働き者だ。
  
チョット脱線するけど、一昨日、偶然に何十年ぶりかにロイ・ブキャナンのファーストの「Sweet Dreams」を聴いたんだけど、コレ、無伴奏でギター単音のヴァイオリン奏法で始まるじゃない?
こんなにロマンチックなムードの曲なのに、ギターのボリュームを上げた時のノイズ!「ジィ~」って!
ま、ロイのことだから使っているアンプはMarshallではないんだろうけど、こんなの今だったらトンデモナイ話だよね!
でもそのノイズがまたいいのよ。そこにあってもゼンゼン構わない。
それで純粋な「音楽」が成立していればノイズなんて気にする必要がない…と思うのですよ。

210set

エフェクターは「Distortion/ODR」と「Delay/Vinbtage」を使用。

220set

再び三宅さんのご感想を引く…
『音そのものの感触としては、右手や左手で演奏中に行うダイナミクスのリニアな調整 (簡単に言うと、弾く際の強弱と呼吸感) にCODEは非常に従順で、「デジタル」ということを意識することはほぼありませんでした。』
ライブでのプレイを観察すれば一目瞭然なんだけど、三宅さんは一音一音、ピッキングの位置を変えたり、ピックの角度を変えたり、はたまたギターの・ボリュームを変えたりと…ギター・サイドでの細かい仕事が多い。
もちろん自分の頭の中にあるトーンを絞り出すことに集中しているんだけど、それに完璧に答えてくれるのがMarshallの真空管のアンプで、CODEもそれに準じた大役を果たしているということ。
また褒めすぎなんじゃないの、三宅さん?後半でNGはイヤよ!

190「if」を弾き終えたところで三宅さんが作ってきた音がいくつか紹介された。

230まずは、1959がギンギンにフルアップさせたことを想定したセッティング。
マスター・セクションではやはりPresenceを思いっきり下げている。
260set
ね、Thresholdがゼロになってる!
ま、コレは実際にやってみればすぐにどういうことかが、耳と指で理解できるでしょう。

250setさすが、三宅さん、19歳の時から30年間ずっとMarshallしか使ってこなかっただけのことはある…とエラそうに言いたくなるほどの的を得たトーン!

240v

「続いては」…みなさん興味津々。
真剣な面持ちで三宅さんの説明に耳をそばだてる。

270次はJTM45。
セッティングはこうだ。

290setそして…
キャビが2x12"に変更されていることに注意。
三宅さんは実際に1936Vを愛用している。
『JTM45のクリアで暖かいクランチ…これはいつまでも弾いていたいほど素敵です。』とは三宅さんの弁。
さっきからMiddleが盛大に上がっていることにも注目。

300set以上、「Spanish Castle Magic」、「Littel Wing」、「Foxy Lady」等で説明しました。
Jimiが降りて来た!

280v
もうひとつ…と引っ張り出してきたのはJVM!
いつもMarshall Blogで紹介しているように三宅さんはJVM210Hを使っているからね。
でも実際には、アンプはいつも    CLEAN/CRUNCHチャンネルで軽いクランチ程度に設定している。
ナント、今回はギンギンに歪ませたJVMをやってくれた。

310vプリアンプをJVMのODにしてキャビは4x12"に戻す。

320setJVMはミドルの帯域が少し高いので、中低音が出てこないためBassを高めにセット。
さすがにThresholdも少し上げた。

330set後はDELAYをかけて…

340set決して歪み一辺倒ではない三宅さん。
ASTORIAのインタビューでも語っていた通り、基本は強く弾いた時に軽く歪んでくれるクランチがサウンド・メイキングの基礎だ。
でもこの時は1959とJVMのアンプで作る歪みを再現してくれた。
『1959のをフルアップ(Gain 10ということです)がホントに素晴らしい。それから、「JVM」でのドライブサウンド、これも ただただ気持ち良く、「マーシャルドライブサウンド」を味わえるの秀逸です。』
JVMのモデリングについては、これだけ激しい歪みでもギターをボリュームを下げた時にちゃんとクリーンになるところが相当お気に召したようだ。
コレをやるにはもちろんThresholdの値はギリギリまで下げておかなきゃいけないよ。

345そして、曲でのデモに戻る。
二曲目は三宅さんのライブでは欠かすことのできない「bloom」。

350しかし、古今東西、色んな楽器展示のイベントあれど、「bloom」のような曲でデモンストレーションをしたのは三宅さんぐらいじゃないの?
普通はわかりやすいハッピーハッピーな曲やおなじみの曲で攻めるのが定石のような気がするけどね。

05 でも、コレでいいのだ。
あらゆる機会を利用して三宅さんの音楽をひとりでも多くの人に聴いてもらう良いチャンスだから。
コレはですね、仲がいいからといって、「三宅さん」をヒイキしているのではなくて、「三宅さんの音楽」をヒイキしてるの。
日本の音楽シーンはあまりにも「売り上げ至上主義」に偏重していてチットモ面白くない。
イヤ、面白くなくなっちゃった。作る側が儲け方を知っちゃったもんだから儲かることしかやらなくなってしまった…ように見える。
マァ、私も大いに変態方面に偏っているんだけどね。
日本人はもっと色んな音楽を聴くべきだって!
だからMarshall GALAでも出演の皆さんに「思いっきり自分の作った音楽を演ってください」とお願いしたのだ。

360さて、もうチョット三宅さんの話を聞いてみよう。
『持ち時間が短かったので説明できませんでしたが、ピッキングに関しての、素早く振り切る時の音の「立ち感」から喰いつかせて当てる時の「粘り感」…これらはMarshallでしか出ない独特の音なんです。
CODEはそこでもキチンとMarshallになっていました。
そのあたりの変化を実演で皆さんにも見てもらえると良かったんですけど…。』
見たかったな!

370あれほどまでにストラトキャスターと真空管アンプにこだわる、デジタルアンプから最も遠いところにいると思った人が、デジタルアンプに対する肯定的な意見を携えつつ、「瓢箪から駒」的にMarshall論まで到達したことが面白い。
でも絶対に勘違いして頂きたくないのは、三宅さんはCODEが真空管アンプの代わりをする…と主張しているワケではないということだ。
つまり、三宅さんの理想はCODEをキッカケにして、JVMでもいい、1959でもいい、はたまたASTORIAでもいい、そうした真空管アンプの素晴らしさに興味を持ってもらいたいということだ。
「そのために自分のセッティングが参考になればうれしい」とおっしゃっていた。

380v

ただここで問題がひとつ。
ウソを言わないマーブロなので正直に言っておく。
CODE50とストラトキャスターを用意して上のセッティングで弾いても三宅さんと同じ音は絶対に出ないということだ。
あ~、言っちゃった!
黙っていればいいのに!
三宅さんの音はストラトキャスターが出してるワケでも、CODEが出しているワケでもなくて、三宅さんの指が出しているからだ。
それともうひとつはマイキングのノウハウだ。
三宅さんはどんな会場でも、どんなシチュエーションでもキャビネットに向けるマイクを自分でセットする。絶対に音響スタッフに任せっきりにすることはない。
CODEの場合、コレがまたすごく微妙なのだそうだ。

390

私はこの後、KNOTFESTの取材で幕張メッセへ向かったが、2回目のデモでは「if」と「petal」を取り上げたとお聞きした。
「petal」も三宅ミュージックを初めて体験する方にはとてもいいショウケースになったことだろう。
三宅さんの音楽に興味を持った方は是非ライブへ足を運んでいただきたい。
そちらでは、耳を疑うような壮絶な真空管のMarshallのサウンドを独特の音楽を通じて体験させてくれる。
400
最後にもうひと言、三宅さんから…
『CODEが何十万円もするモノなら、また違った見方もあるでしょうけど、この価格ですからね…。
シールド一本で歴代のマーシャルサウンドを「こんな感じですよっ」て伝えてくれて味わえるんですから…そう思うと素晴らしい商品です。
そして、このルックスですから(^_^)』
ASTORIAのルックスのことをまだ言ってる!
じゃ、仕返しに…「シールド」は日本語ですからね~。Marshallの母国では「ギター・リーズ」といいます。

410v三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Official Blog

1_img_0045 「三宅さんのデモは見逃せない!」と会場に着いて真っ先にMarshallスタンドに来てくれたD_Driveの4人。
SeijiさんもYukiちゃんもCODEを試してくれているのはMarshall Blog読者であればご存知の通り。
D_Driveは『EDGE OF STRINGS II』というイベントでStrange,Beautiful and Loudにジョインする。
さらにStrange,Beautiful and Loudは話題のSilexとのダブルヘッドライナーも近い。
そして、左端はSilver Jubileeの愛用者で知られるTORNADO-GRENADEの真壁雄太くん。雄太くんも「三宅さんのデモがどうしても見たい!」と興奮気味にブースに駆けつけてくれた。
雄太くんも古くからのCODE経験者だ。TORNADO-GRENEDEももうすぐ初のワンマン・コンサートを控えて鼻息が荒い!
Marshallファミリー、みんな大忙しなのだ!

420

昨日のKellyさんのデモンストレーションでは、かの壮絶なシュレッディングに何の問題もなくついて行けるCODEを…。
そして今日の三宅さんのデモンストレーションではいかにCODEが真空管アンプのサウンドに肉薄できるか…ということを実証してくれた。
双方、素晴らしいデモンストレーションだった!
見た人ラッキー、見れなかった人アンラッキー!

CODE物語はコチラ  ↓  ↓  ↓
BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<前編>
BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<後編>

430

<オマケ:三宅さんの思い出>
今回、昔の楽器フェアの写真を探そうとして色々とほじくり返していたらこんなのが出てきた。
本当は先々週の『1000回特集』の時に掲載するべきだったんだけど、チト遅かった。
私が初めて三宅さんを撮った時の写真。
すなわち初めて三宅さんの演奏を観た時のこと。

9_sb12009年3月9日のことだから、そう古い話ではない。
でも、若いな…。
コレは令文さんが音頭を取って開催されたドラムの板倉淳(じゅんぺー)さんが東京を離れる時の送別コンサートの時のもよう。

9_sb3確か、三宅さんは4100をお使いになったように記憶している。
ギターの音は確かにスゴかったが、それよりも私は音楽に驚いた。
私は常に「音楽ファースト」なのね。
いくらギターの音やテクニックがスゴくても、曲が十把ひとからげでツマらなかったら全部台無しだもん。
この時は「ナンだこの人!日本でもこんなことやってる人がいるの~!」ってな具合。
ご挨拶すらしなかったんだけど、別の機会でお近づきになり、DSL→Vinatge Modern→(?)→JVM→ASTORIA→CODEってなMarshall道をたどって頂いているというワケ。
9_sb2
<オマケ2:楽器フェアの思い出>
コレは2011年、横浜で開催された最後の楽器フェアの時のMarshallの展示のようす。
ご覧になればおわかりの通り、上の三宅さんの写真はココで撮ったもの。
この時はMG2DX、Class5、2187Xと小粒ながらバラエティ豊かなモデルがお目見えした。
前述したように、私は途中異なる業界から参入したためキャリアが短く、池袋の頃は知り合いが皆無だった。
だが、この頃になると、Marshall Blogにも盛んに取り組んでいて、ミュージシャン、業界関係者、一般のお客さんと爆発的に人脈が広がっていた。
そのおかげで毎日本当に開場から閉場までいろんな方々が訪ねて来てくださり、食事はおろか、トイレにもなかなか行くことができない忙しさだった。
だってトイレに行く間に誰かに会っちゃうんだもん。
でも、私はこの手の類の仕事、つまり人を楽しませたり、よろこばせることに頭や身体を使うのが好きでしてね。
そうでなきゃMarshall GALAなんて出来ませんよ。
とにかく、とても楽しかったな…この頃には地下鉄もできていたし。

A_40この時はこんなこともしたっけ…。
こんなことよく自由にやらせて頂けたよな~。
NAMMに比べてあまりにもおとなしかったので景気づけの意味もあった。
ずいぶん多くの人がホンモノの寿司屋と間違えて入って来た。
マァ、会期中は大変ながらも楽しいんだけど、この後の片づけが大変でね~。
疲れ切った身体に1960はあまりにも重く、会期前に意気揚々とセットした時に比べ、重さが倍にも三倍にも感じられたものだ。
撤収に関してはナゼかいつもビリだったな。

A_50
7回経験した楽器フェアのうち最も印象に残っているのは、ジム・マーシャルが来てくれた2003年の時のことかな。
  
それと同じぐらい思い出深いのは2001年、池袋最後の楽器フェアだ。
この時、会場に隣接しているサンシャイン劇場で『マーシャル祭り2』というイベントを開催した。
凄腕のギタリストが大集合して入場料が1,000円という破格の扱いだったので、超満員の大成功と相成った。
この時は本当に大変だった。
ひとりでやっていたので毎日真夜中まで残業して準備に取り組んだ。
このコンサートはMarshall GALAとは異なり、ベースに櫻井哲夫さん、ドラムに菅沼孝三さんをお迎えして、フロントのギタリストがドンドン変わっていくというスタイル。
櫻井さんがあまりにもご多忙で、演奏曲をさらっている時間がない。譜面が手に入らない曲は、不肖私がベースをコピーして、譜面を書いて櫻井さんに弾いて頂いた。光栄なことだった。
さらにオープニングは趣向を凝らした。
オープニング・アクトとして中野のシゲさんのShigeo Rolloverに前回に引き続いてご登場頂いた。
客電を落として暗転になると心臓の音が聞こえ出す。ドックン、ドックン…。新婚旅行の時にアナハイムのディズニーランドで買った効果音のLPのに収録されている音源だ。
スクリーンにはモノクロで次々に世界の偉大なMarshallプレイヤーのポートレイトが投影される。
心臓の鼓動が速くなる(レコードプレイヤーのターンテーブル手で強引に速く回して録音した)と、スクリーンがパッと明るくなる。
それは映画『ウッドストック』のジミ・ヘンドリックスの「アメリカ国歌」のシーンだ。
おなじみのメロディをジミが爆音で弾き出す…音がどこか生々しい。
「国家」が終わり「Purple Haze」のイントロが始まると同時にスクリーンが振り落とされる。
するとそこには、中野重夫とRolloverの姿が…。
そう、さっきの「アメリカ国家」はライブでシゲさんが1959を使って弾いていたのだ!…という演出だった。
コレがね、スクリーンを振り落とすタイミングが難しくて偉く緊張した。
シゲさんも面白がって熱心に取り組んでくれた。
こうして豪華絢爛、準備万端で臨み、来日を予定していたジム・マーシャルに見せるのを心待ちにしていた。
ところが、当時のジムの秘書だったエマ(Marshall Blogに2度登場しているキャワイコちゃん、コニーたんのママ)から数日前に電話がかかってき、「ジムの来日は中止」ということになった。
この日の約ひと月前に起こったニューヨークのテロ事件を鑑みてのことだった。
ガッカリした。
結局私が楽器フェアでジムを迎えたのは、その次の上述の2003年の時だけとなった。

A_60f_2チケットもこんな具合で、モギリをするとTSLのフル・スタックがハーフ・スタックに変身した。JCM2000 TSL100は当時のフラッグシップ・モデルだったのだ。
こんなアイデアならいくらでも出て来た。
今も同じだけど、とにかく24時間Marshallのことを考えていた。
マァ、実際ずいぶん色々なことをやらせて頂いた。一番いい時代だったのかもしれない。
また、私もまだ若かったんだろうね。
イエイエ、「年老いた」なんて言っていられない!
アイデアがまだまだ山ほどあるのだ~。

A_70v

また再来年の『楽器フェア』でお会いしましょう!
 
