【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。

« 2018年5月 | メイン

2018年6月

2018年6月22日 (金)

『ニコニコ超会議2018』に行ってみた! <前編>

    
「エッ~?シゲさんがニコニコだなんてわが目を疑うよ!」…ああ、好きに疑うがいい。
しかし、遊びに行って来たんじゃないゾ。
勉強をしに行って来たのだ。
何の勉強かというと…「社会」だな。「経済」と言っていいかも知れない。それと少しだけ「音楽」。
教室は幕張メッセだ。
朝からガンガン人が集まって来る。
まるで『ウッドストック』のワンシーンのようだ。

10グワ~!
わかっちゃいたけど、すごい人!

2010代の若い子ばっかりで、てっきり自分が最年長かと思っていたんだけど、見ると案外そうでもないゾ。

30春だというのに会場の入り口前は完全にハロウィン状態。

40こうなると普通の格好をしている方が恥ずかしくなってくる。

50チョット失礼して皆様よりお先にスタッフの通用口から会場に入ると…

60もう別世界!?
75真っ先に向かったのはココ。
『超演奏してみた』という器楽演奏を楽しむ人たちのブース。
ニコニコをご存じない人には何をやっているんだかサッパリわからないでしょう?
大丈夫、後で説明するから。
最初は私もゼンゼンわからなかった。

70朝一番の出し物にも関わらずもう黒山の人だかり!

80ステージの上にはバンド。
客席のエリアにはオーケストラが入っている。
『ニコニコ大合奏』というプログラム。
ステージの上には…キーボーズに事務員G。
もうMarshall Blogではおなじみでしょう。

90ベースは「青い刹那」。

100パーカッションは金山敦史。120ドラムは…全く見えませ~ん!

130見えた!
伊藤ショボン太一!

140っつーことは、ドラムスは当然NATAL。
愛用のウォルナットのキットにステイヴ・スネア。
その素晴らしいプレイとサウンドにこっちが超ニコニコだってばよ!

150おお~!
やっぱりオケのサウンドってのはスゴイもんだな。
まさにスぺクタキュラー!
この時のために公募して集まった楽団員さんたちなのだそうだ。
予め譜面が配布されていて、リハはこの日に1回しただけ。

160棒を振っているのは2014年の『虹色オーケストラ』の時の指揮者。

170話題の米津玄師の「打ち上げ花火」他1曲を演奏。
コレが「米津玄師」の曲か…。
ココでこんなオーケストラ・サウンドが聴けるとは夢にも思わなんだ。
しかもNATAL!
朝からニコニコづくし!

180次のNATALの出番まではまだ時間があるので会場を見て回る。
コレが予想をはるかに上回るおもしろさなのよ!

190要するに、この『ニコニコ超会議』ってのは、インターネットの動画サイト『ニコニコ動画』の文化祭なんだね。

200アニメからゲームから、今の若者の文化のエキスがすべて集る現場…とでも言えばよいのか。
さっきの「超演奏してみた」の他にも、「超歌ってみた」とか「超踊ってみた」とか、趣味を同じくする仲間が集まってガンガン盛り上がろう…というイベント。
この日は「超会議」だからすべてに「超」がつく。
大ゲサに言えば、このイベントを見聞きすれば今の日本の若者の文化がわかるのだ。
…といっても30歳台ぐらいの人もゴマンと来てるけどね。
今の世の中は30代も若者か?

210初音ミク…コレはボカロか?
「初音」と来たら我々の世代だと甘味処なんだけどね。

220物販のコーナーももちろん充実。

240とにかく、カバーしている範囲の広さがハンパではない。ホントに「超」なのよ。
コレはパチスロのブース。

250それぞれの種目(?)に大抵こういうイメージ・キャラクターがついてる。
また、そうしたキャラクターさんたちの愛想がやたらといい。

255vコレはカラオケだね。

260コレは野球。

270そして、各ブース内で色々なイベントが開催される。

280コレは歌舞伎。

290三毛猫の「かぶきにゃんたろう」だ。
こういうキャラクターのモチーフってのはネコちゃんのひとり勝ちだねぇ。
上のパチスロの赤いのもそうでしょ?
にゃんたろうが座っている台座の歌舞伎模様は「森田座」の定式幕。
「黒・柿色・萌黄」の配色は歌舞伎座と同じ。
このあたりのこと『私のディープ浅草 <その4>』で解説しているので興味のある人はゼヒ読んでみて!
300今度はボートレース。

310展示しているボートと記念撮影もできる。

320ブース内はVRのアトラクションで大盛り上がり。

330ああ~、こういうのはホッとするわ。
おそ松くんがフィーチュアされているブースはナゼか三井住友銀行がスポンサーを務めている。

340チビ太もバッチリ登場。
『おそ松くん』はリバイバルされて若い世代に伝承されているんだネェ。

350フード・コーナーもすごい人だかり。

360やっぱり若い人が好んで食べるようなモノが多いね。

370謎肉?

390聞いてはいたけど、コレがそうか~。
カップヌードルの中に入っているサイコロ状の肉風味のヤツでしょ?

400その「謎肉」だけのカップがあるんだって。
でも、大人気でスッカリ売り切れ。
あ、私は大丈夫です。
カップヌードルですらもう何年も食べてないからして…。

410フード・コートはいつもにぎわっていた。
380何しろ色んなブースがあるんだけど、私が個人的にハマったのはコレ。

420可愛いおねえさんの法話の後…

430ステージの照明が落ち…

440ヒップホップとお経のコラボが始まった。

450この左の方がコレのリーダーみたいなんだけど、タマタマこの数日後テレビに出てるのを見たわ。
やっぱりコレを演ってた。

460こんなアトラクションも。

465文字通り仏壇の中に入って写真を撮るんだけど、自分の遺影が仏壇に入ったところを見たことがある人は普通いないからね。
貴重な体験かも知れんぞ。

470しかも順番待ち!

480ココは座禅のコーナー。
座禅は「サイレント」にキマってる!

490ま、座禅といっても結跏趺坐(けっかふざ)や半跏趺坐(はんかふざ)を組むワケではないんだけどね。
広い会場のハジッコで「シーン」とやっている姿が面白い。

495このコーナーも忙しそうだった。

500お坊さんばかりで牧師さんは見かけなかった。
「牧師」といえばプロテスタント。イギリス国教会との関係があるのかしら?
ヘンリー八世の記事が滞ってしまっていてスミマセン。書きたいんだけどね~、時間がない!

510皆さん真剣にご相談なさってる。

513アッチで法要をしているかと思えば、こっちはナント結婚式!

515新郎新婦さん。
ホントにココで結婚式を挙げているの。

516コレは占い。
…と、たくさんのブースやアトラクションを紹介しているが、<後編>もまだまだこういうのが続くよ。
とても1本の記事では収まりきらない。
そして、どうしてココまで細かくレポートしているのか?にはワケがある。
それは<後編>の最後に記すことにする。

520「超演奏してみた」に帰ってきた。
またしてもスゴイ人だかり!

530ステージに上がっているのは「赤い流星」と事務員G。
550

『赤い流星・事務員Gの気まぐレッスン』というプログラム。
2人で巷間の音楽を分析するというコーナー。
6thの使い方とか、クロマチックなコード進行とか、楽理的な説明もあってなかなかに本格的な内容。
フーン、アニソンには「89秒の魔法」というのがあるんだって。89秒の中で魅力をアッピールしきるように作られているのだそう。
それにしても…事務員さんのトークにはいつもホレボレしてしまう。

555後半には実演をタップリ。
バンドが加わっての演奏だ。

570ということは、もちろんショボンちゃんとNATALも大活躍!

590その傍らにはMarshall!…使ってないけど。

600事務員さんは8月30日に『Stars on Planet 2018 -星の王子さまにさよならを-』というコンサートの開催が決定している。
会場は東京国際フォーラム ホールA。スゴイな~。
 
詳しくはコチラ⇒事務員G Official Web Site

  
<後編>につづく
 

200  

(一部敬称略 2018年4月28日 幕張メッセにて撮影)

2018年6月21日 (木)

マルコ・ジョルジビックについて

 

この日はチョットした音楽的ショックを受けた。
「ショック」というより「刺激」かな?
昨今の私は、個人的な時間においてはジャズ、近世のクラシック、映画(舞台)音楽、民族音楽、それに古いロック…と比較的色々な音楽を楽しんできたつもり。
しかし、欲張りで飽きっぽい性格のせいか、ここのところ興味のある音楽に出会う機会がメッキリ少なくなった。
チョット前までは毎月欠かさず30枚以上のCDを買って聴かないと禁断症状に陥ってしまう「CD買い中毒患者」だったんだけど、そんなこともスッカリご無沙汰になてしまった…で、それで平気でいられるのが我ながらコワい。
ここのところ買うCDといえば、ブックオフで280円で売っているキテレツなクラシックの中古盤ばかりだ。
コリャいよいよ「ソバ打ち」にでも趣味を転向する時がやって来たか?…と思っていた矢先に出会ったのがこのドラマー。
名前はMarko Djordjevic。
ラスト・ネームを一発で読める人がいたらスゴイ。
私はといえば、Django Reinhardtをハッと思い出して2回目で概ね正しく読むことができた。
そう、「D」は黙字で「マルコ・ジョルジビック」さんとおっしゃる。
「d」と「j」が重なっている字面からポーランドの人かと思っていたらさにあらず。
もう~、この人のドラミングときたら!
彼の演奏を聴いて「おお!まだまだ面白い音楽があるじゃないか!」と再び音楽の世界に引き戻された気にすらなった。
今日はそんな刺激的な1日をレポートする。

10今日お邪魔しているのは西葛西にある「東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校」。
ニューヨークで活躍する日本人ベーシスト、宮地遼によるアンサンブルの特別授業だ。

20授業は遼さんのお話から始まった。
遼さんはニューヨークの音楽学校、Bass Collectiveの卒業生だ。
そこで、「ニューヨーク」という街の魅力や、どうして世界的に有名なボストンの学校に行かずにBass Collectiveを選んだのか…等について語ってくれた。
30v遼さんの説明によると、ニューヨークは街中に色々な音楽があふれている反面、ボストンには音楽の場面が少ない。
それゆえボストンの学校を出ても音楽の仕事にありつくことが難しく、結局「音楽の仕事」を求めてニューヨークに出て来ることになってしまう。
だったら、最初からニューヨークを根城にする方が得策と考えたのだそうだ。
何しろスゴイ人たちが集まっているので、そもそもニューヨークにいること自体が刺激的だという。
以前、グリニッチ・ヴィレッジにある老舗の楽器屋が閉店することになって、「さよならマット・ユマノフ!~私のニューヨーク」という記事を書いたが、私もニューヨーク大スキでしてね。
ほぼ観光客としてしか訪れたことはなく、その滞在期間も最長で1週間程度なのだが、遼さんの「刺激的」という表現はとてもよく理解できる。
でもね、中古レコード屋と食べ物、それに街の清潔さだけは日本の方が格段に上です。

50コレは遼さんがニューヨークで制作した初のリーダー・アルバㇺ『November』。
マンハッタン・ブリッジを背後に従えて愛器を手にした遼さん。
「ニューヨーク大スキ!」って感情がにじみ出ているようですな。
私もこの光景を見たことがある。
どこからだろう?バワリー・ストリートの近くあたりからかな?
近くで見るとスゴくでかいんだよね。
マンハッタン・ブリッジはイースト・リバーにかかっていて、ひとつ下流にあるのが有名なブルックリン・ブリッジ。
初めてニューヨークに行った時、試しにブルックリンまで歩いて渡ってみたことがある。

40cd一方、マンハッタン・ブリッジのひとつ上流の橋がウィリアムスバーグ・ブリッジ。
1959年にソニー・ロリンズが活動を停止してシーンから退いた時、このジャズ界の巨人はウィリアムスバーグ・ブリッジでサックスの練習に勤しんだという。
見てみたかったナァ~。
「ウワ~、音も歌い回しもロリンズそっくりだな~」と通りかかって、顔を覗き込んだらホンモノのソニー・ロリンズ…だなんてね!
そして復帰後、1962年にリリースしたアルバムが、その名もズバリ『The Bridge』だった。
ああ~、またニューヨーク行きたい!!!!

108_2br この授業のテーマは「アンサンブル」…ということで、ピア二ストとドラマーが加わっていよいよ実技の開始となった。

70ピアノはビリー・テスト。

80vドラムスはマルコ・ジョルジビック。

100vそして、もちろんベースは遼さん。
実は遼さんはこの2人の他にギターとサックスを加えたクインテット編成で、『November』を引っ提げた凱旋ツアーの真っ最中だった。
そして、この日はそれとは別にピアノ・トリオで特別授業を開講したというワケ。

90vで、なんで私がこの授業にお邪魔しているのかというと…NATAL。
マルコはNATALプレイヤーなのだ!
3千里もたずねなくても、アナタのNATALはすぐそばに!

1_s41a4008 コレがこの日マルコが使ったNATAL。

110全然シンプルなメイプルのキット。
スネアもNATAL。

120また、私が初めて観た外人ドラマーはRainbowのコージー・パウエルで、UKのテリー・ボジオ、フィル・コリンズ、ビル・ブラッフォード他、数切れない数のロック・ドラマーたち。
ジャズではエルヴィン・ジョーンズ、アート・ブレイキー、ジャック・ディジョネット、ポール・モチアン、レニー・ホワイト、アル・フォスター、トリロク・グルトゥ…残念ながらトニーは観れなかった。
ドラム・ソロではディジョネットとテリー・ボジオ、そして1979年にサンタナで来日したグラハム・リア(ジノ・ヴァネリのところにいた人ね)がすごく印象に残ってるな。
…と、長年にわたって色々なドラマーのプレイを観て驚いてきたけど、この日のマルコのプレイにも本当に驚かされた。
結局はジャズ・スタイルなんだけど、も~レガートの一発目でヤラれた。

140音色もプレイもモノスゴイ個性なの。
といっても、決して奇を衒っているワケでは決してない、でも何かがモノスゴク独特なんだよね。
音楽の種類を問わず、すごいドラマーってバッキングだけで自分の音楽を作っちゃうところがあるじゃない?
まさにソレ。
マルコはDrummers Collectiveという学校で教鞭を執っている遼さんの同僚だ。
こんなプレイを見たら「世界中からスゴイ人が集まって来るから」という遼さんがニューヨークを重視する理由が一発で理解できる。
そうそう、プレイを始める前にマルコは私のフルネームを何も見ずにスラスラと正確に発音し、謝辞と共に「NATALの協力者」として私を受講生たちに紹介してくれた。
こういうところがスゴくシッカリしてるんだよね、向こうの人って。

130v曲は「Wise Man Say」って聞こえたが、変拍子のワタシ好みの曲。

150vまたこのピアノのビリーが滅法スゴイ。
バツグンの構成力でソロを物語に仕立てていく。
なるほど、ビリーは「Village Vanguard Orchestra」のメンバーで、グリニッチ・ヴィレッジの人気ジャズ・クラブ「Smalls」の常連なのだそうだ。
クラシックもOKの今ニューヨークで引っ張りダコの売れっ子ピアニスト。
道理で…。
アレ、どういうワケかニューヨークのクラブでは月曜日になると、ビッグバンドが出演するんだよね。
もうなくなった「Sweet Basil」なんかもそうだったし、敏子さんのオーケストラをBirdlandに観に行ったのも月曜日だった。
各店の常連の腕利きミュージシャンたちが集まって編成されるオーケストラだからして、スゴイにキマっている。
しかも、Village Vanguardは老舗中の老舗だからね、ビリーのニューヨークのジャズ・シーンでの評価が窺えるというものだ。

1602曲目は遼さんのオリジナル・バラードでアルバムのタイトル曲「Novemeber」。

170_nov強靭なテクニックに裏打ちされたプレイ。

180ひとりで本場に出かけて行って、勉強して、自分のコンボを立ち上げて…ホント、スゴイと思うわ。
ボストンの学校へ行って、何年かして帰って来ちゃうのとはワケが違うもんね。
マジで尊敬するわ。
私が20歳若かったら…なんてことすら思わないもんね。

190v20年以上前、最初にニューヨークへ行った時、ヒョンなことからベーシストの中村健吾さんとご一緒させて頂いて、エイブリー・フィッシャー・ホールへにウィントン・マルサリスを一緒に観に行ったことがあった。
まだその頃、中村さんはダンス・クラブのようなところで演奏されていて、ステージの上のウィントンのオーケストラを指して、「いつかこのバンドに入ったろ思とんのですわ」とおっしゃった。
それから数年経って、中村さんは本当にウィントンのコンボに入って『Live at the House of Tribes』というライブ・アルバムに参加しちゃった。
アレもビックリ仰天したよ。CDを見つけてその場で買ったわ。
アータ、ウィントン・マルサリスといえば、ジャズ界のマイコーみたいなもんですからね。
そういうことが起きるのが、また「ニューヨーク」ということなんでしょうな。
東京にいたら一生ムリだもんね。

108_wm3曲目も『November』から「Evan's Wedding Song」。
マルコの作品で、コレにブッ飛んだ。
リズムが変拍子だということは瞬時にしてわかるが、何拍子なのかがどうしても解読できない。
16分がベースになっていることまでは読み取れるのだが…。

200v_wとても「結婚式の歌」には聴こえないスリリングな展開。

210vAREAのデビュー・アルバムの『Arbeit Macht Frei』のオープナー「Luglio, Agosto, Settembre」にも通じる風合いだ。

220vマルコはセルビア共和国の出身だそう。
セルビアはかつてのユーゴ・スラヴィアに属していた国。
太古の昔にスラヴ民族が入り込んだユーゴ・スラビアは、「1つの国、2つの文字、3つの宗教、4つの言語、5つの民族、6つの共和国、7つの隣接国」といわれる大変に複雑な構造を持った国だった。
そういうエリアからは面白い音楽が出てきやすいんだよね。

230vこの曲もそんな複雑な雰囲気を醸し出しているが、聴いていて実に自然で気持ちがいい。
そもそもメロディがとても魅力的だ。
一聴するとテクニカルに聴こえる変拍子はそれを引き立たせるモノでしかない。
そして、マルコのドラミングはまるで故郷の歌を歌っているようだ。
「ドラマー」というより「音楽家」なんだろう。
完全にドラムスのテクニックの向こう側にあるモノに喰い付いている感じがする。
向こうのスゴイ人って大抵そうなんだよね。
どんな楽器のプレイヤーも「音楽>テクニック>機材」の順番で大切にしているように見える。
まず、自分だけの「音楽」を作ることが第一なのだ。

240_23曲の模範演奏を終了したところでQ&Aコーナー…なんだけど、例によって生徒さんたちは恥ずかしがって質問をしない。
しからば…。
「すいません!業者が質問してもいいですか?」と手を上げたのは………ワタシ。
「もちろん!どうぞどうぞ!」と快く応対してくれる遼さん。
「今の曲は一体何拍子だったんですか?」…もう辛抱たまらなくなって質問させて頂いた。
遼さんが教えてくれたのは、「ハハン、今の曲は、15/16拍子と19/16拍子の組み合わせでできているんです」
そんなんわかるワケないっつーの!
パット・メセニーの「First Circle」の22/8拍子ってのも、数えていてイライラして諦めちゃったぐらいなんだから!
19/16というとザッパの『Joe's Garage』の「Keep it Greasy」もそうだったようなことを思い出して、ザッパの名前を出したところ、ヤッコさん、案の定ザッパ好きだった。
私が質問の口火を切った後はもう大丈夫。
次から次へと受講者から色々な質問がマルコに投げかけられた。
ある女子生徒さんなんか、ナ、ナント、「ザッパのおススメのアルバムは何ですか?」なんて質問をするじゃんね。
そういうことは私に訊きなさい。
「さっきシゲが言ったように『Joe's Garage』はおススメです。他に『London Symphony Orchestra』とか…」と答えるマルコ。
エエ~!『London Symphony Orchestra』はないんじゃないの?!
後でマルコにこのことを尋ねたら、彼は『London Symphony Orchestra vol.1』に収録されている「Mo 'n Herb's Vacation」を演奏したことがあるんだって。それでおススメなのだそうだ。
やっぱり聴いている音楽の幅と深さが違うわ。
『London Symphony Orchestra』の2作はロックやジャズとはほど遠い、フランスの大指揮者ピエールが・ブーレーズが取り上げるような純粋な「現代音楽」なのです。
野次として「One Size Fits All!」って言っておいた。そしたらマルコは私を指さして「イエ~!」って。

250Q&Aの後は生徒さんが参加する実技コーナー。
遼さんトリオのメンバーとの共演。
緊張するだろうね~!

260ピアノ・トリオの編成に…

285vギターの生徒さんも交代でジョイン。

270v

280v生徒さんのパフォーマンスにアドバイスを与えるマルコ。
先生業も本職とあって、実に指導がウマい。
まずホメる。
とにかくホメる。
そして、「でも、こうした方がもっとよくなる」というポイントを具体的に説明する。
ボストンの学校で教鞭を取っていらっしゃる方も「ますはホメなきゃ絶対にダメです」とおっしゃっていた。
ああ、ウチの子ももっとホメてあげればヨカッタなぁ。

305vみんな超真剣!当たり前か…。

320v

300v先生はことの他楽しそうだ!
290演奏している題材は『November』収録の「White」という遼さんのオリジナル曲。
『第七銀河』の頃のReturn to Foreverを彷彿とさせるロック色の濃いカッコいいナンバーだ。
譜面を見ながら演奏を聴いている受講者。
しかし、今みんなコレだもんね~。
便利になったナァ。

390遼さんも理路整然としたアドバイスで生徒さんをステップアップに導く。

330

400v

420v

440vもちろんドラムスの生徒さんも参加する。

350

375vその演奏をジ~っと聴き入るマルコ先生。

340コレがNATALですよ~!いい音でしょう?

360v

410v

450v

370v真正面の席に座って演奏に聴き入るマルコ先生とビリー先生。

380充実の授業は先生たちの演奏による遼さんの「Path of the Light」で締めくくられた。
面白かった~!
そして、やっぱりNATALの音ってステキ!

