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2016年5月

2016年5月31日 (火)

CHIMERA GAMES TOKYO Vol.1

ヤダよ~!ヤダヤダヤダ~!
今年の夏は史上最高の暑さになるっていうじゃんね。
何も「夏も涼しくしろ」とは言わん。エル・ニーニョだかエル・ガウチョだか知らんが、冬はいっくら寒くてもいいから、夏は普通でいて欲しい。
あ、ちなみに「エル・ガウチョ」とは『Adam's Apple』に収録されているWayne Shorterの名曲ね。
で、インドはさっそく大変なことになってるっていうもんね。
TORNADO-GRENADEの雄太くんに教えてもらった、白山にある行きつけのインド料理店「SURAJI(スーラジ)」に日曜日に行った時、その話になったんだけど、インドはもう摂氏50℃だっていうからね。やっぱり史上最高気温になっているそうだ。
50℃!
そうなると、どうなるか…息も吸えないらしいよ。内臓が焼けてしまうほど空気がアツアツなのだそうだ。
暑くて何もできないので、少しでも涼しいところでジッとしているしか成すスベがない。ヤダね~。
反対にシカゴに住んだことがある友人からは、「マイナス50℃」っていう寒波の話も聞いたことがある。こちらはこちらで、息を吸うと内臓が凍り付いてしまうので外出できないらしい。
私もマイナス50℃っていうマグロの冷凍庫に入ったことがあるけど、入って数秒でまつ毛がパリパリ…簡単な防寒着を着ていたけど1分とガマンできなかった。
50度とマイナス50度…あなたならどちらを選ぶ?

で、今日は残念ながら悪天候に重なり、4月の上旬にしてはエラク寒い日に開催されたイベントのレポートだ。
ここは台場、ゆりかもめの青海駅からの眺望。

10『CHIMERA GAMES TOKYO』というイベント。
「Chimera」は「キメラ」あるいは「キマイラ」と読む。このイベントは「キメラ」だ。
「キマイラ」はギリシア神話に登場する怪物で頭がライオン、胴体がヤギ、それに毒蛇の尻尾がついているというてんでバラバラのフュージョン状態。
そこから転じて、最近では「由来が異なる複数の部分から構成されている」という意味の例えに使われるらしい。
サブタイトルに「EXTREME & STREET & Rock FES」とある。
エクストリーム・スポーツとストリート・パフォーマンス、そしてロックの融合という意味。
要するに「キマイラ」状態のテンコ盛りイベントなのだ。

20開催は4月2日と3日の二日間。
お邪魔したのは3日の方。
前日は天気がヨカッタそうだ。

25「Rock FES」はまだしも、「EXTREME」と「STREET」はどうかな~…オジちゃん、大丈夫かな~。とやや心配しつつ会場へ。

30場内にはさまざまな出店でにぎわっている。

40ヤング(今は「ヤング」なんて言わないか?)向けのグッズから…

50キュートなアクセサリー類…

60キッズ向けのコーナーも設置されている。

70そして、ステージ!

90JVM210Hと1960A。

110vEDEN WT-800とD410XST。

120vNATALのバーチ・キット。

130写真左のコンボはJVM205Cだ。

100

CHIMERA GAMES、2日目のステージに最初に上がったのはI Don't Like Mondays.。

140ボーカル/ギターの悠。

150vギターの兆志。

160vベースは謙二。

170ドラムに秋気。

175vいよいよ日本にも現れた本格的文章系バンド名グループ、I Don't Like Mondays.!
「.」までがバンド名だ。

180オシャレな女の子を踊らせるために2012 年、表参道でバンドを結成されたという。
190vこういうのを「シティ・ポップス」というのかしらん?
いかにも都会的でソフィスティケイトされたサウンドにファンクっぽさが加わる。

200vバンド名通り、「月曜日が苦手」ということで、月曜日はバンドの定休日となっているそうだ。
もし、月曜日が祝日の場合は翌日に振り替えとなる。
週に一度しか休まない働き者バンドだ!

210v後で聴いて驚いたんだけど、この手の音楽を演っているにもかかわらず、兆志さんはナント大のGary Mooreファンなのだそうだ。

220道理でギター・ソロになると俄然ガッツむき出しになると思った!
260v
NATALのバーサティリティにはまったく恐れ入る。
秋気さんのプレイに忠実に従いI Don't Like Mondays.のリズムをドラマチックに演出する。
バスドラのキレが素晴らしい!

230アダルトなサウンドからノリノリの曲まで多彩なレパートリーが大きな魅力。
それに、こういう音楽を演るバンドには必ずと言っていいほどキーボードがいるのにこのバンドにはいない。
そうなると、なんとなく男らしさを見出だしてしまうから不思議だ。

240v後半ではダンサブルな曲を固めて寒さをブッ飛ばす!
そして、キメラ・ガールズも舞台に上がり、ゴージャスにステージを締めくくった。

270I Don't Like Mondays.の詳しい情報はコチラ⇒Official Site

250

ステージは2日とも3バンドずつ、計6バンドがエキサイティングなパフォーマンスを展開した。

1_img_0009 さて、CHIMERA GAMESのメインのひとつ、エクストリーム・スポーツ。
私はそういうの、全く無縁の人生でしてね~。
この日、もうひとつ取材があって先を急ぐ必要があったのだが、どうしても見たくなっちゃって、しばらく居座らせて頂いた。
単車がピョーンと飛ぶヤツ!

280場内はエクストリーム・スポーツにちなんだ数々のアトラクションが設置されている。

290当然スケート・ボードも!

310v

320vさてさて、準備が整ったようだぞ!

330ひとりひとりライダーがステージに登場して紹介される。

340そしてジャンプ台に向かう。

350vブルンブルンブルン、バリバリバリバリ、ブォブォブォブォ…何て表現していいのかわからないけど、やっぱ音がスゴイね!
コレ、無音だったらおもしろくもなんともないゼ!
カーレースの類も何度か見せてもらったけど、目の前だけにこっちの迫力も負けちゃいない!
ク~、オレの「バイク野郎」の血が騒ぐゼ~!←どこがじゃ!

360始まった…モノスゴイ加速!

370オリャ~!

390vもう後は説明不要ですな。

380v

空中での妙技をしばしご覧あれ!

410v天気が惜しい!

420

430v

500v

480

440v

450v

470v

160

490v…とこういう感じ。
テレビで見るのとは全く違うド迫力のパフォーマンスで思わず感動してしまった!

510さて、このCHIMERA GAMES、早くもvol.2が決定している。
開催は10月29&30日。
場所は今回の会場のすぐ近くだが、規模は何倍にもなるのだ!
Marshall Blogでおなじみのバンドがステージに登場するといいね!

CHIMERA GAMESの詳しい情報はコチラ⇒Official Site

5201965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 2016年4月3日 お台場特設会場にて撮影)

2016年5月30日 (月)

【Music Jacket Gallery】ライブ盤ジャケット特集<前編>

久しぶりに登場のMusic Jacket Gallery常設展のレポート。
今回のテーマは『LIVE LP COLLECTION』。
掲載が遅れに遅れてしまったが、開催は2014年の7~9月。場所はいつもの金羊社の本社4階ギャラリーだ。

1_img_0237

しつこく書く。
「ライブ」か「ライヴ」か…それが問題なのだ。Marshall Blogでは「ブ」で貫いている。
いつもご覧頂いている読者はお気づきのことと思うが、Marshall Blogの文章は、時々表記がユレてるでしょう。
同じ言葉でも、ある時はカタカナ、ある時はひらがな。あるいは、ある時は算用数字、ある時は漢数字といった具合だ。
コレ、ワザとやっています。
出版社なんかの校正業務にかかれば絶対に許されないことだと思うが、私にしてみれば、読んでいる人が一発で読み切れるような文章を書いているつもりなのだ。
どういうことか…文章を書いていてどうしてもひらがなが続いてしまう時があったりするでしょ?コレは大変読みにくい。
そういう時はまず読点を入れることを考える。
でも、読点を入れると却って文章がギクシャクしてしまうこともあるので、カタカナを入れて読みやすくしたりしているワケ。
それでもダメなら文脈を変えたり、文章を分けたりしている。
漢字とひらがなを使い分けることもある。何でもかんでも漢字にしてしまうことには反対だ。「Black Page」になってしまうから。
驚いたでしょ~?そんなに考えているのに出来はこの程度だからね!
数字も同様。
「一人」か「1人」か「ひとり」か…いつも悩んでいるんだけど、コレについてはなるべく記事内での統一を図っている。
いつもそんなことを考えているので、外来語の表記が気になる。
「ヴィデオ」か「ビデオ」…「ビデオ」に軍配を上げる。
「キング・クリムゾン」か「キング・クリムズン」…「キング・クリムゾン」。
「ロキシー・ミュージック」か「ロクシー・ミュージック」…「ロキシー」だ。
「マイルズ・デイヴィス」か「マイルス・デイビス」か…「マイルス・デイヴィス」か…たまには折衷案もよかろう。
「ブルーズ」は絶対「ブルース」。
こうした英語の発音に強引に近づけようとする表記がどうも恥ずかしいし、もしそうするのであればすべてそういう表記に徹するべきだと思うのですよ。
その場合「th」はどうするの?アメリカ発音にするなら「r」の舌を巻く発音はどう書くの?片手落ちになりませんか?…なんて意地悪のひとつも言いたくなるのは私だけだろうか?私だけなんだろうな。

10_4そして、今回のMJGは、珍しく新旧の「ライヴ盤」、イヤ、「ライブ盤」が結集した。
ナゼ珍しいかというと、いつもは「夏」とか「乗り物」とかのテーマに沿って、ジャケットの見た目で展示アイテムが集められるが、今回は盤の収録内容がテーマだからだ。

20_3「スタジオ盤」か「ライブ盤」か…スタジオ盤を好む人も大勢いらっしゃることと思うが、私は断然「ライブ盤」派だ。
今回もワガママ放題にアイテムを選定し、好き勝手に書いて、無責任に思いっきり脱線させて頂いた。
では、本コレクションのオーナー、植村和紀さんに敬意を表し、氏の大好きなJethro Tullから行ってみよ~!

30_3

★Bursting Out / Jethro Tull
私も大好きなJethroTull。
このアルバムは期待しつつ、高校の時にリリースされてすぐに買った。だけど正直言ってあまり聴かなかったナァ。
なんか波長が合わないんだよね。
期待していたにもかかわらず、どうも相性が悪いライブ盤ってのがもうひとつあって、それはToddの『Back to the Bars』ね。
アレなんかジャケットはHipgnosisだし、ゲストは豪華だし…だけど今ひとつ燃えてこない。
この『Bursting Out』も同じ。
猛烈なTullファンにして、Ian Andersonとホッケをつついたという植村さん(本コレクションのオーナー)には恐縮なんだけど…なんか熱いものを感じない。
ただ、Barrimore Barlowのドラムはスゴイと思ったっけ。

40_4この記事を書くのに久しぶりにこのアルバムを引っ張り出してみたら、こんなのが出て来た。
1977年のイギリス国内ツアーのプログラム。
もちろん観たわけではない。小川町にあったシンコー・ミュージックさんが経営していた「ロック座」というロック・アイテム・グッズ屋で買った。
『Songs From the Wood』のレコ発ツアーということになるのかな?
で、このプログラムの公演の時のヨーロッパ・ツアーが上のライブ・アルバムの音源になっているのかと思ったがさにあらず。
上の音源は『Songs From the Wood(1977年)』の次作、『Heavy Horses(1978年)』のレコ発ヨーロッパ・ツアーだった。
内ジャケットには録音場所を「Somewhere else in Europe」と表記してあって、どこで録られたかはわからないようになっている。Tullのシャレなのかな?スイスのベルンでの録音らしい。

C_img_0305 コレ書いていてフト気が付いたんだけど、Thin Lizzyの『Live and Dangerous』…Ian AndersonとPhil Lynottのポーズが似てるじゃんね?
ま、コレもライブ盤ということで脱線させてもらうけど、Thin Lizzyって1977~78年の頃は日本ではほとんど人気がなかったように記憶している。
『Jailbreak』の後なのにね。もちろん我々の頃は「フィル・リノット」って呼んでいた。
だから、facebookなんかを見ていて「Thin Lizzy命」みたいな人を結構見かけるんだけど、チョット不思議な感じがするんだよね。
いつから人気が出たんろう?…って。やっぱり『Black Rose』でスター・ギタリスト、Gary Mooreが再加入したところからかしらん?
私の周囲にはバンドの名前は知っていても、好んで聴いているヤツなんてひとりもいなかった。
それをいいことに、美術の授業で「空想のLPジャケット」みたいなお題があって、私は『Nghtlife』とBad Companyの『Straight Shooter』をパクってゴッチャにしたヤツを提出した。
私はその頃Thin Lizzyが大好きだったのね。
その後、みんなが聴くようになって一般的になって興味がなくなっちゃった。はい、ずっとワガママしてます。

Ld

★801 Live / 801
ロクシー・ミュージック、イヤ、Roxy Musicも大好きだった。
『Viva! Roxy Music』がリリースされたのは私が中学2年の時で、ラジオで「Out of the Blue」を聴いた瞬間にハマった。イヤ、もしかしたら「Do the Strand」だったかも?あるいはその両方だったのかも知れない。
それで、まずは『Viva!』を買って、すぐさま『Siren』までの既発のアルバムを揃えた。海賊盤も買った。EnoやEddie Jobsonの名前を知ったのもこの頃だ。
Enoはまだ「エノ」と表記されていた。「レゲエ」も「レガエ」って書かれた時代。
当時、メンバーの来歴等を探りようにも今みたいに自由に情報など手に入らないので、付属の今野雄二のライナーノーツをむさぼり読んで、ミュージックライフ誌のバック・ナンバーを買い込んで来ては知識を蓄えた。
ま、コレはRoxy Musicだけじゃなくて、好きなバンドに関してはすべて同じことをやったな。
コレをご覧の皆さんもおそらく多かれ少なかれ同じことを経験していると思う。
今にして思うと、ずいぶんノンビリしていたと思うよね。
今ならWikipediaで調べて、amazonでCD買って、iTunesに取り込んで…ってとこか?あ、もはやCDなんか買わないのか…。
私の場合は前述のようにして情報を集めて、学校の帰りか、休みの日に秋葉原の石丸電気の3号館の2階へ行ってレコードを買って、10%相当のサービス券をもらう。
それを2回繰り返すとシングル盤1枚と交換できる勘定になる。そういう時は4階へ上がってLPを買うほど興味のないバンドのシングル盤を買って研究する。
ポスター等のオマケも楽しみだった。
それから1~2年もすると、ハンターやディスク・ユニオンの存在を知って、新品のレコードは100%中古レコードに取って代った。
数寄屋橋とソニービルの地下のハンターに入り浸り、黄色いビルだったか青いビルだったか、後楽園のバーゲンに参加したりするワケ。
昔、美濃部都知事の時に都営ギャンブルが廃止になり、後楽園の競輪場がプールとして後利用された。
私は父に連れられてこの競輪場にも何度か行ったことがある。
赤鉛筆を耳に挟み、折りたたんだ白い新聞を片手に唾を飛ばしながら「まくれ、まくれ!」と狂ったように怒鳴るオジちゃんたち。もう片方の手で金網をいいように揺さぶっている。そんな光景を目にして「コエ~とこだな~」と子供ながらに驚いた記憶がある。
プールになってからも友達と誘い合って何回か遊びに行ったけど、入場料がバカ高いうえにイモ洗いもいいとこでね。アレ、人の汗のなかで泳いでいるようなもんだぜ。
で、アソコ、冬になると脱衣場のスペースを利用してオーディオ用品のバーゲンとかやっていたんだよね。
何であんなところを借りていたんだろう?
とにかく目玉はカートリッジだった。
シュアとかオルトフォンとか、売れ残りの商品を7割引きとか8割引きとかで売り払っちゃう。そうなると針だけ交換するより安いので、我々貧乏学生はそういう機会を狙ってカートリッジごとレコード針を取り替えちゃうワケね。
こんな話し、生まれたときからCDがある世代の人には「謎」の類いだろうね。でも、風情があってとてもいい時代だったと思う。

話は戻って…そうして少しずつ手に入れたRoxy Musicの情報にこのライブ盤が引っかかってきた。
Phil ManzaneraとEnoが参加しているグループということで、すぐにゲット。
当時、他のメンバーがどういう人たちだかは知らなかったが、ドラムはスゴイ人だと思った…Simon Phillpsだ。
ついでに加えておくと、胡椒みたいな名前のベースはBill MacCormick。元Matching Mole。
Francis MonkmanはCurved Airのオリジナル・メンバー。
Lloyd Watsonは、メロディ・メーカー誌のコンテストで優勝し、『The Old Grey Whitsle Test』にも出演した人で、David BowieやKing CrimsonやRoxy Musicの前座をやったことがあるそうだ。Enoのソロ・アルバム、『Here Come The Warm Jets』に参加したことが縁で801にも加入した

ところで、「801」ってなんぞや?
801を英語表記すると「Eight Naught One」。コレの頭文字は「E-N-O」となる。
ホントかね?
「Naught」はイギリス英語で「zero」を表す。
コレを自分に当てはめてみると…SHIGEは「7100110008」かな?
「Seven-Hundred-One-Ground-Eight」ということで…これじゃバンド名にならんな。
さて、このジャケット…不思議だと思いませんかね?
なんでベース?
Manzaneraのプロジェクトでもあるんだからギターのヘッドにすればいいのに…。
Firebirdのヘッドがイヤだったのかな?

50_3上に記したRoxy Musicの海賊盤とはコレ。
懐かしいでしょ~。
昔のブートレッグってこうなってた。
右のピンクのはENO時代のライブ+未発表音源集。
左はEddie Jobsonが加入してからの1975年のニューヨークでのライブ録音。『Siren』のレコ発ツアーのひと幕だろう。
選曲が良い上に、当時にしては音もすこぶる良好だったのでよく聴いた。「Re-Make, Re-Model」がメッチャかっこいい!
ナンカ、こういう装丁を見ても昔はノンビリしててヨカッタね。

1_img_0278

★June 1, 1974 / Kevin Ayers, John Cale, Eno, Nico and others
何気に何回かMarshall Blogに登場している一枚。
Ayers, Cale, Nico, Eno、四人の中心人物の頭文字を取って「The ACNE album」と呼ばれることもあるらしい…が、そう呼ばれているのを私は聞いたことがない。
それよりもイギリスでのコンサートだし、イギリスのレコード会社からのリリースなんだからタイトルもイギリス式に『1 June 1974』にするべきだと思うんだけどいかがなものか?

では、まずはジャケット。
色がいいね~。
写真に目をやると…Kevin AyersがニコニコしているワリにはJohn CaleがKevinをギリッとニラんでいるように見えるでしょう?
何でもこのコンサートの前の晩、Kevin AyersとJohn Caleの奥さんがベッドに入っているところをJohn本人が見つけちゃったんだって!…ホントかどうかは知らんよ。
この写真を撮影したのは有名なMick Rockというフォトグラファー。
名前からして「筋金入り」って感じでしょ?「Mick」に「Rock」だもん。
この人はDavid Bowieの『Pinups』、Johnny Winterの『Captured Live!』、Queenの『Sheer Heart Attack』、Lou Reedの『Transformer』、Strapsのファーストのジャケ写を撮った人。すごいポートフォリオだよね。
ここでキレイに短く脱線。
Strapsって、2枚目だったかな?「意外にも第二のDeep Purpleは彼らだった!」みたいなキャッチコピーが付けられていて、それに惹かれて出てすぐに買った。『Secret Damage』とかいうヤツ。
ま、それなりに楽しんだけど、すぐに飽きたな。ゼンゼンDeep Purpleじゃなかったことは確かだった。

60_3以前にも一度書いたことがあって恐縮だが、ココでこそ書かねばなるまい。
それはNicoのこと。
アルバムではThe Doorsの「The End」を破壊的な解釈でユニークに演奏しているが、白塗りのルックスも十分に破壊的だ。
彼女はドイツ出身のモデルで、コレの12年前はこんな仕事をしていた。
Bill Evansの『Moon Beams』。
知らなかったんだけど、Nicoってアラン・ドロンの子供を産んでるんだってね。
そして、Kevinの終の棲家があったスペインのイビサ島に遊びに行った時、自転車に乗って麻薬を買いに出た時に転倒(どんな所なんだよ!⇒ヒッピーの天国だそうです)。頭を強打してそのまま客死したらしい。
元Velvet Undergroundだけあって一生をヘロインに捧げたとか…。
ところで、Riversideもいいジャケットの作品が多いね。ジャズでいいジャケットが揃っているのは何もBlue Noteだけじゃない。
このNicoの写真を撮ったのはPeter Sahulaという人。

Nico私は正真正銘、ソウル・ミュージックの門外漢だが、コレは知っている。
Otis Reddingの『Oris Blue』。
この写真もPeter Sehulaの撮影だ。

Obさて、『June 1, 1974』。
録音されたのは国鉄、地下鉄ピカデリー線、あるいはヴィクトリア線が乗り入れるフィンズベリー・パーク駅から徒歩1分のところにあった有名なレインボー・シアター。
表題の4人の他にもRobert Wyatt、Mike Oldfield、Rabit等が出演した。
いいナァ、見たかったナァ。
でも、このアルバムが大好きかというとさほど愛聴したワケではない。
結果として一番の収穫はナントいってもPeter Ollie Halsallを知ったことだろう。「Ollie」は「Oliver」の愛称。
Kevin Ayersの片腕だったOllieが弾くB面一曲目「May I?」のソロ。
コレにやられた。
それからOllieが参加したKevin Ayersのアルバムを何枚も買ったが、キツイんだナァ~、Kevinの音楽は…。
それでも『Whatevershebringswesing』と『The Confessions of Dr. Dream and Other Stories』は結構好きかな?
その他、Tempestはもちろん、The Rattlesまで揃えた。
Pattoは最高だよね。でもOllieのソロ・アルバムはおもしろくなかった。
苦労したのはBoxerのセカンド。
こんな話、忘れていたんだけど、Wilkinsonブリッジの創設者トレバー・ウィルキンソンの家にお呼ばれして遊びに行った時にOllieの話になった。
「Ollieが好きならコレを持って行きなヨ」とトレバーが彼の友人のOllieファンが作ったコンピレーションCDを譲ってくれた。
それにBoxerのセカンドに収録されているThe Beatlesの「Hey Bulldog」が入っていて、このMike PattoとOllieのギターが殺人的にカッコいい!
それでどうしてもアルバムを聴きたくなってしまった。『Bloodletting』というんだけど、中古で探し続けてCDが出て来るまで5~6年はかかったかナァ?
残念なことにOllieはMarshallじゃないんだよね。

19img_8418
ゲットするのに苦労したのは『June 1,1974』も同様だった。
1978年ぐらいだったかな?
上に書いたようにRoxy Musicに夢中になって、関連したアルバムを片っ端から聴きたかったのだが、当時国内盤がことごとく廃盤になっていて入手不可能だった。
新宿あたりの輸入盤屋に行けば手に入ったのかもしれないが、中学3年の時だからそんな知恵もない。
でも、聴きたくて、聴きたくて…。
当時はまだ土曜日は学校があって、日曜日になると数寄屋橋とソニービルの地下のハンターに行って、有楽町のローディ・プラザで無料でレコードを聴いて帰ってくるというのがスタンダードな過ごし方だった。
滅多に入ることはなかったのだが、ローディ・プラザの奥に小さくて細長い輸入レコード屋さんがあった。確か「モーニング・サン」というお店だった。(コレも以前書いたことあるけど)
で、その日はたまたまそのレコード屋さんにフラリと入ったんだと思う。
店員さんが「何かお探しで?」と声をかけてきたので、「実は…」とこのアルバムのことを伝えると、「わかりました。じゃ、イギリスから取り寄せましょう」と言ってくれたのはいいのだが、当然値段が心配だし!
何万円もするのではないか?とビビりにビビった。まだ、子供だったからね。イヤ、値段に関していえば今も変わらない。相変わらず貧乏だ!
「イエ、そんなにしないですよ。2,000円ぐらいかな?」というので、ホッとしつつ注文した。
して、数か月して入荷したのが下の写真のLP。
アレからもう40年経ったんだナァ。
19img_0311

★Caravan & The New Symphonia / Caravan
日本に同名のグループがいるようだけど、全然関係ない。
コチラはカンタベリーの一角、プログレッシブ・ロックの名門バンドのCaravanだ。
Geoff Richardsonというヴィオラ奏者がいる珍しいバンドとして知られている(か?)。
ココは『In the Land of Grey and Pink』と『Waterloo Lily』という名ジャケットの作品を抱えている。中身ももちろん極上だ。
1975年の『Cunning Stunts』はHipgnosisのデザインだ。
続く、『Blind Dog at St. Dunstans』も個人的にはとても好きなジャケット。その理由はココに書いてある。
ところで、この「Cunning Stunts」というタイトル。コレ、意味わかりますか?
私はある時、何のヒントもなしに突然コレの意味に気付いた。
要するにエッチな意味。
でも、権威と気品あふれるMarshall Blogでは(どこがだ?!)とても取り扱えない内容なので、ヒントを2つ。
①「Spoonerism」という文字の組み換え法を使っている。
②それがわかると次のジョークの意味がわかる。
  Q : What is the difference between a magician and a stripper?
  A : One has a Cunning Stunt.....
わからないけど意味を知りたいという方は、ライブ会場で私に会った時にでも尋ねてください。
でも男性の方に限ります。
ちなみにジャケットはコレ。ジャケットとタイトルの関連性はわからないナァ。何でビスポークのテイラーなんだろう?
参考にインターネットで「cunning stunts」と入れると、ナニこれ?Metallicaも同じタイトルのDVDを出してるの?何だってそんなことするんだろうか?絶対にやめて欲しい。

Cs さて、Caravanのライブ盤。
魚類図鑑のようなジャケットだ。
デザインは「Three Men Went to Mow」とかいう団体(?)。
調べたけど何者かはわからなかった。
You Tubeに同名のコントがいくつかアップされていたが無関係だ。しかし、思わず少し見てしまった。
そのコントのひとつを紹介すると、こんな具合…。
3人の男が本の倉庫で働いていて、「Yellow Book」という売れ残りの本を頭に載せたり、積木のように重ねてもて遊んでいる。暇なのだ。
そろそろ家に帰る時間じゃない?とひとりが言うと、仲間が「There is no place like home」なんて反応する。
すると、そのうちのひとりが床にその本を並べる。それを見た仲間が「Yellow book patio?」とか「Yellow book path way?」と言い当てようとするが、答えは違う。
私はココでオチがわかっちゃったんだけど、もちろんその黄色い本を並べていたのは「Yellow Brick Road」なワケ。「book」と「brick」のシャレね。
すると若い女の子が倉庫を訪ねて来て、4人一緒に帰ろうということになる。もちろんその時の男たちの格好はライオンとカカシとブリキ男だ。女の子はドロシー。
コレ、『オズの魔法使い』のワンシーン。
ドロシーが西だか東だかの魔女に「靴の踵を3回合わせてこう唱えなさい」…と教わる呪文が「There is no place like home(お家が一番!)」なのだ。
そしてその家に続く道が「Yellow Brick Road(黄色いレンガ路)」なのね。
…とマァ、こんなモンティ・パイソンの出損ないみたいなコントが『Three Men Went to Mow』で見れる。
もう典型的なイギリス英語だったので、当然イギリスの物だと思い、Marshallの友人に「コレはモンティ・パイソンのようなテレビ・シリーズか?」と確認した。
すると「聞いたことはあるが、テレビで見たことはない」…とのこと。インターネットで公開されているコメディ・シリーズのようだった。
この表現自体は『Man went to mow』という子供の数え歌だ。

しまった…ずいぶん脱線しちゃったナァ…。
脱線した割にはこのジャケットをデザインした関係者のことがゼンゼンわからないんだから申し訳ない。

この1973年に収録されたCaravanのライブ盤は、タイトルから汲み取れるようにオーケストラとの共演盤だ。
Deep Purpleをはじめとして、昔からロックとオーケストラの融合ってが盛んに行われたていたのね。
言っておきますけど、コレはジャズのマネっこですからね。
何か「オーケストラとの共演」なんていうと大仰で荘厳なサウンドが期待されるけど、このアルバムに耳にできるオケは小編成で、Caravanの音楽性がそうさせるのか、コンパクトにまとまった感じで実によろしい。
気を付けなくてはいけないのは、LPとCDではゼンゼン内容が違うのね。
ココはオケ抜きの演奏や、未発表音源を収録したCDを聴くべきでしょうな~。
記事を書くにあたって、これまた久しぶりに聴いて改めて思ったんだけど、Robert Wyattしかり、このPye Hastingsしかり、HathieldのRichard Sinclairしかり…このソフトなボーカルはカンタベリー派の特徴のひとつだったのかな?
Kevin Ayersにしても、声のキーは低いけどダラ~っとしてるもんね。

80_3裏ジャケを見ると、Pye Mobile Recording Unitという録音機材が使われたことがわかる。
「Pye」っていうからPye Hastingsの持ち物かと思ったらPye Recordsのモノだった。当たり前か。
この手の機材というとRolllig Stones Mobile Studioというヤツがやたらよく知られているが、このPyeのヤツもかなりスゴイ実績を誇っている。
ザっとその実績を記しておくと…
Live at Kelvin Hall/The Kinks (1967)
Ummagumma/Pink Floyd (1969)
Jimi Hendrix at the Albert hall (1969)
Live At Leeds/The Who (1970)
Five Bridges/The Nice (1970)
Hands Of Jack The Ripper/Lord Sutch And Heavy Friends (1972)
Live/Uriah Heep (1973)
Genesis Live/Genesis (1973)
At The Rainbow/Focus (1973)
Loud 'N' Proud/Nazareth (1973)
…などなど。
昔から聴いている多くの名盤、愛聴盤の多くがこの機材で録音されていたことがわかる。
そして収録現場はコヴェント・ガーデンのシアター・ロイヤル・ドゥルーリー・レーン。
キャパは2,200。
私は『My Fair Lady』を観るために一度だけこの劇場に入ったことがあるが、もっとデカいような感じがするな。
開業は1663年…といってもオリジナルの話しで、写真にある今の建物は1812年に建造された…ってこのビル、建ててから200年も経ってるのかよ!

