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2018年6月18日 (月)

映画『スパイナル・タップ』を11倍楽しむ

 
大阪の皆さん、どうかご無事で!
  
私が中学2年生の時、ビートルズのロックンロールのレパートリーをコンパイルした2枚組のアルバムがリリースされた。
その名も『Rock'n'Roll』。
さすがビートルズ、当時のレコード会社、東芝EMIは購入特典としてレコードを買った人にもれなく緑色の表紙の小冊子を配布した(あるいは初回プレス分だけだったのかも知れない)。
その小冊子には各ページの欄外にメンバー4人へのミニ・インタビューが掲載されていて、その中のひとつに「あなたの星座は?」という設問があった。
コレを英語で言うと「What's your sign?」と表現することは以前ココに書いた。
その質問に対する4人の答えはこうだった。
ジョン「てんびん座だよ」
ポール「ボクはふたご座」
ジョージ「うお座です」
リンゴ「かに座なのよ」
40年以上前のことなのでもちろん正確な字句は覚えていないが、リンゴのセリフだけは正しく記憶している。
「なのよ」…?
リンゴ・スターってそういう人なのか?と子供心に驚いたからだ。
それからしばらくというモノ、「かに座」は12星座で最も印象の強い星座となった。
お、今日6月18日はポールの誕生日のようだ。76歳だって。
でも、「蟹」ってヘンだと思わない?
星座を分類してみると、「ひつじ」や「おうし」の動物類が4つと最多のエントリー数を誇り、ついで「ふたご」や「おとめ」の人間類が3つ。
「てんびん」と「みずがめ」の道具が2つ。
単独で業界を代表してエントリーしているのは虫界から「さそり」、魚類で「うお」。「かに」はこのチームに加えてもいいような気もするが、「魚」ではないので甲殻類として単独でエントリーさせる。
ん~、甲殻類はやっぱり異質だろう。我が「さそり」もチョット引っ掛かるが…。
そこで、ナゼ「かに」が星座にエントリーされているのか調べてみた。
答えは「食べるとウマいから」…では当然ない。
起源はギリシア神話。
当時、ヒドラという頭が9つある怪物がいた。キングギドラの名前の由来とされているヤツ。
コイツが泉に毒を流して困るということで、ヘラクレスが立ち上がった。
ところがヒドラは頭が9つもある上に、切っても切っても頭が生えて来てなかなかに手ごわい。
コレが髪の毛ならうらやましい限りだ。
ヘラクレスがヒドラに手こずっていると、さらにヒドラに加勢するヤツが出て来る。
それが「かに」だ。
ところが、その「かに」は滅法弱くてヘラクレスにブチッと踏んづけられて一発でヤラれてしまった。
すると全能の神であるゼウスの奥方のヘラってのが、その「かに」の勇気を称えて、「弱いのにエラかったね~。『がんばりましたで賞』として、アナタを12の星座の中にエントリーしてあげましょね~」となったのだそうだ。
それを聞いたヘラクレスはこう言った。
「カンニンしてよ~」
お後はよろしいか?
 
ギリシアと日本の神話について少し勉強したいと思ってるんだけど、両方とも登場人物の名前が覚えられなくてね~。
特に日本の神様は「天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命」とか、「宇摩志阿斯訶備比古遅神」とか、まず読めん。
読めないモノは覚えられないと相場がキマってる。
で、いまだに取り掛かっていない。
 
と、直前まで「かに」で話を始めようとは思っていなかったのだが、ついやってしまったのは、この看板があまりにも「カニ」をアッピールしていたからだ。
そういえばアート・カーニーなんて役者もいたな。
アカデミー主演男優賞を獲った『ハリーとトント』はヨカッタ。
昔はこの映画の良さがあんまりわからなかったけど、今では涙なくして観ることはまず不可能だろう。
特に若い頃のガールフレンドに会うために老人ホームを訪れるとろ。
ダンスをするんだっけ?
あの「ダンス」というのは日本人にない感覚なんだよね。
そこへ行くと欧米の人はダンスを本当に大事にする。
何かあるとダンス。マァ、見目麗しい白色人種の方々がおやりになるので、それがとても美しくカッコよろしい。
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り(原題: Scent of a Woman)』でアル・パチーノが扮する盲目の退役軍人のダンスはあまりにもカッコよかった。
映画のダンス・シークエンスについて語り出したらとてもキリがないのでこれ以上は書かない。
そして、話は横の建物に移動する。
カニだけにね。

