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2016年5月14日 (土)

Music Jacket Gallery 2016

中学、高校と、新宿は通学路で毎日通っていたが、正直、どうもなじめなくてね。
本当に用がある時しか行かない。今でもそう。
ま、「用」といえば中古レコードかライブハウスと相場がキマってる。
「ちょっとブラっと新宿でも行ってみるか~」なんてことは人生で一度もない。
考えてみりゃ他のエリアも同じだわ。
有楽町も映画館とハンターしか行かなかったもんな~。
今までの人生で中古レコード屋に滞在した時間って延べどれぐらいになるんだろう?…といっても私なんか、ただ長いことやってるというだけで、全然大したことないだろうナ。
ここ数年、月に一回だけCDの買い出しに行くようにしているんだけど、ジャズ、クラシック、ロック、民族音楽、映画音楽、たま~にブルースのエサ箱を漁って、一回にちょうど二時間。
年に12回赴くので、計24時間。
今でも年に丸一日分、中古レコード屋にいることになる。
これ以外は全く中古レコードを見に行くことがなくなった。
話を新宿に戻すと、それだけ思い入れもないだけに、街の変化にも興味がほとんどない。
でも、驚いた。
駅南口の髙島屋がオープンしてから20年経ったっていうんだよね~。
マジで4、5年かと思ってた。
おめでとうございます!

10そして今年もやって来たMusic Jacket Galleryの季節。

20今年も新宿髙島屋入口の特設会場での開催だ。

30そしたらアータ、MJGも10周年なんだそうだ。
行き馬の目を抜くような、移ろいの早い音楽再生装置の変遷に左右されつつの10周年は値千金であろう。
50
チョット前まではホントに「ジャケット」というモノがこの世から消滅しちゃうんじゃないかとマジで心配していたが、また最近音楽ソフトのトレンドに変化が出てきたようだ。このことは後で触れる。

60今回のMJGは5月13日、すなわち昨日からの開催だ。
先立つこと一日、関係者の方々に交じっていち早く展示を拝見させて頂いた。

40

会場入口付近にはひと際目を引く可愛らしい人形が…。

70髙島屋のマスコット・キャラクターのローズちゃん。
私より3つ年上なのに若々しい!
1959年(昭和34年)、のクリスマス商戦のキャラクターとして誕生したのが「ハッピーちゃん」というのがローズちゃんの前身。
その後、社長がバラがお好きということで名前を「ローズちゃん」に変えたのだそうだ。
90v
昔、「ロンパー・ルーム」という子供番組があって、髙島屋がスポンサーをしていたらしい。
その関係で、出演していたうつみ宮土里はローズちゃんの人形を抱きながらエンディング・テーマを歌っていたそうだ。
覚えていないナァ。
「鏡よ、鏡…」ってやってたのは覚えている。自分の名前が呼ばれず悔しい思いをしていたからだ。
この番組、アメリカがオリジナルなんですってネェ。
展示のローズちゃんは大変に貴重なものだそう。
目をつぶっているのかと思うとさにあらず。
ホンの少し、うっすらと瞼を開けて、ブルーの瞳をのぞかせているのだ。

100

そして、写真にあるように「バラ」が登場するレコード・ジャケットが集められ、展示された。

80…となると登場するのは当然、植村和紀さん。
今回も「薔薇ジャケ」以外のテーマ別LPジャケット展示も、ほとんどが植村コレクションから供出された。

100_30v

コレが「薔薇ジャケ」。
Paulの『Red Rose Speed Way』とKeith Jarrettの『Death and the Flower』はすぐに思い浮かぶよね。
『Layla』が髪にさしているのはバラだったのか。

100_10vさすが、植村さん。
アレ?何でこれがバラに関係しているの?なんてアイテムもしっかり網羅している。
例えばEnoの『Here Cones the Warm Jets』。
この花瓶にささっている枯れている花がバラだ。
こうして展示されているレコードは植村さん自身がテーマに沿ってセレクトしている。
今や植村さんのコレクションはLPとCDと合わせて60,000枚に及ぶ。
重複しているアイテムもあろうから「60,000種類」ということではないにしろ、スゴイ記憶力と洞察力だ。
右上のマントルピースの上のEnoの写真はすごく印象に残っているのだが、このバラ、ココで教えてもらうまでまったく気が付かなかった。