19img_7674

この劇場をドーンとタイトルにしたアルバムがある。
今日はここまでのところ、カンタベリー派が活躍しているし、同じライブ盤なので紹介しちゃおう。
それはRobert Wyattの『Theatre Royal Drury Lane 8th September 1974』。
未発表発掘音源でリリースは2005年。
このアルバムのタイトルってもしかしたら上の『June 1,1974』の向こうを張ってるのかな?こちらの日付の表記がイギリス式。

Cover_32591623112010_2「イギリス式」で思い出した。
このRobert Wyattのアルバムのタイトルにある「theatre」はイギリス式のつづり。ま、歴史を考えればこっちがオリジナルでしょう。
ご存知の通り、アメリカは「r」と「e」を順番を入れ替えて「theater」としている。
では、下の写真をご覧あれ。
東京は三宅坂、最高裁の並びにある国立劇場。
写真が小さく見にくくて恐縮だが、左下の国立劇場の掲示板の表示には「NATIONAL THEATRE OF JAPAN」とある。
かたや信号機の標識は「National Theater」とある。
いわゆるチャンポンである、
一体全体、どういうルールがあるのかは知らんが、こんなことを国がやっているようじゃ日本国民の英語力アップは到底期待できまい。
東京の人はご存知であろうが、実はこの前の通りを、写真の右に行くとイギリス大使館がある。
明治維新の時、イギリス政府が討幕派の味方をした論功行賞として、その用地のイギリスへの貸与が永久に保証されているという。
そこの職員がコレを見たらどう思うんだろうね。絶対に大使館内で話題になったことがあるハズだ。
恐らく道路標識の英単語のつづりはアメリカ式に統一する…ぐらいのキマリがあるのかもね。で、国立劇場はそのキマリができる前からあった…みたいな。

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★Friday the 13th / Chis Speding
三大ロック・ギタリストというと「Clapton、Beck、Page」。でもねイギリスでは「Chris Spedding」が食い込むんだよ…誰それ?ってな話が昔はあったんよ。
イヤイヤ、実際に現地にはそんな話はありゃせんよ。
ただ、ブリティッシュ・ジャズ・ロックの名門バンドに属していたり、60年代後半から70年代のロックの名盤のレコーディングに参加したりで、「名ギタリスト」と呼んで差支えがないことは間違いないだろう。
Sex Pistolsのファーストでギターを弾いているのもこの人だ、というウワサもあったが真実ではないらしい。
私は高校の時にBryan Ferryのバンドで来日した時、サンプラザでChris Speddingを観た。
「観た!」というだけで満足。ブリティッシュ・ロック好きの義務を果たしたみたいな…。
ソロ活動はパッとしなかった…というのが私の認識ですね。
「Guitar Jumboree」に呪われた半生という感じがする。当時はいいアイデアだったんだろうけど、今聞くとトホホ感は到底免れない。
歌でも損をしている人だと思う。
Robert Gordonのサポートなんかでは実にキレのいいギターを弾いているんだけどな~。
コレは1981年のニューヨークでのライブアルバム。
『Friday the 13th』なんていうから気をきかしてThelonious Monkの同名曲を演っているのかと思いきや、また「Guitar Jumboree」だ。
ゴメンなさい、勝手なことを書いて…タマにはMike Westbrookの『Love Songs』でも引っ張り出してきて聴いてみるか…。

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★Face to Face: A Live Recording / Steve Harley & Cockney Rebel
Steve Harleyなんて名前を口にするのは一体何年ぶりのことだろう?
ヴァイオリンの入ったロックに夢中になった時期があった。中学から高校にかけての頃かな?
それで、Cockney Rebelにも興味を持ち、ファースト・アルバムの『The Human Menagerie』が欲しかったのだが、これまた当時国内盤が手に入らない状態だった。(ちなみに「menagerie」というのは「動物園」という意味)
代わりに買ったのかどうかは覚えていないが、ナゼか『Timeless Flight』というアルバムだけ持っていた。
しかし、内容はまったく覚えていないナァ。全然聴かなかったんだろうね。
この項を書くのでSteve Harleyのディスコグラフィをチェックしていて、そんなアルバムがあったことも、持っていたこともタマタマ思い出した次第。
聴きたかった『The Human Menagerie』も『The Pshychomodo(「さかしま」っていう邦題が当時気になった)』も手に入れたのはかなり後になってからのこと、イエイエ、正直言って今から数年前のことだった。
やっぱりダメだな~…受け付けないわ。
まだ『The Human Menagerie』はいいんだけど、『The Psycomodo』になると曲の魅力の薄さがSteve Harleyの歌のひどさに拍車をかけてしまってあまりにもシンドイ。
『BBC』のライブ音源なんかを聴いてもツライ。
さて、このLP2枚組の『Face to Face』。
以前にも登場したことがあるが、映画のワンシーンを切り取ったようなHipgnosisのジャケットがいいじゃないか!

70_3でも、せっかくだから「コックニー」について……と言っても特に面白い話しがあるワケではない。
「コックニー」とは、「St. Mary-Le-Bow」というロンドンの東の中心、ザ・シティ地区方面にある古い教会の鐘の音が聞こえる範囲内で生まれた「真のロンドンっ子」…と定義されたのが1600年のことだという。
日本で言えば神田か日本橋で生まれて育って、一度もヨソへ住んだことがないような連中のようなものか?
どのあたりかというと…。
タマタマ写真があることを思い出したので紹介しておく。
真ん中の巨大なドーム状の建物は有名なセント・ポール大聖堂。池袋じゃないよ。
ディズニー映画『メリー・ポピンズ』で、必殺の名曲「Feed the Birds」のシーンで出て来るところだ。
完成は1710年。チャールズ皇太子とダイアナ妃はここで結婚式をあげた。
この建物、高さが111mあるそうなのだが、このドームの一番上まで上がれるようになっている。

1_rimg0221で、何年か前にそのテッペンまで上ってみた。
エレベーターなどついていない。おまけに上の方は狭いらせん階段になっていて、狭くてもう大変。
階段を上がり切った頃には両膝がガックガク、腿はパンパンになっちゃった。
残念ながらこの日は天気が悪かったが、それでも息を飲むような絶景だった。
西方面にはロンドン・アイやウエストミンスター橋を眼下に見下ろし…

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正面(テムズ南岸)にはテート・モダンと、向かって左はシェイクスピアのグローヴ座。
手前は西暦2000年を記念して架けられたミレニアム・ブリッジ。

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東方面にははるかにシティの高層ビル群を望む。

1_rimg0230すこしズーム。
赤線で囲ってあるのがその「セント・メリー・ル・ボウ教会」。
この鐘楼から聞こえる鐘の音が聞こえる範囲内で生まれた人がコックニーなのだそう。
その範囲たるや結構広いよ。

1_ch同時にそのロンドンっ子が使う労働者階級の特殊な英語も「コックニー」と呼ばれる。
『マイ・フェア・レディ』のイライザやベッカムが使う英語ね。
「あたぼうよ!」とか「てやんでい!」なんて言う人、露骨に「は」と「し」が入れ替わっちゃう人、「でーじょーぶ」とか変な音便変化させてしゃべる人…そういった「江戸っ子弁」とか言われる表現を使う人はもう東京にもいない。
ロンドンではコックニー訛りはドップリではないにしても、今でも普通に使われている英語だ。
さて、幸運にもその東京弁をしゃべる人に出くわして会話を交わしたとしても、相手の言っている意味がわからないということはまずないだろう。
では、コックニー英語はどうか?
もちろん私の能力が及ばないこともあるが、皆目見当がつかない。
金をせびられていることすら理解できなかった。
イライザ・ドゥ―リトルで例を挙げれば、彼女は…
「The rain in spain stays mainly in the plain」を「ザ・ライン・イン・スパイン・スタイズ・マインリー・イン・ザ・プライン」と読むし、「In Hertford, Hereford, and Hampshire, hurricanes hardly ever happen」を「イン・アーフォード、エレフォード・アンド・アンプシャー・アリケーンズ・アードリー・エヴァ・アプン」と発音する。
「a」が「ai」になり、最初の「h」や途中の「t」をスッ飛ばして読むのだ。
こんなんでしゃべられてもわかるワケがない。
でも、実際にはこういう方式で英語を発音する人はコックニーに限らない。
Marshallのあるミルトン・キーンズの訛りもかなり似ていて、慣れるまでは実に聞き取るのに苦労する。

話はさらに反れるが、1975年に一部をハマースミス・オデオンで録音したEric Claptonのライブ盤『E.C. was Here』に収録されている「Rumblin on my Mind」の後半にジャンジャン転調していくパートがある。
転調先のキーを「エフ・シャープ」とか発表(?)するのだが、コレは当然Claptonが言っているのだろう。
ところが「A」のところで「ア~イ」と発音するんだよね。
Claptonはサーリーというロンドンの中心から電車で30分ぐらいのところの出身なので、どう考えてもSt. Mary-Le-Bowの鐘の音は聞こえないハズだ。
要するにコックニーっぽい英語はクイーンズ・イングリッシュと並ぶイギリス英語の代表というこのなのかも。
クイーンズ・イングリッシュ…身につけたいナァ。
それともうひとつ。
コックニーには「コックニー・ライミング・スラング」というヤツがある。
コレはおもしろい。
要するに「おやじギャグ」のようなくだらない語呂合わせ。
「目」の「eye」を言い表すのにワザワザ「mint's pie」と言ったり、「電話」の「phone」を「dog and bone」と言ったり…メンドクセェ!
彼らの符牒だ。
だけど結構好きで、イギリスに行くと時折教わってくるのだが、実際には一切必要ないもんだからすぐに忘れる。
このコックニー・ライミング・スラングを使って日常の会話をしている人ってのにも会ったことがない。

1_ecwhコックニーで大分脱線しましたナァ。
チョット休憩でセント・ポール大聖堂の内のようすをどうぞ。
もう10年以上前に撮った写真だけど。

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★Live at Carnegie Hall / Renaissance
RenaissanceはHipgnosisが手掛けた『Prologue』や『A Song for All Seasons』をはじめとして、『Novella』や『Scheherazade and Other Stories』等々、比較的いいジャケットが揃っているバンドだ。
何枚も持っているけどほとんど聴く機会がないナァ。
このライブ・アルバムのジャケットに関しては可も不可もないと言ったところですかネェ?
何年か前に野音で観た時、あまりにも暑くて、クーラーの効いた四人囃子の楽屋に入り込ませて頂いて大二さんたちとテレビ・モニタ経由で鑑賞させて頂いた。
Aniie、暑かっただろうナァ、あの時。
ちなみにAniieのソロ・アルバム『Aniie in Wonderland』は当時の夫君、Roy Woodがプロデュースしていることもあって大好き。ジャケットもとてもいいし。
このふたりはまだ一緒なのですか?
野音の時、Aniieに直接訊けばよかった…んなバカな!

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★A Live Recorded / Camel
Camelが来日したネェ。
私はCamelも苦手というか、昔から聴かなかったナァ。何となく聴くチャンスがなかった。
「叙情派」とかいう枕詞のせいで、多分聴かずギライみたいになっちゃってるところがありますな。
このアルバムも持っているけど、トンと記憶がありません。
1978年のリリースだけど、4年も前のMarqueeの音源が収録されている。
1974年10月の録音とされているようだが、Marqueeの資料を調べてみると、この年のCamelは1、2、3、5、6、8月しかMarqueeに出演していない。おかしいね。
こんなにデカデカとLP盤のイラストをジャケットに入れちゃって!CDなんてモノが出てくるなんてこの時は想像だにしなかったんだろね。CDが世の中に出だすのはこのアルバムの発表後、4年経ってからのことだ。
ちなみにラクダは後ろ足を触られるのを極端に嫌うので要注意。
もし触ってしまうと「後ろ足を触られるのは(ラ)ヤダー!」って怒られるよ。

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★Coast to Coast:Overture and Beginners/ Rod Stewart/Faces
Rod Stewartってあまり得意じゃないもんだからFacesもほとんど聴かなかったナ。
『Long Player』の「Maybe I'm Amazed」は好きだった。
その程度なんだけど、ナンダカンダで全アルバム持っていて、このライブ盤もほとんどなじみがない。
そこで、久しぶりに聴いてみる…いいね~。ひたすら楽しいわ~。
コレ、Ron Woodのギターの音はどうなってんだ?

健康上の理由でもう退職してしまったが、かつてJackieという女性重役がMarshallにいて、私はとても可愛がってもらった。
当時、歳は50チョットぐらいだったろうか、会食の席で隣になったことがあって、ロックの話題になった。
よくある「誰が好きなの?」みたいなヤツだ。
Jackieは「アタシはもうロッドに目がないの!大スキ。Faceも何回も観に行ったわよ!」
彼女がJeff Beck GroupやThe Steampacketまで観たかどうかは訊かなかったが、うらやましいと思った。
そして、日本とは生活の中のロックの存在がまったく違うことを思い知った。

さて、この項でもうひとつ。
元ミュージック・ライフ編集長の東郷かおる子さんの著書『わが青春のロック黄金狂時代(角川SCC新書刊)』にRod Stewartのことが書いてある。
東郷さんは帰国子女でもなんでもなく、勉強して自力で英語を身につけたそうだ。
40年以上の前の話だからして、今みたいに「駅前留学」もできなければ、インターネットで外人と会話するなどという勉強方などアイデアすらなかった時代だ。さぞかし実戦のための英語の勉強は大変だったと思う。
その英語で接する相手は雲の上のスーパースターたち。
しかも仕事。すごい度胸だと思うが、たいていは何とかなったらしい。
ところがRodの英語だけはまったく歯が立たなかったという。何を話しているのか皆目見当がつかなかったそうだ。
私もそういう経験が何度もあるが、ホントにイヤなもんだ。
そういう時はもうどうしようもない。訊き返すか、わかったフリをして次に話題に持ち込むか、突然ブッ倒れて死んだフリをするかだ。
よく「聞けるんだけどしゃべれないんだよね~」なんていう人がいるが、ある程度の段階まではしゃべるより聞く方がはるかにムズカシイ。聞けないからしゃべれないということもあるんですよ~!

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★Live! in the Air Age / Be Bop Deluxe
タイトルは、前年にリリースした『Sunburst Finish』に収録されている曲、「Life in the air age」をもじっている。邦題は『ライヴの美学』…ハァ?
Bill Nelsonの奥さんって日本人なんだってね。知らなかった。
私はBe Bop Deluxeを知らなかったが、後に記す理由で中学3年ぐらいの時、このアルバムが出てすぐに買った。
ナゼかはわからないが、「Be Bop Deluxe」なんてすごくカッコいいバンド名だと思った。
言っておきますけど、「ビー・バップなんとか」っていうマンガが出るより全然前の話よ。
おかげで今でもジャズの種類としてはビ・バップが一番好き。
「Be Bop」というのは黒人のスラングで「刃物を使ったケンカ」を意味すると記憶している。

ジャケットはドイツのフリッツ・ラング監督の『メトロポリス』の引用。
SF映画に必要な要素が全てちりばめられた「SF映画の原点にして頂点」だなんて言うといかにも何度も見ているように聞こえるかもしれないが、見たことない。
1926年の制作というから和暦では大正15年。Jim Marshallが3歳の時。だからまだMarshallアンプはない。
12月に大正天皇が崩御し、新しく昭和の時代を迎えようとした時分の映画だ。
今はSFものには小説も映画もほとんど興味ないナァ。『火の鳥』ぐらいかナァ。
『スター・ウォーズ』ってどれも一回も観たことないの。
映画に関していえば、昔はクリエイティブでいいSF映画がたくさんあった。
そもそもあらゆるテクノロジーが発達しきってしまった現在、優れた「サイエンスなフィクション」を考えるのは至難のワザだよね。

120_3さて、中学生の時にこのアルバムを買った理由…それは、このEPが付いていたから。
ま、変則2枚組ライブ・アルバムということになるんだけど、LPにEPが付いているなんて初めてで、内容なんかどうでもよくて、とにかく欲しくなっちゃったのだ。
ナンダカンダでBe Bop Deluxeは5枚のスタジオ・アルバムのすべてやBBC Radio1のライブ・アルバムを買って聴いたけど、結構好き。
でもジャズのビ・バップを聴いている時間の方がはるかに長い。
ところで、Bill Nelsonのギターってチョット歪ませすぎなんだよな~。

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★Alive & Well:Recorded in Paris / Soft Machine
Soft MachineとChicagoとLed Zeppelinの共通点ってな~んだ?
そう、全部ではないが、アルバムのタイトルを序数としたこと。
Soft MacineとWeather Reportと の共通点ってな~んだ?
創始者のひとりKevin Ayers(今回はよく出て来る)がギターを弾くが、基本的にギターレスのバンドだということ。
『Black Market』や『Heavy Weather』でWeather Reportの名前がロック・ファンの間にも浸透し出した頃、純粋なロック少年だった私なんぞは「バンドにギターがいないって、どうすんの!?」なんて驚いたが、大きなお世話ですよね。
そして、Machineの「ギター鎖国」をガツンと開国させたのがAllan Holdsworthだった。
とりわけHoldsworth人気の高いこの国では、Soft Machineといえば『Bundles』に尽きると思っている人が多いのではなかろうか?
ま、確かにカッコいいよね。
Holdsworth研究家の和田アキラさんとご一緒させて頂いた時、お持ちになられたP-Projectのギターが気になって、分不相応にも「チョット、触ってもいいですか?」とお願いしたことがあった。
アキラさんって気難しいそうに見えるけど、とてもオープンな人で、「あ、いいよ!」とすぐにOKを出してくれた。
オッソロシク弦高が低かった。
で、何を弾いたかというと、プリズムはよく知らないので『Bundles』の一曲目の「Hazard Profile Part One」のリフを弾いた。
即座にアキラさんは「アッレ~、知ってるね~!」と驚いてくださってこっちはいい気分。
では、二曲目と、Temepstの「Foyers of Fun」のリフをつなげてギターをお返しした。
アキラさんに愛器をお返しすると、すかさず同じくTempestの「Gorgon」を弾いてくれた。
こんなことがうれしいもんです。いい思い出ですわ。
で!
そのAllan Holdsworthの後任でSoft Machineの加入したのがJohn Etheridge。
このアルバム、それが目当てで買ったよね~。
でも、このアルバムは正直あまり聴かなかったな。
ジャケットのデザインはPeter Shepherdという人。
前作の『Softs』やKevinの『Yes We Have No Mañanas, So Get Your Mañanas Today』、David Coverdaleの『North Winds』、『Sheena Easton』などを手掛けている。
コレはSoft Machine初のライブ音源だが、最近はもうどれだけあるのかわからないぐらい未発表ライブ音源が出ちゃってるね。
このバンドも結構商売になるんだね。
あ、私は好きですから。当然スタジオ盤全部とこのライブ盤は持ってます。

130_3またしてもこの記事を書くために、レコード棚から自分のヤツを引っ張り出して来た。
久しぶりに聴いた。
John Etheridgeは別の記事にも書いているぐらいなので好きなギタリストのウチのひとりなんだけど、このアルバムはどうもいただけなかった…昔は。
今聴くと、コレめっちゃカッコいいね~!
で、今回聴いてフト思った。
昔、あまり気にいらなかったのは録音のせいではなかろうか…と。
要するにギターの音がクリアじゃないんだよね。
低音域での速弾きなんかグッチャグッチャに聞こえる。
それでギターに夢中だった時分の私にはイマイチだったのかもしれない。
でもさ、完全にスタジオで録音されたという最後のディスコ調の曲はヒドイな。
なんだってこんなもん入れちゃったんだろう。しかも海外ではシングル・カットされたらしい。
もうひとつ…ライナーを読み返してみた。
書き手は1977年の伊藤政則さん。
スンゲエ色々な情報が書き込まれているんだけど、インターネットなんかなかった時代、これだけの情報を集めるのは至難のワザだったのではなかろうか?
ヘンに聞いた風なことは一切書かれておらず、情報の提供に徹している。
昔はライターさんもスゴかったのね。
考えてみれば、インターネット普及後の評論家とかライターの仕事っていうのも大変だと思う。チョットやそっとのことは一般消費者も情報を持っているからね。

1_img_0089_2 ところで、普段から思っていることがあるんだけど、ジャズ・ロックの旗手と言われるSoft Machineが出てきたので書かせて頂く。
『ジャズ・ロックのおかげです』なんてディスク・ガイドも読んだ。好きだから。
みなさん、「ジャズ・ロック」って「ジャズ」だと思いますか?「ロック」だと思いますか?
「おんな男」が「男」であり、「おとこ女」が「女」であるように、「ジャズ・ロック」は「ロック」かね?
え、そんなことはどうでもいい?たしかに。
定義らしきものは色々あるんだろうけど、私の感じではジャズの人が演るジャズ・ロックはジャズだよ…すなわち「ロック・ジャズ」で、その反対が「ジャズ・ロック」なんだな。
これはジャズを聴くようになるとそう感じるようになると思う。
それは「ジャズとロックの言葉が違う」ということの表れろう。
言葉がジャズ、すなわちメロディがジャズだと、いくらリズムが8ビートでも「ジャズ」だ。
例えばLee Morganの「The Sidewinder」やHerbie Hancockの「Catntalope Island」はロックには聞こえないでしょ?
反対にSoft Machineの音楽はジャズには聞こえないんだよね。
こちらの方の逆説的証明としてはPeter Ollie Halsallがおもしろい。
今回はホント、このあたりがよく出て来るな。
Kevin AyersやPattoみたいな音楽をやっていてもソロになるとジャズに聴こえる。全部ではないにしてもOllieがジャズの言葉を使ってギターを弾いているからだ。
だから、チョット演奏のパートが長いとよく「ジャズっぽい」と表現してあるのを見かけるが、断じてそれは違う…というのが私の屁理屈。アレはいかにもジャズを聴いていない勉強不足のライターさんの仕業だと思っている。
The Enidって知ってる?
一応プログレッシブ・ロックの範疇に入るイギリスのバンドなんだけど、コレはクラシックの言葉をロック楽器で話すということをやっている。
するとそうなるか?
私の耳にはかなり「クラシック音楽」に聞こえる。おもしろいもんですな…。
あ、何が言いたかったのかというと一般に「ジャズ・ロック」と言われている音楽は「ロック」であって「ジャズ」ではないということ。
下の本の表紙のオジちゃんはSteve Marcus。『Tomorrow Never Knows』とか『Count's Rock Band』といった当時の感覚で実験精神が旺盛なジャズ・ロックのアルバムを残している(私に言わせればロック・ジャズ)。
でも、この人は後に『Smile』というアルバムで聴かせるようなストレートアヘッド・ジャズの方が全然カッコいい。
私はニューヨークのボトムラインでこの人がBuddy Rich Big Bandで2番テナーを吹くのを見たが、ドラムがDave Wecklということもあって、あまりのカッコよさに小便チビリそうになったわ。
精神性や実際の内容を考慮するに最も優れたジャズ・ロックのアルバムって私にとってはZappaの『Hot Rats』かナァ。

