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2016年3月18日 (金)

【Marshall GALA レポート】 vol.5: Strange,Beautiful and Loud

そういえば、このMarshall GALA、気が付いてみるとみんな「ガラ、ガラ」って呼ぶようになっていたな~。
ジョンが提示してくれたショウのタイトルのアイデアには「Marshall Extravaganza」というのがあったことは以前にも書いた。
私はFrank Zappaが口にするこの「Extravaganza」というビッグ・ワードが以前から好きで、意味も「豪華絢爛なショウ」だから、はじめは企画にピッタリだと考えた。
でも、「Marshall Extravaganza」とすると、一般の人が最近テレビに出ている「ナントカ・エクストラバガンザ」というドラッグ・クイーン(おネエ)を想起するのではないか?と心配して却下させて頂いた。
重要なもうひとつの理由は、その言葉の連なりでは、略称が得られにくいと考えたのだ。「マーエク」じゃ座りが悪いし、「マーガン」じゃどうにもカッコ悪い。マーゴ・ガーヤンみたいだ。(マーゴは60年代後半の女性シンガー・ソングライター。ナント、コルトレーンの諸代表作で有名なジャズの名門レーベル「impulse」のロゴをデザインした人。マーゴの音楽にはサッパリ興味がなかったがこの事実だけでCDを買った)
一方、Marshall GALAという名称なら「マーガラ」とすぐに略称で呼ばれると踏んだのだ。日本人は略称が大スキだからね。
英語にも「OMG」とか「ILY」式の省略をよく見かける。コレを真似て芸のネタにしているの輩がいるが、おもしろくも何ともない。
それよりおもしろいのは、そうしてアルファベットの頭文字だけに短縮した名称を日本人はさらに縮めて呼んでしまうことだ。
「VIP」を「ビップ」みたいにね。英語圏の人はコレを必ず「ヴィ・アイ・ピー」と読む。ココにも日本人の「略称精神」が見て取れる。
ま、何にせよ愛称があるっていうのはいいことだ。浸透度あるいは親密感のバロメーターだからね。

「マーガラ」の三番手は三宅庸介率いるStrange,Beautiful and Loudだ。

10田川ヒロアキのリズム隊はステージに残ったまま。
こっちが本職だからね。
ベースの山本征史

A_dsc_5905_2 ドラムは金光KK健司だ。

A_dsc_5909 そして、三宅庸介。
冒頭、天に向かって両手を広げる。
Jimi Hendrixの魂を迎え入れているのだろう…ということにさせて頂こう。
(後でビデオを見てわかったことだが、この写真は一種の「奇跡」だ。写真では三宅さんが悠然とこのポーズを取っているように見えるが、実はコレ、コンマ何秒かの間の仕草なのだ。写真っておもしろくも恐ろしい。
そもそも三宅さん特有のデモーニッシュな雰囲気があってこそこういう写真のになるのだが…。とにかく、この瞬間にシャッターを切ったNicaちゃんに最敬礼!)

40_2三宅ワールドはまずすさまじいグリッサンドを合図に炸裂した。
かなり前にこの日の演奏曲目についてスリ合わせをした時、三宅さんは何かイギリスっぽいイメージの音をオープニングに持ってこようと思っている…とおっしゃっていたが、どうやら考えを変えたようだ。

47v

このGALAのために新しく作ったというイントロダクション。
音を出した瞬間に会場は三宅庸介の空気に満ち溢れてしまった。

45v耳なじんだ金光さんのイントロ・フィル!

80v

「If」だ。
250_2

三宅さんの代表曲ともいうべきこの作品。
もう何回も聴いてきたハズなのに今日はやっぱり雰囲気がいつもと違う。
90
やはりGALAマジックが存在したのであろうか?
100v

何しろ耳を疑いたくなるような轟音だ。
JVM210Hと1960BV。
先に登場したヒロアキくんと丸っきり同じバックラインなのだが、似ても似つかないサウンド。
これだからMarshallはおもしろい!