末筆ながらこの場をお借り致しまして、素晴らしい企画と展示に取り組んで頂いたMarshall総輸入代理店、株式会社ヤマハミュージックジャパンさんとスタッフの皆様に心から御礼申し上げます。

A_90(一部敬称略 2016年11月6日 東京ビッグサイト 楽器フェア2016会場にて撮影)

2016年11月 7日 (月)

楽器フェア 2016~Kelly SIMONZ CODEを弾く!

ドワ~!
なんていい天気なんだ~!
寒くなったり、暑くなったり、この老体にはタマったもんじゃないけど、ここ最近ものスゴく天気が悪かった…というイメージがあったので秋晴れ大歓迎!
「夏大キライ」の裏返しで、強がって「冬の方が好き」なんてよく言ってるけど、ホントは寒いのだってイヤなのよ。
これぐらいの陽気がずっと続くといいナァ。
それでも北海道はスゴイ雪で大変みたいだし、銀座線は一部が不通になっているし、韓国は上へ下への大騒ぎになっているし、なかなかに世の中は騒々しい。

10この週末、東京ビッグサイトも大騒ぎだった!

20何しろこんなに大きなノコギリが地面に突き刺さっちゃう。
大騒ぎの元は…

30v楽器フェア。
前回は会場を変えて、3年ぶりの開催となった。
アレから2年。また隔年の開催となったようで、とてもよろこばしいことだ。
いきなりの英語脱線で恐縮だが、「一年おき」って英語で何て言うか知ってる?
「every other year」って言うんだけど、案外スッと出てこない人が多い。
昔、ある楽器関係の書籍の翻訳をある人に「仕事」としてお願いしたら、「毎回他の年」とかいう訳になっていてビックリ仰天したことがあった。
もちろん「year」を「day」にすれば「一日おき」となる。覚えておくと便利な表現だ。
ハイ、脱線終わり。

1_img_0024 これができた時は、上の三角のところに展示場がある…と、勝手に思っていたんだけど、全然違うのね?
コレは飾りなのかしらん?

40今日のレポートは11月5日(土)の午後にお邪魔した時のもよう。

50かなりの人出で熱気プンプン!

60とにかくまずはMarshallのスタンドへ…ブースか?
アメリカの人は割合「スタンド」って呼んで、イギリスの人は「ブース」とも呼んでいる傾向がある気がするな。
あるネイティブさんによると、「展示会等で何かを展示するためのスペース」という意味は変わらないんだけど、「ブース」は壁に囲まれているというイメージがある…という話を聞いたことがある。
さて、今回のMarshallの展示、主役はまずココかな?

9_img_0619 1959とJVMで歴史を俯瞰しているところ?
その間にあるのが…先月発売になったばかりのCODE。

70CODE25とCODE50の山。
ここに1962年から2007年のMarshall45年分のサウンドがデジタル・データで詰まっている。

80CODEが発売されて10日近く経った。
会場ではたくさんの楽器店の方々に久しぶりにお会いしたけど、私を見かけるなり声をかけて頂いて、皆さん「CODE、大好評でよく売れていますよ~!」と教えてくれた。
CODEのヒットを当て込んで、初回から大量に仕入れてくれた大型店でもすぐに完売。「お代わり」を待っているところ…だとか。
うれしいわ~。マジでうれしいわ~。

90だから言ったんだよ、オレは…JMDの開発の時によ~!
「プリアンプは〇〇、パワーアンプはXX、キャビは△△、みたいに自分で組み合わすことができるようにしたらどうか?」ってサ。
言わないこっちゃない!
あ、でも私、JMD好きなんです。
  
CODE物語はコチラ  ↓  ↓  ↓
BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<前編>
BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<後編>

100ASTORIAも楽器フェア初登場。
目立つな~。
弾くとその素晴らしさがもっと目立つんだけどね…。
そうそう、ASTORIAの前でひっさしぶりにある若手ギタリストに会った。
彼はテレビのメジャーな音楽番組や「〇〇音楽祭」の類の現場でバンバン活躍している腕利きなんだけど、やっぱりASTORIA CLASSICみたいなコンセプトのアンプがMarshallから出るのをずっと待っていたんだって。
そうだろな~。わかるよ。
    
ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒いよいよASTORIAが出るよ!

110
従来のモデルもズラリ。

105ま、壁がないのが寂しいけど、片付けるのが大変なのよく知ってるから…。

120防音室も用意されているので爆音で試したい方はどうぞ。
どなたか弾いている最中に失礼!

130こちらはEDENコーナー!
こうして並べるとEDENもルックスがいいね!

145EDENは新しいヘッド、「TERRA NOVA」をフィーチュア。
お、おととい偶然「TERRA ROSA」の取材をしたばかり!
縁起がいいね~!

140
EDENも従来品をバッチリとディスプレイ。

150見るからに音が良さそうでしょ?!

160EDENは先日Silexのデビュー・ライブで素晴らしいプレイを見せてくれたhibikiくんが担当してくれた。

170さて、土曜日のCODEのデモンストレーターはKelly SIMONZ。
ステージの準備は完了。
CODE50とそれを操作するソフト、Marshall GATEWAYがインストールされたiPadが用意された。

180Kellyさん、出番でっせ~!
あ、さっき試奏していたのはKellyさんだったのね!(ホントはわかっていたけど…)

185足元には愛用のペダルボードもセットされた。

190ここのところのKellyさんの八面六臂の活躍ぶりを如実に表す人だかり!

200大きな歓声に包まれてスタート!

210KellyさんがGATEWAYに施したセッティングが後ろのディスプレイに大きく表示される親切な演出。

220一曲目は「Future Distination」。
Kellyさんのステージには欠かすことのできないメロディアスなスピード・チューン。

1_img_0649この曲でのKellyさんはプリセット51番の「JCM800」を使用。
ウン、CODEのJCM800は確かによくできてる。

1_img_2854
ResonanceとBassを上げ気味にして迫力の低域を狙った…っていうところかな?

1_img_2853
エフェクターは全編を通じてDELAY/STUDIOだけを使用。
今回はほとんどメロディだけなので、旋律を際立たせるために「やや深めにかけた」とのことだ。

1_img_2855

何の違和感も表さず、いつも通りの激烈なシュレッドを見せてくれた。
CODEのレスポンスの優秀性が証明されたようなもの…だって、Kellyさんについて行ってるんだから!
CODEだけにテクノロジーも「高度」だ。
270

KellyさんによるCODEのコンセプトや機能の説明に聴き入るお客さんたち。
ドンドン人が増えて来る!

240
ここでセッティングを変更してプリアンプを45番の「Plexi」にする。
CODEはPresenceの設定具合で音が劇的に変わるセッティングがあるので注意。
1_img_2880
上のPresenceの設定といいBassの設定といい、Middleを10にしたにしても結構ハイ寄りなセッティングといえようか。
上で触れたPresence同様、ノイズゲートのThresholdの値もサウンド・メイキングに大きな変化をもたらす。このノイズゲート、ものすごく効きがいいので、その使い方によっては毒にも薬にもなるので、上げるばかりではなくて、下げて使ってみるのも一考だ。
1_img_2837
二曲目はヴィヴァルディの『四季』から「春」。
Kellyさんのオハコだ。

250

プリアンプを「Plexi」にセットしての華麗な演奏…Kellyさんはいつものステージでは1959を使っているからね。
それほど違和感が少ない弾き心地なのだ!

230

同じセッティングでさらに「Opus #1」。
そうそう、やっぱり「Opus」でデモンストレーションをして欲しかったの!

1_s41a0005 あのいつものスリリングでアクロバチックなプレイが迫りくる!
おそるべしCODE!

285サングラスをハズしての激演!
ギタリストをそんな「弾く気」にさせてくれるのがCODEなのだ。

300辺りは通路の交通整理がでるほどの盛況ぶり!
この日、Kellyさんを初めて見る方がどれぐらいいらっしゃったのかはわからないが、ビックリしたろうナァ。

9_img_0701 そんな方は1959や1960がズラリと並ぶ東京キネマ倶楽部のKellyさんのライブにゼヒお出かけ頂きたお。再度ビックリすること請け合いだ。
kellyさんは全国各地でサービス満点のセミナー活動を展開しているけど、それで満足してはイケませんぜ。
やっぱり「キネマ」でのライブを観ないと!

205_2 短い時間ながらも充実のデモンストレーション。
私は次の予定が入っていたのでコレで会場を離れたが、Kellyさんはこの後もう一回舞台に上がった。
そちらの回も大盛況だったと聞いた。

290 Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

310<つづく>
 
(一部敬称略 2016年11月5日 東京ビッグサイト 楽器フェア2016会場にて撮影 ※協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン)

2016年8月12日 (金)

Marshall Roadshow~ASTORIA, ROAD to YAMAGATA(アストリア、山形珍道中)

♪行くぜ東北 レールに乗って コリャたまらんらん…。

東北新幹線は仙台までは乗ったことがあるんだけど、山形新幹線はコレがうまれて初めてのこと。
すなわち山形を訪れるのも、我が人生で初めてのことだ。
あ~、こういう景色、たまにはいいな~。
ナンカ、本当に目がよろこんでいるような感じがするわ。
今回は「出張Marshall Roadshow」。
企画はMarshall Blogではおなじみのギタリスト、関雅樹。
関ちゃんは頻繁に山形に来て演奏している当地のスター・ギタリストなのだ!
ちなみに今日のタイトルの「Road to YAMAGATA」はビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーアの「珍道中シリーズ」から。
「珍道中シリーズ」の原題は「Road to ~」だった。
だから「Road to Yamagata」で「山形珍道中」。
へへへ、実はこのアイデア、穐吉敏子の受け売りなんだ…。

10米沢を通過。
良質な肉牛で知られる米沢。「米沢牛」って反対から読むと「牛沢米」になるの知ってた?
どっちに転んでもおいしいよ~!
次の駅は「おいたま」。「置賜」のこと?

20到着~!
「やまがだ」?
ウワ!いきなりナマってる?!…と思ったら、「だ」ではなくて、「た」に「"(ダブル・クォーテーション・マーク)」が付いているだけだった。
スゴイな~、方面を案内する標識には「県庁・市役所」と「ホテル」しかない!

30改札を出ると早速さくらんぼ!

40駅舎はこんな感じ。
松本みたいだな…。
昔はもっといい感じだったんじゃないかしら?
日本は駅舎がツマラなすぎる!

50関ちゃんに駅まで迎えに来てもらって早速昼食。
老舗のそば屋に連れて行ってもらった。

60へぎそば。
これは二人前。食いしん坊の私が関ちゃんとシェアしてちょうどよいぐらい。
ところが隣にいたオジちゃんはコレに天ぷらをつけて一人でペロリと平らげていた。結構ビックリ!
関ちゃん曰く、「山形の人はよく食べるんですよ~」。
山形の麺類で有名なモノに「冷やしラーメン」というのがあるらしい。
現時点での「日本の最高気温」のチャンピオンは2013年に高知は江川崎という場所がマークした41.0℃らしい。
2007年の埼玉の熊谷と岐阜の多治見が40.9℃で次点。
残念ながらそれらの地点の後塵を拝し、今でこそ第四位に甘んじてしまっている山形だが、かつては1933年に40.8℃という記録を樹立して以来、74年もの間、日本で一番暑い場所の座を守ってきたのだ。
ヤダね~。
そういう背景もあって、この「冷やしラーメン」というモノが考案されたのだろう。
「熱いラーメンを食べたいけど、夏の間は暑くて食べられない」…みたいな。
何せこの「冷やしラーメン」という代物、冷やし中華とは全く種を異にするもので、普通の熱いラーメンをただただ冷たくしただけというモノだと聞いた。
先人の知恵というか、出来心というか、ヤケクソというか、アタシャとても受け付けそうにないな~。実際、現地の方々でも賛否が分かれていた。

70なんだってそんなに暑いのかという、山形が盆地だからというワケ。
へ?盆地?
「ぼんち」って「おっさむちゃんで~す」の?んなワケない。もう誰も知らない。
山に囲まれているせいで、フェーン現象が発生して、いいように暑くなっちゃうアレ。
私ね~、実は山形って海べりかと思っていたのよ!マジで。
ずいぶん変な所で新幹線が止まるな~って思ったの。
考えてみると酒田と勘違いしていた。
お恥ずかしい…。

タマにはこんな写真も…。
私がかけているサングラスはMarshall EyewearのJOHNNYというモデル。

80街をしばし見学。
グエッ!
だ、誰もいない!

90山形市は空襲を免れたため、古い建物が結構残っていていい感じ。

100_2好きなんだ~、こういうの。

1_img_0090ロンドンに頻繁に行くようになり、あのクラシックで美しい街並みを目にするようになってからというもの、余計に日本の古い建物に目が行くようになった。
いつも書いているけど、関東大震災と東京大空襲さえなければな~。東京だって京都に負けないどころか、世界一の観光都市になっていたと思うんだよね。

130市内唯一の大型楽器店が入っているビル。
1_img_0094コレは圧巻だった!
ナンダよ~、いいのあんじゃん!

150この建造物は「文翔館」といって、大正5年に落成した旧県庁舎。
昭和50年まで県庁舎として使用されたそうだ。
大正5年というと、1916年。今年で丁度100周年を迎えている。

160隣接しているのは旧県会議事堂。
ともに国の重要文化財に指定されている。

1_img_0104もちろん中を見たかったんだけど、あいにくお休み!
なんだよ~!
でも、また山形に来る目的ができたかな?
前庭では保育園児たちが楽しそうに遊んでいた。

180さて、今日の目的地はココ。
「Lover Soul」というバー。

190v「ラバー・ソウル」ってぐらいだから、入口にはさっそくFab Fourの顔が!