10020メイン・イベントの「ミュージック・ジャケット大賞」の展示。

110Hipgnosisかルネ・マグリットに出てきそうなイメージ・キャラクター。
130
歴代の受賞作と2016年の受賞作が展示されている。

115こちらは歴代の受賞作品。

140今回のノミネート作品がズラ~っと展示され…

150受賞作が紹介されている。

160その他の展示も例年通り盛りだくさんだ。

165イヤ~、ホントにね~、もういい加減にしたら?…と言いたくなるのは上でもチョット触れた音楽再生装置の入れ替わりだよね。
今度はまたレコードだってサ。
私は元々レコード派…というかレコードで育った世代なのでレコードの再興には何の抵抗もない。
かつては転勤族で、4,000枚のレコードをしまったり出したりしなければならない引越しの時の労苦に耐えられず、2,000枚以上売ってCDに買い換えた。
だから今でもジャズとロックで、合わせて2,000枚チョットぐらい残っているかな?
さて、そのレコードの復活、今度という今度は本当に世界レベルのブームらしい。
「CDが売れない」と喧伝し出してから久しいが、何しろ若い人たちはもはや音楽配信も避けるらしい。携帯のメモリー容量と料金の問題だ。
「音楽なんか聴かなくてもゼンゼン平気」という子も多いらしい。
しからば、音楽に興味のある子はどうやって音楽を手に入れているのかというと…ストリーミングというヤツとアナログ・レコードが主流になっているのだそうですよ。
「ホンマかいな?」とにわかには信じがたいが、海外でもそういう傾向があるらしく、ココは信じざるを得ない局面のようだ。
170…となると、レコード・プレーヤーが必要になってくる…ということで、オーディオ関連製品メーカーの鼻息も荒いようだ。
レコード・プレーヤーったってかつてFMレコパルやFMファンやスウィング・ジャーナルの後ろの方で紹介されていた20kgも30kgもあるような堅牢かつ重厚なものではない。
大抵はデジタル・インターフェイスが内蔵されていて、PCにひっつないで、最終的にはヘッドホンやらイヤホンで聴く…という状況なんだって。
私が中学生ぐらいの頃は、世の中結構「オーディオ」という趣味が盛んでね。
やれカートリッジがなんだ、アンプはなんだ…なんて情景をごく普通に目にして育った世代なものだから、今の状況に接するとナンカ変な感じがする。
お小遣いを貯めに貯めて、かつ親に援助をお願いしてひとつひとつ私が買い揃えたオーディオ機器は、ヤマハのダイレクト・ドライブのプレーヤー、サンスイのプリメイン・アンプ、ダイアトーンのスピーカーだった。
決して高級なモデルはないが、プレーヤーとスピーカーは40年経った今でも活躍している。
昔のモノは実にしっかり作ってある。
ナンダ、今の製品は!特に今のパソコン!1年と持たん!
10万で買ったパソコンが2、3年経って壊れて、その修理代が12万円だってよ!この国産メーカーのパソコンは二度と買わん!(どこのブランドか知りたい人は別途…ね)
…なんてことはどうでもよくて、意外とはいえ、とにかくフィジカル・プロダクツ存続の可能性が出て来たのはよろこばしいことだ。

180ということで、高音質CDとアナログ・レコードの聴き比べコーナーも設置された。
私は決して忘れませんよ…80年代の中ごろ、「高音質」ということでCDが神様のように崇め奉られていたあの光景を!
あの時もアチコチでCDとアナログ・レコードの聴き比べってのをやっていた。
で、みんな「うわー、CDってスゴイな~!」って涙を流して喜んだでしょうが!
冷やせば音がよくなるとか言ってCDを冷蔵庫に入れてみたり!(私は絶対やらなかった)
それがまたレコードだもんね。
過去を忘れることができる人間の能力ってまったく素晴らしいわ!
210
「LP対CD」の私なりの結論は、超高級オーディオで大音量で聴ける方は絶対アナログ・レコード。そうした装置で聴くCDの音は冗談としか思えない。LPに限る。
そうでない方は断然CD。
もうCDに慣れきってしまって、その便利さをみんなスッカリ忘れとる!
私なんか、最近クラシックをよく聴くようになって、益々CDの利便性を感じてるもんね。
「ノイズも味だ」なんてのは単なる懐古趣味。
盛大にスクラッチ・ノイズが出るストラヴィンスキーなんか聴けんでしょ?
それと重量。
ウチは古い木造なのでレコードの重みに耐えられないという憐れな事情もあったりする。
でも、ジャケットも魅力も依然捨てがたい…。
結論としては、どっちを支持していいのかわからなくなってしまった!
配信以外なら何でもいいや!

190vそのレコード・ブーム(?)を象徴するかのように、こんな本も上梓されている。
私の「レコ屋」はハンターとディスク・ユニオンだけなので内容は未知の世界だった。日本のレコード小売ビジネスを見つめ、歴史を俯瞰した大著。
植村さんやベテランのレコード会社の方とイッパイやった時に「我々の時代には『レコ屋』という言葉はなかった」なんて話題で盛り上がったりもしたが、コレが驚いたことに、我々より下の世代の方々も間には「レコ屋」という単語が存在していた。
ある音響機器メーカーの年下のスタッフの方が、ごくごく自然に「レコ屋」という言葉を口にしていて驚いたのだ。
そういえば、何年か前のMJGではハンターとのコラボグッズを展示していたっけ。

200さて、展示の両サイドをガッチリと固めているのは…
330
楽しい特殊パッケージの世界。
入れ物にこんな工夫を凝らしている商品って他にないでしょ?
人類の英知の結晶が音盤のパッケージなのだ。

220そして、Marshall Blogでもおなじみの面々!
うれしいね!

230vまずはLOUDNESS!