195

この轟音、JVMのチャンネルはCLEAN/ORANGEで、GAINは10、TREBLE 3、MIDDLE 9、BASS 3、VOLUME 9。
MASTERセクションはVOLUMEが10。RESONANCE3、PRESENCE 0だそうだ。
良い子はマネしないように。
たとえ三宅さんと同じギターやエフェクターをつないでも絶対に同じ音は出ないから。
140

いつもはハーフ・スタックの三宅さん。
先に記した通り、三宅さんも下のキャビネットを鳴らしているのだが、今日はフル・スタックなので、いつもより鳴らしているキャビネットに荷重がかかっている。結果、筐体がいつもより振動しにくくなっている。
それを考慮してRESONANCEをキャビネットを振動しやすくしたのだそうだ。
Marshallのキャビネットは、裏板の震え方を見ればわかるように、振動を十分に計算して設計してある。三宅さんの考察は正しい。
95
征史さん、引き続いての熱演!
身体に染み込んでいる曲だけに気持ちの入れ込みようもすさまじい。

70印象的なメロディのサビからリフを経て…

200_2

一旦曲調が変わる。
ん~、やっぱりカッコいい。間違いなく三宅さんのキラー・チューンのうちの1曲。
三宅さん自身も「大切な曲」と述べている。

230_2

そして、魂のギター・ソロへ!

110v_2

縦横無尽に暴れまわる征史さんのベース・ラインも聴き逃してはならない!

120三宅さんと同じ波長でドラムを打擲する金光さん。
さっきのヒロアキくんの時のひたすらドライブすることに徹したドラマーと同一とは思えない。

130v「まさかのハンド・マイクですが…」。
マイク・スタンドあったんですけどね。端っこすぎちゃったからかな?
三宅さんがマイクを握りしめて喋ってしまったのも一種のGALAパワーとしておこう。

A_s41a0285「こんな場所に呼んで頂けるなんてとても光栄です。子供の頃からの夢と憧れだったMarshall。愛情を込めて演奏させて頂きます」

150v_2まるで「Foxy Lady」のようなフィード・バックから入った2曲目は「murt'n akush(マラケシュ)」。

160_25/4拍子というリズムだが、三宅さんのレパートリーの中ではわかりやすく親しみやすい作品。
三宅さんの中でも「陽」の曲と位置付けられている。

R_dsc_5881 また、この曲は征史さんや金光さんとどれだけ楽しんでインスパイアし合えるかという題材にもなっている。

180まさにMarshall GALA向けの曲ではなかろうか?
細工は流々、火花散る3人のインタープレイが十分堪能できた。

190「マラケシュ(Marrakech)」とはモロッコ中央部の都市の名前で、ベルベル語で「神の国(murt 'n akush)」を意味するのだそうだ。
映画ファンならこの街がヒッチコックの1956年の名作、『知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)』の舞台となったことでおなじみだろう。ダニエル・ジェランの「Ambrose Chapell」ってダイイング・メッセージも印象的だった。最後のシーンはロイヤル・アルバート・ホールだし。この作品は1934年の『暗殺者の森(原題同じ)』セルフ・リメイクなんだよね。
私も「マラケシュ」という地名は、大学の時に観たこの映画で知った。
子供の頃から観ていたヒッチコック映画なのに、なぜ大学の時まで観たことがなかったのか…『裏窓』、『知りすぎていた男』そして『ハリーの災難』は数十年もの間、日本で上映されていなかった幻のヒッチコック作品だったのだ。『ロープ』と『めまい』もそうだったかな?
で、それがリバイバル上映されると聞いて、コレは絶対観なきゃ!と、GALA当日物販コーナーにいた女性を誘って観に行ったのだ。
2回目に観たのは富山の高岡でだった。ナゼか『ターミネーター』が併映されていた。
ちなみに『知りすぎていた男』の主題歌が、主演を務めたドリス・デイが歌う「ケ・セラ・セラ(Que Sera Sera)」で、同年のアカデミー歌曲賞を獲得した。スーパーマンとバットマンが戦ったりしない、まだアメリカ映画が正常な時代の話し。
ハイ、本シリーズ初の大脱線でした。