200v店内に入ってビックリ!

210集めも集めたり、どこもかしこもThe Beatlesグッズ!

220

230どこを見回してもおなじみの4人の顔だらけ!

240

250私はこういう、モノがたくさんあって、グチャグチャしているところが大スキなのよ!

260

270ドワ~、トイレものこの通り!

280目が回る~!

290フィギュア類も充実している。

300こんなんとか…

310イエロー・サブマリンとか…。

330コリャまたずいぶんスマートなレノン様だこと!

320v
メニューも徹底してる。

340このハッピを手にするには力が入ったとのこと。

350シングル盤のコレクション。

360vなかなか進んでいないんだけれど、四人囃子の岡井大二さんへのインタビューの文字お越しに長い間取り組んでいましてね。
ビートルズや日本のロック前夜を実際に経験した大二さんにその当時のご経験を語って頂いたの。
メッチャおもしろいよ。
まだMarshall Blogにアップできるまで時間がかかりそうだけど、お楽しみに!

370ところで、ナンダってココへやって来たのかというと…コレコレ。
このLover Soulで『Marshall Roadshow』を開催したのだ!
「Seki Plays ASTORIA」と題して、話題のASTORIAを実際に持ち込んで山形のギター・バカ、イヤ、ギター好きの皆さんに試してもうらおうという企画。

375…というのは、山形には大きな楽器店がさっきの一軒しかなくて、特にロック系の楽器が置いてあるお店になると、隣りの天童市まで行かなければならない。
そこにASTORIAが置いてあるとも限らない。
それならば…と、こちらからASTORIAを持って行ってお見せしちゃおう!というワケ。
関ちゃんが予め盛り上げていてくれたおかげで、「緑」だの「赤」だの、ATORIAの前評判は上々。

ガチャリ!
お、早くては、お客様だ来てけだとれ!
みんな、ギターばたがってだ~!
ないだて、うれすいごど!
380_2まずはよ、お願いばして私がASTORIAの説明どが、開発の裏話(うらばなす)ば、さしぇで もらったっけの。
かいずが、オラえの仕事だがらて。
みんな「んだのがぁ!んだのがぁ!」って聞いでけだっけのよ… ありがど様な~!

390vASTORIAだけんねくて、Eyewearどが、Stockwellばも紹介ば、さしぇでもらったっけの。
Stockwellば「麻雀パイのケースみだいだごで~」だど!! じょんだず!!
ほだいして言われっど、んだずね!
今時、ほだな例えよスンナリ出て来ねずね。
さすが 山形だこど!!
私も麻雀ばわ、すねっがったげんと、今の若い人だ、麻雀パイのケースあて、見だごどないんねがぁ?!
490
ほして、関ちゃんのデモンストレーション&ミニ・ライブ!
関ちゃんは、もうは、ノブ&フッキーの大ステージでASTORIA CLASSICば使ってけっだんだもは~。
ちぇっとばり前の ドイツ大使館でもよは、やんばいいい音ば聞がしぇでけだっけ。

400vバッキング・トラックなし、一部ループ使用のソロ演奏だど!
420v

「Mercy, Mercy, Mercy」…

410「Lady Violetta」等をプレイ。

430関ちゃん  こいな仕事ばわ、慣れっだがらて、ほんてんじょんだな~
ほして、何よりよASTORIAの音がよ、気持ち良さそうだどれ!

440v後半さはゲストが登場だべした!

450LoverSoulのマスター、 ジョージ半澤さん!
山形市ば代表する名ギタリスト。
まずは The Venturesの「Pipeline」ば。

460vこいっちゃはママのエリカさん。
もうよ、すこだま明るくて、おもしゃくて、チャーミングな人!
スッカリ魅了されだっけもは~!
480
ちゃんと演奏ば聞いっだんだが?!
ずほ、ずほ!
ちゃんと要所要所ば、押さえっだがして「Pipeline」の「♪テケテケテケテケ」に合わせでよ、華麗な舞いば、見せでけだっけな。
Stockwellば、たがったのはママの親友ちゃんだど。
すっかり眼鏡ば気に入ってけで、今ではよ、Marshall Eyewearば愛用してけっだのよ!

500
マスターの歌で「Crossroad」。
マスターは DUALば使用したっけず。
極上のトーンでブルージーなソロば、たっぷりど聞がせでけだっけ。

470ミニ・ライブ後のはお待ちかね試奏タイムだべ!

510持ち寄ったお気に入りのギターば、ASTORIAさ繋いでは 大騒ぎったなね!

520みんなおもしゃそう~!うらやますいごど~!

S41a0060 んで、最後はよ、記念撮影だべしたね。
いや~、楽しっけな~!

530お店はよ、ほのまま 通常営業さ戻ったんだべした~!
っと、知らない間に山形弁になってたわ~。
ココからは標準語に戻る。『オズの魔法使い』みたいでしょ?
巻末に標準語に翻訳したバージョンを付けておいたので、上の山形弁が読みほどけない人は、後で下をご覧アレ。

Roadshow終演後、マスターやママさん、そして居合わせたお客さんから山形弁や山形文化について色々と教わった。
そうしている間も音楽好きの常連さんたちが入れ代わり立ち代わりやってくる。
下のお客さんもそのおひとり。
山形弁についてひとしきり語った後、持参していた四角いケースをおもむろにパカっと開けると、そこには10ホール・ハーモニカがズラリ!
それを見たマスターが壁にかかったアコギを手にする。
「キーは?」とマスターが問うとそのお客さんが「ズー」と答える。「ズー」とは「G」のことだ。
『E.C. Was Here』の「Ramblin' on my Mind」のようだ!(訛りの話しね)
お客さんが山形をテーマにしたオリジナル曲を歌い出す。
アレ?どっかで聞いたことあるな~…と思ったら、コレ「Georgia on my Mind」じゃん!
つまり「Yamagata on my Mind」!
まさか、「on my mind」も楽屋落ちで狙ったんじゃないだろうな…。
コレがすごくよくてね~。
何という素敵な雰囲気!
550

私は根っからの東京生まれ、東京育ちで、就職して支店勤務になるまで地方の事情を知ることがなかった。
それで初めて富山に移り住んだ時、ひとりでジャズのライブハウスに出かけて驚いたことがあった。
満席のその店、私ひとりを除いて全員が知り合いなのだ。
すさまじいまでのアウェイ感!疎外感!寂寥感!
完全に知らない国にひとりで来てしまったようで、この雰囲気は長野に住んでいた時も同様だった。
ところが、このLover Soulはライブハウスではないにせよ、何しろ雰囲気がよくて、その空間にいれば、例え山形弁が思うようにしゃべれなくても、みんなが竹馬の友のように温かく手をさしのべてくれる。
こんなことを書くと富山や長野の人が意地悪と言っているように見えるかも知れないが、まったくそんなことはないからね。現に私は長野が気に入って一時真剣に永住を考えたぐらいだったんだから…。
というのも、山形の人はすごくおとなしいんだって。
「♪めでためでたの若松さまよ」で有名な花笠まつり。
アレはココ山形の大祭りなんだけど、これが実にユ~ッタリしたお祭りで、三社の勇猛さのカケラもないらしい。
山形の人達は、花笠まつりが東北三大祭りに入れてもらえないことに対してヤキモチを妬くワケでもなし。
そんな大祭でも、踊りの連がゆ~っくり通り過ぎるのをただボーっと見て楽しむだけなのだそうだ。
ま、暑いから動けない…という説もあるらしい。
そして、ギターを持参してASTORIAを試してくれた方々。
このハーモニカのオジちゃんもそうだけど、極自然に音楽を楽しんでいる…という印象を受けたな。
娯楽が少ないせいか、生活の中に音楽がある感じがした。
東京でもこうした空間がもちろんたくさんあるんだろうけど、大都会から遠く離れた地方都市でのこういうスペースは特別なオアシス感が漂っているのだ。
とにかくそんな素敵な空間で楽しい人達と最高の時間を過したのであった。
下の写真、向こうで関ちゃんの向かって右に座っていらっしゃる方は東さん。
関ちゃんの現地のパートナー的存在なんだけど、「頑強」を絵に書いたような方で、あのクソ重いASTORIAを小指一本で持ちあげたのには驚いた!(ウソです。でも本当にあまりにも軽々と持ちあげていらした)

Img_2161 それと、ハラがよじれるほど笑ったのがあの山形弁!
何しろ、あの言葉の響きがユーモラスなんだよね。
色々教えてもらってきた!
私も「言葉」に興味があるのと、Marshall Blogネタのためにしつこく根掘り葉掘り質問したんだけど、一切イヤな顔をせず、面倒がらず皆さんが丁寧に教えてくれた…どころか、「イヤ、そんなごど言わね」とか「んだば、コレ知ってっげか?」と言って、ネイティブ同士で方言自慢をしてしまう始末。
なにしろ、やたらと「゛」が付いちゃう。
「訛り」のことをしつこく話題にしたりしたら、ヘタすりゃ「バカにしてんのけ~?」なんて怒られそうだが、全然おもしろがっちゃってんの。
そう、山形弁もチョット地域が異なると言葉が変わってしまうのだそうだ。
これって「村々にその土地の英語がある」とか「100m移動すると使われている英語が変わる」とかいうイギリスの地方の英語と同じじゃん!
現地の人はメールも山形弁で書くので、予測変換では山形弁表記が一番最初に出て来るそうだ。
560
おもしろい表現をいちいち挙げるとキリがないので特に印象に残った表現や習慣を記しておくと…
★「かき回す」ことを「かます」とか「ガイロガイロする」と言う。「ガイロ」って一体何だろう?
★東京の感覚で言えば(正しくは横浜)、「じゃん」のような接尾辞のバリエーションがおもしろい。
一般的だと思われるのは「はぁ」。文尾にナゼか「はぁ」を付ける。
コレが北に行くに従い「ごで 」→「ず」→ 「くせ 」→「にゃあ」→「じゅう」→ 「の(こちらは庄内弁)」と変化するはぁ。
現地の人達はこの接尾辞でどこの出身かをズバリ言い当てることができる。
ヒギンズ教授かはぁ?
★お詫びの表現の三段活用:「われっけな~」、「われな~」、もっとも軽いのが「われ」。
★お客さんを迎えた時のおもてなしの出前といえば、東京の感覚では寿司かうなぎということになろうが、山形では大抵ラーメンを出前してもらうらしい。
★こっちから電話をかけて名乗る時、ナゼか過去形になる。
つまり「もしもし、●●です」ではなく、「もしもし、●●でした」と話し始める。
ちなみにコレは長野でも散見される現象で、お正月になると、「明けましておめでとうございました」と過去形で挨拶する。
まさかコレは英語からの影響であろうか?英語では時制を過去にシフトバックすることで丁寧な表現を作ることができる。
★我々は①のことを「まるいち」、(1)のことを「かっこいちと読むが、山形の人は「いちまる」、「いちかっこ」と読む。
シマッタ!山形では「いっせーのせ!」か「いっせーので!」かどちらを使うのか訊いてくるのを忘れた!Erikaママ、教えて!
…まだ他にも笑い転げちゃうようなのがたくさんあったんだけど、コレぐらいにしどぐはぁ。

1_s41a0062 もし山形を訪れる機会があったら皆さんも是非Lover Soulへお出かけくだされ!
いらっしゃる機会があれば「Marshall Blogを見ました!」とErikaママさんに伝えてください。
「よう来たはぁ」と言ってもらえます。
割引はありません。

Lover Soulのちょっと詳しい情報はコチラ⇒サッポロビール関連サイト

Erikaママのfacebookはコチラ⇒Erika Hanzawa (Lover Soul)

1_img_0001 そして、この晩投宿したのはコチラ、山形グランドホテル
東さん、お世話になりました。ありがとうございました!

570お邪魔した翌月には関ちゃんがギターを弾いているノブ&フッキーのディナーショウが開催された。

580イヤ~、ホントにおもしろかった~!
帰りに産地直売でさくらんぼをお土産にゲット。東京の半額!
それと関ちゃんから「山田屋のふうき豆」のお土産まで頂いちゃって…コレ、メッチャおいしいね!
関ちゃん、色々とありがとうございました!
あ~あ、また行きたいな~、山形(暑い時期は除く)。

関雅樹の詳しい情報はコチラ⇒The Website of Masaki Seki

ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒Marshall Blog

※山形のさくらんぼって、よく絵に書くように必ず二個ペアになってるんだよ。

590(一部敬称略 2016年6月5日 山形市Lover Soulにて撮影  ※方言指導:Lover Soul Erika ご協力ありがとうございました!)

※Marshall Blogは明日より夏休みに入ります。8月18日頃に再開する予定にしています。
読者の皆様におかれましても楽しい夏休みをお過ごしください。
私はマーブロの仕込みをやってま~す!


<【巻末特別付録】標準語翻訳バージョン>

ガチャリ!
お、早くもお客さんが来てくれた!
みんなギターを背負ってる~!うれしいね!

380_2
まずは、お願いをして私からASTORIAの説明やら開発の裏話をさせて頂いたよ。
みんなフムフムと聞いてくれてありがたや。

390v
ASTORIAだけでなく、EyewearやStockwellも紹介させて頂いた。
Stockwellのこと、「麻雀パイのケースみたいの」だって!ウマい!そういわれてみりゃそうだ!
今時、そんな例えはそうスンナリ出て来るもんじゃない。さすが山形!
私も麻雀をやらなかったけど、今の若い人は麻雀パイのケースなんて見たことないだろうナァ。

490
そして、関ちゃんのデモンストレーション&ミニ・ライブ。
関ちゃんはすでにノブ&フッキーの大ステージでASTORIA CLASSICを使っている。
こないだのドイツ大使館でもいい音を聞かせてくれた。

400v
バッキング・トラックなし、一部ループ使用のソロ演奏。
420v

「Mercy, Mercy, Mercy」

410
「Lady Violetta」等をプレイ。

430
関ちゃん、こういう仕事に慣れていて実にウマいんだな~。
そして、何よりもASTORIA CLASSICの音が気持ちよさそうだ!

440v

後半はゲストが登場!

450
Lover Soulのマスター、ジョージ半澤さん!
山形市を代表する名ギタリスト。
まずはThe Venturesの「Pipeline」を。

460v
こちらはママのエリカさん。もう最高に明るくて愉快でチャーミングな人!スッカリ魅了されてしまった!