240正々堂々と相手の土俵に上がり、相手のルールで全米を席巻した『Thunder in the East』の発売35周年を記念した豪華ボックス・セット。

この発売にを記念したコンサートのもようはMarshall Blogでもレポートした⇒LOUDNESS WORLD TOUR 2015 "THE SUN WILL RISE AGAIN"~30th Anniversary THUNDER IN THE EAST~ in JAPAN

250やっぱり楽しいね、特殊ジャケット!

260コレは2015年にリリースされているアイテムだ。
こんなにあるのね?!

270
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300

橘高さんに浩二さんも!

310

コレ、聴きたいな~。ハマースミス・オデオンのQueen。
なんたってフレディの家には遊びに行ってるから(ウソこけ!)⇒【イギリス - ロック名所めぐり vol.11】 Earl's Court(アールズ・コート)の見どころ

280

340

350あ~、コレ欲しかったんだよね~。
完全限定版、29+α枚組の『バルトーク大全集』。
高くてとても手が出なかったので、値段が1/3以下のDECCAの32枚組でガマンした。

360さぁて、ココから先は植村さんのコーナー(?)。
テーマ別ジャケット展示だ。
まずは車をフィーチュアした「車ジャケ」、通称「カージャケ」
実はちょうど今、Marshall Blogが時折レポートしている金羊社のMusic Jacket Galleryの通常展示でも「カージャケ」を特集している。
もうすぐ取材に行ってくるが、そちらの展示とは一切ダブっていないそうだ。

370ココで感心したのはWes MontgomeryのA&M盤、『Road Song』。
まただよ。
アレ?車なんか写ってたっけ?みたいな…。
植村さんとはジャケットの見方が違うんだな~…と思った。

390通常展示の方に100枚以上持って行っているのにこのボリューム。
多いんだね~、車関連のジャケット。
いかに音楽と車の関係が深いかがわかる。

400こちらも『カージャケ』なるジャケット本が上梓されるとのこと。

410そして、猫ジャケ。
コレは大分前から浸透しているでしょ。
本も出ているもんね。

420今年は『ネコの吸い方』という本を出版した坂本美雨さんが22日に来訪し、『坂本美雨に訊く、猫と音楽のおはなし』という講演をするそうだ。
坂本さんは坂本龍一さんと矢野顕子さんのご令嬢だ。

430ネコのジャケットも多いよね~。

450

アレ?Gato Barbieriも?
ホントだ。黒猫が写ってる。
さんざん中古で見かけたジャケットだけど、猫が写っているなんてまったく目に入らなかった。
アルゼンチンの名サキソフォニスト。先月亡くなってしまった。

445他にもJimmy Smith、Bud Powell、Lou Donaldson、Shelly Mann、Bunny Beriganとジャズのレコードが多いことに気付く。
昔、「ジャズメン」のことを「キャッツ」と呼んだことからであろう。
クレイジー・キャッツもそうだもんね。

440

ネコ関連のシングル盤の展示も。

470「黒猫のタンゴ」は流行ったよね~。
私は子供心に、「この子は歌がヘタだな~」と思った。
そして、ニャロメ。
私のご同輩のほとんどの男性がニャロメを描けるのではなかろうか?
だいたい「ニャロメ」なんて名前がいいよね。「ケムンパス」とか。

480以上が今年のMJGの展示。

さて、MJGの10周年を祝して私もやってみた!
赤っぽいジャケットを集めてみたよ。
何だかわかる?
ご名答!
そう、「紅ジャケ(べにジャケ)」。
左下はFrank Zappaの『Chunga's Revenge』。「Transilvania Boogie」というヤケクソにカッコいいインスト曲で始まるが、最近、同名異曲があるのを知って驚いた。
それはハンガリーのギタリスト、Gabor Szaboの『Macho』に収録されている。
ま、Zappaには及びもつかんわな。Zappaの方が先。
もちろん「Transilvania」とはルーマニアの地名。ドラキュラの故郷だ。
名古屋のFrank Zappaのカバー・バンド、なぞなぞ商会はコレを模して「Vampire Boogie」という曲を演っていた。

1_img_0924もうイッチョ。
「銀ジャケ」。
銀色のジャケットの作品がなくて、こっちは苦しんだ。
左はSilver。右は日本のSilver Stars。
真ん中はイギリスのChicagoと呼ばれたIf。ここのTerry Smithというギタリストはメッチャいい。
この人の後任でIfに加入したのが、かつてMarshallのデモンストレーターを長年努めていたGeoff Whitehornだ。

1_img_0926シャケとくるなら、コレなんか『ザ・サーモン!』だぜ。
ジャズ・オルガンの大巨匠、Jimmy Smithの作品。
「Flamingo」のKenny Burrellのギターがいいんだ~。
「猫ジャケ」のところに写っている、その名もズバリの『The Cat』はこの人の作品。
タネ明かしをすると、この「サーモン」は「鮭」ではありません。「鮭」は「Salmon」ね。
「Sermon」とは教会の説教のこと。
お後がよろしいようで…。

Sermon 「Music Jacket Gallery 2016」は5月22日まで。入場無料。
週末に新宿にお越しの際にはゼヒお寄りください。

Music Jacket Gallery 2016の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

490※Marshall Blog、5月16日(月)の更新はありません。

(一部敬称略)