Jr

★Encore / Argent
Argentは好きだ。
前の会社に勤めていた時にドラムのBob Henritとイッパイやったことがある。
Bobは後期The Kinksにも在籍したArgentのオリジナル・メンバーで、あるイギリスの楽器メーカーに勤務していた時に営業で来日したのだ。
この時はさほどAegentに興味がなかったため、この宴席にそう感動したワケでもなかった。すなわちArgentが好きになったのはかなり最近になってからのことなのだ。
でも、このライブ・アルバムは14歳の時(1976年)から知ってる。
友人の兄がコレを持っていて、家に遊びに行った時に目にして、ナゼかすごく印象に残っていたのだ。1976年というとこのアルバムのリリースから2年。当時はまだ新しかったんだな…。
少しでも詳しく書いてしまうと素性がバレてしまいそうなので控えるが、その友人はある「新しい家庭経営のスタイル」を提案する運動をしていて、チョット前までよくテレビや駅のポスターで見かけたものだが、その提案が私が思うに、「くだらない」というか、「ウチでは当たり前以前のこと」に思えて、その友人の主張にまったく与しなかった。
そんなだから、このアルバムのジャケットを見るといつもこの友人のことを思い出す。
さて、このライブ盤、どこで録音したの?
私が持っている輸入CDは廉価盤のせいか、Argentに関する簡単な解説しか書いてなくて、肝心のレコーディング・データがスッポリ抜けていてわからない。
もちろんインターネットでひと通り調べてみたけどわからない。
でもジャケットはなかなかによろしいな。
Yesのサード・アルバムなんかもそうだけど、こうしてフィルムをモチーフにしたデザインは少なくない。
しかし、これも時間が経つとカメラのフィルムのことなんか忘れてしまって、こうしたデザインも絶滅してしまうのではないかしら?
恐らく今の若い子はフィルムなんて見たことすらないだろう。


さて、Argetntの音楽の特徴…「大ゲサ」ということに尽きるだろう。そこがいいところなの。
どういうことかというと、ホンのチョットのネタを広げて広げて強引に大作にしちゃう。
例えて言うなら、昔なら私の卒論。今ならMarshall Blog。
私はJ.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を卒論で取り上げたのだが、原稿用紙半分で済む内容をアノ手コノ手で肉付けをして、何十ページにも膨らませたのだ。
就職もキマっていたので、必死だったよ。そして、その卒論は見事「可」を獲得!マジでうれしかったわ。
ただ、教授との面接の時、「キミの論文には内容が何もない!」と指摘された。当たり前じゃんね。どうでもいいことを並べたふくらし粉のような論文なんだから!
ま、私の幼稚な作文にArgentの曲を例えたらあまりにも失礼だけどね。
その極北はFrank Zappaだろうナァ。
何十ページもの論文を原稿用紙の半分に収めちゃう。しかも、とてもわかりやすい言葉と表現でね。
そのArgentのウリ(いつの間にか「ウリ」になってる)は、このライブアルバムの一曲目でも爆発している。「The Coming of Kohoutek」という10分を超す大作。
元々この曲は1974年のアルバム『Nexus』に収録されていて、そっちのバージョンは3分チョットだ。
「Kohoutek(コホーテク)」とは1973年にチェコの天文学者によって発見され、自身の名が付された彗星の名前。当時は大きな話題だったのだろう。それで曲のテーマにしたに違いない。
作曲はRod ArgentとChris WhiteのThe Zombiesコンビ。
ところが、コレは以前にも書いたことがあるリストの「死の舞踏」という曲の引用。その元はベルリオーズ。
ところが調べてみると、さらにその元があった。
9~10世紀にかけて作られたという「グレゴリオ聖歌」がそれだ。
スゴイなぁ、Argent!スケールが違う!(どこがじゃ!)
Rod ArgentはThe Zombies時代にも「She's Not There」やら「Time of Season」やら大ヒット曲を世に問うた才人だ。
歌はメッチャうまいし、キーボードの腕も達者で、Rick Wakemanが抜けた後、Yesに誘われたという話も残っている。
そして、ギターのRuss Ballad。
メタル・ファンには「信州備後」という曲でおなじみかもしれない。KISSの「God Gave Rock 'n' Roll to you」もこの人の作品。
そんな2人のヒット・メイカーを抱えていたのがArgentだった。

140_3そのArgnetを2010年にロンドンで観た。
High Voltageというオジさん、オバさんのためのロック・フェスだ。
その時の演奏がCDになっている。
High Voltageは昔のMarshall Blogで詳しくレポートしたが、もう見ることができないので、書き下ろしで再録したいと思う。
よってArgentはココで終わり。

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★Love You Live  / The Rolling Stones
しょっちゅう触れているけど、The Rolling Stonesは苦手でしてね。
これまで万単位のLPやCDを買ったけど、その内、Stonesものは4枚か5枚程度しかない。
この『Love You Live』はその内の1枚…といっても買ったのは数年前の話だ。
ただ、このアルバムは、1977年の発売当時にStones好きの友人から借りて少々聴いていた時期があった。
「Stonesもなかなかいいもんだ」というのがこのアルバムの古くからの印象。
ジャケットがウォーホルというのも当時話題になった。
ところが、ウォーホルのデザインが気にいらなかったMick Jaggerが後から鉛筆で線を描き加えたのだという。
この鉛筆の線こそウォーホルっぽいと思うのだがいかがだろう?
内容については、私には語る資格がない。

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★The Allman Btothers Band at Fillmore East
Jim Marshallの写真。
フィルモアではなくオールマンズの地元、ジョージア州メイコンで撮ったという話はつとに有名だ。
左上の「THE ALLMAN BROTHERS BAND AT FILLMORE EAST」という文字は後から入れたものではなく、Jim Marshall自身がステンシルを作ってケースにプリントしたそうだ。
ちなみにこのアルバムにはフィルモアで撮影された写真は1枚も使われていない。
内ジャケのステージ写真はWhisky A Go GoとFillmore Westで撮られたものだ…とJim Marshallが証言している。
それにしもこのアルバムの人気の不滅度には驚くべきものがある。一種の教典であり憲章であり…。
私は中学生の時に数寄屋橋のハンターで中古盤を買って、通り一辺しか聴いていないが、皆さんの熱中度には頭が下がる思いだ。
そんな私でも後年、Duane AllmanとDicky Bettsの双方がここでMarshallを使っていると聞いた時は大層うれしかったな。
ちなみに我々の世代は「デュアン」だ。「デュエイン」とは誰のことだ?

170_3先日、あるライブハウスで同業者、すなわちカメラマンの方からお声をかけて頂いた。
いつもMarshall Blogで私の写真をご覧になって頂いているとのことで、ありがたい限りだ。
それで、以前の記事内でこのJim Marshallの写真集を紹介したところ、その方がご興味を持って頂き、入手されたとのこと。
少しでもMarshall Blogが皆さんの役に立つのはとてもうれしいことだ。

1_img_0251で、この本に『Fillmore』の写真が出ていたことを思い出して引っ張り出してきた。
この本のおもしろいところのひとつは、最終的に採用になった写真の前後を見ることができる点にある。
グループ・ショットというのは本当に撮影が難しい。
というのは、たいてい誰かが変な顔になっていたり、目をつぶっていたりで、全員が最高の表情をしているところを捉えるのは至難の技なのだ。
私も時々頼まれるが、そういう時はやはり何枚も撮らないととても心配だ。
Jimもこのグループのカットを何枚も撮っている。
初めのうちはみんなしかめっ面だ。ただでさえイカつい連中だからして、かなり雰囲気が怖い。
そこで、Jimはスマイル作戦に出て最終版をゲットする。
この撮影の時、「あまりにもみんなしかめっ面だったのでドラッグを渡してニコニコさせた」とかいう都市伝説を聞いたことがあるが、コレは疑わしい。
このポジを見る限り、そんなことをしている時間は絶対になかったハズ。さもないと事前事後でポーズが大幅に変わってしまうから。
Jimは6人に向かってこう言ったそうだ。
「コカ・コーラのCMみたいに笑ってくれ!」
この「コカ・コーラ」が「コーク」になり、いつの間にかドラッグを意味する「コーク」になってしまったのだろう…と勝手に想像している。
この本のタイトルは「PROOF(証拠)」だからして私の想像はあながち間違ってはいないのではないか?
Dicky Bettsが横を向いちゃってるけど、1枚を除いて他の写真では全部チャンと前を向いている。

1_img_0247<前編>で紹介したかったアイテムがまだ残っていたんだけど、あんまり余計なことを書いているウチにやたら長くなってしまったので、ココで一旦打ち切り。
<中編>に続く。

Music Jacket Gallery展示の詳しい情報はコチラ⇒金羊社MJG常設展

※本展示は2014年9月に終了しています。現在の展示内容は上記の金羊社ウェブサイトでご確認ください。

2016年5月27日 (金)

激突!歌舞伎町のMarshall対決~Strange,Beautiful and Loud x D_Drive

ロンドンの地下鉄ディストリクト線の西の終点(West Bound)にはふたつの駅がある。
ひとつはテニスでおなじみの「ウィンブルドン」。
有名な植物園、キュー・ガーデンの隣がもうひとつの終着駅で、「リッチモンド」という。
ここはそのうちに『名所めぐり』で取り上げるつもりなので、今日は詳しくは触れないが、1962年に開業したCrawdaddy Clubのある場所がココだ。
開店の翌年、1963年にはThe Rolling Stonesがレギュラーで登場するようになり、The Yardbirds、Paul Jones、Long John Baldley、The Kinks以前のRay Davis等がこのハコでキャリアを積んだ。
代はスッカリ変わったが、現在でも同じ名前で営業している。
リッチモンドには私も何回か行っているのだが、Crawdaddy Clubに関する取材はしていない。

10そして、新宿のCrawdaddy Club。
Marshallのフルスタックがステージに鎮座し、「70's Good Music Bar」を標榜するありがたくもうれしいお店だ!
ここでMarshallづくしのライブが開催された。
出演は、Strange,Beautiful and Loudと…

20D_Drive!
このちょうど二週間前にはMarshall GALAが開催され、双方同じステージに立ったばかり…。
今回はダブル・ヘッドライナーでゴキゲンなパフォーマンスを見せてくれた。

400

先行はStrange,Beautiful and Loud。

X 三宅庸介

30v山本征史

40v金光健司

50v今回はステージのスペースの関係上、バックラインがおもしろいことになった。
もちろん三宅さんはMarshallだ。

60上段が三宅さんが使っているJVM210H。
そして、それをD_DriveのSeijiさん所有の1960Aで鳴らしたのだ。
だから今日の三宅さんのギター・サウンドはStrange,Beautiful,Loud and Driveだ。

70v足元のようす。

80以前はこんな感じだった。
若干シンプルになったことがわかる。ナニをどうしたからどうなった…ということは敢えて書かない。皆さんご存知でしょうから。

240_5 征史さんもいつものMarshallでいつものMarshallサウンド。

90v1992SUPER BASSのハーフスタック。
Marshall GALAの時からロゴがひっついて凛々しくなった。
このスクリプト・ロゴの力はスゴイな~。
見た目がMarshallそっくりのコピーの商品が後を絶たないが、皆さんこのスクリプト・ロゴだけはマネしないね、サスガに。
コフィン・ロゴはやられちゃってる。
ついでに書くけど、アレ、本家Marshallが作るMarshallが気にいらない、あるいはもっとよくしてやろう、とかいうことで自作するワケでしょ?
そんな自慢のオリジナル商品なのにどうして見た目はコピーしちゃうんだろうな~。
私だったら絶対にそんなことしたくないナ。
ルックスもオリジナルにするのが「筋」とか「根性」とかいうもんだと思うんだけど…。
ま、理由や気持ちはわかるけど、これこそ「画竜点睛を欠く」じゃない?
良きにつけ悪しきにつけ、イメージというものは本当に力を持っていることを思い知らされる。

100v今日のオープニングは「bloom」。

110三宅ワールド全開のワルツ・チューン。
後半に進むにしたがって三宅さんがジックリと弾き込もうとしているのが伝わってくる。

130続いてもワルツで「mani」。

140v三宅さんのヘヴィでダークなリフを征史さんが並走する。
テーマのバックで征史さんがグリッサンド

して何度もブチ込む「E」の音がメッチャ印象に残る。

150vこの曲はライブでのワイルドなパフォーマンスとは別に、オーバーダブを多用して細部まで作り込まれたスタジオ・バージョンも素晴らしい。
セカンド・アルバム、『Orchestral Supreme』を未聴の方は是非そちらもお試し頂きたい。
そういえば、このアルバムに入っている「hymn」ってライブでは取り上げられないナァ…カッコいい曲なのに。
あ、それと、「Fantasia」も最近全然出て来ないな…。

160vMarshall GALAで試して以来スッカリ気に入ってしまったハンドマイクでのMCも披露。

210
もう新曲を仕込んだのかもしれないが、かなり新しい部類に入る「devil」が三曲目。
この曲に関しては「ピアソラの影響が強い」という三宅さんだが、私のような一般人にはこういう人の物事の捉え方がサッパリわからん。

180

続いて金光さんのパワフルなスネア6発!
190v

一段と三人の統一感を見せるSBLのテーマ的な曲「if」。
「テーマ・ソング」とは私の勝手な表現。

170

でも「テーマ・ソング」と思っているのは私だけではないと思うんだよね。
…というのも三宅さんが弾く印象的なサビのフレーズになると、お客さんが演奏に合わせて小さく頭を振ってるんだな。

B_s41a0092 三宅さんの曲の中ではそれぐらい親しみやすい曲なワケで、このバンドのひとつのイメージに仕上がっていると感じる。すなわち「テーマ・ソング」に近いと思うのだ。
親しみやすいが、実に作りが凝っている曲だ。

B_img_0020 特に後半の征史さんと奏でるリフが出て来るところは何とも言えない快感を覚える。

200vジトっと「Petal」。
三宅さんの曲のタイトルは英単語ひとつのモノが多い。コレはご自身でもこだわっているそうだ。
しかも一音節の単語が多いんだよね。
でもわからないことがひとつある。
それは、ナゼかイニシャルが大文字のものと小文字のものが混在してるんだよね。
今度ワケを訊いてみよう。
ミスプリントだったりして。
それにしても重いナァ、「Petal」は。これもいかにもSBLらしい。
230v

SBLのステージを締めくくるのは「Virtue」。

220今のレパートリーの中では「bloom」とともに最も古い曲。
三宅さんがチャイコフスキーとマディ・ウォーターズをよく聴いていた時期に作ったそうだ…♪なんでだろう。

240v中間の長いインプロヴィゼーションのパートを経てクライマックスへ向かう。

250vそこで三宅さんは燃え尽きるのだ。
今晩も薄皮を何枚も剥いだに違いない。

260vさて、来る5月31日、Strange,Beautiful and Loudがシリーズで展開している『SOUND EXPERIENCE』が開催される。
場所は三宅さんの東京のホーム、三軒茶屋のGRAPEFRUIT MOON。いつものとこだ。
家内曰く、ここのモヒートがすごくおいしいらしい。私はいつも車なので飲んだことがない。
で、いつも対バンを招いての企画なのだが、いよいよ三宅さんと対バンをする度胸のあるバンドがいないくなってしまった…というのはもちろん冗談だが、今回の相手は人間ではない。
その相手とはMarshall ASTORIA!
三宅さんが今話題のASTORIAをプレイすることが決定した。
全編ではないが、どんな音を出すのかすごく楽しみだ!
実は三宅さんとASTORIAの関係は結構古くてございましてナ。
そのあたりの話がでるかどうかわからないが、是非皆さんにも「ASTORIA EXPERIENCE」して頂きたい!

三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange,Beautiful and Loud

270続いてD_Driveがステージに上がる。

280Seiji

290vYuki

300vShimataro

310vChiiko

320vSeijiさんとYukiちゃんは昨日のCODEの試奏レポートに続いてのご登場!

330vSeijiさんの愛機、DSL100ECの姿が見えないと思ったら…安心してください!奥にありますよ。
この「安心してください!」っというのももう誰も言わなくなったね。
Marshall Blogでは積極的に流行りの言葉を引用するようにしている。時代を映すことができるからね。
今なら「第三者の厳しい目」だろう。
後半に強力な流行語が出なかったら今年の流行語大賞は固いだろう。受賞して賞金が必要ならわずかで申し訳ないが、オレの都民税を使えよ。
アレさ、元検事とか言う人ふたりを「第三者」に選んだでしょ?
その人の苗字が「第三者」さんだったら絶対大ウケするよ。
…と思って調べてみると、さすがに「第三者」さんはいないみたいだけど、ナント!
「台」さんと「三者」さんという苗字の方がいらっしゃるらしい。
「だいさん」は、「台」さんや「代」さんと結構多く、「中」さんがいるんだから「大」さんもいて当然。
一方、「三者」さんはさすがに珍しい。長野の姓で、推定人口10人だとか。
この二人が組んでですよ、
「元検事の『台』です。」
「私も元検事の『三者』です。」
そして、知事が言う…「だから隠していたワケじゃなくて『だいさんしゃ』さんって苗字だったんですよ。」…ってやったら最高だったのによ!
名前も「健二」さんでお願いしたいところだ。
ああ、どうでもいいことで思いっきり脱線してしまった。
でも、Seijiさんをプライベートで知る人にはこの部分、おもしろかったのではないでしょうか?

340知事といえば大阪でも色々ありましたな~。
ということでYukiちゃん。もちろんMarshall。

350v三宅さんのJVMの下敷きになっているのがYukiちゃんのTSL100。
キャビは三宅さん同様、Seijiさんの1960Aを拝借。

360v足元が大混雑~!

370そして、見落としてはならないのがShimaちゃんのベース・アンプ。

380vMarshallの後ろで見えないけど、愛機EDEN WT-800!

390「Hyper Driving High」でステージはスタート。

410vニュー・アルバム『R』から「Drive in the Srarry Night」へとつなげる。

420そして、Marshall GALAでも取り上げられた「M16」

480

「なんで私たちの出番が後なんでしょうね~。順番おかしくないですか~?」とYukiちゃん。
「今日はいろんなアルバムから演りますよ~」

500v

…と、YukiちゃんのMC。
何かこの日は特に演奏に集中している感じがしたな。
「徹底的に弾いてまうで!」みたいな…。

440v…ということで「Lost Block」から

450v「Peach Fizz」…

460v「Unkind Rain」と立て続けに演奏した。

470v今日はチョイと変則的なバックラインだけど、そんなことはお構いなしに新旧のDチューンをブチかました!
「R」のリストバンドだよ~。

B_s41a0226 楽しい時間はアッという間に過ぎますな…早くも最後のセクション⇒エエ~!

430

『R』から「Now or Never」と「Attraction 4D」。

490vチョットこのあたり、曲の変更があったんだけど覚えてないな…。
あと「Cassis Orange」は演った。

510今回は初めての会場ということがあったのかも知れないが、何しろ「大人のD_Drive」という感じがした。
あ、いつもは「子供のD_Drive」ということでは当然ないよ。

520vD_DriveはD_Driveだし、イイとかワルイとかいうことはゼンゼンなしに雰囲気が全然違うように私には感じられた。
だからおもしろいね。
「音楽が生き物」ということだ。だから「live」なのだ。

525vここのところASTORIAやCODEの試奏で大活躍して頂いたギター・チーム。

530v今日も素晴らしいMarshallサウンドだった!

B_s41a0235_2 こうして、今日の出演したギタリストの皆さんのように、Marshallを爆音で鳴らしてこそクリエイトできる音楽の価値がますます上がって来たって気がするね。

D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Offiical Web Site

550(一部敬称略 2016年3月20日 新宿Crawdaddy Clubにて撮影)

2016年5月26日 (木)

CODEネームは'D'

今年のNAMMで発表となったMarshall初のフル・モデリング・アンプ、CODE。
日本での発売はまだ大分先になりそうだが、3月に開催されたMarshall GALAでルーク篁さんのデモンストレーションによっていち早くその姿を現した。
商品の詳細については、ありがた迷惑であろうぐらい細かくゴチャゴチャ記しておいたので下記の記事をご参考願いたい。
【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<前編>
【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<後編>

10_2先行部隊として、まずは25Wと50Wが私のところへ到着している。
ステージ仕様の100Wヘッドが楽しみなところだが、この25Wと50Wコンボも練習用あるいは宅録用用として最高のパフォーマンスを発揮してくれることが判明している。
何せ歴代のMarshall名器の音がこの箱の中に詰め込まれているのだから!

1_img_0677 これまでこのCODE50を何人かのプロ・ギタリストにお試し頂いているのだが、コンセプトや操作性についてはもちろん、音質や弾き心地に対する評価もすこぶる高いことに驚いている。(ゴメンね、Marshall。こんなに評価が高くなるとは思わなかったんだよ)

25今日はD_Driveのお二人にお試し頂いた。
そうだよ、ASTORIAの試奏の時についでにお願いしたんじゃ。


まずはSeijiさん。
Seijiさんはこうしたデジタル・プロダクツより、真空管がゴソゴソと入ったトラディショナルなアンプがお好みなのは百も承知。
Seijiさんは食わずギライというワケではなく、実際にステージでデジタル・アンプを使ったこともあるそうだ。
CODEを弾いて、デジタル・アンプのテクノロジーの進化に驚いていたが、ファースト・チョイスは真空管アンプだ…

30v…といいたいところだが、さすが真のマーシャリストだけあって、14種類のプリアンプ、4種類のパワー・アンプ、8種類のキャビネットというラインアップの誘惑には勝てず。
気になっていた弾き心地も申し分なし。
ボリュームをグイっと上げて…ナンノことはない、CODE弾き倒し!

40v従前から説明している通り、CODEはGATEWAYというアプリをインストールすればスマホでの操作が可能となる。
もちろんスマホがなくてもコントロール・パネルですべての操作が行える。

45そこで、まずはコントロール・パネルでイジって頂いた。
…というのはGATEWAYが入っている私のスマホ、充電し忘れちゃって!
Marshall CODE家訓その1!:GATEWAYを使う時はケータイの充電切れに注意せよ!
「家訓その2」はない。大変使いやすいのでご心配なく。

50_2GATEWAYの方が扱いやすいことは確かなのだが、「あ、そうか~」と言いつつ次々と操作を進めていくYukiちゃん。
若い人にはまったくかなわないワイ。

60_2そうこうしているウチにスマホの充電が完了!
さっそく、GATEWAYとCODE50をBluetoothでひっつなげて…と。

90

コレがGATEWAYの画面。
プリアンプ、パワーアンプ、キャビネットを選ぶ「AMP」のページ。
冒頭で紹介した記事に見に行かない人も大勢いるでしょうから、チョット久しぶりに中身を並べてみようか?
ムヤミに内容を膨らまそうというワケではない。
井上ひさしだか、筒井康隆だったか、あったよね。
原稿行をボリュームを楽して膨らませ津には、兵隊を登場させて点呼すればいい…ってヤツ。
どうなるか…
「番号!」
「イチッ!」
「ニッ!」
「サンッ!」
「シッ!」
「ゴーッ!」
「ロクッ!」
「シチッ!」
「ハチッ!」
「キュウッ!」
ってやると、ホラ、難なく10行も紙幅をツブせて楽して原稿料をせしめることができる。
コレ、コピー譜もそうなんだって。
原稿料というのはページ毎に精算するのが普通だから、尺は長くなるが、採譜者にとってはTAB譜を付けた方がお得ということになる…という話をあるプロ・ギタリストから聞いたことがある。
Marshall Blogは長さも原稿料も関係ないのでご心配なく。
写真だけならべて、「いいライブだった。ハイ、レポート完了!」ということもできるけど、「マーブロ中毒」としての私のプライドが許さない!
では…


<PRE-AMP>
★クリーン系
JTM45
Clean DSL
Clean American
Clean JVM
Acoustic

★クランチ系
Bluesbreaker
Plexi
Crunch American
JCM800
50's British
★オーバードライブ系
OD JVM
OD DSL
OD American
OD Silver Jubilee

<POWER-AMP>
Classic Marshall 100W
Vintage Marshall 30W
British Class A
American Class A/B

<CABINET:( )内はモノホンのスピーカー・コンフィギュレーション>
1960 (4×G12M-75)
1960V (4×Vintage30)
1960X (4×Greenback)
1960HW (4×G12H-30)
1936 (2×G12M-75)
1936V (2×Greenback)
1912 (1×G12B-150)
1974CX (1×G12M-20)

70まだまだ行を稼ぐぞ~!ウソウソ。
ココはエフェクターをコントロールする「FX」のページ。
PEDAL、MODURATION、DELAY、REVERBとエフェクターが4つのカテゴリーに分けられている。

<FX>
★PEDAL
Distortion
Auto Wah
Pitch Shifter
Compressor

★MODULATION
Chorus
Flanger
Phaser
Tremolo

★DELAY
Studio
Vintage
Multi
Reverse

★REVERB
Room
Hall
Spring
Stadium

もちろんハイ・クォリティのノイズ・ゲートも搭載されている。

80_2

ギターから送られた信号はFXのPEDALセクションを通過しプリアンプへ。
そこからループにかまされたMODULATION、DELAY、REVERBを経てパワーアンプ段に送られる。
そして、スピーカーへと信号が送りだされる…とう概念。
スゴイ世の中になったものだ。
ちゃんとしたクォリティのモノを40年前これだけ揃えたらチョットした車が一台買えていたのではないか?

Dia3 …なんてことはお構いなしに、Yukiちゃんはサクサクと音を作って弾きまくってる!

100_2この顔…間違いなく気に入っている。
ご存知の通り、YukiちゃんもTSL100をこよなく愛する真空管アンプ派だ。
ところが、見ていると何の違和感もなさそうにCODE50をバリバリ弾いてる。
その評価はSeijiさん同様、弾き心地については何ら問題なく弾きやすい。
そして、音もお気に召したことは、Yukiちゃんが止めどもなく弾きまくったことが証明している。
音、いいのよ…。

110_2発売が待ち遠しいCODEなのであった!
120_3
D_Drive最新作、『R』絶賛発売中!
このアルバムのギター・サウンドはMarshall、そしてベース・サウンドはEDENです。
どうぞ安心して真のメタル・ギター&ベース・サウンドをお楽しみください。

480cd D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Offiical Web Site

2016年5月25日 (水)

日本の歌もASTORIA~ノブ&フッキー結成25周年コンサート

久しぶりのハリウッド。
グローマンズ・チャイニーズ・シアターの前は相変わらず大勢の観光客でゴッタ返している。

05たくさんのみやげ物屋が立ち並ぶ、前を走るハリウッド・ブールヴァード。
アレレ、様子が違うぞ!