480
あまり演奏は聞いてない?
ウソウソ、ちゃんと要所要所は押さえていて「パイプライン」の「♪テケテケテケテケ」に合わせて華麗な舞いを見せてくれる。
Stockwellを持っているのはママの親友ちゃん。
すっかりメガネが気に入って今ではMarshall Eyewearを愛用してくれている。

500

マスターの歌で「Crossroad」。
マスターはDUALを使用。
極上のトーンでブルージーなソロをタップリと聴かせてくれた。

470
ミニ・ライブの後はお待ちかねの試奏タイム!

510
持ちよ寄ったお気に入りのギターをASTORIAにつないで大騒ぎ!

520
みんな楽しそう~!うらやまし~!

S41a0060
で、最後は記念撮影。
イヤ~、楽しかったな~。

2016年8月 5日 (金)

"Cafe de Player vol.1"~Inaba Plays Les Paul with ASTORIA編

さて、休憩をはさんで「Cafe de Player vol.1」の後半はレスポール様のお出まし!
昨日紹介した高崎さんのギターコレクション本と同時に「Player別冊」として上梓されたのが『The GIBSON Les Paul Stadard 1958-1960』というレスポールの写真集だ。

20vプレイヤー・コーポレーションの田中社長が編んだ、ロックの歴史を刻んだ名器の写真集。
しかも、「スタンダード、1958~1960年製」と的を絞った凝りようだ。

30v高崎本同様、「超」がいくつもつく労作だけあって、思い入れタップリに内容を解説する田中さん。ん~、確かにレスポールってのはいいもんだ。
高級感があって、いかにも「貴婦人」というイメージが漂うもんね。
そして、このフィニッシュの風合い。
Philp CatherineのカスタムもFrank Zappaのデラックスもいいけど、レスポールといえば、やはりスタンダードにトドメを刺すだろうナァ。
Tal Farlowに「Gibson Boy」なんて曲もあるけど、いつの時代も憧れだ。
ワタシャ、ニューヨークで生前のレス・ポールに会って、自分のレス・ポールの写真を見せて、本人と握手したのが自慢なのだ!レスは生涯来日しなかったからね。

35素晴らしい写真の数々はPlayer誌で長年活躍されている大谷十夢治さん。
同誌の売りでもあるセンターフォールドの写真でおなじみだ。
ゲストで登場。
高崎さんのギターの写真も大谷さんの手によるものだ。

40田中さんに撮影の心がけを問われると…「偉そうに写るように撮る」とのご返答。
わかるな~。自分なりにすごくよくわかる。
私はライブの写真を撮る時、ミュージシャンに畏敬の念を込めて撮っているつもり。だから老若男女を問わずミュージシャンには偉そうに写って欲しいといつも思っている。
ま、タマには撮るけど、最近やたらと見かけるお客さんが暴れている様子の写真なんかどうでもよくて、ミュージシャンが音楽をクリエイトするその作業の崇高さをひたすら写したいと思っているのだ。

50vそして、御大の登場!
田中さんが手にしているのは、1959年製のレスポール。
さすが田中さん、シレっと何でもなくお手にされているが、時価3,000万円は下らないと言われている世界の逸品だ。イヤ、もっと値が張るのかな?
この59年のレスポールというと、いつも思い出すことがある。
20年近く前にLAのギター・センターに行った時のことだ。
高級ギターのコーナーの壁に立派なアクリル・ケースに入った59年製のレスポールが展示されていた。
値段を記した小さなプレートに目をやると、「Formerly owned by Mick Ralphs」みたいな表示がしてあった。
そのギターの以前の持ち主はBad Company、あるいはMott the Hoopleのミック・ラルフスで、表示されていた値段は70,000ドルだったように記憶している。
当時の為替レートで1,000万円程度だった。
傍らにいた店員に訊いてみた。
「Did Mick sell this guitar to make ends meet?」
答えは「Oh, yes!」だった。
チョット寂しかった。
「make ends meet」の意味は自分で調べてみてください。
ビートルズの「Lady Madonna」にも「♪Wonders how you manege to make ends meet」という歌詞が出てきますな。

60vそして、デモンストレーターの稲葉政裕が登場!
3月のMarshall GALAで大熱演がまだ記憶に新しい。
稲葉さんは今回のレスポール本に付属しているDVDでデモンストレーションを担当されている。
その関係で激務の合間を縫ってこのパーティに駆けつけて頂いたというワケ。

70向かって左が58年製、右が59年製。
それをMarshall ASTORIA CUSTOMとDUALで鳴らして頂こうというヨダレものの企画だ。
ASTORIAは2015年製。
名手に名器…いい音がするにキマってんじゃんね~!
実は、こういう企画があるということを耳にして「是非ASTORIAで!」と北村さんに強引にお願いしてご採用していただいたのだ。
だ~って折角の58&59年のレスポールだもん。最高の音で聴きたいじゃん!

80さて、ここでASTORIAつながりで脱線。
実は稲葉さんはこの日がASTORIAデビューというワケではないのだ。

90v稲葉さんは、来る8月7日の甲斐バンドの日比谷野音での『THE BIG GIG AGAIN 2016』にASTORIA CLASSICを携えて出演されるのだ~!

95vこのあたりの写真はそのリハーサルの初日のようす。

100つまり、稲葉さんが初めてASTORIAをお試しになられた時のことだ。
お試しの結果はどうだったかって?

110vこんな感じ!
メッチャいい音!
この時は暫定のペダルだったので、本番の野音の時にはさらにグレードアップしたトーンを味あわせてくれるだろう。
楽しみ!

120vそして、パーティに戻って…。
今日、稲葉さんに弾いて頂くASTORIAはCUSTOMとCLASSIC。双方、直つなぎ。
レスポールとASTORIAの間にあるのはギター・ケーブルだけだ。

130まずは58年の方をDUALで。

140vクリーンとクランチの双方の音をチェックするためにDUALを用いた。

150稲葉さん、ゴキゲン!
175
59年の方も最高!
サラっとSteely Danの「Kid Charlemagne」のLarry Carltonのソロが出ちゃうところなんかホレボレしちゃう。
余談だけど、このソロ、Larryは完全にアドリブで弾いたっていうんでしょ?私は信じない。
Charlie Parkerじゃあるまいし、こんなソロをぶっつけで弾けるなんて「人間」ではないでしょう?…と、この曲を聴くたびにいつも思っています。

180
田中さんからの「違いはいかがですか?」の問いかけに…。

170_2 「あ、わかりません。両方良すぎちゃって、正直よくわかりません!」と稲葉さん。
音質がどうとか、弾き心地がどうとか…ま、普通はそういうことを答えるのが定石なんだけど、ゴチャゴチャ言わない。
稲葉さんは指で意見をおっしゃったのですな。
でも、MCがメッチャおもしろいのよ、稲葉さんは。
この日も爆笑の連続。
何でも高校の時にはもうGibsonレスポールとMarshallを使っていらしたという。

この後、ありがたくもお時間を頂戴して私もASTORIAの説明をさせて頂いた。

190v

後半はバッキング・トラックに合わせてのデモンストレーション。
DVDに収録されている稲葉さんのオリジナル曲や…

160vJeff Bechの「'Cause We 've Ended as Lovers」、The Allman Brothers Bandの「Jessica」他を演奏。
Dickie Bettsの話も面白かったな~。
あ、FilmoreでDuaneとRichardが使っているのもレスポールにMarshallのコンビネーションです。1959。
ジャケット写真を撮影したのはJim Marshall。このことはコチラに記しておいた。

200アンプはホットなクランチが魅力の赤いCUSTOM。

210稲葉さんじゃないけど、もう「わからん」!
「筆舌し難い」という表現があるけど、まさにソレ。
この音の素晴らしさは文章なんかで書き表せないよ!
また、誰にも文章なんかで表現して欲しくない。
ただ聴いて感動してもらいたい!…そんな音よ。

230vギターとアンプとそれをつなぐケーブルが1本。
それを操る音楽家。
一体、他に何を望もうか…Who could ask for anything more!ってヤツ(「I Got Rhythm」より)。
1958~1959年から約60年。
ギターは基本的にそれほど大きな変化を遂げていないが、アンプはテクノロジーの進化に翻弄されて、その姿をずいぶん変えてきた。
最近ではボタンひとつでいろんなメーカーの音が出るという便利そうなアンプが喧伝されているけど、それもよかろう。
そういう時代だ。テクノロジーの恩恵は大いに受けるべきだ。
しかし、我々はこのホンモノだけが生み出すことができる素晴らしい音を子孫に伝えていく義務があるのではなかろうか?
真空管を変えるのは面倒だし、金がかかるし、トラブルもないワケではない。
トランスという鉄のカタマリが入ったアンプ・ヘッドを運んで歩くのは労苦以外の何物でもない。
しかし、人類からこの音を奪い去っては絶対にいけない。

このビロードのようなレスポールのサウンドに包まれて、アンプ屋としてそんなことを考えてしまった。
そんな機会を与えてくれたPlayerさんと稲葉さんにこの場をお借りして心から御礼申し上げる次第である。
レスポールもASTORIAも大スキ!

235誰しもが感動した素晴らしい演奏に割れんばかりの拍手が送られた!

稲葉政裕の詳しい情報はコチラ⇒ina-p's blog

240_2『The GIBSON Les Paul Stadard 1958-1960』の詳しい情報はコチラ⇒Player ON-LINE

250vb『愛蔵版 高崎晃Guitar Collection』の詳しい情報はコチラ⇒Player ON-LINE

260vb(一部敬称略 2016年8月1日 一部を除き秋葉原CLUB GOODMANにて撮影)

2016年8月 4日 (木)

"Cafe de Player vol.1"~高崎晃編

今年も欧米のロック・フェスティバルに出演し、相変わらずの活躍ぶりを見せファンを狂喜させているLOUDNESS。
明日(現地時間)には、北ドイツで開催されるへヴィ・メタルの祭典、Wacken Open Airのステージに立つ。
そして、世界を又に掛ける演奏活動だけでなく、音源や周辺アイテムのリリースも盛んだ。
まずは以前にもMarshall Blogで紹介した『SAMSARA FLIGHT』が遂に7月にリリースされた。

10

「samsara(サンサーラ)」というのは 、サンスクリット語で「輪廻転生」を意味するそうだ。
だから『輪廻飛翔』。
「全ての物はそのままの状態として存在し続けることはないが、改変や連鎖を繰り返して存在し続ける。だからよいつながりが実現するように努力しなさい!」という教えなのだそうだ。
結成から35年が経過し、素晴らしい音楽の輪廻を具現化し、成長し続けているのがLOUDNESSなのだ。

20『SAMSARA FLIGHT』はCD×2+DVDの3枚組という構成。
CDはセルフ・リメイク・アルバムとファンが選曲したベスト・アルバム。
そして、DVDはにMarshall Blogでもレポートした『"THE SUN WILL RISE AGAIN"~30th Anniversary THUNDER IN THE EAST~ in JAPAN』と銘打った昨年9月7日の渋谷公会堂でのコンサートのもようが収録されている。
35年の活動のマイルストーンとなるような豪華作品だ。

LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website

30そしてコチラも以前Marshall Blogで紹介したアイテム。
『愛蔵版 高崎晃Guitar Collection』…高崎晃のギター・コレクションを網羅した豪華本がPlayer誌別冊としていよいよリリースされた!
印刷に立ち会い、ディティールにまでこだわった美術写真集級の美しい仕上がりで、増刷の効かないハンドメイド・クラスの逸品だ。だからOne-offの限定生産。
実際、持っただけで、制作者の意気込みと情熱と愛情が伝わってくるような重厚な作りだ。
もちろん題材がそれを手伝っていることは言うまでもない。
ページを繰るのが全く申し訳ないぐらい!
そして、掲載された美しい写真の数々。
「物撮りの最高峰」のような、完璧、かつドラマチックな写真が満載だ。
それにとてもいいニオイなの…柑橘系とか、シトラス・ミントとかいう意味ではないよ。
高級な本にだけ漂う紙とインクの芳香。
私はコレと中古レコードのカビのニオイが大スキなのだ。
80v
6月13日までに予約された方には予約特典として、これまでPlayer誌に掲載されたLOUDNESS関連の記事の80%を網羅しているCD-ROMが付けられた。
CD-ROMの盤面にあるように、1979年からの記事が収録されている…って、LOUDNESSのデビュー前じゃんか!とお詳しい方にはピンと来るハズ。
そう、何とLAZYに関するの記事も読むことができるのだ!
『Young Mates Music』を母体として『Player』誌が創刊されたのは1968年のこと。
『Sgt. Peppers』の翌年だよ。
そんな長大な歴史を持つの老舗雑誌だけが成し得るうれしい企画なのだ。
110

さらに、切り離せば4枚の絵ハガキになる「オリジナル・ポストカード」も予約特典としてプレゼントされた。

100

世界がうらやむMarshallを含む高崎さんのバックラインも紹介。
高崎さんに愛用して頂いてきたMarshallの社員として、私もインタビューを受け、紙幅を汚させて頂いた。
うれしいなったらうれしいな…愛蔵の宝物となった!
もちろんイギリスにも1冊送付させて頂く。

愛蔵版 高崎晃Guitar Collectionの詳しい情報はコチラ⇒Player ON-LINE

120
これまで歴史的に別冊を上梓することがマレであったというPlayer誌。
ここまで気合の入った冊子の刊行ゆえ、出版の記念イベントが催された。
題して『Player Presents 'Cafe de Player vol.1" ~Player W別冊記念パーティ 』。
実は今回別冊が2冊上梓されているため「W」になっている。
今日はパーティの前半、「高崎さん」の部をレポートする。

40v会場内に貼られた高崎さんやその愛器、さらにレスポールの写真の数々が雰囲気を盛り上げる。

45司会進行を務めたのは編集部の北村和孝さん。
高崎本は北村さんの労作だ。
私のインタビューも北村さんにお声をかけて頂いて実現した。
まずは開会のご挨拶があって…

50v株式会社プレイヤーコーポレーションの田中社長からご挨拶が述べられた。

60vそして田中さんのご発声で乾杯!
出版記念のパーティだからね。
労作の出来、おめでとうございます!70現在休暇中の高崎さんからはビデオ・メッセージが届けられた。

90北村さんから高崎本の仔細な説明や苦労話があり、パーティ前半のメインイベントにさしかかる。
主役はコレ。
真ん中はイギリスが誇るオーディオ・ブランド、マッキントッシュだが、コレが主役ではない。
その両側にセットしてあるやや大きめのコンソール。