460最後はみんなで記念撮影。

東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

470私もマルコと。
終演後、「さっき演奏した曲、リズムもスゴかったですが、私はメロディに感銘を受けました。あのメロディはアナタの故郷のバルカンのテイストですね?」と伝えると、「コイツ、わかってたのか?」と私の指摘に少し驚いたように「そうなんだよ!」とうれしそうに答えてくれた。
冒頭に書いたように、ホント、すごい刺激を受けたわ。
今、「そば打ち」をどうしようか迷ってる。

480実は、マルコたちが教鞭を執っているニューヨークのDrummers CollectiveやBass Collectiveの創設者のひとりはロブ・ウォリスという人で、教則ビデオのDCIとかHUDSON MUSICのオーナーでもある。
私、ロブとはとても仲良しだったのね。
コレは2003年ぐらいにフランクフルトで撮った写真。

108_rimg0079 その15年後のバージョンがコレ。
お互い歳を取ったナァ。
しばらく没交渉になっていたけど、下の写真を撮った今年のNAMMを契機にまた時折メールで連絡を取り合うようになった。
また何か仕事で一緒になれればいいナァ。
洋の東西や言葉の違いを問わず、昔の友達って素晴らしい。

310_2  200
 
(一部敬称略 2018年5月16日 東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校にて撮影)

2018年6月20日 (水)

おどろ曼荼羅~人間椅子 2018年春のワンマンツアー

 
今日は久しぶりの人間椅子。
調べてみたところ、2015年以来、3年ぶりにご登場頂くこととなる。
…ということで…イヤ、というワケではないのだが、エリを正してレポートするべく、江戸川乱歩の「人間椅子」を読み返してみた。
中学1年生ぐらいの時以来かな?コチラは3年どころか40年以上の月日が流れている。
  
いいね。実にいい。
書簡体小説っていうの?
読者に語りかけて来るようなリズミカルな筆致で、手紙の書き手の話にグイグイと引っ張り込まれてしまう。
でも、コレだけ様々な事物が氾濫している世の中、今の人たちはドンデン返しが途中で読めちゃうかも知れないナァ。
さて、この小説の結末…私はコレは手紙の送り主の創作なんかではない…つまり「現実に起こっていること」と読んでいるのだが、そうでなんでしょ?つまり再ドンデン返し。
この小説が発表されたのは関東大震災の翌々年の1925年、すなわち大正14年。
「大正ロマン」なんて言葉を時折耳にするけど、あの「小口末吉事件」といい、今から100年弱前の事象が今の時代と地続きになっているとはどうも考えにくい。
いつもMarshall Blogに書いているように「利便性と風情の反比例」がココでも確認できるような気がした。

10今日は4月4日にリリースされた人間椅子のミュージックビデオ集、『おどろ曼荼羅』の実演販売。
「実演販売」とはうまいこと言ったもので、要するにレコ発。
会場DVDとBlu-rayを販売し、そこに収録されている曲を中心に生演奏するのだから、なるほど「実演販売」なのであ~る!

30v_dvd_2会場は渋谷TSUTAYA O-EAST。
全国11か所を巡るワンマン・ツアーの千秋楽。
客電が落ち、会場にお鈴の音色が響きわたる。
「此岸御詠歌」が流れる中、姿を現した人間椅子の3人。

20和嶋慎治40v鈴木研一

50vナカジマノブ

60v1曲目は昨秋のアルバム『異次元からの咆哮』から「超自然現象」。
1_0r4a9809和嶋さんは少し前に犬神サアカス團の『犬フェス』というイベントでMarshall Blogにご登場頂いた。
しかし冒頭に記した通り、Marshall Blogで人間椅子として和嶋さんにご咆哮頂くのは本当に久しぶりのことだ。

80vノッケから人間椅子のカタマリのようなサウンドに満員の客席の興奮が爆発する!

90続いて2016年の『怪談 そして死とエロス』から「地獄の球宴」。

100v_jkノブさんが猛烈にバンドをドライブさせる「生首」チューン。
もはやこのサウンドに「首実検」は不要だ!

120v和嶋さんのソロ。
天保年間、青梅のあたりに生首を持って歩き、それを質草に取れと言って、イヤがる質屋から金を強請するひどいヤツがいたらしい。
詳しい話はまたどこかで…。

110もちろん和嶋さんはMarshall。
愛用の1972年製の1987と1960TVのコンビネーション。
1251960TVってXキャビネットよりチョコっと背が高いだけなのにものすごく独特な音を出すんだよね。
和嶋さんはさらにSGで個性を際立たせる。
ザル・クレミンソン、アンガス・ヤング、かつてのザッパ…MarshallとSGを組み合わせるギタリストに凡庸な人はいない。

126v「こんばんは人間椅子です!お仕事の後に駆けつけてくださってありがとうございます!」
この日は金曜日だったからね。
いつの間にかコンサートといえば土日が当たり前となってしまって、平日の開催が罪悪みたいになって久しい。
月曜日は「週明けにもかかわらず」
火曜日は「火曜日にもかかわらず」
水曜日は「週の真ん中にもかかわらず」
木曜日は「一週間で一番疲れる日にもかかわらず」
金曜日は「明日休みにもかかわらず」
土曜日は「お休みにもかかわらず」
日曜日は「明日仕事にもかかわらず」
…コンサートに行く日がないじゃん?!
昔はこんなこと言わなかったんだけどね~。
 
「北は北海道、西は沖縄まで、DVD『おどろ曼荼羅』の実演販売をやってまいりました。
さぁ~、ファイナルです!
生演奏で皆様と楽しさを共有していきます。今日は生配信もしております!
実演販売は皆様のご協力の上に成り立っております!」

130早速『おどろ曼荼羅』収録の1999発表の「幽霊列車」。

140v_yr不吉なダブル・ストップが耳に突き刺さる。
しかし、やっぱりロックはヘヴィな8ビートに限りますナァ。

150サビの展開が素晴らしい。
コレはEm→E/C→A/Db→C→Emになってるのかな?
こういうクロマチック・テイストが人を感動させる…と私は思ってる。
「メロディ、リズム、ハーモニー」が音楽の三要素だとするなら、「半音、変拍子、不協和音」こそ人を感動させる音楽に必要な「毒素」だ。
この毒の味を覚えてしまうと、そう簡単には解毒できず「音楽」という深い森に迷い込む一方だ。
私は40年以上そこから抜け出ることができず、今は「現代音楽の森」をさまよっている。

160v鈴木さんが「レアな曲」と紹介したのは「悲しき図書館員」。
2014年リリースの25周年を記念したベスト・アルバム『現生は夢』からのチョイス。

180_ktク~、典型的なブリティッシュ・ヘヴィ・サウンド!
タマりまへん。

190しかし、和嶋さんのロック・ギター然としたサウンドの素晴らしいことよ。
Marshallがあるからこの手の音楽があるのか…この手の音楽のためにMarshalがあるのか…答えはその両方なのだ。
どちらが欠けても存在しえない音楽なのだ。

200v「本の虫」が主人公のこの曲。
本といえば、ロンドンならチャリング・クロス、日本なら神保町。
その神保町についてチョット面白いことを知ったので脱線させて頂く。
神保町の古本屋さんというのは店舗間でシッカリした蔵書のネットワークを持っていて、各店が持っている関連図書を即座に集めることができるらしい。
かつて、井上ひさしが「タヌキ」に関する小説を書く時、神保町からタヌキに関する本が1冊もなくなったという…ホントかどうかわからないような話は以前にも書いた。
で、この古本屋さん、ほとんどの創業者が新潟の長岡出身の人たちだったらしい。
実際、風呂屋と古本屋は新潟の人が多いらしいのだが、大橋佐平という人が一番最初に「博文社」という古本屋を開いて成功を収め、取次会社、印刷所、広告会社等を併せて開業し、日本最大の出版社に育て上げた。
「出版コングロマリット」ってヤツですな。今でも「博文館新社」や「博友社」として存続している。
その大橋佐平は。故郷である長岡の困っている人たちを東京に呼んでは神保町で古本屋を開業させたのだそうだ。
ナゼ長岡に困った人達がいたのかというと、幕末期、旧長岡藩は強硬な佐幕派で薩長に盾突いたため賊軍とみなされ、明治新政府となった後も官職につけない等、冷や飯を食わざるを得ない人が多く、自力で何とかしなければならなかったからだそうだ。

6「レアな曲を演りました。この後、10年は演りませんよ」という、今日は大変貴重なコンサートだ。
「昔は小芝居をしていましてね…。でも、最近はそれがなくなってきました。できる役が少なくなってるんです。」
「お坊さんの役しかできない」とおっしゃる。
もうひとつ、「江戸時代のお医者さんの役」というのはいかがであろうか?
こんな話がある。
当時はお坊さん同様、お医者さんも剃髪するのが普通だった。
そして、お坊さんたちが吉原に遊びに行く時(ホントはダメなんですよ)、さすがに僧侶の格好のまま行くのはマズイので、お医者さんのフリをしたのだそうです。

210v「私の場合は、占い師か書道家かホームレスです。この姿で街を歩いていると、『炊き出しどうですか?』と声をかけられる、公園の似合う男でです。
今度のDVDは遊び人(ノブさんのこと)とお坊さんとホームレスで小芝居しましょう!」

220v続いて「怪人二十面相」。
怪しげなイントロに続く切れ味鋭いリフ。
こういう典型的なリフ曲が若いバンドの中では完全に絶滅してしまっている。
寂しい限りだ。
「ロック」が一番「ロック」たるスタイルだと思うのだが…何とかしないと!

230_k20後半で現れる和嶋さんのフェイザーをかけたボトルネックのプレイも印象的だ。
しかし、怪人二十面相が今の時代にタイムスリップしたら苦労するだろうナァ。
防犯カメラだらけだからネェ。
悪事に風情は必要なかろうが、ロマンがないよ。

1_0r4a9986 「はいはい、コレね…Gibsonのダブルネックでありま~す。高松で楽器屋さんに弦を買いに行った時に買ってしまいました!」
弦はオマケしてくれたという。そりゃ、そ~でしょ!
弦の買い物でダブルネック、さすが和嶋さんである。
きっとダブルネックが「連れて行ってください!」と和嶋さんに声をかけたのであろう。
イヤイヤ、こういう話をよく聞くが、そんなのウソウソ。
声をかけるのはギターではなくて店員さんですね。後はノリと度胸との戦い…と思ったら、鈴木さんの「早くキメろ~!」のひと声で買っちゃったとか。
やっぱり弦を買いに行って59年製のレス・ポールを買っちゃったイギリス人のギタリストを知ってますよ。

260せっかくなのでココで12弦ギターのデモンストレーションとなる。
「Hotel California」から「Stairway to Heaven」。
「天国への階段」は和嶋さんが最初にコピーした曲だとか…。

270そして、ダブルネックを使って1991年の「夜叉ケ池」。

280_yiジンタ風の導入部。
ナゼか「Moonchild」を連想してしまうのは私だけだろうか?

290vそして、曲は表情を変え…

300vハードにドライブ!

240vワウワウを踏みながらの鮮やかにギター・ソロがキマった!

310v「ありがとうございます!ファイナルなのでいつもの倍演ってしまいました!」
次は「ボクらが作らないでどうする?」とオファーを快諾したというBSジャパンの三島由紀夫の連続ドラマ『命売ります』の主題歌。

320v曲はドラマのタイトルと同名の「命売ります」。
三島由紀夫は、1925年の生まれ。冒頭に記した通り、奇しくも江戸川乱歩が「人間椅子」を発表した年だ。
そして、市ヶ谷の大本営で割腹自殺をしたのが1970年。
私が小学校2年生の時で、テレビで大騒ぎしていたことだけはよく覚えている。
ナニを騒いでいたのかはサッパリわからなかった。
その2年後が「あさま山荘」だもんね。
スゴイ時代だった。
「あさま山荘事件」は頭脳警察の影響で高校の時に何冊も本を読んだっけナァ。
四人囃子の岡井大二さんと話てたんだけど、昔はこうして「あさま山荘事件」とか、「吉展ちゃん事件」とか、ひとつの犯罪が固有名詞になったけど、今はもっとヒドイ事件が日常的に頻発していて、事件に名前など付けている暇がないんだよね。
こんなことひとつ取っても世の中がドンドンひどくなっているのがわかる。

330_iu
ノブさん、もろ肌!
それほどのスピード・チューン。

3_s41a0504 プレシジョンに持ち替えた鈴木さん。
それにしてもこの曲がTVドラマの主題歌とは!
さすが人間椅子。
「全国のお茶の間に毒を撒きたいと思って作りました」と和嶋さん。
それならナットク。
やっぱり音楽の魅力は「毒」にあるのです。
3_s41a0315ク~、コレもタマらんな~、2003年の「東洋の魔女」。
「♪娼婦の知恵に処女の無知」…バレーボールの歌ではない。

350_tm曲の情景がコロコロと変わってサマが何とも気持ちいい。
それと「ベイベ、ベイベ」。
今、こんな曲を演っているチームは世界で人間椅子だけじゃないかね?
でも、鈴木さんによれば「今日限り」とか!

360「今回は沖縄も行って来ました。アロハ持って行ったのに寒かった…。人間椅子は北国の風を持ち込むんですかね?」
灼熱の陽光の下で「賽の河原」はチョット…。
「昭和の子は『1999年に世界が終わる』と思っていたんですが、そんな子供が大人になって作った曲です」
「ノストラダムスの大予言」ですな?
アレもすさまじく流行りましたな~。
調べてみるに、1973年か…私は小学校5年生。
クラスの子はみんな騒いでいたけど、アマノジャクの私は全く興味がなかった。
あと「紅茶キノコ」も。
今みたいに庶民の楽しみが多様化していなかったせいか、昔は「流行りモノ」のパワーが生半可じゃなかった。
今はナニかが流行しても熱中度が低く、短命で終わっちゃうよね。
何でもある代わりに、人の心に残るモノが極端に少なくなったように思う。
音楽が一番いい例だ。
370
世界が滅亡してから17年後の2016年の作品、「恐怖の大王」。

380_kdノブさんのシャープなハイハット・ワーク!
しかし、ホントに曲調がバラエティに富んでいるナァ。

390ド迫力のキメから和嶋さんのソロ!
カッコいい曲だにゃ~。

4002004年の『三悪道中膝栗毛』から「洗礼」。

410v「膝栗毛」といえば…。
最近、チョットだけど「街道めぐり」を楽しんでましてね。
イヤ、正確に言うと、古い町並みを訪れるのがスッカリ面白くなってしまったのだ。
古い町並みというのはたいてい宿場の名残で街道筋に面しているから自動的に街道をめぐることになる。
下は名古屋にある「絞り」で有名な有松。
絞りといえば藍。
江戸時代の「藍百姓」の悲惨な生活について近々書き記す予定。
有松は宿場ではなくて、「中宿」といって宿場と宿場の中間にあるオマメ的存在。

420v街道巡りで驚いたのはコレ。
この石畳みの細い山道は「中山道」。
国道で言えば19号線。
42番宿の妻籠から43番宿の馬籠へ向かう途中の道。
江戸末期、京都の天皇家から14代将軍徳川家茂に降嫁した和宮親子内親王は、江戸へ向かう際、東海道ではなく中山道ルートを選び、実際にこの石畳みの山道を進んだ。
進んだのはいいけど、その一行の人数たるやナント3万人!
行列の長さは50kmにもおよび、沿道からは犬猫さえも遠ざけられたという。
こんなところを3万人が一気に通過したとは…。
実際、荷物が多くてメッチャ大変だったらしい。
ちなみに「膝栗毛」とは「徒歩による旅行」のこと。

430vいかにも人間椅子チックなヘヴィ・チューンは和嶋さんのソロで終結する。

440「すご~く久しぶりに演ります」と、曲名を告げるなり大きな歓声が沸き上がったのは「水没都市」。

450_st1992年のアルバム『黄金の夜明け』に収録されている曲。
オッ、このジャケットの左下に描かれている塔は「浅草凌雲閣」!?12浅草凌雲閣は1890年に竣工した日本で最初の電動式エレベーターが設置された展望塔。
1923年の関東大震災でポッキリいっちゃった。
仁丹塔もスペース・タワーも、また花やしきのグルグル回る乗り物のタワーも無くなってしまって、今、浅草にある塔といえば、やはり花やしきのコレだけ。上がって落ちるだけの古式ゆかしいアトラクション。
ま、ナニをどうしたってお隣りのスカイ・ツリーにはかなわないもんナァ。

2_2img_6777 鈴木さんのベースのアルペジオにボトルネックを乗せる和嶋さん。
実にクールなアレンジだ。
4609分にも及ぶ壮大なドラマ。
すごく久しぶりに取り上げられたということもあって、このコンサ―トのハイライトのひとつだったのではなかろうか?

3_s41a0088 「オレのことアニキと呼んでくれ~!」
キタキタキタ~!ホンの14年前に加入したというノブさんの歌のコーナー!

480v今回の曲は『異次元からの咆哮』収録の「悪夢の添乗員」。

490v三途の川に針の山…ノブさんとのハードな地獄めぐり!

500ノブさんの歌で始まったコンサート最後のセクション。
続いては「地獄のヘビーライダー」。

510_jhrこの曲も『異次元からの咆哮』からのチョイスだ。
自身のシグネチャー・モデル「冥王~Pluto」に持ち替え、和嶋さんのギターがますます冴えわたる!

520v間髪入れずに『無頼豊饒』から「迷信」。
610そして、本編を締めくくったのは定番「針の山」。

3_s41a0082 期待通りの展開と3人の大熱演に客席の熱気はもはや阿鼻叫喚の焦熱地獄!

550

570v

600v緩急自在、古今東西、充実のセットリストにお客さんも大満足の本編だった!

540vそしてアンコール。
「今回の実演販売会、熱のこもったいい演奏ができております。
メンバーも歳を取りました。
鈴木くんはだいぶ大きくなりました。
ノブくんが入って14年…変わっていないと思っていたけど、ダルマになったよね。
ボクも髪の毛が真っ白になりました。そして、ドンドン痩せてるね。
それでは、髪の毛が黒かった頃の曲を演っちゃっていいのかと思いますが、いいでしょうか?」

620v運命を感じさせるさせるイントロから…

630v極悪ベース・リフが炸裂するのは…。

660v…2009年の「浪漫派宣言」。
歌詞の中に「愛が ぞめく」とあるんだけど、「ぞめく」ってわかりますか?
ココでは「浮かれ騒ぐ」というぐらいの意味なのかな?
大店(おおだな)の放蕩若ダンナが、あんまり吉原が好きすぎて自分の家の二階に遊郭を作ってひやかして歩く…という艶笑噺がある。
題名を「二階ぞめき」という。
この「ぞめき」は「ひやかし」という意味。
「ぞめく」なんてのも絶滅しかかっている日本語のひとつだろう。
こうして音楽や落語の中で日本古来の言葉がひとつでも多く生き延びていってもらえたらうれしいね。
この曲の歌詞はベートーベンからワーグナーまで登場して、「和嶋レトリック」の見本のような内容で楽しいね。
イントロのメロディの意味が理解できるというものだ。

650v「ダ~イナマイト!!!」

640vグワ~!まさに「桜級」のダイナマイト・チューン!
コレも以前にも書いているんだけど、こんなプレイを目の当たりにするとまた書いてしまう!
ダイナマイトには「桜」とか「松」とか「竹」とかいうグレードがあって、含有されているニトログリセリンの分量によって分別される。
実際に鉱山の発破技師から聞いた話だが、ダイナマイトというモノは食べることができるらしいのだ。
昔、山奥の飯場では薄切りにしたダイナマイトを肴に酒を飲んだという。
甘みがあるらしい。
グレードによって味も異なり、やはり取り扱いが一番危険な「桜」が一番おいしいらしい。
ダイナマイトつながりでついでに書くと、1953年のフランス映画に『恐怖の報酬』という作品があった。
化学工場で火災が発生し、鎮火するためには現場を爆破するしかなく、それに使用するニトログリセリンをトラックに載せて悪路を進むというハラハラドキドキのストーリー。
この仕事を引き受けるのが、主役を演ずるイヴ・モンタンとその相棒。
彼らの役名が「マリオ」と「ルイジ」。
私はコレを知っていたので、ゲームの『スーパーマリオブラザーズ』が出て来た時、ハハンと思った。
だから何だ?と訊かれれば「それだけ」の話。

670ノブさんのドラミングも大爆発!

690アンコールは2曲で収まらず、3人が再びステージに上がり、和嶋さんからひと言ご挨拶。
「おかげさまでツアー・ファイナル、素晴らしいライブになりました!LINEライブ・アーカイヴとして観ることができるそうです。
お名残惜しゅうございますが、次にお会いするその時まで!」
…と、「どっとはらい」を演奏。

680最後の最後まで繰り広げられる熱のこもった激演!
「どっとはらい」とは「おしまい」とか「めでたし、めでたし」とかいう意味なのね?

700全18曲、充実のライブ・ステージだった!
次から次へと出て来るかカッコいいリフにトリハダが止まらなかったよ!
こうして『おどろ曼荼羅~人間椅子 2018年春のワンマンツアー』を締めくくった…どっとはらい。

710人間椅子の詳しい情報はコチラ⇒人間椅子オフィシャルサイト

720DVD&Blu-ray『おどろ曼荼羅』よろしく!

730v 

200 
(一部敬称略 2018年4月27日 渋谷TSUTAYA O-EASTにて撮影)

2018年6月19日 (火)

ガンバレ若いの!~Jekyll★RonoveとFate Gearの新譜

 
今日は伝統のハード/メタルのサウンドを継承している若手チームの新譜を2つ紹介する。
 
まずはJEKYLL★RONOVE。

105月に発売されたばかりの『ONENESS』という3曲入りのミニ・アルバㇺ?…コレはシングルっていうのかしらん?
1曲目はヘビィ・チューン、「Go Hand in Hand」。
まず…ギター・リフで始まるのがうれしい。
そして、JEKYLLの少し鼻にかかった、相変わらずの魅力的な声。
N★OTOくんはボトルネックまで披露するという力の入れようだ。
2曲目は以前からのレパートリーでほぼ英語詞の「Stay with me」。
もちろんFacesのアレではなくて、シリアスなバラード。
テレビ・ドラマの挿入歌に採用された「Always~The answer is blowin' in the wind~」もうそうだけど、このバンドはバラードが得意だね。
この「声」だもんな~。ボーカルズをジックリと聴かせる曲には一日の長がある。
3曲目はストレートなドライビング・チューン「UNCOVER」。
私はこのチームに70年代のトラディショナルなハードロックに現代テイストを融合したサウンドを期待しているんだけど、今回の作品はトラディショナル風味が後退してややポップな仕上がりかな?
でも、「UNCOVER」なんて、このバンドの魅力が十二分に発揮されていると思う。

20cd随所で活躍するN★OTOくんのギターはMarshallがお供をしている。
Silver Jubilee 2555Xと1960BVだ。

30v先日の「Marshall Dinner」でもジョン社長にシッカリとこの作品が手渡され、ユーラシア大陸を横切り、ドーバー海峡を渡り、ロンドンからM1を走って、ブレッチリ―のMarshall本社の社長室に無事輸送された。

40それと…すでに2018年も真ん中まで来ちゃったけど、JEKYLL★RONOVEは今年カレンダーを作ったのね。
それに私が撮った写真をたくさん使ってくれたのです。

50いつも言ってるけど、やっぱり自分の撮った写真がこうして何かの形になるのはとてもうれしいね。

60去年、確か2回しかJEKYLL★RONOVEを撮影するチャンスがなかったんだけど、うまい具合にお気に召す写真を探してくれた!