05_2…と思ったら浅草公会堂!
ああ、アメリカより日本、カリフォルニアより東京、ハリウッドより浅草…こっちの方が全然好きだわ…。

06お隣さんは浅草寺の本坊、伝法院(でんぼういん)。「本坊」とは住職が住むところ。
平成23年に国の名勝に指定されたが、一般への公開は基本的にしていない。
時々、開放しているので、いつか中を見たいと思っている。

07伝法院の前の通りはその名も「伝法院通り」。
演芸の町らしくズラリと並んだステージ衣装店。赤、青、黄、金、銀…あらゆる色のタキシードが取り揃えられている。
私の友人のジャズ・ミュージシャンもココでタキを買ったと言っていた。
そういえば、この並びにビッグ・ダディが整骨院みたいのを開業したんよ。
それを知らずにタマタマ通りかかったらあの声が聞こえて、見たらホンモノの「ビッグ・ダディ」!
アタシャ、驚いちゃった。コレがホントの「ビックリ・ダディ」…ナンチャッテ。

08公会堂の前の通り、「オレンジ通り」のキャラクター、「オレンテくん」。
ズッと「オレンジくん」かと思っていたんだけど、「オレンテくん」なんだってよ!
それにしてもこんなところにもゆるキャラがあるんだもんね~。
Marshall Blogも作っちゃおうかな…「マーブ郎」っていうの。

09それにしても、なんだ「オレンテ」の「テ」って?と不思議に思っていたらこういうことなのだそうだ。
要するに最初の写真のスターの手形から来てるワケ。
コイツ、天才肌らしい。

10そもそも何でココが「オレンジ通り」って言うのかと思っていたんだけど、道路がオレンジ色なのね?
何百回通っていてもゼンゼン気がつかなかったわ。
…と思ったらさにあらず。
名前が先に決まって、それにちなんで後から道路の表面をオレンジ色に塗装したんだって。
「オレンジ」はイメージで採用しただけで、さしたる意味はないようだ。

11vみんなが気にする、角の呉服屋さん屋根の上のねずみ小僧。

12v上から見るとこうなってる。

20さて、今日の浅草公会堂はものまね界の重鎮チーム、ノブ&フッキーの結成25周年を記念するコンサートだ。

40スゲエ、祝い花の数!

50ロックの世界ではさすがにこんなの見たことない!
やっぱ芸能界はケタが違うな。

60開演までまだ大分時間があるというのにたくさんの人が着席して開演を待つ。
チケットは完全ソールドアウトだ。

75そしていよいよ開演。
華々しくステージに登場するふたり。
オープニング・ナンバーはナット・キング・コールの「L-O-V-E」。

80ノブ

S41a0290
そして、フッキー。

S41a0288ところで、なんだってノブ&フッキーがMarshall Blogに出ているのかというと…この人。

90vおなじみ関雅樹がギターを弾いているのだ。

100もちろんアンプはMarshall。

110今回はASTORIA CLASSICをメインに使用。
先日レポートした通り、関ちゃんにはいち早くASTORIAを試奏してもらっていて、早速こうして大舞台の実戦で使ってもらったというワケ。
向かって右は以前から愛用している1974X。
イスは見ての通りNATAL!

120_2そしてベースは山田直子

130vEDENを使用。

140vヘッドはWT-800、キャビネットはD410XSTだ。

150ショウの方はコンサートのサブタイトルにあるように、「ものまねで綴る日本の歌」ということで、誰もが知っているおなじみの名曲の連発。

180v

大木凡人さんの進行で矢継ぎ早に次々とものまねが披露されるのだ。

185v
ルックス、歌ともに25年のキャリアがモノをいう完璧な芸だ。

160ジャンジャン出て来る!
谷村新司

170v千昌夫

186関雅樹…あ、コレは本人だ。
With Marshallね。

190こちらも本人。
直子さんの着実な低音が演奏を引き締める!

200美空ひばり

220谷村新司&堀内孝雄

230安岡力也。ホタテね。

240vロック・フレイバーあふれるこのコーナーでは関ちゃんのギター・ソロもフィーチュア。
ん~、いい音だな~。

250直子さんも猛ドライブ!
それにしてもEDENの音ってのはよーヌケる!

255そして…
S41a0144

裕也さんのクダリではステージ前方に歩み出て…

270大ノリ!

S41a0131 バック陣もダイナミックな演奏でこのロック・パートを盛り上げる。

ここで第一部終了。

280休憩をはさんでスタートした第二部でもジャンジャン飛び出すネタの嵐!
「ものまねジェットコースター」の名に恥じない、まだまだいくらでも出て来る豪華ものまねパフォーマンス!
美輪明宏

290v矢沢永吉

300v達郎さんまで!

310vコレはスゴイよな~。
ノブさん(お兄さんの方)が特にスゴイ。
ココに挙げなかったネタもドッサリ!一体何人分を演じたのだろう?

320青空球児・好児、ビートきよし、コロッケ、テツandトモ…写真は掲載していないが、25周年を祝うために多くの先輩や仲間が駆けつけてくれた。
生ゲロゲーロ、生なんでだろう等で大盛り上がり!テツandトモは大きなハシゴを使ったアクロバットまで披露してくれた。
そして、最後はノブ&フッキーのオリジナル曲、「素顔でいいのさ」を熱唱。

330v関ちゃんはエレガットも披露した。このギター、弾きやすいんだぜ~。

34025周年の感謝の気持ちを込めた歌に会場は感動一色!

350イヤ~、内容テンコ盛の一大爆笑スペクタクルでした!
ASTORIAも大活躍!
ところで…今日歌われた曲はタイトル通りまさに「日本の歌」、すなわち代表的な「歌謡曲」ばかりで、私世代ぐらいだと全曲知っている。歌詞は正確でないにしてもラクラク一緒に歌うことができる。
どうだろう、「真っ赤な太陽」あたりが最も古い曲だろうか?昭和42年のヒット曲だから約50年前の曲だ。
その曲が今でもこうして親しまれているのは、「歌い継がれている」からだ。
コレがあと30年位経ったらどうなるだろう?
今、テレビ等で流れる若い人たちが演っている曲は果たして残っているのだろうか?マァ、ホンの少しは残るかもしれないが、昭和歌謡のように長生きすることはま不可能だろう。
しからば、ものまねネタはどうなるのか?その時、誰のものまねをしているんだろう?
そもそも音楽なんて聴かれているのだろうか?
今日これだけたくさんの「日本のスタンダード曲」を耳にしてそんなことを思ってしまった。
落語と漫才同様、ものまねも日本独特のエンタテインメントだ。
海外でももちろん「ミミック・ショウ」というのは存在するが、せいぜい何の芸もないソックリさんが出て来るのが関の山だ。
コレほどまで高度な技術を持ってして人様のマネで爆笑をクリエイトするエンタテインメントは、日本人の根底に流れるマジメさ勤勉さが育てたモノで、言葉やものまねの対象を別にしても、日本人にしかこのおもしろさは通用しないのではないだろうか?
ノブ&フッキーがいる国に生まれてヨカッタ!

1_s41a0319 そしてフィナーレ!

何はともあれ、25周年おめでとうございます!
ノブ&フッキーの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルHP

360次にASTORIAを弾くのはキミだ!

370関ちゃんは『Arm Up Guitar School』というギター教室も開設している。
詳しい情報はコチラ⇒The website of Masaki Seki

ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒【Marshall Blog】 いよいよASTORIAが出るよ!

(一部敬称略 2016年3月12日 浅草公会堂 大ホールにて撮影)

2016年5月24日 (火)

【ASTORIA試奏レポート】 SAKI PLAYS ASTORIA + CODE

先日、寺田恵子をゲストに迎えてのライブも大成功だったMary's Blood。
昨年の10月にリリースしたニューアルバム、『Bloody Palace』に関するツアーもひと段落し、すでに新たなステップを踏みだしているハズだ。
130cd
さて、そのMary's BloodのSAKIにASTORIAを試奏してもらった。
「No.1ガール・メタル・バンド」の呼び声も高いMary's BloodのシュレッダーはどうASTORIAを弾いたのか?

10では、さっそく…いつも通りCLASSICから。

20vまずはジックリとスペックをチェック。

30_2「ホンモノのディストーショナーはいいクリーンを知っている」…というのは今私が考えたセリフ。
SAKIちゃんはしばし、クリーンを試した後エフェクターを使って試奏。
50v

これがSAKIちゃんのCLASSICの感想。
「まずエフェクターを何も繋がずにアンプ直で鳴らしてみましたが、美しくてリッチなクリーン・トーンが鳴ってくれます。
ギターそのものの音をアンプリファイしているようで、繋いだギターの木が鳴っているように感じました。
エフェクターを繋ぐと素直にエフェクトが乗ってくれるので、普段よりもよくエフェクターの効果が分かります。
色々ペダルを使って音を作るという方にはぴったりだと思います!」
さすが!よくおわかりでいらっしゃる!
40v
お次はCUSTOM。
非の打ちどころがない極上の歪みと弾き心地、そして粒立ちの良さはどうだ!

70SAKIちゃん曰く!
「ビジュアル、音とともに一番ビビビッときたのがこの子!
カラーリングは可愛いですが、音はその見た目と裏腹にガツンと前に出てくるMarshallサウンドそのもの。
ピッキングのニュアンスも忠実に出てくれるし、レンジの広さも気に入りました。
音が小さいという事もなく、十分色々な場で活躍してくれると感じました。
モダンなのにヴィンテージ、というような音のイメージを受けました!きっとハードなロックにも合うはず。」
合います。
やっぱコレが一番ヨカッタか…。

80vASTORIAのトリはDUAL。

90vやはりASTORIAの中ではもっとも機能が多いだけあって仕様のチェックは丹念に行われた。

100v

「クリーンとオーバードライブサウンドの両方が手に入るというコンセプトですが、その音のキャラがCLASSICのクリーンともCUSTOMのオーバードライブ感とも異なっているので、単純に2つがひとつになっている…というアンプではないです。
素直に音が鳴ってくれるという印象は上記2つと同様ですが、鳴りが変わってくるのが不思議で楽しいです。
是非実機を触ってその違いを確かめてみて欲しいです!」

…ということでチャッキーの好みのASTORIAはCUSTOMということが判明。
スーパー・シュレッダーの適切な評価ではなかろうか。

1_ast2_headcomboさて、Marshall Blogで何回も紹介している通り、SAKIちゃんはJVMプレイヤーである。
マーシャリストである。

90それゆえ歴代のMarshallの名器のサウンドをサンプリングしたCODEに興味があるハズ。

Code_group2…ということでASTORIAと同時にCODEも試奏して頂いた。
モデルは50Wのコンボ、CODE50。

1_img_0644CODEをコントロールするソフトウェア、「GATEWAY」がインストールされている私のケータイをSAKIちゃんに手渡すと、早速スラスラと操作を開始!

120vやっぱ若い人は違う!
な~んにも言わなくでもドンドン、ジャンジャン、ガンガン、ひとりでイジくっていい音を作っちゃう!

130そんなSAKIちゃんのCODE評…
「スマートフォンで直感的に操作出来るところがいいですね。
音についても、どこを取ってもマーシャルなので、マーシャルをイジったことがある人なら音を作りやすいと思いますし、中々実機で試すことの出来ないヘッドとキャビネットの組み合わせも出来るので新しい楽しみ方もあります!
DAWに接続してCODEで作った音を録音したり、スマートフォンのタッチだけで操作出来るエフェクター類も搭載されているので、ライブ演奏で使用したりと色々な用途が出来てとっても便利ですよ!」

140v操作や機能については若い人らしく積極的な評価が下されると予想していたが、音についても同様で、一旦音を作ってしまうと、バリバリと実に気持ちよさそうに弾いていた。
ん~、楽しそうだな…。
ま、何にせよASTORIA同様、CODEの反応もすこぶるよく、どこへ出しても恥ずかしくないモデルであることを確信した。
CODEについては販売までまだ時間がかかりそうだが、今から是非ご期待頂きたい。

CODEシリーズに関する詳しい情報は ↓   ↓   ↓
【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<前編>
【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<後編>

150さて、Mary'S Blood、今年も『NAONのYAON』に出演する!
SAKIちゃんのこの雄姿が見れるのかと思うと楽しみだ!

240vMary's Bloodの詳しい情報はコチラ⇒Mary's Blood Official Site

(一部敬称略)

2016年5月21日 (土)

LOUDNESS~35th Anniversary Year Special Live "SHOCKING DEVIL'S LAND"

35周年を激走中のLOUDNESS。
10
LOUDNESSのコロンビア期のリマスター盤がリリースされたことを記念したコンサートが東京と大阪で開催された。
『誕生前夜』、『魔界典章』、『撃剣霊化』からの収録曲を中心据えたセットリストに満員の観客はケタ違いの熱狂と感動に包まれた。
今日のMarshall Blogは3月31日のその東京公演のもようをレポートする。

Sign オープニングでいきなり爆発的なインストを披露。
音が出た瞬間からLOUDNESSの世界の真っただ中に突入だ!

20最初の曲は「LOUDNESS」。
LOUDNESSの記念すべき最初のアルバム『誕生前夜』、の最初に収められている曲…と「最初」づくしで固めてきた。

30二井原実

40v高崎晃

50v山下昌良

60v鈴木政行

70v続けて「ROCK SHOCK」…『誕生前夜』の曲が並ぶ。

80『誕生前夜』の発表は1981年。
35周年だからして、デビュー・アルバムのリリースが35年前なのは当然至極なのだが、コレが四半世紀を10年も上回る過去の曲とは思えない。

90ステージの上下(かみしも)に備え付けられた巨大な十字架。
高崎さんの鬼気迫るプレイにとてもよくマッチしている。

100v1982年のシングル、「BURNING LOVE」。まだEPの時代。CDが一般的に普及し出したのがこの年の後半と言われている。
その頃からバリバリに激走し続けているのだ。
ちなみに、最近は音楽配信の隆盛でスッカリ見かけなくなったが、1987年、世界で最初に8cm(3インチ)シングルをリリースしたのはFrank Zappaで曲は「Peaches en Regalia」だった。
さらに「STREET WOMAN」、「TO BE DEMON」と続けて演奏し、『誕生前夜』のセクションを終了。

110そして、「IN THE MIRROR」。
現在も演奏される機会の多いLOUDNESSスタンダードの一作。

120vここから『魔界典章』セクションに入る。

130近作であれ、旧作であれ、何ともすさまじいまでの高崎さんの存在感。
もはやロック・ギターの権化にして真髄。ギターがギターが弾いているような感覚さえ受ける!

135続けての曲は「BLACK WALL」。

140vそのままドラム・ソロへと突入した。

150ドラム・ソロって昔からナゼかコンサートの後半に持ってくる傾向があるでしょ?
この点もLOUDNESSは違う。
中盤前に持ってくる。

160vそれだけにお客さんのドラムに向ける集中力も高い。

S41a0844 パワフルで粒立ちのよいダブル・バス・プレイをふんだんに盛り込んだ強力なソロで観客の喝采を一身に浴びた。

170まだ続く『魔界典章』のセクション。
1983年のシングル「ROAD RACER」だ。

180問答無用にストレートなメタル・チューンが実に気持ちよろしいな。
いつもMarshall Blogに書いているように、「音楽は曲だ」…を証明してくれるようなクォリティの高い曲が続く。
『THUNDER IN THE EAST』の萌芽はとっくの昔に始まっていたのだ。

190そして、その佳曲をドラマチックかつスリリングに演出する完璧な器楽テクニック。
不滅のロック・スタイルがココにあったし、当然今も健在だ!

195v1987年の『HURRICANE EYES』から「ROCK'N ROLL GYPSY」。
独自のグルーヴでステージ下手から重低音を遠慮なくブッ放す山下さん!

200v人気曲「CRAZY DOCTOR」…ここから『撃剣霊化』のセクション。

210vその前に、待ってました!の高崎さんのギター・ソロだ!

230ロック・ギターのすべてのエッセンスを含んだ素晴らしいプレイ!
お客さんの高崎さんへの凝視がハンパじゃない!

240vこれほど激しく、獰猛に、しかし、美しく、繊細にギターを弾く人は世界でもそうはいまい。驚異的なテクニックのすべてが「音楽」をクリエイトするために注ぎ込まれている点が素晴らしいのだ。

250ショウは後半に入り『撃剣霊化』の曲を連ねる。

260「BUTTERFLY」から「SATISFACTION GURANTEED」。
310v

時折ドラムのライザーに上がってはあんぱんさんをインスパイアする二井原さん。

275高崎さんと山下さんのカラミも見逃せない!

280『魔界典章』から「THE LAW OF DEVIL'S LAND」を経て、名バラード「So Lonly」へ。
今日も序破急取り混ぜた鉄壁のラインナップで客席のファンを狂喜させた4人!

320

290v

300

330v以上で本編は終了。
全14曲。劇的なメタル・ショウだった!

340そして、アンコール。

350一曲目は最新作のタイトル・チューン、「THE SUN WILL RISE AGAIN」。

360デビュー作から最新作までを一気に俯瞰しても少しもブレることがないところがスゴイ。
すべてがLOUDNESSミュージックだからだ。

380vアンコールのもう一曲は定番「CRAZY NIGHT」。

370ホント、LOUDNESSのコンサートは「ロックを観た!」という感激に浸らせてくれる。
今年も世界のフェスティバルでの活躍を期待している。

LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website

390ここでLOUDNESS情報!
コレは昨年末に開催されたEARTHSHAKERとのダブル・ヘッドライナー・ショウの模様を収めたライブ・アルバムが1月にリリースされている。

395また、樋口さんのシグネチャー・スティックもリリースされた。
会場にて販売されたが、当日分がアッという間にソールド・アウトとなった人気アイテム。

400最後に!
ファンの人気投票による選曲で構成されるベスト・アルバム『SAMSARA FLIGHT~輪廻飛翔~』。
中間発表では「CRAZY DOCTOR」が第一位だそうだ。
発売は7月6日を予定しているが、この人気投票の締め切りの5月24日まであと数日だ。
まだ、投票していないファンはお忘れなく!

詳しい情報はコチラ⇒特設サイト

Samsara

※5月23日のMarshall Blogの更新はありません。代休。

(一部敬称略 2016年3月31日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)

2016年5月20日 (金)

TWIN PEAKS~二番、Deep Purple編:SMOOTH DANCER

ある日、Marshall Blogの原稿書きだったか、写真の現像作業だったかに疲れてしまい、ソファで横になりながらジックリとハナクソをほじっていた。大きいのがスポッとキレイに取れた!とよろこんでいたら傍らの電話が鳴った。
電話はDYNAGONのキーボード、加藤剛からだった。
「他にはない本格的な大人のDeep Purpleのトリビュート・バンドをやろうと思っているんですよ。で、ギターは島くんにお願いしようと思っているですわ」…と新しいバンドの構想を私にいち早く知らせてくれるための連絡だった。
若手ロックの草食性に変化が見えない一方、ベテランはベテランで、コピー・バンドで気勢を上げるという状態が続いていて、正直「またか」という印象もないではなかった。
それにしてもこのトリビュート・バンドって増えたよ~。
ジミヘンのBand of Shigeo Rolloverとか、ストーンズのBeggarsとか、ツェッペリンのシナモン…私は詳しくはないが、それらのグループが相当昔からあったのは知っている。Bad Sceneのコピー・バンドっていうのもいた。そう、昔はコピー・バンドって呼んでいた。
今はスゴイね。何から何まで揃ってる。
さて、剛さん…あれほどのJon LordないしはDeep Purple愛の強い人だし、ギターはノンちゃんということもあってその仕上がりを楽しみしていた。
…と、話は飛んで、アッという間に本番の日。
会場に足を運ぶと剛さんたちのバンド名が「SMOOTH DANCER」となっていてまずはニヤリ。
「Smooth Dancer」は1973年リリースのDeep Purpleの7枚目のアルバム『Who Do We Think We Are?』の収録曲のひとつ。
私はこのアルバムを14、15歳の時に中古で買ったのだが(オマケでロゴ・ステッカーが付いていた)、熱心なファンでもなかった私は「My Woman From Tokyo」ぐらいしか聴かず、すぐに手放してしまった。したがって、このアルバムの内容についてはほとんど記憶がなかった。
そして、ココでノンちゃんが登場する。ハッキリ言って最近の話よ。
「あのアルバムは『My Woman From Tokyo』以外の曲が全部いいんですよ。」と言うノンちゃん。
「ナヌ?」と不審に思った私は、このアルバムをまた買って聴き直してみた。
すると、すると~!アータ、なにコレ?「アッとおどろくタメゴロー」じゃないの!
殺人的にカッコいい!しかも全曲(「My Wonan~」含む)!
中でも気に入ったのが「Mary Long」という曲。
このサビがいいんだ。一発で気に入った(といっても昔聴いてるハズなんだけどね)
「♪How did you lose your virginity, Mary Long?」と「♪When will you lose your stupidity, Mary Long?」というところ。
「How」 と「What」の疑問詞の組み合わせ。そして、「Virginity」と「Stupidity」の脚韻を踏んだ意味の対比がタマらない。
日本にも似た曲があるよね。
もちろん「Super Trouper」も「Rat Bat Blue」も「Place in Line」も「Our Lady」もみんないい。イケね、全部挙がっちまった。
その中で「Mary Long」に次いで好きな曲が「Smooth Dancer」なの。「Blood Sucker」でも「Fireball」でもない、「Smooth Dancer」をバンド名にしてくれたのがチョットうれしかったというワケ。
ちなみにノンちゃん曰く、アルバム『Fireball』の場合も表題曲「Fireball」以外がおススメだとか…。
でもね、「Deep Purpleの最高傑作は『Who Do We Think We Are?』と『Fireball』だ」と本場イギリスの友人も言っていた。
前書きおわり。

10_3SMOOTH DANCERのメンバーは…
Ray

20v_2島 紀史

30v_2加藤 剛

40v_2臼井"OZMA"孝文

50v加藤剛志
スゴイ、剛さんの名前がフルでスッポリ入ってる!

60v一曲目は「Burn」。

70_2水を得た魚のような剛さんのオルガン・プレイ!

80v_mightカバーデイルをしっかりカバーするRayさん!
昔は誰も易々と「Burn」なんか演奏できなかった…なんて話をDead Eyed Spiderの千田さんと以前話したことがあった。
少なくとも私が高校ぐらいの時はDavid Coverdaleと同じように歌える人なんていなかった…というか見たことなかった。
コレも食や生活の西洋化にともなう肉体的進化なのであろうか?
陸上の100m走の記録がドンドン塗り替えられていくのと同じ現象なのか?
ところがその西洋が「Baby化」してるのだから皮肉なものだ。

90_2続いて、コレはあまり取り上げられないんじゃない?
『Burn』の二曲目「Might Just Take Your Life」。

100v_mtこういう他のバンドが演りそうにない曲を取り上げるのがSMOOTH DANCERのいいところ。
こういうことをジャンジャンやるべき。

110v_2ところで、今日のノンちゃん…もちろんMarshall。

120v愛用のMAJOR 1967と1960Bのセットだ。

130v_2三曲目は「Mistreated」。
MKⅢを代表する曲のひとつですな。
昔は「ミステリー・テッド」かと思っていた。「ミス・トリ―テッド」だということに気が付いたのはかなり後になってのことだった。
「ニュー・ジーランド」みたいなもんです。
以前にも書いたけど、子供の頃はかったるい曲だな~、と思っていた。今になってみると実にいい曲だ。
ノンちゃんも思い入れタップリにあのリフを鳴らす。
そして、「チゴイネルワイゼン」にも似た演歌調のあのソロ!「♪タリララ~」のとこね。

300v_2

Rayさんの情感豊かな歌いっぷりも印象的だった。
Marshallの50周年コンサートではGlennとYngwieがこの曲で共演した。

詳しくはコチラ⇒【50 YEARS OF LOUD LIVE】vol.8~Glenn Hughes & Andy Fraser

しっかし、Andy Fraserも亡くなっちゃったもんね~。

220_2
「Stormbringer」が続く。
「Stormbringer」というのはマイケル・ムーアコックという人の小説に出て来る魔法の黒い剣の名前だが、Coverdaleはレコーディング時にはこのことを知らなかったと関係を否定しているそうだ。
アルバムでは歌の始まりの前に奇妙な低い叫び声が聞こえるが、これはCoverdaleが映画『エクソシスト』のリンダ・ブレアのセリフを逆読みしたものだとか…。

140sb念願のパープル・バンドが実現して剛さんも楽しそうだ!
290_2
OZMAさんはいつも通りの鬼気迫る全力投球!

160v_2ノンちゃんはジックリとRitchie役に徹している感じ?

170再結成ものから「Perfect Strangers」。
グバ~!ッと剛さんのオルガンが鳴り響く!
200v_lz
私としては、「Perfect Stranger」の方が得意なんだけど、この曲もカッコいいね。
なるほど、真ん中は4/4と5/4のコンビネーションになってるのね。

180_2そして、「Lazy」。
ノンちゃんガッシリとハマっとる!

210v_2私の場合、Deep Purpleというと、Ian GillanのMKIIなんだよね。
でも、どうも見てると、圧倒的に「Burn」をはじめとしてMKIIIの曲の演奏を耳にすることが多い。
剛さんにワケを尋ねてみると、Ian Gillanを歌える方が少ないんだとか…。
チョット気になって本国イギリスの事情を調べてみた…ったって、友達ひとりに訊いただけだけど。
イギリスにもゴマンとDeep Purpleをコピーしているバンドがいるそうだ。ま、そうでしょう。
で、彼らのはレパートリーはやっぱりMKIIとMKIIIのチャンポンで、MKIIばかりやってるバンドというのは見かけないそうだ。
そして、Ian GillanとDavid Coverdaleのボーカルを両方完璧にこなす歌い手は皆無なのだそうだ。
そりゃそうでしょうね。ブリティッシュ・ハード・ロック界の二大個性だもんね。
日本ではどうなの?
Whitesnakeの影響も大きいせいか、Coverdale派の方が断然多いような印象なんだけど…。
その点、Big IanはIan Gillan Bandで貧乏クジを引いたな。
Ian Gillan Band、今聴いてもすごくいいんだけどね。武道館へ観に行っといてヨカッタ~。
このバンドもスター・ギター・プレイヤーがいたらもっと人気が上がってたのではないかと私はニラんでいる。
Rayさんは10穴ハーモニカもバッチリこなす熱演ぶり!(「ブルースハープ」は登録商標です)

215vさて、本編の最後は「このドラムのパターンとくればコレ!」の「Space Truckin'」。

230v_stここではタップリと名人たちのインプロヴィゼイションを披露。

240v最近はこうした即興パートをフィーチュアしたロックがホントになくなっちゃったからね~。

250剛さんとノンちゃんの対決。

280

遠慮なく鋭いフレーズを放り込むノンちゃん。

260v_2

それを真っ向から受けて反撃する剛さん!

275

「♪Conme on, Come on, let's go space truckin'!」…コレも問答無用でカッコいい曲だよね。実はスッゲエ久しぶりに聴いた。
本編はここまで。

270_2

アンコールは「Speed King」。
320
「♪スピ~~~~ドキンッ!」…これまたド迫力の演奏で会場は盛り上がる!

310さらにはシゲさんが加わっての「Little Wing」。

330ジックリとソロを弾き合うふたり。
ノンちゃんのジミヘンもまたよき哉。

335こんどはDeep Purpleのレパートリー。

350「♪デデデデデデ、デデデデデデ、デデデデデデ、デデデデデデ」のイントロはあまりにも有名ね。
曲名は敢えて記すのをよそう。

360…と充実の演奏を見せてくれた6人!
今度はバンド名にちなんで、『Who Do We Think We Are?』全曲演奏会をやって欲しいナ~。
ノンちゃんによれば、本家もライブでやってないとのこと。
トリビュート企画全盛の昨今、Led Zeppagainのように、そうした本家もやらなかったような曲を聴かせることもそうしたイベントの楽しみであり、醍醐味だと私は思うのだがいかがなものだろう?しばらく「Burn」は休ませてやりましょうよ。

V 

340v

370

380v

390vシゲさんは徹底的にGoing my wayでお願いします!