145 この機器を製造している株式会社エルプの竹内さんから説明がなされる。

150v

コレは針を使わないレコードプレーヤー。
レーザーの照射によってレコード溝を読み取る夢のプレーヤーまもだ。
こういう機械があるということを耳にしたのはもう相当前の話になるが、実物を見たのはこれが初めて。
160

素晴らしい音質。
針やカートリッジがない分、レコード盤の溝をダイレクトに読み取るため、ピュアな音像が得られるのだそうだ。
これでいいアンプとスピーカーを揃えてさ、ホッピー片手に名録音・名演の誉れ高いジャズのレコードを聴くワケよ。
ナニ聴こうかな~。クラシックも用意しとかなきゃな~。

140リアパネルは実にシンプル。

170パーティは、会場のライブ用のPAシステムを利用し、LOUDNESSをはじめとした高崎さん関連の音源の試聴会となった。
耳もツン裂けんばかりの超爆音!
オリジナル盤とオリジナルのリマスター盤の聴き比べもおもしろかった。
いつも書いている通り、私は死ぬまでにはなるべくたくさんの音楽を聴きたいと思っているので、プレスによる音の差異のようなものにはほとんど興味がないのだが、へへへ、おもしろかった。
何せ二井原さんの歌声が前だったり中だったり…定位という意味ではなくて、ヌケというか張りというか…全然違うのだ。
樋口さんのバスドラムの音の深さや輪郭なんかもガラリと変わる点に驚いた。
イヤ~、マジでスゴかったわ~。

レーザー・ターンテーブルの詳しい情報はコチラ⇒株式会社エルプ公式ウェブサイト

180もちろん会場では本が即売された。

130

<つづく>

(一部敬称略 2016年8月1日 秋葉原CLUB GOODMANにて撮影)

2016年7月21日 (木)

ドイツでバッタリ、ASTORIA

久しぶりにドイツに行って来た。
昔は春になるとフランクフルトに行って、Marshallの連中とワイワイ楽しく、かつガンガンハードに仕事をしたものだ。
Frankfurt Musik MESSEという世界最大の楽器の展示会ね。今は上海の展示会の方が大きくなっちゃったのかな?
フランクフルトでは英語は言うに及ばず、そこでMarshallの連中からずいぶん色んなことを教わり、様々なことを経験した。
一番最初にフランクフルトに行った時は、「何て愛想のない街なんだろう…」と驚いた。
何となく街全体が灰色で暗いイメージだった。
ドイツ人の友達がこう言っていた…「シゲ、間違ってもフランクフルトがドイツのすべてだなんて思わないでくれよ!ドイツはものすごく美しい国なんだ」…結局、その後何回もドイツに赴いたが、行ったところといえば、完全にフランクフルトだけだ。
例え灰色に映る街でも、私にとってはMarshallの連中との友情を育んだ楽しい思い出がつまった場所だ。今の自分の地位を築いた礎がそこにあったとしても過言ではないであろう。
そのMusik MESSEのことはアーカイブ的にまた書き下ろしでMarshall Blogでレポートしたいと思っている。

10さて、今日のドイツは時差なしの日比谷線で行くドイツ。
広尾にあるドイツ大使館のことだ。
「ナ~ンダ」ということなかれ、ひとたび一歩大使館の敷地に足を踏み入れれば、ご存知の通りそこはドイツ。
治外法権っていうヤツ。

6_plate 今日のMarshall Blogはココで開催されたチャリティ・パーティのレポートだ。
『ドイツ人支援基金ガーデンパーティー』という日本在住のドイツ人を援助する資金を募ることを目的としている。

Bdf 我が人生、イギリスに次いでふたつめの大使館。

6_plaque大使館の中なんてそう易々と見ることはできないからね。
ジックリと案内しちゃうよ!

6_appearance あ~、ドイツだ。ドイツに来ているんだ!…と思い込むとまた楽しさもひとしお。
フランクフルトを思い出すナァ~、ウソこけ!

20チョット庭を散策しましょうかね。

30こんなんなってる。

40

イギリス大使館も見事だったけど、ココも東京のど真ん中とは思えない別空間。
50最初の駐日ドイツ大使館は1863年1月に横浜市に設けられた。
その後、1865年に現在の場所に移設されたそうだ。
家内の親友はドイツ人男性と結婚して、女の子を授かった。可愛い子でね。
学校に上がる年になってその友人が知ったことは、ドイツ語を話す小学校というのは日本で横浜にしかないということだった。
アメリカン・スクールというのはよく聞くけど、確かにジャーマン・スクールというのは聞いたことがないもんナァ。
それも日本での初めてのドイツ大使館が横浜に設けられたことに起因しているのかもしれない。

60このあたりはガーデン・パーティの会場。

70順調に準備が進む。
何だか映画『ゴッドファーザー』のアル・パチーノとダイアン・キートンの結婚式のシーンみたいじゃん?

80ドレス・コードはないものの、皆さんとてもキチっとした身なりでセレブ感バッチリ!
私なんかいつものMarshallシャツだよ。すなわち仕事着。

90開宴時間が近づいて母屋(?)に人が集まって来た。

100_2そして、セレモニーが始まる。

110まずはご挨拶。
マイクを握っていらっしゃる方が大使のハンス・カール・フォン・ヴェアテルンさん。
パーティの趣旨や参加の方々への感謝の言葉が述べられた。

120開会の儀式。
ドイツ式の鏡割り?

130日本酒ではなくてもちろんビール。
ビヤ樽の栓を木槌で開く。
ドイツでもホントにこんなことやってんの?!

140失礼ながら、私にとって、ビールに関してはイングリッシュ・エールがナンバー・ワンだけど、ドイツのバイツェン・ビアも捨てがたい。
イングリッシュ・エールより冷たいし、あの香りがタマらない。細長いグラスて頂くのがまたおいしいんだ!
フランクフルトの展示会では、毎日仕事の後、帰り道にみんなで駅前のパブでイッパイひっかけたものだ。150んでもって、カンパ~イ!

160参加料には2ドリンクとフリー・フードが含まれている。

170現地で紹介してもらった新しいお友達Enlyちゃん。
彼女もシンガーソングライターとしてバリバリ活動している。
プレッツェルをゲットしてゴキゲン!

200v

館内に入る。どうでもいいことなんだけど、気になったのがこのトイレの案内。
なんで「トイレ」と「洗面所」が併記されてんの?…と思ったけど、「洗面所」は中国人のお客さん向けということか?
トイレのことを中国語で「洗面所」っていうのかどうか知らないけど。

180さすが!廊下にはヨハネス・ブラームスのイラストが。
The BandのGarth Hudsonだったりして…。

190外ではガーデン・パーティ。
母屋の中ではバンドによるダンパ。
舞台にはズラリとMarshallが並べられた。
左から1974XとASTORIA CLASSIC。
ドラムをはさんでASTORIA CUSTOMとDUAlだ。

210バンドはMackie the Band。

220川上真樹

230vMarshall Blogではおなじみの関雅樹。

240v関ちゃんは1974XとASTORIA CALSSICを併用。

250v足元のようす。
音に関しては関ちゃんも極度のうるさ方だ。

260上手のギターはFrank Kato-Bernhardt
このパーティの立役者にして大のMarshallズキ。
かつてはこの大使館に勤務されていたが、現在は海外に転勤になってしまった。

270vこのパーティのために一時帰国。
何から何までお世話になってしまった!
Danke schon, Herr Bernhardt!
それほどドイツに行っていたのに覚えたドイツ語といえば「アインフォフ ツグライフェン」という表現ぐらい。
コレ、「おひとつどうぞ」という意味。
Marshallのブースに詰めていて、あまりにもたくさんのドイツ人が「ポスターをもらっていいか?」と訊いてくるので覚えてしまった。
FrankはASTORIA DUALを使用。

280vベースはのまぐちひろし

290vドラムは八木一美

300v約30分のステージを全部で3セット。

380おなじみのロックのスタンダードを次から次へと演奏する。

390vそして、お客さんを踊らせなくてはならない!
踊ってる~!

395「Take it Easy」で始まり、レパートリーはかなり幅広だ。
もちろん全セット違う曲で構成する。

396ボーカリストが加わる。

400StuartO (スチュアート・オー)

410vスチュアートは以前にもMarshall Blogにご登場頂いている。
久しぶりの再会。だいぶスリムになっちゃって!私も見習わねば。
熱唱&激演ぶりは相変わらずだ。

420外はもうスッカリ真っ暗。
460
ガーデンの方も盛り上がってる!

440何台もカメラをブラ下げて歩いていたら、「写真撮ってくださ~い!」なんて声をかえられパチリ。
Marshall Blogにご登場頂きました!
向かって左の女性、後で少しお話しをうかがったところ、かなりの珍名さん。
私、結構な珍名マニアでしてね。珍しいお名前の方に出くわすと、必ずご出身を確認することを励行している。

450David Bowieの「Starman」なんかも演奏ってたな。
実は私も25年ぐらい前は長野のパブで8年近くハコバンをやってたのですよ。
オールディーズを中心に、ジャズからハードロック、歌謡曲まで色んなのを演ったな。
楽しいよね~。

470歌い出しがShocking Blueの「Venus」と同じBon Joviの曲なんかがウケていたけど、やっぱり世代の違いを感じるね。

480ギター陣、ふたりともASTORIAでノ~リノリ!
やっぱ音がいいと気合が入るよね!

490各ステージの後半はオーさんがリード・ボーカルを担当。

500vさすが皆さん慣れていらっしゃって、スムースに盛り上げていく手管がスゴイ!

510ちゃんと笑いも取っちゃうし!
「いい湯だな」は演ってないです。

520お客さんもステージの回を重ねる度に大胆に!

545

ちゃんとダンス板をセットしてるもんね。
コレは社交ダンスをするときに、靴底がスムースの滑るように使用する1m四方のダンス専用の板。
学生の時、コレを敷くアルバイトを何回かやった。
「世界ダンス選手権」を開催する武道館みたいなデカい会場だと、当然モノスゴイ数の板を使うんだけど、最初の方に敷いた全体の中心となる板の組み合わせにホンの少しでもズレがあると大変なことになる。
ズレにズレが重なって、端っこの方になると、ヘタをすれば50cmぐらいの誤差が出て、ヘリがギザギザになってしまうのだ。
だからそういう大きな会場の時は、会社の責任者が最初の板の組み合わがちゃんと出来ているかどうかをまず確認して、それがOKであれば大勢の学生でジャンジャン板を付けたしていくのだ。
どうでもいい話しなんだけど、コレを見てついなつかしくなっちゃって!

546

大使も奥様と楽しくダンシング~!
向こうの人はこういう機会があると実にウマく踊るんよ。
決して踊りがウマい人ばかりなワケではないんだけど、人が集まれば音楽を奏で、音楽が奏でられればそれに合わせて身体を動かす…このプロセスを本当に自然にこなすんだよね。
そして、すごく楽しそうにしている。
音楽のあり方が日本と丸っきり違うのだ。

550

外も盛り上がってる!
540
ステージもいよいよ佳境。
Frankがフィーチュアされる!

530パーティの立役者に花束が贈られた。
また近々日本を発っちゃうからね。
ご苦労様でした!

560最後はメンバー一丸となった大盛り上がり大会。
ダンス・フロアでは老若男女を問わずお客さんが踊りまくってる!

570あ~楽しかったね!
関ちゃん、Frank、どうもありがとう!
今日も大活躍のMarshallでした~。

関雅樹の詳しい情報はコチラ⇒The Website of Masaki Seki

590会場に落ちていた紙袋。やっぱドイツだね~。

Marshall ASTORIAの詳しい情報は⇒いよいよASTORIAが出るよ!

600<タイトルについて>
名キーボードプレイヤー、小川文明さんがご存命の頃、和佐田達彦、そうる透、武藤祐生、そして田川ヒロアキの5人でSPICE FIVEというバンドをやっていた。
演奏もしゃべりもアドリブのこのバンドがおもしろくて、ずいぶんMarshall Blogにライブ・レポートを掲載した。
一方、フランクフルトのその展示会で私がMarshallのブースにいると、人ゴミのなかからSPICE FIVEのメンバーでヴァイオリンの武藤さんが突然現れた。
かなりビックリした。そんなところでバッタリ会うなんて想像だにしていなかったからね。
そしたらその話を聞いたヒロアキくんがその晩のステージで、「♪ドイツでバッタリ~」とアドリブで歌ってくれたのだ。
コレがおもしろくて忘れられず、今日の記事のタイトルにさせて頂いた…という楽屋落ちでした。
今頃ヒロアキくんもコレ見て笑ってるハズだ。

(一部敬称略 2016年6月3日 駐日ドイツ大使館にて撮影)

2016年7月11日 (月)

ペギのドラム・ショップ・スタッフ体験記

20_2グッドモーニングアメリカのペギによるNATALクリニック第二弾!
会場はお茶の水ドラムコネクションさん。すなわち「ドラコネ」。
このポスターにある『ペギのドラコネスタッフ体験!!』というのは、文字通りペギちゃんにドラコネの店員さんになってもらおうという企画。

10そして、もちろんデモンストレーションもあり。
ただいま会場の設営中。

20_3ドラコネさんにはNATALスネアを色々と展示して頂いている。

30人気のARCADIAシリーズのアクリル・スネアも!
ありがとうございます。

40ペギ店員登場。
胸の名札がカッコいい?!

50まずは日課の朝礼から。
ペギちゃん、気合入ってます!

60さっそくペギ店員から業務に関する質問が…。
「バイト代はいつ上がるんでしょうかッ?」
オイオイ、まだ1秒も働いてないぞッ!

70v…ということで、さっそくお仕事。

80vレジに入ってファンの方々とおしゃべりしたりサインをしたり。

90セッセ、セッセ。

100次は、NATALのスネア・ドラムを買ってくれたお客さんへのプライベート・レッスンだ。
お客さんは先日のクリニックで舞台に上がってドラムをプレイしてくれた彼だ。
ありがとうございます!

110今、スタジオの中ではペギちゃんの厳しいドラム教室が行われている。
「ナニやってんだ!」、「しっかりせんか!」、「腕立て50回!」…などという怒声が漏れ聞こえてくる。

120なんてことはもちろん一切なくて、ペギ先生の懇切丁寧なレッスンだ!
これだったら私も受講したいナァ。

130ハイ、お疲れさまでした!