70これからもJEKYLL★RONOVEには、今まで通りのトラディショナル・テイストをフィーチュアした自分たちだけのハードロック・サウンドづくりを目指してもらいたい。

JEKYLL★RONOVEの詳しい情報はコチラ⇒official site

80 
続いてはFATE GEAR。

90FATE GEARからはMina隊長とドラムスのHarukaちゃんに代表してMarshall Dinnerにご出席頂いた。
やはり同じルートでCDとライブDVDが地球の裏側まで運ばれて行った。

100コレが4月に発売された『7 years ago』。
FATE GEARは運営方針を変更して「多人数制プロジェクト」方式を採用。
前作から1年を待たずしての早いテンポのリリースとなった。
パンフルートのような木管の音色に導かれる壮大な序曲でスタートするこのアルバム。
そして、炸裂するメタル・サウンドはビデオも制作されたタイトル・チューン「7 years ago」。
この張り裂けんばかりのメタル・ヴォイスは誰?大山まきちゃんだ!

108_s41a0117 続いて地を這うようなベースが印象的な「心葬」。
1曲目とはガラッと変わるフェミニン・ヴォイス。
コレが「多人数制プロジェクト」の面白いところ。
歌い手がコロコロ変わることによってアルバムの仕上がりが散漫になるかと言うと、さにあらず。
まるでミュージカルのサウンドトラックを聴いているかのような、コンセプト感のようなものが表れてるんだな。
この辺りはほぼ全曲の作詞&作曲を手掛けるMina隊長の手腕によるところなのだろう。
もちろん隊長はギターでも大活躍だ。
ロック・バンドは「ライブ」という宿命を背負っているが、CDとライブの演奏が驚くほどかけ離れている若いバンドも少なくない。
もうYesの時代とは違うのだ。
よって、この作品のように人材の枠にとらわれず。スタジオ・アルバムをひとつの「創作物」としてジックリ作り込むのも面白い。
「スタジオでの音作りに集中する」というのは何のことはない、『Revolver』以降のビートルズと同じゃんね。
全9曲、バラエティに富んだガール・メタル・サウンドにあふれかえっている。
ジャケットは前作に弾く続いてHaruka画伯の作品。

110cdCDのジャケットには私が撮った写真を色々と使って頂いているのだが、メンバーでそこに出ているのは隊長だけ。
代わりにこんな写真集を作っちゃった。

120実はですね…コレを撮影した日はアーティスト写真を撮るのが目的だったのね。
こういうヤツ。

125v

126v

だから、このフォト・ブックに掲載している演奏シーンの撮影はオマケ的なモノだったのね。
だってメッチャ暗い上に煙モクモクで、どう見てもスチールを撮るような環境ではなかったのよ。

130それでも皆さん一生懸命やってるし…。

140で、手が空いた時に強引にシャッターを切った。

150何しろ暗いもんだからツライ、ツライ!
日頃のライブ撮影でで暗い現場には慣れてるけど、ズッと暗いってことはないからね。

160それでもレンズを向けられているのがわかるとErika様なんかはカッチリとポーズを取って協力してくれたりしてサ。
なんでガンバってみた。

170最終的には、よくもこんなにうまく作ったな~、と仕上がりを見て感動してしまった次第。
隊長、どうもありがとう!
このフォト・ブックもイギリスへ渡りましたとさ。

180なかなか戻って来ないね。
ナニが?って、ハードロック/ヘヴィメタルのトレンドがサ。
でもね、どんなに時代が変わったとしても、いつまでも今のままではないと思うよ。
そう願って早20年経ってしまったけど…。
でもソロソロだよ。
その時まで、とにかく皆さんの信じる音楽をMarshallとともに最後まで続けて行ってくれることを願っている。
ガンバレ若いの!
  
FATE GEARの詳しい情報はコチラ⇒FATE GEAR official site

190

200

(一部敬称略)

2018年6月18日 (月)

映画『スパイナル・タップ』を11倍楽しむ

 
大阪の皆さん、どうかご無事で!
  
私が中学2年生の時、ビートルズのロックンロールのレパートリーをコンパイルした2枚組のアルバムがリリースされた。
その名も『Rock'n'Roll』。
さすがビートルズ、当時のレコード会社、東芝EMIは購入特典としてレコードを買った人にもれなく緑色の表紙の小冊子を配布した(あるいは初回プレス分だけだったのかも知れない)。
その小冊子には各ページの欄外にメンバー4人へのミニ・インタビューが掲載されていて、その中のひとつに「あなたの星座は?」という設問があった。
コレを英語で言うと「What's your sign?」と表現することは以前ココに書いた。
その質問に対する4人の答えはこうだった。
ジョン「てんびん座だよ」
ポール「ボクはふたご座」
ジョージ「うお座です」
リンゴ「かに座なのよ」
40年以上前のことなのでもちろん正確な字句は覚えていないが、リンゴのセリフだけは正しく記憶している。
「なのよ」…?
リンゴ・スターってそういう人なのか?と子供心に驚いたからだ。
それからしばらくというモノ、「かに座」は12星座で最も印象の強い星座となった。
お、今日6月18日はポールの誕生日のようだ。76歳だって。
でも、「蟹」ってヘンだと思わない?
星座を分類してみると、「ひつじ」や「おうし」の動物類が4つと最多のエントリー数を誇り、ついで「ふたご」や「おとめ」の人間類が3つ。
「てんびん」と「みずがめ」の道具が2つ。
単独で業界を代表してエントリーしているのは虫界から「さそり」、魚類で「うお」。「かに」はこのチームに加えてもいいような気もするが、「魚」ではないので甲殻類として単独でエントリーさせる。
ん~、甲殻類はやっぱり異質だろう。我が「さそり」もチョット引っ掛かるが…。
そこで、ナゼ「かに」が星座にエントリーされているのか調べてみた。
答えは「食べるとウマいから」…では当然ない。
起源はギリシア神話。
当時、ヒドラという頭が9つある怪物がいた。キングギドラの名前の由来とされているヤツ。
コイツが泉に毒を流して困るということで、ヘラクレスが立ち上がった。
ところがヒドラは頭が9つもある上に、切っても切っても頭が生えて来てなかなかに手ごわい。
コレが髪の毛ならうらやましい限りだ。
ヘラクレスがヒドラに手こずっていると、さらにヒドラに加勢するヤツが出て来る。
それが「かに」だ。
ところが、その「かに」は滅法弱くてヘラクレスにブチッと踏んづけられて一発でヤラれてしまった。
すると全能の神であるゼウスの奥方のヘラってのが、その「かに」の勇気を称えて、「弱いのにエラかったね~。『がんばりましたで賞』として、アナタを12の星座の中にエントリーしてあげましょね~」となったのだそうだ。
それを聞いたヘラクレスはこう言った。
「カンニンしてよ~」
お後はよろしいか?
 
ギリシアと日本の神話について少し勉強したいと思ってるんだけど、両方とも登場人物の名前が覚えられなくてね~。
特に日本の神様は「天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命」とか、「宇摩志阿斯訶備比古遅神」とか、まず読めん。
読めないモノは覚えられないと相場がキマってる。
で、いまだに取り掛かっていない。
 
と、直前まで「かに」で話を始めようとは思っていなかったのだが、ついやってしまったのは、この看板があまりにも「カニ」をアッピールしていたからだ。
そういえばアート・カーニーなんて役者もいたな。
アカデミー主演男優賞を獲った『ハリーとトント』はヨカッタ。
昔はこの映画の良さがあんまりわからなかったけど、今では涙なくして観ることはまず不可能だろう。
特に若い頃のガールフレンドに会うために老人ホームを訪れるとろ。
ダンスをするんだっけ?
あの「ダンス」というのは日本人にない感覚なんだよね。
そこへ行くと欧米の人はダンスを本当に大事にする。
何かあるとダンス。マァ、見目麗しい白色人種の方々がおやりになるので、それがとても美しくカッコよろしい。
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り(原題: Scent of a Woman)』でアル・パチーノが扮する盲目の退役軍人のダンスはあまりにもカッコよかった。
映画のダンス・シークエンスについて語り出したらとてもキリがないのでこれ以上は書かない。
そして、話は横の建物に移動する。
カニだけにね。

10新宿武蔵野館。
私が子供の頃からある老舗映画館だけど、初めて来た。
そしたらアータ、「子供の頃から」どころじゃない、「新宿武蔵野館」って1920年の開業なんだって!
関東大震災より前だぜ。
場所は何度か移転しているけど、新宿三丁目にあった頃は1,500席の規模を誇ったらしい。
昔の映画館は立派だったからね。
私の場合、家が東京の東のエリアだったので映画を観るのはもっぱら日比谷だった。
日比谷映画、有楽座、スカラ座、みゆき座、丸の内ピカデリー、東劇、松竹セントラル、丸の内東宝、スバル座…それぞれ何回行ったかわからない。この内、まだ原形をとどめているのは東劇だけかな?
東劇は40年ぐらい前に立て直しているので老朽にはまだ早いのだ。
浅草の映画館も、それはそれは立派な出で立ちをしていたが、取り壊されてもうスッカリなくなっちゃった。

20しかし、1,500席ってスゴイよ。
中野サンプラザで2,200だからね。
一度に1,500人が同じ場所で、同じ空気を吸いながら、同じ映画を観るなんて若い人には考えられないでしょう?
映画が娯楽の王様として君臨していたかを如実に表す数字だ。
海外はもっとスゴくて、例えば下の写真のロンドンのキルバーンにあるGaumont State Cinema(ゴーモン・ステイト・シネマ)なんてのは4,000席だからね。別名「The State Theatre」。
Gaumontというのは、今もあるフランスの大手映画制作会社。

180v_2 テレビの出現により映画産業が縮退を余儀なくされてからはコンサート・ホールとして利用されていた。
ジョン・ロードが「Rick Emerson」と自己紹介していることで知られる下のDeep Purpleの1974年のライブ盤『Live in London』はこのThe State Theatreで収録されたモノ。
今はフィンズベリー・パークのRainbow Theatre同様、新興宗教の施設になっている。

108_lil さて、今日、2018年6月16日…どうして新宿にやって来たか…。
下の左端の「オレンジ色のニクイやつ」…『スパイナル・タップ』の日本劇場初公開の初日に立ち会って来たのだ!
「オレンジ色のニクイやつ」…なんて若い人は誰も知らないか…。

301984年全米公開のこの映画、ナント日本の劇場で公開されるのは今回が初めてのことなのだ!
私が初めてこの映画を観たのは、ホントにホントに偶然のことで、風呂上がりに何の気なしにテレビをつけて、衛星放送にチャンネルを合わせた時だった。
何の予備知識も全くなく、そもそもこの映画の存在すら知らなかった。
もう何年前のことだろう?
四半世紀は経ってるかな?
マァ、ビックリしたよね…あんまり面白くて。
まさに「ナンじゃ、コリャ~!」状態だった。
当時私はまだMarshallとの関わりなど全くなかったが、「11」のくだりは大笑いした。
もう一度観たいと思い、レンタル・ビデオ屋に探しに行ったが、当然そんなもんありゃせん。
周りの人は当然誰も知らん。
こんなに面白いのにナゼ日本では公開されなかったんだろう?と不思議に思った。
日本の音楽シーンってまだまだ歌謡曲の時代で、当時の興業システムを鑑みると、劇場で公開してもとてもリクープは望めなかったんだろうな~。
私はといえば、まだインターネットもない時分だったので、何の情報も得られなかったが、オーバーに言えばそれ以来ひと時も忘れたことがなかった。

50vそして、初めてロンドンに行ったのは2003年かな?
「ロンドンに行ったら必ず『スパイナル・タップ』のDVDをゲットする」と心に決めていた。
ところが、オックスフォード・ストリートのHMVで探したんだけど、見つからない。
その店は普通にアルファベット順に映画のタイトルに沿って商品が陳列されていて、「S」のコーナーを見ても置いていなかったのだ。
「アッレ~、イギリスでは今でも人気って聞いていたんだけどな~」とガッカリして、諦めかけていた時に思いついた。
「そうだ!この映画の原題は『This is Spnal Tap』で、「T」で探さなければダメなんだ!」
この時の邦題の身勝手さを恨んだね。『愛と青春の腹立ち』だよ。
さっそく「T」のコーナーに移動して探すと、すぐ出て来た。
そう、イギリスのテレビの規格はPAL方式なので、日本のテレビでそのままDVDを観ることはできない。
でも、そんなことはお構いなしだった。
大好きな『スパイナル・タップ』のDVDが手に入るだけでうれしかった。テレビで観れなくてもパソコンでなら観れるからね。
しかも、そのDVDには本編の他にNGテイク集やインタビューを収録したボーナス・ディスクが付いていたのでうれしさ倍増。
結局観てないんだけど…。

190こんな本も見つけた。
定価は£16.99。
当時の為替レートだと3,800円ぐらいかな?1ポンドが220~230円だったからね。
それが売れ残りの新古書籍だったので1,000円もしなかったように記憶している。
映画の台本や挿入歌の歌詞、スパイナル・タップのA-Zなんかが載っている。

230それから数年…2006年には国内盤のDVDが発売された。
私はこういうことにはとても悠長なんだけど、コレに限っては発売日にレコード屋に買いに行った。
すると、どこへ行ってももう売り切れで手に入らない…ヤ、ヤバい。
そこで、当時の会社の大阪支店の同僚に頼んで現地で買ってもらって、東京へ送ってもらったとう次第。
どうなんだろう?
衛星放送で放映してから10数年、この映画の評判が口コミで広がっていたのかしらん?
その後、ブックオフで500円で見つけたけどね。また買っといた。

Stvまた映画館の話になるけど、一番最近映画館で映画をみたのは3年前のこと。
家内とロンドンに行く前の予習にと、ナショナル・ギャラリーのドキュメンタリーを観に行った。
アレも新宿だったナァ。
小さな映画館のフカフカした椅子で3時間半…内容は申し分なく、アッという間だった。
その前はドラえもんか?アンパンマンか?
ずいぶん映画の興業の方法も変わったね~。
「シネマ・コンプレックス」とか言うのかな?
同じホールで違う映画を交代に上映してるんだよ。
まだ映画が娯楽の主役だった頃に育った私としてはショックだったわ。
無料化やアニメの台頭…文化の「衰退」という意味では音楽も映画とまったく同じ構図と運命にあるね。

40映画の内容については、ココに書いてあるのをはじめ、もう何度もMarshall Blogで触れているので今日はゴチャゴチャ書かない。
「あの世界的なロックバンドの重鎮、≪スパイナルタップ≫伝説の全米ツアーに完全密着 全人類必見の映像が、なぜかようやく今ごろ解禁!!」と惹句にある通り。
65vさて、今日はココからが本題。
この記事では映画の公開に関することと、久しぶりに観て気が付いた細かいことをツラツラを書いて行こうと思う。
これからご覧になる方のトリビアになれば幸いだ。
映画館のロビーでは、公開を記念してチョットしたディスプレイが設置されている。

60vひと際目を惹くのが我がMarshallだろう。
1959のフル・スタック(三段積み)。

70映画で使われているのは1975~1981年の間の「JMP期」と呼ばれている時代の1959なので、このディスプレイとはルックスが異なる。
この時代から以降のJCM800時代には1969も目まぐるしく姿を変えたが、「100W、4インプット、マスター・ボリュームなし」という「1959」の定義はブレていない。

80映画とMarshallの関わりについての解説。
映画の主人公のひとりであるナイジェル・タフネルが、「Marshall Law」という宣伝小冊子に登場した時の記事が展示されている。
90そして、JCM900シリーズの発表時にはナイジェルがMarshallの宣伝大使を務めたことはファンならご存知であろう。
コレね。

108_2nt この主演のナイジェル・タフネルについて少し。
この人、本名をクリストファー・ゲストという。
イヤ、本当の本名は「クリストファー・ヘイデン-ゲスト、第5代ヘイデン-ゲスト男爵」という。
以前から家柄が良いということは聞いていたけど、この人、ホンモノの貴族なの。
「ホンモノ」というのは先祖代々「貴族」ということ。
今はポール・マッカートニーも、エルトン・ジョンも、アンドリュー・ロイド・ウェーバーもみんな頭に「Sir(サー)」がついてるけど、コレらは一代限りで終わりの「にわか貴族」。
このゲストさんのような男爵(Baron、女性はBaroness)以上になることは、普通できない。
「ヘイデン-ゲスト」というのは連合王国の爵位で、ナイジェル…じゃない、クリストファーは現在でもそこの第5代の当主を務めていて、ブレア政権の時までイギリス上院に議席を持っていたっていうんだからスゴイ。
「オレのサイロ」がどうのなってやってる場合じゃない。
ジム・マーシャルはクリストファーと仲良しだったそうで、よく「トニー、トニー」と言っていたけど、こういう関係があったのかも知れんな。
私も仕事柄イギリス関連の本を読むことが少なくなく、そこでよく出くわすのが貴族に関する記述。
貴族にも色々あるにしても、イギリスの貴族ってのはマァ、スゴいよ。
普通の人類じゃないからね。ビックリするとうな話がゴマンとある。コレはまた別の機会に…。
ジェイミー・リー・カーティスがクリストファーにホレるのもムリはない。
下はヘイデン-ゲスト家の家紋だそうです。

Fe さぁ、現実に戻って。
スパイナル・タップの25周年を記念して2009年にMarshallが製作したロゴ入りのアンプの写真なんてのも飾ってある。
モデルは1959とJCM900 4100。

100vもちろん1959のノブの目盛りは「11」まである。
本当は実物が展示できればヨカッタんだけど、私が工場で撮ってきた写真でガマンしてください。

110映画に関する古今東西のスクラップ記事。

115vおお~!
ストーンヘンジまで!

120ちなみにストーン・ヘンジをテーマにしたロック・アルバムってのが太古の昔にあった。
それはTen Years Afterの作品で、タイトルはドンズバの『Stonehenge』。
ウッドストックでアルヴィン・リーを知ってブッ飛んで買ってみたけど、中学生の子供にはまったく面白くなくてすぐに誰かに売ってしまった。
それ以来聴いたことがない。

130cdついでに…ストーンヘンジがあるのはロンドンから西へ200km行ったソールズベリーの近く。
ピーター・ガブリエルの最初のソロ・アルバムにその名も「Salisbury(ソールズベリー)」という曲があってね。
コレが大スキだった。
ソールズベリー大聖堂というのも有名だし、一度はストーンヘンジを見てみたいとも思うんだけど、遠いからな~。

140cdハハハ!
注意書きも凝ってる。

150「"指さし"もOK」の意味は映画を観ればわかる。
ちなみにあのシーン、ズラリと並んだナイジェルの愛器はLAの「Norman's Rare Guitars」というビンテージ楽器店からの借用品。
L-5がすごく良さそうで気になる。

160あ~あ~、「タイアップ TO 11 メニュー」だって!
ようやるわ~。

165このギターはナイジェル・タフネル・モデルだそう。
そして、右下。170v私の宝物、「Spinal Tap」のロゴ入りのMS-2も展示して頂いている。

180して、いよいよ上映。
記念すべき『スパイナル・タップ』日本劇場初公開の2回目上映。
初日来場特典ということでMarshallのランヤードをもらっちゃった!
隣に座っていた女性のお客さん、このランヤードがすごくお気に召したようで「コレ、かわいい。こっちの替えよう」なんて声が聞こえてくる。
うれしんだけど、「コレ」呼ばわりか…。
やっぱり「まーしゃる」の名前は出て来んか~。

108_img_6785やっぱりミュージシャンはこの映画を観ている方が多く、時々『スパイナル・タップ』の話になると「11」の話が大抵出て来る。

でも、CONCDERTO MOONの島ノンちゃんはサスガ違うことを言っていたな。
「Dmは最も悲しい響きのキーだ」と、ナイジェルが創作中のマイナー・ソングをロブ・ライナーにピアノを弾いて聞かせるシーン。
ノンちゃんはココがお気に入りのようだ。
Ns考えてみればノンちゃんが愛用しているMarshallは1967 MAJORといって、「ボリュームが11」どころか出力が200Wと、ナイジェルのMarshallの倍ほど音が大きいからね。

Mjこの映画って「ロック・バンドのあるある」を徹底的にリアルに追求しているワケなんだけど、今回久しぶりに観て、若い人には理解できない部分がたくさんあるんじゃないかと思った。
例えば、そのボリューム「11」のくだり。
今は大音量の代名詞である「Marshallの壁」を作りたがる若いギタリストはほぼいない。
「作りたがらない」というより知らないのだ。
The WhoとThe Small Facesが爆音合戦を展開したように、 そもそもロックバンドが「大音量であるべき」という哲学を若い人たちは持ち合わせていない。
だから、どうしてボリュームを「11」にまでして大きな音を出す必要性があるのかを理解できないのではないか?
それからジャケット。
映画では新作『Smell the Gloves』のジャケットで大モメにモメるが、ジャケットを必要としない配信が当たり前となった昨今、なぜスパイナル・タップのメンバーとマネージャーがムキになってジャケットのデザインでモメているのかわからないだろう。
ま、時代だから仕方ない…で片づけちゃえばいいんだろうけど…。
 
他にロックや欧米の文化の知識が豊富であれば豊富であるほど楽しめるようにできているんだよね。
例えば、ドラマーの相次ぐ死。
コレはキース・ムーンとジョン・ボーナムのパロディでしょう?
下は先に紹介したイギリス盤のDVDに入っているリーフレットと盤。
200リーフレットにはメンバー紹介が載っているんだけど、ドラマーのところは「NECROLOGY」となっている。
「necrology」というのは「死亡者名簿」のこと。
2台目のドラマー、Eric 'Stumpy Joe' Childsというのが映画の中に出て来るが、スパイナル・タップの以前のビデオでは西海岸の名セッションドラマー、ラス・カンケルが演じたらしい。
このスタンピー・ジョーは他人のゲロを喉に詰まらせて窒息死した、というシーンが出て来るが、コレはジミ・ヘンドリックスだよね。
このリーフレットの右ページにあるキャストの一覧表がMarshallのコンボ・アンプになってる。
しかも、アンプとキャビネットが上下逆さま。コントロールのノブもおかしい。
でも、キャビネットについているプラークには「VERY LOUD」と刻まれていて、フォントもホンモノっぽいところが面白い。