400お疲れさま~!

DYNAGONの詳しい情報はコチラ⇒Facebook

410<おまけ>
せっかくのDeep Purpleネタなので…。
紙焼きの写真を整理していて見つけた一枚。
2002年ぐらいかな?
フェスで有名なネブワースにほど近いヒッチンという小さい町にある楽器店。
Puepleファンにとってはタマらない店名でしょ?
ちゃんと紫になってる。
向かって右の人がオーナーなんだけど、尋ねるとやっぱり大のDeep Purpleファンだって言ってた。
それだけにMarshallの品揃えもバッチリだった。
しかし、ナンダって俺、ネクタイなんか締めてんだ?

1_502(一部敬称略 2016年2月28日 巣鴨獅子王にて撮影)

2016年5月19日 (木)

TWIN PEAKS <前編>~一番、Jimi Hendrixの部:中野重夫&東京エクスペリエンス

シゲさん、久しぶりのご登場!
「TWIN PEAKS~Jimi Hendrix vs. Deep Purple」なるイベントに出演した際の「中野重夫 & 東京エクスペリエンス」のステージのもようをレポートする。

10中野重夫

20v犬ケン

30vMitch Akimoty

40v直近でシゲさんにご登場頂いたのはDYNAGONだったか、Jimi Bruce Bandだったか…。
ジミヘンでのMarshall Blogは本当に久しぶりなのではなかろうか?
やっぱりこの姿がシックリくるね。
16年前に吉祥寺で最初にで会った時には「ウワッ!ジミヘンだ!」と思わず息をのんだものだ。
下は2000年に開催された一回目の「マーシャル祭り」の打ち上げの時に撮影した写真。
二人でジムを挟んで「イギリスで演奏させてください!」なんて直訴したっけ。
私は最近のコピー・バンド・ブームを「これでいいのか?」と思うクチのひとりだが、シゲさんぐらいになるとワケが違う。
Band of Shigeo Rolloverとして、1988年から28年もの長きにわたって真摯にJimi Hendrixの音楽とギターを追及し続けているんだから。
シゲさんは今年還暦をお迎えになるが、かれこれ人生の半分はジミヘンをやってるんだね~。

1_47 シゲさんとのお付き合いもこうして長くなって、今では父の墓参りにまでお越し頂くような緊密な関係になった。
すると、私にとってシゲさんは、もはや完全に「シゲさん」でしかなくなっちゃった。
一時はシゲさんにサンタナや渡辺貞夫も見出だしたが、やっぱり私には「中野重夫」だ。当たり前なんだけど…。

50その私よりもケタ違いにシゲさんと付き合いの長いのがMarshall。
ご存知の通りいつもはJimi Hendrix Singature SUPER100JHを愛用しているが、今日は現地のJVM210Hと1960Aを使用。

60一曲目は「Fire」。
100

シゲさんのジミヘン・ステージでは何回もオープニング飾った曲。

S41a0002

おなじみのソロ・フレーズ!
しかし、ジミヘンのオリジナル曲ってのはいいよね~。深いわ。

S41a0095

「♪Let me stand next to your fire」と気の合ったメンバーとのイキもピッタリ。
しかし、「東京エクスペリエンス」なんてうまいこと付けたもんだ。

290

そういえばシゲさん、かつて「ピック一枚持って出かけて、日本国中のジミヘン仲間とジャムろう!」なんて企画をやっていたな。青森エクスペリエンスとか…。
昔はShieo RolloverとMarshallのクリニックをよくやったものだった。札幌から福岡まで色々行ったっけ。
クリニックの後半で「ハイ、リアル・カラオケ!Rolloverと一緒に演奏したい人!」とお客さんからジミヘン役を募ると、福岡ではたくさんの希望者が出てきちゃって「Voodoo Chile」なんかをお客さんと一緒に演奏して頂いた。
それを見て「ジミヘン業界」は将来も明るいな…」と思ったが、実際は最近どうなのだろう?

120
続いて「Sunshine of Your Love」。
コレは比較的珍しい選曲。

110v

「Hey Joe」…「おい、ジョー、銃を片手にどこへいくんだよ?」と不誠実な奥さんを撃ってメキシコへ逃げる男の歌。
こんな歌詞は日本ではありえないよね~。
Billy Robertsというアメリカのフォークシンガーの作品ということになっているが、コレも著作権でモメているらしいね。
最近もRandy Californiaの「Stairway to Heaven事件」をブリ返していたけど、海外では有名曲、ヒット曲にはこういう盗作騒ぎがつきものだネェ。全部モメてんじゃん。
こんなことやってたらDeep Puepleなんてニッチもサッチもいかんよ。
この期に及んでは、「出来のいい改作は目をつぶれ」というのが私の意見。ただのコピーよりはゼンゼンいい。そもそもロックはブルースのエキスを吸収して育ったんだから。

140

「Manic Depression」も必ず選曲に入る重要な曲。

180

しかし、繰り返しになるが『Are You Experienced?』ってのはすごいアルバムだね。
Andy Aledortというアメリカのシゲさんみたいな人がいて、収録曲すべてのJimiのギタープレイを解説する教則ビデオがあった。
その字幕用の翻訳の監修の仕事をしたのだが、「なるほど、なるほど」とJimiの偉業に逐一関心したものだった。

190v

そして、Jimiのプレイもさることながら、やっぱりどれも曲がいいもん。
「不滅」どころか年々その価値が上がってる。
いかに音楽というものが、曲によってステイタスを左右されるのかがわかる。
どんなにすごいテクニックで離れ業をやって見せても、曲が凡庸であれば価値がなくなってしまう…それが音楽だ。音楽は曲だ。

210v

哀愁の「Vilanova Junction」。

200

ここはジックリと弾き込む。
コレっていい曲だよナァ。
いつ聴いても映画『ウッドストック』の最後でこの曲をバックに、落ちているスイカの食べカス(赤い部分少しあり)を拾って口にする若者を思い出す。
あのスイカの若者も、もう70歳ぐらいになっていることだろう。

80v

シゲさんはこの日、いつものMarshallでないせいか、かなり慎重な感じで演奏していた。
これまでいろんなタイプのシゲさんを見てきたが、もしかしたら今までで一番大人しいシゲさんだったかもしれない。

240
ガラリと代わって「Ezy Rider」。

260v

映画『イージーライダー』に使われたとかいうワケではなく、Jimiがタイトルに触発されて作った曲。
『イージーライダー』についてはコチラに書いておいたので未読の方は是非ご覧あれ。
  ↓   ↓   ↓
【Music Jacket Gallery】サウンドトラック盤ジャケット特集<前編>

シゲさん、ちょっと失礼。
実はですね、この『Music Jacket Gallery』と『イギリス-ロック名所めぐり』の回はMarshall Blogへのアクセス数がガクっと落ちるんですよ。
どうも本当にいつもご覧になってくださっている方々しか見てくれないみたい。
でもね、そういうのに限って記事を書くのが滅法大変なんですわ。
ひとつ書くのにモノスッゴイ時間がかかる。
取材して、写真を整えて、ストーリーを考えて、情報を注ぎ込む。イイ加減なことは書きたくないので、かなり時間をかけてひとつのことを調べ上げる。
文献は大抵が英語なので、読むにも日本語よりは時間がかかる。
さらに、初見でわかる、すなわち二度読みさせない文章を書くように心がけているので、自分で読んで「?」の時は何度も文章を書き直すことも少なくない。それでも結構誤植は出て来るけどね。
ま、やっていてツライけど楽しい。
楽しいのは、知らなかったことを知るよろこびなのね。「みんな知ってるかな~?知ったらビックリするぞ~!」なんてニヤニヤしながら書いてる。
ところが…だ。
アクセス数はガクッ!よ、ガクッ!記事の下の「いいね!」の数を見ればわかるでしょ?
ハッキリ言ってこの「いいね!」と実際のアクセス数は比例しないことが多いんだけど、それでもひとつの張り合いになっていることは間違いない。
やっぱ、つまんないのかな?
我ながらこのふたつはMarshall Blogの中で最も価値のあるカテゴリーだと思ってんだよね。
誰かに頼まれてやっているワケじゃないのでボヤくわけにもいかない。
早い話し、みなさん読んでください…ってことですわ!で、読んでみておもしろい!と思ったら是非拡散してやってくださいませ。
もうこうなりゃ肉弾戦ですわ!ご支援よろしくお願いします。
はい、シゲさん、お待たせしました。

270

小気味よいエイト・ビートに乗ってギター・ソロがバシっとキマる!

230v

ここで「Red House」。

220

実はですね、私、シゲさんの弾くブルース好きなんですわ。
元来ブルースを好んで聴いたりはしないことをいつも書いているけど、いいブルースはいいと素直に思う。
シゲさんのブルースは、ただただブルースペンタを行ったり来たりするだけではなくて、妙に不安定なメジャー感があるんだよね。
で、どこからそういうテイストを引っ張ってきたのか訊いてみた…当然Jimi Hendrixからの影響だと思ってサ。
そしたら答えはFrank Marinoだって!驚いたわ!
シゲさん、Frank Marinoが好きで、1978年の来日時、中野サンプラザまでワザワザ観に来たそうだ。(シゲさんは中京地区在住)
私はその前日かなんかに後楽園ホールで観た。
ま、Frank MarinoはJimiの完全フォロワーなので「直伝」ということなのね?

170v「All Along the Watchtower」…コレも重要なレパートリー。
実際、Bob Dylan自身のコンサートでもこの曲が最多演奏回数を誇っているとのこと。
次いで「Like a Rolling Stone」、「Highway 61 Revisited」、「Tangled Up in Blue」、「Blowin' in the Wind」なのだそうだ。
「ブルーにこんがらがって」ってのは、けだし名訳だと思う。

90

「The Star-Spangled Banner」…シゲさんのステージのハイライトのひとつ。ご存知「アメリカ国家」。
昔、Jim Marshallが来日した時、イギリス大使館でのパーティで呼ばれたシゲさんはコレを披露しようと思ったという…いくらJimi Hendrixでもそれはダメでしょ。
このダイナミックさがシゲさんなのだ!
ところで「spangle」って何だか知ってる?私は知らなかったんだけど「スパンコール」のことなんだってね。イヤ、「スパンコール」を英語で言うと「spangle」になる。動詞としては「ピカピカ光る」という意味。
「The Star-spangled Banner」とは「お星さま輝く旗」という意味。
アメリカ一体どうなるんだろね?

150v

ここからグイグイとクライマックスに向かっていく。

S41a0222

いつもと音は違うけど迫力は十分!

130v

ココからつなげて…今となってはJacoの愛奏曲としてもおなじみの「Third Stone from the Sun」。
「太陽から三番目の石」…すなわち地球のことだ。「Straneg beautiful gree of grass」ね、over。

250v
そして、〆は居酒屋の後のラーメンより定番の「Purple Haze」。

70

ナニせ、本人より演奏回数が多いというオハコ中のオハコ…

160v
当然こうするし…

300vこうもする。

久しぶりのシゲさんのジミヘン、タップリと楽しませて頂きました!

310vさて、こんなのがある…『SHIGEO HENDRIX 60th ANNIVERSARY』なるシゲさん祭りだ!
還暦、おめでとうございます!
場所は地元の松阪。
シゲさんが関わる現役のバンドのほとんどが出演するシゲさんづくしの一大イベント。
現在力を入れているJimi Bruce Bandも出演…私と家内はベースのYoko Leeの大ファンだでね!
行っちゃおうかな?
とにかくシゲさんもまた前歯を折らない程度に思う存分暴れて欲しい!

1_sg さてさて、世の中思いがけないことが起こるもんでございますが~、シゲさんネタでもうひとつ!
それは野獣の再結成なのだ!
「野獣」を知らない若い人たちのために一応記しておくが、「野獣」は「のけもの」と読む。
かくいう私も最初は「やじゅう」かと思ったら、現三文役者の大竹さんに「アレ、『のけもの』って読むんだぜ」と教わった。
下はデビュー・アルバムの『地獄の叫び』。
1979年6月の「ミュージック・マガジン」で中村とうようさんがディスク・レビューを書いている。
で、今回の再結成では、ギターにバーニー、すなわち日下部正則、さらにドラムに川口千里ちゃんが参加するという。
一体ナニ考えてんだか!楽しみじゃねーか!
ということで、中野重夫の詳しい情報はコチラ⇒facebook

Shigeo Rolloverの詳しい情報はコチラ⇒Crying Guitar

Nmlp つづく

(一部敬称略 2016年2月28日 巣鴨獅子王にて撮影)

2016年5月18日 (水)

MEJIBRAY情報!~未公開写真つき

順調に快進撃を続けるMEJIBRAY。
昨年末には『NEXT MAJORITY VENOMOS』と銘打ったワンマン・ツアーを敢行。
東京はEX THEATER ROPPONGIで千秋楽を迎えた。

10当然、ステージにはMarshallの壁!

20「猛毒」のSEでスタートした狂熱のステージ。

30

40MiA

50背後にはMarshallウォール!

60愛用のJVM410Hはステージそでにセットされている。

70恋一

80メト

90vオープニングの「枷と知能」から猛然とブッ飛ばし続ける。

100v「SECRET No.03」や「パラダイム・パラドックス」、「NENOMS」といった人気曲が次から次へと飛び出し観客をたたみ込む!

110vトーチやレーザーなどステージの演出もゴージャス!

120ひと際大きく響く「MiA~!」の歓声!

130メンバー渾身のパフォーマンスは見ごたえ十分だった!

140ほとんどMCがないのはMEJIBRAYのスタイル。
この日も演奏に集中した18曲で本編を終わらせた。

150アンコールは、3月にリリースされたシングル曲「Agitato GRIMOIRE」だった。

160v「Agitato GRIMOIRE」に続き、4月に二ケ月連続でシングルをリリース。
17枚目のシングルは「THE END」。

170cd_4今回も3種類のスリーブで登場だ。

180cdこれが通常盤。

190cdさらに!
MEJIBRAYは「THE END」を引っ提げてデビュー5周年を記念した全国ツアー『THE END to be or not to be』の真っただ中。
千秋楽は6月10&11日、赤坂BLITZの2Days。
快進撃のMEJIBRAYなのだ!

MEJIBRAYの詳しい情報はコチラ⇒MEJIBRAY Official Web Site

200(一部敬称略 2015年12月18日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)

2016年5月17日 (火)

【ASTORIA試奏レポート】 KAZUMI PLAYS ASTORIA CLASSIC

ギターを嗜んでいれば、誰でも自分だけのギター・ヒーローがいるものだ。
Marshall Blogやfacebookをやっていて思うのは、ロック・ギターの世界におけるRitchie BlackmoreとYngwie Malmsteenのズバ抜けたヒーロー度の高さだ。
次点でMichael SchenkerとEdward Van Halenぐらいか?
一方、今の若い人たちにはギター・ヒーローがいるのだろうか?大きなお世話か?それとも「ギター・ヒーロー」という言葉さえ死語か?
とにかく、自分たちのヒーローを仰ぐ皆さんのあまりの熱中度が正直うらやましい。
私もロックを聴き始めた13、14歳の頃はRitchieが大スキだった。生まれて初めて観た外タレのコンサートはRainbowの初来日だったし。
Yngwieに関しては、『Rising Force』が出て来た頃は、もう時代のロックを聴いていなかったので、夢中になる機会が一度もなかった。その代り、今仕事としてYngwieのギターを楽しんでる。
考えてみると、長期間にわたって「この人じゃなきゃ絶対ダメ!」というギタリストはいなかったナァ。大好きなFrank Zappaも「ギタリスト」としてではないしナァ。
Allan Holdsworthも一時期かなり夢中になったけど、『i.o.u.』あたりから名前が一般の人にも知れ渡るようになってしまって興味はなくなっちゃった。
ロック・ギターのフィールドでは、Peter 'Ollie' Halsallが最後の砦という感じ?


ところが、対象とする音楽の幅をジャズまで広げれば、私にも確固たるギター・ヒーローが存在する。
それは渡辺香津美だ。
初めて香津美さんのお名前を耳にしたのは、『Olive's Step』が出た後ぐらいのことだろうか?
渋谷の屋根裏のドリンク・バーの壁に『Olive's Step』の販促用のポスターが貼ってあって、そこに手書きのマジックで「オレ」と落書きしてあった。香津美さんファンの店員が書いたのだろう。
こっちはギターを初めてまだ2、3年で、うまくなりたくてしょうがない。その時は香津美さんを存じ上げなかったが、「この人そんなにスゴ人なのか?」とすごく印象に残った。
その後、大学に入り、ジャズを聴くようになってからはもう夢中だった。
『TO CHI CA』や『KYLYN』等のフュージョン・アルバムももちろん好きだったが、それ以前にThree Blind Miceというレーベルに吹き込まれたストレート・アヘッドなジャズ音源がとにかく好きで、「渡辺香津美」あるいは「Kazumi Watanabe」のクレジットが入っているアルバムは、リーダーが誰で、どんな楽器であろうと、見つけ次第すべてゲットした。
この辺りのことを、公私混同丸出しでいつかジックリ取り組んでみたいと思っている。(香津美さんご本人からもご了解を頂戴した!)
私は香津美さんのナニがそんなに好きかというと、まず、すさまじいテクニックを誇る世界有数のギター・ビ・バッパーということだ。
LOUDNESSの記事の時に、よく高崎さんの海外での知名度が高いことに触れるが、ジャズの世界に限っては断然香津美さんだ。
Marshallの仕事となると、あまりジャズを聴いている輩にはめぐり合わないが、たまにそういう人と一緒になってジャズの話しになると必ず「キャズ~ミ・ワ~トゥワナ~ビ」は知っているかという話になるからね。
1987年代に新婚旅行で初めて訪れたアメリカのレコード屋に「Kazumi Watanabe」のコーナーがあったのを発見して感動したのを覚えている。
そしてもうひとつ…ギターという楽器の可能性を信じて音楽ジャンルを問わず、常に前進し続ける香津美さんのクリエイティビティだ。
香津美さんのオリジナル曲がとても好き。どれも問答無用でカッコよく、そして深い。
芸術性、大衆性、経済性、そして世界的知名度という観点で見れば、Jeff BeckやPat Methenyの向こうを張れるギタリストは、日本では香津美さんだけであろう。
私は最近クラシック音楽を聴くことが多いが、そういう時、「クラシックは聴くべき。音楽の宝庫だから」という、昔インタビュー記事で読んだ香津美さんの言葉がいつも頭の片隅にあるのだ。
それだけ影響を受けているのだ。

さて、今日のMarshall Blogは香津美さんにご登場頂く。
今まで約1,800本以上の記事を編んできたが、香津美さんにご登場頂くのは初めてのことだ。
「祝!」なのだ!
「念願の」、そして「待望の」なのだ!
皆さんにこの気持ちがわかるだろうか!
…と言っても、香津美さんとはアコースティック・ギターの仕事を通じて10年以上前から交流をさせて頂いている。
そもそもは、そのアコギ・ブランドを冠にしたコンサートへの出演を依頼する熱烈なラブレターを認めたのだ。その前にもある方のご紹介でホンの少しメールでコンタクトをさせて頂いたことがあったが、仕事でご一緒するのはこの時が最初だった。
出演をご快諾頂いた時は死ぬほどうれしかった。
ある時、そのコンサート打ち合わせの後、食事をご一緒させて頂いた。あまりの興奮で二次会で飲み過ぎてしまい、二日酔いで地獄を見たこともあった。
そのつながりで、2004年にHoracio HernandezとRichard Bonaとの「Mo' Bop」のコンサートで、リイシューされたばかりの1974Xを使って頂いた。
東京公演は渋谷のオーチャード・ホール。
香津美さんはエクステンション・キャビネットの1974CXを追加して、レスポール直で「Cry me a River」をア・カペラで弾いてくれた。素晴らしかった。
下の写真は、NHKの高中さんとの番組の収録で、1974Xをお使い頂いた時のもの。
あれから12年も経ったのか!本当に昨日のことのようだ。

10vそして、今年は香津美さんが『Infinite』というアルバムで17歳の時にデビューしてから45年目の年に当たる。
そこで『Guitar is Beautiful KW45』という記念アルバムをリリースされた。
信じられないぐらい多方面のギタリストとの「デュオ」演奏をテーマにしたアルバムだ。

Ke452さらに、このアルバムのリリースを記念してのコンサートが今週開かれる。
名付けて『渡辺香津美ギター生活45周年祭 〜 Guitar Is Beautiful Special 〜』。
会場は再び渋谷のBunkamura オーチャード・ホール。
コンサートは最新作『Guitar is Beautiful』に関わったアーティストの皆さんをゲストに迎えた香津美さんを囲む「ギター祭り」になるようだ!楽しみ~!

そして、ココで私に奇跡が起こる。
ナント、このコンサートのオフィシャル・フォトグラファーのご指名を頂戴したのだ!
信じられんよ!
もちろん、ご連絡を頂戴した日から興奮で一睡もしていない(ウソこけ!)。
イヤ~、長生きはするもんですよ。
そして、人間マジメに生きるべきです。
人様のお金で温泉行って家族会議なんかしちゃイカン!
久しぶりの香津美さんとのお仕事…しかも今度は写真!もう死ぬほど頑張ってしまうのだ!

30v そして、もうひとつ、Marshallにとっての好機が到来した。
もうMarshall Blogの読者の皆さんにはきっとおなじみのASTORIA。
Marshall初のブティック・コンボね。
このCLASSICというモデルはクリーン・トーンを出すのが仕事で、そのアイデアの基礎は私が提案したことをコチラに記した。
実はこのアイデアを練っていた時、香津美さんのことが頭にあったのですよ。
すなわち、アンプはクリーン、しかも上質のクリーンにしておいて、エフェクターで音を作るという古式ゆかしいスタイル。
「香津美さんが使ってくれれば、うれしいなったらうれしいな!」と思っていた。コレ事実。
そこで、今回の写真のお仕事で久しぶりにご連絡をさせてもらうようになったので、ASTORIAのことをご紹介させて頂いた。
すると、香津美さんは直ちにMarshall Blogをご覧になって下さって「興味あり!」の反応を示して頂いた。
ココからの話は早い!

40 そこで、すぐに香津美さんの音楽創作の根城、Hilltop Studioにお邪魔させて頂いてASTORIA CLASSICをお試し頂いた。
う~ん、こうして見ると確かに緑色の物体がスタジオにあると目を引くな。圧倒的に「黒」の世界だもんね、普通は。
準備は万端…早速音を出して頂く。

Img_0935素のクリーン・トーンを確認した後、各種のエフェクターを用いてバラエティ豊かな音色をASTORIAから繰り出す。
ドキッ、「J.F.K」!
昨日偶然『Spice of Life』を聴いたばっかりだったのだ!
この『Spice of Life』というアルバムはドラムがBill Brufordで、イギリスで録音されている。
そのレコーディングの時、香津美さんはブレッチリーに赴き、Jim Marshallにお会いになったそうだ。
…と、ひとしきりASTORIAを確認して頂く。

Img_0955ここから先は例によって私との対話形式で香津美さんにASTORIA CLASSICについて語って頂くことにする。


Marshall(以下「M」):いかがですか?どんな感じでしょう?
渡辺香津美(以下「K」):第一印象!素直なクリーン・トーンですよね。
パッと見た感じにくらべてロー・ミッドとかボトム感がすごいあるんですね。
余裕があるんですよ。
こういうハムバッカー系のギターだと結構ローがモタつくじゃないですか。クリップっぽくなるというか…ピッチが明確でなくなってしまうアンプが多いんですよね。
音圧はあるんだけど何を弾いているのかわからないみたいな…。
そのあたりに関して言うと、ASTORIAの解像度はかなり優秀だと思います。
だから巻き弦の感じがよく出ています。
Img_0940
M:ありがとうございます!
ところで、ギターに関するインタビューは多くてもアンプに関するご質問は少なかったりするのではないですか?
K:確かにあんまりないかも知れませんね。結構好きで色んなものを使っているんですけど…。
Img_0970

 M:存じ上げております。
例えば『Spice of Life』の時はMarshallの三段積みをお使い頂きました。そうして色々なアンプをお使いになっていらして、香津美さん流のアンプ哲学みたいなものはお持ちでいらっしゃいますか?
「ギター・アンプはこうあるべき!」…のような。
K:はい。ギター弾きとして色々な面がありますので、例えばジャズを演奏するときはスーパー・クリーンなトーンが欲しいし、ブルースっぽいものを演るならピッキングの強さに応じてクランチしてくれるモノがいい。サスティンしすぎないものですね。いい感じでプス~っといなたく音が消えてくれるヤツ。
それと、コンテンポラリー的なギターを弾く時にはキーボードのようにサスティンがあって、エフェクターのノリがよいモノが欲しいですよね。
ギター・トリオの時にもキーボードのような役割をカバーできるような…リード・トーンがシッカリしていて、ヴォイシングがクリアに聞こえるようなものが好ましいワケです。
(実際に開放弦を含む複雑な和音を弾く)

Img_0939 こういう風に開放弦の鳴りがクリアで、ヴォイスが全部聞こえないとダメって感じです。M:ASTORIA CLASSICはクリーン・トーンを出すためのモデルです。アンプでいいクリーンを出して、後はエフェクターで音を作るというのが開発のひとつのコンセプトです。
K:はい。そうですね。
M:香津美さんでしたらCLASSICをどうお使いになられますか?クリーン単体でもお使いになられたいという感じでしょうか?
K:そうですね。基本的にすごくいい感じのクリーンです。
そして、ここから色々足していけるという。

Img_0946 M:そこです!
K:うん。レコーディングでも、小さなライブハウスでも、大きなホールでも、どこでもいつでも同じ音を出すにはどうすればよいか…。
最近の傾向で、アンプ・シミュレーターみたいなもので音を作ってPAでアウトするという方法もありますが、ボクはやっぱりアンプからガーっと音が出ていないとイヤなんです。
そうなると、自分の背中にスピーカーがあって、それで耳を壊さず、作り込んだ音が毎回同じように出て来るようにする方法として、「ペダルで音を作り込む」というひとつの結論に達しているんですよ。
Img_0967
M:なるほど!(キタキタキタキタ~!)
K:オーバードライブでも、曲によってタイプが違うものを使いたいし、同じ曲の中でもメロディとソロは使い分けたいし、それから、リアのピックアップの時に合うオーバードライブとフロントのピックアップの時に合うオーバードライブも選びたい。ギターによって選ぶのは当然です。
そういう時に音が七変化できるようにしておきたいワケです。
ですから、オーバードライブも3種類ぐらいセットしておいて、場面に応じて使い分けたい。

<香津美さんの足元の現状>
香津美さんは、このエフェクター群を単純にギターとアンプの間にシリーズで結線している。

Img_0998 M:ドワ~!となると、アンプが素直な方が好ましい。
K:そうです。アンプであんまり味付けされちゃうとやりにくい。
でも「味付けされていない」というのはソリッドステートのようなアンプということではないんですよ。