210_2何が言いたかったのかというと、この三宅さんの「murt 'n akush」は十分『知りすぎていた男』に使える緊張感に満ち溢れたサスペンス巨編だってこと。
三宅さん、映画音楽の仕事でも当たればおもしろいのにな。Milesの『死刑台のエレベーター』みたいにフィルムを見ながら三宅さんが思うがままに爆音で即興演奏する。
『エレベーター』ではルイ・マルも、マイルスも、モーリス・ロネも、ジャンヌ・モローも、存在感が拮抗していたけど、三宅さんのギターに渡りあえる映像作家なんて今はまずいないだろうな。
170v_2
基本リフを使用した中間部のカッコいいキメからソロに入る。

240_3

三宅さんの弾くメロディに絡みつく征史さんが奏でる対位法的ラインが素晴らしい。

220終始貫かれる5/4拍子が終盤には突然3/4拍子に姿を変える。
原曲のワルツ・パートをGALA用に拡張した。「Fm Waltz」と題する「murt'n akush」の最終楽章。
そういえば、キーがタイトルに入っている曲ってありそうでない。考えてみたけどWes Montgomeryの「D-Natural Blues」しか思い浮かばなかった。
三宅さんがこういうことをすると、十二音階にはないアルファベットだが「P's March」を思い出す…Focusだ。
60v
この辺りのドラマの並べ替えがまた実にカッコいい。
260_2
どこまでも自分だけの言葉で語りつくすソロ。大変なことだ。
270_2
そして、曲はリタルダントして静かに横たわる。
50
三宅さんは自分の魂を音楽の神に捧げるように…

280v愛用のストラトキャスターを…

290vMarshall GALAのステージに葬った。

300_2「本来Marshallはフレンドリーな存在ではないんですよね。いかに美しく、そして大きなロック・サウンドが出せるかMarshallに毎日テストを受けながら弾いているようなものなんです。
Marshallを本当に鳴らすことができる一流のプレイヤーになりたいと子供の頃から願っていました。」

350_2

ココでStrange, Beautiful and Loudのセカンド・アルバム『Orchestral Supreme』を紹介。

330_2なんとならば、このCDのジャケットに使われている写真は、今日とまったく同じ場所に立つ2012年10月13日三宅さんの姿を私が撮影したものなのだ。
今日演奏した2曲はこのアルバムの冒頭に収められている。
MarshallとNATALのサウンドがふんだんに盛り込まれたアルバムだ。
誰もが諸手を挙げて喜んで聴き入るタイプの音楽では決してないものの、日本でもこういうサウンドがもう少し一般大衆の間に受け入れられてもいいと思う。かつてはジャズを愛でた国民なのだから。
そんな思いも込めて三宅さんにMarshall GALAにご出演頂いた。
Marshall Blogでは知っていても、初めて三宅さんの音楽を耳にした方も多かったと思う。十分刺激的だったのではなかろうか?

340cdおっと!
本番では時間がなくて触れることができなかったので、ココで紹介させて頂くが、私がこの時かけていたメガネもMarshall Eyewearだ。
最近、小さい字が全く見えなくなってのう…。名刺のメール・アドレスの字がまったく見えんのじゃ…「6」か「8」か、「i」か「l」か。
そこでMarshall Eyewear!
中近両用というのにしたら快適、快適。
私のはJAMESというモデル。
James Marshall HendrixかJames Charles Marshallか…名前もゴキゲン!

360_2三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange,Beautiful and Loud

310

<つづく>

(一部敬称略 2016年3月6日 東京キネマ倶楽部にて撮影 ※撮影:Nica Azuma)