210また、ボーナス・ディスクのチャプターの扉はこんな風になっている。
1959のコントロール・パネル。
当然目盛りは11まで。

108_cp他にもいろいろある。
インタビューでナイジェルとデヴィッドは「スキッフルのバンドをやっていた」というくだりがあり。
スキッフルというのはロニー・ドネガンの1955年の「Rock Island Line」という曲に代表されるイギリスにおけるロックの前身の音楽。
つまりこの2人のキャリアが相当に古いということがわかる。
ロックンロール誕生の瞬間とされるビル・ヘイリーの「Rock 'round the Clock」も1955年のなので、ロニー・ドネガンも負けずに古い。
この「スキッフル」とか「ロニー・ドネガン」という名前を知っている人は日本ではそう多くないのではないか?
ところがイギリスへ行けば、オバサンでも知っている可能性がかなり高い。
どういうことかというと、彼らの「ロック」というのはスキッフルやブルースが確固たる礎になっていて、GSが起源となっている日本のロックとは成り立ちが全く違うということなんだな。
だから、今Greta Van Fleetなんてアメリカのバンドが話題になっているけど、イギリスではかつてのThe DarknessやThe Answerみたいなトラディショナルのテイストを持った若いバンドが「先祖返り的」にポコっと出て来るんだよね。
日本はコレができない。先祖に帰ることができない。ロックの下地がないから。

映画の冒頭でロブ・ライナーが「Let's boogie!」って言う。
アレ、向こうの人って言うんだよね、「boogie」って。
私のBoogie体験記はコチラをご覧アレ。
 
次、ナイジェルが自分のギターを自慢する時に、「このギターのサスティンがスゴイ」と説明しながら「ヒィ~~」とギターの音の口マネをするでしょ?
外人って本当にああやってやるんだよね。
1974Xを発売した時、仲良しのカナダのディストリビューターがしきりに同じことをしていたのを思い出した。

それからホテルで人気バンドにバッタリ出くわすシーンがある。
人気バンドのマネージャーはタップのマネージャーの名前を忘れて「リーアム…」と間違えた名前で呼びかける。

アレ、ワザとやってる。
大変失礼な話で、「リーアム」というのはイギリスに多い名前で、つまり弱小バンドのマネージャーの名前なんて覚えているワケがないということ。「佐藤さん」と呼んでおけば当たるかも知らないということ。
 
それに、シナトラの話をするリムジンの運転手が、運転席と客席の間の窓を閉めるナイジェルに向かって「Limey!(ライミ―)」と言う場面。
字幕では「クソイギリス野郎!」ぐらいになってたかな?
この「lime」というのはあの柑橘系のライム。
昔、イギリスの水兵はオレンジやらライムを大量に船に積み込んで航海した。
ナゼかというと、長い航海では新鮮な野菜を摂取することができず、壊血病で命を落とす人が多かったから。
壊血病はビタミンCの不足により罹患することがわかっていたので、柑橘系の食品とともに大航海時代を乗り切った。
そこから転じてイギリスの水兵を「Limey」と呼ぶようになり、イギリス人の蔑称として定着した…が、今はほとんど使われない言葉らしい。
イギリス人の「オーマイガー」の「Blimey(ブライミー)」と字面は似ているが関係ない。
ちなみに冬季には野菜がなくなるエスキモーの人たちは、ビタミンCを摂取するためにアザラシの内臓を生で食べる。
今はどうか知らないけど、その辺りのことを記した新田次郎の『アラスカ物語』はヤケクソに面白かった。

215v_bプログラムはこんな感じ。コレも「11」でカッコいい!
日本劇場初公開ということは史上初の日本語のプログラムとなる。
『スパイナル・タップ』のトリビアなんてのも載ってるんだけど、「プログラム」ってのは内容なんてどうだっていい。
一般的には、そもそも「あらすじ」なんてのが載っていること自体おかしい。
だって実物を観てるワケだから。
それに今ではウィキペディアなんかで、スタッフやキャスト等の細かい情報も無料でゲットできちゃうじゃん?
私も小学生の時から集めたプログラムが本棚イッパイぐらいあった。
でも引っ越しの時にオヤジが全部捨てちゃったんだよね~。
その頃にはもう音楽にドップリ浸かっていたので、さほどハラは立たなかったけど、思い出がスッ飛んじゃったな~。
ようするにプログラムは記念と証拠なんですよ。
だから私は特に海外で観たミュージカルのプログラムなんかは、どんなに高くてバカバカしくても買ってコレクションするようにしている。
ということで、このプログラムもお買い求めになることをおススメします。

2_0r4a8480 あ、最後にもうひとつ。
映画の中で、ステージに行くときに通路で迷っちゃう場面があるでしょ?
アレとは別に、ステージに行く時、普段はガヤガヤと賑わっている客席からナゼかモノ音が聞こえて来ない。
メンバーは怪訝に思うのだが、「イヤイヤ、オレたちがステージに現れればドッカーン間違いないよ!」なんて言っていて、イザステージに上がると客席には誰もいなくて、公演がキャンセルになったか、公演日を間違えてアララ…みたいなシーンがあったように記憶しているんだけど、今回観たところそういうシーンはなし。
それこそ怪訝に思ってDVDを観たけど、やっぱりなし(おかげでこの映画、2日間で3回も観るハメになったわ)。
私の思い違いなんだろうけど、どなたか私に同意してくれる古いタップ・ファンはいない?

エンドロールにはドラム・キットの提供者としてLudwigの名前が、そして協力者としてB.C. RichとZildjianのクレジットが入っているが、Marshallはなし。
今、ワタシが協力していますから!

  
私がお邪魔した回は満席。
この調子でひとりでも多くの人にこの映画を観てもらいたいものだ。
まだ細かいスケジュールは決定していないようだが、新宿武蔵野館を皮切りに全国をブギして回る予定なのでお見逃しなく!
やっぱり映画は映画館で観るもんですな。
 
映画『スパイナル・タップ』の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

240v

200_2 
(敬称略 2018年6月16日 新宿武蔵野館にて撮影)

2018年6月12日 (火)

ヒロコマンBIG BAND 春パーティー!! <後編>

  
ヒロコマンBAG BANDの『春パーティー』の第1部が終了し、休憩時間に入った。
この休憩時間を拝借して少し自分の過去について書きたいと思う。
ま、しょっちゅう書いてるけど、今までに触れたことのない私の白歴史だ。
まずは私の名言から…
  
「青春」とは己を知らない時期を指す
 
つまり、どういうことかというと、ワタシ、大学の1年生の頃までは本気でプロのロック・ギタリストになりたいと思っていたのですよ。すなわち40年前の話ね。
「若さ」というものは美しいまでに無謀だ。
当時は今みたいにバンドの数も多くなく、ライブハウスのような演奏をする場所も極端に少なかった。もちろん「インディーズ」なんて言葉もない時代で、「デビューする」というのはメジャーのレコード会社から音源を発売することと同義だった。イヤ、それが「デビュー」ということだった。
そもそも、少なくとも私の周りでは「音源」なんていう言葉も当時は使われていなかったし、「楽曲」なんて言葉も耳にすることはなかった。
さらにコンサートに行くことを「参戦」だなんて言わなかったし、ましてや「ツーマン」だの「スリーマン」だのという、みっともない言葉もなかった。
ま、「ロックがまだおカタかった時代」とでもいうのかな?
それだけにライブハウスに出ているお兄さんたちはロックのカタマリみたいなスゴイ人たちばかりで、カッコやファッションで音楽をやっている人はまだ少なかった。
今にして思うと、まだ、英米に追いつき追い越せ!と日本のロックを確立するのにみんな躍起になっていた時代だったんだな。
それに「30歳までにデビューしなかったらまず芽は出ない」とされていて、それでもバンドを続けている人はアタマがおかしいか、家に金があるか…のどちらかと言われていた。
そんな世界に高校の文化祭に出て校内でチヤホヤされる程度のワタシなんかが行ってごらんなさい。
いくら私でもそんな中に入れば、自分に才能がないぐらいのことはわかるじゃん?
「このまま続けていても人生を棒に振るだけだ!」と思い、3年生の時に学校にシッカリ戻ったワケですよ。
ちゃんと堅気のカイシャに就職するために…。
朝早く起きて1年生に混ざって体育の授業を受けたりして、とにかく単位を取り戻すのが大変だった。
それで、今でもそうなんだろうけど、就職試験を受ける時には部活をやっていないとツブシが利かない…ということでナニかクラブに入ることにした。
まさか、少林寺拳法を始めるワケにもいかないし、カバディはその頃まだなかったし、将棋は回り将棋しかできないし…。
で、やっぱり音楽系のクラブに入れてもらうことにした。
それとて今更オーボエなんか咥えたところで音が出るワケないし、そもそも譜面に弱くてラチがあかない。
かといって、プロに交じってひと通りライブハウスなんかを経験しているもんだから、ロック系のクラブもツマらない。
その頃のロックは右を見ても、左を見てもパンクだ、テクノだ…の時代で、世に出て来る新しいモノにウンザリしていて、しばらく前からロックから離れ、サッパリわからなかったけどジャズにのめり込んでいた。
それで、ビッグバンドに入っていたクラス・メイトに相談してみた。
「ウッシーならゼンゼン平気だよ。バンマスだってできるんじゃない?」…んなワケね~だろう。
でも軽薄な中にもシッカリした誠実さを持つその友人は、すぐにオーケストラに本話をつけてくれて本当に入部させてもらうことになった。
もう3年生も半ばのことだった。
私は明治大学だったので、そのオーケストラはBig Sounds Society Orchestraということになる。

10ここから秘蔵写真が続く。
下は冬の合宿のようす。
山中湖のスタジオつきの民宿。

20エラく寒かったけど楽しかった。

40vコレのために分割で中古のGibson ES-175Dを買ってね~。

50v_2以前の記事に、イギリスで開かれたジム・マーシャルのお別れの会に出席するために、当時持っていたほとんどのギターを処分したことを書いた。
でもこのギターは手放さなかった。
まったく大したギターじゃないけど、思い出がたくさん詰まってるからだ。

60vコレはFM東京のスタジオ。
大学のビッグバンドを特集した番組があって、それのレコーディングの時のようす。
ギターはブースが別になっていたのであんなところからみんなの所を覗き込んでる。
70_2コレは夏の合宿の時のようす。
千葉のどこかのスタジオつきの民宿。
確かロサンゼルス・オリンピックが開催された年で、トランペットの連中があのジョン・ウイリアムスが作曲したテーマ曲を吹いていたのを思い出す。
楽しかったナァ。
私は根っからのヘソまがりのワガママで、生来団体活動がすごく苦手でしてね。
実はコレが生まれて初めてチャンとやったクラブ活動だったの。
そんなだから、年に一度のクラブ活動の集大成となるリサイタルの前に行われる合宿の最終日の打ち上げで号泣しちゃってサ。
私みたいなヤツを途中から快く仲間に入れてくれてサ…みんなで面倒をみてくれてサ…それで友達っていいなって…ああ、思い出しただけでまた涙が出て来る。あんなの初めてのことだった。
そしたらもらい泣きすつヤツが何人も出て来てね~。
「ウッシー、泣くなよ!オレまで涙が出て来ちゃったじゃないか!」…なんて。
それでもああいう時に何でもないヤツもいるんだよね。
この写真の一番左の手前の人がそう。
サキソフォン界の重鎮のひとり、今尾敏道。
「ナニナニ、みんなナンで泣いてんのッ?」と涙ひとつこぼさなかった。
彼とは映画の趣味も共通で、今でも時折連絡を取り合っている。
チョット前も電話で遊郭の話をして盛り上がった。

30そして、いよいよ迎えた最後の演奏、リサイタル。
会場は有楽町のよみうりホール。
今は下はビックカメラになっているけど、当時は「そごう」だったんだよ。
ついでに言うと、その向こうの、今東京フォーラムがある場所にはかつて都庁があって、シケた建物が並んでいた。

80_2このギター、どこへ行っちゃったかな~。
しかし、カッコ悪いな、私は。
夢中になっちゃってる。
まだTシャツが「イン」の時代だ。

90v真ん中で指揮をしているのは故・谷啓さん。
ご存知の通り、谷さんはトロンボニストで中央大学のスイング・クリスタル・オーケストラのOBだが、快く出演してくれてご自分で編曲した譜面を持参頂いた。
その中に「瀬戸の花嫁」のメロディをギターで弾くパートがあった。
それがスゴイ変なメロディで、リハーサルの時に「ウッシー、それおかしいんじゃないの?」とみんなに責められた。私が譜面に弱いことをみんな知ってるからね。疑ってるワケ。
ところが、私が弾いたメロディは谷さんの思惑通りで、みんなで演奏してみると、あの「♪瀬戸は~」のメロディがマイナーにアレンジされていることがわかった。
さすが谷さん~、ってな具合。
「谷啓と演奏した」なんて一生の思い出だよ。

100_2この日のために同じ曲を何度も何度も繰り返し練習して…その甲斐あって、我ながらすごく上手に演奏できたと思ったナァ。
このリサイタルの頃には就職もキマっていて、将来の心配なんか何もなく…とにかく楽しかった。
今も楽しいけど。

110ハイ、休憩終わり!
ナゼ、私の昔の話を持ち出したのかと言うと…今日の主役、古屋ヒロコちゃんは私の大学の後輩だからなのだ!
つまり彼女もBig Sounds Society Orchestra(BSSO)にいたというワケ。
ヒロコちゃんだけでなく、ヒロコマンBig Bandには少ない数のBSSOのOBが参加していたのです。
ってんで少しだけ先輩風邪を吹かせてみた…というワケ。
 
ところで昨日、The Manhattan Transferのところで「ヴォーカリーズ」について触れたけど、クラシックに「Vocalise」という手法があることを昨日たまたまブックオフで買った280円のCDで知ったのでココに記しておくね。。
ラフマニノフの「Vocalise Op34 No.14」なんてのがそれで、ジョン・ヘンドリックのヴォーカリーズとは正反対に、歌詞がなくて「♪アアアア~」と母音だけでメロディを歌うスタイル。
コレがすごくて、なかなかに圧倒されてしまった。
やっぱり才能がない私は、こうして音楽に関する色んなことを細かく調べて、Marshall Blogを通じて「音」ではなく「言葉」で皆さんに接する方が向いているようだ。
 
さぁさ、第2部のはじまり、はじまり~!
「2回目のこんばんは~!」
第2部になってもヒロコマンのテンションは全く下がらず。
「次はすごくいい曲です」

120v_2…とまたカウント・ベイシー。
曲は「ディスコモーション」。
ワタシ、コレってずっと「ディスコ・モーション」かと思ってたんだよね。みんなそうやって発音するからサ。
正しくは「ディス・コモーション」なんだよ。
「インディ・アナポリス」みたいなモノ。
でも「discommotion」という単語は存在しないようで、作曲者のフランク・フォスターの造語なのかしらん?私は知りません。
「comotion」は「動揺」とか「興奮」とか「騒乱」という意味。
それに反意を示す「dis-」という接頭辞がついているので「我、動ぜず」みたいな意味?イヤイヤ知らない、知らない!
知らないことを「知らない」と正直に言うのはMarshall Blogのひとつのルールなのです。

130_dcトランペット・ソリが鮮やかにキマる!

140_2暗くて撮れなかったけど、4番ラッパは菅谷隆介。

150v_2「すっごく気持ちいい~!実は8年ぶりにビッグバンドをやるんです」
もっと長いこと遠ざかっていたような喜びようだ。
「他にOMATSURIESというバンドをやっていまして、『Champagne Fight』という曲を作りました。今日は小雪ちゃんとビッグバンド・アレンジをしてきました!
一緒にお酒を飲んで楽しいな~、という気持ちで演ります」

160v_cf今日2回目の金管ガールズ・フィーチュア。
小雪ちゃんは北海道出身で、サバがお好きなのだそうだ。
サバおいしいもんね~。

170v_2佐々木さんのギター・ソロから…

2_s41a0024フロントの2人のソロへ!

190v_2まさにあのおめでたいシャンパンのぶっかけ合いのようなにぎやかな演奏!

200v_2雰囲気が変わって「夢の中にいるような曲」とヒロコちゃんが紹介したのは石川周之介のソプラノ・サックスをフィーチュアした「Second Chanses」という曲。
コレもゴードン・グッドウィンのレパートリーなのね。

210_scカーヴド・ソプラノを華麗に吹く石川さん。
この楽器、ウェイン・ショーターがLive Under the Skyで使っているところをジャズ・ライフ誌が紹介したことで知った。
フーン、管が曲がっているだけでそんなにスゴイものなのか…と思った。
通常のまっすぐなヤツより楽なんだろうね、きっと。

220v物販の紹介コーナー。

230_nfヒロコちゃんはさっきのOMATSURIESと東京アクティブNEETsというバンドにレギュラーで参加している。
今年で結成10周年を迎える東京アクティブNEETsの方は、今日リズム隊を務めているピアノの「赤い流星」、ベースの「蒼い刹那」、ドラムスの「白いイブリガッコ」もメンバーとして参加している。
すなわちNATALバンドということ…と来ればいいバンドに決まってる。
そこで、このコンサートの数日後にライブがあったので早速取材して来た。
その時の記事は近日紹介される予定なのでお楽しみに!
私の「現代エンタテインメント論」もそこに記す予定。
下はヒロコマンが手にしている東京アクティブNEETsのアルバムね。
 

東京アクティブNEETsの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

Jazzb_mさてさて、本日のサプライズ写真の第2弾といきましょうか。
昨日ヒロコちゃんとメールでやりとりをしていて驚いた!
ヒロコちゃん、Marshall Blogに出たことがある…っていうのよ。
エエ~!
失礼ながらまったく記憶になかったので、いつのことかを尋ねてみたところ、2015年の『NAONのYAON』のことで、元ピンクレディの未唯さんのステージのホーン・セクションに参加していたというのだ。
早速チェ~ック!
記事はコレ ↓   ↓   ↓
NAONのYAON 2015】 vol.5 : 山下久美子、シークレット・ゲスト、YU-KI、杏子登場!
 
ウン、確かに出てるには出てるんだけど、残念ながらあゆみさんの影に隠れてしまってホンの少ししか写っていない。
ってんで、未発表の他の写真を探してみた。
ホントだ!いたいた!…こんな感じ。
右の黒い衣装の人が未唯さん。
左に少し見えている白い衣装の人は中村あゆみさん。
そして真ん中がヒロコマン。

2_img_0029ね、真剣な表情で「♪ユッフォー」ってやってる!

2_img_0011ハイ、今日はドラムスの伊藤ショボン太一がNATALということで記事をお送りしていますよ~。
時々書いておかないと宣伝にならん!

240コレがショボンちゃんの愛器、NATALのウォルナット。
250_2バスドラが22"で、少しジャズには低音がキツイかな?と思ったけど…

260そこは「白いイブリガッコ」の異名を取る名手、ショボンちゃんのこと。
そのバスドラのサウンドを活かしてド迫力にしてオシャレな4ビートを聴かせてくれた。
ショボンちゃんのドラミングは聴いててホントに気持ちがいい。

270v_2続いては「Native Face」という人気オリジナル曲。

290ココではリードの菅野浩と…

300v_23番の岩本義雄のアルト・バトル。
いいよね、アルト・サックスのバトルってのは。
この時も大変にスリリングだった。

310vナゼかは知らないけど、アルト・サックスのコンビってのは盛んなんだよね。
例えば、フィル・ウッズとジーン・クィル。

01_pqジャッキー・マクリーンとジョン・ジェンキンス。

01jpフィル・ウッズとリッチー・コール。

01_pr更にアート・ペッパーとソニー・スティットの組み合わせ等々。
コレがテナーだったらロリンズ&コルトレーンの『Tenor Madness』とグリフィン、コルトレーン&モブレーの『Blowing Session』ぐらいしかスラっと出て来ないもんね。
きっとアルト・サックスはバトル向きの楽器なのだろう。

01_as きらびやかな流星さんのピアノ・ソロが続く。320この曲では金山敦史のプレイも見ものだった。
シェケレから…

330v_2ボンゴまで多種多様なパーカションでサウンドに彩を添えた。
金山さんとは「虹色オーケストラ」の時以来。
彼にはすごく感謝していることがありましてね。
「虹色オーケストラ」のリハーサルの時にジーンズ生地のジャージがあることを私に教えてくれたの。
教わってすぐに買いに行った。
腰の悪い私にとってはコレがもう快適で、快適で…。
それからというもの、それ一辺倒。
アウトレットで見つけるたびに買い備えているのです。
金山さん、EDWINさん、ありがとう!

335刹那さんはエレベに持ち替え。

340vこのブログでアート・ペッパーの名前が出る機会なんて滅多にないので、ついでに紹介しておくが、この『ストレート・ライフ』という自伝、メッチャおもしろかった。
麻薬禍で人生の大半を刑務所で過ごしたという天才アルト・サキソフォニストの人生。
もう時効になってるだろうから書いちゃうけど、昔に勤めていた会社にいた時の話。
昼休みにこの本を読んでて、あんまりおもしろくて夢中になっちゃってサ。
500ページを超す大著なんだけど、どうしても最後まで一気に読みたくて、営業に行くフリをして某市役所の休憩室に入り込んで半日ブッ続けで読んだことがあった。
生涯で私が仕事をサボったのは、この時と『シンドラーのリスト』を観た時だけだ。
あの時、昼間明るいウチに入った映画館から出て来たら、外が真っ暗になっていたのでちょっとビビった。
映画に惹き込まれてしまって時間の経過をスッカリ忘れてしまったのだ。

01a_2_sl2_またヒロコちゃんと小雪ちゃんのコーナー!

350_www今度はサッチモの「What a Wonderful World」。
人気あるネェ、この曲。
明るくハッピーなアレンジで楽しいなったら、楽しいな!

360_2「最後の曲になりました~!」
「エエ~!」
「山梨県甲斐市敷島出身の私がバディ・リッチに頼んで作ってもらった曲です。『Time Check』!」
ウソですよ~!
そもそもこの曲は<前編>に登場したドン・メンザの作曲ですから。

370v_tcしかし、カッコいい曲だ。
モダン・ビッグバンド・サウンドのお手本みたいなナンバーですな。
ロブ・マッコーネルとかビル・ホルマンとか好きなんだよね、ワタシ。
380_2Go ahead, Shobon!!

400今からちょうど20年前にニューヨークのボトムラインでバディ・リッチ・ビッグバンドを観た。
もうその時にはバディ・リッチは亡くなっていたので、ドラムスはデイヴ・ウェックルだった。
ウェックルがフィルをキメるたびに客席から「ウェッコー!」と掛け声がかかった。
それほどカッコよかった。
でもネ、私はバディ・リッチの片腕だったテナーのスティーブ・マーカスの方がカッコいいと思った。

390_2やれ『Tomorrow Never Knows』だの、『Count Rock Band』だの、『The Lord's Prayer〛だの、ジャズ・ロックのアルバムで有名なマーカス。
そういうのもモチロン悪くはないんだけど、私の愛聴盤はこの『Smile』というストレート・アヘッドなジャズ・アルバム。
メッチャかっこいい!