10新宿武蔵野館。
私が子供の頃からある老舗映画館だけど、初めて来た。
そしたらアータ、「子供の頃から」どころじゃない、「新宿武蔵野館」って1920年の開業なんだって!
関東大震災より前だぜ。
場所は何度か移転しているけど、新宿三丁目にあった頃は1,500席の規模を誇ったらしい。
昔の映画館は立派だったからね。
私の場合、家が東京の東のエリアだったので映画を観るのはもっぱら日比谷だった。
日比谷映画、有楽座、スカラ座、みゆき座、丸の内ピカデリー、東劇、松竹セントラル、丸の内東宝、スバル座…それぞれ何回行ったかわからない。この内、まだ原形をとどめているのは東劇だけかな?
東劇は40年ぐらい前に立て直しているので老朽にはまだ早いのだ。
浅草の映画館も、それはそれは立派な出で立ちをしていたが、取り壊されてもうスッカリなくなっちゃった。

20しかし、1,500席ってスゴイよ。
中野サンプラザで2,200だからね。
一度に1,500人が同じ場所で、同じ空気を吸いながら、同じ映画を観るなんて若い人には考えられないでしょう?
映画が娯楽の王様として君臨していたかを如実に表す数字だ。
海外はもっとスゴくて、例えば下の写真のロンドンのキルバーンにあるGaumont State Cinema(ゴーモン・ステイト・シネマ)なんてのは4,000席だからね。別名「The State Theatre」。
Gaumontというのは、今もあるフランスの大手映画制作会社。

180v_2 テレビの出現により映画産業が縮退を余儀なくされてからはコンサート・ホールとして利用されていた。
ジョン・ロードが「Rick Emerson」と自己紹介していることで知られる下のDeep Purpleの1974年のライブ盤『Live in London』はこのThe State Theatreで収録されたモノ。
今はフィンズベリー・パークのRainbow Theatre同様、新興宗教の施設になっている。

108_lil さて、今日、2018年6月16日…どうして新宿にやって来たか…。
下の左端の「オレンジ色のニクイやつ」…『スパイナル・タップ』の日本劇場初公開の初日に立ち会って来たのだ!
「オレンジ色のニクイやつ」…なんて若い人は誰も知らないか…。

301984年全米公開のこの映画、ナント日本の劇場で公開されるのは今回が初めてのことなのだ!
私が初めてこの映画を観たのは、ホントにホントに偶然のことで、風呂上がりに何の気なしにテレビをつけて、衛星放送にチャンネルを合わせた時だった。
何の予備知識も全くなく、そもそもこの映画の存在すら知らなかった。
もう何年前のことだろう?
四半世紀は経ってるかな?
マァ、ビックリしたよね…あんまり面白くて。
まさに「ナンじゃ、コリャ~!」状態だった。
当時私はまだMarshallとの関わりなど全くなかったが、「11」のくだりは大笑いした。
もう一度観たいと思い、レンタル・ビデオ屋に探しに行ったが、当然そんなもんありゃせん。
周りの人は当然誰も知らん。
こんなに面白いのにナゼ日本では公開されなかったんだろう?と不思議に思った。
日本の音楽シーンってまだまだ歌謡曲の時代で、当時の興業システムを鑑みると、劇場で公開してもとてもリクープは望めなかったんだろうな~。
私はといえば、まだインターネットもない時分だったので、何の情報も得られなかったが、オーバーに言えばそれ以来ひと時も忘れたことがなかった。