160v

さて、クリニックの準備も完了。
これが今日ペギちゃんが使うNATAL。
メイプルのキット。フィニッシュはグロス・バーガンディだ。

150お客さんがお揃いになったところでペギちゃん登場!

170vまずはごあいさつ。
「この距離、大丈夫ですか?激しくやるので、いい刺激になると思います!」

180「動画もOKですよ!」のひと声で一斉にスマホの花が咲く!

190まずは「コピペ」。
客席から「ヤバい!」、「カッコいい!」の声が上がる!

200v今日はQ&Aが中心の内容だ。
コレがまたいいんだ!
ペギちゃんのトークのうまさ、おもしろさは尋常ではないからね。

210例によって質問だけ記しておくと…あ、ペギちゃんがどう答えたか知りたかったら是非ペギちゃんのNATALのイベントにお越しくだされ。
どんな質問にもおもしろおかしく、しかしマジメに答えたくれた。

220v●ペギさんがドラムを始めたキッカケは何ですか?
●グドモで一番ムズカシイ曲は?
●NATALを使っている理由は?
●今の髪の毛の色の名前は?
●「ディスポップ・サバイバー」の最初はどうプレイしているんですか?
●なぜゴールデン・ボンバーと共演したいんですか?
●ライブの見せ場はどこですか?
●フェスで「少年」を演って欲しい!
…等々。
それにしてもペギちゃんはトークがウマいね。
まず、「エ~」だの「ウ~」だの絶対に言わない。何でもスッと答える割には話す内容が理路整然としていて、言葉に重みがある。頭のいい証拠だ。
しかし、それでいてとてもフレンドリーなのだ。
私もペギちゃんを見習わねば!
例えどんなに自分より年下でも、優れた部分は素直に参考にさせて頂く…それがオレ流。
あ、こんなオッサンのことはどうでもいいか。

230反対にペギちゃんからお客さんに質問するシーンも。
男女でお越しのお客さんに向かって…「そちらのお二人さんはカップルですか?」
すると、そのお客さんが「去年初めてグドモのライブを見に行って感動しました」。
加えて、「今月結婚しました」と発表!
「今月」だぜ!ということはまだ一か月経ってない!私なんか来年で30年だからね。
「おめでとうございます!」とペギちゃんと会場のお客さん全員からふたりに祝福が贈られた。

240もう一曲。
「ナニを演ろうか…」とさんざっぱら悩んだ結果、「アブラカタブラ」に使用と思ったら、アララ?
お客さんの反応が微妙…。

280

ほんじゃ、カップルさんのリクエストで…「未来へのスパイラル」に決定!「♪オ~オ~オオ」で盛り上がる!

290v

店内に響き渡るペギちゃんの爆音!
この爆音がグッドモーニングアメリカをドライブさせるのですよ。

300

そう、NATALのドラムは飛び切り鳴りが良いので、とりわけ音が大きいのだ。
しかし、バランスがすごくいいので、とても叩きやすい。
その音色が「音楽的」とよく言われる。

310v

ペギちゃんお手製のクジ引きコーナー!

250今回もレアなTシャツや…

260v愛用のシンバルなどがファンにプレゼントされた。

270最後はみんなで記念撮影。

320終演後、レッスンを受けた彼のスネアにペギちゃんからサインのプレゼント。

330_2最後までサービス満点のペギ店員なのであった!

340vさて、グッドモーニングアメリカ企画のイベントが明後日からスタートする!
こちらも楽しみだ!
初日のO-WEST行って来ます。

Yla グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒Official Site
クロサワ楽器お茶の水ドラムコネクションの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

350v(一部敬称略 2016年5月29日 クロサワ楽器お茶の水ドラムコネクションにて撮影)

 

 

2016年6月13日 (月)

ペギのNATALスペシャル・ドラム・セミナー

私はクリニックとか展示会のようなイベント仕事が好きで、前にいた会社では北海道から九州まで腕利きギタリストを伴って国内を回り、「Roadshow」と称したMarshallのクリニックを頻繁にやらせて頂いたものだ。
今日はそんなクリニックのお仕事。
グッドモーニングアメリカのペギによるNATALのセミナーだ!
ところで、NATALは「ナタール」と読んでくださいね~!

10_3以前、『ナタール・ドラムをサワール。そんな企画でゴザール』というNATALドラムのショウケース的なイベントを開催したが、今回はペギちゃんを講師に迎えたクリニック・タイプの内容だ。

20秋葉原のイケベ楽器ドラム・ステーションさんのご協力によって開催された。
満員御礼!
会場はギターを眺めながらイッパイできるというバー「IkeBECK」さん併設のスタジオ。
私はといえば、もう大分前の話になるが、クリニシャンによる4曲の演奏とおしゃべりで、3時間半に及ぶクリニックをこのスタジオでさせて頂いたことがある。
イヤ~、あの時はよくしゃべったな~。
お相手がジャズ・ギタリストで、すっかりジャズの話しで盛り上がっちゃったんだよね。
とにかく、お客さんがもっと2人の話しを聞きたい!とおっしゃるもんだから、つい調子に乗ってしまったのだ。
あ、Marshallのクリニックでしたら台本なしで3時間ぐらいイケます。ま、本を2冊も書けばいい加減だいたいのことは頭に入るわね。
題して『講談:ジム・マーシャル物語』ね。お仕事お待ちしております!

30今日の司会はドラム・ステーションのコージー村上さん!
「知る人ぞ知る」ではなくて、ドラムに関係する日本国民なら全員おなじみのお名前だろう。
昔、村上さんが司会をご担当された菅沼孝三さんのドラム・クリニックに遊びに行ったことがあったんだけど、その中で孝三さんは村上さんをこう紹介されたていた。
「この人、異常ですねん。だってコージー・パウエルのドラム・キットに使われているビスやワッシャー、とにかくひとつひとつまで全部頭に入ってはるんですわ~」
ま、村上さんなら全然不思議はないでしょうね。というぐらいのカリスマ店員。
あ、ちなみに「カリスマ」は英語では「カリーズマ」と発音するので注意。

30v_2先日劇的な復活を遂げたBLIND MANの元メンバーで、現在でもドラマーとして活躍していらっしゃる。
かつてMarshall Blogにもご登場頂いたことがある。
その村上さんが、この度なんとシンバルの教則DVDをリリースした。
制作はアルファ・ノート。四月朔日さんのところやね。
また「四月朔日(わたぬき)さん」なんて珍しいお名前が登場すると、Marshall Blogとしてはつい大脱線しそうだけど、安心してください、もう書いてますよ。
ということでコチラをご覧頂きたい。ご本人も登場してる。
そして、もうひとつ。
わが友、三宅庸介もアルファ・ノートさんから教則DVDをリリースしている。
『ストラトのポテンシャルを200%引き出す極意』という作品。
Marshall Blogで制作現場をレポートしているので是非コチラをご覧あれ。
さて、シンバルDVD…ちょっとダイジェストで拝見したけど、とてもタメになりそうなコンテンツだ。
あのね、私もシンバルにはうるさいよ。
ナニせZildzianの歴史本の翻訳の監修をしたからね。原文(英語)で全部読んだからね。
ところで、いつも思うのは、ドラマーの皆さんってたいていスネア・ドラムを持参するでしょ。
で、「シンバルvs.スネア・ドラム」を考えてみる。
8ビートであれば1小節にライド・シンバルが叩かれる回数は8回。ハイハットでもいい。
方やスネア・ドラムはゴースト・ノートを除いてたったの2回…つまりシンバルの1/4。
16ビートなら1/8だ…となるとシンバルの重要性がおのずとわかろうというモノだ。使用頻度だけの話だけなので間に受けないように…。
イケね!オレ、ドラム屋だった!
ドラマー諸兄、特にシンバル好きやお悩みの方に是非オススメのDVDだ!

40dvd村上さんのご挨拶の後、ペギちゃんが登場!

1_s41a0017まずはペギちゃんから一言。

40vペギちゃんはこうしたクリニック的なお仕事は初めて。
開演前はトークが心配でかなり緊張していると言っていたが(まったく緊張しているようには見えなかったけどね)、始まってみたら「立て板に水」!
65v
仕込みもバッチリでいきなり爆笑のウズ!

60さて、今日ペギちゃんが使うNATALはメイプルのキット。
12"、13"、16"、22"、14"x5.5"。
フィニッシュは美しさが定評のブルーのラメラメ、シースパークル。

70CSをバッターに張った(ここ韻を踏んでますな)メイプル・サウンドはメッチャごきげん!

80セミナーはペギちゃんと村上さんとのやり取りで進行する。

90まずはバッキング・トラックに合わせて1曲。

100「拝啓、ツラツストラ」だ。

110vダイナミックながらも緻密なドラミングは見ていて実に気持ちがいい。

120村上さんとのNATAL一問一答。

125村上さんからNATALの歴史が説明された。

140ペギちゃんからNATALの魅力について語られる。
これまで、ペギちゃんはバーチ、ウォルナット、アッシュ、ブビンガのNATALを使用してきた。
特にアッシュやブビンガがお気に入りだ。
武道館でも使用したブビンガ・キットについては、アタック感が強く、低音が豊かなところが魅力。
メンバーもすごくよいと言っている。
パンチ力があってソフトに叩いてもよく鳴るが、決して鳴り過ぎない。
チューニングもしやすいくメチャクチャ気に入っている。
…ということだ。

150v続いてはペギちゃんが影響を受けたTaylor Hawkinsを擁するFoo Fightersの曲を一発!
170v
実はペギちゃんがメイプルのキットを叩くのは今回が初めて。
サウンド的にはグドモっぽくない…というペギちゃんだが、「オールド・ロック」的と評価した歯切れのよいサウンドに大満足。
「オールド・ロック」的か…道理で聴いててシックリくる音だと思った!

160「誰かをオレの道連れにしたいな…誰かNATALを叩いてみる人!」ということで、お客さん参加コ~ナ~!
ちなみにこうしたプログラムはすべてペギちゃんが組んできてくれた。
さて、今の子は度胸あるね~!バッチリ手が上がるもんね。
ふたりとも21歳。

180ペギちゃんにイヤモ二をつけてもらって…と。

190ひとりは「空ばかり見ていた」をプレイ。
ペギちゃん、楽しそう!

200もうひとりの彼はア・カペラでプレイ。
ペギちゃんは「途中で何の曲かわかっちゃった!」と「ウォールペーパーニュージックじゃ踊りたくないぜ」を大明解!

210ふたりにはペギちゃんからギャラがわりにスティックがプレゼントされた。

220質疑応答を交えながらセミナーは進む。
そして、ここで3曲目…「イチ、ニッ、サンでジャンプ」

230お客さんをステージに呼び上げてペギちゃんの360°を公開!

240v動画もOKのサービスぶり。フトッ腹!

250みんな真剣!

260続いて、大質問コ~ナ~。何でも訊いてくれ!
●ドラムを始めたキッカケは?
●初心者はナニから練習したらいいか?
●リズム・キープのコツ
●手と足が一緒に動いちゃうんですが、どうしたらいいですか?
●今、ペギちゃんが取り組んでいる練習方法は?
●ドラマーにとってどういうギターを弾いてもらいたいですか?(え?)
●長時間ドラムをプレイするための体力づくりの方法は?
●ルーディメンツは実際に曲の中で使っていますか?
●「アブラカタブラ」のドラミングについて
●好きな異性のタイプは?
等々、ドラムの初心者、経験者、ファンならではバラエティに富んだ質問が寄せられた。
ペギちゃんはそのどれもに熱心に応えてくれたが、まだペギちゃんのクリニックを見たことがない人たちの楽しみのために答えは次の機会にキープしておこう。
でも、コレを読んでいる女子ファンのために「好きな異性のタイプ」だけは発表しておいてあげるね。
ペギちゃんが好きな女性のタイプは…ダラララララララララララ(ドラム・ロールbyペギ)
★よく気がつく人
★女子力が高い人
★気が強い人はあまり好きじゃない
…だそうです。参考になれば幸いです。


こういう時って、楽器をやっている人からは圧倒的に練習に関する質問が多いんだよね。
ま、ドラマーでない私がが何ですが、「いいミュージシャンはいいリスナー」ということで、リスナーの先輩としてひとつだけ言わせてもらえば、最大の練習法は、「できる限りたくさんの、そしていろんなタイプの音楽を聴く」ことですな。
皆さんが今聴いている音楽以外にも素晴らしい音楽が山ほどあります。
今、皆さんたちのような若い人が聴いている音楽は氷山の一角にもなりません。
ミュージシャンを目指す人は、積極的に自分でいい音楽を探してみてください。
ロック、ブルース、ジャズ、クラシック、民族音楽…いくらでも素晴らしい音楽がありますから。
そして、憧れのミュージシャンがいれば、そのミュージシャンのルーツをたどってみること。
大好きなペギちゃんがTaylor Hawkinsが好きだったらTaylor Hawkinsがどんなドラマーに影響をうけたかを調べる。
答えは、GenesisのPhil Collins、The PoliceのStewart Copeland、QueenのRoger Taylor、RushのNeil Peart等々だそうだ。
そして、それらを聴く。
GenesisとFoo Fighterの音楽は似てもにつかないモノだけど、あなたはGenesisの音楽に出会い、それを気に入るかも知れない。すると、「プログレッシブ・ロック」ってなんだろな?と興味を持ち、King CrimsonもYesも好きになるかも知れない。
Stewart CopelandはThe Policeで名を馳せたが、その前にはCurved Airというバンドにいた。この時のドラミングが滅法カッコいいんだけど、Curved Airの最大の特徴はDarryl Wayという人が弾くヴァイオリンだ。
すると、今度はヴァイオリンの音色に魅せられてJean Luc Pontyを聴き出すかも知れないし、あなたが女性なら昔のEddie Jobsonの姿にメロメロになるかも知れない。
さらにそのルーツを探るとブルースやジャズにたどり着くだろう。
もちろんそれらを楽しんでもいい。ジャズなんか一旦はハマってしまうとおもしろすぎてロックに戻ってくるのが大変だ。
我々の世代は10代の半ばでこういうことをやった。携帯もゲームもなかったので、こうして思いっきり音楽を楽しんだ。
いいナァ、若い皆さんがうらやましい。だって素晴らしい音楽の数々をこれから楽しめるんだもん!

270もう一度、視聴者参加コーナー。

280丸っきり初心者の女性もペギちゃんがしっかりサポート!
「できた~!」の瞬間。

290いずれにしても、忘れちゃならないのは「ドラムはナタール」ですからね~!