Sms ド派手に締めくくった本編から間を開けずにアンコールに移る。
まずカウント・ベイシーの「Wirlybird」を取り上げた。
「whirlybird」ってアメリカの古いスラングで、「ヘリコプター」を意味するんだよね。
BSSOだけあって、やっぱりベイシーで来たか…。
いいことだ!

410_wb昨日から今日にかけて果たして何回「カウント・ベイシー」という文字をタイプしたか知らんが、実は私は全く詳しくない…と言うより、熱心に聴いたことがない。
でも『The Atomic Mr. Basie』とか『Basie Straight Ahead』のような代表作は聴いているつもり。
2001年に今はなき六本木のスイート・ベイジルでシンバルのZildjianの関連のコンサート開催された。頼まれて私が台本を書いたのだが、菅沼孝三さんとBSSOを組み合わせるアイデアがすぐに出て来た。
それと同時に演奏する曲もキマっていた。
それは『Basie Straight Ahead』の「Magic Flea」だった。
あの演奏後の信じられないぐらいの大きな歓声は今でも覚えている。
 
それでは、ベイシーのお気に入りアルバムは?と訊かれたらヘソ曲がり全開でこの2枚を選ぶかも。
ひとつはビートルズのカバー・アルバム『Basie's Beatle Bag』。
原曲に媚びることなく、ジョンとポールを無視したベイシー・サウンド炸裂のアレンジが痛快。

01_basiebeatlesそれと「007(ドイツ語だと'ヌルヌルズィーブン')」の挿入歌集『Basie Meets Bond』。
そもそも「ジェイムズ・ボンドのテーマ」の最後の方ってベイシーっぽいじゃん?
映画では初代ボンド・ガールのウルスラ・アンドレスが歌った「Underneath the Mango Tree」が入っているのがうれしい。
ジェイムズ・ボンドが歌い継いでナンパするシーン。
この曲、小学生の時大スキだった。
「ウルスラ(Ursula)」という女性の名前、英語では「アーシュラ」と発音する。

01_jbマイルスの『The Man with the Horn』に「Ursula」って曲が入ってるでしょ?
このアルバムが発売されて来日した時のマイルスへのインタビューが面白かった。
インタビュアーがこのアルバムの収録曲について1曲ずつマイルスに質問するという趣向だ。
「『ウルスラ』についてはいかがですか」
「ああ?…ナンダ?ナニ言ってんだ?」
「あ、あ、あの『ウルスラ』です」
「『ウルスラ』って一体何のことだ?オマエ、もしかして『アーシュラ』のことを訊いてんのか?」
コエ~!
ま、コレは少しオーバーに書いたけど、マイルス・デイビスという人間の雰囲気が伝わって来て面白かった。

Mh せっかくマイルスが出て来たのでハービー・ハンコック経由でベイシーに戻ろう。
それは2枚組のライブ・アルバム『V.S.O.P.』。
コレの「Eye of the Hurricane」の前にハービーがメンバーを紹介してるでしょ?
トニー・ウィリアムスから始まって、「オン・ベース、ミスター、ウォン・キャ―ラ―」とかいうヤツ。
この部分は古今東西、音源として残っているモノの中で最もカッコいいメンバー紹介とされているらしい。
実際、ジャズとは縁遠いロックしか聴かない若い子がウチに来た時にコレを聴かせても「マジでカッコいいッスね!」と感動して帰っていくもん。01a_2_2img_6727 それと同じぐらいカッコいいメンバー紹介が収められているのがこの3枚組ライブ・アルバム『Jazz at the Santa Monica Civic '72』。
カウント・ベイシーがエラ・フィッツジェラルドのバックを務めているのでココで引き合いに出してみた。
「You've Got a Friend」や「What's Going on」なんかも演っているのでロック・リスナーにも聴きやすいハズだ。
で、そのカッコいいメンバー紹介というのは残念ながらエラとベイシーの共演ではなくて、最後のジャム・セッションのところ。
エリントンの「C Jam Blues」の中でエラが最高に可愛らしく、メロディをつけて次のソリストを紹介していく。
私のベイシーはそんなもんです。

01_smc「もう1曲演ってもいいですかッ?!」
最後の最後にもヒロコマンと小雪ちゃんのコンビを持ってきた。

420_um何ともにぎやかな「上を向いて歩こう」!

430_2全員のソロ回しがあって、ショボンちゃんの番が来るとアララ…

440_2ショボンちゃんのフィルを合図に曲が「ハッピーバースデイ」に変わっちゃった!
するとステージそでからケーキを持ったお友達が!
四代目罪袋とかいう人?

450_2トランペットを吹くようにケーキのローソクをブロウ!

460「感動して泣きたいけど、面白すぎて泣けない!」

470…と、最後まで天真爛漫だったコンサートが終了した。
な、ナンだこの「台風一過」感は?!

480最後は記念撮影。
あ~、面白かった。
そして、大好きなジャズのことを自由に書くことができて楽しかった!
ヒロコちゃんどうもありがとう!いい後輩を持って私はシアワセだ!
ショボンちゃんにも大感謝!

490 
<オマケ>
Marshall Blogの読者の皆さんといえば、圧倒的にロックを愛好するギタリストが多いワケで…。
にもかかわらず最後までジャズに関する記事にお付き合い頂いた感謝の気持ちを込めて、ギターとオーケストラの共演アルバムを紹介させて頂きましょう。
今は聴いていなくても、いつかジャズを聴いてみたくなった時の参考になれば幸いです。
 
NOMAD/Dave Stryker with the Bill Warfield Big Band
最初デイヴ・ストライカーは好きじゃなかったんだけど、いつの間にかハマってしまってニューヨークを初めて訪れた際、かつてヴィレッジにあったVisiones(ヴィジョネス)というクラブに観に行った。
このアルバムはビッグバンドをしたがえたブルース・アルバムを標榜しているんだけど、肝心のブルース・ナンバーは面白くない。
ストレート・アヘッドなナンバーになるとストライカー節が炸裂して実にいい感じ。
このビッグバンドのことは知らない。
Ds 
Our Sound! / Steve Slagle
もしこんな解説でストライカーの興味を持ったら、スティープルチェイスのリーダー・アルバムもいいんだけど、アルトの盟友スティーヴ・スレイグルと共演した『Our Sound!』というアルバムがおススメ。
ストライカーのワイルドなバッキングで華麗なソロを展開するスレイグルもいいが、やっぱりゴリゴリと雑に弾き散らかすギターが快感。
「Little Rootie Tootie」なんかタマらんね。
「Carazy She Calls me」とかミンガスの「Haitian Fight Song」なんて選曲もグー。
スレイグルはMingus Big Bandのメンバーで、私はイースト・ヴィレッジのFezとかいうハコで観たことがあるが、ヤケクソにカッコよかった。

01a_2_ss
  
Fall Out / Terry Smith
コレはもう何度かMarshall Blogで紹介しているイギリス人ギタリスト、テリー・スミスのリーダー・アルバム。
正統派ビッグバンドをバックにゴリゴリと弾き切っている。
この人はイギリスのChicagoと言われたブラスロックの名門バンドIfのギタリスト。
すごく趣味のいいプレイヤーなんだけど作品が少ないのが残念。

Ts 
Jimmy & Wes the Dynamic Duo / Jimmy Smith & Wes Montgomery

大御所の共演。
初めて聴いた時はシビれたナァ。オケはオリバー・ネルソン。
1曲目のEbのブルース、「Down by the Riverside」のウェスのソロの2コーラス目の10~12小節にビビビと来たらもうウェスはヤメられない。
ウェスを聴き進めていくと存外に指グセが多いことに気付くが、そのクセのひとつひとつがジャズ・ギターの魅力に満ち溢れている。

Dy

Movin' Wes / Wes Momtgomery
ウェスは晩年のA&M時代のイージー・リスニング調の作品も含めオーケストラとの共演版を数多く残している。
コレはまだ初期の硬派時代の作品。
正直、1曲目の「Caravan」しか聴かないが、私にはそれで充分価値ありの1枚。
ヴェンチャーズとどっちがカッコいいか聴き比べてみるのも一興かも?

Mo
Fusion! / Wes Montgomery
チャーリー・パーカーに始まって、クリフォード・ブラウン、キャノンボール、ゲッツと、どうしてみんな「With Strings」をやりたがるかね~。
ジャズ・ミュージシャンの一種のステイタスなんだろうね。
ウェスはこの『Fusion!』というアルバムがそれ。テーマをツラツラ弾いているだけ。アドリブ・ソロのないウェスなんて速弾きをしないイングヴェイ・マルムスティーンみたいなモノだ。
よってこのアルバムはおススメではありません…だったら載せるな!ってか?

Fu 

So Much Guitar! / Wes Montgomery
コレはオマケ。反対にガンガン行っちゃうウェスということで…。
ウェス・モンゴメリーというとすぐに『Incredible Jazz Guitar』とか『Full House』とか『Half Note』とか『Boss Guitar』とか…この『So Much Guitar!』が話題になる機会に接したことがないけど、このアルバムって前作の『Movin' Along』でバリトン・ギターなんかを使って失敗したと思ったのかどうかは知らないが、タイトル通りの「So Much Guitar」。ウェスなら「Too Much Guitar!」でも大歓迎なんだけどね。
ややヤケクソ気味で従来のウェス節を連発させているところが素晴らしい。
私は『ウラ Incredible Jazz Guitar』だと思っている。

01_sl640

Big Boss Band / George Benson featuring the Count Basie Orchestra
ベンソンにベイシーという夢の組み合わせ。
ギターも弾いてるけど、基本は「ベンソン、歌のアルバム」ですな。
信州は上田のBIG SPOTで見つけたレンタル流れ品を300円で買った。
ジョージ・ベンソンのギターを聴くならブラザー・ジャック・マクダフ時代か60年代のリーダー・アルバム、そして必殺は1973年のライブ盤『Jazz on a Sunday Afternoon』の2連作だろうナァ。でも、このアルバム、音が悪いのがタマにキズ。
しかし、ジョージ・ベンソンの顔って、60年代の真正黒人スタイルの方がカッコよかったと思うのは私だけではあるまい。

Gb

In Humburg / Joe Pass
ジョー・パスが珍しくオーケストラと共演しているライブ盤。
コレ、いいんだゼ~。
ビッグバンドはドイツのNDR Big Bandでそれにストリングスが乗っかってる。
選曲も歌モノが中心で、トロけるようなギター・ジャズがテンコ盛りにツマってる。
ホレス・シルヴァーの「Sister Sadie」を取り上げているところなんかも面白い。

Jp1

Live at Elder Hall, Adelaide / Joe Pass
またオマケ情報。
ジョー・パスといえば『Virtuoso』。このアルバムのヒットのおかげで雨後のタケノコのようにソロ・ギター・アルバムが出て来ちゃった。
ジョー・パス好きとしてはナンダカンダで手を出してしまうワケだが、一番ヨカッタのはこのオーストラリアはアデレードでのライブ盤。
クリニックみたいな雰囲気で「さぁて、次はナニを演ろっかナァ~」みたいなリラックスした雰囲気がとてもいいんだけど、出て来るフレーズは鬼クラスばかり。
亡くなる4年前の1990年の録音。晩年の一番いい時を捉えた1枚だと思う。

Jp2
 
Two for the Road / Herb Ellis & Joe Pass
オマケのオマケのオマケ。
昨日ビッグバンドの四つ切りギターについて書いたが、それのお手本のような演奏をひとつ。
弾き手はハーブ・エリス。
2種類の速さで「Cherokee」を演奏しているが、密度の濃いフレーズで空間を埋め尽くすジョー・パスのプレイに引っ張られてはイケない。
バックで4分音符を刻みつづけるハーブ・エリスのプレイに注目。
コレぞ超絶!
ちなみに「Two for the road」というのは「最後のイッパイ」を意味する「One for the road」のシャレ。
向こうの人と酒を飲んでいてお開きになる寸前、締めの前の最後のイッパイを飲む時に「one for the road!」と言うことがよくある。
そういう時、キマってこのアルバムのハーブ・エリスのプレイを思い出す。

2_img_6728
Romanesque / 渡辺香津美
最後は香津美さん。
オーケストラをバックにジャンゴとエリントンのナンバーを収録したライブ盤。
水を得た高級錦鯉のような香津美さんのゴージャスな演奏は言うに及ばず、「Minor Swing(1937年バージョン)」のジャンゴのソロのオーケストレイションなんかもうれしい愛聴盤。

Kw 
Jazz Orchestra '75 / 水野修孝
香津美さんをもう1枚。こちらは客演盤。
水野さんという方は、千葉大のオーケストラでヴィオラを弾いていたが、指揮をするようになり、作曲家を志して、半年で受験の準備を整えて芸大の楽理科に合格した才能のカタマリのような人。
60年代の後半に渡辺貞夫さんにジャズ理論を師事し、制作したアルバムが『Jazz Orchestra '73』と『Jazz Orchestra '75』。
この『'75』の方に香津美さんが参加していて、宮間利之とニューハードをバックにスケールの大きなソロをくりひろげる。
その後、『水野修孝の世界』というライブ・アルバムもリリースされ、そこでも香津美さんが当時愛用していたアレンビックで凄まじいソロを聴かせてくれる。
今、『'75』と『世界』のおいしいところをコンパイルしてCDになっているんだよね~。
ま、言い換えれば、香津美さんのソロを聴くためのアルバムだ。
数年前にこのCDの存在を知った時、自分と同じことを考えている人がいるもんだナァと驚いた。
というのは、30年前、大学の時に私はコレとまったく同じことをカセット・テープでやってたから。

Sm 
以上!
最後までお付き合いしてくださったロック・ファンの皆さま、ありがとうございました!
特に若い人!人間、やっぱり若いウチが勝負です。色んないい音楽をたくさん聴いて豊かな人生を送ってくださいね。
ギターを弾く時はMarshallだけでいいのよ。
 
最後にもう1回NATAL!

510 1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

500 

200 
(一部敬称略 2018年4月16日 高円寺HIGHにて撮影)

2018年6月11日 (月)

ヒロコマンBIG BAND 春パーティー!! <前編>

  
ナンダカンダで10年もの長きにわたってMarshall Blogを続けて来たが、ジャズのビッグバンドを取り上げるのはコレが初めてのことではなかろうか?
部分的には脱線の中で何度もデューク・エリントンやら穐吉敏子に触れているが、ビッグバンドが主役の記事は以前になかったハズだ。
そこで~、まさかの2本立て…ジャズ好きな私としてはうれしいったらありゃしないのだ。
ロック・ファンにも読んでもらえるよう、例によって公私混同の脱線を挟み込みながらお送りするので<後編>の最後までご覧頂くことを願う。
  
今日登場するのは『ヒロコマンBIG BAND』。
『春パーティ』と銘打ったコンサートだ。20v会場は開店から10周年を迎えた高円寺のHIGHというお店。
高円寺といえばSHOW BOATやらJIROKICHIやら、比較的訪れる機会の多いエリアだが、ココは初めて。
天井が高く、スゴくいいお店で、今まで訪れる機会がなかったのを残念に思った。

10vこの人がヒロコマンBIG BANDのバンド・マスターにしてトランぺッター、「ヒロコマン」こと古屋ひろこ。
初対面ながらとてもそうとは思えないタイプのキャラ。
そんな特技(?)を活かして、トランペットだけでなくMCでも終始大活躍だった。
そういえば、「山梨は甲斐市敷島町出身」と自らを紹介していた。
「かいし?」…そんなのあった?、と思って調べてみたところ、ナニよ、20号線沿いの竜王町のあたりなのね?
2004年にできた新しい「市」ということでわからなかったけど、昔はこのあたりによく行ったんだ。
ホント、韮崎と市川大門は何度訪れたかわからない。
なつかしい。
モノの本によると、何でも武田信玄の軍隊っていうのは、色々な意味で日本の歴史上最も強かったらしい。
ヒロコちゃんのMCを聞いた途端このことを思い出したわ。

30vこういうのがビッグ・バンドね。
『8時だヨ!全員集合』とかのアレね。
ロック・ファンのためにチョコッと説明しておくと、普通は…
トランペット×4(たまに5)
トロンボーン×4(テナー×3、バス)
サキソフォン×5(アルト×2、テナー×2、バリトン)
リズムセクション(ピアノ、ギター、ベース、ドラム)
の18人で構成される。
で、管楽器のパートは番手によって役割がキマっているのが普通で、1番(リード)は主旋律を奏でる。
2番(セカンド)はソロが多い。
3番(サード)は複雑なハモリのメロディを担当する…という具合。
ロックと違って皆さん、譜面にお強いワケだけど、この3番のパートなんかは普通は覚えられないようなキテレツがメロディが多く、どんな譜面でも読みこなせないととても務まらない。
リズム・セクションにはギターがいないバンドも多いね。
先に挙げたエリントンや穐吉敏子のオーケストラからはお呼びがかからない…と言いたいところだけど、エリントンはジャンゴ・ラインハルトをゲストとして起用しているんだよね。サスガ。
反対にカウント・ベイシー・オーケストラなんてのは、フレディ・グリーン(後出)という名プレイヤーのギター・サウンドがシンボルにもなっていたんだから面白いじゃあ~りませんか。
ピアニストでもあるデューク・エリントンが「私の楽器はオーケストラだ」と言ったことがあった。奏でる楽器の音がひとりひとり異なるように、それぞれのオーケストラ固有のサウンドがあったというワケ。
さて、興味のない人にとって「ジャズ」というと、タキシードを着たオッサンが4、5人集まってワケのわからない音楽をゴチャゴチャ演っている…というのが普通のイメージになろうか?
そういう少人数のバンドのことをジャズでは「コンボ」という。
「combination」ですな。ネイティブさんは「combination」を「コンボネイション」と発音するからね…と思っているんだけど。
でも、皆さんが普通「ジャズ」と言うと思い浮かべるこのコンボの形態は、ビッグバンドが元になっているのね。
元々ジャズは踊るための音楽で、ビッグバンドが演奏する曲のソロの部分だけを切り取って観賞用の音楽になったのがその「コンボ・ジャズ」なの。
ビッグ・バンドでソロを担当する目立ちたがり屋の連中が「オレが、オレが!」と集まって「ソロだけでジャズを演っちまおうゼ!」となった場面を見たワケではないが、歴史的にはそういうことになっている。
ロック・ファンの皆さん、アメリカ好きでしょう?
あんな勝手なことばかりして世界を困らせている大統領を選ぶ国でもアメリカが好きなんでしょう?
だったらジャズを少し聴いてみるといいと思いますよ。
何しろ、ジャズは「アメリカの偉大な発明のひとつ」とされているんだから。

40前置きはココまで。
意外に早く本題に入る。
 
さて、ナンダってMarshall Blogにビッグバンドが登場するか…?
残念ながらMarshallがらみではない。
ドラムは非常に困難な役ですが、それを非常によくこなしている素晴らしいドラマー」…伊藤ショボン太一のからみ。

50vすなわち、このビッグバンドで使用されているドラムスがNATALなのだ!

60ショボンちゃん愛用のウォルナット(クルミ)のキット。
スネアはステイヴ(桶)。

70ショボンちゃんは他にバーチのNATALも持っているんだけど、深みと鋭さを兼ね備えたこのウォルナットのキットはオーケストラのサウンドにベスト・マッチする。

80しかし、いつの間にか譜面もこういうのが当たり前になっちゃったんだね~。

90コレは滅多に見れない画像。
オーケストラのドラマー側から見た景色。

100あるインタビューで、かのスティーヴ・ガッドが「アナタの夢は何ですか?」と訊かれて「ビッグバンドでフランク・シナトラのバックを務めることです」と答えていた。
ま、主眼はシナトラとの共演ということなのであろうが、「ビッグバンドで」と注文を付けていることがすごく印象に残っている。
やっぱりビッグバンドの花形はナント言ってもドラムだからね~。
その証拠に、バディ・リッチ、ルイ・ベルソン等、ドラマーをフィーチュアしたビッグバンドがあるぐらいだ。
ギタリストがリーダーのビッグバンドなんて聞いたことないもんね。
ビッグバンドのドラムスってのは、アクセントのスネアのタイミングが微妙にズレただけで自分以外の17人のメンバーに迷惑をかけてしまうというとてもシビアなパートですからね。
ビッグバンドのドラマーは並大抵の技術と神経では務まらないってばよ。

2_s41a0756まずは冒頭にヒロコマンの挨拶・
「こんばんは~!元気~?結構緊張しています。皆さんの『イエ~イ!』が力となります!ガハハハハッ!」
緊張のカケラも感じられない「ツカミ」がやたらと強力だ。
できれば私もこうやってMCや授業をやりたいものだ。
「今日はカッコいい曲しか演らないので楽しんでいってください!」

120v1曲目はゴードン・グッドウィンの「The Jazz Police」。
スリリングなエイトビート・チューン。
ゴードン・グッドウィンは自らのGordon Goodwin's Big Phat Bandを率いるアメリカのピアニスト、サキソフォニスト、そして作曲家。
私は知らなかったんだけど…ドン・メンザといっしょにルイ・ベルソンのところにいたとか…。
また、ギタリストのグラント・ガイスマンと活動を共にしているのね。
ドン・メンザといえば、日曜日の朝にテレビ朝日でTOKIOの城島リーダーが報道番組をやってるでしょう?
アレの「今週話題のニュース・ベスト10」みたいなコーナーのテーマ・ソングがドン・メンザの「Cinderella Waltz」という曲。
私はCDをホンの数枚持っているだけでゼンゼン詳しくないんだけど、ドン・メンザってトランペット・フィーチュアの「Dizzyland」とかいい曲あるよね。

130ソロはテナー・サックスのレイモンド・マクモーリンと…

140ギターの佐々木秀尚。
トリッキーなメロディが心地良い~!