50vそして、初めてロンドンに行ったのは2003年かな?
「ロンドンに行ったら必ず『スパイナル・タップ』のDVDをゲットする」と心に決めていた。
ところが、オックスフォード・ストリートのHMVで探したんだけど、見つからない。
その店は普通にアルファベット順に映画のタイトルに沿って商品が陳列されていて、「S」のコーナーを見ても置いていなかったのだ。
「アッレ~、イギリスでは今でも人気って聞いていたんだけどな~」とガッカリして、諦めかけていた時に思いついた。
「そうだ!この映画の原題は『This is Spnal Tap』で、「T」で探さなければダメなんだ!」
この時の邦題の身勝手さを恨んだね。『愛と青春の腹立ち』だよ。
さっそく「T」のコーナーに移動して探すと、すぐ出て来た。
そう、イギリスのテレビの規格はPAL方式なので、日本のテレビでそのままDVDを観ることはできない。
でも、そんなことはお構いなしだった。
大好きな『スパイナル・タップ』のDVDが手に入るだけでうれしかった。テレビで観れなくてもパソコンでなら観れるからね。
しかも、そのDVDには本編の他にNGテイク集やインタビューを収録したボーナス・ディスクが付いていたのでうれしさ倍増。
結局観てないんだけど…。

190こんな本も見つけた。
定価は£16.99。
当時の為替レートだと3,800円ぐらいかな?1ポンドが220~230円だったからね。
それが売れ残りの新古書籍だったので1,000円もしなかったように記憶している。
映画の台本や挿入歌の歌詞、スパイナル・タップのA-Zなんかが載っている。

230それから数年…2006年には国内盤のDVDが発売された。
私はこういうことにはとても悠長なんだけど、コレに限っては発売日にレコード屋に買いに行った。
すると、どこへ行ってももう売り切れで手に入らない…ヤ、ヤバい。
そこで、当時の会社の大阪支店の同僚に頼んで現地で買ってもらって、東京へ送ってもらったとう次第。
どうなんだろう?
衛星放送で放映してから10数年、この映画の評判が口コミで広がっていたのかしらん?
その後、ブックオフで500円で見つけたけどね。また買っといた。

Stvまた映画館の話になるけど、一番最近映画館で映画をみたのは3年前のこと。
家内とロンドンに行く前の予習にと、ナショナル・ギャラリーのドキュメンタリーを観に行った。
アレも新宿だったナァ。
小さな映画館のフカフカした椅子で3時間半…内容は申し分なく、アッという間だった。
その前はドラえもんか?アンパンマンか?
ずいぶん映画の興業の方法も変わったね~。
「シネマ・コンプレックス」とか言うのかな?
同じホールで違う映画を交代に上映してるんだよ。
まだ映画が娯楽の主役だった頃に育った私としてはショックだったわ。
無料化やアニメの台頭…文化の「衰退」という意味では音楽も映画とまったく同じ構図と運命にあるね。

40映画の内容については、ココに書いてあるのをはじめ、もう何度もMarshall Blogで触れているので今日はゴチャゴチャ書かない。
「あの世界的なロックバンドの重鎮、≪スパイナルタップ≫伝説の全米ツアーに完全密着 全人類必見の映像が、なぜかようやく今ごろ解禁!!」と惹句にある通り。
65vさて、今日はココからが本題。
この記事では映画の公開に関することと、久しぶりに観て気が付いた細かいことをツラツラを書いて行こうと思う。
これからご覧になる方のトリビアになれば幸いだ。
映画館のロビーでは、公開を記念してチョットしたディスプレイが設置されている。

60vひと際目を惹くのが我がMarshallだろう。
1959のフル・スタック(三段積み)。

70映画で使われているのは1975~1981年の間の「JMP期」と呼ばれている時代の1959なので、このディスプレイとはルックスが異なる。
この時代から以降のJCM800時代には1969も目まぐるしく姿を変えたが、「100W、4インプット、マスター・ボリュームなし」という「1959」の定義はブレていない。

80映画とMarshallの関わりについての解説。
映画の主人公のひとりであるナイジェル・タフネルが、「Marshall Law」という宣伝小冊子に登場した時の記事が展示されている。
90そして、JCM900シリーズの発表時にはナイジェルがMarshallの宣伝大使を務めたことはファンならご存知であろう。
コレね。