300そして、最後はペギちゃんグッズが当たる抽選コーナー。

310Tシャツ…ペギちゃんのドラミングが見たくて来たという女性。「八フェス楽しみにしています!」

320使用済みシンバル!
ロッキン・ジャパンで見てグドモが好きになったそう。

330リストバンドが当たった彼女はさっきドラムをプレイしてくれた人。
何と沖縄からワザワザNATALのために?…あ、違いますね?

1_img_0167 ライド・シンバル!…来月のライブで使います!

340最後はペギちゃんの模範演技で締めくくりましょう。

360v曲は「言葉にならない」。

1_img_0119 イヤ~、盛りだくさんで楽しかったわ~。よく笑わせてもらいました!

1_img_0185 いつもグドモのステージでは唯一MCをしないメンバーがペギちゃんなんだけど、何よアナタ!
メチャクチャおしゃべり上手じゃないのよ!
私は近い将来のグドモのステージでペギちゃんがマイク片手にしゃべりまくる日を楽しみにしております。

410v最後にみんなで記念撮影!
ご来場ありがとうございました。
ハイ、合言葉…ドラムは~?
ナタール!!

430_2

グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAL WEBSITE

池部楽器店 ドラムステーション リボレ秋葉原の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

420v(一部敬称略 2016年4月30日 イケベ楽器IkeBECK特設会場にて撮影 ※協力:ラブレアトレーディング)

 

2016年1月28日 (木)

SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト vol.6 <後編>

たんこぶちんのエネルギッシュな演奏の後、コンテストは後半に突入する。
『SCANDAL コピーバンド/ヴォーカリストコンテスト』、泣いても笑ってもあと3組!

後半のトップ・バッターは「月とミルクティ」というバンド。
演奏曲は「DOLL」。
人気の高いSCANDALスタンダードだけに会場も盛り上がる。

10_2いいバンド名だね。サマセット・モームかと思ったらさにあらず。
ヴォーカルさんの独特なパフォーマンスが観る者の目を惹き付ける!

20v

30v

40v

50v

60

70v出たよ、中学校一年生!
今回の最年少は愛知から参加のSHIOKA with THE 5STARS☆。
しかも結成して3ヶ月だってよ!…というのはこのコンテストのために結成したとか。

80_2演奏したのは「声」。
私が初めてバンドコンテストに出たのは高校一年の時だったかナァ。Wishbone Ashのコピーかなんか演ってボロボロだった。それに比べて何とレベルの高いことよ!
こうしてアマチュア・バンドの年齢をグッと引き下げたSCANDALの存在は大きいと思う。

90v_2

100

110v_2

120v3,000組の最後を締めくくるのは生姜乙女バンド。
バンド名に「乙女」なんて入ってるとドキッとしたりして…あ、安心してください、下司な意味で言っているのではありませんよ!
神奈川出身の高校生。

130_2選曲は「下弦の月」。
観客も総立ちのノリノリの演奏はコンテストの幕を下ろすにふさわしい華やかなものであった。

140v

150_2

160_2

170_2エントリー6組の熱演が終わったとこでステージにはSCANDALのコンサートではおなじみのMarshallが登場。
MAMIちゃんのMarshall、JCM2000のDSL50と1960AVと1960AXだ。
お待ちかねのSCANDALのミニ・ライブの始まり~!

180_2もうね~、SCANDALのステージはお客さんのパフォーマンスもスゴイのね。
とにかく「SCANDALと一緒に楽しんじゃおう!」感がすさまじい。要するに「熱狂的」ってヤツなんだけど、見ていてうらやましい。
今日も演る方も観る方もスロットル全開だ!

240_2

Marshall Blogには久々にご登場頂く4人。

HARUNA

200vMAMI

210vTOMOMI

220vRINA

230v1曲目は「瞬間センチメンタル」。

190_2

続いて「少女S」。

250vMAMIちゃんのシャープなプレイ!

260_2やっぱりMAMIちゃんにはMarshallがピッタリなのだ!

270_2ボーカルとベースの他にも、ステージせましと大きなアクションで魅せるTOMOMIちゃん!

280v切り込み鋭く、でもおしゃれにバンドをドライブさせるRINAちゃん!

290_2新曲「Sister」を演奏した後は「Your Song」へと続く。

300_2途中でアコギもプレイしたHARUNAちゃん。
存在感抜群のパフォーマンスはSCANDALをSCANDALたらしめる。

310v持ち時間は短いけど、思いっきりSCANDALを見せてあげましょう!的なサービス精神がタマらない。
そんなSCANDALのステージにもちろんコンテストの出場者たちも熱狂状態!

320_2最後は「Image」。
このコピーバンド・コンテストでのSCANDALの姿を見るのはこれが最後なのだ。
寂しくなるナァ。

330v3月には『Yellow』と題したニュー・アルバムを発表する予定のSCANDAL。今年もまたスキャンダラスな年になりそうだ!

SCANDALの詳しい情報はコチラ⇒SCANDAL Official website

340_2さぁ、ドキドキワクワクの表彰式。

350_2まずはSCANDALのメンバー各賞。
HARUNA賞は月とミルクティの松岡詩歩ちゃん!
この顔!感激を絵に描いたような表情!

360_2受賞者を読み上げるMAMIちゃん。

370_2MAMI賞はHi-Dearの中田朋華ちゃん!
MAMIちゃんから賞品として手渡されたのはMarshall MG10CF。

380_2TOMOMI賞は生姜乙女バンドの河野未完ちゃん!

390_2そして、RINA賞はSHIOKA with The 5 Stars☆の小島拓海くん!
みんなおめでとう!

400_2そして、いよいよグランプリの発表!
ダラララララララララララララララ……………優勝は生姜乙女バンド!
「ドワァァァァァ~ン!!(号泣する音)」
この瞬間が一番おもしろかったりする。

410_2審査委員長から表彰を受ける生姜ちゃん。

420イヤ~、いいナァこういう涙は!
最後のコンテストの最後に出て最後のグランプリに輝いた生姜乙女バンド。
おめでとう!

430最後に各賞を受賞した皆さんをもう一度紹介してレポートを終わることにしよう。

HARUNA賞を獲得した松岡詩歩ちゃんの月とミルクティ。

440MAMI賞の中田朋華ちゃんはHi-Dear!

450そして、RINA賞の小島拓海くんはSHIOKA with The 5 Stars!

460フランプリとTOMOMI賞をダブルでゲットした生姜乙女バンド!
ヨカッタね~!!

470…ということで『SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト』はこれにて完結。
またこうしたエンターテインメント性の高いバンド・コンテストの開催を願うばかりである。

(一部敬称略 2015年11月3日 品川ステラボールにて撮影 ※MG10C提供:株式会社ヤマハミュージックジャパン)

2016年1月27日 (水)

SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト vol.6 <前編>

2015年11月3日、恒例の『SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト』が開催された。

10この人気コンテスト、Marshall Blogでも何回かレポートしてきたが、今回で第6回目を迎えた。
これまでに3,000にも及ぶバンドやヴォーカリストが参加してきたそうだ。
名実ともに日本を代表するバンド・コンテストのひとつなのだが、今回の開催が最後となった。
最初の頃は審査員をさせて頂き、また、直近の3回はオフィシャル・フォトグラファーとして採用して頂いたりと、公私共に思い入れの深かったイベントだけに実に残念だ。
会場ロビーに飾られている関係冊子に掲載されている自分が撮った写真を見て寂しくなってしまった。

20_2 …とはいえ、今回は過去最多となる637組もの参加応募があり、人気イベントの最後を飾るにふさわしいにぎわいを見せた。

冒頭、SCANDALの4人がステージに上がる。それだけでもう大歓声!

Img_00124人にマイクが渡され、イベントに対するコメントを口にした。
SCANDLの4人は審査員を務める。

S41a9194明るくフレッシュな印象はまるで自分たちがコンテストに出場するような感じ?世界をまたにかける人気バンドとは思えないほどのフレンドリーさ!コレがまたSCANDALの人気の秘密なのだ。

S41a9208ステージにはMarshall。
どんなところでもMarshallはロックを志す者のマスト・アイテムなのだ!

60v_2 今回も前回同様、本選の前にオープニング・ゲストとしてKANIKAPILAが登場。

30_22013年にこのコンテストで優勝した久留米出身の7人組。昨年2月にメジャー・デビューを果たし、地元福岡を中心に精力的な活動を展開している。

X ボーカル&ギターのYOSHIKA。

50同じくボーカル&ギターでLEONA。

60vギターとボーカルのMIZUHO。
75v
MIZUHOちゃんは過去2回MAMI賞を受賞し、Marshall MG10をゲットしている実力者なのだ!

70パーカッション&ボーカルのAOI。

80ベースはKANA。

90vキーボードとボーカルのNATSUKO。

100vドラムはPIPPI。

120ナンダカンダでKANIKAPILAを3年越しに見て来た。お父さんみたいなこと言ってなんだけど、女の子ってのはキレイで華やかになるネェ。ウチはヤロー2人なもんだから、汚くてゴツいばっかりでどうにもならない。
華やかになったのは容姿だけでなく、演奏も曲も実に素晴らしかった。
YOSHIKAちゃんはウクレレも披露。

130直前にリリースされた2枚めのシングル「トラブルメイカー」を含む3曲で会場が大盛り上がり!オープニング・ゲストの重責を見事にこなしたKANIKAPILAなのであった!

KANIKAPILAの詳しい情報はコチラ⇒KANIKAPILA OFFICIAL WEBSITE

140そして、いよいよ本選に突入。
栄えある『SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト』最終回のトップ・バッターを務めるのは神奈川県出身のwinry's(うぃんりーず)。
前回に続いての出場となる高校生バンド。曲は「Welcome Home」。

150

160

170

180

190バンド・コンテストの幕開けとはとても思えないような堂々とした演奏と盛り上げよう!会場総立ち。
2年連続出場の貫録を見せてくれた!

200続いては「SCANDAL BABY」を演奏した大阪出身のHi-Dear。
コチラも前回出場済み。前回は「Welcome Home」を演奏した。

260

220

230

240

250前半最後となる三番手は「きゃんぱす」。静岡からの参加だ。
曲は「Sparkling」。

270

280

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310

320結成してまだ半年しか経っていないとは思えないしっかりしたアンサンブルで前半を締めくくってくれた。

330続いてはKANIKAPILAに続いてステージにあがったのはゲスト・バンドの「たんこぶちん」。

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ヴォーカル&ギター、MADOKA。

340ギターのYURI。

350キーボードのCHIHARU。

360唐津出身の5人組。
この第2回と第3回のこのコンテストの出場者で2013年にメジャー・デビューを果たした。
1995~1996年生まれの皆さんだ。
ところで、1995年当時の総理大臣って誰だか知ってる?この質問は日本国民には難問のひとつだが、私も当然わからない。
調べてみると村山さんだって。最近の話しだわ!

370このコンテストのひと月前にはスペインで開催されたイベントにも出演したとか。
向こうの連中は驚いたんじゃないの~?
いつもマーブロで書いている通り、「ガール・バンド」というのは日本独特の文化だからね。さぞかしたんこぶちんの演奏に大きな声援が送られたことだろう。

380ベースはNODOKA。

390ドラムはHONOKA。
MADOKAちゃん-NODOKAちゃん-HONOKAちゃんってリズムが気持ちいいナァ。

4008月にリリースした3枚めのアルバム『TAMCOBUCHIN vol.3』の中から3曲を演奏した。
来月には『TAMCOBUCHIN vol.4』のリリースを控え大忙しのたんこぶちんだ!

たんこぶちんの詳しい情報はコチラ⇒たんこぶちんオフィシャルサイト

410<後編>につづく

(一部敬称略 2015年11月3日 品川ステラボールにて撮影)

2016年1月26日 (火)

【NAMM速報】 オマケ~御大現る!

オマケ的にもう少しNAMM関連の話題を…。

10 チョット前まではMarshallのスタンドいえば黒くて四角いモノばっかりだったんだけど、ずいぶん様子が変わったもんだよね~。

20サングラス(Eyewear)に携帯電話にスピーカー…信じられんわ~。

30やっぱりCODEの反響は大きかったようだ。

40CODEも楽しみだけど、ASTORIAもね~。
久しぶりにMarshall Blogで触れたところ、「早く弾いてみたい!」というご要望を頂戴してうれしい限りなのです。
ああ、オレも早く弾きたい!

50…と見どころ満歳のMarshallのスタンドが何やら賞をゲットしたようだ。
そういえば去年、「外人の目から見たNAMM」みたいな話題で会場でインタビューを受けて欲しいとNAMMから連絡があったんね。行かなかったので丁重にお断りしたけど、ビックリしたわ。
アレかね?「YOUは何しにNAMMへ?」みたいな?密着取材は困るナァ~。
それから何やらチョコチョコと連絡を頂戴するんだけど行かないからね~。

60 Marshall Blogではスッカリおなじみ。元Grim Reaperのニック(左)。
それと、右は「どっかで会ったことあるオジちゃんだな~」と結構考えた。
で、キャプションを見てなるほど!
Motorheadのローディなのよ!
「オジちゃん」なんて言っても私より若いかもしれないな…。

70そして現れたのは御大、YJM!!
左からエンジニアのサンチャゴ、YJM、いつもイベントの写真をマーブロに送ってくれるアーティスト担当のジョエル、そしてデモンストレーターのスティーヴ。

G 「おう、挨拶はいいから新製品を弾かせろよ。あんだろ、何か?」
とさっそく試奏室へ…。
まずはMini Jubilee。
「エ?ナンダよ、オイ、ずいぶん小っちゃくなっちまったナァ…(試奏)…コレ20Wなのか?スゲエな。メッチャ使えるやんけ!」

90vそして次はCODEに取り掛かる。
「Marshallもデジタルってか?どれどれ、おもしろそうじゃねーか?貸してみろ、オラ…(試奏)…(驚)」

100v「オイ、ちょっと待て、何だコレ?スゲエじゃねーか!コレほんとにデジタルなのか?マイッタな~。オイ、チョット自由にイジらせろ。」
110v「♪When you lose your virginity~」と小声で口ずさみながら…
「エ~っと、プリ・アンプは1959、パワーアンプはブリティッシュのEL34と…。キャビはまずは1960だな。エフェクターはディレイを軽くコーラスでもかけてみるか?…(弾)ウォー!ノッて来たぞ~!」

120v スティーヴとツー・ショット。
「CODEよろしく!」
…と御大が言ったかどうかは知らない。
こういうの様子を目にするとNAMM行きたくなっちゃうね!
あ、ちなみに「」内の御大のセリフは私の勝手な想像です。でも、CODE気に入ってくれたと思うよ。

130 これでNAMMの話題は本当に最後ね。

140 (写真提供:Marshall Amplification plc, Joel Manan and Steve Smith)

2016年1月24日 (日)

【NAMM速報】 こんなにちっちゃくなっちゃった! <追補版>

…ということでNAMM 2016ももう最終日。
この後、最大の難関が待ち受けている。
それは展示会につきものの「お片付け」だ。
「お片付け」は準備する時よりはるかにキツイ。数日間立ちっぱなしで大騒ぎして疲れ切った身体であたらなければならない。Marshallの重さが搬入時の倍ぐらいに感じて容赦なく腰を攻めてくる。
でも、何よりもツライのはさびしくなっちゃうこと。「祭りの後」ってヤツ。
さっきまで色とりどりの衣装を着た人達がスッカリ姿を消し、あんなに賑やかだった会場からネオン・サインが消え、野球帽を被ったTシャツ姿の屈強そうなオジさんたちが工具を手にして続々と現れる。
次々と展示品が運び出され、華やかだったスタンドの飾りは無残にも粉々にされる。
赤や青に彩られていた展示場の床は、見る見るうちに不愛想な灰色のコンクリートへと豹変する。
コレが実にさびしいのよ。
そして、翌日には寝食を共にした友人に別れを告げ、ああ、また10時間内外にも及ぶフライト…。

さ、その前にMarshallのスタンドからもうひとつ新商品のシリーズを紹介しよう。

10それは、このふたつのモデル。
見た目の通り、「Mini Silver Jubilee」というシリーズ。
こんなに小さくなっちゃった!

