【50 YEARS OF LOUD LIVE】vol.8~Glenn Hughes & Andy Fraser
さて、いよいよ大詰めの「50 YEARS OF LOUD LIVE」。フィナーレを除いてはあと1セットを残すのみとなった。
司会のアル・マレイ。
アルは英国を代表するコメディアンだが、ドラマーとしてもその名を知られており、10代のころからビッグ・バンドでプレイしたり、市民オーケストラでパーカッションを演奏している。また、自身のTVシリーズ『Pub Landlord』の音楽のドラム・パートを自分で演奏しており、同番組にフィル・コリンズが出演した際、ドラムのデュオを披露したというからその腕は本格的だ。
アルがドラムに座ると会場が大騒ぎ!本当に人気あるんだナァ。しばし、ドコドコ叩いた後、♪ドンドンパッ、ドンドンパッと「We Will Rock You」を快演していた。
そして、大御所グレン・ヒューズが登場!
実質的にはこの一大イベントのトリということになる。やっぱり存在感がスゴイね。
ギターはソレン・アンダーセン。
ドラムはブライアン・ティッシー。
1曲目はジョー・ボナマッサとのBlack Country Communionのデビュー・アルバムと同名の「Black Country」。
まぁ、スゴイ声ですよ。まったくスゴイ。一体どっからそんなデカイ声が出るんじゃろ?ってくらいスゴイ。
前日だったか前々日だったかBBCの朝のワイドショー「Breakfast」に出演してこのイベントに対する意気込みを語っていたグレン。ちょっと待てよ…。グレン・ヒューズってマーシャルのベース・アンプだったの?とかいう声も聴こえて来たりもするが、まぁ、いいじゃないの。何よりもこの声がマーシャルだってば!
それにですよ、やっぱりマーシャルなくしてはあり得なかったディープ・パープルのフロント・マンですからね。(マーシャルもパープルにはお世話になっている)このイベントで暴れまわっていただく権利は十二分にあるのだ!
渋いわ~、この人。ゴチャゴチャ弾かない、ジックリとフレーズを聴かせるタイプやね。
騒々しいわ~、この人。またね、ベースの音がとびきっりゴツイんよ~。当日はVBA400 とVBC810 を使ったんだけど、VBC412 を積み上げた方がよかったんじゃないかな?
こんな声を出すベースがいてですよ、あのギターにキーボート、それにあのドラムにあの声を出すリード・シンガーがいたバンドってどんなよ。観たかったな。結局パープルもMKIIIは日本に来なかったからね。やっぱこの時代のバンドはケタが違うわ。
昨日のリハーサルでもおとなしかったけど、本番でも落ち着いてるわ~。
2曲目は2005年発表のグレンのアルバム『Soul Mover』 からタイトル曲。このアルバム、ドラムがレッチリのチャド・スミスなんだよね。
2005年より前のNAMMにて…エエイまた書いちゃえ!
私はチャドのお兄さんととても親しくしていて、お兄さんが日本に来ると息子さんたちへのお土産を買いに(ウチの)家族総出でいっしょに京橋のポケモン・センターへ行ったりしたもんよ。
大分前にチャドが出演する、Sabianが主催するコンサートがNAMMであって、「チャドが出るからおいでよ」とそのお兄さんが招待してくれたので遊びに行った。楽屋に行くとチャドもお兄さんもいて、首から下げていた私のカメラを見つけて「シゲ、写真撮って!撮って!」というので撮った。チャドとお兄さんと知らないおじちゃん。
それからしばらくして、私はその写真のことをすっかり忘れていた。するとお兄さんからメールが来た。「ヘイ、シゲ!あの時の写真はまだかい?早く送ってくり~!あれはチャドとグレン・ヒューズと3人で撮った貴重な写真なんだぜ!」って…。
おいおい、はじめに言ってくれよ、あれグレン・ヒューズだったのかよ!だったら私も一緒に撮ってもらえばよかった!こちとらグレン・ヒューズといえば挑発で白いヒラヒラした衣装を着た印象しかなかったからね。
で、あの時のコンサートが縁でこの『Soul Mover』ができたんじゃないの?