108_2nt この主演のナイジェル・タフネルについて少し。
この人、本名をクリストファー・ゲストという。
イヤ、本当の本名は「クリストファー・ヘイデン-ゲスト、第5代ヘイデン-ゲスト男爵」という。
以前から家柄が良いということは聞いていたけど、この人、ホンモノの貴族なの。
「ホンモノ」というのは先祖代々「貴族」ということ。
今はポール・マッカートニーも、エルトン・ジョンも、アンドリュー・ロイド・ウェーバーもみんな頭に「Sir(サー)」がついてるけど、コレらは一代限りで終わりの「にわか貴族」。
このゲストさんのような男爵(Baron、女性はBaroness)以上になることは、普通できない。
「ヘイデン-ゲスト」というのは連合王国の爵位で、ナイジェル…じゃない、クリストファーは現在でもそこの第5代の当主を務めていて、ブレア政権の時までイギリス上院に議席を持っていたっていうんだからスゴイ。
「オレのサイロ」がどうのなってやってる場合じゃない。
ジム・マーシャルはクリストファーと仲良しだったそうで、よく「トニー、トニー」と言っていたけど、こういう関係があったのかも知れんな。
私も仕事柄イギリス関連の本を読むことが少なくなく、そこでよく出くわすのが貴族に関する記述。
貴族にも色々あるにしても、イギリスの貴族ってのはマァ、スゴいよ。
普通の人類じゃないからね。ビックリするとうな話がゴマンとある。コレはまた別の機会に…。
ジェイミー・リー・カーティスがクリストファーにホレるのもムリはない。
下はヘイデン-ゲスト家の家紋だそうです。

Fe さぁ、現実に戻って。
スパイナル・タップの25周年を記念して2009年にMarshallが製作したロゴ入りのアンプの写真なんてのも飾ってある。
モデルは1959とJCM900 4100。

100vもちろん1959のノブの目盛りは「11」まである。
本当は実物が展示できればヨカッタんだけど、私が工場で撮ってきた写真でガマンしてください。

110映画に関する古今東西のスクラップ記事。

115vおお~!
ストーンヘンジまで!

120ちなみにストーン・ヘンジをテーマにしたロック・アルバムってのが太古の昔にあった。
それはTen Years Afterの作品で、タイトルはドンズバの『Stonehenge』。
ウッドストックでアルヴィン・リーを知ってブッ飛んで買ってみたけど、中学生の子供にはまったく面白くなくてすぐに誰かに売ってしまった。
それ以来聴いたことがない。

130cdついでに…ストーンヘンジがあるのはロンドンから西へ200km行ったソールズベリーの近く。
ピーター・ガブリエルの最初のソロ・アルバムにその名も「Salisbury(ソールズベリー)」という曲があってね。
コレが大スキだった。
ソールズベリー大聖堂というのも有名だし、一度はストーンヘンジを見てみたいとも思うんだけど、遠いからな~。

140cdハハハ!
注意書きも凝ってる。

150「"指さし"もOK」の意味は映画を観ればわかる。
ちなみにあのシーン、ズラリと並んだナイジェルの愛器はLAの「Norman's Rare Guitars」というビンテージ楽器店からの借用品。
L-5がすごく良さそうで気になる。

160あ~あ~、「タイアップ TO 11 メニュー」だって!
ようやるわ~。

165このギターはナイジェル・タフネル・モデルだそう。
そして、右下。170v私の宝物、「Spinal Tap」のロゴ入りのMS-2も展示して頂いている。

180して、いよいよ上映。
記念すべき『スパイナル・タップ』日本劇場初公開の2回目上映。
初日来場特典ということでMarshallのランヤードをもらっちゃった!
隣に座っていた女性のお客さん、このランヤードがすごくお気に召したようで「コレ、かわいい。こっちの替えよう」なんて声が聞こえてくる。
うれしんだけど、「コレ」呼ばわりか…。
やっぱり「まーしゃる」の名前は出て来んか~。

108_img_6785やっぱりミュージシャンはこの映画を観ている方が多く、時々『スパイナル・タップ』の話になると「11」の話が大抵出て来る。

でも、CONCDERTO MOONの島ノンちゃんはサスガ違うことを言っていたな。
「Dmは最も悲しい響きのキーだ」と、ナイジェルが創作中のマイナー・ソングをロブ・ライナーにピアノを弾いて聞かせるシーン。
ノンちゃんはココがお気に入りのようだ。
Ns考えてみればノンちゃんが愛用しているMarshallは1967 MAJORといって、「ボリュームが11」どころか出力が200Wと、ナイジェルのMarshallの倍ほど音が大きいからね。