150vドアタマから胸のすくようなシャープなドラミングを見せてくれたショボンちゃん。
ん~、やっぱりNATALいいわ~。

160「日頃からやりたいことをやっている私ですが、言いたいことがイッパイあって…MCが長いな~っていつも言われるんです。今日も長いので覚悟してください!」
イエイエ、お上手なMCなので大歓迎ですよ。
「ビッグバンドにはルールがあります。大学のオーケストラに入ってすごく不思議だったのが『イエイ』でした…ソロの後に『イエイ』って言うんですね。
で、ソロの後の『イエイ』はまだわかるんですけど、ピアノのイントロの時の『イエイ』にはビックリしました。
皆さんも今日は『イエイ』をやってみてくださいね!
次の曲はそれにピッタリの曲です」

170v有名なピアノのイントロ。
「イエイ!」
曲はカウント・ベイシーの「Corner Pocket」。

180v_cpベースの「蒼い刹那」はアップライト・ベースに持ち替え。

190vベイシー・ナンバーの中でも人気の高い曲。
私もジャズを聞き始めた最初の頃、名盤の誉れ高い『Basie in London』でよく聴いた。
「in London」とか言ってるけど、このアルバムってスウェーデンの録音なんだよね。

01_img_6717この曲はDon Wolfという人が歌詞をつけて「Until I met You」と題して1960年代に歌曲にもなった。
1981年、フュージョン全盛期にThe Manhattan Transferが『Mecca for Moderns』というアルバムでこの曲をヴォーカリーズで焼き直した。
私は19歳だったんだけど、シビれたな~。
ちなみにこのアルバムのドラムスはスティーヴ・ガッド。
「ボーカリーズ」というのは、ジョン・ヘンドリックスというジャズ・ボーカリストが始めた(のかな?)、ジャズ・ジャイアンツの有名なソロに歌詞をつけて歌っちゃおうというアイデアね。
その辺りのボーカルズのアレンジをメンバーのジャニス・シーゲルと何とジェイ・グレイドンが担当している。

Mfm マントラは上の『Basie in London』の「Corner Pocket」ではなくて、下の『April in Paris』という1957年のスタジオ・アルバムのバージョンをヴォーカライズしているんだけど、コレがまた名ソロ揃いと来てるんですな~。
ぺレス・プラードの演奏で有名な「Cherry Pink and Apple Bloosom White」とウディ・ハーマンの「Four Brothers」を引用したサド・ジョーンズのトランペット・ソロをジャニス・シーゲルが、続くジョー・ニューマンのソロをシェリル・ベンティーンが…と歌いつないでいく。(LPのライナーノーツに書いてあるソロ・オーダーはコレと違うんだけど、ホントのところはどうだろう?動画を見るとサド・ジョーンズが先にソロを取っている。あ、サド・ジョーンズはエルヴィン・ジョーンズのすぐ上のお兄さんね)

01_cb_2 で、この曲は意外にもギターのフレディ・グリーンの作品。
1小節に4回音を出すだけで、自分が目立つパートはカケラもない。
それなのにこんないい曲を作っちゃった。
しかしね、その「1小節に4回」しか音を出さずにスウイングするギター…私はヘタな速弾きよりケタ違いにムズカシイく、その「四つ切り」と呼ばれる演奏技術は間違いなく「超絶技巧」のひとつの頂点だと思っている。
イヤ、そりゃ1小節に4回音を出すのは簡単だよ。
でも、その4つの音でスウイングするのが普通の人にとっては至難のワザなのだ。
速弾きは鍛錬を積めばある程度のところまでたどり着くことができるが、この「四つ切り」は「スウイングできる」という生まれ持った才能がない限り死んでもできないのではなかろうか…それが私だ。
また、ココが「ロックの人間」と「ジャズの人間」を区別する最初で最後のポイントだと思う。
そんなバッキングの鬼のようなフレディ・グリーンにもリーダー・アルバムがある。
下の『Mr. Rhythm』がそれ。
「中間派」っていうのかな?
スイングとモダンの間ぐらいの古式ゆかしい~スタイルのジャズ。
例によって「♪ガッ、ガッ、ガッ、ガッ」だけ。ソロなんて全くない。
イングヴェイ・マルムスティーンが1枚のアルバムで何回ピッキングするのかは知らないが、フレディ・グリーンの場合、アルバム収録曲の合計の小節数がわかれば、それに4をかけてやることによって、このアルバムでこの人がピッキングした回数が正確に割り出せるというシロモノ。
でもね、当たり前のことかもしれないけど、ジム・ホールでも、ジョー・パスでも、バーニー・ケッセルでも、ハーブ・エリスでも、名人・巨人と称されているギタリストは例外なくこのテクニックに長けているのよ。

01_fg_MCの時も、演奏している時も、そして演奏していない時も猛烈に元気なヒロコちゃん。
216vソロはアルトの菅野浩。

200vそして、トロンボーンの三塚知貴。

210vそしてド迫力のトゥッティ!
「トゥッティ(tutti)」はイタリア語で「みんな」とか「全体」とかいう意味。

220スウイングしまくるショボンちゃん。
トップ・シンバルと右手1本でだけでスウイングしちゃう。
コレができないとどんなに派手な技術を持っていても、根本的にジャズ・ドラミングは一生ムリ。
ロックの人たちが時々やって見せる4ビートはコレができていない。
  
しかし、この曲のテーマを聴くと手塚治虫の『どろろ』のテレビアニメの主題歌を思い出してしまうのは私だけだろうか?
私だけだろうな…テーマのメロディは「♪ホゲタラホゲタラ」と聞こえて仕方ないのだ。

230vこのレポート、まだ2曲目かよ!
 
ノミニュケーションの力でトロンボーンの人たちは仲間意識が強い…ということで、次はそのトロンボーン・セクションをフィーチュア。
誰のアレンジかは知らないけど、曲はスタンダード・ナンバーの「Just Friends」。

240_jfガツンとトロンボーン・ソリ。
「ソリ」とは「ソロ」の複数形で、ジャズのビッグ・バンドの場合はソロを合奏することを指す。

250トロンボーン・セクションはお宅の方から向かって左から…
枡家小雪

260v三塚知貴

270v川原聖仁

280v浅星勝久はバス・トロンボーン。
各人のソロを交えて徹底的にトロンボーンの魅力をアッピール!
客席の誰かが「いい楽器!」なんて声をかけていたが、ホント、トロンボーンって素敵な楽器だよね。
音と音の間がシームレスということもあって、人間の声に一番近い楽器と言われているらしい。

290vそして、トロンボーン・ソリといったらコレ。
穐吉敏子の『March of the Tadpoles』という1977年のアルバムのタイトル曲。
「tadpole」というのは「おたまじゃくし」のこと。
「All the Things You Are」のコード進行に基づいて作られたこのファスト・チューンはまさに「おたまじゃくしの行進」!
その中間部に登場するア・カペラのトロンボーン・ソリのカッコよさといったら一体どうなってんだ?!
ソプラノ・リードによるサックス・セクションによるテーマもウネウネと実に素敵。コレ、はじめの2回しはオクターブ・ユニゾンで演ってるのね?
私は穐吉敏子の大ファンなんだけど、ベスト10に入れたい1曲。
下がそのアルバムなんだけど、クソみたいなジャケットだな~。
Toshiko-Tabackin Big Bandは、『Kogun』はまだマシな方にしても、『Long Yellow Road』、『Tales of a Courtesan(花魁譚)』…とどれもヒドい。
これまでにこのブログに何度も書いたけど、敏子さんのオーケストラかフランク・ザッパのバンドにいたミュージシャンはどこへ行ってもオーディションなしでOKという話を聞いたことがある。
その両方に在籍したブルース・ファウラーというトロンボーン奏者もいる。
そんなすごいバンドだからして、ミュージシャンとしては敏子さんと演奏したいと思うのが自然なワケ。
ところが、敏子さんがオーケストラを結成した70年代の初め頃は、「黄色い肌の女のバンドに雇われるなんて恥を知れ!」みたいにミュージシャンの奥さんたちが旦那のやってることを快く思わなかったっていうんだよね。
恐らく日本との貿易摩擦という背景もあったのだろう。
だからコレらのジャケットにしても「日本の女のバンドの作品なんてテキトーにやっとけ」なんて感じじゃなかったのかしらん?なんてのは私の思い違いか?
でも実際、『Kogun』の人気曲「Elegy」ですらソロがブチッとカットされたりしていて作りも相当に粗いもんね。あんな処理、敏子さんが許すワケがない。
ところで上に挙げた『Tales of a Courtesan(花魁譚)』。
「courtesan」というのは「高級売春婦」という意味。
学生の頃、みんな「オイランタン、オイランタン」と「オランウータン」みたいに言っていたけど、コレは正しくは「オイラン・タン」ですからね。
今『私のディープ浅草』でやっている吉原なんかの花魁の物語ということ。

N_mot敏子さんのオーケストラなんかはロック・ファンにもかなりおススメですよ。
それこそ上の「March of the Tadpoles」なんて曲はシックリくるんじゃないかな?
イヤ、それよりも大作「Minamata(水俣)」を聴いてもらった方がいいか?
エエイ、それらが同時に収まっているアルバムがあるので、宝くじにでも当たったらワンクリックしてゲットしてみたらいかがかしら?
それがこの『Live at Newport II』というライブ盤。必ず「II」の方ね。
代表的なレパートリーにひとつ、「Road Time Shuffle」なんてゴキゲンなシャッフル・ナンバーも入ってるよ。

01_np ハイ、なんでジャズの記事をやっているのかというと、ドラムスがNATALなんですよ~。

300vついでに「Just Friends」もやっておくと、数え切れないほどの名演が残されているが、今日はせっかくビッグバンドをやっているのでサラ・ヴォーンとカウント・ベイシー・オーケストラが共演した『Send in the Clowns』というアルバムを紹介しちゃおう。
サラ・ヴォーンって、原曲がサッパリわからなくなるほどフェイクしちゃうのが時々イラっとくるんだけど、この「Just Friends」は気分爽快!

01_vaughan同じ女性ボーカルズということで中本マリの『Mari Nakamoto III』も出しちゃおう。
このアルバムはドラムレスで、ボーカルズ、ギター、それにベースという大変シンプルな編成で渋めのスタンダードが取り上げられている。
ギターは香津美さん。
この「Just Friends」のソロがノケ反っちゃうほどのカッコよさ。

01_mari 学生の時、そのソロをホンの少しコピーしたこともあった。

2_2img_6721カウント・ベイシーにこの「Just Friends」のコード進行を元にした「Orange Sherbet」という曲がある。
大学のビッグバンドなんかでは定番の人気曲だ。
それで今思い出したんだけど、以前勤めていた会社にビッグバンドでサックスをやっていたという女性の新入社員がやって来た時のこと。
「へ~、ビッグバンドやってたの?どんな曲を演ってたの?ベイシーとか?」と私が訊くと、その新入社員がこう言った。
「ああ、演りましたよ。『オレシャ』とか」
「お、おれしゃ?ナンダ、『おれしゃ』って?!」
それが1975年の『Basie Big Band』に収録されている、あの「Orange Sherbet」を指していることを理解するまでに7秒ぐらいかかった。
コラ!何でも省略するな!

Cb ココで場面が変わる。
後列から大貫禄で出てきたのは佐久間勲。
トランペット界のファースト・コール・マンだ。

310さっきのスティーブ・ガッドじゃないけど、ビッグ・バンドを従えて朗々とバラードを歌い上げるのはトランぺッターの夢であろう。

320_pmそれを佐久間くんがカウント・ベイシーの「Pensive Miss」で披露。

330v実はですね、佐久間くんは大学の後輩で、と~きどきMarshallの仕事で一緒になることがあるんだよね。
たとえばコレ。
2008年に中野サンプラザで開催された『Pearl』というジャニス・ジョプリンの追悼コンサート。
マリさん、森さん、ナルチョさん、大二さんらのバンドに混ざって…

340哲さんと一緒にホーン・セクションで参加した。

350vまた、2011年には宮古島で毎年開催されている『宮古島ミュージック・コンベンション』でご一緒させて頂いた。
私はカメラマンとして田川ヒロアキくんに連れて行ってもらったの。
この時も面白かったな~。戦後2番目の大きな台風ってのが来ちゃってサ。
もちろんMarshall Blogでレポートしたんだけど、もう消されて読めなくなってしまったので、Marshall Blog Archiveで新たに記事を書いてレポートを復活させようと思っている。

360この時の佐久間くんは本業のオルケスタ・デ・ラ・ルスで大活躍。

370vそして、今日はヒロコマンBIG BANDでトロけるような音色のトランペットでお客さん全員を感動のウズに巻き込んだ。

380次はヒロコちゃんの出番。
酒の盟友(?)、トロンボーンの小雪ちゃんと仲良くガツンとフィーチュア。
曲はウイスキーが好きだという小雪ちゃんの「人生のテーマ・ソング」、「ウイスキーがお好きでしょ?」をジャズにアレンジ。

390MCも強烈だけど、そのはるか上を行く強烈なソロをお見舞い!

400v「枡家小雪」さんって本名かしらん?…カッコいいナァ。
「三升家小勝」という噺家の名跡があるからね。
メルバ・リストンもビックリの豪放磊落なブロウが素晴らしい!

410vバリトン・サックス、永田昴生のソロ。
コレもいい楽器だよね。
何をやっても豪快に仕上がる。
ジェリー・マリガンを筆頭にサージ・チャロフ、ペッパー・アダムス、エリントニアンのハリー・カーネイ、ニック・ブリグノラ、ロニー・キューバ―等々、競争倍率が低いせいか、名手が多い印象があるな。

420第1部の最後もトランペット・フィーチュア。

430小澤篤士のトランペットがおなじみ「Birdland」で炸裂。
コレは誰が最初にビッグ・バンド・アレンジで演奏したのかね?
メイナード・ファーガソンあたり?

440珍しくまたまた登場するThe Manhattan Transfer。
「Birdland」が収録されているのはこの1979年の『Extensions』。
マントラはコレでブレイクしたんだっけ?
ジャック・ウィルキンス、アレックス・ブレイク、ケンウッド・デナードというあまりにもすごいメンバーで初来日したんだよな~、観なかったけど…というより私はマントラはとうとう1度も観ることがなかった。
ウチの家内は『Vocalese』の来日の時にサンプラかどっかで観てるんだよ。

01_n_mt「Birdland」もカッコよかったんだけど、やっぱり「Twilight Tone」が好きでサ…シングル盤も買った。
あのジェイ・グレイドンのギター・ソロはビックリしたよ。
ジューシー・フルーツがあれを完コピで演奏しているのをテレビで見てもう1回ビックリしたわ。

01_img_6718さらに、去年の葉山のジャズ・フェスでベースの大御所、斎藤クジラ誠さんのDecorationというバンドが『Extensions』に収録されている「The Shaker Song」を演奏しているのを聴いてうれしくなってしまった。
いい曲だぜ~、コレ。
ジェイ・ベッケンスタインの作なので元はSpyro Gyraですな。

01_32sg そして、佐々木さんが「Birdland」にピッタリのギター・ソロを添えてニギニギしく第1部が終了した。

450ガマンして最後まで読んでくれたロック・ファンの皆さん、どうもありがとう!
お願いだから明日も見てね!
珍しい写真を出すから!

 

200_2 
(一部敬称略 2018年4月16日 高円寺HIGHにて撮影)

2018年6月 6日 (水)

ドイツ大使公邸チャリティ・ガーデン・パーティー

 
久しぶりにドイツに行ってきた。
下はフランクフルト中央駅。
「フランクフルト中央駅」のことをドイツ語では「Frankfrut Hauptbahnhof(フランクフルト・ハウプトバンフォフ)」という。
この「Hauptbahnhof」という単語を覚えるだけで3日はかかっただろうか?…といってももうネタは上がってるか?
そう、タイトルにある通り、行って来たのは広尾のドイツ。
すなわち駐日ドイツ大使館。

10下は日比谷線の「広尾ハウプトバンフォフ」から大使館に行く途中にある「NATIONAL」というスーパー。
家内が前々から行ってみたいと言っていたので、誕生日も近いこともあってプレゼントがわりについでに寄ってみた。
ご存知の通り、この辺りにはフランスをはじめとして、多くの駐日大使館が立ち並んでいるからしてスーパーのお客さんは外人ばっかり。
下校の時間ともなると通りを行き交う小学生なんかも多く、その会話が実に面白い。
ホント、頭の中はどうなっているんだろう?…日本語と英語が猛烈に入り混じっていて、「よくこんなんで会話できるな~」と、立ち聞きしていて吹き出してしまった。
そういう外人相手のスーパーだけあって、置いてあるものは海外のモノばかり。
まぁ、わかってはいたけど、改めてビックリ…というのは、その置いてある食料品の成分を見ると「調味料(アミノ酸等)」の表記があるアイテムがまったくと言っていいほど見当たらないのだ。
「調味料(アミノ酸等)」というのはいつも私が騒いでいる、欧米で使用が禁止されているMSG(グルタミン酸ナトリウム)ってヤツね。とにかくアレが使われていないモノばかり。
反対に日本のスーパーに行ってごらん。
生鮮食品を除いて「調味料(アミノ酸等)」という表記のない商品を見かけるのは大変困難か不可能だ。
マイケル・シェンカーの人気が高いのは喜ばしいことだが、一方でこの国はMSG漬けになってるんだよ。
もう一度書くけど、この国の食料品には欧米で使用が禁止されている化学成分が盛大に使われていることを知っておくべきだと思う。
卵もそう。
このスーパーで取り扱っているのは「平飼い卵」といって、野ッパラにほったらかしてあるニワトリが自然に生む卵を多く扱っている。
一方、日本のスーパーで売っている卵がどうやって生産されているかは知ってるでしょ?
味も日本のモノと海外のモノは決定的に違う。
マァ、私も徹底してオーガニックに凝っているワケではないんだけど、海外に行ってスーパーを覗く度に「MSG Free」の表記を見ると、さすがに日本はヤバいんじゃないか?と思ったりしてね。
それで、少なくとも自分で防衛できるところだけは「MSG断ち」をしてるの。
以前にも何回か書いているけど、コレをしばらくやっていると、MSGの入っているモノ、すなわち「化調」をふんだんに含有しているモノを口にすると、舌の奥の方の両側にものすごくイヤな味が残るようになる。スゴく不快な味だ。
これで困ったのが立ち食いソバ。
私、好きだったんですよ。
中には「無化調」のお店もあるが、大抵はMSGがタップリ使われたダシに浸かった「ケミカル・ソバ」ばかりで、最近はまったく食べなくなっちゃった。
日本橋の三越前にある「そばよし」という立ち食いソバ屋があるんだけど、そこは鰹節屋直営
で、もちろん無化調。ダシの風味が強くてすごくおいしい。
ソバもチャンとしていてありがたいんだけど、いつも混んでてどうにも入りづらいのがタマにキズ。

11身体に悪いモノから順に好物を選ぶような私が、そんな「MSG断ち」をしているのは家内の影響でしてね。
でも、彼女がこのスーパーに寄りたがった理由は「MSG Free」食品ではなくて、コレ。
このガチャガチャみたいなヤツ。
コレ、ピーナツバター製造機なの。
下の棚に入っているピーナツを赤い機械の上から投入してスイッチを押してやると、アラ不思議!
それこそ昨日のマーブロのタイトルみたいなヤツがニュルニュルと出て来る。
種類は普通のピーナツバターと予め豆に味付けがしてある甘いバージョン、それにアーモンドバターの3種。

12ビンに詰めて売られている日本製のモノとは味がゼンゼン違う。
混ざりけなしで、風味が大変に豊かでおいしいことこの上なし!
コレをバゲットに塗って食べるのが大スキなのです。13スーパーを出、有栖川公園を左に見ながら坂を上るとすぐにドイツ大使館がある。
お邪魔するのは今回で2回目。

20ん?
こんな壁画は以前はなかったぞ。以前はツルッツルのコンクリートの打ちっぱなしの壁だった。
説明書きが付いていたので読んでみる。
 
冷戦の象徴とされた「ベルリンの壁」は1961年8月13日に築かれ、1989年11月9日に消滅した。
その間28年…10,316日間にわたって壁はドイツを東西に分断した。
忘れていたけど、チョット前までドイツの首都って「ボン」っていうイメージだったもんね。
そして、今年の2月6日、1961年の壁の建設から10,316日が経った。
その日を記念してこの壁画を描いたのだそうだ。
「変化は起き得るものであり、苦しみもいつかは癒え、対立は協力へと変わる」
そんな思いがこの壁画に込められているのだそうだ。

30昨年は参加できなかったが、今年も日本での生活に困っている在日ドイツ人を支援するためのチャリティ・パーティが開催された。

40前回のレポートでもやったけど、また大使館の中を見学してみよう。
滅多なことでは入れないからね。
ココは大使の住居スペース。
ドイツと日本の関わりは古く、1863年(文久2年)にはマックス・フォン・ブラントという人がプロイセン王国の領事として日本に滞在した。
それが最初の駐日ドイツ外交使節だったらしいッスよ。
その後、何度か公館が移転し、現在の場所に移る前は今の国立国会図書館の場所に大使館があったんだと。
そして、1954年、日本政府から現在の場所を代替地として1円で取得した。要するに交換したんだね。
今の事務所棟の場所には中国大使館があった。
ちなみにこの麻布の場所の路線価は坪当たり505万円だそうです。

50スゲエ庭だよね。
中に入るとスッカリ忘れちゃうんだけど、ココ、麻布と広尾の中間だよ。
この庭は小泉策太郎という大正から昭和にかけての政治家の私邸の一部だった。
戦後の日本の造園界をリードした飯田十基という人が設計した名園ゆえ、なるべく手を入れずに温存しているのだそうだ。

80だから前回の来訪時と比べて変化なし。
この鐘楼は京都周辺の三条村の「瓦屋吉右門」により造られ、1703年に東山天皇に奉納されたというの記録が残っている。
もともとは奈良にあったが、明治期の「廃仏毀釈」で無用になったモノを策太郎が入手してココに移設した。

60v何しろ蚊がスゴイ!
この手前の石像も策太郎のコレクション。

70この日本家屋も策太郎が作ったもの。いわゆる四阿(あずまや)。
第一次世界大戦後ぐらいの建築であまりにも老朽化が進んでいたので2011年の日独交流150周年を記念して改装した。
写真の左側に赤いの見えるでしょ?
アソコが策太郎邸の正門。
お客さんはあの門を通ってまずこの四阿に寄る。
そして、お茶室からこの美しい庭を眺めて楽しんだだらしいッスよ。
いいネェ、風流で。

2_0r4a5879 コレが「武家門」と呼ばれるその正門。
詳しいことはわからないらしい。

90フト、瓦を見ると「丸に二つ引」という家紋が付いている。
こういう丸に横線が入っているデザインは「引き両紋」といって、源平時代からある古い家紋だそう。
線の数は1本から3本と様々だが、新田義貞、足利尊氏、今川義元、ピーコとよい家柄の家紋らしい。

100コレだけ広くて木々が茂っていると空気がいいね。
少なくとも浅草よりは空気が澄んでるわ。

110ガーデン・パーティだからね。
庭のアチコチで準備が進められている。

120チョット準備している間に我がイギリス大使館を見てみよう。
Marshallの関係で何度かクリスマス・パーティにお邪魔したことがあるんだけど、やっぱりそれも大使館のおエライさんの公邸で開かれた。
ま、昭和4年あたりに作られたという古い洋館なんだけど立派な庭があってね。
で、お濠を挟んで皇居の隣にあるこの広大な土地は未来永劫イギリスが自由に使うことができる…という話を聞いたことがある。
タダじゃないよ。チャンとイギリスは地代を支払っているんだけど、ドイツ大使館みたいに立ち退く必要が出て来ないということ。
ナゼかというと、明治維新の時に、イギリスは新政府側をサポートしたからなんだって。そのお礼として新政府がイギリスにそういう約束をしたのだそうだ。
何だよ、かつては生麦事件だ、下関戦争だ、薩英戦争だ、でモメてたクセによ~。
ちなにみフランスは幕府側について貧乏クジを引いた。
この土地は路線価で坪805万円だって!
最近、ベストセラー『昭和史』で有名な半藤一利さんの本で面白いことを知った。
チョット長くなるけど…。
日本の軍隊と言うのは、明治維新の流れで、陸軍は長州閥、海軍は薩摩閥という図式が成り立っていた。いわゆる薩長土肥は「官軍」、それに盾突いた藩は「賊軍」で、軍隊の中で出世するのに大変苦労したらしい。。
で、海軍に関して言うと、それ「官軍 vs. 賊軍」という派閥以外にも「親ドイツ派 vs. 親英米派」という派閥があった。
官軍系が親ドイツ、それに対して賊軍系は親英米というのが大まかな図式だった。
さて、一般的に日本は第一次世界大戦に参加していない…とされているが、形だけは参加したことになっている。ナゼなら「日英同盟」があったからなんだけど、実は日本はパラオ、テニアン、グアム、サイパン等の当時のドイツ領がノドから手が出るほど欲しかった。
いわゆるスケベ根性で大戦に参加したんだけど、イザとなるとイギリスは日本の海軍を「使いっぱしり」としてしか参戦させなかった。
地中海くんだりまで物資を運ばさせられていたらしい。
それじゃドイツに勝ってもおこぼれがもらえないじゃんね。
日本海軍は相当アタマに来た。
その後のワシントン軍縮会でまたイギリスにヤラれちゃって、日本は堪忍袋の緒が切れて日英同盟を破棄するに至った。
その時、スルリと手を差し伸べてきたのがドイツなんだよ。
で、日本海軍にはドイツ派が優勢になり、色んなことをドイツから教わった。
ドイツまで潜水艦でレーダーを取りに行った…なんて吉村昭の『深海の使者』という小説もあるけんね。
ところが、ドイツの海軍ってのは大したことがなくて、優秀な日本海軍が学ぶところはなかったらしい。
しからばナンだってそんなにドイツに傾倒したのかというと…。
日本海軍のオエライさんたちは、ヒトラーが仕掛けたハニー・トラップに引っ掛かっちゃったんだって。
女性のお色気に負けてしまったんだってサ。戦後、生存していた何人もの海軍将校がそう白状したらしい。
ドイツの女性ってのは大きくて立派だからね~。日本の男なんてイチコロだったんじゃん?