とにかく密度が濃い!堂々たる演奏だ。これぞロック!これがロック!
「この人がいなければベースをやっていなかった」と紹介されたフリーのベース、アンディ・フレイザー!
街ですれ違ったらまさかこの人が『Fire and Water』のジャケットの左端の人だとはまずわかるまい。どう見てもラーメン屋のオヤジさんっぽい!
ところがですよ、ひとたびベースを弾くと完全にあの音なのだ! それを聴いた瞬間、激トリハダ!
アンディはしばらく第一線から退いていたが、このコンサートを機に復帰したという。
曲は「Mr. Big」。
またブライアンのドラムがいいんだよね~。完璧にサイモン・カーク!
歌もアンディが歌った。
セカンド・コーラスはグレン。雄叫び炸裂!
この曲でソレンも爆発的なソロを披露。
他の曲同様、音数の少ない渋いソロだが、こうした曲にはピッタリだ。
それにしてもスゴイ声だ!
クリス・スペディングとやっていた「Sharks」というバンドがありましてね。猛烈に聴きたかったんだけど、アルバムがどうしても手に入らなくてね…。結局、聴かずじまいになってしまったな。
マーシャルの50周年を祝うコンサート、やっぱりフリーの曲が聴きたかったとこなのよ!
ギター・アンプもベース・アンプもマーシャルだったからね。創立40周年の記念式典の時にはポール・ロジャースから祝辞も来ていた。
終始パワフルなグレン、1951年生まれ。まだ若いヤツらには負けない。
最後にグレンはアンディを「My teacher!!」と紹介していた。
そして、もう1曲。
イングヴェイも交えての1曲。
お待ちかねのパープル・ナンバー…
「Mistreated」。
子供のころはカッタルイ曲だナァ~と思っていたけどトンデモナイ!ノンちゃんすみません。
もう破天荒にカッコいい!いい曲だナァ~。
この曲はリッチー・ブラックモアの作曲。もともとは『Machine Head』に収録する予定であったが、リッチーがそうさせず、結果『Burn』に収められた。これはアルバム中、唯一カヴァーデイルがすべての歌詞を書いた曲だそうだ。
もうすっかりこの曲が耳慣れた我々には「ディープ・パープルの代表曲のひとつ」的な存在でしかないが、当時はパープルの「ブルース・ロック」として他の曲と一線を画していた。そして、そのブルース・ロック・フィーリングをバンドにもたらしたのがデヴィッドとこのグレン・ヒューズとされているのである。
もちろんカヴァーディルの歌は最高だけど、グレンのノビノビとした「Mistreated」も素晴らしい!
どちらかといえばツェッペリン派のブライアンであろうが、やっぱり本物のディープ・パープルのメンバーと演奏するとなれば気合も入ろうというものだ。って考えてみればいつも演っていたのか…。
執拗に絡み合ってお互いを鼓舞するグレンとイングヴェイ。(ちなみにイングヴェイは自分のことを「インギー」と呼んで欲しくない的なことを以前に私に言っていました)
まるで自分の曲のように自在に弾きまくる!
イングヴェイからキツイ右フック一発!たまらず吹っ飛ぶグレン!
そして続けてヘッドバット!
…というのはもちろんウソだけど、熱演のほどがうかがえよう。本当にいいコンビネーションで演奏していたのが印象的であった。
エンディングは当然来ると思ってた。「I've been losing my mind」の「my mind」の大絶叫。やっぱりキタ~、♪ママ~イって!
やっぱりこうして本当のロック黄金時代を築いてきた人たちを抱えているMarshallというブランドは素晴らしい!
いつまでも元気にスーパー・ボイスを炸裂させて欲しいグレンなのであった!
次回いよいよ最終回!
(敬称略 2012年9月22日 ロンドン ウェンブリー・アリーナにて撮影)