Img_0958
M:わかります。
K:パッとすっぴんで弾いた時に「アダルト」な感じが欲しいワケです。
M:「アダルト」?!…となると真空管のアンプ?
K:そういうことになります。

Img_0986M: もうMarshallというとまず「歪み」というイメージがありますよね?でも、昔はマクラフリンもディ・メオラもホールズワースもみんなMarshallでした。香津美さんはそういう時代を目の当たりにされていると思います。
香津美さんにとってのMarshallのイメージはどういう感じですか?
K:食わず嫌いで苦手。自分に絶対合わないと思っていました。
それで楽器屋で試奏する時にお店の人がセッティングしてくれるんですけど、好きではなかったですね。
ところが出演するライブハウスにMarshallしかなかった時があったんですよ。
ジャズのギター・トリオだったのでクリーンで弾かなければならない。で、色々とイジっていたら、すごくいい感じのクリーンが出たんです。
それで、「あ、Marshallのクリーンってアリなんだな」って思ったんです。
頭の中にはあるメーカーの音のイメージがあって、それに近づけようとしたんですが、その時はMarshallを操作する知識がなかったので、頭の中にあったよそのブランドのアンプのイメージを捨てたんですね。
それで、イチから音を作るのもありだな…と思って。トレブルを全部絞って、ベースを思い切り上げても案外モタつかない。
なんだ、Marshallイケるじゃないか!ということになった。

Img_0966_2 M:それはES-350の時代ですか?(編者注:ES-350はL-5サイズの薄型のフルアコースティック・ギター。70年代初期の香津美さんの愛器。私は大学の頃からそのギターに憧れていた。ある時、松本の楽器屋さんで50年代製の程度のよいビンテージを見つけた。買おうかどうしようか家族会議まで開いて迷ったが、下の子が生まれたばかりだったので、120万円はさすがに厳しく諦めた思い出がある)
K:そうです。
M:ウワ~!見たかったナァ。
ジョン・アバークロンビーもMarshallですもんね、あの音で。
K:あ、そう!
でも、ポンタとグレッグとやていたMoboⅢの頃はMarshallのヘッドとキャビを持ち歩いていたんですよ。
野外の現場も結構あったので…。(編者注:1986年のMoboⅢのスタジオ・ライブの演奏で香津美さんの背後にMarshallが確認できる。結線はされていないがJCM800 2203のコンボ4103。それに1965Aと1965Bという4x10”のキャビネットだ)
でも、ちょっとボリュームを上げるとすぐにPAの人が飛んできたり、ポンタが「うるせ~!」って騒いだり…ステージのそでに置いたこともありましたね。

Img_0941M:ハハハ!甲子園でしたっけ、Marshallをズラリを並べて弾かれたのは?
K:そうです。日本シリーズの開幕戦で、野村さんと長嶋さんがいらしゃいましたね。
「君が代」を弾いてくれというので、それならMarshallでしょ…ということで用意してもらったんですが、Marshallの後ろが貴賓席になっていて、アンプを積んでしまうと、貴賓の方々の視界を遮ってしまうんです。
「すいません、それ、どけてください」ということになって、横に並べて使いました。
M:ジミー・ペイジスタイルですね?
K:残念でしたけど、音はよかったですよ!PAもない生音でね。
M:見たかったナァ。それで、どういう風に弾かれたんですか?
K:イヤ、それがクギを刺されましてね…。
ジミヘンの「アメリカ国歌」風にやろうと思ったんですよ。こんなヤツ。
(実際にジミヘン風に「君が代」を弾く)

Img_0950M:当然そうなりますよね!
K:ところが!「渡辺さんのギターに合わせて5万人のお客さんが君が代をご唱和くださいますので、メロディだけは忠実に弾いてください」と言われたんです。
そしたら緊張しちゃって…こんな感じ。
(実際に「君が代」のメロディを原曲に忠実になぞって弾く)
Img_0959
M:ウワ、もったいない!(それでも十分にカッコいい!)
K:イヤ、でも結構感動しましたよ!
それにシングル・ノートで歌うのはやっぱりギタリストの最終課題ですからね。
M:なるほど!
ASTORIAに話を戻しますが、レスポンスなんかはどうお感じになります?
K:イヤ、すごくいいですよ。速くて気持ちいい。
音がまとまってくれる感じがするんですね。
特に(コードを弾きながら)、こういうのを弾いた時のバランスがとてもいい。
Img_0962
M:各弦の音がそれぞれ聴こえてくるような…。
K:ウン、分離感というよりは音程感が強くて、まとまってコードが聴こえてくれる感じです。
すごく安心感がありますよね。
印象としては、Precision(正確さ)というよりMusical(音楽的)です。
だからハコもの(フルアコ)のギターなんかはいいでしょうね。
M:ウワ!聴いてみたいナァ…ハコもののASTORIA。
K:ハコもの、ありますよ。ちょっとアレ持ってきて!(…とスタッフがフルアコを用意)
M:イヤイヤ、すみません!でもうれしいな!
(間、そしてフルアコが登場して早速プレイ)

Img_0973M:ウワ~。
K:ね?レスポンスがナチュラルですごくいい感じ。

Img_0978(しばし演奏…私、シアワセ)

Img_0980K:すごくふくよかなサウンドです。
シングル・コイルも試してみましょう。
(ストラトキャスター現る。ストラトの音なんだけど、完全に香津美さんの音)

Img_0984K:ウン、これもいい感じですね。ちょうどいい。
M:香津美さんのストラトキャスター姿を生まれて初めて拝見しました!
香津美さんはプロとして45年もこういう機材の変遷を目の当たりにされていらっしゃいますよね。
ずいぶん変わりましたでしょう?
K:変わりましたね~。
やっぱりシールドのような途中のモノが変わりましたよね。昔だったら「エ?」っていうようなギターでもシールド一本でいい音に変わってしまったりする。
M:なるほど。それはそうかも知れませんね。昔はこんなに種類がなかったですもんね。
K:ボクもずいぶん色々試しましたが、どんなにお金をかけてもダメな場合もあります。
あまりハイファイにしすぎて楽器本来の音を失ってしまうケースもあったりします。
最終的には使う本人が気持ちいいかどうかということです。
でも、途中に何をつなごうが元の音が良くなければ意味がありません。
ですから、入口と出口…すなわちギターとアンプがまず最重要ですよね。

Img_0996M:香津美さん、偉大なるギター・グルのご意見として、ギターとアンプってどっちが重要だとお感じになりますか?重要度を「〇:△」と比率で表すとどうなりますか?
あ、私がアンプ屋ということはお考えにならないで頂いて、ゲームとしてご意見をお聞かせください。
K:「ゲーム」としてね…(間)…ムズカシイ質問だな。

Img_0964でも…(間)…気持ちとしては、「7:3」でありたいよね。
M:どっちが「7」?
K:ギターが!

Img_0961M:(ズルッ!)
K:ギターが一本あって、世界中どこへ行っても、アンプが何であろうとも、「オレの音がするぞ!」というのが大基本にあって…。アンプが壊れていたら音は出ないし…。
実際、モスクワのライブハウスに行った時、妖しいアンプが出てきて、どうやっても音が作れないなんてことがありましたよ!
吉田美奈子さんとのデュオだったんだけど、チョット力を入れるだけでグワ~って歪むワケ。
M:ああ~、美奈子さんは楽器の音にものすごくシビアですもんね。
K:「歪んでるぜ…」なんて言われちゃって!
M:ウワ~!
K:GAINを下げれば歪まなくはなるんだけど、ホンのチョット動かしただけでドバーっとなっちゃうワケ。オール・オア・ナッシング。
M:まさか、その時「このアンプMarshallみたいだな!」なっておっしゃったんじゃありませんか?!
K:イエイエ!とにかく絞って乗り切りました。
M:ギター・アンプはギターがなければビックリするほど何の役にも立たない半面、実際にギターの音を出しているのはアンプですし、せっかくいいギターを使ってもその音の良し悪しを決めてしまうのがアンプであることも事実なので、アンプ屋の宣伝文句としては「アンプ7、ギター3」というお答えを期待するんですね。
K:イヤ、それも正しいですよ!どっちもアリなんです。

Img_0965M:ヨッシャ~!
K:結局、現場の状況や環境は選べませんから、とりあえず自分の方は状態を確保しておこうとする気持ちね。ギターやエフェクターは手元にあって自由自在ですから。、
M:なるほど、超ベテランならではご意見。
K:マクラフリンなんか最近、ギターから直でワイアレスでPAに音を飛ばしているらしいですよ。それでもあの音がしてますからね。
M:さっきも触れましたけど、マハビシュヌの頃はマクラフリンだってMarshallでしたよね?
K:積んでましたよ!そういうことをやった人だから、今そういうことができるんですよ。ちゃんと経験してる。
M:いいことおっしゃる。
でも、最近はギターを初めてやるような子でも流行りのデジタル・アンプなんかを買ってしまうんですって。
K:うん。そういうものはとても便利なんだけど、知識を持っていない人にはどうかと思います。
例えば、自分でアンプを飛ばしちゃったりとか、煙を出しちゃったりとか、苦労して運んだりとか…、そうやってアンプと苦楽を共にすれば、「こうすればああいう音になる」とか、「こうすれば壊れない」とかいう知識が身につくワケです。
そういう経験が元にあれば、そういったデジタル機器を使うのもよろしいのではないかと思います。
だって、そういう経験や知識がなくて、いきなりデジタルじゃ「何がいい音」なんてわからないでしょ?
いい音を作ってメモリーさせておくとか、どこへ行っても同じ音が出せるという意味では本当に便利だとは思います。
でも、やっぱり「元」を知っているからこそ便利だ…という風にありたいよね。
Img_0969
M:私も古い人間になってまいりまして…まったく同感です。
K:食べ物と同じですよ。ホンモノの味を知っていれば良し悪しがわかるけど、そうでなければ天然と養殖の違いもわからない。
採れたてのコリコリした天然の鯛のおいしさを知らずに、養殖ものを食べて「歯触りが柔らかくておいしい~」なんていう若い子みたいなもんです。「柔らかい」のは違うんだ!っちゅーに!
M:カニよりカニかまぼこの方が好きだったりして…。
K:最近のカニかまはスゴイですよ!よくできてる。
M:海外でもスゴイ人気らしいですからね。
K:いずれにしてもまず耳を育てることが大切。そのためにはやっぱりレコードをたくさん聴いて、色々なことを知っていないといけませんね。
M:香津美さんは「Marshall」と聞いて、まずどのギタリストを連想されますか?ジミ・ヘンドリックス?ジミー・ペイジ?
K:マーシャル、マーシャル…リッチーかな?
M:エエ~?意外!
K:でも…「Marshall」といえば、ジミ・ヘンドリックスか…。
(「Little Wing」のフレーズを弾く)

Img_0986_2 K:やっぱりアメリカン・アンプにはない味がありますよね。
ASTORIAにはMarshallのDNAを感じます。「クリーンなのに歪んでいる」みたいなね。うまくいえないけど、そこら辺のチャラいクリーンではなくて、ドスの効いたクリーンなんです。
M:それはASTORIAのどういうところなんでしょう?ローミッド感というヤツですか?
K:うん。パッと弾いたイメージでは、このアンプはローミッド感がすごいと思います。
弾いててすごく安心なんです。「もっとチョット欲しい」みたいな部分がないから、無理して強く弾いたりする必要がない。
インプットのレスポンスがすごくいい。とにかくローがいい感じに伸びています。

…と、とても好意的なご評価を頂戴した。
20日のオーチャードホールでのASTORIAで使って頂くことになった!
香津美さん、ありがとうございます!

Img_1002

この他、「変わったコルトレーンの聴き方」の話だとか、とても面白い話しをたくさん伺ったが、今回は紙幅の都合で割愛させて頂く。
ダメなのよ、私が興奮しちゃって…色んな話を聞きたくてキリがないの。
香津美さんもイヤな顔ひとつされずにお答え頂くもんだから会話が終わらない!
ああ、香津美さんから濃い~話をお聞きして本を書いてみたいな~。
ASTORIAのよいご評価も頂戴できたので、心を鬼にして私の方からインタビューを終了させて頂いた。
よくやったASTORIA CLASSIC!ますます好きになった。
帰りにハーゲンダッツのアイスを買って帰った。もちろん抹茶テイスト!

Img_008620日、オーチャード・ホールでお会いしましょう!

コンサートの詳しい情報はコチラ⇒『渡辺香津美ギター生活45周年祭 〜 Guitar Is Beautiful Special 〜』

渡辺香津美の詳しい情報はコチラ⇒Kazumi Watanabe official web site

Img_0077(一部敬称略)

2016年5月14日 (土)

Music Jacket Gallery 2016

中学、高校と、新宿は通学路で毎日通っていたが、正直、どうもなじめなくてね。
本当に用がある時しか行かない。今でもそう。
ま、「用」といえば中古レコードかライブハウスと相場がキマってる。
「ちょっとブラっと新宿でも行ってみるか~」なんてことは人生で一度もない。
考えてみりゃ他のエリアも同じだわ。
有楽町も映画館とハンターしか行かなかったもんな~。
今までの人生で中古レコード屋に滞在した時間って延べどれぐらいになるんだろう?…といっても私なんか、ただ長いことやってるというだけで、全然大したことないだろうナ。
ここ数年、月に一回だけCDの買い出しに行くようにしているんだけど、ジャズ、クラシック、ロック、民族音楽、映画音楽、たま~にブルースのエサ箱を漁って、一回にちょうど二時間。
年に12回赴くので、計24時間。
今でも年に丸一日分、中古レコード屋にいることになる。
これ以外は全く中古レコードを見に行くことがなくなった。
話を新宿に戻すと、それだけ思い入れもないだけに、街の変化にも興味がほとんどない。
でも、驚いた。
駅南口の髙島屋がオープンしてから20年経ったっていうんだよね~。
マジで4、5年かと思ってた。
おめでとうございます!

10そして今年もやって来たMusic Jacket Galleryの季節。

20今年も新宿髙島屋入口の特設会場での開催だ。

30そしたらアータ、MJGも10周年なんだそうだ。
行き馬の目を抜くような、移ろいの早い音楽再生装置の変遷に左右されつつの10周年は値千金であろう。
50
チョット前まではホントに「ジャケット」というモノがこの世から消滅しちゃうんじゃないかとマジで心配していたが、また最近音楽ソフトのトレンドに変化が出てきたようだ。このことは後で触れる。

60今回のMJGは5月13日、すなわち昨日からの開催だ。
先立つこと一日、関係者の方々に交じっていち早く展示を拝見させて頂いた。

40

会場入口付近にはひと際目を引く可愛らしい人形が…。

70髙島屋のマスコット・キャラクターのローズちゃん。
私より3つ年上なのに若々しい!
1959年(昭和34年)、のクリスマス商戦のキャラクターとして誕生したのが「ハッピーちゃん」というのがローズちゃんの前身。
その後、社長がバラがお好きということで名前を「ローズちゃん」に変えたのだそうだ。
90v
昔、「ロンパー・ルーム」という子供番組があって、髙島屋がスポンサーをしていたらしい。
その関係で、出演していたうつみ宮土里はローズちゃんの人形を抱きながらエンディング・テーマを歌っていたそうだ。
覚えていないナァ。
「鏡よ、鏡…」ってやってたのは覚えている。自分の名前が呼ばれず悔しい思いをしていたからだ。
この番組、アメリカがオリジナルなんですってネェ。
展示のローズちゃんは大変に貴重なものだそう。
目をつぶっているのかと思うとさにあらず。
ホンの少し、うっすらと瞼を開けて、ブルーの瞳をのぞかせているのだ。

100

そして、写真にあるように「バラ」が登場するレコード・ジャケットが集められ、展示された。

80…となると登場するのは当然、植村和紀さん。
今回も「薔薇ジャケ」以外のテーマ別LPジャケット展示も、ほとんどが植村コレクションから供出された。

100_30v

コレが「薔薇ジャケ」。
Paulの『Red Rose Speed Way』とKeith Jarrettの『Death and the Flower』はすぐに思い浮かぶよね。
『Layla』が髪にさしているのはバラだったのか。

100_10vさすが、植村さん。
アレ?何でこれがバラに関係しているの?なんてアイテムもしっかり網羅している。
例えばEnoの『Here Cones the Warm Jets』。
この花瓶にささっている枯れている花がバラだ。
こうして展示されているレコードは植村さん自身がテーマに沿ってセレクトしている。
今や植村さんのコレクションはLPとCDと合わせて60,000枚に及ぶ。
重複しているアイテムもあろうから「60,000種類」ということではないにしろ、スゴイ記憶力と洞察力だ。
右上のマントルピースの上のEnoの写真はすごく印象に残っているのだが、このバラ、ココで教えてもらうまでまったく気が付かなかった。

10020メイン・イベントの「ミュージック・ジャケット大賞」の展示。

110Hipgnosisかルネ・マグリットに出てきそうなイメージ・キャラクター。
130
歴代の受賞作と2016年の受賞作が展示されている。

115こちらは歴代の受賞作品。

140今回のノミネート作品がズラ~っと展示され…

150受賞作が紹介されている。

160その他の展示も例年通り盛りだくさんだ。

165イヤ~、ホントにね~、もういい加減にしたら?…と言いたくなるのは上でもチョット触れた音楽再生装置の入れ替わりだよね。
今度はまたレコードだってサ。
私は元々レコード派…というかレコードで育った世代なのでレコードの再興には何の抵抗もない。
かつては転勤族で、4,000枚のレコードをしまったり出したりしなければならない引越しの時の労苦に耐えられず、2,000枚以上売ってCDに買い換えた。
だから今でもジャズとロックで、合わせて2,000枚チョットぐらい残っているかな?
さて、そのレコードの復活、今度という今度は本当に世界レベルのブームらしい。
「CDが売れない」と喧伝し出してから久しいが、何しろ若い人たちはもはや音楽配信も避けるらしい。携帯のメモリー容量と料金の問題だ。
「音楽なんか聴かなくてもゼンゼン平気」という子も多いらしい。
しからば、音楽に興味のある子はどうやって音楽を手に入れているのかというと…ストリーミングというヤツとアナログ・レコードが主流になっているのだそうですよ。
「ホンマかいな?」とにわかには信じがたいが、海外でもそういう傾向があるらしく、ココは信じざるを得ない局面のようだ。
170…となると、レコード・プレーヤーが必要になってくる…ということで、オーディオ関連製品メーカーの鼻息も荒いようだ。
レコード・プレーヤーったってかつてFMレコパルやFMファンやスウィング・ジャーナルの後ろの方で紹介されていた20kgも30kgもあるような堅牢かつ重厚なものではない。
大抵はデジタル・インターフェイスが内蔵されていて、PCにひっつないで、最終的にはヘッドホンやらイヤホンで聴く…という状況なんだって。
私が中学生ぐらいの頃は、世の中結構「オーディオ」という趣味が盛んでね。
やれカートリッジがなんだ、アンプはなんだ…なんて情景をごく普通に目にして育った世代なものだから、今の状況に接するとナンカ変な感じがする。
お小遣いを貯めに貯めて、かつ親に援助をお願いしてひとつひとつ私が買い揃えたオーディオ機器は、ヤマハのダイレクト・ドライブのプレーヤー、サンスイのプリメイン・アンプ、ダイアトーンのスピーカーだった。
決して高級なモデルはないが、プレーヤーとスピーカーは40年経った今でも活躍している。
昔のモノは実にしっかり作ってある。
ナンダ、今の製品は!特に今のパソコン!1年と持たん!
10万で買ったパソコンが2、3年経って壊れて、その修理代が12万円だってよ!この国産メーカーのパソコンは二度と買わん!(どこのブランドか知りたい人は別途…ね)
…なんてことはどうでもよくて、意外とはいえ、とにかくフィジカル・プロダクツ存続の可能性が出て来たのはよろこばしいことだ。

180ということで、高音質CDとアナログ・レコードの聴き比べコーナーも設置された。
私は決して忘れませんよ…80年代の中ごろ、「高音質」ということでCDが神様のように崇め奉られていたあの光景を!
あの時もアチコチでCDとアナログ・レコードの聴き比べってのをやっていた。
で、みんな「うわー、CDってスゴイな~!」って涙を流して喜んだでしょうが!
冷やせば音がよくなるとか言ってCDを冷蔵庫に入れてみたり!(私は絶対やらなかった)
それがまたレコードだもんね。
過去を忘れることができる人間の能力ってまったく素晴らしいわ!
210
「LP対CD」の私なりの結論は、超高級オーディオで大音量で聴ける方は絶対アナログ・レコード。そうした装置で聴くCDの音は冗談としか思えない。LPに限る。
そうでない方は断然CD。
もうCDに慣れきってしまって、その便利さをみんなスッカリ忘れとる!
私なんか、最近クラシックをよく聴くようになって、益々CDの利便性を感じてるもんね。
「ノイズも味だ」なんてのは単なる懐古趣味。
盛大にスクラッチ・ノイズが出るストラヴィンスキーなんか聴けんでしょ?
それと重量。
ウチは古い木造なのでレコードの重みに耐えられないという憐れな事情もあったりする。
でも、ジャケットも魅力も依然捨てがたい…。
結論としては、どっちを支持していいのかわからなくなってしまった!
配信以外なら何でもいいや!

190vそのレコード・ブーム(?)を象徴するかのように、こんな本も上梓されている。
私の「レコ屋」はハンターとディスク・ユニオンだけなので内容は未知の世界だった。日本のレコード小売ビジネスを見つめ、歴史を俯瞰した大著。
植村さんやベテランのレコード会社の方とイッパイやった時に「我々の時代には『レコ屋』という言葉はなかった」なんて話題で盛り上がったりもしたが、コレが驚いたことに、我々より下の世代の方々も間には「レコ屋」という単語が存在していた。
ある音響機器メーカーの年下のスタッフの方が、ごくごく自然に「レコ屋」という言葉を口にしていて驚いたのだ。
そういえば、何年か前のMJGではハンターとのコラボグッズを展示していたっけ。

200さて、展示の両サイドをガッチリと固めているのは…
330
楽しい特殊パッケージの世界。
入れ物にこんな工夫を凝らしている商品って他にないでしょ?
人類の英知の結晶が音盤のパッケージなのだ。

220そして、Marshall Blogでもおなじみの面々!
うれしいね!

230vまずはLOUDNESS!

240正々堂々と相手の土俵に上がり、相手のルールで全米を席巻した『Thunder in the East』の発売35周年を記念した豪華ボックス・セット。

この発売にを記念したコンサートのもようはMarshall Blogでもレポートした⇒LOUDNESS WORLD TOUR 2015 "THE SUN WILL RISE AGAIN"~30th Anniversary THUNDER IN THE EAST~ in JAPAN

250やっぱり楽しいね、特殊ジャケット!

260コレは2015年にリリースされているアイテムだ。
こんなにあるのね?!

270
290

300

橘高さんに浩二さんも!

310

コレ、聴きたいな~。ハマースミス・オデオンのQueen。
なんたってフレディの家には遊びに行ってるから(ウソこけ!)⇒【イギリス - ロック名所めぐり vol.11】 Earl's Court(アールズ・コート)の見どころ

280

340

350あ~、コレ欲しかったんだよね~。
完全限定版、29+α枚組の『バルトーク大全集』。
高くてとても手が出なかったので、値段が1/3以下のDECCAの32枚組でガマンした。

360さぁて、ココから先は植村さんのコーナー(?)。
テーマ別ジャケット展示だ。
まずは車をフィーチュアした「車ジャケ」、通称「カージャケ」
実はちょうど今、Marshall Blogが時折レポートしている金羊社のMusic Jacket Galleryの通常展示でも「カージャケ」を特集している。
もうすぐ取材に行ってくるが、そちらの展示とは一切ダブっていないそうだ。

370ココで感心したのはWes MontgomeryのA&M盤、『Road Song』。
まただよ。
アレ?車なんか写ってたっけ?みたいな…。
植村さんとはジャケットの見方が違うんだな~…と思った。

390通常展示の方に100枚以上持って行っているのにこのボリューム。
多いんだね~、車関連のジャケット。
いかに音楽と車の関係が深いかがわかる。

400こちらも『カージャケ』なるジャケット本が上梓されるとのこと。

410そして、猫ジャケ。
コレは大分前から浸透しているでしょ。
本も出ているもんね。

420今年は『ネコの吸い方』という本を出版した坂本美雨さんが22日に来訪し、『坂本美雨に訊く、猫と音楽のおはなし』という講演をするそうだ。
坂本さんは坂本龍一さんと矢野顕子さんのご令嬢だ。

430ネコのジャケットも多いよね~。

450

アレ?Gato Barbieriも?
ホントだ。黒猫が写ってる。
さんざん中古で見かけたジャケットだけど、猫が写っているなんてまったく目に入らなかった。
アルゼンチンの名サキソフォニスト。先月亡くなってしまった。

445他にもJimmy Smith、Bud Powell、Lou Donaldson、Shelly Mann、Bunny Beriganとジャズのレコードが多いことに気付く。
昔、「ジャズメン」のことを「キャッツ」と呼んだことからであろう。
クレイジー・キャッツもそうだもんね。

440

ネコ関連のシングル盤の展示も。

470「黒猫のタンゴ」は流行ったよね~。
私は子供心に、「この子は歌がヘタだな~」と思った。
そして、ニャロメ。
私のご同輩のほとんどの男性がニャロメを描けるのではなかろうか?
だいたい「ニャロメ」なんて名前がいいよね。「ケムンパス」とか。

480以上が今年のMJGの展示。

さて、MJGの10周年を祝して私もやってみた!
赤っぽいジャケットを集めてみたよ。
何だかわかる?
ご名答!
そう、「紅ジャケ(べにジャケ)」。
左下はFrank Zappaの『Chunga's Revenge』。「Transilvania Boogie」というヤケクソにカッコいいインスト曲で始まるが、最近、同名異曲があるのを知って驚いた。
それはハンガリーのギタリスト、Gabor Szaboの『Macho』に収録されている。
ま、Zappaには及びもつかんわな。Zappaの方が先。
もちろん「Transilvania」とはルーマニアの地名。ドラキュラの故郷だ。
名古屋のFrank Zappaのカバー・バンド、なぞなぞ商会はコレを模して「Vampire Boogie」という曲を演っていた。

1_img_0924もうイッチョ。
「銀ジャケ」。
銀色のジャケットの作品がなくて、こっちは苦しんだ。
左はSilver。右は日本のSilver Stars。
真ん中はイギリスのChicagoと呼ばれたIf。ここのTerry Smithというギタリストはメッチャいい。
この人の後任でIfに加入したのが、かつてMarshallのデモンストレーターを長年努めていたGeoff Whitehornだ。

1_img_0926シャケとくるなら、コレなんか『ザ・サーモン!』だぜ。
ジャズ・オルガンの大巨匠、Jimmy Smithの作品。
「Flamingo」のKenny Burrellのギターがいいんだ~。
「猫ジャケ」のところに写っている、その名もズバリの『The Cat』はこの人の作品。
タネ明かしをすると、この「サーモン」は「鮭」ではありません。「鮭」は「Salmon」ね。
「Sermon」とは教会の説教のこと。
お後がよろしいようで…。

Sermon 「Music Jacket Gallery 2016」は5月22日まで。入場無料。
週末に新宿にお越しの際にはゼヒお寄りください。

Music Jacket Gallery 2016の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

490※Marshall Blog、5月16日(月)の更新はありません。

(一部敬称略)

2016年5月13日 (金)

【ASTORIA試奏レポート】 Seiji & Yuki PLAY ASTORIA DUAL

さぁて、D_Driveの【ASTORIA試奏レポート】の最終回はASTORIA DUAL。
ブルーでクールな2チャンネル。

10_5最後も親分からASTORIA DUALにトライ。
これだけ弾いてもゼンゼン飽きる気配なし!