125初めて食べたのがニューヨークだったせいで、プレッツェルってアメリカのモノかと思っていた。
名前はラテン語に由来していて、「腕」という意味。
このデザインが、人が腕組みしているみたいに見えるところからその名が付いた。
コレ、時間が経つと信じられないぐらい固くなるでしょ?
初めて買った翌日に食べようとしたんだけど、あまりの固さに歯が欠けるかと思った。

130「こんにちは~」とそこへ現れたのがベースの「のまぐち」さん。
ドワ~!そのTシャツ!

140vそう、チョット前に『私のホーチミン』でやったヤツと同じ、「ヤバいTシャツ」ではないですか!
もう大笑い。
のまぐちさんもベトナム旅行のお土産で貰ったそう。
触らせてもらったけど、やっぱり伸びないホンマもの。
彼は細いので、ウチの子みたいに「着たら最後、もう脱げない」なんてことはないから大丈夫。

150さて、今回のパーティでもMarshallが大活躍。

1601974XとASTORIA。
外見は赤だけど、中身は緑のCLASSIC。

170同じくASTORIA DUAL。

180そして、今回はEDENも参加した。
Terra Nova TN501とD410XST。

190v ダンス・フロアにはバッチリとダンス板が敷かれている。

195学生時代、コイツを敷くアルバイトをチョクチョクやっていたのでどうしてもなつかしくて注目してしまう。

196専用のレンチをこの小さな穴に突っ込んで回し、板が外れないように固定する。
1m角の板はまぁまぁの重量で、それが何10枚も組み合わさるので、全体では相当な重さになるのだが、それでも大勢の人がこの上で勢いよく動くと少しずつズレちゃうんだよね。
この板の上で女性がヒールを滑らすワケだから、当然レンチのネジ穴も極限まで小さくしなければならない。

197板は中央から組んでいく。
この時点でズレがあると、ハジッコに行く頃には大きな誤差ができてしまって、「ハイ、やり直し」となってしまうんだね。

198お客さんもそろったところでいよいよパーティのはじまり、はじまり~!

200まずはテラスで大使がご挨拶。

2102014年から特命全権大使を務めるハンス・カール・フォン・ヴェアテルンさん。
来場者へのお礼はもちろん、このパーティの主旨やスポンサーが紹介された。

220v恒例のビヤ樽開き。

230v大使!泡だらけです!
さすが特命全権大使、コレぐらいのことでは決して慌てない。

240間もなくすると時計は7時になり、ダンス・パーティがスタートした。

250StuartO (スチュアート・オー)

250v川上真樹

260vパーティに誘ってくれたマーブロではおなじみの関雅樹。
ココ「マサキ×2」なんだよね。

270v
上手のギターはFrank Kato-Bernhardt

300vベースはのまぐちひろし280v今回のドラムスは木村真巳。

290vドラムスはメンバーが入れ替わっているものの、皆さん、6回連続の出演だそう。

3101時間弱のステージを3セット。
ファースト・セットはイーグルスの「Take It Easy」でスタート。

320曲はもう皆さんおなじみのロックのスタンダード…と言いたいところだけど、私は半分以上わからなかったな~。

330vダンス・フロアはスカスカ…いいの、いいの。
はじめのウチは必ずこうなの。
恥ずかしがって誰も踊らない。
そんなこと気にせず素敵なダンスを見せてくれた写真の女性は大使館のスタッフ。
カッコいいね、こういうのは。
私はダメです。絶対ダメ。
他にブルーのワンピースを身にまとってひとりで踊ってくれた日本の女性がいた。
かかとをフロアに打ち付けて、とても可愛くて、ステキな踊りだった。
つい見とれてしまって写真を撮るのを忘れてしまったのだが、その彼女が後で私に話かけて来てくれた。
そう、2年前に外で写真を撮って差し上げた珍名の方だった。
私のことを覚えていてくれたのだ。
あ~、あのステキなダンス、写真を撮って、後で送って差し上げればヨカッタ…後悔。

340バンドさんのテンションはスゴイよ!
もう始めっからノリノリ。
こうでなくっちゃ誰もノッてくれないませんよ!

350関ちゃんは1974XとASTORIAでウォームで切れ味の鋭いサウンドで弾きまくる。

355ん~、やっぱりTerra Novaいいな。
こんなにちっちゃくなっちゃって!
でも音の太さやヌケ方はバツグン!

360フランクもASTORIAがお気に入り。
随所でバッチリとフィーチュアされた。

370v「Long Train Runnin'」、「Every Breath You Take」、「Change the World」などをプレイ。
後はわからん。
もうね、80年代に入っちゃうと、よっぽどハヤっていた曲しかわからないのです。

380vフランクはドイツ大使館の職員で無類のギター好き。
この日をとても楽しみにしていたようでとても楽しそうだった!

390セカンド・セットもバンドは全力疾走!

400外はもう真っ暗だけどたくさんの人で賑わっている。

410コレ、港区麻布ですからね~。

420v料理もとてもおいしいのです。
もちろんデザートも充実。

440お、なんか様子が変わったようだ。

430バンケット・ルームを覗いてみよう。

450結構な熱気!
そう、抽選会をやっていたのだ。
チャリティのクジを買うと、何かが当たるというヤツ。

460コレ書いていいのかな?…エエイ、書いちゃえ。
というのは数字のこと。
下の女性が、引いたクジに書いてある番号をドイツ語で読み上げるんだけど、コレが面白い。
前にも書いたことあったけど、ドイツ語の数字って音が変わってるじゃない?
アイン、ツヴァイ、ドライってヤツ。
コレに「0」が入って来ると面白くなる。
ドイツ語で「0」は「ヌル」だ、
「7」は「ズィーブン」。
だからジェイムズ・ボンドのコード・ネームは「ヌルヌルズィーブン」になっちゃうワケ。
「ゼロゼロセヴン」ならいいけど、シマらないぜ~「ヌルヌルズィーブン」じゃ!
でね、フランクフルトでは土曜日の夜中ぐらいになるとテレビで風俗店のCMが流れる。アレはホテルだけか?
美しい女性が悩ましい格好をして、吐息交じりに店の電話番号を読み上げる。
「ヌル・アイン・ツヴァイ・ヌル・ゼクス・アハト・アイン・アイン・ツヴァイ・ツヴァイ」とか、「
ヌル・ドライ・フュンフ・アハト・ツヴァイ・ヌル・ヌル・フィア・ドライ」とか…。
それがメッチャ面白い…なんて思ってるのは恐らく私だけだろう。
そして、この抽選会でも…「高級自転車の当選者は…ツヴァイ・ヌル・ドライ!」ってな感じ。
470einfach zugreifen!
コレは私がフランクフルトの楽器フェアのMarshallブースでお手伝いをしていて覚えた唯一のドイツ語!
「アインフォフ・ツグレイフェン」と読むんだけど、意味は「おひとつご自由にどうぞ」。
何でコレを覚えたのかと言うと、ブースに突っ立っていると、来場者が無料で配っているMarshallのポスターを見つけて「コレ、もらってもいいんですか?」とやたらと訊いてくる。
そういう時にドイツ人に向かっての答えが「einfach zugreifen!」というワケ。
あ、もちろんこの自転車は違いますよ!冗談です。
コレを書きたいがために、わざわざフランクにお願いしてスペル・アウトしてもらった。
この自転車もかなり高額な感じだけど、1等賞はこのチャリティ・イベントの後援企業であるルフトハンザの航空券がプレゼントされたようだ。
ああ、久しぶりにフランクフルトへ行きたいナァ。

480さて、いよいよライブの方も最後のセットへ突入!

490この辺りになって来るとまさに「宴もたけなわ」、踊る人も多くなってくるよ。

520バンドももちろん輪をかけてノリノリの演奏を見せてくれる。

500曲はいよいよわからなくなって来たけど、お客さんは大合唱!

530アンコールでは「Smoke on the Water」だの「Rock and Roll」だの超クラシックも!

540そんな曲もダンパ・ネタになっちゃう。

550v要するにナニを演ってもウケる、ウケる!

560フランク入魂のソロ!570最初から最後まで全く気も力も緩めないボーカルス・チームはお見事!580今回もドイツ(大使館の中はドイツ)でMarshallの魅力を関ちゃんが爆発させてくれた。
 

関雅樹の詳しい情報はコチラ⇒The Website of Masaki Seki

2_0r4a6146 最後は特命全権大使と記念撮影!
来年もよろしく~。
  
このパーティは一般の方も参加できます。
駐日ドイツ大使館のウェブサイトをチェックしてください。
 
詳しくはコチラ⇒ドイツ連邦共和国大使館・総領事館のホームページ

600 

200

(一部敬称略 2018年6月1日 駐日ドイツ大使館にて撮影)

2018年6月 5日 (火)

うんこ~爆弾ジョニー

  

やっぱり初めて耳にした時はビックリしたわ。
「うんこ漢字ドリル」ってヤツ。
ウチの子が小学生の時にあったら買い与えていたかナァ~。
イヤ、買わないだろうな。ウチの品位が許さない。
でも、コレは実にウマいやり方だった…というよりコレを本当にこの世に出した出版社の勇気がスゴイと思う。
時代が変わったということか。
いくら時代が変わっても子供たちは「うんこ」大スキだからネェ。漢字の勉強をする気になりさえすればいいのかも…。
でも、大人になって、このドリルで覚えた漢字を目にするたびに「ああ、オレ、うんこで勉強したんだよナァ」と若干の引け目を感じるかもな。10しかし、商魂たくましいというか…「うんこ漢字ドリル」のお菓子まで出ているというのだから驚くわ。
コーラ味だって。どうしてカレー味にしなかったんだろう?
何はともあれ、このブームに一番驚いてるのは、間違いなく「うんこ」自身だろうな。

20そしたらアータ、こういうのがあるんだってね。
ハゲのドリル。
せっかくなのでハゲにちなんでマーブロ式に漢字ドリルをやっておこうか?
 
ハゲって漢字で書くと「禿」じゃん?
この「禿」という字は「カムロ」とも読む。
吉原の遊女の見習いの幼子のことを禿という。
以前、大阪にいた時に滋賀県の取引先に「禿さん」という人がいた。「カムロさん」ね。
で、私の先輩が実際に対面する前にその禿さんと電話やりとりをした。
「はじめまして、お電話で失礼します。私、カ・ム・ロと申します」
「え?カムロさん?」
なかなかの珍名さんだからね、先輩は禿さんにこう尋ねた。
「あら、珍しいお名前ですね。どういう字をお書きになるんですか?」
「あ、よく言われるんですよ~。カムロはハゲという漢字と同じなんですよ。ハゲです。ハゲって漢字おわかりになります?ハゲ、あのハゲです」とハゲを連発して説明した。
その説明を聞いて、先輩は大層不機嫌になってしまった。
なぜならその先輩の頭はツルッツルだったからだ…という事実。
電話の会話には気をつけましょうね。
30_2さて、今日は4月の20日に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された爆弾ジョニーのライブ・レポート。
この公演は『太陽はまた昇るか。』と題したツアーの追加公演だ。
コレは会場に貼ってあったポスター。

40v_2 「新しいCD作りてぇ~」って!
ドンドン作っちゃって!それが皆さんの本来のお仕事ですから。

50ナント、この追加公演のタイトルが『うんこ』。

60さっきから小学生みたいに「うんこ、うんこ」と頻繁に書き込んでいるけど、マァ、こんな時じゃないとできないからね。
うんこなんて出ないより出た方がはるかにいいんだよ。
何しろウチの父方のおばあちゃんはうんこが出なくなって死んだからね。
コレが本当の「不運」…ナンチャッテ。
長いツアーを終えて、色々なことを吸収して出すモノがこの日の演奏…すなわち「うんこ」というワケ。ステキな発想だ。
昨年の12月にZepp Tokyoのワンマン・コンサートがあってお邪魔するのを楽しみにしていたんだけど、そのほんの数日前から左の肩が痛くなっちゃって…。
もう夜も眠れないぐらいの激痛で、カメラを提げるなんてことが到底できなかったので取材を断念。
それだけにこの「うんこ」は是非とも観たかったのだ。

70_2ほぼ定刻にメンバーが登場。
もうこの時点で普通とちがう。
バラエティに富んだ仕掛けが仕組まれていることをリハで部分的に知って、スタッフの方に「本番、面白そうですね~」と言ったところ、「面白いことしかやりたくないんですよ~!」とのご返答。
それが爆弾ジョニーのステージだ。

80_2今回はドラム・セットを客席に設置。
ドラムのクリニックなんかではタマに客席にキットをセットすることがあるが、私も40年以上ロック・コンサートに足を運んでいて、これほど堂々とドラム・セットが客席に置かれているのは他に見た記憶がない。
いつもはステージの一番後にいるドラマーが今日はステージを飛び越して一番前に来ちゃった!

90_2そして、ライブがスタートする。

100_2ボーカルズ/ギターのりょーめー。

110vギターのキョウスケ。

120v_2キョウスケくんはMarshall。

130v_2アンプ・ヘッドはJCM900 4100。
ロゴが取れてしまっているがスピーカー・キャビネットは1960Aだ。
以前にも紹介した通り、このMarshallはかつてTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの故アベフトシ氏が愛用していたもの。

140vキーボーズ/ギターのロマンチック☆安田。

150vベースの小堀くん。

160vドラムはタイチ。

170vオープニングは「ララララ」。
190ステージから発されるはちきれんばかりのパワーを真っ向から受け止める観客。

180_2続いて「なあ~んにも」。
初めて爆弾ジョニーを観た時、私が一番一生に残った曲。

2_s41a0371_2 3曲目は「アクセル」。

200_3客席に降りて歌うりょーめーくんにお客さんは大興奮!

210v「回せるモノ回せ~!」と「ケンオラ」。

220_2「ホイホイホイホホホイのホイ(←合ってるか自信なし)!全国回って来たぜ~!」とステージ前方に歩み出て客席をあおる安田くん。
このチームは全員が主役だ。

2_20r4a8961 続いて「EVe」。
サビの展開がとてもステキな曲。
2_s41a0064こうして始まった「うんこ」。
冒頭に書いた通り、新曲を含めたエキサイティングなパフォーマンスに加えて、後はこれでもか!これでもか!と、様々な仕掛けで見る物をたたみ込んだ!
  
「オレと歌えるヤツいる?」
「ワンちゃん」では客席から歌い手を募集してタイチくんとデュエット。

2_0r4a9033そしてタイチくんの必殺のアルト・サックス・ソロ!

280v_2りょーめーくんのこのバルーンのパフォーマンスは面白かったナァ。

250_2やってみて~!

260無事ステージに帰還!

2_0r4a9079 「この中で『唯一人』のギター弾けるヤツいる?……おー!そこの彼、一緒に弾いてくれ!」

230vさらにはお客さんをステージに上げてギターを弾かせる。
330_2それがまた完璧なのよ。
ご本人、うれしかったろうナァ~。
295りょーめーくんがお客さんに向かってスーパーのレジ袋をいくつか投げ込んだ。
え、ナニが入ってんの?

2_0r4a9152 「せっかくの最後の公演なのでオレ達の友達を呼ぶよ」とネコグスパブリッシングの2人を迎えた。

2_0r4a9157 「Shall be a youth」と…

2_s41a0265 「へへいへい」をプレイ。

296この火花散るパフォーマンスもすさまじかった!

300ところで、さっきりょーめーくんが客席に投げ込んだレジ袋にはこんなモノが入っていた。
ビールの空き缶を切って、中にビーズかなんかを入れたハンドメイドのマラカス。
…なんだけど、何にも言わないからゲットしたお客さんもどこでどうやって使っていいのかがわからない様子で、それがまた面白かったわ。

340「キミハキミドリ」ではサブ・ステージにお客さんを上げてしまった。

320このままとんでもないテンションでショウはクライマックスに向かった。

2_0r4a9366色んなことをするのでステージから一時も目が離せないんだよね~!

350長い足をガバチョと開いてギターをかき鳴らすキョウスケくんのアクションが何ともカッコいい!
そして、股の向こうにはMarshall!

240「毎日」、「BDBB」…

360…「血」とつなげる。

370そして、いよいよ本編最後のセクションにさしかかった。
が!あんまり暴れすぎたせいか、りょーめーくんのギターにトラブル発生!

2_s41a0405 「ギターが壊れたんで、ライブはココで終わりで~す」ってシレっと終わっちゃった!

450さすがに、コレではおわれるハズもなくアンコール。

390v_2ギターのトラブルも解消し、本編で演奏する予定だった「かなしみのない場所へ」と新曲を演奏。

400v「ここからが本当のアンコールね!」と「はちきれ」、「操」をプレイした。
ちなみに小堀くんは誕生日にりょーめーくんから「うんこドリル」をプレゼントしてもらったそうです。

410vそして、最後は「DADADA」。

420vタイチくんは最後まで下で演奏。
こんな経験、これからのドラマー人生でもそうないんじゃないかしら?!

380りょーめーくんはサブステージからバイバイ!
 
あ~、楽しかった!

430今回も取り上げた「なあ~んにも」でりょーめーくんがこう叫ぶ。
CDが売れない時代、ロックバンドは通用しないのか!?
答えは『ノー』だ!時代を変えるのがロックバンドの『お・し・ご・と』!
いつやる?今だろ!
誰がやる?オレらだ!
 