20こちらはお父さんの2555X。
Marshallの25周年、Jim Marshallの音楽ビジネス在勤50年を記念して1987年に発表したモデル。
昨夏にMarshallスタック生誕50周年を記念してリイシューしたところ世界的に大ヒット!
アメリカなんかバカ売れだった。
日本でもおかげさまで大変に評判がよく、コレを通じて新しいプロ・ギタリストのお友達が増えた。
だ~から言ったんだよ。
Jubileeのリイシューのリクエストはもうずいぶん前からしてたの。…というより「JCM800系で2チャンネルのモデルをリイシューしようよ~、2210とか2205とかJubileeとか」…みたいにね。
それからずいぶん時間が経っていよいよ去年実現して大ヒット→ホレ、見たことか!という図式。
ま、私の提案ドンズバでリイシューが実現したとは全く思わないが、「スタック50周年」をターゲットにアイデアを温めていたということだ。

30そして、お得意のミニ化。
まずは20Wヘッドの2525H。

40基本的な仕様は2555Xと同じ。

50ただし、ワッテージが低い分、パワー管(EL34)がが2本という構成になっている。

60もうひとつは20Wコンボの2525C。

70搭載しているスピーカーはCelestion G12M-25。

802525Hのコンボバージョンなのでコントロールは同じ。

90ところで、Jubileeはオリジナルの時代にも100W(2555)や50W(2550)ヘッドだけでなく、こうしたコンボやミニヘッドがラインナップされていた。
コンボは1X12"が2554、2x12"が2558。ややこしいんだよ、このシリーズは。
驚くことにこの2554のアメリカの広告には「Marshall Jazz」のキャッチコピーのもと、ナントBill Friselが起用されていた。
当時のこれらのコンボの出力は50W/25Wで、今回の2525CはJubileeシリーズ初めての20W仕様となる。
Mini Jubileeシリーズはヘッドも20Wで、LOWパワーにすると5Wまで落ち込んでくれるので使い勝手がよいだろう。

オリジナルのJubilee他にも2555や2550よりひと回り小さい2553というモデルも発売されていた。
さらにダウン・サイジングしたSilver Jubilee 3005 Lead12というモデルもあった。
フロント・パネルには「Jubilee 25~50」と記してある通り、Jubileeシリーズが出た1987年だけに限定で発売された。
回路はトランジスタ。ま、どちらかというと、Jubileeの系譜というよりパネルの構成からしてもLead12のミニ・スタックのシルバーという印象が強い。
100vこのふたつ、日本での発売価格&時期の情報はまだ入って来ていないが、とても楽しみなモデルだ。

20

そして、すでにフランクフルトで発表されているASTORIA(アストリア)シリーズ。
NAMMでは初めての登場となった。
完成品を去年の5月に工場で試させてもらったんだけど、コレがまたおっそろしくいい!
とにかく「素晴らしい」としか言いようがない。
ようやく日本にも上陸するので、Marshall Blogで試奏レポートを衝撃の誕生秘話とともにお送りするのをとても楽しみにしている。

ASTORIAはすでにMarshall Blogでも興奮まぎれに紹介しているが簡単にラインナップだけに触れておくと…

超極上のクリーン・サウンドのASTORIA CLASSIC。

110ビロードのような歪みのASTORIA CUSTOM。

120そして2チャンネルのASTORIA DUAL。

130ゼヒお楽しみに!

T_photo_2_2さて、Marshall以外のファミリー・ブランドも益々元気だぜ!
まずはNATAL。

C_photo_2お得意の屋根の展示。
コレ、片付ける時、結構大変なのよ!

C_photo_1NATALも世界的ににグングンと浸透度が上がっているので鼻息が荒い。

C_photo_3ロックだけではなく、アメリカではジャズの世界でも活躍し出している。

C_photo_4 新しいカラーも続々登場。

140

海外ではハンドハンマード・スネアとステイヴ・スネアが大人気とのこと。

160やっぱり海外でも音だけでなく仕上げの美しさも人気の理由なんだって。
150
日本でも一生懸命普及活動をしているけど、こないだもある現場にNATALのキットを持って行ったところ、「お!これこれ!コレ、スゲエ評判いいんだぜ!」なんて言われた。
その後、「これ何て読むの?」なんて訊かれてズッコケたが、評判がいいことは間違いないようなので、ま、いいか。
「ナタール」といいます。

170vパーカッションの展示もにぎやかだったようだ。

180そして、EDEN。

C_photo_5EDENも弾いてビックリ、こんなにいいベース・アンプなの?とお褒めの言葉を頂戴することが実に多い。
おかげで愛用者も増殖し続けている。
弾いて気にいるとみんな言うんだよね~、「コレ、ええでんナァ~」って!

C_photo_6 新しいフラッグシップ・モデルWT-900が大好評。

200そして、新商品のTerra Novaが注目を集めていたようだ。

210可搬性に優れた軽量設計にして充実の機能。
コンプレッション回路、エンハンス・コントロール、トーンの微細なコントロールを容易にする4段階のEQ等々、使い勝手はまるでWorld Tourシリーズのようになっている。

230500WのTN501と225WのTN226がラインナップされている。
どうでもいいけどベース・アンプってドンドン小さくなっていくナァ。

220v…とにぎやかなMarshallファミリー。
今年もよろしくお願いします…って新年の挨拶みたいになっちゃったね。
ハイ、今年のNAMMも終わり!

240※Marshall Blogは明日&明後日、代休を頂戴します。

2016年1月23日 (土)

【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<後編>

クッソ~、ブレッチリ―のヤツらヤリやがったな~!
問答無用でカッコいいじゃねーか…しかも、実にウマい!
まずはコレをご覧あれ…

NAMMショウも例年通りにぎにぎしく開催されているようだ。
MarshallのJoelから写真が送られてきた。
昨日はあんなこと書いちゃったけど、こういうの見るとやっぱり行きたくなってくるな…。
音楽マニアとして、いつかは仕事抜きの「完全レジャー」で参加してみたいものだ。

10s
今年のMarshallのスタンド。
ASTORIAとJubileeのおかげでエラくカラフルになってますナァ。

20チビッコいJubileeも今回のNAMM発表なのだが、やはり主役は何といってもCODE。
ドーンと真ん中に鎮座ましましている。

30v PLAY WITHOUT LIMITS.…コレがCODEのキャッチ・コピー。
そう、CODEで制限なくMarshallサウンドを楽しんでもらいたい…というワケだ。

60v昨日はCODEのネーミングについて自分でも呆れるほどグダグダ書かせて頂いたので今日は商品の説明をすることにしよう。

C_c_code_group4まずは、どんな感じかチョットこのデモンストレーションを見てくだされ。

…って感じ。
CODEは伝統のJTM45から最新のJVMまでバラエティに富んだ機種のプリアンプ、パワーアンプ、そしてスピーカー・キャビネットを選択し、サウンドを作り上げるモデリング・アンプだ。
100通りの完全プログラマブルで、プロ仕様のエフェクターも内蔵されている。


モデリングの技術はMarshallとスウェーデンのオーディオ・ソフトウェアのパイオニア、Softube社とのコラボレーションで、それをMST(Marshall-Softube)と呼んでいる。
SoftubeはJMD:1シリーズの開発にも関わっていたのでその名前を覚えている方もいらっしゃるかもしれない。
JMDの音質の評価はすこぶる高かったので、CODEも十分に満足して頂けるハズだ。

40年前からMarshallに接している私のようなオールド・ファンには信じられないような気もするが、そこは時代の流れ…。
Marshallも今回のCODE大胆にITテクノロジーを導入した。
たとえば…「Marshall Gateway」というiOSやAndroid用のアプリによりBluetoothを通じてCODEのリモート操作が行えたり、他のCODEユーザーとプリセットのデータ交換ができたりする。
もちろんUSBポートがついているのでインターフェイスとしてDAWにも大いに活用できる。
…って威張ってるワケではござらんよ。他のメーカーが既にこんなことをしているのは私ですら百も承知よ。
イヤ~、Marshallってのはつくづくスゴイ会社だな~と思ってね。
今頃こんなことヨソのブランドがやったって何の話題にもならないけど、Marshallの場合、「え~、あのMarshallがッ!?」ってことになるでしょ?
やっぱり50年の間に積み重ねてきた財産はダテや飾りじゃないことを思い知る。
それは他でもない、Marshallが常にロックという音楽の中心にいたからなんだということを痛感する。

100マァ、こんな感じ。
携帯の機種は例のMarshallのLONDONね。
Marshall GATEWAYをインストールして…と

C_2gw_screen_1_2プリアンプはJTM45で、パワーアンプはビンテージ系にしてやれ…。30Wだからキャビは1936でよし。

C_2gw_screen_9_2

エフェクターを選んで…と。
…って横着しないで手をのばしてアンプを直接イジればいいじゃん?とも思うが、アンプ本体をイジるよりもこうした方が操作しやすいことがあるらしい。
オイオイ、ホントにこれがMarshallか?なんて思いたくもなるけど、ナンダナンダ、おもしろそうじゃないの~。

C_2gw_screen_2_2さて、気になるMSTのモデリングの内容だが、プリアンプは14種類。
まずはJTM45(2245)、

Jtm45_2245 1962 Bluesbreaker

1962bb_front 1959。Marshallは「Plexi」としか記していないので69年あたりの1959をイメージしているのかもしれない。

1959slp_front JCM800 2203

Jcm800_2203_2 JCM2000のDSL100

C_dsl100 Silver Jubilee

2555xJVM410H…他となっている。

Jvm410h_frontパワー・アンプセクションは特定のモデルを設定しているワケではなくて、次の4種類からチョイスできるようにななっている。( )の中はイメージしているパワー管だ。
CLASSIC MARSHALL 100W(EL34)
VINTAGE MARSHALL 30W(5881)
BRITISH CLASS A(EL84)
AMERICAN CLAS A/B(6L6)

C_img_0133 次にキャビネット。
当然1960。
それと1960V。

1960a_front1960AX

1960ax_front1936と1936V。

1936v_front1912

1912e_frontココで面白いのが1974X。
あのスピーカーの音色とコンボ感の絶妙なコンビネーションをモデリングしたかったんだろうね。

1974x_front そしてエフェクターは24種類。
コンプレッサー、ディストーション系、オート・ワウ、ピッチ・シフター、コーラス、フェイザー、フランジャー、トレモロ、ディレイ(タップ・テンポつき)、リバーブ等々。
最大5種類まで同時に使うことができる。
ヘッドホン・アウト、ライン・インの端子、チューナーもついてます。
以上がCODEの概要。

エディティングの様子を収めた動画がアップされているので参考にしてくだされ。
英語版で恐縮だけど、クリスがドップリと本場のイギリス英語で説明してくれている。
Marshallの工場へ行くとみんなこんな感じの英語でしゃべってます。

もう一度ラインナップを紹介しておくと…

<CODE25>

110s_3

115コントロールはこんな感じ。アナログ感も強くてトラディッショナルなプレイヤーでも使いやすそう。

120クローズド・バック。

130スピーカーは1x10"。

140続いて<CODE50>

150CODE25よりコントロール・パネルの面積が広がり、ノブがひとつ増えている。
増えたノブは「EDIT」。より操作がしやすくなる。

155

160CODE50もクローズド・バックだ。

170CODE50のスピーカーのコンフォギュレーションは1x12"。

180<CODE100>は2x12"。

190コントロールはCODE50と同じ。

200

210
これ、音よさそうだな~。実戦でも十分にイケそう。

215そして<CODE100H>。

220CODE100のヘッド・バージョン。

225今回は<CODE412>というAキャビのみ発売となった。
4x12"で入力は100W。カスタム・スピーカーを搭載。

240コレ書いていいのかな~?ま、いいか。
もちろん私はCODEのことはずいぶん前から知っていて、昨年の5月に超出来立てのプロトタイプを試させてもらったことは昨日書いた。
それがスゴクよかったことも書いたし、とてもCODEには期待しているのね。
ただ、その最初の計画では、小ワッテージのモデルしか出さないように聞いていた。
最近は、PAやモニターの進化、コンピュータとの連動等、レコーディングやステージの環境が大きく変わってしまってから久しく、大型のアンプが活躍する場が世界的に減っているからね。
でも私の場合、仕事の性質上、広いステージや大爆音の現場でもガンガン使ってもらえる100Wモデルが欲しかったワケ。
で、仕方なくあきらめていたんだけど、こうしてフタを開けてみると100Wモデルが出るじゃないの!
しかもヘッドまで!
とてもうれしかった~。

250販売価格と時期はまだ未定。
早くも世界中の代理店から膨大な数のオーダーが集まっているらしい。全モデルが潤沢に市場に出回るまでには時間を要するかもしれない。

50vああ、早くMarshall Blogに出てもらっているギタリストたちに試させたい!
試奏レポートをお楽しみに。
Marshall Blogは毎日チェック!
また忙しくなりそうだ!

明日もMarshall Blogは更新されるかもしれません。

270