Mjこの映画って「ロック・バンドのあるある」を徹底的にリアルに追求しているワケなんだけど、今回久しぶりに観て、若い人には理解できない部分がたくさんあるんじゃないかと思った。
例えば、そのボリューム「11」のくだり。
今は大音量の代名詞である「Marshallの壁」を作りたがる若いギタリストはほぼいない。
「作りたがらない」というより知らないのだ。
The WhoとThe Small Facesが爆音合戦を展開したように、 そもそもロックバンドが「大音量であるべき」という哲学を若い人たちは持ち合わせていない。
だから、どうしてボリュームを「11」にまでして大きな音を出す必要性があるのかを理解できないのではないか?
それからジャケット。
映画では新作『Smell the Gloves』のジャケットで大モメにモメるが、ジャケットを必要としない配信が当たり前となった昨今、なぜスパイナル・タップのメンバーとマネージャーがムキになってジャケットのデザインでモメているのかわからないだろう。
ま、時代だから仕方ない…で片づけちゃえばいいんだろうけど…。
 
他にロックや欧米の文化の知識が豊富であれば豊富であるほど楽しめるようにできているんだよね。
例えば、ドラマーの相次ぐ死。
コレはキース・ムーンとジョン・ボーナムのパロディでしょう?
下は先に紹介したイギリス盤のDVDに入っているリーフレットと盤。
200リーフレットにはメンバー紹介が載っているんだけど、ドラマーのところは「NECROLOGY」となっている。
「necrology」というのは「死亡者名簿」のこと。
2台目のドラマー、Eric 'Stumpy Joe' Childsというのが映画の中に出て来るが、スパイナル・タップの以前のビデオでは西海岸の名セッションドラマー、ラス・カンケルが演じたらしい。
このスタンピー・ジョーは他人のゲロを喉に詰まらせて窒息死した、というシーンが出て来るが、コレはジミ・ヘンドリックスだよね。
このリーフレットの右ページにあるキャストの一覧表がMarshallのコンボ・アンプになってる。
しかも、アンプとキャビネットが上下逆さま。コントロールのノブもおかしい。
でも、キャビネットについているプラークには「VERY LOUD」と刻まれていて、フォントもホンモノっぽいところが面白い。

210また、ボーナス・ディスクのチャプターの扉はこんな風になっている。
1959のコントロール・パネル。
当然目盛りは11まで。

108_cp他にもいろいろある。
インタビューでナイジェルとデヴィッドは「スキッフルのバンドをやっていた」というくだりがあり。
スキッフルというのはロニー・ドネガンの1955年の「Rock Island Line」という曲に代表されるイギリスにおけるロックの前身の音楽。
つまりこの2人のキャリアが相当に古いということがわかる。
ロックンロール誕生の瞬間とされるビル・ヘイリーの「Rock 'round the Clock」も1955年のなので、ロニー・ドネガンも負けずに古い。
この「スキッフル」とか「ロニー・ドネガン」という名前を知っている人は日本ではそう多くないのではないか?
ところがイギリスへ行けば、オバサンでも知っている可能性がかなり高い。
どういうことかというと、彼らの「ロック」というのはスキッフルやブルースが確固たる礎になっていて、GSが起源となっている日本のロックとは成り立ちが全く違うということなんだな。
だから、今Greta Van Fleetなんてアメリカのバンドが話題になっているけど、イギリスではかつてのThe DarknessやThe Answerみたいなトラディショナルのテイストを持った若いバンドが「先祖返り的」にポコっと出て来るんだよね。
日本はコレができない。先祖に帰ることができない。ロックの下地がないから。

映画の冒頭でロブ・ライナーが「Let's boogie!」って言う。
アレ、向こうの人って言うんだよね、「boogie」って。
私のBoogie体験記はコチラをご覧アレ。
 
次、ナイジェルが自分のギターを自慢する時に、「このギターのサスティンがスゴイ」と説明しながら「ヒィ~~」とギターの音の口マネをするでしょ?
外人って本当にああやってやるんだよね。
1974Xを発売した時、仲良しのカナダのディストリビューターがしきりに同じことをしていたのを思い出した。