だから私は爆弾ジョニーが好きなのだ。
  
爆弾ジョニーの詳しい情報はコチラ⇒爆弾ジョニーOfficial Website

440v  

200_4 
(一部敬称略 2018年4月20日 渋谷TSUTAYA O-EASTにて撮影)

2018年6月 4日 (月)

amber lumber ニュー・アルバム『Mother Moon』レコ発ライブ

    
本来であればココでクイズ『Marさま!!』である。問題のジャンルは漢字。
  
「盈虧」の読み方を答えなさい
 
コレが質問なんだけど、もうMarshall Blogに何回も出てきているのでクイズになりゃせんな?
「えいき」と読む。
「月の満ち欠け」という意味。
知らなかったら読めもしないし、言葉の意味に至っては想像することすらムズカシイ。
私はコレをMEJIBRAYというビジュアル系バンドの曲のタイトルで知った。
人間、何事も勉強である。
それで思い出したのがRCの清志郎。
まだ渋谷の屋根裏に出ていた頃だったかしら…ナニかのインタビューで「忌野」という名字の由来について質問にこう答えていた。
「だってカッコいいじゃん?『忌』っていう字の形がサ…」
高校生だった私は「そうかナァ~?やっぱりミュージシャンってのは変わってんな…」と思った。
でもサ、「盈虧」の方がカッコよくね?書けないけど。
 
満ちたり欠けたり、いつも心に寄り添う月。あなたを癒す月のような12のピース
 
…というキャッチ・コピーが付けられているのがamber lumberのセカンド・アルバム『Mother Moon』。
「コレ、いいんだよね~」というファースト・アルバムの高評価が冷めやらぬうちのリリースだ。
キャッチ・コピーに偽りのないホッコリとした、さりとてそれだけには治まらない、静かな力強さに満ちたamber lumberの世界が広がっている。
今回もオリジナルのイラスト満載で、アルバム制作に対する計り知れない情熱が伝わって来て実に気持ちが良い。
あ、買った人はオビを捨てずにその裏面を必ず読んでね。

10cd今日のレポートはその『Mother Moon』のレコ発ツアーの東京公演。
会場は神田須田町のTHE SHOJIMARU。
神田須田町についてはコチラに記してあるので興味のある人はどうぞ。

20v_2今回もamber lumberの2人が書いたエッセイが会場で配られた。
ライブのたびに書いていて、今回で第72号だって!
毎日ライブをやっているワケではないにせよ、毎回ってのは大変なことだよ。
1回、2回書くのはとても簡単なことだけど、継続するのは大きな困難をともなう。
内容を考えて、不明瞭な点を調べて、文章を書いて、文字数に収めて、推敲して、プリントして、持って歩いて、配って…この繰り返しじゃん?
他にもたくさんのオリジナル・グッズを手作りしてるからね。

25この日はお店の2周年を記念して展開しているトリプル・ヘッドライナー・シリーズの一幕。
amber lumberはトリで登場した。
何しろココはamber lumberにとって東京のホームみたいなモノだからね。

60v満員のお客さんの前に姿を現したふたり。

30森永JUDYアキラ

50v山本征史

40v「お店の2周年を記念して」…というワケではないんだけど、この日はサウンド的にいつもと違うamber lumberのステージになった。
それはまずアキラさんの後ろ。

70いつもはラインで鳴らしているアコースティック・ギターを今日はアコギ用のアンプで鳴らしたのだ。
使用したのはMarshall AS100D。
ASというのは「Acoustic Soloist」の略。
ASの話をすると、「エエ~ッ!Marshallってアコギのアンプなんて作ってんの?!」なんて時々言われるんだけど、アータ、このシリーズはAS80Rというモデルをもってして1994年にスタートしたロング・セラーなんよ。
何回かモデルの出入りがあったにせよ、ビンテージ系のモデルを除けば、Marshallで24年も続いているシリーズってかなりの長命よ。
それもそのハズ、ヨーロッパ、時にフランスではアコギ・アンプのベストセラーなんだって。
その証拠にフランスが生んだ大アコースティック・ギタリストのピエール・ベンスーザンの言葉を引用するに…
何よりもサウンドが好きだ。私のアコースティック・ギターのスペックにこれほど近いアンプは初めてだ。たくさん機材を持って行くよりも、ギグやリハーサルにこの1台だけを持って行ったほうがいい
要するに出音が自然だということなのね。
だから海外では重用されるんだけど日本ではダメなんよ。
「アコギ」と言えばほぼ100%「ラインで鳴らすモノ」と思い込んじゃってる。
実際、専門学校なんかでもそう教えている…という話を先日耳にした。
 
チェット・アトキンスに「お金を払ってでも聴きたいギタリスト」と言わせしめたナッシュビルの超スゴ腕フィンガー・ピッカー、ドイル・ダイクスと何度か仕事をしたことがあった。
彼は必ずアコギ・アンプを通してプレイした。
MarshallのプレイヤーではなかったのでASの存在を知らなかったが、やはり「ナチュラルなサウンド」とAS100Dを大層気に入ってくれた。
海外では、ライブでアコギ・アンプを使うのが当たり前なのである。
ビックリした?
その利点は…
 1. 音のパンチ力がラインより格段に上。
 2. ミキサーの人にいちいち頼まなくても自分の音を自由に手元で作ることができる。
 3. 自分の音が背後から出ているという安心感。
…などなど。
コレは私は勝手に書いているのではなく、ドイルをはじめとしたアコギ・アンプを常用している海外のギタリストから聞いた話。

80で、実は、今のMarshall BlogになってAS100Dが登場するのは初めてなんですよ。
つまりアキラさんがASの壁をブチ破ってくれたというワケ。
そんなだからもう少しAS100Dを紹介させてもらいますよ。
ようやく企業のブログらしくなってきた!
 
出力は50W+50Wのステレオ。
8"カスタム・スピーカーとツイーターが2発ずつ搭載されてる。

2_i2mg_6682 簡単に言って入力は充実の4系統。

A10アコ―スティック楽器をつなぐAcoustic Channel 1。
その下がマイクもつなぐことができる楽器用チャンネル。

A20ハウリングを防止する「アンチ・フィードバック」や16種類の空間系エフェクトも装備。
下段はマイク専用のチャンネル。

A30さらに外部のステレオ音源を鳴らすためのRCA入力も装備されている。
だからコレ1台でなんでもできちゃうの。

A40リアパネルにはループやステレオDIアウトも各種装備。
あ~、便利だなったら便利だな。
コレで音が素晴らしいと来てるんだからタマったもんじゃない!

A50Marshallが作ったデモ動画あるので紹介しておく。
デモンストレーションは根っからのエレキ野郎のクリスが担当しているが、ASの音質や機能の良さは十分にご理解頂けると思う。


一方、征史さん。
いつもアコースティック・ベースを弾いているが、今日はエレクトリック。
5弦のフレットレスだ。
愛用のアコベは修理中なんだって。
聞いたら修理代がスゴイ!…でもそれだけの大工事だから仕方ない。
ミュージシャンにとって楽器のメインテナンス・コストは子供の養育費みたいなものだから、どうしても避けられない。

90エレクトリック・ベースに合わせてアンプ・ヘッドもStrange, Beautiful and Loudの時に使用しているMarshall 1992 SUPE BASSが起用された。

1001曲目は前作『運命の輪っか』から「青い月夜」。

110_atなんかもうライブが終わっちゃいそうな、いい演奏を観た後の幸せに満ちた寂寥感のようなモノがタマらん。

120vアキラさんの歌と詞に呼応するように丁寧にベースの音を置いて行く征史さん。

S41a6441 アキラさんのシャープなカッティングでスタートしたのは…

0r4a6643同じく前作から「あたし待ってんの」。

140_am好きな言葉は「紅一点」、キライな言葉は「四捨五入」だというアキラさん。
いい声だナァ。
「ウィスキー・ボイス」っていうの?
キンクスのレイ・デイヴィスは「Lola」という大ヒット曲の中で「Dark Brown Voice」という表現を使った。
それがどういう人の声かは実際に曲を聴いてもらうことにしてココには書かないが、この曲について面白いことを知った。
この曲はホモの体験を歌っているんだけど、その出だしに「彼女に会ったソーホーのクラブで飲んだシャンペンの味はチェリー・コーラの味がした C-O-L-A コーラ」とある。
レコーディングをした時、元々この「チェリー・コーラ」という部分の歌詞が「コカ・コーラ」だった。
コレでは宣伝になってしまってBBCで放送することができないということになり、ニューヨークにいたレイ・デイビスをロンドンに呼び戻したという。
そのおかげで、レイ・デイヴィスはたった一言の歌詞を差し替えるために、往復9,600kmの道のりを日帰りしなければならなかったんだって!
amber lumberも気をつけてくださいよ~。
そのレイ・デイヴィスの今では「Knight」だからね。

150私のためにセット・リストに加えてくれたという「雨雲レーダー」。
そう、前作に収録されていた「思えども思えども」と並ぶ感動巨編なのです。
お母さんとの手紙のやりとりを征史さんが情感豊かに演ずる。

175アキラさんのシンプルなアルペジオが背景だ。
今日は一段と音がクリアで美しい背景が広がる。

170「♪こっちのアジサイ濡らした雨が そっちのアジサイ濡らしに行くよ」…ココで感動の嵐よ。
メロディがあるのはこのパートだけ。
アキラさんが征史さんのオクターブ下にハモリを重ねる。普通反対でしょ。
しかし、ナンダってこんなロマンチックな文句を思いつくんだろうね~。
 
ちなみ先日名古屋に行って東京に帰ってくる日はものすごい雨だった。
新東名を突っ走って帰って来たんだけど、結局雨雲と一緒に東に向かうもんだから、最初から最後までハンパじゃない大雨。
もちろんハンドルを握りながらこう歌ったさ!
「♪名古屋を濡らした雨は 東京濡らしに来るな!」って

180ニュー・アルバムから「MSMM」。
「♪あたしはそんなに立派な人間じゃない」。
こんな曲、アキラさん以外に歌える人いないね。

270v_2 途中から征史さんのベースが爆発。
歪ませたベースの音色のせいもあるんだろうけど、こうして聴くとキング・クリムゾンみたいだな。

S41a6456 ツアーでごちそうになったカニとブリがあまりにも美味しかったので作ったという曲、「カニはエライ」。
実やらミソやら捨てるところがないのがエライんだって。
しかし、みんなカニ好きだな~。
アタシャ、特段夢中になったことがないナァ。

190v_keカニに敬意を表して、ココは2本の指だけを使って弾いている。
ジャンゴもカニが好きだったりして…。

200コレはふたりでカニ歩き。
そういえば、志ん生のマクラに「カニてぇヤツは横に這うもんだがな、このカニゃタテに這ってるよ。そしたらカニが…『少し酔ってますから…』」ってのがありましたな、ねぇ征史さん。210お客さんと一緒に…「美味しく生まれてくれて、ありがとう~!」

220ジックリと「半分の月」。これもニュー・アルバムから。

230_htまるで時間の速度が半分になったかのようにユラ~っとした時が流れる。
アキラさんの歌のマジックだ。
落語に「もう半分」という噺があってね…ヒデェ話なんだよ、ねぇ征史さん。

240v「ちょっとスイマセン…」
アキラさん、突然ギターを降ろしちゃった。
ナニかと思ってたらトイレだって!
「アイガラピー」ってヤツ。
グラスを片手に演奏するような小ぶりのクラブの男性ミュージシャンにこういう光景を時折見かけるけど、女性は初めて見たな~。
正直でよろしい。

245v_tアキラさんが無事トイレから戻ったところでドラマーが加わる。

250杉山章二丸!

260v曲はamber lumberのキラー・チューン「Eしか弾けない」。
290v前回同じ場所で拝見したワンマンの時は「Eってイイ!」⇒「カッコいい!」というお客さんとの掛け合いの説明をしていたが、今回はそれを省略してもバッチリ。
amber lumber人口が増殖しているのを感じた。

280v章二丸さんともう1曲。
イントロでアキラさんがKazooでうなる「風が吹いたら」。

300v_kf『Mother Moon』のクローザー。
ライブを締めくくるにも最適な印象的なナンバーだ。

310ショウは一度ココで終了したが、アンコールの声が鳴りやまず、間髪入れずもう1曲。
『運命の輪っか』から「ここにある宇宙」。

320vやっぱりこの曲の後半の征史さんの「暴れコーナー」がないとね!

330今日はMarshall SUPER BASSにエレクトリック・ベースというコンビネーションで思う存分暴れて頂いた!

340vイヤ~、ホント、手前ミソながらASの音の素晴らしさに惚れ直すこともできたし…。
時間は短かったけどすごく充実したステージだった。

350vこれからもamber lumberならではの音楽をジャンジャン世に送り出してくれることを期待している。

360vこのツアー、西の方はもう終わっちゃったけど、まだ14本も残ってるからね…会場がお近くの時にゼヒ足を運んでamber lumberの音楽を楽しんでくだされ。
 
amber lumberの詳し情報はコチラ⇒amber lumber Official Website

390v 

200_2 
(一部敬称略 2018年6月2日 神田THE SHOJIMARUにて撮影)

2018年6月 1日 (金)

ブルースの犬たち~Tomi Isobe & Blues Dogs

 
昔、イギリスの人気作家、フレデリック・フォーサイスに『戦争の犬たち』という小説があった。
クリストファー・ウォーケンとトム・べレンジャーの主演で映画化もされたが観たかどうかも覚えていない…そういうのはきっと観ていないんだろうな。
でも、中学校の時にこの原作が上梓されて、タイトルがとても印象に残った。それを読んだかどうかも覚えていない…そういうのはきっと読んでないんだろうな。
『戦争の犬たち』は原題を『The Dogs of War』という。
そうだ、トム・べレンジャーで思い出したけど、『山猫は眠らない』という狙撃手を演じた映画があった。アレ、すごくおもしろかった。
第1作がヒットしてシリーズ化されたようだけど、ナンてヒドイ邦題だと思ったよね。
私はやったことがないけど、この映画について外人と話をする時、間違えても『Wildcats never sleep』などとやってはイケない。コレ、原題を単に『Sniper』という。
で、今日はその「The Dogs of War」になぞってタイトルを『ブルースの犬たち』としてみた。
主演はハワイからやってきたブルースの親分犬、Tomi Isobe。
Marshall Blogは昨年に続いて2度目の登場だ。
前回は『士農工商犬ブルーズマン』というタイトルで16公演をこなしたが、今回はナント!スケールをギンギンにアップしての全22本!
昨日は高円寺で、今日の夜は福井だって!
スゴイな~。私なんかとても務まらんね。
今頃、「ヨーロッパ軒」でパリ丼でも食べているのだろうか?
それとも国道8号線沿いの「8ばんラーメン」か?
打ち上げはやきとりの名門、「秋吉」で間違いないだろう。
10v今回のTomiさんの来日のご用向きはコチラ。
昨年4月の来日時に金沢で録音したライブCD『HOWLING IN KANAZAWA』のレコ発ツアーなのだ。

20cd上でチョコっと触れたように、そのツアーのちょうど真ん中となる11本目の公演である高円寺のJIROKICHIにお邪魔してきた。

30メンバーは、Tomi Isobe。

40vTomiさんは今回Marshall。

50Marshall ASTORIA CLASSICをツアーを通じて使用。

60ベースに小笠原義弘。

70vオガンちゃんはEDEN。

80EDEN ET-800とD410XST。

90vドラムスはマーブロではTHE FEB等でおなじみの小野秀夫。

100v今回のツアーは各地でゲストが迎えられるが、前日の横浜と本公演では前回と同様に稲葉雅裕がジョインした。
180v稲葉さんもMarshall。
昨年はASTORIA CLASSICでステージに立って頂いた。
それで、今回はTomiさんがASTORIA CLASSICを使用しているというワケ。

120v稲葉さん、今回はASTORIA CUSTOM…と思うでしょう。
実は、中身はCLASSICなの。
だから今日はASTORIA CLASSIC大会なのです。

130「いいですか~?」
定刻通りにショウはスタート。

140_66オープニングはコレ。

150そうそう、このお声!
いいな~。

160vアレ?
Tomiさん、しばらく見ない間にサム・ピックになってる!
何でもジョニー・ウィンター譲りだとか…。
しかし、サム・ピックの利便性ってのはインスタグラムの面白さぐらいわからないな~。
チェット・アトキンスやドイル・ダイクスのようなフィンガー・ピッカーならわかるんだけど…。
簡単にズレちゃいそうだし、ズレないように強くしてハメると血が止まりそうだし。
でも、とりあえず他と違っていてカッコいいよね。

165ん~、コレですよ。このベース。
オガンちゃんが音を出した瞬間、フワ~っとバンドの音がブ厚くなる。
オガンちゃんとか広規さんとか…このベースの魔術は一体なんなんだろうね?

170前回はES-335だった稲葉さん。
今回はSGを携えてのご登場。
ASTORIAとSGの音って初めて聴いたかも?

110v聴いても観ても超安心な小野さんのドラミング。
小気味よく66号線をスウイング!

190v2曲目の「Messed Up」はTomiさんのオリジナル。
ファンキーなブルース。
Tomiさんのシャウトが実に気持ちいい!
ゼンゼン「mess」じゃなくて「spick and span」。

200_muギター・ソロではASTORIAがTomiさんのハートをバッチリと歌い上げちゃうよ!

210v「話題沸騰のハワイ島から来ました」
キラウェア火山のことね。
被害に遭っているのは全島の1%程度なのでご心配なく…とのこと。
「今日は知らない曲だと思ったらオリジナル曲だと思ってください!」
…とご挨拶の後は「Trouble in Mind」。

220_timRichard M. Jonesというジャズ・ピアにストが作った8小節のブルース。「Ain't Nobody's Business」と同じ。
1924年の作品だというからもう少しで100歳になる曲。
関東大震災の翌年にアメリカのヴォードビル・シーンではこんな曲が演奏されていた。

220v続いてはおなじみの「Rock me Baby」。
この曲って一般的にはB.B. Kingの作とされているけど、実は作者不詳になっているらしい。こんなに有名な曲…印税はどうなってるのかしら?

230v_rmb次はTomiさんのオリジナル曲で「Never Gonna Let You Go」。

250_nly稲葉さんのギターがガッツリとフィーチュアされる。
ん~、出てくるフレーズがいちいち味わい深い。

260v今度はB.B.Kingで「Thrill is Gone」。
前回も取り上げて今回のアルバムにも収録されている。
Tomiさんの声にとてもよくマッチしていて、愛唱ぶりがヒシヒシと伝わって来る。
330v_ssTomiさんの歌とともに稲葉さんと…

430v_imTomiさんのギターの掛け合いが素晴らしい。

410v第1部を締めくくったのはファンキーな「Doughouse of Love」。

280_dhlこの曲のオガンちゃん、スゴかったな~。
ジックリ聴きたいベース。

290v小野さんとのコンビネーションもバツグン!

300第2部のオープナーはジョニー・ウィンターで「Stranger」。
シュワンシュワンとフェイザー・サウンドが飛び交う。
Tomiさん、コレが演りたくて1年間首を長くして待ってたんだって!
「気持ちが盛り上がりすぎて最初のところ間違えちゃった!」…言わなきゃわからないですって。
だってこの曲が収録されている『John Dawson Winter III』なんて普通の人はほとんど聴かないと思いますよ。

270v_tigボトルネックで彩を添える稲葉さん。
稲葉さんもガッツリとフェイザーをかましての登板だった。
みんな、ジョニー・ウインター好きネェ~。

320次も皆さん大好きなFreddie Kingで「Sugar Sweet」。

310_stオガンちゃんのソロ炸裂!

336v珍しくバカチコとスラップをやってた。

340稲葉さんが猛然と16分のカッティングをブチかます!
かなりエキサイティングなシーンだった。

350vまたB.B.Kingを取り上げる。
「朝起きたら母ちゃんがいない」と紹介したのは「Woke up this Morning」。
コレは盛り上がるよね。

380_wig私なんか恥ずかしながら、この曲は高校の時にNazarethで知ったからね。
タイトルは同じ。違う曲なんだけど内容は同じ。早い話が「パクリ」。
Nazarethの方は「朝起きたらイヌが死んでた」、「ネコが死んでた」、「ブタがいなくなってた」ってな具合。
いいの、いいの、コレで。
どうせロックはブルースの子供だから。
でも今のロックは子供でも孫でもない。「ブルース」という祖先と血脈が途絶えちゃったから。

Razamanaz 「次はボクの大スキな曲。聴いたらわかると思います」…とエッタ・ジェイムスの「I'd Rather Go Blind」。

360_idいい曲だな~。
Tomiさんも情感豊かにギターの音を並べていく。
やっぱASTORIAの音の良さは筆舌しがたいね。
今回のツアーでも各地でお客さんが終演後にアンプのチェックをしていたそうだ。
Marshallなんですよ~!
370v「空いているスペースで是非踊ってください」
ロマンチックにビリー・プレストンの「Will it Go Round in Circle」をプレイ。

400前回のライブではTomiさんの半生をテーマにセットリストが組まれたのだが、その中に「Single Daddy's Blues」というオリジナル曲が含まれていた。
ま、説明しなくても意味と内容はおわかりでしょう。
コレぞブルース。

390_sdb軽快なシャッフル・ブルース「I'm Coming to You Baby」。
Tomiさんのブルース・ナンバーはBbのキーが多いそうだ。
ナゼなら管楽器の連中と演奏する機会がおおかったら。
そう、ジャズのブルースではFとBbがダントツに多く、Eb、C、Abあたりが続く。
そこへいくとギターは自由だからね。ジョー・パスなんかはよくGで演ったりするし、ウェスには「D Natural Blues」なんて有名なオリジナル曲もあるよね。
 
いよいよクライマックスを迎えた4人の熱演が実に気持ちいい!

450

420v

440v

460v第2部を締めくくったのはTomiさんのオリジナル・バラードの「You my Lady」。
ジックリとシットリと歌い込んで本編の幕を降ろした。

470_ymlアンコールもジョニー・ウインター・ネタ。
「Bonnie Maronie」を痛快にカッ飛ばした!

480_bmMCでTomiさんが「La Bamba」や「Come on Let's Go」や「Donna」で有名な「リッチー・ヴァレンスの…」と紹介した。
確かにリッチー・ヴァレンスも演奏していたが、作曲はLarry Williamsという人。
この人は「Bad Boy」や「Slow Down」、「Dizzy, Miss Lizzy」等のロックンロールのスタンダードを残した人。
ビートルズ好きならピンと来ることでしょう。
そう、ジョン・レノンがファンだったんだって。だからビートルズはこれらの曲をレパートリーにしていたんだね。

490スペイン語がまったくできない私が全編言語で歌えるということで「La Bamba」で脱線すると、元々この曲はメキシコの民謡で、それをヴァレンスが手を加えてヒット曲に仕立て上げた。
「La Bamba」はアメリカではじめてヒットしたスペイン語の曲なのだそうだ。
「自分だけのサウンドを作りたい!」と、この辺りを描いたシーンが印象的だったルー・ダイアモンド・フィリップス主演の伝記映画『ラ★バンバ(La Bamba)』は存外におもしろかった。
「Sleepwalk」が効果的に使われていたのはこの映画だったっけ?
ブレイクし出した途端にヴァレンスは飛行機事故で他界。18歳だった。バディ・ホリーもそうだけど、まったく気の毒なことだ。
しかし何が驚くって、この風貌で18歳だからね。

Rv イヤ~、何しろ4つの個性が真っ向からブツかり合ったこの日のギグ。

500vひとりでも多くの人に観てもらいたいと思って、突貫で今日の記事を書き上げた。

510v今晩の福井を含めて北陸や西筋の公演と、東京ではTomiさんのソロ・ライブが残っているからね。
お近くの会場で魂の歌と演奏にドップリと浸かってくだされ!

20cd蛇足の脱線。
上に書いたようにホント、皆さんジョニー・ウインターお好きですよね~。
私はどうも苦手で…ジョニー・ウインターとニール・ヤングはどうも受け付けない。
でもね、昔は聴いていたこともありましてね。
それが、さっき出てきた『John Dawson Winter III』というアルバム。
中学生の時に2つ年上のイトコが好きで私も一時よく聴いた。
だからリハーサルの時に稲葉さんが「Golden Olden Days Of Rock & Roll」のイントロを弾いたときはなつかしくて涙が出たよ。
そういえば『俺は天才ギタリスト』という邦題もいい加減ヒドイな。『ザ・ギタリスト・パ』よりはまだマシか?
ファースト・アルバムなんかも高校に入りたてぐらいの時に買って、アレでWillie Dixonの名前を覚えた。
でもね、あの名盤とされる『Johnny Winter And Live』とか『Captured Live』をさかのぼって聴いてみるに、どうにもキツくて…。
『Nothin' But the Blues』には手を出さずして撤退した。

Jw3同じライブ・アルバムでもエドガーと組んだ『Together』は大好きで、長野でハコバンをやっていた時にこのアルバムに収録されている「ロックンロール・メドレー」を演ったこともあった。
私の思い出なんざどうでもいいんだけど、つい懐かしくて書いちゃいました。

Tg

200  

(一部敬称略 2018年5月31日 高円寺JIROKICHIにて撮影)