20vCLASSICやCUSTOMに比べて機能が豊富なDUAL。
その分、チェックも念入りだ。

30まずはクリーン・チャンネルから…。
アレレ、すぐにODのチャンネルに移るかと思っていたらクリーンに夢中のようす。
この謎は後半を読んでいただければわか~る。

40そして、ODチェンネルで大暴れ!
またまた気持ちよさそう!

50vお気に入りのサウンドを得て、あまりにも楽しそうに弾くSeijiさんを目の当たりにして様子を覗き込みに来たYukiちゃん。

70
Seijiさんの表情を見ればDUALの説明はもう要らないかもしれない…。
この表情は、「千とせ」の肉吸いと「明治軒」のオムライス&串カツを同時に食べた時の顔や!

60選手交代。
Yukiちゃんもゼンゼン飽きてなさそう。
まだ25種類ぐらいはイケそうだ?!

80Yukiちゃんも念入りに機能をチェック。

90v当然、クリーンとODを行ったり来たりであらゆる可能性を探っていく。

100vいかなるシチュエーションでもYukiちゃんの速さに付いていくのがASTORIA。
想像を絶する幅広いダイナミックレンジがYukiちゃんのクリエイティビティを刺激する。

110ここでも積極的にD_Driveチューンを試していく。
DUALのコンテンポラリーなキャラクターは一層D_Driveの音楽にマッチしていた。

120vDUALもタ~ップリ弾いていただきました!…ということで最後の感想戦。
Seijiさんの意外な反応で盛り上がっちゃった!

Marshall(すなわち私、以下「M」):それじゃ、最後にDUALいってみましょう。Seijiさん、なんかDUALが一番お気に召していたような…。
Seiji(以下「S」):イヤ~、ヨカッタですわ~。ムッチャクチャ気持ちエエですわ~、ホンマ。
CLASSIC、CUSTOMとどれもキャラが違いますね~。

Img_0581 Yuki(以下「Y」):三つとも全部違う。
M:クリーンはCLASSIC、歪みはCUSTOMって合体させればよかったのに…と思いませんでしたか?ま、できないんですけど。
S:イヤ~、そういうのがあってももちろんいいんですけど、コレはコレでコレの良さがバツグンに出ているんですよ!
あのね、コレ、ヤバいですよ…この音!
Y:ど、どんな感じなんですか、「ヤバい」って?(←Seijiさんのあまりの感激ぶりに驚いてYukiちゃんが質問してる!)
M:クックックッ!(それを聞いて思わず、笑)

Img_0572 S:JMDの時かな?昔、シゲさんに色んなモデを試奏させて頂いたことがありましたでしょ?
あの時に弾いた1987のコンボが音のコシといい、弾き心地といい、ものすごくよかったんです。
M:2187ね。
S:そうそう。このDUALはアレにすごく似ているんですよ。
M:全面フレット・クロスのヤツ。
S:アレがまたカッコいいんですよ!DUALはその2187をボクの中でよみがえらせてくれましたよ。
とにかくメチャクチャ気持ちヨカッタ!
M:アレは2x12”ですけどね。
S:DUALを2x12”にしたらソックリになるんとちゃうかな?
M:おもしろいご意見ですね。Yukiちゃんもやっぱりキャラの違いが大い思いましたか?
Y:ハイ。私もコレが好きやったんですよ。

Img_0579 M:どういうところが?
Y:2チャンネルというのもあるんですが、出せる音の幅が一番広いんですね。
S:そうそう!
M:かなり念入りにチェックされていましたもんね!
Y:はい。セッティングによってすごく色々なキャラに変わるんです。そういう意味では、もっと作り込んでいけばたくさんの曲にシックリとマッチして、バッチリ使えると思ったんです。
S:ODチャンネルでGAINを上げずに歪みを浅く設定してやった時の音が何ともいいんですわ。
ボクも好きでたくさんのアンプを試しますけど、ギターのピックアップの音の違いをこれほど明確に表現してくれるアンプは他に知りませんね。
フロントとリアなんていうのはどのアンプでも違いがわかりますが、ミックスしたタップとか、普通のアンプではこれほどガラッと音を変えてはくれませんよ!

Img_0574 M:確かにすんごい音が変わっていましたね。あたかもギターを持ち替えたかのような…。
S:それだけ繊細なアンプなんですよ。コレはなかなかマネできないんと違いますか?
どんなことがあってもエフェクターでは絶対に作れない音です。
Y:なんか「心地いい」ていう感じの音が出ますよね。音のバラエティがスゴイ。

Img_0569 S:決して「器用」ということではないと思うんですけど、サウンドを違いをハッキリとひとつひとつ示すことができる。
それでいて、どのサウンドにもパンチがあるんですね。
Y:EQの利きもハッキリしています。
S:(Yukiちゃんに向かって)CLASSICの時はYukiちゃんが「マイルド」って言うてたやんか。ボクもなるほどマイルドやな…と思った。
同じようにしてひとことで言い表すならば、このDUALは「パンチ」やね。しかも世界チャンピオン級のものすごい瞬発力のあるパンチや!パーン、パーンってな…2tぐらいやな。
チョーキング一発でやられる破壊力がある。

Img_0565 Y:コレもギターがウマければウマいほどおもしろさがわかるのではないでしょうか?
M:それといいギターね。
S&Y:そうそう!
S:今、思ったんですけど、レコーディングの時に頭に思い浮かべている理想の「クリーン」の音っていうのがあるんです。
M:理想のクリーン?どんなんだろ?
S:ズバリこのアンプの音なんです。もうすっかり出来上がっちゃってる。ボクが思っているクリーンの音ってDUALのクリーンなんですわ。
M:Seijiさん的には、すなわち2187の音?
S:そうです。

Img_0583 Y:私には結構あたたかみを感じました。
S:ボクはちょっと違うんだな。もっとパキッという感じ。イヤ、カリッかな?イヤイヤ、キラキラですわッ!
Y:キラキラ……?
M:「固い」というのとはまた違うんでしょ?
S:ゼンゼン固くないです。この説明の難しさね!実際に弾いてみたらわかると思うし、一発でヤラれてしまいますよ。
M:そんなに気に入った?
S:はい。こんな音、Marshall以外、他で絶対に出せませんよ。ゼ~ッタイ!
あのね、楽器のクォリティを教えてくれるアンプです。
Y:ホンマ。

Img_0584 M:ところでおふたりにうかがいますが、回路と色の組み合わせを自由に選ばせてあげるといわれたらどうしますか?
S:DUALで…やっぱブルーですわ。そのままになりますね。
Y:私はCUSTOMで~…アレ~?…やっぱり赤を選びますね!
青も赤も好な色なんですけど、やっぱりCUSTOMにシックリくるのは赤ですね~。
M:我ながら、やっぱりMarshallってスゴイですね。
S:イメージさせてるんですね~。

Img_0604 D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Offiical Web Site

10_4

最後にYukiちゃんから…。
「ASTORIAは何と今日発売となるそうです!
このモデルは量産ができない手作りの商品だそうです。入荷の数量が少ないので、すぐに売り切れてしまう可能性もあるようにもお聞きしましています。
楽器屋さんで見つけたら是非試奏してみてくださいね!
私のお気に入りはCUSTOMですけど、CLASSICもDUALも最高です!」

Img_0590 ASTORIAの詳しい商品情報はコチラ⇒いよいよASTORIAが出るよ!


Seijiさん、Yukiちゃん、わざわざこの試奏会のために一日早く上京して頂き、かつ、お疲れのところ長時間にわたって仔細にASTORIAをお試し頂きまして誠にありがとうございました。
この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。        

                                             Shige

(一部敬称略)

2016年5月12日 (木)

【ASTORIA試奏レポート】 Seiji and Yuki PLAY ASTORIA CUSTOM

D_Driveの【ASTORIA試奏レポート】はCUSTOMに移る。
赤いCUSTOMはシッカリ歪みの熱血野郎!

Img_0540

今日ASTORIA CUSTOMを試して頂くのは…
Shimataroと…

B_s41a0145Chiiko!

B_s41a0150 …なワケなくて、友情出演してもらいました。

昨日に引き続いて、Seiji~!

Img_0548

そして、Yuki~!

Img_0543 今日も親分からスタート。

Img_0300「歪む」ったってどんな感じか?
まずは、小手調べ。
何せCLASSICがあんなにシッカリしたクリーンだったからね。
「ムムッ?」

Img_0303「コレはかなりイケるんとちゃうか…?」…と歪みを深く調整する。

Img_0302_2もう入り込んじゃって辺りがまったく目に入っていないSeijiさん。
ま、この音はロック・ギターをやっている人なら当然溺れてしまうだろうね。
GZ34がもたらす独特のコンプレッション感が何しろ気持ちいいんだ~。

Img_0313かなり歪みを深くしたが、ヌケの良さが悪くなるなどということはまったくない。
一音一音がキリリと締まっている。

Img_0311おなじみのD_Driveメロディがバンバン飛び出してくる。
さすがにステージで30Wは厳しいだろうが、豊かな音色はD_Driveの音楽をよりゴージャスにするに違いない。

Img_0316続いてYukiちゃん。

Img_0343YukiちゃんもGAINを上げて深めの歪みを作る。

Img_0336やはり弾き慣れているD_DriveナンバーでいつものTSLとの違いを確認。

Img_0356Yukiちゃんも相当真剣だぞ…全然、ニコニコしなくなっちゃった!
弾くわ、弾くわ、シュレッディングの鬼!

Img_0351Yukiちゃんのサウンドを耳にしてそのセッティングを確認するSeijiさん。
確かにスゴイ音だった!

Img_0348BLIGHTNESSやBODY等の機能もひとつひとつジックリとチェックしてくれた。

Img_0338 ハイハイ、そこまで!
ズッと弾いていたい気持ちはわかるけど、ここら辺でASTORIA CUSTOMについておふたりに語っていただきましょう!


Marshall(すなわち私。以下、「M」):イヤ~、ようけ弾きよりましたな~!
Seiji(以下「S」):CLASSICの後で、キャラクターがゼンゼン違うので驚きました。D_Driveで使うならCUSTOMが一番合うと思います。
Yuki(以下「Y」):そうですね、色んな曲がありますが、D_Driveやったら、やっぱりCUSTOMがシックリくるでしょうね。

Img_0537 M:歪みの具合はいかがですか?お気に召しました?
S:最高です。メッチャいいです!
M:どういう風にいいんでしょう?普段使っているDSLと比べるといかがでしょう?
S:やっぱり違うタイプの歪みですよね。とにかくASTORIAはコシがスゴイ!
すごく歪んでいるんですけど、ジャーンと弾いた時に各弦の音がひとつひとつ独立しているんですね。
そして、その後のロング・サスティンがタマらない!
M:サスティンは見事ですよね。
S:ハイ!ひどいアンプになるとトライアドを弾いているのにパワーコードにしか聞こえないなんていうのもホンマあるんですわ。
M:あるある!
S:で、音を重ねていった時、歪んだままだと何を弾いているかわからなくなってしまうので、歪みを浅くしてやる。
するとどうしてもサスティンが稼げなくなってしまう。
ところが、ASTORIAは歪ませたままでも音が分離しているように聞こえるんです。それでいてサスティンも十分。

Img_0526 Y:私にはハイがすごく出るように聞こえたんです。
S&M:ハイ?
Y:はい。
M:音が固いということ?
Y:「固い」ということは一切ないんですが。高音がすごく利いていて、音がとても抜けるイメージですね。すっごいパワーやな…ってビックリしました。

Img_0507_2 M:30Wのワリにはということ?
Y:イエ、そういう意味ではなくて、ゲインやボリュームをそんなに上げていなくても、すごい力があるんですよ。ホントに?!みたいな。
M:音圧ってこと?
Y:そうです!大きさではなくて力。とにかくハイが抜けてて、パワーがメッチャあるという印象。

Img_0527 M:世の中にはただ歪んでいるだけで、ガシャガシャとなっちゃうアンプもありますよね。
そういう類の機材は弾き手のテクニックも音楽性も殺してしまうワケで、だからこそ、皆さんは音の良し悪し以外にもシビアな目で機材選びをされていますでしょ?
そういう目で見るとASTORIAはいかがです?
アノ、話伝わってますか?
Y:フフフ。
S:もちろん、もちろん!伝わってます。
M:ごめんなさい説明が下手なもんですから…。
S:よう言いますわ!
どう言ったらいいでしょうか、さっきも言いましたがとにかく分離がハッキリしていると思うんです。
歪んでるんやけど…。

Img_0522 Y:歪んでるんですけど、自分が出したいニュアンスが正確に出せるんです。
S:そうそう、そやねん。
例えて言うと、弦一本一本にそれぞれ専用のピックアップが付いていて、それを最終的にASTORIA CUSTOMでまとめて音を出してくれているみたいなイメージですわ。まったく埋もれるところがないんです。
Y:フンフンフンフンフン。
で、ギターのボリュームを絞ってクリーンにしても、やっぱりきれいにニュアンスを出してくれます。音も太い。

Img_0528 M:BOOSTはいかがでした?
S:イヤ、こ~れ~は使えますよ!普通ブースターで音を補う時はエフェクターを使いますが、コレがついていればエフェクターは要りませんね。
M:付属のフットスイッチでオン/オフできますからね。
Y:確かに…ゼンゼン必要だとは思いませんでした。
S:とても頼りになりますよ。「アニキ」って感じ。
M:Brightnessはどうでした?Yukiちゃんは元々ハイがよく出ているって言ってたけど…。
Y:私は必要には感じませんでした。
M:Marshallはブライト・スイッチが付いているモデルってほとんどないんですよ。高域を強調する用途としてプレゼンスはおなじみですけどね。
昔はよくついているアンプを見かけましたけど、実際に使っているっていう話を聞いたことがない…。
S:コンボなんかだと、箱鳴りしすぎて、モコっとしちゃうことがあるますよね。鼻をつまんだような…。そういう状態を解消したい時なんか役立つと思いますよ。

Img_0537_2 M:BODYはどうです?
S:単純にいうと中~低域が持ち上がる作用があるんですが、すごくコクがあるというか、まろやかに太くなる感じですね。
まるでビンテージもののワインみたいな?
M:そういえば、コクのあるワインなんかは英語で「Full-bodied」って表現するんですよ!
S&Y:おお~!
M:Marshallもビンテージ・サウンドを形容する時によく使う言葉なんです。
Yukiちゃんはどう?
Y:ん~、例えて言えば、頼りになる優しい男性が出て来る感じですかね?

Img_0479 S&M:おお~!ボディだけにマッチョ?!
Y:ガリマッチョ。このツマミを引っ張り上げると「大丈夫だよ」って言ってくれる。
S:じゃ、常に入れておく?
M:こういうスイッチを入れっぱなしにしておくタイプ?
Y:イエ、多分入れっぱなしにはしません!
S&M:ズルッ!(全員大爆笑。言ってる本人まで大爆笑)
S:そうそう、それとセンド&リターンもついているからループ派には便利ですよね。

Img_0518 M:さて、色はどうでしょう?
普通、「スカーレット・オハラ」とか、「バーガンディなんとか」とか、「なんとかクリムゾン」とか、「なんとかバーミリオン」とかカッコつけた名前を付けるじゃない?
ナァ~二ィ~、やっちっまったな~…みたいな。Marshallは黙ってレッド、グリーン、ブルーですよ…!
S&Y:(大爆笑)わかりやすい~!

Img_0475 Y:この赤ってすごく渋くて落ち着いていますよね~。真ん中のクリームのところがまたすごくマッチしているんですよ!
女の子が部屋に飾ってもおかしくない。一気に部屋が可愛くなる!

Img_0545 S&M:そ~お~?

D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Offiical Web Site

10_4ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒いよいよASTORIAが出るよ!

【ASTORIA試奏レポート】 DUAL編につづく

(一部敬称略)





2016年5月11日 (水)

【ASTORIA試奏レポート】 Seiji and Yuki PLAY ASTORIA CLASSIC

先日のMarshall GALAでは短い時間ながら代表曲を3曲立て続けに演奏し、大いに会場を沸せてくれたD_Drive

Dg それに先んじてリリースされたアルバム『R』も大好評だ。
Marshall GALAで初めてD_Driveを見るお客さんも少なくなく、その衝撃はかなり大きかったようで、会場のCDの即売では驚くほどの売り上げをマークしたようだ。
Marshall GALAの会場がもしヤスガーの農場だったら5~6万枚は簡単に売れていたことであろう。

480cd そして、今日の【ASTORIA試奏レポート】はD_Driveのおふたり。

10_2Seiji

Img_0248Yuki

Img_0433_2SeijiさんはDSL100、YukiちゃんはTSL100、キャビネットはともに1960Aと、日頃からMarshallを愛用してくれているふたり。
それだけにMarshallの新商品とくれば興味津々は当たり前。
週末のライブに先立って、ナント、ASTORIAの試奏をするだけのために一日早く上京してくれた!
昼食後、長時間にわたるドライブの疲れなどおくびにも出さずに、早速CLASSICに飛びついてもらった。
後半では対談形式でASTORIAの魅力を語って頂く。

Img_0487 最初は親分から…。
前もってお伝えしておいた通り、一番お気に入りのギターをご持参頂いた。
Marshall GALAでも使っていたいつもの愛器。

Img_0232まずは「素CLASSIC」で自慢の濃厚クリーンを堪能。
コード、単音と音色だけでなく弾き心地も丹念にチェック。
クリーン・トーンを使うD_Driveのステージでは定番のバラード、「Unkind Rain」をプレイ。
弾くと思った!

Img_0235コントロールを色々とイジってみる。

Img_0256そして、専門分野の「歪みの世界」へ!
歪み系エフェクターについてもお気に入りのモノをお持ち頂くようにお願いしてある。

1_img_0240 ツワ~!
コレがまた素晴らしいディストーション・サウンド!
ピッキングのニュアンスもクリアな最高のロック・トーンだ!

Img_0263早くもズッポシASTORIAにハマるSeijiさん。
果たして時間までに全モデル試奏し終えることができるのかッ?!…っていうぐらいのめり込んでる!
弾いてて気持ちいいからね~。

Img_0259今度はYukiちゃんの番。
まずはザッとコントロールをセットして…

Img_0272とりあえず弾いてみる。
Yukiちゃんのイニシャルの「Y」をボディにあしらったギターは彼女のトレードマークであり、一番のお気に入りだ。
だからどんな音が出るかはよく認識している。

Img_0282やはり単音とコードで試してみる。
アラ、やっぱり「Unkind Rain」を弾くのね?!

Img_0288今度は「POWER REDUCTION」や「SENSITIVITY」、「EDGE」等のASTORIA特有の機能をチェック。

Img_0270そして、YukiちゃんもSeijiさんのペダルを拝借して思いっきり歪ませてCLASSICを弾いてみる。
Img_0287
「私の速さについて来れる?」とは訊かれなかったが、この猛烈にコシの強い音色にはついて行きたいナァ。
いつものTSLとは異なったサウンドのYukiちゃんの華麗なプレイ。

Img_0291…と、ふたりともタップリ弾いて頂いたところで感想戦に突入。

Img_0492 Marshall(以下「M」、すなわち私):どうでした、初ASTORIAは?
Seiji(以下「S」):いい意味で素直で正直な音。

Img_0485 S:自分が持ってきたエフェクターとの相性がよかったのかもしれませんが、このエフェクターがあれほどいい音を出すとはまったく知りませんでした。(写真は実際に使われたカスタム・メイドの歪みエフェクター)

Img_0473 S:楽器の本来の音を引き出してくれるアンプだと思います。
音の立ち上がりものすごく速くて、ピッキングした瞬間にバーンと返してくれる。
デジタル系の機材に慣れてしまっている人にはピッキングのタイム感に違和感を覚えるかもしれませんね。
うまい人が使うとさらにその人のうまさをアッピールしてくれると思います。
ピッキングの位置とか強弱とかもバカ正直に出ちゃいますよね。
Img_0484
ビックリしたのはEDGE!(一番右のノブ)

150 Yuki:そうです、そうです、コレをイジれば会場の響きにギターのサウンド合わせたりすることが簡単にできそうですよね。
S:7以上にすると、急にカラッとした感じが強調されて気持ちいい。
M:お察しの通り、EDGEはパワー段でハイをコントロールする機能なんです。プレゼンスもそうなんですけど、仕組みが違う。ボリュームを上げると効果が増します。
で、Yukiちゃんはサウンドに関してはどんなイメージです?
Y:音の厚みがスゴイと思いました。
それで、どこかしら音質がマイルドなんですよ!

Img_0504S:そうそう、マイルド、マイルド!それが言いたかった!
Y:でも、中にものすごくシッカリした芯がドーンと通っていますよね。それがサウンドを前に押し出してくれているような感じ。
S:アーモンド・チョコレートみたいな…。外側はチョコレートで柔らかいんですが、中ではアーモンドがしっかり支えている…。

Img_0503 M:マカダミアじゃダメ?
S:イエ、マカダミアでもいいんですよ。
M:でも、ピーナツじゃないですよね?
S::そんな弱々しいイメージではありませんね。
M:千葉の人が聞いたら気を悪くされますよ!

Img_0488 M:そのマイルドさっていうのはD_Driveの音楽にとってどうなんですかね?
S:たとえば、「Unkind Rain」のようなクリーン・トーンを使うような曲にはやっぱりバッチリですよね。
そういえば、今日はふたりとも「Unkind Rain」を弾きましたが…。
Y:そう、やっぱりD_Driveの曲で試奏してみようか!っていう感じになりますよね。自分たちの曲でどうやって使えるかっていうのはヤッパリ試奏の時のポイントになってしまう。

Img_0508 S:あと、「Peach Fizz」とかね。
Y:ああ、ハマりそうですね!あと「Runaway Boy」なんかもエフェクターで歪ませてCLASSICを弾いたらスゴそう。
M:ああ、「Runaway Boy」はカッコいいかも。
S:コード感の表現もスゴイですよね。テンションの多いコードなんかはきれいにひとつひとつの音が聞こえてくる感じ。
M:そう!一本一本の弦の音がハッキリ聞こえてくるイメージ。
S:バッチリ聞こえます!

Img_0494 M:ルックスはどう思います。
Y:このCLASSICの緑は落ち着いているので家の中にあってもすごくいい雰囲気がしますよね。
S:メッチャ思う!

Img_0500 M:目にやさしい?
S:そうですね!ギター・アンプってものは本来スタジオにあるようなモノですけど、CLASSICはリビングにポンっておいてあってもいい感じですよ。
Y:ソファの横にあってもゼンゼン不思議じゃないですよね!

Img_0513 M:我々の世代では「やっぱりMarshallは黒に金に白」が当たり前なんですが、私よりお若い、そしてかなりお若いおふたりにとっては緑のMarshallなんてのはどうなんですか?
Y:私はゼンゼン抵抗感がないですね。
S:ボクも抵抗はありませんが、「思い切ったな~Marshall!」という感じはします。
ひとつだけ思うのは、コントロール・パネルはゴールドかな?という気はします。
もうゴールドに慣れきっているんで。
Y:ウ~ン、でもこのデザインだったら私はシルバーはありだと思います。
Img_0516
S:このデザインならね。
Y:ハンドルなんかも革みたいで高級感が出ていますよね。

120 S:ビスひとつとってもナンカ高級ですよね。
M:ブティック・アンプですから!
Y:すごく丁寧に作ってある感じがあります。
S:和室にも合いそうですね。
Y:横に壺を置きましょう。
M:お茶室?マーシャルじゃなくて「抹茶ル」?誰かキットカットみたいに爆買いしてくれないかな!

Img_0505 S:あと2x12”バージョンがあったらすごくいいかも知れませんね。
M:重くて持てませんよ!それはまたナゼ?
S:すごく音にコシがあるので、もうひとつスピーカーを足すと、スゴイことになるのではないかと…。
もしくはCLASSICを2台同時に鳴らすとか…。
M:毎度あり!
1974CXみたいに1x12”の同じ形のエクステンション・キャビがありますから、簡単に2x12”仕様にはできますよ。
S:それと、パワー管がKT66というのも驚きでした。イメージとしては、普通大きいアンプに使われるのに30Wのコンボに使われていたからです。
だから余裕でクリーンなんでしょうね。

Img_0511 M:そうですね。それとさっきの「マイルドさ」はそこから来ているのかも知れませんね。
今までのやり方ですとEL84かEL34ってとこでしょう。すると音はもっと鋭くなりますから。
Marshallの最初のモデル、JTM45はコンボではありませんでしたが、30Wの出力でパワー管はKT66だったんですよ。ある種、先祖返りを考えたのかも知れませんね。
ちなみに2007年にリリースしたVintage ModernはJTM45回帰をイメージしてKT66を採用しました。
S&Y:あ、そうだったんですか~。
M:ハイ、ほんじゃ次…チャッチャとやらないと終わらないよ~!

Img_0555D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Offiical Web Site

Img_0559ASTORIAの発売は今週の金曜日、5月13日を予定しています。
ASTORIAは量産が難しいハンドメイド商品です。入荷数量が多くないため、早期の品切れが予想されます。
楽器店でお見かけした際には迷わず試奏してみてくだされ!
毎回書いているように試奏の際にはご自分のお気に入りのギターで…ね!

ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒いよいよASTORIAが出るよ!

【ASTORIA試奏レポート】 CUSTOM編につづく

(一部敬称略)

2016年5月10日 (火)

【ASTORIA試奏レポート】 ichiro PLAYS ASTORIA

プロギタリストの間ではおもしろいぐらい高い前評判を頂戴しているASTORIA。

10 ASTORIAシリーズはもうすぐ発売になるが、コレで楽器屋さんで試して頂いた皆さんの反応が悪かったらどうしよう!
頭を丸めたところで反省の意味を表すほどの量の毛もないし…。
へへへ、ところがね、こちとら大船に乗った気でいるのだ。
というのも、今日試奏頂く音にシビアなギタリストからも一発で太鼓判をもらっちゃったのだ!