それからホテルで人気バンドにバッタリ出くわすシーンがある。
人気バンドのマネージャーはタップのマネージャーの名前を忘れて「リーアム…」と間違えた名前で呼びかける。

アレ、ワザとやってる。
大変失礼な話で、「リーアム」というのはイギリスに多い名前で、つまり弱小バンドのマネージャーの名前なんて覚えているワケがないということ。「佐藤さん」と呼んでおけば当たるかも知らないということ。
 
それに、シナトラの話をするリムジンの運転手が、運転席と客席の間の窓を閉めるナイジェルに向かって「Limey!(ライミ―)」と言う場面。
字幕では「クソイギリス野郎!」ぐらいになってたかな?
この「lime」というのはあの柑橘系のライム。
昔、イギリスの水兵はオレンジやらライムを大量に船に積み込んで航海した。
ナゼかというと、長い航海では新鮮な野菜を摂取することができず、壊血病で命を落とす人が多かったから。
壊血病はビタミンCの不足により罹患することがわかっていたので、柑橘系の食品とともに大航海時代を乗り切った。
そこから転じてイギリスの水兵を「Limey」と呼ぶようになり、イギリス人の蔑称として定着した…が、今はほとんど使われない言葉らしい。
イギリス人の「オーマイガー」の「Blimey(ブライミー)」と字面は似ているが関係ない。
ちなみに冬季には野菜がなくなるエスキモーの人たちは、ビタミンCを摂取するためにアザラシの内臓を生で食べる。
今はどうか知らないけど、その辺りのことを記した新田次郎の『アラスカ物語』はヤケクソに面白かった。

215v_bプログラムはこんな感じ。コレも「11」でカッコいい!
日本劇場初公開ということは史上初の日本語のプログラムとなる。
『スパイナル・タップ』のトリビアなんてのも載ってるんだけど、「プログラム」ってのは内容なんてどうだっていい。
一般的には、そもそも「あらすじ」なんてのが載っていること自体おかしい。
だって実物を観てるワケだから。
それに今ではウィキペディアなんかで、スタッフやキャスト等の細かい情報も無料でゲットできちゃうじゃん?
私も小学生の時から集めたプログラムが本棚イッパイぐらいあった。
でも引っ越しの時にオヤジが全部捨てちゃったんだよね~。
その頃にはもう音楽にドップリ浸かっていたので、さほどハラは立たなかったけど、思い出がスッ飛んじゃったな~。
ようするにプログラムは記念と証拠なんですよ。
だから私は特に海外で観たミュージカルのプログラムなんかは、どんなに高くてバカバカしくても買ってコレクションするようにしている。
ということで、このプログラムもお買い求めになることをおススメします。

2_0r4a8480 あ、最後にもうひとつ。
映画の中で、ステージに行くときに通路で迷っちゃう場面があるでしょ?
アレとは別に、ステージに行く時、普段はガヤガヤと賑わっている客席からナゼかモノ音が聞こえて来ない。
メンバーは怪訝に思うのだが、「イヤイヤ、オレたちがステージに現れればドッカーン間違いないよ!」なんて言っていて、イザステージに上がると客席には誰もいなくて、公演がキャンセルになったか、公演日を間違えてアララ…みたいなシーンがあったように記憶しているんだけど、今回観たところそういうシーンはなし。
それこそ怪訝に思ってDVDを観たけど、やっぱりなし(おかげでこの映画、2日間で3回も観るハメになったわ)。
私の思い違いなんだろうけど、どなたか私に同意してくれる古いタップ・ファンはいない?

エンドロールにはドラム・キットの提供者としてLudwigの名前が、そして協力者としてB.C. RichとZildjianのクレジットが入っているが、Marshallはなし。
今、ワタシが協力していますから!

  
私がお邪魔した回は満席。
この調子でひとりでも多くの人にこの映画を観てもらいたいものだ。
まだ細かいスケジュールは決定していないようだが、新宿武蔵野館を皮切りに全国をブギして回る予定なのでお見逃しなく!
やっぱり映画は映画館で観るもんですな。
 
映画『スパイナル・タップ』の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

240v

200_2 
(敬称略 2018年6月16日 新宿武蔵野館にて撮影)