10_3そのギタリストとはichiro。
独特のフレーズを極上のトーンで歌わせまくるギター巨人。
新旧を問わずいいサウンドを出すための機材を知りつくし、ブルースを礎に幅広い活動で自分の音楽道を突き進んでいる。
矢沢永吉や長渕剛のサポートでも活躍するファースト・コール・マンであることは皆さんもよくご存知の通り。
実はichiroちゃんもMarshall BlogでASTORIAのことを知って、前々から興味を持ってくれていたというのね。
ところが超多忙なichiroちゃんのこと、なかなかユックリASTORIAを試す時間がなかったんだけど、「時間ができた!」という連絡があって、さっそくあるライブのリハーサルの空き時間にお邪魔してきたのだ。

20vウシャコダじゃないけど、「それじゃさっそく始めましょ!」。
まずは例によってCLASSICから。

30vさすがichiroちゃん、CLASSICの使い方は先刻承知。
エフェクターをセッティングして…と。
矢沢さんや長渕さんの舞台では空間系のエフェクターをセンド&リターンにつないているというが、エフェクターをギターとアンプの間に入れる従来型が基本的なichiroちゃんのセッティング。
だからCLASSICに白羽の矢が立った。

40今回の試奏に使用したペダル・ボード。
70
どれどれ…と弾き出すと、とめどもなく繰り出されてくるのはあのichiroフレーズ!カッチョいい!
10年ぐらい前はRobben Fordっぽいフレーズをよくカマしていたが、今は違う。
そういえば、「変なギター弾くヤツを教えて!」と言われてDrew Zinggを紹介したこともあったっけ。

50「もうちょっとボリュームを上げるてみるか…」

60v「ミッド・ローの充実感がもうとにかくMarshalですよね~。コレは他のブランドのアンプのクリーンには出ない音なの」

80「この『トーッ!!!』っていう感じ!Marshallのサウンドは『タ行』なんだよね」
ジャンジャン弾き続ける。
「そういう意味ではオーソドックスなMarshallだと思います。俺がイメージする『砂臭い』感じがよく出てる。
まったく期待通り!」
「土臭い」という表現はよくあるが「砂臭い」というのは聞いたことがないな…そこがichiroちゃんにとってMarshallのワン・アンド・オンリーな部分なんだな。
コチラはコチラで予想通り。
CLASSICは絶対ハマるとニラんでいた。

90vスピーカーについては…「クリーミーなトーン。エッジが粗すぎないところがいいんだよね」。

95 続いてCUSTOM。
まずはGAINを上げてガツンといいってみる。

100「ああ~、こういう感じね~!」とニヤリ。
ギターのボリュームを徐々に下げてクランチからクリーンもチェック。
出て来るフレーズはJimiの「Manic Depression」やらGuess Whoの「American Woman」やら。
そういえばCLASSICの時には「Angel」も弾いていたっけ。
クリーンでの16のカッティングもすこぶる気持ちのいいサウンドだ。

110v「アッレ~、案外、コレ好きだよ!」とかなりの好反応。
「コレはね、かなりブルース・ロックの音ですよ!1x12"なので、エクステンション・キャビをつないで音圧を上げてやれともっとよくなるハズ」
1x12"のエクステンション・キャビもあると伝えると、「やっぱCream Back?」と興味津々。

120最後にDUAL。

130DUALは他の2モデルに比べると機能が多彩だ。
ひとつひとつそれらの機能を試してくれた。

140「DUALは他と比べて音の傾向が違いますね。奥行き感が違う。」
155_2
「やっぱりこっち(CLASSICを指す)はクリーンに特化している分、音の密度が濃いですね。オレの音楽にはやっぱりCLASSICかな?」

150…ということで振り出しに戻る。
って、別にASTORIA間で競争をしているワケじゃないんだけど、おもしろいほど皆さんの好みが分かれるのですわ。
それは取りも直さず、ひとつずつのASTORIAが代えの効かない独自の声を持っていて、弾き手の音楽づくりのためなら決して妥協を許さない…ということなのね。
だから、シリアスなギタリストは自分の音楽にあったASTORIAを選ばなければならない…ということになる。

160vさっきよりシビアにセッティングをし直す。
アンプもエフェクターも触るたびに劇的にサウンドが変化していき、ichiroちゃんのフレーズをドンドン際立たせるサウンドに変身していく。
一流の鍼灸師のように、サウンド・メイキングのツボを完璧に押さえているのだ。

170

「思ったよりCUSTOMがヨカッタね~。ハードロックの人たちが気に入るのもよくわかるけど、ブルース・ロックをやっている人たちにも絶対向いてるよ。音に馬力があるから」
また、「奥の方のザラつき感とか空気感みたいのがタマんないんだよね」とも…。
でも、ファースト・チョイスはやっぱりCLASSIC。
私のベイビーのイトコね。

180vで、さっそく実際のステージで使いたい!ということで、私が以前撮影の仕事をさせてもらったichiroちゃんのライブに登場した女性シンガー、Sara RectorのライブでASTORIA CLASSICが使われる予定になっている。
Saraさんのパワフルで美しい歌声とichiroちゃんのASTORIAサウンドのカラミが今から楽しみだ!

185vドラムはいつかNATALを叩いてくれた丹菊正和!

190「マーシャルを好んで使う人は、ミッド・ローの充実感を求めている人が多いと思う。アンプの音がブランドによって異なるサウンドを出すのは当たり前かもしれないけど、Marshallって他のブランドとは向いている先が違うんだよね」
そして、最後にうれしいことを言ってくれた。
「ギターとかエフェクターとか色々使ったしても、俺はアンプで音を作るんだ。だから俺にとっては、アンプは音の良し悪しを決定する最も大切な機材なんだよね…」

200ichiroの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

ASTORIAの発売は今週の金曜日、5月13日を予定しています。
ASTORIAは量産が難しいハンドメイド商品です。入荷数量が多くないため、早期の品切れが予想されます。
楽器店でお見かけした際には迷わず試奏してみてくだされ!
毎回書いているように試奏の際にはご自分のお気に入りのギターで…ね!

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210v(一部敬称略)

2016年5月 9日 (月)

【ASTORIA試奏レポート】 LUKE PLAYS ASTORIA

今回ASTORIAにトライして頂くのは、先日Marshall GALAでも大暴れして頂いたルーク篁

10_2 現在CANTAはツアー中
そして、ソロ・アルバムのリリース25周年を記念したツアーも7月に控えている超多忙なルークさん。
どの舞台でもMarshallが背後でシッカリとルークさんのサポートさせて頂いております。
さて、以前から何度も書いているようにルークさんは最新のモデルからビンテージまでをコレクションし、実際にステージでも使用されているMarshallのエキスパートだ。
そのルークさんがMarshall初のブティック・アンプにどういう反応を示されたか?
楽しみでしょう~?
あ、そうそう、試奏の前に、まずはASTORIAのルックスに関するルークさんのご感想。
「可愛い…」
…とベタボメして頂いた。
黒、白、金の衣装をまとったMarshallと付き合ってもう相当長い時間が経っているハズなのに、突然変異的なASTORIAのいでたちに何の違和感も表さない…どころかスッカリお気に入りの様子のルークさん。
これぞ真の「Marshall Affection」と見た!

そして、例によってまずは最上のクリーン・トーンを出すのが仕事の緑のヤツ…私のベイビーのイトコ、ASTORIA CLASSICから…。

10vルークさんの仕事道具は基本的に「歪み系サウンド」ということになろうが、やはりMarshallの大エキスパートだけあって、「Marshallクリーン」の魅力も熟知されている。
まずは、「素アストリア」でそのリッチなクリーン・サウンドをチェック。
音の立ち上がりの良さに驚いていらっしゃった。
それからご持参のマルチ・エフェクターをつないて各種のサウンドを試されていた。
やはりすべての元となるクリーンのサウンドがシッカリしているので、歪み系でも空間系でも最高に美しいトーンが確認された。
20v続いて情熱たぎる赤い歪み野郎、CUSTOM。
遠慮なくGAINを上げて…と。
50v

ツワ~、これぞ極上の歪みサウンド!
水を得た魚、砂漠を得たラクダのようによどみなく弾き切るルークさん。

30v傍らで聴いていて実に気持ちがいい分厚い音像。
ピッキングの粒立ちが信じられないくらい際立っている。
一音、一音の説得力が違うのだ。

40v最後は青いクールな2チャンネル、DUAL。

70v

やはり、「前の2つとは異なるサウンド・キャラクター」というご指摘。
コレもまたお気に召したようだ。

60でも、どれを弾いてもルークさんの音だね。
イヤ、正確に言うと「ASTORIAのルークさん」の音だ。
このようにいいアンプというのは、弾き手の個性を強調しつつ自己主張するものなのだ。
そして、ギターの心得のある方ならよくおわかりだと思うが、お気に入りのギターやいいアンプというのは本当に弾き手に刺激を与えてくれる。
とにかく、弾きたくて弾きたくて仕方ない気持ちしてくれるのだ。
そんなギター・アンプがASTORIAたちであることは疑いのない事実なのだ。

80で、結局ルークさんはCUSTOMに戻った。
もう何年前になろうか…当時JVMをお使いになっていたルークさんにMarshallのクリニックのお手合わせをお願いしたことがあった。
ルークさんはODのチャンネルひとつしか使わないことを発見した私は、そのクリニックの中で理由を尋ねた。
JVMはマルチ・チャンネルが売りで、フットスイッチの操作で自在にバラエティに富んだサウンドに切り換えることができるのが最大の長所だからだ。
ルークさんによると、「スイッチひとつでガラっと音が変わってしまうのはチョット違うかな…みたいな」…みたいなお答えだった。
つまり、ギターのボリュームを上げ下げすることによって、継ぎ目なくクリーンからクランチ、さらにリードへとスムースにサウンドが変化していくのが本来の姿…というお考えなのだ。
そして、「それを気持ちよく実現してくれるのがMarshallなんです」と付け加えてくれた。
…そうなると、ASTORIA CUSTOMはルークさんの理想のアンプの権化ということが言えそうだ。
だからまた弾いちゃった!

90v最後にルークさんのコメントを掲載しておこう。
この記事のためにご本人に書き下ろして頂いた文章だ。
CLASSIC、CUSTOM、DUALいずれもMARSHALLの歴史に裏打ちされた良質のサウンドが、
いとも簡単に飛び出してくる!
レスポンスに優れ表現の幅が広いのも魅力的。
真空管がクリエイトする太く暖かいサウンドは、弾き手次第で優しくも荒々しくもなる!
個人的にはCUSTOMの歪みにKOされた!
是非とも自分のものにせねば!
ルークさんのMarshallコレクションに「紅一点」が加わりそうだ!

ルーク篁の詳しい情報はコチラ⇒CANTA Official Web Site

10 コレがルークさんをKOしたASTORIA CUSTOMのコンボAST2C。

A_astoria_ast2_astoria_ast2112_custスタックもあるでよ!
型番はヘッドがAST2H、1×12"スピーカー・キャビネットはAST2-112ね。

A_astoria_ast2_custom2ASTORIAの発売は今週の金曜日、5月13日です。
量産が難しいハンドメイド商品のため、入荷数量が多くないため早期の品切れが予想されます。
楽器店でお見かけした際には迷わず試奏してみてくだされ!
毎回書いているように試奏の際にはご自分のお気に入りのギターで…ね!

ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒いよいよASTORIAが出るよ!

(一部敬称略)

2016年5月 6日 (金)

【ASTORIA試奏レポート】 SEKI PLAYS ASTORIA

予てよりギャーギャー騒いでいたMarshall初のブティック・アンプ、ASTORIAシリーズ。
楽器店に並ぶ日がいよいよ来週に迫った。
皆さんの反応が楽しみだナァ~。

Marshall Blogでは、すでにASTORIA第一線で活躍するギタリストの方々にトライして頂いている。
その反応はすべてバッチリ!
ずいぶん長いことこんな仕事をして来たが、これほど反応が良い新商品は初めてかもしれない。
それは、サウンド、弾き心地等、ASTORIAのパフォーマンスがズバ抜けて良いことがまず指摘されよう。
それに加えて、三種類のタイプの異なるモデルが、あらゆるタイプの音楽に対応できるヴァーサティリティを実現しているからであろう。
かといって、ブティック・アンプゆえ値段も張るため三種類全部揃えるなどということは経済的に難しいし、意味のないことだ。Marshallももちろんそんなことを期待していない。
これから不定期にASTORIAの試奏レポートを掲載していくので、皆さんのASTORIAトライのご参考にして役立てば幸いである。
今時ではあるが、動画は撮っていない。
もちろんそれなりの環境があれば撮影して私の「黒澤フリークぶり」をお見せしたいところであったが、なかなかそうもいかない。
結果、生半可な録音機材や環境で撮影した動画でASTORIAの素晴らしいサウンドの印象を損ないたくなかったので諦めた。
ASTORIAにご興味のある皆さんには、Marshall Blogをご覧になって頂いて、後はもう実際に楽器店でお試し頂くしかない。
イヤ、とにかく弾いてみて頂きたい!
以前にも触れているが、ASTORIAを試しにいらっしゃる時は、後で「アレ?楽器店で弾いた時と違うじゃん!」なんてことを何としてでも避けるために、実際にいつも使っている一番の愛器をご持参することを強力におススメする。
また、CLASSICにご興味のある方は、いつも使っているエフェクターを持っていってくだされ。
理由は同じ。
エフェクターの違いも信じられないぐらい克明に、かつ正確にアンプリファイしてしまうからだ。
それと、コレも何回も書いてきたが、もう一度予め書いておくことにしよう。
ASTORIAは…重い。
お試しの際には腰に気をつけながら、チョット持ちあげて頂くといいだろう。(コレだけ何回も言っておけば「ナンダ、大したことないじゃん?」となるハズ)
といっても、いいアンプはトランスやスピーカーがシッカリしているので、それなりの重量からは逃れられない。
その代り、ボタンひとつでいろんな音が出るような機材とはケタ違いに素晴らしいサウンドを提供してくれるはずだ。
それでは【ASTORIA試奏レポート】第一弾をお送りします!

Ast_logo

最初にご登場頂くのはMarshall Blogでは少数派のジャズ系ギタリスト、関雅樹。
岡井大二をメンバーに含む自己のトリオを率いる傍ら、数々のサポート仕事で何回もMarshall Blogにご登場頂いている。
繊細にして豪快。
キチットした音楽理論に裏打ちされたヴォイシングやソロはいつでもスリリングだ。
また、「何でこんなの知ってんだ?」的なステージでの選曲もセンスのよさをうかがわせる。
実は、この試奏の約一月後、大きな舞台が控えていて、そこでさっそくASTORIAを使ってみたいという要望があり、いの一番で試して頂いた次第。

20v関ちゃんは以前、よくJCM800 2204を1936に組み合わせて使用していたが、最近はコンボ派だ。
1987のコンボ、2187Xを愛用していたが、最近はもっぱら1974Xであらゆる現場をこなしていた。
…ということで引き比べのために1974Xも持参してくれた。

30まず初めに書いておくが、同じハンドワイアード構造で整流管が入っていても、サウンドキャラクターがASTORIAと1974Xとでは全く違う。
違って当たり前の話しなのだが、ASTORIAの方がやはりコンテンポラリー感が強く、コンセプトのハッキリした違いを確認できる。

40まずは緑のCLASSIC。

50CLASSICは極上のクリーン・サウンドを出すためのモデルだ。
したがって上に書いたように関ちゃんにもいつもステージで使っているペダル・ボードをそのまま持ってきてもらった。
170v
後ろでチューニングをしているのはユースケくん。「七画の音工店」という工房を経営している若いながらも経験豊富なギターテク。

60全モデルと通じて試奏に使ったギターはいつもステージで実際に弾いているモノたち。
メインで使用しているストラトキャスター、レスポール、そして関ちゃんのラッキー・カラーのピンクのテレキャスターだ。
つまり、ASTORIAが仕事で使えるかどうかを事細かにチェックしているのだ。

70v関ちゃんは電気に強い。
「電気に強い」ったって100万ボルトに耐えうる体躯を誇っているワケではない。
何だか知らないが、異常に豊富な電気の知識を蓄えていて、アンプやエフェクターがトラブった時もすべて自分で修理してしまう。
その関ちゃんがまず指摘したのはCLASSICにMASTERと名付けられたボリュームがひとつしかないこと。
この手のシンプルな構造のアンプにおいては、マルチ・ボリュームよりシングル・ボリュームの方が音がよくなることを音楽家的かつ電気工学的に熟知しているのだ。
コレも極上のクリーンをクリエイトするのが使命のCLASSICならではの話。

「あ…」
コレがCLASSICを素で弾いて関ちゃんが最初に発した言葉(音?)。
音の出方の鋭さと、クリーン・トーンの厚みに驚いたのだ。
関ちゃんがMarshallのクリーンが好きということもあるが、まさに「Hit the mark(大当たり!)」的な印象。
エフェクターをつないでも何のストレスもなくいつも通りのサウンドを出していた…イヤ、いつもの1974Xより回路がモダンなせいか、よりパノラミックなギター・サウンドだった。
また、EDGEの使い方がMarshallっぽさの演出を握るカギのひとつとして、効用に強い興味を持っていた。

80続いて赤のCUSTOM。

90CUSTOMはアンプで歪ませてギターのボリュームを下げてクリーン・サウンドを作るのがスタンダードな使用法。

100v「Marshallの歪みってやっぱコレだよね~!」と納得&超ゴキゲン!
「ASTORIAはビンテージではないが、それっぽい印象が強い『NEOビンテージ・サウンド』ですね」とCLASSICの時にも言及していたが、その印象はCUSTOMも同じ。
その要因はスピーカーではないか?と分析していた。「コンテンポラリーなビンテージ・サウンド」ということ。
ASTORIA搭載のスピーカーはCelestionのCream Back。
1960年代の後半から1970年代の初頭には1960の一部にCream Backが搭載されていたが、最近はトンとご無沙汰だった。
マグネットがデカい!コレが重い!

110vまた、KT66をパワー段に使用していることも指摘。
「このモノスゴイ余裕感と音の図太さはKT66ならではだよね~」
内蔵のブースターもかなりのお気に入り。
「アンプの歪みにブースターっぽいものをかまして使う人には最高のアンプになりますよ!」

120vそして、青のDUAL。

130「コレはCLASSICやCUSTOMとは音の味付けが別ですね。一番現代的なモダンなサウンドです」
やはりレスポンスの速さと芳醇トーンをジックリと味わっていた。

140v関ちゃんが持参した3本のギターすべてと私が持ちよったレスポールとES-175Dで、3つのモデルを試したが、マァ、本当におもしろいほどそれぞれのギターの特性が表れた。
やっぱりいいアンプってのはこういうもんだ。
アンプはギターのアクセサリーじゃござんせんからね!
あなたの愛器を生かすも殺すもアンプ次第なのです。だって音を出してるのはアンプなんだから!
そして、やっぱりギター・アンプは真空管に限る。

150で、色々試した結果、結局CLASSICな関ちゃん。
エフェクターで音を作るタイプだからね。そういう人にはCLASSICは相当使いやすいハズだ。
だって以前にも書いた通り、そういうシチュエーションをターゲットにして開発したからね。

10

…ということでひと月後の関ちゃんがサポートを務めるステージに登場することになったASTORIA。
どのモデルがお目見えするかはライブ・レポートを見てのお楽しみ…ってもうわかってるか。

180関ちゃんは『Arm Up Guitar School』というギター教室も開設している。
詳しい情報はコチラ⇒The website of Masaki Seki

ASTORIAの詳しい情報はコチラ⇒【Marshall Blog】 いよいよASTORIAが出るよ!

190v
【ASTORIA試奏レポート】つづく

(一部敬称略)

2016年5月 2日 (月)

ゴールデン・ウィークをノンビリすごす

Marshall Blog読者の皆さん、ゴールデンウィークをいかがお過ごしですか~?

早くももうすぐ一周忌を迎えるウチの父は、人が多いところに行くことを極端にイヤがった。
私が子供の頃、後楽園球場に野球を観に連れて行ってくれても電車が混むので8回の表ぐらいで帰ってしまうし、映画に行ってもエンドロールを最後まで観るなんてことは万にひとつもなかった。
職人だったので朝が早いせいもあったが、昼食は決まって11時チョット過ぎ。腹が減るからではない。何としてでも食べ物屋が混む前に済ませてしまいたいのだ。
最大の例外は、1970年当時、いたいけな小学校2年のセガレにせがまれて万博に行ったことだ。
今にして考えるとなかなかにタフな旅程だった。
だって日帰りだもん。
「東京-新大阪」に3時間半ぐらいを要していた時代だ。
一泊したくても宿など到底取れなかったのだろう。親戚縁者もいないので日帰りするしか選択肢がなかったのだ。
ちなみに当時ウチの家内のオジが大阪に住んでいて、万博が開催されている間、数えきれない人が家に訪ねてきて泊まらせたそうだ。
何しろ「友達の友達の友達」ぐらいの見たこともない連中が知り合いを装ってゾロゾロと訪ねて来るのだからタマったものではなかったそうだ。
土日はなおさら混むので、平日に学校を休んで行とくことになった。
先生には母が「万博に行くので休ませて欲しい」と正直に申し出たのだが、担任の先生は「こんなチャンスは滅多にないので、是非連れて行ってよく見せてあげてください」と快く欠席させてくれたという。
今から46年前の話し。
ウッドストックの翌年。
ビートルズが解散して『Let It Be』をリリースした年。Jimi Hendrixの『Band of Gypsies』、Deep Purpleが『In Rock』、Eric Claptonたちが『Layla and Other Assorted Love Songs』、Pink Floydが『Atom Heart Mother』、The Whoが『Live at Leeds』、Soft Machineが『3rd』をリリースした。
ハードロックもプログレッシブ・ロックも油に乗っていた頃だ。
Marshallもさぞかし忙しかったに違いない。
さらに、「〇〇やXXが来日して万博なんか行っている場合じゃない」…と書こうと思い、1970年に来日したビッグ・ネームを調べたのだが、驚いたことにロック系で誰も来ていない。せいぜいDonovanぐらいだった。
恐らく人気のバンドは欧米を回るのに忙しく、極東の島国まで来ているヒマなどなかったのだろう。
年が開けると、Led Zeppelin、Pink Floyd、Elton John、Chicago、Grand Funk Railroad等々が大挙して押しかけて来た。日本が良質のロックのマーケットであることを発見したからであろうか?
万博に戻って…私はこの時はじめて新幹線に乗ったが、うれしかったナァ。東京駅で先頭車両の傍らに立ち、「バンザイ・ポーズ」で写真を撮ったのを覚えている。
実際、万博に行くために初めて新幹線に乗った人は多く、「万博のもうひとつのパビリオン」と言われたらしい。
父は何しろ列に並んだりするようなことはしなかったので、アメリカ館だのソビエト館のような人気のパビリオンに入ることはまずあり得ない。「太陽の塔だけは記念に…」といってかなり長時間並んで入館した。入っておいてヨカッタ。
だって他に入ったパビリオンはタンザニア館とかガーナ館(チョコレート・ドリンクがおいしかったのを覚えている)、よくてニュージーランド館ぐらいだからね。全部待ち時間ゼロ。
「パビリオン」なんて言葉もここ数十年聞かなかったな…。
懐かしくてつい前置きが長くなってしまった…。
このイベント、183日間で6,422万人が来場したんだって!スゴくね?
戦後25年、日本もロックも一番いい時代だったのかも知れない。
ついでに、この万博が舞台の一部になる山田洋次の感動の一作を紹介しておく。
倍賞千恵子と井川比佐志主演の『家族』という作品。
九州の貧しい炭鉱夫の一家が北海道に新天地を求め、家族で力を合わせて移動するというロード・ムービー。
劇中では万博でのロケがうまく使われている。


そもそも何で万博の話になったんだっけな…?
あ、わかった。
ゴールデンウィークはどこにも行かない…という話だ。
私は両親が東京と横浜の出身なもんだから、「里帰り」というものをしたことがなかった。新年のあいさつに父の実家に行くにも片道30分。
だから冬休みやゴールデンウィークに「田舎へ行く」というクラスメイトがうらやましかった。
そんな時はどこも人出が多くなるもんだから、私の父が外出なんてするワケがない。
そんな家庭で育ったもんだから、私も人混みが大キライで、ゴールデンウイーク中は仕事の時以外は出かけないで、家にこもってMarshall Blogの仕込みをしている。
それが飽きたらビール飲んでゴロンよ。
ゴールデンウィークはノンビリすごすに限る。

…ということで、ハイ、Marshallビール飲みたい人!
今日はMarshallビールの話題。
Marshallウイスキーを見たことがある人はたくさんいると思うけど、ビールは知らないでしょ?
下の写真がそれ。
Shige Blogでレポートしているように、社長の家にお邪魔した時にごちそうになった。

真ん中のは最近日本でも見かけるIron Maidenビール。
それとMarshallビールとはまったく関係なくてただ置いただけ。
後ろのハコがいいでしょ?まるでLead12でも入っていそうな…。

4_img_1998 ハコの写真…フロント・パネルの方、GAINとVOLUMEのところに「GO CRAZY!」なんていう表示になっている。
もちろんVOLUMEはフル。しかも目盛りは「11」!
ホントに「スパイナル・タップ」好きだナァ。

4_img_19981リアパネルのFX LOOPS(ナゼか複数形になってる)は、SENDが「CRAZY」、RETURNが「LAZY」になってるの。
もちろん韻を踏んでのシャレなんだろうけど、コレを飲んで「クレイジー」に騒いで、アルコールの効果(FX)が出るとしまいにはクタクタになって「レイジー」になっちゃうてことね?それ、オレだわ!

4_img_19983「Marshall」ロゴはビールのラベルになってもカッコいいね!
「ORIGINAL ROCK'N'ROLL BLONDE CRAFT BEER」と銘打ってあるけど、果たしてお味の方はいかに?
コレがですね、ヤタラメッタラ苦い!そして重い!
ビールの種別としてはごく普通のラガーなんだけど、アルコール分が8.9%もありやんの!
アルコール度数に関していえば、日本酒やワインはそのまま飲むんだから、この程度は何でもないハズなんだけど、この苦さでやられるとタマったもんじゃない。
ほとんど「薬飲んでる」状態ですわ。
幸いなことにボトルは330ml入りで小さい。2本は飲めんわ~。
やっとのことで1本空けて、普通のおいしいエールに切り換えた。
おフランス製だそうです。

4_img_19985やっぱりこっちだよね~。
日本ではお目にかかることのない極上ビール。イヤ、ワタシはイギリスのビールが好きなもんでネェ。
もっとこういうヤツが日本でも気軽に安く手に入ればいいんだけど…。
なぜかイギリスのビールはあまり入って来ないね。
浅草の地ビール屋のお兄さんに理由を訊いてみると、輸入種類のメインは何と言ってもワインで、ワインを出荷するついでにビールが輸入されてくるそうで、ワインが特産ではないイギリスからはそのチャンスが極端に少ないのだとか…。
John SmithとかBoddingtonとか、London Prideでもいいや、誰か大量に輸入して安く販売してくれないかナァ。

360あ、ちなみに「ゴールデンウィーク」は日本語なので海外では通じませんからね。
でも、あるアメリカ人は「いい名前だナァ」なんて感心してた。